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1951-05-16 第10回国会 衆議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十六日(水曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長代理理事 三宅 則義君    理事 金光 義邦君 理事 八百板 正君       大上  司君    高橋 權六君       多武良哲三君    藤枝 泉介君       畠山 重勇君    上林與市郎君       井之口政雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (管財局長)  内田 常雄君  委員外出席者         大蔵事務官   加藤 達人君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      小峰 保榮君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 五月七日  委員佐竹新市君辞任につき、その補欠として上  林與市郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和二十四年度国有財産無償貸付状況計算書     —————————————
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより本日の決算委員会を開会いたします。  委員長はやむを得ぬ事情のため、本日御出席になれませんので、理事の私が職務代行の御委託を受けましたから、私が委員長職務を行います。何とぞよろしくお願いいたします。  本日日程に掲載の国有財産関係二件は、すでに去る三月二十七日において、大蔵省吉田管財局長提出説明並び会計検査院小峰第四局長より、検査報告に関して概要説明をそれぞれ聴取いたしたのでありまするから、この際直ちに質疑に移りたいと存じます。  これより昭和二十四年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和二十四年度国有財産無償貸付状況計算書、以上二件を議題といたしまして質疑を許します。井之口政雄君。
  3. 井之口政雄

    井之口委員 ちよつと会計検査院の方にお伺いいたします。昭和二十四年度の国有財産の総計は二千五百二十七億八千余万円となつておりますが、この価額の算定を見ますると、みな取得された時の価格をもつて評価され、非常にまちまちである。これでは今日の国有財産価値総額の実態をわれわれはつかむことに非常に困難するのであります。これについて何かもつと的確に、毎年々々これを評価がえして、正確なるものを出すとか、あるいはまた会計検査院の方におきまして、それについて実体的な調査をして、一体現実幾らくらいになるものであるか、これがわかるような、正当な今日の再評価による何か算定というものを持ち合せておられるか、この点をちよつとお伺いいたします。
  4. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 ただいまの井之口さんの御質問にお答えいたします。井之口さんがおつしやる通り、現在の国有財産の現在額はそういう状況でありまして、非常に不合理な結果を来しているのであります。明治時代あるいは大正時代の、非常にものの安かつた時代に取得いたしました財産は、取得した通り価格がそのまま載つております。その結果、これはすぐおわかりになりますと思いますが、大体一年間に倍くらいになつております。二十三年度末の現在額が一千二百五十六億五千余万円であります。昭和二十四年度になりますと、二千五百二十七億八千余万円、こうなつておりまして、倍になつております。二十三年度も二十二年度末の約倍にふえているような状況であります。貨幣価値が非常にかわつて参りましたときに、こういう整理の仕方をして行くということは非常な不合理でありますが、しかしこれを妥当な現在の時価に引直して評価がえするということは、実は国有財産の種類が複雑であるのと、数量が多くて、口数も多い関係で、非常にむずかしいのでありますが、これを最近昭和二十六年度末現在で一応評価がえをしよう、こういうことになつております。政府の方も今までなかなかこれができなかつたのでありまして、政府が地方に手足を持つておられても、なおかつやりにくいことを、会計検査院政府のおつくりになつ台帳について、適当な価格にそれを引直すということは、実は現在の状況では不可能でありますので、そういうことはやつておりません。資料も持ち合せておりません。どうぞ御了承願います。
  5. 井之口政雄

    井之口委員 この二十六年度末において評価がえする予定だとの話でありましたが、終戦後これは初めての評価がえでありますか。なおもしそれが評価がえできたとしても、今日の会計検査院の人員なんかをもつてして、この全体の評価がえが適当なりやいなやということを、果して正確に算定し得るかどうか、この点に非常に不安を感じますが、どんなものでございましようか。
  6. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 国有財産の現在額は、現在の国有財産法で毎年一応トータルを出す、こういうことになつておりまして、従来の古い国有財産法では、五年目々々々にトータルを出す。その間の五年間は増減だけを掲げる。こういう制度をとつて来たのでありまして、昭和二十一年度末に、この前の現在額をつくつたのであります。評価がえということは、事業を営みます特別会計などではやつておりますが、一般には従来は全然やつていない、こうお考え願つていいのであります。それで二十六年度末の現在額を評価がえして、政府がその計算をしても、会計検査院がその内容を確かめられるか、こういう御趣旨の御質問であつたようであります。これは私ども非常に貧弱な陣容ではありますが、国有財産検査課といたしまして、できるだけ内容を確かめたい、また非常に不合理なものがありましたら、できる限りいろいろ御注意をしたい、こう考えております。現在の制度では、国有財産について政府が何千万円というようにおきめになりましたものを直す、その年のうちに、これは不当だから直すという制度はないのでありまして、そういう事実がありますと、翌年度になりまして、誤謬訂正といよううな方法で直すのが普通であります。私どもとしても、気がつきましたことにつきましては、できるだけそういう方法でお直し願うようにして行こう、こう考えております。
  7. 井之口政雄

    井之口委員 もし会計検査院評価が、政府側評価と相違する場合には、会計検査院はこれを命令が何かで訂正させる権能があるのですか。
  8. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 国有財産評価というものについては、命令というような強いもので、政府評価を直させるという権限を、会計検査院は持つておりません。非常に著しい違いについて御注意申し上げますと、政府の方でなるほどということになれば、お直しになるのが普通であります。
  9. 井之口政雄

    井之口委員 実は評価があまりに低いために、それを払い下げた場合、減として現われて来る場面においても、その非常に低い価格払下げが行われる。それでもやはり合法的ということになつて、会計検査院はその点を指摘することができなくなる。帳面の上では、明確に現在の価格にあるのでありますが、そういう点から、不正なる払下げが醸成されるのではなかろうか、こう思うのであります。そういうふうな懸念に対して、今までどうした措置がとられておるか。またそういうひどい例について、会計検査院においては、二十三年度、二十四年度の決算面にあまり指摘されていないようでありますが、何かあつたのではないかと思うのです。その点をお伺いいたします。
  10. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 井之口さんの御質問でありますが、この国有財産評価については、現在の台帳価格処分価格とは全然別なのであります。旧軍用財産などは、大体平均いたしまして、台帳価格の三倍平均ぐらいに売れておるのが普通であります。終戦後に処分いたしました全体の国有財産を集計いたしまして、その売払い価格処分価格とを比較してみますと、総平均がたしか三倍ぐらいになつたと思います。明治時代大正時代に取得いたしました国有財産軍用財産というものは、何十倍かに売れておるのであります。これは、台帳整理といたしましては、帳簿価格で落して参りますが、実際に売る値段というものは、帳簿価格とは全然かわつた時価基準になるのであります。従いまして台帳価格は、国有財産の現在額としては非常に低い価格で登載されたまま、評価がえになつておりませんでも、売るときは、それを基準といたしませんで、別に時価基準としてやつて行くのであります。私どもとしては、その売払い価格時価と比べて非常に安いというようなものは、検査報告に載せております。現にこれは二十三年度にもたくさんございます。そういう検査はいたしておりますが、台帳価格国有財産の現在額というものは、現在の評価額時価というものから非常に遊離していると言えば言えるのであります、非常に低いものもあるということは、言えるのでありますが、台帳価格が低いからと申しまして、決してその低い値段基準として売るというようなことは、現在していないわけであります。井之口さんの御懸念のようなことはないわけでありまして、従つて会計検査院といたしましても、台帳価格と非常に違つて台帳価格が低いために、不当に安過ぎる売払いが行われた、こういうような事態は、今までかつてつたことはないわけであります。
  11. 井之口政雄

