運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-29 第10回国会 衆議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 藥師神岩太郎君    理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君    理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君       淺利 三朗君    今村 忠助君       上林山榮吉君    小平 久雄君       瀬戸山三男君    高木吉之助君       高田 弥市君    西村 英一君       三池  信君    中島 茂喜君       福田 繁芳君    増田 連也君       佐々木更三君    池田 峯雄君       寺崎  覺君  出席国務大臣         建 設 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         建設事務官         (河川局次長) 伊藤 大三君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      今泉 兼寛君  委員外出席者         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 三月二十九日  委員宇田恒君辞任につき、その補欠として高木  吉之助君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二十八日  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案(内  閣提出第一二九号) 同日  多摩川堤防外地域砂利採取禁止請願(栗山  長次郎君紹介)(第一五八四号)  住宅金融公庫法の一部改正に関する請願(金光  義邦君紹介)(第一六二一号)  北上川中流改修工事施行に関する請願淺利  三朗紹介)(第一六六九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案(内  閣提出第一二九号)     —————————————
  2. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 これより会議を開きます。  昨日より引続き、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案に関する質疑を続行いたします。西村君。
  3. 西村英一

    西村(英)委員 私は前回の委員会で、十五万円未満の小工事につきまして御質問を申し上げたのでありますが、端的に言いますと、十五万円以下の工事災害復旧費とみなさない、しかしそれは少くとも今回のこの負担法案地方財政力に適合するようなことを主眼として考えております関係上、十五万円の工事が連続して起りました場合には、非常に負担力のないような町村については過重な負担になるから、これをもう少し——十五万円を十万円の程度に切り下げるのが適当ではないか、こういう御質問を私は申し上げたのであります。しかし、それは資料がなくてはいけないからということで、建設省の方から先般資料を出していただいたようなわけです。ところでその資料を見まして、私はますます私の言うことが正しいという自信を得たような次第であります。建設省から御提出になりました昭和二十五年度十五万円未満災害復旧事業費調べという府県別調べがありますが、この十五万円未満災害調書と、もう一つ標準税収入調べがあります。この標準税収入調べと対比いたしてみますると、標準税収入が少いところに十五万円未満工事が非常に累積いたしておるのであります。たとえばこの災害調書におきまして、十五万円未満工事が一億円以上を突破しておる県と申しますと、福島県、栃木県、長野、富山、岐阜、三重、兵庫、徳島、愛媛、福岡、佐賀、大分、鹿児島、こういうような県は、いずれもこの小工事を合せても一億ないし二億、三億という累積があるのであります。しかしてそれらの県は、いずれもまた標準税額から申しますと非常に少いのであります。もし政府地方財政力に応じてやる。従つてせつかくスライド制をとつて、大いにそこに考慮を携われたというならば、さらに竿頭一歩を進めて、十五万円未満工事でも、その切り方をもう少し低下するのが適当ではなかろうかという考えを私は持つておるのであります。これは建設省の方であろうと思いますが、この調書をつくられました方は、私の言うことをどういうふうにお考えになりますか。数字に基いてひとつ説明を願いたいのであります。
  4. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 十五万円以下の工事につきましては、大体各府県単独工事としてやられておる問題を、一応調査いたしました結果、それがお示ししましたように、大体一割程度になるというので、そうしたわけでございます。もちろん一箇所十五万円がいいか、十万円がいいかという問題がございますが、まあ十五万円以下については、できるだけ国の財政の見地からも考えまして、これは府県並びに市町村において工事をしていただき、それ以上の問題について国として重点的にやつて行きたい、こういう考えからそういうぐあいになりました。なお一箇所につきましても、これが連続しておる場合とか、二十メートルにわたつておるような場合については、大体これも一箇所の工事として見、場合によりましては二十メートル以上にわたつた場合においてもこれを一箇所と見、できるだけこれを救うという方向に進んでおるわけであります。
  5. 西村英一

    西村(英)委員 ちよつと次長お尋ねしますが、あなたはこの表によつて税収災害を対照してよく御研究になりましたか。私の言うことはもつともだと思いませんか。
  6. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 県によりましては、実はいろいろとでこぼこがあるのでございますが、私が申し上げましたのは、国として全体から見まして、災害総額に比して一割程度、こう申し上げたわけであります。
  7. 西村英一

    西村(英)委員 私は総体的のことを言つておるのではない。せつかくあなた方がおつくりになつた表に基いて、たとえば地方財政を圧迫するということから考えますれば、徳島県のごときは十五万円以下の工事が累積いたしまして、三億五千四百万円もある。しかして徳島県の税収は幾らかというと、全国で最も低い四億八千八百万円しかない。かくのごとくに税収の低いところが十五万円以下の工事が累積しておる。それでこの地方財政を大いに考慮してやろうということならば、もう少しこれを下げていいのではないか。これを十五万円としたことは、それはどこかで切らなければならない、だから小工事を累積すれば、事務上あるいは技術上、数千件あるいは数万件に工事がわたるから、事務的に不可能だから、どこかで切らなければならないのであつて地方財政を大いに考慮してやる、つまり貧乏なところを助けてやろうという精神ならば、十五万円をもう少し下の方に引下げることが、ほんとうに貧弱な町村を助けるゆえんになる。このことは調書に明らかに出ておるのであります。そういう点につきまして御答弁願いたい。
  8. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 徳島につきましては、実は小工事も相当累積しております。これとともに大工事も相当あるのでありまして、徳島補助率というものは二十五年度におきまする分を、計算いたしましても、相当高額になるのでありまして、その補助対象といたしますものにおきましては、相当高額の補助を出せることになつておるのでございます。それで徳島におきましても大体この比率は一割内外だと存じておるわけでございます。なお今のような小工事の問題について、ある県だけを特別にするということは、一般法規といたしましても相当困難でございますので、実は法規といたしましては、ここに一律に決定いたしたようなわけでございます。なお小工事の連続しておる部分についても助けるということは、われわれとしては相当この法規を働かして、法規の及ぶ限り助けて参りたい、こう存じておるわけであります。
  9. 西村英一

    西村(英)委員 この小工事の額を下げてもらいたいということは、一般災害県の県民の輿論であります。従いまして将来これはひとつ大いに考慮してもらいたいという希望を付しまして、私はこの点の質問はこれで終ります。  次に法案の第十三條の市町村災害復旧事業費のことでございますが、これは国が災害復旧事業費負担するその基金をやる方法について、いろいろいうておるのでありますが、この第十三條で現在の負担方法間接交付ということになつたと解釈していいのですか。あるいは第十三條は間接交付のあれではないのだということになりますか、その辺をお聞きしたいと思います。
  10. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 十三條は間接交付のことを規定いたしておるのではございませんので、国が直接に補助金市町村交付するのでありまするが、ただ国交付のいろいろの手続につきまして、国と市町村とを結ぶことによりましては、事務的にもまた実際的にも、相当困難並びに煩雑になります。従つてその事務的のことにつきまして、府県知事に委任いたしまして、府県知事において行われるようにいたしておるのであります。
  11. 西村英一

