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1951-05-17 第10回国会 衆議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十七日(木曜日)     午後二時三十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 内海 安吉君    理事 鈴木 仙八君 理事 田中 角榮君    理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君       淺利 三朗君    上林山榮吉君       小平 久雄君    内藤  隆君       西村 英一君    福田 繁芳君       増田 連也君    池田 峯雄君       寺崎  覺君  委員外出席者         建設事務次官  中田 政美君         建設事務官         (管理局営繕部         第一課長)   江ケ崎太郎君         建 設 技 官         (管理局営繕部         長)      大村巳代治君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      小峰 保榮君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 五月十七日  委員河田賢治君辞任につき、その補欠として池  田峯雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月十五日  特別都市計画法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一六三号)  官庁営繕法案内藤隆君外十五名提出衆法第  五三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  官庁営繕法案内藤隆君外十五名提出衆法第  五三号)     —————————————
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより会議を開きます。  官庁営繕法案内藤隆君外十五名提出衆法第五三号を議題といたします。この際まず提案理由説明を求めます。内藤隆君。     —————————————
  3. 内藤隆

    内藤(隆)委員 ただいま議題となりました官庁営繕法案につきまして、提案趣旨内容の概要を提案者を代表いたしまして御説明申し上げます。  新しい憲法のもとで、国民の公僕として愛され、親しまれ、かついい援助者として再発足した公務員が、その与えられた使命を達成するためには、その執務場所の環境、位置構造配置等が非常に影響するところが大であることは申すまでもありません。しかしながら、現状戦災のため、あるいは客観的要請等によつて著しくその執務する場所、すなわち庁舎を失い、そのために既設庁舎の過度にわたる利用、民間建造物借上げ、あるいはバラック式応急簡易建造物建築によつて当面を糊塗して来たのでありますが、かかる現状では、公務員本来の使命を達成するには不十分であり、借上げ建造物については、民間に非常な迷惑をかけており、また応急簡易庁舎は火災の頻発と損害は著しく高率で、公衆に及ぼす迷惑及び国費の濫費も少くはない実情であります。  さらに庁舎建築修築及び戦災復旧等にあたつては、官庁機構に災いされて、各省、各庁がおのおの独自の立場で計画をなし、実施して来たので、官庁建築物現状は、まつたく無秩序で著しく乱雑になつており、さらにまた各省、各庁独自に計画、実施するために、各個にその営繕要員を持つに至     ————————————— り、国費浪費、時間、労力、資材の浪費もはなはだしいありさまであります。これらの国費支弁に属する庁舎のまちまちな建築修築復旧管理等を整理統合して、かつ公務員使命にふさわしい健康的な、能率的な、そうして保安上欠陥の少い恒久的ないしは半恒久的庁舎建設を促進して国民の期待にごたえると同時に、国民に親しみやすく便利なものとすることは、目下の急務と信ずるのであります。  翻つて諸外国のこの種の事例について調査いたしてみまするに、特に米国におきましては、官庁営繕事業維持管理事業、さらに官庁庁舎、部屋の割当に至るまで統一機関において適正に実施して、真に市民に親しまれる庁舎として能率を上げているよう状態でありまして、私たちといたしましては、現状からいたしまして一足飛びにかかる機構に持つて行くことはいたずらに混乱を招く結果となるので、前述のよう理想形態へ近づける第一着手といたしまして、現在の官庁機構に適合した最良の案といたしまして慎重検討を加えた結果得た案が、これから皆様に御審議を願おうとする法律案であります。  以下法律案内容の点について御説明申し上げます。  第一に、建築基準法が詳細に規定しておらない官庁建築につきまして、その重要性にかんがみまして、構造関係において厳重な基準を特別に設けたのであります。特に防火、耐火の点につきましては、去る第七国会衆議院における都市建築物不燃化の促進に関する決議の第三項に、新たに建設する官公衙等は、原則として不燃構造とすることの趣旨を尊重して、特に規定したのであります。  第二に庁舎位置については、公衆利便に適合し、公務能率増進に適したところを選定し、でき得る限り一地域に集合できるよう国家機関の長、地方公共団体の長が協力するように規定しております。  第三に、でき得る限り今後の庁舎合同庁舎として、恒久的不燃建築を促進することを規定しております。  第四に、これまで各省、各庁がおのおのばらばらに出していた営繕計画なるものを統一ある構想のもとに管理し、是正し、予算に適合した単価を考え、建築工事適正化をはかるために技術的に建設大臣統一し、予算大臣たる大蔵大臣と折衝せしめるようにしたものでありまして、本法案における最も重要な点であります。  第五に、官庁営繕審議会を設置して、民主的に営繕計画書を審査するとともに、官庁建築物の向上をはかること、さらに各種基準の設定によつて漸進的意見が勧告され、採用されるよう一つ推進機関を規定したものであります。  以上申し述べましたように、この法律案国民の代表たる私たちが、官庁をして国民に親しまれ、愛されるものにするため、官庁における営繕事業を適切ならしめ、災害の防除、公衆利便公務能率増進をはからんとして提案したものであります。  何とぞ十分御審議の上御可決あらんことを切望いたすものであります。
  4. 内海安吉

    内海委員長代理 ただいま官庁営繕法案について提案者である内藤委員より詳細説明がありました。これより本問題について質疑に入るはずでありますけれども、この日程に入るに先だちまして、上林委員より中田建設次官に対して緊急質問通告があります。これを許します。
  5. 上林山榮吉

    上林委員 お互い知合いの中で、次官に対して緊急質問をするということは不本意でありますけれども、私どもは、ただすべきを一応ただしておくことが最も明朗なやり方であると考えますので、私本会議において質問する前提におきまして、中田建築次官質問をしてみたいのであります。  まず質問前提でありますところの要点を一、二伺つた上でさらに質問したいのでありますが、建設次官は本年の四月九州地方出張されましたのは、公務を帯びて出張されたのであるかどうか、この点をまずお伺いしておきたいのであります。しかもその公務出張大臣許可を得て出張されたのであるかどうか、この点を伺つておきたいのであります。
  6. 中田政美

    中田説明員 たしか四月十三日でありましたか、特に大臣の御了解を得まして岩国関係、それから次に鹿児島に参りましたことはお話通りであります。
  7. 上林山榮吉

    上林委員 御答弁が不明瞭でありますが、特に了解を得てというのは、いわゆる大臣許可を得て公務出張として出張されたのであるかどうか、この点をもう少し明らかにしていただきたいのであります。
  8. 中田政美

    中田説明員 公務出張いたしたのでございます。
  9. 上林山榮吉

    上林委員 大臣許可を得て岩国及び鹿児島地方出張された、しかも公務を帯びての出張であると思いますのでありますが、その公務出張というのは一体どういう種類の公務であつたのか、この点を明瞭に願いたい。
  10. 中田政美

    中田説明員 建設省次官でございますので、建設省関係であることはもとより申すまでもないことであります。琵琶湖関係につきましては河水統制関係でございますし、鹿児島につきましては鹿児島の特異なしらすとか、また河川道路、そういうものについて一般の状況を視察参つたわけでございます。
  11. 上林山榮吉

    上林委員 あなたは当時知合いの人に対しまして、自分公務出張ではなしに、家庭的な事情によつて来たのであると言つでおられるのでありますが、それはどういう意味でありますか。
  12. 中田政美

    中田説明員 上林山先生に旅行の途中お宿に伺いまして申し上げたときに、そういう言葉便つたのも確かに事実でございます。これはもちろんそういう家庭事情のことを申し上げることは御遠慮申したいのでございますが、そういう家庭的な事情家事の整理の問題も若干ありますことは事実でございますけれども公務のさしつかえない程度で、私用を足したということは事実でございます。
  13. 上林山榮吉

