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1951-02-20 第10回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十日(火曜日)     午後二時三十分開議  出席委員    委員長代理理事 内海 安吉君    理事 鈴木 仙八君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       今村 忠助君    宇田  恒君       上林山榮吉君    瀬戸山三男君       内藤  隆君    西村 英一君       増田 連也君    池田 峯雄君       飯田 義茂君    玉井 祐吉君  出席政府委員         建設事務官         (住宅局長)  伊東 五郎君  委員外出席者         議     員 庄司 一郎君         建設事務官         (河川局次長) 伊藤 大三君         建 設 技 官 川村 滿雄君         建 設 技 官         (道路局建設課         長)      富樫 凱一君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 二月十九日  委員寺崎覺君辞任につき、その補欠として飯田  義茂君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十三日  大袖開拓道路開設促進に関する請願志田義信  君紹介)(第五三三号)  国道十号線本莊町以南地区改修工事施行請願  (村上清治紹介)(第五三六号)  都市計画事業に対する国庫補助増額等に関する  請願平野三郎紹介)(第五四三号)  戰災復興特別都市計画事業に対する国庫補助金  削減反対請願平野三郎紹介)(第五四四  号)  坪田村に砂防工事施行請願菊池義郎君紹  介)(第五四五号)  最上地域総合開発促進に関する請願志田義信  君紹介)(第五四六号)  最上川支流乱川改修工事施行請願志田義信  君紹介)(第五四七号)  県道川前路線改修工事施行請願志田義信君  紹介)(第五四八号)  川口芝川樋管改修並びに排水施設整備請願  (志田義信紹介)(第五四九号)  丹生川上流砂防工事施行請願志田義信君  紹介)(第五九六号)  県道大石田富沢間改修工事促進請願志田  義信紹介)(第五九七号)  母袋川、湯沢川上流砂防工事促進請願(志  田義信紹介)(第五九八号)  丹生川橋永久橋に架替の請願志田義信君紹  介)(第五九九号)  小国川下流富田地内の災害復旧及び堤防築設の  請願志田義信紹介)(第六〇〇号)  赤井川砂防工事施行請願志田義信紹介)  (第六〇一号)  県道楯岡線国道編入並びに改修工事施行等  の請願庄司一郎紹介)(第六〇二号)  白水川上流砂防工事施行請願志田義信君  紹介)(第六〇三号)  巨瀬川改修工事施行請願荒木萬壽夫君外二  名紹介)(第六五三号)  内川外二川の改修工事施行請願高塩三郎君  外二名紹介)(第六五四号)  柴山湖外二湖の国営沿岸排水工事施行に関する  請願坂田英一紹介)(第六五五号)  国道十五号線中橋本五條間改修工事施行の請  願(前田正男紹介)(第六五六号)  十川改修工事施行請願山崎岩男紹介)(  第六五七号)  大蔵村地内災害防除施設に関する請願志田義  信君紹介)(第六五八号)  吉井川改修工事予算増額等に関する請願(星島  二郎君外五名紹介)(第六五九号) 同月十九日  船坂川の砂防工事促連請願吉田吉太郎君紹  介)(第六八〇号)  山之口村下富吉地内の富吉川及び花之木川の改  修工事施行請願瀬戸山三男紹介)(第六  八一号)  加茂川下流福井地内に防災工事施行請願(大  村清一紹介)(第六八二号)  庄内川上流砲防工事費国庫補助請願(加藤  鐐造君紹介)(第六八三号)  野洲川ダム建設附帶工事施行反対請願(河原  伊三郎君紹介)(第七二二号)  道路法改正して三陸沿岸縦貫国道開設請願  (鈴木善幸紹介)(第七二三号)  五家莊地区開発に関する請願坂田道太君紹  介)(第七二五号)  箒川を中小河川に指定並びに砂防工事施行の請  願(小平久雄君外四名紹介)(第七五三号)  雨龍村、江部乙村間の石狩川に架橋の請願(篠  田弘作紹介)(第七五四号)  片貝、塚山間道路開設請願田中角榮君紹  介)(第七五五号)  八頭郡西部地区道路改修に関する請願足鹿  覺君紹介)(第七五六号)  球磨川ダム築設の請願外一件(坂田道太君紹  介)(第七五七号)  船岡作業所連合国軍関係労務者に危險手当支給  の請願庄司一郎紹介)(第七八二号)  天神橋を永久橋に架替の請願門脇勝太郎君紹  介)(第七八三号)  小田橋架替の請願門脇勝太郎紹介)(第七  八四号) の審査を本委員会に付託された。 一月二十六日  横浜市の土地建物接收解除に関する陳情書  (第一一六号) 二月十四日  岡山県の県道改修工事に関する陳情書  (第二四〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  土木災害復旧事業費国庫負担制度に関する件  住宅金融公庫法改正に関する件   請願  一 朱太川切替工事施行に関する請願(小川原    政信君紹介)(第八九号)  二 阿武隈川下流改修工事促進に関する請願(    庄司一郎君外五名紹介)(第九〇号)  三 白神岬道路開設促進請願田中角榮君紹    介)(第九一号)  四 芝川下流沿岸地帶水害防止に関する請願    (志田義信君外一名紹介)(第九二号)  五 丸森町地内中小河川改良工事施行に関する    請願庄司一郎紹介)(第九三号)  六 県道横沢北條停車場線改修請願田中    角榮紹介)(第九四号)  七 見返資金による三陸東海岸国道開設請願    (志田義信紹介)(第九五号)  八 長良橋架替促進請願大野伴睦紹介)    (第九六号)  九 川口地内山入改修工事施行請願外一    件)(福田篤泰紹介)(第九七号) 一〇 鹿兒島県下特殊土壤災害防止に関する請    願(中馬辰猪紹介)(第九八号) 一一 月光川上流砂防工事施行請願志田義信    君紹介)(第九九号) 一二 中藻興部奥興部間開拓道路開設請願(    松田鐵藏紹介)(第一〇三号) 一三 本別町に上水道敷設請願伊藤郷一君紹    介)(第一〇七号) 一四 関門海峡隧道工事促進請願坂本實君紹    介)(第一一三号) 一五 味間村株間奥より篠山口駅に至る道路を県    道に編入請願有田喜一紹介)(第一    三〇号) 一六 磐井橋架設等に伴う低下敷地引揚工事費国    庫補助請願淺利三朗君外五名紹介)    (第一三一号) 一七 吉野川改修工事促進請願生田和平君外    一名紹介)(第一三二号) 一八 竹田川改修工事施行請願有田喜一君紹    介)(第一三三号) 一九 昭和橋永久橋架替え並びに同地内道路    改修工事旅行請願橋本龍伍紹介)(    第一三四号) 二〇 日開谷川勝名橋下流堤防補強並びにしゆ    んせつ工事施行請願岡田勢一君紹介)    (第一三五号) 二一 波介川外二川の改修工事施行請願(長野    長廣君外二名紹介)(第一三六号) 二二 房総半島の国道三十七号線道路改良工事施    行の請願多田勇紹介)(第一三七号) 二三 球磨川改修工事施行請願坂田道太君紹    介)(第一九一号) 二四 砂押川改修工事促進並びに予算増額請願    (内海安吉君外一名紹介)(第一九二号) 二五 犀川に国直轄改修工事施行請願植原悦    二郎君外一名紹介)(第二〇〇号) 二六 鍋田川に国直轄改修工事施行請願江崎    真澄紹介)(第二五〇号) 二七 木曽川上流堤防設費増額請願江崎    真澄君外二名紹介)(第二五一号) 二八 安野呂川改修工事施行請願冨永格五郎    君紹介)(第二五二号) 二九 宝満川改修工事施行請願中島茂喜君紹    介)(第二六〇号) 三〇 新潟県下の砂防費増額請願田中角榮君    紹介)(第二六三号)     ―――――――――――――
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより会議を開きます。委員長病気欠席のため、本日も私が委員長の職務を代行いたします。  開会前の懇談会において、土木災害復旧事業費国庫負担制度に関する件及び住宅金融公庫法改正に関する件についてそれぞれ当局より説明を聽取したのでありますが、これよりこの二件につきまして政府に対する質疑を行いたいと思います。  まず土木災害復旧事業費国庫負担制度に関する件につきまして質疑を行いたいと思います。通告順があります。淺利三朗君。
  3. 淺利三朗