    西村(英)委員 そうすると、やはり二十六年度も直接交付ということで、しかも直接交付ということは、どういうことをいうのですか。建設省から與えられたところの負担額というものは、県では絶対にいじれないのだ、こういうように解釈してよろしゆうございますか。
  12. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 町村災害に対しまする査定は、もちろん建設省においていたすのであります。そして出ました災害につきまして、その負担率算定とかそのほかのこまかい事務府県知事にやつてただきまして、それに基きましてこちらから府県の方へ補助金を出しまして、これを配つてただく、こういうことになるわけであります。
  13. 西村英一

    西村(英)委員 今申しましたのは、その交付金は、本省で決定しました交付金を直接交付ということになると、市町村に来たものは、県ではいろいろ手を入れることはできぬというふうに考えていいのですか。その点をもつと端的に、そうじやないのだとか、あるいはそうだとかいうふうに、お答え願いたいと思います。
  14. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 もちろんその事務を委任するとともに、府県知事意見というものはこちらにおいて尊重いたしまして、その府県意見を相当入れまして、そうしてその上において配分して参るわけであります。
  15. 西村英一

    西村(英)委員 今の第十三條はわかりました。第十條にこういう言葉を使つてあります。「成功認定を受けなければならない。」この成功認定ということはどういうことなんですか。
  16. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 言葉は熟さぬかもしれませんが、実は工事が完了いたしましたときに、その工事完了認定を受け、それを精算いたすことを成功認定というのであります。
  17. 西村英一

    西村(英)委員 竣功認定ではいけないのですか。
  18. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 同じであります。
  19. 西村英一

    西村(英)委員 それならば、竣功認定ということならば、竣功ということは一般に使われている言葉ですが、成功認定というような妙な漢字を使い出すのはどうも感心しないのですが、同じだということになれば私は了解いたします。  それから昨日、前にさかのぼりますが、瀬戸山委員質問いたしましたが、第三條に林地荒廃防止施設と、それから漁港という、この二つが入つている。しかも一方これは、農林水産業施設災害復旧事業費国庫負担法律の中にもこれが入つておるのであります。昨日もちよつと御説明政府からあつたのですが、どうしてこれをこの法律に入れ、それからもう一方の法律にも区分して入れるというような事情が起つたのでありましようか。この辺はわれわれもちよつと了解に苦しむところであります。建設当局でおわかりにならなければ、安本の方もおいでになつておりますから、この辺をもう少し簡明に、どうして二つ法律案にわけて入れなければならなかつたかというりくつを、ひとつ明瞭にお答え願いたいと思うのであります。
  20. 今泉兼寛

    今泉政府委員 この問題はきのう、あるいは席をはずしたときだつたかと思いまするが、大蔵省の方からも御説明申し上げた次第でございます。この法律で取扱うのは、表題にも明記してあります通り公共土木施設ということに限定いたしております。従つて部分の範囲は建設省所管になるわけでございますが、農業関係においても、ここに明記してあります林地荒廃防止施設、それから漁港、それから運輸関係で港湾というものが公共土木施設として出て参る。従つてそういう同じ範疇のものは、やはり所管違つても、同じところで規定すべきではないかということで、公共土木施設はやはり一本にこちらにまとめて規定するということで、従来もその取扱いは、明記してはございませんが、その通り扱つてつたわけでございます。しからば農林の方の暫定法律にも、やはりこういつた漁港、それから砂防関係も出ておりますので、なぜ一本にできないか、こういう御疑問だろうと思いますが、こちらの方はなるべく大きな施設公共土木施設のうちでも大きな施設取扱いたいという気持で、法律の点から申し上げれば、この法律で取扱われるのは、地方公共団体以上が施行するものに限つてこちらにする、それから公共団体以外の、つまり組合その他がやるものについては、農林水産の方の法律で行く、こういう区別にしておるわけであります。そういつた公共団体じやない、組合その他で取扱うものまで、あるいはこちらに、公共土木施設は全部一括して取扱うというやり方も、できないわけではございませんけれども、従来の取扱い公共団体でやつている施設と、そうじやないものとは取扱いを異にしておりますし、それから国庫補助関係等も大分異なつております。補助をしたりしなかつたりするものもございまして、一律に取扱いしにくい、そこで公共団体で取扱うものとしからざるものとは、やはり従来通り取扱いにまかしたらどうか。そこで今申し上げました漁港についても、それから林地荒廃防止施設についても、公共団体で取扱わないものは、向うの法律で行く、公共団体以上の施行するものはこちらの法律で行く、こういう区別になつておるわけであります。
  21. 西村英一

    西村(英)委員 大体了解いたしました。もう一点附則の第四にあります、昭和二十三年度の災害復旧につきましては、これを補正するようなことになつておるのでありますが、補正をするということはどういうふうになるのですか、その点ひとつお伺いしたいと思います。
  22. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 二十五年度、二十四年度につきましては、補正の問題ははつきりした差が出なかつた、それは二十五年度及び二十四年度の当初は、物価においてあまりかわらなかつた、ところが二十三年度と二十五年度は相当物価の点において変動がありまして、その点を考慮して、総額においてこの補正をしたものを考慮いたしまして、そうして負担率を大きくする、こういうことにいたしたわけであります。
  23. 西村英一

    西村(英)委員 それでは結局物価変動によつて、つまりそれだけの修正をする、従つて前回査定せられた額よりは物価変動だけ多くなる。つまり新たに災害査定し直すのではないのだ、こう解釈してよろしゆうございますか、どうですか。
  24. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 負担率算定につきまして、計算の根拠として災害総額補正する、災害額査定し直すのではない、こう思つてただいてけつこうであります。
  25. 西村英一

    西村(英)委員 質問を終ります。
  26. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 大臣がなかなか見えませんから、事務当局に簡單にお伺いいたします。  先ほど西村委員から補正の問題がありましたが、昭和二十三年度発生災害については、昭和二十四年及び二十五年発生災害を一〇〇として一四九の指数で計算した額を基礎にする、こういうふうになつておるのですが、昭和二十四年度、二十五年度についてはその後物価変動はないという予想のもとで、災害復旧費が出ておるわけでありますか。
  27. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 物価変動朝鮮事変の後におきまして、若干の上昇を来しております。ただ二十五年度当初を基礎といたしまして、負担率計算をするためにこの補正をいたしたのでありまして、二十五年度の当初におきまする物価と、二十四年度の物価との比較並びに二十三年度の物価比較いたしたのであります。もし全部の比較をいたすとすれば、全部が上つて行く、こういうふうに考えますので、その点は考慮いたさなかつたのであります。
  28. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 大体われわれがいただいております資料によりますと、昭和二十三年は、物価変動などを見て、昭和二十四年度四月一日を一〇〇として一四九に計算されておると思うのです。それは要するに昭和二十三年の査定額で、いわゆるスライド制基礎にするということは適切でないという考え方から来ておると思う。そうすれば、二十四年度も二十五年度も大体同じように考えられるのですが、それは物価は横這いしておるからというお考えですか、多少動いておるけれども、やむを得ないというお考えですか。
  29. 伊藤六三

