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1951-05-25 第10回国会 衆議院 決算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十五日(金曜日)     午後一時五十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 三宅 則義君    理事 金光 義邦君    大上  司君       高塩 三郎君    田中 角榮君       田中不破三君    藤枝 泉介君       畠山 重勇君    上林與市郎君       井之口政雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      平井 平治君  委員外出席者         判     事         (最高裁判所事         務総局事務次         長)      石田 和外君         住宅金融公庫総         裁       鈴木 敬一君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      大澤  實君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清美君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会中審査申出の件  国政調査承認要求に関する件  委員派遣に関する件  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関收支出決算  住宅金融公庫に関する件     ―――――――――――――
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより会議を開きます。  前会に引續昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関收支出決算を議題として審議に入ります。  本日は主計局長が参ることになつておりましたが、大臣と打合せの関係上、遅れますので、主計局長に対する質疑あとに譲ります。よつて最高裁判所所管決算審議いたす所存でありまするから、あらかじめ御了承を願います。  なお委員長より最初に申し上げておきまするが、本会議が大体二時に開かれる予定になつておるわけでありまするから、審議都合上、中途で本会議の開会になる場合におきましては、中止休憩いたしまして、あらためて再開いたすことといたしますから、あらかじめ御了承を願います。本日最高裁判所事務総長の五鬼上堅磐君が御都合が悪いわけでありまして、最高裁判所事務次長石田和外君が御出席であります。さらに会計検査院検査第二局長大澤實君、住宅金融公庫総裁鈴木敬一君、この三君が御出席でございまするから、そのおつもりで審議をお願いいたします。  まず昭和二十四年度決算検査報告、三十二ページ、第一裁判所一般会計不正行為二件について、最高裁判所事務当局より説明を求めます。最高裁判所事務次長石田和外君。
  3. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 御説明を申し上げますに先だちまして、職員のかかる不正行為によりまして、国に対し多大の損害を与えましたことを、非常に遺憾に存じておる次第でございます。  二つ案件がございまするが、一件は浦和地方裁判所に起きました不正事件であります。内容を簡單に御説明いたしますと、山本克巳と申します職員は、浦和家庭裁判所雇員でございまして、これは昭和二十年の二月二十四日に採用した職員でございます。それが昭和二十四年の八月から二十五年の一月に至るまでの期間不正をいたしまして、保管金六十五万九千円を自己用途に使用横領した案件でございます。実はその保管金は、主として保釈保証金等受取つて、それを預かつているのを費消したという案件でございます。  もう一件の札幌地方裁判所事件について概略申し上げますと、これも同じく雇員でございますが、東一郎と申す若い雇員でございまして、これは、昭和二十三年の三月十日に採用いたしました職員であります。それが昭和二十四年の十二月から二十五年の四月までの間に、不正をいたしまして大体歳出金六十九万八千五百七十一円、保管金三十三万五千円、合計百三万三千五百七十一円に相当する損害を国に与えたものでございます。これも保管金等は、大体保釈保証金等でございまするが、歳出金支払いをいたしまするにあたりまして、上司から預けられた小切手自己用途に使用したという次第でございまして、いずれもはなはだ申訳ありませんのは、職員として採用されてまだ間もない若い職員に、かような金銭保管あるいは受渡し等を命じたという点でございます。  多少弁解がましくなりますが、要するに当時は浦和家庭裁判所におきましても、札幌地方裁判所におきましても、何しろ職員の充実ができておりませんでした。ことに浦和の方におきましては、係長が病気で欠席をしておつたというような点がございましたので、日ごろ小才のきく職員でありますので、かような職員にそういう重大なことをやらせた。それから札幌地方裁判所につきましても、やはり日ごろ間に合うものでありますから、ついかようなことをやらせたという、監督上の責任の問題も起きて来ている次第でございます。  かようなことが引續き発生いたしまして、裁判所といたしましてはまことに申訳ない次第でございまして、昭和二十五年の三月、浦和事件が発生いたしますと同時に、今後さようなことがないように防止いたしますために、二十五年の三月三日に開かれました会計課長会同におきまして、民刑事保管金及び保管物等取扱いについて、という題目で会同をいたしまして、皆の注意を喚起したわけであります。さらに二十五年の三月二十七日には、その会同の結果等の材料に従いまして、最高裁判所裁判官会議にもそのことを報告いたしました上で、不正事件防止について、という事務総長依命通達を、全国の各会計事務管理者にあてて発送いたしました。詳しいことは避けますが、大体不正事件防止対策といたしましては、監督監査の強化、監督者の訓練、職員配置適正化責任者処分会計事務管理者及び事務主任官に対し、不正事件防止について注意喚起という項目のもとに、さらに細目にわたつて対策要綱を作成いたしまして、これを各会計事務管理者にあてて通達いたしました。さらに同年の四月十四日の高等裁判所長官地方裁判所所長並びに家庭裁判所所長全国会同におきまして、不正事件防止について、事務総長経理局長より詳しく説明をいたしました。  さらに二十五年の五月一日に至りまして、下級裁判所会計事務規程の一部を改正いたしまして、金銭出納証拠書類は、上司が毎日検閲をする、同じく金銭出納検査を毎月実施して、その結果はその都度長官または所長から最高裁判所長官報告させるということにいたしました。さらに二十五年の十一月十一日にも、不正事件防止についてという事務総長依命通達を、全国の各会計事務管理者にあてて出しました。  さらに今年、つまり昭和二十六年の三月一日の会計課長会同におきまして、不正事件防止に関し、現在の予算及び定員の範囲内で特に考慮すべき事項について、という会議をいたしまして、各会計責任者から案を出させると同時に、不正事件のないような研究をいたさせた次第であります。なおそれに引續きまして、三月八日の事務局長会同におきましても、不正事件防止に関する考慮すべき事項について、という会議事項を上程いたしまして、今後は会計事務機構を改正して、流れ作業式として処理改善をいたして、金銭上のさような不正が重ねてないように、十分の考慮を払つて行くつもりでございます。  なお浦和札幌不正事件責任者処分について申し上げますが、浦和山本に対しましては、判明すると同時に懲戒免官にいたし、地方裁判所所長に対しましては、下級裁判所事務処理規則に基きまして、東京高等裁判所におきまして訓告の処分をいたしました。なお事務局長もおりますが、これはついてはおそくも今月中ぐらいには相当の処分をいたすことになつております。  それから札幌案件につきましては、本人に対しましては、やはり発覚と同時に懲戒免職にいたしました。それから地方裁判所所長に対しましては、裁判官分限法を発動いたしまして、これも札幌高等裁判所におきまして戒告処分にいたし、それから事務局長会計課長等に対しましては、処分はやはり考慮中でございますが、これもおそくも今月中には処分をいたすはずでございます。  なお一つ申し加えなければなりませんのは、浦和会計課長に対しましては、当時本俸三箇月間五分の一減給の処分をいたしたわけでございます。それから本人に対しましては、浦和案件につきましては、山本という職員に対し、第一審におきまして懲役二年の判決があり、目下控訴中であります。札幌案件については、東一郎に対し懲役三年六月の判決がございまして、これも目下控訴中で、まだ確定には至つておりません。  以上でございます。
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま最高裁判所事務次長石田和外君から御説明がありましたが、次に会計検査院側大澤第二局長からの御意見を伺います。
  5. 大澤實

    大澤会計檢査院説明員 事件内容は、ただいま最高裁判所側からの御説明通りで、つけ加えることはございませんが、こうした事件が起る原因を調べてみますると、全部ではありませんが、そのうちの大半は、支出官なり出納官吏が支払うべき小切手を発行いたしまして、それを直接債権者に交付することなく、若い雇員小切手を渡して支払わせる、そうしたときに、その雇員債権者にこれを交付することなく、自分でそれを現金化した、こういうような次第でありまして、会計法原則からいいましても、直接債権者に支払うべきものを、部内の職員とはいいながら若い雇にそれを交付したというところに、こうしたことの生ずる欠陷があつたのではなかろうか。同時にまた、そうしたことに対しまする支出官なり出納官吏というものが、いわゆる部下まかせといいますか、若い雇に仕事をまかせておるのではないかというところが見られるのであります。この点につきましては、ただいま御説明がありましたように、逐次改善の方向に進まれることと存じます。一応会計検査院として考えましたことをつけ加えておきます。
  6. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 この際委員長から申し上げます。もう少したちますと本会議が開会される予定でございますから、そのときが来ましたならば休憩いたします。大体もう五分か十分でございます。  最初に申し上げますが、今最高裁判所石田君並びに会計検査院大澤局長両君から御説明がありましたが、この際質疑を許します。質疑を許す前に、委員長から一言注意申し上げます。ややもすると、会計官吏あるいは会計担当者は、その局その課におきまするところの優秀官吏でなければならぬにかかわらず、第二、第三、もしくは人物といたしましては、どうかと思うような――責任はあるかもしれませんが、能力に対しまして優秀性がないというような懸念もあるわけでありますからして、この際各官庁等を問わず、ことに国の租税によつてまかなわれる、われわれの血税が重なつて国費となつておる関係上、特に現金支出物品支出を担当する官吏におきましては、今後各官庁とも相当優秀なる人物をこれに配置いたしまして、第一線に働く者を、国民の信頼し得る官吏にせられんことを要望いたします。
  7. 井之口政雄