    井之口委員 国有財産処分に関する不当事項として、ここに四十四件あげられておりますが、このうち、一番目立つような大きな実例は、どんなものがございますか、またいつごろのものでありますか。
  12. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 国有財産不当事項として、検査報告にあります四十数件、これは最近ずつとこれがふえて来たので、遺憾に存じます。目立つて大きなものはという仰せでございますが、数の多い、そしてまた相当金額のかさみますものは、二十三年度で申しますと、検査報告の六十九ページから七十二ページ辺にございますが、売渡代金収納処置が当を得ない——これは、物を渡してしまつて、買手がこわして持つて行つてしまつた、こういうようなものの代金をとつていない、こういう案件であります。それから御承知のように、旧軍用財産は、相当の集団で、大きな会社などに貸しております。これを貸して、向うに使わせているときに、それの貸付料が入つて来ない、こういうような案件が、数としては相当多いのでありまして、代表的なものとして、呉の海軍工廠などは、毎年貸付料収納未済が相当たくさんになつております。二十三年度の貸付料批難のありました分は、千九百九十四万七千円、ざつと二千万円であります。売払いではなくて、貸付料として二千万円でありますから、相当大きな財産であります。これを向うに自由に使わしておるのに、会社貸付料を納めて来ない。それを官としてそのままにしておいたというので、検査報告に載せたわけであります。それ以外にもずいぶんたくさんの案件がありますが、数として多いのは、今申し上げたようなものが多いかと思います。
  13. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまの播磨造船所の件ですが、これは横尾氏の関係されたものだろうと思うのです。これはまだ今日未納なつておりますか。
  14. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 昭和二十三年度は、その後に全部徴収決定をいたしまして、たしか二十三年度は全額入つたと思います。二十四年度がまたこれにひつかかつて参りますが、実は毎年々々この検査報告をにぎわしているようなわけでございまして、前の批難で、ようやく全部金がとれたころになりますと、新しい未納が出て来る。こんな状況でありまして、毎年検査報告に大体載つて来るようであります。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 昭和二十四年度は幾らぐらいの額になつておりますか。
  16. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 二十四年度は、先ほど申し上げましたざつと二千万円が、今度は三千百万円ぐらいになつております。これは二千万円と全然別な、あとの分であります。
  17. 井之口政雄

    井之口委員 そういうふうにこえて行くとしますれば、また二十五年、二十六年度が幾らふえて来るか、これもわれわれは懸念の至りであります。こういう国有財産が、決算において非常に大きな負担国民にかけているのは、まつたく心外であります。  さて、この二十四年度の増減の点で、この年には国有鉄道並びに専売公社——それは公社なつた時期だと思いますが、これは当然減の方に出て来るのじやなかろうかと思うのです。国鉄幾ら、あるいは専売公社幾ら、そうしてそれが今度は有価証券で増の方に現われて来ると思うのですが、そのへんの計算はどうなつていますか。
  18. 内田常雄

    内田(常)政府委員 お答えいたします。国有鉄道専売は、御承知のように特別会計なつておるのでありますが、この国有鉄道特別会計所属の、昭和二十四年五月末現在の国有財産総額は、台帳価格で四百四十一億四百余万円になつております。そうして大蔵省から出資として計上されておる金額は、四十九億一千六百万円ということになつておりまして、出資額が、現実国有鉄道事業特別会計が保有しておる財産価格よりも少いのは、日本国有鉄道法第五條によりまして、日本国有鉄道資本金は、昭和二十四年五月三十一日現在における国有鉄道事業特別会計資産価格に相当する額であつて、すなわち総資産から負債額を差引いた純資産というものが、政府出資額ということで整理されておるためであります。  専売事業特別会計昭和二十四年五月現在における国有財産としての総額は、三十三億四千二百余万円でございますが、これらの政府出資として計上されておりますのは、国有鉄道の場合とは反対でありまして、むしろ非常に多い二百三十二億五千九百余万円というものが政府出資として整理されております。この公社出資金は、日本専売公社法第四條によりまして、昭和二十四年五月三十一日現在における資産額、すなわちその総資産額から負債額を差引いた残りの三十九億九千余万円と、昭和二十四年度末における事業益金のうち、政府納付金を差引いた社内留保、この金額が百九十二億六千余万円、ございまして、これを出資に繰入されるということになつております結果、つまり利益留保されたものを加えまして、出資額が二百三十二億円こういうことになつております。
  19. 井之口政雄

    井之口委員 国有鉄道の方は、四百四十一億円が台帳に載つていて、政府出資額は四十九億円といたしますと、あと負債額なつて来る。これはどこからの負債になるのでしようか、なお専売公社の方は非常な大きな利益金だと思うのですが、これはまつた常識はずれの大きな利益じやないでしようか。この点もう少し詳細な御説明を願います。
  20. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの井之口君の御質問に対しては、管財局加藤説明員説明をいたすそうですから……。
  21. 加藤達人

    加藤説明員 お答え申し上げます。今の井之口委員からの御質問趣旨は、専売公社並びに日本国有鉄道財産をどの程度引継いだのか。それを引継いだら、増減計算書から減になるのじやないかというようなお話でございます。もちろん財産といたしましては、これは帳簿上から落ちますので減になりますが、出資関係で増になつて参るわけであります。その点について、土地だのそういう点も詳しく申し上げますと、土地では日本国有鉄道に引継いだものが約十一億四千六百万円、専売公社に引継いだものが二億四千三百万円。それから建物では、日本国有鉄道に引継いだものが九十五億五百万円、日本専売公社に引継いだものが十三億千四百方円。それから工作物では、日本国有鉄道に引継いだものが百四十一億七千万円、日本専売公社に引継いだものが二億六千二百万円。それから機械器具でございますが、これは日本国有鉄道に引継いだものが約百七十億七千百万円、専売公社に引継いだものが十四億九千万円。船舶関係では、日本国有鉄道に引継いだものが二十一億四千四百万円、これは専売公社はございません。大体以上が財産区分別で、ございましてただいま申し上げましたのがそれぞれ財産としては減になつたわけでございます。それで出資という形で、証券の方に増になつて参るわけでございます。御説明を終ります。
  22. 井之口政雄

    井之口委員 総額はどのくらいになりますか。
  23. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 まだたくさんありますか。
  24. 井之口政雄

    井之口委員 まだたくさんあります。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 時間の関係上、なるべく簡略に願います。
  26. 井之口政雄

    井之口委員 こういう日本国中の一切の財産を処理して検査するのに、そう短かい時間でやれということは、とんでもないことで、それこそ盲が象をなでるような感を持つのでありまして、承認していいかどうか非常に迷う点であります。先ほどの国有鉄道の今日の四百四十一億円という台帳面に対し、政府出資は四十九億円しかないとしますと、あとの約四百億円というものは、どうなつているのか。これほどこからの負債なつているのか。それから専売公社の方は、これは前身ですが、利益が約二百億円からあるというのは、もうけが多過ぎるのじやないかと思います。そういうベらぼうもうけをしておるのは、国民のいろいろな利益を阻害しているのじやないかと思いますが、この点を御説明願いたい。
  27. 加藤達人

    加藤説明員 先ほど御説明をいたしましたことでござい崖すが、国有鉄道昭和二十四年五月三十一日現在の出資額バランスシート差額なのでございます。これは法令できめたわけでございます。従いまして、国有財産——これは固定資産だけではございませんが、すべての合計のバランスシート差額であつたわけでございます。それでお話のような、非常な差があるじやないかというような御疑問が出ると思いますが、これはバランスシートを当時ごらんくだすつたと思いますが、それをごらんくだされば一目瞭然、出て来るわけでございます。それで先ほどちよつと申し上げましたが、これは国有財産関係だけを申し上げますと、そういうことになりますが、台帳価格の四百四十一億円に対しまして、出資として大蔵省に計上されたのが四十九億一千万円と申し上げたのは、バランスシート差額だから、そういうことになるのでございます。国有財産固定資産額流動資産額から全部の負債額を差引き、すべての差引勘定が四十九億円で、これが資本金、こういうことになつたわけでございます。要するにこの差額は、固定資産と、流動資産と申しますか、それと負債との差引勘定になるわけでございます。
  28. 内田常雄

