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1951-03-02 第10回国会 衆議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二日(金曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長代理理事 三宅 則義君    理事 渕  通義君 理事 八百板 正君       大上  司君    高塩 三郎君       田中 角榮君    田中不破三君       藤枝 泉介君    畠山 重勇君       上林與市郎君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房会計         課長事務代理) 相良 惟一君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     辻田  力君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (管理局長)  久保田藤麿君  委員外出席者         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件昭和二十三年度一般会  計歳入歳出決算昭和二十三年度特別会計歳入  歳出決算     —————————————
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまより決算委員会を開きます。  前会に引続いて、昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算及び同特別会計歳入歳出決算を議題とし、前回文部省所管の審議の際、関係局長に対する質疑が保留されております。この際その質疑を許すことになるのでありますが、実は昨日、せつかく当局がおいでになりましたにかかわらず、本会議が開会されました関係上、その機を逸しましたから、今日再び御出席を願つたわけであります。これより質疑を許すことになりますが、どうぞ文部省当局も、現今の終戦以来の日本の文教教育並びに今後の対策等についての特段な御意見を、御遠慮なく御開陳願いたいと思います。質疑は通告順によつてこれを許します。大上君。
  3. 大上司

    大上委員 昭和二十三年度決算検査報告、いわゆる会計検査院から提出せられたもののうち、特に文部省を見ておりますと、経理面におきまして、どうも納得できないような点が多々ある。もちろんこれに対しましては、同じく昭和二十三年度歳入歳出決算検査報告に関し国会に対する説明書によりまして、一応は了とし得られるものの、この関係から見まして、国民的な感情といいますか、感覚という言葉をよく使うのでありますが、特に文部省においては、あらゆる面において、非常に範をたれると申しますか、諸設備あるいは国の行政事務において、他省にぬきんでておる、このように考えておりますが、たまたま決算面から見ても、他省に比べて同様なものが出ておる。こういうふうな観点から見まして、文部省におかれましては、末端行政事務上、経理を遂行する上において、どのようないわゆる教育をしておられるか、どのような指導方針をとつておられるか、この点をまずお尋ねします。     —————————————
  4. 久保田藤麿

    久保田政府委員 文部省経理面を、本省について申しますよりも、むしろ直轄部局の方が、御質問の本体に合うと思いますので、そうした点を特に申し上げたいと思います。文部省直轄関係からは、特に本省経理関係になれた人を、できるだけ直轄部面に送るという建前をとつておりまして、それを補う一つの手段として、各学校から特に経理関係監査的な性格を持つような人を、若干名ずつ、文部省見習いみたいに、ある期間文部省に派遣させております。それらの連中に、文部省がただいま御指摘のように、ほかの面に考えますると同一に、この会計経理の点でも、少くとも間違いのないように、また金の使い方にしても、金のありがたさをよくわかつて使うようにといつた意味見習い期間といつたようなものをつくつておりまして、できるだけそれらの人がそうした気持で、十分その趣旨を徹底して行つてくれるようにといつた意味の努力をいたして来ております。
  5. 大上司

    大上委員 きわめてありふれた質問で、ありふれたお答えのように考えるのですが、そこをもう少し私は聞きたいのです。なるほど本省におけるいわゆる経理面といいますか、官庁簿記というか、これの練達の士を地方に送り、あるいは時宜に適して講習なりその他指導をするというお言葉でございます。これはどの省でもやつておると思うのですが、特によく聞くことは、文部省の方といいますか、学校関係については、どうも歳費が少い、あるいは支払い遅延しておるということを聞かぬこともないのですが、これは事務の手続上の間違いか、あるいは行政的な間違いなのか、さもなくばいわゆる経理担任者の技術の未熟のために起つておるのか、この点を聞きたいと思います。そうすれば、たとえば今言うたように、どこの学校でどこの教育機関でそういう問題が起つておるか、こういうような御質問が必ずあると思うのです。その具体的な例としては、今持ち合せておりませんが、よくそういうことを聞きます。従つてこれの処理方法をどうしておられるか、この点をお尋ねします。
  6. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいま御指摘のことも、まことにごもつともなことだと考えますし、現に私どもも、できるだけ正確に、またただいま申したように、会計経理の持ちまする特別の意味合いをよくわからせてから仕事をさせたいという一面が、ちようど痛しかゆしのような形になりまして、事務がそのために非常に遅れているといつたような形のあることを、まことに遺憾に思つております。ことに地方学校で、官庁会計へ新しく入つて来た学校等、たとえば、新制大学を構成しまするについて、従来そうした官庁会計そのものについては、あまりよく知らなかつた地方の県の会計については十二分に知つてつたけれども、文部省の、または国の新しい形におけるものをよく知らなかつたといつたようなことが、かなり障害になつておることを、よく承知いたしておりますので、先ほども申しますような見習員をよこすとか、経理課長を特によこすといつたようにして、正確を期するとか、間違いのないようにするとかいうことのためにも、それに熟達せしめることが、まず第一番であろうというふうに考えておる次第であります。
  7. 大上司

    大上委員 もう一つお尋ねしますが、かつてわれわれがほかの委員会政府支払特別委員会というのを設置しまして、政府支払い遅延を防止する、こういうふうな考えを持つてつたのですが、かつてのいわゆる認証制度を改めた事例を心得ております。なおあれができまして、どのようにあなたの方の所管事項において修正せられたか、あるいはあの制度によつてどの程度効果上つたか、また逆にどういう弊害が起つたか、この点をおわかりの程度でけつこうでありますから、お聞かせ願いたいと思います。
  8. 久保田藤麿

    久保田政府委員 特に御指摘の点は、私の方の関係で申しますと、公共事業費支払い関係が特に多かつたというふうに考えております。ほかの方においても、そういうふうな措置をいたしておりますが、特に公共事業関係部分につきましては、これは安本認証といつたようなことの事務になれませんことが、特に教育関係のところでは、ほかのところより多いということを、私ども自覚いたしておりますので、あの決議と同時に、また決議になる以前からのものもございますが、それぞれ私の方の関係の者が地方に出向きまして、特に地方でのそういう関係が遅れないように、ことに公共事業費本省自身で始末いたしますもののほかに、地方に流します関係のものが特に遅れておる、また遅れがちである。その原因が今も言つた認証事務といつたような非常に複雑な事務がよくわかつておらぬことのために、特にその点に注意を要するという意味でとりました次第でございまして、幸い本年度からは、そうした関係が実ははずれて来るようなことになつて来ましたので、むしろその点は、御趣旨に十分沿い得るような形になつて来たと思いまして、喜んでおる次第であります。
  9. 大上司

    大上委員 大体わかつたんですが、それではその次の質問をさせていただきます。  この検査報告書によりますと、予算示達遅延したものというのが百五十三ページにありますが、これを掘り下げてみたら、われわれとして非常に考えなければならない、特に当局におかれましても、特別な感覚を持つていただきたい、こういうふうに考えるのです。この中から見ますと、もちろんこれに答弁書はございますが、予算示達遅延した、これは担当官あるいは行政的な処置においての、万やむを得ぬ理由もあつただろうと思いますが、この事実に基いて受ける影響は、末端機構では非常に大なるものがあると思います。従つてこういうふうなものは将来もう出ないことをわれわれも希望し、また出すべきものでないと存じますが、もしもこういうふうな、この項目にあげられた点が将来あるとすれば、これも非常に考えなければならない。一例を申し上げますと、これは私の聞いた範囲内ですけれども、各省予算大蔵省に提示し、主計局といわゆる折衝するという面においても、幾分のかけひきがあるように聞いているのです。これは事実であるかないかわかりませんが、いわゆる物の評価の基準にしても、あるいは物の買付の値段にしても、相当そういうふうなものがあるように聞いているのです。そういうふうな予算獲得上のいわゆるテクニツクから遅れたのか、あるいはこの面から言いますと、支出の面において非常に緊急やむを得ざるものを、相手方が悪くてこうなつたのか。特にこの項について掘り下げて、いま少し結論的な説明ちようだいしたいと思います。
  10. 相良惟一

    相良政府委員 ただいま御質問の点についてお答えいたします。この例としておあげになりました予算示達遅延したものにつきましては、大蔵省とのかけひき云々とか、そういう関係ではまつたくございませんで、この進学適性検査というものがちようど旧制学校から新制に切りかわりました際に初めて起つたという関係上、従来その例を見ない非常に複雑なものであつたので、現場からの報告等が遅れましたために、当局からの予算示達が遅れたという意味にほかならないのであります。
  11. 大上司

