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1951-02-23 第10回国会 衆議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十三日(金曜日)     午後一時八分開議  出席委員    委員長代理理事 三宅 則義君    理事 金光 義邦君 理事 八百板 正君       高塩 三郎君    高橋 權六君       田中不破三君    多武良哲三君       山口六郎次君    畠山 重勇君       井之口政雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         労働事務官         (大臣官房会計         課長)     亀井  光君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      中西  實君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     植田 俊雄君         建設事務官         (住宅局長)  伊東 五郎君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         建 設 技 官         (道路局長)  菊池  明君  委員外出席者         建 設 技 官         (管理局営繕部         長)      大村巳代治君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      大澤  實君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      小峰 保榮君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度特別会計予備費使用調書(そ  の2)  昭和二十四年度特別会計予算総則第六條並びに  第七條に基く使用調書  昭和二十四年度日本国有鉄道予備費使用調書  昭和二十五年度一般会計予備費使用調書(そ  の一)  昭和二十五年度特別会計予備費使用調書(そ  の一)(承諾を求める件)  昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十三年度特別会計歳入歳出決算     —————————————
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまから決算委員会を開きます。  本日は、去る十人目付託となりました予備費使用調書五件の審議をいたしたく存じます。  それでは昭和二十四年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和二十四年度特別会計予算総則第六條並びに第七條に基く使用調書昭和二十四年度日本国有鉄道予備費使用調書昭和二十五年度一般会計予備費使用調書(その一)、昭和二十五年度特別会計予備費使用調書(その一)の承諾を求める件を議題とし、大蔵当局より提出理由説明を求めます。大蔵政務次官西川甚五郎君。
  3. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいま議題となりました昭和二十四年度特別会計予備費使用件外四件の事後承諾を求める件につきまして、御説明申し上げます。  昭和二十四年度特別会計予備費予算額は二百億二千七百六十余万円でありまして、このうち財政法第三十五條規定によりまして、昭和二十四年六月十四日から同二十四年十二月九日までの間に使用いたしました三十億五千八百五十余万円につきましては、第七回国会に、その事後承諾を求める件として提出いたしましたが、その後昭和二十五年一月十七日から同二十五年三月三十一日までに予備費使用いたしました特別会計は、外国為替厚生保險船員保險国立病院食糧管理農業共済保險森林火災保險郵政事業簡易生命保險、及び郵便年金電気通信事業労働者災害補償保險失業保險の十二特別会計でありまして、その使用した総額は九十億四十余万円であります。そのうちおもな事項は、輸出為替等買取りに必要な経費外国為替特別会計一時借入金償還等に必要な経費農業共済保險令に必要な経費労働者災害補償保險保險金等支払いに必要な経費失業保險保險金給付に必要な経費等であります。 次に、昭和二十四年度特別会計予算総則第六條並びに第七條規定に基き、予備費使用の例に準じて予算を超過して支出いたしました特別会計は、電気通信事業労働者災害補償保險の二特別会計でありまして、その内訳は、同第六條の規定に基いて電気通信事業特別会計において支出いたしました事業量の増加に伴い必要な経費十一億三千六百余万円、公債償還に必要な経費十億円と、同第七條規定に基いて、労働者災害補償保險特別会計において支出いたしました保險金支払いに必要な経費一億六千六百七十余万円であります。  次に、昭和二十四年度日本国有鉄道予備費予算額は十億円でありまして、日本国有鉄道法第三十六條の規定に基いて使用いたしました額は、退官退職手当に必要な経費十億円であります。  次に、昭和二十五年度一般会計予備費予算額は四億五千万円でありまして、このうち財政法第三十五條規定によりまして、昭和二十五年五月十二日から同二十五年十一月二十日までの間において二億一千五百十万余円を使用いたしました。