    淺利委員 土木災害復旧事業費国庫負担制度につきまして、この改正は私ども多年こうあるべきだということを主張して参つたので、まことに適切なものと思うのであります。もちろんその割合の程度というような標準についてはなお検討の余地があると思う。大体において全額国庫負担を画一的にやるとか、三分の二をもつてやるとかいう点が是正された点は実際的であるということを考えまして、当局の苦心の跡を大いに多とするところであります。ただ一つ私がここで伺つておきたいことは、第八の事業費範囲、これによりますと、直接必要な材料費労務費、敷地の買收費機械購入費その他の諸役務費事務費を加えたものとなつておりますが、附帶事業として必要なものは、ここに列挙された以外にもあると思うのであります。これは先年から問題になつておりまして未解決になつております。現に本日の日程にも請願が出ております。実例を申し上げますれば、先年の大水害のために岩手県の一関市の盤井川が川幅を拡張するとともに堤防かさ上げをした結果、市街地との道路のとりつけの間に十尺以上の差がある。そこでそのとりつけに対して橋と同じ高さのところまで市街地の幅全体に通じて橋を延ばす、こういう結果になりましたために、その沿線の両側商店はほとんど営業できない状態になつております。もしその工法が土盛りをするということになれば、のりを上げるというようなことで自然その両側土地も買收されますから、土地收用法規定からいいましても、土地を收用したために人家を新しく改築するとか、修繕をするという場合には補償することになる。ところが町幅全体を橋で延ばしたために、従来の商店街の上に橋がかかつて来て、その両側商店街としての効果をなさぬ実情にあるのであります。これは現在は何ら補償の道がない。人権の侵害とか、財産権侵害ということは、直接でなくても、これによつて非常に阻害されるのであります。営業もできなくなる。たとえば現在のあのまん中の通りの上に高架線をかけて、しかもそれがずつと高架ならまだ下が利用できますが、それを途中で平地と接続するということになりますと、その地下になつたものはほとんど利用できない。それを何ら補償しないということは、常識からいつてもはなはだ不穏当であると思うのであります。しかるに現在においては、これらは何ら救済方法はない。国も見ない、県も見ない。一方において災害を受けて、そうして復旧するときには補助も出しておるが、災害を受けたが、しかし自分土地公共建物のために全然利用ができなくなつたという状態に放任されて泣寝入りせねばならぬ。こういう実情があつてははなはだ国家制度としては、不当なものであるとわれわれは信じおるのであります。でありますから、事業範囲という場合に、そういう場合を加味して、必要なところの附帶事業というものもこれに加えるという道をつけたならば、こういう場合には附帶事業として橋と同じ高さに両側人家の下に鉄筋の柱を建てるとか、防壁を建てて地下室的なものをつくつて、橋の高さまで家を上げて利用ができる。こういうことになると思うのであります。そういうことが現在の法規の上においては救済の道がない。民法上の損害賠償とか何とかいうことならば考慮するけれども、それ以外に道がないということは、現在の法規の不備であると思う。でありますから事業範囲というものに対して、そういう場合を予想して、必要なる附帶事業というような一項目を加える御意思があるかどうか、その点を伺いたい。
  4. 伊藤大三

    伊藤説明員 ただいま淺利委員から仰せになりました点につきましては、われわれも常にそういう問題について悩まされ、何とか救済方法はないかということは常に考えておるわけでございまして、実は單なる災害復旧事業のみならず、そのほかの一般土木事業につきましても、そういうものの救済方法は実は全然欠けておるのでございます。従つてこういう問題につきまして土地收用法においては若干そういう問題について買い上げるというような場合も聞いておるわけであります。できればそういう考慮もいたしたいといろいろ考えたのでありますが、そこまでこの法律として触れていなかつたのであります。なおこれについては相談もいたしてみたいと存ずるのであります。なお低くなつたために若干の橋をかけるというような問題につきましては、これを災害復旧の中へ一応見て従来もやつては来ておりますけれども、根本的な点までに触れていないので、その点についてのおしかりと存ずるのであります。この問題につきましては、なおよく考慮してみたいと存じます。
  5. 淺利三朗

    淺利委員 今の土地收用法関係と言つておりますが、現在の土地收用法でも、收用したために、その接続地については多少考慮されておるのであります。ところが今の国道一ぱいでありますから、土地一つも收用しておらぬのであります。でありますから土地收用法の適用は直接はまらぬのであります。これは国なり県の工事としてやつてその影響を及ぼす。たとえば自分の家の前に官有地であるからといつて商店の前に大きなやぐらでも建てられたということになれば、これは補償すべきがあたりまえであると思う。ぜひこういう点は必要な附帶事様というような一項目を加えればその認定は実際に応じて取捨選択してもいいのでありますから、そういう幅のある規定を設けるように御考慮願いたいと思うのであります。こういう例がしばしば各地にあるのでありまして、良民が不当に苦しむというようなことのないような政治をしいていただきたいと思いますから、ぜひそういう項目改正をひとつ真剣に考えていただきたいと思うのであります。  それからこの十四に、北海道土功組合及び水利組合に関する災害復旧工事と、これだけ特にあげてありますが、これは農地関係農林省関係で、ほかのものと同一に取扱うべきじやないのですか。
  6. 伊藤大三

    伊藤説明員 この十四の北海道土功組合及び水利組合につきましては、実は従来北海道土功組合河川局におきまして、この補助を続けて出して来ておりますので、なおその残額につきましての一応の処理を加えたらどうかと思つて書いておるわけであります。これは今度土地改良区になりまして、北海道土功組合という特殊なものがなくなりますから、今後は私の方で扱わないという趣旨でございます。
  7. 淺利三朗

    淺利委員 私この方はこれで終ります。
  8. 西村英一

    西村(英)委員 まだ法律もよく拝見いたしておりませんから、的確なことは言えるかどうかわかりませんが、ちよつとこれを拝見しただけで負担金負担という問題でお尋ねしたいと思います。全額国庫から、一部分地方団体にその負担金を持たせるということになるわけですが、その限度、これは災害が非常に起る地区と、災害がいつもない、あるいははなはだしく少い、たとえば、地方費の一割くらいで済むところもあれば、全部やれば地方費の数倍になるところもあるのですが、現在の地方費の何割くらいまでは、この地方費で持たせなければならぬだろうという、ある一定の目安をつくつて三分の二あるいは四分の三という比率をきめたのですか、その辺の事情を承りたいと思います。
  9. 伊藤大三

    伊藤説明員 ここにも書き上げましたように、この標準税率税收見込額というのは、これは実は平衡交付金を算定する基準となる税に平均税率をかけまして、それを基として大体どの程度までというような点からこれを進めて行つたわけでございます。それによりましてその二分の一ぐらいになるときは三分の二までやる。それからそれを越えて税收見込額の二倍までは四分の三、それを越えるものは全額、これは二十三年、二十四年、二十五年についてわれわれの当りました計算によりますと、そういう今までの災害の現状から大体四分の三近くになるというような線を目安にして立ててみたのであります。しかし場合によりましては、それが非常に狂うこともあるかと思いますけれども、国の財政負担地方財政負担を大体そのくらいの線で見たらどうかというところで——逆算したわけではないのですが、まずそういう線を一応の目安といたしまして、こういうふうな計算を出してみたのであります。
  10. 西村英一

