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1951-05-25 第10回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年五月二十五日(金曜日) 午前十一時九分
開議
出席委員
委員長
水田三喜男
君
理事
川本 末治君
理事
寺本 齋君
理事
橋本
龍伍
君
理事
門司 亮君
宇野秀次郎
君
岡村利右衞門
君 鍛冶 良作君
島田
末信君 田渕 光一君 中川
俊思君
野村專太郎
君
山口六郎次
君 並木 芳雄君 立花 敏男君
出席政府委員
国家地方警察本
部長官
斎藤
昇君
総理府事務官
(
全国選挙管理
委員会事務局
長)
吉岡
惠一君
国家地方警察本
部警視長
(
刑事部長
)
武藤
文雄
君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
全国選挙管理
委員会選挙課
長)
金丸
三郎
君 検 事 (
法務
府
検務局
総務課長
)
宮下
明義
君
衆議院法制局参
事 (第一
部長
) 三浦 義男君 参 考 人 (
東京
都
警視庁
刑事部搜査
第二
課長
)
島田純一郎
君 —
——
——
——
——
——
——
本日の
会議
に付した
事件
閉会中審査に関する件
参考人招致
に関する件
公職選挙法改正
に関する件 —
——
——
——
——
——
——
水田三喜男
1
○
水田委員長
これより
会議
を開きます。 本日は
公職選挙法改正
に関する件を議題とし、これに関して
全国選挙管理委員会
及び
取締り当局
より、過般行われました
地方選挙
の
実情
を聽取し、あわせて
選挙法改正
についての
参考意見
を聽取することといたします。本日
出席
されておりますのは、
全国選挙管理委員会
の
事務局長吉岡惠
一君、同
選挙課長金丸三郎
君、
国家地方警察本部長官斎藤昇
君、
刑事部長武藤文雄
君、
法務
府
検務局総務課長宮下明義
君、以上であります。 —
——
——
——
——
——
——
水田三喜男
2
○
水田委員長
この際
参考人
に関する件についてお諮りいたします。ただいま申し上げました
政府関係者
以外に、
自治体警察
の
取締り当局者
より
意見
を聞く必要があると認められますので、
理事会
の
申合せ
にもよりまして、
東京
都
警視庁
の
捜査
第二
課長島田純一郎
君の
出席
を求めてありますが、同君を
参考人
として
意見
を聞くことに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
水田三喜男
3
○
水田委員長
御
異議
なしと認めます。そのように決しました。 —
——
——
——
——
——
——
水田三喜男
4
○
水田委員長
ではまず
吉岡惠
一君よりお願いいたします。
吉岡惠一
5
○
吉岡政府委員
私
ども
の方から、このほど
選挙
の結果について御
報告
を申し上げます。ただいまから申し上げますことは、的確な
資料
に基いたものでありませんで、
地方
から上京した者や、あるいは間接に聞いた人の
話等
から、大体今度の
選挙
についての大あらましの
観察
でございますから、そのつもりでお聞きを願います。 今度の
選挙
で最も注意をすべき事項と申しますのは、今度の
選挙
が非常に
競争激甚
な
選挙
であ
つて
、その結果
投票率等
も非常によかつたということは言えると思います。
投票率
のいいことにつきましては、いろいろほかの原因も考えられるかと存じますが、
市町村
が九一%、
府県
が八三%弱という
数字
は、従来行われておりました
地方
の
選挙
に比較いたしましても、相当いい
数字
であります。もつとも
新聞等
でごらんになりました
数字
は、従来の
数字
というものが、
たいがい国
の
選挙
だけの
数字
でございまして、
地方
の
選挙
の
数字
、
投票率
は
割合
に出ておりません。
従つて一般
にはあまり御理解がないかと思いますが、従来から
地方選挙
は
投票率
はよか
つたの
であります。県、
市町村
というぐあいに、下の
団体
に行くに
従つて投票率
がよか
つたの
であります。
投票率
が九〇%以上というのは、
市町村
の
選挙
については、相当普通に見られる
現象
だ
つたの
であります。そういうことを頭に置きながら御
観察
をいただきたいと思います。 それから
手續的
な点の問題でございますが、この前の国会におきまして、
選挙法
が
改正
になりましたが、
割合
に
選挙
間近にな
つて改正
になりました
関係
上、
選挙法改正
の
趣旨
の
徹底
が十分参りませんで、
地方
によ
つて
はまだ旧法のままのつもりで
選挙
をやつたようなところがなきにしもあらず、
趣旨
の
徹底
に十分の余裕がなかつたということは、言えると思うのであります。 それから各論的な
事柄
を次に申し上げますが、
各党
の御
意見
の中にも出ております
通り
、
不在者投票制度
、あるいは
代理投票
、つまり代筆の
投票
でありますが、こういう
制度
が悪用をされた
向き
がある。相当いろいろの話を聞くのでありますが、
不在者投票制度
を今回は悪用された
向き
が相当多いように見受けられるのでございます。 それから次は、
公務員
の
立候補制限
でありますが、これは受付の際、
公務員
の
立候補制限
の
制度
が非常に複雑なために、十分の取扱いができないで、いろいろ問題を起した点があります。従来の国あるいは
府県等
の
選挙
でありますれば、
割合
に受付ける
機関
が限られておりますので、数が少いので、
趣旨
の
徹底
が十分でありますが、
市町村
になりますと、
趣旨
の
徹底
が十分参
つて
おりませんと、どうしてもまごつく場合があるのであります。無効な
届出
を受付けたというような場合も、
相当数
多く見られたのであります。 それから次は、私
ども
が聞きました
一般
の声でありますが、
選挙運動期間
が長過ぎたということがいわれておるのであります。今度の
選挙
は、
市町村
については二十日前、
府県
については二十七日前に告示があつた、この
期間
が相当長過ぎたという話を聞く
向き
が相当あります。 それから次は、
無効投票
が相当多く見られました。
参議院
の
選挙等
では、相当
無効投票
が多か
つたの
でありますが、
市町村
あるいは
府県
の
選挙
におきましては、
單独選挙
の場合は、
割合
に
候補者
を知
つて
おります
関係
上、
無効投票
がそう大した
数字
には上らなか
つたの
であります。
無効投票
は、やはり
同時選挙
であつた
関係
上、相当多かつたように思われるのであります。その
数字
につきましては、私
ども
の方の手元によく
資料
が集ま
つて
おりませんので、申し上げるまでに至
つて
おりませんが、
感じ
として多かつたように思います。 それから
事前
の
選挙
に関する
動き
と申しますか、それが非常に活発でございました。これは
新聞等
でも
一般
にいわれておりましたが、非常に活発でありました。中には
事前運動
と考えられるような行動もあつたように聞いております。これは
事前運動
として取締る場合には、技術的に非常に困難な問題もあろうと思いますが、
事前
の
選挙
に関する
動き
が非常に活発であつたということは言えると思います。 それから次に
戸別訪問
でありますが、
戸別訪問
の
制限
が
候補者
だけについて、ある限定された範囲に認められておるのでありますが、これが
一般
に與えました
感じ
としては、
戸別訪問
は許されたんだというような
感じ
を受けたのであります。その結果、
候補者
でない者も
戸別訪問
をやつたように考えられます。
戸別訪問
の
事例
は相当多かつたように考えられるのであります。 それから次は、今度の
選挙
の最も大きな
特色
としていわれます
連呼行為
に、
選挙運動
の
重点
が置かれたということであります。これは片方におきまして、
文書
による
候補者
の紹介ということが
割合
に
制限
を受けて、ただ
連呼行為
あるいは
演説
という面が
割合
に自由にな
つて
おるのでありますが、この
連呼行為
に
重点
を置いて、
連呼
するために
労務者
を雇う、これが
投票確保
の
一つ
の
方法
であるということで、相当この方面へ
重点
が置かれたように考えられる。
選挙
の
行き方
として感心しない
行き方
であるのでありますが、ここに自由があつたために、勢いこちらの方に
重点
がかか
つて
来たということが言えると思います。 次は
文書
、
図画
の
制限
の問題でありますが、この
連呼行為
と関連しまして、ああいうどなるばかりの
選挙
では困るから、もう少し
候補者
がわかるようにしてもらいたい。もつとも
町村
の
選挙
では、これは
候補者
は大体顔は知
つて
いる人でありますので、その必要はないかと思いますが、町なかにおきましては、やはり知らない
候補者
が相当あります。
投票所
へ
行つて
、初めて
候補者
を考えて
投票
するというような
現象
が、町なかでは相当あ
つたの
ではないかということを考えます。その結果
文書
、
図画
の
制限
を緩和するとか、あるいは
選挙公報
を、もう少し広く
町村会議員
の
選挙あたり
までやつたらどうかという声を相当聞くのであります。 それから次は、今度の
選挙
におきましては、
政党活動
が非常に活発でありました。
選挙
に関連しての
政党
の
活動
、
言論戰
のみならず
文書戰
も相当活発のように見受けられました。 それから次は、
新聞
の
活動
が非常に活発でありまして、記事として相当いろいろなことが書かれた。場合によ
つて
は、どうかと思われるような
新聞
の
活動
も相当あつたように考えられます。ことに
事前
におきまする
人気投票
というような
事柄
は、
現行法
の
解釈
としては、
選挙違反
とは言えぬと思いますが、
行き方
として感心したことでない
事柄
が相当盛んに行われたように考えます。 それから
選挙運動
の
費用
の
制限
がきつ過ぎるので、
届出
をする際、だれもうそをつかなければならぬということが
一般
にいわれているようでありまして、これを
実情
に合せてもらいたいという声は、相当聞いたところであります。 大体以上が私
ども中央