    伊藤(六)政府委員 この補正予算は、実はとりあえず二十四年度と二十五年度と比較してみたわけでありまして、全部上つたとすれば、また二十三年度の一・四九というのを上げなければならぬというような比較の問題でございますので、結局問題は二十四年度と二十五年度の比較の問題でございます。二十五年度の朝鮮事変勃発前後までは大した動きはございません。動いたのは二十五年度の後年で、大した動きはないので、これを二十四年度のそれと比較するということは、いろいろの関係手続上も相当めんどうだということから、二十四年度と二十五年度と同じように見ておる、こういうことであります。
  30. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 もう一つだけ伺います。これは先ほど西村委員からお尋ねになつて今泉次長からお答えになつたのでありますが、昨日の委員会でも、ちよつと私はお尋ねをして、まだはつきりしなかつたのでありますけれども、例の農林関係国庫補助暫定措置に関する法律の一部改正では、第二條の第二項の第一号を改めて、従来ありました林地荒廃防止施設の下に、「法令により地方公共団体又はその機関維持管理に属するものを除く。」こういうふうにして、両方法律の調整をはかつております。その点はきのうの御説明でわかつたのでありますが、漁港に関しては、やはり両方漁港が出ておるのでありますけれども、さような特例が書いてない。その点は一体どちらが——先ほどの御説明では、地方公共団体もしくはその機関がやるものについては、土木災害の方でやるのだという御説明でありますが、法律の書き方では、いわゆる農林関係暫定措置に関する法律の一部では、その漁港については、特別に改めてないのでありますけれども、その関係はどういうわけでしようか。
  31. 今泉兼寛

    今泉政府委員 漁港については、特別に法律に明記してはございませんが、従来もその通り扱つておりますし、別に明記したくても、従来の慣例その他で、国が災害復旧として取扱う公共土木関係については、もう明白であるということで、林地荒廃防止施設違つて、明示しなかつた次第でございますが、現実の取扱いは、明記したと何らかわりがない、こういうふうに御了承願います。
  32. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 佐々木君、大臣は時間がないそうありますから、ひとつ簡潔に要点だけを願います。佐々木更三君。
  33. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 この法律案の通過を、政府は非常に急いでおるようでございますが、私たちいつも議案審議で不満に感ずることは、政府重要法案について、元来からいいますと、そう急ぐならば事前審議等方法を講ずべきであるにかかわらず、しかもきのう提出して来た議案について、きようこれを通してもらいたいというような政府の御意向は、非常に議会審議権を軽く見るものと思うのでございますが、一体どうしてこういう重要法案に対して、政府はいつもそういう態度をとつておられるか。この点についてひとつ大臣から御答弁願いたい。
  34. 増田甲子七

    増田国務大臣 これはずつと前からの建設委員会において、実は私ども法案の実質的の内容をお示と、また皆様からも御質問なり御意見を拝聴いたしておる次第でございまして、すでにきのうも御審議願いましたが、実質的の審議は、法案提出される前にしばしば皆様の方から、法案内容はこうなつておるのだ、そこでこれこれこうではいかぬではないかという意味の御意見、御質問がしばしば展開され、また私からも、政府委員からも御答弁いたしておる次第であります。
  35. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 われわれは、従来災害復旧費全額国庫負担を継続してもらわなければならぬという意見を述べて来たのでありまするが、政府に対して、こういうような建設政策からいいますと、あとずさりするような改悪案を出してもらいたいという意向を述べたことは、毛頭ないのでありまして、われわれが従来述べた意見と、政府が今回法律案提出しましたこととは、何らの関連性がないのであります。大臣はどう答弁されましても、これは関連性がないのであります。こういうことをまず第一に主張しておきたいのであります。  そこで、かつてわれわれはそういう全額国庫負担法律を継続してもらいたい、こういう意向を述べて来たのでありますが、政府が、それほど大事な法案を、一日か二日で審議することを議会に対して要望して来るがごときことは、やはりこれは議会審議権というものを軽視している証拠だと私は思います。特にこの法律案——これは吉田内閣でしばしばやることでありまするが、たとえば予算というものをつくつておいて、法律だけあとからつくる。つまりある既成事実とつつておいて、その既成事実に対して法律を当てはめよう、こういうような一種の非立憲的態度で、とかく法案は出されがちであります。こういうことはひとりこの法律のみではございませんが、政府は一体議会審議権に対して何か考えていることがあるのかないのか、こういうことについて一応伺いまして、一次の質問に入りたいと思います。
  36. 増田甲子七

    増田国務大臣 佐々木さんの御意見一応ごもつともでございます。すなわち予算案とそれから予算を執行すべき法律案というものは、同時提出をすべきであるということに対しては、私は同感の意を表します。そこで予算案は御承知の通り全額国庫負担という法案基礎としたものではございません。すなわち幾分は地方自治団体において持つてもらう。こういうような予算案であるならば、法律案同時提出をすべきでございますが、しかしそういう予算案に即応したような法律案提出いたしてございませんということを皆様にも申し上げ、また増田はよくわからないのだけれども、三つあるのだ。それは三分の二と四分の三と全額であるのであるというふうに皆さまから教えていただいた時代もあるくらいで、すでに実質的な御審査は十分願つておることは、佐々木さんが御出席がある場合でありましても、またない場合でありましても、とくと御了承遊ばしていらつしやると確信いたす次第であります。
  37. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 この法案を通そうとするならば、政府議案審議に対して、やはり誠意を披瀝する必要があるだろうと私は思うのです。私の理解するところでは、たしか今月一ぱいは災害復旧費については、全額国庫負担法律に基いてやつておるはずだと思うのでございます。それにもかかわらず、政府がそういう法律がまだかえられない前に、こういう三分の二を中心とする予算を組むということは、あらかじめ政府がそういうような予算に対してわくを切つておいて、それに議会がはめてくれるような審議をしてくれるであろう、あるいはまたもつと突き進んでそうさせなければならない、こういうような考えのもとに予算が組まれて法律案提出されておると思うのであります。つまり議会審議権に対してある想定をし、もしくはある制約をつけて、こういう法律案を出すということは、やはり非立憲的な態度といわなければなりません。この点は政府の方でももうちよつとあつさり出ていただきたいと思うのであります。少くとも将来こういうことをされては、審議権の軽視と考えるよりほかないのでありますが、大臣はどう考えますか。
  38. 増田甲子七