    西村(英)委員 この計算で行きますと、全額国庫ということがありますが、二倍以上になれば全額国庫、しかし二倍以上になれば全額国庫を受けられるというふうに、たくさんの災害を受けた箇所でも、全体の幾らになりますか、二十四分の十三、約二分の一以上の地方費を使わない場合には全額国庫にならぬわけです。そういう計算になると私は思う。たとえばそういう計算でもつてつまり一億の税收があるところは五千万円の金を災害復旧費に向ける。それ以上災害に使うようなところでなければ、この全額国庫負担恩典には浴せぬということになると思うのであります。それは結局一番初めの二分の一に対しましては、三分の一使うわけですから、六分の一にしかなりませんが、あとの二分の三に対して四分の一の負担になりますから、結局全額国庫負担を受けようというような災害のところは、その地方財政の二分の一以上を使わなければ全額国庫を受けられぬ、こういうことになるので、実際全額国庫といいましても、これは受けられるところはほとんどないのです。一億の税收のあるところで五千万円以上災害に向けなければ全額国庫恩典にはあずからない。そうしますと二分の一を災害に向けるというようなことは、これこそ、その地方公共団体財政圧迫するもので、全額国庫負担をもう少し低いところで、あるいは三分の一程度以上であつたら全額国庫恩典に浴するようにしないと、全額国庫から見れば今度の負担は重荷になるように思う。ちよつと私の質問がわかりにくいかもしれませんけれども、全額国庫負担を受けられるような制度にはなつているけれども、地方費の半分以上をさく場合でなければ全額国庫負担にならぬ。(「二倍以上だ」と呼ぶ者あり)二倍以上じやない。だから二分の三に対して四分の一の負担になる。たとえば一億の税收のあるところは三千万円、つまり三割くらいを災害に向けるところ、それ以上出さなければならぬようなところは全額国庫にしてもいいのではないか、こういうふうな気がするのです。私の計算が違うかもしれませんが、その辺はどうでしようか。
  11. 伊藤大三

    伊藤説明員 できるだけ地方負担を少くしたいということは、われわれとしても考えなければならぬところでございますけれども、国費としても非常に多端な折柄でありますので、若干これを地方においても負担していただくよりしかたがない、こういう点から考えたわけであります。従来の三年間の実は平均をとりまして、この計算で行きますと、国費地方費関係が大体四分の三程度になるというような点を押えておるわけで、四分の一程度負担はひとつ地方においても苦しい中ながらやつていただきたい、こういう観点から立てたわけでございます。
  12. 西村英一

    西村(英)委員 どうも水かけ論になるようですが、昨二十五年度には、地方財政の非常な窮乏を救うために全額国庫にしたのだ。それに今度はその改正案としてとにかく全額国庫もある程度認めるが、それは公共団体財政の半分以上も使わないと全額国庫はないのだということはあまりにひど過ぎはせぬか。たとえばある小さな町村で、その町村をやつて行くために三百万円の税收があるところがある。それを半額の百五十万円を災害復旧に向けなければ全額国庫恩典には浴せぬ、実際問題として地方の税金の二分の一を災害に向けるということは非常にその町村圧迫になる。これは全額国庫ということをいつてあるだけで、そういうところはあまりない。かりにありましても、それは公共団体がほかの仕事は全部とりやめたというようなことになるのではないか、こういう気が私はいたしておるのであります。  それから、議論は別といたしまして、もう一つお尋ねしたいのは、建設大臣全額国庫負担は二十五年度の一年間限りの暫定措置である、しこうして二十六年度はこれを改正するのだ、その改正理由といたしまして、地方負担を幾分してもらつて工事量が増すからということを改正の一本やりの理由にしておるのです。これは二十五年度の法律の初めにおきましても、一年間全額国庫負担制度をやつてその成績を見てから改正をするのだ、全額国庫負担災害にとりまして非常にいい制度だ、国家補償でまことにけつこうな制度である、災害は突発的に起つて、また非常に多額の金を要するし、その受けましたところの地方にとりましては非常に重大な影響がありますから、全額国庫ということは国家補償として非常にいい制度だ。しかし二十五年度施工いたしました結果、いろいろ全額国庫につきましてはその実績に徴して不都合な点がある。それであるからかくのごとく改正するのだという実績を示さないで、地方負担させればそれだけ工事量が増すのだという理由でこの改正をするということについて、私たちはちよつと納得が行かない。建設大臣の言うととはそれといたしまして、次長さんは実際本年度の全額国庫制度を運用して来られたわけでありますから、いかなる点に全額国庫負担の問題として支障があつたかという点につきまして、運用した実績をお聞きいたしたいと思います。
  13. 伊藤大三

    伊藤説明員 災害復旧費全額負担でもつて行きました場合の不都合は、われわれはまず一年の実績に照らしまして、はにきりした結論をつかんだということを申し上げるわけにも行かないと存じまするが、要するに金額をもつて災害をやるということは、国費の使い方におきまして足らざる経費でこれをまかなうことになりますれば、勢い一般根本的事業という方面における事業が非常に圧迫を受けるという問題が一つございます。それから災害によりますれば、一文も金はいらないというような問題が起ることによりまして実は将来におきまするいろいろな自分責任観念というものが減りはしないか、こういうような点を若干われわれは感得いたしたわけであります。それを実例をもつてはつきりいたせと言われますと、はつきりした御答弁もできないのでありますが、そういう気風を非常に感得いたしたわけであります。問題は今のような財政的の面と、全額で行くということになると、ややもすればその地方団体におけるところの災害に対する考え方が国に依存をし過ぎはしないかという心配がある、こういう二点でございます。
  14. 西村英一

    西村(英)委員 あまり実績らしいものを深く感じていないようでありますが、それでは具体的にお尋ねいたします。今度の制度になりますと、やはり災害査定額というようなものをつくるために中央官庁から出て行つて災害があつた場合に一件ずつちやんと災害査定額をつくるのでございますか。全額国庫というために、ちやんと災害の費用をきめてそれをきちんと査定しなければならぬために査定額をつくる。大勢の方が建設省から出かけて行つて査定する、そうして査定額をつくる。一方ではそれを、全額国庫であるがためになるべく多く見積つてもらおうというようないろいろなことが行われたと思うのでありますが、今度の制度にいたしますと、災害が起りました場合、一件一件についてやはり本省で査定をいたして、査定額というものをちやんときめておくのですか、あるいは別の運用によつてやるのですか、その辺をお聞きしたいと思います。
  15. 伊藤大三

    伊藤説明員 建設省の河川局担当においていたしておりまする災害復旧事業費につきましては、これは県におきまして災害を受けますると、その災害につきまして復旧の設計をつくり、そして写真のとつてあるものは写真を添えて申請する。この問題について私の方から査定官が出て行きまして、できるだけ現地を査定してまわるわけですが、最近のごとく災害が非常に多くなりますると、全部の現地を査定してみることができないという実情はあるのであります。従つて現地の査定と、あわせまして県から出されましたる設計と写真とをにらみ合せてそしてこれを嚴密に査定しておるのでありまして、ただ見積りでやるというわけではございません。これは全額だからやる、三分の二だからやらないというわけはなくて、現在までずつとこの制度を続けてやつて来ておるのでありますが、ただ前に全額という問題がありましたので、気持といたしましては一応さらに嚴格にやつたということは言えますけれども、その間に補助率が落ちるから手かげんを加えるというようなことはいたしておらぬのであります。
  16. 西村英一

    西村(英)委員 私の質問はこれで終ります。
  17. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 地方団体全額国庫負担の場合に責任観念がなくなつて全責任を国に押しつけるような結果になつて来る、これが弊害の一つである、こういうふうに言われましたけれども、これは三分の二あるいは四分の三というようなことになつても同じことが言えるのではないか、私はそう考えるのでありますが、その点はいかがでしようか。
  18. 伊藤大三

    伊藤説明員 私は先ほども西村委員からおしかりを受けたわけですが、その結果をはつきりつかんだとは申し上げませなんだのでありまして、そういう懸念が非常に多いということを申し上げたにすぎないのであります。この点はやはり負担のあるないにおきましては、気分的には若干その違いがある。これは私もその点については言い切れる、こう存ずるわけであります。
  19. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そういたしますと全額国庫負担がよいか、あるいは三分の二国庫負担がよいか、こういつたような議論の根拠となるべき理由としては非常に薄弱になつて来るのではないか。もつとはつきりした根拠があつて、すなわちこの前全額国庫負担制度が行われたときには、災害というものは天然自然の不可抗力の結果起つて来るものであるから、当然所得税を徴收しておる国が全額国庫負担をすべきである、こういうことによつて地方の住民の不安を一掃しなければならぬというような建前でできたのでありまして、それを今度三分の二補助に改めるという場合には、もつとしつかりした根拠がなければならないはずではなかろうか、こういうことを考えるのでありますから、ひとつもつとしつかりした根拠をお願いしたい。
  20. 伊藤大三

