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1951-05-23 第10回国会 衆議院 決算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十三日(水曜日)     午後二時四十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 三宅 則義君    理事 金光 義邦君 理事 渕  通義君       大上  司君    高橋 權六君       田中 角榮君    田中不破三君       多武良哲三君    藤枝 泉介君       山口六郎次君    井之口政雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (管財局長)  内田 常雄君  委員外出席者         通商産業事務官         (工業技術庁長         官官房会計課         長)      天岩  旭君         会計検査院長  佐藤  基君         会計検査院   綿貫 謹一君         事務総長         会計検査院事務官         (事務総長官房         総務課長)   池田 修蔵君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計  歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関  収入支出決算  昭和二十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和二十四年度国有財産無償貸付状況計算書     ―――――――――――――
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより会議を開きます。  本日はまず、去る二月二十四日付託となりました昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関収入支出決算を議題とし、大蔵省並び会計検査院当局総括的説明を聴取いたしたく存じます。  なお議事に入るに先だちまして、本日の都合を申し上げます。本日は本会議定例日ではございませんが、都合によりまして本会議が開催せられました関係上、午後一時に開会すべきものが午後二時半に開会というふうに延期になりましたことを御了承願います。なお本会議の日程第十二、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案等につきましては、特に議員の出席を要求せられておりまするので、本会議場から迎えに参りました場合には、一旦本委員会休憩いたして、出席することを御了承おき願いたいと存じます。  では、大蔵当局より説明を伺います。政府委員大蔵政務次官西川甚五郎君。
  3. 西川甚五郎

    西川政府委員 昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算及び同特別会計歳入歳出決算並びに同政府関係機関決算報告書を、会計検査院検査報告とともに本国会に提出いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。昭和二十四年度予算は、本予算昭和二十四年十二月一日成立いたしました補正予算とでありますが、本予算の成立が遅れました関係上、昭和二十四年四月二十日までは暫定予算によつかのであります。  昭和二十四年度予算は、御承知のように経済基盤を安定させることを目標として総合収支の均衡、債務償還財政消費の圧縮、行政整理、米国対日援助活用等、一連の画期的な構想のもとに編成せられたのでありますが、この財政政策は予期以上の効果を収め、インフレーシヨンの収束と自立経済の推進とに、きわめて著しい貢献をいたしたのでありまして、終戦後のわが国経済に対しまして、まことに重要な意義を持つものと存じておる次第でございます。なお予算執行につきましては、財政法その他会計法令を改正いたしまして、その適正化を期したのであります。以下決算内容を数字をあげて御説明申し上げます。  一般会計歳入決算額は七千五百八十六億余円、歳出決算額は六千九百九十四億余円でありまして、歳入歳出を差引きいたしますると、五百九十一億余円の剰余を生ずる計算であります。この剰余金額から、昭和二十五年度に繰越しました歳出財源に充てなければならない額百八十九億余円及び昭和二十三年度剰余金使用残額二百六億余円を差引きますと、百九十五億余円が本年度新たに生じた純剰余金となるのであります。この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一応翌年度歳入に繰入れるものでありますが、その二分の一相当額は、同法第六条の規定によりまして、公債または借入金償還財源に充てることになつております。  以上の決算額予算額と比較いたしますると、歳入におきましては、七千四百十三億余円の予算額に対して、百七十二億余円の増加と相なりまするが、このうちには、前年度剰余金の受入れが、予算額に比べて二百二十三億余円増加いたしておりまするのでこれを差引きいたしますと、純歳入におきましては、五十億余円の減少と相なります。その内訳は、租税及び印紙収入における増加額二十二億余円、官業及び官有財産収入における増加額三十四億余円、雑収入及び特別収入における減少額百六億余円となつております。  一方歳出におきましては、予算額七千四百十億余円に前年度からの繰越額十六億余円を加えました予算現額七千四百二十七億余円から、支出済額を差引きますると、差額は四百三十二億余円でありまして、そのうち翌年度に繰越しました額は、前に申し上げました通り百八十九億余円、不用額は二百四十三億余円となつております。  右の翌年度への繰越額のうち、財政法第四十二条但書前段規定によりまして、国会承認を得て翌年度へ繰越した金額は五十三億余円でありまして、その内訳は、価格調整補給金におきまして、出荷数量等確認年度内にできなかつたもの及び終戦処理工事費におきまして、工事調達要求書発出の時期の関係等によつて年度内支出を終らなかつたものであります。また財政法第四十二条但書後段規守によつて、避けがたい事故のため翌年度へ繰越した金額は百三十六億余円でありまして、そのおもなものは、終戦処理費価格調整補給金、物資及び物価調整事務取扱費職員宿舎施設費及び一般公共事業等に関する経費であります。  また不用額のうちおもなものは、終戦処理費におきまして百二十六億余円、価格調整補給金におきまして四十五億余円等でありまして、終戦処理費につきましては、主として事業費におきまして、連合国軍調達要求が少かつたこと等によるものであり、また価格調整補給金につきましては、主として輸入価格が当初の予算額に達しなかつたこと等によるものであります。  次に、一般会計国庫債務負担行為について申し上げます。財政法第十五条第一項の規定に基く国庫債務負担行為限度額は、三十億円でありましたが、実際に債務を負担いたしました額は三十億余円でありまして、これに既往年度からの繰越額を加え、昭和二十四年度中に支出その他の事由によつて債務の消滅いたしました額を差引きまして、翌年度以降へ繰越した額は五十四億余円であります。また財政法第十五条第二項の規定に基く国庫債務負担行為限度額は一億円でありましたが、同年庭中に実際に負担いたしました債務はございませんので、既往年度からの繰越額から、昭和二十四年度中に支出その他の事由によつて債務の消滅いたしました額を差引きまして、翌年度以降へ繰越した額は二千三百万余円であります。  以上、昭和二十四年度一般会計決算に関して、きわめて概略を申し上げた次第であります。  次に、昭和二十四年度特別会計決算につきましては、それぞれの決算書によつて了承願いたいと存じますが、概略を申し上げますと、同年度における特別会計の数は三十四でありまして、これら各特別会計歳入決算総額は一兆八千三百九十四億余円、歳出決算総額は一兆七千五百七十二億余円であります。これを一般会計決算額と合せ、相互の重複額を控除調整いたしました決算の純計額は、歳入において一兆七千百八十七億余円、歳出において一兆五七百三十九億余円どなる計算であります。  次は、昭和二十四年度政府関係機関決算でありますが、同年度における政府関係機関の数は二十一でありまして、その収入支出決算内容につきましては、それぞれの決算書によつてごらんを願うことにいたしたいと存じます。  最後に、昭和二十四年度財政の特色である政府関係債務減少につきまして、その実績を申し上げます。年度当初における政府及び政府関係機関債務総額は、国債二千八百五億余円、政府借入金及び一時借入金千二百三十二億余円、食糧証券その他の短期証券千二百八億余円、復興金融債券千九十一億円、政府関係機関借入金六百六十一億余円、計六千九百九十七億余円でありましたが、このうち政府及び政府関係機関部内で保有しております分を控除いたしました対民間債務額は五千五百十二億余円でありました。しかるに年度中におきまして、復興金融債券全額償還を初めとする各種債務償還措置が講ぜられました結果、年度中における対民間債務減少は千四百七十六億余円に上り、債務増加百六十九億余円を差引きまして、結局千三百六億余円の減少と相なつたのであります。  なお年度末における国債の現在高は二千九百十七億余円、政府借入金及び一時借入金の現在高は千百六十一億余円と相なつております。  以上、昭和二十四年度一般会計及び特別会計並びに政府関係機関決算に関して、きわめて概略を申し上げた次第でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認をお願いいたします。
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 以上をもちまして、大蔵当局からの説明を終りました。  次は、本決算委員会に対しまして、会計検査院から院長が出席されております。本委員会は、予算決算というきわめて重要な問題を議するところでございまするから、会計検査院長も、御出席を願いました以上は、ぜひ誠実にしてまた厳格なる御意見を承りたいと存じます。会計検査院長佐藤基君。
  5. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 昭和二十四年度決算検査報告につきまして、その概要説明いたします。
  6. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申し上げます。本委員会に対して、会計検査院長のこの概要説明書を要求してあります。こちらに届けてありまするか。―届けてなければ、ただちに命じます。報告書がなければならないにもかかわらず、怠慢です。それまで中止。―ただいま、会計検査院長より、後刻送り届けるからということでございますから、それまで延期をいたします。  次は、大蔵省主計局長河野君が御出席であります。この前委員長より、主計局に対しまして申し上げたことでありまするが、本日は前の委員以外の方もおいででございますから、あらためて委員長より申し上げます。昭和二十四年度決算説明に関しましては、かつて委員長より厳重に政府当局に申し出ておきましたところ、河野主計局長はこれを快諾いたされまして、ただちに部下を督励いたしまして皆様のお手元配付いたましたような、昭和二十四年度決算説明書というものができ上りました。これはまことに当局の労を多といたしまして、あらためて委員長より謝意を表します。なお今後もこういうように熱心に、しかもまた親切に説明をいたしましたり、また国家財政経済をわかりやすくいたします事柄は、最も必要であると思いまするから、今後ともますます督励せられまして、将来よき範とせられたいことを、委員長より特に希望を申し上げておきます。  河野主計局長説明を求めます。
  7. 河野一之