そのうちおもなる事項は、参議院議員補欠選挙に必要な経費法務局災害復旧に必要な経費出入国管理庁運営に必要な経費災害応急救助に必要な経費連合国軍労務者のあつせん業務に必要な経費労働省所管施設災害復旧に必要な経費等であります。  次に、昭和二十五年度特別会計予算費予算額は三百二十五億三千十万余円でありまして、昭和二十五年五月十二日から同二十五年十二月二十六日までの間に予備費使用いたしました特別会計は、外国為替印刷庁厚生保險船員保險国立病院森林火災保險、漁船再保險国有林野事業貿易郵政事業簡易生命保險及び郵便年金電気通信事業労働者災害補償保險の十三特別会計であります。その使用した総額は、百二十一億九千四百二十余万円であります。そのうちおもな事項は、外国為替等の決済及び輸入物資等売払い收入繰りもどしに必要な経費一般会計及び国債整理基金特別会計へ繰入れ並び貿易公団交付金に必要な経費輸入物資の売払い代金等の払いもどしに必要な経費電信電話施設災害応急復旧に必要な経費労働者災害補償保險保險金等支払いに必要な経費等であります。  以上をもちまして、昭和二十四年度特別会計予備費使用件外四件について、事後承諾を求める件の御説明をいたしました。何とぞ御審議の上、御承認くださることをお願い申し上げます。
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま西川政務次官より御説明のありました、予備費承諾を求むる件につきましては、本日予定労働建設両省所管に対する決算審議関係上、本日の審査はこの程度にとどめ、次会には大蔵省より次官並び主計局長河野一之外当該関係官吏の御出席を得まして審査を進めたいと考えております。右御了承願います。     —————————————
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算及び同特別会計歳入歳出決算中、労働省及び建設省所管について審議を進めます。  審議を進めるに先だちまして、委員長より政府当局に申し上げます。本委員会は、定刻一時に開会することになつておりまして、すでに要求いたしたのでありまするが、政府当局の御出席がなかつた。これはいかにも国事多端ではございまするが、国会軽視もはなはだしいものでありまして、かつて委員長からもたびたび政府当局に警告してありまするが、もし今後政府委員並び局長出席しない場合においては、審議を中止いたしますから、さよう御承知願います。  まず報告書番号の順序を変更いたしまして、建設省から先にやります。  報告書二百二十八ページ、一般会計報告番号五六八、工事費分担金徴收処置当を得ないもの、ないし報告書二百三十ページ、報告番号五七五、工事の施行に当り計画当を得ないもの、以上八件を一括いたしまして、建設当局より説明を種取いたします。建設大臣官房会計課長植田俊雄君。
  6. 植田俊雄

    植田政府委員 たいへんおそくなりまして申訳ございません。参議院建設委員会大分おそくなりまして、食事に歸つてつた関係で、おそくなりましたので、まことに申訳ありません。  五六八号から御説明申し上げます。実は会計検査院から批難の御事項を御説明になりまして、私ども説明いたすのが通例でございますが、まだ会計検査院がお見えになつていないようでございますから、私から会計検査院批難されておる事項と、それから私どもの方のこれに対する答弁と、両方一緒にいたすという、妙なことになりますが、御了承願いたいと存じます。  五六八号、五六九号につきましては、御承知通り公共事業建設省直轄直営でやつております工事につきまして、県から分担金徴收いたすことになつているのでございます。この分担金は、御承知通り三分の一の金額でございます。これが予算の上では、二十二年度工事をやりますれば、二十二年度中に納めるべきものでございますが、これが地方財政事情等によりまして、延納になつておりましたものを、会計検査院昭和二十四年に検査におまわりになりました結果、発見せられまして、ここに鳥取県と香川県との両県について批難事項として御提出になつたのでございます。この問題は、私どもの方としては、分担金徴收が遅れまして、まことに申訳ないでございます、私どもとしましては、分担金はできるだけ早く納めさせるように、処置はいたしておりますけれども、現在の地方財政事情で、どうしても納め切れないというふうな事情がございまして、若干遅れぎみなつていることは、私どもも認めるわけでございますが、この二件のように、これだけ遅れましたにつきましては、私どもまことに遺憾に存じておるものでございます。ただ分担金徴收の問題につきまして、私どもどういう措置をいたしているかということを御参考に申し上げまして、御了承を得たいと存じます。分担金未納でありますと、歳入を監督いたします大蔵省としては、非常にやかましく建設省に言つて参るのでございます。その際におきましては、各府県の方が本省においでになりまして、すぐ見当るようなところに、どの県については、何年度分担金未納であるから早く納めてくれ、場合によつて予算をつけるのもおそくせざるを得ない、こういうようなことまで申しまして、分担金納入を督促いたしておりますので、漸次地方財政事情がよくなりますと同時に、かような批難事項を受けるような機会が少くなると思います。どうか御了承願いたいと存じます。  次は、五七〇番から五七四番までの特殊物件に関する問題でございます。先ほども参議院建設委員会で、こういう物資をなぜ建設省が扱つておるかということで、御質問を受けましたので、ちよつとその点を申し上げますと、特殊物件というのは、もと軍が持つていた物資で、終戰後一旦進駐軍に押收せられ、その後日本政府に返還になつたものであります。これが、もと内務省で一括して扱つておりましたものを、昭和二十二年の末に内務省が解体しましたときに、その事務を引継いだ件でございます。