    伊藤説明員 かえました一つ理由としまして、そういう問題の懸念というのでは薄弱だ、確かにそういうこともございましよう。なおもう一つは、今のように財政的に考えまして、一般の改良面ということも大いに進めなければならない。こういう面も考え合せて、災害一般の改良との二つのにらみ合せということもあると先ほど申し上げましたが、こういう点も一つの根拠といたしておるわけであります。
  21. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 昨年度あるいはそれ以前の災害に対する国庫の負担金の未交付額を見合せて、本年度の災害復旧費全額国庫負担から一部補助に改めて、そうして計算いたしました場合に、本年度実際はどのくらい地方に交付しなければならないことになつて来るか、その数字をひとつ出していただきたい。すなわち今日まで災害復旧費の未交付額がこれだけある。これに対して本年度たとえば今後改められることを予想される国庫負担率で実施した場合、本年度はこのくらい必要だ、これだけどうしても必要だという計算が数字的に出ると思う。それをひとつ出していただきたい。
  22. 伊藤大三

    伊藤説明員 実はその計算でございますけれども、この法規がもし認められますれば、これに基きまして税收入額を町村別並びに府県別に調べて、それによつて計算を出すということになりますので、今ここで全体の各県別には数字を申し上げることは、ちよつとむずかしいと思います。ただ先ほど申し上げたように、大体の傾向としましては、四分の三に近いものが今までの三年間のものに当つております。それに近いものが大体出るんじやないかと思つております。
  23. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 各県別でなくともけつこうです。たとえば過年度災害の未交付額が一千億であるという場合に、しからばそれの四分の三を交付するということになりますと、七百五十億交付しなければならないということになりますが、そういう全国的な計算はできておりませんか。
  24. 伊藤大三

    伊藤説明員 全体のものはわかりませんが、河川局関係で一応の概算として私らが当つてみましたのによりますと、一千億近い金がありまして、これが先ほどの概算に当ります二百五十億程度地方負担になるかと思うわけであります。詳しいこまかい数字になりますれば、一県々々当つて見ないと精細な数字は出せません。
  25. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 こまかい質問を若干しておきます。一箇所の工事費用が十五万円未満のものは、これまでも全額国庫負担の対象から除かれたわけであります。そういう場合に、たとえば道路などの場合は、十五万円未満の災害が非常に多いのでありまして一昨年までの従来の三分の二災害補助の方がむしろ道路の場合などはよかつた。こういう議論が地方から出ていたのでありますが、ところがそういう地方の昔の法律の方がいいという輿論に便乘して、政府の方では今度は三分の二に改めて、一箇所の工事の費用の負担額をやはり十五万円未満というところに線を引いてしまつた。これは一昨年以前のやり方よりも惡くなるというふうに考えられますけれども、この点どうですか。
  26. 伊藤大三

    伊藤説明員 従来の一箇所の工事費十五万円未満とそのままにして、三分の二にひつかけて、しかも三分の二でやるんだというのがけしからぬというお話であります。実は一箇所の工事の問題につきましては、いろいろと議論もいたしました。できればこれを県は十五万円、市町村は十万円程度というふうに、いろいろの話もいたしたわけでありますが、国費の点やいろいろな点から考え、なおスライドするというような点も考えまして、実はこの点におちついたのでございます。
  27. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 どうも答弁になつておりませんが、これ以上はやめます。この場合政府に要求したい。たとえば気象台に質問をする場合に、きようはなぜ雨が降つたか、これは雨が降るような雲が日本の上空に来たからだ。こういう答弁では実は答弁になつておらぬのでありまして、もつとつつ込んだ、しかも事実に即した答弁をされるようお願いしておきます。
  28. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私、あまり申したくないが、この法律は、事業量を増すということを大臣が常に口ぐせのように言つておられるが、先ほど池田委員から言われたけれども、ことしの河川の災害復旧府県の補助額が百五十六億、これで平均大体四分の三になりはせぬかと言われるのですが、一体どのくらい事業量がふえるか計算ができておると思うが、それを教えていただきたい——わからなかつたらもう一ぺん言います。予算は大体これできまると思います。大体百五十七億になつておりますけれども、この案で行つたら、ことしの災害復旧事業量がどのくらいになるかという計算ができておると思います。事業量をふやすために改正すると言われるから、そこが私は根本だと思いますから、どのくらい事業量が去年に比べてふえるか、その点を伺いたい。
  29. 伊藤大三

    伊藤説明員 予算書に組みましたのは大体三分の二を基準といたしまして一応算定された数字でございます。従つて今後この規定が通りますることによりまして、補助率がかわりますれば、当然その予算の問題については、別個にもう一度考え直していただくよりしかたがないと思います。これは三分の二ということを前提としてきまりましたので、四分の三になりますれば、そのままの金でありましては、かえつて事業量は減るのであります。従つてその予算の根本がそういう三分の二ということでありましたら、われわれとしては四分の三となりますれば、災害費の全体につきまして何らかの手段をとつていただくよりしかたがない、こう存じております。
  30. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今の御答弁は非常におかしいと思うのです。大体四百億で、八十億を予備費にとる。去年よりは少くなつたのだけれども、全額国庫負担法律をかえつて、それで事業量は昨年より多いのだというのが、この予算の根本の主張であります。それで大体私の計算では二百六億、去年が二百三十五億、それより事業量がふえたふえたというのは私はけしからぬと思う。せつかくこの案をつくられるのだから、どういう気持でこの予算とこの法律をつくられるのか。それから四百億に減らしておるけれども、それによつて昨年よりか事業量は相当にふえるというのが、本日までたびたびの政府側の主張だつた。そこの点がどうも私納得行かないので、せつかくこの案をつくられ、しかも先ほどから聞いておりますと、その理由事業量をふやすのだ、そういうことでありますので、今その計算ができていると言われます、日本全国の補助による災害復旧工事が、この案ではどんな気持でできる計算になつておるか。それは私は多分計算してこの案をつくつておられると思います。そこをこの際ひとつはつきりしておいていただきたい。
  31. 伊藤大三

    伊藤説明員 この予算のできますときにおきましての負担の問題につきましては、この補助規定が決定いたしておりませんでしたので、とりあえず従来の三分の二というもので組まれておるわけであります。従つて四分の三になりますれば、その点で各省の間の事業量にも相違を来して来る。従つてこれに対しますては、予算書の問題については若干の考慮を拂つていただくということになるものと私どもは推察しておるわけであります。
  32. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 これ以上はあなたに申し上げませんが、その点はよく大臣にひとつ伝えておいていただきたいのであります。  それから、これは現在、案でありますので、どうかわるかわからないと言われたのでありますが、三に河川その他の対象が書いてあります。ただ一言農業関係の農業土木については、どういうふうな方針で現在やつておられるか。それを一言だけ聞いておきます。
  33. 伊藤大三

    伊藤説明員 この中に農業関係、林野関係の荒廃林地復旧の施設の災害復旧費というものが入るかというようなお尋ねでございます。これは今まとまりかけておりますが、そのほかの農業関係災害復旧につきましては、別個に農業災害の暫定法がございまして、その法規によつて進んで行くことになつておるようでございます。
  34. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私の質問は終りました。
  35. 淺利三朗

    淺利委員 ちよつと今のに関連してお伺いしたいのですが、第一は、農業関係は別個に考えるということですが、農業の関係も大体これと同じような標準補助率をきめるわけですか、その方は別個なんですか。政府としてはそこはまだまとまつておりませんか。
  36. 伊藤大三

    伊藤説明員 農業災害の方につきましては、大体従来の暫定法による率で、そのまま進んで行くことと存じます。農林省の方におきましては、そういう意向のようであります。
  37. 淺利三朗

