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1951-01-31 第10回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年一月三十一日(水曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 内海 安吉君    理事 鈴木 仙八君 理事 田中 角榮君    理事 村瀬 宣親君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       宇田  恒君    小平 久雄君       瀬戸山三男君    高田 弥市君       内藤  隆君    西村 英一君       三池  信君    中島 茂喜君       増田 連也君    佐々木更三君       池田 峯雄君    寺崎  覺君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君         建設政務次官  渡邊 良夫君         建設事務官         (都市局長)  八嶋 三郎君         建設事務官         (住宅局長)  伊東 五郎君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         建 設 技 官         (道路局長)  菊池  明君         経済安定技官         (建設交通局         長)      小沢久太郎君  委員外出席者         建設事務官         (管理局総務課         長)      小林與三次君         建設事務官         (管理局総務課         長)      高田 賢造君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    鎌田 隆男君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君 一月二十九日  委員高倉定助辞任につき、その補次として寺  崎覺君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員内藤隆辞任につき、その補欠として森幸  太郎君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員森幸太郎辞任につき、その補欠として内  藤隆君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 一月十六日  朱太川切替工事施行に関する請願小川原政信  君紹介)(第八九号)  阿武隈川下流改修工事促進に関する請願庄司  一郎君外五名紹介)(第九〇号)  白神岬道路開設促進請願甲中角榮紹介)  (第九一号)  芝川下流沿岸地帶水害防止に関する請願(志  田義信君外一名紹介)(第九二号)  丸森町地内中小河川改良工事施行に関する請願  (庄司一郎紹介)(第九三号)  県道横沢北條停車場線改修請願田中角榮  君紹介)(第九四号)  見返資金による三陸東海岸国道開設請願(志  田義信紹介)(第九五号)  長良橋架替促進請願大野伴睦紹介)(第  九六号)  川口村地内山入改修工事施行請願外一件(  福田篤泰紹介)(第九七号)  鹿児島県下特殊土壤災害防止に関する請願(  中馬辰猪紹介)(第九八号)  月光川上流砂防工事施行請願志田義信君紹  介)(第九九号)  中藻興部奥興部間開拓道路開設請願(松田  鐵藏紹介)(第一〇三号)  本別町に上水道敷設請願伊藤郷一君紹介)  (第一〇七号)  関門海峡隧道工事促進請願坂本實紹介)  (第一一三号)  味間村味間奥より篠山口駅に至る道路県道に  編入請願有田喜一紹介)(第一三〇号)  磐井橋架設等に伴う低下敷地引揚工事費国庫補  助の請願淺利三朗君外三名紹介)(第一三一  号)  吉野川改修工事促進請願生田和平君外一名  紹介)(第一三二号)  竹田川改修工事施行請願有田喜一紹介)  (第一三三号)  昭和橋永久橋架替え並びに同地内道路改修  工事施行請願橋本龍伍紹介)(第一三四  号)  日開谷川勝名橋下流堤防補強並びにしゆんせ  つ工事施行請願岡田勢一君紹介)(第一三  五号)  波介川外二川の改修工事施行請願長野長廣  君外二名紹介)(第一三六号)  房総半島の国道三十七号線道路改良工事施行の  請願多田勇紹介)(第一三七号) 同月二十五日  球磨川改修工事施行請願坂田道太紹介)  (第一九一号)  砂押川改修工事促進並びに予算増額請願(内  海安吉君外一名紹介)(第一九二号)  犀川に国直轄改修工事施行請願植原悦二郎  君外一名紹介)(第二〇〇号)  鍋田川に国直轄改修工事施行請願江崎真澄  君紹介)(第二五〇号)  木曽川上流堤防設費増額請願江崎真澄  君外二名紹介)(第二五一号)  安野呂川改修工事施行の、請願冨永格五郎君  紹介)(第二五二号)  宝満川改修工事施行請願中島茂喜紹介)  (第二六〇号)  新潟県下の砂防費増額請願田中角榮君紹  介)(第二六三号) の審査を本委員会に付託された。 同月十六日  失業対策事業費国庫補助に関する陳情書  (第一号)  中部日本横断幹線道路国道編入等陳情書  (第一五号)  天龍川水害対策に関する陳情書  (第一  七号)  不燃火建築助成に関する陳情書  (第二三号) 同月二十六日  有明海を主とする内海開拓に関する陳情書  (第  五八号)  災害復旧費に関する陳情書  (第八〇号)  災害復旧工事費に関する陳情書  (第八六号)  群馬県下重要国道開発促進に関する陳情書  (第一〇九号)  災害復旧事業費全額国庫負担継続に関する陳情  書(第一一  〇号)  住宅金融公庫法の改正に関する陳情書  (第一二八号)  海岸法制定に関する陳情書  (第一四九号)  本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度建設関係公共事業費に関する説  明聽取政提出予定法案に関する説明聽取     ―――――――――――――
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより会議を開きます。  委員長病気欠席のため、本日は私が委員長の職務を行います。  この際昭和二十六年度建設関係公共事業費に関しまして、当局より説明を聽取いたしたいと思います。小澤建設交通局長
  3. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 私建設交通局長小澤でございます。二十六年度の公共事業の方の予算概略を御説明申し上げます。  それに先立ちまして、公共事業取扱いの問題でございますけれども、これは二十五年度とかわりまして、二十五年度の公共事業取扱いました項目の中で、文教とか、官庁営繕とか、行刑施設とか、厚生施設というようなものは大蔵省所管に移りまして、経済安定本部取扱います公共事業といたしましては、河川砂防農業、山林、水産道路港湾航路標識都市計画住宅、上下水道、そういうものに関します国の直轄施行、あるいは補助による建設事業、そういうことになつておるのでございます。  それから予算計上方法でございますけれども、これは北海開道発庁に関する分は、北海道開発庁の方へ所管を移します。それから内地分に関しましては、経済安定本部の方の所管計上するということでございます。以上申し上げました大蔵省の分を除きました全部の公共事業につきましては、予算査定配付経済安定本部でするという状態であります。ただ問題は北海道開発庁に移りました予算認証でございますけれども、それは経済安定本部と協議して認証するということでございます。それから公共事業認証でございますけれども、これまでは二十五年度は二回しておつたのでございますけれども、今回は一回の認証にする、そういうふうなとりきめになつておるわけでございます。  それで二十六年度の公共事業編成方針でございますけれども、これを申し上げますと、公共事業一般原則といたしまして、大体次のようにわれわれは考えたのでございます。それはまず経済効果の大きい事業に限り予算化するということであります。そうしまして治山、治水、それからたとえば農林、水産などのような施設をいたしまして、それがために生産増強、それから運輸交通改善、これは港湾道路、そういうような運輸改善、それから生活環境改善、これは住宅などの生活環境改善、それから国土開発的なものを取上げております。それから各事業具体的計画でありますけれども、それは事業効果順位考えまして、その順位によりましてつけて行く。そうして資金の効率をよくするというふうに考えておる次第でございます。それから各事業検討をいたしまして、お互いにダブついているところ、あるいはお互いに穴が明いているところというようなところを考えまして、齟齬のないようにするということでございます。それから工事施行順序などにかんがみましても、これは新規、継続というようなことを問いませんで、合理的速度をもつて工事を進めるということであります。なるべくちよつと頭を出すというようなことは避けたいというようなことでございます。  それから建設工事に関しまして、機械化促進するというようなことを考えに入れたということでございます。それから実は昭和二十五年度には見返り資金があつたのでございますけれども、二十六年度は今のところ見返り資金公共事業費に使うということはアプルーヴされませんで、われわれといたしましては、今後といたしましても公共事業費を出してもらうように、関係筋とも交渉するわけでございまして、一応アプルーヴされませんで、これまでやつた仕事の跡始末といいますか、ある程度維持できるようなことを考えておるということでございます。  それから災害の問題でございますけれども、これは先般の公共事業費のうち四百億を計上したということでございます。それから過年度災害に対しては三百二十億、当年度発生災害に対しましては、八十億ということを考えておるということでございます。それで八十億を考えましたということは、二十六年度は大体千億くらいの被害があるじやないかということ、それからそのうち公共事業費に該当するものが約八百億、緊急なものを拾いまして、そのうち約二十二、三パーセントはできるというような見通しで、事業計画を立てたわけでございます。それから三百二十億の過年度災害でございますけれども、これは二十五年度におきまして、総額として約千八百億残つておるわけでございます。そのうち緊急なものを約三年間にやるということで、三百二十億というものを計上しておるということでございます。大体の公共事業方針といたしましては、ただいま申し上げた通りでございます。  それから一般公共事業費のうちで、河川砂防云々というものに対しましては、ただいまここにプリントをお配りしたようでございますけれども、こういう数字になりまして、全体で五百七十六億ということになる次第でございます。なお御質問に応じていろいろ御説明申し上げたいと思います。
  4. 内海安吉