    上林委員 私は追究申し上げるのは心苦しいのでありますけれども、人に会うのに自分公務で来たのではないのだ、家庭事情で来たのだ、こう何がゆえに言わなければならないのか。しかも公務出張で来たのだ、大臣許可を得て来たのだ、なぜ公務出張であるならばそういうことをあつさりと言えないのであるか。私はここに非常に疑問を持つのでありますが、この点をひとつもう少し明瞭に願いたいのであります。
  14. 中田政美

    中田説明員 御指摘の点について誤解を招きましたことは、私のまことに不徳のいたすところで申訳ございませんが、多少御遠慮申し上げなければならぬという意味言葉を端折つた点についてはまことに申訳ございませんが、当時選挙の非常に盛んな時でございますので、われわれ一般職公務員選挙関係することは非常に重大なことになりますので、そういうことを避ける意味参つたということなのでございますから、言葉が足らなかつた点につきましてはまことに申訳ないと思います。
  15. 上林山榮吉

    上林委員 私は言葉の足らないことも、あなたの態度も十分に了解することはできないのであります。そこで、ただいま選挙の最中であつたがゆえに、言いにくい事情もあつたので、そういう不用意言葉使つた、こういう話でありますが、しからばそういう誤解を受ける雰囲気、いわゆる選挙雰囲気の中に何がゆえに——しらすの対策の問題も十分承知しておりますし、私自身も法案を準備しており、十分に承知しておりますし、河川道路事情も私は鹿児島県の場合についてはよく承知しておりますが、そういう雰囲気の中に突如として緊急に来なければならぬ何か事情がございましたかどうか。そういう緊急な事情も私どもは認めていないのでありますから、そういう場合にはそういう誤解を受ける雰囲気に来ない方が賢明だと考えるのでありますが、その点はどういうふうに考えておられますか。
  16. 中田政美

    中田説明員 ごもつともな点なのでございますが、実はちようど予算の配付その他が一段落済みまして、選挙が済みますと、また国会が始まるというよう関係もありますので、なかなか容易に出る機会が得られないという事情もありまして、選挙中にはなるべく留守番をすることが私の務めであることも重々承知して、大体において地方へ出ることは遠慮しているのでございます。冒頭申し上げましたように、公務のついでと申し上げてははなはだ恐縮ですが、家事公務でなくてもおひまをいただいて行かなければならぬような問題もありましたので、琵琶湖その他に出かけましたついでに、鹿児島視察させていただいたというわけでございまして、それ以外に毛頭他意のないことをかたく申し上げます。
  17. 上林山榮吉

    上林委員 あなたの先ほどの御答弁と今の御強弁は相当矛盾して来るのでありますが、琵琶湖方面公務出張として許可を得たのでありますが、そのついでに鹿児島方面にも行つたのである、鹿児島方面に行けという出張許可を得ていなかつたというふうに受けとられるのでありますが、その点はどうでございますか。
  18. 中田政美

    中田説明員 それは大臣にはよくお話申し上げて参つたわけでございます。
  19. 上林山榮吉

    上林委員 それは出張命令書にはそういうふうに出ておりますか。私の聞いたところでは出ていないように思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  20. 中田政美

    中田説明員 出張命令には京都、鹿児島までになつていたと思います。
  21. 上林山榮吉

    上林委員 思いますというのでありますか。それははつきりそうなつているというのでございますか、その点どうですか。
  22. 中田政美

    中田説明員 確かにそうなつていると存じます。
  23. 上林山榮吉

    上林委員 その点はもう少し調べてみたいと思いますが、そこで肝属、日置、川内、出水、こういう方面に次次に駅におりまして、そして県の土木部長、その他、県の各課長を同道されまして歩いておられるのでありますが、この方面の御視察を私ども考えるのに、当時県の部長課長、あるいは県の職員は、名は選挙ではありませんでしようけれども選挙運動と見まがうような行動が相当つた。その雰囲気の中にあなたが同道されて各駅ごとにおりられて視察をされることに対して、あなたは良心的に考えて、何となく第三者が見た場合に変に見えるのではなかろうかというよう気持はなかつたのでありますかどうか。世間ではあなたと県の部課長通つたあとは、中田建設次官が来て選挙運動をやつて行つた言つている。だがその意思いかんは、ある程度聞いたわけですけれども、客観的にこれを見た場合にそういうふうに見まがわれるおそれがあるという自覚はなかつたかどうか、この点をお聞きしたい。
  24. 中田政美

    中田説明員 駅ごとにおりてどうこうというお話でございましたけれども駅ごとにおりたような私記憶はございません。ただお話ように私が参とるいうことの関係で、土木部長とかあるいは河川課長は十分説明したいという意味で駅に迎えに来ておつたことは事実でございます。鹿児島まで同道したことも事実でございますし、またそういう視察をするときにそういう関係部課長さんがおいでにかることは普通の例で、そう異例には属しないように存じましたし、それが選挙運動になるということにつきましては私は毛頭考えません。それから特に選挙中のことでありますので、私が鹿児島へ参ることについても大分いろいろな方面に大騒ぎのような記事が出ないようにという意味で、なるべく控え目にいたしておつたことは事実でございますが、客観的に私が選挙運動に歩いたというような感じは私は持つておりません。
  25. 上林山榮吉

    上林委員 言葉はどうでも言えるのですが、客観的に見てあの雰囲気の中にあなた相当用意をして最初つたども会つてもこれは私用で来たのであつて公用で来たのではない、これくらいに言つてつたあなたの言葉用意さ、そしてたとえば川内あるいはその他の所でおりておりますし、揖宿にも行つておりましたし、あるいは肝属方面にも行こうと言つていたのが、その後どうなつたのか、あるいは米之津その他にも数箇所おりて、そして相当の歓迎その他を受けて出発されているのでありますが、その雰囲気というものは客観的に見でこういう時期に来てはいけないということの用意を持つてつたと私は思うのだが、あなたの最初言葉からして——それであるのにどうして客観的に見ても自分はそう思わないというふうにお考えになるのかどうか。  それからもう一つ最後に、あなたは鹿児島県知事重成格君と相当御親交があるといわれておりますが、どの程度知合いでありますか。
  26. 中田政美

    中田説明員 川内におりたことはございません。
  27. 上林山榮吉

    上林委員 どこどこおりたか、おりた所を言つてください。
  28. 中田政美

    中田説明員 駅のホームにおりたのは私の記憶では伊集院という所だつたように思つております。米之津とかいう所におりたことはございませんし、川内にもおりたことはございません。ただ汽車の中で土木部長川内川改修工事、それから昨年見返り資金でやつた橋はあの辺だという地図の説明を受けたことは記憶しております。  それから重成さんのことですが、まことにこれは意外と申しますか、知事をしておりましたから知事中に職務上でいろいろお話をしたことも折衝したこともございます。しかしながら特に重成さんに私がその過去何十年の官吏生活において特別懇意な関係があるということは全然ないことを御答弁申し上げます。
  29. 上林山榮吉

    上林委員 私はもつと深くお尋ねしたいのであります。またあなたのきよう答弁では私不十分だと考えております。いずれ適当の機会に再び本会議その他の席上においてもう少しお尋ねしたいと思つておりますので、本日はこれで一応打切りまして、私は本論の官庁営繕法案について委員長許可を得て質疑したいと思いますが、ほかに通告の早い人があればもちろんお譲り申し上げます。
  30. 内海安吉

    内海委員長代理 官庁営繕法案について村瀬西村委員より先に質疑通告がありますから、この程度に願います。  これより官庁営繕法案質疑に入ります。提案者のほか建設省より大村説明員江ヶ崎説明員会計検査院第四局長小峰保栄君の三氏が出席されております。当局に対する質疑もあわせてこれを許します。質疑通告があります。村瀬宣親君。
  31. 村瀬宣親

    村瀬委員 この官庁営繕法案を通覧いたしますときに、本法案に規定する諸事項は閣議決定でも済むものが大半であるようにも考えられるのでありますが、閣議決定では支障を来すという事例または将来の見通し、この点はどうしても法律にしておかねばならないというよう箇所等につきまして一応提案者にお伺いしておきたいと思います。
  32. 内藤隆