    内田(常)政府委員 今のお話の、積極財産は四百四十一億円ですが、それを国有財産から落しまして、あらためて出資に計上したのが四十九億円、この差額国有鉄道プロパー借入金として国有鉄道が借入れをしておる。その借入金は、元は国有鉄道特別会計でやつておりましたから、特別会計所属公債または借入金ということでありましたが、これらは施行法第九條によりまして、一般会計負担となりまして、これに相当する金額の債務を、日本国有鉄道政府に対して負うことになつたのであります。従つてこれは出資としてではないので、国有財産には計上されておらないのであります。
  29. 井之口政雄

    井之口委員 専売公社の方の利益が多過ぎるのは、どういうのですか。
  30. 内田常雄

    内田(常)政府委員 それから専売公社の方は、表面上の資本金は先ほども申しましたように、三十九億円ということになります。専売公社国有鉄道とは違いまして、税金と同じように、国の歳入をあげる一つ仕組みでありますから、専売公社で得ました利益は、大部分一般会計に繰入れて、国の財源に充てるわけでありますが、専売自身事業運営上一般会計に納めないで残つて来ているものがあるわけであります。その残つて来ているものの累積が、先ほど申しましたように、この資本金の三十九億円のほかに百九十二億円ある。これは国有鉄道のような取扱いをしないで、国有鉄道プロパーのものではなしに、国の財産であるということで、資本金以上の今までの利益留保を国の出資として計上してある、こういう仕組みなつております。
  31. 井之口政雄

    井之口委員 どうもはつきりしないのですが、そうすると国有鉄道ではこの四百億というものが公債として民間所有なつているのですか、政府所有有価証券の中に入つているのですか。あるいはもう一つ、もし特別会計の方で二百億からの利益計算して、そうしてそれが国家の出資額なつてくるとすれば、国鉄の方面においてもやはりこれから利益があがつて来れば、この出資額は増加して来るのか、どうですか。
  32. 内田常雄

    内田(常)政府委員 国有鉄道は、先ほど申しましたように従前自分公債を発行していたのであります。それを公社に切り換えました際に、公債というのは国が借りたものが公債である。公社が借りたものを公債ということにしますのは適当でないために、国が肩がわりをいたしまして、国有鉄道公債は国が発行した公債ということになりまして、国有鉄道が借りておつた分は、国から国有鉄道に貸したことになつております。この一般会計から国有鉄道に貸してあります分は、この国有財産現在額報告書等において、国の財産としては計上してないわけであります。計上してありますのは、この出資部分の四十億だけでありまして、肩がわりをして国が民間、あるいは日本銀行等で発行した国債ということになりまして、その反対部分国有鉄道に貸しておるのでありますが、貸した分は国有財産増減計算書とか、現在額計算書の方、いわゆる国有財産扱いをしてないということであります。  専売の場合は、国有鉄道とは反対に、借金はなしに、むしろ専売事業運営のために実質上積立金ができ上つて来ている。しかしこれも鉄道と同じように公共全業体公社でありますから、公社のものだ、こういうことが言えるかもしれませんが、先ほど申しましたように、専売仕組みは国の歳入をあげる仕組みだから、この社内積立金専売自身プロパーのものとして持たせないで、国から出資したものと同じように取扱いまして、国有財産台帳の方に載せてある、こういうことになつております。
  33. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、この四百億の国有鉄道のここへ出ていない分というのは、有価証券その他の中には入つておるのですか。
  34. 内田常雄

    内田(常)政府委員 入つておりません。国有財産計算書の中には載つておらぬわけであります。
  35. 井之口政雄

    井之口委員 そうするとそれはどういう形で……。政府財産ではないのでありますか、そういうものは政府財産に勘定せられずに、どこに勘定せられてあるのですか。もう一つ専売公社の分は、利益はどんどんふえて来て、その利益が一々政府出資財産に計上されて来ることになれば、政府自身は何らの出資をせずにどんどん利益が増加して来て、出資額がどんどんふえて来るという結果に立ち至るのではないでしようか。
  36. 内田常雄

    内田(常)政府委員 国有鉄道法施行法の第九條にこういう規定がございます。「昭和二十四年五月三十一日において国有鉄道事業特別会計負担する公債及び借入金は、日本国有鉄道法施行の日において、一般会計に帰属せしめる。」ということで、公社になりましたときに、従来国有鉄道事業特別会計公債等政府が背負つてしまつたことにしまして、政府が背負いました分は、国有鉄道なつた瞬間にそれだけ借金を免除したことにはしませんで、政府一般会計に帰属せしめるということで、一般会計から国有鉄道に貸したものにしてあるわけでございます。その貸したものを国有財産計算書出資等のところへ載せれば、井之口さんのおつしやるようにはつきりするわけであります。ところがこの国有財産計算書というのは、いわゆる国有財産法に基く国有財産だけを計上する仕組みなつておる。今の政府公社に対する肩がわり貸付金等は、ここでいう国有財産なつておりませんために、公社借入金としてあくまで整理をしてあるにとどめてあつて、こちらの国有財産計算書の方には載せない仕組みなつている、こういうことでございます。  専売の方は、専売もうければもうけるだけ、それだけ国の出資がふえるということはその通りでありまして、あれは公社の形はしておりますけれども、もうかつたものは、税金にかわる専売益金もうけたものでありますから、国が特に専売のものとしない限り、もうかつたものは全部国が取上げるべきでありますが、もうけを全部取上げますと、専売運営ができなくなりまするから、予算で毎年、たとえば本年度ですと、千何十億というような公社運営上支障のないものだけを国に取上げまして、あとは国の資産だけれども公社に使わしておく。そのかわりその使わしている分は国の出資であるから、こつちの現在額計算書の方には計上する、こういう仕組に御了解願いたいと思います。
  37. 井之口政雄

