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1951-06-01 第10回国会 衆議院 決算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月一日(金曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 三宅 則義君    理事 金光 義邦君       大上  司君    高塩 三郎君       田中 角榮君    田中不破三君       藤枝 泉介君    畠山 重勇君       上林與市郎君    井之口政雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      平井 平治君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁収部         長)      田所 正幸君         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部長)    忠  佐市君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      大澤  實君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関収入支出決算     —————————————
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより会議を開きます。報告する事項があります。一昨日皆様のお集まりを願つたのでありましたが、委員長が参議院の方に参つておりまして、提案の理由を説明し、かつまた質疑応答に答えるべく出席いたしましたために、はなはだ皆様に御迷惑をかけたことを、ここに御了解を得たいと存じます。本日もすでに本会議があるわけでありまするが、本会議が確定になりましたならば、暫時休憩することをお許し願います。  それでは、本日は決算委員会会議に付する事件といたしまして、昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関収入支出決算議題とし、大蔵省所管中、租税歳入及び不正行為について審議をいたします。検査報告書四十ページ、大蔵省一般会計租税報告番号二九、ないし二九四、すなわち租税徴収過不足を是正させたもの、源泉徴収所得税の未徴収分徴収させたもの、税額算出を誤つたもの、延滞金の未徴収分徴収させたもの及び誤つて租税拂戻金等を支出したもの、以上二百六十六件に関しまする大蔵当局説明を求めます。——大蔵当局がまだ参つておりません。実は昨日も国税庁長官並びに直税部長及び査察部長出席方を要求いたしておきましたが、ちようど本日国税庁管内税務職員二十五年以上勤続者、あるいは二十年以上勤続者もしくは十五年以上の勤続者に対しまする表彰をいたしておるそうであります。間もなく表彰が完了すると思いまするから、完了次第、本委員会出席することと存じます。はなはだ前後いたしまするが、右に関しまして、会計検査院側意見を伺いたいと存じます。  諸君に申し上げまするが、この決算予算と同様に、国の財政経済を担当し、ことにわれわれの血税をどういうふうに取扱つておるかということを見る面から申しましても、きわめて関心の深いことでございます。これに関しまして、会計検査院は独立不覊の立場からして、厳格なる批判をもつて委員会に発表せられんことを望みます。大澤会計検査院第二局長
  3. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいま議題に上りました点につきまして、かいつまんで御説明申し上げます。  その前に会計検査院といたしまして、租税歳入検査をいたしました概略を、四十ぺ—ジから四十一ページにかけて記載しておりますが、それを簡単に申し上げます。  二十四年度租税歳入は、税関で徴収した分を除きまして、収納いたしました総額は五千四十一億余万円で、不納欠損に整理いたしましたのが百十九億余万円、それから収納未済として翌年度に繰越しましたのが千三十八億余万円、こういうことになつております。そして各国税局税務署につきまして検査した結果、会計検査院といたしまして、特に注意を要すると認めた点を次に述べてあります。  まず第一に、各税務署間、または税務署内の各課の間の調査連絡、または資料整備が不十分なために、課税標準額決定を誤つたり、あるいは徴収すべき源泉徴収所得税加算税等徴収していない、または一応徴収をしようとしても、それが遅延しておるというものを、年々相当数検査報告に掲上しておりますが、依然としてそうした件数が多くありまして、それが二九号以下の案件にたくさん並べて示してあります。  次に、一応課税標準額は把握しておりながら、単なる不注意のために、そろばん上の計算違いによりまして、税額算出を誤つている、これがまた相当数に達しておりまして、この検査報告の二八七号として掲げてあります。  それから次に、ただいま申しましたように、収納未済額が非常に多い、千三十八億余万円という数字になつておる。そうしてこの収納未済に対しましては、それぞれ滞納処分を行うとか、あるいは督促をして納付させるとかいうように、相当税務署側でも努力の跡は見られるのでありますが、この千三十八億余万円の収納未済の中には、当初の徴收決定が、何といいますか、いわゆる均衡調査といいますか、実際の調査をせずに決定したために、あとからよく調べてみると不合理な点がある。そういう意味におきまして、誤謬訂正をいたしまして、徴収決定取消している、これが相当な額に達しておりまして、具体的な計数ははつきり把握しておりませんが、ちよつとかいつまんでみたところでも、二百億円以上の金額というものが、後になつて徴収決定取消しがされておる。この取消し内容の大きなものにつきましては、会計検査院におきましてそれぞれ調査いたしておるのでありますが、結側は、当初の決定というものがずさんであつたというような結論に達するもりが多いのであります。そういう点がよく見られた点であります。それから次には、不納欠損処分を相当行つておるのであります。その内容個々に当つて見ますと、たとえば前十度には相当な資力があつた、それが突然として不納欠損になつている、しかも翌年度においては、また担税力を持つている。よく調べてみると、それは担税力がなかつたのではなくて、よく調査をせずに、不納欠損にしておるのだと考ええられる点がちよちよい見受けられる。こうした件数会計検査院調査しました結果だけに見ましても、約二千件というものは、不納欠損処分がずさんではなかつたかというように思われる点があるのであります。それから次には、税務署に備えつけてあります帳簿書類の整理が不備でありまして、ことに所得調査簿——各人別所得調査して、税額を算定してる所得調査簿が、実際に納税告知書を発行する場合の基本となる徴収簿と符合していない。つまり書き移しその他を誤つている、あるいはその徴収簿自体の記入が正確でないようなものが、これまた相当ありまして、会計検査院が指摘いたしまして、是正させたものだけでも、約二千件ほどあつたと記憶しております。そうした件数に上つているわけであります。こういうように、多くの租税を扱うための多少の手違いということは、神様のやる仕事でないので、ある程度出て来るのはやむを得ないかと思いますが、少しその手違い程度がひど過ぎるのではないかという感じがするのであります。何分にもいわゆる国民血税でありますから、もつと厳正な調査をし、厳正な計算行つて、とるべきものをとるというように、もう一歩職員訓練が必要ではなかろうか、こう感ずるわけであります。  そのほかに、収税担当職員が、税金等をほしいままに領得しておりますいわゆる不正行為というものが非常に多いのであります。それはこの検査報告の三六一号以下に約二十数件にわたつて掲げてありますが、これは非常に遺憾なことでありまして、国民血税たる税金が、一収税職員のためにほしいままに領得されてしまうということは、非常に遺憾な点だと思います。国民納税意識に影響するところもきわめて大きなものであります。これに対しては、収税担当職員訓練、資質の向上ということが必要であると同時に、この収税機構というものに対して、相当考慮の余地があるのではなかろうか。後に詳しく申し上げますが、職員不正行為によつてとられているというものの大半は、督促に参りまして、出先で税の集金をするという場合に、集金したものをすぐ日本銀行に拂い込むことなく、あるいは名刺の裏に、仮領収証あるいは預かり証というような名前で一応渡しておいて、その金をみずからのポケットに入れてしまう、これが非常に多いのであります。出張集金という制度そのものに、もう少し何といいますか、はつきりした組織をつくりまして、こういう方法でやらなければ、納税にはならないのだということを認識させ、納税義務者である国民自身も、こういう領収証をもらわなければ、自分の納税義務は果し得ないのだという一つ法的機構によりますれば、こうした多くの租税収納、の不正領得というものは、相当減少されるのではなかろうか、こう考える点もあるのであります。ともかく租税収納担当職員訓練には、なお一層の努力をする必要があると認める次第であります。  以上が、各税務署を通じまして検査した上に、検査院といたしまして、注意を要すると認めた点を述べたのでありまして、なおこのほかに、過誤納税金━━税金を多く納め過ぎた、あるいは誤つて納めたものは、当然拂いもどしをする、あるいは次の税金に充当するとか、すみやかに処置すべきものでありますが、これの処置が相当遅延しておるものが多い。これなどもすみやかに拂いもどしすべきものは拙いもどすというように、事務迅速化をはかることが、納税思想の高揚の上からいつても、きわめて必要ではなかろうかと考える次第であります。  以上概略を申し上げました。  次に、個々案件に入りますが、二九号から二六一号までの租税徴収過不足を是正させたもの——これは会計検査院が各税務署検査いたしまして、それぞれいろいろな資料から、徴収不足あるいは徴収過があるというものを発見いたしまして、相手方税務署に照会いたしまして、その結果、相手方税務署の方も、会計検査院の見解が正当であると認めて、それぞれ是正の手続とつたものを掲げたのであります。そうしたものは、一事項五万円以上のものだけでも、総額におきまして、徴収不足が二百二十件、一億八千余万円、徴収過の分が十二件で、二百二十余万円ということになつておる。その詳しい内容が二九号からずつと表にしてあります。この分は一応説明を省略させていただきます。  次に五十五ページの二六二号から二八六号までの案件——これは源泉徴収所得税を、各事業主従業員から徴収をいたしまして、これは当然税法の規定によりまして、翌月の十日までに国に納付しなければならないということになつておりますのを、事業主がこれを納付せずに、自己の会社営業資金その他に運用している。そのために会計検査院で各税務署をして検査させました結果は、まだ納付に至つていないものが相当あるのであります。これをそれぞれ整理させまして、全部未徴收分徴収させたものを、二六二号から二八六号までに揚げてある次第であります。  次に、五十七ページの二八七号、税額算出を誤つたもの、——これが先ほど申しましたように、課税標準そのものは、それぞれ正当に把握してあるのでありますが、単なるそろばん違いのために、その税額算出を誤つているものにつきまして、この表でごらんになりますればわかりますように、徴収過の分が全部で四百十五件で千五百余万円、徴収不足の分が四百三十三件で千三百余万円、両方合せますと、八百四十八件という数字のものが税額算出を誤つておる。これも一万円以上のものだけを掲げたのでありまして、一万円未満の不足はまだこのほかにあるわけであります。こうした単なるそろばん違い税金が移動することになりますと、ますます国民としては、非常に納税ということに対する疑惑を持つのではなかろうか。この点に対しましては、各税務署職員訓練ということが、先ほど申しましたように、非常に必要ではなかろうかと考えておる次第であります。  次の二八八号から二九三号までの余は、延滞金の未徴収分徴収させたものでありまして、御承知の通り租税納期に納めない場合には、延滞利子を附加することになつております。それをとらずにおりましたものを、検査院検査の結果、発見いたしまして、とらせるようにいたした件数が、ここに出ておるわけであります。  最後に、二九四号の案件でありますが、これは金沢国税局三田某という人に対しまして、当時における所得税未納額一万四千七百十円のうち、千二百三十円を納めて来たわけであります。この千二百二十円納めて来たのを、どう取違えましたのか三十万一千二百二十円納めた、こういうように帳簿に記入いたしましたために、これは取過ぎではなかろうかということで、過誤納租税拂戻金といたしまして、三十五万余円というものを三田某に還付したわけであります。全然とつていないところに対しまして、還付したわけであります、本来から言いますれば、還付を受けた三田某も、そうしたものをとるべき筋合いではないと言つて、すぐ申し出るべきでありますが、そうした点もなくして、そのまま三田某がもらつてまつたというために、多くの者が困るようになつたのであります。会計検査院検査いたしました結果、それを発見いたしまして、すぐ取立てるように照会を発しまして、やつております。返納処分手続は済ませましたが、たしか最近までの報告によりますと、まだこれは返納には至つていないような状況であります。  以上、三九四号までをかいつまんで御報告申し上げました。
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま大澤会計検査院第二局長から、詳細な説明がありました。これに関しまして、大蔵当局国税庁長官、直税部長、あるいは査察部長から、適当なる返事もしくはあいさつがあるはずでありまするが、まだ出席をいたしておりませんから、出席次第、厳重にこれを取調べます。  実は会計検査院の方に質疑することはどうかと考えますが、せつかく来ておられますから、この際質疑を許します。
  5. 井之口政雄

