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1951-05-22 第10回国会 衆議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十二日(火曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 内海 安吉君    理事 田中 角榮君 理事 村瀬 宣親君    理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       今村 忠助君    小平 久雄君       内藤  隆君    西村 英一君       中島 茂喜君    坂本 泰良君       池田 峯雄君    寺崎  覺君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  出席政府委員         国家地方警察本         部       武藤 文雄君         警  視  長         (刑事部長)         検     事         (法務民事局         長)      村上 朝一君         建設事務官         (河川局次長) 伊藤 大三君         建設事務官         (都市局長)  八嶋 三郎君         建 設 技 官         (技監)    稲浦 鹿藏君         建設技官         (道路局長)  菊地  明君  委員外出席者         議     員 松井 豊吉君         建設事務官         (河川局防災課         長)      賀屋 茂一君         建設事務官         (住宅局住宅金         融課長)    前田 光嘉君         経済安定技官         (建設交通局監         督課長)    中澤 忠作君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      小峰 保榮君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 五月二十二日  委員田中角榮君及び佐々木更三君辞任につき、  その補欠として尾関義一君及び坂本泰良君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  特別都市計画法の一部を改正する法律案内閣  提出第一六三号)  建設行政に関する件     —————————————
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより会議を開きます。建設行政に関する件を議題といたします。  この際当局に対する質疑通告がありますのでこれを許します。  なお建設省より稻浦技監伊藤河川局次長前田住宅金融課長会計検査院より小峰検査第四局長経済安定本部より中澤監督課長法務府より村上民事局長、以上御出席になつておられます。前田榮之助君。
  3. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私はこの際住宅金融公庫法の施行に対しまして、一言お尋ねいたしたいと思うのでありますが、本委員会は近く住宅金融公庫法の一部を改正しようといたしておる点もありますので、この際参考にお尋ねするわけでありますが、本年度住宅金融公庫資金貸付は昨年度申込数が相当ありまして、それがために本年六月から申込みを受けることになつておるようでありますが、最近の経済新聞に載つておる記事を見ますると、本年度貸し付ける金額は、大体二十八億円程度だというように新聞記事に載つておるわけでありますが、そういう程度であるかどうか。それはどういう状態でかようになつておるのか詳細お聞かせ願いたいと思います。
  4. 前田光嘉

    前田説明員 二十六年度住宅金融公庫貸付予算は、当初百八億を見込んでおつたわけであります。これは百億が新規追加資本であり、八億は年度内に償還される、その元本を見込んだものであります。そのうち先ほどお話がございましたように、新規申込みを受付けまして、貸し得るという見込みが今のところ二十九億程度の計算をいたしております。そうなりました理由は、順番に申し上げますと、まず個人住宅につきましては、二十五年度年度終り物価影響を受けまして、契約当初よりも途中で単価引上げをいたしましたので、その関係追加貸付をしなければならぬというものがありまして、それがざつと三億四千三百万円ほどございます。それからその次に二十五年度契約いたしまして、すでに第一回、第二回程度支払いをいたしましたあと残額支払いが残つておるものがあるのであります。これが約八億五千八百万円ございます。それから二十五年度終りに申し込みまして大体決定をいたし、すでに二月中に設計書が立てられまして、まだ仕事は始まつたか、あるいはこれから始まるという程度のものが相当数ございまして、約五十二億五千四百万円ございます。合計六十四億五千六百万円というものが、二十五年度内に大体契約になりましたけれども、資金は二十六年度にわたつて払うという関係になつておりましたので、これが百八億円のうちから支払わなければならぬという状況でございます。それからその次に賃貸住宅のことにつきまして、アパートでございますが、アパートにつきましても同じような必要が起りまして、二十五年度のうちに単価関係で増額したもの、あるいは一部資金を出しましたけれども、あとこれから支払つて行かなければならぬというものが十億一千五百万円、その次に二十五年度中に契約をして、まだ金を支払つていませんけれども、これから支払つて行かなければならぬというものが四億四千万円ほどございます。賃貸住宅の分が十四億五千万円、以上合計しますと七十九億円ございますので、百億円のうちから七十九億円の方は、すでに約束したものについて支払わなければならぬというもので、新規に受付けて貸し得るのは、今のところ二十九億という数字を出しております。しかしこのうち二十五年度に申し込んで、一応設計審査を済ましておりますけれども、まだ工事にかかつておるかどうかという点がはつきりしない分が、さつき申しましたように五十二億ほどございますが、このうちある程度はいろいろな状況でとりやめるというものがあるいは出るかもしれませんけれども、今のところ一応数字上は五十二億と見たわけでございます。その結果本年度におきましては個人賃貸と両方合せまして二十九億円の金を貸して行かなければならぬという状況でございます。この点につきましてはせつかくの第二年度でありながら、すでに年度当初から非常に資金が少いので、一年間しかも後半期におきまして相当額資本追加をお願いしたいということを申しておるわけでございます。
  5. 内海安吉

    内海委員長代理 村瀬宣親君より、法務総裁に対し質疑通告があります。これを許します。村瀬宣親君。
  6. 村瀬宣親

    村瀬委員 法務総裁にお尋ねをいたしたいのでありますが、戦災都市復興の問題は、戦後における政治、経済中心課題となつてつておるのでありまして、ここにその計画途上において思わざる一つ障害に突き当り、それがため都市計画の一部を中止せねばならないという事態が生じておるのであります。それは市町村が施行しようとする戦災都市区画整理に対する代執行停止仮処分の問題なのであります。愛媛県今治市は最も激甚をきわめた戦災都市でありますが、市当局が文字通り寝食を忘れて市街の復興に努力しております最中にこの問題が起つたのであります。すなわち焼失区域区画整理を行うにあたつて、甲という人の家を現在のAの地点からBの地点移転をしなければならなくなりました。元来甲は土地所有者ではなく借地人であつて、Aの地点戦災後無許可建築をしておるのでありますが、甲はどうしても市の定めたBの地点移転することに応じません。今治市当局は数年かかつて慎重審議し、区画整理委員会を初め種々の委員会にはかつて最後に到達した結論でありますので、どうしてもBの地点移転してもらうよりほかに方法がないこととなりまして、長い日数をかけて百方手を尽したにかかわらず、甲はがんとして移転に応じないために、やむを得ず代執行をなさんといたしましたが、甲はこれを裁判所に申請をいたしまして、松山地方裁判所から代執行停止仮処分を電話をもつて通告して来たのであります。そこで今治市はその区画整理計画を中止いたしまして、裁判に応ずることにいたしました。四十日目に一回ずつくらい開かれます待ち遠しい公判を十数回も続けて、二年もかかつてこの裁判は遂に今治市の勝となりました。しかし代執行停止処分はそのままにせられたのであります。甲は引続いて高松の高等裁判所に控訴いたしましたために、今治市としては裁判には勝つたけれども代執行がやれないために、最高裁判所判決があるまでその区画整理には手をつけることができないという奇妙な現象を呈するに至りました。これを見た市民はどう言つたか。二年もかかつてきめた整理案を、たつた一人が不服だといつて訴えたために、それから二年間も松山通つて裁判に及ぶのさえ間が抜けているのに、せつかく裁判に勝ちながら指一本触れることができない。たつた一軒ががんばるために、その辺一帯計画はどうすることもできない。こんなことならもう市役所の言うことなんか聞く必要はない、無理無体に粘り通す者の勝だといううわさが立つて都市計画事業は随所に支障を来すに至つたのであります。この場合今治市が裁判に勝つたということは、今治市当局区画整理に関する裁定は正しいものであるという判決を意味するものであります。言いかえれば、今治市はすでに決定した計画通り区画整理をやつてよろしいという判決であります。しかるに一方代執行はやつてはならないという仮処分の方はそのままにしておる。さすればこれはみずから裁判をした自分の裁判を一時無効にするにひとしい処置であります。かかる矛盾撞着をあえてして、その非をさとらない裁判官常識を疑わざるを得ないのでありまするけれども、かかる場合代執行停止仮処分を消滅せしむる方法はいかにすればよいとお考えになるか、法務総裁の権威ある御回答を承りたいのであります。
  7. 大橋武夫

    大橋国務大臣 行政庁処分に対しまして、その違法なることを理由として取消しまたは変更を求める場合の訴訟につきましては、御承知の通り行政事件訴訟特例法昭和二十三年の法律第八十一号をもつて制定せられております。この規定によりますると、原則としてこれらの訴訟におきましては一旦決定せられましたる行政処分執行停止する効力はないのでございまするが、ただ例外の場合といたしまして、処分執行により生ずべき償うことのできない損害を避けるため、緊急の必要があると認めました場合に限りまして、裁判所申立てによりまたは職権をもちまして、決定によつて処分執行停止の定めをすることができることに相なつておるのでございます。しかしこれにつきましてもやはり厳格なる制限があるわけでございまして、執行停止公共福祉に重大なる影響を及ぼすおそれのあるときは、この停止命令決定することができませんし、また内閣総理大臣が適当なる機会におきまして処分執行停止に対して異議を申し述べました場合においては、この決定はできない、こういうことに相なつておるわけであります。もちろんこの内閣総理大臣異議申立てに対しましては、その理由を明示してこれを述べなければならぬということに相なつておるのでありますが、ただ現在までのこの法律解釈といたしましては、この内閣総理大臣異議申立てというものは決定の行われるまでの間において申し述べられなければならぬ、こういうことに相なつておるのでございまして、決定のありました後にこの異議申立てがありましたところで、これは必ずしも裁判所を拘束するものではない、こういう解釈が普通に行われておるわけであります。従いまして一旦決定が行われましたる後におきましては、この決定取消しを促すところの申立てというのは、これは当事者からさような申立てをする、しかもこの申立ては、もちろん当然に何らかの決定を要求する権利があるわけではないのでございまして、裁判所が何どきでも第二項の決定を取消すことができるということに相なつておりまして、この裁判所決定取消し職権の発動を促すだけの効力があるにすぎないわけでございます。そしてこれに対しましては現行法上は一切不服申立て方法はないということに相なつておりますから、まず現在考えられまする方法といたしましては、その処分停止公共福祉に重大な影響を及ぼすおそれのあるものであるということについて、十分裁判所の納得の行きまするような説明をいたし、これによつて裁判所がその職権によつて取消すことを待つという以外には道がない、こういうことに相なつておるわけでございまして、これが現行法行政事件訴訟特例法についての解釈でございます。
  8. 村瀬宣親

    村瀬委員 法務総裁の御答弁を伺いますと、職権をもつて仮処分をやつたものを取消してもらいたいと申し出てみることはできるけれども、それはそういう処分をしたところの職権によるので、その申出に応じてもよし、応じぬでもよい、それをどうする方法もないというような御答弁であります。私が調べてもどうもそういう感じがするのでありまするけれども、これは実際を考えてみまするときに、本件の場合は代執行停止処分行つた裁判所自体が、代執行をしようとした今治市に勝訴の判決を下したのであります。すなわち今治市を勝たしたのでありますから、当然代執行停止処分をも同時に解消して、今治市の計画通り区画整理を行わしめねば意味はなさぬと思うのであります。もちろん他方においては憲法によつて保障せられた個人権利はどこまでも主張してよいのでありますから、裁判の方は甲が欲するならば高等裁判所から最高裁判所まで続けて行つてけつこうであります。万一最後至つて市当局処置間違つてつたという判決が下されたときは、何百万円でも市の方から損害賠償をとればよいのでありまして、それが法治国常識であると私は考える。この場合最初の位置、甲の家を建ててやる場合には、その土地をあけてやらねばならないから、代執行停止処分の方は最後までそのままにしておかねばならないというような解釈をする者があるとしますれば、それはかえつて正義と秩序を乱すへんぱな考えであつて、生きた今日の社会には通用いたしません。すべての損害金銭に換算するのが万国共通方法でありまして、かけがえのない貞操に対してすらも金銭賠償のほかに方法のないのは世界の通例であります。  もう少しこの事件をわかりやすくするために、一つの例をあげてみまするならば、甲は乙に一万円の金を貸したが、乙がこれを支払わないといつて甲が裁判所に訴えて、乙のカバンを差押えたとします。正式裁判の結果、乙は甲から少しも金を借りたのでないということが明らかになつた。このような判決があつたにもかかわらず、乙のカバンは一旦差押えられたのであるから、そのカバンに一切手を触れてはならないというようなことを言う国があるとしますれば、世界の人々はそんな法律のある国を軽蔑するであろうと思うのであります。本件はこれと同じ状態のように私は考えられる。ことに代執行停止仮処分は時間的にも手続上からも早急の場合であつて、双方の申分を詳しく聞くいとまはないはずであります。一回の公判も行われておらないときに、この仮処分は出されるのでありまするから、担当の陪審判事もきまつておるかどうかさえわからぬと私は思う。一人か二人の裁判官が十分の資料に目を通すいとまもなく、その場でちらつと頭にひらめいた勘によつて手軽に決定した代執行停止仮処分が、綸言汗のごとく、地方裁判所判決をもつてしても、高等裁判所判決をもつてしても、なおくつがえすことのできないほどのオール・マイテイーであるというようなことは、法治国にあり得ることとは思えないのであります。かくのごときはかつての権威と伝統を誇つた行政裁判所がなくなつために、行政事務にしろうとの裁判官のだれもかれもが行政措置を対象とする裁判を行うための欠陥であるか、それとも日本の法律自体に救うべからざる盲点があつて、かかる矛盾を公然と放置せねばならないものであるか、いかにすればかくのごとき非理無法を防止することができるとお考えになるか、もう一度大橋法務総裁の御所見を承りたいのであります。
  9. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま村瀬君のお述べになりました内容につきましては、私も事件の詳しい実情は承知いたしておりませんが、お述べになりましたところを拝聴いたしました限りにおいては、しごく同感に思うわけでございまして、これに対して当然急速に行わなければならないところの都市計画事業が遷延いたすというような、公共ために重大なる障害があるにもかかわらず、この小さな訴訟ために、その計画実施全体が非常に遅らされておる。この事実は明らかに矛盾を感ぜざるを得ないわけでございます。その矛盾原因が、あるいは現在の法制の不備に基くものであるか、あるいはまたこの法制を運用いたしまするところの裁判所を構成いたしておりまする当該判事の未熟によつて、法規の精神を完全に理解して運用する能力が欠けておるという理由にあるのか、これはいろいろ調査研究を要する事柄で、軽卒に断言はできませんが、とにかくさような事柄によりまして、現実に都市計画事業の促進が妨げられておるという事実があるといたしまするならば、これはきわめて国家ために遺憾な事柄である、かように存ずるほかはございません。
  10. 村瀬宣親

