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田中(不)
委員 せつかく
会計検査院長が見えておりまするので、一つだけお尋ねしたいのでございまするが、これは金銭
会計、
物品会計を通じてのことです。不当、不正ということで国に損失を及ぼしましたときに、これに対しまして、その責任者が弁償をいたさなければならぬということは当然でございます。また重大なる過失によ
つて国に損失を及ぼしたときも、当然であります。ところが、御
承知の
通り金銭あるいは
物品を頻繁に常時扱いまするところは、おのずから、相当の
注意をいたしておりましても、まずこれは過失という言葉で表現ができるかもしれませんが、国に損失を及ぼすことがしばしばある。昔は出納官吏その他と言
つておりましたが、これらの責任者に対しましては、過去数十年にわた
つて、国としては特別の
注意を払
つてもら
つておるわけであります。一般的の事務になりますると、国に与えます損失というものは、なかなかはかりにくいものでありまするから、おのずからそのままに放置されやすいのでありまするけれども、この金銭
会計、
物品会計というものにつきましては、ただいま申しましたように、故意あるいは重大な過失でなくても、国に与えた損失というものはただちにはかり得る。その結果は、これこれの
金額がその出納の責任者によ
つて国に損失を及ぼしたということが出ます
関係上、おのずからそれに対して弁償しなければならぬ。但し、特別にいろいろ申請
事項を述べまして、
検査院の方に申達いたしますると、ときには責任の解除をされることがある。こういうことでありまするが、一般的には、その件数ははなはだ少くございまして、自分の不
注意といいまするかによりまして、金銭上の損失を国に及ぼして、それを自分でも
つて弁償しておる。つまり自弁しておるという件数が、非常に日本国全体を通じて見ますると多いようであります。そういうふうに、一般的の事務につきましては、なかなか損失がはかりにくくて、しかもそれが放置されておる。しかし一方金銭
会計、
物品会計を通じますると、数千人あるいは数万人の出納の責任者が、普通の事務をと
つておるのと同じ
注意、あるいはそれ以上の
注意を払
つておるにもかかわらず、なおかつ国に損失を及ぼしたという責任から、弁償を命ぜられておる。しかもこれらの責任者に対しまして国が遇しておりまするものは、一般の事務をと
つておる者と何らかわりはございません。御
承知のように、賞与のときに、あるいは昔で言いましたならば、五円とか十円とか賞与が多いだけであります。ただいまで申しますると、もちろんお金の値段がかわ
つておりまするから、そういうものではありませんけれども、そういうふうに、特に制度として特別の
注意を要する出納責任者に、国の待遇といいまするか、これを与えている事実を知らないのであります。この点につきまして、もとより人事院あるいは
大蔵省の
関係が多分にあるのでありまするが、
検査院として、また
検査院長として、お取締りの観点から、今まで数十年間のこの出納の事務をごらんにな
つて、これに対して何らか特別の措置をとらなくてはならぬのではないかということをお考えにな
つておられるかどうか、その点をお話願いたいと思います。