  5. 東條猛猪

    東條政府委員 私からただいま建設交通局長からお話のございましたほんとうの意味公共事業のほか、文教厚生行刑官庁営繕、こういうものの内容につきまして概略説明を申し上げます。  広い意味におきましては、昨年度におきまして、これらの経費はいわゆる公共事業の中に含まれておつたのでありまするが、これらの経費の性質が、いわば行政部費と非常に密接な関係がございます。たとえば行刑でございますると、刑務所收容人員でありまするとか、あるいは従来の施設でどの程度の人員に不足を来しておつたか、あるいは学校でございますれば、本年度の学生数はどれくらいに見るかというような、行政系統経費と不可分の関係がございまするので、二十六年度から予算計上しまする所管の問題といたしましては、各省にそれぞれ計上する。その意味におきまして、予算の技術的な計上の仕方としましては、経済安定本部なり、ないしは北海道開発庁所管でございませんで、文教で申せば文部省、厚生について申せば厚生省行刑につきまして申せば法務府、それから官庁営繕につきましては、それぞれ所管官庁のところに計上いたす、便宜そういう計上方法をとりました次第でございます。  順序を追いまして申し上げて参りますると、まず文教施設でございまするが、御審議をいただいておりまする予算計上せられておりまする文教施設関係においては、五十六億九千八百万円を計上いたしております。そのおもなものを申し上げますると、六・三制の施行に伴いまする建物の整備費を含めまして、いわゆる公立学校文教施設整備関係で、四十四億五千四百万円を計上いたしております。それから国立学校文教施設整備関係におきまして、六億三千四百万円を計上いたしております。それから災害復旧関係におきまして、文教施設災害復旧費系統といたしまして、五億六千百万円を計上いたしております。この五億六千百万円の中には、国立学校関係ないし公立学校関係を含めましたものが、ただいま申し上げました災害復旧の五億六千百万円と相なつているわけであります。その他に事務費等若干のものを合せまして、合計いたしますと五十六億九千八百万円と申しますのが、文教施設関係経費でございます。  次は厚生施設関係経費でありまするが、これは二十億六千三百万円計上いたされておるわけであります。厚生関係と申しますると、私から申し上げるまでもございませんで、結核療養所関係でございまするとか、あるいはその他の病院の関係でございまするとか、ないしは四肢の不自由な方々の收容施設でありまするとか、あるいは保健所の関係でありまするとか等々、厚生省のいわゆる保健衛生行政関係のあるものを全部集めたものがこの厚生施設でございまするが、御承知のように政府といたしましては、二十六年度予算におきましては、社会福祉関係ないし公衆衞生関係重点を置いて予算編成いたしておる関係上、二十億六千三百万円で、昨年に比べまして約六億円の増額に相なつております。  次は行刑施設でございますが、行刑施設費といたしましては七億円を計上いたされております。これは昨年に比較いたしますと三千六百万円の減少に相なりまして、行刑施設のおもなものは、申し上げるまでもなく刑務所関係でございまして、刑務所のほか、少年院でありまするとか、あるいは少年保護鑑別所でありまするとか、あるいは矯正保護管区関係費用でありまするとか、そういうものがこの内容に相なつておるわけであります。合計いたしまして七億円に相なつております。  次は官庁営繕系統でありまするが、官庁営繕につきましては、検察庁関係におきまして三億三千万円、一般のいわゆる各省におきまして十四億八十八百万円の計上を見ておるわけであります。十四億八千八百万円のうち、金額的に大きなものを申し上げて参りますると、二十五年度から継続工事に相なつておりまするところの合同庁舎、これが相当大きな部分を占めておるわけであります。それから国家警察関係のいろいろな施設におきまして、新改築工事をする関係が相当含まれております。その他各省にまたがりまするものを全部合せまして、ただいま申し上げました十四億八千八百万円に相なつておる次第であります。簡單でございますが説明を申し上げます。
  6. 内海安吉

    内海委員長代理 この際、昭和二十六年度公共事業費につきまして小澤建設交通局長、さらに官庁営繕に関しまして東條主計局次長に対し、御質問がありましたらどうぞ。
  7. 淺利三朗

    淺利委員 先刻小澤局長から御説明があつたのでありますが、二十六年度においては、公共事業費見返り資金からの百十億が減ぜられて、自然そのうちには継続して実行しなければ、その成果を上げ得ないものがあると思うのであります。聞くところによれば、これらの重要な工事については、継続してこれを実施するというふうに承つているのであります。これを実施する上において、どういう方法でおやりになりまするか。たとえばダムのごときは、河川費一般費のうちから優先にこれをなさるのであるか。あるいは道路橋梁というものについても、そういうふうな御方針をとられるのであるか。もしやるとすれば、昨年の百十億に対して、本年はどれくらいの金をこれに充てられるのであるか。もつとも詳目はまだ御決定にならぬでありましようけれども、大よそ優先的にこれらのものを継続して実行するということについてのお考えを一応承つておきた
  8. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 見返り資金の問題につきましては、大体今のところ五十億ぐらいの金額考えておる次第であります。そうしてこの出方でございますけれども、これは河川道路あるいは橋梁などの一般の中から出す。それからそのやるときにあたりましても、ダムだとか、道路あるいは農業水利にいたしましても、どうしても継続しなければならぬという問題を限定いたしまして、やるということであります。
  9. 淺利三朗

    淺利委員 いずれ詳細はおつて承ることにしまして、その次には先刻の御説明のうち、北海道開発庁関係は、安本の面接の主管でないかのような御説明でありましたが、そういたしますと、この公共事業費のうちから、北海道開発庁費用というのは、何か幾分この中からさかれるということになつておるのではないかと思います。それを決定するのは安本でありますか、あるいは閣議決定でありますか、大蔵省でありますか、その決定はどこでやるのか、また現在北海道庁の分としては、この御提示になりました二十六年度公共事業費中から、どれだけを出されるようになつておるか、もしそれがおわかりならば一応承りたい。
  10. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 北海道開発に関する公共事業費につきましては、その金額をどうするかということは、安本決定するわけでございます。ただその後の取扱いの問題を北海道開発庁の方へつけまして、認証する際に安本の方へ協議するということでございます。それから北海道の方につきます金額は、七十億四千二百万になつております。その金額は先ほどお配りしました中に入つておるわけであります。
  11. 内海安吉

    内海委員長代理 ほかに御質問ありませんか。
  12. 小平久雄

    小平(久)委員 大蔵省の方にちよつと伺いますが、災害復旧費全額国庫負担を、昭和二十六年度においてはやめるという方針のもとに、予算が組まれておるようであります。そういうことになりますと、大体二百億近いものが地方負担になるかと思うのであります。それと関連しまして、地方財源について平衡交付金なり、あるいは地方起債関係なり、そういう点がどういうふうに考慮されておるか、その点を承りたい。
  13. 東條猛猪

    東條政府委員 ただいまのお話は、昭和二十六年度におきまする災害全額国庫負担制度を改正いたしました場合に生じますところの、地方財政との関係をどういうふうに予算の上で考えておるか、こういうお尋ねと拜承いたしましたが、御審議をいただいております昭和二十六年度一般会計予算付記事項といたしまして、地方平衡交付金法の命ずるところに従いまして、政府といたしましては、昭和二十六年度に生ずるところの地方財政負担は、どれくらいであろうかという増加額の算定をいたしまして、予算書内容として提出をいたしまして、御審議をいただいておるのでありますが、その場合におきましては、ただいまお尋ねのございましたように、全額国庫負担制度全額でなくなりますに伴います場合の、地方財政にかかる負担額計算につきましては、いろいろただいま政府部内におきまして、どういう制度が最も合理的であろうかということを目下検討中でございまして、とりあえずこの予算案提出いたしますまでには間に合わなかつたので、一応三分の二という負担割合で仮定いたしたならば、地方財政に及ぼす影響がどうなるであろうかという計算のもとに、地方財政に及ぼす影響並びに地方財政平衡交付金との関係考えておるわけであります。政府見解といたしましては、さような前提のもとに計算をいたしまして、地方財政平衡交付金といたしましては、一千百億円をもつてがまんをしていただくという前提のもとに、予算案編成をいたしておるわけであります。  なおただいまお話負担制度がかわつた伴つて、どれくらい負担がふえるか、あるいは二百億くらいになるのではないかというお言葉であつたかと思いますが、先ほども申し上げましたように、今その負担制度内容をどういたすか、鏡意関係省が集まりまして相談をいたしておる最中でありますが、いずれにいたしましても、ただいま仰せのございました二百億を下まわる数字になるのではなかろうか、かように考えておりますが、何分制度自体を今検討中でございますので、正確な数字は申し上げかねる段階にあります。
  14. 小平久雄

    小平(久)委員 災害復旧費を一部地方負担させるという関係で、地方負担が約二百億ということは、前国会等においても関係大臣等が大体申しておつたところでございますし、また二十六年度予算案説明を見ましても、大体百九十九億からの地方負担になるであろうということが現に記載されておるのであります。しかるにこの平衡交付金におきましては、二十五年度に比べましてわずかに五十億しか増加にならぬ。こういうことでありますから、勢いこれは平衡交付金の方の増額ができないということになるならば、地方起債わくをどうしても増さなければならぬ。そうしなければ、おそらく地方財政はやつて行けぬということになるのではないかと思いますが、その場合の御説明は、大体平衡交付金に関してでありましたが、起債の方のわくについてはどんなことになつておりますか、御説明願います。
  15. 東條猛猪

    東條政府委員 お答えを申し上げます。実は問題の重点が、地方財政平衡交付金金額が適当であるかどうかという、地方財政の問題に話が移るかと思いましたので、自然説明申し上げますことを端折らしていただいたのでありまするが、私どもの見解によりますれば、平衡交付金増額は、昭和二十五年度の当初予算に比べますれば、お話通りに五十億円でありますが、このたび政府が一千百億円ということでもつて、地方財政平衡交付金金額計上いたしましたにつきましては、單に公共事業負担のふえまする金額だけでなく、私から申し上げますのは恐縮でありますけれども、広くいろいろの歳入歳出項目にわたりますところの事項検討いたしました結果、一千百億円の平衡交付金でもつて足りるという考え方のもとに計上されておるわけであります。もし御要求等がございますれば、本日は用意しておりませんが、それらの資料をお手元に差出しまして、詳細申し上げる機会を持ちたいと思いますので、その問題はしばらく讓りまして、地方起債の問題につきましては、いろいろと関係方面との折衝の結果、御承知通り昭和二十六年度におきましては、四百億円というのが地方起債わくなつておるわけでございます。この四百億円の中には、申し上げるまでもなくいわゆる公営企業地方自治体の電車でございますとか、水道でございますとか、公営事業に必要な地方起債金額も、その四百億円の中に含まれておるわけであります。従いましてそれらのものを除きましたものが、一般公共事業等を中心といたしました地方財源にまわつて参るという関係に相なるわけであります。二十六年度の地方起債の法律の施行は、申し上げるまでもなくこれからの問題であります。公営企業幾ら一般幾らという割振りも、いろいろの情勢を勘案して定めなければならぬ問題でありますが、四百億のうち少くとも数十億見当は、従来の例に徹しますれば、公営企業の方の引当てにまわさざるを得ない。従いまして一般財源といたしまして、予定できますところの地方起債は、控え目に見れば三百億、多く見ましてもそれに二十億見当プラスせられるのではないかというのが、一応ただいまの見通しなつております。ただこれは今も申し上げましたように、これらの実施にあたりまして、いろいろの情勢を勘案の上、また各方面の御要求をよく検討させていただきまして、やつて行かなければならぬ、かように存じております。
  16. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいま御説明がありましたが、この点につきましては、もう少しつつ込んで御質問申し上げたいと思いますが、お話に出ました資料等をこの際委員長から提出していただくようにおとりはからい願いまして、その後においてまた御質問いたしたいと思います。  さらに承りたいことは、特に見返り資金からの公共事業費の使用が、今のところできないという関係につきまして、先ほど建設交通局長説明によりますと、何か従来の見返り資金で始まつた継続事業につきましては、わずかに跡始末あるいは維持と申されましたが、はなはだ心細い表現をもつて、そういう事業がただやめずにおくのだという程度のお考えのような御説明がありました。また淺利委員の御質問に対しまして、大体その種の事業に対して、五十億程度お使いになる予定だということも申されましたが、前の国会等において審議いたしました際には、大体見返り資金で着手した工事を二十六年度も継続するためには、最小限六十数億要する。そのうちの五十億というものは、災害復旧費を当初四百五十億を予定したもののうちから、大体五十億をまわす。あと十数億というものは何とか捻出して、少くとも最小限度の工事継続はひとつやつて行こうということが、関係各大臣のお話であつたと私は記憶するのであります。そういう関係から考えますときに、特に本年度のこの予算書を見ますと、道路関係等においては、昨年度から十億も減つてしまつたというような関係もありまして、非常に心細い感じがするのでありますが、もう一度この点に関しまして、一体見返り資金で着手した工事を、本年度は当初の予定に比べますとどの程度やるお考えなのか。特にまた道路局長もお見えのようでありますので、道路関係についてもこの際、見返り資金で着手した工事等がどんなふうに二十六年度はやられるのか、これらの点を御説明願いたいと思います。
  17. 菊池明