    淺利委員 この災害補助率の問題は、先刻私も率については十分検討の余地があると申したのですが、これについてひとつ資料を提出していただきたいと思います。と申しすのは、過去におけるカザリン台風以来の災害が各府県別にわかつておるはずであります。そうすればこの補助額を実地に当てはめてみたならば、各府県はどういうふうになるか。そうして従来の率とどういう差等が起るかというようなことのわかる表を出していただいて、それによつてこれが実際的に適切であるかどうかということを検討してみたいと思うのであります。  それからもう一つは、たとえば二十三年度の際において、五一%の工事は済んでおりますが、そのうちある年度は三分の二の補助であり、ある年度は全額補助であつた。そうしてその残額に対して、今度補助をやる場合に、過去に三分の二なりあるいは全額をやつたものを通計して、今度の基準に当てはめてその不足分をやる、こういう方法をとられるのであるかどうか、そういう点についても、もし今おわかりならば、一応の御意見を伺つておきたいと思います。
  38. 伊藤大三

    伊藤説明員 過去のものにつきましては、一応過去の総額と二十五年度の今の税收見込額とを比較対象いたしまして、この四の国庫負担率の方法計算いたしまして出た比率を、ただ残額についてのみ適用して行く。前に出たものをいろいろ計算はいたさないというつもりでございます。
  39. 淺利三朗

    淺利委員 いずれ資料を頂戴してから十分再検討いたします。
  40. 内海安吉

    内海委員長代理 どうもこの問題についての委員諸君の質問に対して十分な具体的な御答弁がないようでありまして、はなはだ遺憾に存じますが、この問題はあらためて予算委員会等においてやられることも適当ではないかと思いますが、どうでしようか。これはやはりきわめておく必要はあると存じます。
  41. 淺利三朗

    淺利委員 予算委員会は予算委員会の立場でいつも検討しましようが、しかし災害補助の問題は、主として建設常任委員の重大なる関心があるのでありますから、場合によつては合同審議も必要でありましようが、本委員会としてはまた独自にこれを検討する必要がありはせぬかと思います。それで私どもも、ただいま要求いたしました資料でも頂戴して、さらに検討したいと思います。本日はただここで初めてこの案を拝見したわけでありまして、詳しいことは今ここで十分に検討できませんから、この次の機会において再検討するように願いたいと思います。
  42. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 関連質問ですが、大体災害復旧費は三年間で全額補助することになつておりますが、昨年度の場合、全額国庫負担であるにもかかわらず、三分の一あるいは二割五分程度補助しかやつていないのであります。そうなりますと、当然この三分の一ないし二割五分程度を昨年は全額国庫負担すべきであつたのを、負担しなかつたのでありますから、その分は今年度改正されることを予想される法律によることなく、全額国庫負担という建前でやるべきだと思うのですが、そういう点はどういうふうになつておりますか。
  43. 伊藤大三

    伊藤説明員 暫定法は二十五年度において交付する補助金について規定しております。二十五年度に発生した災害に、全部いつまでも適用する、こういう気持ではなかつたように思います。
  44. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 ですから、たとえば昨年度の災害の総事業量に対しまして、三分の一は当然国庫が負担しなければならないという建前になつておるにもかかわらず、一割二、三分しか負担しておらないのだから、残りの一割七、八分というものは当然本年度に持ち越して、全額国庫負担の建前で交付すべきではなかろうか、こういう考えです。
  45. 伊藤大三

    伊藤説明員 できるだけ單年度でやりたい、さらにできれば二年、少くとも三年くらいでやりたい、こういうことは考えておるのでありますけれども、全体の国費が非常に少いものですから、これが計画通りにできなかつたために、やむを得ず二割とか一割というような適用しか受けなかつた。これはどうも計画だけで、はつきりした約束をしたというわけでもないので、予算の範囲内で出したということを御了承願いたいと思います。
  46. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そうなりますと、大体予想される法律案では、四分の三の国庫補助にはなるけれども、しかし実際に国家財政上やむを得ないから、二分の一ないし三分の一、あるいは四分の一の国庫補助だというような結果にもなることはあり得るわけですね。今度それはいかがでしようか。
  47. 伊藤大三

    伊藤説明員 施工する事業に対しまして出して行くわけでありまして、認証以外の工事まで補助の対象とせないのでありますから、そういう問題は起らない、こう思うのであります。
  48. 内海安吉

    内海委員長代理 どうも瀬戸山君、淺利君、西村君、池田君、四委員の質問はほとんど共通点があるようですが、これに対する答弁は、委員長自身においてもはなはだ了解に苦しむ点があります。そこで次回の委員会において明快なる答弁のできるような準備をして臨んでいただきたい。それから淺利委員よりの要求に対しては、その資料の提出を要求したいのであります。
  49. 淺利三朗

    淺利委員 同時に事業量はどうなるかも調べてください。
  50. 内海安吉

    内海委員代理 その資料を全部提出してください。     —————————————
  51. 内海安吉

    内海委員長代理 災害復旧に関しましては大体この程度といたしますが、住宅金融公庫の問題につきましてどなたか御質疑がありましたならば続行したいと思います。
  52. 淺利三朗

    淺利委員 この一番初めの「第二條中「人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分」を「延面積の三分の二以上を人の居住の用に供する家屋」」、こういうふうに三分の二といたしておるようですが、こうなつて来ると、元来住宅本位という点からいえばそうも考えられましようが、そのために非常に狭い店舗しかできないとか、あるいは簡單な事務所しかできないということになると思うのであります。特にこれに三分の二という標準を置いたのはどういうためでありましようか。かえつて従来より改惡になるおそれはないのでしよか。
  53. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 住宅資金の供給ということを金融公庫は目的としておりますから、住宅資金の供給については、改惡になることはなかろうと思います。これを三分の二でなく、二分の一とかいうふうにしまして店舗の分がだんだん多くなると、その方に流れる分が多くなりまして、住宅の方が減つて参りますから、住宅の資金ということを考えますと、なるべくこれは住宅の分の多い方がいいのであります。ただ先ほども申し上げましたように、アパートなどで、ある程度店舗をつけたものに、店舗の分も金を貸すということになりますと、住宅それ自体が非常に建てやすくなるということから住宅の供給量がふえるという効果がありますので、主としてこれはアパートなどを中心に考えまして、三分の一——一階が店舗あるいは二階、三階、四階が住宅というような、そういうものを中心に考えたわけであります。
  54. 淺利三朗

    淺利委員 一応ごもつともでありますが、住宅資金の対象は住宅であるから、それ以上に店舗なり何かは別個の方面で——これは商売でもやるということになれば償還能力もあるわけですから、他の方法をとつて金を借りるという場合には、何も住宅に対して半分くらいの程度しか認めないということにしないでも、もう少し幅を持たせる。住宅の分の資金はもともと一定のわくがあり、限度がありますから、そう店舗なり事務所というものを三分の一に限るというように狭くしなくてもいいのではないか、こういうふうに考えるのですが、特にそれを住宅以外は住宅の半分に該当する程度しか認めないのだということにする理由がよくわからぬのです。
  55. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 ちよつと私の説明が足らなかつたかもしれませんが、かりに半分店になつてつて、半分は住宅だ、こういう建物がありますと、これはその半分の住宅分については貸すことができるのです。これは人の居住の用に供する家屋の部分というのでありまして、店舗と住宅とそういうような割合で併用されておるものは、住宅の分については貸すことができる。ただもう一歩広げて店がごくわずかだという場合には、全体について貸そうというふうに広げたので、御質問のようなことはないのじやないかと思います。
  56. 淺利三朗

    淺利委員 それはわかりました。この場合は住宅及び住宅についた店舗その他も貸付の対象に見るというのですか。
  57. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 そうです。
  58. 逢澤寛