    井之口委員 会計検査院の方にお尋ねいたしますが、国有鉄道一般会計との間が、そういうふうな仕組みなつておつても、さしつかえないものでございますか。
  38. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 この鉄道出資という問題は、実は私どももこれを初め見ましたときに、非常にふしぎに思つたのであります。井之口さんと同じような疑問を抱きまして、大分せんさくいたしましたが、法律の建前がそういうふうになつております。バランスシートのプラス勘定とマイナス勘定を差引いたしまして、そしてその差額出資の形で政府がとります。そうして落す。国有財産は十倍近いものを一応落してしまう。ところが残りの約四百億というものは一時貸付金である、こういうような性質で整理をする、たしかそういうふうに私は了解しております。一時貸付金というと、ちよつと言い過ぎではありますが、国有財産の範疇の中に入らないもので整理をしておる。それはしいて意識的にそう整理したわけではないのでありますが、現在の結果では、どうもそうなつているよようであります。国有財産出資として整理しないでおる。と申しますのは、現在まだ国鉄評価がえという非常に大きな問題が残つているのであります。国鉄財産は、従来国の特別会計でありますから、一般民間の企業会計のような正確な評価がえなどしておりません。そのために、財産の今の四百何十億というものも、はなはだ経済的には不合理なものだろうと思います。これをどう評価がえするか。それからこの毎年々々の経費で買つて参りました物品類、こういうものも全然帳簿価額としてはゼロであります。こういうようなものも一体どう評価して行くかが非常に大きな問題でありまして、これを鉄道でも逐次やつているようであります。こういうものと一緒に今の四十何億という出資も解決すべき問題でありまして、今この四十何億の出資を一応しておいて、あとの四百億が国有財産台帳の面に載つた形になつていないことと関連いたしまして、今の評価がえという大きな問題があるようであります。私は実は鉄通の方はあまりよく存じませんが、国有財産増減検査のときに、実は疑問を持ちまして聞きました程度の知識で申し上げると、その程度の答えになるわけであります。  それから専売の方を申し落しましたが、これは政府公債とかそういうふうなものは何もいらない会計であります。政府が予算で支出して参りましたものが蓄債されて国有財産になり、それが出資にかわつて来たわけであります。専売のための借入金というようなものは、かつてない会計でありまして、その点が鉄道と非常に違うのであります。そして、今二百何十億、わずかの国有財産を落して、それの何倍かの出資政府の手に入つておりますが、これはただありのままの姿を、今まで国有財産としてあつたものが、出資にかわつただけでありまして、今までの予算で政府が支出して参りました資本の蓄積が、ただ株のような形にかわつただけのものでありまして、別にそのために不当に政府もうけたとか、隠しておつたとかいう性質のものじやないと思います。
  39. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまの国有財産の峯に対しましては、非常にわれわれ危惧を抱くことになりまして、四百億からをこうした一時借入金というふうな形でおかれるとか、あるいはまた利益金がすぐ出資額に変革されるとかすれば、これの反対の場合も言い得るのでありまして、出資額をどんどん自分で減らして行くということもできることになりはしないかと思うので、非常にこれは研究を要する問題だと思います。こういうところから、例の日発の不当な事件、蓄積の大分たくさんあつた事件なんかも起つておりますし、それから公団なんかの経理面が、例の鉱工品公団なんかのようにルーズになつて来るというふうなことも、予想され得るのであります。この点は、もつとわれわれは道理にかなつ計算方法をとらなければならないのではないかと思います。  次に、ひとつお聞きいたしてみたいのは、この二十三年度の国有財産検査報告によりますと、終戦処理費について、まだ十分な調査が終つていないというふうな報告でございました。しかるに今度は、その終戦処理費に対しまして、終戦処理費から獲得した国有財産に対して、おおむね二十四年度中に整理を了したということになつております。このおおむねではちよつと不明確なのでありまして、終戦処理費によつて獲得した国有財産が、どれくらいのものになるのか、また整理が終つている分が何。パーセントぐらいになるのか、まだ未整理の分が幾らくらい残つているのか。なおこの終戦処理費から支出されておりましていろいろな国有財産に転化されている部分が、たとえば進駐軍のいろいろな修繕費とか、あるいは借りている家に対する設備費というふうなもので支出されている分もあるのじやなかろうかと思う。そういうふうなものも国有財産として十分な管理ができておるか。この三点についてひとつお伺いします。
  40. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 終戦処理費の支弁で取得いたしました国有財産は、二百七十九億一千五百万円になります。そのうち大蔵省で二十四年度末までに引継ぎを受けまして、きちんと台帳に載りました価額が、百八十七億八千万円であります。差引九十一億三千万円まだ残つております。金額的に申しますと、おおむねとはちよつと言いにくいかとお考えになるかもしれませんが、質的には、実は整理のできるものは大部分整理しているのであります。あとの九十一億は、非常に金額は大きくなりますが、これは接収財産などに対する改修費、こういうようなものが非常に大きいのでありまして、それからたしか進駐軍の基地内の財産などが、この中に入つてつたと思います。ちよつと整理のむずかしいようなものも相当にこの中には多いのであります。金額的には三分の一近いものが未整理なつておりますが一質的にはまず大体整理ができた。こういう意味でおおむねという字を使つたのでありまして、私どもとしては、逐次この九十一億を減らして行くように、いろいろ考えております。国有財産として、金額的には一応整理しておりますが、たとえば接収住宅などの上に附加した経費というようなものは、それだけを抜きまして国有財産台帳にあげるということも、実際にはむずかしいものも相当にありますので、なかなか今までのような整理がはかどるということはむずかしいのじやないかと考えております。
  41. 井之口政雄

    井之口委員 その九十一億の未済部分のうち、最も特徴的なものをあげてもらつて、それの算定がどういうわけで困難なのか、その実例を一、二聞かせていただきたい。もう一つは、附加した価値に対しては、これは接収された人たちに将来帰属するものでありますか、国家がやはり、それだけは分離して国有財産として保管する性質のものかということをお尋ねします。
  42. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 今、井之口さんの最初に仰せになりましたこの九十一億というのは、何と申しますか、今まで国が使いました経費の集計であります。これを一応、土地に使つた金は、土地国有財産価額とし、建物に使いました金は、建物の国有財産として整理しているのであります。そういたしませんで、これをまた一々評価がえというようなことになりますと、非常に複雑になりますので、かけた経費を国有財産の用途区分に従いまして、土地、建物、工作物機械器具、こういうふうにわけまして一応載せているのであります。ですから、これがそのまま財産なつたと言えるかどうかは、ちよつと疑問であります。人件費のようなものも、中にはあるわけであります。それからおもなものはどういうものかというお話でありますが、この一番大きいのは建物の口座に載せたもので、約半分強あります。四十八億が建物の口座にのつております。これは大部分が、おそらくは接収家屋を外国人、アメリカ人向きに模様がえをしたものが一番大きいと思います。中にはペンキを塗つたのがずいぶんありますから、こういうものも金にいたしますと、なかなかばかになりません。塗つたペンキを国有財産とするわけには行かないのでありまして、投下した金は便宜ここに集積して、一応国有財産価値を増加したものの中に入れてあるのでありますが、その下地になつているものは、あくまでも私有のものであります。このあと返すときに、これをどうするかという御質問がありましたが、これは増加した価値、ペンキを塗つてきれいにされると、非常に価値が増加したようでありますが、中にはそうでないのもあります。床の間のきれいな本日の柱にペンキを塗つたような例もあります。日本座敷を改造して洋間にしてしまつて、中に便所をつけられた、こういうようなのもあります。こういうのが一応はみんなかかつただけの経費がここに入つているのであります。これを返しますときに、これだけの金をかけたのだから、それだけは財産として価値を増加したのだ、こうやられても実は困るわけです。むしろこれは補償をもらわなければならない。元へもどすのに補償をもらわなければならないという関係も出るわけであります。ぼつぼつと最近接収家屋が解除になりまして、方々でいろいろな問題が実は出ております。そういうようなときに四十八億の金をかけたからといいまして、これが決して四十八億には将来ならぬのであります。あるいは何らかの形で、これをまるきり落さなければならぬというような事態も、家屋によつては生ずると思うのであります。一概にこれが近き将来どうなるかということを、実は申し上げかねるわけであります。
  43. 井之口政雄

    井之口委員 さらにもう一つお聞きしたいのは、飛行場など終戦処理費によつて拡張しておりますが、道路並びに公園のごときものは、国有財産として算定しないことになつているが、やはり軍用的なものであつて、飛行場の設置というふうなものに対して、投下された国有財産は、どんなふうな見積りになるのでしようか。
  44. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 政府側からお答えのあるのが至当かもしれませんが、私から申し上げておきます。これはどこのが幾らということはわかりませんが、一応は投下額が——飛行場なんかは、建物とか機械とか、それぞれの工作物などは、建物の中に入りますが、土地の一部をなすものは、おそらく土地の中に入るか、あるいは工作物の中に入りますか、現在滑走路はどういうふうに扱つていますか、詳しいことは知りませんが、土地工作物か、どちらかと思います。
  45. 井之口政雄

    井之口委員 政府の方にお尋ねいたしますが、終戦後、飛行場関係に投下された滑走路並びにその建物等で、国有財産としても算定せられなければならない部分が、一体どれくらいな額に達するのでございましようか。また今日飛行場、そうしたものの数もどれくらいに達しているか、この点を伺いたい。
  46. 加藤達人