    ○菊池政府委員 それでは道路関係見返り資金についての、二十六年度の対策について申し上げます。  ただいまのお話のように、見返り資金がなくなつてあとどうするかということは、道路予算のきわめて貧弱な折柄、たいへんな課題でありますが、橋梁等の中途半端ではどうにもこうにもならぬというものは、これはぜひ完成するように、一般公共事業費の中から無理してでも出してやるようにしなければならぬ。しかしながら一般道路につきましては、当初計画いたしたものは非常に大きいのでありまして、これを予定の通りに進めますのには、ただいま御審議願つております程度の公共事業費道路費等では、とうていまかない切れません。そこではなはだ不満足な結果になると思いますが、とにかくとりつけて、しり切れとんぼにならないようにするということ、それから一応二十五年度に見返り資金でやつたものが有効に働くようにという線で、ただいまどの程度に工事をやるかということにつきまして、各橋ごとに検討いたして、金額をきめようと思つてやつております。ただ一般公共事業費をそれによつて非常によけいとるということは、また全国的な見返り資金以外の工事に非常にさしつかえますので、今その点も勘案しながら検討いたしております。
  18. 内海安吉

    内海委員長代理 安本関係につきましての御質問は、本日はこの程度にいたしたいと思います。  次に昭和二十六年度建設関係公共事業費等に関しまして、建設政務次官より発言を求められております。渡邊建設政務次官
  19. 渡邊良夫

    ○渡邊政府委員 昭和二十六年度建設省所管行政部費その他事務費系統の予定経費要求額は三十三億八千二百余万円でありまして、これを本年度の予算額二十六億三千七百余万円と比較いたしますと、七億四千四百余万円の増加なつております。その内訳といたしまして、まず新規のものといたしましては、従来公共事業費に含まれておりました官庁営繕事業に必要な経費行政部費に移し、十四億五千余万円が計上されておりますとともに、河川水利調査に必要な経費、水防法施行に必要な経費等を公共事業費より行政部費に移し計上いたしております。また削減となつたものといたしましては、北海道における公共事業に必要な事務費は、二十六年度よりすべて北海道開発庁計上いたしておりますのが、そのおもなるものでございます。  次に、公共事業費でありまするが、経済安定本部所管において四百九十四億七千余万円計上せられ、北海道分については、北海道開発庁所管において三十九億二千余万円計上せられ、合計五百三十三億九千余万田と相なつております。これら経費はいずれも使用にあたりまして、建設省の所管部局に移しかえをいたすことになつております。経済安定本部計上になりましたものは、北海道を除く地域の一般公共事業費三百八億八百余万円と、北海道を含む全地域の災害復旧事業費百八十六億七千余万円の合計でございます。  各費目の概要を説明いたしますると、まず一般公共事業費でありまするが、これをさらに事業ごとにあげますれば、北海道を除く地域につきましては、河川事業費百三十九億三千四百余万円、砂防事業費三十二億八千九百余万円、道路事業費五十一億八千九百余万円、都市計画事業費三十一億三千九百余万円、住宅施設費四十一億九千三百余万円、建設機械費十億六千二百余万円でありまして、北海道につきましては、河川事業費十九億六千五百万円、砂防事業費二千五百万円、道路事業費十五億六千四百余万円、都市計画事業費二千四百余万円、住宅施設費二億余万円、建設機械整備費一億四千万品でございます。  次に、災害復旧費につきまして申し上げまするならば、二十六年度におきましては、百八十六億六千三百余万円を予定しております。これを事業ごとにあげますれば、河川災害復旧費百八十二億四千七百余万円、都市災害復旧費二億三千六百万円、特別鉱害復旧費一億七千九百余万円でございます。  なお参考までに申し上げますると、二十五年度におきましては、土木災害復旧費全額国庫負担でありましたので、過年度災害分は二百六十六億六百余万円、二十五年度発生災害は、当初の百億円と補正予算二十六億七千百余万円のうち、現在までに建設省に移しかえになりましたものは六十六億二千余万円であります。  以上簡單に御説明を申し上げましたが、詳細につきましては、なお政府委員より説明をいたしていただきます。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  20. 内海安吉

    内海委員長代理 建設省関係二十六年度建設事業計画内容につきまして、関係局長より説明を聽取したいと思います。
  21. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 河川事業一般から御説明いたしますが、この河川事業一般の中で大きな特色になつておりますのは、本年度より調査に重点を置きました結果、水利調査というのが行政部費の中に新たに認められた。これは河川の根本的な調査をいたしませんと、どうしても本格的の改修ができない、そのための資料を收集するための水利調査費を新たに設けられたというのが、一つの特色であります。  それから先ほど道路局長からお話がありましたように、河川改修費の中の見返り資金の分が、相当これを継続しなければならぬような仕事がありますので、これに対してある程度の増加をしたというのが第二の点であります。  それから海岸堤防は御承知通りに、昨年の台風以来方々におきまして問題が起きておるのでありますが、これに対しましては将来海岸堤防法あるいは海岸保全法というような法律をお願いいたしまして、これを積極的に推進したい。そこで本年度は大阪、神戸、あの附近を除きました地方の海岸堤防費用を、ある程度増額いたしたのであります。  さらに河川の改修の根本は、やはり上流における洪水調節によるのが最もいいというような考え方から、あるいはいろいろの目的のために使う総合的、多目的の堰堤をやりたいというような意味をもちまして、その点に相当増額をいたしたのであります。  さらにそれに従いまして砂防事業費が大幅に増額されたのであります。昨年の十八億に対しまして三十二億八千九百万円というような、他に類例のないほどこの点は増額されておるのであります。  そこでこれらを計数的に申し上げますと、直轄河川改修費におきましては六十一億か九十一億二千二百万円というふうに増額いたしております。これは例の見返り資金によります四つのダム、これの継続費、これがこの中に含まれておるのであります。直轄河川総合開発事業費は五千九百万円が一億一千七百万円、これは琵琶湖の仕事をさらに継続して行きたい。河川総合開発事業補助は一億八千万円が六億二千二百万円になりましたのは、昨年度あるいはその前年度から着手いたしておりまする事業を早く仕上げまして、その効果を上げたいというのが目的であります。海岸堤防費は一応七億六千六百万円が七億一千一百万円というふうに、多少減つたような感じがしますが、このうちには本年度特に阪神間の災害によります相当額の堤防費の追加がありましたので、こういうような形になりますが、実は海岸堤防費の当初予算の一億五千万円に比較いたしますると、相当増額いたしておるのであります。河川改修費の補助は、多少増額いたしましたが、大体において前年度通りであります。砂防は先ほど申し上げました通りに、十八億が三十二億八千九百万円に相なつております。これが一般の方であります。  次に災害復旧費でありますが、災害復旧費は昨年度は全額補助関係もありましたもので、相当多く配当されたのであります。それに対しまして本年度は、二百六十二億二千万円に対して百八十二億四千七百万円というふうに相なつて、相当減額を見ておるような次第でありまするが、これについてわれわれといたしましては、相当安本に対して強い要求をいたしておつたのでありまするが、結果において各省予算配分を公平にやるということになりますと、こういうふうな形に相なつて来たのであります。すなわち残量に対しての配分でありまして、われわれの方は前年度におきまして相当仕事を進め得た関係上、残量は各省よりも少かつたというようなことではなかつたかとわれわれは考えております。  次に今年の特色といたしまして、北海道は別わくに相なりまして、最後に北海道河川事業費が載つておるのでありますが、北海道は昨年四十七億五千六百万円が七十億、河川事業全部で十一億五千万円が十九億六千五百万円と相なつたのであります。このうちの大きな問題といたしましては、北海道の総合開発費二億九千万円がこれに載つておるのであります。北海道の特殊性にかんがみまして、特別な総合開発をやりたいというのがこの目的であります。
  22. 菊池明

    ○菊池政府委員 道路事業費につきまして一言申し上げます。来年度は道路に関しまするマツカーサー覚書の補修五箇年計画の第四年目に当りますので、前々から申し上げましたように、次第に改良工事を広げて、整備が完了するにつれて補修の関係を減じて行こうという方針をとりまして、本年度に比べまして来年度はやや改良の方の率が上りまして、補修の関係はやや減じました。大体七割、三割ぐらいの率で、三割ぐらいの補修をやるということで組んでございます。お手元の表にありまする道路事業費の五十一億八千九百八十万円、それから前年度の三十六億一千九百八十七万円、これと比較願いますと、いかにも十何億増額いたしたことになつておりますが、先ほども申しましたように、道路につきましては割合が相当総額に比べて高いパーセンテージで見返り資金がついておりましたので——約四十億ついておりましたから、その関係から申しますと二十億ぐらい減るということになりますので、まことに困るのでありまするが、数字の上では一応ふえた形になつております。そういう事情でありますることをお含み願いたいと思います。直轄道路改修費、これは国直轄でやりまする改良と補修を合計いたしたもので十九億一千七百万円、それから調査費一千九十万円、これは次年度に施工せられまする主として直轄工事の測量調査等に使われます。それから道路改修費補助は、都府県において施工します道路改良及び補修事業に対しまする補助で、三十一億九千二十四万八千円、道路事業調査費、これは都府県において行いまする調査に対する補助、同じく北海道、これが十五億六千四百四十万円、この中で全額国費になつておりまする道路改良並びに補修が十三億七千万円、調査費四百万円、それから北海道におきましても、一部地方事業補助いたしますものがありまして、それが次の欄の道路改修費補助一億二千九百二十万円、これを合計いたしまして、北海道におきましては十五億六千四百万円ということで、内地のと合計いたしまして、六十七億五千四百二十八万円ということになります。
  23. 八嶋三郎