    井之口委員 会計検査院が、日本全体の厖大な税金徴収検査されておられますが、それは九牛の一毛にすぎないと思うのであります。それでさえも、こうした多くの不当事項があげられております。まず第一に、ここに指摘されております通り資料整備が不十分のために、課税標準額決定を誤つたものとか、徴収すべき源泉徴収所得税加算税徴収しなかつたものとか、または徴収を遅延したものが依然として多い。いろいろこうあげておりますが、こうした徴収報告について、全体何割ぐらいの調査会計検査院において行われておるか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
  6. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまのお尋ねでございますが、会計検査院が各税務署検査いたしまする度数といいますか、これは検査院人員都合あるいは予算都合もありまして、全部には行き渡りませんで、二十三年度ごろまでは三分の一ないし四分の一の税務署を一年に見てまわるという程度であります。それがだんだんと予算の方も認めていただきまして二十四年度分、つまり二十五年に検査しました分におきましては、税務署の約半数くらいは検査しておると思います。ただいま具体的な計数は持ち合せませんが、大体のところ税務署は全部で幾つありましたか、ちよつとはつきりいたしませんが、約半数税務署検査しておる、こういうように記憶しております。
  7. 井之口政雄

    井之口委員 そうしますと、これを全般的に、正確なる調査をしようとすれば、今の人員の倍くらいふやさなければできないという結論になると思いますが、それくらいでやつて行けるでしようか。税務署の数は半分くらいにいたしましても、またその内容調査について、全般的に目が通されているのか、あるいはそのうちの十分の一ぐらいのものに目を通すのか、この辺をひとつお伺いしたいと思います。
  8. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまのお尋ねでございますが、確かに税務署は半分こなしても、その税務署の全部の収納個々にわたつて、総体的に見ることは、きわめて困難な問題になります。もしも全部の税収入を巨細に点検することになりますれば、現在の職員の倍でも、とても困難ではなかろうかと考えます。  なお御参考までに申し上げますが、これに関しましては、国税庁側でも、内部査察といいますか、これが必要だということを認めまして、最近におきましては、そうした内部において徴収過不足がないかということを、事後において調べる一つ調査といいますか、ちよつと名前を忘れましたが、そういうようなものを設けまして、約十名の職員を配置して、これをやろうということを、最近決定したように聞いております。従いまして、国税庁内部でも事後検査し、会計検査院でもできるだけ事後において調べるということによつて、一歩でも正確な線に近づけるように進みたい、こういうように考えておる次第であります。
  9. 井之口政雄

    井之口委員 この税金徴収に対しまして、われわれが顧慮いたしますることは、大きな所得を持つていながら、脱税をやつている、あるいは不足分をそのまま看過されているというふうな点がありはせぬか。しかるに、これに反対いたしまして、こく零細なる税金しか納めることのできない人たちに対して実に追究これ努め、徴税方面において、苛斂誅求がはなはだしく行われるということがありはしないか、こう考えるのであります。大きいところからはどんどんとるべきである。しかるにそういう方面からはとらないで、小さいものに対しては、千円とか二千円くらいな滞納に対しても、十五人も二十人も税務官を差向けて差押えをやるというのが、今日の徴税方法において、日常問々見受けるところであります。ところで、会計検査院といたしましては、そういう実質上の点にまでも入つて調査されることが、絶対に必要ではなかろうかと思うのであります。徴収不足事項百万円以上のもの、あるいは百万円以下のものがここに列挙されておりまするが、しかしこれはたまたま不足していたものだけの列挙でありまして、法律の上からは何らの不足分とかなんとかいうものはないにしても、なお税金を納めないで滞納しておる、そしてそれが差押えにもなつていない。またはその間に税務官と結託して、いろいろな帳簿のごまかしをやる、二重帳簿をもつてやるというふうな点がある。これを会計検査院はおろそかにしているのじやなかろうか。そういうふうなものこそは、まつ先に発表して、どこの何兵衛がこういうふうな大きな滞納をやつている、非常な資産家でありながら、こうした滞納をやる、百万円以上または五十万円以上の滞納をして、依然としてそこの税務署が見のがしておるというようなことを調べて、初めて会計検査院の役割が勤まるのじやなかろうかと思うのであります。そういう方面調査はお持合せないのでありますか。
  10. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまの、大口を見のがしているのじやなかろうかという御意見でございますが、会計検査院といたしましては、大口を見のがすとか、その徴収に力の入れ方を違えるとかいうことはありません。むしろ小品の徴収の方が、あるいは少し力が抜けるかもしれませんが、ただそこで一つの難関となりますことは、会計検査院権限といたしましては、相手方会社につきまして、あるいはその実際の帳簿及びそれに基く伝票なり証拠書類なりを検査する権限はないのでありまして、あくまでも税務署に提出されている計算書なり、バランスなりというものから、検査院としては検討するよりしかたがないということになりますと、そこに一つの大きな制約ができて来ると思います。しかしその資料によりましても、あるいは損費として落すべき経費が多過ぎる、あるいは資本的支出に属するものを損費としてあげておるというような点は、それぞれあらゆる角度から検討いたしまして、脱税の事実がないかということは、十分に検討しているわけでございます。それから大口滞納者に対して見のがしていはしないかという点でありますが、もちろん滞納者に対しましては、その収納を促進させるということが、国家財政の上からもきわめて必要なのでありまして、この点に対しましては、検査の都度、各税務署につきまして、なぜこれを早くとらないのだということは、それぞれ慫慂いたしまして、その結果最近におきましては、相当大きな会社におきまする滞納処分その他の方法が講じられていると思います。そうしたわけでございまして、会計検査院といたしましても、ただいまの井之口委員の御意見のように、大口を見のがしているのではなかろうかというふうな御意見が出ることをおそれまして、大口の分には十分な力を注いでいるわけであります。でありますが、いかんせん先ほど申しましたような検査権限制約から、そうしたものが十分に行われない。それから、ときどきそれが国税庁査察によつて発見され、新聞に発表されることがありまして、そういう点におきましては、検査院といたしましては、何とかもう少し権限を付與していただくか、あるいはもつと国税庁内部監査機構というものを拡充して行くか、どつちかの方法をとらなければならないのではなかろうかというように考えておる次第でございます。
  11. 井之口政雄

    井之口委員 まつたく当事者の会計検査院においてそうお考えになるのも、もつともだと思うのであります。税務官はどんどんふやして行つて、そしてわずかなものに対しても、徹底的な苛斂誅求をやつているようであります。しかるに、その監督方面にある会計検査院人員不足内部の実質的な調査の不可能というふうな点から、租税の負担が不公平となり、多くの者が今の税法を否定しているようになつているわけであります。ここの一例をとつてみますと、神戸で、神戸製鋼所が二十四年の一月から四月までの間に支拂つた給與に対する源泉徴収所得税の三千二百万円は、納期限を経過して納付されたのに、それに対する加算税徴収しなかつたといつて、ここに約二百七十一万円の加算税徴収未納を摘記されております。しかるにこの源泉徴収所得税なるものは、すでに勤労者に対して給料を支拂う場合に、天引きして支拂つているのでありますから、会社はそれを所得しておる。それを遅らせて、その間に運転資金として暴利をむさぼつているだけでなく、加算税でさえも二百七十一万円というものが未徴收になつているというようになつております。しかしてここで指摘されているのは、その不足額の二百七十一万円だけでありまして、この源泉徴収所得税の方の期限が遅れたというふうな点は、もつともつと各会社について徹底的な調査をやらなければならぬのじやなかろうかと思います。こうした勤労所得税をとりながら、なおそれを国庫に納めないで、納期を遅らせて迷惑をかけているというふうな会社に、三菱関係会社が非常に多かつたように思いますが、全般的に言つて会計検査院では大口の方のどういうふうなところが、これまでこうした滞納行つていたか、その点をひとつ発表してもらいたいと思います。
  12. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまのお尋ねでございますが、源泉徴収所得税納付を怠つていたという点は、二十四年度につきましては、五十五ページの二六二号から二八六号までに掲げているのがそれでありまして、先ほども御説明申し上げましたように、ここに並べてある各会社は、結局翌月十日という納期を守らずに遅れて納付している。会計検査院納付させるべきではないかと言つて、初めて税務署側督促をいたしまして納付させた案件であります。これが納付されますと、その間のいわゆる延滞金に対しまする加算税、これが一緒に納付されるべきであります。そのうち相当納付されて来ているのもありますが、納付がなかつた場合には、ただいま御指摘になりました神戸製鋼所のように、今度は加算税も合せて納付すべきではないかということで、会計検査院の方から照会を発しまして、納付方法をとらせるというふうな手続をとつておりまして、今御指摘のように、大会社を擁護するために遅らせているかどうかという点につきましては、これは国税庁の方から、いずれ説明はあると思いますが、会計検査院検査にまわりました結果を申しますれば、そうした個々の行為によるのではなくて、担当職員事務の怠慢といいますか、事務が遅れている、当然帳簿上この分は遅れているということがわかりながら、督促も何もせずにいる。そうしてなぜ督促をしないかというと、結局事務が忙しくてそこまで手がまわらなかつたというような説明がございまして、さつそく督促して徴収すべきだ、こういうようにしてとつております。なおどこが遅れているかという会社名につきましては、ここに並べてあるのがみんな遅れておるのでありますが、傾向として、どこがいつもそうだというような一つの傾向は、ちよつと見受けられないように思います。
  13. 井之口政雄

    井之口委員 今の神戸製鋼は、ここの二六二から二八六の間の二七二、二七三の中に出て来なければならぬと思うのですが、それによると、「外一一名」とか「外五名」とかいうようになつておるのでございますが、事実そこに入つておるのでございましようか、どうですか。
  14. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまの点でございますが、この神戸製鋼所の例は、会計検査院神戸製鋼所に参りましたときは、神戸製鋼所の方から、税務署のその後の督促を待たず、納めておつたのであります。ただ加算税を納めてなかつた。従つて会計検査院より督促して加算税とつたというようなことでございます。従つてここには神戸製鋼の分は入つていないわけでございます。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 この加算税を、大きなところから事実とつていますか、どうですか。たいがいこれは棒引きにしてしまつて加算税は実際上、法律にはあるようなものの、大きなところからは加算税は、とても大きなやつが残ると思いますが、実際上とつているでしようか、その辺はどうですか。
  16. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまの点は、とつております。とつてないのは、こうして検査院で照会を発しまして、とらせるようにいたしております。この点に対しましては、会社によつてしんしやくするということはいたしておりません。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは委員長からちよつとお尋ねいたします。報告番号の二八七、税額算出を誤つたもの一これによると、二千九百万円に上る税額の過不足が、わずか九十七の税務署にあつたということでございまするが、会計検査院は、この検査を幾つぐらいの税務署に対してやつたか。先ほどもちよつとお話があつたようでありますが、この問題については、どういうふうにやられたかという点を承ります。なお人手の関係などで、検査ができなかつたかとも考えておりまするが、税務署の方とどういうような連絡をとつてやられたか、この辺について率直に承りたいと存じます。
  18. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 税務署検査に参りますと、先ほどちよつと申しましたが、全部については検査をする余力がない場合があります。しかしながら、ある税務署につきましては特別検査をいたす、つまり全部の税目につきまして税金算出計算だけを徹底的に調べるという方法をとりまして、二十五年度におきましては、十の税務署につきまして職員が七名ないし十名の者が、たとえば鶴見の税務署なら税務署というものに参りまして、すべてのその所得調査簿計算だけを克明に当りました。その結果の違いというものが相当あります。そのほかに、大きなものにつきましては、一般の検査の場合にも、そうした計数検査をいたしておるのでありまして、ここの九十七箇所のうちの十箇所というものは、いわば徹底的に調べた結果の数字が出ております。あとのところは、一般検査に附随して計算検査した結果が出ている。だから、その方は十分なすべての計数が出ていないではなかろうかと思われるのであります。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは、さらに申し上げますが、この種のことは税務署の共通の間違いであろう、こういうふうにして見通しがついたならば、所轄国税局━━東京の国税本庁のもとには、東京国税局とか関東信越国税局というものがあり、また大阪にもあり、あるいは仙台、札幌にもあるということでありまするが、そういうような国税局を使つてみましたならば、どうかという点もあるわけです。次に政府の説明もあると思いまするが、二十三年度中に是正いたしたものもあります。そうして二十三年度分が検査報告になつておるわけでありまするが、その後どういうふうに報告がなされておるかというようなことを考えるわけであります。会計検査院説明が十分でありますれば、だんだんと税務署長もしくは税務署も、よくこれに対しましてヒントを得まして、解決すべきであると思います。税務署自身あるいは国税局自身が、もう少し監督を厳にする必要がありまするが、これに対しまして、大蔵省の御意見を承りたいと存じます。  ちよつと速記をやめて。     〔速記中止〕
  20. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 速記を始めて。  ただいま出席せられましたのは、前大蔵省主税局調査課長の忠佐市君、現在は国税庁査察部長でありまするが、詳しい方でありまするから、長官の代理といたしまして忠査察部長に答弁をいたさせます。  もう一度私より申し上げまするが、会計検査院の指摘せられまするのは、もちろんでありまするが、会計検査院の指摘する前に、各国税局でもつて、十分に下の方の税務署を監督し、指導する、間違つたならば自発的に直す、こういう線を出していただきたいと委員長は思つておるわけです。なお税務署調査報告書は、一部は国税局に参り、一部は会計検査院へ参ると考えております。両方相関連をいたしましてやつたならば、率直に、早くわかるのではないかと思いまするが、これに対しまする政府当局の答弁を求めます。
  21. 忠佐市