    村瀬委員 私はここで法治国の基盤でありまする三権分立原則に触れようというのではありません。しかしこの際法務総裁の御意見を聞いておきたいと思いますのは、裁判官裁判能力を欠くに至つたかどうかを調査する必要を、今までお感じなつたことはないかどうかという点であります。もちろん新憲法実施以来、裁判官身分保障とともに、裁判官訴追委員会も厳に健在でありまするし、また裁判官弾劾裁判所も厳然と構成せられておるのでありまして、私自身弾劾裁判員予備負をいたしておるのでありますが、しかし訴追委員会弾劾裁判所も、裁判内容に容喙することができないのは、三権分立を厳守せんとする必然の結果であります。かりに専制時代の暴君のごとく、手あたり次第に代執行停止のごとき仮処分を濫発して、次々に切捨てごめん処置をあえてする裁判官が出て来ても、国民は泣いてその処分に服さねばならないものであるかどうか、大橋法務総裁の御意見をもう一度承つておきたいと思います。
  11. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私の立場といたしまして、現在の裁判官が今日のあらゆる訴訟事件について、判事としての十分なる能力を有するかどうかということについての、私の見解を申し上げるということは、適当でない、こう考えまするので、御許しを願いたいと思います。
  12. 村瀬宣親

    村瀬委員 最後にもう一つ申し上げておきたいのでありますが、本件の問題は、甲がA地点からB地点移転をした場合にこうむる損害がもしあるといたしましても、甲の申立をそのまま認めるといたしましても、それは二〇%か三〇%の損害にすぎないのでありますが、甲がA地点をどうしても動かないために、換地の予定地としてその地点を振り当てられました甲以外の多数の者は、数神来家を建てる土地がなく、生活の根拠を失い、百パーセントの損害をこうむつておるであります。二〇%か三〇%の不利益とみずから称する者を擁護するために、全然家を建てることができない多数の者が、百パーセントの損害を償つてもらうすべもなく、泣いておるのであります。人権擁護の叫ばれている今日、かくのごとき事実を法務総裁は何と見られるでありましようか。いわんやこれが原因となつて、地方自治体の行政全般に対し、市民が疑いを持ち、これを軽蔑する風潮を生ずるに至りますならば、ただに都市建設行政に対してのみならず、自治行政の根幹をむしばむ素因ともなりまするがゆえに、この問題は法務総裁の責任において、ただちに有効適切なる処置をとられんことを要望いたしまして、私の質問を終る次第であります。
  13. 内海安吉

  14. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私がお尋ね申し上げたいのは、物価値上りに対する住宅の問題であります。大体昨年より本年にかけて、相当建築資材値上りいたしておるわけでありますが、金融公庫の方で取扱つておる物価値上りにおして、どの程度物価値上りを見ておられるか、またこの物価値上りによるところの建築費の増大によつて、予定されておる建築戸数がどの程度に減じておるか、その数がおわかりにたつたらお知らせ願いたいと思います。
  15. 前田光嘉

    前田説明員 最近特に建築費が上りましたことは、御指摘通りでございまして、住宅金融公庫におきましては、すでに値上りの前あるいは途中において、その当時の建築費、代表的なものは東京地方木造の場合二万一千円でございますが、これでよろしいといつて契約を結んだ人につきましては、できるだけそれだけの資金建築を続行して行きますけれども、これから出します新規の分につきましては、とうていこういう標準価格では建築ができませんので、目下公庫の方で一般値上りとにらみ合せまして、建築費貸付の場合の標準価格を研究しております。大体今までの分の二割ないし三割引上げたい。たとえば今まで東京木造の場合には二万一千円という標準でございましたが、今回新規の分につきましては、約二万六千円程度、鉄筋コンクリートの場合には五万一千円から五万四千円くらいに上げたい、こういう考えを持つておるようであります。これだけ出しましても、もちろん十分ではございませんが、現在の物価事情ならば、一応の公庫の基準による住宅ができるだろう、こう考えております。この結果当初予算の額がきまつておりますので、御指摘通り建築の総戸数は相当減少せざるを得ません。当初予算を編成いたしますときに、公庫の方で考えました本年度建築戸数は、ざつと三万二千五百戸というものを予定しておりました。ところがこれが先ほど申しました単価引上げによりまして、二割くらい減りまして、今のところ二万七、八千戸になるだろうという見通しを持つております。
  16. 前田榮之助

    前田(榮)委員 物価値上りの問題についてでありますが、物価値上りに応じて貸付額を訂正しなければならぬ実情になつておると思うのでありますが、現在までに行われておる情勢を、私が聞いたところによりますと、その処置が適切を欠いておるために、建築者の方から申しますと、二割五分の頭金を用意して建築にかかつたけれども、物価値上りによつて最初に用意した金では不足を来すことになる。それが二割五分の範囲内において物価値上り影響を受けたということになるならば、これは忍ばねばならぬことだと思うのでございますが、全体の値上りによるところの公庫の方の処置が遅れるために、最初用意をした金額の、はなはだしいのは倍、三倍というような金を要することから、遂にその建築を中止もしくは放棄せねばならぬ、こういう事情がだんだんできておるというようなことを耳にするわけであります。これは物価値上りによる実際の実情に、この公庫法の適用が当を得ない処置ために起るところの問題ではないかと思うのであります。そういうことから契約を解約もしくは建築を放棄したというような問題が多分起つておると思うのでありますが、そういう問題は幾らくらい起つておるか、おわかりになつたらお知らせ願いたいと思います。それからあわせてこういう処置については、公庫の方として、建築をする者に対しての便宜等について、もつと積極的に取扱わなければならぬと思うわけでありますが、これに関するところの御意見をお伺いしておきたいと思います。
  17. 前田光嘉

    前田説明員 昨年度の実績におきまして、単価改訂一般物価値上りに即座について行けなかつたうらみが多少ございましたので、そういうふうな事態が起つたことも事実でございます。しかし公庫の方で単価改訂をいたすにつきましては、ただ一般的に物価上つたというだけのことでは、ただちに改訂することは多少危険もございまして、一般物価の動きなりあるいは思惑を押えるとか、各般の要素を考えた上で、やむを得ないという場合に上げるように実はできておつたので、多少ずれたことがございます。それと二割五分が本人負担でございますので、初め低い方の単価で予定した金額が二割五分であつたが、全体に物価値上りために、二割五分以上出さなければならぬという事態が起ります。これについては現在のところ公庫といたしまして、本人負担分については、物価値上り分まで貸すことにはなつておりません。当初十万円の頭金を用意しながら建築ができるころには十二、三万円になつたというので、そのうちの二、三万円を非常に苦労なさつてくめんされるという事態が、実は起きております。ただいまのところ、御質問の、そのため取消しなりあるいは放棄になつたということは、正確な数字は持ち合せておりませんが、それだけの理由で放棄したというのは、それほど数多くはまだ報告がありません。ほかの理由でいろいろな事件が起つておりますけれども、単純に物価値上りだけによる放棄というのはないようでございます。相当苦労されまして、いろいろ不平なり、あるいは困つたことを訴えて来ておられますけれども、まあせつかく始めた事業でございますので、無理しながら続けておられるのが実情でございます。そこで本年度におきましても、物価値上りがないことを実は念願しておりますけれども、途中におきまして急激に上つた場合には、なるべくその経済状態に即応するようにしなければならぬと思いまして、この第一回の貸付分につきましては、一応妥当な合理的な線を見出しまして、この単価でやりたいということをあらかじめ申し上げる。その後の処置は、そのときの情勢に関連しますけれども、あまりに物価がどんどん上つて来ますと、当初たとい百億なりあるいはそれ以上の資金をもらいましても、結局戸数が非常に減つて参りますので、公庫の希望といたしましては、なるべく単価引上げはないことを希望しております。今のところ、一応今年度は先ほど申し上げました数字で第一回の受付はできるだろう、これなら支障がないだろうというつもりで、一応考えております。
  18. 前田榮之助

    前田(榮)委員 これは住宅金融公庫のみならず、庶民住宅とも関連した事項でありますが、今御説の中にありましたように、物価値上りによつて、当初予定した戸数においても二割程度の減少を見なければならぬという状態、これは公庫だけのみならず、庶民住宅においてもそういう傾向になるのではないかと思つておるわけであります。建設省といたしましては、この住宅政策全般の上から申しまして、こういう住宅不足の場合において、この対策をどうするお考えか、あるいはこの金融公庫の方の資金にいたしましても、何らかその予算の増額等大蔵省との交渉をなされつつあるか、またそういう希望を持つておられるか、今後のこれらの対策についてはいかなる御所存であるか、お聞かせ願いたいと思うのであります。
  19. 前田光嘉

    前田説明員 庶民住宅も含めての御質問でありますが、庶民住宅の方は、局長も実はきよう出ておりませんので、住宅金融関係につきましてだけ申し上げます。先ほど申しました数字になりますので、せつかく二十六年度に家を建てたいと思つて準備された方に、とうてい御満足にお貸しできませんので、最近財政当局と連絡をし、打合せをいたしております。ただ御承知のようにまだ五月でありまして、当初予算なりあるいは国の全体の資金計画実施を見た直後でありますので、ただいまただちに住宅金融公庫資本追加を何億円というふうに話が落着くところまで行つておりません。ただ財政当局におきましても、最近の物価値上りなり、公庫資金状況等を見まして、何とかしなければならぬという程度のことはお考えになつておるようでございます。なるべく近い機会に、予算の補正なり資金追加をいたしたいと思いまして、目下関係当局と打合せ中であります。
  20. 前田榮之助

    前田(榮)委員 最後に希望だけ申し上げておきますが、物価値上りに関して、自己資金影響する関係から非常に困つておるのは、主として資金の少い庶民階級の中の、下の方の人であると思われるのでありまして、少々値上り等によつて自己資金影響しても耐え得られる人は、むしろ自己資金だけでも住宅を建てられる程度の資産を持つておる人々といつていい程度でございますから、この値上りに対する処置については、市価の状態を十分御研究の上に、最小二割五分貸すという程度で済むならば二割五分程度、あるいは二割程度で済むというときには二割というふうに適当の御処置を希望いたしまして、私の方の質問を終ります。
  21. 内海安吉