    河野(一)政府委員 委員長からの御慫慂もありまして、昭和二十四年度決算説明というのを御提出申し上げた次第であります。前々からこういつたような問題につきまして、部内においてもいろいろ考えておつたの至りますが、何しろ初めての試みでもあり、またいかがいたしたものか、いろいろ意見があつたのでありますが、とにかく曲りなりにも、こういうものを出すごとに決意いたしまして、お手元に提出いたした次第であります。  私ども考えるのでありますが、決算というものは国の予算の実行の結果でありまして、これはやはり国民経済というものを背景にして、それとあわせて見ないと、決算の実体というものはわからないのじやないだろうか。もちろん予算経理について不正があり、あるいはあやまちがあつてはいけないのでありますが、単に現金ということでなしに、これをかく至らしめておる国民経済の事情、そしてまた国民経済的に見て、予算執行が適正であつたか、つまり国庫という損得の立場でなしに、国民全体にとつて、それが有効に行われておるのであるか、あるいは適当でなかつたかというような点につきましては、単に現金収支ということでなしに、国民経済全体の動きというものをながめるような方法があつてほしいというような意味合いで、この決算説明をつくりました次第であります。従いまして、会計検査院で御提出になつております検査報告とは、いささか様子が違つておりますが、違つた目から見まして出したわけであります。もちろん初めての試みでありまするので、十分意に満たないところはございます。今後はこれを改善いたしまして、ずつと続けて参りたい、またより以上の改善をいたして、財政民主化ということに努力して参りたいと考えるのでございます。
  8. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま河野主計局長説明いたしました今の説明書で、政府意見もわかるわけでありまするが、委員諸君も何とぞこれを参考にせられまして、質問の材料にし、また国政の運用に貢献せられんことを希望いたします。  それでは本会議採決があるそうでありますから、暫時休憩にいたします。大体三時半から再開いたします。     午後三時十分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十九分開議
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 休憩前に引続き開会いたします。  一言委員長より申し上げます。最初に申した通り、本会議重要法案採決がございましたので、採決に携わりました関係上一時休憩いたしたわけであります。  なお、昭和二十四年度決算検査報告に関する概要説明書について、会計検査院長の御説明を中断いたしておきましたが、右資料も届きましたし、各委員配付なつたわけでありまするからして、この際、続行して審議いたしたく存じますので右御了承願をいます。それでは初めから願います。会計検査院長佐藤基君。
  10. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 それでは昭和二十四年度決算検査報告につきまして、その概要説明いたします。  昭和二十四年度決算検査報告には、国の収入支出決算確認検査上不当と認めた事項のほか、出納職員に対する弁済責任の検定、主務官庁に対する改善意見の表示、検察庁への通告事項政府関係機関に関する検査事項等を記述いたしてあります。  昭和二十四年度一般会計決算額は、歳入七千五百八十六億余万円、歳出六千九百九十四億余万円、各特別会計決算額合計は、歳入一兆八千三百九十四億余万円、歳出一兆七千五百七十二億余万円でありまして、一般会計及び各特別会計決算額を総計いたしますと、歳入二兆五千九百八十億余万円、歳出二兆四千五百六十七億余万円となりますが、各会計間の重複額等を控除して歳入歳出の純計額を概算いたしますと、歳入一兆六千二百六十九億円、歳出一兆五千六百四十七億円となり、前年度に比べ、歳入において五千九百十六億円、歳出において五千八百六十五億円の増加となつております。  以上申し上げました一般会計及び各特別会計決算額のうち、会計検査院においてまだ検査が済んでいないもの、すなわち検査確認といたしました金額は、一般会計におきましては、歳入一億五百余万円、歳出百八十億七千二百余万円、また特別会計におきましては、歳入十九億六千余万円、歳出二十五億百余万円でありまして、未確認額は総計二百二十六億四千余万円に上ります。  右の未確認金額のうち、おもなものは、経済安定本部価額調整費で概算払いたしたもののうち、まだ精算を終つていないものが百五十八億千二百余万円あるのと、貿易特別会計支出のうち、まだ本院で調査中のものが十八億六百余万円あるなどであります。  次に、会計検査の結果、経理上不当と認めた事項として、昭和二十四年度決算検査報告に掲げました事項の件数は、合計七百五十件の多数に上つております。その内訳は、租税に関するもの二百六十八件、未収金に関するもの四十四件、予算経理に関するもの六十三件、工事に関するもの四十九件、物件に関するもの百二十八件、資金管理に関するもの十三件、財務諸表に関するもの十二件、不正行為に関するもの百四十七件、その他二十六件であります。  このように不当事項の多いことは、国家財政国民租税などをおもな財源としておりますことにかんがみまして、はなはだ遺憾にたえないところであります。これらは主として法令もしくは予算の軽視、または責任観念の稀薄など、職員資質低下によるものと認められますので、昨年七月、内閣総理大臣及び大蔵大臣に対しまして、会計職員資質向上のため専門的な研修制度を確立して、これに応ずる待遇の改善をなすべきことについて意見を表示したような次第であります。  なお不当と認めた事項のうち、この検査報告に掲記しなかつたものも多数に上るのでありますが、これらについては別途にそれぞれ関係機関に対し、厳重な注意書を発しておきました。前に申し上げました七百五十件の不当事項につきましては、この検査報告の第五章に詳しく記述してありますから、これによつて承知を願いたいのでありますが、ここに全体を通覧してその概要説明いたします。  第一は歳入収納未済についてであります。一般会計の二十四年度収納未済額は千百九億余万円であり、これに特別会計収納未済額二百五十八億余万円を合せると、収納未済額は千三百六十七億余万円の多額に上り、そのうちおもなものは租税収入の千四十億余万円、食糧売払代の百二十七億余万円であります。これら収納未済額のほか、まだ徴収決定をしていないものが、貿易特別会計で三百七十三億余万円あることなどを考慮すれば、事実上の収納未済額は、なお巨額に上るものと認められます。これらの収納未済額については、国の財政の現状にかんがみ、その徴収の促進について、なお一段の努力の要があると認められます。  第二は、法令に基かない特別資金経理についてであります。歳出徴収に関し、国有物件売渡代金を仮受領金名義買受人から受領したり、あるいは歳入金を国に納付しないで、出納職員でない者が保管したり、または法令に基かないで資金借入れを行つたりして資金を保有し、これを予算外使用して歳出金などの立てかえ使用に充てた事例があります。他方、経費使用に関して、支出の原因である事実がないのに、その事実があつたように不正に関係書類を作成して支出を行い、または正当支出額付掛けをして支出を行い、このようにして捻出した資金予算外経理している事例もあります。このような経理は、予算または会計法規に違反するばかりでなく、公金の横領などの誘因ともなるので厳に戒めるべきことであります。  第三は、公共事業費についてであります。本事業実施状況について見ますと、予算を重点的に使用しないで分散的に使用したため、十分な効果を期し得なかつたり、後年度継続施行の見込みが十分でない工事を行つたり、または他の関連工事と相まつて効果を発揮するのに、その関連工事の計画及び実施時期等についての検討が十分でなかつたため、工事実施しても、その効率が十分でないと認められる事例があります。また事業実施についての予算示達四半期ごとに行われるため、工事実施部局年度当初に一括して契約することができないで、四半期ごとに分割して契約することとなり、あるいは寒地で第三・四半期以降に予算示達を受けたような場合、年度内工事の遂行が困難なため、経費年度区分乱つた事例が見受けられます。  なお事業実施にあたり、認証外工事実施しているものがあつたり、災害復旧の程度を越えた改良工事に、災害復旧工事に対すると同様の高率の補助をしているものがあつたり、予算示達前に法令に認められない資金借入れを行つたものがあつたり、あるいは正当工事費付掛けを行うなどの方法により、認証の手続を経ない工事経費などに資金を充てたりしている事例などがあります。このようなことは、会計経理上まことに遺憾にたえないところであります。  第四は、終戦処理費についてであります。労務費の支給にあたり、給与方針の不徹底経理職員の不注意などにより過払いを生じたものがあり、また工事施行及び役務の提供に関し、契約または経費精算処置等が適切でなかつたため、諸経費の積算が過大であつたり、物品調達にあたり材料使用数量または納入経費を過大に積算した事例が多いのであります。なお工事費等支払いについては、従来遅延がはなはだしく、検査に際し、その処理迅速化注意して来たところでありますが、二十四年度においては、終戦処理既定調達費百四十五億余万円を支出し、二十三年度以前に施行済み工事等に対する支払いを了しております。  第五は、公団経理についてであります。各公団を通じて見ますと、資金市中銀行に滞留させ、その資金を他に融資したり、商品売渡し代金回収努力が十分でなく、多額の売掛金を存しておつたり、架空の名義などにより、予算目的外支払いをいたしておつたり、保管商品管理が十分でなかつたり、職員売渡し代金等をほしいままに領得するものがあつたり、経理上妥当でないと認められるものが多く、はなはだ遺憾にたえません。  第六は、職員不正行為についてであります。会計事務処理する職員等が、不正行為により国または政府関係機関損害を与える事例累年増加の傾向にあり、この検査報告に掲記したものの不正行為金額は、総額六億七千余万円に上る状況でありまして、そのうち二十五年十月末現在補填された額は三億八千余万円であります。不正行為の態様としては、出納職員またはその補助者である関係職員が、債券者に対する支払い金額付掛けして、その差額を領得し、小切手用紙及び官印を盗用して偽造小切手を振り出し、あるいは出納職員、その補助者等が収納した租税物品売渡し代金等収入金、または現品を領得したものが多いのでありますが、会計帳簿等の整備及び記帳整理の迅速的確を期し、会計職員責任観念を引締め、内部の牽制組織監査組織充実徹底をはかることが特に必要であると認められます。  以上、その概要説明いたしましたような不当事項については、会計検査院といたしましても善後処置注意しますとともに、極力その再発防止にについて努力を尽しております。  なお検査報告説明を終るにあたりまして、会計検査院検査方針について一言つけ加えたいと思います。国及び政府関係機関会計経理に対しては、会計検査院は、特に収入の確保及び支出の節約をはかり、経費効果的に使用し、また事業を能率的に運営し、物件を経済的に管理処分するとともに、債務支払い遅延などにより、一般民間に不当な損害を及ぼすことのないよう関係機関注意を喚起し、一般的に当務者経理の適正を期し、かつ不当事項の是正及び発生の防止をはかるなど、適正な経理事務執行を確保するよう検査徹底を期したいと存じている次第であります。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまをもちまして会計検査院長からの詳細な説明を聴取いたしました。  この際委員諸君にお諮りいたします。本国会も近日のうちに閉会となるわけでありますが、昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関収入支出決算等の問題は尨大でありまして、閉会中といえども継続審議をいたしたいと存じます。場合によりましては、御説明になりました会計検査院初め、各省あるいは各地に委員等を派遣いたして、実際に調査する機会を持ちたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なきものと認めます。では本委員会閉会中も継続審議することに決定いたしました。  この際決算に関し総括的質疑に入りたいと存じます。質疑はありませんか。
  13. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 きようは会計検査院の方もおいでになつておりますから申し上げたいのでありますが、まだ二十四年度の報告のあつたときには、できていなかつた住宅金融公庫の問題であります。一般的に私は議事の進行と兼ねて、この前、質問したいから御出席くださるようにとお願いしておつたつもりでありますが……。
  14. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 高橋君、この二十五日に住宅金融公庫の総裁をお招きしておきましたから、そのときにしていただけませんか。
  15. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 それではこの前お尋ねした、九州方面のボーリングの費用二億円と聞いておつたが、その中からある人間が選挙費用に支出させた。その支出した金を払わないために、その責任者が自殺した。それからその自殺した方面のことは、何か済んだように承つておりますが、細君はまだ残つて、非常に恨んでいろそうであります。そういうことがあつたかないかということを、私は会計検査院の方に説明していただきたいということを、委員長にお願いしておつたのであります。それは住宅金融公庫はこの次でもいいが、このボーリングの二億円と聞く、その中から百七十万円という金を支出させてあつた。その支払いをしないために、責任者が自殺をした。その金の方は何らか片づいておるそうであるが、細君は今に至つてもそれを恨んでいるということを聞いているのでありますが、事実だとすると、これは許すべからざることであるから、そういうことがあつたかないかを会計検査院から説明していただきたい、こういうことをお願いしてあつたのであります。
  16. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 本日は総括的一般論の質問でありますから、詳細は後刻委員長から申し上げますが、そのときに譲ることに願いたいと思います。
  17. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 それでは議事進行についてちよつと注意しておきます。これはつまらないことであるが、この前も注意しておいたのですが、この決算委員会説明について、御説明申し上げますと、政府委員はみな「御」の字をつけさえすればいいように思つております。これは日本の教育上大切なことでもあるから、自分のことは自分のお手元と言わないで、自分の手元にあります、説明を申し上げますから、御清聴と、「御」を向うにつけるべきである。それから二十四年度会計検査院検査報告に関する概要の中に、「十分ならず」ということがあるが、私らはこの「じゆう」の字がいつ、こう改正になつたか知らぬけれども、こんな十では、中学校の入学試験もドロツプするようになる。「じゆう」の字は一、二、三、四、五、六、七、八、九、十の「十」でなく、充当の「充」でなければいかぬ。この「十分」でいいでしようか、間違つておりましようか。「十」がたくさんある。十分考慮しますとか、十分に品物があるという場合の「十」というのは、私らは一、二、三の数字の十では誤つておると考えます。日本の指導者たる衆議院議員が列席するところの説明、その他の文書には、ほんとうの字を書いて、一般を教育してもらいませんと、はなはだ悪い。たとえて言うなら、代議士の候補者が、何々郎のふりがなを、「何々ろう」と書くべきところを「何々ろ」と書いておる。実に間違つたことをしている。また官庁の要路にある方々が、「御」の字の使い道を間違つておる。私のお手元ではいかぬ、手元というべきである。それと同じように、御説明申し上げますと言うこともおかしい。説明申し上げますから御清聴をお願いしますとか言うならいい。そういうふうな使い方が間違つておる。これはささいなことであるが、こういうふうな、やはり役人のだらしのないところから不正行為が起るから、何でもこれはまじめにやる。どうでしようか、十分の「十」の字はこれでいいかどうか、院長にちよつと聞いていただきたいのでありますが、いつ国字改正をして、こういうことになつたかどうか。
  18. 池田修蔵