    大上委員 お説のようであろうと思いますが、ただ私のお尋ねしたい点は、この最後に、会計検査院報告において、この経費を、各学校でも同窓会、父兄会等立替支払をさせている状況である、こういうふうに結んでおります。いやしくも学校教育であり、しかもこれは私立学校ならいざ知らず、国家学校行政の面から見て、これはゆゆしき問題ではないだろうか、このように考えます。今も御説明になりましたこの事案の事項については、しごく簡単のようなものでありますが、これは一つ掘り下げてみると、影響するところが非常に大である。従つてこういう事例はもうないことを私は考えておりますが、こういうことが国民的に、あるいは教育行政施行の上に、どのような影響があつたか、これは当局としていろいろな情報その他をキヤツチしておられると思いますので、いま一度これに関係する影響面についてお尋ねいたします。
  12. 相良惟一

    相良政府委員 ただいま御指摘の点につきまして、示達の遅れましたという点については、まつたく申訳のないことでありまして、それにつきまして、現場の方面にも、また外部にも悪影響を与えたということは、否定できないと思います。しかしながら、これは最初進学適性検査実施に伴いまして起つたことでありまして、その後御承知のような事態はまつたくなくなつたということを、申し上げることができると思うのであります。
  13. 大上司

    大上委員 御説明でよくわかつたのですが、この説明書にも、最後のページに、適宜他から一時立替使用するの余儀ない事情にたちいたつた次第であつて、甚だ遺憾とするところである。——なるほどこの遺憾というのは、非常に見受けられるのですが、ここで私たちの指摘したい、また御質問申し上げたい点は、他の行政庁ならば、これはもちろん問題ではありますし、反省もしてもらわねばならぬと思いますが、いわゆる教育部面を担任する、しかもその教育行政という面になると、職場上非常にむずかしいのですが、国民としても別な考え方を持つておる。いわゆるわれわれが既往に受けた教育制度から申しますると、絶対的なものなんだ、このように考えております。このような最初申しました国民感情から見た場合に、非常に影響が多いので、はなはだ遺憾とするところであるということは、この説明書だけでも、当局の意思は十分わかるのですが、さらに当局におかれて、この問題がどのような影響といいますか、波紋を描いたか、その点をお尋ねいたしたいと思います
  14. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申します。本委員会決算委員会でありまして、予算決算とは並び称せられるほど重大な問題でございます。特に会計検査院批難事項のみをもつて中心とするのではありません。国全体の決算経理、これについて十分検討を加えるのが、本委員会の使命であります。どうぞひとつそのつもりで、文部当局実情をよく把握して、委員諸君によくわかるように御説明願われんことを特に希望いたします。それでは相良会計課長
  15. 相良惟一

    相良政府委員 かような予算示達遅延があつたために多くの波紋を生じたということは、さつき申しました通り、非常に申訳ないことと存じますがこれが、最初のことであつたという点で、お許しいただきたいと思います。
  16. 大上司

    大上委員 ではその問題は一応了承いたします。  その次にお尋ねいたしたい点は、同じくこの二十三年度に基いてお尋ねしたいのですが、百五十七ページに、補助金の交付に当り処置当を得ないもの、この項に、やはりこういうふうな会計上の問題が出ております。これについての説明書もあるわけなんですが、特にさいぜんからまだほんとうの論旨に入つていないわけなんでありますけれども、PTAというようなものができ、あるいは教育制度既往とまつたくかわつた。これに要するところの国庫あるいは地方団体負担面から見て、いわゆるその補助金というものは、非常に当てにするというと語弊がありますが、運営上欠くべからざるものと、私は考えます。従つてこれは、特に慎重に扱つていただいてはおるでしようけれども、なぜこのような事例が出たか、その原因をお尋ねいたします。
  17. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいま御指摘の問題は、先ほどちよつと触れました公共事業関係事務が非常にむずかしいということが、一つ原因をなしておりますのと、ただいま御指摘のこの件に関します部分は、ちようど補正予算のときに、予算の成立時期が七月という、会計経理から申しますと中途半端な時期にちようど際会したといつたような関係から、その契約関係が、それを見越して先に進んでおつたというような関係が、これに入つておるのでございます。
  18. 大上司

    大上委員 今の御説明の中で、私特に耳をそばだてた点は、予算関係で、工事が先に進んでおるという一言がございました。これは私からさらにお尋ねするのですが、国の予算執行という面から見て、いわゆる見越生産と申しますか、あるいは見越契約というのですか、これは理論的にはあり得ないのですが、実際上今のお言葉で、あつたのだろうと思います。そうすればそれに該当したものが、いわゆるあなたの方の所管事項において、大体大づかみに——今御記憶ないかとも思いますが、どれだけの件数でどれだけの金額、いわゆるアイドルができたかということをお尋ねいたします。
  19. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいま私が工事関係仕事が先に進んでおると申しましたことは、予算執行よりも先に仕事の方が進んでおるという意味ではまつたくございませんで、この六・三制の関係につきましては、ほかの工事関係と違いまして、いつでも遅れるので、非常に困つておるのでございます。工事の方が先に行くという意味ではなくて、工事関係仕事たとえばそこで土地を買うという仕事が先に進まなければなりません。ところがこの工事関係の場合では、土地関係の金が出ておらぬのであります。またそれに引続いて整地費の問題が起つて参ります。そうした関係が、地方の一番末端に行つてしまいますと、その金が、金としては工事費土地関係買収費も、みんな一緒に一律に扱われてしまうといつたような関係のことが、えて起りがちでございます。そうしたことが先行して、たまたま年度から申しますと中途半端の七月といつたような時期に、予算が成立して行く、そうしたことから、そうした混乱がこういう場合に出て来ておるという事情であります。御指摘のような意味で、工事が先に進んでおる分がどれだけあるかということは、六・三制のこの関係につきましては、むしろ非常に遅れて、私ども迷惑しておるのであります。安本関係監査や何かでも、ほかの監査よりもむしろ遅れるということで批難をされておるような実情であります。そのために工事が先へ行くというようなことは起つておりません。
  20. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 各位に申し上げまするが、本日は文部省より、大学学術局長稻田清助君、初等中等局長辻田君、管理局長久保田君、こういうふうに首脳部も全部そろつておりまするから、御遠慮なく質問をしてください。
  21. 大上司

    大上委員 ただいまの御説明に、決してひつかかるのではないのですから、その点御了解していただきたいのですが、この六・三制の点について、整地費その他土地買収費等について云々ということがございましたが、当局といたしまして、すなわち命令といいますか、行政を運営なさるあなたの方といたしまして、整地あるいは土地買収等について、行政権の及ぶ範囲と、及ばない範囲とが当然出て来るわけです。たとえば、市町村の吏員に対して皆さん方の有しておられる行政権というものは、おのずから区別されて参ります。だから、行政権が及ばないから、このような問題ができたのか、そうでなくて単なる事務上の遅延と申しますか、そういうものから基因したのか、いわゆる六・三・三制という画期的な新しい転換期というものに基いてしたのか、この三点をお尋ねします。特に行政権範囲が及ばないからこういう問題が起きたということになれば、それは該当事項があれば、もう少し具体的に説明ちようだいしたいと思います。
  22. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいま御指摘の三点のうちで、こういう事例が起りますそもそもの原因は、認証事務に対するふなれということで尽きると存ずるわけであります。
  23. 大上司

    大上委員 大体了承しました。  その次にお尋ねいたします。これは昭和二十三年度に起きた事例ですから、当然その後相当といいますか、格段の進歩をしているということは認めまするが、同じくこの報告書の百五十九ページに、会計経理がはなはだしくみだれているもの、こういう見出しが出ております。われわれがこの内容を拝見しておりますると。これはいろいろ問題があるのですが、今言つたように、これが単なる会計事務というか、あるいはさいぜん会計課長さんから御報告もありましたが、初めてであつたとかいうような問題も、中には潜在的にあると私は思うのですが、各省を見ておりますと、この題目といいますか、会計経理がはなはだしく乱れているという題目は、あまり見当らないのですが、なぜ文部省にだけこういうふうな方向に立ち至つたのか、その原因、並びにこれに対するこれが除却といいますか、こういう事例の起らないような方途をとつておられますか、その方途と、二点お尋ねいたします。
  24. 相良惟一

    相良政府委員 この統計数理研究所におきまして、会計経理がはなはだしく乱れていたということでございまするが、この統計数理研究所は、当時終戦後間近に適当な事務所が見つかりませんで、数箇所に分散してあつたというような状態も、その一つ原因でございましたし、なお所長が、九大教授本務所長は兼務であつて監督者がたびたび任地を離れがちであつたということ及び直接会計経理面を担当しておりますところの係官が、非常にふなれな者であつたということ、かような多くの原因が錯綜いたしまして、かような申訳ない事態が生じたわけでございます。その後は統計数理研究所のみならず、他の文部省直轄研究所でも、かような事例はほとんどないということを申し上げることができようと思います。
  25. 大上司