    ○忠説明員 ただいま委員長からお話がございました税務署並びに国税局の賦課及び徴收に関する事務について、内部においていかなる監督をいたすべきか、それから違法または不当な処分に対していかなる是正処分をいたすべきか、かような問題につきましては、税務行政機構の根本の問題でございまして、昭和二十二、三年ごろ、相当税務の事務が輻輳して参りまして、相当混乱をいたしました直後、機構の確立、それから指揮権の上層より下層に通ずる一貫的な、しかも機動的な徹底という措置につきまして研究を遂げ、しかもそれを着々実施に移して参つたような次第でございます。まず昭和二十四年におきまして監督官の制度を設けまして、国税庁直轄の監督官六十名が、全国各国税局にも分遣されまして、税務の運営、特に賦課の面の適当性、それから徴収の面の妥当性という面について、監督をいたして参つた次第でございます。しかし、多数の事件でございまして、それが全部に対して目が通らないという点がございまして、会計検査院から御指摘のような遺憾な問題が起つておりますことについて、はなはだ申訳ない次第と考えております。そこで問題は、この税務の事務の分量があまりにも多大であつて、しかも財政面の要請からいたしまして、どうしても予定の租税收入を確保することが、財政経済全般の施策の中核であるという点からいたしまして、そういう事務の推進の面に力を注ぐような結果となりましたので、監督の点が多少手が届かなかつたかと思います。問題はその点にございます。従いまして、昭和二十五年度においては、相当税務の事務が軌道に乗りまして、ある程度監督の手が十分行き届く態勢になりました。それが二十六年度、特に二十七年度に相なりますれば、課税及び徴収の面について、税務の事務が相当整理される、従いまして監督の手が十分延びるというような自然的な環境が生れて参りました次第でございます。それに加えまして、国税庁におきましては、新しく事後審査の制度というものを設けることにいたしております。課税いたしました一々の案件につきまして、それが会計検査院の書面審理に移ります前に、私どもの手においてもう一回再審査をいたしてみる、それによつて相当の事務の是正ができる心のと一応考えるわけであります。この行き方は、協議団の取扱いましたものにつきましても、協議団の上層機構においてもり一回再審査をする機構をつくろう。その再審査を国税庁でいたしますこと自体が、下級税務機関における調査あるいは賦課の事務を的確ならしめる、こういうようなねらいが出て参るものと思います。これによりまして会計検査院の御検査の方がまた相当ゆとりが出て参りまして、また的確な御監督ができるのではないか、かように考えておる次第でございます。  そのほかに徴收事務の改善につきましては、この前、長官からもお話がございまして、いろいろと御質問をいただいておるところでございまして、この徴収事務の改善につきましては、なお一層検討を要する面がございまするが、大体において、私どもはあの線を強化することによりまして、目的を達成するのではないかと考えておる次第であります。
  22. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これに関連しまして、もう一度申しまするが、高橋国税庁長官代理の忠部長がおいでになりましたから、ほかの御質問も許しまするが、なお私のお問い申し上げたい事柄は、先ほど国税庁の御出席の前に、大澤会計検査院第一局長から、るる御説明の点がありました。そのうちの一端を申しまするが、この徴収する場合、出先に若い官吏が出て行きまして受け取る、受取つた金を自分が着服してしまつて、ほんとうの国税局あるいは国税本庁には入つていない、税務署には入らないという非常な不合理があるから、これを国民諸君にもはつきりするような領収証を出すとか、あるいは領収証を出した以上は、絶対に間違わないという、正確にして信頼に足るべき領収証国民に示す必要があると思いますが、これに対して、国税庁は何と考えておりますか、御意見を伺います。
  23. 忠佐市

    ○忠説明員 ごもつともなお話だと思います。その点につきましては、この前申し上げましたように、資格を正当に與えられました収税官吏が、納税者の宅に参りましてお金を預かつて参るという場合には、四枚続きの複写紙で書きました領収証を差上げることになつております。従いまして、この領収証の大体の原型を、たとえば「税のしるべ」のような宣伝刊行物に載せまして、国民納税者の皆様にあらかじめ御承知を願つておく。さようなことによりまして、形式の違つた、任意の領収証などをお受取りにならないように、正しい領収証を受取つていただくことができますれば、その四枚続きの複写紙の字体の仕組みによりまして、完全にそれが銀行に拂い込まれませんうちは、收税官吏の手元に金が残されているということがわかりまするので、そういうような施策を、これからもつと強化して進めて参りたいと考えております。
  24. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一つ申しますが、二九四━━ページ数で五十九ページ、誤つて租税拂戻金等を支出したもの━━先ほど大澤検査第二局長によりますると、金沢におきましても、三十万円も余分に拂いもどししたということがあつたので、はなはだ不面目この上もないということを考えておりまするが、国税庁といたしましては、そういうようなことに対してどのような結果になつておりまするか、御調査がありましたら、承りたいと思います。
  25. 忠佐市

    ○忠説明員 説明書に書いてございまするよりに、法律上の手続といたしましては、誤拂額の返納について即決和解の判決を受けた、そうして分割拂いをさせることにいたしたわけでございまして、これは相手方に弁済資力がございますれば、すぐに弁済をしておるものと思いますが、なかなか任意に弁済いたしておりません。従いまして、ただいま強制執行の手続をとろう、こういうことで法務府と打合せをいたしておるわけでございまするが、まだそれが確実に実行ざれるという段階に至つておりませんので、急速にその手続を進めたいと考えております。
  26. 大上司

    ○大上委員 一言お尋ねします。ただいま委員長からお話があつたのですが、なるほど本検査報告に関する説明書には、ただいま忠さんのお答えはなるほどと思うのですが、私が伺いたい点は、なぜこのようなことができたのか。行政機構上の誤りか、さもなくばこれの執行官の監督者の誤りか。あるいはこれをもつとうがつて行くならば、いわゆる今日の税のあり方というか、その歳入の面におけるところの非常な無理があるのじやないか。このような点を、見方をかえて私はお尋ねしたいと思います。その点の見解について、政府の御答弁をちようだいしたいと思います。
  27. 忠佐市

    ○忠説明員 過誤納の整理につきましては、一応直税関係あるいは間税関係において帳簿上課税が過大であるというような整理ができますと、それを総務課の方にまわしまして、返還と申しますか、還付の手続をいたすことに相なります。従いまして、実際においてよけいに拂い込まれた税金拂いもどすというような場合におきましては、経理の担当者でありますところの総務課の課員が必要な書類を作成いたしまして、それを、もと課税の処分をいたしました直税あるいは間税の担当官の方にその書類をまわして参ることになつております。そこで、過納になつておりますことを確認いたしました上で、手続をすることになつておるわけでございまするが、その連絡その他において欠けるところがあつた。それから帳簿の整理が非常に正確になつておりますれば、このような間違いはないわけでございまするが、この当時の状況といたしまして、監督の点に遺憾の点がございまして、このような失態をしでかしたわけでございまして、こういうことのないようにいたしますために、現在の総務課の事務を内外両部面にわけますとか、係の責任を明らかにするように、お互いにチェックし合うような組織をつくるというようなことにいたしまして、一人の手元においてつくりました書類がそつくりそのまま実行されてしまうというようなことがないようにいたして、内部的にも数名の職員が一応監督をする、その結果、責任者である課長あるいは所長が責任をもつた処分をする、このような方式を徹底化したいというふうにいたしておる次第でございます。この事件につきましては、そのような手落ちがありましたことは、まことに私どもといたしまして遺憾である、かように存じておる次第でございます。
  28. 大上司

    ○大上委員 改正せられた点も、るる承つたのですが、結論は、いわゆる昭和二十二年度所得税一万四千七百円余り、この收納済額が一千二百円、これをなぜ三十万一千二百円というようなことに整理したか、そこにわれわれは大きな疑念を抱くのです。たまたまこの会計検査院のいわゆる批難事項としてこれはあがつておるのですが、全国にはまだこういう例があるのではないか、このように思うのですが、忠さんはどう思つておられるか。それが一つと、同じくこれはまつたく事務上の失態といえばそれまでですけれども、いやしくもわれわれは、特に私は、あらゆる場合に言うのですが、国民的な感情の面から見たら、お役所の仕事は間違いない。しかもこれについては令書なら令書というものがいろいろあると思うのですが、なぜこのようになるか、これが非常に疑念を持つのですが、その点もう少し答えてもらいたいと思います。
  29. 忠佐市

    ○忠説明員 その点につきましては、調査をいたしました報告書を、実はあまり詳しく調査をいたしておりませんので、はなはだその点明確を欠いておる次第でございますが、このような事件は実は異例であると考えます。御承知のように、千二百二十円と書くところを、その数字の上に三〇が加えられて三十万一千二百二十円となつたような事件でございまして、どちらかと申しますと、これはそう日常ひんぴんとして起る事件ではないので、きわめて例外的な誤りである、このように考えます次第でございまするが、なお支出済みの監督につきましては、ただいま特別の監査をいたしておる次第でございますので、誤りが発見いたされましたならば、すみやかに是正いたしたい、かように考えております。
  30. 大上司

    ○大上委員 ひとつ、最初から系統立つてお尋ねします。まず会計検査院大澤局長お尋ねをしたいのですが、われわれが国会議員としてこの立法に当るについて、私は毎回申し上げるのですが、われわれが自信を持つてこれら国民の生活、あるいは国のあらゆる職務遂行について、是なりと見て賛成し、あるいはこれを愼重審議する。ところが、この税法上━━たまたま税の問題が出ておりますから税ですが、われわれが関知しない間に、いわゆる法律と同じような効果を持つたところの通牒とか、あるいは内部規定または事務規程、または省令告示というようなものが現在もあるように考えるのですが、もちろんこの根幹は、所得税法なりあらゆる税法に立脚すべきが当然であり、それを逸脱すればこれは何のための立法であるか、行政であるかという疑点があります。ところが、小さい問題において、しかもそれが国民生活に非常に大きな影響を及ぼす、こういうようなもので、特に税法が、さいぜん申し上げましたような法律的な効果をあげておるところの通牒なりあるいは事務規程等によつて、相当違つた行き方をしておるのじやないか、このように私は考えるのですが、はたしてそれが会計検査院の面から見られて、あるかないかという点をお尋ねしたい。
  31. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまの点でありまするが、会計検査院といたしましては、もちろん法律に基いているということでやつておるのでありまして、通牒あるいは省令というものは、ただ法律の施行に伴ういわゆるそれを補充する範囲において効力がある。でありますから、法律に反した通牒なり省令なりがあつたとしますれば、その省令なり通牒は、会計検査院の立場から認めないという方針で、すべての調査を進めております。ただ補充的に、法律では解釈が二途に出るというような場合に、通牒でその解釈を出される。会計検査院にしても、その解釈が、まあ法律の解釈としては適当であろうという場合には、その通牒なりの解釈に従いまするが、いやしくも法律に違つておるような通牒があつたとしますれば、もちろん会計検査院としては、そういう通牒はないものと考えて、検査を進めております。
  32. 大上司