    増田国務大臣 法案予算案より遅れた点は私は明瞭に認めます。ただしかしながら、そうかと申して、私ども審議権を軽視したとは思つておりません。というのは、予算皆さまが本国会においてすでに議決されておる。国会議員四百六十六名のうちに、建設委員りつぱな構成員として参加されておるわけであります。本会議において皆さま建設委員として、また衆議院議員としても御承諾遊ばしたのですから、私ども審議権軽視とは考えておりません。
  39. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 それは詭弁だと思います。予算がきまりましても、また予算がそういうことを含んでおつても、そのことによつてわれわれ議会というものはこの法律案審議権に対して制限を受ける何らの理由はないので、もし建設大臣の言をもつてすれば、予算案に賛成したのだから、この法律案予算にあてはまるような法律をつくるのだから、当然賛成しなければならないというような議会に対する一種の制約を持つて来る、そういうことを押しつけて来るというようなあなたの態度が、非立憲的な態度だと私は言つておるのです。従つて大臣が何と言おうと、われわれは予算案に反対しております。あなたが賛成していると言われたのは、あなたの與党だけなんだ。それに対してわれわれにそういう制約を押しつける大臣態度は、非常に間違いだと思うのですが、その点あなたはさつきの発言を訂正する意思がないかどうか伺いたい。
  40. 増田甲子七

    増田国務大臣 この三分の二国庫負担という意味合いの予算案皆様が御審議なすつた、こういう意味なんで、御審議なすつた予算は、国会という名前において可決確定されております。だからといつて増田予算案が可決確定された以上は、この法案に白票を投じなくてはならぬと言うならば、法案審議権の無視でありましよう。私は法案予算案をできれば同時提出をいたしたいと考えておりましたが、各種のいきさつがございまして、同時提出ができなかつた点は十分に認めております。しかし審議権の無視ということは、そうなれば事重大なんですから、そこまでは私は認めがたい。皆様はこの法案を十分御審議つて、それぞれ白なり青なりの審議権を十分お使い願えれば幸いであると思つております。
  41. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 いつまでそういうことを議論してもはてしがありませんが、今回の建設大臣態度ははなはだ遺憾であると考えるものであります。  次に聞きたいことは、こういうふうな重大な予算を、しかも突如として、昨日の政府側の希望としては、昨日提出して、即日決定をわれわれ委員会に要請した。あるいはまた本日中にこれを仕上げなければならぬというような、非常にせつかちな審議をわれわれに対して要請して来ておるのでありますが、こういうふうにこの法律案提出が延びをとについては、いろいろな理由があるということを聞いておるのでありますが、この際大臣は、この法案政府において早くから考えられておつたにもかかわらず、こういうふうに正式提世が延びた事情を私どもは明白にしていただきたいと思うのであります。
  42. 増田甲子七

    増田国務大臣 法案提出が幾分遅れたことは私認めます。そこで法案提出が遅れた理由を具体的に詳細に申し述べろという御質問でございまするが、これは関係各省自体等においても種々意見があり、また関係方面の了解を得るというような関係で時間がかかつたというふうに御了承願いたいと思います。
  43. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 この法律案提出の遷延した理由に対して、われわれ社会党としては、一抹の疑惑を持つておるものでございますが、この法律案提出は、さつき大臣の口からも出ておるように、当然全額国庫負担法は本年度で終るのでありますから、新しい法律案提出しなければならぬことは、すでに一年前にわかつてつたことであります。そのために大臣もこの法律案の起草にかかつておられただろう。従つて政府としては一次か二次かわかりませんが、そういう草案をつくつてGHQに対して了解を求めておるということは、われわれ社会党もつとに聞いておるところであるが、聞くところによりますると、これを中途において大臣はGHQから取下げて来て、そうしてただいま提出したような法案ができ上つた。こういううわさを私は聞いておるのでありますが、そういう事実があるのかないのか、この点についてお伺いいたします。
  44. 増田甲子七

    増田国務大臣 この法案審査なり作成に当つて、あるいは関係方面の了解を得るということのために時間がかかつたことは今申した通りでありまするが、その内容にわたつて申し上げることはどうぞお許しを願いたいと思います。
  45. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 こういうことは公式の記録にとどめたくないから、できるだけ大臣の自発的発言を私は望んでおるのでありますけれども大臣がそれを言いにくいというのでありますので、私も言わなければならぬのでありますが、われわれの聞くところによると、さきにも申し上げましたように、政府は一度法律の草案をGHQに提出して取下げた。さきに提出して取下げた法律案内容がどういうものであるかわれわれは不明でございますが、とかく地方選挙が近づくに従つて政府としてはそれらの対策上これを取下げて、あとで質問するような新しい内容にかえて出したというような、政府にとつて、また増田建設大臣にとつてあまり芳ばしからぬ風評があるから、私はその間の事情を大臣にお聞きしておるのであります。従つてどういう事情で内容を述べられないかはわかりませんが、審議をする国会に対して、一度GHQに提出したことがあるのかないのか、取下げたということが事実か事実でないかということに対して御答弁ができないはずはないと思いますので、この間の事情をこの際明らかにしていただきたい、かように私は再度建設大臣に対して要望するものであります。
  46. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  47. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 速記を始めてください。
  48. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 建設大臣のお答えは世間の風評を少しも解消しないばかりか、ますますそういう疑いを濃くすると思います。第一には、これは法律の上である一定額の災害費以上に深刻な災害を受けた場合においては、標準地方税収入に応じてスライドさせることを主眼にしてできておる法律であります。従つてこれは災害に対して各地方財政に均等に政府が取扱つて、その間の不公平をなくするというところが主眼であつたろうと思うのであるが、そういたしますならば、單に北海道が開発途上だということだけでは説明がつかないはずであります。北海道といえども、宮城県といえども、あるいは長野県といえども、スライドの一定の率は公平に一般的な地方の税収入の標準によつて割出さるべきはずのものである。北海道だけ既得権を擁護するのは不公平だろうと思う。もし既得権といいますならば、少くとも本年度におきましては、これは全額国庫負担であつて、既得権をたてにとれば当然あなたは全額国庫負担を保障しなければならぬはずであります。一方には全額国庫負担という既得権を侵害しておいて、むろんさかのぼつて考えておるのでありましようけれども、北海道だけそういうような既得権侵害の名のもとにおいて不公平な区別をすることは、どう考えてもこの法律の不公平性を現わすものだと思うのであります。だからといつて、私は北海道のこういう率に反対するものではありません。全額国庫負担が当然だと思うのでありまするから、北海道のかかる制限等には私は了解はなし得ないのでございますが、他の府県と北海道と区別する理由として、こういうような既得侵害という名前を持つて来る政府のこの法律提出内容において、つまり最初のGHQの了解を求めて参りました草案を取下げて、こういうふうなものをやつたことに、私はどうも理解できないものがあるのでございまして、もし大臣がそういう既得権を尊重されるという菩提心がありまするならば、これは当然北海道と他の府県を同率になすことが正当であると私は考えておるのでございますが、大臣は一体どう考えるか、この点について御答弁願いたい。
  49. 増田甲子七