内容を簡單に御説明申し上げて参ります。  第一番は、東京都で昭和電工会社に払い下げた物品代金未納があつたという問題でございます。これにつきましては、ここに掲げられております昭和電工の方も、冨永組の方も、全部收納いたしました。收納が遅れたことについては、まことに申訳なく存じております。  次は五七一の青森県でございます。これは特殊物件とはちよつと性質が異なりまして、終戰直後、軍が直接青森県内に放出しました物品代金を、その後青森県が徴收しておるわけであります。それを回收いたしました金額国庫に納めないで、青森県で運転しておつたという問題でございます。これも青森県との話合いがつきまして、入金済みでございます。  その次の三重県の問題でございますが、これは有機合成品株式会社に対しまして、ホルマリンとかアセトンを払い下げたのであります。これは当時化学薬品の連盟に参加いたしました中央統制団体でありまして、これを使つて配給いたしますことが、当時といたしましては、一番いい方法でございましたが、その後の経済上の変動等によりまして、この会社代金納入ができなくなつたわけでございます。これもいろいろ盡すべき手を盡しましてやつておりますが、このうちの若干は入る見込がございますが、相当金額未納になるおそれがございます。現在清算中でございまして、清算にも参加いたしておりますが、代金徴收手続が遅れましたために、これだけの歳入欠陥を来すおそれのありますことを、私どもとしましては、まことに申訳なく存じております。  五七三は、同様な物件につきまして、福岡県から県下の統制団体に払い下げたものであります。これもその組合が解散になりまして、入らなくなつたのであります。現在は理事個人責任者としまして、支払わせる約束をとりまして、理事の財産を担保として、何とかしてこの收入をあげまして、国庫に迷惑のかからぬようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。  五七四の大分県の問題につきましては、これもたいへん納入がおそくなりましたが、二十四年五月に納入済みであります。一応これで御説明申し上げました。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま建設省大臣官房会計課長植田俊雄君より、建設省に関します説明を承りました。本委員会国民にかわつてわが国の決算をきめるところでありますから、関係省局長以上の方の御出席のない以上は、審議を進めませんから——植田君に質問いたしますが、次の機会局長出席しますか。建設事業は、国土建設上にも大切な役割を持ちまして、たとえば河川局であるとか、道路局であるとか、都市局であるとか、住宅局等、きわめて密接な関係局長があるはずであります。本日御出席がないことは、はなはだ遺憾でありますから、次の機会の御出席まで留保いたしたいと思います。これに対しまして答弁を求めます。
  8. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいま委員長の仰せになりましたことは、まことにごもつともでございます。実は会計誤長といたしましても、ざつくばらんに申しますと、その措置を非常にけつこうと存じます。決算委員会といいますと、会計課長が行つて答弁するだけで決算が終るということでは、困るわけでありまして、その担当の局長が、決算委員会の皆さんの御意見を承りまして、今後の事務運営の上に参考とせられるのが、一番いい方法だと思います。昨日もその話が委員会から私どもの方に参りましたときには、私どもすぐ関係局長に通達いたしたのであります。本日この批難事項関係のあります営繕部長は、確かに出席いたすということを約束しております。河川局長につきましては、午後司令部に参る事情があるから、どうも行けないが、かわりの者を出席させるからという話を聞いております。なお住宅局長につきましては、実は私限りで、まだ委員の方に御連絡申し上げる機会がなかつたのでありますが、批難事項の中に、住宅局長関係のものがなかつたものですから、まだ連絡しておりませんが、どうしても住宅局長が必要ということでありますれば、早く出席するように措置いたしたいと存じます。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から、さらに申し上げます。これは国民にかわつて国家百年の大計をきめる建設省のことでありますから、ぜひひとつ関係当局責任者出席せられまして、委員質問に答え、国の大本、国策大計を示すことは当然であると思います。本日は説明を承る程度にいたしまして、これに対しましての可否は、後日の委員会に特に持ち越すことにいたしますから、さよう御承知願います。そのときには、短時間でけつこうです、一時間ぐらいでお帰しいたしますから、ぜひ出席して、真剣に国策審議していただきたい、かように申し上げます。  次に、報告書二百三十一ページ、報告番号五七六、経費年度区分をみだつたもの、本件の説明を伺います。
  10. 植田俊雄