    ○大上委員 よくわかりました。ついては、会計検査院が各地へお調べに出て、そういうものがあつたかなかつたか、それを認めるか認めないかというような事故が過去にあつたかなかつたかということをお尋ねしたい。  次にお尋ねしたい点は、いわゆる会計検査院報告についての説明書があります。それについて、はなはだ遺憾である、嚴重担当者を処分する、あるいは注意をするという答弁書になつておりますが、会計検査院はこれを批難事項として、一回だけお取り上げになるのか、さらにその結末を次年度において、継続審議といいますか、報告は毎年度やるのですから、過年度分も追加なされてやつておるかいなかという点を御質問したい。
  33. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 第一のお尋ねの、いわゆる法律に違反した通牒に基いたものをいかぬといつた例があるか、こういうお尋ねでございますが、ただいま私が記憶しておる範囲内におきましては、そうした点で検査報告に載つてるのは、ちよつと見当らないかと思います。検査報告にならない先に、たとえばこれは税の関係ではございませんが、社会保険におきまして、延滞金はある点においてはとらぬでもいいという通牒を出された。しかし、それは法律上とるべきだ、だからそういう通牒はいかぬではないか、こういう点で厚生当局の方へ申し入れまして、それを追徴すべく、検査院としてやつているという例はございます。検査報告にただいま出ている例としては、ちよつと記憶がありません。  次のお尋ねの、継続審査をしているかどうか、これは会計検査院といたしましては、たとえばこの検査報告の二百三十二頁からあとに、既往年度決算検査報告掲記事項に対するその後の処理状況というのがありますが、その大きなものにつきましては、その後処理がどうしたかということを簡単に御報告申し上げております。そうしてその事項は、大体是正の道に進んでいる。こういうようにお考えくださつてけつこうだと思います。ただ租税の問題で、是正させた、更正決定をさせた、これが收納になつたかどうかという点は、個々の問題につきましては、それぞれまた次の検査の場合に調査いたしておりますが、それが全体にどれだけ收納になつているかということは、ただいまのところ、ちよつと具体的に調査した資料はございませんので、はなはだ何ですが、ちよつとお答えができない次第であります。
  34. 大上司

    ○大上委員 いま一つお尋ねします。いろいろ検査なさつて、その報告書が出ておりまするが、会計検査院の立場からながめられまして、本来のいわゆる税務行政の第一線者の素質というか、あるいは能力というか、法律を施行し得るだけの能力者といいますか、それをどう考えられるか。その後更正決定というようなものについては、いろいろ事務当局から非常にこれを逃げるような答弁があり、たとえば終戦後非常に人が足りなかつたし、徴收等はどんどんしなければいけないので、どんどん人を入れた。中にはいい人もおるが、それが他に行つたとか、病体であるとかいう者もあると思うけれども、会計検査院の立場からおながめになられまして、今日の税務行政を十分執行し得るだけの能力者がおると思われますか、あるいは改善しなければならぬ点があると思われますか、その点を最後にお尋ねします。
  35. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 各方面に実地検査に出ました職員報告その他を微しますると、遺憾ながら現在の各税務署職員の素質なり能力というものは、まだ十分ではないのではなかろうかという感じを非常に受けるのであります。といいますのは、先ほどから申しましたように、簡単なそろばん違いか多いとか、あるいは横の連絡をすればすぐわかるようなことが、なかなか連絡がついていないというような点は、やはり能力に欠ける点があるのじやなかろうかと感じます。この点に関しましては、それぞれ国税庁当局におきましても、職員訓練ということは相当努力されております。これは戦争中、相当一時的のギヤップはありましたでしようが、逐次これは回復に向いつつあるいうことは言い得るのであります。     〔私語する者あり〕
  36. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御静粛に願います。
  37. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 現在はまだ十分ではないと考えております。
  38. 大上司

    ○大上委員 会計検査院に対する質問は、これで打切りまして、次に、関連して政府当局にお尋ねします。  まず第一に、昭和二十四年度決算検査報告書に各批難事項が出ておりますが、その中で特に感じた点は、いやしくもこれは国民の生活に非常に影響がある。特に運が悪ければといいますか、気の毒に首をつる人もちよちよい新聞で見受けております。この事実があるかどうかは別としても、一応報道事項としてやられておる。そこで問題は、いわゆる課税標準額の相違ということを、会計検査院は完全に指摘しております。そして課税標準額の相違ということは、当然内部的なあるいは法律的なものが、十分円満に遂行されておらぬ、私はこのように思うのですが、はたして会計検査院がおつしやつておられるように、課税標準額が非常に違つておる、課税標準のとり方が間違つておるという点を、政府当局がお認めになるかならないか。またもしも政府当局がこれを誤つてやつた場合には、国家補償と申しまするか、ほかの点においては刑事補償というものがありまするが、こういう点をどういうふうに考えておられるか。まつたくこれでは国民は気の毒であろう、私はこのように思うのですが、その点をまず第一にお尋ねします。
  39. 忠佐市

    ○忠説明員 以前におきましては、税法の解釈について、会計検査院の御見解と大蔵省の見解が違うということがございました。帝国議会当時でございまするが、議会の委員会の問題になつたということはございます。しかしこの昭和二十四年度決算報告におきまして、会計検査院でお取上げになつております事件は、全部税務当局の、何と申しますか、誤りでございまして、解釈上の問題となつておりますものはございません。ただいま申し上げました通り、まことに申訳ない次第ですが、いろいろ事務分量の増加、それから税務職員の能力の不足、こういうような面からいたしまして、このような課税上の誤りを生じた次第でございます。この点につきましては、会計検査院の御指摘の通り、課税処分を是正いたしておる次第でございます。  なおその責任の問題でございまするが、徴收不足の分が、実は大部分でございまして、納税者の方から多く納め過ぎたという事件は、比較的僅少でございます。徴收不足の分につきましては、これは調査粗漏という点で、税務職員を十分訓戒するという問題で、納税者に対する問題は比較的少いと考えます。多く課税過ぎになつております分が問題でございまするが、そこに税務官吏の故意または重大なる過失というような要件が加わりますれば、これは国家補償の問題が出て参るかもしれないと考えております次第でございますが、本件に取上げられました事件については、そのようなことは認められない、かように考えられるような事件でございます。しかし、納税者に対して御迷惑をおかけいたしておるということは事実でございまして、実は徴收過になつております分を返します際は、利息に相当いたしまする還付加算金をおつけしてお返しをしておる、かようなことはすでに御承知の通りでございます。
  40. 大上司

    ○大上委員 大体これもわかつたようなわからぬようなことですが、さらに質問を続けます。  まず第一にさいぜん申し上げました課税標準額の相違点というものを、会計検査院は指摘しておる。それから各税務署または一税務署の部内においての各課の連絡も不十分である、なおさらに加えて、実地調査をせず決定しておる、これによつて誤謬を生じたものが、概算二百億円という計数が上つております。いわゆる当初決定が非常にずさんである。その次は税務署のいわゆる備えつけの諸帳簿において間違いだらけだということを言つておられます。次にあげられた点は、職員不正行為、あるいはさいぜんこれは委員長代理が質問なさつておられましたが、出先收納をどうするかという問題、あるいは特に過去の拂いもどしが遅延しておる、こういうような点をあげられ、なおさいぜんお聞きの通り会計検査院当局に対して、現在税務行政を持つだけの能力がありやいなやということに対しては、残念ながら不十分である、未熟である、能力がないという結論が出ておる。このような組織を持ち、このような内部的にも、外部的にも、いわゆるひつくるめた面において、われわれがいかにりつぱな法律をつくつても、これを施行していただく書体能力が有れば、われわれは非常に不安というか、危ぶむというか、非常に疑義を抱く。そこで問題は、特にお聞きしたいのは、いわゆるこういうふうな不能力者と申しますか、これはぜひ是正しなければならぬ。特にあなたたちのように、いわゆる国会に出るし、あるいは東京におられる方が、部下を監督なさる自信がありやいなや、最後にこの一つだけお尋ねしておきます。
  41. 忠佐市

    ○忠説明員 まことに国を憂える言葉として、傾聴に値すると思います。その点につきましては、従来長くこの方面に関係いたしました者といたしましては、日夜その点をどのように解決するかという点で、頭を悩ましておる次第でございます。実のところを申し上げますれば、戦時中の経験者の欠けたことと、それから納税者の数が十数倍にふえまして、事務の分量が増加いたしましたこと、それを補いまするための人的の整備が、もつと完全でございますれば、私どもはこのような問題は起さなかつたと考えます。しかし、昭和二十二年ごろ採用いたしました新規職員も、もうすでに四年、五年という年月が経過いたしました。従いまして、一年、二年と習練を重ねて参りました收税官吏が、昭和二十六年度、少くとも本年度におきましては、一年生が五年生になつておる。それから税務講習所の機構を大々的に拡張いたしまして、年々訓練いたしております。現に数百名の税務職員が、東京で講習を受けております。従いまして、ただいままで、時間的に時をかせいでおつた事態が、もはや完成に近づいたという感じを、私どもは持つております。この段階的な問題を解決する途中におきまして、非常に納税者の方に御迷惑をおかけいたしましたようなことがありましたことは申訳ない次第でございまするが、もはやわれわれは、自信を持つてこの問題を解決し得る、かように考えておる次第でございます。ただいまのお言葉の点を、十分われわれ肝に銘じて、再びこのような問題が論議に上らないように、早く改善いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  42. 田中角榮