    加藤説明員 御説明いたします。ただいま第四局長からお話がございましたように、実は終戦処理費によつて投下された政府資金というものは、地方公共団体とか、私有財産というようなものに相当投下されておるわけでございます。従いましてこれは国有財産法上の国有財産であるかどうかということは、非常に疑問なわけでございます。従いまして、先ほど申し上げました通り、四十八億の建物の全部がゼロになるかもしれないわけで、私どもの見解といたしましては、これらのものを個々に当つてつておるわけでございますが、漸次減少しているわけでございます。それで昭和二十三年度に検査報告の掲記事項としてあげましたのは、一応国会に対する責任から、ただいま申し上げましたような投下資金をあげましたので、これが国有財産総額ということにはならないのでございます。それが吟味されまして、だんだん減つて参るわけでございます。その減る目途はどうかという御質問なんでございますが、これも接収中でございまして、まだ調査が諸種の事情でできないものもございますので、はつきりした見通しを立てるというわけには参らぬと思うのでございます。しかしながら、私どもといたしましても、できるだけ各財務局、持調の出先を督励いたしまして、この整理を急いでおります。二十五年度中には、何としてもこれを整理しよう、こういうような考えでおります。
  47. 井之口政雄

    井之口委員 それで大体事情はわかりますが、どうせ落さなければならぬというふうなものも、合理的であるかないか算定しなければなりませんので、今日、大体飛行場関係終戦処理費が幾らの資金を投下しておるか、大体の概算的な点でもよろしゆうございますから、御発表願いたい。
  48. 加藤達人

    加藤説明員 御説明いたします。ただいまの御質問は、飛行場だけのものは持つておりませんので、あとで差し上げたいと思います。
  49. 井之口政雄

    井之口委員 飛行場のほかに何か持つていらつしやいますか。
  50. 内田常雄

    内田(常)政府委員 終戦処理費の扱いは、御承知のように終戦処理費として予算に載りまして、その予算を執行するのは、今の政府仕組みですと、特別調達庁がやつております。従つてその特別調達庁が占領軍の占領業務のために、たとえば新しい財産を取得するために使つたものもありましようし、あるいは維持保全するために使つたものもありましようし、あるいは飛行場とか、兵員等の収容施設もありましようが、私の方の管財局としての業務になるのはそれが国有財産なつたという通報を特別調達庁から受けまして、初めて整理が始まるのであります。従つて私の方ではわからないのであります。特別調達庁の方で、ある程度の仕組みによつてわかるかもしれませんが、その辺は私どもつまびらかにいたしておりません。
  51. 井之口政雄

    井之口委員 特別調達庁から通告を受けて、それで国有財産として算定されていらつしやる分が、概算で、大体幾らぐらいになりますか。
  52. 内田常雄

    内田(常)政府委員 先ほどから御説明がありますように、支出済額としては二百七十九億円あるはずで、そのうちで、国有財産として登録するのが適当だとつかまえて来たものは、飛行場もあるかもしれませんが、建物とかその他で百八十七億までつかまえて、あと九十一億は管財局としてはまだつかまえないから、それを特調、その他終戦処理費の支出官庁を督励し、できるだけつかまえて参りたい。但し、この九十一億は、国有財産に登載すべきものがすべてではなしに、先ほど会計検査院からもお話がございましたように、使いつぱなしの経費として落ちてしまうものも相当あるだろう。今のところ申し上げ得るものは、飛行場その他の国有の施設を含めまして百八十七億円ばかりある、こういうことであります。
  53. 井之口政雄

    井之口委員 今調査のお持合せがなければ、またあと算定されて御発表願いたいのですが、飛行場に対して二百七十九億のうちから、どれくらいのものをそこの施設費に投じられておるか、それからまだつかまらないものがどれくらいあるか、この点も御発表願いたいと思います。
  54. 内田常雄

    内田(常)政府委員 御説明いたしますが、この百八十七億、国有財産としてつかまえて登録したものは、飛行場とかいうような軍事上の機能によつて区分はいたしませんで、土地が何ぼ、建物が何ぼというようなわけ方でつかまえてありますから、私どもといたしましては、このうち飛行場のために出て、国有財産として整理なつておる飛行国が何ぼかということは、わかりかねると存じます。
  55. 井之口政雄

    井之口委員 まつたくその通りで、そういうふうに出されると、実体上どう使われているのか、われわれ人民の代表としてわかりかねる。みんな一つにごつちやにしてしまつて、いつもどれだけしかないというような決算の報告でありまするために、国民は具体的に正しく使われているのかどうかということもわからない。ひとつこういう点は委員会があるのでありますから、委員会においてはもつと掘り下げて、内容について立ち入つて説明が願えれば、国民の疑惑もおのずから解消すると思います。終戦処理買というものは伏魔殿といわれるくらいな不当な金の使い方がされておる。しかもその使われたものが、国有財産として残つておるに違いない。たとえば軍事上の施設であろうとも、あるいは兵営をつくる、兵舎をつくる、いろいろ国有財産として、昔なら軍用財産部分に入つていなければならぬ性質のものですから、そういうものもわれわれは知りたいのであります。  第三番目に——もう三つぐらいお伺いしたいのですが、財産税と、それから戦時補償特別措置法によるところの物納財産整理がまだ行われていないようであります。大体それが総額幾らぐらいになるか、今日整理しておる部分がどれくらいになるか、その点をひとつお伺いいたします。
  56. 内田常雄

    内田(常)政府委員 総括的に申しますると、昭和二十五年度末までに、物納財産の約八〇%近くを処分いたしまして、あと処分困難なもの二〇%ぐらいを二十六年度以降に処分を持越しておるはずであります。しかしながら、この国有財産は他の財産と違いまして、そもそも税金として納められた物納財産でありますから、一刻も早く換価して、一般会計歳入財源にすべきものでありますから、私どもといたしましても、あと残りのものを本年度中に極力処分整理をいたす方針で進んでおります。なお、ただいまの心組みでは、この物納財産の収支は、御承知のように、財産税等収入金特別会計という特別会計にいたしまして、売払代金は一旦その特別会計に入れて、特別会計整理した上、これを一般会計歳入に繰込むという仕組みなつておりますが、今後今年中に整理いたしますと、残りは幾らもなくなりますから、来年度からこの特別会計は廃止いたしまして、残つた若干のこまかいものは一般会計所属の国有財産として、漸次普通の国有財産と一緒に売り払つて参るようにいたしたい所存でおります。
  57. 井之口政雄

    井之口委員 それから軍用財産に対しまして、あれほど戦争前にたくさんの軍用財産があつた。それが戦時中から未発表の状態にあるが、その後当然これは明確にして、軍用財産は、これくらいあつたが、そのうちからこれこれの被害をこうむつているというような明細書がなければならぬと思うのでありますが、そういうものもここで報告されておりまするところの国有財産の現在額の中に入つておるかどうか、またどれくらいの額に達するものであるか、この点をひとつ伺いたい。
  58. 内田常雄

    内田(常)政府委員 ただいまお尋ねの通り、もちろん旧陸軍、海軍、軍需省等から引継ぎました旧軍用財産も、現在国有財産の中に入つてございます。しかし当初の価値幾らつて、それが爆撃等によつて幾ら損失を受けておるかということは、おそらくわからぬと思いますが、引継ぎました帳簿価格で、おそらく国有財産の方は整理いたしてあると思います。それが爆撃によつて帳簿価格より幾らつておるか、またその後の物価の値上り等によりまして、爆撃されておるけれども帳簿価格よりさらに実体価値はふえておるかもしれません。これは先般会計検査院からお話がありました通り、明年三月三十一日現在で第一回の現在価格調査をいたさねばならぬことになつておりますので、それまでは帳簿価格以外にはわかりかねると思います。
  59. 井之口政雄