    ○逢澤委員 住宅の復旧をできるだけ簡易化するというのが改正の目的のように承つたのですが、最近建築資材などというものは非常な勢いで暴騰しつつあるのです。それを相当考えておられるかどうか。それを考えずに他の方面だけ考えておつても、坪当りの価格というものが非常に暴騰しておる際に、他の部分だけ率を若干あるいは頭金だけを考えておつたのでは、その方で停滯するおそれがありはしないかということを憂慮するのです。ただこの場合貸付対象としては、坪当りの価格を木造が二万一千円、あるいは簡易耐火構造のものが二万八千円とか、耐火構造のものが三万六千円を標準として貸し付けるということになつておるのですが、それに何とか手を入れるという考え方がありますかありませんか。あるいは手を入れるとすれば、どういうような時期にやりたいというような考えがあるということをお尋ねしたいと思います。
  59. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 建篠工事費がだんだん上つて参ります。それでこの価格は建設省令できめるようになつております。昨年の暮れにこの單価を当初のものから一割六分全面的に上げまして、それが今そこへ書いてある数字であります。これは全国の平均でございますから、地方によつて差がありますが、そういう数字で現在取扱つております。しかし現状あるいは行先きもう少し上るんじやないかという見通しでありますが、先のことでちよつとわかりませんので、適当な時期に、その單価でやることが無理になれば、その際に上げたいと思つております。これは法律でなく、建設省令でございますから、そういうふうにいたしたいと思います。
  60. 淺利三朗

    淺利委員 ちよつと希望を申し上げておきます。これには火災保險料は一々火災保險に付さないで、保險料として納付すればいいという簡便法をとられたことは、非常にけつこうなことであります。同時に現在の貸付契約をする場合において、公正証書を一々つくらねばならぬということになつておりますが、そうすれば自然いろいろ手数もかさみ、また公正証書をつくるのに煩瑣な手続を要する。建物が担保に供されておつて、銀行との間に相当調査もして貸すのですが、それを一々公正証書をとりかわさねばならぬというだけの必要があるかないか。そういうかたいやり方もけつこうですけれども、手続として非常に煩瑣のように思うがそういうことも火災保險を簡便化したと同じように、公正証書でなくとも、建物が担保になつており、その契約が民法上効力があると思うのですが、その点はどういうふうに改正になる気持がありますか。
  61. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 公正証書をとる必要があるのは、抵当権の設定の関係であります。抵当権の設定は、この金の貸付は対人信用じやありませんので、そう個人の財産などは調べずに、財産のない人でも貸すようになつておるから、どうしても建物の抵当権ということが大事になつて来ます。その関係で公正契約の必要があるだろうと思います。なお研究いたしてみたいと思いますが、これは法律でできておるわけでありません。運用の方で研究したいと思います。
  62. 玉井祐吉

    ○玉井委員 ちよつとお伺いしたいが、先ほど第二條中の改正のところで、アパートなどをおもに目標にしたように言われましたが、あれは下の方を店舗にして、上を住宅という形でのお話でしたが、普通の中小商人の人たちが、店舗と住宅と一緒に建てるという場合には、適用になりますか、なりませんか。
  63. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 これでは別にアパートとは限つておりませんから、適用があるわけであります。但し、木造の小さな家を店と住宅にわけて考える場合に、途中で店を広げてみたりいろいろやりまして、アパートなんかの場合のように、はつきりしたつかみどころがない。そういう点もありますし、また小さな店舗などを全面的に貸し付けるということになりますと、マーケツトのようなものとか、相当短期間に資金の回收ができるようなものまで貸付の対象にいたしますと、一般の住宅のほんとうに資金がどこからも得られないような方を相当圧迫することになりますので、これは実際の申込み状況などもにらみ合せて、運用の方で考えねばならぬと思います。法律の上におきましては、できることになつております。
  64. 玉井祐吉

    ○玉井委員 そうしますと、この第二條の改正範囲内でやつて行く、それから今度木造などで、ごく簡易な建築物でなくて、相当にしつかりした——たとえば耐火をやるとか、コンクリートでやる場合とかは、一応承認になるものと認めていいわけでありますか。運用の面とおつしやるが、その認定の標準というのがわからないと非常に困難を来すのではないかと思いますが、この点について……。
  65. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 一般の木造の店舗あたりを、どういうように取扱うかということは、なお運用の面でよく研究したいと思つております。今私の考えを大体申し上げましたけれども、これは確定的なものでありませんので、よく研究してみたいと思います。
  66. 玉井祐吉

    ○玉井委員 一つ要望をしておきます。どうかそういう点につきましても、住宅の面に対する貸付金を流用するというようなことのない範囲においては、できる限りそういう方法をとつていただけば、非常に今後都合がいいのではないかと思いますので、一応要望として申し上げておきます。
  67. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 大体、住宅金融公庫法の一部を改正しなければならないという差追つた理由は、どういうところにあるのでありますか。
  68. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 借手の負担関係、頭金とか月々の月賦金の関係、これが当初から少し一般庶民階層には重過ぎるんじやないかということがありましてそれではできるだけ将来の問題として研究しようということで、私ども申し上げておつたのであります。その点と、特に最近物価の値上りで、そのままの率で行きましても、頭金はふえるし、月賦金もふえるということになりますから、特に物価の値上りによつてこの比率はますます強くなつていると思います。この点が一番差追つた問題だと思つております。そのほか、火災保險とかいろいろな問題もあります。
  69. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 一般庶民というものの範囲は、大体どういうところに目安を置いておるのでありますか。
  70. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 これは金融公庫法を最初に提出しましたときにもよく説明申し上げましたが、一般庶民と申しますか、低額所得者のうちでも、頭金で数万円の金を負担するということは、だれでもできるわけではな、そういう階層の人は公共專業でやつております。公営の庶民住宅の方に申込みを願う。若干余裕のあるクラスと申しますか、そういう人たちはこの公庫を利用していただく、こういう考えでございまして、はつきり数字でもつてどのくらいの財産、どのくらいの月收というようなところまでは、一応の考えはありますけれども、はつきりしたことは申し上げにくいと思います。
  71. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 頭金の十万円内外を都合でき得る階級と、十万円の金も都合できない、五万円の金も都合できない人たちと比較いたしまして、どちらが多いか、どちらの暦が住宅に対して切実な要求を持つておるか、こういうようなことはお考えになられたと思いますけれども、どういうことになつておりましよう。
  72. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 五万円というようなこともおつしやいましたが、これはなかなか調査がむずかしいのでございます。大体の考え方からいつて、むしろ五万円でも負担ができないという人の方が多いのじやないかと思います。それで結局は庶民住宅と金融公庫と両建で行つておるわけでありますが、庶民住宅の方をもつとふやさねばならぬじやないか、こういう考えを私ども持つておりますけれども、これは予算の関係で一方は補助金とか公共事業費のわくというようなことがありますので、結局は国の財政地方財政ということになるわけなんです。そうきちつと理論通りの割合にはすぐには行かぬと思います。だんだんこれは是正して行く必要があると思いますけれども、二十六年度の予算だけ、ごらんになつても、必ずしもそういう比率にはなつていないと思います。それからなお庶民住宅の方は、きよう申し上げるのではありませんけれども、二十六年度は特に一般の庶民住宅よりももつと安い家賃の住宅を若干供給するようにしたいと思つておるわけであります。
  73. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 公庫から金を借りて木造で住宅を建てようというものと、耐火建築で建てようというものとでは、大体耐火建築で建てようというものの方が金がある部類に属するのではないか、こういうことも考えられますが。この点はいかがでありましようか。
  74. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 個人の住宅の場合には、むろん耐火建築の方が工費が高いわけですから、それはそれだけ負担力のある人ということになると思います。ただこの公庫法でいつておりますのは、賃貸の貸家に対して融資する場合、それは、貸家と申しますと耐火構造のアパートを主として対象にしておるわけですが、その場合には、そのアパートに住まう人は必ずしも金持が入るというわけではないと思います。耐火構造のものは金のある人、木造の方は貧乏人、こういうわけではないと思つております。
  75. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 それで本年度の予算との関係でありますが、大体木造にして何坪ぐらい建つ計算になりましようか。何かあなたたちの見通しとして現在の住宅難をこの程度緩和できるのではないかという計算があると思うのですが、そのパーセンテージの数字がございましたら、ちよつと教えていただきたいと思います。
  76. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 二十五年は大体四十万戸程度できております。二十六年も大体四十万戸くらいのものではないかと想像しております。
  77. 内海安吉