    大上委員 大体これもわかつたようでわからぬのです。それではただいまのお答えに対しまして、さらにお尋ねいたしますが、この統計数理研究所所長さんが九大教授であつた。これは予算の面から適当な人がなかつたから、この所長といいますか、常勤でない者をお選びになつたのか、さもなくて、この統計数理研究所所長という仕事を遂行するについて、予算はあつたけれども、この九大教授をお選びになつたのか、この二点をお尋ねいたします。  その次に、ふなれという言葉ちよちよい見受けられるのですが、いやしくも国のいわゆる歳入歳出を扱つておられる皆様が、このふなれのためという言葉をもつて説明に充てるということは、われわれは非常に了承しがたいことであります。これは既往のことでございまするが、われわれ特に冒頭から他の省と違つて特別な感覚を持つておるということは二度、三度繰返しおる。それがふなれふなれということは、いわゆる会計を扱つておる人の選任か法が誤つたのか、あるいはこれがいわゆる行政的な間違いであつたのか、この点についてもお尋ねしたいと思います。都合二点、いわゆる第一に人がなかつたのか、予算で非常に削減せられたのか、あるいはふなれな人をそこまでも検査せずに押しつけておるということは了解に苦しむから、そのふなれという人の選考理由なり、あるいはこれが処置というものについてお尋ねします。
  26. 相良惟一

    相良政府委員 第一の点につきましては、たまたま当時の所長が、この研究所性格にかんがみまし、最も適任者であつた、しかしながら本務九州教授を離れることができなかつたというような理由で、予算その他の関係はございません。  それから事務員がふなれであつたという点につきましては、事務員選任につきましては、まつた手落ちがあつたというわけでございます。
  27. 大上司

    大上委員 もう一点お尋ねします。今申しました事務員のふなれという言葉が出ておりますが、これは簡単なようでわれわれ国民の代表として了解に苦しむのです。手落ちがあつたといつて、どのような手落ちがあつたのか、これは選任なさつた方の公務員として受くべきところの国家の制裁と申しますか、反省してもらわなければならぬ処置があつたのですか。既往において取扱われたところの具体的な処置方法についてお尋ねいたします。
  28. 相良惟一

    相良政府委員 第一の点につきましては、まつたくかような事態を生じましたことは、所長以下監督不行届きという理由に基くのでございますので、所長を解きまして、九州教授にもどしたわけでございます。別に専任の所長をその後任命いたしました。なおかような不届きな事態を生じました当時の所長のもとにおりますところの係官も、戒告であるとか、あるいは注意というような処分をいたしました。
  29. 大上司

    大上委員 これは簡単なようで、私は大きく見ておるのです。なるほどこういう事態が発生してから所長も解任した。従つてこれは予算に縛られてないという点から見ると、この所長を御選任をなさつたそれ自体において、そもそも皆さん方行政権執行の面に過誤があつたのじやなかろうか。いま一つ直接の責任者についての御処分は、よくわかるのですが、どうもその辺が、役所の仕事についてはしかたがなかつた、あるいは遺憾であるというような言葉が多いのですが、これに対して、今度はある程度御相談という形を持つて参りまして、いかがしたらこういうふうな事態が発生せぬであろうかということを、特に一ぺんお尋ねしてみます。
  30. 相良惟一

    相良政府委員 かような事態が二度と生じないためには、その事に当る人の選任が大事だと考えております。すなわち部局長であるとか、あるいは所長にその人を得るということが肝要であると思つております。
  31. 大上司

    大上委員 他の委員からも質問があるそうでございますから、特に質問を留保させていただきまして、次の機会に計数に基いて質問をしたいと思いますので、特に留保申請をしておきます。
  32. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは畠山重勇君。
  33. 畠山重勇

    畠山(重)委員 百五十二ページの四四八、病院収入の徴収に当り処置当を得ないもの——この大学病院の徴収決定未済になつておる理由等を、ひとつ説明を伺わせてもらいたいと思います。
  34. 相良惟一

    相良政府委員 お手元にある弁明書にも書いてございますように、かような事態が生じましたのは、主として共済組合であるとか、号の他組合からの納入が非常に遅れたということに基くものであります。
  35. 畠山重勇

    畠山(重)委員 御説明の共済組合だけの収入未済でございますか、それともまた個人の患者の収入未済等もあられるかどうか。
  36. 相良惟一

    相良政府委員 ほとんど組合関係でございまして、個人の分は非常にわずかでございます。
  37. 畠山重勇

    畠山(重)委員 保険組合とかいつたのもございますか。
  38. 相良惟一

    相良政府委員 その通りでございまして、健康保険組合からの納入金も、未済の分があります。
  39. 畠山重勇

    畠山(重)委員 そうすると、この大学の収入全体から見て、収入未済になつているパーセントは、総額と対比してどんなものでありますか。
  40. 相良惟一

    相良政府委員 どのくらいのパーセンテージを占めておりますか、ただいまここにちよつと資料を持ち合せておりませんので、いずれ別の機会にお答えいたしたいと思います。
  41. 畠山重勇

    畠山(重)委員 現在持つておられなければ、次会に提出を願いたいと思います。  なお各大学が扱つておるただいまの御説明の健康保険、共済組合、一般患者等の比率なども、この際伺いたいと思います。
  42. 相良惟一

    相良政府委員 いずれ一括をいたしてお答え申し上げたいと思います。
  43. 畠山重勇

    畠山(重)委員 この各大学付属病院には、現在やはり施療患者といつたような面が、国策として相当扱われておられるかどうか、そうした面は昨今あまりないものかどうか。
  44. 相良惟一

    相良政府委員 現在学用患者という名目で、料金を徴収しない患者がございます。しかしながら、健康保険組合であるとか、あるいは官公吏の共済組合であるとか、さような社会保障制度が相当発達しておりますので、そのような施療制度というものは、それほど今のところはきわだつてございません。
  45. 田中不破三

    田中(不)委員 この決算報告の問題から離れまして、二、三点お伺いしたいのですが、去年でしたか一昨年でしたかに、公共団体、地方自治団体の教職員の給料に対する予算の立て方がかわりまして、今度は平衡交付金の中から出て行くようになりました。あの当時さなきだに地方の教職員は、比較的給料が低いように思われた。それが今度平衡交付金として、ほかの経費と一緒に県に渡されるということになる、あるいはその前に平衡交付金をおおよその項目で見当をつけるときにおのずから教育費の予算といいまするか、補助といいまするか、これがしわ寄せられて、自然に額が落されて来はしないか。平衡交付金が、せつぱ詰まつたほかの経費に充当されて、従つて今まで予算単価でもつて中央から配賦しておられた地方公共団体の教職員の給料の補助額というものが、いためられる傾向にありはしないかということを非常に心配をしまして、平衡交付金の中でも、教育費については、つとめてその線を維持して、ほかの経費から侵蝕をされないようにということを、文部当局にもお願い申したことがありまするし、今でもその懸念は持つているのでありまするが、今度の新しい制度になりましてから、そういう心配は全然ないのかあるのか、その後の経緯、実際の模様等についてお伺いをいたしたいのであります。
  46. 辻田力

    辻田政府委員 お答え申し上げます。昭和二十四年度までは、義務教育費の問題につきましては、義務教育費国庫負担法がありましてそれによつて教員給与の半額を国から直接補助するという形になつておりましたが、昭和二十五年度になりましてから、平衡交付金ができまして、このために義務教育費の国庫負担関係はなくなつたわけでございます。従つて教員の給与の全部、平衡交付金法によりまして、地方財政需要額の中に算定されるということになつておるわけであります。そのために、平衡交付金の性質からいいまして、ひもつきはないわけでございますので、算入はされておりますが、一般の財源として地方でこれを処理するという形になつております。従つて場所によりましては、その点必ずしも適正に行われていないといううらみが多分にあります。私どもといたしましては、ただいま御質問にございましたように、この点非常に心配いたしておりまして、学校教育振興のために、適当な方法で教育財政の確立をはかりたいという心をもつて研究いたしております。今後とも、この点についてはいろいろ努力を注ぎたいと思つております。
  47. 田中不破三

    田中(不)委員 私の方も、なかなかひまがありませんものですから、実情をつぶさに調べることができなかつたのでございまするが、文部省の方におかれて二、三の例を実際にお調べになつて、こういうふうな結果が現われているという資料が、もうでき上つておりますかどうか、お伺いしたいのであります。
  48. 辻田力