    内海委員長代理 今村君。
  22. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 私がこれから質問いたしたいと思いますのは、自分が建設委員として第一国会以来建設方面の経費の使われ方——大部分は公共事業費というような形で支出されておるもののうち、特に各庁の補助金となつて出ておるものに対しまして、技術的ないしは会計検査等の制度に一つの欠陥があるのではないか。これは元をただせば、新しい民主主義憲法というようなものが、地方分権というような形でいろいろ行われるようになつていた一つの弊害といいますか、何かそこに欠陥があるのではないかという立場から、たまたま昨年来わが長野県下におきます災害並びに飯田の火災後のその復興等の状況を見ておりまして、どうしてもこのままではいかぬという感じを強くいたしましたので、その事実を明らかにして、何かここに一つの制度なり法律を設けて、これが万全を期さなければ、今のような状態であつては、まことに不安に思われる点が多々あるのであります。こういう意味におきまして、本日は技術検査に当る当局の責任者、会計検査に当る当局の責任者並びにたまたま昨年衆議院災害対策委員長として現場に臨んで、その仕事の事実を見られた松井代議士にもお願いいたしまして、これらのものを掘り下げて研究をいたし、どこに欠陥があるかをきわめたい、こう思うのであります。こういう意味において、総合的な立場から質問をいたしたいと思いますから、関係当局の方はしばらく御協力願いたいと思うのであります。  まず第一に、当時災害対策委員長として天龍川の災害復旧状況を視察され、その中に適当なる工事といいますか、指定された通りの工事がしていないと指摘され、そのでき上つて後の実情を見られた松井代議士から委員外発言として、当時の状況を聞きたいと思うのであります。松井代議士の発言のお許しを願います。
  23. 内海安吉

    内海委員長代理 この際議員松井豊吉君より、委員外の発言をいたしたき旨の申出があります。これを許可いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 内海安吉

    内海委員長代理 御異議なしと認めます。よつて松井君の発言を許します。松井豊吉君。
  25. 松井豊吉

    ○松井豊吉君 本日の委員会に、今村委員より私に特に出席の要望がございましたので、私当時の責任者といたしまして、本日ただいま御質問の要点に対して、時間がございませんので、簡単に結論だけを申し上げて、御了承を願つておきたいと思つております。  御承知のごとく、災害が累年非常に増加しておる。これをどうして防止するかというのが大きな問題でございまして、特に二十五年は、御承知のごとく全国まれな災害をこうむつておる。予算等におきましても、二十四年よりも相当上まわりました被害をこうむつておる状況でございます。それでわれわれは長い間、第一国会以来建設委員として研究しております関係上、どこに欠陥があるかということも研究の一つとして調査したのでございます。そこで昭和二十五年八月十八日にまず第一回として長野県に調査に参つたのでございます。御承知のごとく、当時長野県の全体被害の総額が、国に県当局を通じて報告になられましたのが二十三億内外と承知しております。そこで天龍川を中心として一応部分的に調査してみると、大体被害額が十三億内外と称しております。第一日には上田に到着いたしまして、第二日目に天龍川を中心として調査をいたしたのでございます。そこでまず上田市へ入りました。河川ののりが十六メートルもある大きなものでございまして、設計も練積みもすべて完全なもので施工され、竣工された実情を調査いたしまして、その大きな堤防が倒れたのはどこかに何か欠点があつたのではなかろうかというので、早くもそれを第一日に調査をいたしました。昨年完全にしなかつたものがあの当時の水量で倒れたということを、調査いたしまして痛感したのでございます。そこで各地を当局の御案内によつて調査いたしまして、二日目に天龍川を中心とするところの上伊那郡の辰野町、これは株式会社中村工務店取締役社長中村徳蔵氏の請負工事でありますが、実際の県の設計額が千四百八十七万九千円であり、請負人が請負つたのが千四百三十万円、これらを私以下七人の調査団一行が、特に今工事進行中のもの一箇所を見せていただきたいということを申し込みまして、ただいま申し上げた中村組が県と契約いたしましたるこの工事を調査したのでございます。そこでこの調査の結果、設計書と実際の対照をいたしまして調査いたしたのでございます。簡単にわかりやすく申し上げますると、その工事が千四百三十万の仕事で、一応人夫の出方あるいは資材関係を総合的に調査したりでありますが、まず私たちは設計書通りにできておらぬという事実調査をいたしたことは、御承知のごとく、その工事が四十センチの石を使用いたしまして、それが練積みになつておる。その石の裏に二十センチのこもぐれをつけて、六十センチの玉石を控えとして裏詰めに埋めることになつておる。そうするとオール一メートル二十センチのいわゆる裏調張りというものが出て来なければ相ならぬということになつておる。その裏調張りもなかつた。それから砂利砂の採集も全部なかつた。そういう関係で調査してみると、練積みがつつ込み分になつておる。裏の二十センチのいわゆるこもぐれというものもなかつた。六十センチの玉石も入つていなかつたというのが設計書と根本からかわつておる。これによつて長い時間を調査して参つたのでありますが、当時は伊那町建設事務所長の内川という人が責任でございまして、現場監督は県から来ておる片桐さんというようなわけで、いろいろ御質問したのでありますが、あまり要領を得なかつたのであります。そこで総合的に私は当時の水量で、そんな圧力で持つておるか、完全に保てるかということを研究してみると、それはもう持つことはできぬ。しかもその下流には何村かの村里もあります。そこで天龍川を中心に調査してみると、個人のやつた仕事も会社がやつた仕事も全部流れておるが、しかし建設省がやつた仕事は二千メートルも流れておる。これらを見てわれわれは非常に痛感いたしまして、そして累年この災害の予算が厖大に増すことは、いやしくも国民の血税をもつて負担するということはなかなか重大でありますから、これらは単に長野県天龍川のみでなく、各地にもあるのではなかろうかということから、強く調査研究した次第でありまして、それらを一から六項目にわたつて指摘をいたしまして、伊那町のある公会堂の二階でたくさんの代表者が集まりまして、そしてその報告をいたしました。そこで土木部長のいろいろの御意見もございましたけれども、結論といたしましては、私が調査をいたして指摘した問題が事実となつて、一応その問題を調査研究するということになりまして、御承知のごとく長い間その問題で県当局もそれぞれ関係者の人々と調査研究いたし、その問題の処置によつて、相当県当局の人々もそれぞれ責任を負つて最後に適当な処置をとられたようでありますけれども、大きな問題ではないかと思います。私たちは一言申し上げますが、この問題を取上げて請負人をどうとか、長野県をどうということは毛頭ございません。もしそういうことがあるならば、私は本会議でこの問題を堂々と論じる考えを持つております。しかしながら、こういうことがもし再び全国的にあるときには、われわれ委員といたしましても、今後どうして災害防止をするかということ——今すでに河川の関係はいろいろ形もかわつておりますけれども、こういうものは監督とまた責任者の調査研究によつて未然に防止できるならば、私は非常に国民のために妥当ではなかろうかと信じております。どうしても技術的にできないものはまた予算の増額も考えられますけれども、これらはわれわれは非常に大きい問題として取上げ、単に長野県天龍川のみでなく、全国的にもしこういうことがあるならば、毎年大きな土木がやられるのですが、これらは大きな問題でありますから、これらの問題については当局にも再びないような方法を講じていただきたいことを希望しておきます。そこでその工事が私の意見によつて全部やり直して、設計通りにやるという当局の熱意を持つた結論が出ました。その工事の進行中は行きませんでしたけれども、工事は進行されまして、私ども元の委員は七人で参つたのですが、そのときは四人で参りまして、昭和二十五年の十一月十一日に参りまして再調査したのであります。現地調査する前に上田地方事務所に関係者が集まりまして、十数時間にわたつて事務的にあらゆる角度から研究しまして現地に参り、やり直しをした二、三箇所の抜取り検査をいたしましたところ、大体設計通りできているということを承認して竣工検査は済んでいるということになつております。われわれはもしこの工事が不正工事として完全にでき上らない場合には、長野県全体に予算をやるのを中止するとまで覚悟を持つた一人であります。決して事を好むのではございません。かつてないような状況であつたのであります。一応簡単ではありますが、その当時の調査の概要を御報告申し上げて御了承願いたいと思います。
  26. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 先ほど申し上げた通り、御関係の各位は真剣にお聞き願いたい。今衆議院の災害対策委員長七名の者が実際に災害復旧状況を見に行つたところが、さしず通りのことが行われていなかつたのではないかということを指摘しておる。それを後にまた四名の者が見に行つたが、できたと称したということであつて、私ははたしてできておるやいなや技術的に調べて見たのではないので、松井当時の委員長としては、この際証言はできないでありましよう。私はその証言をここで求めようとはいたさない。ただ一年に一千百億を超える厖大な公共事業費の大部分が、災害対策、それ以外にまだいろいろありましようけれども、概して建設的な事業に使われておる。これがはたして至当に使われておるやいなや。今ここに実例として長野県の問題を取上げておるのですが、松井前災害対策委員長が見て来ての今のお話を聞いただけでも慄然あわを生ずる思いがある。この堤防ではたして流れない堤防ができておるかと言いたい。現に私はその後現地の災害復旧共同起工式の日にあいさつをいたしておりますが、そのとき流れない堤防はできないかということをあいさつの中に入れたら、どつと笑つたくらいである。業者は流れない堤防ができたのでは食えないというのです。諸君、この敗残の日本の経済的に困つておる中で、国費の七分の一に近い厖大なものを費しておるこの建設的な事業において、これが真剣に使われておらないとするならば、これは税金を負担しておる国民にかわつて考えてみても、捨ておかれない問題であると思う。ところがその後この災害復旧に関して新聞の題字を見てもすぐわかるように、七工事箇所に三十七業者の不法入札、妨害、不法談合があつた。これは長野県警察本部の発表したものを見た私の記憶で申すのですから、この事実はひとつ刑事部長に明らかにしてもらいたいのですが、請負金額のうち七割五分が建設費にまわらずに他に消えましたということが発表されておる。私の記憶が確かだとすれば、こういうことを見受けたのであります。建設面でなく、他の面に七割五分が消えて、二割五分で堤防をつくつたといつて、この堤防が持ちますか。こんなことを繰返してどうして日本の再建ができるか。刑事部長は責任を持つて、長野県の検察当局の調べた事実をこの際明らかにしてもらいたい。同時に、七割五分が建設以外の経費に消えておりますという業者の取調べによる回答からして、それではあとの二割五分で堤防をつくつたのかどうか、これをも確かめてもらいたい。業者が損をしてこれに金を加えてやつた。ものか。かりに二割五分でしたとするならば、それは今前災害対策委員長の指摘する通り、完全なものができているはずはありません。われわれはしろうとでわからぬのでありますけれども、裏込めが十分でないと指摘した事実などは当然あるであろうと想像されるのであります。そうだとするなら、技術検査と会計検査はこれでいいと言つたのでありますか。これから技術検査をするというならば、はつきりやつていただきたい。会計検査をやるというなら、はつきりやつて、この一つの問題のあとがどういう形において済んだということになつたのか、それをこの際明らかにしていただきたい。現に業者の方で、七割五分は他に消えましたということを取調べられた際において答えておると思うのでありまして、それが新聞に発表されておるのでありますから、新聞の活字が間違つておると言えばそれまででありますが、それを事実に基いて進めたいというのであります。実に心外にたえません。かりに予定の経費が出て、七割五分が他に消えて、二割五分で堤防がつくられたとして、これが技術検査通り、会計検査も通つてつたとしたならば、その堤防はいつ流れるか、まことに不安限りないものがあるのであります。まず刑事部長から長野警察本部へ問合せればわかることと思いますから、それがわかつたなら、技術検査に当つた人、会計検査に当つた人、これらの人たちがそういう——簡単に申せば、不完全きわまるものをなぜ済んだということになるのか。  そこで私はなお重ねてお聞きしたい。地方へ補助するところの国家の補助金が至当に使われておらぬのではないかということについて、何とかする法律なり制度なり設けなければならぬということを先ほど来私は申しておるのでありまして、あるいは根本的にはアメリカのように補助金制度というものをなくすべきではないかとさえ考えておるのであります。アメリカへ私たち見に行つて参りましたが、アメリカの役所には陳情というものがない。補助金制度がないために陳情を受けるということがない。従つてかような間違いがないということも指摘したい。そう考えて参りますと、一体この補助金をとるために——例を飯田の災害復旧の場合にとつて来るとはつきりいたすのでありますが、飯田市長は、ほとんど一年のうちの何分の一というものは東京に来て滞在しておる。私自身も実に驚いたのでありますが、きようは建設省の役人が来るから、土地出身の議員として出席してほしいというので、私は五反田のある料亭と心得て招かれて行つたところ、おそろしい女がたくさん立つておる色町で、大学の講師をしておる私は、こんなところへはとても入れぬといつて、案内する秘書が持つておるカバンを奪いとつて逃げ帰ろうとした。それを、待つてください。きようは大事な会合の日だから、どうか飯田市復興ために、今村さん、忍んで来てくれというので、顔を赤らめながら私はその色町の中に入つた。さて行つてみて驚いたのは、待合である。そこで私は市長にただちに面責した。君、けしからぬじやないか、待合に宿をとつて、かように役人を呼んでやるという君のやり方はけしからぬじやないかと言つて、一教育者の私は、純情のあまりただちに市長を面罵した。そうすると、宿屋におつて料理屋に役人を呼ぶと、二重に金がかかる。待合にとまり込んでおつて、待合に呼べば、一度で済むじやないですか。こういう説明である。私は唖然とした。その後私はただちに市の議長にあてて手紙を書いた。市長はかような行跡をしておるけれども、見かねる。私は土地を代表している議員の一人として、そんな経費は使わなくても、飯田市復興ための補助金等は十分私が責任を持つて得られるものは得るようにするから、市長のさようなむだな経費はぜひ復興の方にまわしてもらいたいということを書面で申し送つた。けれどもそのことは依然として続いた。そこで私はある演説会の席上で指摘しながら非難した。事の起りは、建設大臣が来ても市長その他が迎えに出ぬということにあつたのでありますが、けしからぬではないかと言つて指摘しますと、数日後の新聞に、市会議員がはつきり文書をもつてかような声明をした。市長が東京に出て努力して五百万円もらつて来るなら、百万円くらい使つたつていいじやないかといつて私に答えた。私はこの際会計検査の方たちにお聞きしたい。一体補助金のうち、一割なり二割までが——百万円は五百万円の二割ですが、そういう、簡単な言葉で言えば、東京に出て補助金を受ける運動資金、見ようによつては汚職事件を生み出すところの官吏買収に充てられておるのに、会計検査が通つておる、のはどういうものであるか。おそらく役所では、こんなものはみな帳面につけるときにはそうは書いておりますまい。けれども、市会議員が堂々と文書をもつて新聞に答えてあるのでありますから、私はこれはひとり市長だけの問題ではない。地方自治体の、いわゆる市議会もかように考えておると思う。ここに私の指摘したいことがある。地方の役所というものは、中央からもらつて来る補助金は、自分らの地方の負担金でない。もらつて来たものだから、もらい得だ。百万円使つても、五百万円もらえばいいじやないかという、ごく平易といいますか、俗な考え方が起きるのだろうと思う。これを私は先ほど来指摘して、いわゆる新憲法下の大きな間違いではないか、補助金の使い方は、先ほど来申す通り、堤防の場合においても、実質的には二割五分使われて、あとはどこに消えてもやかましくない。また飯田市の復興ためにも、今言う通り、二割までが酒食といいますか、東京へ出ての運動費に消えてもいいという、このものの考え方が、いわゆる地方分権という立場を重んずる新憲法下に起きて来た一つの事実ではないか。そうだとするなら、これを是正する根本的なものを考えておかなければ、これら年々計上せられる一千億を超える厖大な公共事業費というものの大半が地方へ補助金となつて出るときに、これがどう使われているか、寒心にたえないということを先ほど来申すのであります。  どうかこういう意味において、会計検査や技術検査が一体どういうふうに行われているか、順次御説明願いたい。まず国警の刑事部長は、長野の警察本部へ問い合せて、七割五分他に消えたというが、二割五分で堤防をつくつたのかどうか、当時の調べ等によつてわかればよし、わからなければ新たに御研究願いたい。しかも驚く事実は、これらの問題に連座した二人の県会議員は、今度の改選にあたつて堂々と当選しておる。一人の県の土木部長をしておつた者は、新しく自分の家をつくつたばかりではなく、他にも堂々たる料亭をつくつておるとさえうわさされておる。そんな厖大の金がどうして得られたか。取調べの結果は、わずか一、二の問題にしか触れておらぬといいますけれども、これがまた選挙では堂々と当選しておる。こういうことを見せつけられておる長野県の若い青年が、共産主義、社会主義に走るのは当然だと思う。私たち自由党は、自由民主主義の上に立つて政治を行おうとするものでありますが、資本主義政治を行つて資本家だけを擁護して、貧しい国民がどうあろうとも、知らぬ顔をしているというものでないことを明らかにするためにも、かような不正なものを不正として指弾しなければ、悪者の方がますます栄える状態になる。当然これが、今言う共産主義に青年を走らせる大きな動機にもなる、私はそう思う。そうだするなら、どうしてもこの点を、次の機会には法務総裁にも出ていただき、各大臣にも出ていただいて私はただしたいと思うのでありますが、この際は実際問題に即してお聞きしたいから、どうかひとつ刑事部長は長野の警察本部に連絡してこれを明らかにしてもらいたい。同時に、実は多少のけが人は出るかしれませんが、五反田の、うだ川とかいうのも調べてもらいたい。なぜかというと、これは建設省に関係ありませんけれども、特別分与金の援助を受けるために、私は木村小左衞門大臣をたずねたことがあります。そして飯田が焼けて復興がまだ遅々としておるから、特別分与金をふやしてもらいたいと、じゆんじゆんと説明をしたときに、当時の木村小左衞門担当大臣は、けしからぬ市長だから、あの市長をやめて来いと言つた。なぜあなたはあの市長をけしからぬ市長だとおつしやいますかとただしますと、奥野課長に聞いてくれ、言語に絶する市長じやないか、君らはああいう市長を民主主義の時代に認めておるというのは何たることだ。内容を知らせてくれといつたが、とうとう知らせてくれなかつた。このなぞを知つているのは奥野課長一人である。けれども、これらも結局問題なくして行つたということは、何を意味するか。そうして予定の分与金が出ているのである。大臣は顏を赤らめて、市長をやめて来いと言つて指摘した事実が、実際は市長がやめなくて済んだということはどこにありましようか。われわれにはわからぬ。簡単な言葉で言えば、東京に来て運動すれば必ず補助金がよけいもらえるのだという事実を私は知つたのである。そうなると、飯田市復興ために私が正しい立場で言うよりは、市の復興ということだけを考えるなら、飯田市長のごとく、二割使つても、五百万円もらえたからいいじやないかと、市会議員が堂々と新聞に発表する事実が出て来るのであります。私はずいぶん迷つた。捨てておく方が飯田市復興ためになるという結論になる。私どもは議員の一人として見るに忍びず、できれば数日にわたつて質問をいたしたいと思う。これは最初に断つておいた通り、ただ事件そのものをあばいてどうというのではなく、日本において陳情による補助金がたくさんあるという事実を、制度の上でなくしたい、できれば補助金制度をなくすか、こういうことのできないような予算の立て方にするか、あるいはかようなものを出すとしても、技術検査と会計検査とが、厳格にというか、正しく行われて、補助金が適正に使われるということを考えなければならぬと思うのであります。まず刑事部長の所信を第一にお伺いしておきたい。
  27. 松井豊吉