    田中(角)委員 大上君の質問に関連しまして、簡単に一つだけ希望を申し述べ、同時に、政府当局の答弁を求めたいと思うのであります。二八七、税額算出を誤つたもの。━━これは忠さんが今言われるのですが、なかなかうまく行つておらぬのです。大蔵大臣に対しても、これは決算委員会の一人の質問ではなく、全国民の要望として、強く長い間言われておるのであります。この税額算出を誤るということは、ただ字句に表現しますと、簡単なものでありまして、いわゆる実際よりも多く徴收した場合、それから少く徴收した場合である。少く徴收した場合は、特に共産党の諸君がいうようにして、大事業者のみを政府が擁護するために、特別少く徴收したのじやないかというようなことを言われるのでありますが、現在の国家財政の状況で、適正なる收納を行うという意味から考えまして、これが適正なる收納ということに対しては、相当強い御意思を持つてつていただきたいことは申すまでもないわけであります。これは件数においては非常に少いと言われるのであります。実際たくさん取過ぎたというのは、例があまりない、こういうことですが、ここに問題があります。これはまつたく事務的な答弁であると私はいわなければならない。千人に、万人に一人の現実にそぐわない徴收をしたために、その徴收におびえるために、重大なる社会問題を起しておるのであります。いわゆる適正なる課税が行われておつて、しかも能力の限界内で徴收せらるる課税だつたならば、現在新聞の面をにぎわすところの社会問題、いわゆる税によつて深刻な世相を現わしておるところの、あのような問題は起らないわけであります。ここに徴收に当るところの税務機構という問題に対しては、十分われわれが考えなければならぬと同時に、数の点において金額の点において、收納未済のものよりも、取過ぎたものが少いということは、当らないと私はいわなければならない、こう思うのであります。私は税をよけい取過ぎたというものよりも、税額算出、いわゆる税額決定というものが、昭和二十年当時よりも、現在非常によくなつたというけれども、まだまだ現在の状態において、私は根本的に、完全な機構が完成しておるとは認定できません。同時に、現在の大蔵省及び国税庁徴税関係の方々のお考えだけでは、このがんというものは取除くことができない、こういうふうに考えております。現在国家の行政機構の一大簡素化ということがいわれておるのでありますし、特にわが党内閣におきましても、講和会議を前にして、行政機構の一大再編を考えております。しかしその中で最も緊要にして重大なるものは、徴税機構の変革であります。これは申すまでもありません。法律の改廃もたくさん行わなければならないのでありますが、吉田内閣総理大臣が常に言う通り、大衆にわかりやすい、実際に即した税法の改正という問題は、なかなか考えなければ行えないものであります。税法は私が言うまでもなく、だんだんむずかしい税法になつて来ました。しかしこれは、大体現在の、まず世界通念として、大体インテリの持つ感覚の終局は、このような税法になるのだというふうにいわれるのでありまして、さてこれをいかなる形態に変革するかということは非常にむずかしい問題であります。むずかしいから、税法をたくさん改正しなければ、なかなかその実をあげることはできないのでありますが、われわれも真に立法府の議員として、これが改正の問題に対しては、愼重に考えておるわけであります。しかも早い機会において、現実に即応し、マイナスをもたらさないような税法にしなければならないと考えております。ただ、その税法ができるまで、現在の徴税機構において、あなた方の手腕と力量と努力と決意によつて、直され得るものだけは、直してもらわなければならぬということを、私は申し上げたいのであります。それは、現実に徴税に当つておる人たちの数が少くなつて、徴税されるところの対象が多くなつたということは認めます。しかし、そういうふうな数字を並べ立てて、一応のりくつができあがるという問題ではなく、本質の問題であります。それはあまりにも民主主義々々々々で、こういう民主主義の字句にとらわれたために、特に複雑であり、むずかしい徴税機構の内部の、大臣、次官、局長、部長、課長、係長と、最終末端の徴税官吏まで一貫した命令系統を持つておつたものが、共産党が跋扈したものですから…(発言する者あり)——事実私はそれを言いたい。ここに共産党の井之口君がおりますが、共産党が勢力を伸ばすために、徴税機構の中にいろいろ赤を入れたということは、いかに国民に対してマイナスであるかということは、私は今こそ真実に言い得る。私は査察部長によく言いたいのであります。現在どこの税務署行つても、一番権力を持つ者は、むしろ末端の徴税をやつておる人たちであります。課長に陳情を行つても、部長に陳情を行つても、ほとんど聞き入れられません。最も末端の二十四、五歳という未熟な人たちの自由裁量によつて行われております。中には相当の收益をあげておる人に、年額五十万円の税金を課しております。ところが引揚者であつて全然收益のなき者に対して、同額の五十万円の税額をかけておるというときに、彼は一体何と言うでありましようか、これこそ今保守だ、反動だといわれる吉田内閣がつくつたのだ、文句があるなら議会へ行つて言えと、彼らは公然とこういうことを言つております。われわれは、自由裁量の職員ではない、われわれは法規裁量の職員である。法規をつくつたものは自由党の諸君だ、だから文句は自由党に言えということを広言しておるではありませんか。私はこのような徴税官吏を一掃しないことには、適正なる徴税は断じて行われないという信念を持つております。私はこれだけは当然考えなければならぬと思う。徴税機構を変革し、再編するということをいつて、頭数をふやすだけで、実は可なりとは考えておりません。そのときには、いわゆる責任の衝に当る人たちが、みずから進んでその責任を負うという態度だけはとつていただきたい。私が例をあげるまでもなく、二、三のかかる社会問題を起す寸前に至つた人たちを、国税局に持ち込んだこともあります。一年間たつて、いまだに解決を見ない問題があります。なぜでありましよう。現在の長官が、局長が、部長が、課長が、徴税官吏を法の命ずるままに駆使できないならば、局長などはやめるべきである。私は自信を持つてこれを申し上げる。一年も二年も経過した事件を、国税局の長官が、部長が、課長が、これに対して結論を與えられないというがごときことは、断じて許すことはできません、こういうところに、まさに共産党の跋扈があるのでありまして、国民的に大いに関心を持たなければなりません。私はそういう自信を持つておるのです。だから、私は声を大にして言つておるのです。少くとも生命に直接関係をし、日常生活に関係するものとしては、終戦前までは、税務署の官吏や税務署に関することはあまりなかつた。ところが、今雑誌や新聞をごらんなさい、漫画の中で一番大きなウエートを占めておるのは、徴税官吏であります。執達吏よりまだ悪いということを言われたのは、百人、千人の中にそういう人たちがおるからです。これは多分に赤い色を帶びておる人だと思うのでありますが、これ一人おるために、えらい迷惑をこうむつておる。こういう者に対しては、断固とした処置をとることが、私は緊急なことであると考えております。その意味において、大衆から持ち込まれたものに対しては、少くとも一週間、一箇月以内に解決すべき責任を明確にしていただきたい。  もう一つ、徴税の窓口は、銀行の窓口と同じように、大蔵省の主税局の末端官吏にこれをまかすことは、その末端官吏が自由裁量をすることであつて、これは断じてやめなければならぬ。大衆に直結する第一の窓口は、責任ある係長、課長、部長、署長がこれを行うことにしなければならぬ。これが行われれば、少くとも現在新聞、ラジオをにぎわしておる社会問題が、百分の一、千分の一、万分の一に減ることを私は明言します。これは非常に簡単な質問ではありますが、重要なる問題であつて、この問題を解決せずして、徴税機構の改革、理想というものは達成せられないのであります。特に査察、監察の重責を帯びておらるる忠さんに対して、一言の意思の表明を求めます。
  43. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申し上げますが、本日は国税庁長官高橋衛君の代理に、忠調査査察部長、並びに徴收部長田所正幸君が来ております。両君より答弁をいたさせます。
  44. 忠佐市

    ○忠説明員 田中委員のおつしやられましたことは、まことにごもつともでございます。まず、税務職員の紀律について、税の徴收とほかの事務において、上司の命令がそのまま守られ、適正な税法の運用が行われるようにすべきであるということ、まことにごもつともでございます。その点につきましては、従来ややもすれば多少遺憾の点もございましたが、この点、指揮系統の確立というような問題は、すでに実力の問題として、解決いたされておると考える次第でございます。御指摘の、相当ごたごたしておるというような事件につきましては、個別的にお知らせを受けましたら、できるだけ即決解決まで持つていたい。私ども、長官から相当思案されておる問題について、何日々々御催促を受けておるようなお言葉もございましたのですが、そのようなことのないようにいたしたいという考え方でございます。もう一つの問題は、窓口の問題でございまして、これもごもつともでございます。御承知のように苦情相談所を設けまして、一応国税局みずからが乗り出すという態勢にいたしておりますが、なお日常事務について、第一線の窓口に出るという趣旨につきましては、全然同感でございます。但し一々の問題については、多少全体の事務の分量の問題から考える必要もございますが、少くとも手軽に署長、課長、係長に重要な問題は持つて行けるという点については、十分御趣旨に沿うように実行して参りたい、かように考えております。
  45. 田所正幸

    ○田所説明員 先ほど田中委員からお話がございました幹部が窓口で事務を処理するような態勢にあらねばならぬということ、まことにごもつともなお話でございます。実は私は徴収の責任を持つておる者でございますが、その点につきましては、従前の経験にかんがみまして、これはどうしても署長、深長、次長━━私の方の徴収に関しましては次長を置いてございますが、あるいは係長、そういうような幹部が滞納者と直接面接をいたしまして、できれば、本人の自発的な納付に待ちたい。その人の事情によりまして、あるいは課税に不服がございまして、そのために滞納になつておるものにつきましては、即座に直税の課長、その他と談合いたしまして、その原因をなくする、調べるそういうことをぜひともやらなければ、どうしても税務署としては国民に対して相済まぬ。それで実は現在すでに全国で約八十の税務署が、そういう方式を実施しております。それをテスト・ケースにいたしましたところが、非常に成績がいいのでございます。そのやり方は、滞納しておる者に対しまして、何月何日においで願いたい、そして納税について親しくお話をいたしたい、こういう呼出しをかけるのであります。それを二回かけております。そうして御出頭願いました場合に、今言いましたように、係長以上の幹部がそれぞれ受持ちまして、その人に対しましての話を承る。課税に不服のある方につきましては、署長が責任を持ちまして、よく事情を聞きまして、それから直税官をそこに呼びましてその根拠をよく調べる、訂正すべきものはすみやかに訂正する、そういう仕方をやらせております。それからまた、今病人がある、あるいは災害にかかつたというような関係で、今は納められないが、しばらく待つていただければ必ず納めますという方に対しまして、分納を許しまして、差押えを控える、こういうやり方をいたしております。非常に納税者の方たちも、喜んでいただきまして、効果がございますので、この方式を六月の中旬から実は全国に広げる、それで今全国の五一再三の税務署のうちで、そういう方式にかえるときまつておりますのが三百六十七ございます。こういうやり方によりまして、責任者が直接に滞納者にお会いしまして、よく話を問いでやる、こういうことに決定いたすことになつております。従いまして、若い二十三、四の人が、滞納者のお宅に参りまして、強引な処分の仕方をするというようなことは今後はなくなる、こういうように思つております。  それからもう一つ、還付の問題でございます。税金を多く取過ぎておつたというような者に対します還付の関係でございますが、これは現在未拂いになつておりますものが大体十一億円ございます。これは一・四半期の予算八億円を配賦いたしまして、それで大体御支拂いができると存じております。まだ御請求がなくて、還付すべきものが実際上還付されていないというものも多分にあるかと存じまして、実は二十四年度以前の分につきましては、今後できるだけすみやかに、一人ごとにその過誤納付を計算いたしまして、御本人に返すような御通知を差上げる、こういう方針を実はきめて打合せました。二十五年度以降の分につきましては、各四半期ごとにそれぞれ税務署計算をして、御本人にお知らせをする。進んでこちらから、幾ら納め過ぎになつておるから、請求に来てください、そういうようにこちらから進んでお知らせをする、そういうように態勢を整えてございます。
  46. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま大蔵省から、決算上の責任者である河野主計局長が参られましたから、十分質問を許します。
  47. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの私の質問に対しては、非常に具体的な処置がとられつつある実情をざつくばらんに、文字通りさらさらと言つていただいたのですが、これが現実化に対しては期待を持つておるわけであります。私は税の問題は、非常に言いやすくして、行うことはむずかしいということを考えておりますので、ひとつ特段の御努力を相願いたい、こう考えております。  私は最後に、簡単に希望だけを申し述べたいのでありますが、前に井之口君がおるので、どうも言いにくい話になりますが、これは実際私が、民主主義という言葉に眩惑せられて━━ということを言うと、民主主義を解しない代議士は自由党の代議士だというふうに、実にうまく逆用するのであつて、私どうもしやべることはうまくありませんので、うまい表現はできないのでありますが、事実官庁機構の中に、今ほんとうに改めなければならないものが、特に徴税機構においてはこれが切実に考えられる。というのは、長い明治時代から、国家権力の非常に強い、天皇の名における官吏という組織は、私が言うまでもなく、一般の平官吏よりも係長、係長よりも課長、課長よりも部長、部長よりも大臣、大臣の言うことは、これはつるの一声だという、この反動でありましよう、今の大臣などというものは、だんだん力がなくなつてしまつておる。課長、部長に至つては、ほとんど力がない。これはそこにおいでになる方は、みな部長さん、課長さん、局長さんですから、辛辣なことを言うとお思いになるかもしれませんが、事実考えると、現実はまつたくそうであります。まつたくあらゆるものが━━昔局長の持つておつた権限は部長に移る、部長の持つておつた権限は課長に移る、課長の持つておつた権限は係長に移る。これは実際に民主化においては、いいことですが、最後の末端官吏が、まさに大臣が行うような裁決権を持つてつてあした自殺するというのに、その官吏がまつたく末端の━━われわれは俗にこれをチンピラと言つておるのですが、事実チンピラだといわれるような人たちが、非常に強い権力をもつて行つております。これは行政機構の再編という問題について、この問題がある程度解決しない場合には絶対にできない、特に徴税機構においてそうである。何しろ生殺與奪の権利を実際行使できるものであるから、検察官、徴税官、裁判官というものは、まさに厳正でなければならぬ。この厳正でなければならないものが、妙な今までの反発心理でありますか、強い権力を自分の掌中に納めているがごとき錯覚を持つて徴税を行われた場合、非常に大きなマイナスが出て来ることは、いなむことができません。私は、忠さんが言つておるから、今度は自信を持つてつていただけると思うのですが、これは各地方の小さな税務署から、非常に私が考えても無理だというような問題を持つて来るのです。どうにもならないから、ひとつ国税庁の長官のところへ持つて行つてくれ。こういうときに、何とかして税務署管内でもつて治めなさい、税務署長のマイナスにならないように、話合いはつくべきであるから、何とかして治めなさいと言つても━━これは私たちは、全然代議士というような立場を利用して、これを有利に解決してやろうというような気持は、ごうまつも持つておりません。自分自身の良識に訴えても、物事を大きくしないで、現実に治めようとしておるが、なかなかまるく治まらぬ。代議士などが入つてみろ、徹底的にやつてやる、こういう、これは私が自分で頼まれた事件だというのではありません、こういうような例がたくさんある。そうしますと、これを税務署長に指示をして、事実を報告しなさいといつても、税務署長は、自分がマイナスになるから、なかなか報告しない。私は、少くとも一税務署権限で解決できない問題が中央に持ち込まれた場合、その上級官庁は、少くともその実査をし、解決しなければならない義務を有していると思う。もしその義務を行わない場合は、上級官庁は不要なわけであります。ところが、これはあらゆる官庁においてそういう面がありますが、上級官庁が持つていないで、出先機関が実権を持つておる。そしていよいよ自態が紛糾した場合、懲戒免職にしなければならないような人間を、東京に栄転をさせておる。私は少くとも、自由党には官僚派、党人派などということを新聞で言つておりますが、私はそんな感覚で申し上げておるのではありません。これは事実官吏が今、こういう昔と何らかわらないことをやつていて、なるべく表には出したくない、こういうような処置をとつておる場合、徴税機構は絶対に根本的に粛正せられません、廓清はせられないのであります。少くとも、官吏はすでに公僕だといわれておるのでありまして、代議士などは、昔と違つて、選挙区へ行くと大いにこき使われておるのでありますが、私たちと同じ立場に官公吏の諸君もおられるということは、間違いないことであります。だから口で公僕だ公僕だと言う必要はありません。あなた方は選挙はないのですから、品で公僕だ公僕だと言わなくてもいいけれども、あなた方の手の中には、まさに自分の感覚、自分の裁量のいかんによつては、あした首をつらせるという権力を持つておるのであります。それだけに、私は徴税機構の問題に対して、しかも紛擾の解決に対しては、上級官庁である国税庁、特に査察部長という重責に当つておられる忠さんの、一大決心を要望しておきたいのであります。あなたがひとつ全力をあげて、誠意を持つて、熱意を持つてこの問題を解決せられる、場合によつては、そういう問題はおれが行つて、解決してやるということをやられるならば、今徴收部長が言われた、まさに民主化されておる、現実的に進歩しておるところの徴税機構の改革に錦上花を添えるものでありますので、ぜひともその実をあげていただきたいと思うのであります。
  48. 忠佐市