    辻田政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、この新しい制度は、本年度から開始されまして、しかも本年度の平衡交付金の決定も、つい最近本決定を見たような次第でありますので、その施行に伴う弊害が、どのくらい現われておるかということは、的確な資料がありません。われわれといたしましては、前の平衡交付金の仮決定の場合に、どういうふうな結果が起るだろうということを予想いたしまして、いろいろ調べましたが、そういう場合は、必要以上に多く配賦される場所があつたり、また必要な経費が得られないというような場所があつたりいたしまして、非常に不都合を感じておつたのであります。それで地方財政委員会の方にわれわれの意見を申し上げまして、それを適当に訂正してもらい、今回の本決定におきましては、その点は、計算の上ではある程度是正されまして、実情に合うようになつて来ておるわけであります。しかし、これも計算の上でございまして、実際問題といたしまして、どういう結果が起るかということは、今後も十分注意して参りたいと思う次第であります。
  49. 田中不破三

    田中(不)委員 劈頭にも申し上げました通りに、教育のことはまことに大事であり、その先生方の給料は、十分考慮しなくてはならないのでありますが、勢い地方公共団体としましては、ごく差迫つた経費の方に、おのずから頭が向きがちであります。従つて十分承知しておりながらも、おのずから教育費がそちらの方にまわつて行くというのでは、日本の将来のためにも、おもしろくないことであります。新しい制度も始まつたばかりでありますので、まだ十分の御調査も行き届いていないかと思いますけれども、われわれとしましても、その点は非常に心配しておりますし、文部当局も御同様だと思います。今度の新制度の運用にあたつて、非常に不都合を来す点はないか、ぜひ十分御調査を願つて、われわれの方に知らせていただきたいと思います。  次にお伺いいたしますことは、すでに新聞紙上でも、教職員の給料が他と比較して低い、ことに大学教授の悲惨な家庭生活などが、例にあげられておつたようでありますし、また放送討論会においても、特に大学教授の方の家庭生活についての放送もあつたようであります。そういうふうに、大学教授から初等、中等の教職員までの給料が、他と比べまして比較的低いと思われるような節があるのであります。またそれぞれ専門の教授などにいたしましても、研究費というものも非常に少い、あるいは特別講座の講座費は、幾分は今度の予算でも増されたようでありますが、全体的に見て低いようであります。この点について、実際に決算に現われたと言うと固苦しくなりますが、文部当局でそれぞれ実情を見られて、他の部門の職員なり、あるいは銀行会社の方々と比べて、どういうふうにお考えになつておりますか、それをお伺いしたいと思います。
  50. 稻田清助

    ○稻田政府委員 大学教員のみならず一般の教員につきましてのお尋ねでございますが、便宜私からお答え申し上げたいと存じます。  ただいまのお話のように、今日の国家公務員たる教職員及び地方公務員たる教職員、いずれも決して余裕のある生活をいたしていないのでございます。これは一般の国家公務員及び地方公務員全体に通じての問題とも考えられるのでありますが、ただ他の地方公務員、あるいは国家公務員に比較いたしまして、教職員が悪いという事実はないと考えております。しかしながら、その性質上、研究もありまするし、いろいろな勉学もしなければならぬというような点につきまして、非常にきゆうくつである、こういうような点から考えまして、ただいまお言葉にもありましたように、明年度におきましては、さしあたり国立大学の研究費を約十億ばかり増しております。大学院を有する大学におきましては、本年度の二倍、その他につきましては一・五倍、あるいは専門学校にも、切りかえ等によりまして、相当前年度よりふえるというふうにいたしております。さらにまた図書購入費といたしましても、一億ばかりの費用を盛りますとか、さしあたりわれわれとしましては、研究の便宜の費用をまず第一に研究する。またさらに給与の問題につきましては、一般の公務員と異なる給与表等も、できればつくりたいと考えておりまして、文部省と人事院の間において目下研究中でございます。お言葉の御趣旨のようにこの点につきましては、ますます努力いたしたいと考えております。
  51. 田中不破三

    田中(不)委員 それに関してちよつとお伺いしたいのでございまするが、学術の研究、あるいは科学の研究といいまするか、そういうふうな便利のために、先生方ができるだけ学校の近くにおられる、あるいは研究所の近くにおられるということも便利であろうと思われまするし、そういうふうな名義上からも、先生方の住宅難といいまするか、そういうことも解決する方法があるようにも考えられるのでありまするが、そういう点で、先生方に対するそういう面からでも幾分の、何といいますか生活を整えて上げるという点について、どういうふうにお考えになつておりましようか。過般も、実際に先生方のおられるお家というものを拝見しましても、まことにささやかなお家におられる方もあるようであります。そういうふうな研究上の便宜という点からも、住宅の方面だけでもひとつ心配をしてあげるというふうなことについて、どういうふうに考えておられるでありましようか。
  52. 稻田清助

    ○稻田政府委員 お話のように、これは非常に重要な問題でございまして、国の予算におきましても、一般の公務員住宅建設の費用のうちから、幾分かこの面にまわしております。ことに御承知のように各地方におきまする新制大学は、優秀な教授を招致いたしますことが非常に大事な問題で、従つて住宅問題ということが、第一に念頭に浮ぶ問題でありますので、地方の方々においても、非常に新制大学を守り立てようという御熱意が現われまして、特にこうした教員住宅等につきましては、地方費でもつて相当御建設を願つております。われわれといたしましても、ますますこの点については、今後努力いたしたいと考えております。
  53. 田中不破三

    田中(不)委員 次に、今の科学技術の振興の点でありまするけれども、これもまた非常に大事なことでございます。これは外国の例などに比べてみましても、日本などは非常に低いように思われます。その点当局においては、海外の例などと比べられて、海外はこういうふうなんだ、日本ではこういうふうに少いんだというふうな資料をお持ちでございましたら、御説明を願いたいと思います。
  54. 稻田清助

    ○稻田政府委員 海外の大学における研究費と、日本の大学における研究費というような点についての、ただいまの御質問ちようど応じまするような調査は、あるいは整えかねるかと思つておりますけれども、とにかくその点につきましては、非常に隔絶した点はあろうかと思つております。ことに国内におきましても、過去と現在と比較いたしましても、過去におきましては相当物件費、すなわち研究費に経費がまわつておりましたが、その後はだんだん食われて参りまして、ほとんど大部分が人件費であり、一部分が実験費であるというような現状にかわつてつたので、少くとも日本における過去のそうした割合まで回復しなければならぬというような点について、研究いたしまして、それらについての資料は、お目にかけられるものがあると思います。
  55. 田中不破三

    田中(不)委員 なにせ日本の財政は貧弱でありますから、なかなか思うように行くわけのものでもありませんけれども、先進国のそういうふうな費用の出しぶりなどを、その関係者が認識しておりますれば、おのずからその目標に向つての努力も、また張合いがあるのでありましようから、その資料なり、その他の関係のいい材料がございましたら、いつか皆様に配付していただきたいと思うのであります。  次に、天然記念物でございまするが、これも文部省の方で御心配になつておるようでありまするが、これも日本の天然記念物に対する国家的の補助といいますか、めんどうの見方が非常に少いようで、これも先進国の——何もかにも先進国の例になりまするが、先進国と比べますると、たいへん日本の大事な天然記念物に対する補助、あるいは国家的のめんどうを見る点が、欠けておるようでございます。この点について、どういうふうに考えておられましようか、お伺いいたします。
  56. 稻田清助

    ○稻田政府委員 御承知のように、お話の点につきましては、今日以後のわが国におきまして、非常に力を入れなければならぬ、という国会の御意思も反映いたしまして、昨年半ばより文化財保護委員会を設け、また文化財保護法もできまして、それに関しまする予算も相当増額いたしましたので、お話の御趣旨のように、今後は充実して参ることと思います。
  57. 田中不破三

    田中(不)委員 去年の予算額は、およそどれくらいの見当になつておりまして、それに対してそれの対象になりまする件数がおよそどれくらい、そうして漏れておるものがどれくらいというふうな数字をお持ち合せでございましようか。
  58. 相良惟一

    相良政府委員 ただいまの御質問は、文化財保護に関しまする経費でございますか。
  59. 田中不破三

    田中(不)委員 そうです。それから天然記念物の補助があります。
  60. 相良惟一

    相良政府委員 総額で申し上げることをお許しいただきますならば、ただいま御質問の天然記念物、これらを広く文化財と申しておりますが、今二十五年度におきましては三億四千九百万円でございますが、二十六年度の要求額は四億三千五百万円で、約八千万円ばかり増額になつております。
  61. 田中不破三

