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1951-03-15 第10回国会 衆議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十五日(木曜日)     午後二時十九分開議  出席委員    委員長代理理事 内海 安吉君    理事 鈴木 仙八君 理事 村瀬 宣親君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       今村 忠助君    宇田  恒君       小平 久雄君    高田 弥市君       西村 英一君    中島 茂喜君       増田 連也君    寺崎  覺君  出席政府委員         建設政務次官  渡邊 良夫君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     植田 俊雄君  委員外出席者         建設事務官         (河川局次長) 伊藤 大三君         建設事務官         (河川局防災課         長)      賀屋 茂一君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  災害復旧費国庫負担に関する件     —————————————
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより会議を開きます。  災害復旧費国庫負担に関する件を議題といたします。今国会に提案を予定せられております公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案に関しましては、すでに当局において一応の成案を得たようであります。この際当局より概略の説明を聽取いたしたいと存じます。
  3. 渡邊良夫

    渡邊(良)政府委員 現在政府において一応成案を得、今国会提出予定をいたしております公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案につきまして、法案趣旨内容の概要を御説明申し上げます。  わが国は地勢及び気象等関係から、古来有数災害国でありますが、ことに戰時中の国土の荒廃等に基因いたしまして、終戰後災害が連年相次いで起り、その被害は驚くべき巨額に達しております。しかして公共土木施設災害は、その大半を占めておりますが、その復旧費は、地方公共団体負担に属しまする関係上、一面において、地方財政に過重な負担を課することとなり、地方財政を破綻に瀕せしめるおそれがありますのみならず、他面において、これがため迅速にして適切な復旧事業の遂行を不可能ならしめ、災害を累増せしめる大きな原因となつておるのであります。  御承知のごとく一昨年シヤウプ使節団勧告の次第もありまして、昭和二十五年度公共土木施設災害復旧事業は、合理的な恒久的負担制度を確立するまでの暫行措置として、とりあえず全額国庫負担特例を設けることになりました。その後地方行政調査委員会議において、シヤウプ勧告基礎にして、恒久的制度調査審議に力をいたされておりましたが、昨年十月国会及び政府に対しまして、これに関する勧告提出されたのであります。政府におきましても、かねて窮迫した地方財政現状と、激甚な災害の頻発とにかんがみまして、地方財政能力に即して災害のすみやかな復旧をはかり得ます復旧費の、国と地方との間における負担関係を合理的に調整することの緊要なるを痛感いたしまして、関係各省において審議検討を重ねていたのでありますが、さらにこの勧告を受けましたので、その趣旨を尊重しながら、現在の国家財政の実情を勘案いたして、愼重検討を加えました結果、成案を得ましたので、ここに法律案として御審議を願うことにいたした次第であります。  以下法案の大要を申し上げますと、第一に本制度対象とする災害復旧事業は、地方公共団体またはその機関維持管理に属する河川、海岸、砂防設備荒廃林地防止施設、道路、港湾及び漁港のうち、政令で定める公共土木施設災害にかかるものでありまして、災害にかかつた施設原形復旧することを原則といたしますが、それが不可能な場合においては、当該施設従前効用復旧するための施設をすることとし、かつ原形復旧することが著しく困難または不適当な場合には、これにかわるべき必要な施設をすること、すなわちいわゆる超過事業をあわせて行うことができるものとし、また一箇所の工事費は二十五年度特例通り十五万円以上とすることといたしました。  次に国庫負担率は、各地方公共団体の一箇年の災害復旧事業費総額を、当該年度普通税標準税収入見込額と比べまして、その二分の一までは三分の二、その二倍まで四分の三、それ以上は全額と、逓次に負担率を増加して、個々の地方公共団体財政力に適応して算定することといたしました。もつとも超過事業費については、一般改良事業費に対する負担率と同率とするものであります。  なお昭和二十五年以前の災害による復旧事業で、主務大臣決定を受けたが、国庫負担金の未交付のものにつきましては、昭和二十五年度標準税収入基礎として、各年の災害復旧事業費総額ごとに前述と同様の方法により負担率を定めまして、その残事業費負担率とするものであります。  地方行政調査委員会議は、この法律規定した事項のほか、災害復旧事業費支十年度の限定、予算計上方法及び特別会計新設等に関しても勧告いたしておるのでありますが、国家財政現状からいたしまして、時期尚早と認めまして、採用しないことといたしました。  以上申し述べましたように、この法律公共土木施設災害復旧事業について、地方公共団体財政力に適応するように国の負担を定めまして、災害のすみやかな復旧をはかり、もつて公共福祉を確保せんとするものであります。
  4. 内海安吉