    増田国務大臣 北海道の措置については、私はきわめて公正妥当である、佐々木さんのおつしやる風評のごときは何ら根拠のないものであつて、むしろあべこべに、政府あるいは建設大臣は、地方の状況に照らして公正妥当なる立法的措置をとらんとして法案を出したものである、こういうふうに確信をいたしておることをまずもつて明言いたしておきます。  それからこの際建設委員皆様、特に北海道では他の三つの島のことを内地内地と言つておりますから、内地御出身の建設委員皆様の御了解を得なくてはならぬと思うのでございます。佐々木さんの御疑念のような御疑念をお持ちの方もおありだと思いますから、そこであらためて、もう一ぺん申し上げます。既得権ということを言つてはいけないと、佐々木さんがおつしやいましたが、私ども昭和二十五年度の全額国庫負担というものは、法律の中に、本年度に限ると書いてございますから、明年度はさらに既得権が続くとは考えておりません。これはきわめて明瞭なことでございますが、一応さらに明確にいたしておく次第であります。しかして去年まで続いておつた法律、すなわち内地は三分の二、北海道は五分の四というこの法律は、もしこの法案が立法化されないといたしますと、——これはそういうことでは私は困りますから、皆様に懇請申し上げる次第でございますが、もしこの法律ができないと仮定いたしますと、自動的に去年まで生き、かつ働いておつた法律が、明会計年度四月一日から生きて来るわけであります。そういたしますと、北海道の五分の四という法律は、再び一年間だけ今の暫行法律が生きている間潜在しておつただけですから、また顕在して来るわけであります。潜在法律が顯在いたしますと、この四月一日から五分の四になる。内地は三分の二になる。そこで内地の三分の二ということは、いかにもおもしろくない、地方財政の能力に応じてわれわれはスライド性のあるわくをつくるべきである、こういう考えで、内地三つの島につきましては、三分の二、四分の三、及び全額、こういう三つのフレキシブルな柔軟性のわくをつくつたわけであります。そこで北海道のことについてまた振りかえるわけでありますが、北海道は固定のわくといたしますと、五分の四ときまつております。そこでこれはいわゆる既得権と私は言えると思います。というのは、四月一日から自動的にまた前の法律が生きて来るから、その法律にかわる法律が、この法案なんですから、これは明瞭に既得権と言えると思う。ただしかしながら、内地が税額の二倍以上の災害が起きた、そこでその当該町村は非常に気の毒であるという場合は、北海道の当該町村も最恵国的に均霑させていいではないか、つまり二つのわくですから、二つのわくくらいは北海道につくつてつてよろしいという、皆様は広い心を持つていらつしやると信じて疑いません。現に佐々木さんは、自分はあえて北海道のために惜しむものではない、こうおつしやつたのですが、そこで従来の過去三箇年間の平均をとつてみましたところが、市町村をすべてとつてみますと、大体一年平均全額国庫負担になつて均霑される額は、四百五十万円であります。そこで要するに北海道に対しては、五分の四ぶち切りにしてしまうか、あるいはもう一つのわくである、内地にもあるところの第三のわく、すなわち税額の二倍以上のひどい災害を受けた場合は、全額を内地の市町村と同様持つてやるかどうかということは、皆様がおやりになるということをおきめくだされば、四百五十万円だけ北海へ支出する、五分の四の固定率の場合に比べて四百五十万円多くなる、これだけでございますが、私どもは人情の点から見ても常識の点から見ても、北海道のこの二つのわくはきわめて適切妥当である、選挙とかいうこととは何ら関係なしに、北海道に対して公正妥当なわくをつくつたもの、こう確信して、ぜひとも皆様の積極的御支持をお願いする次第でございます。
  50. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 私は北海道の五分の四に不服を言うものではございません。先ほど申しました通り、北海道もやはり全額国庫負担にしてもらわなければ困るところであろうと思うのであります。従つて私は北海道が五分の四に規定されておるから不公平だというのではなくして、北海道の五分の四さえも不足であるにもかかわらず、災害の国家負担について、他の部分を三分の二に引下げた不公平を私は言うのであります。北海道がことに不公平じやない、北海道をそうするのは当然であるが、それさえも不足なのに、本州あるいは九州、四国の方を三分の二と引下げた不公平を私は言うのでございますから、この点は誤解がないように願いたいのでありまして、この点私は、どう建設大臣が御答弁なさいましようとも、北海道に比べて本州、四国九州を差別待遇されるということは、このスライド制をとる法律案としては絶対に承服ができない。こういうことを前提にして次に移りたいのでございますが、もう一つ私たちは、この法律案の中に現内閣の一種の不統一というものを見るような気がするのであります。第三條によりますと、幾つかの項目が出ておりまして、その中に砂防設備、林地荒廃防止施設、こういうふうなことは——むろん私はこれを建設行政のわく内にしたからといつて反対するものではございませんけれども、この二つの項目をこの法律の中に持つて来るまでには、かなり閣内において、特に農林当局と建設当局との間に、非常な論争があつた、言いかえればなわ張り争いがあつた、そのことのために、この法律案がこういうふうに提出が延びた。提出が延びた結果としては、国会審議権無視のような形で、一日あるいは二日でこれを通そうというような、要するに国会審議権無視の政府の非良心的な態度も、現内閣不統一から来ているものだというような風評もあり、かつわれわれは、この法案中からそれを受けとるのでございますが、一体この間の事情がどうなつておりますか、この点大臣から御答弁を願いたいと思います。
  51. 増田甲子七

    増田国務大臣 佐々木さんの御質問に虚心坦懐に、ざつくばらんに申します。林地荒廃防止施設だとか、あるいは港湾だとか、漁港だとか建設省で現在主管していない各種の公共施設災害を受けた場合に、この災害の国庫負担法のわくの中に入つて来る。その関係であるいはなわ張りというようなことで、この法案を作成するときに、相当時間がかかつたのではないかという御質問でございますが、そういうわけで時間がかかつたわけではございません。各省セクシヨナリズムも、なわ張りもございせんし、われわれの主管する法律の中へ入れて助けてくれということで、各省いずれも喜んでおります。
  52. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 そこで内閣不統一のことは、内閣にまかせることにいたしまして、次にこの法律案につきまして、事務当局説明によりますと、計画事業量を遂行しようといたしますと、大体において三十億円の補正予算が必要であるということを聞いておるのでございますが、いつも政府は、法律では改正することによつて何か恩典を與えるがごとき感を與えながら、実質的にはこれに伴うところの予算的な措置が伴わないことが往々あるのでございますが、この法律案を通すことによつて生ずる三十億の補正予算に対しましては、政府ははたしてほんとうに補正予算を組んで、所定の計画事業量を減少することがないような保証ができるかどうか、私はこの点について政府予算的措置に対する保証いかんということについて御質問申し上げます。
  53. 増田甲子七