    内藤(隆)委員 お答え申し上げます。行政部門ならば閣議決定で済むのでありますが、法文中の各省、各庁の中には国会最高裁判所会計検査院等もありますので、法文でやつた方がいいということになつたのであります。
  33. 村瀬宣親

    村瀬委員 なるほど閣議では最高裁判所等は縛り得ない点等があると思いますが、こういう法律をつくつておかないと、過去において位置構造営繕計画等について非常に支障があつたという事例を、質問前提といたしまして一応承つておきたいと思います。
  34. 田中角榮

    田中(角)委員 この法案をつくります当時から質問者村瀬君ともいろいろ御討議をいたしたのでございまして、十分御承知だと思うのでありますが、実際ここに提案されました官庁営繕法案をつくるまでには、一案、二案、三案とあつたのであります。私たちの考えておりましたのは、これよりももつともつと強い官庁営繕統一法とでも申すものでありますが、これは官庁営繕現状にかんがみまして、実に不規則な管理が行われておるために官庁営繕を完全に行うことができない。できることならば現在国費支弁に基くところの官庁営繕に対しては統一的なものを多少つくりたいということと、大衆の官庁であるという面から統一的な企画のもとにこれを行いたいということが叫ばれておつたのであります。その意味におきましては、かつて大蔵省営繕管財局ぐらいな強いものにしなくてはならない、しかも建設行政一元化各省行政機構簡素化という一大前提に立ちまして、まず本委員会としては手近な建設行政一元化を行う。またこういう建設行政一元化の第一段としては官庁営繕統一だ、こういうことを過去四、五年間にわたつて委員会において討議をして来た結果、官庁営繕法案提案というところまでこぎつけたわけであります。ところが建設省ができまして建設行政一元化ようといたしておりましたが、当時並行してできましたところの各省設置法提出によりまして、今までは非常に強い規則を持つてつて、一廉五千円以上は一まとめで営繕管財局もしくは戦災復興院で行うということになつておりましたものが、各省でもつてばらばらにこれを行うようやり方各省がとつたのであります。いわゆる軽微な工事及び特殊な工事以外は各省においてやれないというのが根本的でありましたのに、各省設置法ばらばらにできたときに、まつたくのどさくさにまぎれて各省のそういう官房会計課長あたりにおいて相当な大きな工事までやり始めた。そのために規格統一せられず、単価統一もできず、かつ事例を申し上げると、ある現業官庁のごときは事実建造物として科目を定められておらない費用の中からこれをさいて臨時に建物をつくろというようなことが、各所に起るおそれもありますし、現にそういう事例もありまして、このよう状態を続けて行つたならば非常におもしろくないというので官庁営繕統一法ともいうべきこの法案を起草したのであります。私はもつと強い法律案を考えておつたのでありますが、御承知通り官庁のガクシヨナリズムが非常に強いのでありまして、これが建設行政統一に対しては各省あげて反対というまことに悲しむべき現状でありますので、いかんせん、屈したわけではありませんが、第一の段階としてこのよう法律案提案した次第であります。
  35. 村瀬宣親

    村瀬委員 御事情を承りましてさもありなんと思うのであります。と申しますのは、この法案に出て参ります合同庁舎等の点につきましても、あるいはその官庁地区規定等につきましてもきわめてゆるやかでありまして、われわれはもう少しはつきりした強制力のあるものにしたいという気持をかねて持つてつたのでありますが、ただいまの提案者田中委員の御答弁によりまして、これは了承せねばならないかと存ずるのであります。  なお御質問いたしたいのでありますが、その前提といたしまして、会計検査院の第四局長がこの間アメリカの各官庁営繕その他を御視察になつてつて来ておられますから、一応会計検査院の第四局長の当時の御見聞のうち、本法案審議参考となることを承つておきたいと思います。
  36. 小峰保榮

    小峰説明員 昨年五月から八月ごろにかけましてアメリカ会計制度視察に参りました。その一環といたしまして、営繕、それから物品購買、こういうものの制度も一応見て来たわけであります。その営繕制度に関しまして御参考までに向うの情勢を御説明いたしたいと思います。  アメリカでは物品購買とか、営繕というものを一つの役所が全官庁——これは公共企業体も入りますが、全官庁なり公共企業体、国の全機関——国と申しましても連邦政府でありますが、合衆国政府の全機関調弁統一してやるということを官民ともにあたりまえのことだと考えておるようであります。  物品購買につきましては、比較的歴史が新しいのでありますが、営繕につきましては相当古くから連邦工事庁というものがございまして、各官庁公共企業体、こういうものを全部——新築についてはもちろんのこと、改修工事にいたしましても、あるいは維持管理にいたしましても、まだできました建物配分にいたしましても、さらに現在ある建物だけでは足りませんで、相当借りておりますが、これの借入れあるいは借入れ建物管理、これを全部今申しました連邦工業庁というもので相当前から統一管理しておるようであります。それで各省の間の規格とかあるいは一人当りの面積とか、こういうようなものも全部統一されて、なかなか整然と管理されておるようであります。この統一調弁予算の要求から始まつて、全部連邦工事庁がやつておるのであります。  この営繕だけの統一ということは相当古くから行われておりますが、これだけの統一でもまだ不十分だというので、一九四九年、一昨年の六月ごろから実施されておりますが、新しい法案ができまして、さらに現金以外の、連邦政府財産建物はもちろんでありますが、土地も入ります。そのほかに動産の購入、契約も入りますし、配分も入ります。それから公用文書管理までも全部一つに合せまして、現在では、何と訳しますか、連邦調達庁というものが統一して、一人の長官統制責任のもとにやつておるのであります。これによりまして向う会計検査院ども現金以外の全財産統一調弁管理ということにつきましては、相当強い勧告も出しておりますが、一昨年から全部これを統一してやつております。初めは道路行政までも統一するはずだつたのでありますが、さすがに道路だけはちよつと一緒にできないと見えまして、その後道路だけを商務省の方にわけておりますが、それ以外の財産管理というものは全部一人の連邦調達庁長官——これは非常に偉い役人でありますが、この人の管理下に置かれております。  これを統一して調弁することの一つの大きな利点と申しますか、それは経理の運営、それから経理の監督も一人の人間で全財産を一本の統一した面でできる。これも一つの大きな特長になつております。まだいろいろ申し上げたいこともございますが、統一して調弁した方がいいということは、これは申し上げるまでもなく、御審議にも出たと思いますが、各官庁ばらばらにやつているための不経済、不合理というものははかり知れないようにあると思うのであります。先ほど官庁営繕法案の御説明提案者からもありましたが、これは会計検査院の意見ではありませんが、私個人の意見といたしましては、当然もつと強く、具体的に申しますと、契約まで一つ官庁統一するような段階になるのが合理的ではないかと考えておるわけであります。その第一段階としての法律ができるようでありますが、私の申し上げましたことが御参考になりましたかどうか。何か御質問がありましたら、お答え申し上げます。
  37. 村瀬宣親

    村瀬委員 ただいまお聞きの通りでありまするから、私は今度は政府といいますか、建設省といいますか、御出席の方で責任を持てる方にお尋ねをしてみたいのであります。  第六条に、きわめて簡単に合同庁舎の規定が書かれております。これは本法案の精神を生かす上にも非常に重要な条項であると思うのでありますが、このわずか二行の第六条で、当局としてはどこまで運用を効果的にすることができるつもりであるかどうか、お尋ね申し上げます。
  38. 大村巳代治

    大村説明員 合同庁舎につきましては、先ほど小峰第四局長の話にはございませんでしたが、アメリカの各州にあります出先機関は全部合同庁舎でやつているそうであります。私ども終戦後各官庁を建てて参りますと、敷地の問題で非常に悩まされるのでございますが、現在御承知ように、中央官衙につきましては、元の海軍省の跡に合同庁舎を実施いたしております。  なお大蔵当局の話によりましても、地方の出先の建設要求が非常に熾烈なので、こまかい建物をたくさんつくるよりも、適当な敷地があつたならば、合同庁舎にした方がよろしいという見解を持つておられますので、私どもとしましては、適当な敷地が得られるところは、大蔵省と相談し、各省の出先の庁舎の不備なもの等勘案いたしまして、順次実施いたして行きたいと考えております。
  39. 村瀬宣親