で
選挙
に
関係
をしておりまして聞いた声でございまして、ただいま申し上げましたことは、的確な
資料
に基いたものでないことは前に申した
通り
でありますが、またわれわれの方の
委員会
として、正式にこういうふうだという決定を見たものでもない。ただ
関係者
として一応私が見ました
感じ
を、御
参考
までに申し上げた次第であります。
水田三喜男
6
○
水田委員長
それでは次に、
国警本部刑事部長武藤文雄
君にお願いいたします。
武藤文雄
7
○
武藤政府委員
今回の
選挙
につきまして、現在まで中間的に
報告がま
とま
つて
いるものにつきまして、気のつきました点を
お話
申し上げたいと思います。
選挙違反
に関しまして五月二十日
——
中には若干それより前の分もありますが、大体五月二十日現在におきまして
選挙違反
で
検挙
になりましたのが四万五千名ございます。そのうち大ざつぱにわけまして、広い
意味
の
買收
に関する
人員
が三万五千人以上を占めておるということでございます。
総数
のうちの大体七割八分八厘は
買收
であつたということであります。かように今回の
選挙
では、非常に
買收事犯
が多かつたということがうかがわれるのであります。
前回
の
参議院選挙
におきましては、
候補者
の数その他
選挙
の
内容等
からい
つて
も違いますので、ただちにこれを比較することは不適当かと思いますが、試みに
数字
について考えてみますと、昨年の
参議院選挙
に対しまして、今回の
選挙人員
は、
総数
についてみますと二倍七分六厘にな
つて
おります。ところが
買收
といたしましては、六倍七分で、今回の
選挙
は非常に
買收
が多かつたということに気がつくのであります。これに次ぎまして
自由妨害
があります。これも今回は
件数
の
総数
においてこそ少うございますが、
割合
に多かつた。これまた
前回
の
参議院選挙
に比べますと、六倍の増加を示しておる。
総数
においては少うございますが、ふえておる。かようなことが、今回の
取締り
を通じてみて気がつく
特徴
でございます。 その次に気がつきますことは、
地方選挙
の
特色
といたしまして、非常に
競争
がはげしい。ほんとうに一票、二票を争うことになる結果、おのずから
競争
が非常にはげしくな
つて
来て、その結果かどうか存じませんが、今回の
選挙
においては、
先ほど
吉岡政府委員
からも御
説明
がありましたように、
不在者投票制度
、あるいは
代理投票制度
を悪用して詐偽
投票
する。たとえばお
医者
さんの虚偽の
診断書
を悪用する。あるいは
偽造投票
とい
つて
、
代理投票
を依頼された者が、か
つて
に都合のいい名前を書く。かような
不在者投票制度
、
代理投票制度
を悪用するという
事例
が出ております。それと
先ほど
申し上げましたが、暴行その他による
選挙妨害
の多かつたことも、やはり
競争激甚
の結果、感情的にな
つて
現われて来たものではないかと考えるのであります。 今回四つの
選挙
が行われたのでありまして、もちろんその
立候補者数
もそれぞれ非常な違いがありますので、これまたただちに比較することは不適当かとも存じますが、何とい
つて
も今回の
選挙
で
違反
の多かつたものは、
市町村会議員
の
選挙
に圧倒的に多うございました。今回の
選挙
に対しまして特に
感じ
ました点は、
先ほど
も
お話
がございましたが、この
法律
の
周知徹底
といつた点において、もう少し努力をすべきではなかつたか。たとえて申しますれば、
選挙法
の
趣旨——選挙法
においてどういうことはいけないことにな
つて
いるんだといつた点をよく
選挙民
に知らせる。言葉は不適当かもしれませんが、
啓蒙防犯措置
、これは
選挙法
の六条においてもうたわれておりますが、こういつた面がもう少し積極的であつた方がよか
つたの
ではないか。
棄権防止
という点では相当行われておりますが、もう少し法の
趣旨
を知らせて、少しでも
違反
を少くするということの
啓蒙
が必要ではなかつたかということを
感じ
ます。 次に
警察
といたしまして気がつきます点は、
先ほど
も申し上げましたように、今回は非常に
買收事犯
、悪質な
犯罪
が多か
つたの
で、
警察
はそれに忙殺をされておるという
状況
でございます。 問題となりますいろいろの
形式犯
でありますが、これについて考えられます点は、
法律
が非常に詳細にできているにかかわらず、それをくぐ
つて
の
脱法行為
が行われる、あるいはこれを無視してやるという
事例
も決して少くなか
つたの
でありまして、従来もこういつた
事案
については、法の実体と現実とがどれだけ符合しおるか、われわれとしてもこの法の適正な運用には留意をいたしておるのでありますが、実際問題といたしまして、
形式犯
については従来大部分が
起訴猶予
にな
つて
いる、あるいは不
起訴処分
にな
つて
いる。かりに
起訴
になりましても、裁判に非常に時間がかかる。
昭和
二十四年一月の
衆議院選挙
の第一
審判決
がこのごろぼつぼつ出ておるという
状況
おりますので、こういう
形式犯
についてはいかなる
方法
をとるのが一番よろしいか。これ
あたり
は、私
ども
としてはただちに
結論
を出すわけではございませんが、いろいろ考えていただきたい問題だと存じます。以上今回の
選挙
の
状況
と
感じ
た点を申し上げました。
水田三喜男
8
○
水田委員長
次に
法務
府
検務局宮下総務課長
にお願いいたします。
宮下明義
9
○
宮下説明員
ただいま
全国
の検察庁におきまして、今回の
地方選挙
に際しての
選挙違反事件
を鋭意処理いたしておるのでありまするが、その
違反事件
を通しまして考えておりまする点を二、三申し上げまして、御
参考
に供したいと思います。
最初
に総括的な概観を申し上げまして、そのあとで二、三個々の
選挙運動規定
について、主として
取締り
の
観点
から御
意見
を申し上げたいと存じます。 ただいま
武藤
君から申し上げましたように、今回の
選挙
でまず第一に気のつきます点は、
違反件数
が従来の
選挙
に比して非常に多かつたという点であります。
終戰後各種
の
選挙
が行われましたが、今回の
選挙
ほど
違反
の多か
つたの
は初めてであります。この点はいろいろ考えさせられておる問題であります。 第二といたしましては、ただいま
お話
のありましたように、
買收
、
利害誘導
、
饗応等
の悪質な
実質犯
が非常に多か
つたの
であります。しかもそれがかなり露骨な態様で行われておる
事犯
が多かつたという点、非常な関心を持
つて
眺めております。 第三には
代理投票
、
不在投票等
の
制度
について
欠陷
があるためか、あるいは非常に小さい
自治体
における
選挙
でありますので、わずかの票の狂いによ
つて当落
が左右されるというような
関係
もありましたためか、
代理投票
、
不在投票
をめぐ
つて
不正投票
が行われた
事例
が、
相当数
に上
つて
おるのであります。これらの点は将来の問題として、
研究
を要する点と考えております。 その次に
一般
的な問題といたしまして、従来からいろいろにいわれてお
つたの
でありまするが、今回の
選挙
においても、
自治体警察
における
検挙率
が依然として低いのであります。この点は従来からもいろいろに論議されておる点でありまして、たとえば
東京
、
大阪等
の大きい
自治体
でありまして、独自の力を持
つて
おりまする
自治体
はよろしいのでありまするが、小
自治体
になりますると、しかも特殊の
関係
にある
選挙違反
がなかなか
検挙
できないという点は、
研究
を要する問題ではないかと思
つて
おります。それにつきまして、今回のように多数の
選挙
が一時に行われまして、
違反件数
も非常に多発が予想されております場合において、
検察当局
においては
警察
と十分協力いたしまして、その
検挙
の主力を
買收事犯
に向けたのでありますが、その結果いわゆる
選挙運動
に関する
形式犯
の
検挙
というものが非常に少いのであります。実際問題といたしまして、
警察
の態勢から申しまして、小さい
形式犯
を一々
検挙
しておれない。また
選挙期日
前の
検挙
というものについては愼重な
考慮
を拂わなければならない
関係
上、こういう
選挙運動規定
の
形式犯
はほとんど
検挙
されておらないわけであります。こういう点を考え合せますると、私
ども取締り当局
といたしましては、この際むしろ形式的な
選挙運動取締り規定
を大幅に整理して、ゆるめるべきではないかという
意見
を持
つて
おるのであります。
前回
この
委員会
の
各党
の御
意見
を拜聽いたしたのでありまするが、その御
意見
によりますると、
各党
の
改正要望
といたしましては、むしろ
選挙運動規定
をさらに
巖格
化するという方向の御
意見
のように承
つたの
でありますが、ただ私
ども取締り
という面から見ますると、非常に
巖格
にいたしました
取締り規定
が必ずしも実行しにくいという
状況
にある。結局非常に誠実に
選挙法規
を守られた
候補者
が損をして、ある程度法を無視した
候補者
が得をするという結果を見るのでありまして、これらの点については、むしろ
選挙運動規定
を緩和して行くべきではないかということを考えておるのであります。 次に小さい点につきまして、
選挙運動規定
について二、三の御
意見
を申し上げたいのでありまするが、その第一は
戸別訪問
の
規定
であります。私
ども
といたしましては、この
戸別訪問禁止
の
規定
は、従来のように全面的に
禁止
してしまうか、あるいは全面的に許してしまうか、いずれか一方の
立法
の形をと
つて
いただきたいのであります。
改正
されました
戸別訪問
の
規定
によりますと、
候補者
が
平素親交
の
間柄
にある
知己
、その他
密接
の
間柄
にあるものを
戸別訪問
するのが許されるのでありますが、今回の
選挙
のような小
自治体
になりますると、ほとんどすべての者が
候補者
の
知己
であり、
密接
の
間柄
にある者でありますので、ほとんど
戸別訪問禁止規定
が
意味
をなさなくな
つて
おるのであります。結局こういう但書がありますると、本文の
戸別訪問禁止規定
が無
意味
になりますので、全面的に
禁止
するか、あるいは許すか、いずれか一をと