    ○松井豊吉君 いろいろ公共事業を中心とするところの予算関係、また災害等の問題について、今村委員よりも詳細な御説明があり、また質問があつたのでありますが、私は全国的に調査をして参りまして、今後どうしたらいいかということもそれぞれの権威者や、あらゆる方面とも研究調査したのでございますが、今の司法官憲関係あるいは会計検査それぞれのお尋ねの点も最も妥当でありますが、あらゆる書類とか実地を調査いたしましても、それぞれ会計検査の人々も、また司法権を担当する責任者といたしましても、これらの事業に対してなかなか困難なんです。そこでまずだれが請負つて、だれが竣工しようとも、会計検査が何であろうとも、国会議員中からその仕上つたものの調査をする班を編成しておくことが一番妥当であると信じます。そこで、でき上つたものに対して何箇所かを抜取り検査をする。十メートルに一箇所、あるいは五メートルに一箇所、三十メートルに一箇所というようにこれをやる。この調査班が編成できるならば、全国的の請負業者にいたしましても、またあるいは県、国関係の工事にいたしましても、御承知のどとく今各県を見ましても、その工事の担当監督者が少いのであります。一人で三箇所あるいは五箇所を持つというような状態でございますから、その監督者のいないときに不正な工事をするようになるのである。これはどうしてもそのふせぎはつかない。でありますから、これは国会において何らかの機関を置いて、公的に調査班を編成されておるならば、工事が仕上つたという場合、場所によつてはその日に行つて帰れるのですから、この機関ができたというだけでも大きなプラスでなかろうかと私は信じております。どこかを拔取り検査をして設計書と対照してもしその工事が不正なら、金の払いもどしをするか、できなければ、くり直しをする。それに何倍という工事費をかけることになりますから、業者も不正をしない。またそれぞれ関係の人もそれに忠実になる。私はこれ以外にないと思う。調査班を編成されましても、経費の増加とか、人件費の増加とか、そんなものはおそらく微々たるものだと信じております。ですから、これらの問題を御研究の結果措置されることが最も根本の急務でなかろうか。今村委員意見に付随してこれらも一応御研究願うことを御参考に申し上げて、私のただいまの案に御賛成願いたいと思います。
  28. 内海安吉

    内海委員長代理 今村委員の発言は相当重大な問題であります。ことに松井前災害復旧特別委員長としての発言も、相当重大な問題であります。そこでこの問題に対する御答弁でありますが、まず、長野警察本部よりおそらくこの不正行為の有無については刻々御報告があつたと思いますから、この間の消息なり報告に基いて、国家地方警察本部の刑事部長である武藤文雄君より答弁を願いたい。第二は、独立機関としての会計検査の立場から見た意見として、小峰検査第四局長答弁を望みたい。第三は、事業計画及び遂行の観点から見た中沢経済安定本部督課長答弁を望む。第四に、河川の改修及び技術上の面から見た稻浦技監答弁を望む。まず武藤刑事部長
  29. 武藤文雄

    ○武藤政府委員 お答えいたします。ただいま公共事業の施行について正しい運営がなさるべきである、その間にいやしくも不正が介在すべきではないということについての力強い御発言がございました。私も全然同感でございます。貴重な予算、貴重な資材を使つて、そして国民のために行われますところの公共事業が、いやしくもそこに暗い影がさすべきものでは絶対にないということをわれわれも希望いたしておるところでありまして、その間にとかくのうわさがまま出ることがあるということはまことに遺憾に存ずる次第でございます。警察といたしましては、公共事業等をめぐりまするところのいまわしい事件について非常に捜査も困難であり、時日も要する捜査ではありますが、あらゆる犠牲を忍んでその捜査に努めて参つております。たまたま他の委員会に出ておりまして、すぐかけ参じたので、詳細な資料を持ち合せておりませんが、昨年だけでも、大きな公共事業に関するもので十件ぐらいあつたと記憶いたしております。本年はすでにただいまお話のありました長野県のようなものについて四件ほど現在までに事件が起つております。長野県の天龍川を含むところの長野県下の土木の不正事件につきましては、警察といたしましては、昨年の九月から本年三月までにわたつて非常に長期にわたる捜査をいたしました。その間のこまかい事情については、ただいま手持ちをいたしておりませんですが、私の記憶いたしておるところによりますと、この長野県下の不正事件でたしか贈賄側が十五件、七人、収賄側が二十九件、十二人、収賄の金額が九十五万円以上に上つたように記憶いたしております。その他入札妨害あるいは談合詐欺というようないろいろの事案がありまして、結局身柄で検察庁に送致いたしましたのが十八名、書類で送致いたしましたのが三十二名、かようになつております。その中には県会議員あるいは県の土木関係の職員、村長、建設業者等いろいろの者が含まれておりますが、かような状況になつております。ただいま長野県の捜査についてお話がございましたが、さらにその点は詳細調査をいたしまして御期待に沿いたいと思うのであります。重ねて申し上げますが、われわれといたしましては、土木行政の公正なる運営ということにつきまして、ただいまの御発言でわれわれも非常に心強く存じます。かねてわれわれとしてあくまでも厳正な公共事業の運営がなさるべきものである、この信念によつて今後もこの面の捜査に当りたいと存じます。
  30. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 会計検査院の建設省関係公共事業費を担当しております検査第四局長であります。先ほど来今村委員から長野県の天龍川を中心としたところの私ども実は初めて伺いますような意外な事実のお話がございまして、私ども実は驚いたわけであります。こう申しますと、まことに私どもの検査が行き届かなかつたことについて申訳ないのでありますが、実は補助を受けます相手方の検査というものが、なかなか従来行き届いていない、こういう実情にあつたわけであります。もちろん一通り検査はいたしております。長野県について申しますと、昨年も二十五年の長野県の天龍川の災害は、あの附近といたしましてはまれに見る大きな災害だつたと承知しております。ちようど災害の直後に検査にごく短かい期日参つたのでありますが、当時まだ復旧工事も着手いたしておりませんで、今年現在もすでに予定ができておりますが、七月に長野県の災害補助建設省関係公共事業費の補助というものを中心に相当深い検査をやる予定になつております。これは昨年からほかの県につきまして、この方法を実は実施しているのであります。一昨年まではただ全体をずつと見る、一通り見て来るという程度検査しかやる力がなかつたわけでございますが、昨年からある特定の県を数県選びまして、これに相当の日数と相当の人数をかけまして、深くつつ込むという検査を昨年数県について実施いたしました。これが相当意外な問題も出て参りました。その結果によりまして本年度も数県についてそれをやる予定になつておりまして、その中に実は長野県が入つております。この七月にやる予定になつておりますが今村委員から先ほどいろいろな驚くべき事実も伺いましたので、あるいは場合によりましたらこれを繰上げまして、もう少し早くやつて、できるだけ私どもといたしましても、公共事業費の行方の真相を早くつかみたいと実は今考えておる次第であります。いろいろお話がございまして、二割五分で堤防ができてしまつているというような話は実に驚くべきことでございます。私どもといたしましても、十分真相を調査いたしまして、公共事業費の行方というものを——これも全部国民の税金でありまして、そういうものがそういう方向に流れているとしたら、まことにこれは遺憾なことでございまして、できるだけ早い機会にできるだけ真相をつかみまして、あるいはまた機会がございましたら、この席上で報告させていただきたいと思います。
  31. 中澤忠作