    井之口委員 この、裁判所から、保釈保証金がほしいままに領得されたという事件は、どうもマツカーサーの野営司令部にどろぼうが入つたくらいの非常識きわまる問題だと、こう思われるのであります。今会計検査院お話でありますと、振り出した小切手が雇によつて領得されたというのでありますが、これは支払うものを支払わずに起つて来た不正でありますか、それとも政府が、領收したものが領收手續にならずして、その間に運用をしたり何かしたというふうなことになりますか。とにかく浦和地方裁判所というものは、これは税務署でも若い二十幾つかの青年が、酒を飲むためにいろいろな不正を働いて、例の考査委員会ですか、問題になつたようなこともあるくらいでありまして、一体に官紀の非常に弛緩したところのように思われますけれども、そういうことがもし司法関係裁判所関係において起るとすれば、この二箇所だけではなくして、全国的にもつとたくさんこんなものが起るのではなかろうか。半年にもわたつてこれが発覚をされていないというのは、やはり下の雇員だけの操作によるものではなくして、会計の上の担当者が、それを黙認しておるとかなんとか、やはり利益に均霑しているというふうな点があるのではなかろうか。公団等においてもそういう事実があつた。上役が、名義上は自分でやつたわけではないけれども、やはり下級の者がやつて上前をはねてやつてつたということが、発見されるのであります。そういうふうな点が、これにあるのではなかろうかと思うのですけれども、どうでしようか。
  8. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 仰せのように、裁判所といたしましては、まつたく申訳ない次第でございますが、しかし幸いにして二つ案件とも、全然これは、それよりも上の者が何ら関係をしておりませんから、その点は御安心を願いたいと思います。保管金の方はたとえば保釈保証金等を受取ります際に、当人領收書を偽造いたしまして、あり合せ判を押して領收をごまかしたというような案件が多かつたわけでございます。それから札幌の場合のこの小切手の件につきましては、裁判所から業者に支払うべきものを、上司から持参するように言われたものを、それを業者に支払つたようなふりをして、自分使つてつた。それで主として時期は十二月から四月ごろまでの、年度末に際しましての事柄が多くて、その際いろいろな小切手をたくさん持つておりまして、比較的ばれるのがおそいようなものを見はからつて、そういうようなことをやりました次第であります。これはまつたく犯人として処罰されました当人だけのことでございまして、それよりも上の者につきましては、全然さようなことはございません。その点は御安心をいただきたいと思います。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から質疑いたしますが、会計検査院昭和二十四年度決算検査報告によりますれば、名古屋裁判所等におきまして証明未済による未確認額が二十七万五千余円とあります。これについてなぜ証明未済なつたか。現在では証明済みかどうか。裁判所自身がこのように法令を軽視するようなことがあつては、まことに寒心にたえない。会計検査院は、取扱い責任者につきましても、どのようなふうにいたしておるのか。裁判所当局においては、どういうふうに責任者処分したのかというようなことがあるわけでありまして、これにつきまして、ひとつ詳細に本委員会説明せられたいと存じます。
  10. 大澤實

    大澤会計檢査院説明員 ただいまのお尋ねでございますが、会計検査院といたしましては、規則上は毎月の証拠書類は、翌月の末日までに会計検査院に出すようにということを規則に定めてあります。しかし、なかなか規則通りに出て来ないのが多い。それに対して、ある程度の事情もやはり考慮しなければならぬと思いまして、三箇月を経過したときに一応会計検査院局長名をもちまして、督促状を発しております。そうして、なおかつ遅れているときにおいて、もちろん事情を尋ねます。尋ねますと、あるいは会計職員が急に転勤になつて、ふなれのために遅れた、あるいは火災があつてどうしたとか、いろいろ説明が来ておりますが、その説明をいろいろ聽取いたしまして、事情がもつともだと思われるものは、そのままもう少し待ちます。そうして五箇月になりますと、さらにまたもう一度早く出せと催告を発しまして、なおそのときに詳しい事情を聽取いたします。大体そのころになりますと、遅れたものも出て来ております。  なお、ただいまの方針といたしましては、それでもなおかつ遅れておるものに対しましては、会計検査院法の規定によりまして、懲戒処分を要求しようということにいたしております。しかし幸いにして――幸いといいますか、ただいまのところは、火事にあつたというような特殊な事情で遅れておるのは別といたしまして、單なる怠慢といいますか、それで遅れておるものは、大体三箇月ということはあまりなくて、非常に順調に進んでおります。ただいま、お尋ねの二十三年度証明未済になりましたものが、ちよつとただいま具体的な事項は承知いたしておりませんが、この検査報告をつくる場合にはまだ来ていなかつたが、すぐそのあと証明が提出されまして、そうして検査をいたしまして、検了いたしたいというように承知いたしております。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 裁判所側の御意見を承りたいと存じます。裁判所自身が、みずからが法令を軽視するようなことがあつてはいかぬと思いますが、これに対して事務次長石田君の答弁を伺います。
  12. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 いかにもごもつともな仰せでございますが、裁判所も、裁判面と、それから裁判以外の事務面とございまして、裁判面において法令に違うようなことは、絶対あつてはいかぬわけでありますが、事務面につきましては、やはり一般行政事務でございまして、ややもすると、提出すべき期間中に間に合わなくて出せなかつたというようなこともございます。なるべくそういうことがなく、行政面においても御期待に沿うようにやつて行きたいと思いますけれども、裁判部面事務部面の方との違いだけは、御了承願いたいと存じます。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま石田最高裁判所事務次長からの御答弁がありましたが、国会側といたしましては、ぜひ模範となるような、裁判はもちろんのことでありますが、その他の事務面につきましても、率先して間違いのないようにしていただくことが、裁判威巖を保ち、また国民の信頼を高めるゆえんであると存じます。ぜひそういうふうにお願いいたします。  次に、もう一言会計検査院の方にお伺いいたしたいと思いますが、未確認額中、犯罪に関し調査中というのが数件ありまして、しかもその金額において二万三千三百六十六円というようなふうになつておるようでありますが、内容はどういうふうになつておりますか。犯罪による未確認のものでありましようが、そういうようなことがどうなつておるかということを承りたいと思います。
  14. 大澤實

    大澤会計檢査院説明員 ただいまの犯罪に関し調査中とありますのは、大体不正事項が起きますと、各省から報告検査院へ提出してもらいます。そうしてそれが検査院へ提出する証拠書類その他あるいは裁判になりました判決あるいは起訴状というようなもので、その報告がはたして適当なものかどうかということを確認してから、国会の方への検査報告には掲載した方が妥当ではなかろうかと考えまして、この検査報告の締切りの間近ごろに報告が参りましたものは、とりあえずもう少し調査するということで、報告金額を大体未確認金額として掲げてございます。なおこの件に関しましては、調査の結果、あるいは全額証明済みになつておれば、二十五年度検査報告に掲載しない場合もありましようが、大体は二十五年度検査報告に調べた結果を掲載するようにただいまやつております。  なお、先ほど御質問の点を少し勘違いいたしまして、二十三年度の問題だと思いましたが、二十四年度証明未済とありますのは、やはり犯罪関係いたしまして書類が検察庁でしたか、裁判所でしたか、その方に証拠物件として押收されております。会計検査院の方へ証明が来ていない、こういうのでございまして、事務の怠慢でなくしてそうした裁判手續のために証明未済なつた。こういう案件でございます。御了承願います。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申し上げます。証明未済ということになりますと、伝票なくして払つたと同じようなことに考えられます。企業会計においでは、伝票は必ずある、これが原則でありますが、官庁はそういうものがなくてよろしいのでありますか。一体どういうふうにしておりますか。われわれといたしましては、伝票はもちろんのこと、証明書もつけて苦心して出すのが、本格的会計検査であろうと思いますが、その辺のところを、もう少し率直に言つてもらいたいのであります。もし来なかつた場合においては、もう一度催促をいたしまして、早く出せ、これを言うくらいの権限は、会計検査院にはあるはずだと思います。会計検査院の御意見を伺いたい。
  16. 大澤實