つて
いただきたいのでありまするが、根本的な気持としては、やはり全面的な
禁止
の方がいいのではないかというふうに考えております。 次は
街頭演説
及び
連呼行為
についてでありますが、
街頭演説
について現在
制限規定
がございませんために、單なる
氏名
の
連呼
のようなものも
街頭演説
と
解釈
せざるを得ないのであります。
街頭演説
と
解釈
いたしますると、その際に
立札等
が認められるわけでありまして、こうなりますると、法の第百四十三条の
趣旨
が
徹底
しなくなるわけであります。今回の
選挙
におきましては、いわゆる
人海戰術——人
の波の
戰術
がとられまして、多数の
労務者的選挙運動者
を使いまして、まつたく無定見に
候補者
の
氏名等
をただ
連呼
して歩く、こういう
戰術
がとられたわけでありまするが、こういう点を考え合せまして、
街頭演説
及び
連呼行為
についてしかるべき
改正
が願いたいと思うのであります。 第三には、
最初
に触れましたように、
代理投票
、
不在者投票
の
規定
の整理であります。
武藤
君も述べられましたように、今回の
選挙
の
一つ
の
特徴
としまして、この二つの
制度
がいろいろに悪用されたわけでありまするが、ことに
医者
が患者を診断いたしませんで、虐偽の
診断書
を濫発いたしまして、不正な
不在者投票
が行われた
事例
が非常に多いのであります。これらの点についても、適当な
改正
をお願いいたしたいと思うのであります。 なおそれに関連いたしまして、これはまつたく
捜査機関
としてのお願いでありますが、現在憲法で
投票
の祕密の
規定
があるわけであります。しかしながらこのような
詐欺投票等
の
事犯
がありました場合には、
投票
されましたものを
捜査
上押收等の
手續
をとりまして、その
内容
を見ませんと
犯罪
の証明ができませんので、この点についても、
選挙法
上適当な
除外規定
が設けられてしかるべきではないかと考えております。 次に
新聞紙等
による
報道
の自由に関する
規定
についてでありまするが、
現行法
においては、
新聞紙
、
雑誌等
については
報道
自申が認められておりまするが、
公職選挙法
上
新聞紙
、
雑誌
の
掲示規定
がございません。また
新聞紙法等
もございませんために、何が
新聞紙
であり
雑誌
であるかという
解釈
が非常にむずかしいのであります。今回の
選挙
に際しましても、まつたく
特定候補
の当選を得し
むる目的
のみで
新聞紙
を発刊いたしまして、これを頒布したと認めざるを得ないような
事案
も起きておるのでありまして、これらの
弊害
の点については、適当な御
配慮
を願いたいと思います。 次には
人気投票
、
署名運動
などの
選挙期日
に近い
投票類似行為
について、適当な
制限
をしていただきたいのであります。今回の
選挙
の
特色
といたしまして、
新聞
社等が営利の
目的
で、
選挙期日
に切迫いたしまして、
人気投票
あるいは
署名運動
というようなことをいたした
事例
が少くないのでございまするが、申し上げるまでもなく、これらの
行為
は
弊害
が大きいので、
選挙
の公正を維持する
観点
から、適当な御
配慮
を願いたいと思うのであります。 次には、
労務者的選挙運動者
の
制限規定
を御
考慮
願いたいのであります。
さいぜん
も申し上げましたように、今回の
選挙
の
特色
といたしまして、
労務者
のような
選挙運動者
を多数雇い入れまして、
人海戰術
がとられ、
街頭演説
が横行いたしまして、そのために
一般国民
もいろいろと迷惑したことでありましようし、またそのために
選挙費用
も相当多額に上
つて
おるものと考えるのでありまするが、このような無定見な、
内容
のない、
選挙運動
というものは、将来の
選挙運動
としてしかるべく御
配慮
を願いたいのであります。あるいは
労務者
の数を
制限
するとか、適当な
考慮
がなされてしかるべきではないかと考えております。 最後に、ある
特定
の
組織
が、
特定候補
のためにいたしまする
選挙運動
について、何らかの
考慮
が拂えないものかという点を考えております。一定の
組織
が
特定候補
のために
選挙運動
をいたしまする場合には、
政治資金規正法
あるいは
団体等規正令
の
届出
を要することはもちろんでありまするが、同時にその
選挙運動
のために
費用
を支出いたしまする場合には、
出納責任者
の
文書
による承諾がなければ支出できないわけでありまするが、実際問題といたしまして、その
組織
の中の
活動
であるのか、
選挙運動
であるのか、
取締り
の
観点
からははなはだ判別しにくく、また立証しにくいのであります。しかしながらこのような
一つ
の
特定
な
組織
が
特定候補
を全面的に応援し、そのために
費用
をたくさん使うということになりますると、非常に
選挙
の公正を害することが大きいのではないかと考えております。まだその
方法
について、どのような
立法形式
がしかるべきかという
結論
を得ておりませんが、
一つ
の
研究
問題として御
考慮
を願いたいと考えております。
水田三喜男
10
○
水田委員長
それでは次に
警視庁捜査
第二
課長島田純一郎
君。
島田純一郎
11
○
島田参考人
選挙取締り
に当りました
警視庁
の
状況
につきまして御
説明
申し上げます。全般的なことにつきましては、
先ほど
も
国警
の
武藤刑事部長
並びに
法務
府の
宮下課長
から御
説明
がありましたのと大体大同小異であります。
警視庁
で
選挙違反
として
検挙
しましたものにつきましては、大体これも
先ほど
武藤刑事部長
の方から
お話
がありましたように、
前回
の
昭和
二十二年の
選挙
の場合と比較しますことは、いろいろ問題があることでありまするが、一応
前回
の
昭和
二十二年に行われました
選挙
と比較いたしますと、非常に
選挙違反
がふえておるというような
状況
に相な
つて
おります。概略から申しますと、
前回
の
選挙
の場合には、衆議院議員の
選挙
、
参議院
議員の
選挙
も一緒にな
つて
おりまして、その当時は
警視庁
がまだ
自治体
とその他の地域とにわかれていなかつた時代でありますが、その当時三多摩
地方
、島嶼を含めました
違反
の
検挙
件数
に比較いたしましても、大体倍数にふえております。従
つて
これを特別区の区域内のものと比較いたしますと、約三倍の多い数に上
つて
おります。またその大部分のものが
買收
饗応であるということも、
先ほど
御
説明
がありました
一般
的な
状況
と同じ
状況
でありまして、大体七分ないし八分近いものが
買收
饗応の悪質
事犯
という
状況
に相な
つて
おります。
形式犯
についても、取扱いましたものは約一万件近いものに相な
つて
おりますが、これらにつきましても、
前回
のものと比較することは、必ずしも適当ではありませんけれ
ども
、
前回
のものに比べまして、非常に
違反
がふえておるということも、
一般
の
状況
と何ら異ならないのであります、ただこの中で、こういつた
違反
がどうして多いのかというような点を、
取締り
の面を通じまして
感じ
た点につきまして二、三申し上げますれば、
前回
の
昭和
二十二年の場合と比べますと、今回の
選挙
の場合には、経済的な
状況
が非常に違
つて
おるということが、今回の
選挙
におきまして
買收
、饗応が非常に多いという原因の
一つ
ではないかと思います。と申しますのは、
昭和
二十二年当時に比べますと、酒の
状況
であるとか、あるいは食糧
関係
の事情がよほど違
つて
おりますので、従
つて
そういう
関係
で、何といいますか、
買收
あるいは饗応というような
違反
が非常に大きく出て来ておるのではないかというような
感じ
もいたします。 それからもう
一つ
は、今回の
選挙
の
特色
といたしまして、ちようど年末、年始あるいは会計年度の年度末を控えておつたというようなことのために、儀礼的な、あるいはそういつた定期の会合に藉口した
意味
のいろいろな会合が行われた、あるいは饗応
関係
がそれに介在して行われたというようなことも、これの
一つ
の原因ではないかというふうにも考えられます。また
公職選挙法
の
趣旨
が十分に
徹底
しないで、昨年の
参議院選挙
の場合と多少混同したようなきらいがありまして、率直に申しますと、
事前運動
の
禁止
規定
につきましての
一般
の認識、あるいは理解、こういうものが乏しかつたために、ちようど年末とか年始とか、あるいは年度末とかいうことを関連いたしまして、
事前運動
が非常に多く行われたというようなことも、これらの
一つ
の原因ではないかと思われます。また
先ほど
から何回も御
説明
がありましたように、
戸別訪問
につきまして若干法的に緩和せられたという
関係
が、
一般
に
戸別訪問
は自由だという考え方を、どうかすると巻き起しまして、それに関連をしまして、やはりそういつた
買收
とかいうような
関係
の
事案
がふえたものではないかと思われます。形式
違反
の
状況
等につきましても、特別
警視庁
だけで非常に異
なつ
たというような
状況
は出ておりません。やはり
戸別訪問
の問題であるとか、ポスター
関係
の
違反
の問題だとか、あるいはその他
文書
関係
の
違反
等につきましては、特別
警視庁
だけに特異であるというような
状況
は別段見当りません。ただ
国警
と
自治体警察
とがわかれました場合に、
自治体警察
でこういつた
関係
の
違反
の
取締り
が非常に困難であるというような
状況
につきましては、
先ほど
もちよつと申し上げましたように、
警視庁
の
状況
だけから申し上げますと、必ずしもそういう
状況
ではありませんで、前の
警視庁
がまだ
東京
都全部を管轄しておりました場合に比べますと約二倍、現在の担当する区域に比較しましても約三倍の増加を示しております。もちろんこれは社会的、経済的な
状況
が全部違いますので、一律に比較することは困難でありますけれ
ども
、このために特に
取締り
が非常に困難であつたというような
状況
につきましては、必ずしも当らないかと思います。ただ
自治体警察
全般の問題につきましては、私
ども
の方でも何ら正確な
資料
を持
つて
おりませんし、きわめて小さい