    ○八嶋政府委員 都市局関係予算の配分を御説明申し上げたいと存じます。  都市局関係予算は、内地及び北海道合せまして、公共事業一般におきましては三十一億六千三百三十七万二千円という数字に相なつておるのであります。前年度に比べまして九億三千万円という数字の増に相なつておるのでありますが、その内容につきましてこれからお話を申し上げたいと思うのであります。まずこまかいところからお手元に配付になつております資料の順番を追うて申し上げます。  国営公園の費用は六百万円で、前年度とほとんどかわりはございません。  それから都市計画の調査費は、今年度新たに二百万円ほど計上していただいたわけでありますが、大きな都市計画事業施行して参りますにつきまして、従来調査費がなかつたために、その重点的な点でよくわからなかつた点もありましたので、今回新たに都市計画の調査費を計上していただいたのであります。  その次に都市復興事業費助成といたしまして二十二億六千二百八万円、北海道分といたしまして二百九十万円という数字が入つておるのでありまするが、これを二つ合せまして内容を申し上げますと、一つは戰災復興の費用でございまして、二十億八千四百万円が内地及び北海道を含めましての費用であります。これは御承知通り、昨年戰災復興につきまして再検討をいたしたのでございまするが、それが大蔵省におきまして、広島、長崎を除きまして二百一億という数字に査定をいたされたのでございますが、本年度の本予算、それから昭和二十四年度の補正予算におきましても、戰災復興費を計上いたしましたので、それを差引きましたものを、あと四箇年間で完成しようということにいたしました。その四箇年分の平均割が、戰災復興費の二十億八千四百万円という数字に相なつて参つたのであります。昨年再検討いたしました数字を、とにかくこの四箇年間において完成をして参ろうということにいたしまして、安本並びに大蔵省当局とも話がまとまりましたのがこの数字でございます。  その次に、都市復興事業補助費の中に含まれておりますところの項目は、火災復興の費用がございます。能代、飯田、熱海、鷹巣、上松といつたような都市の火災復興の分でございますが、これによりまして、能代を除きまする他の都市につきましては、大体完了をして参りたいと思つておるのであります。能代だけがさらにもう一年延ばすことに相なつておるのでございます。火災復興の費用は大体六千九百六十四万円という数字計上なつております。  その次には、やはり同じく都市復興事業補助費の中でございまするが、港湾地帶の整備事業費でございます。これが五千七百八十万円という数字計上されておるのであります。これは大阪の区域におきまするいわゆる地盤のかさ上げの費用でございます。かさ上げをいたしまして、区画整理をして参るというための費用でございます。実は港湾方面におきまする仕事と相まちまして、こちらの方において区画整理を施工して参りたいという費用がこれでございます。  それから本年度新たに計上していただいたものは、高潮対策の費用として五千万円というものが、同じくやはり都市復興事業補助費の中に含まれておるのでございます。高潮対策は海岸堤防の問題でございまするが、これは河川局、港湾局、都市局というような方面で、これらの仕事をそれぞれ分担をいたしてやつておるのであります。私の方面では、本年度の補正予算から堺、阪神間、徳島県の一部というものが、大体この中に計上されることになるだろうと思います。  それから広島、長崎の特別都市建設事業補助費は、前年度と同額でありまする  それから街路事業補助費でございます。これは事務費と合せまして五億一千万円という数字に相なつておるのでありまするが、單なる補助費といたしましては、四億八千四百五十四万円という数字に相なつておるのであります。これは市街地におきまする重要なる幹線街路を整備して参ろうという費用でございます。非戰災都市を主といたしますが、なお戰災都市におきましても、戰災区域以外の街路を整備して参ろうというのが、ここに計上されておるのでございます。  それから都市水利其他施設整備費補助ということに相なつておるのでございまするが、内訳を申し上げまするならば、純粋の意味における都市水利といたしましては、北海道、内地の分を合せまして、事業費といたしましては二千八百九十二万七千円という数字に相なつておるのでございます。御承知通り町中を流れておる水路に水害等がありまして、これが氾濫をいたしまするので、河川法の適用、また下水道法の適用も受けないで、他の法においてこれが補助の対象にならないものにつきまして、特にその場所を選定いたしまして補助をやりたいという数字でございます。  それから都市水利の費用と公共施設費用といたしまして、二千三百万円ほど計上されておるのでございます。これは公営運動場、公園の整理といつたような方面費用でございます。それから団体関係施設といたしまして、これは前年度には計上されなかつたのでございますが、今回新たに一つの項目を設置いたしまして、国体関係費用といたしまして一千万円計上されておるのでございます。  それからこれは実は消防庁からの話で載つたのでありますが、市内における防火水槽の整備といたしまして、五千万円程度を計上してございます。これにつきましては消防庁と十分打合せを遂げまして、消防庁の指定の箇所に施工することになるだろうと思うのであります。以上が大体都市水利其他施設整備費補助という費目でございます。  これは大体純粋の意味における都市局関係費用説明を申し上げたのでございますが、ここに出ておりますのは、建設関係として出ておりますので、水道施設費の方で補助金をとりましたのは、御承知通り厚生省に相なつておりますから、私の方には載つておりません。内地、北海道合わせまして二億三十万円というものが載つておるのでございますが、増加いたしましたおもなるものは、南海地盤の関係でございます。それと上水道に対しまする補助よりも、下水道に対します補助を今後強く考えて行こうというので、下水の方面費用が従来よりもよけい計上なつているというわけであります。
  24. 内海安吉

    内海委員長代理 それでは鎌田住宅建設課長。
  25. 鎌田隆男

    ○鎌田説明員 住宅関係の二十六年度公共事業費につきまして、御説明申し上げます。  住宅施設費の二十六年度の予算は、四十三億九千四百十八万七千円であります。これを二十五年度の予算三十一億に比較いたしますと、約四割の増加でございますが、昨年の八月以来相当建築材料その他の騰貴がございまして、いろいろな指数から検討いたしてみますと、十二月現在で約三割くらいの値上りを認められるのでございますが、その物価騰貴を考えてみますると、遺憾ながら昨年とほぼ同等の事業量と考えられるのでございます。その四十三億九千万円の内訳といたしまして、鉄筋コンクリート造のアパートは内地、北海道を通じまして八千戸、コンクリート・ブロツク造を千戸、合計不燃のアパート九千戸を建設いたしたいと考えております。あと残りを木造にいたしまして、木造を一万九千五百戸ばかり建設いたしまして、その合計が二万八千五百戸でございます。昨年は鉄筋、木造を通じまして二万七千戸でございますから、先ほど申しましたように、戸数においてはほぼ昨年と同様に相なろうかと思います。若干の増加はございますが、ほぼ同数の建設戸数でございます。ただここで一つ申し上げたいと思いますのは、二十五年度までの木造住宅は一戸十坪でございますが、この家賃が全国平均約八百円でございます。この八百円ということをよく考えてみますと、国民の所得の低い方にとりましては、八百円もなかなかつらいかと存じます。昨年のCPSによりますと、国民の一箇月の支出が八千円未満の階層の数は大体一八%ございます。八千円未満の方々が月々八百円の家賃を出すということは、家計の上から言つてなかなか困難であろうかと考えますので、二十六年度におきましては、この木造住宅の中の約五千五百戸ばかりは、低家賃の住宅をつくりたい、こういうふうに考えております。木造住宅を二つにわけまして、従来通りの十坪の住宅と、もう一つを八坪にいたしまして、二割ばかり大きさは小さくなりますが、家賃を四百円くらいにいたしたい、こういうふうに考えております。つまりごく低家賃の住宅を全戸数の二割くらい建設いたしたいと考えております。こういうような趣旨で予算が組まれております。ただ十坪の住宅が八百円で、八坪の住宅を四百円にするためには、補助率の増加を必要といたします。しかし補助率の増加は、今のところいろいろな関係から非常に困難でございますので、このごく低家賃の方の住宅は、二分の一を国の補助、残りの四割程度を地方負担としてもらいまして、七割の補助というようなことで、あと残りの三割につきまして家賃を計算するという考え方でできております。結論といたしまして、もう一度繰返して申し上げますと、鉄筋コンクリートあるいはブロツク造、つまり不燃のアパートを昨年に比較いたしまして増加いたしますことと、ごく低家賃の住宅を新たに企画いたしましたこと、これが昨年に比しまして相違いたしておる点であります。以上簡單でございますが、御説明申し上げます。
  26. 内海安吉

    内海委員長代理 以上をもちまして、道路河川、都市並びに住宅関係の、明年度事業計画内容についての説明を終りました。諸法律案と切り離して、この際事業内容について質疑に入りたいと思います。池田峯雄君。
  27. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 河川局長にお伺いしたいのですが、北海道の直轄河川総合開発事業費というものと、それから本省関係の直轄河川総合開発事業費というものを比較いたしますと、北海道の方が一億九千万円で、本省関係が一億一千七百万円というように、こちらの万が少い。こういうように北海道に対して莫大な総合開発事業費というものが組んであるのであります。さらに道路を見てみましても、直轄道路改修費が十九億、これに対して北海道の直轄道路改修費が十三億であります。この道路の附帶事務費を見ましても、こちらの関係が六千七百四十六万円、北海道道路関係の附帶事務費が五千四百万円というように、ほとんどかわらないくらいに道路費用北海道に組まれております。これはどういう目的のもとに北海道にこういう総体的に多額の金をつぎ込むのであるか、どういうことを計画されておられるのか、これをひとつ承りたいと思うのであります。
  28. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 北海道河川として最も大きな事業は、北海道河川総合開発費の二億九千万円であります。これは石狩川の支流幾春別川にダムを設け、それによつてあの地方の総合開発をやりたいという趣旨であります。その他は北海道の特殊性と申しますると、未開発であるために仕事が相当遅れますので、これに対して内地並の進度にまで持つて行くためには、ある程度の仕事をやらなければならぬということと、さらに北海道開発意味におきましても、河川改修を根幹といたさなければ、何ら仕事ができないという関係もありまして、附帶事務費を増額したのであります。
  29. 菊池明