    植田政府委員 先ほど御説明を落しましたものが一つございますから、それとともに説明させていただきます。  五七五でございますが、これは建設省営繕部で扱いました東京商工局庁舎建築用資材の問題でございます。これは工事予算が千四百万円でございましたが、当時木材等の入手が困難な事情がありましたので、横河電機製作所から、建物七棟、延べ千三百二坪を買い入れまして、これを移築して建てることに計画いたしたのでございます。それに対しまして、会計検査院から御指摘になりましたのは、その七月に建設予定庁舎を一棟減じたから、これだけの建物横河電機から買う必要がなかつたのではないかという問題と、それからそれだけの解体材を買つてみたが、それを実際に工事使用したものは、わずか四〇%であつたではないかという問題、それからそういつた解体材を買いましたものを、保管中に盗まれたではないか、この三つの問題でございます。この建物を建てますときに、当時の判断といたしましては、古建物を買つて移築した方が適当であるということを、判断いたしたのでございまして、その後庁舎で一棟減らしてもよいということがわかつたのでございますが、相手会社では、まとめて買つてくれなければ因るということで、いらない資材まで一括して買うことに相なつてしまつたのでございます。なお盗まれましたものにつきましては、その運搬の請負人の方に弁償を命じまして、これは二百五十石の新材を弁償いたさせまして、翌年の一月二十四日に弁済になつておりますが、これは二十四年度の他の工事の方の用材として、使用いたしております。この点は、一つのその当時の判断といたしましては、間違つていなかつたかと存ずるのでありますが、その後の締めくくりのつけ方におきまして、相当間違いを起しておりまして、まことに遺憾に存じておるものでございます。  次に、五七六の経費年度区分をみだつたものでございますが、これは建設省特別建設局営繕部、現在でいいますと管理局営繕部でございますが、これが二十三年十月に、福岡商工局復旧工事橋本組という請負組に請け負わせたのでございますが、年度末になりましても出来高六三%までに達していないにかかわらず、全部できたものとして支払つてしまつた。ところが、会計検査院が同年の八月においでになりましたときにも完全にできていなかつたから、これが年度区分をみだつたという問題でございます。これはまことに申訳ない次第でございますが、最近の公共事業費予算は、年の支払計画を四期にわけて配賦せられることでもありますし、また年度当初からすぐ工事にかかることができないで、予算の都合上、年度の途中から始めるようなことがありまして、間々こういうような間違いができるのでございます。そういうふうに年度内にできないものであれば、繰越しいたせばよいわけでありますが、繰越しますと、繰越しいたしました予算は、九月ごろにならないと使えないというのが、当時の現状でございました。ところが建物がそれ以前にできますと、瀞負業者に代金を払うことができない。それでは困るだろうというようなことで、こういう措置をとつたわけであります。だからといいまして、私どもこの処置を、決して正当と思うわけではございませんが、そういつた事情のありましたことを、御了承願いたいと存じます。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 以上をもちまして、建設省側の御意見終りました。  次は会計検査院の方から、これに対する御意見を承りたいと思いますが、念のために申し上げます。報告番号五六八、五六九、五七〇、五七一、五七二、五七三、五七四、五七五、五七六、右一括いたしまして会計検査院側より御意見を求めます。会計検査院小峰第四局長
  12. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 ただいま議題なつております五六八から五七六の案件であります。当局者から、るる御説明がございましたが、結論といたしまして、検査院批難、その検査報告に対しまして、同感の意と遺憾の意を表されているようでありますし、それぞれの処置もとつておられるようでありますから、特に私から申し上げることはないわけであります。この検査報告に盡きております。一言補足しておきますが、この特殊物件であります。これは終戰後混乱状態から、いろいろな問題を附帶的に巻き起しまして、皆様のお耳にもいろいろなことが入つていた案件であります。会計検査院といたしましても、数年にわたりまして、年々検査報告に多数の案件が掲げられたのでありますが、二十三年度にも、ここにございます五七〇ないし五七四、五件掲げてございます。この中の五七一の青森県の案件などは、県の措置としては、はなはだ遺憾な案件でありますが、ともかくも年々検査報告をにぎわした特殊物件案件も、大体この二十三年度終りを告げたわけであります。会計検査院検査としては、一応の終りでありまして、案件は大体なくなつて来たわけであります。二十四年度は、追つて審議になると思いますが、三件ほどこく特殊なものが残つておりまして、今までたくさんございましたこの種の案件は、大体二十三年度検査を了した、こう御了解願つていいかと思います。それだけ申し上げまして、何か御質問がございましたら、またお答えいたします。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これにて会計検査院側の御説明終りました。これより質疑を許します。質疑は通告順によつてこれを許します。井之口君。
  14. 井之口政雄

    井之口委員 今の五七〇の特殊物件でありますが、これはまた相手昭和電工株式会社でありまして、例の昭電疑獄を起した会社です。この会社復興金融金庫の金を借りてああいう大問題を起す、また特殊物件はこういうふうにして買うて代金を払わない。しかも政府は、それの徴收を二十四年九月、会計検査院検査当時まで放置してあつた。こういうふうなのは、まつた政府の怠慢を意味するものであり、会社側としても、政府をまるでなめてかかつているようなやり口がうかがわれるのでありますが、その後これは一体どうなつたか。それから建設省関係でこうした特殊物件代金の未徴收が、そのほかにもたくさんあつたのじやなかろうかと思うのですが——会計検査院指摘は、これにとどまつているが、このほかの方面で、気づかれた点はなかつたのでありますか、その点をひとつ政府委員に聞きたいと思います。