    大澤会計檢査院説明員 お説の通りでございまして、会計検査院決算確認いたす場合には、支出でありますれば、相手方領收書、それからそれに伴う契約書請求書とその他の関係書類、これが提出されなければ、会計検査院としては検査確認いたしておりません。それから、ただいま証明未済としてありますのは、なるほどそれだけの金が出ているということは、決算上わかるのでありますが、それに伴う証拠書類、ただいまの領收書請求書という一括の書類が、まだ会計検査院に提出されていないというので、これを確認することをもう少し待つて、それを見てから確認しよう、こういうので、証明未済として、未確認として残してあるわけであります。ほかに一般の場合は、歳入におきましては歳入決議書、その他歳入になるべき関係書類をとりまして、検討いたす、また支出につきましては、相手方請求書領收書その他のものをとりまして、それが支払われておるということを確認いたして検査を済ましておる次第であります。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長からさらに申し上げますが、すべての国家経済――私経済も同様でありますが、伝票も切らずに買つて払つておいて、あと伝票に合せるというようなことは、まことに不合理きわまることでありまして、それがこの官庁会計の紊乱のもととなると私は考えるのであります。でありまするから、各官庁もそういうようなやりくり算段ということを眼中に置かずに、赤裸々に表わしてきちんと領收書を出すということの習慣をつけなければ、これはどこまでたつても解決できない、かように思いますから、ただちに会計検査院としては、各官庁会計を検討するには、最高責任者であり、また責任をもつて監査監督せられるものと思いますので、あたかも裁判所に対しましては最高裁判所監督するごとくに、各官庁に対しましては、会計検査院がもう一段と決意と真心を傾注いたしまして、十分不正のないように、また早く合理的にできますように、一段と御努力を願いたいと思いまするが、これに対する当局答弁を求めます。
  18. 大澤實

    大澤会計檢査院説明員 ただいまの御意見通りでありまして、最近われわれが痛感いたしておりますのは、会計検査院に、領收書も正規であるかのごとく出て来ておつて、しかも実際に検査いたしますると、たとえば賃金として払われておる、人夫賃として払われておるものが、実はそれが交際費に使われておるというのが、間々見られるのであります。そして、これはただ書類だけではわからない、どう検査するかということをいろいろ苦心いたしておりますが、いろいろな方法によりましてそれを検査いたしまして、いわゆる架空支払いというものを、絶対にこれはささいなものであつても、当然責めるべきである、この方針にのつとりまして、ただいま検査を実施しております。その結果は、この二十四年度検査報告にも、ちよいちよい架空支払いの問題が出ておりますが、二十五年度検査報告にも、また相当の量が出るものと思つております。できるならば、会計検査院といたしましては、全部の支払いについて、相手方のいわゆる支払いを受けた方の書類検査するということをいたしますれば、さらにその点がはつきりするのでありますが、これはいわゆる相手方の人権の尊重といいますか、そうした面で多少の制約はある。またこちらの会計検査院職員能力にも、多少の制約はあるが、しかし、できるだけその方に進んで行こうという方針検査をいたしております。ただいま御指摘になりましたが、決して会計検査院といたしましては、ゆるがせにすることなく、お話通りの真剣な努力をもつて会計経理というものは実際に真実を表わしているということに持つて行かなければ、何のために会計検査院が存在するかわからぬじやないかということで、せつかく努力をいたしております。御了承願いたいと思います。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 いろいろ質問があろうと思いますが、予定の時刻になりまして、本会議も間近に開会せられることになりますから、一応休憩していただきまして、しかる後にいたしたいと思います。  この際暫時休憩いたします。     午後二時三十分休憩      ――――◇―――――     午後四時九分開議
  20. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 休憩前に引續き再開いたします。  本日は本会議がありまして、委員長報告関係上休憩になりましたが、今演説が済みましたからこちらへ参りました。係官の方にはお待たせいたしましたが、これより續行いたします。  大蔵省の主計局次長東條猛猪さんがおいでになつていますから、東條君に対する質疑を許します。井之口君。
  21. 井之口政雄

    井之口委員 二十四年度歳入の執行にあたりまして、租税收入の收納未済額が上千三十五億三千四百万円となつております。これは当時の租税全徴收決定額の約四分の一ぐらいに相当するだろうと思います。こういう大きな收納の未済が起るということは、これは法律そのものの規定が、徴收不可能なる税法を設定したために、こうした事件が起つているのではなかろうかと思うのです。その内容の点につきましては、こまかくは何か別個の資料によるよりしかたありませんが、大体全般的な状態といたしまして、税收入のこうした莫大なる收納未済額が出るということは、国民がそれほど大きな負担額を負うて、ちようど仁徳天皇の時代にあまり税金をしぼりとつたので、民のかまどから煙も立たたなくなつたというような現象が、歴史上にもありますが、そうしたことにさらにしんにゆうをかけたような状態が、今日の財政面に現われているのではなからうか、こう思うのであります。でありますから、この未收納額に対しまして、大体これはどういうふうなものであり、どういう部門がこうした未收として現われているものであるか。零細なるものがどういう状態にあるものか、あるいは多額な税金を納めなければならない人たちの分に、こういうふうな状態があるのか、全般的にまとめて御説明を願いたいと思います。
  22. 東條猛猪

    ○東條政府委員 ただいまのお尋ねは、大蔵省の部内でも、実は專門的方面は主税局ないし国税庁の方でございますから、また別の機会に御質問に応じて詳細御説明申し上げた方がよろしいかと存じますが、ただ主計局に勤務いたしております私どもの全般的な感じと申しますか、考え方を御参考までに申し上げたいと思います。その前に、あるいは千三十五億の收納の未済額の内訳を申し上げました方が、御参考になるのではないかと思いますが、千三十五億の收納未済額のうちで、一番大口は所得税でございまして、お手元の資料にも報告書が出ておると思いますが、八百二十二億、それから次に大口なのは法人税でございまして、百四十一億、この二つのものが大部分でございます。もちろん他の税種におきましても、收納未済額はそれぞれ相当の額には達しておりますが、大口のものは右に申し上げました所得税と法人税ということに相なつておる次第であります。  お尋ねの点は、現在の税制は租税負担が非常に重いのではないか、苛酷に過ぎる点がありはしないか、こういう御趣旨と承つたのでありますが、私どもも昭和二十四年度当時における税制は、国民の負担力から申しまして、決して軽いものではない、所得税にいたしましても、国民の負担は相当重かつた、かように存じております。国民全般に対する税負担は非常に重い次第でありますが、その前提のもとにおきましても、なるべく合理的な税制の樹立に努めまして、重い租税負担ではあるが、それを国民の各層におきまして、なるべく合理的な負担をしていただきたい。また税務行政の執行の実際におきましても、でき得る限り合理的に税務行政が実施されるように、ということは、私どもといたしましても常々念願し、また努力をいたしておる次第であります。ただ行政の第一線におきまして、場合によりましては課税の適正を欠きましたり、あるいは課税の実際におきまして、不合理にわたるような点が、もちろん全然ないわけではありませんので、それらにつきましても、過誤の矯正をいたすことにつきまして、税務当局において一生懸命の努力をいたしておる次第でございます。  なおこの千三十五億の未済額は、これまた申し上げるまでもございませんが、昭和二十四年度内に発生したものもございますけれども、過去の分が、ここにいわば一種のたまりとして出ておるものも相当あろうかと思います。なお委員御承知のように、昭和二十五年度以降におきましては、国民負担の緩和ということを、許される範囲内におきまして、財政需要の方ともにらみ合せの上、できるだけ減税に努めて参るというのが、政府方針でございまして、国会の議決をいただきまして、できる限りの減税にも努力をいたしておるような次第でございます。  なお計数その他、詳細につきましては、冒頭申し上げましたように、主税局ないし国税庁の政府委員がまかり出まして、別の機会に御説明申し上げることをお許しいただきたいと思います。
  23. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長より申し上げます。東條主計局次長は、全般のことは知つておりますが、なお詳細に関しましては、主税局並びに国税庁より呼びまして、質疑を續行いたしたいつもりであります。  この際、たびたび同じようなことを申し上げますが、幸い主計局から次長の東條君がおいでになりましたので、一言あらためて申し上げて、皆さんの御参考に供します。  この二十四年度決算説明書については、かねてから私が委員長といたしまして、大蔵省に切望いたしておつたところが、でき上つたのでありまして、今度でき上つた説明書によりますと、われわれとしてはたいへん便利であります。こういうようなものを参考にして、将来とも、わが国の予算、決算という面をよく見ていただいて、どこに欠陷があるか、また改善すべき点があるかということを、よく御検討願う資料とせられたいと思います。この労苦に対して、重ねてでありますが、大蔵当局に謝意を表します。  ついては、私より一言、大蔵省に質問をいたします。大蔵省は、国の予算の執行に関しまして、報告の徴收、もしくは実地監査及び指示を行うことができることになつております。監査の結果、会計検査院と同様に、不当なる非違事項等を発見せられて、是正、改善の措置を講ずることもあろうかと存じますが、その成績はわれわれに明示できないものであろうかどうか、適当な機会に報告を願いたいと思いますが、東條政府委員の答弁を求めます。
  24. 東條猛猪