    中澤説明員 安定本部建設交通局の監督課長でございます。安本の監督課としましては、公共事業の監査を主として現地に即して技術的な面からやるという建前をとつておりますが、少し性格が違つておりまして、現地の検査ではなく、むしろ監督という面で施行されておりまして、ニユアンスが少し違つたところがあつたと思いますので、この際御説明さしていただきたいと思います。安本で監督課というものを設けましたのは約三年前くらいでございまして、まだ歴史は浅うございます。やつております任務は、御承知のように、安本で公共事業各般の総合調整をやるという建前になつておりますので、その裏打ちとして認証通りの仕事が行われているか、それから経済効果の面で、その事業が優先性のあるものであるかどうか、あるいは各省の公共事業がお互いに競合していることはないか。具体的に申し上げますと、下流では治水工事をやつておりながら、上流ではそれに悪影響のあるような開墾等の事実がないかというようなことであります。  それからもう一つは、その工事は災害復旧工事でございますが、災害復旧事業に便乗された仕事が行われておりはしないか。いわゆる一般改良事業と災害復旧事業とにおいては、御承知のように、補助率等がぐんと違います。ことに災害復旧事業は定期的なものではなしに、年間に数回起る事業でございますので、そういうふうなことによつて混同されて国費をとつているのではないか。それから中央の安本側でいろいろ説明を受けております各省の指示の通りに現地で仕事が行われているかどうか。なおそのほかに、その事業を遂行するための隘路、たとえば一ころ——最近は緩和いたしましたが、労務資材等の供給というようなことについて、仕事の隘路はないかどうかというような観点から、その事業を現地において監査し、今お話のございました会計等については会計検査院が行いますので、なるたけそういう面で重複を避けているという形でございます。それからなお竣工検査というような性格のものは、これは当然その実施の責任にある各省がこれを行うべき事項であろうかと思いますが、私の方も現地に行つて、そういうようなところに気のついたときにはさらに深く入るということはございます。そういう点で、多少風格が違つておりますやり方をやつておるのでございますが、長野県の事例につきましては、昨年の八月以来まだ行つておりません。私どもの人員構成は建設交通局の四、五十人を大体動員できる範囲で、これは検査院という大きな機構とは大分違つておりますが、私どもはこうして監査した事項を次の公共事業の総合調整に役立てる。あるいは参考資料にする、こういうような事例を参考にして次のよりよき認証に役立てるという役目を持つております。長野の方は昨年の八月災害以来まだ行つておりません。大体私どもやります仕事は、年に一回でございます。これは職員の数の関係もありますし、経費の関係もありまして、各府県または各直轄事業を年一回まわるのが大体のルールでございます。従いまして、現地に行きますのも、各事業現場を各省所管の事業程度の違う、スケールの違う事業というものを行つているのに、今のところ残念でございますが、その程度しか行つておりません。これらの事業結果につきましては、年間につきましてそれぞれ関係方面にも連絡もいたしまするし、会計検査院の方にも報告連絡をいたしております。大体安定本部の事業計画について監査、監督のやり方をお話いたしました。  それからこの次長野県に行く予定は今のところ夏以降になると予定しておりますが、その折また御報告いたしたいと思つております。
  32. 稲浦鹿藏

    稲浦政府委員 災害の起りました場合には、御承知の通りまず査定官を派遣しまして、県で立てました計画を調査検討いたしまして、最後決定をいたします。御承知の通り従来は原形復旧を原則とするということになつておりましたので、その点再び災害を来すような場合も憂慮されておりましたが、このたびからある程度改良を加えてもいいということが認められましたので、さらに万全を期したい。そこで査定官につきましても、査定官制度というようなものを考えて、建設省の技術陣営の総力をあげてやるようにしたいということを現在計画中でございます。そうして竣工すれば、最初決定しました計画書に従つて厳重な竣工検査をいたします。もしこれに間違つた点があれば、やり直しをさせる、あるいはまた非常に著しい変更、あるいは故意に間違つているような場合には、補助を取消すというようなことも従来ある程度つておりますが、将来ともこれに対しては厳正な方法によつてつて行きたい、かように考えております。これは非常に件数が多いものでございまして、一々査定をやるときには、全部各個所々々々に当つておりますが、竣工にあたりましては、全部やるということが非常に手数もかかりますので、部分的な一部々々をやつておりますので、あるいは見落しもあるところもあるのではないかと考えております。これは仕事をする施工者並びに監督者等の道義にまたなければならない。これらの人の教育によるのではないかということも考えておりますので、将来とも一層このことに注意したい、かように考えております。
  33. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 一通り型のような御回答はいただきましたが、これだけではもとより満足できません。まず第一に、さしあたつて疑義の持たれる点をあらためてここにお尋ねしたいと思いますが、まず刑事部長さんにお聞きいたします。一体官吏が饗応を受けて、つまり法に触れるというのはどの程度の饗応ならいかぬか。実は私アメリカに参つてこの点を聞いたのであります。国会議員が饗応を受けるような場合があるが、どの程度ならさしつかえないのか、日本でも実はそういう問題に当面して困ることがある。あなた方はどう考えているかということを聞きましたら、昼飯であるとか、夕飯に呼ばれて行くのはさしつかえないと率直に答えられた。ことにロビーストというようなものがあつて、アメリカでは圧力団体と訳される団体があつて、これがしきりに晩餐に招待する、これには議員はほとんど一つの社交的に出るものとしておる、反対であろうが、賛成であろうが、出て夕飯をごちそうになるということである。ところが、アメリカの夕飯は型通りのホテル、西洋料理とよく言う程度のものであつて、いわゆる常識的な晩餐なんであります。ところが、日本では料亭というものがあつて、御承知の通り芸者もあつて、夕食といつても恐ろしく経費の伴う夕食であります。アメリカにはそれらしいものが全然ないわけではありませんが、まあ大体ない。その一つとして、私は非常におもしろく感じたのでありますが、アメリカでは州の州府というようなところ、つまり州庁の置かれているような町というものは繁栄しておらない。これは社会党の浅沼君なんぞ非常にふしぎに思つて経済的勢力のある町に政治的機関を置くと、経済力に圧迫されるから、比較的小さい町を選んで州の州府をきめたのでありますか、という質問を繰返して各地でした。ところが、アメリカでは偶然に経済的に、いわゆる州政府のあるところは発達しないのだという結論に達しました。日本をごらんなさい。県庁のあるところは必ず栄えます。第一に料理屋も栄えます。政治と酒はつきものだと一口に言われるのはこれじやありませんか。私たちはここを考えなければならぬのであります。そうなりますと、刑事部長さんあたりがいわゆる日本の憲法で民主化された頭の切りかえ方をここでやつていただかなければならぬと思う。先ほど申す通り地方分権で補助金が行く、あとは地方で責任をもつてやる、これはまことにけつこうなことでありますが、その受取つた方が、先ほど来私が指摘するように、至当に使われておらない。県庁のあるところは料理屋が恐ろしく栄えている。小さい市の市庁というようなもののある周囲でさえ栄える。この点が先ほど来私が指摘する、またお尋ねしようとする官吏などはどの程度の饗応を受けたら法律に触れるかということである。まずあなたの一つの例として、刑事部長がどの程度の所信を持つておられるか承りたい。
  34. 武藤文雄

    ○武藤政府委員 公務員が身を持することが正しくなければならないということはお説の通りであります。そこで一体どの程度で収賄になるか。これは個々の具体的問題、そのときの状況等を勘案しておのずからきまるべきものである。あるいは抽象的に申し上げることはかえつて誤解を生ずるかもしれませんが、ただ私が考えます点は、いわゆる社会通念上許される程度ならよろしい。しかしいやしくもそれの度を越すようなことであれば、それが何であろうといけない、かように思つております。
  35. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 そこではつきりしてもらいたいのです。つまり社会通念ということをおつしやつたつて、それじや先ほど事実を指摘した飯田市長が待合におつて官吏を呼んだのはどういうことです。
  36. 武藤文雄

    ○武藤政府委員 具体的に、ことに今のお話でありますが、そのときの状況等をつぶさに承知いたしません。またそれについて今お答えすることはかえつて誤解のもとと存じますので、その点は避けたいと思います。社会通念——抽象的な言葉でございまして、非常に漠としておるということでございますが、しかし従来からの判例等で扱つておる社会通念上許されるかいなかということが基準になつております。私もかように考えております。じや具体的問題でこれが社会通念上許されるかいなかということは、個々の問題について考えてみなければならぬと思います。
  37. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 個々の問題をお聞きしておるであります。私は普通の料理屋であるならさしつかえないのか、待合ならいかぬのか、芸者の出ない程度の晩餐ならいいのか、芸者が出なくてもいかぬのか、そこをお聞きしておる。それからまた実際われわれみずからも、建設委員として各地方を視察に行つて、どの程度のものを受けるならさしつかえないのか、金品にしてどのくらいの額を越えたらいかぬのか、その境目のはつきりしない限り、この問題は必ず繰返すと思う。刑事部長ともあろう人が、社会通念というようなことで逃げておるのが、私は卑怯だと思う。私は真剣にお聞きしておるのだから、あなたも信念を言いなさい。官吏としてのあなたのお考えをお聞きしたい。
  38. 武藤文雄

    ○武藤政府委員 ただいまのお言葉でございますが、事件は、そのときどきの具体的事犯について考えて行くべきものでございます。従つて実際に問題が起つた。これの告発状があつた、あるいは告訴があつた。あるいはまた捜査の端緒となつて、捜査の段階に入つたという場合、そのときの状況、あるいはその集会者の状況、またそれがいかなる動機で行われたか、またその程度がいかなるものであつたかということを、つぶさに調べて決するほかないのでございます。一つの事例をとらえて、それですぐ今即答申し上げることは、かえつて誤解になります。そこで一般の基準としては、われわれが公務員としてしかあるべし、また社会通念上そうあるべきである。健全なるわれわれの良識ある判断にまつて、これを進めるというほかないし、また実際捜査あるいは裁判においても、それが具体的事犯におきまして、それがいわゆる社会の通念上許されるかいなかということが、判断の基準になつております。個々の問題について判断をするほかないということを重ねて申し上げます。これ以上いろいろお聞きいただいても、お答えするのは苦しいと思います。
  39. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 実にけしからぬことを聞いた。ここでお聞きのどなたも、はつきり聞いて帰つてもらいたい。だから日本には共産主義が絶えない。社会通念上で、金持なら料理屋でどんな悪いことをしてもさしつかえないが、貧しい者はただの一回わずかの物を盗んだからといつて獄舎につながれておる。あなたの言う社会通念というのは、どこにあるかわからない、法務総裁に責任を問う。かくのごとき不徹底きわまる者が、刑事部長のいすについておるからこそ、日本を共産主義化するのだと私は言いたい。なぜそれをはつきり言えないのか。私は例をあげておる。待合に役人を呼んでいいかと聞いておるのである。それさえも答えられない刑事部長である。いわゆる役人がああいう料亭に呼ばれておつても、それが買収の形式あるいは官吏の汚職事件に触れたいとするならば、純情な青年はこれを資本主義の恥だと言うのであります。信念のない刑事部長を持つわが日本は、あわれむべきものであります。はつきり信念をお答えなさい。
  40. 内海安吉

    内海委員長代理 こういう問題は抽象的でなく、たとえば待合に呼ばれてどうかというのですから、それは明らかに犯罪であるとか何とかいうことは、ただちに即答できることだと思いますが、その点をもつとはつきり具体的に答弁された方がよいと思います。
  41. 武藤文雄