    田中(不)委員 その対象になりまする件数はどれくらいなものでございましようか。——今資料がなければあとでもけつこうです。
  62. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 なければ、畠山君のと御一緒に、あとからお出し願います。
  63. 田中不破三

    田中(不)委員 いずれにしましても、古美術その他の大事なものは、もとよりでありまするが、天然自然にありまする記念物、これは植物にしましてもあるいはその他のものにしましても、やはり古美術と同じように、またと得がたい、しかも日本の土についておるものでありまして、これが絶えてしまいますると、それでなくなるというしろものでありますので、これまた古美術などと同じように十分に保護をして行かなければならないものだと思いますが、古美術の方は、建物なりあるいは都会なり、ある一箇所に集中されがちであります関係上、自然に目にもつきやすい、人の口の端にも乗りやすいというので、おのずからそちらの方には目を向けがちになりますけれども、日本の北海道から九州の端にありまする天然記念物については、おのずからおろそかになりがちであります。もとよりこれに対しまする補助額といいますか、これはそう潤沢な予算があるわけでもありませんが、特にそういうふうに人目につかないところに、非常に貴重な天然記念物があるということを十分に御認識をいただいて、また十分御調査をいただいて、この天然記念物がなくならないように保護をして行くように、十分の御注意を願いたいと存ずるのでございます。
  64. 相良惟一

    相良政府委員 ただいまの御意見まことにごもつともでございまして、二十六年度予算におきましても、史跡名勝天然記念物保存のため、約六百万円ばかりの経費を計上しておりますし、また人目につかないさような史跡、名勝天然記念物の調査のための経費を計上いたしてございます。
  65. 田中不破三

    田中(不)委員 質問を終ります。
  66. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 畠山君。
  67. 畠山重勇

    畠山(重)委員 大学局長のおいでの機会に、先般京都大学の燃料化学部ですか、焼失になつたようですが、その後の復旧の状態、また得がたいいろいろな研究資料等が失われたことだと思いますが、復興に関する文部省のお考え等を伺い、また学習に何らさしつかえない状態に相なつておるかどうか、この際伺いたいと思います。
  68. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいま御質問の京都の燃料化学研究所の建物は、幸い鉄筋ではありませんが、れんがづくりで、床は鉄筋のような建物でございましたので、ある程度の補修を応急にいたしますれば、授業関係だけは、とりあえずさしさわりなく行えるような形になつておるわけであります。中の資料のようなものにつきましては、何しろ焼けておりますので、それぞれ不自由はいたしておると思いますが、その関係のものにつきましては、今ここで申し上げるほど、正確な資料を持つておらぬのでございます。
  69. 畠山重勇

    畠山(重)委員 建物はむろんのことですけれども、研究材料等の施設が相当被害を受けたように伺い、学校教授のあらゆる資料を失つたように伺つたので、今後の研究等に支障があるかないか。支障があるとすれば、補充面がどうなるかということを伺いたいと思います。
  70. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいま久保田管理局長の御説明いたしましたように、焼けましたのは二階でございまして、お話の研究資料は、その一室にあつたわけでございます。ただこれは、研究歴史上というか何といいますか、研究上非常に業績のありました方にゆかりのあるものとしては、非常に貴重な資料でございますけれども、すぐさしあたり研究教授に使用いたしまするというような資料の書物ではなかつたのでございます。しかしながら、われわれとたいしましては、何とかこの機会にそうした燃料研究に関しまする書物も集めたいと考えておりまして、これはまだ未定のことでございまするけれども、旧陸軍関係研究所で保管いたしておりました資料を、二、三の大学の中に分配いたしまする計画が今ございますので、それとも関連いたしまして、あるいはその研究室に必要な資料がおりますれば、配付いたしたいと考えております。
  71. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員諸君に申し上げます。昨日は大蔵省より河野主計局長が参りまして、この決算面に関しまする今までの態度でどうか、今後の改良問題あるいは対策等についての詳細な御意見の開陳があつたわけでありまして、本委員会は、予算と同様に、国の趨勢を見る重大な役割を演ずるのでございまするから、国内財政経済全般にわたりまして、質疑を許しておるわけであります。文部省所管につきましては、今大学学術局初等中等教育局長管理局長、官房会計課長、全部駒がそろつておりまするから、十分に御質問を願いたいと思います。  それでは委員長から四、五点この席より質疑をさせていただきます。初等中等教育局長がおられまするが、今三月一日で、入学者の考査が始まつておるわけであります。場合によりましては、二月中に父兄の考査があつたり、また身体検査があつたり、三月一日もしくは二日に入学試験があるように考えておりまするが、これにつきまして、どういうふうに監督しておられますか。たとえば私立学校等においては、相当数の中等学校において二倍、三倍、四倍というような入学率もあるかと思えば、また定員に満たないところもある。こういうことを見ておるのでありまするが、現段階におきまして、初等中等教育局長は、どういうふうな監督をしておられるか。また新制中学等の比例を考えまして、今後は私立中学もしくはそういうような中等学校に重きを置くようになりまするか、また官立の中等学校もしくは新制中等学校等についてはどういう修正を持つておりまするか、この際本委員会に明瞭に発表せられんことを望みます。
  72. 辻田力

    辻田政府委員 入学者の選抜についての御質問でありますが、申すまでもなく、中学校までは、公立につきましては一応義務教育でございますので、今年は入学試験というものはございません。ただ私立の場合あるいは国立の場合に入学者選抜の問題があるわけであります。特に入学者の選抜につきまして問題にないておりますのは、高等学校の場合だと存ずるのでございますが、高等学校の問題につきまして、文部省の方針といたしましては、新教育制度が実施されまして以来、この新しい教育の方針、制度に基きまして、入学者の選抜にも慎重な考慮を払つてつておるのでございまして、できるだけ希望者を多く収容するように努力をいたしております。しかし現在の段階におきましては、まだ全部の希望者を学校に収容することができるだけの収容能力がないために、やむを得ず入学者の選抜ということを行つております。昭和二十三年度から、公立の高等学校自身におきましては、選抜のためのいかなる検査も行わない、ただ中学校からの報告書に基いて選抜するという方針をとつております。すなわち各都道府県ごとに、高等学校の入学受験者全体に対しまして、一齊に学力検査——普通アチーブメント・テストといわれておりますが、この学力検査を行いまして、その結果と、それから平素の学習の成績と身体の状況を記入いたしました報告書を出身の中学校から高等学校に提出いたしまして、それによりまして入学者を決定するというふうにいたしておる次第であります。  なお、ただいま監督をどうしておるかというお話でありますが、この方針のもとに、文部省といたしましては、各県の教育委員会にこの方法をお示しいたしまして、これを参考にしてもらつておるわけでございますが、それぞれの学校自体に対する監督につきましては、公立の場合には府県の教育委員会、私立の場合におきましては県知事の方で監督いたしておる次第でございます。
  73. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ちよつともう少しつつ込んで申しますが、私立学校—中等部あるいは普通部というふうになりましようが、そういうものについては、学校にまかせておられて、文部省はわれ関せず焉でありますか、多少の監督をしておりますか。たとえば、入学考査等についてはメンタルテストをやるとか、筆記試験をやるというようなことがありますか、ないですか。どういうふうに監督しておりますか。
  74. 辻田力

    辻田政府委員 お答え申し上げます。ただいま申しましたのは高等学校についての問題でございますが、この私立の高等学校につきましては、大体ただいま申しましたような方針に準じてやつていただくように話してございます。私立の中学校につきましては、これも特別のいわゆる入学試験というようなことは、これを避けるようにしてもらつて、できるだけ学校からの内申を重視するというふうに勧奨いたしておるわけでございます。
  75. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それではあまりしつこくなりますから申しませんが、これはその学校の自治にまかせておいて、かつてに試験しておる。教育の方針は、大要は示しますけれども、試験の内容等についてはタツチしない、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  76. 辻田力