    内海委員長代理 この際さらに伊藤河川局次長より、細目にわたる説明を要求します。
  5. 伊藤大三

    伊藤説明員 ただいま政務次官から全般的な御説明のありました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案内容につきまして、補足して御説明申し上げたいと思います。なおこの法案につきましては、若干の点について、ここ一両日の間に決定があると思いますが、その点については、またその場合におきまして御説明申し上げたい、こう存じておる次第であります。  本法案の第一條は、この法案目的を書いたものでございまして、公共土木施設災害復旧事業費は、地方にも相当過重な負担を課しまして、地方公共団体の健全な運営を阻害するおそれもありまするので、地方公共団体財政力ともにらみ合せて、災害のすみやかな復旧をはかり、一般公共福祉の増進をして参りたい、こういうことを定義いたしたわけでございます。あまり御説明申し上げる必要もない部分もあるかと思いますので、必要のない部分につきましては、以下省略させていただきたいと思います。  第二條におきましては、この法律において出て来ますところの主要な言葉定義を下したものであります。まず弟一項は、災害というのはどういうものかという点について定義いたしたのでありまして、この法案に出ておりますように、災害とは暴風とか、洪水とか、高潮とか、地震とか、その他異常な天然現象によつて生じたものを災害というということで、ここで異常な天然現象でないというものは一応除いております。異常な天然現象とはどういうものかということにつきましては、その判定はもつばら社会通念によつて判定して参りたい、こう存ずるのであります。  第二項におきましては、災害復旧事業というものはどういうものかという、災害復旧事業範囲定義いたしております。一方におきましては、いわゆる災害復旧というものは、原則といたしまして、原形復旧することを目的とする。しかしながら原形復旧することが不可能のような場合におきましては、当該施設従前効用復旧するための施設をすることをもつて原形復旧とみなして行くということを書いております。原形復旧のほかのいろいろな問題につきましては、これをこまかく打合せてきめるつもりでございます。  次に第三項では、災害によつて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設原形復旧することが不可能である、困難である、また不適当であるという場合においては、これにかわるような施設をすることもまた、この法律においては災害復旧事業と認めて行くということであります。この不可能とか困難とかいうことにつきましても、いろいろむずかしい問題があると思いますが、これは社会通念によつてきめて参りたいと存じております。また不適当という言葉の意義でありますが、原形復旧することが技術上とか、経済上とか、その他の点から見て不適当な場合におきましては、これを原形復旧せずに、それに若干の改良を加えて、かわつた構造をして参りたい、従つてそのためにはある程度改良災害復旧の中に入れて、この法律適用して参りたいと存ずる次第であります。  次にこの法律の中において標準税収入という言葉がたびたび出て来るのでありますが、標準税収入とは、地方税法で定めておりますところの普通税について、標準税率をもつて算定しました地方税収入見込み額といたしておるのであります。但し普通税には法定外普通税を除き、また標準税率の定めのない地方税については、同法に定めておる税率といたした次第であります。なお算定方法は、地方財政平衡交付金法に基く地方財政委員会規則で定めたる方法によることといたしております。  次に第三條は、国庫負担をいたしまするところの事業要件規定いたしておるわけでございます。すなわち本條に列記しておりますところの河川その他の施設のうち、政令の定める公共土木事業災害復旧であるとか、そかからその施設地方公共団体またはその機関維持管理に属するものであるとか、また右復旧事業は、当該地方公共団体またはその機関施行するものであるというようなことを、要件としてきめておるのでございます。この法律におきましては、地方公共団体のうちには、港湾法に基く港務局を含んでおるわけでございます。  第四條は、この災害復旧事業費に対しまするところの国庫負担率の問題を規定いたしたのでございます。第一項は国の負担算定方法規定いたしまして、国の負担率は、地方公共団体の一箇年の災害復旧事業費総額当該年度標準税収入と比較しまして、一の各号に規定いたしておりますような率を乗じたものの額と事業費総額との比率といたしておるのであります。但し一箇年の事業費総額は、一月から十二月までの間に発生した災害復旧事業費で、主務大臣決定した額により、その率は、小数点以下三位までといたし、四位以下は四捨五入するものといたしております。なお事業費暦年度でいたします関係上、会計年度と食い違うために、当該年度は四月一日の属する会計年度といたしております。  第二項は、前項災害復旧事業費総額範囲規定いたしておるのであります。国の施行する事業費地方公共団体組合または港務局施行する事業費は、これはおのおの分担する各地方公共団体事業費にわかちまして、当該公共団体事業費に合算いたしまして、率を算出いたしておるのでございます。また第二條第三項に規定します事業のうち、原形復旧に属する金額を超過するものは、この負担率スライド算定には含ましめないという方針をとつておるのであります。  第三項は、地方公共団体組合または港務局の行う災害復旧事業に対する、国の負担率規定いたしておるのであります。第一項の規定により算定をいたしました各地方公共団体国庫負担率当該団体事業費分担割合とを統合した率によるのでございます。  第四項は、第二條第三項の災害復旧事業のうち、超過事業についての国の負担率規定いたしております。それからその他の施設に関する改良事業費についての補助がありますものにつきましては、その補助率適用するということを規定しておるのであります。  第五條は、直轄事業に対する地方公共団体負担率でありますが、これは第四條で負担率をきめました割合によりまして、国がこの事業施行する場合におきましても、その率は第四條によりますところの負担率によりまして、国と地方とがその事業費をわかつということを少しまわりくどく、わかりにくいかと思いますが、そういうことを規定いたしておるのでございます。  第六條におきましては、適用除外規定いたしたのでございます。先ほど政務次官からも御説明がありましたかと思いますが、第六條に掲げましたようなものにつきましては、一応この災害復旧事業に対しまする国の災害復旧事業でありましても、国の補助対象にしないというのであります。  第七條は、災害復旧事業費決定でございまするが、災害復旧関係につきまして、各地方からの申請に基きまして、その資料によりまして実地検査の上、大臣において決定することは従来の通りであります。  第八條は、国庫負担金交付方法でありまして、国が災害復旧事業決定いたしましたときは、第四條による国の負担率によりまして、当該事業施行せられるのでありますが、各年度において負担金交付するものにつきましては、一応その負担率によるのでありますが、その負担率決定は、税収入見込み額の算出の問題と、災害費総額を集計する問題、これらのことのために一応遅れるという場合がございますので、そういうような国の負担率決定前でも、予算範囲内において事業の率によつて負担金を概算交付することができるということも規定いたしたのでありますが、これは一応その事務進行状況の間の便宜を規定したわけでございます。第三項は、負担金を概算交付した場合においては、負担率決定の後の措置をどうするかということを規定いたしておるのでございます。  第九條は、災害復旧事業監督でございまして、第一項は、災害復旧事業を適正に実施するために、主務大臣監督権規定し「第二項は市町村災害復旧事業に対し、主務大臣監督権都道府県に依嘱し得ることを規定したのでありまして、市町村災害復旧事業に対しましては、都道府県知事監督させることが適当な場合が多いために、こういうことを規定したものであります。  第十條は、災害復旧事業費の精算でございまするが、本條負担金交付を受けたものは、その事業費を精算いたしまして、その確認を受けるのが当然である、こう認めた次第であります。  第十一條は、負担金の還付の問題でございますが、負担金交付を受けたものは、その事業施行しない、または目的に反して使用した場合につきましては、当該部分負担金交付しない、または還付せしめる、及び返還を命ぜられたものは、遅滞なく返還するというようなことは当然であるから、こういうことを規定したのでございます。  第十二條は、剰余金処分でございますが、剰余金につきましては、国の負担金交付を受けた災害復旧事業剰余を生じた場合におきましては、当然これは返還すべきであり、またその返還方法につきまして、どういう金額になるかの算定方法をここに規定したのでございます。なおその剰余金につきましては、特別の場合におきましては、政令の定めるところにおいて返還をさせず(これを他の災害復旧事業に利用させる道も開きまして、災害復旧に万遺憾なきを期したい、こう思いましたのが二項でありまして、こういう措置をするにつきましては、もちろん主務大臣の認可を受けることが必要であるのであります。  第十三條は、市町村災害復旧事業費の問題でございます。市町村災害復旧事業費に関する事務は一政令の定めるところによりまして、都道府県知事がこれを行うことといたしました。なお第二項は、前項の場合におきまして、第一項の場合には、国は必要な経費都道府県知事交付する任務のあることを規定いたしました。これはすなわちそれだけの事務を取扱わせるために、それに要する経費の若干を交付するようにする、当然なことを規定いたしたものであります。  第十四條は、主務大臣定義でありますが、この法律にいう主務大臣とは、第三條にいろいろな施設を掲げてございますから、その施設関係主務大臣であるということに規定いたしております。  第十五條は、実施規定、この法律によりまして、災害復旧事業施行するにあたりましての事業の査定だとか、あるいは補助金交付だとか、剰余金処分の問題だとか、いろいろな実施上の手続とか執行について必要な事項がございまするが、これは政令でこまかく規定いたしたい、こう思います。この意味において規定を置きました次第でございます。  なお附則でございまするが、この法律施行によりまして、従来ありましたところの都道府県災害復旧国庫負担規定は、これを実施と同時に廃止するということが二項でございます。  四項は、従来ございましたところの二十三年、二十四年の災害に関しまするところの第四條による負担率算定につきまして、先ほど政務次官から一言お述べになりましたような暫定的な措置といたしまして、二十五年度税収入と従来の災害総額をそれぞれ年度別に比較いたしまして、負担率算定するということを規定いたしておるのでございます。  なお五項につきましては、災害復旧費国庫負担につきましての規定をし、第六項は農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正するのであります。  以上で大体の説明を申し上げました。なお御質問によりまして、細部にわたりましてお答えすることといたしたいと思います。
  6. 内海安吉