    井之口委員 来年においてなさるということは非常にけつこうでございます。しかし大体やはり政府側としては、来年でなければ全然わからぬというような性質のものではなくて、来年度で決算をするにいたしましても、今日から概要の点の調査はできていなければならぬと思うのです。戦争前に政府で最終的に発表された軍用財産がどれくらいあるか。それから何年間は未発表になつておつたが、最近明らかになつた最初の算定価額がどれくらいあるか。将来はまた変化するにいたしましても、今までわかつているところでいいのですが、どれくらいになつておりますか。
  60. 内田常雄

    内田(常)政府委員 申し上げますように、現在の時価は来年でなければわかりませんが、終戦後陸海軍から引継ぎました際の帳簿価格を申し上げますと、これは陸海軍の帳簿に載つてつた帳簿価格のままということだろうと思います。
  61. 井之口政雄

    井之口委員 何年に引継いで、そのときの帳簿価格幾らですか。
  62. 内田常雄

    内田(常)政府委員 これは昭和二十一年から二十四年度、各年に逐次引継いで参つておりますが、その引継の際の帳簿価格を集計いたしてみますと、合計で七十七億四百十三万五千余万円というような数字でございまして、この中身は土地が二十五億二千三百余万円、立木竹が二億六千六百余万円、建物が二十三億六千百余万円、工作物が八億一千五百余万円、機械器具が十二億五千八百余万円、船舶が四億七千八百余万円等で、これは一応の帳簿価格でございますから、これの正確な評価はただいまとしてはできておらないので、御了承願います。
  63. 井之口政雄

    井之口委員 この工作物機械器具や船舶、その次にありまするのは、法第何條とかによるとしてありますが、これは何か特許権のようなものでしようか。何か特許務権として、いろいろ重要な特許権が政府において持たれているのじやないでしようか、そんなものの例はどうですか。
  64. 加藤達人

    加藤説明員 国有財産法の第二條に明記してございますが、いわゆる無体財産権というようなものでございましていわゆる二條の五号、六号でございます。五條が「地上権、地役権、鉱業権、砂鉱権その他これらに準ずる権利」となつておるのでございます。それから六号が「特許権、著作権、商標権、実用新案権その他これらに準ずる権利」となつております。特許権は大体特許庁で、相当ございますが、これは実施した分とまだ実施に移らぬ分がございます。この総計算書の四十七ページに載つてございますが、下段の「法第二條第一項第六号に掲げる権利、」これが今申し上げました特許権、著作権、そういつたものでございます。件数にして二十三年度末が六百五十七件、二十四年度は四百二十八件でございます。金額にしまして三万九千円、それから五号の権利が砂鉱権といつたものでございますが、これは二十七万五千五十二町五反二畝、金額にいたしまして三千七百七十四万一千九百三十六円ということになつております。
  65. 井之口政雄

    井之口委員 この特許権が三万九千円となつておりまするが、特許権はこんなに安いものでしようか。政府でもいろいろな学術上の研究もやつおるようだし、それから文部省関係でもやつておるようだし、電気通信関係の発明なんかもあると思うのでありますが、たつた三万九千円、こんな小さなものですかね。これは抜けているのじやないでしようか。
  66. 加藤達人

    加藤説明員 これは御承知通り非常に安くなつておりますが、これは実際民間などでは、特許権その他は無体財産権利でございますので、その実施のいかんによつて非常に値段も上るわけでございますが、政府の研究的なものもございますので、非常にこの算定がむずかしいのでございます。実際五十円なんというようなものもございますので、こんな金額が出て参るわけでございます。これは企業価値を生んで、初めて大きな金額になると思います。大体政府の特許権というのは単価が五十円などというのが非常に多いのでございます。そんな点から、こういう安い金額なつております。
  67. 井之口政雄

    井之口委員 それでは、その五十円の特許権などというのは、貸し付けて、貸付料なんかとられているのですか。これが一つ。それからまた国有財産の無償貸付状況でございますが、これはここへ出て来ている分は、当然無償に貸し付けられるべき法律上の制約を持つたものだけの算定だと思うのです。しかるにこの間、日光の御用邸が無償で貸し付けられておる。あるいはまた貸し付けておつても、その貸付料が入らぬというふうなのが非常に大きな数量になると思うので、そういう点がはつきりしないと、この決算の任務が勤まらぬと思いますが、それについて会計検査院の方ではどのように理解されますか。
  68. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 無償貸付の中に上つておりますものは、金額としては比較的小さいのでありますが、これは法律上当然貸し付けられるものだけが上つているわけであります。それで日光の御用邸が例に上りましたが、ああいうものは、ここには上つておりません。それからこの計算書に何を載せるかということも、これは法律によつてつておりますので、その範囲のものだけは当然載るわけでございます。検査院で見つける、何というか不当な無償貸付というものは、法律で載せるようになつておりませんししますので、載らぬわけであります。  それから先ほど特許権のお話がありましたが、立ちましたついでに申し上げておきます。井之口さんがおつしやいました電気通信省関係のようなものは、実は載つておりません。ここに載つております三万九千円、これは実に低い金額でございます。これは通商産業省関係の特許権、実用新案権、これが三百件余りになりますが、載つております。それ以外に電気通信省とか郵政省とか文部省関係でありますが、実はこういう権利は非常に価格算定がむずかしいのでございます。先ほどお話がありましたが、研究中のようなものもありますので、こういうものを幾ら評価すべきかというのは非常にむずかしい。それからまた国有財産といたしまして、しいてこういうものを、ぜひ大至急許価して載せなければならぬという必要もないわけであります。ただ権利を持つておりましても、国有財産に載せようか載せまいか——特許権をとりますれば、特許権としての保護は受けております。焦眉の急がないせいもありますが、ともかく価格評価が非常にむずかしい、こういう関係で長い間載らぬようであります。
  69. 井之口政雄