    ○菊池政府委員 御承知のように、ここには直轄と書いてございますが、北海道道路事業の大部分が全額国費でやつておるわけでありまして、その附帶事務費等の比率の御指摘がありましたが、三ページにある六千七百万円は、内地における国の直轄事業に対する事務費が大部分であります。ところが北海道全額国費でありまして、その仕事の量から申しますと、北海道はもう地方道の関係全額国費の関係も全部ひつくるまつております。初めの方は内地の分のうちの直轄の分だけでございまして、府県の関係はありませんから、そういう比率に相なると思います。
  30. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 河川局長にもう一ぺんお尋ねしたいと思うのですが、未開発地域に多額の金を入れまして、その地方の総合開発をやるということは、ある場合においては非常にけつこうなこともあると思うのでありますが、特に現在全国至るところの河川が非常に荒れ果てている。簡單に申しますと、どこの川の上流も未開発です。それなのに、特に北海道にこれだけの金を入れなければならないという理由を、北海道における総合開発計画とあわせて御説明願いたいと思うのでありますが、いかがでありましようか。
  31. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 御承知通り北海道の川は、いまだ原始河川の状態にあるのが多いのであります。それでわれわれといたしましては、北海道河川の改修によりまして起り得る開発の利用程度を勘案しまして、すなわち経済効果を勘案しまして、しかも日本の人口の過剰のはけ口とも考えまして、そういう現在の農地の高度利用を考えるためには、どうしても河川改修を主体に考えなければならぬという結論に到達いたしましたので、北海道増加したのであります
  32. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 議論になるようでありますけれども、農地の高度利用と申し、あるいは経済効果と申し、やはり内地も同じであります。たとえば毎年毎年災害が起りますならば、農地は高度に利用されていないのでありますから、内地の農地を高度に利用するためには、やはり内地にもそれぞれ多額の金を出しまして、そうして災害を未然に防止し、その川の水を農耕に利用し、あるいは電力の開発に利用するというようなことは、当然やらなければならないことなのです。これは利根川にいたしましても、北上川にいたしましても、みな同じような観点からやらなければならないものでありまして、特に北海道に本年これだけの金を入れるというようなことは、一体どういうことになりますか、まだわからないのでありますが、たとえば北海道にこういう工場地帶があり、この工場地帶にこれだけの電力を注がなければならない。そのためにこれだけの発電力が必要である。だからここにダムをやろう、こういうようなことが勘案されて、北海道に金が行つていると思うのであります。それから過剰人口のはけ口と申しますけれども、これも必ずしも北海道へ人間を送つて、それで過剰人口が解決されるというものではなくて、内地にも産業を発達させ、そうして失業者がそういう発達した産業に行つて働けるような状態になれば、過剩人口というものは当然解決できるのでありまして、必ずしも狭い面積のところから面積の広いところへ人口を送ることによつて、過剰人口というものは解決されるものではない。働きたくても働けない人たちが働けるように産業を興して行くとか、そういうことをやればいいのであります。ですから、これは必ずしも北海道の特殊性と考えられない。私は必ずしも北海道に金を送るということに反対しているのではありませんけれども、特に北海道にこれだけの金を出さなければならない、その結果内地の河川、特に災害復旧費などが非常に削減されているということに対して、非常な疑問を持つのでありますから、ひとつその点もう少しつつ込んだ御説明をお願いしたいと思うのであります。
  33. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 具体的に申しますと、先ほど申し上げました通り、二億九千万円の幾春別の河川総会再開発であります。これは石狩川の支流に当る河川であります。御承知通りに札幌の郊外には、相当の泥炭地帶があるのであります。この泥炭地の利用について、どういうふうな行き方をするかということが今問題になつておりますが、一部の説によりますと、これは河川改修によつて、あるいはその以外の方法によりまして、泥炭地の排水をよくするということが、最も泥炭地の利用化にはいい方法であるということがいわれておるのであります。それらと同時に、これらに対する農業用水の補給もありますので、今幾春別川に対して電力あるいは農業用水という、総合的な見地からダムを建設しようというのが、二億九千万円という大きな金であるのであります。それが目立つのでありますが、他の河川につきましては、御承知通りに日本の河川は相当災害もあります。北海道も御承知通り災害もありますが、日本の河川はさらに一歩進みまして、大部分堤防に囲われておりますので、堤防の補強と同時に、農地の内水排除の段階に入つておるのであります。ここまで参りますと、どうしても上流方面の土砂の流出の阻止というような見地から、砂防工事を積極的に起さなければならぬということと、先ほどお話申し上げました通りダムの建設をやらなくちやならぬ。それで上流方面においてこれらの洪水を調節してでき上つた——完全にはでき上つておりませんが、一応でき上つた堤防に、被害を加えないような行き方をしなければならぬ。少し高度的な総合計画を立てなければならぬという段階に入つておるのでありまして、これにつきましてはこの調査費にもありますように、来年度におきましては、ある数本の河川を選びまして、根本的な対策を立ててみたい。これが進みますれば、そういう行き方の現われをしたいと考えているのです。ただ北海道は不幸にしてそこまで行つておりませんので、一応堤防式の河川改修をやつて行かなくちやならぬではないか、非常に進歩の度が違うのでありまして、従つて本年度の予算書にはこんな形になつて現われて参つたのであります。
  34. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 今利根川などにおきましても、北海道開発庁と同じような契機で、利根川総合開発庁というものをつくつてほしい、こういうような地元の声が出ております。あるいは北上川の方でも、利根川の方でそんなものを出すならば、北上川もやる、淀川もやるというような動きがありますが、これに対して政府はどういうお考えでありますか、関連してひとつ御質問いたしたいと思います。
  35. 内海安吉

    内海委員長代理 またあらためて委員会を開きまして、特に建設大臣の出席を求めておりますから、そういう大きな問題は大臣と直接やつていただきたいと思います。
  36. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 それでは災害復旧費のことでお尋ねしたいと思うのでありますが、昨年度の災害は、建設省関係で五百三億六千二百六万五千円の災害があるようであります。これに対しまして現在どれだけの金が出ておりまして、そうして結局昭和二十六年度の災害復旧土木事業補助というようなもの、あるいは直轄河川災害復旧費というものは、そういう毎年の莫大な災害に対して、これだけの金でたくさんなんだと言われる政府の所信を承つておきたいと思うのであります。政府の方では予算を組みますからには、余らず、また足りなくないように、そういうことを考慮して予算を組まれているのでありましようし、従つてこれだけの予算を組まれるからには、これで災害復旧は十分である、また余るということもないが、足りないということもない、こういう自信をもつて予算を組まれておられることと思いますから、これについて政府の所信を、ひとつ承つておきたいと思うのであります。
  37. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 災害は年々増加の一途でありまして、災害復旧費は、われわれとしていつでも申し上げております理想としては、初年度に三割程度、次年度五割、三年度に二割というような予算要求をいたしておるのでありますが、本年度の補正予算、あるいは予備金の支出を見ましても、本年度に起つた災害に対する当初の本年度配当すべき予算は、一割二、三分にすぎないのであります。従つてわれわれの理想とする三割の半分も行つておらないというのが、ほんとうの姿であります。われわれはこれで満足をしておりませんで、常に災害復旧費増額を願つておるのでありますが、不幸にして財政関係上、なかなかそれが想う通りにならぬということと、半面災害を未然に防止する、いわゆる一般公共事業費増額もお願いしたいのであります。その天秤のかけ方が非常にむずかしいのでありますが、われわれはできるだけ災害を未然に防ぐことが、国家負担に対する行き方であるだろうというふうに考えられまするので、一応は少いのでありまするが、そうかといつて災害にのみ重点を置けないところもあるのであります。この辺のつり合いの問題は非常にむずかしいので、どの程度がいいのか言われましても、なかなかこれはむずかしくて、返答ができないのではないかと思うのであります。
  38. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 土木事業費の補助額ですが、昨年度は二百三十五億円、本年度は百五十六億円に減つております。これは三分の二の国庫補助にするから減らしたということになつておりますけれども、全体の事業量としては昨年度と同じで、今年は全額国庫負担ではなく三分の二になつたから、七十八億だけ地方負担が増した、こういう結果になりますけれども、現在地方としてそれだけの負担力があるかどうか。これは当然それだけの負担力があると見て、これだけの予算要求されていると思うのでありますが、そういう点で建設省としてはどういう資料を集められたのか。これだけの要求額で、地方負担がこれだけでやつて行けるのだという——あるいはこの前建設大臣がこの委員会で発言したところによりますと、地方要求は、金額国庫負担よりも三分の三の国庫負担の方がいいのだ、かえつてそれを要望しているのだ、こういう答弁であつたのでありますけれども、現在この予算要求書を見ますと、地方は七十八億の負担なつておる。それで事業の量は同じ、こういうのでありますから、おそらくこの予算を見ますと、地方の人は三分の二の補助の方がいいのだというようなことは言わないと思うのであります。といたしますと、政府の方ではどういう資料から、この三分の二の国庫補助にして、昨年よりも七十八億も災害復旧費補助を減らしたか。この点について、これは河川局長の立場から——大臣は大臣の立場があると思いますから、河川局長の立場からひとつ所見を承りたいと思います。
  39. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 この問題につきましては、いずれ災害補助の法律が出ると思います。はたして三分の二にするのかどうかというような大きな問題が出ると思われますので、その節にひとつ御議論を願いまして、財政の問題、その他大蔵省安本あたりの考え方もありますので、そのときにおまわし願いたいと思うのでありますが、いかがでありましようか。
  40. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 それでは最後に全体としてお尋ねしたいのでありますが、今朝鮮動乱の影響で、いろいろなものが非常に上つております。セメントにしても、その他いろいろなものが上つておりますので、建設資材が上つているということを考慮に入れて、この昭和二十六年度の予算額を要求されたものであるかどうか、これは河川住宅道路都市計画全般にわたりましてお尋ねしておきます。
  41. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 今予算編成当時の基礎單価は何であるかというお話でありまするが、これは全般的な問題でありまするし、私の聞いておる範囲を申し上げて間違うといけませんので、あらためて御返答いたしたいと思います。
  42. 内海安吉