    内海委員長代理 質問の通告があります。これを許します。西村英一君。
  7. 西村英一

    西村(英)委員 ただいま説明を承りましたが、大体全額国庫負担から、地方財政税収入を見合せてスライド式にしたということにつきましては、私も同感の意を表したいのであります。しかし、私が前会にも申しましたように、やはり災害が偏在しているという点から見まして、地方財政に及ぼす影響と申しましても、災害がひどいところかひどくないところかということで、圧迫の程度は非常に違うと思います。それでただいまお配りいただきましたこの表を見ましても、標準税額に対する災害復旧事業費負担割合というものがございますが、この表を見ましても、たとえば標準税収入が十二億の場合に、二分の一以下の災害でありますれば、三分の二の補助地方財政のいかんにかかわらず受けられる。それ以上のところが問題でございまして、おそらく全額国庫といたしましても、全額国庫をいただけるような恩典にあずかるような場合は、私は非常に少いのではないかと思われる。と申しまするのは、この表からでもわかりますように、税収入が十二億の場合に、三十億の災害があつた場合、しかもその三十億の災害復旧するとして、六億だけの分について全額持つわけなのです。従つてその税収入は十二億しかないのに、三十億の災害復旧をするという場合に、六億の全額国庫負担にしかあずからない、こういうことになるのですが、その辺が、あるいはまた四分の三の恩典に浴することも非常にむずかしいのではないか、私は地方財政税収入との関係でそう思われるのですがこの辺をもう少し詳しく御説明を願いたいと思うのであります。その点一つと、さらに私は地方財政が非常に逼迫した小さな市町村等が、現在十五万円以上ということによつて、非常に苦しんでおると思うのであります。市はそうでもありませんが、町村の小さなところですと、税収入はわずかに全体で二百万円とかあるいは三百万円というところもあるわけです。それに平衡交付金を入れて五、六百万円の町村もあるわけでありましてそういうところに十五万円未満あるいは十五万円くらいの災害が数箇所あるいは数十箇所起るというようなことが、災害地には間々あると思うのです。わずかに十五万円の災害でありますけれども、そういう町村は非常に負担が重くなるのではないかと思うのであります。従いましてそういうような公共団体財政を助けるのだ、全額だ、それから全額ということからさらにスライド制にするという、せつかくの御考慮あるおぼしめしならば、十五万円というものを十万円くらいに下げるということがどうして考えられぬだろうか、こう私は思うのです。しかしこれにはおそらく何らかのお考えがあるのじやなかろうかと思いますから、その点をもつとわかりやすく御説明を願いたいと思います。
  8. 伊藤大三

    伊藤説明員 第一点はこの表に基いてのお話でございましたから、この表に基きまして、この点の比率の問題を申し上げて参りたいと思うのであります。ここにかりに標準税収入が十二億円と見ますと、その場合三十億円とすればこうなるということでありまして、一応六億円というのがこれが三分の二でございます。それからその残りの標準税収入の二倍までが十八億、それから六億までが全額というので、この場合におきましては四分の三の適用を受けるところが十八億円というかつこうになるのでございます。ただ相当な大きな災害がなければ、全額適用がないのじやないか、こういう御説は、これはもつともなことでございます。地方財政を緩和するという建前から行きますれば、おそらく今年のごとく全額という線もまたけだし理由のあることと存じますけれども、国の財政の面から行きましても、なかなか困難な問題がございますので、地方財政と国の財政の比較、勘案をいたしまして、実はそういうようなスライドをきめた次第でございます。  それから適用除外の問題でございまして、十五万円は高過ぎるではないか、こういうお話も絶えず耳にいたす次第でございます。この問題につきましても、いろいろと議論はございます。ただ現行法令におきましては、これを十五万円といたしましたのと、二十五年度建設省関係土木災害復旧事業の実績から見ましても、この十五万円以下というのは、大体一割以下の金額でございますので、この点地方には非常にお気の毒であるかもしれませんが、この程度地方負担としてやつていただきたい、こう存じて規定いたしたわけであります。
  9. 西村英一

    西村(英)委員 今の第一点のお話ですが、この総額というのは、やはり災害見積り総額ですか、施行する総額なんですか、どつちですか、この点を一つ
  10. 伊藤大三

    伊藤説明員 これは先ほども申し上げましたように一年度、すなわち暦年で一月一日から十二月三十一日までに起りました災害総額と、それから税収入との……。
  11. 西村英一

    西村(英)委員 発生数は。
  12. 伊藤大三

    伊藤説明員 発生しましたのを査定いたしまして決定いたしました総額と、税収入と比較いたしまして、比率をきめまして、その比率によつて出ましたのを国の負担といたす、そこで事業施行にあたりまして、その負担率補助して参りたい、こういうように考えております。
  13. 西村英一

    西村(英)委員 実際税収以上に災害復旧することはできぬと思いますし、なお私は多少疑問がありますが、その点は保留しておきます。それから第二点、小工事の十五万円、これはやはり納得ができないところでありまして、貧弱町村を救うというお考えならば、おそらくこの点は将来も問題になると思うのです。それはそれだけとしておきまして、さらに第三点は、この法律によつて過年度災害はこの法律対象となつて、国としてやはり全部の補助の責任を負うものと解釈してもいいと思いますが、いかがでしようか。
  14. 伊藤大三

    伊藤説明員 そう考えております。決定したものを何らの変更とかいうことのない限りは、そう思つております。現在決定したままその通りのものによつて、将来補助して参りたいというつもりでございます。
  15. 西村英一

    西村(英)委員 質問はそれくらいにいたしておきまして、私は資料提出をお願いしたいのでありますが、それは過年度災害につきまして、二十六年度はどういうような御計画をやられるか、つまり過年度災害といたしまして、二十二年度災害はゼロになつたかもしれませんが、二十三年度から起算いたしまして二十六年度計画をどういうふうにやられますか。建設大臣工事量を大いにふやすのだ、こういうことを言われておりますから、過年度災害の三千二百億、それから地方財政もそれに加算いたしましたものについて、どういうふうに過年度災害がこなせるかという。二十六年度計画を数字的にお示し願いたいと存じます。  それから第二の資料は、小工事費十五万円以下の工事が、二十五年度におきましてどれくらいあつたか、さらに調査ができますれば、それを十五万円にいたしました場合にどれくらいあつたかということ、二十四年度予算の調書を見ます、十五万円の小工事の小災害につきましては、約五十億というようなことが書いてありましたが、二十五年度におきましては十五万円以下あるいは十五万円とそれを切つて、どれくらいの災害があつたのだろうかということの資料をお願いしたいと思います。  それから第三の資料は、地方公共団体負担額が、この法律によつて幾らくらいになるのだろうか、この三つの資料をお願いいたしまして、私の災害復旧事業費国庫負担に対する質問は一応保留しておきます。
  16. 内海安吉

    内海委員長代理 西村君の政府当局に対する第一、第二、第三の資料の希望は当然のことと思います。ぜひ当局において提出願いたいと希望いたします。次に村瀬宣親君。
  17. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私はまず政務次官にお尋ねをいたしたいのでありますが、昨年災害復旧費全額国庫負担にするという法律が出るにつきまして、当建設委員会で、一年限りでさようなことをやめるのであれば、むしろ事業量をふやすために、三分の二ならば三分の二で突き進んだ方がよいのではないかという意見があつたことは、御存じの通りだと思うのであります。しかるに昨年これを強行せられた。そうして一年限りでこういう案で出て参つたのでありますが、それに対しまする政治的責任を当局としてはどのようにお考えになつているか、それから伺いたい。と申しますのは、この法律が出ましたときの運用の上に、思いやりある処置をなさるかどうかという点に関連して参りますので、この点を質問いたすのであります。
  18. 渡邊良夫