  15. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまの御質問は、昭和電工にこれを引取らせた問題でございますが、当時進駐軍が参りまして、各種の化学薬品等につきましては、できるだけ早く引取りませんと、その工廠内に残つておりました資材の搬出が困難になるというふうな事態があつたのでございます。これは昭和二十一年の一月に、例の賠償施設命令が出まして、一定期間に早く出せというふうな事態があつたのでございます。その際に、各地方特殊物件を扱つておる者としましては、これをできるだけ早く出さないと、国家経済の再建に使うことができないというので、その仕事に関連のある付近の相当有力な会社に、引取らせるという措置をいたしたのであります。この物資につきましては、たまたま昭和電工に引取らせるのが適当であるというので、これを引取らせたのでございまして、東京都の事務の当時の複雑と多量でありましたために、交渉が遅くなりまして、納入命令等も遅延いたし、代金国庫に対する收納が遅れたのは、まことに申訳ない次第でございますが、その後昭和電工の分は、東京都を通じて国庫に入金いたしております。  それから全部を通じての收納の問題でございますが、昨年この委員会で申し上げましたときには、相当多額の收納未済があつたのでございますが、現在は大分減つて参りまして、中央が一千万円、地方が一億七千万円ということになつております。これはちよつとごらんになりますと、まだそんなに残つておるかという印象をお受けになるかと存じますが、中央地方を通じまして一億八千万円という中には、例の閉鎖機関になりまして、閉鎖機関清算が片づかないうちは国庫に納めることができないというものが非常に多いわけでありまして、そういうものが相当の部分を占めておることを、御了承願いたいと存じます。なお二十年、二十一年に売つたものが、二十六年まで片づかないのかというふうな御疑念もあろうかと存じますが、それは、その後進駐軍から解除になつたもの、またその他発見したもの、そういつたその後の年度に国の方に入つたものも含んでおるわけでございまして、こういつた金額なつている次第でございます。
  16. 井之口政雄

    井之口委員 この昭和電工の分は約四百万円ですが、二十二年の三月に売つて——おそらくそういう場合には引きかえにこれを渡していなければならぬ性質のものである。それなのに、ただ渡してしまう。しかも入札も何もしないで渡して、二十四年九月までこれを放置してあつた、実に期間が長いのであります。こういうふうな特殊物件国民の財産をおろそかに取扱うというのは、お話にならぬと思う。その間一体幾らになるか知らぬが、四百万円に対するその間の金利であるとかなんとかいうようなものも、どうなつておるのか。国民は二千円、三千円ぐらいの滯納に対しても差押えを受けておるのであります。それなのに、四百万円のこうした金を、何年もの間品物を渡しておいて、しかもその代金を受取らない。かつ昭和電工に対しては、それこそ十億ですか、復興金融金庫から、無抵当、無利子の金さえも融資しておる。そういう恩恵を一方において与えたのみならず、売つたものも金をとらぬ、こういう政府のやり方こそ、政治の最も腐敗した点だと思う。この場合、金利の関係は一体どうなつておるか。それからこうした問題に対する当局の責任は、どういうふうにして果されておるか。
  17. 植田俊雄

    植田政府委員 特殊物件の払下げにつきましては、多少他の物件事情が異なりますので、他の一般の物資を払下げる場合とは、実際上変更せざるを得ない場合があつたのでございます。現在のおちついた段階におきまして、何か不用物件がありますとか、あるいは特殊物件の中で売ることができるようなものがありました場合には、確かに現金と引きかえでなければ引渡しておらないのであります。昭和電工の問題のときには、先ほども申しました賠償工場等の問題がございまして、できるだけ早く引取れ、早く引取らないと、あるいは日本政府が使えなくなるかもしれないという心配がありましたので、昭和電工の加盟しております硫安組合が、これを引取ることにいたしまして、昭和電工もその中に一枚加わつて引取つたのでございます。この価格の調定が非常におそいじやないかというような問題につきましては、全般的にこういつた物資になりますと、品いたみ等もありますし、また容量の不足等もございまして、なかなか払い下げました府県当局と、会社側との意見が一致しなかつたような事情もございます。また府県の方も、その当時としましては、仕事が山積いたしておりましたので、ふなれとか、あるいは若干の怠慢もあり得たと私は思うのでございますが、その後何とか整理できましたあとにおきましては、早く納入することを督促いたしておるわけであります。先ほどの利子の問題につきましても、国庫金の收納でございますので、利子をつけるように、私の方から府県には言ております。(「言つているが、やつていない。」と呼ぶ者あり)この案件につきましては、利子をつけておると考えております。
  18. 井之口政雄

    井之口委員 こういうせつかくの特株物件を売り払つて、その代金をさえも数年の間とらなかつたというところから見ますると、この特殊物件の売払いの価格に対しても、非常に疑点を抱くのであります。会計検査院の方では、その品物を、価格の点からも十分にお調べになり、当時のマル公というふうなものと照し合せて調べられたものでありますかどうか、その価格の点、それから「じよれん外三二〇点」となつておりますが、どういう品物であつて、そのうちの価格があまりにひどく安い価格で渡しておるというような点も、会計検査院の方で気づかれておつたならば、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。