自治体
等につきましては、今回の
選挙
は
地方
議員の
選挙
でありますために、
取締り
上多少の問題を起したというような点もあるかもわかりませんが、私の方の担当するところでは、格別そういう
事例
は、今のところ起
つて
おらないようであります。非常に簡單でありますが、私の方の
説明
を終らせていただきます。
水田三喜男
12
○
水田委員長
次に、ただいま御発言された
全国
選挙
委員会
及び
取締り当局
に対し御質疑はございませんか。
中川俊思
13
○中川委員
吉岡
さんにちよつとお尋ねいたしますが、
無効投票
の非常に多かつたこと、この点は
同時選挙
であつたという
お話
であるのですが、ごもつともで
同時選挙
でありましたために、
無効投票
が非常に多かつたと思うのです。同時に、私
ども
が考えられますことは、たとえば
府県
会議
員にいたしましても、
市町村会議員
にいたしましても、同姓の
候補者
なんかが出た場合に、
現行法
では御承知の
通り
、ただ姓だけ書くとこれが無効になる。こういうようなことから、これらの点も直さなければならぬのじやないかというふうに考えておるのでありますが、その点についてこれを直す上においてどういうふうに管理
委員会
の方ではお考えにな
つて
おるか、その点ちよつとお伺いいたします。
吉岡惠一
14
○
吉岡政府委員
お答え申し上げます。ただいまの点は、同姓の
候補者
が二人ある場合等は非常にむずかしい問題で、この前の
公職選挙法
の制定のときの
参議院
の議論で、按分をしたらどうかというような議論がある。しかしながらこれは按分をいたすとしまして、県
会議
員あるいは衆議院等の場合、どこの範囲をつかまえて按分するのか非常にむずかしい問題である。これは按分というのはなかなか行きにくいじやないか。結局そういう場合に、書き方を門違えないように、あるいは名前まで書く、あるいは同姓同名の場合にはなお困るのですが、住所あるいは肩書等を書くとか、いろいろのことが考えられます。しかしながらそれを指導いたしますと、その同姓の
候補者
に特に有利になります。そういうことが非常にむずかしいのであ
つて
、結局やはりプリンテツド・パロツト、
投票
用紙にあらかじめ
候補者
名をつけておいて、それに記号をつけるということで防止するよりいたし方ないのであります。特に今回のように、四つの
選挙
が大体
期間
を同じくして行われ、やむを得ず二つにわけるというような場合には、どうしてもやはり将来は記号式の
投票
を考える必要がある。私
ども
の方でも、
資料
は多少準備はいたしておりますが、ただいまの考えは、そういうことをして防ぐよりいたし方ないじやないかというふうに考えております。
中川俊思
15
○中川委員 按分が非常にむずかしいということでありますが、これは実は、この前の
選挙法改正
のときにも衆議院でも問題にな
つたの
でありますが、私はそうむずかしくないと思います。たとえば二人の同姓の
候補者
があつた場合に、片方は五万票とり、片方は四万五千票
とつ
た場合、その比率に応じてわけるとか、あるいはまたそれが問題があるとするならば、まつ二つにわける、要するに私
ども
のこの前
選挙法改正
委員会
で問題になりましたことは、たとえば中川という
候補者
が二人出たと仮定する。非常に中川という字は書きいいが、下の名前が書きにくい。こういう場合に棄権をするな、清き一票を行使せよという声に応じて、有権者は
投票所
に行くのであります。ところが、たまたま名前を書こうとしたが、どちらも名前がわからぬというときに、ただ中川とだけ書く、しかしその有権者は、どちらかの中川に
投票
する意思を持
つて
書く、だから、せつかく清き一票を行使したその有権者の意思を無視することはよくないことであるから、何とかして有効
投票
にするようにわれわれの方でも
研究
すると同時に、
選挙
管理
委員会
の方においても
研究
していただきたいということを申し上げておいたのであります。なおそれらの点については、ひ
とつ
御
研究
をお願いいたしたいと思います。 それから
宮下
さんにお尋ねしますが、
先ほど
の
お話
の中に、
自治体警察
の
検挙率
が低い、これは実は私
ども
も、この点を痛感したのであります。なおただいま
警視庁
の
島田
さんの
お話
によりますと、
東京
都等においてはさようには考えていないと言われた、これも一応読めるのであります。大体
東京
都のような大都市と
地方
の小さな
市町村
におきまする
自治体警察
というものの性格が私
ども
の目から見ると、全然違
つて
おる。これは一応了承できるのでありますが、しからばそれに対する対策として、特に
宮下
さんにお願いするのですが、
法務
府として何か御
研究
にな
つて
おりましようか、具体的にどうしたらいいかということについて、もし御
研究
にな
つて
おれば、一応承りたいと思います。
宮下明義
16
○
宮下説明員
警察
法そのものの性格論は別問題といたしまして、一応現在の
制度
のもとにおいて、このような傾向をどうして行つたらいいかという問題につきましては、
法務
府といたしましてもいろいろ
研究
し、苦慮しておるわけであります。それで今回の
選挙
につきましては、過日の
全国
の次席検事会同等におきましても、
自治体警察
の諸君の合同等を催しまして、その志気の高揚をはかると同時に、検察庁の方が、その
自治体警察
官内における各種の
選挙違反
について積極的に出て参りまして、指導をするような方針を
とつ
たわけでありまするが、今の
制度
のもとにおいては、そのような
制度
でカバーして行く以外に、
方法
はないのではないかというように考えております。
寺本齋
17
○寺本委員 私は
各党
から出しました試案を見まして、どの党の試案にも
戸別訪問
の
禁止
ということがございます。この
戸別訪問
ということについて、きようは幸い
全国選挙管理委員会
初め
取締り当局
の皆さんも見えておりますので、考え方を統一しておきたいと思うのでございます。現行
選挙法
の第百三十八条に「何人も、
選挙
に関し、
投票
を得若しくは得しめ又は得しめない
目的
をも
つて
戸別訪問
をすることができない。」ここまではだれも異論がないと思います。「但し、公職の
候補者
が親族、
平素親交
の
間柄
にある
知己
その他
密接
な
間柄
にある者を訪問することは、この限りでない。」これがありましたために、
先ほど
皆さん方の御
説明
を伺いましても、
戸別訪問
が緩和されたという
感じ
を
一般
に與えて、今度の
戸別訪問
が非常に乱雑にな
つたの
だと思います。そこで
各党
から出ておりますのは、
戸別訪問
の
禁止
と出ておりまして、絶対
戸別訪問
は
禁止
しなければなりませんが、たとえば国
会議
員の場合にこれはよく出ますが、衆議院なら衆議院の
候補者
が久しぶりに、何年ぶりかでその村に
行つて
、そこに自分の親戚がある、つまりこの後段にあります親戚であるとか、親交の
間柄
にある
知己
があるというようなところに一軒か二軒立ち寄つたものも、これを
戸別訪問
と認めるかどうか。
お話
によりますれば、この前の
選挙法改正
委員会
では、これを
警察
なんかでは
戸別訪問
と認めるという
解釈
をとられたために、こういう条項を入れたということを前の
選挙
管理
委員会
の委員から伺
つたの
ですが、そういうことにな
つて
、やはりこの後段が生きて来たんじやなかろうかと思います。そこで、何年かぶりかで
行つて
、たまたまその村の親戚、
知己
のところを一軒か二軒尋ねた。私たちの考え方からいえば、
戸別訪問
というものは何軒かの家を訪問することが
戸別訪問
だと思います。それが、二軒か三軒の特殊の
関係
があるところに
候補者
がたまたま顔を出したのは、
戸別訪問
とは認められないのじやないかと思います。そういう
解釈
をとれば、
戸別訪問
というものは絶対
禁止
していいんじやないかと思いますが、今申し上げたような、百三十八条の後段にあるようなものを
戸別訪問
と認めるか認めないかによ
つて
、
解釈
が違
つて
来ると思います。この考え方を、私が私見として申し上げましたように、
戸別訪問
と認めないということになれば、
戸別訪問
は絶対に
禁止
してしまつでいいんじやないかと思いますが、この考えを、ひ
とつ
きよう御
出席
の皆さんから
意見
を統一していただきたいと思います。
宮下明義
18
○
宮下説明員
但書がない場合の
戸別訪問
の
解釈
といたしましては、その
戸別訪問
をいたしまする者に、
特定候補
者の
投票
を得または得しめる
目的
が内心になければならぬことは申すまでもございませんが、それ以外に、その者が継續して戸別に訪問する意思が現われておらなければ、
戸別訪問
にならないと思うのであります。従いまして、ただいまお述べになりましたように、その国
会議
員が久々で御里にお帰りにな
つて
、親戚あるいは親交の
間柄
にある者をたまたまお尋ねに
なつ
ただけでは、個別訪問にはならないと思います。
中川俊思
19
○中川委員 もう
一つ
吉岡
さんにちよつとお尋ねしたいのですが、今日われわれが
選挙法
の
改正
を思いつきましたのは、
先ほど
来皆さんによ
つて
いろいろ述べられたような
弊害
が、今日の
地方
議会の
選挙
に非常に多かつた。しかも一番私
ども
が苦々しく
感じ
ておりますことは、
費用
が莫大にかかつたということ、従
つて
今回の
選挙法改正
にあた
つて
は、次の
選挙
に
費用
がなるべくかからないように、また一方できるだけ公営を拡充したいという二つの大きなテーマをも
つて
選挙法改正
に
各党
が試案を出していることだと、私は考えているのであります。そのためにちよつと
参考
までにお伺いするのでございますが、私
ども
も、
同時選挙
はなるべく避けたいと思います。そこで
市町村
の長並びに議員、都道
府県
の首長並びに議員、これをたとえば今日の
選挙
におきまして、まだ計算がつまびらかにできていないか存じませんが、
市町村
長並びに議員の
選挙
にどのくらい
費用
がかかつたか、また都道
府県
の首長並びに議員の
選挙
にどのくらい
費用
がかかつたか。これと、
先ほど
申し上げましたように、これを別々に行う場合の
費用
はおよそどのくらいを要するかということの
資料