    渡邊(良)政府委員 昨年本委員会におきまして、さような論議がかわされたということは、私も先般来の委員会において聞いておるような次第でございます。ただいま政府としての政治責任をどういうふうに考えておるか、こういう御質問ですが、これはまことに大きな問題でありまして、一政務次官といたしましての考えをここにはつきり申し述べることはできません。しかしながら政府当局といたしましても、あるいは建設事務当局といたしましても、これが運用の上に十二分の方策を研究して参りたい、かように思つております。要は国の財政上かようになりましたる以上は、その運用の面におきまして、誠意あるところの方法を講じて行きたい、かように思うわけであります。
  19. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 たつた一年だけ全額国庫負担をもつて災害復旧をするということになりましたために、同じ災害を受けておりながら、全額でやつてもらえる分と、そうでない分が、ここに明かに出て参つておるのであります。そこで隣村で全額国庫負担でやつてもらつたのであるから、自分の村もきつとそうなるであろうというので、農林会の資金を使つたり、いろいろのくめんをしてやつたところもあるのであります。そこでそれらの処置をどうするかという問題が、本案の寒議の上に非常に重大な問題なのでありまして、各條項を追つてお尋ねをしてもよいのでありますが、むしろ私は第十五條政令に定めるという、その内容をこの際御説明くださいますれば、質問の重複を避ける便宜もあると思いますので、あるいは未交付分の処理とか、その他政令で定めるということは必ずしも珍しくはないのでありまして、あらゆる法律に出て参ると思いますが、特に本法律案はそういう一年限り全額国庫負担工事をやらしておきながら、一年でやめて、また地元に負担させる、こういうのでありますから、この政令の定め方がこの運用に大影響を来しますので、これに対し要点をなるべくかいつまんで御説明を願いたいと思います。
  20. 伊藤大三

    伊藤説明員 第十五條は、実はそういう問題ではなくて、事務的な手続のことを規定いたすつもりであります。そこで今やり越し工事の問題についてどうするかというお尋ねでございますが、これにつきまして、本年度通り全額交付できるか、こういう問題でございますが、実はやり越しせられるには、万やむを得ざる事情もございまして、地元といたされましてその工事施行せられたと存ずるのでございますが、本法律施行以後におきましては、この法律によりまして、その負担率決定し、そうして国庫の金を出して行く以外には手はない、こう存ずる次第でございます。
  21. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 政令に対する構想は一つもお答えがないのでありますが、それなら一々私は各條項を追つて質問してもいいのでありますが、大体政令の骨子というようなものをもう少し御説明になれませんか。
  22. 賀屋茂一

    賀屋説明員 お答え申し上げます。実は政令はまだ確定したものがなくて、今折衝してつくつておるところでございますが、大体十五條の取扱いの政令は、申請の手続とか、施行認定の手続とかいう、大体手続規定が多いのでありまして、こういうものを十五條政令でつくりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 これは普通の法律案というよりも、むしろ全額国庫負担法律を引継ついだ法律でありますから、私はこれにどういうふうな政令で手続問題をきめるかというのが、非常に重要だと思いまして御質問しておるのでありますが、まだその御準備がないようでありますから、その点はこれ以上御質問申し上げることは遠慮いたしましよう。  そこで第二点としてお伺いいたしたいと思いまするのは、何度も申しまする通り地方災害は一応全額国庫負担する、あるいは起債は四百二十億を認めるということから、昨年あの画期的な地方税法の改正が行われたのでありますが、そのよつて立つ一つの柱が、ここにとりのけられるのでありますから、この点私は愼重に、單に災害復旧という問題だけでなしに、地方財政地方の自治の確立という点からも重大なことと思いますから、お尋ねするのであります。スライド制にわけて、三分の二、四分の三、四分の四と三つになさつた。これは四分の三、五分の四、五分の五ともできるのであります。また標準税収入の二倍以上は全額とされておるのでありますが、あるいは一・五倍以上を全額ともできるわけであります。これはいかなる根拠でこういうスライドをお定めになつたのであるか、もしそれに対する正しき根拠があれば承つておきたいと思います。
  24. 伊藤大三

    伊藤説明員 大体災害復旧補助率につきましては、軽度の場合におきましては、従来の三分の二を出す、相当大なる場合におきましては、これを大体四分の三の程度においてする、さらに大きいものは全額といたしたわけでありますが、その根拠はどこにあるか、こういう御質問でございまするが、もとより二倍を一倍半ともでき、それから三分の二を初めから四分の三にもできる。いろいろのことがございます。ただわれわれといたしましては、他の事業費補助率関係も勘案し、さらに災害復旧というものの情勢も勘案し、さらに府県の財政の方面も勘案し、いろいろな点を考えて、相当大きな災害において、四分の三という点を押えてみたらどうかというような考え方から出発いたしたわけでございます。
  25. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私はこういう法律案が昨年出て参るのならば、これ以上何もデータを要求しないでもよいと思うのであります。ところが、一応地方財政の確立のためには、日本のような地理的條件の国では、災害復旧全額国庫負担をしてやるべきであるという観点のもとに、一年にもせよ、それを実施したのであります。そうしてその後に出て来る法律であるがゆえに、私はその根拠を承らなくてはならぬことに相なるのであります。三分の二は前にそういう例もあつてという、ただ漫然としたものによつてこの案をおきめになつたのでありまするか。もう一つつつ込んでお尋ねいたしまするならば、先ほど西村委員からも要求があつたようでありますが、三分の二までの災害が大体どのくらいあるか、四分の三に相当するものがどのくらいあるか、あるいはそれ以上の全額に相当する部分がどのくらいあるか。災害のことでありますから、わからぬといえばわからないのでありますけれども、しかしやはりこういつた法律をつくる以上は、その根拠を出し、それの財政的の裏づけもお考えなつたでありましようから、そういうものが今わかりますれば伺いたいと思います。
  26. 伊藤大三

    伊藤説明員 今資料を計算し、整理しておりますから、早急に提出いたしまして、その場合にお話申し上げたいと思います。
  27. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 また元へ返るのでありまするが、渡邊政務次官にもう一度次の質問をする前提としてお伺いいたしたいことは、この法律案制定の基本的なお考えというものは、地方財政の確立というものを主眼になさつて災害復旧をできるだけ早くやろうというお考えは当然と思うのでありまするが、災害復旧を早急にやるという点に重点を置かれたのでありまするか、地方財政の実際の負担力というものの考慮を払われたのでありまするか、その点伺つてから、次の質問に移りたいと思います。
  28. 渡邊良夫

    渡邊(良)政府委員 もとより地方財政の考慮もいたすのでございまするけれども、災害復旧というものを広く、大きく、すみやかにやりたいという趣旨のもとにやつた次第でございます。
  29. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 立法の御趣旨はわかりましたが、次に問題となりまする点は、超過事業量に対するスライド制を認めないという問題なのであります。これは私は当然認めるべきであると思うのであります。と申しまするのは、本條の第二條の二項及び三項に、従前効用復旧するための施設、これを認めております。効用復旧するという新しい言葉で、非常によい言葉であります。それからそれが困難または不適当の場合におきましては、いわゆるかわつた構造でもよいということを認めておられる。これは非常に大事な点でありまするが、かようにしてこそ初めて賽の河原のようなむだな工事が省けるのでありまして、国費を有効に使うということに相なるのであります。そうでありまするならば、当然この超過事業量に対しましてもスライド制適用いたされ、当然地方負担を軽くして、災害復旧を強固にやるという御方針をとらなければならないと思いまするが、その点に関しまして御質問をいたします。
  30. 伊藤大三

