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池田国務大臣 災害復旧の地方負担につきましては、
昭和二十五
年度限りにおきましては、
全額国庫負担、すなわち
災害一件ごと十五万円以上のものは、
全額国庫負担にいたしたのでございます。これをなぜそういうふうにいたしたかと申しますると、地方財政の実情を見たというので、シヤウプ博士の勧告に強くこれが出たのであります。私はこの問題につきまして、そういうことは私は賛成できないと
言つて、相当シヤウプ博士と議論いたしました。しかしあの際にああいうふうになりまして、
予算編成の当時におきまして、
関係方面と折衝の結果、とにかくそれじや一年限りにしようというので、一年限りにいたしたのであります。結果としては、私が先ほど申し上げましたように、あまり感心した制度ではないと思
つたのでありますが、時間的その他の
関係でああいうふうにいたしました。従いまして一年限りの負担の場合におきましても、他の
委員会におきまして私ははつきり、これは二十五
年度限りでございますということは申し上げてお
つたのであります。しこうして
昭和二十六
年度から、それではどういうふうな負担
関係にしようかということで考えましたのが、今
お話にもありました租税収入と
災害の大きさによ
つて考えよう。たとえば
大阪とか、
東京あるいは愛知県等におきましては、相当租税収入が多いのであります。これを
全額国庫負担にする必要はございません。しかし群馬県とかあるいは茨城県、宮崎県、鹿児島県などという県は、年々
災害がございます。しかも租税収入が少い。こういうところはやはり公平の観念からも、何か実情に
沿つたような負担区分にした方がいいというので、今回御
審議願
つておりますように、こういう三段階にいたしたのであります。従いまして租税収入の非常に多い県で、しかも
災害の割合少いところは、三分の一を負担するようになりましよう。しかし宮崎県のごとく租税収入が少く、
災害が年々起るということになりますと、九十四、五パーセントを国が負担するという
関係になります。それで行けば、将来ともかく各府県とも公平に、実際に
沿つたようなことで行けると私は考えております。従いまして今後は、ただいま御
審議願
つております税収と
災害の大きさによ
つてスライドして行く方法で、進んで行きたいと考えております。
なおそれによりましての地方の負担でございますが、私今正確な数字を覚えておりませんが、
昭和二十五
年度におきましては百億足らずの経費だ
つたかと思います。それで三分の一負担ということになりますと、
お話のように二百億
程度のものになると思います。これをただいま私が申し上げましたようなスライド式で行きますと、百七十億
程度の負担になると思うのであります。昨年よりも八、九十億ふえるのではないかと思います。従いましてこのふえたものをどうや
つて行くかという問題になりますと、地方財政の問題でありますが、地方には節約し得る点もありますので、八十億ばかりの節約をお願いをいたしております。また租税収入も、自然増収並びに法人の住民税負担等で、百八十億の増収もございます。起債の方は少いのでありますが、四百億
程度にな
つて参りますから、大体まかないがつくのではないかと思います。今後足りないという場合におきましては、情勢に応じて善処しなければなりません。もちろん
災害復旧も焦眉の急であり、国策として当然第一主義に考えなければなりませんが、やはり国民の負担の点、財政経済状況から申しまして、一時にやるというわけには参りません。できるだけの力は注いでおりますが、財政経済事情によりまして、今の
程度で精一ぱいではないかと考えております。今後は
公共事業費の使い方にいたしましても、なるべく
災害の起らない防砂とか植林の
方面に力を注ぎますと同時に、なるべく経費を少くして復旧を多くしようという
考え方で進んで行きたいと思
つております。