    ○東條政府委員 仰せ通り、主計局におきましては、予算の編成のみならず、予算の執行面におきましても、常時関係各省、各庁と協力いたしまして、適正を期さねばならぬ、こういう心構えで当つておるわけでございます。従つて監督権と申しますか、検査と申しますか、年度の途中におきましても、各省各庁と協力いたしまして、執行状況がどうなつておるか、あるいは経理上不当な点がないかというようなことを、お互いに研究し合い、切瑳琢磨し、できる限り予算執行の適正、合理化をはかつて参る、かような意味合いをもちまして、大蔵省といたしましては、関係各省と相談をいたしておる次第でございます。主計局で現在やつておりますことは、いわば政府部内におきまするお互いの研究、ないしはお互いに注意をし合うというような性質のものでありまして、この点が、会計検査院で正式にそれぞれの法規に基いてやります検査とは、性格上やや異にいたしている次第であります。そういう次第でございまして、主計局で申しておりますことは、いわば政府部内のきわめて非公式な、あるいはわれわれが申しますことも、場合によつては事実に即しておらないようなこともあります。また、もちろんわれわれが注意をいたしまして、事実その通りであつて、各省で改めていただくというようなこともありますが、そういういわば内部的な研究ないし協力のようなものでありまして、これを国会の方でごらんをいただきまして、またいろいろ御参考にしていただくということは、事柄の性質として、かえつていかがなものであろうかと存ずる次第であります。委員長お話でありますから、なお私ども今後の研究の問題といたしまして、よく御趣旨の点は検討、研究を重ねたいと存じますが、ただいままでの大蔵省ないし主計局で関係各省各庁とお互いにやつております事柄の性質は、さような意味合いにおきましていたしているというふうに、御了承いただきたいと存じます。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 重ねて申し上げますが、大蔵省も、国の予算、決算関係のあります重大な省であります。またこれと同様に、会計検査院も、各官庁会計監督し、またこれに対します研究を怠つておりません。つきましては、この両者におきまして、相当財政面の監査と申しますか、あるいは調査といいますか、この面を巖重にせられますならば、こういう今批難事項に載るようなことは、だんだん減ると思うのであります。しかし、その後の経過もあることでありますが、会計検査院は、大蔵省とどのような関係になつておりますか、その辺の検査院側の気持を、この際承りたいと存じます。
  26. 大澤實

    大澤会計檢査院説明員 お答えいたします。会計検査院といたしましても、何といいますか、われわれの検査はいわば部外者の検査、言葉は悪いけれども、政府部内を離れた場所から見る関係上、ややもすると事実に対する観察が間接になる危險が多分にあります。その点が大蔵省のなされる監査いわゆる部内監査の方が、よく事実がわかるという関係もありますので、これは緊密な連絡を持たして行く必要があるという検査院長の考えからいたしまして、ただいま毎月一回ずつ定期に主計局長と会合をいたしまして、会計検査院検査の結果、この点は大蔵省として早く手を打つてもらつた方がいいのではなかろうかと思う事項はそのときに申し上げ、また主計局長の方から、こういう点がおかしいから、もつと深く会計検査院の方も検査してもらいたいというような事項をお聞きして、この間の緊密な連絡をとろうとして、ただいまは毎月一回ずつ会合をしております。その結果、われわれも教えられることもありますし、また主計局の方にも御参考になることを申し上げていると思つております。
  27. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま東條主計局次長並びに大澤会計検査院検査第二局長からの御答弁がありまして、私も大体了承したわけでありますが、なおこの際一言つけ加えて申し上げておきます。  国の財政のことでありますから、なかなか広汎でありまして、簡單には行きませんが、特に大蔵省は、前からの経験が深いことからして、その配分、その使用の目的、あるいはその結果等については四半期ごとに、たとえば六月とか九月とか十二月とか三月とかいうふうに、ずつと検査をし報告を徴收しておられることと考えますが、これらに対します改善の方法の一端といたしまして、事前監査は必要であります。なるべく近いうちに監査をいたしまして、大きなあやまちのないようにやるという線を強く出すことが最も必要であろうと思うのでありますが、これに対して、主計局次長はどういうふうにお考えになるか、もう一ぺんお伺いいたします。
  28. 東條猛猪

    ○東條政府委員 仰せまことにごもつともであります。私どもといたしましても、会計検査院の方と緊密な連絡のもとに、委員長仰せのように、なるべく政府部内の事前監査ということにつきましては、できるだけの努力をいたして参りたいと存じております。御承知のように、支出行為の承認の制度でありますとか、あるいは支払行為の承認の制度というような制度も、いろいろ事務上相当の手数を要するわけでありますけれども、いわゆる一般監査のほかに、右に申し上げました支出行為でありますとか、支払行為の承認でありますとか、またそれに関連いたしまして、今までの支出計画の実績はどうなつているか、支払計画の実績はどうなつているかというようなことを、関係各省研究し合うということが、委員長仰せになりましたラインにも沿うことであるというふうに考えまして、手数を要する点もありますが、それらのことは関係各省各庁に十分納得をしていただきまして、できるだけ仰せのようなラインでただいまもやつております。御趣意に従いまして、今後とも十分に努めて参りたいと考えております。
  29. 井之口政雄

    井之口委員 関連してちよつと……。ただいま大蔵省と会計検査院が、月に一回ずつ会合を持つている、そうして十分な連絡のもとに調査しているというふうなお返事がありましたが、これは非常にけつこうなことであります。しかし、場合によつては、かえつて会計検査院が公正な立場から調査するというこの根本方針が、あまりになれ合いになつてしまつて、できないというふうなことにもなりがちなものであります。それについては、やはり会計検査院が、根本的な、公正な地位を維持して行かなければ、これができない。とりわけ公団等の例の状態を見てみますと、事件が起きた後でなければ、会計検査院が問題にして来ないような状態になつている。そこで今起つている非常に大きな問題としては、終戰処理費が、二十五年度から本年度にかけてどういうふうに使われているかという実際上の重要問題が残つているわけであります。ただこれを終戰処理費の目的に合わぬようなものであつても、向うから出て来る指令書をまるのみにして出しているというふうなことが、政府側において行われるとすれば、今にしてこれを会計検査院が明確に監督なり何なりをやつて、それを防止するという方法をとらなければ、出して行つたあとになつてからいくらそれをつついたところで、どうにもならない。これは非常に重大なる問題であります。たとえばこの主計局から出されております決算説明書の中に、終戰処理費のうちの運輸費のごときは、約六億ぐらいのごくわずかな不用額が出ているようであります。そのほかの面においては、作業費の四十億というふうな不用額が出ておりますが、この運輸費のごときも、朝鮮事変以来どういうふうになつているか、これはこういう方面がむしろ大きく膨脹して来ているのではなかろうか、不用額どころの騒ぎではなくて、予算を突破して、うんと大きなものが出ておるのではなかろうか。それに対して会計検査院は、この終戰処理費について、二十五年度あるいは今進みつつある二十六年度などを調べられる場合に、どういう方針をもつてつておられるか、この点もひとつ聞いてみたいと思つております。
  30. 大澤實