    井之口委員 私はこれでよろしゆうございます。
  70. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 議事の進行上、ちよつと私はお願いしておきたいのですが、今日長々と井之口委員が熱心に当局に質問されたのであります。そういうことは何のために出ておるか。私は、先日から広島の商業組合に対しての貸付の問題についてやつておる。それについて、虚偽の申告をした商業組合であるからということで、住宅金融公庫の鈴木総裁に対して注意を促したのにもかかわらず、その不正なる商業組合に金を貸し付けておる。そういうことをやるから、今日井之口委員のように熱心に質問をせざるを得ないようなことになる。必ずしも年度々々によつて、こういう時間をつぶすようなことをしないように、今から会計検査院でも、管財局長あたりでも、大いに注意してもらわなければならぬと思う。まだ聞いていらつしやらないならば、よく調べて、一度この委員会において報告もしていただきたいのであります。これは広島市の京橋商業協同組合「というのであります。たとえばここに子供がおる。そういう十六、七になる子供まで商業協同組合の一員として列記してある。まだ学校に行つている子供の名前を借用して、その商業協同組合員に入れておる。また脱退した者が多数あつても、それを当局に報告しないで、住宅金融公庫から金を出させているから、本員は先日から鈴木総裁並びに係の人に対して注意をしておるが、そういう注意をしておつてもそれを貸し付けておるということは、はなはだけしからぬ。われわれ国民から徴税することについてはきびしく、貧困者からいうならば宝物にひとしいようなたんすさえも差押えておいて競売に付する。有産者から見れば、たきぎにひとしいものであつても、われわれには宝物だ。そういうようなことをやつてまでも、徴税の方には頭を使つている。多数の役員を動員してやつている。そういうことでありますから、本員は注意をしたのであります。また建築物のごときも、本員は一メートルに対してボルトを何本使うかと、しろうとのふりをして尋ねた。ボルトは大小によつて本数が違うだろうと言つたら、それはそうでしようと言つた。これは一メートルに対して九本使うようになつていなかつたかという質問をしたのに対して、その金融公庫の係の若僧は何と言つたか。そういうふうになつていますかと言つて台帳を広げて、製図のごときを広げて、ごまかそうとしたから、何ページの製図を見ろと言つたら、ちやんと一メートルに対して九本使わなければならぬということがある。しかも写真にまで写してある。その九本使うべきボルトを七本しか使つていない。そこでやかましく言つた結果、このごろ一号、二号、三号といつて建設しておるが、三号館からは、一メートルに対してボルトを九本使つておるが、一号館、ニ号館は七本しか使つていない。しかも四階建の鉄筋コンクリートを建設するにあたつて、一本の棒ぐいも打込まない。少し監督のやかましいところでは、その建築物に対して、請負人は損をして棒ぐいを打込んでおるが、その建物については、一本の棒ぐいも打込んでいない。鈴木総裁などは、元県知事までしておつた、以前には福岡県の警察部長をしておつた人である。かようなことをするとは、本員をなめるもはなはだしい。今後そういうものに対して貸出しをやめるかやめないか、やめなければ、必ずこういう涜職が成立するものである。あながち、饗応、被饗応、贈賄、収賄のみをもつて涜職罪とするものではない。涜職罪というものは、なすべきことをなさず、なすべからざることをなしたものも、これすなわち涜職罪である。私は鈴木総裁に注意する前に、なめられないように——明治以来高橋判事というものから、高橋家には、判検事がうようよしておる。そういうものをたくさん持つておるから、あまりなめないようにということを言つておるのに、こういうなめたことをしておる。しかも役人が広島に行かないといつてつておる。しかも写真にまで写つておることです。かようなことは許すべからざることである。そういうことが繰返されるなら、幾たびも、かような涜職の問題について、決算委員会でやかましく言わなければならぬ。役職員というものは、こういうことをなす前に注意したら、それを用いて行かなければならぬと思う。私は大乗仏教の建前から、なるべく善導したいと思うけれども、そういうことを平気でやる人間がある以上、どうしても私は注意せなければならぬ。一つの引例として言えば、福岡方面で、ボーリングの費用が二億円あると聞く。この二億円のボーリングの金を元商工局長をしておつた人が、ある選挙の費用に百数十万金を支出せしめて、それを払わないために、その元部下であつた者が自殺した。それをもみ消したというような風説を私は聞いておるのであります。ただ取消しができないのは、その主人が自殺したために、細君が今路頭に迷つておるという事実で、この細君が路頭に迷つておることの始末ができていないじやないか。
  71. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 高橋君、簡略に願います。
  72. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 私は井之口君の三分の一も言つていない。私は、ほんとうに熱をもつて話しているわけです。  こういうもみ消しをやつておるというような風説は、九州、特に福岡県内においては、赤ん坊は知らないが、相当の知識のある者はみな知つておる。もしそういうことであれば、会計検査院において済んでおつても、もう一ぺんむし返して調べて、その未亡人が今日路頭に迷つておるのを救うような方法を考えるお考えはないか。決して第四局長を攻撃するわけじやないけれども会計検査院がそれをもみ消しされておるというような事実は、心ある人はみな嘆いておることですから、そういうことをひとつつていただきたいのであります。私は特に、ここに当局がたくさんおられるから申し上げたいと思いますのは、今の住宅金融公庫の鈴木総裁が、本員の注意にもかかわらず金を貸しつけた、しかも地鎮祭がある前から出しておつたというようなことも聞いておる。それはそうでないと言つておるが、銀行の台帳でも、インクの色を科学的に調べればいつごろ改竄したかということがわかる。私は小さいときから、判検事が親類に多いので、習つてつておる。そういうことも研究していただきたいが、その意思があるか、ちよつと伺いたいのであります。しかも、広島の二階まで建つておるあの鉄筋コンクリートの基礎工事に、棒ぐいを打込んでいるかないか、また鉄筋コンクリートのボルトの数が、九本が七本になつておるものを写真にまで写しておりますが、ひとつぶちこわして再検査してもらいたい。しかもその土地たるや、広島の公園地帯をなしておつたところに、無断で三十三戸の商店の人間が建てておつた所である。立ちのき先がないために、一時木造家屋として、その緑地帯、公園地帯を使用させることになつておるが、金を貸しつけてもらつておけば、あとで払わないでいいということをある代議士が注意したそうです。そのために欲が出てそういうことになつているが、その公園の使途たるや、建設省の許可も何も得ていないのです。この点を本員は注意したのですが、もし広島で、公園地帯をそういうことで使用できれば、私らも、日本中の公園地帯に、住宅に因る人たちの建築物を、堂々と建てたいと思つております。しかし、それは違法だからいけないが、こういうことがある。しかも建設省としても、私から注意を受けて、係の課長がかんかんに怒つて、公文書で質問することになつておりますが、そういうことをやるというのは、あまりにも日本国民を無視しておるものである。私らは、衆議院議員のバッジをつけているからには、まじめに質問もし、国民の要望を貫徹させるのがその職務である。私はこの次あたりでも材料を持つて来ますから、そういう点について、十分注意していただくことができるかどうか。今の広島の問題、並びに九州の炭鉱のボーリングの費用の行方をはつきりしていただいて、もしこれを払わないために、元の部下が自殺して、その細君が路頭に迷つておるならば、そういう人間こそ、私は救済してやらなければならぬと思う。これこそ人間味のある、ほんとうに官公職につく人間の、最も注意すべき問題であると思う。私の言うことは、笑いごとだと思うと、どんなところに、どんな問題が伏在しておるかわかとぬから、この次でもいい、今は面くらつて御答弁くださることはできないと思いますが、ひとつ議事の進行を兼ねて、私の意のあるところをお伺いしておきたいのであります。委員長、どうかよろしくおとりはからいを願います。
  73. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの高橋君の御発言は、なかなか重大問題でありますから、政府当局は十分熱心に御検討の上後日御答弁を願います。  なお当決算委員会に対しまして、大蔵省主計局長河野君がわざわざ御出席になりました。この際委員長より主計局に対して一言申し上げます。実は、二十四年度の決算報告に関しまする審議の便宜上、決算説明書を至急つくつて出すようにということを、委員長からしばしば請求いたしておきました。幸いに、多大の労告をもちまして、本委員会に対して二十四年度決算説明書というものをここに示されたのであります。予算と決算とは、対照せられるべきまことに重要な案件でありまするので、ここに河野君の御努力によりまして説明書のできましたことは、本委員会といたしましてもその労を多といたしまして、この際一言お礼のごあいさつを申し上げますとともに、次会には、ぜひ河野局長初め大蔵当局の御出席を願いまして、本委員会の審議に便宜を供せられんことを望みます。一言委員長より、二十四年度決算説明書のでき上つたことに対しまして感謝の意を表します。  なお、今井之口委員並びに高橋委員より熱心なる御質疑ありましが、二、三、残つておりますから、私から簡略に質問いたします。政府当局から御答弁をいただきます。  井之口君からの御質問がありました点でありますが、軍用財産について、会計検査院昭和二十四年決算報告三三八号によりますと、徳山市所在の旧軍用財産を東洋曹達株式会社が使用しており、その使用について当局は何らの措置もせず、かつ国有財産台帳にも登録されていないというようになつておりますが、これはほんとうでしようか。会計検査院はどういうふうに考えておりますか、それらに対しまする答弁を求めます。
  74. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 今の二十四年度の三三八号でありますが、徳山の東洋曹達が、国有財産である臭素工場、それから二臭化エチレン工場の建物を、終戦後からずつと使つておりまして、そうしてその使用料の概算が年額約二百万円に当る。これを貸付の処理をしていなかつた、こういう批難であります。これは終戦前に海軍で航空機用のガソリンの補助剤として必要な臭素を海水からとるためにつくつた工場であります。戦争中盛んに行われました、いわゆる官設民営工場といたしまして、会社の用地内に、国で約五千万円でありますか、金を出しまして建てた工場であります。これを、国有計産台帳に登録いたしませんでおりましたので、私どもも長い間気がつかなかつたのであります。実は何も見に行くヒントがなかつたわけであります。国有地の上ですと、検査にも参る機会がございますが、そういうものとも違いまして、民有地の上にある建物でありまして、そういう関係で長い間気がつかなかつたのでありますが、昨年検査に参りましたときに、ほかのことからこれがわかりまして、当局といろいろお話したのでありますが、当局も、これは実は前から一応現地では御存じであつたようでありますが、何分賠償指定物件の関係がありまして、整理がはかばかしく行かなかつたようであります。現在は賠償指定物件というものの取扱いがあまりやかましくなくなりましたが、賠償指定が解除になります前は、相当この種の財産の扱いがやかましゆうございまして、その関係どもありまして、処理ができなかつたようでありますが、こういうふうに、大きなものといたしまして堂々と会社で使つており、しかもそれが国有財産台帳にも載らないで、ただで使つていたというのは、ちよつと珍しい案件でございます。
  75. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 管財局長から御答弁ありますか。
  76. 内田常雄