がもしございましたら、ちよつとお聞かせ願いたいと思います。
吉岡惠一
20
○
吉岡政府委員
ただいまの
お話
は、的確な
数字
は今ちよつと手元に持
つて
おりませんのでお答えいたしかねますが、今度の
選挙
には全部で二十五億ばかりの
選挙費用
で、それを別々に行う場合には、私は三十五、六億じやないかと思いますが、正確な記憶でありませんので、なおあとでよく調査してお答えいたします。
中川俊思
21
○中川委員 これは私の調査でありますが、昨年でしたか、
参議院
議員の
選挙
のときに大体二十億かか
つて
いるらしいのでありまして、一人頭平均八百万円、これは公報であるとか、パスであるとか、会場費であるとか、途中の雑費、それから兵庫県の例でありますが、補欠
選挙
のときに、一人の
参議院
議員を選出するのに二千五百万円かか
つて
いると言
つて
いるのです。そういたしますと、むろんまだはつきりした何はつく
つて
ありますまいが、このたびの
市町村
長並びに議員、都道
府県
の首長並びに議員全部合せまして二十五億というのはちよつと少いように思うのですが、
参議院
の
選挙
とはまた違う点があるでしようか。
吉岡惠一
22
○
吉岡政府委員
さつき
お話
の
参議院
の昨年の
選挙費用
は十億でございます。それから
参議院
の
選挙
でよく補欠
選挙
がございますが、これは
府県
の大小によ
つて
違いますが、おおよその見当で二千万円前後一人
選挙
するためにかかるとお考えにな
つて
いただけば、大体間違いないと思います。
門司亮
23
○門司委員 二、三点聞いておきたいと思います。現行
選挙法
でも、これが完全に良心的に行われれば、私はそう悪い
法律
ではないと思います。
選挙費用
は限られた範囲を必ず各
候補者
が嚴守するという建前に立てば、
選挙
はきわめて自由に、公平にやつた方がいいと私は考える。ところが金がかかつたということは、お互いが
選挙費用
のわくというものを考えないで、自由の面だけを非常に強く出したことのために、今度のような
選挙
が行われたと私は考える。従
つて
問題になりますのは、一応
参考
に聞いておきたいと思いますことは、
選挙運動
費の
制限
がはつきりいたしておりまするが、この
費用
の
制限
を越えると思われるような
費用
の実際上の使い方をしておる者に対して、
選挙
管理
委員会
としては何か
全国
的に警告をされたようなことがあるかどうかということであります。このことをひ
とつ
先に聞いておきたいと思います。
吉岡惠一
24
○
吉岡政府委員
門司委員のただいまのお一話の、
選挙運動
費用
の
制限
額を越えたことがはつきりわかるというような
事例
は、
選挙
管理
委員会
として的確な
資料
を集め得ないためにそういう警告を発した
事例
はございません。
門司亮
25
○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますことは、自動車あるいは拡声器の使用は、大体一台を限
つて
許されてお
つたの
でありまするが、しかもそれには、許されておるということのために実際上の許可証をつけておるわけであります。それでこの許可証は必ず一台を使
つて
おるということが明瞭にわかるようにつか
つて
おるのであ
つて
、もしそれ以外に使
つて
おるとすれば、この許可証はないはずでありまするが、こういう問題についても、
取締り
の当局としてはこれを全体に調べるといいますか、あるいはこれを調査するというような方途をとられたことがあるかどうか。これは検察庁でも
警察
でも、どちらでもいいですが……。
武藤文雄
26
○
武藤政府委員
お話
のような場合、
警察
としても注意いたしております。そして悪意なく、ほんとうにちよつと間違
つて
知らないためにやつたというものに対しては警告を発する。しかし悪意の者に対してはそれぞれの処置をするということにしております。
門司亮
27
○門司委員 どうも抽象的ですが、そういう
事例
がどこにあるか、
事例
があつたら示していただきたいと思います。 その次にもう
一つ
聞いておきたいと思いますことは、
選挙
演説
は自由でありまするが、ただ
演説
会場と書いた例の立看板であるとか、あるいはのぼりとかというものが相当たくさん出てお
つたの
でありまするが、これについても、
全国選挙管理委員会
からは何か注意をされたようなことがあつたかどうか。
吉岡惠一
28
○
吉岡政府委員
今の
お話
は、正式に注意をしたことはございませんが、具体的に話をしたことは多少あつたように思
つて
おります。
門司亮
29
○門司委員 だんだん話を聞いておりますと、
選挙法
というもの自体、
選挙費用
のわくをきめたということも、ほとんど
取締り
の当局も
事例
がないからということでけで、これが放置されるということになれば、これは私は何もならぬと思います。それからその他の
取締り
についても、ほとんどこれは放任状態であつたというようなことがわれわれにも考えられるのでありますが、こういう状態でありますと、
選挙法
をどんなに
改正
して参りましても、なかなかその実効は私はあげられないと思うのです。
選挙
を行う者がほんとうに良心的に行わない限りにおいては、
選挙法
自体をいかにやかましく
規定
をしても、結局何もならないと思います。 そこでちよつと聞いておきたいと思いますことは、当局の考えておりまする
選挙
干渉と、
選挙取締り
の限界でありますが、おそらくこういう問題が注意もされなかつた、あるいは
取締り
も十分行えなかつたというようなことは、当局としては
選挙
干渉になるというようなことで、あとで問題を起すということになると困るというので、こういう引込み思案が結局こういう結果にな
つたの
じやないかと私は思う。鑑札をつけていない自動車があれば、鑑札をつけることにな
つて
おるのだからと、これに注意をすることは、私は
選挙
干渉ではないと思うのだが、そういう考え方で、
選挙
干渉と
選挙違反
の
取締り
というこの限界が非常にむずかしいために、当局は今度のような
選挙
をそのまま私はお見のがしに
なつ
たと思う。これは
選挙費用
等を嚴密に調査をされて、嚴密にこれが考えられるならば、おそらく今度の
選挙
の
候補者
で満足な者は一人もなかつたと私は思う。万人が認めて、全部がや
つて
いるのだから、これはどうにも手がつけられないというような事態が起
つて
おります。従
つて
選挙
干渉と
選挙
の
取締り
というこの限界を当局はどの辺に置かれているか、一応
参考
に聞いておきたいと思います。
武藤文雄
30
○
武藤政府委員
お答えいたします。
選挙取締り
を巖正に執行することは当然でございますが、やはりそれが
選挙
に不当の妨げを與えるということは、
取締り
としては十分考えなければならない点でございます。従
つて
その間の扱いを愼重にするということは、われわれといたしまして十分に注意をいたしております。しかしそれかといいまして、
お話
のように引込み思案にな
つて
しまうということでありますれば、これはまた
取締り
の巖正を期することはできないわけでございます。そこでおのずから
事案
の状態に従いまして、
形式犯
等でただいま
お話
のあつた非常に軽微なものである、しかもほとんど気がつかずにやつたというものについては警告の程度でや
つて
おる。いたずらにそういうものに苛酷になるということは、われわれとしてまた十分注意をしなければならない点だと存じます。従
つて
一律にどこで線を引くということは、その
事案
の
内容
によ
つて
具体的に考えます。ただ
選挙取締り
のために、しかもそれが軽微な
犯罪
のために、これを取締る、これによ
つて
不当に
選挙
に妨げを與えるということは、われわれとしては十分巖正に愼重にしなければならない。お言葉のように、それによ
つて
取締り
が萎縮するという点があ
つて
は、これまたいけない問題であります。ただ門司委員がおいでになります前に、私実は御
説明
申し上げたのでありますが、今回の
選挙
に
あたり
ましては、
買收
、
饗応等
の悪質な
犯罪
が非常に多かつた、
警察
といたしましては、それに忙殺されておつた、とい
つて
形式犯
を閑却するわけではありませんが、しかし
先ほど
も私申し上げたように、
形式犯
は従来検察庁においてほとんど
起訴猶予
あるいは不
起訴
にな
つて
おる。またそれが裁判にかか
つて
も、
先ほど
も申し上げましたように、二十四年一月の
衆議院選挙
のものが最近にな
つて
判決が出るというようなことで、せつかく法で所期したところがどういうようにな
つて
おるか、こういうふうに
形式犯
罪、しかもこれはいわゆる自然犯とは違う、こういつた法定犯についての扱いをどうするか。承るところによりますと、減票制というようなことも伝えられておるようでありますが、こういつた
手續
上の
犯罪
については、あるいは
犯罪
という言葉を避けて、他の
方法
によるということも考えられるかもしれない、また判決が非常に長引いて行くということによ
つて
、結局実効の点も疑われて来ることすら起
つて
来るということを考えて、こういつたものについて扱いをどうするかということは、十分に考えなければならない問題である。またぜひこの
あたり
の点をお考え願いたいということを申し上げておきます。
川本末治
31
○川本委員 先刻からの各位の御
意見
は、一様に今回の
選挙
で、非常に
違反
の
件数
が多かつたということでありまするが、特にそのうち本庁の
宮下
さんにお尋ねしたいと思いますが、
自治体警察
の
検挙
数がきわめて少かつた、いなかが少かつたという
お話
は、反面
国警
の方が非常に
検挙
件数
が多かつたということになりまするが、巷間伝えるところによりますると、検察庁の方では、今回の
選挙違反
の
検挙
を
国警
に対して報奨
制度
によ
つて
奨励をしておるということでありまするが、そういう事実がありますかどうか。
宮下明義
32
○
宮下説明員
中央におきまして、
全国
の検察庁にそのようなやり方をするようにという指示をしたこともございませんし、
お話
のような
事例
を、私は耳にいたしておりません。
武藤文雄
33
○
武藤政府委員
ただいまの
お話
でございますが、新しい
警察
法におきましては、
警察
は
捜査機関
として独自の行動をいたします。従来の訴訟法のごとく、検事の指揮に従