    大澤会計檢査院説明員 お答えいたします。実は私終戰処理費の方の主管の局長ではございませんので、直接責任を持つたお答えはできませんが、大体の概要を申し上げますれば、お尋ねのように、終戰処理費というのは、国の予算の中に占める比率は非常に大きいのであります。これに関しましては、検査の課を二つ持ちまして、書面あるいは実施によつて相当検査をやつております。しかし会計検査院検査は、その建前上事後検査になりまして、どうしても支出の時期からやや遅れてから検査に入ることになりますので、その点、事前に防止するということには、多少遺憾の点があろうかと思いますが、事後においては、十分に検査をいたしております。お尋ねのように、運輸費の点は、具体的にどうなつておるかということは存じ上げませんが、検査の方法としては、それが予算に即しておるか、法規に即しておるかという点は、十分に検討しておりますし、将来も、その方向へ進んで行くことと思います。主管外のことをお答えいたすので、あるいはお気に召さぬかもしれませんが、御了承を願いたいと思います。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 大蔵省にちよつとお聞きします。昭和二十四年度歳入歳出決算を見ますと、終戰処理費の決算額は、九百億円に達しているようであります。百三十六億のものを繰越し、百二十五億円を不用額としております。かような巨額の繰越しもしくは不用額を生じたことは、例年ないように思いますが、何か事情でもあつたのでしようか。予算の見積りが非常に過大であつたということにも、歸着しはしないかと思いますが、その後何か事情の変化があつたのでしようか、もしおわかりでしたら、東條さんから承りたいと思います。
  32. 東條猛猪

    ○東條政府委員 委員長お尋ねは、終戰処理費の予算額の積算の基礎の問題にも、一部触れる問題かとも思います。終戰処理費の予算の見込額は、その性質上、なかなか的確に将来の見通しの困難な部分が、実は相当ある次第であります。従いまして、当初予算を積算いたしましても、その後の事情の変化によりますと、見込みが少くて補正予算を国会にお願いする場合もございますし、それから先ほど御指摘の昭和二十四年度におけるがごとく、予算額に不用あるいは繰越しを生ずるというような事情のありますことは、終戰処理費の積算の基礎が、比較的正確な資料をつかむことが困難でありますので、やむを得ない事情も実はあるのでございます。私が承知いたしておるところによりますと、昭和二十五年度以降におきましては、米軍内部での終戰処理費の支出を必要といたしますいわゆるPDと申しますか、調達命令と申しますか、そういう発出の仕方に多少変化があるように聞いております。つまり昭和二十五年度以降におきましては、当初より司令部あるいは占領軍の機関別に、PD発出の金額の大体の目途をきめまして、いわば各機関別のわくと申しますか、そういうようなものを一応この予算の支出にあたつて設け、各機関においてPDの発出あるいはイロアの発出をやつてつたのでありますが、昭和二十四年度までは、必ずしも今申しましたように、各機関別のPD発出計画というようなものがなかつたのではないかというふうに考えられるわけであります。従いまして、当初われわれの想像いたしておつた以上に、不用額がたくさん出ましたけれども、比較的年度末近くになりましていろいろ備品の注文があつたり、あるいは工事のPDが出ます。従つてそこに、前の年度に発出しておるのでありますから、翌年度に繰越しの手續をとらざるを得ないようなことに相なつたと思つております。くどいことを申しましたが、終戰処理費の予算の積算の基礎が、比較的ほかの経費と違いまして、ややもすれば正確度が少いということと、昭和二十四年度までは、右に申しましたように、司令部ないし占領軍側のPD発出の仕組みにおきまして、二十五年度以降と違つたやり方をやつてつたというようなことが、この昭和二十四年度におきまして、繰越し不用額に巨額の金額が計上せられた原因であろうと考えております。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 なおいろいろ質問があろうと思いますので、この際井之口君に許します。
  34. 井之口政雄

    井之口委員 二十四年度のはわかりました。二十五年度は、こういう不用額などというものは出ないどころか、たとえば運輸費にいたしましたところで、もつとふえて来る、事務費にしましたところで、さらに増加するというふうなものになつておるのではなかろうかと思いますが、二十五年度のあらましについて伺います。  それからもう一つあります。予算として政府が組むわけでありますが、それを実行する場合には、今言つたPDなり何なりの指令によつてこれを出して行くのでありますが、その場合に、予算のわくの外にこれがはみ出して指令が出て来た場合、日本政府としては、どんな態度をこれに対してとつておるか。出て来るものが予算を超過している場合であつても、これに対して拒絶する権限はないのか、項目が新たにふえて来ても、それをどうすることもできないのか。日本の政府においてそれを取扱つている現実の状態を、ひとつ知らせていただきたいと思います。
  35. 東條猛猪

    ○東條政府委員 二十五年度の終戰処理費の見込みはどうかということでありますが、政府といたしましては、司令部その他関係方面の終戰処理費の経費の支出が、できるだけ合理的に、また効率的に使われるようにということの要請を、機会あるごとにいたすわけであります。二十五年度の実績は、御承知のようにまだ五月の終りまでなりませんので、主計局の締切りはずつとあとでありますから、的確なことは申し上げかねますが、私の非常に大ざつぱな感じと申しますか、その程度のことを申しますれば、やはりここに数十億円程度の不用額が出るのではなかろうか、繰越しも相当の繰越しが出るであろうというように考えております。いましばらく時日をおかしいただきますれば、主計局の締切りも終りますし、正確なお答えができると思いますけれども、今日のところでは、その程度だけしか見通しが立つておらぬということをお許しいただきたいと思います。  それから予算のわくを越えてPDが出た場合に、政府は一体どういうような処置をしておるか、こういうお話でありますが、終戰処理費の予算額を越えてPDが発出せられてその処理に困るというようなことは、大蔵省といたしましては、ただいままで全然そういう事実はないと思つております。承知いたしておりませんが、もしそういう事例がありますれば、特別調達庁方面から主計局に対しまして、その善後処理につきましても、もちろん相談があるはずでありますが、私どもといたしましては、ただいままでそういう事実を承知いたしておりません。  なお御参考までに申し上げますが、終戰処理費の関係が、先ほど委員長お尋ねに対して申し上げましたように、比較的積算の基礎が明瞭でありませんので、国会における款項の議決の方法にいたしましても、それに備えまして比較的彈力のある款項の議決をお願いしたいということを御参考に申し上げておきます。
  36. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から、もう一言参考までに聞きますが、終戰処理費のことは、今東條政府委員のお話になりましたように、いろいろの客観情勢等によりまして変化があることと思いますが、二十六年度もいつごろ案がまとまりましようか、七月にならなければわかりませんか。ちよつとその辺を伺いまして参考にいたしたいと思います。もちろん決算確認は得てないかもしれませんが、お示し願いたいと思います。
  37. 東條猛猪

    ○東條政府委員 やはり正確な数字は、七月を過ぎてみないとわかりかねるかと思つております。
  38. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 では二十六年の七月以降にならないと、はつきりわからないということでありますが、どうせ来国会も継續して御審議を願いたいと思いますから、そのときは、御参考までにお示し願いたいと考えます。
  39. 井之口政雄

    井之口委員 この説明書の中に、外務省所管の引揚げの費用が計算されておりますが、その留守宅送金の部分が二千七百人で、実績が三千百八十二名というふうになつております。留守宅送金が予定よりもふえて来るというのは、ふに落ちないところであります。また政府は、ソ連だけでも三十数万の引揚者がまだ未引揚げでおるということを言つておられます。すると、その家族が二千何百というだけであつたならば、どうもそろばんが合わぬように思われますが、あとの三十何方という人間は宿なしの人間になつてしまつておるのかどうか、その辺をひとつ御説明願いたい。
  40. 東條猛猪

    ○東條政府委員 ただいま井之口委員からのお尋ねは、外務省所管の留守宅送金の員数が、予算よりも実績が上まわつておることが第一点、第二点は二千人や三千人ということでは、少いのではないかというお話であります。きわめて技術的な問題でありますが、これは外務省所管の外地関係の公務員であります。従来外地におりました国家公務員、それが所管といたしましては外務省所管になつております。従いまして、お話のソ連に残つておるような一般の方ではありませんで、従来役人であつて、そうしてまだ内地に帰つて来ない者に対する留守宅送金がこの経費であります。従いまして、この程度の数字を出すことはきわめて自然であります。またどうして予算よりも実績が上まわつておるかという点でありますが、当初予算で見込みましたよりも、復員の速度が落ちております。二十四年度におきましても、遺憾ながら予算で見込んだだけの人数の方々が内地へお引揚げにならないということでありますから、逆に留守宅が予算よりふえるということで、留守宅送金の員数は、二千七百人の見込みが三千百人にふえたということであります。
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 井之口君に申し上げますが、なるべく一般論の質疑にしていただきたいと思います。鈴木総裁が参つておりますから、もう一つだけ許します。
  42. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、外交官の引揚者で、まだ引揚げて来ない者が予定より約千人ぐらいふえておりますが、それはどんなところからですか。
  43. 東條猛猪