    村瀬委員 私の質問は、つまりこんな簡単な、むしろなまぬるい条文で政府としてはその目的を達し得る自信がおありになるかどうかということなのであります。
  40. 田中角榮

    田中(角)委員 村瀬さんにお答えいたしますが、これは提案者の責任でありまして本条はもう少し具体的に書くつもりでありました。もちろん書くことによつて強制力が強くなるのでありますが、先ほど申し上げました通り各省がせつかく権限を拡大いたしたにもかかわらず、この法律が出たために徐々に統一して取上げられるのではないかという反対が相当起るわけであります。ましてこの合同庁舎という第六条をこまかく規定するごとによりまして、その実を上げ得るのでありますが、これを規定するところに相当大きな反撃があるというので、この程度の表現を用いたわけであります。もちろんこの法律の主目的とするところは、審議会をつくりまして、位置の選定及び規格構造というものに統一性を持たせようというのがねらいであるので、この第六条によりましては乏しい財政の中で、各省が分轄して問題を解決する場合、敷地の問題等予算がこまかくわけられる場合に、過去に日本の官庁営繕部としてつくられたような内務省の建物、警視庁の建物、大蔵省の建物というような耐火不燃の恒久的なものができないというのが実情であります。その場合におきまして、特に中央官庁においてもそうでありますが、地方に出先官庁ができます場合に、まつたく木造のバラックのようなものがたくさんできて行きますので、審議会できめるときに原則的に庁舎は敷地を統一合同庁舎にしようということを考えておりますので、本法をつくることによつて感覚的の刺激を避けると同時に実を上げる、すなわち名を捨てて実をとり得るという自信のもとに規定いたしたわけであります。
  41. 村瀬宣親

    村瀬委員 この合同庁舎の思想を推し進めて行きますときには、自然官庁地区というようなものも考えられると思います。これは都市計画のいろいろの企画決定等にも関連があると思うのでありますが、本法案の立案にあたりまして、官庁地区を本法案の中に入れるとか、あるいは都市計画法を改正するとかいうことについてどの程度趣旨徹底が行われたのであるか、お伺いいたしたい。
  42. 田中角榮

    田中(角)委員 この法律案はそこまで規定すればまつたく錦上花を添えるのでありますが、法律案提案そのものに対して各省との関係その他で飛躍的な画期的な法律ができないというところにこのような規定だけでもつて済ましたのでありますが、私たちは、これから改正案が出るたびに、最後にはそういうふうになつて行かなければならないと考えております。特に官庁地区というものにつきましては、審議会だけでもつて審議することになつておりますが、世界各国とも官庁地区というものは——1例をあげて申しますと、アメリカのワシントン市のように、閑静な、まつたく官庁の事務の能率を上げ得るような地区が選ばれることが適当であります。過去における日本の状態でも、国会議事堂を中心とする官庁地区、すなわち永田町地区が自然に形成されておつたのでありますが、戦後におきましては、先ほども申しましたように、各省ばらばら状態においてこれが営造物をつくりましたために、現在特別調達庁などにおいては五箇所、十箇所にも分散しておるよう状態でありまして、私はこの法律案を四、五年前研究したときには、日本においてもワシントンのようなりつぱな官庁都市をつくるべきであるという考えを持つておりました。ちよつと考えますと、東京は商業都市であるから、富士の裾野に大きな理想的な官庁都市をつくるということも考えられる。これは理想ばかりではありませんで、かつて戦争中にも皇居を中心とした特別官庁都市を富士の裾野につくろうじやないかというような識者の案があつたのでありまして、私たちも将来は日本が画期的に発展をし、しかもわれらの力でそれくらいな大事業が行えるときには、そういうりつぱな地域の指定もされなければならないと考えております。但し現在の状況におきましては申すまでもなく戦災都市の焼け跡の整理もまだできておらないよう状態でありますので、これが進捗と並行して、本法律案も徐々にわれわれが企図するようなりつぱな法律になり、かつあなたの言われるよう官庁特定地区もできるであろうと思います。と同時に地方においては、この法律が出ることによつて、現在の学校地区に匹敵するよう官庁地区が自然に形成されると思うのでありますが、特に本法律の運営いかんによつては、そういうりつぱな理想的な官庁地区が指定されるであろうと考えております。
  43. 村瀬宣親

    村瀬委員 提案者の御説明で一応安心したところもありますし、また私いろいろ考えさせられる点もあるのでありますが、また再び空襲疎開というような問題が起るかもしれないから、これをきめなかつたというようなことでなかつたので、非常に安心をいたしたのであります。これはいろいろ国際情勢その他から考え合せて万全の策をとらなければならないと思うのでありますが、ここで関連的に将来この法案が成立した後の運営の際に遺憾のないように承つておきたいのでありますが、第九条に営繕計画書というものがございます。この第二項に建築物の位置、規模、構造建築設備、工事費等を記載するとありますが、こういうことではなしに、ほんとうの営繕計画というものの内容はどういうふうに考えておられますか、政府側でもけつこうでありますから、ひとつ承つておきたいと思います。
  44. 大村巳代治

    大村説明員 現在考えております営繕計画と申しますのは、毎年度の予算の基礎になります資料につきまして、大体工事内容、設立位置構造、坪数、単価、収容人員あるいは設備などの面につきまして、技術的のアドヴアイスをするために建設省を経由するという方式をとつたわけであります。今年度も主計局の局内通達といたしまして、これは参考資料を差上げてありますが、現実的にはその線に沿つた技術的の援助をいたしております。これを法文化したような形であります。
  45. 村瀬宣親

    村瀬委員 もう二点だけ簡単に御質問をして終ります。第一点は官庁営繕審議会というものが新たに第十条に規定されておりますが、審議会の整理に関する各省設置法の一部改正の法律案が多数出ておりますときに、今新たに一つ官庁営繕審議会というものがふえるということでございますが、その委員は二十名をもつて組織するとあつて、第十一条に六項までいろいろ書いてあるのでありますが、これは大体どういうふうな人々を予定されておりますか。
  46. 大村巳代治

    大村説明員 この二十名の内容といたしましては、主として関係各省営繕を担当される所管の、たとえば経理局長、あるいは経理部長あるいは建築部長という程度の方々を予想いたしておりますので、現在そのおもなるものを集めてみますと、十数名になると思うのであります。それ以外の方々といたしましては学識経験者でありまして、大学方面の先生あるいは営繕管財局に当時おられました先輩でこの方面に堪能な方などを委員にお願いしたいと考えております。
  47. 村瀬宣親

    村瀬委員 最後に一つ、これは重大なことでありますから、これは提案者と政府側と両方から責任のある御答弁を承つておきたいと思います。これはこの法案をつくるのに一番大事な点であると思いますが、この官庁営繕法が成立いたしましたときに、建設省営繕部の仕事はどのようにかわるのであるか、またかわらないといたしますと、これはわれわれの目的に一歩も近づかないのでありまして、私たちはさきに会計検査院の第四局長言つておられたような方向に向つて一歩も二歩も前進させたいと思いますし、そのための官庁営繕法案であると思うのであります。それが単に官庁営繕審議会を二十人でつくり上げたり、あるいはいかにもぼつとした営繕計画で、ただ坪数やいろいろなものを書き出してみるということ終るならば、われわれの目的には一歩も前進していないということになりますので、少くともこの法案が成立を見たあかつきには、新たなる一つの統合参謀本部のごときものが営繕に関しできるのであるか、あるいはそれまでは建設省営繕部の任務が大幅に拡げられて、すべての機能を全官庁営繕に向つて発揮できるようになる見通しがあるのか、すなわちこの法案の成立を機として建設省の現在の営繕部における業務がどのようにかわつて行くかという点をお伺いいたします。
  48. 田中角榮