つて
、その手下とな
つて
働くものとは根本的に建前をかえております。もちろん公訴の提起なり遺棄な検事の仕事であります。また法令の
解釈
適用について、お互いに十分の打合せ、緊密な連絡をとるということは当然のことでありますが、いやしくも
国警
に対して、金をも
つて
つるというようなことは絶対にありません。御了承を願います。
川本末治
34
○川本委員 ところが末端の
警察
官はそういうことを現在公言して、そうして
選挙違反
を
検挙
している事実があるのであります。こういうものに対しまして、いかなる
方法
をおとりになるか、まず
最初
にお伺いいたします。
武藤文雄
35
○
武藤政府委員
ただいま申し上げましたように、緊密な連絡をと
つて
仕事を進めて行くということ以上に出て、ただいま末端でそういうことがあつたという
お話
でございますが、もし事実とせば重大な問題でありますので、後ほどとくと承りたいと思います。私
ども
としては、さようなことを指示もいたしませんし、またそういうことがあ
つて
はならないものと考えております。
川本末治
36
○川本委員 そういたしますると、
宮下
さん、
武藤
さんに同時に承
つて
おきたいと思いますが、現在
国警
の
検挙
いたしました
選挙違反
の中には、相当行き過ぎの人権蹂躙にひとしいような
方法
をも
つて
検挙
しておるというような点を
——
現在
検挙
最中であるとは思いますが、そういう点につきましてお聞き及びにな
つて
おることがあるかないか、また
選挙違反
の摘発に対しては、ただいまの御答弁によりますると、行き過ぎのないように十分御注意をしておられるということでありまするが、事実、
事例
を私ははつきり申し上げますが、愛知県の愛知地区
警察
署などにおきましては、明らかに
地方
検察庁の方から巖命があるから、この程度のものをみなひつぱらなければならぬとい
つて
、現在續々と
検挙
しつつある、それから一方今承ると、
警察
の方と検察庁の方とはおのずから建前が異な
つて
おるから、緊密な連絡はと
つて
おるけれ
ども
さようなことはない、こう言われておるのですが、事実そうした事実があるのでありまするが、そういう点につきまして、私
ども
のしろうとの考えから行きますると、明らかに
選挙
干渉の域にまで入
つて
おるのではないか。もう
一つ
大きく言いますれば、人権蹂躙になるような問題を平然として
行つて
おる。中には暴行を加えてまでそういうことをしておるという事実を、現在加えられた者から、私
ども
は聞き及んでおりまするが、そういう点につきましては、今までお聞き及びにな
つて
いる点がございますか。
宮下明義
37
○
宮下説明員
いつの
選挙
に際しても同様でございまするが、中央におきましては、
選挙
の都度上司から各検察官に対して、十分に人権を尊重して
捜査
を遂行するように、また愼重を期して、
選挙期日
前に軽々に
選挙違反
の
検挙
に手をつけて、
選挙
干渉のそしりを受けないようにという注意を十分にいたしておるのでありまして、ただいまお尋ねのありましたような
事例
については、まだ承知いたしておりません。しかしながら具体的に例をお引きにな
つて
の御質疑でありますので、そのような
事例
があるかどうか、調査いたしたいと考えております。
立花敏男
38
○立花委員
宮下
さんの発言は非常に重大な問題だと思いまするので、特に三点だけお尋ねをいたします。
一つ
は
特定
の
組織
の
選挙運動
に関する問題でございますが、
特定
の
組織
が
特定
の
候補者
を支持し、推薦することに関しての
選挙運動
、これに関する
取締り
の問題を
考慮
せなければならないという御
意見
でございますが、これは私
ども
大衆
組織
の上に動いております。
政党
といたしましては、非常に重大な問題でありまして、どういう具体的な事実に基いて、どういうふうなお
取締り
のお考えを持
つて
おられるのか、この際ひ
とつ
参考
に聞かしていただきたいと思います。 もう
一つ
は
署名運動
の
禁止
に関する
規定
はやるべきじやないかというような御
意見
でございますが、これも非常に重大な問題でございまして、私
ども
といたしましては、今全面講和の
署名運動
、平和の
署名運動
をや
つて
おります。これは社会党の方でもおやりでございますし、労働組合が全部や
つて
おるわけでございますが、これは決して
選挙
を目標としてやつたものではございません。全世界的な
動き
としてや
つて
おるわけでございますが、
宮下
さんの言われました
署名運動
が、こういうものをもお含めの上で発言なさ
つて
おられるのか、あるいは
選挙
のときに限りまして、
特定
の時期、
特定
の問題を限りまして、たとえば道路の改修とか、あるいはその他の問題で一時期に限
つて
、
特定
の問題に限
つて
の
署名運動
でございましようか。その点を明らかにしておいていただきたい。 それからもう
一つ
は、
新聞
に関するやはり
制限規定
の問題でございますが、これも非常に重要な問題でございまして、この前の国会でございましたか、
選挙法
の
改正
の場合には、やはり言論
機関
の表現の自由の問題が非常に大きな問題になりまして、結局各言論
機関
からの申入れもありましてあれから後になりまして、一応の自由が認められておるわけでございます。これをさらにどういうふうに
制限
なさるようなお考えなのか、また実際どういう
弊害
があ
つたの
か、具体的にお示しを願いたい。私
ども
実はきのう
新聞
に載
つて
おりましたように、共産党の
新聞
だと申しまして、アカハタ後継紙だということで、多数の
新聞
が処分されておるわけですが、たとえば労働者と申しますような
新聞
は、決してアカハタの後継紙でも何でもなしに、独自に出しておつた
新聞
でございますが、それがアカハタ後継紙だということで、ぽかぽかとやられておるのですが、大体
新聞
というものに対して、どういうお考えをお持ちなのか、またそれと合せまして、
参考
に労働者をアカハタ後継紙と見なされました理由をひ
とつ
承
つて
おきたいと思います。
宮下明義
39
○
宮下説明員
お答えいたします。ある
特定
の
組織
を背景として立候補される
候補者
が、そのような背景を持たない
候補者
に比して非常に有利であるということは、申すまでもないことと考えるのでありますが、私
ども
検察面から事を考えておる者といたしましては、その
組織
の中で、明らかに
選挙運動
費用
として金が使われます場合に、それが
公職選挙法
違反
を構成いたします場合には、この点を十分に考えなければならないということを考えておるわけであります。実際問題といたしましては、その
組織
の中の
組織
自体の金の使い方なのか、
選挙運動
としての金の使い方なのか、非常に見わけにくい場合がございますので、愼重な御
配慮
をお願いいたしたわけであります。 次に第二の
署名運動
は、
さいぜん
も申し上げましたように、
選挙期日
に切迫いたしまして
署名運動
が行われます。ると、何と申しましても、
選挙
に影響をも
つて
来るわけでありますので、このような
選挙期日
に切迫した
署名運動
というものについては、適当な御
配慮
を願いたいと申し上げたわけであります。
新聞紙
につきましては、
新聞紙
による言論の自由を尊重しなければならないことは、申すまでもないところでありますが、今回の
選挙
に際しましても、ある
特定
の
候補者
のために、ほとんどこの条文を濫用しているとしか考えられな
方法
で、
新聞
という形式で、
特定候補
を推薦支持する
文書
を発行いたしまして、しかもこれを無料でその有権者の管内に配布するというような
事例
があるのでありまして、これは明らかにこの
規定
の濫用ではないかと考えておるのであります。このような場合については、しかるべく御
配慮
を願いたいと思います。その他の点については、直接本日の問題に
関係
がないと思いますので、答弁をごかんべん願いたいと思います。
鍛冶良作
40
○鍛冶委員 私おそく来ましたので、あるいは前に質問があつたかもしれませんが、この
委員会
として、まず大前提として聞いておかなければならぬ点があります。
先ほど
武藤
部長
からの
お話
を聞きますると、このたびの
選挙
は、非常に
違反
が多かつたということです。われわれもそのように痛感しております。この前の
府県
会の
選挙
、その後行われました二回にわたる衆議院の
選挙等
で、非常に
選挙
が粛正せられて、たいへんにいい傾向だと思
つて
おつたにもかかわらず、今回は目にあまるものが出て参りましたことは、あなた方も認められておる
通り
ですが、これは一体どういうところからこう
なつ
たと認めておられるのか、これを第一番にお伺いしておかなければならぬと思う。これは
選挙
管理
委員会
においてもどう見ておられるか、また
取締り当局
においてもどう見ておられるか、両方面の方々からまずその原因を承りたいと思います。
吉岡惠一
41
○
吉岡政府委員
ただいまの御質問でありますが、私
ども
は結局
競争
がはげしかつたからだと見ております。
武藤文雄
42
○
武藤政府委員
非常にむずかしい御質問で、いろいろ原因等も考えられると思います。新しい
選挙
のあり方、正しい
選挙
のあり方、新憲法の施行以来、国民として相当
選挙
に対する関心は高ま
つて
来た。その喜ばしい傾向がますます助長されるときにあた
つて
、今回のように非常に
違反
の多かつたということは、私
ども
として残念であります。どうしてか。あるいは直接のお答えにはならないかもしれませんが、今われわれとして、国民としても反省しなければならない点、そして特に
選挙
関係者
として考えなければならない点は、
違反
の防止、
公職選挙法
の六条にもございますが、
選挙
の
趣旨
の
徹底
といつたような、言葉は適当でないかもしれませんが、
啓蒙
と申しますか、そういつた点において、もう少し努力すべきでなかつたか。
棄権防止
の点なんかはかなり行われたようでありますが、国民に正しい
選挙
のあり方、こういうことは
違反
になるということを、もう少しやはり知らすべきではなかつたかということは考えられます。法の六条にもその
規定
がございます。そういつた点をもう少し
関係者
において努力すべきだと思います。なお今回の
選挙
