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周東国務大臣 お答えいたします。昨年まで
全額とつたのが、今度一部
地方負担に
なつたために、
地方の
負担が重くなるということを前提としてのいろいろなお尋ねでありますが、なるほど
全額負担をや
つているのを一部
地方負担になれば、
地方の
負担は多くなります。これは私
ども、去年
政府が
全額国庫負担を認めようとしたときからも、実は両論があ
つて一年限りとしたのでありまして、これは御承知の
通りであります。私は
全額国庫負担ということは理想であ
つて、国の
財政が許せば、特殊の事態に対しては、
全額国庫負担をやれればやるのがいいと思います。しかしこのことは、今のような
財政状態においては、
前田さんが当局者になられてもなかなかできぬだろうと思う。と申しますのは、去年一箇年やりましたときの一例を申しましても、一
事業、一場所十五万円以上は、
全額国庫負担にするというような
一つのラインを引いてみたけれ
ども、それではとてもいかぬので、一町村全体を合せたら十五万円に
なつたときは認めてくれとか、あるいは一郡全部をまとめて十五万円に
なつたときに認めてくれというような御議論も出たくらいに、かえ
つてわずかな金で
全額国庫負担になるというような場合があ
つて、いろいろ弊害が生じております。またこういうことはおそらくないかと思いますが、
全額国庫負担であれば、
災害を早く予防し、とめればとめられるのをとめないで、全部こわれたならば、
国庫の補助がもらえるというようなことで、事前、事後における監督、予防というものが粗漏になる向きがありはせぬかということも
考えられまして、むしろ
災害が起れば、地元でもやらなければならぬから、事前における予防、あるいは事後における監督をしつかりさせるという
意味においても、私はりくつからいえば、一部を
地方に持
つていただくという方がいいのではないかということで、趣旨、根本論からいえばその方がいいというふうに
考えるものであります。
政府もそういうことを
考えられて、一年限りにして、今年は一部
負担を願うということに
なつたと思うのであります。ただお話のように、
地方負担が、やりくり算段で非常にむずかしい最中ですから、これが困難になるということは想像にかたくないのです。そういうことがありますので、今お話のように、一応原則を三分の二にしてあるが、これがある場所には
全額まで行き得る、以下それになら
つて平均は大体七五%前後まで行き得るということにしたのも、
地方負担の状況等いろいろな面から
考え、
財政状況と見合せてからの事柄でありまして、この点は御
了承をいただきたい。できればたくさん出るのがよいが、そういう事情でさようなとりはからいをしたということを御
了承願いたいと思います。従
つてある場所には
全額まで行きますが、この点は、今の場合その程度にした方がよいと思います。
次に、しからばこれにかわるに平衡交付金を増額するかというお尋ねでありますが、これはご
もつともな点であります。それで平衡交付金を増額し得るならばよいのですが、これもただちに右から左に、かわりに平衡交付金を増額するという形にはならないかと思います。これは全般の
財政を見て、増額するならば、
災害に対する
全額国庫負担ということだけではなく、他の面からも平衡交付金が増額せられなければならぬと思います。従
つてこれは
財政状況から、急速にはできないのではないかと思います。
それから
前田さんのお尋ねのもう
一つは、再
査定をするかというお話ですが、おそらくこれは
建設大臣も再
査定をして生み出すというような意思はないと思います。
政府としては、今私が申し上げたように、物価の動向もあり、また
地方財政を考慮しての
平均三分の二で、
事業分量を減らさないという立場におるにもかかわらず、スライドをして、あるものは
全額まで行き得るということにいたしますれば、三分の二以下になるということはありませんから、どうせ足らなくなるが、それが足らぬようにならないように、しかも
スライド制を採用しようというところに、今苦労しておるのでありますから、そこは何か眼光紙背に徹するようなことで、御了解を願
つておきたいと思います。これは物価の動向なり、いろいろな点から、機会を見て増額したいという気持でおるが、そういう場合に、おのずからやりとりの計画がかわ
つて来るだろうということをいろいろお話しに
なつたと私は想像いたします。