    田中(角)委員 この問題は一番重要な問題であろうと言われましたが、さすがに村瀬君だと思います。これが私のこの法律案提案した主目的であります。これは戦災復興院建設省になり、その当時いろいろな問題がありましたのは、芦田内閣の末期、一松定吉君が大臣のときであると思うのでありますが、建設省機構改革によりまして建設庁に格下げするか、建設省として残すかというときに、当時村瀬君もその急先鋒になつて私と一緒に研究されたのでありますから、御承知だと思いますが、私たち官庁簡素化機構の再編、その一段階としての建設行政一元化官庁営繕統一、この大眼目を掲げながら一筋に貫いて来たのであります。そのために、建設省設置法をつくつたときには、当然建設省営繕部はこれを局に昇格せしむべきものであるということをお互いに力説したわけであります。当時各省は各局各課を縮減をする、ただ一律に縮減をするという話でありましたし、建設省は五局で一応これを押えるという政府原案があつたようでありまして、今までそのままになつているわけであります。私もこの前には建設省営繕部は当然建築局に含まれるべきものであると考えておりましたが、そうでない場合には、かつてはこれが大蔵省の営繕管財局という大きな局であつたのでありますから、当然局にすべきである。場合によつて五局で局限されるときには建設省には管理局と同じよう大臣官房があるのだから、管理局はやめてもいい。建設省は技術官庁であるという面から考えて、当然管理局を廃止して、営繕局を設けるべきであるということを主張して参つたのでありますが、現在まで法律案提案せられていなかつたので、ただいままでのよう状態であつたわけであります。この法律ができまして官庁営繕が十分に統一をせられるという場合には、将来当然建設省においては機構の拡充という意味におきまして、現在の営繕部は営繕局に昇格すべきものだと考えております。この場合一面において官庁の整理を行うという場合に、建設省に局を設けることはどうかということを言う者がありますが、これはまさに当らぬと言いたいのであります。なぜかというと、かつては大蔵省は営繕管財局という厖大なものでやつておりましたために、各省の一廉五千円以内の小さな工事各省官庁会計課長の下に営繕係が一人おつて、零細なる工事をやつて来たわけであります。ところが現在の状態では、特にひどいのは農林省では——委員会において握りつぶしたのでありますが、建設局を設けるばかりでなく、建設庁を設けようとしたのであります。これはまさにわれわれの政策に逆行することでありまして、われわれ自身の反撃にあつて現在のままでおるのでありますが、これと同じように今まで官房会計課長の下に一人か二人おつた営繕係がほとんど実質的な課を形成しているよう状態であります。これを能率的に統合することによつて、技術の能率化も考えられるのでありますし、特に建設省の現在の部が局に昇格しても、百人の人を切つて現在三十人おる営繕部を六十人にふやすこととかわらないのでありまして、これは理想的な行政の簡素化に適したものだと思つております。なおそればかりでなく、建設省営繕部のこの営繕という文字自体が非常にかわつておるのでありまして、現在官庁営繕法というものにも非常に疑義を持つのでありまして、私は営繕という定義そのものもぴんと来ないのであります。何とか新しい名前にかえなければならぬということを考えております。アメリカはさすがにうまい表現を持つております。日本におけるアメリカ軍のいろいろな調達は一切日本に藤別調達庁を設けさせてやつております。今小峯君が話されたように、国費支弁に属するというような、まつたく古めかしい言葉で表現をするので、むずかしいのでありますが、当然私は将来建設省調達局というようなものに変更せられるであろうと考えております。それと同時に講和会議直後に起るところの現在の特別調達庁の業務がこれに統合せられるかいなかという問題に対しては、営繕局及び現在の建設省建築局との間に整理統合という問題が当然起きて来ると思います。その場合に現在は非常に雑駁な法案ようでありますが、この法案が骨になつて、これら諸官庁の改廃ということについては非常にいいものになるだろうという大きな希望を持つているわけであります。
  49. 大村巳代治

    大村説明員 この法律によりまして私どもの期待いたしますのは、この基準によつて各省営繕職員が実施してくれることが非常に営繕統一の上に役立つてくれると考えております。すなわち現在の営繕部で実施されている現状を見ますと、需要者側の要求その他でもつて相当無理な建設をやつている。たとえば当然耐火構造でやつてしかるべきところを、無理に木造でやらされたりするという面は、この法律各省で守られて行けば、確実に各省建物がよくなる。その基準官庁営繕審議会で相談づくできめて行くものでありますから、各省からあとで異議は出ないはずでございます。この点で非常に効果が上るものと確信しております。
  50. 西村英一

    西村(英)委員 簡単に二点ほど御質問申し上げます。  第一点は提案者にお聞きしたいのでありますけれども、第一条の「国家機関」の定義をはつきりいたしておいてもらいたいと思います。この法律はどういうところに適用されるか、まずこれを承りたいと思います。
  51. 田中角榮

    田中(角)委員 お答えいたします。第二条の三項に規定しており幸ます通り、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官会計検査院長並びに内閣総理大臣、法務総裁、各省大臣及び経済安定本部総裁の所管をしておる国費支弁に基く建物全部でありまして、建造物ができ上つた場合、国の財産として管理を統合せられるもの一切を言うのであります。但し庁舎財産等は含みません。
  52. 西村英一

    西村(英)委員 よくわかりました。第二点は、この法律を施行することによりまして、計画はなるほどこの法律に基いて一貫されますが、それによりまして官庁営繕のために計上するところの予算が、建設省管理局の予算に一括して計上されるかどうかこの法律が施行されましても、予算の計上の仕方は、現在のよう建設省管理局に計上されるものもあるし、あるいはそれぞれの官庁に計上されるものもあるということではなしに、一括して建設省に計上されるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  53. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。この問題は非常に重要な問題でありまして、私たちはただいま西村君の言われたよう建設省にこれが計上せられることを希望しておるわけであります。かつて大蔵省営繕管財局当時のことを考えておるのでありますが、現在の状態ではこの法律案が施行せられましても、当分の間現状のまま各省によつて計上せられて行くことになるのであります。しかし、ここに問題があるのでありますが、実際問題から考えますと、国費の濫費を慎むということと、非常に合理的なる効果を上げたいというのでありまして、各省にこれが配付せられる場合、統一的な建物ができないというので合同庁舎ということを考えたのでありますが、現在この法律案で私たちが初め希望したように一本の序算を計上し、そして合理的な、統一ある規格的なものをつくりたいという考えを強行いたしますと、実際各省は現業部門を取上げられるということで、猛烈なる反対をするのはここにあるのであります。その意味におきまして、私たちは理想案にはほど遠いけれども、現実の段階においては現在のままでもやむを得ないじやないか、そうして審議会でもつて統一した計画を行う、しかも実際現在において特殊な建物、すなわち刑務所、病院、学校等を除くもの、特殊な技術的なものを含まないものは、大体大口のものは建設省管理局において委託工事を行つておる現状でありますので、現在の状況、特に予算面を各省から削るということは、この次に各省のいわゆる一大整理再検討をするまで待たなければならないと考えております。一般的に考えますと、この法律案が施行されても各省に配付せられるところの営繕関係予算は一本になるということはできないと思います。
  54. 西村英一

    西村(英)委員 提案者気持はわかりますが、そういうことになりますれば画竜点睛を欠くわけであります。それならば現在建設省各省といろいろ協議をして、建設省予算に計上されるものもあるし、計上されないものもあるということは、どういう根拠に基いてそういうことになつておるのか、これは提案者関係がないかもしれませんが、政府の御答弁を願いたいと思います。
  55. 大村巳代治