    辻田政府委員 文部省といたしましては、先ほど申しますように、いわゆる学科の入学試験というものは、これは、昔のわれわれが受けましたような、いわゆる筆記試験的な入学試験はやらないという方針をかたく堅持しておりまして、その方針に準じてやつていただくようにお願いしておるわけでございます。しかし、個々の具体的な問題につきましては、各学校である程度自治的にやつておると思います。
  77. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次にお伺いしますが、学校には大学等でも同じであろうと思いますが、校債等がしばしば発行されている場合があるのであります。これにつきまして、管理局長は監督しておりますか、おらないか。かつてに校債を発行して、将来は寄付ということに相なるかとも思うのですが、校債をどういうふうに監督しておりますか、お伺いいたします。
  78. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいま御指摘の校債の問題は、おそらく私立学校に関してのみ考えられることだと思います。これは私立学校法そのものからの監督権は、文部省は持つておりませんが、財団法人が今度三月十五日から学校法人に切りかわるわけでございますが、学校法人の寄付行為の中に、債務を起すような場合には、その所管庁の承認を要するという形をとつておりまして、その部分で事実を承知する。またそのときに、この関係の分なら一応承認ができる、この分は承認できぬといつた事実が押えられるわけであります。ただいま私どものところで承知しておりますのは、財団というほど大きな数を存じておりませんが、個々の単位学校の分は、小中学校関係の分は府県単位の構成になつておりますので、私どもの承知しております部分では、ごく少数に限られております。その少数の実例から私が知つておるところを申し上ますれば、たまたま県の持つております学校の財産とその年度経理関係がどうあるか。その起債の年次計画なり支払い計画がどうあるかといつたことから、この程度のものであれば、大体弁済能力も十分だということになれば、認定できるものに限り承認を与えるということになつております。いろいろ御懸念をお漏らしのようでございましたけれども、ただいま私どもが承認を与えております限度の分につきましては、そうした問題をあまか引起さずに行ける、と申しますのは、主として臨時費的なものなのでございます。私どもがごく内容を知つておりますもので申しますと、校舎を建てるについて、それがたまたま抵当に入つておる。それの肩がわりというような形のもので、御案内かと思いますが、文部省から特に戦災関係のものについては、そういうものを買いとる場合でも建てる場合でも、修繕する場合でも、ある程度の金が補助できるようになつておりますから、それらと回転できるような含みを持つてやりますような校債関係を、主にして承認を与えておりますような実情でございます。
  79. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一つ、これに関連して申し上げますが、各大学等についての校債その他に対する借財、財産目録というようなものは、大学局長もしくは管理局長は持つておるのですか、持つておらぬのですか。どのくらいの財産があるかないか、債務があるかないか。先ほど田中委員の御質疑のあつた資料とともに、お差出し願いたいと思いますがいかがですか。
  80. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ちようどこの三月十五日に切りかえになつておりますので、その資料は厳格に押えて行けると思いますが、ただ非常に厖大なものでございますので、校債に関係のありますものについてだけでよろしゆうございますか。——ではそのように差出します。
  81. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申し上げますが、今管理局長が申しました通り、従来校債とか借金のあるものについては、一応どのくらいあるか、借金しているものについても参考にしたいと思います。なるべく経営の困難にならないようにしたいというのが、私の念願であります。  次に私立学校につきましては、相当経営が困難であるということを、常に思つておるのであります。もちろんそれを構成している財団が負担することになるものと思いますが、国家といたしましては、これにつきまして補助をいたす考えがあるかないか、御用意がありますか、どうかそれを伺いたいと思います。
  82. 久保田藤麿

    久保田政府委員 私立学校は、戦災によります校舎の損失といつたようなことからも、また経済関係の変動のためからも、たいへんな打撃を受けておりまして、経営困難はまことに御指摘の通りであります。そこで戦災直後から、戦災の復旧を助けるための貸付金と、一方に授業料の値上げ、寄附を仰ぐといつたようなことから、いろいろの意味の財政関係を経常的にも進めて来ております部分について、経営費の貸付をやるといつたようなことで、漸次進んで来ておつたのでございます。たまたまこの二十六年度からの予算関係につきましては、それらのものをある程度一括してまかない得るように——これは第五国会からの懸案になつておりまして、このための金融機関をつくれ、またつくつてほしいといつたような形に進んで来ておりましたので、ぜひ私立学校金庫——これは仮称でございますが、そうしたようなものでもつくりたいといつたようなことで、十億円というわくをいただいて、それの運営によつて私立学校のそうした戦災の貸付なり経営費の不足部分の補いなり、そうした関係のことにお手伝いするようにという仕組みに実はなつて来ておつたのでございます。たまたまこの仕事関係方面の承認を最後に受けるといつたようなところに来まして、事務そのものについては別に障害を受けておりませんが、その使い方といつたようなことについて、いまだ懸案になつている部分か残つております。それで今明瞭に申し上げ得ることは、戦災関係の貸付金を、ほぼ完了する時期まで追い込めるということ、いま一つは、福井に限定されておりますが、あのときに地震と水害とが一緒に参りましたごくわずかの学校ですが、たいへんな損害をこうむつております、これを救い上げること、先ほど申し述べました関西の風水害の場合における災害関係を救うことといつたようなことが、確定いたしております。なおこれを経常的な部分にどういうふうに持つて行くかといつたようなことで、関係方面の了解が明確にできておりませんので、今後どういうふうにきめようということで、目下折衝中でございます。ただいま本年度の十億と申しましたのは、先ほど申したように金庫にからんだものでございますけれども、少くとも私立学校法を昨年の国会で通していただいて、私立学校に対する国民の考えといつたようなものがはつきりいたしまして、私立学校に対してはそういう規定の援助ができるように、また援助をして行くようにという部面のことが明確に出ておりますので、その趣旨従つて、ぜひとも金庫の関係なり、とにかく財政的な援助で、私立学校の経営関係が安定いたしますまで、徐々に経営して行きたいものだというわけで、極力努力しておるわけでございます。
  83. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ちよつと専門が違うかもしれませんが、実は公立学校等につきましては、長年勤めておりますと、恩給というものがあるはずでありまして、私立学校にもそれを準用してもらいたいという陳情を受けたことがあると思いますが、そういうものについては、どういうふうに考えておりますか。これは全然別個に考えておりますか承りたいと思います。
  84. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいま御指摘の恩給関係の問題は、非常に古くから、関係者にはたいへんな問題であつたわけでございまして、文部省がずつと引続いて私立学校の恩給財団というものが別にできておるわけでありますが、それに事務費を払うというふうな意味で、二百万円の補助がずつと計上されて来ております。本年度も先ほど申した十億のわくの外に、そのものが存続いたしております。この問題も昨年から私ども熱心にこれを手がけまして、私立学校の職員の共済組合といつた形で、その要求に応じた線を出そう、またそれが一番この際適当であろうということで、共済組合の線で実は予算関係も進んで来ておつたわけであります。ただ先ほど申しました十億との関係で、とりあえず共済組合という形を一応つくり、そのための事業費を、二百万円ほど予算的にも組んでおりますが、いましばらくその計画を見て、これを進めて行きたいというふうに考えております。
  85. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これに関連いたしまして、文部省は常に各官立大学でありますとか、その他の直轄学校会計検査、あるいは経営報告等を、受けられておるはずであると思いますし、やはり私立学校についても、同様なことを厳格にやつておられると思いますが、これは会計課長ですか、あるいは久保田管理局長ですか、いずれでもよろしゆうございますが、どういうふうに監査をいたしておるかということを御説明願いたい。
  86. 久保田藤麿

    久保田政府委員 昨年私立学校法ができまするまでは、文部省がいわゆる会計監査意味で、私立学校に立ち入る形になつてつたのでありますが、私立学校法ができましてからは、国が助成します関係の分にだけ会計上の監査ができる。監査と申しますと、言葉がまずいかもしれませんが、その報告を受けるというような方針にかわつております。ただ一面先ほど申しましたように、財団法人が三月十五日から学校法人にかわりますので、法人の監督という面から、ある程度監査ができるのでございまして、これは事実上学校に立ち入つて監査をするという方式ではなくて、予算が不適当である場合にこれをかえて行くとか、特定の支出をする場合においては官庁の承認を得なければならないというような形で、監査をして行く仕組みになつております。私立学校側の方も、私立学校法ができますときの態度として、できるだけ自主自立といつた建前から、お互いの間でそうした関係を明確にして行きたい、またそうしたことが私立学校のあり方として正しいというようなことから、それぞれ単一の学校が、大学で申せば私立大学協会、高等・中学校の協会というようなグループを、それぞれつくつておりまして、それのまた総合体として私立学校連合会というようなものがございますが、そういつた面から、自治的にそういつた部面についてお互いが励まし合つて行くという意味合いの監査といつたような仕事をやつていただいておるのであります。直轄学校に対してやりますような意味監査をするという建前はとつておらないのであります。
  87. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それから、次に伺いますが、中等教科書等については、検定教科書というものがあつたのですが、これは将来とも続行して参りますか、それともこれは中等教科書発行株式会社というようなものにのみ扱わせますか。今後の方針はどういうふうに考えておりますか、初等中等教育局長辻田君からお話を承りたいと思います。
  88. 辻田力