    ○池田会計検査院説明員 ただいまの御質問に対して御説明申し上げます。(高橋(權)委員「その御説明がいけない、今注意したところだ。御の字の使い方が悪い」と呼ぶ。」)説明申し上げます。(笑声)最近内閣の告示によりましたか、根拠法ははつきり記憶しておりませんが、当用漢字制限の規則が出ておりまして、なるべく簡略な字を使うようにすること、「じゆうぶん」の字は、従来「充」の字を使つておりましたが、「じゆうぶん」というときには、どつちを使つてもよろしい、一般的になるべく簡略なわかりよい文字を使うようにという方針がきまつておりますので、それに従いまして、簡略という意味でその字を使いました。
  19. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 簡略もいいと思うけれども、アメリカ人あたりに、日本の国字を教えて、誤らしめないためには、ほんとうの字を使うのでないと、簡略ばかりではいけない。このごろのプリントを見ると、国会の国の字を「口」に書いたりする。あの中に「玉」が入つているはずだ。それを口の長いやつを書いておる。アメリカ人に対する大事な書類をこちらで送つて、あとから国際上の問題も起るようなことがあるから、簡略ばかりではいけない。この「じゆうぶん」の「十」の字は、あなたが言うように、国字の改正があつたならしようがないが、そういうことは略すべきものと略してならないものがある。今御説明申し上げますというようなことで、従来から代議士も、官庁の報告のごときものや、政府委員の方々なりの説明を借りて来て見ると、御答弁申し上げますと書いてある。答弁いたしますならばよろしい。御答弁申し上げますと「御」の字のつくことがちよつとおかしい。これはささいな問題であるけれども、三宅委員長のごとき非常に厳格なる方は、私は一番賛成していただけると思うから、そういうことにも注意して、今後国際上の問題も起らぬように、かつちりした国字を使うべきである。改正になつたならば、簡単な国字でもいいが、そういうことで、「十」の字については、もう一ぺん検討していただきたい。
  20. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの高橋君の御意見ごもつともでありますから、委員長からも注意申し上げておきます。――井之口君、議事進行ですか。
  21. 井之口政雄