    内海委員長代理 ほかに御質問ございませんか。——それでは災害復旧及び住宅金融公庫法に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  78. 内海安吉

    内海委員長代理 次に日程によりまして請願の審査に入ります。紹介議員の出席の都合によりまして日程を適宜委員長において変更いたしますので、あらかじめ御了承を願います。  日程第一六、磐井橋架設等に伴う低下敷地引揚工事費国庫補助請願淺利三朗君外三名紹介、文書表第一三一号を議題といたします。紹介議員の説明を願います。
  79. 淺利三朗

    淺利委員 本請願は、私のほかに小澤佐重喜、高田弥市、志賀健次郎の三氏の紹介であります。この問題は、先刻土木災害復旧事業費国庫負担割当制度の問題の際に、一応その趣旨を例としてあげておきましたから、委員の方もすでに御承知のことと思うのであります。  要旨は、岩手県一関市を通過する国道四号線は、磐井川堤防の築成と磐井橋の架橋により、路面が著しく高くなるに反して、この改修に伴つて国道両側の店舗及び住宅は旧地盤のまま取残されて、路面より著しく沈下の状態となり、店舗はもとより、住宅としても使用にたえない。よつてこれを改造するのやむなき状態に至つたのであるが、その経費は莫大なもので、とうてい地域住民の自己資金をもつてしては負担し得ないから、この犠牲的地域の改造に対して国家補償の道を講ぜられたいというのであります。  先ほども申し上げました通り、この磐井川の堤防かさ上げいたしました関係で、旧来の道路従つてこれに接続する関係上十三尺も高められたのであります。ところがそのとりつけが橋の延長であるがために、この両岸の店舗は橋の下に沈下するという現状になつたのであります。それはこの両岸において一関市地主町側は百十二メートル、鍛冶町側は百十五メートルの区間が橋に向つてやや高く、その両側は地下に沈没したような状況になつたのであります。これらの地方は従来最も繁華なる地域であつて、かつては、そのうちのある店のごときは明治天皇が行幸の際におとまりになつたという旧跡さえ保存されているような地域で、町の最も中心地であつたのであります。ところが今回の橋の改造に伴つて家屋のすぐ前が橋になつてそうして自分の家は営業ができない、こういう現状にあるわけでありまして、これはむしろ橋梁をとりつける際において、附帶工事としてこれをしてくださつたならば、当然この犠牲が免れたのでありますが、そのこともなくして放任されたのであります。しかもこの工事のために路面まで家屋を高く揚げるとするならば、下に土盛りをするか、あるいはまた橋と同じようにコンクリートの柱をもつて上に揚げるというようなことをいたしますれば、総額において一千数百万円を要する見込みであります。これは各住民は過去二回にわたる大惨害を受けてほとんど家財も失い、放浪の状態になつてしかも橋の工事のために今日までほとんど営業もできない。商業をもつて生活を営んでおる者がこの工事中ずつと何事もできない。しかもこの工事ができた後も永久に業を営むことができないという現状に取残されておるのであります。国としてこれを見てくれることもなく、また地方公共団体といたしましても災害府県の悲しさでこれを負担する余力もない。もしこのままに放任されたならば、この地域の住民はほとんど生活の根拠を奪われるのであります。そういう事情でありましてかつて水害をこうむつた上に、今度は政府当局の設計で——これは国道でありますが、県が実施したのでありますけれども、建設省の認定を受けてやつた工事でありまして、いわばこれは人間によつてかもされたる災害、いわゆる人災であります。この人災をこのままほつておくということは、道義の上から考えましても、また各人の生活を脅かし、財産権侵害するという点から見ても、これは放任すべからざる問題と思うのであります。現在の法規の上において、何とかこれを救済する方法はないか。もしなければただちに立法的措置を講じて、かくのごときことのないようにしていただきたいというのがこの請願の要旨であります。この請願人は四十名もあります。この四十戸の将来の生計及び生活の根拠に関するものであります。真剣に御考究くださいまして、ぜひ本委員会においてこれを取上げていただき、そうして、いかにして救済すべきかということの解決をいたしていただきたい。またこれによつて政府当局にも委員会の意向を強く推進していただきたいというのが本請願の要旨であります。何とぞ各位におかせられましても、この実情を御検討いただきまして——これはひとり一関に限らぬのであります。過去の例を見ますると、どこか四国方面においてもこれらの例があり、法規上の救済の道がないということで、見舞金か何かでこれを妥結したという話を聞いております。こういう問題は見舞金その他によつて解決すべきものではなく、国の事業の結果その地方の人に甚大なる犠牲を與えた場合は、国家的に当然考慮すべきものであると考えるのであります。どうぞ当委員会においてこの請願を御採択あらんことを切にお願いする次第であります。
  80. 内海安吉

    内海委員長代理 本請願に対する当局の御意見があれば、この際伺います。
  81. 伊藤大三

    伊藤説明員 ただいま淺利委員からのお話の問題につきましては、従来においては法規上いかんともしがたく、そういう問題が多々あつたことと思います。実際の場合におきましては話合いをいろいろいたしたこともありますが、根本的の問題といたしまして、早急に法規の問題としてひとつ考えてみたいと存じております。
  82. 内海安吉

    内海委員長代理 他に御意見がなければ、次の日程に入ります。日程二、阿武隈川下流改修工事促進に関する請願庄司一郎君外五名紹介、文書表第九〇号及び日程五、丸森町地内中小河川改良工事施行に関する請願庄司一郎紹介、文書表第九三号を一束して議題といたします。紹介議員庄司一郎君。
  83. 庄司一郎

    庄司一郎君 私が紹介議員となつておりまする二つの請願のうち、ただいま委員長のお示しをいただいた最初の請願の趣旨は、直轄河川でございまする阿武隈川下流改修工事、この改修をすみやかなる年度内に御完成を願いたいという結論でございます。御承知のごとく、阿武隈川が直轄河川に御指定を受けて施工されましたのは昭和十一年と記憶しておりますが、当時の内務省の計画では、昭和二十三年度に十箇年計画をもつてもろもろの工事を完了さるる御計画であつたと思います。不肖拙著阿武隈川改修という本がございますが、そのように書いておつたと記憶いたしております。しかるにその後戰争のために多くの国費が戰争関係に流入をして、河川改修のような国土計画の方面は減らされた悲しい事実があるのであります。ひとり阿武隈のみならず、他の直轄河川も同様なる運命に遭遇したと思いますが、昭和二十六年を迎えた今日、阿武隈川の全工程の進捗ぶりは約三分の一程度で、まだ二分の一にも達しておらぬ状況にあるのであります。従いまして昨年八月三、四日の水害等においても、阿武隈川の下流関係町村が三十二箇町村ございますが、その災害をこうむることまことにはなはだしかつたのであります。せつかくでき上つた橋なども再び流失決壊のうき目を見たような次第であります。どうかこの阿武隈川の全工事をでき得るだけすみやかなる年度内に、もしお願いができ得るならば向う両三年度ぐらいの間に、何とかひとつ国家財政の御都合を願いまして完成をしていただきたいというのが切なる請願者からのお願いであると思うのであります。おとといの日曜日にも阿武隈川関係の会合がありまして、関係町村より数百名集まりまして、また仙台の方からも係の課長さんがおいでになられまして、なるべくすみやかに善処する旨のお言葉もありました。どうかよろしく御配慮をお願い申し上げたい。なお建設委員会においては、かような切実な関係町村長らの請願は、御採択の上しかるべく政府に御送付あらんことをお願いいたしたいのであります。
  84. 内海安吉

    内海委員長代理 当局の意見を徴します。
  85. 伊藤大三

    伊藤説明員 阿武隈川のみならず、あらゆる河川につきましては、でき得るだけ早急にこれの改修工事を完成いたしたいと常に努力はいたしておりますけれども、何分国家財政の都合からいたしまして、多額の金がないものですからつい遅れまして、まことに遺憾に存じておる次第であります。しかし国家財政の許す限りにおきましては、でき得るだけ早急にこの問題についても大いに努力いたして参りたい、こう存じておる次第であります。
  86. 庄司一郎