    ○忠説明員 ただいまのお話にありましたように、国家公務員といたしましては、政府を通じまして、国民に対して義務を負う立場にございます。国民に対して責任を負う立場にございます。従いまして、そのような観点から、私どもは合理的な、しかも常識的な仕事をして参るべきものと考えます。何分にも法規を適正に執行いたしまして、納税者の一人々々に納得の行く納税をしていただくというのが、根本的な心情でございまして、そのような心情に立つて、ただいまいろいろ御指摘のありました末端機関におきまする多少のしこり、これはやはり私どもも一刻も早く善処すべきものだというように考えておる次第でございまして、職責柄、非常に狭い部分しか責任を持つ地位にございませんが、できるだけそういう方向に向つて粉骨砕身をいたす、かような考えをただいま持つておる次第でございます。
  49. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申しますが、今、忠査察部長のお話になりましたことは、どうか末端にまでも浸透するようにお願いいたします。  次に、河野主計局長がおいでになりましたから、せつかく河野君の手腕によりましてできたりつぱな昭和二十四年度決算説明、十七ページ、一般会計歳入、租税及び印紙収入、これにつきまして、二十四年度予算額は五千億、徴収決定額は六千二百億、まさに千三百億の増徴です。そして不納欠損が百十七億、最後に一千億の未徴収があるというふうになつております。これはひとつ説明を加えたいと思いまするが、やはり先ほど会計検査院大澤局長が申しました通り、なれない職員税務官吏が通人に決定したのではないかということを裏づける証拠であると思いまするが、河野主計局長は何と考えておられまするか、平易にまた率直に御答弁をいただきます。
  50. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 予算額が五千六十三億で徴収決定済額が六千二百四十四億━━税というものは、予算通りとるという趣旨のものでなしに、税法に従いましてとるのでありまして、一応予算に計上してありますところに従いまして、予算では一応そのときの経済の状況を見まして積算するのでありますから、その後における経済の状況の変化によりまして、その額が予算以上にふえ、あるいは予算以下に減るということもあり得るわけであります。ここで千億の差があるではないかということでございますが、この徴收決定済額の中には、前年からの滞納になつておるものを、そのまま一応新しい徴収として上げる関係になつております。つまり前年度において一応調定いたしたものも、翌年度において、もう一回それを繰越して調足する、こういうかつこうになつておるわけであります。予算額が五千六十三億で徴收決定額六千二百四十四億、収納済歳入額五千九十一億、不納欠損額百十七億、収納未済歳入額千三十五億、これが一部は滞納でございまするし、それから調定をいたしましても、翌年度に入るものがあるわけであります。従いまして、そういうものは翌年度に当然ずれるという関係になるのでありまして、必ずしもこの数字で、苛斂誅求をやつている、そういうわけではないことを御了承願いたいと思います。
  51. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま河野局長のお話でありましたが、先ほど大澤検査第二局長は、この席で、ただいま千三百億の滞納があつて、そのうち二百億を簡単に取消しておる、こういう証言をいたしております。これにつきまして、食い違いがあるのじやないかと思いまするが、なお明確を期するために大澤君から一応承ります。
  52. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまの三宅委員長のお話でありますが、簡単に取消しているとは申さなかつたのでありまして、その後調査の結果、徴収決定の誤謬があつて取消したのが、われわれが承知して、おる範囲において二百億を越しているということであります。これは、どうしてそういうことになつたかということを申したのでありまして、当初実査をせずに、あるいは標準あるいは原価構成といいますか、そういうものでやりまして、それで異議の申立てなどがありまして、調査された結果、徴収が多過ぎた、とり過ぎたということで、これの取り消しをいたしたわけでございます。
  53. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 了承いたしました。
  54. 田中角榮

    田中(角)委員 この問題で、河野さんがおいでになつているので、ちよつとただしておきたいのですが、予算額を計上しておりますので、その年度徴收見込額というものを各国税局あてに大体決定し、通知しておることは、今まであたりまえであります。これは大蔵省の表現によりますと、指示目標額━━なかなかうまい表現を言つておるのです。これが末端の税務署へ行きますと割当額ということにかわるのです。それで非常に困るのです。これはもちろん予算を対象にしておりますので、指示目標額を定めるということは当然でありますが、末端に行つて割当額ということになつて、しかもその割当を上まわる徴收を行つた税務署員は能吏として抜擢を受ける。これは事実なかなかむずかしい問題なんですが、税金をとることが商売の官吏でありますので、とり方の一番うまい人が抜擢をせられるということがあるのです。が、そこに住々にして社会的マイナスをもたらすのであります。二十五年度からは、この指示目標額というものが、文字通りの指示目標額であつて、割当額ではないということの御答弁を、かつてちようだいしたことがあるのですが、二十五年度における実情はどうであつたかという問題と、本年度及び将来の各税務署に割当てる、いわゆるお示しになるところの指示目標額という問題に対して、大蔵省は一体どういう原則的な定義をお持ちになつておるかということだけ、一言答弁を願つておきます。
  55. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 国税局あるいは税務署で割当をしておるというお話であります。これはたびたび問題になつたことでございますが、二十二年、二十三年の、ああいう徴收状況が悪い。つまり景気は相当いいにもかかわらず、いろいろな、納税道義の低下というようなことから、なかなか思う通りに参らぬというようなことで、大体事業の状態あるいは経済界の状況等によつて、こういう業種であるならばこの程度の利益があるのではないかということで、中央においてそういつたような点を言いまして、徴税を督励いたしたことは確かにあるのでございます。しかし、これは二十四年度以降は、絶対にそういうことをいたしておりません。ことにまた税務行政上、そういうことをすべきものでないのでありまして、そういうことは中央において、そういう割当ではないということを言いましても、末端の方においては、先ほど田中先生からおしかりをこうむつたのでありますが、末端の方ではなかなかそういうふうに伝わらないで、苛斂誅求をしても、税額が上るというと、出世の糸口だというふうな考え方でやつた。非常に弊害が多いのであります。従いまして、二十四年度以降、絶対にそういうことをやつておりません。これは二十四年度決算の問題でございますが、二十五年度におきましては、予算におきまして四千四百五十億ほどのものが、八十億ほど増収に相なります。しかしこの増収は、主として所得税あるいは法人税及び酒税でありまして、いわゆる申告納税、つまり田中さんが一番御心配になつております、いわゆる割当納税という懸念のある申告所得税につきましては、約二百億ほど実は予算より減つておるのであります。嚴にそういうことは慎んで、税務の執行をいたしておることをお誓い申し上げる次第であります。
  56. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま河野主計局長の仰せられました通り予算決算は、きわめて重大な問題でありまして、ここに示されました予算額以上に徴収せられたことは、事実であると思つております。ただ本年になりましては、これが緩和せられまして、池田大蔵大臣並びに高橋国税庁長官も、この席、もしくは大蔵委員会の席で言明せられたことでありまするが、本年は今河野主計局長の言われた通りに、決して割当はしない、断じてしない、申告を待つ。申告も大部分八〇%までは申告を是認し、それ以外のものに対しましては税務署に呼び出しまして、あるいは相談の上で、よく納得の上で再調査をするとか、あるいは再申告をする。そういうふうにいたしまして、まず更正決定はしないという方針を中心に考えて、わずかに一割ないしはそれ以上幾分かは更正決定をするけれども、それもまた四月、五月に限つたことはない、よく調査をした上でなければ更正決定はしないという事柄を言明せられたわけでございます。その同じ官庁でありまする調査査察部長の忠君並びに徴収部長の田所君もこれは遵奉せられると思いますが、この際その決意のほどをひとつお示し願いたい。
  57. 田所正幸

    ○田所説明員 長官の言われましたことは、私の所掌ではございませんが、庁全体の方針としてきまつているところを申し上げます。その点につきましては、まさに長官の言われたことを実行に移しております。それは二回にわたりまして納税者に税務署に来ていただきまして、よく話を聞きまして申告をしていただいておる、これは事実であります。それから更正決定の数も、非常に減つております。金額から見ましても、大体昨年の十分の一とは行きませんが、それに近い数字で、非常に減つております。それから時期を四月の会計年度の締切りに合わすように無理にやるということは、全廃しております。それまでに調査のできないもの、自信の持てないものは、すべて翌年度にまわし、よく調べてやるということを徹底させております。
  58. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 今、田所徴収部長の言われました事柄は、どうぞ末端の国税局並びに税務署までも浸透するように、ぜひ通達を願います。  次に、忠君の意見を聞きます。
  59. 忠佐市

    ○忠説明員 ただいま徴収部長の申されました通りでございます。できるだけ納税者の善意に期待して申告をしていただく、このことが申告納税の基本の姿でございます。実際は申告納税昭和二十二年に施行されました当時、何年目にそういうような申告納税本然の姿が実現するかということについて、当時の立案者である前尾繁三郎君━━現衆議院議員、その当時主税局長でございまして、それから私が国税第一課におりまして、立案いたしました当時、大体五年かかるであろうと言つておりました。昭和二十二年に実施されまして、やはり納税者の申告がそこまで参らない。従いまして、更正決定の割合が大きくて、六割とか、だんだん下つて五割とかいう数字になつておりました。これが昭和二十五年度の改善された課税方式によりまして、現に二割程度に下つておる。従いまして、二十六年度におきましては、これがもつと徹底化される。従つて昭和二十七年までには、私どもの考えておりましたような問題が実現化するのではないか。従いまして、更正決定を大きくして、元の姿にもどすというようなことは、私たちの信念にも反します。これはまた納税者の本意でもないと思います。納税者の心を心とし、正しい申告によりまして税か大部分済む、従いまして徴収部長の方のお手数も少くなる、これがほんとうの申告納税のあり方であろうということで、その考え方を、ただいまも強く支持しておるような次第でございます。
  60. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの調査査察部長の御言明の通りでありまして、この言明は、少くとも、国民を代表いたしておりまする国会におきましてなされたことでありまして、この速記録のそのままを、各国税局並びに税務署にこれを申達いたしまして、よく国民の意思の反映いたしまするように、行政面を監督されたいと思います。
  61. 井之口政雄