    ○東條政府委員 大体二十四年当時でありますと、樺太、朝鮮、台湾、南洋庁、従来そういうところの官庁に勤めておつた人が大部分であります。御想像になるような一般のいわゆる外交官というものは、おりましても、人数的にほとんどわずかであると御承知いただきたいと思います。
  44. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは、委員長から申しますが、本日はこまかいことは第二にしていただきまして、大体総括的なことを質問していただくことになつておりますから、順序を転倒いたしまして先ほどからお待ちかねの鈴木住宅金融公庫総裁に、井之口君よりお尋ね願います。
  45. 井之口政雄

    井之口委員 住宅金融公庫総裁に御質問いたします。新聞の伝えるところによりますと、この予算が約百億から組まれておるのに、現実に今年度において支出されるところの金額は十数億しかないというふうなことが報ぜられておりますが、その辺のいきさつはどうしたものであろうか。もしそういうことでありましたならば、住宅難を緩和することもできないでしようし、政府の立てているところの目的も、完遂することができないであろうと思いますが、これが一つ。それから、ビルデイングとかなんとかいう、非常に費用のかかる方面によけい金が支出されて、一般住宅の方へまわす金額がなくなつている、そういうふうな性質のものではなかろうと思うのですが、どこかデパートなどに対してもそういう不当なことが行われたというようなことも聞いております。詳しい内容に至つては、立ち入つて調べておりませんけれども、世間ではそういう風評が立つくらいであります。そうしますと、国民が大きな疑惑を持つと思いますが、ひとつその辺の御説明を願います。
  46. 鈴木敬一

    鈴木説明員 第一のお尋ねは、二十六年度貸付資金が約百億円あるのに対して、新規申込みを引受けられる額が少な過ぎるようだという御議論のようですが、これは実は二十五年度の貸付希望者が予定より非常に多かつたことが、もつぱらの原因であります。御承知の通り、二十五年度は百五十億の貸付資金の予算でありましたために、支出負担行為たる貸付予定契約を百五十億しか結べないのは当然でありますが、昨年の年末ごろから貸付希望者の申込みが非常に多くなりまして、百五十億以上突破するような見込みでありましたから、新規申込みの受付は、地方的に十二月ごろ締め切つたところもあります。そして全国的に今年の一月中の申込みだけで打切られまして、爾来は全国的に申込みを受付けなかつたのでありますが、契約すべき段階、すなわち、申込みをせられて、窓口の金融機関の審査を経て、それから建物の設計審査を公共団体から受けて、その次に両方にパスしたものに対して、私どもの方で契約を申し上げる、こういう順序でありますが、金融機関の審査及び公共団体の建物の設計審査に合格せられた方が非常に多くなつたのであります。まずそういう二つの審査に合格された向きを、百五十億だけ三月三十一日までに契約いたしまして、なお残つた方々が非常に多いのであります。金融機関及び公共団体の審査に合格された方が非常に多いのでありまして、この二つの審査に合格されましたから、ただちに契約をいたさなければならぬ段取りでありますのを、二十五年度ではもはやその支出負担行為をするわくがありませんので、四月すなわち二十六年度に入りましてから、着々その契約をしておるわけであります。四月一日以後に契約をまわした分が、約七十億ということに相なつております。そのために二十六年度の百億中七十億ばかりは、今年の四月以前にそういう手續を経られまして、あるいは土地を購入する手續を済まし、あるいは設計審査の合格をせられたという方々のために、契約を四月以降しつつあるのであります。そうして新規に受付けられるわくとしましては、約三十億程度しかない、こういうことに立ち至つておる次第でありまして、決してほかの事情のために新規に契約すべき金が少いというのでございませんで、今年度に入りましてから、今までに準備をなさつた方々のために契約をしておる、こういうことでございます。  なお續いての御質問と関連をしますので申し上げますが、第二の御質問は、ビルデイングその他大きな建物にしばしば貸しておるというふうに聞くがというお尋ねでありますが、そういうものには貸しておりません。百貨店等のお話もありましたが、そういうものには貸しておりません。私の方では、しばしばそういうことに利用しようという御希望のお申込みは受けておりますけれども、私の方はあくまで住宅でありまして、單独の個人住宅が、件数においては非常に多いのであります。けれども、集合住宅と申しますか、共同住宅とわれわれの方では申しておりますが、いわゆるアパートでございます。アパートに対しましては、耐火構造のアパートについてはお金を貸して、そうしてそういうものを建てられて、一般庶民に借家として提供するという建設工事を経営して行く団体等には貸し付けております。但し、これは法律でその年度の貸付金総額の三〇%を越えてはならぬという制限が明定してございますので、三〇%の範囲内において、そういうアパート建設並びに経営をする団体に貸し付けております。それからそういうものはいわゆる賃貸価格でございまして、一戸当り九坪ないし十四、五坪ぐらいが多いと思います。個人の住宅でも、同様に九坪以上十八坪までの分をお貸しします。個人の住宅でしたら三十坪を越える建物は貸付対象にしておりません。三十坪をお建てになる場合でも、そのうちの十八坪未満の建設費の七割五分をお貸しする、こういうようなことになつておりまして、あくまで国民大衆、ことに庶民層の個人住宅、あるいはまた賃貸住宅を目途として貸付をはかつておるわけでありまして、いろいろ間違つた風評が世間にあるようでございますが、真相はその通り正確に行つておりますから、どうぞ御安心をいただきたいと思います。
  47. 井之口政雄

    井之口委員 大体よくわかりましたが、それならば、去年の分で申し込んである人たちで、今年に繰越される分でございますが、それは一つの特権的な性格を帶びて来るようになるのですか。それはぜひとも承認しなければならぬ性質のものなのか、あらためてまた申込みをやり直すような性質なのか。その点、もしそれがそうでないとすれば、何か特権的になつて、それにプレミアムがつくとかいうようなことになつて来るのではないかとも思われる。それからアパートで今営業的にこれをやるとすると、これに対して何か公益的な性格を与えて、家賃の値上げなどを制約するような方針をとられないのか。政府からは七割五分の金を低金利で借りておいて、貸し付ける場合に権利金をとつたり、高い家賃をとつたりして、一般庶民の生活を窮迫に陷らせるということもなきにしもあらずと思うのですが、そういう点が、これまでやられております以上、実績上どんなふうになつておりますか、お伺いしたい。
  48. 鈴木敬一