  19. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 ただいまの井之口さんの御質問にお答えいたします。価格の点でありますが、処分当時のマル公というのが、御承知通り基準になつております。あとで私ども検査で見つけましたときの価格と比較いたしますと、いかにも安い価格で売り渡すのが、特殊物件は普通であります。しかしながら、政府といたしまして、売渡し当時のマル公でやるのは、これはやむを得ないというので、全部マル公で処分したものについては、私どもとしては、それを認めておるわけであります。それから、不当に安くやつた案件というものも、実は間々あるのでありますが、こういうものは直させます。今年はその種の案件が一つございます。五七四、これなどは当局者が八十四万三千円という評価をしていたのでありますが、内容に比べていかさま安過ぎるというので、再調をお願いいたしまして、ここにあります百九十二万九千円、倍以上の価格にしていただいたのであります。百九十万円というのが、当時のマル公で売つた価格であります。ところが、そういうふうに大体やつておるのでありますが、終戰直後放出いたしました放出物件——特殊物件の中でも、きわめて特殊な性格を持つたものでありますが、その種のものになりますと、あとで私どもが見つけたときに、一体そこに書いてある通りのものが行つたのやら、あるいは品質がどういうものやらわからないのが、実は多いのであります。それで明細書なども、ものによつては、ついていないというのもございます。この昭和電工のも、実ははなはだ申し上げかねるわけでありますが、三百二十点というのも、詳細にはわかつておりません。ただ相当当局者の調べを信用いたすほかは、検査院で見つけました当時には、それ以上の方法は実はとれなかつたのでありまして、一部はわかつておりますが、詳細にお答えするほどの資料が、当時はなかつたわけであります。どうぞその点で御了承願います。
  20. 井之口政雄

    井之口委員 それなら政府の方では——これは三百二十点となつておりますが、薬品だそうであります。もし薬品であるならば、普通の薬品会社に渡すとかなんとか、そういうことも考えられただろうと思うのであります。しかもそれを急速に急いで渡さなければならなかつたというのが、さつきの御答弁でありますが、どういう品物で、日にちを置いていたならばだめになるのだというような、われわれが納得できるような、その辺の説明ができるならば、してもらいたい。  それから、たとい非常に売払いを急ぐにいたしましたところで、二十二年度に売り払つておいて、二十四年の九月までもそれをほうつておくというくらいのことでありましたならば——そういうふうな処置をとるものであつたならば、何も電工会社というものを選ぶ必要もないのです。この薬の内容によつては、いかようなところにでも、もつと有利な條件で、これを売り払うことが可能だつたろうと思います。その内容がわかりませんので、非常にわれわれ判断しかねるのでありますが、その内容の点について、一応御説明を願いたい。
  21. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいま手元に資料を持つて参りませんので、この三百二十点の内訳については、はつきりしたことを申し上げられないのでございますが、当時昭和電工がこういつた薬品を引取るという場合におきましては、これは化学薬品でございまして、化学薬品は硫安統制会に持つて参るのが本筋でございます。各地に火薬工場がございます。たとえば京都府の宇治には、宇治火薬工場がございますとか、東京にもそういつた火薬工場がございますが、当時は農業の復興のためにも、硫安をつくるということが先決でございますので、硫安工場で必要な薬品は、できるだけ硫安統制会にまかせて、硫安統制会の傘下のこういつた組合が工場内に入りまして、そうして硫安の製造に必要な薬品及びこれに関連するようなものを持つてつて、すぐにその生産に役立てたというのが、実際の事情でございます。従いまして徴收事務は遅れましたが、こういつた品物は、終戰直後これを引取りました際に、すぐに活用いたしまして、硫安の製造には役立てておると思うのでございます。二十四年のときまでに、あとの経理がつかなかつたというのでございまして、物の方の利用は、引取直後に相当進捗いたしたものと、かように考えております。ただ私この事情をよく存じませんが、二七四年まで東京都がほんとうに放置したものでありますか、あるいは東京都がこの代金徴收について、あるいは価格の算定について、絶えず昭和電工との接触は保つておりましたが、両者の折合いがはつきりつかなかつたために、金額がきまらなかつたのでございます。そういつたことが間々ありますので、あるいはそういう事情もあるかと存じておる次第であります。
  22. 井之口政雄

    井之口委員 そういたしますと、ここの五七四では、ちやんとアスピリン錠ほか薬剤として三百七十一品目として、この会社がそれを転売して、さらに幾らもうけておるというふうなところまで、会計検査院はお調べになつて、そうしてこれは不当な値段であるというようなことも出ております。おそらくこういう昭和電工株式会社に、二十二年の三月当時のマル公で四百万円からの薬剤を出して、それが硫安その他農民に必要なるところの肥料製造に役立つているといたしますならば、会社の帳簿の中に残つていなければならぬ。今からでもこれを調べたならば、会社がどういうふうにこれを使い、これによつて幾ら厖大なる利益をむさぼつているかというふうなことも、ちやんとわかるはずでありますが、会計検査院の方ではそういうところまでつつ込んで調べられましたのですか、どうですか、これをひとつお伺いいたします。