    大村説明員 現在の予算の立て方といたしまして、昨年度までは営繕費は公共事業費でございました。本年度から一般行政部費にかわりまして、本年は約十四億何がしの官庁営繕が、そつちの方でやることになりました。ただ最高裁判所、衆参両院、会計検査院は独立予算になつている関係から、これは各省に委任をしてもらいたいという希望をしたのでございますが、国会方面は委任をしていただきましたけれども、ほかの方は、独自の機構でもつてつておられる現状でございます。  それからもう一つ予算内容を見て参りますと、営繕費と書かずに施設費という名前でもつて、たとえば庁舎を買収するというような名前で、業者に建設させてそれを買収したりする事例もままあるのでございまして、本年度の予算などを見ましても、営繕費とはつきり書いたのは全体の約半数、五十億、残りの五十億は、施設費という名前の中でもつて営繕に使われるのかどうか、ちよつと内容を検討しなければわからぬようなものもあるのであります。
  56. 田中角榮

    田中(角)委員 補足して御説明申し上げますが、原則的に官庁営繕費は、少額なものを除いて全部一括して建設省につけるごとになつております。ところが二十五年七月三十日の局内通達というのがあるようでありまして、これによりますと、4の(1)には、「従来各省各庁に計上されていた各所小修繕に関する予算」、いわゆる昔の営繕管財局の総工事費一廉五千円というようなもの、私たちが現在考えておるのは 一廉百万円でありますが、こういうものは各省別に計上する。ところが原則的に実際建設省に一括されれば合同庁舎建設は容易になるのでありますが、現在合同庁舎がなかなかうまく行かないというのは、どうしても各省がまかせたくない、原則的に一本にしなければならないと言いながら、なるたけ各省に合同しないように、しないようにというので、建設省からもらうよりも、何かの名目でもつて実際は営繕費に使うものをとろうとしているのが現状であります。特に憲法上の規定によりまして、国会最高裁判所会計検査院というものが行政機構から分離しておりますので、この人たちがなかなか委託をされない。原則的に委託しなければならないといつても、この三つだけは独立しておるのだから自由な意思でやればよいのだということを固持しておられるために、なかなか現実はうまく行つておらないようであります。すなわち「原則として建設省に対する支出委任の方法によるものとする。」というような表現でありますので、これが、委任せられなければならない、というふうに規定せられない以上は、現在のまま続くのではないか。ただ昨年度の下半期あたりからこの方面の交渉もうまくついておるようでありますので、この法律案が出ることによつて刺激剤となつて、だんだん理想的な統一面に移行するだろうということは考えられるのであります。特に、脱法といつては少し語弊があるのでありますが、いろいろな名目によつて営繕費を要求しておるところも、この法律によつて相当今度規格構造位置等において制限を加えられますので、実際審議会に諮らない官庁営繕物はできないということになりますので、その面は削られて、建設省に原則的に一括計上せられるような方向に向うと思います。
  57. 西村英一

    西村(英)委員 ただいまの田中委員の御説明で大体のことはわかりましたが、会計検査院最高裁判所等は、やはり計画上はこの法律の対象になつておるのでありますけれども予算の上ではこの法律で縛つていないから、やはり画竜点睛を欠くと私は言つておるのですが、それは官庁審議会等によつて審議することでありますから、その方向に進まないと、ただ建設省を押えつけたような形で行くならば、これはやはりこの法律があつてもなくても同じようなことになります。従つてそういうところにこそ現在の官庁の弊害があるのでありますから、それを各省にまかせて、強いもの勝ちということなら何も改善されることはないのですから、これはこの法律の精神を重んじて、行政をやる面において十分にこの点に気をつけていただきたいという希望を付しまして、私の質問はこれで終ります。
  58. 上林山榮吉

    上林委員 私もこの法案は実質的に見てまだまだ不十分な点がたくさんあると思いますけれども、確かに一歩前進したという意味において賛成をしておるわけであります。そこで、大きな問題についてはほかの諸君からも適切な質問がありましたので、私は断片的に数点についてお尋ねをしておきたいのであります。  まず国家機関建築物の構造の問題でありますが、先ほどの説明によりますと構造基準が示されて、特に耐火対策等については十分考えておるのだ、こういう話でありましたが、私はそれにつけ加えて、わが日本の現状から考えまして、耐震というようなものを考えておかなければならぬと思うのであるが、この点はどういう基準によつてやられるつもりであるか、これが一点。  さらに私は、現在の日本においても、大都会等においては自動車の数が非常に多くなつて来ておる。これはアメリカ等においては新しい法令等によりまして、大きな建築物に対しましてはほとんど自動車置場とうものを一定の基準によつてきめておる。だから今後の新しい官庁建築物に対しましては、一定の自動車置場のスぺースをとつておく必要がある、ことに屋上なり、あるいは地下なりにそういうことを考えて行かなければならぬ。だだつ広い自動車置場を持つことも必要でありますけれども、土地の狭い日本ではそれが十分ないから、今言つたよう意味において、これは一つのはつきりとした基準を設けておかなければ、あとで非常に困る状態になる。この点をどういうふうに考えておられるか。  それから、これは日本においても進駐軍のいるところの役所と日本の役所とを比較検討されておわかりと思うのでありますが、日本の役所はまことに能率を上げられないようになつておる。アメリカの役所は、向うに参りましても、日本に進駐して来ておる役所を見ましても、非常に能率ということに重点を置いて考えておるのであるが、収容人員は一人についてどれくらいの坪当りというものを今後基準として持つて行くつもりであるか。  さらに、第一条の目的の中にもう一つつけ加えておかなければならぬことは、なるほど「位置構造営繕計画等について」とありまして、「等」という言葉がついておるから、これも含むとはいうものの、もう少し私は日本の役所というものが、清潔整頓、いわゆる衛生設備というようなものについて思いをいたしておかなければならぬと考えるので、ここに、「位置構造営繕計画」の次に、衛生設備というよう言葉を明瞭にうたつておく必要があるのではないかと考えるのであります。これが第一の質問であります。
  59. 田中角榮