    鈴木説明員 しごくごもつともなお尋ねであります。われわれも同じような考えで実施しておるわけでありまして、昨年度申し込んだ人たちに対しまして、その人たちが、先ほど申し上げたように金融機関の審査を経、それから設計の審査に合格をして、その間には建築業者と請負の契約までしたといつたような方々が非常に多いのでありまして、それが突如全然失格するということは、受付した分の申込者の御苦心に対しましても、またそれについては、ある程度の経済的の犠牲も払つておられるでありましようから、突如打切るということは避けまして、四月になればわくができるから、四月に契約してあげますということに、過渡的に取扱つている次第であります。その間契約後は一箇月以内に着手しなければいかぬとか、着手後どうとか、期間的制約が契約に織り込んであります。これを励行いたしまして、いつまでも先取特権といいますか、優先権というような形になりませんように、四月以後契約した方々に対しましては、その期間的励行をはかつて参りたいと思つております。その期間に特別のやむを得ない、同情すべき事情の方も、あるいはあるかと思いますが、実情を参酌しまして、期間的励行をはかりたい。そうでありませんと、お説のように二十五年度中に申し込んだ先取特権といいますか、優先権の上に眠つておられましては、急いで土地も準備できておる、頭金の準備も完全にできておる、申込みを受付けてさえくれれば、円滑に急速に運べるという人を犠牲に供してまで、前年度申し込んだ人を保護するのは、かえつて不公平と思いますので、今までの人でそういう規約に違反しまして、時期がずれましたものは、片つぱしからお断りを申し上げて、もし去年申し込んでおいて、時期には遅れたけれども、これからなら大いにやれるという方がありましたら、それは今度の新規申込み受付開始後、再び申し込んでいただいて一向さしつかえないのであります。あるいは三度、四度でも、これはさしつかえないのでございます。これは喜んで迎えて、受付いたすつもりであります。  それからアパート建設についての御疑点でありますが、井之口委員のお申出のようなことは、しごく同感に考えるのでありまして、これは大蔵、建設両省令で、家賃の制限をすることになつております。建設費で前の家賃のマル公でやりましたような方式で、そろばんではじいたままの家賃では、ことに当節の建設費の値上りを基礎にしてはじきましては、非常に高くなります。これは正直にはじいても高くなる。いわんやそれに御説のような権利金であるとか、何だとか、むさぼるようなことは、絶対禁止の趣旨でやつておりまして、建設、大蔵両省令にも、一定の金額以外には何らの名義をもつてしてもとつてはならぬ、誓約に背けば貸し付けた金を一時償還を要求し得る、こういうことになつておりまして、ただいまのところ、両省令の示すところは、坪当り二百六十円、特別の事情ある場合で、特に大臣の認可を得た場合で坪月当り三百十円、ということに制約いたしておるのでございます。これは建設費ですなおに勘定しました額よりも、少し押えられている。これは、ひつきよう庶民大衆の生計費から勘案いたしまして、その程度で入れるように、経営者の方で特別のくふうをしろ、こういうような結論になると思います。御心配のような点は、仕組みの上ではないことになつております。
  49. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 時間の関係上簡略に申し上げます、先ほど井之口委員からもお話があつたわけですが本日特に鈴木総裁に御出席つたのは、高橋權六委員の切なる要望があつたわけでありまするが、高橋權六君は本日御欠席のようでありますから、また次の機会に譲りたいと思いまするが、ただ一言簡略に私から御質問いたします。  まず住宅金融公庫総裁でありまするから、こまかいことは御承知ないわけでありまして、一般論でけつこうですが、申し込んだ人は、昨年は大体百パーセント、申し込んだ人のほとんど全部が借りられたということを聞いておりますが、その後変化があるかどうかということと、相当頭金を持つており、地所も持つてつて、すぐさまでき得る状態にある者のみが借りられるのが本質であろうと思いますが、そうではない者も借りられたと聞いております。よく巖重に監督せられまして、相当準備を完了しておる者に対しては、迅速果敢にやつてもらいたい、こういう希望を持つておりまするが、その辺のいきさつについて、簡略でけつこうですが、もう一度承りたいと思います。
  50. 鈴木敬一

    鈴木説明員 お答えいたします。御承知のように、諸準備の整つている人に貸したいのでございます。ただ昨年の実例から申しますと、ことに当初のうちは、仕組みも全然御承知なく、ただ公庫が国家の金を貸すというので、準備なく飛びついて申し込まれたという方々が相当にありまして、申込書は受付けましたが、審査してみるといろいろの欠くるところがある、あるいは一応書面の審理ではいいと思つて採用しましたのが、あるいは頭金のもくろみがはずれたとか、土地が――実際これは建てる人は問題なのですが、地主さんから断られたとか、一応はきめたけれども、通勤、通学のために不向きだとか、転々かえられる人も多うございまして、そのために昨年初めのころは、私どもは非常に言うに言われぬ苦労をいたしました。私どもの貸し方は結局最初自己資金で、木造ならば棟上げまでやつていただいて、棟上げが済みまして貸付金の約三分の一を出す、屋根がふけてあら壁がついたところで第二回の検査をして、約三分の一出す、竣工で残りをお貸しする、こういうふうに、貸しつつ、でき上る建物のでき方を、指導と言つては少し不遜な言葉ですが、公共団体に委託いたしまして、基準に合うようなものを建てていただくように、貸し、かつ指導と言つてはいけませんけれども、そういうようなつもりでやつておりますので、御本人の方で、結局御準備がうまくできておつて、はかどつていただかぬと、最終貸付まで行かぬというので、存外手数と日数を要します。こういつたようなことで、隠れたる苦労を公庫関係者全部がしております。  ちよつと追加して申し上げたいと思いますが、先ほどの井之口委員お話のようなことで、今年度新規貸付の資金は、ごく寥々たるものでありまして、今度申込みを受付けてみて、はたして何倍になるかというような数字的実績を確実に得ましたら、何とかもう少し二十六年度の資金の増加をお願いできぬものかと、これは私ども仕事本位で申すのではなくて、一般国民大衆の方々の御希望に応ずるためには、せつかく公庫ができた以上は、これほど希望がある、ならばもう少しは増していただきたいというように思つております。  いずれまた他日席をあらためてお願い申し上げますが、あらかじめどうぞよろしく……。
  51. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一言申し上げますが、建築人には、建築請負人と申しますか、建築工事人と申しますか、これの監督が大事だと思います。しろうとのことでありますから、詳しいことは存じませんが、これを代行する者、いわゆる請負をしまして完成する者の熱意とその信用ということが、重大な関心事であろうと思います。これらについても、総裁はよほど下の者を監督せられまして、いわゆる建築人といいまするか、請負人といいまするか、それとの間の円滑かつ誠実さを示されたいと思いますが、これについてどういうように監督されますか、この際簡單に承りたいと思います。
  52. 鈴木敬一

    鈴木説明員 この点は、私個人としましても、当初より非常に悩んでおるところでありますが、結局これという名案がちよつとございません。これは建築主、つまり公庫から借りて家をお建てになる方、これはもう非常に迫られておりまして、非常に熱心であります。ところが、大工さんを初め工事を施行する人、これがごく確実な方で、また金繰りその他金力的に実力のある方を選ぶことが必要である。私どもの統計で申しますと、お建てになる方は、みんな建築ということについては、しろうとさんであります。これはだれでも一生のうちに二度、三度自己の住宅を建てる人は、めつたにないのでありまして、しろうとというのは、決して軽蔑した意味ではございません。八十何パーセントまでは、経験のない者であります。土建業者と契約される際に、しごく簡單に口頭などで御契約になる。しかも建てかけてみると、これもほしい、あれもほしい、ここにたながほしい、ここに何がほしい、公庫の貸付の設計以上のことをいろいろ土建業者にお頼みになる。それが割合に高い。門やへいは貸付の対象に入つておりません。できたらそういうこともしたい。だんだん追加工事が出ますので、われわれ考えておりますのは、何か建設業者の指定、そういうことができればいいと思いますが、これが困難であります。ことに当節では、きのうまで信頼できた建設業者が一つ金の未払いが起きた、二つ起きたというので、あしたから財力的に信用できなくなるような場合もありますし、私ども親しい者の間で、だれか推薦してくれと言われても一番困る。一般にお勧めしておりますのは、土建業者と御相談なさる際に、初めからそういう公庫貸付対象以外のことまで精密に御計画になつて、全体について確実なる請負契約を御締結になる。ということであります。なおこまかいことになりますから、これは苦心しておるということを御了承つておきたいと思います。
  53. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一言追加してお伺い申し上げておきますが、御承知の通り住宅金融公庫から借りたい人は熱意に燃えて、身に火がつく思いでやつておるわけでありますから、最初お貸しになるときに、危險かもしれませんが、仮契約と申しますか契約なさるときに、ある程度まで公庫が仲介の労をとるとか、あるいはそれに対するあつせんをするとかいう方法をとつたならば、なお確実に進行するのではないかと思いますが、これに対しまして総裁はどう考えておられますか。平凡な質問でありますが、お答えを願いたいと思います。
  54. 鈴木敬一

    鈴木説明員 しごくごもつともな重要な点でありまして、それらの点も何とかしたいとは思つておりますが、われわれ公庫の人手、経費等の関係もありますし、それから先ほど申し上げたように、これは政府機関でありますので、指定する方はよろしいのですが、指定に漏れる方が、なかなか問題でありまして、建設業者は、確実な大きな方もあるし、そうでない方もあります。外見からのみ判断できませんので、そういうような意味から申しますと、建売り住宅をだれも人が入らぬうちに買い取るため、その買い取り資金にはやはり同様の条件でお貸しておりますが、その建売り住宅というものは、金繰りが詰まつておる今日でありますから、なかなかできぬのであります。法律改正問題は、そこまで行きませんけれども公共団体等に資金を融通しまして、公共団体等で建売り住宅を建てる。現に府県費で自力でやつておる府県も二、三ございますが、これが経験のない人に一番確実でいい方法であります。それをしきりにお勧めしております。これも非常に苦慮しておる問題でありますが、まだはつきりした名案は出ておりません。
  55. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 わかりました。  それでは次に先ほど来五鬼上堅磐君に対する最高裁判所関係の質問が残つておりましたから、石田事務次長に対する質問を許します。
  56. 井之口政雄