    増田国務大臣 三分の二のときと、四分の三のときとは一般的にいえば、お説のごとく事業量は減るわけなんです。そこで事業量を減らさないように、何とか予算措置をするかどうか、こういう御質問佐々木さん以外に皆さんすでにしばしばなすつたところで、ごもつともな御質問であります。私どもといたしましては、予算の許す限り、でき得る限り補正予算をつくつてほしいということを財政当局には閣議においてすでにそのときただちに要望をいたしております。これから後も要望は続けるつもりでございます。ただしかしながら四分の三のときも、七六%ないし七四%のときでも、物価がかりに上りましても、一般論としては去年の事業量と同等あるいはそれ以上であるということはお認めを願いたいと思います。  それから建設関係といたしましては、従来三分の二というようなことで組んで、一応予算説明書にも出ておるようでありますが、これでは困る、特に建設関係としては、この災害復旧費の割当について再検討してほしいということを強く関係大臣に申入れをしております。でないと、三分の二のときとは事業量においてよほど減るのであるから、われわれは地方財政の量のことを、建設省という立場で、地方自治庁のような立場も考慮して、四分の三ということに結果的になる。この三つの柔軟性のあるわくに譲歩した次第であるから、この譲歩した心持というものをよくくんで、もう一ぺん災害復旧費の割当についても、再検討するようにということが一種の條件になつております。
  54. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 この予算的措置に対しては、あいまいでなしに、大臣は明確に御答弁をする必要があろうと思うのであります。ただいま大臣のお言葉を聞きますと、これに対するところの補正予算等は、予算上、資金上、できるだけ出せということを要望しておるように聞くのでございますが、一体可能とほ何か。それは何ら明確には保証されておらないようであります。そのときの政府考え方、財政計画等によりましては、やはりこの法律案予算上不可能だという理由によつて、いくら法律スライド制をとりましても、実際上には予算が来ないということになりますと、既定計画の事業量を減らさなければならないということになるのであります。従つて政府が真に、先ほど私が政府並びに建設大臣のために芳ばしくない風評だと言つた。單に選挙を前にしてこういうような何か地方財政に恩典を與えるがごとき、そういう意図で出したというような不明朗な風評を消す意味においても、私はもつと政府におきましては、この法律案を出す以上は、三十億の必要なる補正予算は必ず保証する、こういう確信を持つてこの法律案を出さなければ、たとい法律でどういうことをやりましようとも、やはり世間の風評を裏づけることになると思うのであります。私はこの際予算上、資金上可能な範囲などというあいまいなことを言うような無責任な態度はやめて、建設大臣はこの法律案を通そうということを国会に対して要請する以上は、この三十億の補正予算に対しては絶対に保証する、こういうことを私は明言する義務があるだろうと思いますので、再度建設大臣に誠意のある、明確な答弁をお願いいたします。
  55. 増田甲子七

    増田国務大臣 佐々木さんは三分の二はけしからぬ、四分の三なり、五分の四の方がよいのだ、できれば全額国庫負担の方がよいのだ、こう言つておきながら、四分の三平均になるところの新法案を出すことは、これは選挙のためであると、どうもあなたは矛盾したことをおつしやつているように私は感じます。私は四分の三は三分の二よりも絶対的な立場より見てよろしいのである。選挙とかそんなことの関係から離れて、絶対的、客観的立場でよろしいのである。できれば五分の四にもいたしたい、こういう見解に立つて法案提出したのであつて、すなわち佐々木さんの真の希望に沿うゆえんであると確信いたしております。そこで三分の二のときよりも多少事業量は減るであろう、そこで予算的措置をとれというような御希望はごもつともな御質問なんで、私もベストを盡して補正予算なり何なりについて努力はいたします。但し三十億であるか何であるかというようなことは、まだ正確に計算をいたして見ないとわからないのでありまして、要するに多少事業量が減るということは明瞭にあなたとともに承認をいたします。そこで皆さんの御協力を得て、でき得る限り補正予算を組んで、事業量をふやし、災害復旧を完成して、しかも将来災害のないようにいたすという共同の目的に邁進いたしたいと考えておる次第であります。
  56. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 ちよつと佐々木君、大体質問の要点は盡きたと思いますが、大臣は時間がないのだから、池田君にお譲りになつたらどうですか。——池田君。
  57. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 大体三分の二の国庫補助だとか、あるいは全額国庫補助だとか、四分の三の補助だとか、いろいろ法律をかえましても、金が出るのは国家財政上やむを得ざる事態でというので、少しの予算しか組まないのでありますから、結果においては何の違いもないように私は考えるのであります。政府の出して来ました資料によりますと、二十二年度の災害が二十四年末において三十億残つております。それから二十三年度の災害が二十四年度末において三百七十三億残つておる。二十四年度の災害が三百四十九億、さらに二十五年度に起つた災害が四百八十三億、合計一千二百三十五億円という災害に対しまして、二十五年度交付した国庫負担額は二百九十一億であります。一千二百三十五億円の災害に対しまして、全額国庫負担だと称しながら二百九十一億、まさにこれは四分の一国庫負担であります。それから二十五年度末で災害復旧費の未交付額は九百三十四億になつております。二十六年度の災害がおそらく五百億を下ることはないと思いますが、そうなると、合計一千四百三十四億円、これに対して本年度の予算、こういうことになりますと、これまた五分の一国庫負担法、あるいは八分の一国庫負担法ということにもなるのではないかと思うのであります。これを三分の二を四分の三にして、増田大臣が大いに骨を折つてつたのだということは、まつたく文字上のトリツクでありまして、実際はそういうものじやない、五分の一国庫負担ないしは十分の一国庫負担、こういう結果に相なるのだと私は考えるのでありますが、この点いかがでありましようか。
  58. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は池田さんのようには考えておりません。要するに国庫からはただ延納である、拂い方が遅れておるという点は認めます。しかしながら三分の二持つべきものは、あくまで三分の二持つのであります。多少遅れておる、こういうことは明瞭に認めまするが、三分の一しか持たぬとか、あるいは五分の一国庫負担であるということは全然事実と違うのであるということを、私はこの際明言いたしておきます。
  59. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 それはもちろん災害復旧国庫補助をやろうと決定した一つの箇所については、そういうことが言えるかもしれぬけれども、全体として起つた災害総額に対しては、先ほど言りた通りであると私はあくまでも信じるものであります。ところでこの法律——二十二年度の災害が残つたり、あるいは二十三年度の災害がいつまでも残つているというようなことではなくて、本年度起つた災害は、何年間に政府が責任を持つて補助をして直してやる、こういつたようなことを明記すべきだと思う。そういうことが全然書いてない。国家財政上やむを得ざるということで、五年でも十年でも延ばすことができる、こういうばかな話は凄いと思うのでありまするが、なぜ法律に明記することができなかつたか、この点を質問いたします。
  60. 増田甲子七

    増田国務大臣 池田さんは何か誤解なさつていらつしやる、昭和二十二年のものは残つておりません。本年度の予算でゼロにしてあります。われわれといたしましては、でき得る限り過年度の災害が長引かないように努力すべきであります。できれば昭和二十三年のものを本年はゼロにいたしたい、こう考えております。そこまでの運びにならないことを遺憾といたしまするが、あなたのおつしやるように、五年前の災害、十年前の災害というものは絶対に残つておりません。昭和二十三年の災害をぜひともゼロにいたすという方向に向つて努力をいたしておる次第であります。
  61. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 先ほど二十二年の災害が残つたと言つたのは私の誤りです。しかし二十三年の災害は、昭和二十六年度までに七〇%を完成の見込みだというから、三〇%は残るのであります。どういう観点から、こういう災害復旧費交付額をきめるのであるか、これはあくまでも国家財政上という観点からきめるのであるか、そうなりますと、昨日増田建設大臣が言つたように、災害復旧費というのは優先的に予算に組み込むのだということが、はたはだ矛盾するのであります。従つてそうでないとするならば、この法律に三年間で必ず災害復旧をやりますとか、二年間でやりますとか、一年間でやりますとか、これを明記せざる以上は、あるいは場合によつては、私の言つた通り、五年なり、十年なり延ばすこともできるんだ、こういうことを言つておるのであります。ですから、なぜ法律にそれを明記することができなかつたか。
  62. 増田甲子七