    伊藤説明員 超過工事の問題について、スライド適用しない問題でありますが、実は起過工事範囲も相当問題になると思うのであります。これについては、なおこまかくいろいろな打合せをいたしまして、どの程度のものを超過工事にするか、一般常識によつてこれを判断して進めて参りたいと思うのであります。結局ある程度、だれが見ても改良工事とかいう問題につきましては、これは普通であれば、一般改良事業との間に区別はつかぬといういろいろの問題も出て来るのでありまして、もしこれもスライドに入れるということになりますと、一般改良事業との間におきましても、スライドを問題にしなければならないというような問題も出て来るのであります。こういうようないろいろなトラブルを避ける意味におきまして、災害に関します限りは、あくまで高度の補助を出す、その起過いたします部分については、一般と同様に、これにお金を入れまして、災害復旧を効果あらしめることに力を入れるのでありますから、財政面におきまして一般と同じように取扱つて行きたい、こういうようなことをきめておるわけであります。
  31. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 とかく今までの日本のやり方は、昔のやり方をそのまま踏襲して、事なきを期するという弊害が多かつたと思うのであります。よいと信ずればそれに向つて勇往邁進するのが、ほんとうの国土の開発には大事だと思うのであります。今までそうであつたから、あるいは改良事業との区分がつきにくいから、こういうことで、また消極的なこういう法律にいたしておきますと、そうでなくてさえ地方財政府四苦八苦の状態でありますから、もうちよつとこの構造をかえれば百年間は大丈夫であるけれども、まあ金がないからこのままにしておこうといつて、また十年目に流れてしまうという例が多々あるのであります。ほんとうにむだな国費を使わないという点で、最後に国庫の支出を思う通りに出してやるということになりますれば、各地方自治体は競つて、百年ゆるぎのない災害復旧をやると思うのであります。これに対しまして、超過事業量を大体どのくらい予想され——これはスライド全額認めろというのじやないのでありますが、スライドを認めることによつて大体どのくらい国費を使うことになるかというお見通しがあれば承りたい。
  32. 伊藤大三

    伊藤説明員 超過工事は、大体二十五年度の実績で見ますと、一割五、六分ぐらいと思います。
  33. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 なおこの点については私は保留いたしておきまするが、次にこれは手続の問題で、例の政令の問題とも関連して来るかと思うのでありますが、二十五年度全額国庫負担災害復旧工事をやつたその内訳、いわゆる二十五年度に起つた災害のうち何割くらいができ、過年度であつた二十四年度、二十三年度災害のうち、全額国庫負担で二十五年度にどのくらいやつたかという内訳がわかりますれば承りたい。
  34. 内海安吉

    内海委員長代理 政府当局の方に御相談ですが、いろいろ御準備もあるようだが、どうもきようばいわば法案説明だけといつたようなことで臨まれておるようでありますから、できましたらひとつ村瀬さん、資料の御希望をなさつて、そうして大いに研究して、この次に大いに愼重審議してもらいたいと思うのですが……。
  35. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 けつこうです。
  36. 淺利三朗

    ○淺利委員 村瀬委員質問にちよつと関連して……。ただいま村瀬委員から超過工事について、適切な御質問があつたようであります。これに関連しておりますから、この際もう少し当局の御意見を伺つておきたいと思います。原形復旧する以上に超過したものは、この地方負担の面において、高率を適用する範囲除外するというふうに見えるのであります。そういうことになりますと、この法の精神が死んでしまう。地方財政の収入が少いために、特にこの地方費に段階的にあるいは三分の二、四分の三というように補助をするということは、地方財政の状況を勘案して、これを救済するという意味において、これができておると思うのであります。しかるに同じ災害費で、一方においてはこれを当然原形に復することは不適当である、不可能であるということを認めつつも、なお原形復旧以上の超過工事費については、高率補助を認めないということになりますと、この法が死んでしまう。むしろこれはこの立案の場合におけるこの表現の方法が悪いのじやないか。超過工事云々と言わぬで、改良工事に属すと認められる場合にはこの限りにあらずと、こういうふうに表現したならば、この問題は解決すると思うのであります。原形に復する場合において超過するのが幾らということになりますと、事務当局においてこれを計算する上にも、非常に煩雑であろうと思う。であるから事実は改良になるかもしれぬ。しかしながら原形に復することが不可能であり、あるいは不適当である。このほかに道がないのだということならば、やはり災害工事である。だからその部分をやる。しかしそれ以上にさらに将来の水害をおもんぱかつて、堤防なら一メートル、二メートル、さらにその上にかさ上げするというように、合せて工事をするという場合には、これは改良工事を加味したものである。であるから、改良工事と認められる部分はこの限りにあらずというような表現を用いたならば、法文も読みやすいし、また実際の條理にも合うと思うのですが、そういう点、ひとつ御当局がお考えになる御意思がないかどうか、そういう御趣旨でこの案ができておるのじやないかどうかということを、一ぺん伺つておきたい。
  37. 伊藤大三

    伊藤説明員 超過事業という言葉改良事業という言葉との間に、これを変更したならばという御質問でございました。ただいまのお言葉によりますと、経済上、社会上から見て不適当の場合においても、これを復旧することが適当である、こう認める場合においては、これはみな原形復旧に持つて行つたらどうかという点が、一番問題になると思うのであります。われわれは今度の法案におきましては、決して従来ほどにこれを狭く解釈するつもりはございません。しかしただ社会上、経済上不適当な場合という問題によつて出て来るところの改良面というものが、どの程度のものが出て来るかということによりましては、これをいわゆる原形復旧という言葉に入れまして、高率の補助を与えることが、一般改良の面と考えて、はたして適当であるかどうかという問題とも、比較考量いたさなければならぬ問題であると思うのであります。従つてこの範囲決定につきましては、あるいは今淺利委員から仰せになりましたような改良の方がこの中に含まれる場合もあり、また淺利委員のおつしやいましたいわゆる原形復旧の中に入れられるというものも、いわゆる超過事業の方にまわる部分があると存ずるわけであります。問題は、いわゆる災害は高率補助という問題のために、事業の執行が、改良部面を加えてやることができないという不便を除くために、特に事業面から見まして、再度災害を受けないような事業をやるという点を考えるとともに、今のような改良事業面との勘案も十分考慮いたしまして、こういう超過事業という名を使つたのでございまして、淺利委員からお話になりました部分は、全部この原形復旧の中に入らず、淺利委員のおつしやいました改良部分と、そうして淺利委員の言われました原形復旧の一部分とが、超過事業になるものと考えておるのでございます。
  38. 淺利三朗