    ○井之口委員 ええ。――第十国会が始まつた当初、国政調査をやるというふうな決議になつてつたのでありますが、第十国会中、国政調査が開会中にも行われず、それから第九国会と第十国会との間でございましたか、それも国政調査が行われなかつたように記憶するのであります。たとい今度決議いたしましても、またそういうふうな状態になるのではないかと思います。この国政調査の点について、どういうふうな取扱い方でもつてつておるのか。
  22. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申し上げますが、これはいずれ理事会に諮つてやります。大体休会中でも三班くらいにわけまして、内外の国政調査をいたしたい、かように考えていますから、専門員にも言いつけまして、よくプランを立てて、また理事会に諮つて決定いたしたいと存じます。  ほかに質疑はございませんか。――なければ、せつかく会計検査院長出席せられましたから、委員長から質疑いたします。もちろん総括的質問でありますので、概略的に誠意ある御答弁を求めます。  会計検査院決算報告によりますると、会計経理の不当と認めるもの、昭和二十二年度三百八十六件、二十三年度六百二十三件、二十四年度七百五十件と累年増加の傾向にあると考えておりまするが、こういうふうにだんだんと多くなりますると、重税によつてまかなつておりまするわが国家財政の現状にかんがみまして、まことに寒心にたえない状況であると感ずる次第であります。機構の点か、その任に当る者の教育の不徹底のためでありまするか、あるいは素質が非常に悪いためか、責任の追究が不完全であるのか。これらの対策につきまして、会計検査院はどういうふうにお考えでありまするか、この際率直に答弁をいただきたいと存じます。
  23. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 決算検査をいたしますと、三宅委員長から今御説明のありました通り、だんだん不当事項もふえておるのであります。このふえておるということが、不当事項が実質的にふえておるのか、われわれ検査院の検査の結果、発見するのがふえておるのかということは、実は多少研究の余地があるじやないかと思います。と申しまするのは、検査院が昭和二十二年に、憲法の改正に伴いまして機構が改正になり、非常に人数がふえておる。そのふえた人間に、一人前の検査をさせるために、いろいろな講習をするとか、その他職員検査能力の向上ということを特に念頭に置きまして、いろいろなことをやつて来たのであります。その結果、検査能力が非常にふえておるということは、言えると私は思つております。その関係でふえたかどうかという点は、ちよつとわかりかねます。しかしながら、概括的に申しますと、各省その他政府機関経理というものは、非常によくなつているということは言えると思います。これは一般の世相も同じでありますが、終戦後の混乱という関係で、いろいろ問題があつたのでありますが、だんだんおちついて、そういうふうな面から見れば、経理も非常によくなつておる。ところが、一方において、検査院の検査能力が向上したので、数はふえておりますけれども、実質的に言つて、悪くなつて来ておるのか、よくなつて来ておるのかということは、まだ早急に判断することは、困難かと思います。
  24. 井之口政雄

    ○井之口委員 一般的な問題を二つ、三つ質問させていただきます。  収納未済金額が、ここにあげられておりますが、この収納未済の全額に対して、この原因が那辺にあるか、総括的な点で、会計検査院において特にお気づきの点はないであろうか。一千億以上の大きなものでありまして、租税の四千四百億の四分の一が収納未済というふうなことになつております。これは明らかに新税法による税が過大なためなのか、あるいはそのほかに原因があるのか、この点もひとつ説明していただきたい。――それから大蔵省の方はいらつしやいませんか。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 きようは会計検査院長に主として質問することにいたしましたから……。
  26. 井之口政雄