に関しては、私も
最初
のときに申し上げましたように、
地方選挙
が非常に狭い区域内において
競争
者がたくさん出て、従
つて
勢い
競争
がはげしくなる。狭いところでたくさんの
候補者
が一票、二票を争うという結果、おのずから
競争激甚
の結果、いろいろの
弊害
が出たということは、今回の
選挙
についての大きな原因だと思います。
宮下明義
43
○
宮下説明員
まだ十分な
結論
も出しておりませんので、雑駁なお答えになるかもしれませんが、私といたしましても、今度の
選挙
で
違反
が非常に多く、しかもそれがかなり露骨な形で悪質
違反
が行われております原因については、
先ほど
も
お話
のありましたように、小
自治体
において非常に
競争
がはげしく、しかもわずかな票の違いで当落が決定されますので、自然に無理がかか
つたの
ではないか。單に
買收
だけでなくて、
詐欺投票等
も非常に多いのであります。無理をして何とかして当選しようという、この無理がかか
つて
来た結果、このような
違反
が多くな
つたの
ではないかというふうに考えております。それからもう
一つ
は、あるいはおしかりを受けるかもしれませんが、小
自治体
等におきまして、
候補者
あるいは
選挙運動者
等も、必ずしも遵法精神が万全ではなか
つたの
ではないか。全般的に申し上げまして、無理をしてまでも出て行きたいというような人も、中には立候補されてお
つたの
ではないかというふうに考えております。
鍛冶良作
44
○鍛冶委員 私はなはだどうも不本意な答弁を承るもので、ことに管理
委員会
からそういう答弁があろうとは、まことにあきれざるを得ない。これはそうなると論争になりますが、この
競争
率がはげしかつたという具体的な例を示してもらいましよう。いつもどれだけの
候補者
が立
つて
、このたびはどれだけの
候補者
が立
つて
、どういうところではげしかつたか。われわれはそういうことを聞いておるのではない。もつと真劍なことを聞いておる。そういう答弁をされるなら、私はそう言わざるを得ない。
吉岡惠一
45
○
吉岡政府委員
今の
お話
は、
競争
率がはげしかつたということを
数字
を示せということであります。私
ども
が
競争
が激しいと申しますのは、
選挙
すべき定員に対する立
候補者
が多いという
意味
ではないのであります。
先ほど
も申されましたように、村
会議
員等の
選挙
でありますと、一票、二票を争う
競争
になるのであります。従
つて
やる場合に手段を選ばないでやる。どうしてもそういう傾向がありがちだ、こういう
意味
で申したのであります。
鍛冶良作
46
○鍛冶委員
選挙
というものはいつもそういうものですよ。今から四年前の二十二年だ
つて
同じことだつた。みな一緒にや
つたの
です。
町村会議員
と
町村
の首長、それから
府県
会の首長と
府県
会議
員、おまけに
参議院
、知事、衆議院とあ
つたの
ですよ。しかるにそのときは
選挙
がはげしくなくて、このたびは
選挙
がはげしかつたとは、一体どこから出て来るか。いつの
選挙
だ
つて
、一票、二票を争うということは
あたり
まえのことです。同点で抽籤でやることもしばしばある。そのことは今回に限
つて
あることではありません。われわれはもつとあなた方が真劍に考えるべきだと思う。われわれはこのたびの
選挙法
を
改正
しようと思
つて
一生懸命にな
つて
おるが、あなた方からは不要と見られるというほかはありません。われわれはその点を聞いておるのであります。われわれは
選挙法
に対してあなた方が真劍に考えておられると思うから、あなた方の
意見
を
参考
にしようと思
つて
聞いておる。それが何もないのだ、法には
関係
がないのだ、
競争
が激しかつたからだと言われるなら、一体お前らは何のために
選挙法
を
改正
しようとするのかというような頭があるのではありませんか。まずそれからお聞きしよう。
吉岡惠一
47
○
吉岡政府委員
どうもたいへんおしかりをこうむ
つて
恐縮でありますが、私
ども
はそういう
意味
ではないのでありまして、やはりああいうことをやつた一番大きな原因は、私はそこにあると思う。なお付随的ないろいろな社会情勢の変化とか、それから
選挙運動
員が多い結果、いろいろ
研究
して、拔け道を考える。そういうことで結局ああいうことに
なつ
たと思いますが、私は何と申されても、一番大きな原因はそこにあると考えております。この前の
選挙
でもそうだとおつしやいますが、それは社会情勢のいろいろな変化から来ておるので、
選挙法
のどこが悪かつたからああいうふうに
なつ
たとは、私
ども
考えていない。それから
選挙法改正
が必要でないという頭があるとおつしやいますが、私は決してそうは考えていない。
鍛冶良作
48
○鍛冶委員 遵法精神が足らぬということは、これは非常に重大なことです。これは根本の問題だと思いますが、しかしこれにつきましても、この前の
昭和
二十二年のときから見て、今日特に遵法精神に欠けているというようなこともないと思います。もしそれがあるというならば、どういうことでそういう精神が欠けたと思
つて
おられるか、これを
宮下
さんから承りたいと思います。
宮下明義
49
○
宮下説明員
その原因までまだ十分に
結論
を持
つて
おりません。
鍛冶良作
50
○鍛冶委員 ではもつと具体的に申しましよう。
公職選挙法
は昨年
改正
せられましたために、この
選挙法
に
欠陷
があつたと思いません。それから
先ほど
言われたように、拔け道を考えるというようなことは、この
選挙法
には拔け道が非常に多いのだ、こういう考え方をお持ちにな
つて
おりませんか。それを承りたいと思います。これは三人ともに承りたい。
宮下明義
51
○
宮下説明員
最前も申し上げましたように、
戸別訪問
の
規定
等は、たやすく脱法的な
行為
がなされ得るような形にな
つて
おりますが、その他の点については、各種の
脱法行為
を
禁止
する
規定
もございますので、
法律
の形としては、この
公職選挙法
が脱法しやすい形にできておるものとは考えておりません。
吉岡惠一
52
○
吉岡政府委員
大体
宮下
委員の御
意見
とそう大した違いはございません。
武藤文雄
53
○
武藤政府委員
選挙法
の字句の
解釈
等について、われわれ非常に苦しむ場合がある。今の法規でいろいろ詳細に
規定
できております。ただたとえて申しますれば、当選を得しめる
目的
をも
つて
、というふうな字句が使
つて
あるところがございます。こういう場合に、われわれとしてはそういう
目的
を持
つて
おつたということを立証しなければならない。そういう点で
捜査
技術上苦労をいたす場合などがございます。
鍛冶良作
54
○鍛冶委員 いま
一つ
、
先ほど
詐欺
投票
が非常に多かつたという言葉がありましたが、これについて
現行法
上、今まででもこれは絶無とは申しませんが、このたびの
選挙
ほど大きな
弊害
があつたことはありません。これに対して何らかの
法律
上その他の原因があるとお認めはなかつたと思いますが、
先ほど
詐欺
投票
と言われました。われわれもこのたびの
選挙
の上において
弊害
のあつた最も大きな
一つ
と心得ております。この点に対するお考えを伺いたいと思います。
武藤文雄
55
○
武藤政府委員
不在投票
制度
とか、
代理投票制度
を利用いたしまして、詐欺
投票
をする。たとえばお
医者
さんに虚偽の
診断書
を書いてもらう。あるいはお
医者
さんが書く。そうして
不在者投票
に持
つて
行くというふうなことでございます。
門司亮
56
○門司委員 今の鍛冶委員との間の質疑応答を聞いておりますと、どうもはつきりしないようでありますから、私からももう一応聞いておきたいと思います。
選挙
のこういう事態に
なつ
たということは、法自体に
欠陷
があるということをわれわれも十分考えなければなりませんが、私はむしろ率直に認めていただきたいと思いますことは、この前
昭和
二十二年の
選挙
の際は、かなりきゆうくつな
選挙
であつた。それがこの前の
改正
で、かなり大幅に自由が認められた。この間において
選挙
をいたします者が、非常にきゆうくつであつたものが、非常に自由に
なつ
たということだけを覚えてお
つて
、
取締り
の方は、あるいは
規定
されているものを忘れたのではないか。従
つて
選挙
が放逸に流れて、どうにも收拾のつかない状態にな
つて
おる。それに
選挙
管理
委員会
等にも、私が質問いたしましたようなことについては、ほとんど注意がされていない。そこで問題が起つたと思いますので、われわれは
選挙法
の中で悪い点については、これから十分話合いをいたしまして直したいと思いますが、私は今度の
選挙
が特に悪かつたというのは
選挙法
というよりも、むしろ
選挙
管理
委員会
が
選挙法
のかわつたということ自体を
選挙民
に十分に知らせなかつたところに、大きな原因がなかつたか。いわゆる
啓蒙
運動が足りなかつたんじやないか。たとえば
戸別訪問
にいたしましても、前には禁じてあつた。ところが
候補者
だけに許したらよかろうということで、許したところが、これが悪用せられて、相手方が知ろうと知るまいと、
候補者
が知
つて
おるといえば、全部これを友人
知己
ということで
戸別訪問
しておる。しかしそうではなかつた。さつきの良識的の
戸別訪問
を認めるのだということが
徹底
していなか
つたの
ではないか。また
連呼
の問題にしても、非常にたくさんの人が使われた。また推薦の
演説
は自由であるが、そこにはおのずから限界があ
つて
、
選挙費用
等の
関係
もある。これらはやはり法定
選挙費用
に加算されるということが十分
徹底
していなか
つたの
ではないかと考える。この点は
全国選挙管理委員会
においても率直に認めてもらいたい。これが認められないで、どこまでも
選挙
した者が悪いということになると、
選挙
した者も悪いかもしれません。あるいは
競争
のはげしかつたというようなことは理由にはならぬ。
選挙
に
競争
はつきものでありまして、
競争
のない
選挙
などないと思う。従
つて
そういうことでなくして、管理
委員会
の方も率直に、
啓蒙
が十分でなかつたという点を認められるならば、われわれはやはりそういう点を十分
考慮
して、将来の
選挙法
の
改正