  23. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 井之口さんの御質問でありますが、この五七四の方は、おつしやる通り相当こまかくこれはわかりましたのですが、五七〇の方は、これは二十二年の三月、契約と申しますか、正式の売渡しにはなつておりますが、どうも造兵廠から直接に行つたもののようであります。もちろん東京都が介在いたしましたが、造兵廠にある物品を渡したようであります。その辺大分ほどのこまかいものは、実はわからなかつたのであります。特にこの「特殊物件であるじよれん外三百二十点その他薬品等」とあります「その他薬品等」は、内訳がはつきりわかつたのでありますが、外三百二十点というのが、実は私どもの方ではわかりかねたわけでありまして、これがすぐにわかりますれば、大分のようによく調査いたしまするが、私どもには会社へ行つて調べるという権限は、この種のものについて持つておりません。大分の方は、実は県を通じて調べていただきましたら、県がお出しくださつたのですが、東京の方はそういう結果を十分得ていないわけです。
  24. 井之口政雄

    井之口委員 こういう重大な問題を一つ掘り下げてみると、大体大きなやり口がわかる。ほかの会社のやつた特殊物件のやり口も、政府の大体の方針もわかりますし、国民がそういうやり方をして、めちやくちやに国家の富を使つていたんでは、自分ら納得できぬということも、わかつて来ると思います。そういう意味で昭和電工を私はここでしつこく聞いているのでありますが、このじよれんというのは水をかけるものです。そういうふうなもの外三百二十点というようなものは、おそらく点数は多いが、金額にしては少いものであつて、こういう四百万円以上のたくさんの金額になる以上は、薬品の方が大きな比重になつていはせぬかと思うのです。今お話によると、薬品の方はわかつているとおつしやいましたが、その辺ちよつと薬品の価格の点と比較して、お話願いたいと思います。
  25. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 内訳を申し上げます。じよれんと申しますと、道路を掃除する、ごみをすくう道具であります。かごと申しますか、あの種のものであります。じよれんがいきなり出て来るので、すこぶる妙なものでありますが、相手昭和電工関係のないみたいなものであります。じよれん外三百二十点の合計は、二百六十四万一千円でございます。その他の方を四百万円から差引きますとざつと百四十万円になるわけであります。この中に薬品が入つておるのであります。化学薬品は今の百四十万円ぐらいのうち十五万八千八十七円というものが薬品であります。これは先ほど薬品のことをお触れになりましたが、実は私の方でわかつております範囲では、薬品は少いのでありまして、じよれん外三百二十点の内容のよくわからない二百六十四万円、全体ではこれが一番大きいものであります。ただ三百二十にわけますと、非常に小さいものになるだろうとは思いますが、その内訳は遺憾ながらわからない、こういう状況であります。
  26. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、今掘り下げてお聞きしてみますと、じよれんなんかは時期を急いで始末しなければならないものだとは思えない。さつき政府の御返答によると、ほうつておいたら、これは時期を失して——薬のようなものだから、時期を失して、やむなく昭和電工会社に払い下げたというような御返事もありましたが、今聞いてみると、そういう時期を失するようなものが全部ではなくつて、やはりこれは会社となれ合いでこういうわがままな、実に横暴なことをやつていたんじやなかろうか、こういう疑いを非常に深くするのであります。今の会計検査院の御返事なんかお聞きになつて、政府としてどういうふうにお考えになりますか。
  27. 植田俊雄

    植田政府委員 先ほど時期を失しておると申しましたのは、その時期というのはおそくなるとその品物がいたんで使えなくなるというわけじやありませんで、時期がおそくなると、工場が閉鎖になつてしまいまして、中にある品物が日本政府では使えなくなるのであります。だから、これをなるべく早く引取らなければならぬというような意味で、時期を失するという言葉を使つたのであります。そうしまして、化学薬品を扱つておる工場につきましては、大体薬品は、硫安の製造にも、その他の化学薬品の製造にも使えるものでありますから、硫安統制会という一つの化学薬品を扱つておる組合に、そういうものを引取らせました。その中に昭和電工も入りまして、これだけのものが昭和電工に入つたわけであります。じよれんが表面に出ましてまことに相済みませんが、じよれんは必ずしも硫安製造にばかりいるというものでなく、ほかの方にもいると思います。硫安製造の方でもいらぬわけでもございませんので、ちようど置場がなくて一緒だつたから、持つてつて硫安に使つたのであります。  ついででありますから——五七〇と五七四の違いは、こういうことになるわけであります。五七〇の場合は、引取つた昭和電工が実際の使用者であつたわけでありまして、自分が使うのが本筋でございます。五七四の組合というのは、大分県の一つの統制団体でございまして、統制団体に渡したものは、統制団体自体が使わないで、行先ははつきりわかつている。昭和電工の方は、行先はわからないで、そのまま会社で使つてつた、こういう次第でありますから、行先がはつきりしないのであります。こういつた事情もお含み願いたいと思います。