    井之口委員 やつと野党、側に発言がまわつたわけであります。私も一つこの問題について質問したいと思います。言葉多きは品少しということわざもある通り、あまりおしやべりしても、内容がなかつたら役に立たぬと思いまして、ごく簡単明瞭に申したいと思つております。  第一、さきの予算額と徴収決定済額との差額一千二百億という問題でありますが、当時この予算が組まれるときに、大蔵大臣は池田大蔵大臣でありまして、自由党の内閣では腕によりをかけて、この予算を編成したのであります。そしてこれはインフレ予算でもない、デフレ予算でもない、デイスインフレの予算である、ちようど経済が安定しているときの予算であるということを誇示したときの予算であります。しかるにそれが実行に移されてみますと、約一千二百億という過大な徴収法定額を算定しております。総額五千億の五分の一というものが過大に徴收決定に見積られているわけであります。先ほど主計局長は、それは前の年からの未確定のものが、確定されてここに人づておるのだというふうなことも言つておられたようでありますが、同時に、二十四年度の分で確定しないものが次の年度にまわされるのでありますから、そういう方面からは、これは相殺されるべき問題で、毎年々々起る問題であつて、とりわけ一千二百億という過大な見積りがなされるということの理由にはならぬと思うのであります。国民は、自由党に対して減税を期待して、多くの代議士を送つたのではなかつたか。しかるに実際やつた成績というものは、こうした一千二百億からの過大な算定をして、これを実行に移した。これであつたればこそ、あの当時国民がみな苛斂誅求に泣いたのだと思うのであります。それがここに明瞭に現われていると思うのでありますが、主計局長としては、この一千二百億というものは、いかなる原因によつてこうなつて来たか、この点をどうお考えになるか、ひとつ御答弁願います。
  62. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 これは多少技術的な点がありますので、それを御説明しておきませんと、誤解を生ずると思うのでありますが、徴収決定済額と申しますのは、当該年度においてこれこれかくかくの納税者は、幾らを納むべきものであるというふうに決定するのが、一つ徴収決定であります。そのほかに、滞納なつたその年度において滞納を整理したものは、これはそのときに徴収決定になるわけであります。そういう関係がありますので、この千二百億のうち約六百億ほどは、滞納の整理に基くものであります。残りの六百億が、課税標準の増加等によるものでありまして、それが幾ら入るか、大部分のものはその年度内に入るのでありますが、一部は滞納になります。それから、たとえば三月三十一日に調定いたしましても、税金を納められるのが四月三十日まででありまするならば、前年度の收入済みに入る。決定も收入も、二十四年度なら二十四年度のものになりますが、それが五月一日になるということになりますると、これは翌年に繰越されるわけであります。そういう技術上の問題がありますので、実際問題としてこれは予算額と收納済み歳入額とを調べていただければわかりますが、大体同額であります。そういつた技術上の面が相当あるということを御了承願いたいのであります。
  63. 井之口政雄

    井之口委員 それでは二十四年度徴収されずに次の年度に持ち越されたのは、次の年度になるというのですか。毎年々々こうしたものは次に持ち越されるのが当然なんであつて、それを理由として千二百億の過大な算定を立証しようとするならば、これはまつたく理解できない結果に立ち至ることになると思いますが、どうでしようか。
  64. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 こういうやり方がいいか悪いか、あるいは非常に誤解があると思うのでありますが、前年度において徴収決定をいたしまして、その年度内に歳入に入らないものは、一応徴収決定になりますが、翌年度に行くわけであります。翌年度におきまして、その決定したものが一部でも入りますれば、その金額をもう一回徴収決定をいたすわけであります。そういう技術上の取扱いになつておるわけであります。従つて徴収決定済み額のうち、前年度のものの滞納によりまして新して徴収決定をいたした一もちろん二十三年度においても徴收決定になつておるのでありますが、もう一回徴収決定いたすわけであります。その分が約六百億ほどある。あとの六百億ほどが課税標準の増加等によるものであり、それが全部その年度に入るとは限らない、つまり一部は滞納になるものもあるのでございます。それから実際の収納が四月一日以後になつてずれるものがある。ずれて入つて来たものは、これは滞納でなくても翌年度の歳入になる。こういう技術面からでありまして、この数字だけで、これだけ滞納が多いとか、苛斂誅求をやつているのだということにはならないのであります。予算というものは、一応の見積りでありまして、経済状況によつてかわるということは、幾らもあることであります。
  65. 井之口政雄

    井之口委員 それではお尋ねいたしますが、二十三年度においては徴収決定済み額と予算額との間にこうした大きな差異はなかつたか、あるいは二十五年度においてはどうであるか。二十三年度においてはむしろインフレの非常に高揚期でありまして、その時分には、おそらく予算は組んでいても、自然増収というのが大分出て来ているだろうと思うのであります。今までは、二十四年度のこうした増加も、これは自然増収によるというふうに説明されていたようでありまして、予算委員会なんかでも、そんなふうに説明されておつたようにも記憶するのであります。そういたしますと、いつでもこういうふうな千億ぐらいの差額というものは出るのでございましようか。もとより、予算額と実行額とは、ぴたつと合うものではございませんが、しかし、それにしても、あまりに差がひどいと思うのであります。言いかえてみますと、予算を、議会の審議権によらずして五分の一も大きな税金をとつているということになる。そうして二十四年度は、ちようどあの時分に浦和税務署税金のとり方が考査委員会において問題になつた時代でありまして、浦和税務署の役人が晝日中赤い顏をして道を歩いている。あるいは浦和税務署の管轄にいるところの商売しておいでになる方々が、私たちは警察に呼ばれるよりは、税務署に呼ばれる方が恐ろしいというふうなことを言つておられたあの時代のこれは決算でありまして、ただいま田中委員からも、税金のとり方が若僧によつてやられると言われたのは、ちようどあの時分のことであります。そうして、その時分に共産党の、まじめに大衆課税に反対しているところの多くの税務官が追放された。税金の取立てというものが、まつたく人民の利益を無視したやり方で取立てられたあの遺績ではないかと私たちは考えるのであります。それに対して御説明願います。
  66. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 あとの方の問題は、どうも御答弁の限りでないようでありますが、毎年こういうふうな差があるのであります。二十三年度で参りますと、三千九百億ほどでありますが、予算額は三千億、ここに九百億ほどの差があるわけであります。そういう技術上の問題で、それが千二百億になつて、三百億ふえたからけしかんぬじやないかとい、井之口さんの仰せなら別でありますが、多少の差はいつもあるわけであります。三百億ふえましたのは、やはり滞納がふえたためであります。御承知のように、二十三年から一十四年にかけては、非常に滞納がふえた年でありまして、最近は非常に整理されまして、一時は千億以上でありましたが、現在は九百億を少し下つており、だんだんと改良されております。その改良されるに従つて、御心配になるこの差額の数字は多くなるかもしれません。御了承願つておきます。
  67. 井之口政雄

    井之口委員 改良されて、差額が多くなつて来るというのは、実に頭の鋭敏な御返答であると思いますが、それはそれといたしまして、それならば収納未済額が約一千億からここに算定されております。この間の委員会において、多くの滞納者がおつて、その滞納者を頭から百人くらいのでかいところは発表してもいいというふうなことを言つておられたようでありますが、その後ちつとも発表がない。そして五十万円以上の大金持の滞納者を、名前を列挙して、国民に明確にこの滞納の不届きなることを発表したならばどうですかと言つたら、自由党の人がそれに反対して、そんなことをしたら、共産党の力が伸びるといつで反対されたようでありますが、その百人くらいの大口滞納者を発表される意思はありませんでしようか。
  68. 田所正幸

    ○田所説明員 大口滞納は、かつて全国で十番程度のものは、新聞に発表いたしたことがございます。三、四箇月継続してそういうようなことをいたしましたところが、それが若干よけいな影響を與える面も出て参りまして、それからは、好んでそういうことをするのもどうかと思いまして、現在は差控えております。われわれといたしましては、何もそういうことをいたずらに発表することによつて、せつかくできれば納税をしようというような方たちの面目をつぶすことも本意ないことでありますから、今後も好んではそういうことはしたくない、こういうように考えております。
  69. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 先ほど国税庁におきましては、永年勤続官吏を表彰されたと聞いております。われわれはもつともなことであると考えるのでありまして、りつぱな官吏、循吏、いわゆる国民大衆を親切に取扱つて、よく税務行政を担当とて、国民の信頼を増すような税務官吏は、大いに表彰して、よろしいと思います。同時にこの反対に、むやみに強権を発動いたしまして、民衆の反感を買つたり、傲慢な態度をするような者は、ただちに首を切つてもらいたいと思う。こういう制度こそ、真の円満な税務行政ができると考えておりますが、それに対しまして、大蔵当局はどういうふうに考えられておりますかということをひとつ承りたい。と同時に、納税者の方にも、りつぱな納税者がありまするから、そういう者は、時たま国税庁長官賞でもけつこうですから、表彰する制度を設けたらどうかと思いまするが、これに対して、どういうふうに考えておりますか、承りたいと存じます。
  70. 田所正幸

    ○田所説明員 四月十日に納税貯蓄組合法というものが公布になりまして、申告納税の本旨に立脚いたしまして正しい申告をすると同時に、御本人が納税貯蓄を平生からしていただく、こういうことを法律で、確認するというのはおかしいのでございますが、そういう制度を施行いたしました。と同時に、そういう組合を通じ、またはそういう組合を通じませんでも、納税に対しまして功績の顯著な方につきましては、国税庁として、あるいは大蔵大臣といたしまして、進んで表彰をしようじやないか、こういう話になりまして、納税表彰規程というものを省内で制定いたしまして、本年度から積極的にこれを行つて行く、こういうことに方針をきめまして、すでに国税局には通達してございます。
  71. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま田所部長の言われましたように、ぜひそういうりつぱな税務官吏を表彰し、悪い官吏は首切る。同時にまた、りつぱな納税者にはぜひとも表彰規程を実行されたいと思います。
  72. 井之口政雄

    井之口委員 それに関連して、今の表彰問題でありますが、大蔵省においてはこういうことを御存じであるか。草加町の長者で大野富則さんという方がいらつしやる。皮革業者であります。この方は、町民税として百五十万円を一昨年ですか、課せられておるが、この人は優良納税表彰費として三十万円を自治団体からもらい、さらに自治功労者表彰費として六十万円をもらつて、百五十万円納めなければならぬところを、約六十万円に値切つてしまう、こういうようなやり方が自治団体において行われておる。表彰という名前に隠れて、不当なこうした脱税行為が行われるということをわれわれは見たのでありますが、はたしてこういうようなところを調査しておいでになりますかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  73. 田所正幸

    ○田所説明員 たいへんいい例をお聞かせ願いまして、参考に相なりました。現在といたしましては、国は本年度からこれをやろうと考えておりますが、そういうものは絶対にないように厳選いたすつもりでございます。今お話を聞きました例は、そういうものをあらかじめ予防いたします上に、非常に参考になりました。ありがとうございます。
  74. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次は報告書七十三ページ、不正行為報告番号三六一ないし三八七、職員不正行為に因り国に損害を與えたもの━━以上二十七件について大蔵当局説明を求めます。
  75. 忠佐市