    ○淺利委員 今の問題を具体的に申し上げましたならば、たとえば橋梁の災害があつたときに、従来木造であつたが、しかしながら木造の橋梁では、とうていその場所において不適当であるという場合には、当然これは永久橋としてコンクリート橋にするということになりますが、これは明らかに災害復旧工事と見るべきであると思うのであります。その場合に従来木橋であつたから、木橋の部分だけはこの規定補助による、あとは超過工事であるからということで、低率の補助によるということになれば、これは地方の貧窮なる財政の援助はできないということになります。でありまするから、そういう場合は当然にこれは含む。しかし見ようによつては、これは木造をコンクリートにしたために、改良とも見られます。けれどもそれは社会通念において、原形に復することが不適当であるから直した。こういうふうに見られれは、これは当然災害復旧工事と見られる。でありますから、そういう意味からいいまして、先刻私が例をあげましたごとく、従来の堤防は五メートルであつた。五メートルやれば原形復旧であるが、しかしながらさらにそれを二メートル上げたという場合は、これはよほど問題が大きい。いつもの災害の場合に、もう二メートル上げなければならぬといえば、これは災害復旧原形に復することが不適当であると認めた場合にも該当する。また見ようによつては、これは二メートル上げた分は、改良工事を附加したものと認める、こういうふうにその実際の場合において認定は違つて来ると思います。しかしそういう場合に、超過事業としてこれを算定するというようなことは、非常に煩雑である。であるから私は、むしろ明らかに改良事業と認められるものを除く、こういうような表現をしたならば、こういうややこしい文句がなくなつて、実際のことを処理するにも有利じやないか、こういう意味から申し上げたので、その点を御研究願いたいと思います。  それから私は資料を提供していただきたいために、特にもう一つ申し上げるのは、直轄工事補助工事の問題であります。補助工事においては、かりに三分の二の補助をすると仮定しますれば、ここに七十億の国費があれば、それに三十五億の地方負担が加わつて、百五億の工事量になるということは明らかであります。ところが国費の方において三十億の予算があれば、三十億が全体の工事量である。そうして地方負担は別に国庫収入として十五億円が入つて来る。これは予算の支出の表面には現われない。でありますから、ここにかりに百億の河川改良費があつて、そのうち三十億が直轄とすれば、三十の方は三十億の事業量しかない、あとの七十億の方は百五億の事業量になる、こういうことになります。でありますから、予算の表面において百億であるけれども、直轄と地方補助をわけることによつて事業量が非常にかわつて来る。でありますから、むしろこれは直轄の場合においても、地方負担金というものは予算に現われざる——支出予算の上にプラスするということであれば、事業量は非常にふえて来ると思うのであります。むしろ事業をふやしたければ、直轄の方を減らして補助工事を多くすれば、事業はふえる、こういう結果になると思うのであります。そこでこの地方の分担金というものは、予算編成の際に、直轄と補助工事との内輪のわけ方がきまつて、それに応じて収入予算を組んでおるのかどうか。公共事業費の割当はいつも最後に農林省なり建設省なり、また同じ建設省内においても、河川とかその他のものとにわかれて参ります。そうして後にそのうちから直轄は幾ら、こういうことになると、その際に同時に収入予算を変更しておるかどうか。おそらくはそういうことはなくて、概算で見ておるのじやないかと私は思うのであります。でありますから、たとえば二十六年度においては直轄工事費は幾らになる。そうするとこれに対応するところの収入予算はどれだけお見積りになつておるか。そういうような、これを実際に検討するところの資料をひとつお出しを願つて、もし将来この予算の編成の上において、直轄工事費も三十億を予算に見たならば、これに地方の分担金十五億をプラスしたものが事業量になるということになれば、この直轄も補助工事も同じ予算によつて事業量はふえて行く、ところが直轄と補助費とが二つにわかれておれば、直轄の方は現われたる予算だけの事業量しかない、こういうことでどつちを多く見るかということによつて事業量が非常にかわつて来る。そうしてこの補助の場合は、地方の分担というものは明らかでありまするが、直轄の場合の負担金というものはわれわれにはわからぬで、隠れて国家の収入予算に入る、こういう形になつて、しかもそれが同時に地方起債のわくのうちに入る、こういうことになりますから、そういうのはどういう関係になつておるか、それを一覧でわかるように、建設省関係におけるこの直轄工事に対する分担金は、どういう予算をお組みになつているか、そうしてそれは予算編成のときにやるか、直轄工事補助工事の割当の後にお組みになるのか、その点の資料をひとつお出しを願つてしかる後にまた再検討したいと思います。なおこれについてもしただいま御意見があれば、この際承つておきたいと思います。
  39. 逢澤寛

    ○逢澤委員 関連質問がありますからちよつと……。先ほど西村委員から詳細にお尋ねがあつたのでありまするが、例の適用除外の一箇所十五万円未満のものは除外するという問題なんであります。これは連続的に二十メートル以上離れておるものはこれを除外する、二十メートル以内に連続的にあるものはという條項が入つておるらしいのですが、これを立案なさる折に、全国的に二十五年度の全体から見れば、パーセンテージは一割五分ぐらいだろうというお話なんです。しかしこれは全体から見た話で、地域的に見ると、河川の状態あるいはいろいろの災害状態が曲折が多くて、一府県とかあるいは一地方には、そうした少額工事が非常に連続的に行われておる、こういうものがあると思うのです。私どもの手元にもそういうような熱烈なる反対意見が出て参つておるのです。そこで私はただいま西村委員から請求なすつておる資料の中に、もしわかりますれば、その分布状態がどういうようになつているかということについて知らしていただきたいと思います。わかりませねば、その二十メートル未満と以上というものを、いま少しくお考えになるお気持があるかないかということを一点お尋ねいたします。  さらにもう一つは、かりに貧弱町村というお話がありましたが、貧弱町村の一地域において、一箇所は十五万円未満だが、一地域において数百万円にもなる。それが三十メートル、四十メートルぐらい離れて、数百万円にもなるというようなことが出て来ると思うのです。そういうような場合には、どういうようなことをお考えになるか、あるいはそういうような場合には、いわゆる除外例としての、何か常識的に適切な考え方をすべきじやないかと思われるのです。この点につきまして何かお考えがありますれば承りたいと思います。
  40. 伊藤大三

    伊藤説明員 ただいまのお話にございましたような、二十メートルを三十メートルにしたら、また四十メートルにしたら、あるいは除外の場合を見て行つたらどうか、これはいろいろ御議論のあるところでございまして、そういうような、特にこの規定から一箇所がはずれるようなところ、連続してたくさんの災害になるというところには、非常にお気の毒だとは存じまするが、大体この箇所を切るにつきましても、二十メートルがいいか、三十メートルがいいか、いろいろの問題も出ると思います。ただわれわれといたしましては、旧套を墨守するようで悪いのでありますが、大体どかで線を切らなけれげならぬというので、従来のいろいろの事業をやつて来た経驗からいたしまして二十メートルというのを大体の線といたし、さらにそれを越える場合につきましても、ある施設につきましては、その施設工事上から、またほかの施設との関連その他を考慮いたしまして、なお二十メートルを越えるような場合も考えるようなことがあるのでございます。しかし原則につきましては、あくまでこの二十メートルという線をもつて一箇所を限つて参りたい。それから今のような例外的な場合も、いわゆる適用除外からはずれるのが数百万円もあるのはどうするかという問題につきましては、この災害復旧規定では処理せずに、何らかほかの財政援助の問題が考えられれば、あるいは一時補助というような問題が考えられれば、その方面で考えてみたい、こう存ずるわけであります。
  41. 淺利三朗