    井之口委員 最高裁判所関係の不当事項としてあげられているのは、浦和地方裁判所札幌地方裁判所の二件が二十四年度だ、こう思つておりますが、ここの附表第一を見ますと、決算の未確認額表の中に、裁判所関係がものすごく多いのでございます。第一名古屋高等裁判所、釧路地方裁判所、神戸地方裁判所、岐阜地方裁判所、それから甲府地方裁判所、福井地方裁判所等がございます。これはまだ確認されないというので、ここに除外になつておりますが、この中には、犯罪に関する調査の部分が大分入つておるようでありますから、ここに出て来たものは二項目でありましたけれども、実際上は、裁判関係でこの中にこういうたくさんの事件が起つておるのじやなかろうか。まだ内容が発表されておりませんから、わかりませんけれども、会計検査院において調べられたところ、政府においてあれしたところを、ちよつと知らせていただきとうございます。  それから先ほど保釈保証金について不正があると申されましたが、これは保釈される場合にとるのでありまして、とつたら必ず納める、またその保釈は、解除された場合には下げ渡すというふうなものでしようから、その間に不正を働く余地はほとんどないように思うのです。たとえば、注文したものならば、それは小切手をもつて操作して、その小切手で不正をやるというようなこともあるでしようけれども、預かつた金がなければ、保釈で出すはずもないし、それが保釈になつて保釈金をとらぬということはないだろうと思いますが、その辺はどうでしよう。
  57. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 御不審の点でございますが、昭和二十四年度決算検査報告の附表の点の御質問でありますけれども、名古屋高等裁判所地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所、これは一連の関係で、金額も出ておりますように、二万三千幾らというふうな点がありますが、これはみな同じものでありまして、当時まだ係がはつきり分担がきまつておらずに、兼務関係でやつてつた際のことだと思います。さような関係で項目はたくさんありますけれども、一つことでありまして、名古屋関係において、やはり先刻申しました札幌、それから浦和等と前後して、あれほど金額が多くない事件がありましたけれども、それは大体弁償いたしまして、先刻会計検査院の方から御説明なつたような関係で、調査中というようなことにこの当時はなつていたと思います。なおそのほかの裁判所のことにつきましては、これはさつきも申しましたただ手續上のことが遅れていただけで、何ら不正関係ではないと思います。  それからなお保釈保証金保管中費消したという案件についての御不審は一応ごもつともだと思いますが、保釈保証金を出しまして、それを係が受取りまして、その受取る係の者が、それを銀行へ持つて行くまでの間に結局着服してしまつて、それで領收書だけ偽造したものを置いておいて、上司をごまかしていたという関係であります。その領收書が出ておりますから、結局裁判部の方では保釈保証金が納付になつたものとして保釈にしたというような関係であります。御不審の点はそれでおわかりだろうと思います。
  58. 井之口政雄

    井之口委員 よろしゆうございます。
  59. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは委員長から申し上げますが、裁判所においてそういうような事柄が頻繁に行われては、おもしろくないのであります。ことに巖格に事務系統も裁判と同様に、正確にやつてもらうことを要望しておるわけでありますから、事務次長として何か訓令とか、改善策を講ぜられておると思いますが、この際承りたいと思います。
  60. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 先刻も事実の御説明を申し上げました際に、つけ加えて申し上げたのでありますが、二十五年の一月に浦和事件が判明いたしましたにつきまして、三月中に会計課長全国的な会同をいたしまして、民、刑事の保管金及び保管物等取扱いというようなことで会議を開かせましていろいろ研究いたし、三月二十七日に不正事件防止についてということで、不正事件防止対策要綱というものを、急速事務総長の依命通達をもつて全国的に発送いたしました。それも先刻簡單に申し上げておいた通りであります。  なお長官等の会同におきましても、再々そういうような不正事件防止について説明をし、あるいはさようなことのないように配慮の方法を講じておりましたが、なお会計事務処理方法の改善と申しますか、下級裁判所事務規程というものがございますが、これの改正等もいたしまして、下級裁判所会計事務につきまして、金銭出納証拠書類上司が毎日見聞する、それからまた金銭出納検査を毎月実施いたしまして、その都度その結果を最高裁判所長官報告させるというようなこともいたさせます、なお会計事務機構を改正いたしまして、流れ作業式といたし、経理方法を改善することを今考慮中でありまして、これは遠からず実施をいたし、さような金銭上の不正の絶滅を期している次第でございますから、御安心を願います。
  61. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの石田事務次長お話でありましたが、衆議院といたしましても、いやしくも法の尊巖を守りまする最高裁判所もしくはその監督下にある裁判所におきまして、不正事件の起きたということは、はなはだおもしろからざる現象であると思いまするから、今申されたことそのまま、絶滅を期することに邁進せられたいと思います。本日お帰りになりましたならば、最高裁判所長官並びに事務総長にも、国会の空気、ことにそういうことのないように強く要望しておつたということを、御伝達願いたいと存じます。  ほかに御質疑はありませんか――御質疑がなければ、本日の審議はこの程度といたします。  本日は最高裁判所並びに会計検査院及び住宅金融公庫総裁等の御出席を得まして――もちろん大蔵省からも出ておりまするが、長時間にわたりまして審議せられたことに対して、委員長より感謝をいたします。皆さん御苦労さまでした。     ―――――――――――――
  62. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次に、国政調査承認要求の件を議題といたします。  本委員会におきまして、前回までに国政調査事項といたしまして、決算制度並びに決算審議に関する事項につき申請した上、調査して参つたのでありまするが、今回は  一、歳入歳出の実況に関する事項  二、国有財産に関する事項  三、政府関係機関の收支に関する事項以上三項目に関して、調査をいたして参りたいと存じまするが、一応皆様の御意見を承ります。  調査の目的は、決算の適正を期するため、調査の方法は、関係各方面よりの意見及び説明聽取、調査報告及び参考資料の要求等、調査期間は、本会期中もしくは休会中を通じてやりたい、こういう考えでありまするが、以上のような承認要求書を、規則第九十四条によりまして、議長まで提出するに御異議はありませんか。
  63. 井之口政雄

    井之口委員 その調査項目の中に、終戰処理費の調査を加えたらどうかと思います。この間も、やることはやりましたけれども、その後やはり事情も進んで参つておることと思いますので、それもひとつ附加されたらどんなものでしようか。
  64. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長より申します。大体すべての事柄――国有財産に関する事項も入つておりまするし、政府関係機関の收支なども入つておりますから、一応包含したものと考えまして、これで審議して行きたいと思いまするが、いかがでしようか。さよう御了承願います。――御異議はないようでございまするから、さように決定し、委員長よりその手續をとります。     ―――――――――――――
  65. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次に、閉会中審査申出の件につきお諮りいたします。  御承知のごとく、今国会も会期すでに切迫し、本日がこの委員会の最終日とも存ぜられます。従つて昭和二十四年度決算審査はその緒についたばかりでありまして、今後の審議にまつところ多大なりと存ぜられまする関係上、閉会中も審査續行の態勢に置くのが当然であると存じます。ついては、広汎な決算調査をいたすべく、成規の手續として、閉会中審査申出の要求書を議長まで提出いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議ないものと認めましてさよう決し、委員長より手續をとります。     ―――――――――――――
  67. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 最後に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。ただいま決定の閉会中の審査事項が、院議によりまして決定いたしますれば、審査の一方法として、現地に出向き、事情を詳細調査する必要が当然生じて参るかと存じます。御承知の通り委員派遣には、議長の承認を必要とする次第でございます。この際具体案につき、委員各位の御意見を承りたいと存じまして、懇談をお願いいたします。速記をちよつと中止して……。     〔速記中止〕
  68. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは速記を始めて。  ただいま各委員諸君に、決算委員国政調査予定表をお配りいたしておきました。派遣委員の選定、日時、派遣先等が決定次第、承認要求書を議長に提出することとし、この際その手續委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。右御了承願います。  本日は決算委員会といたしまして、最終日に当ると思いまするが、委員諸君は非常に御多忙中にもかかわりませず御出席願いまして、熱心に愼重審議せられたことを感謝いたします。なお休会中も継續審議をいたしまするし、また来国会もこれに増しまして、十分なる御努力と御研鑚を積まれ、国政のために参与せられんことを、愼んで御礼かたがたお願いを申し上げます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時三十二分散会