    ○武藤政府委員 お答えいたします。私が申し上げましたのは、御指摘の例の場合において、それが許されるということを決して申し上げたつもりはございません。その点ははつきり申し上げておきたいと思います。ただ申し上げております点は、われわれは証拠を固めて、これが刑法の第何條に触れる、そしてこれが間違いなく有罪となるという確実な資料を得て、しかる後に検察庁に送る建前を堅持しております。そのためには、はつきりした資料をつかむということが大事でありまして、そのための判断というものは、いろいろそのときの状況というものをあらゆる角度から検討してきめなければならないということを申し上げておるのであります。お説の、待合に行つた、それがしかも買収のような動機で行つたというようなことになりますれば、それは明らかに違反でございます。私が申し上げたのは、そういうものが決して許されていいという意味でなく、ただ証拠を固める上においては、あくまでもあらゆる角度から検討してきめるべきものであるということを申し上げたのであります。
  42. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 次に第一番に、会計検査のことで責任者の方にお尋ねいたします。つまり地方でいろいろ公共関係のもので補助金を受けた場合、この検査は、つまり地方自身が財源があつてやる場合と、何か違うかどうかということが一つ。  それから第二は、これはもう長い政治生活のうちにおきまして、われわれよく聞いておることでありますが、会計検査の人が来ると、見に行かれては困るから、この辺で引返すようにさせるために、あれができましたと言つて、山の向うを指して、帰つて来てしまう。事実をあげろというなら幾つでもあげますが、時間の都合でできないでしよう。そこで私たちは、つまりものができた、よろしい、幾ら使われておるということだと思うのでありますが、その際あなたの方に、ものができたというけれども、一目で見てああできたということで済むものと、先ほど来言う通り、いわゆる至当に金が使われており、技術的な面においても十分できたというものを知るために、一体会計検査には、そういう技術的な面の知識を持つた人が用意されておるのかどうか。  第三番目に、補助金のある部分が、先ほど例にとつたわけでありますが、東京あたりに来る旅費、その他運動資金に消えておる。そのパーセンテージが今言う通り、簡単な言葉で言えば、五百万円もらえば、百万円使つたつていいじやないかという式のことなんですが、一体こういうものは会計検査法からいつて、当然書かれた通りということになれば、先ほど来言う通り、帳面を改竄するとか、事実としてつけていないところもあるのですが、そういう点を原則的なことを聞くのですが、どういうようにあなた方は見ておりますか、これをひとつ聞いておきたい。
  43. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。第一点でございますが、国の補助と地方の固有の経費、これが検査上どういう差があるか、こういうお尋ねでございます。これは私どもといたしましては、国の補助だけしか直接には検査し得る権限を持つておりません。地方の固有の経費というものは、国の補助に最も密接に関係する部分だけを、一緒に不可分のものについて見ざるを得ない場合に検査するにとどまる。その程度であります。従いましてこれは第三の御質問と関連すると思いますが、結局補助金獲得のための経費、これは大体地方固有の経費でお出しになるのじやないかと思います。補助金に直接そういうものをもちろん正面切つてあげることもございません。あるいは工事経費の中にそれを織り込ましてあるというようなことになりますと、これは何か別の作為を必要とすることになります。たとえば請負人に一旦小切手を切つて、これを逆に吸い上げる、こういう方法を必要とすることになるのであります。工事雑費というものは、大体何パーセントと限られております。正式書面の上ではもちろんそういうものは出て参りません。実際の上においても会計検査の方で、多少費用を出したものは、これはわれわれの検査になりますが、実は織り込ましてしまつたというものは、なかなかわかりにくいのであります。談合とかいろいろなことが実際には行われておるようでありまして、そういう不正事実の証拠はあとへ残すこともございませんし、私どもが検査に参りますと、そういうものはなかなか残つておりません。見つけるのが実は困難をきわめるというのが実情でございます。それで工事、ことに地方の県あるいは市町村の工事の実態はつかみにくいのが、現在の状況でございます。それからあの山の向うにどうとかいうお話がございました。これもちよいちよい実はあるのであります。あると申しますのは、長野県で申しますと、たとえば二十三年災害など、おそらく千三百箇所くらい工事箇所があるのではないかと思います。非常に大きいのもあります。先ほど例におあげになりましたのは、大きな工事のようであります。それ以外に非常に小さいのもあります。こういうものを私どもが限られた人数で、限られた日数内に、網羅的に検査するということは不可能なのでありまして、大体現在ではこちらから調書を見まして、こことここというふうに指定してやつておりますから、向うにできたからといつて、ごまかされるようなことは大体ございませんが、時間の関係などで現地に行つて見られない、こういうものが実は非常に多い。むしろ大部分なのであります。私どもが行つて現場を見るというものについては、先ほど裏込めの話が出ましたが、裏込めを掘り返したこともございます。堤防の長さを測量したこともございます。それから水の中に入つていた目盛りの長さをはかつたこともございます。そういう相当こまかい検査をいたしますが、たまたま不正のありますものに私どもが行きあたる機会が、実は非常に少い。千三百箇所一年に災害がございますと、一県についてそんなにもあるのでありますから、これはなかなか私どもが何パーセントも現場を見ることはなかなかできないのであります。はなはだ遺憾でありますが、実情はそういう状態になつております。
  44. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 なかなかありのままの回答で、まことにわが意を得ている。そういうことがいいのです。それでそれをどうするかということで、われわれは法律なり制度にしたいと思つておる。山の向うが見えぬのは当然なんです。だからこれをどうかえて行つたらいいかということをわれわれは考えておる。そこでちよつと聞きたいのは、技術を検査する場合には技術者を連れて行くのですか。
  45. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 失礼いたしました。もう一つつております。技術の面に関係する会計検査と申しますと、これは現在は土木の例が出ておりますが、土木以外にも非常に多い。建築もあります。電気もあります。機械もあります。それで全部の技術者を会計検査院に置くということがもちろん理想でありますが、実際上そういう人もなかなか得られません。それで私どもといたしましては、大体公平な意味で大学の教授、そういう方に鑑定をお願いするようなことが多いのであります。ただ土木建築につきましては、これは非常に取扱う案件も多うございますので、検査院に専門家が数名おります。ただ日本中の土木工事を——災害にしても非常に数が多いので、この数名の技術者に全部現場を見せるということは、これは事実上不可能であります。それで案件がございますと、帰つて来て、その実際検査に参りました者が一切の資料を出しまして、自分たちの見た結果、それの事実に基く判断というものが間違つていないか、こういうような点の判定を求めて、検査の進行をして行く、これが現在の実情でございます。
  46. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 続いて安本の方に聞きたいのですが、安本では私たちが考えるような意味の技術的な検査ということは考えておらぬ。いろいろな総合的な立場から、経費がいわゆる適正に使われておるかどうかを見ておられるようであります。その際今各官庁があつて、それぞれの立場でやつておるのでありますから、工事に不正なことありといえば、いわゆる経理部長なり何なりから安本の方に連絡して、安本から技術的な検査会計検査院の方に連絡して、そこで総合的な検査が行われると不正が防げる。絶滅というまでは行かなくとも、少くすることができると思う。ところが従来は実際に横の連繋をして、公共事業費が至当に使われたかということの検査というか、努力というものが行われたかどうか、この点をひとつお聞きしておきたい。
  47. 中澤忠作

    中澤説明員 御意見の点はまことにごもつともでございまして、横の連繋について、私ども自身非常な疑問というか、行政上もう少し行われなければいけないのじやないか、これをよくする方法についてはどうしたらいいだろうかということを、実は私どもの絶えざる研究課題にしておるのでございます。  ついででございますから申し上げますが、今建設面の検査というものに関連のある省が、会計検査院、それから安定本部の監督課、大蔵省の財務監査、これは地方財務部というものがありますから、それにも関連して行われております。それから労働省が労働基準監督署を通じて労務者の面の検査をいたします。それからごく回数は少いのでございますが、行政監査部、それからまだほかに職員関係で人事院、こういう中央機関、あるいはそれの出先横関で行われております。それで大きな検査という面で行きますと、各省自体が実施するのでございますから、各省自体が会計法等に準じて自主的に数量検査等は一番行うべき当の責任者だと私は考えておりますが、中央機関の行つておりますいろいろの情報の交換については、私どもは今お話のように十分だというふうには考えられないのでございます。私ども今御参考に持つて参りましたが、公共事業の批判というものを昨年初めて出しました。いろいろの公共事業に伴う批判——と言うと、いかにも客観的な、第三者的な無責任というようなそしりも受けるかもしれませんが、私どもの意図しました意味は、そういうことじやなしに、実際この仕事がこういう欠点を持つておるのじやないかという疑問、自分自身の研究課題と同時に、関係機関の連絡をはかつて御研究を願う。何々村の何々地区についてはこういう点があつた、私どもの判断ではつきりとつかみ得たものは結論をあげ、各実施官庁がそれについて再検査をすべきだという性格のものは、各省にこれを私どもの意見を申して回答をもらう。それから、会計検査院にも送り込むというふうな連絡方法を今とつておるのでございます。しかしこれらの各方面の検査というものは、非常に多岐にわたつておりますので、一つの現場でこういう各方面の検査を受けるということについて、作業能力の阻害という面も、一つの悪弊として生じておるのは、私どもとしてよく認識しておるのでございます。どうしてそういう競合面をなくするようにした方がいいかということを、私どもとしても考えたいと思つておるのでございます。しかし今私どもの頭では、それがどうあるべきかというようなことについての、的確な一つの具体策を持つまでには至つておりません。回答になりますかどうかわかりませんが、一応申し上げます。
  48. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 最後一つ建設省にお聞きしたいのです。何といつたつて、大部分建設事業のことは建設省に集まつておるのでありまして、また集むべしということを私は多年主張しておつて建設行政の一本化を主張しておる一人であります。実は社会党内閣のころ、私は時の片山総理にも、利根川決壊の緊急質問の際に、建設省を設置して一元化をはかるべきではないか、技術動員をはかるべきではないかということを質問しております。その意味から建設省はどうしてもしつかりしてもらわなければならぬという結論になつて来ると思う。そこで先ほどまず査定官を送つて、災害を査定して、ようやく改良が加えられるようになつて、原形復旧以上になつて来たということでありますが、竣工検査をする、こう言つておりますが、これは随時行つてやるというものであるのか、進行中監督を兼ねて、検査もして、常時その場所におるようになつておるのか、この点がやはりはつきりしませんし、同時に不完全だという感じを受けるのでございます。先ほど松井災害対策委員長なども言う通り、ああいうような裏込めがうまく行つておらぬということは、工事中、指図書というか、設計書通りつていないのじやないかということを、その都度監督しながら検査をし指示する、そしてこうしなければ通るものではないぞということが言われなければならぬと思う。私たちそれを聞いてみると、実際は一ぱい飲まして口を合してしまつたのだというようなことを聞くのでありまして、やり直すよりは飲ましてしまつた方が早い。刑事部長からもその点をはつきり聞くのであります。つまりあらためて設計したり、やり直したりすることはむずかしいから飲ます手に出てしまう。そうすると設計通りでないものができてしまう。そこでどうしても竣工検査というものがはつきりして来なければならないと思うのであります。技監としてこれについてひとつ現状のありままのものと、この点は経費をふやして適当な技術者を置いてこういう検査をすれば未然に防げるといいますか、ある程度適正に行くのだというような——最近アメリカを見て来ておられることでもあるし、何か相当信念的なものがあると思うので、それをお聞きしたい。もしそれがないとしたら、私が先ほど言つた通り、この一つの例をとつてみても、今まで通りのことを繰返したり、この公共事業費のうちの大半がむだに使われておるとは言いませんが、適正に使われておらぬ感があまりに強いのでありまして、これに対する適正な制度なり、法律を設けなければならないという考えが強くいたすのでありますが、ひとつありのままと、あなたの所信、多少経費をふやして、人を多くすればできるであろうということがあつたらば、それを披瀝していただきたい。
  49. 稲浦鹿藏