    ○忠説明員 これはあるいは徴収部長の所管かもしれませんが、多少事前調査に関係いたしますものとして申し上げます。この会計検査院御指摘の三六一から三八六まででございます。━━三八七は大阪財務部の事件でございまして、国税庁の所管外でございますので、三八六までの国税局税務署関係の事件だけに限定させていただきたいと思います。この事件は、会計検査院御指摘の通りでございまして、関係職員納税者から税金として受取りました金額を、自分で使い込んでしまつた、このような事件でございます。この点につきましては、昨年も会計検査院から御指摘がございまして、はなはだ遺憾であるということで、陳謝の意を表しておつた次第でございまするが、二十四年度につきましても、相当件数も多うございます。この点につきましては、末端機構の監督という面について、相当私どもも責任を痛感いたしまする次第でございます。本件はあとで徴収部長が申し上げまするように、こういうような不正事件の防止については、特段な内部牽制と申しますか、内部調査手続を確立いたしておりまして、こういう不祥事を絶滅しようということに努力をいたしております。この発生いたしました事件の処置につきましては、それぞれ本人から弁償させまして、この弁償金を国庫に攻めさせる、こういうことでそれぞれ訴訟をいたしまして判決をとる。和解、認諾その他の裁判所の手続をとつておきまして、本人に財産がありますれば、いつでも強制執行ができるというような措置をとりまして、しかも一件別にその追究の手をゆるめない、こういうことにいたしております。なお、ここに取上げられました当該職員は、それぞれ懲役その他の刑事上の罰則を受けておるものが大部分でございます。  なお、つけ加えて申し上げさせていただきますれば、納税者に対する関係におきましては、これらの税はすでに国庫に納まつているものと同様にいたし、納税者について、もう一回御迷惑をかけて納めていただくようなことはいたしません。これは前回申し上げた通りであります。繰返しかような事件か発生いたしますことは、私どもとして、はなはだ残念でございまするが、改善方について特に注意をいたしておりまするし、なお税務の秩序というものが確立いたされかけましたので、このような点については特段の注意を拂つて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  76. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 右に関しまして、会計検査院側より御意見を承ります。)大澤会計検査説明員この不正行為内容につきましては、先ほど簡単に御説明申し上げましたので、個々案件内容は一応略しますが、この三六一号の東京国税局の件は、これは税金の領得ではありませんで、国税局職員が、職員支拂う俸給に付掛をして、そしてその金額を領得した、こういう事件であります。三六二から三八六号までは、ただいま御説明のあつた税務署職員が納税金を領得したというのでありまして、そのおもなものは、大体において出張先で集金したものを税金領収証書を交付せずに、名刺の裏に仮領収証などと書いて来て、受取つたものを領得したのが問々見られますので、こうした件につきまして、は、徴収の場合の領収証紙は、こういう領収証紙でなければ、国に対する債務の支拂いとはならないのだぞというようなことを、納税者に対して徹底するということが最も必要ではなかろうか、こう考えるわけであります。それから最後の三八七号は、ただいまも国税庁側からお話がありましたように、これは大阪財務部、いわゆる財務局関係の事項でありまして、内容税務署が物納として受取りました農地証券及び国債を、規定によりまして税務署が受け取りますと、地方財務局の方へ引継ぐことになります。その引継ぎを受けた大阪の財務部におきまして、財務部の関係職員がそれを領得して横領した、こういう事件でありまして、これは国税庁とは別でありますが、一応ここに一緒に検査報告としては掲げた次第であります。
  77. 田所正幸

    ○田所説明員 関連してお答えいたします。不正行為は、私の方では予防措置と事後の監察という二つのことを考えております。まず二十三、四年に非常にたくさん出て参りました。これを今後いかに予防するかということにつきましては、先ほど言いましたように、署の幹部が滞納者と面接いたしまして一々お話をする、そういうことによりまして、私はこういうように拂つております、こういう名刺をもらいましたということが、その幹部の目の前でわかるわけであります。そういう措置をやりますと、本人が、処分票と申していますが、そういう書類をもつて印税者のお宅に参つて、いただいたものを、不正に領得しておつたならば、すぐわかるわけであります。従つて、そういうことはできなくなる、そういう制度を実際の滞納処分に関しましてとる。これが予防措置の一つの大きな点であります。それからもう一つは、国税局税務署として、係内におきまして、自治監査と申しますか、ときどき監査をやらせます。そうしてその監査を命ぜられました国税局職員もしくは税務署職員が、他の者のやつておりますものにつきまして、原簿と徴収簿とを一々突き合せて監査をする、こういうことをさせております。その面からも相当に効果があがることと思つております。これが予防的な措置でございます。具体的にやらせております。それから事後の措置といたしまして監察官が相当に増員いたされました。そして監査の陣営を強化いたしまして、古いもので未摘発のものにつきましては、一々証票をこしらえまして徹底的に調べて行く。そして不正をしておる者は嚴重に処罰する、そういうような態勢を具体的にとらせております。
  78. 井之口政雄

    井之口委員 三六一は、月掛と言いましたが、何も政府と関係はないじやないですか。職員の月掛というと……。
  79. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまのは、東京の国税局で、たとえば職員にその月に支拂う全部の給料が一千万円だとすると、それを全部仕分けいたしまして、その最後に持つて行つて、その計算を全部すれば一千万円になるわけでありますが、それを一千百万円と計を出して、それだけの小切手を発行させまして、そして各自に全部拂うと、あと百万円残る、それを自分のポケットに入れる。国としては一千百万円出して俸給受給者に拂う。残る百万円というものを、白井某外二名が領得した次第であります。
  80. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申し上げますが、シャープ使節団第二次日本税制報告書にまつまでもなく、各税の課税には、資料の収集ができることになつております。この收集いたしましたものを活用いたしまして、租税の円満を期したいと考えるものでございます。しかるに、会計検査院が各種公団を検査されますところによりますると、やみ給與を出しておるものがある。この種の給與については、判明次第それぞれ課税の方法をとるべきであると考えております。世間でよくいわれておりますように、やみ給與のないものは、正直者がばかを見ておるというようなことをいわれておりまするが、会計検査院は、それ自身公団の検査の結果、やみ給與のあることを知り、国税当局においては新聞の報道などによりまして、そういうことのあることを了承されたと思いまするが、これに対しまして、会計検査院側国税庁両方の側の御意見をこの際承りたいと存じます。
  81. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 会計検査院が、その点に対しまして審議しました経過を報告いたします。  この二十四年度検査報告にも、あとの方の政府関係機関というところに出て来ると思いますが、いわゆるやみ給與が相当各公団で行われております。これを不当な支出だとして検査報告に掲げてあります。それに関連しまして、ただいま御指摘のように、当然給與に対しては源泉徴収所得税徴収すべきだということになるわけであります。しかしながら、この給與を受けた職員は、いわば四散してしまつてつて、各職員から追究することは困難であるのと、それから大体このやみ給與を出しましたときは、職員組合の要求で、手取り千円をよこせというような要求によりまして、千円ずつ出したというような事態がありまして、職員自身としますれば、いわば税抜きの手取り千円を要求しておるのだというような見地から、それぞれ職員各自から追徴して国に租税として納付することはきわめて困難である、こういう事態であります。そうすると、どうなるかといいますと、税法徴収義務者であるところの公団が、かわつて国に納付しなければならない、こういうことになるわけでありますが、公団も解散になつてしまつて、しかも公団の剰余金はあげて国庫に納付されることになる。そうすると税金として納めるか、剰余金として国に納めるか、どちらにしろ国に入るのであるから、この点に関しましては、課税の点は、一応検査院といたしましては、それをわけて、税金としてこれだけとる、これだけは国庫納付金として納める、こうわけても、まあ同じ一つ穴の国の一般会計に属するのであるから、いたずらに━━いたずらにと申しては恐縮でございまするが、手続きがそれだけ加わるだけではなかろうかという結論に達しまして、この分に対しましての、源泉徴収で課税すべきだという議論は一応発展させなかつたのであります。一応会計検査院の見解はこれだけであります。
  82. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 大蔵省側の意見を求めます。
  83. 忠佐市

    ○忠説明員 会計検査院資料は、私どもときどきいただいておりまして、課税面におきましては、その間密接な連絡をとつておる次第であります。戦時補償特別税の課税にあたりまして、私どもが会計検査院から実に貴重なる資料をいただいたということは、皆様もすでに御承知の通りであります。源泉徴収の問題につきましては、ただいま申されましたような実施上の面で、相当考究する点もございます。公団が解散しておりません部分につきましては、ただいまのような問題が発展いたしました場合に、実情に合うような課税をいたした面がございます。理論上は、まさに課税すべきものでございまして、その点は公団と、公団職員の現在の資力という点を双方にらみ合せまして、実情に合うような結果に持つて参る、こういうような方針でございます。
  84. 大上司

    ○大上委員 議事進行についてお尋ねいたしますが、さいぜんから伺つておりますと、委員長席から非常に発言が多い。従つてこの議事が一体何時に済むのか、あるいはどういうふうな運営がなされるのか、われわれ委員としては不明であります。従いまして、まず委員からよくお聞きになつて、委員の発言がない場合に議事運営をはかつていただきたい思います。あらためて議事進行についての動議を提出いたします。
  85. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 承知いたしました。今大上委員の発言の通り、委員諸君の発言を許します。
  86. 大上司

    ○大上委員 二、三お尋ねします。  さいぜんから議題になつております職員不正行為に因り国に損害を與えたもの━━その中で特に三八四号、徳山でございます。江口某というのが、昭和二十四年一月から二十五年二月までの不正行為期間となつております。これは詳細に見なければわからないけれども、なぜ一年間も不正行為が発見できなかつたか。これはいろいろの場合があつて、最初には国税局職員の問題とか、最後には大阪財務部の加藤某という、項目が違う場合もあるかもしれませんけれども、とにもかくにも一年間もこれが発見できなかつたというようなことは、一体何に基因するのか、その点をお尋ねします。
  87. 忠佐市

    ○忠説明員 ただいまの事実につきましては、内部的な監査が十分でなかつたという点でございまするが、その手口の一々につきまして、ただいま資料が十分でございませんので、資料をとりそろえまして申し上げさせていただきたいと思います。
  88. 大上司

    ○大上委員 ごもつともの御答弁であると存じます。  次に、本検査報告の二百三十九ページ、出納職員に対する検定というのがあります。これは毎年度私はお尋ねをするのでございますが、特に大蔵省の中においては、これもよく言うのですが、計数を扱う役所のように心得ております。ところが、それによりますと「出納職員が、現金または物品を亡失毀損」云々とありますが、こういう事件から見ますると、相当大蔵省件数が多い。それで責任のある件数としましては、二百三十九頁、大蔵省の点においては百四十九件となつておりまして、相当多いのです。専売公社の方は別わくになつておりまするが、百八十三件、とにもかくにも非常にこういう件数が多い。なぜこういうふうに多いのか。もちろん、その基礎条件としましては、さつき申しました国に損害云云という問題も出て来るでしようが、多い件数は主税局が多いのか、あるいは主計局が多いのか、理財局が多いのか。なおかつ、これを租税別に見た場合、主税局を例に持つて参りますると、これは徴收上の事務の間違いなのか、あるいは部内の間違いなのか、どの部課が一番件数が多いのか、それをお尋ねします。
  89. 平井平治

    ○平井政府委員 私からお答えいたします。ただいま資料を持つておりませんので、具体的にどこが何件ということは申しかねますので、後日資料を差上げたいと存じますが、これはその当時、終戦処理費も大蔵省所管であつたし、国有財産の関係等、非常に広い範囲を取扱つておつたので、この計数が多くなつております。なかんずく終戦処理費が多いのではないか、かように考えておりますが、後刻資料を差上げたいと思います。
  90. 大上司

    ○大上委員 資料が出ましてから、なお質問を続行したいと思いますので、この辺で私の質問は留保させていただきます。  なお毎年度の国の歳入歳出というものが、どういう機関を通つて、どのようになつているかということは、非常に国民の注視の的でありまするが、特に日本銀行はその性質から見て、いわゆる政府の正式な機関ではありませんが、資本金まで入れておる、あるいは政府のやや代行的なと申しますか、そういうものとして活動しておる。こういう面からみて、特に日本銀行の国庫の納入というものについて、われわれは関心を拂わざるを得ない。こういうような場合に、大蔵委員会においても、将来は当然この問題を取上げて行きたい。その性質としては、本委員会の所管とはやや違いまして、大蔵委員会所管事項の性格に似通つたもののようではございますが、いわゆる決算その他を出していただきたい。今後われわれ決算委員会におきましては、当然国会法で許されると判断せられる範囲内において、当委員会の活動範囲内において、日本銀行に対していわゆる決算書あるいは損益計算書、貸借対照表というようなものの書類を、正式にわれわれ委員へちようだいいたしたいと思いますから、委員長の方でしかるベくおとりはからい願いたいと思います。
  91. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの大上委員の御発言に対しましては、委員長まつたく同感であります。本決算委員会は、あながち日本銀行ばかりではありませんで、各省、各官庁に対しまして、そうしたような収支計算書、現在の財産目録とか、あるいは現在高証明というものに対しましては、それらに対します調査資料、参考文献等を取寄せる権能があるものと確信いたしますこれにつきましては、まつたく同感でありまするから、後刻理事会を開いた上において、適当な措置を講じたいと思います。  お諮りいたします。大蔵省所管に関しましては、たいへんに問題が多いわけでありますから、本日をもつて全部終了することは困難かと存じます。租税徴収状況その他全貌につきまして検討いたしましたが、本日はこの程度にいたして散会したらどうかと思いますが、いかがでありましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なきものと認めます。御多忙中にもかかわらず、愼重審議されました委員諸君初め、各位に感謝いたします。それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時七分散会