    増田国務大臣 できるだけ早く過年度災害をなくしたいということは、池田さんと全然希望をひとしゆうするのであります。私どもの努力目標もそこにあるわけでありますが、法律で三年以内に完成する本のとする、その法律に違反すれば処罰されるというような、そういう法律は、コンモンセンスから見て、私どもはどうかと思うのであります。
  63. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま問題になつております公共土木施設災実復旧事業費国庫負担法案については、事前に相当小委員会においても論議されておりますし、昨日からいろいろ論議し盡されておると思いますので、この程度において質疑を打切り、ただちに討論採決されんことを望みます。
  64. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 ただいまの瀬戸山君の本法案に関する質疑を打切り、ただちに討論採決に入るべしとの動議について採決をいたします。  本動議に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  65. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 起立多数。よつて本動議のごとく決定いたしました。  これより公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案を議題とし、討論に入ります。通告順により淺利君。
  66. 淺利三朗

    淺利委員 私は自由党を代表いたしまして、本法案に賛成の意見を述べるものであります。  災害の頻発に伴いまして、公共土木施設災害復旧に関して国庫の負担法案を確立するというのが本法案提出の理由であります。従来は災害土木に関しましては、一律に、あるいは三分の二の補助をする、あるいは全額国庫負担にす等、しばしばその変更を見たのであります。ことに昨年は、シヤウプ勧告に基きまして、全額国庫負担という制度をしかれて、これが二十五年度を限るという試験的の法律であります。その当時においてもわれわれは日本の今日の災害の現状から見まして、全額国庫負担ということはまことにけつこうなのでありますが、しかしながら限られたる国家予算の上において全額国庫負担をするということになれば、その工事量においておのずから制限される、かくてはここに残されたる多額の災害復旧工事がますます遅延して、これがために再び災害を繰返し、あるいはそのために産業交通の上において人なる支障を来し、そのために民生の不安を来すということは、かえつて国家の再建を阻害するゆえんであるから、一方においては地方公共団体においてもその維持管理について責任を負担し、この公共施設を国とともに守り、荒廃を防ぐという建前で、一日も早く復旧を完了するために、むしろ地方も負担をなすべきではないかということが当時の輿論であつたのであります。しかるに従来のごとく一律の負担とするということは、災害の性質にかんがみまして、必ずしもこれは妥当でないのであります。災害はときによつては局部に一大災害を来すこともあり、あるいは軽微な災害を来すこともあります。しかしてこの地方公共団体負担力がおのずからそこに差等があるにもかかわらず、これを一律に補助をするということは、必ずしも妥当でないという点からいたしまして、その地方の財政力に応じて補助率の限度に幅を持たすべきであるということは、これは従来からの輿論であります。今回の法律はその点を明らかにして、すなわち標準税収入の半額に達するまでは三分の二、二倍に達するまでは四分の三、それ以上は全額という段階を設けたのであります。これは本立法の一大進歩であり、改善であると思うのであります。ただ問題となるのは、この段階を設けることが適当であるかどうか、その段階に即してあるいは三分の二あるいは四分の三、一方北海道においては五分の四、こういういろいろの段階を設けてありますから、この点については多少の検討の余地はあるのであります。しかしながら大体今日の国の財政から見ますると、地方の負担を多くいたしましても、事業量が減ればそれだけ復旧が遅れるということになります。まずもつて本年度の予算、今次の国家財政の現状から見まして、この程度の幅を設け、この程度に段階を設けたということは、やむを得ないものと私どもは信ずるのであります。さらに先刻佐々木委員からいろいろ北海道との対比の問題で議論があつたようであります。私どもこの点については、むしろ内地においても四分の三の次は八割補助くらいが適当じやないかという考えも起るのであります。しかしこれも国家財政の現状から見て、それだけやればやはり工事量が減つて復旧が遅れるということから、これはやむを得ぬと思うのであります。しかして北海道については当分の間とありまするから、今日まで八割の補助をもらつてつたものを、たとえば理論の上においてスライド制をしいてこれを是正するといたしましても、今日ただちに、いわゆる既得権利ではありますまいけれども、既得の利益を奪い去るということは、法律常識上穏当でないと思うのでありまして、私どもここに当分の間という字句があるがゆえに、この点については全面的に賛成をするのであります。もちろんこれは時勢の変化に応じて、北海道の財政力の充実するに伴つて、そのとき考慮していいものじやないかと思うのであります。それらの点から見まして、私どもは本法案については、最本進歩した、現実に即した適当なる案であるということを認めまして、賛成の意を表する次第であります。
  67. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 村瀬君。
  68. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私は国民民主党を代表いたしまして、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案に反対をいたすものであります。昨年政府災害復旧事業費全額国庫負担法律提出せられ、その提案理由の説明において、地方財政を充実安定させるため、災害復旧事業費全額国庫負担とするの必要なるゆえんを力説せられたのであります。その後においても激甚なる災害の頻発により、地方財政の窮迫は日を追うてはなはだしく、現状のまま放任するときは、地方財政の破綻は目睫の間に迫つております。しかるに政府地方公共団体財政力に適応するよう国の負担を定めるという目的をもつて、本法律案提出せられたのでありますが、地方公共団体財政力は決して昨年よりもゆたかになつておらないのであります。むしろ地方財政は年を追うて窮迫の度を深めているにもかかわらず、昨年度全額国庫負担であつたものが、本年度から工事費の約四分の一を地方公共団体負担せしむるということは、改悪のはなはだしさに驚かざるを得ないのであります。もちろん私は地方公共団体がその標準的な行政事務の遂行を著しく妨げられない程度において、災害復旧費の一部を負担することは至当であると存ずるのでありまするが、二十六年度予算においては、地方財政委員会が最小限千二百九億円の平衡交付金を支出すべきであると要求したにもかかわらず、わずかに千百億円を計上しておるにすぎず、さらに起債のわくにおいても、地方財政委員会の要求額六百十五億円に対しわずかに四百億円を認めているにすぎない状態であります。昨年政府は地方税法、平衡交付金制度、災害復旧費全額国庫負担事務の再配分、起債のわくの確保という五本の柱をもつて地方財政を強化し、自治の基盤を確立すると言明したのでありまするが、他の四本の柱を強化することなくして、災害復旧費全額国庫負担という重大なる柱を取除くことは、地方自治を崩壊に導く結果となるのであつて地方公共団体は、二十六年度予算編成に窮したあまり、あるいは三箇月の暫定予算を組み、あるいは八箇月の骨格予算を編成するなど、前途の見通し暗膽として、各所に責任問題を惹起しておる今日、全額国庫負担をやめて、約四分の一を地方負担にさせ、それが地方公共団体財政に適応するように改正したのだと放言するに至つては、地方住民を愚弄することこれよりはなはだしきはないと存ずるのであります。