    ○井之口委員 それから第三番目の公共事業費の問題でありまするが……。
  27. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 井之口君、一つずつにしていただくと、答弁するのもよろしいですから、一つずつ言つていただきたい。
  28. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 収納未済の問題は、一番大きいのは税でありますけれども、どういう点に原因があるかというと、いろいろな原因があると思います。われわれの見るところでは、たとえば、物を売つた代金をとらぬという例もずいぶんあります。物を貸しておいても、その貸付料さえもきまつていないというような極端な例もあるのです。そういうふうな点から見ると、その徴収に当る者が、国の金だ、言いかえれば国民の金だという気持になつて、もう少し一生懸命になつてもらえば、収納未済はもつと減るだろうというふうに考えております。税法上どうかという問題は、これは実はむずかしい問題で、税法は、国会議員諸君が十分に研究されてつくられた法律でありますからなんでありますが、時勢の進運に伴い経済の変化に伴いまして、あるいは税法が合わなくなるということもありますが、その点は、私の方から申し上げることは、ちよつと差控えておきます。
  29. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長からちよつと申しまするが、今佐藤院長が仰せになりました通り、税のことにつきましては、他の大蔵委員会等においても、しばしば研究いたしおるところでありますが、何しろ終戦直後から急に税金がふえた。なぜならば、今まで借金政策、いわゆる公債政策が断行されていたのでありますが、終戦以来は、そういうことは相ならぬ、日本の国民の経済は、日本の国家財政は、国民の納税によつて負担せよ、こういうことになつたわけでありまして、予算の膨脹とともに税金も上つたわけであります。この点につきましては、いろいろ関係があろうかと思いますが、要するに、年齢の若い方であつたり、また経験の未熟な者が担当いたしましたために、実質を把握することが困難であつたというようなこともあろうかと存じます。今、会計検査院長がお話になりましたが、その点につきましては、別の委員会でもまた御調査くださると思います。それで委員長からもう一、二つけ加えて質問いたしまするから、そのうちに、ひとつ井之口さんの質問をお願いいたします。  既往年度決算報告に対する処理状況を考えてみますると、従来既往年度決算に関しましては、国会すなわち衆議院、参議院両院の決算に対しまするいわゆる善処方、善処の方法を書いて渡してあります。また決算委員会等におきましては、常に文書をもつて報告を受けておるわけでありまするが、特に本委員会が問題にいたしておりまする事項につきましては――まだ全般的にはおきまりになつていないかと思いますが、本委員会において、政府委員並びに会計検査院当局から、説明をしていただきたいと思つてつたわけであります。この既往年度決算報告というものにつきましては、なかなかむずかしいことであろうと思いまするが、年度が過ぎますると、どうも忘れがちになるおそれがありまするから、年度が過ぎたものでありまして、特に改良しなければならぬと思いますので、この際検査院の御決心のほどを承りたいと思います。
  30. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 ただいまの御質問の趣旨が、ちよつと私わかりかねるのですが…会計検査院検査報告は、既往年度に対して行うのでありますから、決して既往年度をなおざりにするということはない。われわれは既往年度検査をするということなんでありますから、ちよつと御質問の趣旨が了解しかねたのであります。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それではもう一度申し上げます。各年度決算に対しまして、検査の方針、検査の重点が決定せられておると思いまするが、二十四年度分以降におきまして、一体どういうような方針で、どういうところに重点を置いて検査をせられておりまするか、この際概略承りまして、質問といたしたいと存じます。
  32. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 その点は先ほど委員長からもお話がありましたように、現在のわが国の財政というものが、非常に国民の負担の大きいことを要求しておる。そこで国民負担が過重ではないかという声もずいぶんあるので、それでなくても突くとしては、国民の金を国が使うのだから、必ず予算の趣旨に従い、法令に従い、また能率的に使われなければいかぬということを念頭に置いて、検査いたしておるのであります。それで、その検査につきましては、歳入の面におきましては、先ほど申しました収納未済が非常に多いから、これをいかにすればよけいとれるか、関係職員が十分な効力をしないためにどれないということがわかれば、十分の努力をさせるようにするし、また歳出の方につきましても、この検査報告に書いてありますようないろいろな事態があるのでありますから、そういう事態が起らぬように、また起つたならば、これを是正するというふうにやつておるのであります。なお重点事項は、私ちよつと持つておりませんが、重点事項を、毎年過去一年の経験に照してきめておるのであります。本年も一月か二月ごろきめたと思いますが、もし詳細必要があれば、事務総長の方からでも御説明申し上げます。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一度、委員長から質問したことがはつきり徹底していなかつたと思いますので申し上げます。既往年度というのは、たとえば二十二年度もしくは二十三年度、すでに済んだ決算報告でありまするが、その決算報告を審査しましたときに、こういう事項を直してもらいたいということを決議いたしましたり、あるいは質問応答にあるわけでありまするが、その後あまり本委員全等に、その前の事柄は、こうふうであつたという事柄の御説明がないようであります。われわれといたしましては、そういうような事柄を、どういうふうに改善したということをお話願いたい。また過ぎ去つたことでありますけれども、議論の中心になつたような点は、あとからでもけつこうですから、これを本委員会説明していただく機会をつくつていただいた方がよろしいと思います。それに対しまして、院長はどうお考えになりますか、率直に承りたいと思います。
  34. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 ただいまの御質問で明瞭になりましたが、ある年度検査報告をいたしまして、憲法の規定によりまして、こちらに出るわけであります。その出た内容についていろいろ問題があつた。ことにこういう点が悪いのではないか、ああいう点が悪いのではないかという点につきましては、とかく検査が一ぺん済んでしまうと、次の年度にとりかかつて、前の年度を忘れはしないかというお話のように承つたのであります。私の方としては、これはぜひやらなければいかぬというので、この検査報告にありますが、ある年度検査報告につきましては、その年度前の既往年度の結果どうなつたか、批難した事項はどうなつたかということの跡始末、その結末がどうなつたかということも書いておるのでありまして、今委員長のお話のありました通り、そういう点は非常に重要なことであり、われわれの方としても、結末がどうなつたかということを、必ずやつております。
  35. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま会計検査院長のお話でありまするが、本委員会等におきましてこの次の国会におきましても、論議される点が多いと思いまするから、そういう点は特に書面をもつて、また速記録をもつて報告申し上げておりまするので、何とぞ十分に部下を督励せられまして、それらを調査した結果を、後日この委員会に発表する機会を得たいと思います。この点を御了承願いたいと思います。  次に、予算執行職員等の責任に関しまして、法律を二十五年の五月につくつたわけであります。私ども大蔵委員会がつくりましたが、その後こういう被疑事項は、この法律施行の際、減少の傾向を示しておりますか、どういうふうになつておりますか。今、会計検査院長として、どの辺を御研究になつておられますか、この際ひとつ参考に承りたいと思います。
  36. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 ただいまの問題になつておる法律は、二十五年に出たので、従つてその法律の施行後の問題につきましては、今度の決算検査報告には出ておりません。しかしながら、われわれが検査しておりますと、その法律上、問題になる点が若干あるのでありまして、そういう点につきましては、ただいま研究中でもあり、場合によりますと、次の年度決算検査報告に出るかとも思つております。
  37. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から、ちよつと御参考までに会計検査院長に要望いたしたいと思います。もちろん予算執行面の検査をせられておるのでありますから、検査をいたして行く上において、この法律の欠陥と申しまするか、あるいは不備の点がありました場合においては、遠慮なくこの委員会等に報告していただきまして、お互いに国を思い、わが国の前途を焦慮いたしております関係上、改善すべき点は改善したいと思いまするから、あなた方の専門的な感覚をもつて研究せられたことは、どうぞひとつ本委員会にも御報告願いまして、こういう点はどうもまずいと思うなら、まずいというように、率直に申されたいことを希望いたします。  次に、会計検査院昭和二十四年度決算報告によりますと、未確認額中、証明未済になつておるものがあります。たとえば広島財務部で三千九百六十二万七千円とか、中川税務署外におきまして三百六十八万円とか、名古屋高等裁判所等で二十七万三千円とか、林野庁外で三千六百七万七千円とかいうようになつておる。この証明未済の事由は、どういうふうになつておりましようか。会計検査院は、会計事務処理する関係職員について、その責任を追究しておられましようか、その点をひとつ率直にこれまた承りたいと存じます。
  38. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 未確認額と申しますのは、ある経理が行われた場合に、その経理に事故がありはしないかという疑問をわれわれの方で抱くのであります。その場合に、十分向うの弁明を聞いて、しかる後にわれわれの方で判断する。そこでその弁明を聞くのに、多くの場合書面によつて質問し、書面によつて回答を求めておりますが、その回答が来なかつたり、あるいはまた、来ておるけれども、さらにそれを検討してみるとわからぬところがある、さらにもう一ぺん回答を求める、そういうふうな関係で、その疑問の点が会計経理上不当であるかどうかという結論に到達しないのが、いわゆる未確認額でありまして、事務当局といたしましても、その未確認額を早く確認する、適当であるか不当であるかということをきめるということについては、十分努力しておるのであります。
  39. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長からちよつと申しますが、そういうような問題は、なるべく早い機会に確認していただきたいと思いますが、どのくらい期間がかかりましようか。場合によつて違うと思いますが、大体方針はどのようになつておるか、承りたいと思います。
  40. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 それは結局問題になつている事態いかんによることであります。それでありますから、何日間あるいは何箇月間ということは、ちよつと申し上げかねますが、われわれの方のかつてなことを申しますと、各省から回答が来るのがなかなかおそいということもありまして、昔は回答が来ないでたまつてつたのでありますが、それでは困るというので厳重に各省に要求しまして、ごく古いもので、回答が来ないということはなくなつたのであります。しかしながら、それでもやはり新しい事件では回答が遅れまして、あるいはまた回答は来ても、ものがむずかしくて調査中、従つて確認し得ないという事態になつておる場合もあります。
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは、会計検査院検査の結果、国の会計事務処理する職員が、故意または重大な過失により、著しく国に損害を与えた場合――先ほど申し上げた通りでありまするが、監督の責任に当る者に対して、懲戒処分に付することができることになつておりまするが、懲戒処分をするということになりますと、なかなか問題があろうと思うのです。その他政府契約の支払遅延防止等に関する法律も出たわけであります。また予算執行職員に関する法律に関する点もあります。こういうように会計事務処理する職員や、政府並びに公団等の予算執行職員に対して、懲戒処分の要求をなすことができるようになつていますが、これは相当やつておられますか、どういう傾向になつていますか、この際承りたいと存じます。
  42. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 この懲戒要求は、法律上われわれの権限でありますが、個人の責任に関することでありまして、調査も非常に慎重にやりますのみならず、わが国の官吏制度というものが、責任の所在ということが必ずしも明瞭でない場合があります。だれの責任であるか、従つて懲戒を要求する場合に、だれに要求するかということが、なかなかむずかしいのであります。しかしながら、そういうふうな事件について、各省に対しまして懲戒を要求する前提のもとに、いろいろ調べる場合におきまして、多くの場合におきましては、こちらから懲戒要求をしないうちに、向うで自発的に懲戒をするという事態が相当あります。もちろん、われわれの方から懲戒を要求した例も若干はあります。
  43. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それから二十四年度決算報告書にもあるわけですが、これには昭和二十四年度決算のほかに、大体昭和二十五年十一月までの受領事項を記載せられております。それによりましても、懲戒処分の要求についての記述が一つもありません。これらは処分されます前に、自発的に向うがやめたということもあろうかと思いますが、一方不当支出といたしまして記述せられている事項は、七百五十件にも上つておるようであります。こういうようなことを勘案いたしまして、これは犯罪事件は別にいたしまして、懲戒処分に値するように思つております。ないということはちよつとおかしいように思つておるのですが、これについての根本方針を承りたいと存じます。
  44. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 この二十四年度決算報告に掲げました事件につきましては、目下懲戒に該当する事件があるかどうかということは、審査中でありますが、事件はそう多くはないように聞いております。その点については、事務総長の方から説明いたします。
  45. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 こまかいことは、あとでまた事務総長から聞きますが、院長に一つ承りたい。年々歳々不当事件というものが跡を絶つていません。こういうものは、責任者に対する処分が軽きに失するからじやないかと思うのですが、院長はこれをどう思つているか。実際これは率直に言つていただかなければならぬ。会計検査院からも、懲戒処分に付さなければならぬものがあるにかかわらず、なかなかやらぬということは、これは実際処分が軽過ぎる、こういうように断を下してもいいのではないかと思いますが、これに対して院長の率直なる意見を承りたい。
  46. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 政府並びに関係機関が、国民の金を使うのでありますから、もし不当なことがあれば、国民のためにも、ぜひそれは懲戒を要求するなり、その他責任を問わなければならぬのであります。この点につきましては、軽きに失するのじやないかというような御疑問もあるようでありますが、従来の沿革を申しますと、憲法が改正になりまして、会計検査院当局国会出席して説明することになつたのであります。憲法改正前におきましては、国会検査報告は出すけれども、検査院の者は国会に出ない。ところが今度は検査院の者も出る。そうしてこの委員会等におきまして、各省の人と検査院の人との両方の話を聞かれる、そういう関係もありまして、少し率直な言葉で言いますと、昔は会計検査院当局が出ていないので、どうも各省が適当なことを言つて事件を済ましたようなこともあるようにも聞いておりますがそういうことは、このごろなかなかできなくなつたので、責任追究ということは、新しい憲法になりましてからは、昔に比べれば相当徹底しておるというふうに考えております。しかしながら、十分かと言われると、われわれの方の能力もありますが、これで十分とは申し上げかねますけれども、相当責任追究ということは、民主国になつたという関係におきましても、われわれも必要だと思つておるし、またやつておる、昔よりもよくなつておるということは言えると思つております。
  47. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 大分大胆率直な御答弁があつたわけでございまするが、さらにもう一言申し上げておきます。  会計検査院検査の結果、法令、制度または行政に関しまして、改善を必要とする事項があつた場合においては、責任者に対して意見を表示し、改善の処置を要求することができる。これは私が言うまでもなく、会計検査院法第三十六条にあるわけでありまするが、提出された昭和二十四年度決算検査報告を見ますると、右に関して記述せられた事項は、二百四十一ページでありまするが、総理大臣、大蔵大臣あてに要求せられた会計事務職員の資質の向上に関する件外三件であります。右につきましては、検査院の活発なる検査の動きに比しまして、改善意見がはなばな少いように思われるのであります。これにつきましては、会計検査院はどういうふうに思つておられまするか、承りたいと存じます。
  48. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 こういう問題は、こまかい点については若干あるのでありますが、それは事務的な話合いで大体済むのであります。それを一々会計検査院法の規定によりまして、大げさにやるということも、どうかと思いまして、大きな事件、比較的影響の大きい事件だけを書面で出しておつたのであります。総理大臣と大蔵大臣に出しました事件は、先ほど概要説明でも申しました会計職員の素質向上の問題でありまして、この問題につきましては、大蔵当局におきまして、素質向上のための予算が今年度予算に出ておるのでありまして、われわれの方の意見を採用してくれたことを非常に喜んでおります。
  49. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一つ最後に申し上げますが、会計職員資質向上のために研鎖するという、まことにけつこうなお話でありました、今日の事務当局を観察いたしますると、今までの会計職員は、どちらかというと間に合わない人がやつておる。とんでもないことをやつておりまして、会計職員こそ、第一線に活躍する人と同等、それ以上のりつぱな人を会計職員にしなければならないと、私どもは思うのであります。各省とも、今までの傾向によりますると、どちらかというと、融通のきかない、比較的能力の活発でない者が会計職員なつたというようなきらいがあると私は思うのです。これを改善することを、本委員会でも強調しておるわけでありますが、先ほど会計検査院長もこの点に触れられておるのでありまして、もちろん各省の検査をする者でありまするから、各省の会計職員より、会計検査院職員は、もつと以上の見識と、あるいは修練、熱意を持つていただきたいと思いますが、これに対しまして院長の偽らざる真相をお話願いたいと存じます。
  50. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 ただいまの委員長のお話、しごく同感でありまして、私もかたくそういうふうに信じております。一般に会計職員というものが、他の職員に比べて軽視されておるのではないかという疑問があるのであります。これは日本人の昔からの習慣と申しますか、金というものは卑しいものだ、そういうものを扱う者はろくな者じやないというような考えも手伝つておるのではないかと思います。こういうふうな観念を根本的に直すということが、必要ではないかと思つております。それで、なお現実におきましても、会計職員の素質というものが、他の一般職員に比べて劣つておる場合がありはしないかということを思いますると、そういうふうに思われる場合も少くないのであります。会計関係経理職員に任命してやろうと言うと、いやがる、もつとほかの方へ行きたい。そういう例はありまして、一番大事な会計職員というものが、どうしても資質を向上しなければならぬというので、さきに総理大臣と大蔵大臣意見表示を行つたわけありますが、検査院内部といたしましても、憲法改正の結果、機構が大きく改革になりまして、従来約三百人の職員で行つた仕事を、その後四倍の千二百人で行つておるのであります。ところが、委員長からもお話がありました通り、この会計検査ということは、相当知識経験を要する仕事でありまして、検査に行く者がろくにわからなくては、何にもならぬので、検査に行く者は、検査される者よりも、できるならば相当高い見識がなければいかぬ、知識経験がなければいかぬということが言えるのであります。この見地から、私二十二年に就任したのでありますが、就任以来、いかにして職員の素質を向上するか。ことに急激に職員がふえたのでありまして、必ずしもよい人ばかりを得られるわけではないのでありますから、この素質をいかにして、向上するかということを常に念頭に置きまして、講習その他の方法によりまして、資質の向上に努力して来ました結果、私といたしましては、職員が非常に熱心になつてくれましたので、相当上つておると思うのであります。これは昭和二十二年度、三年度、四年度決算報告を比較してごらんいただけば、御納得行くと思いますが、相当素質は向上したと自負しております。しかしながら、これをもつて十分とは思つておらぬので、さらに素質を向上するために、職員の教養ということについては、今でも一生懸命にやつておる次第であります。
  51. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 さらに、もう一つつけ加えておきまするが、会計検査というものにつきましては、われわれ重大な関心を持つております。今院長の言われたように、国の司法、行政、立法、それに会計検査院というようなものは、非常に重要な任務を負つておるわけでありまして、会計検査院ごそ、国民の信頼にこたえ、また政府の行き過ぎ、もしくは間違つた点があつた場合には、遠慮なく糾弾と申しますか、指摘して、これを本委員会に発表していただくことがけつこうと思います。われわれは、もろともにこれを研究しておるわけでありまするから、どうか今後も今院長の言われた事柄を率直に、各部下と申しますか、あるいは職員と申しますか、会計検査院の各係官に、国会においては今までと違つて非常に重要視しておるんだということを伝達せられたい。国民の代表である衆議院議員あるいは参議院議員は、会計経理については正当な支出、税については完全なる納税、あるいは適正なる徴税というようなことを念願といたしておるわけでありまして、この血の結晶によつて得ました金をもつて支弁する国費のことでありまするから、正当にしてまた不純のないように、十分注意を促したい。これに対しましては、国会といたしましても、大いに会計検査院と協力して、素質の向上あるいは検査の達成のために努力するつもりでおります。その事柄を本委員会でも申し上げておきまするが、部下の各職員にまで伝達せられたいと思います。これに対する決意を承りたい。
  52. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 ただいまの御意見、非常に私同感でありまして、できるだけ御趣旨に沿うように、職員にもよく話しまして、資質の向上に努めたいと思つております。
  53. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次は井之口君。
  54. 井之口政雄