    辻田政府委員 従来は教科書を、特に小学校の教科書については、これは国定主義でやつでおりましたけれども、終戦後これを全部にわたりまして、検定主義と申しますか、検定教科書を使うということになりました。中学校におきましてもさようでございまして、適当な案を具しまして、それを文部省の方に申請いたしますと、文部省の方におきましてそれを審査いたしまして、適当だと思うものに対して検定を与え、その検定された教科書を今度は展示いたしまして、その展示によりまして、それぞれの学校の先生方がこれを見まして、この教科書を使いたいということがきまるのであります。それによりまして、今度は発行部数もきめ、また定価もそれによつてきまりまして、それを現在使つておる次第でございますが、今後もその方針で行きたいと思います。
  89. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 今のお話は、まことにけつこうと思いますが、ただうらむらくは、むやみに営利本位に流れはしないか。競争して行くというか、自分のものを使つてもらいたいというわけで、学校の先生や父兄、あるいはPTA等に働きかけておる。悪質ではありませんが、よいものではないものをよいごとくに吹聴いたしまして、これを頒布するおそれがあると思いますが、これについてはどういうふうに考えておりますか、承りたい。
  90. 辻田力

    辻田政府委員 その教科書を展示いたしまして、先生方あるいは教育委員会の方々が専門的にこれを十分調べまして、その上で委員会の方に申請し、委員会の方で決定するわけでありますが、ただいまお話のありましたような、その間において運動があるというふうなことを、場合によつては私たちも聞いております。しかしさようなことで教科書のよしあしがきめられるというようなことでは、はなはだ困りますので、展示会等におきましては、公平に、しかも採択については厳格にやるように進めておる次第であります。
  91. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 今の初等中等教育局の辻田君のお話を十分尊重いたしまして、今後とも、良書を頒布するということを強く出していただくことが、最も必要だと思いますので、特に本委員会といたしましても、要望いたす次第であります。  次に、私どもの観点からいたしますと、大学を出たが仕事はできない、勉強をしたけれども実際は何も知らぬということをよく言われております。そこで私どもの観点からいたしますならば、大学は、専門的に研究する学術部と、それから実際部というものの二つを置きまして、たとえば百人の入学者のうち、九十五人までは実際部に置き、五人だけはほんとうの教育を受けて、将来の学者をつくる。九五%は実務家をつくり、すぐ間に合う教育をするということが、根本の方針であるように考えておりますが、一体大学学術局長は、どういうように考えておりますか承りたい。
  92. 稻田清助

    ○稻田政府委員 まず大学教育についてお答えいたしたいと思いますが、御承知のごとく、新制大学の目標といたしますることは、単に従来の大学が学問の薀奥をきわめるということが目的であつたのと違いまして、お話のごとく、教養ゆたかであり、しかも社会に出て働ける実際的な人を養成するというような点を念願といたしまして、一般教育、専門教育をあんばいいたしまして、教育をいたすわけでございます。従いまして、新制大学の卒業者は、大体実際活動に適する人が養成せられる仕組みでございまして、さらにその上に、修士課程あるいは博士課程と申しますか、大学院を設けまして、学問の専攻に入つて行く人々に対しましては、二年の修士課程、あるいはさらに進みまする者には五年の博士課程をふませるというふうに考えておるわけであります。さらにまた、御承知のごとく、先年より短期大学制度ができまして、四年制の大学よりも、もつと実際的な職業教育を、短期に修得いたしまするための短期大学の課程、これは公私立に多いのでありますが、明年度におきましては、夜間の短期大学を千葉の国立大学にも設けようと考えております。かようにごく短期に実際教育に従事する者、さらにまた四年の課程をもつて、実際生活に適応する者、さらに学問研究に深く進む者というようなことが、新しい大学で企画されておるわけであります。
  93. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ちよつとそれに関連して申し上げますが、大学院に残り、そこで薀奥をきわめて、日本の科学研究に当る人、あるいは最高の学術、技芸を習うという者については、今申された通り七箇年の間は、もちろん国家の費用をもつてつた方がいいと思いますが、これに対しては育英資金というようなこともあるようでありますが、現在どういうふうに考えておりますか、この際承りたい。
  94. 稻田清助

    ○稻田政府委員 これはやはりお言葉のように、日本育英会の特別研究生に対する奨学金の制度がございまして、これは将来にかけて充実して参りたいと考えておるのであります。明年度におきましても、一般の賃金水準の向上というような点から考えまして、その単価も引上げております。さような点において、十分研究ができますように、単価も上げ、また人数も将来に向つてふやして行きたいと考えております。
  95. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一点最後に伺いますが、研究費の補助というものにつきましては、先ほど田中不破三君からも御質疑があつたと思いますが、これは大学あるいは中等学校でも同じでありますが、相当成績のいい者につきましては、研究費の補助によりまして、将来は日本内地ばかりでなく、外国にもこれを派遣いたしまして、世界の文化を取入れる、こういう制度が急務だろうと思います。これらに対して、何か文部当局は研究しておりますか、この際承りたいと存じます。
  96. 稻田清助

    ○稻田政府委員 御承知のごとく、昨年度に始まつたのでありますが、米国に対しまして、一昨年は二十七名の留学生を出しております。昨年度は五百名、明年度におきましても五百名の留学生を送りたいと考えております。明年度分につきましては、すでに選考を了しまして、出発前の語学その他の勉強をさせておるわけであります。そのほかフランスには昨年から大体六、七名の留学生を送り、イギリスに対しましては明年度約十名ほどの留学生が送り得ると思います。そのほか少数でございますが、インドその他に対しましても、留学生の派遣を考慮いたしております。これに関しまする予算は、明年度に計上いたしております。
  97. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一つ関連いたしまするが、大学教授の交換、あるいは彼我の文化の交流摂取、そういうことも必要であると思います。もちろん、私が言うまでもなく、当然当局といたしましても、考えておることであろうと思いますが、これについて御構想を承りたい。
  98. 稻田清助

    ○稻田政府委員 明年度予算におきましては、約四千八百万円でございましたか、アメリカから四十名の米人教師を招聘する計画ができております。現在までに米国との話がつきました数が三十四名でありまして、語学そのほか専門教育の優秀な米人教師が、明年度当初より方々の大学に配置せられる計画になつております。
  99. 田中角榮

    田中(角)委員 簡単に一、二点お聞きしたい。大臣がおいでにならないので、お答えができないかもしれませんが、先ほどの質問とも関連いたしますので承りたいのです。二、三日前の新聞に出ておりましたところの二松学舎が、あのような問題で廃校になる状況にあるようでありますが、こういう問題に対して、文部省は何かお力添えをするというようなことをお考えになつておるかどうか。私たちは、現在の文部省の立場として、介入できないのではないかというふうに考えておりますが、国民的な気持から見て、こういうふうになるまでに、何とかうまく再建できないだろうか。特に文部省の方々が中に入つていただけば、あの歴史ある名誉あるところの文科大学に、何とかうまく持つて行けるのではないか、こう考えておるのですが、文部省関係の方々は、どういうふうな御意向であるか、ひとつ承りたい。
  100. 久保田藤麿

    久保田政府委員 御指摘のような事案で、新聞に出ましたのはほんの一、二でございますが、そのほかに相当件数ございます。たまたま新制大学になりますためには、学校法人に切りかえなければならぬ。今までは財団法人でありましたので、学校法人に切りかえる問題がありまして、そのことについては私どもも相当立ち入つてつておりました。そうしてほとんど切りかえの完了に近づいております。二松学舎も、形の上では切りかえのところに実は来ておるのであります。あるいは内容的に詳しく御承知かもしれませんが、理事と学長の関係があるのであります。財産の問題もからんでおるようであります。新制大学に切りかえるお手伝いは、文部省としてはやつてつたのでございますが、今申し上げたような事情で、この三月十五日までにそうした形が正確に出るかどうか、非常に危ぶんでおります。しかし財団法人としての性格が継続できるのは当然のことでありまして、もし切りかえができないということになりますと、新制大学という性格を失つて参ります。財団法人としての旧制の専門学校という形はそのまま残りますが、新制大学には切りかわりませんので、その間に次善の方法を考えて、ああいう由緒ある学校でありますから、その伝統を保持するために、学校と言えないまでも、塾とか研究機関といつた形で残つてつてくれることもできます。何とか今までの由緒を生かして、文化の上にお役に立つて行けるように御協力したいと考えております。
  101. 田中角榮

    田中(角)委員 先ほどあなたの御発言の中に、教育金庫の問題がありましたが、私どもも二、三年前に米田君と一緒にやりましたけれども、結局最後になつてからできなくなつてしまつた。講和も近くなつたこういう際でありますので、文部省あたりが相当積極的にお力添えをしていただかないと、ほんとうにできない、私ども手がけてみて、そういうふうに考えております。あの見通しについて、はつきりした御説明がなかつたのですが、どういう見通しがあるかということをお聞きしたい。
  102. 久保田藤麿