    ○淺利委員 さつきの私の質問に対して何かお答えがありませんか。
  42. 植田俊雄

    ○植田政府委員 ただいま資料を持ち合せておりませんので、分担金の歳入がどういうことになつておりますか、数字的に申し上げることはできませんが、大体分担金は、歳入の方は割合に早くきめるのであります。淺利委員お話がありましたように、概算的に組んでおります。歳入につきましては、歳出と違いましてよけいに入つても問題になるわけでございますし、減りますとこれは歳入欠陥ということで、歳入関係からはやかましく言われますけれども、歳出の場合ほど問題がございませんので、今度の直轄及び補助事業がはつきりきまりましてから、歳入予算の方に変更を生ずるという事実はないのであります。今年度の分担金の歳入をどういう積算でやつておりますか、資料をもちまして、次の機会に御説明申し上げたいと存じております。ただいまお話になりました歳入に当るものを同時につかむことができないか、こういう問題でございますが、この点につきましては、現在の直轄事業の分担金が大体一年遅れくらいに入つておるような実情でございますので、その年度の分担金はその年度予算に合せて施行することが、実際上できないというふうな事情もございます。これも過渡期におきましては、何らかの法的の措置を講ずれば、理論的にはできないこともないわけであります。しかし国費と地方費を一緒にして仕事をするということになりますれば、これは会計経理の上からいいますと、非常に複雑な問題になつて来るわけであります。またそういうものが現在の地建の経理の上からいつてできるかどうか。あるいは特別会計の問題にでもしなければ解決がつかぬじやないか。この問題につきましては、解決方法は相当いろいろ知惠をしぼつてみなければ、見当がつかないような事情でございます。御趣旨の点は、私どもしごくもつともと存ずるのであります。これの解決方法につきましては、今後もう少し研究の余地をお残し願いたい、かように考えておるのであります。
  43. 小平久雄

    ○小平(久)委員 この法案を見まして、なお研究する余地があり、御質問しておいた方がいいと思われる二、三の点を、この機会にお伺いしておきたいと思います。  まず第一に第一條でありますが、第一條には、地方公共団体財政力に適応するように国の負担を定めて云々、こういうことがうたつてありますが、実際全額国庫負担から今回のスライド式負担の方式に切りかえるということは、私は逆にむしろ国の財政力に適応するようにきまつたのじやないかという感を深くいたしておるのでありまして、どうも法の目的そのものが、大分事実と相違することをうたつておるのではないかと考えられてならないのであります。この提出になりました資料を見ますると、また法案にある通りスライド式負担方法によりますと、税収が十二億で三十億の災害を受けた場合には、その国庫負担率は〇・七八三になる。地方負担は〇・二一七になる。これを金額で申しますと、国庫補助が二十三億四千九百万円、地元が六億五千百万円、こういうことになるのでありまして、しかも地元ではこの法の適用を受け得ない十五万以下の工事その他の負担のことを考えますと、一つのこの例の場合だけについて考えてみましても、おそらく十億前後の地元の負担が必要になつて来るのではないかと思います。そうしますと、税収が十二億で、災害だけでも十億も使つて行かなければならない、こういうふうな事情になるのでありまして、これは地方にとりましては、まつたく容易ならざることであります。ましてや、災害はほとんど例年同じ県に起きておる、こういうことは今までの歴史が示しておるのでありまして、こういう点から見ましても、第一條の書き方はどうもふに落ちないのでありますが、どういう趣旨でこういうことをうたつたのか、それからひとつ御説明願いたいと思います。
  44. 伊藤大三

    伊藤説明員 今御指摘の点でございますが、実はこの災害復旧事業というものと、一般事業とを比較勘案して、問題を論じます際には、要するに災害復旧事業というものは、一般事業よりも、地方財政という問題から考えてやらなければならないものでありますが、地方が費用を出す方がいい、出すべきであるという問題から始まつた條文でありまして、実は本年の全額国庫のあの法律と比較されまして、いかにもその反対のような感じがいたすのでございますが、実はこの法案を出すにあたりましては、いわゆる暫定の問題としての書き方でなく、いわゆる一般事業との比較からあの條文を書いた次第であります。
  45. 小平久雄

    ○小平(久)委員 一応当局の御説明は承つておくことにいたします。それから次に進みますが、第二に承りたいのは第三條で、対象になるもろもろのことが書いてありますが、その際に政令で定めるもの云々と書いてありますが、これはどういう政令を大体予定なさつておられるのでありますか。
  46. 賀屋茂一

    賀屋説明員 この政令はまだきまつておらないのでございますが、大体政令では、道路法による道路、山林で申しますると林地荒廃防止施設、海岸で申しますと砂防施設等、いろいろこまかい施設内容をきめようというわけでございます。
  47. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 資料を要求いたしたいと思います。第一には本法案の第四條による資料でありますが、これを、A、B、Cとします。Aは原案に三分の二、四分の三、四分の四とありますのを、四分の三、五分の四、五分の五としたときの予算額の変動、それからBは、三分の二、四分の三、四分の四はそのままにしておきまして、災害復旧事業費の額の二倍とあるのを一倍で切つたときにどういう変動があるか、それからCは、補助率を四分の三、五分の四、五分の五とかえ、また災害復旧事業費の額も二倍とあるのを一倍とかえた場合の数字、これが第一であります。それから第二の資料といたしまして、超過事業費に対するスライド制補助を認めたときのいわゆる予算の変動、それから第三は、二十五年度全額国庫負担施行した工事の内訳、災害発生年度、二十五年度に発生した分で全額国庫負担でやつた分が幾ら、二十四年度分は幾ら、二十三年度分は幾らという資料をいただきたいと思います。
  48. 内海安吉

    内海委員長代理 ただいまの村瀬君の御希望に沿うように、その資料を次の機会に提出していただきたいと思います。
  49. 小平久雄

    ○小平(久)委員 次にお伺いいたしておきたいことは、先ほど来問題になりましたが、この法律対象にならない、一箇所の工事が十五万円に満たない場合について、距離的に非常に近接している場合には、一箇所とみなす規定もあるようでありますが、大体今度の法律の建前から見ますと、標準税収入と工費と災害額というものを比較して、補助をどうするということをきめておるのでありますから、地域的に十五万円以下の小さい災害が非常に起つたというような場合には、技術的に何メートル以内の場合どうのこうのというよりも、被害の総額がやはり標準税収入と比較して、どういう場合には補助を多少見てやるというような例外規定が、どうしても必要だと思うのであります。たとえば町村にいたしましても、非常に区域が広い、しかし税収入は案外ない、広いために小さな災害が非常に多いというような場合が方々に例があるのでありまして、何とかここに救済規定をそういつた税収入と比較した方法によつてつくることが最も必要だと思いますが、その点についてどういうお考えですか。
  50. 伊藤大三

    伊藤説明員 先ほど逢澤さんからもその御質問を受けましたわけでありまするが、その問題の取扱いにつきましては、現在の規定から参りますれば、一応災害に入れないという建前をとつておるのであります。そういう問題をどうして入れなかつたかという問題は、いろいろございましようが、大体経費の小さいものについては、地方でひとつめんどうを見てもらいたいということと、国の補助対象にするものについてはある程度限界をつけたいということ、こういう問題がからんだわけでありまして、財政面の問題につきましては、たとえば道路延長の問題など、平衡交付金対象になつておるやに聞いておりまして、それによつてある程度問題が解決するということもあると思います。そういうような点も勘案いたしまして、限度を二十メートルといたしまして、なお例外の場合は、一応後段に書いてありますように取扱つて行きたいと考えております。
  51. 小平久雄