    ○井之口委員 私の質問は中断されてしまいましたが、先ほどのお答えは、私の質問の要点とちよつとはずれておるようであります。私が質問いたしましたのは、税収入の点に関してでありまして、売払い代金の未収納の点についてじやないので、税の未収入が約千四十億にも達している。税額四千億の四分の一にも達している。こういう尨大な未収納が計上されているのですが、これには何か特別の原因がなければならぬと思うのであります。またもつと細部にわたつた政府からの資料によりますると、そのうち所得税が約八百二十二億も収納未済額に計上されております。これから見ましても、租税収入の千四十億の大部分は、所得税の未済額と判定されるのでありますが、これには大きな原因がなければならぬだろう。常識で考えたつて、税額全体のほとんど四分の一もとれないというのは、何かそこに確定的な原因がなければならぬだろうと思うので、会計検査院ではそういうふうなものも算定さるべきではなかろうかと思います。なお今の税の未収に対しましても、これはどういう部類が未収をやつているのか、どれくらいの額のものの未収部分が多いのか、零細なるものの未収額でこんなになるのか、あるいは大きなものの未収額でこうした尨大な未収額が出て来るのか、そういう方面もやはり会計検査院においては当然調べておられければならない性質のものだろうと思うのですが、その点についての一般的な会計検査院のお考えを聞きたかつたのであります。これが質問の第一であります。
  55. 綿貫謹一