    内田(常)政府委員 今のお話は、私は初めて知つたのでありますが、さような事実があるといたしますと、その当時の事情は事情といたしまして、これは役所の手落ちでありまして、手落ちをいかに処置したか、また今後どうするかということは、おそらく会計検査院に対する政府の弁明書に載つておると思います。政府の一応の弁明は、「本件は、調査の結果国有財産であることが判明したので、国有財産台帳に登載するとともに過去における使用料は弁償金として追徴すべく目下手続中である。」おそらく処理としてはこういうことで、さかのぼつて貸付契約をするわけには行かないので、爾後に対して貸付契約をするとともに、前の分は不当使用ということで、弁償金ということで貸付料相当額、あるいはそれに対する金利等を徴収することになろうと思います。
  77. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長より申しますが、かようなことがほかにもあるということになりますと、はなはだ遺憾に存じまするから、至急管財局長においてお取調べの上、さようなことのないように、本委員会に報告せられんことを望みます。  次は、最初井之口君からも御質問がありました特許権あるいは無体財産権等でありますが、一応質疑の残つておる点がありますから、私からも申し上げておきます。国家の試験所あるいは研究機関等ででき上りました成果でありますところの発明、新案等の無体財産権は、国家に属するものでありまするか、それともまた研究員個人のものになつておるようなものがありましようか、どういうふうになつておりましようか。その辺を大蔵当局並びに会計検査院当局よりお伺いしたいと思います。
  78. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 今の御質問でありますが、実は私その辺よく存じませんが、役所の施設を使つて研究した結果の成果としての特許権でありますから、当然役所に帰属するのがほんとうではないかとも思いますが、実際取扱いについてどうやつておりますか、詳しいことは存じません。
  79. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 国の施設を使用しまして特許権あるいは無体財産権を得た場合には、役所のものにいたしております。ただ従来言われましたように、外少乱れたような点がございまして、過去におきましては、個人の名義になつておるものもございました。しかし、そういう場合におきましても、その人が個人でそれを収入しておるということはなかつたと私は存じております。全般的な国の収入、支出の扱い方から言いますと、非常に異例でありますけれども、その施設の維持研究費に充てることになつておつたというふうに了承いたしております。最近ではすべて国のものにいたしております。
  80. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次は、さきほども質問があつたと思いますが、通産省の二十四年度末特許権の現在額は四百二十八件、三万九千円となつているようでありますが、この評価のやり方はどういうふうに行つておりますか。
  81. 加藤達人

    加藤説明員 先ほどもちよつと申し上げました通り、これは試験研究に付随して生まれたものでございまして、要するに企業的な価値というものはまだ加味されていないわけでございます。従いまして、売る買うというようなものでございませんので、先ほどお話いただいたような、五十円というようなものもあるということでありますが、これを実施に移して、また買う買手が来たというような場合に、初めてこれは価値を生むだろうと思います。御承知通り国有財産の行政財産は、要するに国が使つている段には、あまり価格価値を置かなくても、国の直接の用に使つておるというだけでいいわけでございまして、これが処分ということになりますと、まつたく別な価格が生れて参るわけでございます。その点御了承願います。
  82. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次に、まう一つ委員長から申し上げますが、国有鉄道につきましては、これら無体財産権の評価をどういうふうにやつておりますか。あるいは昔からの値段をもつてつておると思いますが、この日本国有鉄道に移つた無体財産権相当額は、国有財産普通財産中の出資額として、国有財産増減及び現在額総計算書に掲載されておるのであろうと思いますが、これらに相違はございませんでしようか。これに対して答弁を求めます。
  83. 加藤達人

    加藤説明員 無体財産権というのは、ちよつとここにございませんですが……。
  84. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは、それはあとにして、次に、もう一つ委員長から質問しますが、特許権を民間に使用させた場合、使用料は徴収しておりますか、また使用料額はどういうふうにして決定しておりますか、この点をひとつ伺いたいと存じます。
  85. 内田常雄

    内田(常)政府委員 この工業所有権の関係は、通産省関係のものがこの表に載つているわけでありますが、これは通産省の試験研究所等が、現在の区分で行政財産として、つまり試験研究所で必要な施設財産として処理いたしておるので、昔の観念でいう雑種財産、すなわち経済財産として大蔵省に引継がれておるものはありません。従つて大蔵省がこの経済財産の運用として、土地建物のような意味で貸し付けておるものはありません。しかし行政財産のままで、通産省の試験研究所が民間にそれを使わせておるものはあるようでございます。その場合は、通産省が行政財産として自分で保有しながら、かたわら民間に使わせておるので、通産省自体の何か計算の根拠でやつておるそうでございまして、大蔵省においては、ただいまつまびらかにいたしません。
  86. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは、そういうような特許権等を民間に使用させた場合の通産省側の意見は、また後日伺いますから、連絡をお願いいたします。
  87. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 ちようど管財局長もおられるが、先ほど申し上げた、税務官吏が見込み違いをしてやることを今後注意することと、むちやくちやに差押えした、そのたんすのごときを払い下げることも、よほど考慮してもらわぬと、そういう点から私は思想悪化を来しはせぬかと思うのです。
  88. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から、代弁でございますが、申し上げます。この問題につきましては、大蔵委員会においてもしばしば問題にしおりまして、主税局長並びに高橋国税庁長官にもしばしば出席を求めまして、今高橋さんのお話になりましたようなことは絶対しないという言質をとつておりまするから、今後はだんだん改良されることと思います。もし不法に強制執行をいたしたり、競売したような場合においては、ぜひお申出を願いたいと思います。一応われわれといたしましては、善意に解釈すべきが当然であり、大蔵大臣並びに吉田総理のごときも、二十六年度の課題は、いわゆる講和と税務行政の円滑化である、こう言われておりまして、講和の方は、われわれといたしましては単独講和でありまするが、大いに熱を上げておりまするし、また一面、税制につきましては割合に穏便にしよう、八割までは申告を是認し、あと一割ないし二割は更正決定もするけれども、それも必ずしもかつてにしてはいかぬ、よく調査をしてやるということにいたしておりますから、私かわつて御答弁いたします。  ほかに御質疑はございませんか。それでは本日は審議をこの程度にいたしまして、次は来る二十三日(水曜日)午後一時、国有財産関係計算書二件を議決する予定でありまするから、全員の御出席を望みます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十七分散会