    内海委員長代理 次に、通告順によりまして、淺利三朗
  43. 淺利三朗

    淺利委員 予算の詳細は追つてまた質問の機会があると思います。ただ今回の予算編成方針について、念のために一言お伺いいたしたい。  北海道開発庁予算は別途に計上される、こういうことになりますと、これは建設大臣の主管のもとに運用されるのであるか、あるいは北海道開発長官が独自の権限をもつて実施されるのであるか。もしそうだとすれば、建設省としてはこれに対して何かの監督とか、あるいはまた協議とか、そういう道があるかどうか。もしこれは別個にされるとするならば、建設行政について一貫性を欠き、あるいは北海道の方と内地の河川その他の計画と、別々になるというおそれがあるのでありますけれども、その点を明確にしていただきたい。  もう一つ、先刻官庁営繕関係がありましたが、今までは官庁営繕は、建設省の所管事項の中にあつたと思いますが、これは予算編成の場所が、計上の主管官庁が違つたために、建設省としてはこの営繕に全然関係がないのかどうか、あるいは委託の形式で実行されるものかどうか、その点を念のためまず伺つておきたい。
  44. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 北海道予算につきましては北海道開発庁がありますが、北海道開発庁はどこまでも計画官庁でありますので、予算が確定いたしますれば、これを各省に流すことになつております。従つて北海道庁を直接監督いたしますのは、各省ということになつおるのであります。われわれのところで申し上げますれば、河川に関する限りは、北海道庁を督励いたしましてこの予算を執行して行きたい、こういうように存じております。
  45. 内海安吉

    内海委員長代理 この問題はわれわれも常に考えている問題でありますから、これも池田君と同様、大臣の出席を求めて根本方針を聞いていただきたいと思います。
  46. 淺利三朗

    淺利委員 私は今の基礎の問題だけちよつと伺つておきます。
  47. 高田賢造

    高田説明員 営繕の関係予算は、先ほど政務次官から御説明がございましたが、行政部費に入つておりますが、やはり建設省の予算として施工するわけでございます。
  48. 小平久雄

    小平(久)委員 河川局長に一点だけ簡單に承りたいのであります。災害復旧関係ですが、二十六年度の予算がかりに成立して、これを執行するということになりますと、過年度の分の災害について、それぞれ発生年度ごとに大体どのくらいの進捗度を示すことになるか、この点だけ承りたい。
  49. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 各年度のことはまだ定まつておりませんが、全体として申し上げますると、二十六年度以降残量が九百四、五十億ということに相なりまするので、この予算を執行いたしますると、二五%くらいの進捗率に相なるのであります。
  50. 内海安吉

    内海委員長代理 それでは二十六年度建設事業計画内容についての質疑は、本日はこの程度といたします。  昨日の当委員会理事の打合会におきまして、建設省当局と協議いたしました結果、政府においてぜひ提出したいと考えられている法案は、次の三つであります。すなわち住宅金融公庫法の一部を改正する法律案、土地收用法の全部を改正する法律案、海岸管理に関する法律案であります。次に議員において準備中のものとして、次の四法案が考慮せられておるのであります。一、建築基準法の一部を改正する法律案、これは建築士法の制定に伴い、建築士でなければ設計監督することができない、保護規定を建築基準法に挿入せんとするものであります。二、河川法の一部を改正する法律案、これは河川附帶工事費用負担に関し改正を加えられたいと考えておるのであります。三は、南海大地震に基く地盤変動地域の復興に関する法律案が仮提出済みとなつております。四は、宮崎県地方における災害防除法案、これも例年のごとく襲来する宮崎県地方の台風災害対策を確立したいという考えから起つておるのであります。なおこのほかに、災害復旧費国庫負担に関する法案が、関係各省検討されておりますが、これと南海地震及び宮崎関係の法案は、他の委員会との合同審議によることと考えます。なお以上のほか、ぜひ立案したき各種の法案につきましては、ただいま皆さんのお手元に配付しております各種法案と、すでに政府において本国会に提出に決しておる一、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案、二、土地收用法の全部を改正する法律案、三、海岸管理法に関する法律案、——議員提出を除き、以上を一括いたしまして、建設当局の説明を求めます。なお河川道路住宅都市計画等に関係を持つておる法律でありますから、関係各課長は居残りを願いたいと思います。
  51. 小林與三次

    ○小林説明員 建設省といたしまして今国会に提案を考慮いたしております法案は、先ほど委員長から申されました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案、土地收用法の全部を改正する法律案及び海岸管理法案、これは一応仮称でありますが、名前はまだ研究中に属します。この法案の概要と進捗の状況と申しますか、これを一括して御説明申し上げたいと思います。  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案は、御承知のごとく金融公庫法が昨年発足いたしまして、その後おおむね円滑な運用を見ておるのでありますが、運用の実際にかんがみまして、貸付條件の緩和その他につきまして、なお検討すべき問題が少くないので、その点を中心にいたしまして、その他公庫の業務の活動が円滑に行くように、住宅行政を推進するために、いろいろ考慮すべき点をできるだけ検討に入れまして、今法案をさつそく準備いたしておるのであります。この法案は関係方面といろいろ折衝の過程にありまして、相当重大な点につきましてはなお十分協議が進んでおりませんが、近く最終意見の表明を見ることになつておりますので、話がまとまり次第提案して、御審議をいただきたいと考えておるのであります。  それから土地収用法の全部を改正する法律案は、この土地收用法は大分古い法律でありまして、いろいろ問題のある法律でありますが、特に土地收用法の中で今度改正の重点にいたしておりますのは、資料にも簡單に書いてありますが、土地を收用使用する事業の範囲を、もう少し具体的にかつ実際の事情に応ずるように整える。これが一つ、それから收用の手続が、従来のやり方はきわめて一方的、專断的な面が少くないので、手続をもう少し民主的にやりかえたい。こういう考えで案を進めておるのであります。その要点は、事業の認定の手続というものをもう少し民主的にして、事業を認定する段階において関係者の意見を十分に聽取し、あるいは一般の意見も参考に入れて、最も実情に即するように考える。その問題が一つ、それからいざ事業認定したあとの收用の手続進行をする場合におきまして、現行法によりますと、收用審査会が最終的の結論をただちに出すことになつておりますが、そうすることなしに、收用の問題で一番大きいのは、御承知通り補償の問題でありますので、この補償の問題はむしろ当事者の協議によるなり、あるいは第三者の入つた調停によるなり、そうした形で進めて行くのが最も合理的なので、收用の手続上協議の問題なり、あるいは調停の問題なりということを手続として認めまして、円滑に收用の事務を進めたい、こういう意味で改正を考えております。それから最も大きな損失補償の問題につきましては、現行法はきわめて簡單にできておりまして、正当な補償をするということのみで片づけられておるのでありますが、それでは問題がかえつて紛糾するゆえんでありまして、もう少し損失の項目と申しますか、何を損失補償すべきかという問題を、できるだけ具体的に法律上基準を掲げるとともに、従来の損失補償は、金銭賠償一本やりで行つておるのであります。これではかえつて実情に沿わないので、かえ地を提供するなり、あるいは住宅の建造物などの移転につきましては、みずから移転工事を引受けるなり、その他いろいろな、なるべく收用しない状態のままに、その線だけでなしに、すべての状態をそのままに置くという建前で、損失補償ということを考える方が、最も現状に即するのではないかというので、いろいろな研究くふうをこらしておるのであります。大体そういうようなことが大きな問題でありますが、この問題は、なかなか一般の民法なり訴訟法なりとの関連も多く、それから実際問題といたしましても、法律問題といたしましても、重要な論点が含まれておりますので、立案にあたりましても、愼重に各方面の意見を聞きながら案を進めておりまして、現在法制局の方で研究を願つておるのでございまして、大体二月の中旬以後、下旬ごろには提案できるのではないかと考えております。  それから、もう二つの海岸管理法案とかりに申しますか、これは御承知通り海岸堤防を中心にした考え方でありますが、先ほどいろいろ問題になつております——つまり地盤沈下の問題、あるいは海岸浸蝕の問題、その他高潮、津波等の問題で、海岸に対する災害の勃発ということが、きわめて少くないのでありますが、これに対する措置をどうすべきかという問題になりますと、いわば無法状態になつておるのであります。しかし事実上建設省におきましても、地方庁におきましても、この問題につきましてはそれぞれの措置を講じつつあるのでありますが、問題の重要性にかんがみまして、ひとつ立法的な措置を講じて、海岸保全の責任を明らかにし、その管理の仕方なり、工事執行のやり方なり、あるいはそれに対する国家の協力の形なり、そうしたものを立法的な基礎の上に置いて、この事務を進めるということがきわめて肝要であろうというので、案を練つておるのであります。大体内部の意見を今まとめつつあるのでありまして、これも二月の最後ぐらいにお手元に提案できるようになれば仕合せだと思つて、馬力をかけておるところであります。提案の際には、ひとつよろしく御協力をお願いいたしたいと思います。
  52. 田中角榮