    田中(角)委員 お答えいたします。第一の耐火、防火という面のほかに、耐震ということを考えたらどうか、これはもちろんであります。御承知通り木造建築の方にも、できるだけ乏しい国費の中から理想的な庁舎をつくるためには、どうしても合同庁舎をつくりたいというので、第六条に規定しておるのでありますが、その意味におきまして不燃化の決議案に盛られました通り、できるだけ不燃構造物をつくろうとしておるのであります。もちろん不燃構造物というものは、木造の大きいものでなく、鉄筋コンクリートもしくは新しい構造方法によるところの軽量コンクリート建等を考えておるのでありますが、その場合は当然建築基準法の規定の制約を受けるわけでありますから、現在の日本の建築の規則上から考えますと、耐火の建物の条件としては耐震を十分考えておるわけであります。もちろんこういうふうな建物は、耐震的には完全になるわけであります。  第二問の空地の問題でありますが、これはまつたく都市計画上われわれも考えなければならない問題でありまして、日本の昭和通りなどはアメリカなどに比べますと非常に幅が広過ぎる道路でありまして、特に輸送道路としての生命はありますが、現実の問題としては、あのような大きな道路に面しておる商店というものは全然商店の価値をなさないというように言われておるくらい、まつたく日本の道路としては車の置場もない。まん中の緑地帯をつぶして自動車置場をつくつて行かなければならぬよう状態にあります。もちろん古い都市計画と、日本人の感覚によるところの都市計画で行われた各都市の道路は、もうほとんど現在の情勢にそぐわないよう状態であります。だからこそ東京においては百メートル道路というような、まことに奇想天外ともいうべきことを考えておるのでありますが、これは広過ぎるからつくれないということではなくして、東京都がやめた原因は、金がないから五十メートルにしようということになつたそうでありますが、これは世界的に考えてみて、また歴史的に考えてみて、まだまだこの程度に日本の都市計画を考える人が日本の都市計画のエキスパートであるということは、私自身としてもおかしな感じがするのであります。もちろん上林山さんも向うに行つて来られたのでありますから十分おわかりになる通りアメリカは合理的に屋上を使つたり地下室を使う自動車置場をつくつておりますが、もちろん東京その他、いわゆるわれわれが考える六大都市の合同庁舎等には、当然このような自動車置場が合理的に考えられなければならない。その意味においてこういう問題を解決するためには、各省にまかしておいてはいけないので、一定の地域を指定したり、あるいはまた審議会において十分な審議を行い、間違いのないよう計画を立てて行きたいと考えております。もちろんこの場合高層的なものは緑地を設けるなり、密集地帯においては建物の上下を使うことになると思います。  第三の収容人員の問題でありますが、これはまつたくさいふに関することでありまして、持てる国アメリカにおいては一人当り三・五坪を計上いたしておりますが、現在の日本の官庁は約一坪弱であります。なお旧内務省の建物の中には経済安定本部その他たくさんありますが、一番スペースを持つておるのは戦後つくられた人事院でありまして、その次は経済安定本部。建設省は紺屋の白はかまで、ここで申しましたように半坪にも満たないのでありまして、自分の机の置き所がないので廊下にまで積み重ねて、建設委員会から注意を受ける状態であります。だからその意味においても、総合的な企画を行う場合にはできるだけ有効適切に使えるように、合同庁舎等を重点的につくりたい。そして究極の目的としては、アメリカ並の三・五坪くらいのものにして行きたいということを考えるわけであります。  なお能率の問題でありますが、日本の建築に対しては、国会においてもそうでありますが、現在ここにつけてあるところのシャンデリアのような、非常に大きなものを使わないで、今アメリカで使つておるようなものを使う。能率的にはまず数倍するようないいものがあるわけであります。このようなものは日本の建築状態として、戦後独自な発展をしておるのであります。この場合当然こういう設備の向上ということも期待しておるわけであります。  なお第四の衛生設備の問題でありますが、これは衛生、電気等一切を言わず、日本の昭和十年当時の建築物におきましては、大体本工事費に対して設備費は一〇%、すなわち一割金をオーバーしないようにというのが日本の現在の建築家の大体の頭であります。一級建築士等もそのような考えを持つておるのでありますが、これは時代錯誤であります。日本はくみとり便所、電気は六畳に一個、こういう考えであつたので、実際そういうふうな状態になつておりますが、この衛生設備という問題は、アメリカと日本と比べても全然違つて来ておるのであります。特に官庁建物におきましては、能率を上げるためにはこの設備費を上げる、すなわち衛生設備に金をかける、保温暖房施設に対しても特に力を入れる、照明施設に対しても力を入れるというようなことがだんだん普及されておりまして、現在は物価の値上り等もあるのでありますが、各官庁営繕工事等におきましても、一〇%から三〇%程度まで上つて来ておる状態であります。現在アメリカの兵舎等を特別調達庁でやつておりますが、私たちがここでもつて審議いたしました連合軍住宅公舎等の建物においては、坪当り十万円の諸経費が計上されておりますが、そのうち木造の部分はわずかに四万円であります。あとの一万円は庭園設備その他であります。それに倍する五万円というものを、今われわれが希望を持つております電気、衛生、ガスその他いながらにしてあらゆる便にたえるというような方法にかわつて来ておるのでありまして、もちろんこれからもこういう実際の構造物に対する建築費だけを言わず、同額くらいの設備費を計上するようにいたして行かなければならないということを考えておるわけであります。その場合非常に建築費というものが高くなりますので、必然的に各省に分散しているものを合同集約して、そのかわり施設をよくしようということを考えておるのであります。
  60. 上林山榮吉

    上林委員 内藤田中委員の御答弁は、まことに答弁としては適切な御答弁でありますが、われわれの希望を大いにしんしやくしてさらに善処されんことを望むわけであります。  次に私お尋ねいたしたいのは、なるほどこれは便宜的な取扱いだと思うのでありますが、それにしてもどういう理由で学校、病院、刑務所、工場、倉庫及び車庫を除いたのであるか。この立法の趣旨を承つておきたいのであります。  さらにそれにつけ加えて私の意見を申し上げますと、学校とか病院、あるいは工場というものにも国家機関建築物である限り、ことに位置あるいは構造というものなどについては事前に災害を防止する、あるいは能率を上げる、こういう点から考えまして重要だと思うわけでありまして、またこれはやればやり得る範囲のものであるとも考えるのでありますが、これをどういうわけで除いたのであるか、この点を伺つておきたいのであります。
  61. 田中角榮

    田中(角)委員 私たちもこの法律案がどうも徹底を欠いておるというのでありまして、前から申しております通り、現在文部省所管の教育施設関係及び法務府の行政の部門にあるところの刑務所の営繕、それから元の運輸省の建設本部のもの、及び厚生省の病院等、これは当然入れるべきだと考えておつたのでありますが、なかなか入らないということが一つでありますし、もう一つ別に考えますのは、各省で別な法律をもつてつておるのだからいいじやないかということと、もう一つ庁舎ではない、実際官庁営繕というものが官庁庁舎営繕を主目的に置いておりましたので、いわゆる庁舎でない、別な法律でもつて制約を受けておるのであつて、全然支障がないのだからそのままでいいのではないか。しかも大蔵省営繕管財局当時もこのようでありました。しかも工場合に庫等は、御承知通り委員会において議決しました建築基準法によつてずいぶん制約を受けておるのでありますし、建築基準法ができない前は市街地建築物法及び特殊な工場法、それから危険物を収容するものは危険物取締規則によつていろいろな制約を受けておつたので、今までは実際は大過なかつたのであります。現在この法律に全部これを入れるということはちよつとむずかしいのではないかというふうに考えておるわけであります。
  62. 上林山榮吉

    上林委員 先ほど申し上げたように、答弁としてはまことに適切な答弁だと思うのですが、私はその御答弁の中に、別に法律があつて、その法律のもとに制約を受けているのだから必要でないという御意見に対しては反対であります。別に法律がありましても、新たにつくる法律によつてこれをできるだけ範囲を広げて一本にするという行き方が、立法技術の点からいつても、あるいは運営の点から言つても当然のことといわなければならぬのであります。そこでわざわざここにこれを除くと書かなければならぬことは、これは一歩退却であります。ことにこう書かなければならぬということは、これを書かずにおけば前のいかなる法律があつても、言うまでもなく古い法律より新しい法律に効力があるわけなのですから、むしろ黙つてこれは書かずにおいて通してしまつた方がいいのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、あまりに交渉にひまを費した感があるのではないかと私考えるのでありますが、この点は大事なことでありますので、ひとつはつきりしておきたいのであります。
  63. 田中角榮