    ○小平(久)委員 なお地方公共団体につきましては、たとえば五十万円の災害が一箇所に起ることも、十万円の災害が五箇所に起ることも実際は同じなんでありまして、ただ單に機械的に十五万円という、どこから出たか知りませんが、そういつた一線を画して補助するしないをきめて行くということは、あまりにも実情に即しない、しやくし定規のやり方だと思うのでありまして、ただいまの御答弁は御答弁として承つておきますが、何とかこれだけはひと補助対象にするように、なお御研究を願いたいと思います。この点は要望いたしておきます。  それから次に伺いたいのは、過年度災害についての、今回のこの法律適用の問題であります。附則を見ますと、二十三年災害復旧事業費につきましては、これを政令で定める率で補正いたして、二十五年度標準税収入と比較して補助率をきめるというように書いてありますが、これはおそらく、物価も相当上昇いたしておりますしするので、二十三年災害をすでに査定いたしておるのを、その査定額をふやすという意味だろうと思いますが、その点はどうなのか。さらにまた二十四年災害、二十五年災害につきましては、復旧事業費の補正ということが見当らぬようでありますが、これはやる必要がないという意味なのかどうか、その点を承りたいと思います。
  52. 伊藤大三

    伊藤説明員 附則の三号の問題でございますが、二十三年度災害につきまして、負担率の計算につきましてこれを適用したい、こういうわけでございまして、査定額をこの際増額するというところまでは考えておりません。二十四年、二十五年の関係につきましては、物価の働きはないわけでありますが、二十三年度は二十四年、二十五年に比しまして低かつたのであります。それでその点を補正したい、こういう考えであります。
  53. 小平久雄

    ○小平(久)委員 今の御答弁でちよつとふしぎに思うのですが、結局は今のお答えの通り補助率をきめるために補正を行うのでしようが、この文面によりますと、「当該災害復旧事業費総額政令で定める率を乘じて補正した額」というふうにうたつてあるので、復旧事業費そのものを一応まず補正を行つて、そのことによつて結果的に補助率も補正される、こういうことだろうと私は解釈いたしておるわけでありますが、その点はどうでありますか、なお御説明願います。  さらにまた二十四年度、二十五年度分の災害については、物価が今日まで大してかわつておらぬというようなことを言われておりますが、大体その年度のうちに補助を全部してしまつて工事をしてしまつておるならば、そういうことも言えるかもしれませんが、まだ国ではその補助をしていない、つまり工事をやつておらぬという建前でおるのだと思うのであります。従つて年度災害の残工事をこれからやるという建前をとるとして、二十四年、二十五年は二十六年と比べて物価の違つておることは申すまでもないことでありまして、どうもその点ふに落ちませんから、重ねて御説明を願いたい。
  54. 伊藤大三

    伊藤説明員 実はこの過年度負担率決定につきましては、いろいろ研究いたしておりますけれども、暫定的の措置といたしまして二十五年度をとりましたのであります。それから現在残つておる過年度の問題につきまして、二十三年、二十四、二十五年とございますので、これの間に若干その物価の変動を見て、負担率の問題を補正したらよかろうというので考えたのでありまして、二十四、二十五年の物価指数を一といたしますと、二十三年度ほ大体補正いたしますと一・四なにがしというものになります。二十六年度からの問題につきましては、これと二十五、二十四、二十三との比較の問題をさらに考えなければならないと仰せられるのでありまするが、実は今申しましたように、過年度の問題の負担率をどうするかという問題を一応ここで決定いたしまして、そうして今後の問題は万一今後において問題が起つたらばですが、できれば現在で決定しまして、今後も続けて行きたい。二十六年度以降は災害事業費、それから税収入も平年通りこの法律でやつて行きたい、こういうわけでございます。
  55. 小平久雄

    ○小平(久)委員 ただいまの御説明を私はあまり満足に承ることはできません。特に考慮していただきたいことは、大体二十五年度標準税収と比べて補助率を出す、こういうことになつておるのでありますが、御承知の通り地方税制の改正によつて、県は大した変化はないようでありますが、市町村の場合は、二十五年度税収が非常にふえておる。そのふえたところにおいて過去の災害復旧費を何ら補正をしないということでは、これは補助の実際の割合と申しますか、額から行くと、補助部分がとにかく非常に減るということは、大体概算的に考えてもわかるのでありまして、この点については私もなお研究いたしたいと思いますが、当局でもひとつ御考慮を願いたいと思うのであります。  それからもう一点伺いたいと思うのは、この清算の場合、特に剩余金を生じた場合は返すというのが原則のようでありますし、また主務大臣の認可を受ければ、他の災害事業に使つてもよろしいという御趣旨のようでありますが、一体清算するということは、実際問題として、県なら県全体として清算をするのか、あるいはまた町村なら町村、あるいはまた個々の工事について清算をするのか、その点をひとつ承りたいことと、もう一つは、建設大臣の認可を受けた場合に、他の災害復旧事業に使用してもよろしいということでありますが、この場合には、ここにいう他の災害復旧事業というのは本法の補助対象にならない、具体的に言えば、たとえば十五万円以下の復旧事業というものにまでも、余つた場合には、広く使うことができるのかどうか、その点をひとつ承りたい。
  56. 賀屋茂一

    賀屋説明員 今の剩余金の処分でありますが、これはもちろん個々の工費について清算するのでありますが、災害は全般的でありますので、その発生した年の災害の全部について剩余金の清算もするわけであります。それから国庫補助災害工事についての剩余金でありますから、国庫補助をし得ると査定したものに対して剩余金を使うのでありまして、それ以外に別に国庫補助対象になつておらないものまでも拡張して使うというものではございません。
  57. 小平久雄

    ○小平(久)委員 そうしますと、たとえば具体的に言つて、百万円なら百万円の特定の事業を、地方公共団体が実際工事する際に九十万円でやらした。こういう場合にその十万円というものは、今度は他の国庫補助対象になる災害事業にしか使えないということになると、今度は浮いただけは結局その次にやるべかりし工事国庫補助から差引かれてしまい、県なり市町村なりの努力というようなものは、一向認められないという結論になると解してよろしいのでありますか。
  58. 賀屋茂一

    賀屋説明員 御承知のように災害復旧費は各箇所についてきめますが、いよいよ実施いたしますときには、実情に合うようにやらねばなりませんし、また数年かかつてやるものでございますから、当初決定したものが非常に変動して来ます。そういたしますと、査定した金では、今申し上げますように剩余が出るものもありますし、またその箇所を復旧するために金が足りない場合も出て参ります、これを相殺して査定したものだけは完全なものにしようというのが、この剩余金の考え方でございます。
  59. 内海安吉

    内海委員長代理 この法律案の起草にあたりまして、建設省方面ではなるべく本委員会の意見を尊重して、これに準拠した法律をつくりたいという希望のもとに進めておつたそうですが、ちようどこの起草にあたつて安本方面では最も強い意見があつて、そうしてこの席において建設当局より説明のできないような問題もあるやに聞いておるのであります。そこでこの国庫負担の問題と事業量の問題、さらに地方財政の緩和等に関する根本問題について、次の機会においてあらためて安本当局の出席を求め、その核心をついてみたいと思います。  本日はこの程度といたしまして、次の機会において質問を継続することにいたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後四時六分散会