    田中(角)委員 住宅局長にお伺いしたいのでありますが、耐火建築助成法案を出すのと、もう一つは建築基準法の中の、いわゆる特殊地域の耐火建築に対して助成金が出せないということになると、一部変更もしくは暫定的な特例法を設けるというふうに考えられるのですが、これに対してはどういう考えを持つておられますか。私たちは建築基準法をかえたくないという考えがありまして、できるならば耐火建築助成法を出しておいて、現在提出の法律案でもつて予算的措置を講じられない場合は、一年だつたら一年の猶予期間を設けて、二十七年度からこれを行うというふうにして、なるべく基準法の改正を行つて、いわゆる逆行するような法律案をつくりたくないと考えておるのですが、実情と比べて、このままで一年間ほつたらかしておくということは、ちよつと無理だと思うのですが、何か特別な処置を講じられる御意思がないかどうか、お伺いいたします。
  53. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 お尋ねの耐火建築の助成と、それから建築基準法との関連でございますが、耐火建築の助成につきましては、若干政府補助金を出すという構想で、いろいろ予算的な措置を研究いたしたのでありますが、二十六年度は財政関係で、予算に盛ることが、できなかつたのでございます。ただ衆議院の本会議におきましても、建築基準法を提出いたしました際に、何とか財政的な、あるいは資金的な援助をあわせて行うことが望ましいという御決議があつたわけでありますので、その線に沿うて、将来ともなお努力を続けたいと思つております。  すなわち補助につきましては、二十六年度からただちに実行することはできないわけでありますが、さらに将来の問題として、これをなお研究を進めたいと思いますし、さしあたりの問題といたしましては、何とか金融的な措置で資金的な援助を、補助でなしに別な方法でもまたやる余地がないかどうかということについて、研究をいたしております。その構想など、まだ十分まとまりませんし、また金融関係の方との折衝も十分進んでおりませんので、その程度しかお答えできないのでございますが、なお努力を続けたいと思つております。御指摘のように、それだからといつて建築基準法をすぐ後退をする、在来のように防火地区でありましても、木造の仮設建築を認めて行くように後退してしまうというようなことは、われわれとしましてはなるべくそういう方針はとりたくないと、まつたく同様に考えております。ただ実際の問題とにらみ合せて、あまり建築基準法が制限が強過ぎるという結果になりますことを、また一面考えなければなりませんので、その間の調整は考慮いたしたいと思いますが、ただちに建築基準法を改正してしまうというところまでは、まだわれわれとしましては考えておりません。
  54. 田中角榮

    田中(角)委員 非常に重要な問題でありまして、私たち議員といたしましては、予算編成上五億ぐらいの少額の金であれば、耐火建築助成を行いたいと考えておりまして、なお予算成立までに時間もあるのでありますから、最善の方途を考えるつもりでありますが、建設当局としては、特に局長はアメリカへ行つて来られたのであつて、アメリカから援助資金がもらえるというのであれば、なるべく不燃建造物にもらつて残しておくという手も考えられるのですが、今見返り資金は多少余裕もあるというぐあいで、一面においては公共事業費に対する見返り資金の投下を停止するという面もあるのでありますが、耐火建築助成というような意味に、見返り資金幾らかさいてもらうというような新しい方面に、大いに御努力を願いたい。私たちもあえて支援を惜しむものではありませんが、ぜひとも二十六年度一ぱい、予算計上してないからこのままで見送るというようなことではなく、また金融的措置も考えておられるようでありますが、アメリカへ行つて来られたので、向うの方々とも十分お話なつて来たはずでありますから、新しい知識をひとつ大いに活用されて、見返り資金を獲得されるようにひとつ要望しておきます。  次に、道路局長にひとつお尋ねしておきたいと思うのですが、これはもう少し成案を得てから建設当局とよくお話をしたい、こう思つておつたのですが、今私たち政党員として考える場合、こういうふうに非常に人数がまとまつておるときに、画期的な法律をつくりたい、こういうことを考えております。それは名称はどうなるかわかりませんが、昭和六、七年から八、九年当時行われた救農土木工事というものに対して、救農というよりも興農と言えばいいか、国費を割当てられるときに、非常に大きな負担をしておるところの農山漁村という面は、国費の投下というものが非常に薄いわけであります。申すまでもなく今までの国費の投下というものは、大体都市中心、太平洋沿岸集中ということでありましたので、東北、なかんずく北陸地方は、非常に道路河川が荒れておるわけであります。このために救農土木工事法というがごとき單独法をつくつたらどうか、こういう意見が非常に強くあるのであります。私も今それを真劍に考えておるのであります。この法律は取上げるといいのでありますが、これはいろいろな法律と関連性がありますし、これを單独立法としてつくつた場合に、建設省といわず、一般公共事業は相当制約をせられるというふうになると思うのであります。もちろんこれは單独立法としてつくつた場合、現在の経済安定本部でつくつておるところの公共事業費の配分というような問題も、この法律において相当制約されるのではないかというぐあいに私は考えておる。そういうところまで行かないにしても、これと同じような効果を上げるような処置が、建設省として二十六年度予算でとれないかということも、現実の面から考えている。それは町村工事を行う場合、もちろん町村は地元負担を行うのでありますから、現在国費を町村工事補助しておる。これをもう少し大幅にお上げになるような意思がないかどうか。これをやると、大体救農土木工事法どいうものをつくらなくても、こういうある一面の要望は満たされるのではないか、こういうふうに考えるのであります。これは講和会議でも終つて、主権在民という状態でありますと、地元が三分の一ないし四分の一の負担をなして、しかもこの補助を国に仰ぐ、府県に仰ぐということになりますと、ただ地方自治の精神に幾らか逆行するというだけであつて、これを押えるという手はなかなかむずかしいというふうに考えられるのであります。そうするとそういう法律を基準にして、地方開発、なかんずく地方の土木工事というものに対する予算が組まれるということになるのであつて、今までの予算編成方針と非常に違い、法的に制約を受けるというふうな面もあるのですが、私はそこまで行かない過渡的な、いわゆる現在として何とかいま少し町村工事にする補助の対象を大きくして行くということを、お考えなつてもいいのじやないかと考えるのですが、これはいかがでしよう。特に各府県においては、町村工事というものは府県の計画に入るに非常にたいへんなのです。実際町村が十分負担能力があつても、請願陳情がおそいためとか、今まで長いことそういう歴史を持つておらないために、三年も五年も過ぎてでなければ、なかなか工事が行えないというような現状が、全国各府県に存在するのでありまして、これに対して多少時代的な感覚に逆行するかもしれませんが、実質的な面において工事の助長をはかるということは非常にいいことだと思いますが、これに対してお考えだけでもお伺いしたいと思います。
  55. 菊池明

    ○菊池政府委員 たいへんおもしろい御意見ですが、ただいまの予算の現状では、これは十分御承知と思いますが、町村道にまで十分補助をいたして改良促進するというほどゆたかでない。国道、府県道にも満足にまわらないということでありますから、全面的にこれを強力に進めて行くということはとてもできません。  もう一つは、今のお説のようなことに相なりますのは、将来自治が強化されまして、財政も楽になる、そして町村の方が割にゆたかになると、町村でやはり道路をやりたいという空気に当然なつて来ると思います。その場合に、これは将来道路法の改正のときにも問題になりましようが、法律でもつて、町村がやります場合、府県なり国が負担しなければならぬというふうな強力な法になりますと、今考えている程度、あるいは計上されている程度の予算では、国はとてもこの負担の任務は負えないと思いますので、そういう強いものをお考えなつても、それは実際問題としては実現しかねるじやないかと思います。救農、失業救済的なものをお考えになるのは、また別な方法でお考えになればいいと思いますが、今のままですると、結局は道路関係に割当らるべき国の予算を大幅に増さない限り、むずかしいのではなかろうかと考えております。
  56. 田中角榮

    田中(角)委員 小林課長がおられるので、一つだけ御注文申し上げておきますが、官庁営繕法と官庁建築法というものが、きのうの御説明で提案をしたらどうかというようなお話がありましたが、当建設委員会といたしましては、第一国会このかたまつたく超党派的に、建設行政の一元化ということを口をきわめて申しているのであります。その建設行政の、一元化ということに、ともすれば逆行するように行政機構が変革せられつつあることは、本委員会の最もおもしろからざるところでありますが、建設省としてはいわゆる建設行政の一元化の先がけとなるべき、官庁営繕統一法ともいうべきものをおつくりになろうというお気持ができましたことは、まことに慶賀にたえない次第であります。もしこういうことをおやりになろうとすれば、やつたらどうかというようなお考えではなく、建設行政の一元化の第一段階としては、まず官庁営繕の統一ぐらいできないで、どうして建設行政の一元化ができましようか。これは当然のことでありまして、われわれが建設省設置法の審議をしたときも、現在各省にまたがつている営繕関係の仕事は、ほとんど除外例を設けて、建設大臣と各省大臣の協定において行う場合というふうに、まつたくの但書をもつてこういうふうに膨脹している。こういうものは早急に整理をする必要がある。国費の効率利用という上から考えまして、今のままにしておいたならば、官庁の建物というものはまつたく国民生活と遊離してしまう。だから、現在の特別調達庁の建物はいずこにあるかわからない。これは特殊の業者のみにわかる  ような官庁の存在は、まつたく無意味である。こういう意味で、われわれは官庁営繕統一法というものを、過去五、六箇年間も努力をして来たのでありますから、せつかく建設省がおつくりになろうというならば、早急に御提案に相なりたいという希望を持つております。
  57. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私は都市局長にお伺いいたします。戰災都市復興の問題でありますが、もう六年になんなんといたしまして、各戰災都市は一日も早く復興を完備いたしたいと、努力をしておる次第でありますが、ときどきこの区画整理につきまして、家の移転について、各都市に裁判ざたが起つておることは御承知通りであります。そこで私は一例を申し上げて、都市局としてどういう御処置をなさるつもりであるか、伺いたいと思います。例をあげますると、四国でありまするが、愛媛県の今治市にこういう問題が起りました。それぞれの機関を——委員会へ三つもかけまして、市の理事者が一つの家の移転を決定をいたしたわけであります。それに三年もかかりました。そうして着々その工事を進めておりましたところが、一軒の家が異議を申立てて、裁判をした例があるのであります。そうしてあまりにその本人が頑強に抵抗といいまするか、反対をいたしまするので、やむを得ず代執行を市役所の方でしようといたしましたところが、電話をもつて弁護士を入れて代執行停止の要求をいたしまして、裁判所から代執行の停止が申し渡されました。そこで市役所はちやんとそこまで工事を行つておりましたが、それも中止いたしまして、そうして裁判が二年かかつたわけであります。ところが、それは今治市の勝訴となりました。これは当然市の計画通りやつてよいという結果になつたのであります。しかるに、一たび発しました代執行の停止というものは、これは本人が裁判を続ける限り、最高裁判所の決定があるまで、解くわけには行かないというのであります。そういたしますると市といたしましては、裁判には勝つたけれども、その工事を進めることができない。その一軒がそういう状態でありまするから、市民全体は、もう市役所などの言うことは聞く必要はないのだ。あそこは今までああやつて、五年もがんばつて、まだ動かずにいる。あのまま済むであろう、現在のところで商売ができるではないか、こういうことになりまして、市当局はほとんど手をこまねいてこれを見ておるよりほかに方法がない状態にあるのであります。これは常識的に考えますると、かりに甲なるものが乙に金を一万円貸した。拂わないから、そのカバンを差押えるといつて、乙のカバンを差押えたといたします。ところが裁判をしてみたら、金は貸してなかつた。そうするとそのカバンはもう当然使えるわけでありまするが、行政訴訟におきましては、一たびその差押えたカバンといいまするか、赤紙を張つた状態でございまするが、その代執行停止の命令、決定は、たとい裁判に勝つても、最終決定まで動かすことができないということに相なつておるというのであります。しかしもともと裁判に勝たすというのは、市が勝つということは、市の決定が正しいということを裁判所が認めたのでありまして、そうして市の計画は正しいと認めておきながら、その最初に漠然と出した代執行停止というものの決定のために、高松の高等裁判所は東京の最高裁判所の決定を見るまでは、おそらく数年間市はこの事業継続ができない、実行ができないということになりますと、これは非常に妙な結果になるのでありまするが、都市局としてはこういう問題が起つておるのを、このまま放任なさるおつもりでありますかどうか。これはあるいは法務府の方へ申す方がほんとうかもわかりませんが、しかし実際市としてたよつておるのは都市局であります。都市局と連絡をとつて、建設省と連絡をとつて、今度の戰災復旧はいろいろとやつておるのでありますから、当然こういう場合に私たちの考えられまするのは、一応これは個人と個人の決定ではなくて、三年もかかつて、多くの委員会で多くの人人が愼重審議をして決定をしたことでありますから、それはそれとして一応実施をしておいて、代執行の停止というような非常手段をとらずに、裁判を続けてよろしい。憲法において保障された権利はどこまでも主張してよろしい。そうして最後に、もし市の決定計画が間違つておつた場合には、何百万円の損害でも市が負担するということは、これは法治国として当然であると思います。一応愼重審議して、それぞれの機関にかけて決定をしたその計画を、途中で代執行停止をしておるのを、そのままずつといつまでも放任をしておいて、結局市の計画を実行することができないような状態に放任しておくということは、これはただに一今治市だけの問題ではなくして、全国を通じて、戰災都市の復興の問題に非常な障害を来すと思いますので、都市局長の御意見を承りたいと思います。
  58. 八嶋三郎