    田中(角)委員 お答えいたします。別な法律があるからこの中に入れないということでは絶対ございません。これは私の言葉の足りなかつたためでありまして、御了承願いたいのであります。  それから「学校、病院、刑務所、工場、倉庫及び車庫を除く」としてありますが、ことさらに除かなくてもいいのではないか、退歩であると言われますが、現行法規がありますので退歩はいたしておりません。いたしておりませんが、進歩もいたしておらぬわけであります。なおこのような条文によつて現在もこれからも当分の間このようにするかと申しますと、官庁営繕物の中で特殊なもの、現在の建設省設置法の中にもありますが、特殊なもの、あるいは特別な技術を要するものは一廉件数幾ら幾ら以上であつても、各省大臣建設大臣との会議によつて協定成つたものは各省で行うというようなものもあるのでありまして、学校等はやはり文部省という一つの非常に特殊な性格から来るものであろから、文部省でやつた方がいい、こういうことを文部省は前から言つておるわけであります。特に法務府の刑務所は、刑務所の囚人たちを使つてやる場合があります。特に日本の産業の状態では、刑務所というような安い賃金を使つてどんどんやられたのではたまらないというので、こういうものに反対しておるわけであります。だから刑務所の営造物に対しては、いわゆる囚人がこれをやる場合もありますし、非常に特殊な建物でありますので、このようなものはやはり官庁営繕物というものよりひとつ除いた方がいいのではないかということと、もう一つ工場、倉庫等に対しては内容品によつて場所によつて非常に違うのでありまして、いわゆる耐火耐震というものよりも、危険物に対するものとか、盛られる内容品によつて——ようど魚を入れる冷蔵庫とペニシリンを入れる冷蔵庫とは、技術的に全然異なつておるといつたようなものであります。また工場に対しても、タバコの工場と塩の工場とでは全然規格が違うのでありまして、こういうものに対しては、やはりその所管省がやることがよいのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。しかもこれを運用して来ておるものもあるのであります。それは私どもの方から、この間公営住宅法の一種、二種を通過させたばかりでありますが、厚生省が第二種と同じことを厚生住宅法として出そうとしております。これはもうこれを逆に行つておるのであります。なぜなりば、土木工学が絶対的に重点的である水道行政も、水道は特殊なものだから厚生省所管が正しいと彼らは言つて来たのであります。それが今水道を建設省に統合するような原案が通らないものですから、それに気をよくして厚生住宅法という名のもとに、でき得れば建設行政の一環である——環というよりももつと大きなウエイトを占めるところの第二種公営住宅もやめて、厚生住宅法として適用し、厚生省にやらせてもらえないかということがありますが、これはもうひどい逸脱でありまして、こういうものを除く、長い伝統と歴史から見て、何人も認めるような技術的に高度な要求があるようなものに対しては、特例を設ける意味においてこの法律案からはずしておいた方がよいのではないか、少くとも現段階においてはよいのではないか、こういう考えからはずしたわけであります。
  64. 上林山榮吉

    上林委員 なるほど建設省が所管した場合、あるいはこの法律がいろいろやろうとした場合に、それが技術的に高度なものであつて、特別なものはこれに入れない方がよいのだ、こういう認識のもとに立案されておるのであるとすれば、一応不満足であるけれども、私もそれを了といたします。しかし、ことに病院の問題でありますが、現在国立の療養所などを私どもよく見てみますと、これではたして病院であろうかというようなものが相当つて、社会の非難も受けておるのであります。こういうものは、少くとも位置構造営繕計画、衛生設備、こういうものを考えて、この中の一環としてもよい程度のものである、何も高度の技術を要求しなくてもできる程度のものである、こう考えるのであります。あるいは学校とか刑務所というものを例に引けば、ただいまの御答弁ようなことにもなると思いますけれども、私どもは病院等は公立の、あるいは国家機関の経営するものであればあるほど、もう少し模範的なものを示す必要がある、こういうふうに考えるのでありますが、こういうものも何か特別な高度の技術を要するという意味で入れなかつたわけでありましようか。その点をひとつ伺つて結論といたします。
  65. 田中角榮

    田中(角)委員 お答えいたします。この第二条の第二項だけで見ますと、庁舎とはという庁舎の定義の中から除いてあるのでありますが、いわゆる学校、病院、刑務所、工場、倉庫及び車庫も営繕計画としては当然提出するわけでありますから、ただ実際この法律案の適用を受けないというだけでありまして、営繕計画としては当然今までもやつておるのであります。これからもそういうふうになります。なおそれよりも上林山さんがお考えになつておるのは、もう少し先のことをお考えになつておられるのではないかと思うのであります。それは学校、病院、等を入れてはどうかということろまで行くのだろうと思います。私自身も原案ではそういうことを考えておつたのであります。特に現在では厚生省の医務局でその現業管理もやつておるのでありますが、これは実におかしなものであります。これは厚生省ばかりではない。ここに大村営繕部長もおられますが、この方は前に厚生省におられたので、厚生省のことはあまり言えないのですが、私は決算委員会でずけずけ言つたら、そういうことはあなたの方が御存じだからあまり触れないでおいていただきたいということでありましたが、実際において病院建設等はさように特殊なものではありません。ただそのうちの細菌室とか研究室とか、なかんずく研究所の中の特殊な構造を要するものを除いては、病院、学校等は簡単な営繕物でありますので、もうこれも統一した方がよいと思つておりますが、これは第二段、第三段には私は当然入ると思います。しかも現在各国立病院及び国庫の補助を受けておる病院等の営繕に関しては、ほとんど技術的な裏づけがなくやられておるよう状態であります。これはまつたく技術者が委託技術者をもつてつておるよう状態でありまして、このようなものは急遽修正しなければならぬと思つておりますが、現在のところそれを入れるならば、そのほかにもう一歩前に入れなければならぬものがある。それは先ほど申し上げました通り、特殊な技術も何もいらない国会、裁判所、会計検査院営繕ということを入れたいのですが、これさえも解決できないよう状態でありますので、まことにふがいないのでありますが、二段三段においてはこういうものも当然入れて行きたいという希望を持つておりますので、その程度で御了承願えれば幸甚だと思います。
  66. 西村英一

    西村(英)委員 ちよつと関連して。今の田中さんの御説明でちよつと疑義が生じたのですが、ただいまの説明で、学校、病院、刑務所、工場、倉庫及び車庫等は庁舎の定義の中には入らないのだが、法律の対象にはなるのだというお話であつたのですが、それを今少し確かめておきたいのですが、つまりこういうものを計画としては建設省に出すのですか、出さないのですか。
  67. 田中角榮

    田中(角)委員 お答えいたします。第九条の対象になります。営繕計画提出しなければなりませんから、本法案の適用を受けるわけであります。
  68. 西村英一

    西村(英)委員 ここは非常に綿密に考えなければならぬのですが、ほんとうに厳密にいいますと、この法律は非常に矛盾したところがある。それは第九条においては、国家機関建築物といつておる。ところが車庫も倉庫も何も含んだ国家機関建築物について、あるいは今田中委員の言われましたように、学校の計画等も建設大臣に出すというふうに解釈するのか。あるいはその他の第四条、第五条は庁舎のみについて、庁舎の目的を果すには、公共の施設として便利で安全な相当建物をつくるというふうに全体の条文がなつておる。計画は全部の建造物をつくるようになつておる。私は事柄がわかつておるから触れまいと思いましたが、ただ単にそれは定義のみだけであつて、やはり計画としては対象になつて全部出すのだということになれば、文部省から学校等の計画を全部出すということになれば、これは大きな問題になりますが、重ねて御質問申し上げます。
  69. 田中角榮

    田中(角)委員 お答えいたします。庁舎と特に定義を要する部面は、四条から八条を適用するわけでありますし、一般営繕物というのは一条、二条、三条、九条を適用して行く、こういうのであります。
  70. 西村英一

    西村(英)委員 第一条の目的は、この法律国家機関建物建造物建築物の上で、庁舎に類したものをこうこういうようにしようということなのか、国家機関建築物の全部についてこれを適用しようとするのか、その辺はもう少し解釈をはつきりさせないと非常な疑義が起ると思います。
  71. 田中角榮

    田中(角)委員 私の説明がちよつと間違つてつて、不徹底なようでありますから、お答えいたしますと、もちろん法律案は国家の建造物全部を対象としておるわけでありますが、特に庁舎に対しては、第四条「庁舎は、国民の公共施設として、親しみやすく、便利で、且つ、安全なものでなければならない。」というように、庁舎についての規定も設けられておりますので、庁舎については、特別に一般のものよりも適用除外があるように思うのであります。
  72. 西村英一

    西村(英)委員 それでは押し問答になりますが、端的に申しまして、第十条の各省、各庁の長は、国家機関建築物の営繕計画を出すことになつているのですが、これは学校に対します計画書をこの第九条によつて出すのですか、出さないのですか。
  73. 田中角榮

    田中(角)委員 全部出します。
  74. 西村英一

    西村(英)委員 さよう了解いたしましてよろしゆうございますか。
  75. 田中角榮

    田中(角)委員 よろしゆうございます。
  76. 内海安吉

    内海委員長代理 それでは本案に関する質疑はさらに続行することにいたしまして、次会は明後十九日土曜日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十五分散会