    庄司一郎君 第二の紹介請願の趣旨を簡單に申し上げます。ただいまお願い申し上げた阿武隈川の支流でございますが、宮城県伊具郡丸森町大字新橋という場所が中心でございます。これは国道第十号線の、福島県相馬郡中村に達する省営バスが運行しておる道路でありますが、その道路の中にこの支流の内川というのがあるのであります。伊具郡筆甫村というところから流れて参りまして、その流程はきわめて短い約八里ぐらいの支流でございますが、丸森町地内に入りましてこの内川は非常な暴虎馮河のあばれ川となります。年々の増水、水害のたびごとに、必ずこの省営バスの運行が新橋という地域において停止されて、交通不能に陷のでありるます。さような場所でありまするから、丸森町及び筆甫村の地域内において、あるいは隣接の金山町、これらの水田等もえらい冠水地帶となるのでございます。何とかこの内川という川を中小河川に御編入を願つてひとつ施工をいただきたい、かようなことに過般宮城県の県議会も満場一致をもつて決議と相なりまして、県議会決議の上県議会議長と宮城県知事の名において御当局の方にも請願陳情されておるのであります。  この内川の所在地の丸森町は、紹介議員不肖私の生れ故郷でございます。なお昭和二十三年にはこの内川を御調査をいただくために、特にこの請願が通りました結果、建設省は八万五千円の内川の調査費を計上くださいましたことは御承知の通りであります。二十四年度の予算に八万五千円の調査費を計上願つて丸森町はささやかなところの調査事務所をバラツクで建設して係の調査員等にサービスしたような関係もございます。中小河川の御編入をいただけませんならば、なかなかこの内川の改修は困難であります。一時は阿武隈川改修の予算のうちから若干わけて施工していただきたいということで、ここ両三年陳情請願いたしましたが、かんじんの阿武隈川の河川改修費が少いので、内川までは手が及ばぬ、資金関係の方について阿武隈川改修事務所においてもそういうような御意見であつたのであります。ここに余儀なく、この内川一帶の地方民の救われる道は中小河川として改修を願うよりほかはありませんので、宮城県の県会議員五十一名が政党政派のけじめなく、満場一致でもつて決議した上、請願をいたしておる次第でございます。なお地元負担等は間違いなく腹をきめておるような次第でございまして、過般宮城県の佐々木知事が政務次官あるいは次官の各方面に、知事みずから陳情して歩いたということも聞いておるのでございます。宮城県は、昭和二十六年度において新しく中小河川に御編入を願つておる河川は、この内川ただ一本であります。掛引もうそもありません。ただ一本だけ御編入を願いたいという意味において、この内川一本だけを県議会決議の上お願い申し上げておるのであります。ことに北上川総開発という北の方にはいろいろな施策がありますが、仙台を中心に宮城県の県南方面においては、これぞという仕事もございませんので、この内川をぜひ解採択をいただいて、同時に政府におかれては御同情をもつてこの内川を——宮城県はただこの内川オンリーワンである。この一本の内川を、中小河川に御編入くださることができるように、切に懇願する次第でございます。
  87. 内海安吉

    内海委員長代理 本請願に対し当局の御意見があれば承ります。
  88. 川村滿雄

    ○川村説明員 内川はちようど丸森町のところに流れて来るのでありまして丸森町というのは阿武隈川下流の最上流部にございます。二十五年度から改修工事を直轄の方は進行中でございまして、その内側にあります内川の方がただいま問題になりました河川でございます。この河川の改修の必要につきましては、十分考えておりますので、できるだけただいまの御意見を政府としては考えて行くつもりでございますから、御了承願いたいと存じます。
  89. 庄司一郎

    庄司一郎君 まことに御丁重なありがたい政府の御意見を承つてありがとうございます。  丸森町は不省庄司一郎の生れ故郷でございましてそこの小学校で学び、そこの川で私は泳ぎました。国会議員となつてここに十五年、自分の生れ故郷、ふるさとのこの小さな川さえも改修ができませんならば、私は無能国会議員となり終るのであります。あまり感情的なことを申し上げたようですが、どうか御同情を賜わりまして、宮城県ただ一本の請願でございますこの河川が、幸いにも二十六年度において中小河川の中に入り得るよう、切に繰り言ながらお願い申し上げ、かつ建設委員各位にもともととお願い申し上げます。御礼かたがたごあいさつ申し上げます。
  90. 内海安吉

    内海委員長代理 この際お諮りいたします。  日程第一六、磐井橋架設等に伴う低下敷地引揚工事費国庫補助請願淺利三朗外三名紹介、文書表第一三一号に対し、建設省道路局建設課長富樫君より意見を求められております。これを許します。富樫君。
  91. 富樫凱一

    ○富樫説明員 磐井橋は治水の方の事業で行われた箇所でございます。川の附帶工事として行われたのであります。従いましてこの問題につきましては、治水の方でお考え願わなければならぬと思います。
  92. 淺利三朗

    淺利委員 御所管はそういうことになつておりますが、この問題については、先刻伊藤次長から十分考慮するということであります。しかしかくのごとき例は災害のために起る場合でなくても、道路といたしましても、鉄道と立体交叉するという場合にも起り得る問題であります。もちろん鉄道線路の附近に市街地がある例は少いでありましようが、都会地等においては、相当そういう例もあります。立体交叉をするとなれば、やはり相当の距離まで道路を高くしなければならぬ。そうすればその街路の両則にも同一の問題が起つて来ると思います。でありまするから、この問題は現在の問題としては治水関係の問題であります。この場合に対処すべき方法というのは、やはり将来の道路建設の上にもその事例が起つて来るのであります。道路局においても、この問題をこの際同時に取上げて愼重な、また実際政治に適するような処置をとつていただくよう熱望してやまぬのであります。なお政府当局においてこれを立法化して、かくのごとき民衆の犠牲を除去する方法を早急にとらぬという場合においては、当建設委員会において、国会の立法としてもこの問題を解決していただきたいということをあわせお願いいたしまして私の請願に対する紹介意見はこれをもつて終ります。
  93. 内海安吉

    内海委員長代理 日程第二四、砂押川改修工事促進並びに予算増額請願、私外一名紹介、文書表第一九二号議題といたします。紹介議員代理宇田恒君。
  94. 宇田恒

    ○宇田委員 本請願の要旨は、宮城県宮城郡多賀城村砂押川流域は、年に数度にわたる災害をこうむり、大なる被害を受けている実状にかんがみ、政府は、中小河川に指定し、昭和二十五年度により着工、目下鋭意工事中であるが、この工事が上流まで貫通しない間は、中間地は上流の流水が順調になつたので滯水量が増加し、耕地、人家の被害は、はなはだしく、本年は八月の災害のため、耕地の大部分は冠水し、收穫皆無の状態なつたのであります。ついては、昭和二十六年度においては上流砂押、勿来両川の合流点まで貫通させるとともに、予算を増額されたいというのであります。
  95. 内海安吉

    内海委員長代理 当局の御意言を伺います。
  96. 伊藤大三

    伊藤説明員 砂押川の改修は昨年度から始まつたものでありますが、その早急な改修の必要につきましては、われわれも十分承知いたしておるのであります。従つて現在の予算ははなはだ僅少でありますけれども、できるだけこの問題についても考慮して参りたいと存じております。
  97. 内海安吉

    内海委員長代理 他に御質疑なり御意見なりありませんか。——お諮りいたします。日程第二、第五、第一六及び第二四の請願に関しましては採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 内海安吉

    内海委員長代理 御異議なければ、さように決します。  お諮りいたします。本日議決を終了いたしました請願に関する報告書の作成及び提出手続等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 内海安吉

    内海委員長代理 御異議なしと認めまして、さようにとりはからいます。残余の請願はこれを延期いたします。  次会は来る二十二日午後一時より質疑を続行することといたしまして本日はこれにて散会いたします。     午後四時十二分散会      ————◇—————