さらに本法律案内容を検討するときは、災害額の大きさにより国庫負担の率を三分の二、四分の三、四分の四の三段階にわかつているのでありまするが、その負担率には何らの科学的根拠がない、地方公共団体財政力に適応させるためには、これを四分の三、五分の四、五分の五とすることが一層合理的であり、また本法案には国庫負担のスライドの限界を標準税収入の二倍の線に置いておりまするが、これも一倍の線に置くのが一層実情に合致する方法であります。ことに災害にかかつた施設を原形に復旧することは、技術上経済上困難または不適当な場合、これにかわるべき必要な施設をしたときに、その超過工事については従来三分の二まで国庫において負担しておつたものが、本法案によつては二分の一しか国庫において負担しないという改悪が行われておるのであります。  これを要するに、地方行政調査委員会議は災害復旧の完成年度を三年に限定すること、及び予算の計上方法、特別会計の新設等についても勧告をしておるにもかかわらず、政府は時期尚早なりとしてこれを採用しておらないのでありますが、地方財政を崩壊の危機に瀕せしめたるまま、昨年実施した災害復旧費全額国庫負担を廃止することは、これこそ時期尚早であつて、真に地方財政が彈力性を持ち、地方自治の基盤が確立せられるまで災害復旧費全額国庫負担を継続すべきものと存ずるのであります。以上の理由をもつて法案に反対をいたすものであります。
  69. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 佐々木更三君。
  70. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 私は日本社会党を代表して、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案に反対するものであります。しかして政府はすみやかに本法案を撤回して、現在施行せられておりまする全額国庫負担法を継続して、その効力を発生せしむる処置をとられんことを要求するものであります。  反対する理由といたしましては、ただいま同僚村瀬委員が述べられておりまする通り、現在の地方財政の窮乏ははなはだしく、とうてい連年打ち続く災害に対して財政的に抵抗力を持つておらないのであります。昨年度われわれが災害復旧費全額国庫負担法というものをつくつたということは、こういう地方財政の窮乏に対し、特に災害が天然自然の結果であつて、これが救済はいわゆる一種の社会保障制度の上に立つて、国家全体がこの復旧に任ずべきであるという精神に基くことはいうまでもないのであります。従つてこういう予期しない天然自然の災害に対して、国家、社会大衆全体がこの救済に任ずべき一種の進歩的な建設行政というものを、今回提出されたる本法案がこれを逆転せしむることにおいて、いわゆる建設行政の一種の反動的改悪である、こう考えることが本法案に対する反対の第一の理由であります。  第二の理由といたしましては、この法案は著しく政略的性質を持つておるということであります。この法律提出に至るまでの経過から見ましても、今日地方財政の実情から見まして、どの県の財政におきましても本質的にはそう違いないだろうと思いますが、余力があつて、こういう災害復旧費に充てるような財源を持つておる地方財政というものはないであろうと思うのであります。第一次草案として関係当局に提出しました法律案においては、すべての地方庁を同一に取扱つておりながら、中途においてこれを撤回し、しかも北海道に対してのみ特別の増額をすることにおいて他の府県を著しく不公平に取扱つたということは、政府はどういう弁解をしようといたしましても、これは一種の政略的な意味を持つものと私たちは断ぜざるを得ないのであります。いわゆる地方選挙を控えたところの政略的な法律案だ、こう私たちは考える次第であります。  その他の理由につきましては、民主党の村瀬委員の理由と重複いたしますから、私は以上これらの諸点を明らかにいたしまして、本法案に社会党は反対し、あらためて現在の全額国庫負担法の継続法を提出すべきことを要求するものであります。
  71. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 池田峯雄君。
  72. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 私は日本共産党を代表いたしましてこの法案に反対するものであります。  そもそも、こういつたような地方に関係する法案につきましては、当然地方の輿論を聞くべきであります。地方の輿論はどういうことを言つておるかと申しますと、全額国庫負担をもつと続けてもらいたい、さらにまた十五万円以下の工事に対しても補助をもらいたい、こう言つておるのであります。こういつたような地方の輿論を無視して、絶対多数をもつてこれを押し通してしまうというようなことは、これはフアツシヨ的な独裁政治といわなければならないと思うのであります。今や地方選挙を控えまして、自由党の諸君の中にもこれははなはだ困つたことだというような考えも起つておるようであります。しかしながら心の中でそう考えておりましても、現に賛成してしまつたのでは何にもならないのでありまして、こういつた欺瞞的態度に対しましては、私どもは機会あるごとに地方の人たちに聞いていただきまして、自由党とはこういうものであるという認識を深めてもらうようにしたいと考えておるわけであります。この災害復旧費政府の方では当初予算案は昨年の災害復旧費に三分の二をかけて、そうして本年度の災害復旧費を算出したのでありますが、地方住民の非常な反対にあいましたので、そこで何とかこういつた反対を緩和いたしませんと、地方選挙に非常な失敗を招くおそれがあるというので、そこで四分の三とかいろいろなことを言つておりますけれども、しかしこういつたようなりくつはあくまでもあとからつけたものでありまして、根本は国の予算編成方針というものが、災害復旧費のごときは二の次、三の次、あるいは四の次、五の次に組んでいて、最も優先的に組むものは軍事的予算、つまり終戰処理費であるとか、あるいは警察予備隊の費用であるとか、こういつたような軍事的な予算を最優先的に組んで、そして災害復旧費をあとまわしにしてしまうという、ここにこの災害復旧費全額国庫負担から四分の三に直さなければならない、予算を三分の二しか組んでおらない根本的な原因があるのであります。すなわちこれが自由党とその政府がやつておるところの再軍備、單独講和の政策の一つの現われであるといわなければならないのであります。われわれはこういつたような災害復旧費を減らして、日本の国土をますます荒廃させるような、そうして地方農民やその他の住民をますます困窮に陷れるような、そういう法律に対しまして、絶対反対するものであります。
  73. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 寺崎覺君。
  74. 寺崎覺

    ○寺崎委員 私は、農民協同党を代表いたしまして、本案に反対するものであります。  この法案は最も重要な、必要な法案でありますが、その内容とするところは国庫補助の引下げということになつておりますが、私どもは国土保全の意味から、災害復旧に関する限り全額国庫負担というところに考えを持つておるのでございます。この意味において反対するものであります。
  75. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本法案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  76. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 起立多数。よつて法案は可決いたしました。なお本法案に関する委員会の報告書については委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 御異議なければさように決定をいたします。  次会は大体明日午後の予定を持つておりますが、いずれ公報をもつてお知らせすることにいたします。  これをもつて本日は散会いたします。     午後零時三十九分散会