    ○綿貫会計検査院説明員 ただいまの御質問、実はきよう材料を持つておりませんので、御質問の趣旨に適切なお答えができない点は遺憾に存じまするが、われわれの方でも、どういうものが多く収入未済になつておるかという点は、係の方では調べておるはずでございます。しかしながら、これは全国のことでございまして、むしろ私の方よりも、大蔵省の方がよくお調べができておると思います。適切なお答えができないことを遺憾に存じます。
  56. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 きようは会計検査院長がおられますから、こまかいことはあとにしていただいて、総括的質問をお願いいたします。
  57. 井之口政雄

    ○井之口委員 それでは、それはそういうことにして、追究しないことにいたしまして、第四の終戦処理費、第五の公団処理の点であります。他の項目については、たとえば第六の職員不正行為等からも、総額六億七千余万円、そのうち補填されたものが三億八千余万円というふうに、金額が総括的にあげられております。ところが、終戦処理費のこの部分につきましては、「納入経費を過大に積算した」云々というふうに、総括的に、抽象的に述べられておるだけで、その内容は、一体会計検査院がごらんになりまして、不当とお考えになる金額はどれくらいに及んでいるか。民間伝うるところによりますれば、終戦処理費全体のほとんど半分ぐらいは不当なものであるというふうなことが、述べられておるようであります。会計検査院のこの検査報告に出ていないものが相当ありますでしようが、そういうものを積算した場合に、もしそうでない正しいやり方をしたならば、国家はこれだけの損害を受けなかつたであろうというふうな概括的な問題を、ひとつ数量的に示してもらいたいと思うのであります。公団についてもまたその通りであります。と同時に、できるならば、この公共事業費についても、ただ単に年度の区分を乱るというふうなところを重要視しないで、公共事業費の使い方、工事費の支出によつて国民が不当に受けた損害の全額というものを、大よその概算でよろしゆうございますから、積算したものをひとつ知らせてもらいたいと思います。
  58. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 ただいまのお話はわかりましたが、要するに検査報告に書いてある事項合計すれば、大体わかるわけでございます。ただいまちよつとその資料を持つておりませんから、あらためてまた御説明申し上げます。
  59. 井之口政雄

    ○井之口委員 それ以上のものもあるはずですが、ひとつ会計検査院の口からでも、責任のあるところを言つてもらいたい。
  60. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 たびたび申し上げるようですが、きようは院長ですから、なるべく総括論だけにしていただきまして、あともう一つ残つておりますからそれをやりたいと思います。
  61. 井之口政雄

    ○井之口委員 それならば、あとで委員長が責任をもつて、総括して算定して、これくらいの損害国民の負担にかけられておるのだというふうな点を出させるようにしていただきたいと思います。
  62. 田中不破三