    ○八嶋政府委員 ただいまは非常に肯綮に当つたお話がございました。実はその仮執行の問題につきましては、ちよちよい私もお話は承つておるのでございまするが、しかし現実的に二年もかかつて、それがまだ解決しておらないというような事例はあまりありません。今回その問題につきましては、われわれの方でも十分に調べて見たいと思うのでございまするが、地方的にはいろいろと事件を早く処置をしていただきたい、また仮執行の命令を出す場合におきましても、非常に愼重にやつてもらいたいということで、地方的にはそれぞれ大部分のものは解決は遂げておるのでございます。今の法律改正の問題等につきましても、ずつと以前に一ぺん、実は法務府に申し入れたことがあつたように記憶いたしておるのでありますが、法務府といたしましても、ただ研究をしようということになりまして、まだ現在は結論は出ていないわけであります。お話の点は十分その趣旨をくみまして、今後法務当局と十分折衝して参りたいと思つております。
  59. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 今も例にあげました通り、金を貸しているといつてカバンを差押えておいて、貸してなかつた。しかし一日差押えたカバンは永久に使わさぬ、それと同じようなケースになると思いますが、これは不都合千万だと局長はお考えになりますか、どうでありますか。それから仮執行の決定を出しまする場合に、いわゆる代執行を停止せよという一つの決定を出しまする場合に、両者の意見も何も聞いているのではない。のかそうと思つて、市役所の方から、あまり長引くから代執行をやろうとしたところが、本人から弁護士か何かを通じて、裁判所から代執行停止の通知が電話で来たわけであります。そういう際において、両方の意見を聞いて、愼重審議して、民主的な判定を下して、そのように代執行を命じたというのならば、われわれは承服できる。ただ一方的な方面からの電話の報告で、それならとめいというそのときには、おそらく陪審の担当者もきまつてないくらいじやないかと思いますが、一、二の裁判官が自分のちらつとした頭のひらめきで、代執行を停止した。それが正式の裁判を二年もかかつて、これは市の方が正しいのだということがきまつている。その最初の頭のひらめきで、ちらつとして出したその最初の決定が、どこまで行つても解く方法がないというようなことは、これは明らかに法律の盲点でありまして、実にこれは法治国として何とも批評のしようがないのでありますが、局長はその点についてどういうふうにお考えになりますか。それをどういうことでやつておるのか。やむを得ぬ性質のものではありません。その一軒がかわらぬために、全部その計画はおじやんであります。だめであります。また家が動かないために、もうほかへ家を建てねばならぬ人が何人か、五年も家を建てずに生活の根拠を失つておる。一人の人の権利を守るために、本人は非常に不利益だと申されておるのでありますが、かりに不利益としても、その不利益は十割の不利益ではありません。二割か三割の不利益でありますが、二割か三割のその個人の不利益を擁護し、権利を擁護するために、全然家を建てることができない者は、十割の損をじつとこらえておる。家を建てることもできず、十割の損をかけておる。その十割の損失をかけられておる方は、幾人かがじつと黙つて待つておる。移つて行つても、本人の申立て通り、損失があるにしても二割か三割かである。その二割か三割かの個人の損失を守るために、十割の損失をみすみす他の多くの人にかけても平気でほつておく。かような行き方を、はたして都市局として、それをもしかたないと、そのまま放任なさるのでありますか、率直な御意見を伺いたいと思います。
  60. 八嶋三郎

    ○八嶋政府委員 ただいまの御意見は、まつたく御意見の通りでございまして、都市局といたしましては、決してそういうようなものにつきまして放置いたしたくはないのであります。できるだけそういうようなことの起らないように、住民の人たちの了解のもとに、物事をやつて行きたいというのが、第一番の私どもの処置であります。第二の処置といたしましては、どうしてもやむを得ざるときには、大のもののためには、多少小のものの犠牲を忍んで、そして大のものを生かして行くという意味におきまして、いわゆる代執行の規定というものを認められておるのでございますが、ただ一面個人の権利は、最後の場合は裁判所においてこれを決定するということがございますので、そういうことにならざるを得ないのでございまするが、それがただ單に一片の通告によつて、相手方の意思も聞かずにそれを措置するということにつきましては、私どもとしてはいかがかと存じておるのでございまするので、そういうようなことがあつてはならない、できるだけ差押え、その他そうした仮執行というものは、愼重にやつていただかなければならない。またやつた以上は、すみやかにこれを解くべく努力をしていただかなければならないという意味におきまして、そういうような問題が起るときには、すみやかにひとつ裁判所に話をつけて、そうして問題を解いていただきたいということを処置しろという、実は指令を発しておるのでありますが、法律的な問題になりますと、ただ單に特別都市計画法の改正ということだけでは非常にむずかしい。やはり民事訴訟か法務関係の法律の改正ということにならざるを得ないだろうと存じまするので、さきに申し上げたように、かつて法務府に交渉をいたしたことも覚えておるのでございますが、今後御趣旨に従いまして、もう一度十分に当つてみたいと思つております。
  61. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 もう一度当つてみるという御答弁でありまするので、私も多少安心をいたすのでありますが、さらに私は強力に都市局長に申しておきたいと思うわけであります。特に建設省におきましても、住宅局長都市局長に主として行政官が当つておられるという点よりいたしましても、これは單に法律の問題だといつて放任すべき問題ではないと私は考えるのであります。代執行をやる場合にも、まず愼重にやつてもらわなければならぬという局長の御意見は、その通りであります。それからもしやつたら、すみやかに解く方法を講じてもらう、こうお話になりましたが、実はその問題なんです。それが今のところないのです。一度やれば、これは綸言汗のことし、実に妙なものでありまして、永久に最後の最高裁判所の決定まで、どうすることもできぬというのであります。私はかような妙な規定が、法治国にあることをふしぎとするのでありますが、今までの例で申しますならば、松山の地方裁判所において代執行の停止を命じた。そしてそれがそちらの地方裁判所では勝つた。今高松の高等裁判所に提訴になつておるのでございますが、ところがこれを解く場合には、出した所が松山であるので、松山では手が切れたけれども、高松では解くことができぬ。代執行の停止を命じたのは松山であります。ところが松山では一応裁判に勝たした。裁判に勝つたから、それで終りじやないかというわけでありまして、どこへ訴えようもない。高松に行けば、いやこつちで代執行を停止したのではない、松山がやつたんだ、こつちは裁判をするだけだ、こういうわけであります。おそらく東京へ来ても、そうでありましよう。東京の裁判所で何も代執行を停止したのではない。松山では一応勝たしたからおれの手は切れたというわけで、まことに人民はどこへどう行つていいかさつぱりわからぬ。簡單に出した代執行が、それほどすべての裁判の上を行くような強いものであるとするならば、さような代執行の停止なんというものは、容易に出すべきではないと思うのであります。そんな強い権限を裁判所に與えたつもりはない。裁判に勝つた。勝つてもどうにもできぬ。しかも裁判も何もせずに、両方の言い分も何も聞かないで、電話で言うて来る。一旦言うて来たら、地方裁判所で勝ち、高等裁判所で勝つても、その電話一本のことがどうすることもできぬ。さようなことは、都市局としても放任し得ないと思う。一旦そういう代執行の停止が出ても、早く解いてもらうように努力するとお話になりましたけれども、今その道がありません。しかしこれは、ないからといつて放任しておくべき問題ではないと思います。そういう点につきまして早急に都市局としては、全国の百数十の戰災都市の指導監督に当つておられるのでありますから、そういうことのために、地方自治体の行政に対し、市民が疑いを持ち、軽蔑するというような風潮を生じまするならば、ただにこれは都市建設行政だけではなしに、自治行政の根幹をゆすぶる大問題でありますので、これは日本内部の関係官庁で解決がつくものでありますから、早急に真劍に御解決ありますように、特に要望をいたします。
  62. 内海安吉

    内海委員長代理 本日の質疑はこの程度といたしまして、来る二日午後一時より、安本長官並びに建設大臣の出席を求めまして、本日の質疑を続行いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十八分散会