    稲浦政府委員 中間検査をできるだけやりたいと思うのですが、御承知の通り手が足りないものだから非常に中間検査が不完全で、仰せの通り手を抜いておつてもわからないことが相当あります。そして竣工検査も、先ほど申し上げましたが、千何百というものを全部竣工検査をすることは、現在の建設省の陣容ではとてもできません。そこでその監督は県の土木部に信頼して監督させておるのであります。現状としては、まことに遺憾ですが、その程度以上どうしてもできません。そこで災害を再び繰返さないように建設省としてはどうしても考えなければならない。それには恒久対策と応急対策と二つあるのでありますが、恒久対策というのは、私が申すまでもなく、御承知の通り治山、治水と、さらに近ごろ考えてぽつぽつ実行しております、いわゆるフラツド・コントロール、この三つの方法でもつて治水計画を確立したい、かように思つて現在計画中であります。また実行に移つておるものもあります。しかしこれは経費の関係上早急にとてもできませんので、応急対策という形でできるだけ重点的にやつて行きたい、こういうような方法考えております。そこでさらに応急的な対策につきましては、水防の強化をやりたいと思つております。水防法もできまして、気象通報等によつて各河川について完全な水防計画を立てて行きたい。これも十分検討しておるのですが、経費の関係で各河川に水防組合、あるいは水防隊というものをつくり、これを訓練することはとてもできないので、さらにわれわれがその予算の獲得に努力しておる次第であります。そしてできるだけ未然に災害を防止したい。もしそこで災害が起つた後においては、先ほど申し上げましたように、ある程度また相当な改良を加えて二度と繰返さないようにしたい。  そこで工事内容でございますが、今村委員御承知の通り、アメリカでは非常に厳正な仕様書をつくつて、科学的にあるいは技術的にその仕様書によつてつておりますが、現在の日本の現状をもつてして、財政状態から、また技術者の状態から、あの程度までどうしても日本として到達したいということに努力しておりますが、現状としてはそこまで到達しておりませんので、今後の問題として努力して行く決心で今進んでおります。さような次第でございますので、結局要は経費と陣容の問題、それから技術者の信念、それからこれを施工する者の道義心ということによつて目的が達成するという私はかたい信念を持つておりますので、時に触れ折に触れてそうした方向に向うべく努力しております。
  50. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 私の聞こうとするところが不十分なのですが、つまり技術者が足りないから竣工検査が不十分だということで、まあそれだけで全部かもしれませんが、ここがかなりの要点をなすと思うのであります。そこでどうしてもこの際付随して技監の御意見を聞いておきたいのでありますが、日本における請負制度というものに改革しなければならぬ点があるじやないかと思うのであります。ここにも不正弾圧の問題が長野県で取上げられておるようでありますが、この話の様子ではいわゆる談合金というものが相当の額を占めている。二割とか、ときには、多いときはそれ以上に越えるようなものが、請負業者をきめるまでに消える。それからあるものを請負すると下請にやらせて、下請のピンはねは二割があたりまえで、三割とるのがある。談合に二割とつてピンはねに二割とつて下へ落すと、それは当然不十分な仕事になる。なおこれはひどい実例で検察当局また会計検査院の研究にまたなければならぬと思うが、飯田では焼けたあとの都市復興を市が直轄でやる、直接工事としてやるということにいたしまして、実はどういう実情であつたかというと、市会議長が請負師で、それが仕事を下請にやらしている。つまり市会議長で請負師なる人が同業者幾人かに仕事をわけてやる。それが先ほど申しましたように、幾らか知らぬがピンをはねて、飯田復興ために一財産つくつて、参議院に打つて出て七百万円使つてもびくともしないというような金ができたと言われておるのであります。でありますから私は日本の請負制度というものは改めなければならぬと思う。そしてそういうものが何かひつかかつて犯罪者になると、たいがい社長くらいを引退して、実際は取締役会長になつて、依然としてその会社は不正入札とか不正請負というような、いろいろな形でやはりその会社なり個人なりが続いておる。かような犯罪を犯した会社なり個人なりは、親子三代ぐらいにわたつて公共事業を請負うことができぬくらいな罰則というか、法律をつくつてもいいのではないか。東京のある新聞に出ておつたことですが、一中学生が、釈放と執行猶予というものを見るとうんざりすると言つて、不平の声か何かに出しておりました。たいがい大きな会社とか、大きな事業家は、つかまつても釈放、刑がきまつて執行猶予、そして依然として栄えて行く。一方わずかな滞納のために家財を差押えられて自動車に積まれて行く姿を見たときに一体何と思うでありましようか。この中に先ほど言う通う共産主義が芽生える。われわれは共産主義になつた人たちは同情すべきだ。この根本を断たずして共産主義者を弾圧するのは気の毒だと思う。そう考えて来ると、そのうちの一つの大きな事例として、私は請負制度が今のようなものであつたならば、これはどうしても改めなければならぬという気がするのです。これを技監としていろいろな問題に長くしかも御経験を持つあなたとして、今の請負制度がこのままでいいものかどうか、この点をひとつお聞きしておきたい。
  51. 稲浦鹿藏

    稲浦政府委員 請負の内容につきましては、今村議員は非常に詳しく内容を御研究なさつておりますので、私は申し上げませんが、今言われたようなことが相当あるということを聞いております。  請負制度としましては、現在の請負制度が日本で万全であるとは私は考えておりません。技術的にもこれから努力して向上しなければならぬ、また道義的にもいろいろな慣習もありますので、そうしたものを最も完全な組織にしたい、かようなことを念願しております。それにはいろいろ建設業法とか、あるいは建築手続法とか、あるいは公務員の工務士とか、あるいは建築士とか、いろいろな法律がぼつぼつつくられておりまして、国民全体がこうした気分になつて、だんだんと改善されて行くことを念願しておる次第であります。アメリカのような相当進んだ制度には現在まだなつていない。だから先ほど申し上げたような科学的な、また技術的な厳重な組織がつくれないというところに、非常に遺憾な現状にあると私は考えております。ぜひこれはもう少し改善して安心して仕事をまかせて、いろいろ御批判を仰がないようにぜひやりたい、私としてはそうした考えを持つております。
  52. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 最後一つ委員長の所信を承つておきたいと思います。その前に刑事部長武藤氏にお願いしておくのは、一体さつきの工事費の七割五分が消えて、二割五分になつたというのは、その当時の調書でわかるものかどうか。これは実に真剣にきわめなければならぬ点だと思いますので、今委員長に所信を承りますから、その終りまでにひとつ用意していただきたい。そこで委員長に一つ、私は二回にわたつて質問を続けましたが、結局どうしても私は補助金の問題をまず予算編成の上から研究してみなければならないような気がします。同時にこの建設費を、ことに補助金が——先ほど、言う通り地方の税金で地方でまかなつておるものは、会計検査院が手をつけぬらしいのでございまして、つまり中央から補助金として行つておるものについてのみ見るとおつしやられる。ここに先ほど来言うギヤツプができる。つまり中央から補助金をもらつて来る。しかるに実際は中央からもらつた金だけ使つて帳面だけ直しておる。こういう想像ができるようなことが行われておるような気がするのであります。そういうことでありますと、どうしても私は根本的に直して行かなければならぬ。これは役人を責めるだけでは無理だと思う。これは立法の府にやはり一斑の責任がある。そこで私はどうしても最後の結論を得るためにも、これらの関係省の事務次官の人に全部揃つて出てもらいたい。それに予算編成上の所信を聞きたいから、大蔵事務次官も加えてもらいたい。そして同僚諸君に御相談申したい。どうしてもこれは制度の上で直すか、法律の上で直すか、何かしないと、このまま継続しておりますと、さつき言う通り、技術面の検査といつても不十分であるし、会計検査といつてもそれは届かぬのだから、地方のそれぞれの人がそれぞれにものを考えて民主的にやつてくれるべきであるが、実際は今の通り続けておる方が、実行がうまく行くのじやないか、少しは金を使つた方がうまく行くのではないかという、地方的な事例を考えた場合に、そういうことが起るのであります。そういうことを考えますと、日本の政治過程といいますか、やはり制度の上か法律の上で、何かわれわれ建設委員会としても考えるべきだと思うのです。これは行政面だけを責めるのではなく、立法の面において当然この点が考えられなければならぬと思うのです。ぜひわれわれ委員としても知りたいと思うのであるから、今お見えくださつたところの関係省の事務次官とでもいうような方、それに大蔵事務次官にも出ていただいて、われわれの今まで研究して来た、ことに私の質問したり研究いたしました点について、いわゆる行政面の事務担当責任者の最後の所見を聞いて、われわれとして大いに研究して、制度の上か法律の上で何とか処置すべきじやないか、こういうように考える。委員長にさようにお認めいただけて、同僚諸君の御賛成をいただければ、ぜひこの質問をいま一回今の形において続けたいと思うのです。
  53. 内海安吉

    内海委員長代理 今村委員の御要望ごもつともと思います。適当な機会において大蔵、建設その他の事務次官を招きまして質問を継続することにいたします。
  54. 田中角榮

    田中(角)委員 今村君の質問に関連して、会計検査院から第四局長が来ておられますから、ちよつとだけ会計検査院の行き方ということにつきまして私の意見を申し上げますから、お聞きいただきたいと思います。今村君がいろいろ事情を述べられましたが、私たちも、公共事業として尨大なる国費の支弁に基く諸工事の遂行ということに対しては、多大な関心を持つておるわけであります。これらの遂行上にいろいろなトラブルが起きておるということも事実でありますし、これが改善に対して建設委員会でも長いことを研究もし、これが結論をつけたいということを考えておつたわけでございます。ところが大体こういう面の是正ということを考えた場合には、検査を多くすればいい、こういうことが一般常識考えられるわけであります。その意味におきましては、現在災害復旧工事等においては町村の検査を行い、府県の検査を行い、所管官庁と建設省の検査も行う。なお共管事項に対しては各省の検査も行うわけである。なお予算執行面を見るために財政監査という意味で、大蔵省からも検査を受ける。その上なおそれでも足らず、経済調査庁の権限を拡大して調査を行う。これがためにまつたく書類の整備、書類の調整、検査に対する準備工作を行うだけで、実際工事が行われないというのが現在の公共事業の現状であります。私はその意味におきまして、専門的の立場から考えて、より合理的に会計検査を行うためには、会計検査院が権限を拡大する以外にない、こういうふうに考えておる。これは私の持論として長く決算委員会、建設委員会を通じて会計検査院の方々に申し上げておるわけであります。もちろん憲法に規定する国の支出に対する会計の最後検査権限は会計検査院にあるわけであります。私も過去から何回も申し上げておる通りに、今村君の言うところの立法上何とかしなければならぬ、行政の欠陥があつたならば補わなければならぬということは、私はもう簡単にできると思うのです。これはいわゆる会計検査院の最終確定というものを国会に持つて来ればよろしい。こういうことをうんと言つておるのですが、現在の憲法上においては疑義がある、こういう憲法学者の一部の論がありまして、私も決算委員会で多年論を吐いておりながら、これがなかなかその運びに至らない。私はその意味で決算委員を続けておるわけでありまして、当然新憲法の精神からいうと、会計検査院が監査をしたものは国会に承認を得るために送致されるのではなく、最後の確定は国会においてなさるべきものである。もちろん承認案件ではなく議決案件でなければならぬということを考えておるわけです。現在の会計検査院は申すまでもなく違法性をただ摘発するということだけでありまして、先ほど刑事部長が言われたように、実は違法性を摘発するだけでありまして、会計検査院は会計検査という意味から申しますと、刑事部長が言われる立場と非常によく似ておる。だから違法でなければいい、こういうことが各工事について言われておるのですが、このために実際会計検査というものが、現在会計検査院の機能ででき得る範囲を糊塗するに足つておるということを考えておるわけです。私は経済調査庁の一部改正法律案などに対しては、全力をあげて申し上げましたのは、あの機構は当然会計検査院の権限拡大、機構拡大のために合流せらるべきものだ、できることならば、今村君が先ほどから言われた通り、場合によつてはその筋その筋の専門家を入れて、いわゆる会計の違法性だけをただすのではなく、技術的な面も会計検査院に包含せられることが、憲法上の会計検査院のほんとうの使命を達成するゆえんではないかということを考えているわけです。だから私が最後に申し上げたいのは、今あなた方がやられておる会計検査というものは、一月、二月、三月、四月、もう五月になつても行われておりますが、これは非常にこの制度に対しては考えなければならぬ。運用に対しては厳重に検査会議にかけて考えて行かなければならぬ。というのは、違法であるかどうかという問題ばかりをやりますために、設計変更その他時宜を得た処置を行つたものについても、設計書といわゆる現場を合せるために、書類を何十回となく三箇月、長きは六箇月にわたつて会計検査院に批難せられないためにつくりかえておる。書類をつくることに人をかかえるので、人件費がふえておるのです。これは事実いなむことがでさない。私は現段階を十分熟知しております。だから共産党の諸君がよく言う、工事場では建設省の連中を表面的に減員しても、実際ははかま人夫として使わねばならない。このようにしてはかま人夫まで使わなければならないということは、会計検査院検査に合格するためにのみの厖大なる書類を、一字一句間違いないようにつくらなければならぬというところに原因しているのである。実際根本的な使命である工事の検査を行うというよりも、会計検査院がこわいばかりにそういうことをやつておるのであります。だからそのマイナスを何とかして補うために、官庁の権限の紛淆を来してさえも経済調査庁の権限を拡大しようなんということを言つている。だからここで会計検査院をもう少し有機的に活動できるように考えればいいのです。旧法下の思想をどうも脱却されてない。会計検査院は特に四人の検査官の方々が愼重に考えておられるのでありまして、その事情はわかりますが、これはもう勇奮内閣に対しても、議会に対しても、会計検査院の陣容及び権限の拡大を要望せられるように私は願いたい。そうしてもう一つは災害費国庫負担の法案の内容を見られても、まつたくばかの一つ覚えのような原形復旧という愚にもつかないことばかり叫ばれておつた。これが原形復旧というものは国費をむだに使わないということが原形復旧の定義になつたようでありますが、その他あなた方会計検査院も旧憲法下つちかわれておられるところの、字句と設計書及びそういう書類上にのみ違法性を指摘するような、会計検査のやり方よりも、真実この工事は国費の投下に対して沿つておるかおらないかということまでも見るように、ひとつ運用を持つてつてもらえないか。これは現在の会計検査院法に対しては、相当の疑義がありますが、あつたら改正すればいいのです。もちろん憲法改正々々々々と騒いでいるのは、再軍備問題だけではありません。私はそういうときこそ会計検査院の権限を大いに拡大強化するように、憲法改正を行いたい考えを持つておるのですが、特に公共事業等に対しては、今村君の言われたように、いろいろな悩みがあります。これを補うためには、現実的な会計検査院検査ということも、ただに会計法の違法性を摘発するのみならず、もう少し現実的なお考えにおいて、所管官庁であるところの建設省係官とともに現地を視察せられて、会計検査というものはこういうふうにするのだから、その趣旨をはき違えないようにというくらいの御親切な指示をいただければ幸甚である。ひとつお帰りになつて検査会議にかけていただきたい。
  55. 内海安吉