    久保田政府委員 金庫の問題は、文部省が割合に熱意を入れておらぬように私聞きとらせていただいたのでありますが、決してそういういきさつではございませんで、本年度も、ほかの方を相当に犠牲にして、その成功をはかつたのでありまして、国内的には、実は成功しておつたのであります。先ほど申しましたように、ぎりぎりのところで懸案になつておるという状態であります。金庫そのもののために十億をいただいたという関係でございませんために、非常にやりにくい姿になつております。次の予算提出の時期には、金庫そのものという形を出して、ぜひ実現させたいという熱意に燃えております。しかしただいまの状態で速急にそういう線に追い込むことは、この問題の解決に、かえつて無理じやないかという見通しも多分にございますので、今度の予算では直接金庫を頭に出すという形にしないで、次の時期にぜひ解決したいと考えております。
  103. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一つ田中施設部長がおいでになれば一番いいのですが、会計課長がおいでになつておりますので、もしあなたの所管しております事項で、御答弁ができないならよろしいのでありますが、できたら簡単に御答弁していただきたい。これは国費の支弁に属する建物の建設営繕という問題でありますが、昔は大体大蔵省営繕管財局一本になつてつたわけです。現在は建設省になつておりまして、これが国費の支弁に基く建物の営繕をやつておるわけであります。前の大蔵省営繕管財局の所掌事務であつた当時よりも、少し広義に解釈しておりまして、建設大臣と各省大臣との協議によつて行うものは、各省でやつてよろしいというように、非常に大きくなつております。と同時に、行政機構の再編によつて、各自の設置法に、みな建設に関係することが盛られておるようであります。あれはどさくさの中につくつたものでありますから、現在は建設行政の一元化、行政機構の再編成、こういう問題に実に害になつておるわけです。だから、まずさしあたり国費の効率的な利用法という面と、もう一つは建設行政の一元化という面、また官庁の建物、特に庁舎でありますが、こういうものの位置の設定や建設方法において、大衆と非常にかけ離れたことを現在やつております。計画性が非常にない、いわゆる初歩的な建設の方法を行つておる。単価とかその他の施行の状況においても、まつたく個々ばらばらである。これを統一せしむることがよろしいのではないかというようにわれわれも考え、そういうような意見を出しておるのですが、現在の文部省としては、かつての営繕管財局当時と、現在の施設部を比べて、どちらの方が利便であるか。もちろん文部省当局では、文部省の局にしてもらつた方がよろしいといつて、施設局をおつくりになろうとしたときがありましたが、私どもが反対して部になつております。こういう経緯はありますが、営繕の統一の場合、法務庁関係の刑務所の建物、それから文部省学校というものは、特殊の性格を帯びておりますので、別に考えられないことはない。われわれ自身も、今研究はしておりますが、こういう問題に対して、文部省はどういう意見を持つておられるか。四、五年前までは、官庁営繕の統一は、文部省の方々は全部賛成だつた。ところが、この新しい各省の設置法が出て来たときから、だんだん反対して来て、現在は私たちに言わせると、各省のいわゆる技術的な面のセクシヨナリズムにおいて官庁営繕の統一ができない、こういう判断を下しておるわけですが、この問題に対して、文部省はどういうふうなお考えを持つておられるかということをお伺いしたいのです。ところが、これはきつとお答えができないと思いますから、こういうことに対しては、私たちもまた別な委員会へおいでになつていただいて、御証言を願うつもりであります。しかしこの問題は、私ども今国会で大体解決をいたしたいと考えておりますから、そういうものに対する見通しがつきましたら、御報告を願いたいと思います。
  104. 久保田藤麿

    久保田政府委員 部長がおりませんので、あるいは行き届かないところがあるかと思いますが、私の承知しておりますところは、ただいま御指摘になりましたように、学校の特殊な建築関係については、文部省がやつた方がよろしい、営繕管財局当時やりましたいわばマイナス分を繰返したくないという気持が一番強いと感じております。そのために、たとえば文部省自身が自分の庁舎をつくるということについて、文部省が建築行政を持つという必要は毛頭ないのでありまして、これはむしろ建設省のお世話になつて、そういう営繕当時の関係から見た一貫した関係でやるということになることを、むしろ希望いたしております。たまたま田中先生と逆になりましたが、学校などの建築関係が、非常に単純な場合には、どちらでもいいという議論も成り立つと思いますが、私どもはこれから直轄関係学校を持ちたい。これは管理局長としての私見でありますけれども、非常に特別な考え方を持つて行きたい。たとえば、東京大学で見ますと、東京大学の使い方、建物の利用方、こういうものについて、よほど研究がいると思います。ただいまのような状態で、全国七十幾つかの国立大学が、そのまま東京大学のまねをするということで、営繕関係のお世話になつて行くということは、非常に尨大なことになるわけでありまして、そうしたことは、希望を持つことすら、むしろ笑われるというように考えております。そこでこれらの利用率をどう考えて行くか。たとえばある一つの教室を、今までのように何学部の何教室というように固定した利用方法では、とても七十幾つかの国立大学を満足してもらえるような状態に仕上げることは、この日本の状態では、何年かかるかわからないというようなことともからみまして、文部省の連中も全力をあげてこうした問題に取組んで、ぜひこれからの営繕関係を持ちたいという線に、できるだけ早目に追い込まなければならない問題である。少くとも次の予算の構想の時分には、そうした輪廓をある程度出して、そこから国の営繕関係としての文部省の営繕関係を出発させなければならないというように、このごろ特に痛感しておるのであります。そのような意味で、私どもの建築関係が、国の全体の建築関係から見て、どういうようなバランスにあるかということは、田中先生の方がよく御承知だと思いますが、それほど大きなものでもありませんし、また一方から申しまして、そうした面で、大きな考え方を営繕関係の人が持つということでなく、大学の先生たちが、またこれを利用する学生たちが持つようになつて来る建前を、ぜひとりたいと考えておりますので、単純な営繕行政は、別に考えさせていただきたいというように考えております。
  105. 田中角榮

    田中(角)委員 蛇足になるかわかりませんが、私は営繕の統一ということを考えております。特に文部省の建築の特殊性ということに対しては、十分認識しておるつもりであります。二十六年度に国立大学二、三校を新築せられたいという案があられたようですが、私の出身県であります新潟大学もやつていただこうと思つておりましたら、名古屋にとられたので、新潟は今年はさつぱりだめだというお話であります。この新潟に対しては施設部長の田中さんも非常に御努力になつていただいたのでありまして、私たち自身、重点的に名古屋を行おうと、どこを行おうと、これはよろしい。もちろんそれでなければ、半ばになるのですが、しかしわれわれが考えますときに、文部省だけでもつて予算の獲得をした場合、はたして均衡がとれるかどうか。今公共事業に対して、経済安定本部がいろいろなことをやつておりますが、それはいわゆる頭割でありまして、連絡がちぐはぐになつておりますし、なかなかうまく行つておらない。こういうことからも、少い予算を何とかうまく効率的に投下するには、統一的な基準に沿つた方がいいのではないかという考えもあるわけです。特に二十六年度に対しては、新潟の大学は営繕の費用をさつぱり計上しておらなかつたので、新築がなくなると、営繕費用は一銭ももらえないのではないかというように、学長も非常に心配しておられたようでありますが、これは小さいわくの中からさくということになると、たいへんな問題だと思います。そこで私たちは昔のように、特殊なもの及びある一定の金額以下のものは文部省がおやりになつて、そうしてほかのものは統一した基準の中で、また統一したわくの中でもつて予算を要求する。そしてこれを公平に分配する。こうした方が、今より文部省関係の施設に対するわくはふえるのではないかという見方も、一面持つておるわけでありまして、そういう意味からわれわれに同調的なお気持がありましたならば、ひとつ御研究を願いたい、こういう考えを申し上げたわけであります。御答弁はいりません。
  106. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 本日は、文部省関係決算に関しまして、初等中等及び大学教育その他一般社会教育等に関しまして、文化開発上各般にわたつて質疑応答を重ねました。まことによき傾向であると存じます。決算は単に会計検査院批難事項をのみ審議するわけではないのでありまして、各省の一般行政に関しましても、監査する必要があると感じておる次第でございます。今後文部当局以外の各省におきましても、かように各局長以上の御出席を得まして、各省行政全般にわたつて事項を、本決算委員会に発表せられんことを、特に希望いたしておきます。なお次会には昭和二十三年度決算運輸省所管中留保の分及び昭和二十四年度特別会計予備費使用総調書外四件の審議を進める予定でありますから、委員諸君にはぜひ御出席を願いたいと思います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時三十八分散会