に当らなければならぬ。もしそういうことが考えられないで、とにかく
選挙法
が悪いのだということになると、やはりそのつもりで、一切の自由というものを束縛するような形が、
選挙法
の
改正
の上におのずと現われて来る。これは今の民主主義の社会において、時代と沿わない
選挙法
をこしらえなければならないことになると思う。その点について、もう一応今度の
選挙
がこういう事態に
なつ
たという点についての当局の御
意見
をお聞かせ願いたい。
吉岡惠一
57
○
吉岡政府委員
ただいまの
お話
でありますが、
先ほど
申し上げましたのは、われわれが一番の原因だ考えておることを申し上げたのであります。
選挙法
の
趣旨
徹底
が十分でなかつたということも確かであります。ただ私
ども
が考えましたのは、
選挙法
が
改正
になりました場合、
選挙
を施行する場合の啓発宣伝の
方法
といたしまして、
選挙運動
の
違反
規定
に特に
重点
を置いて考えるか、あるいは
投票
に行くとか、人物の選択について考えるとか、
重点
の置きどころがあると思います。ただいま
お話
のように、こうこうすれば
選挙違反
になるのだということを啓発宣伝の際
重点
にしますと、どうしても
選挙
というものが暗くなるのであります。あれをや
つて
はいかぬ、これをや
つて
はいかぬということで、非常に暗くなるのであります。そこで御承知のことかと思いますが、今度は明るい
選挙
ということを申しました
関係
上、明らかに意識して、
選挙違反
という点について
重点
を置いて啓発宣伝をや
つて
おりません。その点ははつきり申し上げられると思います。
門司亮
58
○門司委員 議論になりますけれ
ども
、それはおかしいと思います。
選挙
の
啓蒙
運動をする場合、何でもや
つて
いいということになると、必ずこういうことになる。
選挙民
全体がこういう
行為
はいけないのだということを知
つて
おれば、たといやる人がありましても、あの
行為
は悪いという判定ができる。たとえば
戸別訪問
の範囲はこの範囲が大体許されておるのだということを常識的にみなが知
つて
おれば、
戸別訪問
を受けた場合、これはおかしいじやないかという気持が起きる。あるいは
買收
にしても饗応にしても、
選挙
にはこういうものははつきり
禁止
せられておるのだということが十分にわか
つて
おり、あるいは
演説
会をいたしましたあとも、
演説
会場と書いてあるビラがそのまま張りつぱなしにな
つて
いるとか、あるいは一ぺんも
演説
会をしないところに
演説
会場というポスターを張
つて
、そのままにしておるのはいけないということを、全部の
選挙民
が知
つて
おるならば、
選挙違反
を起す
候補者
に対しては、懲戒とはいえないが、
選挙民
自身がこれに対して、相当醜い
選挙
をしておるものだと忌避する考え方を必ず持
つて
来る。そうして
選挙民
にきらわれると思う。これが
選挙民
にわか
つて
おりませんから、看板をどこへ立ててもいい。あの人は看板の立て方が少いということを実際に言
つて
来る人がある。相手方があんなにたくさん立てておるのに、お前の方は
演説
会場のポスターを立てていない。おれの方に一枚くれということを言
つて
来る人がある。それは
選挙民
自身が知らないからです。
選挙民
自身が知らぬのだから、どんどん
選挙違反
を起すようなことにな
つて
おる。こういう最も悪い面を出しておると思う。それを今の
選挙
管理
委員会
は、そういうことはなるべく教えないで、明朗に、ほがらかにということを教えたということであるが、
選挙
管理
委員会
の教え方がおかしいと思う。どろぼうが悪いということを全体が知
つて
おれば、どろぼうをするものは少くなる。全体がいいのか悪いのかわからないということでは、一向なくならない。
選挙
管理
委員会
の
啓蒙
運動は、そういうことを明らかにすることが必要なのであ
つて
、
取締り
等も将来行わるべきだと思います。ただいまの管理
委員会
の御
意見
にはわれわれ承服することができませんが、それについてどういうふうにお考えを願
つて
おるか、もう一度お伺いしたい。
吉岡惠一
59
○
吉岡政府委員
お答えをいたします。ただいまの点を修正して申し上げます。
重点
をそういう明るい
選挙
という点に置いたのでありまして、
違反
防止の点について全然
啓蒙
をや
つて
いないというわけではございません。それから今の御
意見
でありますが、私
ども
は多少考えを異にしておりますので、啓発宣伝の
重点
は、りつぱな人物を選ぶということを住民に教えるのが私は第一だと思います。もちろんそこまで手が及びますればそれに越したことはありませんが、
重点
をりつぱな人物を選ぶということに置きますと、どうしても
違反
防止ということは二の次になりがちだと思います。それから私
ども
が啓発宣伝の
重点
としておりますのは、どうしても
一般国民
に呼びかけることを第一としておりますから、
選挙運動
関係者
に呼びかけることは二の次にならざるを得ない。もちろん
選挙運動
関係者
には、こういうことは
違反
になるという、
選挙運動
の心得式のものを配
つて
用意はしておりますが、第一はどうしても
一般
住民がりつぱな人を選ぶということに
重点
を置かざるを得ぬと思います。多少御
意見
と異なると思
つて
おります。
門司亮
60
○門司委員 そういう答弁では
選挙法改正
をやるわけには行かない。いい人を選ぶということは、結局
違反
を犯さぬ人ということだと思います。
違反
を犯さぬようにするには、
全国
民がこういうことはよくないことだということを知ることが一番大事だと思う。よくないということを知らないで、積極的に公然と
選挙違反
をや
つて
もその人が出るということは、いい
選挙
でないと考える。実例をあげて申し上げますならば、今度の
選挙
では
各党
ともおそらく同じようにお考えだと思いますが、当然当選するであろう、この人は間違いないというような人が落ちておるのであります。それの実態を調べてみますと、いまさら
選挙違反
までやることは自分のプライドというか、自尊心が許さぬ。若い者と一緒にな
つて
ああいうみにくい
戸別訪問
はできない。車も何も
制限
された以上、いまさらわしが出すということはおかしいじやないかということで、比較的自信を持ち、公正にやつたという人が落ちておるのであります。良心的にやつた人が落ちて、金をたくさんお使いに
なつ
た人が当選率が多かつた。金をたくさん使つたということは、法の上から言えば
違反
でありまして、間違いなく失格者である。悪口を言えば失格者だけ当選して、失格者でない人が落選しているということになりはしないか。こういう面は
選挙
管理
委員会
では今後改めていただきたい。そうしてりつぱな人を選ぶには、出るときから
選挙違反
を起さないような人がりつぱな人だということを、
選挙
管理
委員会
でも御
考慮
願いたい。
中川俊思
61
○中川委員 一言
吉岡
さんにお願いしておきたいと思うのです。ただいま私がお願いしますことは、今度の
選挙法改正
についての
参考
資料
にしたいと思いますので、このたびの
選挙
で管理
委員会
がたとえば二十五億円なら二十五億円、三十億円なら三十億円
費用
がかかつたとしまして、そのうち事務費がどの程度とか、あるいは
啓蒙
宣伝費がどうとかいうような大体の何でよろしゆうございますが、
資料
がありましたら、今でなくてもよろしゆうございますから、ひ
とつ
御調製おきを願いたいと思います。
吉岡惠一
62
○
吉岡政府委員
今の点ちよつとお断りを申し上げておきますが、今度の
選挙
は
地方
の
選挙
でありまして、
地方
公共
団体
で負担しておりますので、これにつきまして実際的確にどれだけ使つたかはわかりませんが、
地方
財政平衡交付金の基礎になる
費用
として見込んだものを、ただいまは持
つて
おりませんが、あとで提供いたしたいと思います。
中川俊思
63
○中川委員
全国選挙管理委員会
で使つたものだけでいいですから……。
水田三喜男
64
○
水田委員長
それでは今次
選挙
についての
実情
並びに
参考意見
の聽取は、この程度をも
つて
終ります。
水田三喜男
65
○
水田委員長
この際閉会中審査申出の件についてお諮りいたします。本
委員会
がすでに決定いたしました
委員会
の運営方針によりまして、閉会中も継續して審査を行い、来る臨時国会には
改正
案を提案できるようにするという方針に従いまして、
公職選挙法改正
に関する調査の件につき、閉会中もなお継續して審査を行いたい旨の申出書を議長に提出いたしたいと思いますが、このようにとりはからうことに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
水田三喜男
66
○
水田委員長
御
異議
なしと認めます。よ
つて
そのようにいたします。 —
——
——
——
——
——
——
水田三喜男
67
○
水田委員長
次に閉会中の委員派遣の件についてお諮りいたします。これは先刻議長に申し出ることと決しました閉会中審査すべき案件が院議によりまして
委員会
に付託され、閉会中審査を行うように
なつ
た場合のことでありますが、
選挙法改正
に関するいろいろの調査のために委員を派遣して、実地に各
地方
の
実情
を調査する必要が生ずる場合があり得ると考えられるのであります。この場合に、
委員会
を開いて本件につき御決定を願うことは、閉会中のことでもありますので、諸種の事情によりまして開会することができない場合も考えられますので、特に必要のあるときは
委員会
を開会してお諮りすることにいたしますが、一応あらかじめ閉会中の委員派遣につきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣の
期間
等は、
委員長
及び
理事
に御一任願
つて
おきたいと思うのでありますが、このようにとりはからうことに御
異議
ございませんか 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
水田三喜男
68
○
水田委員長
御
異議
なしと認めます。そのように決定いたしました。 次会は公報をも
つて
お知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。 午後一時五分散会