    内海委員長代理 建設行政に関する質疑は、本日はこの程度といたします。     —————————————
  56. 内海安吉

    内海委員長代理 次に特別都市計画法の一部を改正する法律案内閣提出第一六三号を議題といたします。  前会に引続き質疑を継続いたします。昨日の村瀬委員質疑に対し、当局より答弁いたしたき旨申出があります。この際これを許します。八嶋政府委員
  57. 八嶋三郎

    ○八嶋政府委員 昨日村瀬先生から、非常に実際について統計にわたつて御質問をいただきまして、ずいぶん勉強させていただいておるのであります。昨日の御質問の点につきまして私どもの考えております点を簡単に申し上げてみたいと思うのであります。  昨日の御質問は、いわゆる分割交付の利子の支払いの時期の問題であつたと思うのであります。これは今回の法律改正におきまして、いわゆる分割交付の制度を認めましたのは、現在の法律では分納制度というものが実施せられておるのであります。この分納を認めておるために、分割交付の制度を認めることは、どうしてもつじつまがとれぬではないか、従いましてその時期に至りましても、事業施工者が分納の申出がありますれば、これを許可することになりまして、それに対して一体いつまでに分納すべきかということと、分納の金額をつけて出すことになつておるのであります。それを歩調を合す意味において、分納の時期と歩調を合す時期を指定いたしまして分割交付を定めて行くべきものであろうと実は考えておるのであります。各都市における実情がいろいろまちまちであるじやないかという御質問でありましたが、この点は各都市における事業の施工の状況がいろいろ違いますので、これは違わざるを得ないのであります。御趣旨の点はすみやかにそれをやらせるようにしろという御趣旨だつたと思うのでありますが、その点につきましては私ども御同感でございます。地方に対しましては、通牒をもちましてその点を指示したいと思つておる次第であります。  なお換地予定地を指定した際におきまして、従来のところについては、自分が使用収益の権利を失うことになつておるわけであります。ところが新たなる地点につきましては、自分が使用収益する権利を獲得するのでありますが、自分の行かんとするところは、他人がまだ土地を持つているために、移転ができないというような場合等におきましては、そういう使用収益の権利があるにかかわらず、それができない場合には、損失補償の規定がございますので、その規定を働かすことによつて、その点の調節をはかつて行きたいと考えておる次第でございます。
  58. 村瀬宣親

    村瀬委員 御説明で次第にはつきりして参つたのでありますが、事業者が分納の申出があつた場合に、それを許可し、同時にその分納に呼応して分割払いの利子をつけるということが合理的だと思うのであります。ただ、ただいまの御答弁にもありました通り、私の質問の要点といたしましては、事業者がかつてに自分の都合で分納分割の事期を延ばすというようなことのないような処置をこの中に加える方法があれば都合がよいというのが、私の質問の主眼点であつたのでありまするが、今八嶋政府委員の御答弁の中に、それはしかるべき通牒等によつて、むやみにそういう遅れるということのないようなはからいをしたいという御答弁でありますので、私は一応了承ができるとは存ずるのでありますが、しかし、なお一層その時期を早める意味におきまして、特に適当な方法をとられるように要望をしておきたいと思うのであります。  それから、これは全然問題が別なことでありますが、二ページのまん中のところに、国税滞納処分の例により滞納処分を行う場合においても、公売はこれをすることができないということがあるのでありますが、公売をしないで滞納処分を行うというのは、具体的にどういう場合を指すのでありましようか。
  59. 八嶋三郎

    ○八嶋政府委員 これはまだ清算の過程における仮清算の状態でございまするので、清算の時期に至りましては、結局はこの滞納処分による公売の問題は出て来るだろうと思うのでありますが、その途中の段階におきましては最後の精算においては、あるいは多少金額が違つて来るかもしれない、そういう意味において、この公売の問題は、途中の段階においては行わないということにする方が妥当ではないかという意味において、こういう規定を入れたのであります。
  60. 村瀬宣親

    村瀬委員 私もその点は同意見でありまして、そうすべきと思うのでありますが、つまり公売を伴わない滞納処分というのは、具体的にどういう例の場合にあるのですか。
  61. 八嶋三郎

    ○八嶋政府委員 御承知の通りに、国税滞納処分のやり方は、督促をいたしまして、差押えをして、その後において公売をするという形になるのでございますが、仮清算の段階においては、その督促、差押えまではするが、公売だけはやらぬ。最後の精算の場合において行う、こういう趣旨において書いたのであります。
  62. 田中角榮

    田中(角)委員 動議を提出いたします。本法案につきましては質疑も大体終了したようでありますので、これをもつて質疑を終了、討論に入られんことを望みます。
  63. 内海安吉

    内海委員長代理 田中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 内海安吉

    内海委員長代理 御異議なしと認めます。よつて質疑は終結いたしました。  これより討論に入ります。討論の通告があります。池田峯雄君。
  65. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 私はこの法案に共産党として反対するものであります。  特別都市計画法による実施状況を見まするに、要するに運用道路ともおぼしきよううな広い道路をつくつたり、あるいは官庁敷地をつくつたり、あるいは広場をつくつたり、そういうことのために、人民の家屋を強制的に立ちのかせ、あるいは土地を強制的に収用する、こういうようなことが至るところに行われておるのでありまして、この法律はこの都市計画が施行されておるところの多くの住民にとつて非常な苦痛を与えておるものなのであります。問題はその家を立ちのかせ、あるいは土地を収用する場合の補償という問題でありますけれども、これは最近問題になつております、小貝川つけかえ問題——大きな問題になつておりますれども、この家を立ちのかされる人たちに相当の補償をする、上流の人たちも、その人たちに対して補償をする、だから納得してもらいたいということを言つております。これに対して家を立ちのかされ、あるいは土地を収用される人たちがどういうことを言つているかと申しますと、これは夕刊毎日新聞に出ておりますが、こう言つております。今まで補償を受けて家を立ちのかされ、あるいは土地をとられた者が、現在どういう生活をしているかということを見てもらいたい。あの人たちの生活を見ればわかる。だから自分たちは決してこの家を立ちのいたり、あるいは土地をとられたりということはできない、こう言つておるのであります。五万あるいは十万の補償金をもらつても、しかし十年たち二十年たつた場合には、もうどうにも食べることができないというような困窮の状態に追い込まれておる。従つて目先五万十万もらつてもどうにもならぬ、こういうことを言つておるのであります。こういうところを考えてみますと、これは社会制度の根本問題にぶつかるわけであります。すなわち現在の日本のこの社会制度、経済制度、政治制度、ことにこの根本問題にぶつかつて来るのでありまして、本法案もやはりこういう根本的な問題を解決することなくしては、住民の苦痛をますます増加せしめる以外の何ものでもない、こういうことが考えられる。従つて特別都市計画法というものは根本的に人民の利益の上に立つて解決しなければならないのでありますが、本改正法律案は明らかに改悪でございまして、そういう点から私どもはこの改正案に反対するものであります。
  66. 内海安吉

  67. 村瀬宣親

    村瀬委員 私は国民民主党を代表いたしまして、特別都市計画法の一部を改正する法律案に強い希望を付して賛成の意を表するものであります。  日本が戦いに負けまして、何一つ子孫に残すものはありませんが、百年の後の将来に至つてただ一つ、これは戦争のためにこうなつたというものが残るといたしまするならば、それはこの特別都市計画のみであると思うのであります。われわれが北京その他いわゆる昔からの都市計画を見て参りましたときに、かつての日本は火事があるか非常な天災でもなければ、この日本の都市が直ることは永久にないと考えられておつたものであります。非常に不幸な敗戦という事実ではありましたが、この戦災によつて、一応百十数都市が面目を新たにして、再出発をしようというこの特別都市計画というものは、これが完全に行われまするならば、ただ一つ戦争の結果として子孫に残す悲しい一つの贈りもの、またりつぱな贈りものとなるものと思うのであります。ここにおきまして、われわれは情熱を傾けて、この特別都市計画の一日も早く完成せんことを念願いたしておるのでありますが、実際の特別都市の復興状況を見まするときに、その換地予定地の指定はありましても、その後における清算事務がほとんど放擲された状態にありまするために、市民に非常な誤解を与え、また実際の生活上の大きな障害不便を与えておる例が非常に多かつたのでありまして、これが特別都市計画施行上の重大な障害となつてつたのであります。今回提案せられておりまするこの法律案は、清算金を徴収する場合に、従来分納制度を認めておつたのに対しまして、清算金を交付する場合においても、分割交付の方法を認めるとともに、換地予定地の指定に伴い、土地所有者間における換地割当の不均衡を、なるべくすみやかに金銭をもつて清算するため、概算徴収及び概算交付の方法を講ずる目的によつて、この改正法案が出されておるのでありますから、その着想、その運用よろしきを得れば、非常にこれは特別都市計画に貢献をするものと存ずるのであります。ただ私が特に強い希望を付して賛成すると申しますのは、確かにこの改正案は一歩を進めたものでありますけれども、まだなおなまぬるい点もあるのであります。むしろ理想といたしましては、換地予定地の指定と同時に、必ずこれら概算徴収及び概算交付の方法を講じまして、その換地予定地がきまつたと同時に、多くを与えられたものは金を出し、わずかしか与えられないものは、ただちに金銭によつて賠償してもらえるという現実の事実が目の前に現われて参りまするならば、区画整理に当つてもろもろの問題を起しておりまするあのいろいろな障害事件も、必ず半減すると思うのでありますが、本改正案では、まだその点が必ずしも明確になつておりません。政府委員の御説明によりますると、それは通牒によつてできる限り早くこれらの清算を講ずる方法であると言われておるのでありますが、本法運用にあたりましては、換地予定地の指定を早めると同時に、指定のあると同時にできる限り早くその清算を実施できまするように、格段の御注意あらんことを当局に要望いたしまして、私は本法案に賛成の意を表するものであります。
  68. 内海安吉

  69. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本特別都市計画法の一部を改正する法律案につきまして、希望を付して賛成するものであります。  要点は今村瀬委員からも申された点でありまして、第二十一條中の「前項の規定により清算金の分納を認める場合には、第六條乃至第八條の規定により換地を交付しないで清算する場合又は土地について存する権利を消滅せしめて清算する場合を除き、交付すべき清算金について、政令の定めるところにより、利子を附してその分割交付をすることができる」となつておるのでありますが、その期日等が明確に本法文の上に規定せられておらないのでありますが、これは立法技術上多少困難な点があることを了承いたしますけれども、政令を定める場合、またこれを運用する場合において、清算金及びその利子を受ける方の不利益になるようなことのないよう、できるだけ早く清算金、利子等が交付できるような処置を講ぜられることの希望を付して賛成するものであります。
  70. 内海安吉

    内海委員長代理 お諮りいたします。これにて討論を終結いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 内海安吉

    内海委員長代理 御異議なしと認めます。よつて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  72. 内海安吉

    内海委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  お諮りいたします。本案に関する報告書の作成並びに提出手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 内海安吉

    内海委員長代理 御異議なければ、さようにとりはからいます。  ただいま内閣委員会において審議中の利根川開発法案につきましては、内閣委員会に連合審査会の開会を申し入れたのでありますが、内閣委員長と協議いたしました結果、明二十三日午後一時より開会することに決定いたしましたので、御報告申し上げます。ぜひ御出席になつて意見を述べられるよう、委員長からもお願い申し上げます。  次会は明後二十四日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十六分散会