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田中(角)委員 大上君の質問に関連しまして、簡単に
一つだけ希望を申し述べ、同時に、政府当局の答弁を求めたいと思うのであります。二八七、
税額の
算出を誤つたもの。━━これは忠さんが今言われるのですが、なかなかうまく
行つておらぬのです。大蔵大臣に対しても、これは
決算委員会の一人の質問ではなく、全
国民の要望として、強く長い間言われておるのであります。この
税額の
算出を誤るということは、ただ字句に表現しますと、簡単なものでありまして、いわゆる実際よりも多く
徴收した場合、それから少く
徴收した場合である。少く
徴收した場合は、特に共産党の諸君がいうようにして、大事業者のみを政府が擁護するために、特別少く
徴收したのじやないかというようなことを言われるのでありますが、現在の
国家財政の状況で、適正なる收納を行うという意味から考えまして、これが適正なる收納ということに対しては、相当強い御意思を持
つてや
つていただきたいことは申すまでもないわけであります。これは
件数においては非常に少いと言われるのであります。実際たくさん取過ぎたというのは、例があまりない、こういうことですが、ここに問題があります。これは
まつたく
事務的な答弁であると私はいわなければならない。千人に、万人に一人の現実にそぐわない
徴收をしたために、その
徴收におびえるために、重大なる社会問題を起しておるのであります。いわゆる適正なる課税が行われてお
つて、しかも能力の限界内で
徴收せらるる課税だつたならば、現在新聞の面をにぎわすところの社会問題、いわゆる税によ
つて深刻な世相を現わしておるところの、あのような問題は起らないわけであります。ここに
徴收に当るところの税務機構という問題に対しては、十分われわれが考えなければならぬと同時に、数の点において金額の点において、收納未済のものよりも、取過ぎたものが少いということは、当らないと私はいわなければならない、こう思うのであります。私は税をよけい取過ぎたというものよりも、
税額の
算出、いわゆる
税額の
決定というものが、
昭和二十年当時よりも、現在非常によく
なつたというけれども、まだまだ現在の状態において、私は根本的に、完全な機構が完成しておるとは認定できません。同時に、現在の
大蔵省及び
国税庁徴税関係の方々のお考えだけでは、このがんというものは取除くことができない、こういうふうに考えております。現在国家の行政機構の一大簡素化ということがいわれておるのでありますし、特にわが党内閣におきましても、講和
会議を前にして、行政機構の一大再編を考えております。しかしその中で最も緊要にして重大なるものは、徴税機構の変革であります。これは申すまでもありません。法律の改廃もたくさん行わなければならないのでありますが、吉田内閣総理大臣が常に言う
通り、大衆にわかりやすい、実際に即した
税法の改正という問題は、なかなか考えなければ行えないものであります。
税法は私が言うまでもなく、だんだんむずかしい
税法にな
つて来ました。しかしこれは、大体現在の、まず世界通念として、大体インテリの持つ感覚の終局は、このような
税法になるのだというふうにいわれるのでありまして、さてこれをいかなる形態に変革するかということは非常にむずかしい問題であります。むずかしいから、
税法をたくさん改正しなければ、なかなかその実をあげることはできないのでありますが、われわれも真に立法府の議員として、これが改正の問題に対しては、愼重に考えておるわけであります。しかも早い機会において、現実に即応し、マイナスをもたらさないような
税法にしなければならないと考えております。ただ、その
税法ができるまで、現在の徴税機構において、あなた方の手腕と力量と
努力と決意によ
つて、直され得るものだけは、直してもらわなければならぬということを、私は申し上げたいのであります。それは、現実に徴税に当
つておる
人たちの数が少くな
つて、徴税されるところの対象が多く
なつたということは認めます。しかし、そういうふうな