    田中(不)委員 せつかく会計検査院長が見えておりまするので、一つだけお尋ねしたいのでございまするが、これは金銭会計物品会計を通じてのことです。不当、不正ということで国に損失を及ぼしましたときに、これに対しまして、その責任者が弁償をいたさなければならぬということは当然でございます。また重大なる過失によつて国に損失を及ぼしたときも、当然であります。ところが、御承知通り金銭あるいは物品を頻繁に常時扱いまするところは、おのずから、相当の注意をいたしておりましても、まずこれは過失という言葉で表現ができるかもしれませんが、国に損失を及ぼすことがしばしばある。昔は出納官吏その他と言つておりましたが、これらの責任者に対しましては、過去数十年にわたつて、国としては特別の注意を払つてもらつておるわけであります。一般的の事務になりますると、国に与えます損失というものは、なかなかはかりにくいものでありまするから、おのずからそのままに放置されやすいのでありまするけれども、この金銭会計物品会計というものにつきましては、ただいま申しましたように、故意あるいは重大な過失でなくても、国に与えた損失というものはただちにはかり得る。その結果は、これこれの金額がその出納の責任者によつて国に損失を及ぼしたということが出ます関係上、おのずからそれに対して弁償しなければならぬ。但し、特別にいろいろ申請事項を述べまして、検査院の方に申達いたしますると、ときには責任の解除をされることがある。こういうことでありまするが、一般的には、その件数ははなはだ少くございまして、自分の不注意といいまするかによりまして、金銭上の損失を国に及ぼして、それを自分でもつて弁償しておる。つまり自弁しておるという件数が、非常に日本国全体を通じて見ますると多いようであります。そういうふうに、一般的の事務につきましては、なかなか損失がはかりにくくて、しかもそれが放置されておる。しかし一方金銭会計物品会計を通じますると、数千人あるいは数万人の出納の責任者が、普通の事務をとつておるのと同じ注意、あるいはそれ以上の注意を払つておるにもかかわらず、なおかつ国に損失を及ぼしたという責任から、弁償を命ぜられておる。しかもこれらの責任者に対しまして国が遇しておりまするものは、一般の事務をとつておる者と何らかわりはございません。御承知のように、賞与のときに、あるいは昔で言いましたならば、五円とか十円とか賞与が多いだけであります。ただいまで申しますると、もちろんお金の値段がかわつておりまするから、そういうものではありませんけれども、そういうふうに、特に制度として特別の注意を要する出納責任者に、国の待遇といいまするか、これを与えている事実を知らないのであります。この点につきまして、もとより人事院あるいは大蔵省関係が多分にあるのでありまするが、検査院として、また検査院長として、お取締りの観点から、今まで数十年間のこの出納の事務をごらんになつて、これに対して何らか特別の措置をとらなくてはならぬのではないかということをお考えになつておられるかどうか、その点をお話願いたいと思います。
  63. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 会計職員全般に対する非常に御同情のある御質問のように承つておりますが、そういう声は、会計関係職員の中からも、大分聞いておるのであります。しかしながら、これは官吏制度の問題でありまして、私から言うことはちよつと不適当かと思いますが、私の方といたしましては、先ほど申し上げました、会計職員の素質が他の職員と比べて必ずしもいいのではないのじやないかというような疑問もありますので、素質の向上をはかつて、そうしてそれに応じて待遇の改善をはかりたい、こういう意見を総理大臣と大蔵大臣に出したわけであります。それがある程度いれられまして、今度は主計局の方でもそれを考えるということになつたような次第でありまして、会計職員だけの賞与制度ということは、官吏の賞与制度というものは今ないのでありますから―昨年は年末手当というものがありましたが、あれは例外でありまして、そういうものは官吏制度全般として政府において、ことに人事院において研究されておることと思います。ただ私の方といたしましては、素質向上をし、そしてこれに対する適正な給与をやつてもらいたい、こういうふうな考えを持つております。
  64. 田中不破三

    田中(不)委員 重ねてお願いといいまするか、いたしておきたいのでありまするが、この数十年の間、出納の事務を扱つておる者に対する同情ということはしばしば聞かされておる。しかも数十年の間、さらに進歩いたしておりません。しかもたまたまその事務に当てられた者は、その責任を負つておるのであります。こういう点をお考えくださいまして、十分に検査院長としても、検査院としても、その他の政府機関に対して御尽力をされるように、お願いをいたしておきます。
  65. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまをもちまして、佐藤会計検査院長に対する総括的質疑を打切りたいと思います。  院長に申し上げます。本委員会は、主として会計検査院を初め、大蔵省並びに各省の予算決算等に関係のありまする職員に御出席を願いまして、審査をいたしておるわけでありまするが、今後とも院長並びに検査院の検査官等は、ぜひ本委員会出席せられまして、本委員会の空気並びにまじめに審査している状況をごらんくださいまして、また本委員会から要求いたしました資料等がありました場合には、どうぞすみやかに提出くださいまして、審査の便に供せられんごとを望みます。     ―――――――――――――
  66. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次に、これより昭和二十四年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和二十四年度国有財産無償貸付状況計算書を議題とし、前回に引続き審議を進めたいと思います。  前回特許権に関する政府当局の答弁のみを留保されておりましたので、内田管財局長から御答弁を求めます。
  67. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 先般委員長の御希望もございまして、特許庁が特許権を保有しておる主務官庁機関と十分打合せした上説明を求めるというようなお話でございましたが、本日はここにその特許権を保有せられておりますところの工業技術庁の会計課長が御出席くださつて、直接実情を説明くださるそうでありますから、さようお願いいたしたく思います。
  68. 三宅則義

  69. 天岩旭

    天岩説明員 それでは説明を申し上げます。工業技術庁といたしまして、現在特許の実施料を算定しておりまする方法でございまするが、いろいろこまかい例外的なことがございまするが、原則といたしましては、四つの要素にわけて考えております。一つは基準率というような言葉で申しております。一つは利用率、その他に増減率、あるいは開拓率、この四つの要素にわけておりまするが、そのうち一番基本的な要素は、基準率という言葉で申しておるものでありまして、これはその特許を使用することによりましてでき上りますものの販売価格と、その数量とをかけ算いたしましたものに対しまして、原則として三%として算出いたしております。但しその実施の結果、はなはだしく利益の多いものに対しましては、一%一を一加えまして四%にする、またその逆の場合には、それを減しまして二%にするということで、実施をいたしております。なおそれにつけ加えまして、今申し上げました利用率と申しまするのは、特許が製品の全体として利用される場合でなく、部分として利用される場合は、その部分の利用度ということを勘案しまして、その程度を増減するということが考えられるわけであります。  なおその次に申し上げました、その特許を使用しまする製品が、特に公益上必要であるとかいうような事情のありまする場合には、特別な事情として、それに増減率と申しました点をかげんいたしまして。パーセントをはじく。開拓率と申しまするのは、特にそれが新製品であるがために、将来の普及宣伝その他に多額経費を要しまして、利益のあがる率が相当少いというようなものに対しましては、開拓率として一定の数字以内を減額するという措置を講じております。全体として申しますると、先ほど申し上げましたように、一番最初の基準率というものが基本になるわけであります。  以上簡単でございますが御説明申し上げました。
  70. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの説明をもつて了承願つたことと思います。  お諮りします。昭和二十四年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和二十四年度国有財産無償貸付状況計算書、以上二件につきましては、すでに一応の質疑は終つたのでございます。これで質疑を終局し、この際討論を省略いたしまして、ただちに採決に入りたいと存じまするが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なしと認めます。  それでは討論を省略いたしまして、ただちに採決いたします。国有財産関係二件は、いずれも是認すべきものと議決するに賛成の諸君は起立を願います。     〔賛成者起立〕
  72. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 起立多数。よつて是認すべきものと決しました。  なお、議長あてに提出の報告書作成に関しましては、委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。  本日はこの程度にいたし、次会は明後二十五日午後一時より開会の上、昭和二十四年度決算審議をいたします。     午後五時散会