数字を並べ立てて、一応のりくつができあがるという問題ではなく、本質の問題であります。それはあまりにも民主主義々々々々で、こういう民主主義の字句にとらわれたために、特に複雑であり、むずかしい徴税機構の
内部の、大臣、次官、
局長、部長、課長、係長と、最終末端の徴税官吏まで一貫した命令系統を持
つておつたものが、共産党が跋扈したものですから…(発言する者あり)
——事実私はそれを言いたい。ここに共産党の井之口君がおりますが、共産党が勢力を伸ばすために、徴税機構の中にいろいろ赤を入れたということは、いかに
国民に対してマイナスであるかということは、私は今こそ真実に言い得る。私は
査察部長によく言いたいのであります。現在どこの
税務署に
行つても、一番権力を持つ者は、むしろ末端の徴税をや
つておる
人たちであります。課長に陳情を
行つても、部長に陳情を
行つても、ほとんど聞き入れられません。最も末端の二十四、五歳という未熟な
人たちの自由裁量によ
つて行われております。中には相当の收益をあげておる人に、年額五十万円の
税金を課しております。ところが引揚者であ
つて全然收益のなき者に対して、同額の五十万円の
税額をかけておるというときに、彼は一体何と言うでありましようか、これこそ今保守だ、反動だといわれる吉田内閣がつくつたのだ、文句があるなら議会へ
行つて言えと、彼らは公然とこういうことを
言つております。われわれは、自由裁量の
職員ではない、われわれは法規裁量の
職員である。法規をつくつたものは自由党の諸君だ、だから文句は自由党に言えということを広言しておるではありませんか。私はこのような徴税官吏を一掃しないことには、適正なる徴税は断じて行われないという信念を持
つております。私はこれだけは当然考えなければならぬと思う。徴税機構を変革し、再編するということをい
つて、頭数をふやすだけで、実は可なりとは考えておりません。そのときには、いわゆる責任の衝に当る
人たちが、みずから進んでその責任を負うという態度だけはと
つていただきたい。私が例をあげるまでもなく、二、三のかかる社会問題を起す寸前に至つた
人たちを、
国税局に持ち込んだこともあります。一年間た
つて、いまだに解決を見ない問題があります。なぜでありましよう。現在の長官が、
局長が、部長が、課長が、徴税官吏を法の命ずるままに駆使できないならば、
局長などはやめるべきである。私は自信を持
つてこれを申し上げる。一年も二年も経過した
事件を、
国税局の長官が、部長が、課長が、これに対して
結論を與えられないというがごときことは、断じて許すことはできません、こういうところに、まさに共産党の跋扈があるのでありまして、
国民的に大いに関心を持たなければなりません。私はそういう自信を持
つておるのです。だから、私は声を大にして
言つておるのです。少くとも生命に直接関係をし、日常生活に関係するものとしては、終戦前までは、
税務署の官吏や
税務署に関することはあまりなかつた。ところが、今雑誌や新聞をごらんなさい、漫画の中で一番大きなウエートを占めておるのは、徴税官吏であります。執達吏よりまだ悪いということを言われたのは、百人、千人の中にそういう
人たちがおるからです。これは多分に赤い色を帶びておる人だと思うのでありますが、これ一人おるために、えらい迷惑をこうむ
つておる。こういう者に対しては、断固とした処置をとることが、私は緊急なことであると考えております。その意味において、大衆から持ち込まれたものに対しては、少くとも一週間、一箇月以内に解決すべき責任を明確にしていただきたい。
もう
一つ、徴税の窓口は、銀行の窓口と同じように、
大蔵省の主税局の末端官吏にこれをまかすことは、その末端官吏が自由裁量をすることであ
つて、これは断じてやめなければならぬ。大衆に直結する第一の窓口は、責任ある係長、課長、部長、署長がこれを行うことにしなければならぬ。これが行われれば、少くとも現在新聞、ラジオをにぎわしておる社会問題が、百分の一、千分の一、万分の一に減ることを私は明言します。これは非常に簡単な質問ではありますが、重要なる問題であ
つて、この問題を解決せずして、徴税機構の改革、理想というものは達成せられないのであります。特に
査察、監察の重責を帯びておらるる忠さんに対して、一言の意思の表明を求めます。