  28. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長より申し上げます。本日は建設省より各局長が来ておりませんから、單に説明を承る程度にいたしまして、詳細は当該局長出席の際、質疑を続行いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なしと認めまして、次に移ります。  次に、報告書二百三十二ページ、報告番号五七七、予算使用当を得ないもの、ないし報告書二百三十七ページ、報告番号五八九、納付すべき所得税を他に流用していたもの、以上十三件を一括して説明を求めます。——これは河川道路の関係でありますが、局長は来ておりませんから、これも当該河川局長並び道路局長が来るまで延期いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なしと認めます。  次に、報告書二百三十八ページ、報告番号五九〇、関係書類を作為して不当の支出をしたもの、及び二百四十五ページ、報告番号五九九、経費年度区分をみだつたもの、以上二件を便宜一括いたしまして説明を願います。大村営繕部長
  31. 大村巳代治

    ○大村説明員 営繕部関係のこの意見について御説明申し上げます。  その前にちよつと御了承願いたいのですが、建設省営繕部は、御承知のように、国費支弁による官庁建物を、要求官庁の委託によつて建設しているわけです。五九〇の札幌の地方経済調査庁の庁舎も、札幌の地方経済調査庁の委託によりましてやつたわけでございます。本件は、当時経済調査庁が開設早々のために、職員の宿舎がございませんで、職員を隻めるのに非常に困つておりまして、その対策として、庁舎新営費の一部を宿舎購入費に移用することを、経済調査庁の方から懇請されまして、そのために不当な支出をやりましたわけでございまして、まことに遺憾とするところであります。中央としても、監督不行き届きの点を、非常に痛感しているわけでございます。係官は講責いたしまして、再びこういう過失を起さぬように注意をしております。なお不当支出額に対しては、回收済みでございます。  次の五九九、福井の国家地方警察本部についてであります。本件工事は、三月末日までにはほぼ完成して、おそくとも年度末整理期間中に竣工する見込みであつたのでありましたが、福井の震災後の破損道路に、降雨が連続いたしまして、材料搬入に予想外の手違いを生じましたことと、震災後の労賃の騰貴による予想以上の労力費のために、請負人の資金が逼迫いたしまして、残工事の進捗が意のように参らなくなり、遂に年度内の竣工が期し得られなかつたばかりでなく、当時の予算の状況では、繰返し手続の時期を失しまして━━その当時の繰越し手続には、約半年かかるような状態でございましたので、繰越さずに工事を進めさせました。窮余の措置として、工事代金を小切手にいたしまして、役所の方に保管しておきまして、工事の竣工をまつて請負人に渡したのであります。まつた会計検査院の御指摘通り、違法の措置なつたことは、まことに遺憾であります。なお、かかることのないように、関係者に対しては十分戒告をいたしまして、今後はいたさないつもりでおります。
  32. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま建設省管理局営繕部大村巳代治君のお話がありましたが、この建設事業に関しまする件につきましては、御承知通り、補助でありますとか、あるいはその他工事等について非常に問題があるわけです。非常に簡單をきわめて御説明なつたわけでありまするが、質問者の方には相当意見があろうと思います。これについて、会計検査院の側より意見を求めます。小峰第四局長
  33. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 五九〇、五九九でありますが、検査報告批難点につきましては、当局者も遺憾の意を表されているのでありまして、私どもとして、あらためて内容を御説明するまでもございませんが、五九〇号についてちよつと一言申し上げておきます。これはもうすでに御審議が済みました二五号の、総理府所管の、会計経理のはなはだしく当を失したものという案件がございます。これと関連するのでございますが、経済調査庁が発足いたしましたときに、庁舎に困りまして、いろいろ無理なことをしておるのであります。それの片割れの案件でありまして、これなどは、まことにどうも、いろいろ書類の作為もございますが、手の込んだ相当質のよくない案件として、私どもでは取扱つたわけであります。三十九ページに詳しく書いてありますように、経済調査庁がやつたことでありますけれども建設省経済調査庁の要求をいれまして、こういうことをやつたという点は、まことに遺憾なことだと考えております。請負人を通じまして、経済調査庁が庁舎を買うために借りた銀行の借入金を、書類をつくりまして捻出して銀行に返し、十万円はその間の諸経費として請負人にやつてしまつたという案件でございまして、はなはだ遺憾だと思つております。
  34. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次に質疑に入ります。が、その前にもう一つやりましてからにいたしたいと思います。  次は報告書二百三十八ページ五九一番、補助金の交付に当り処置当を得ないもの、ないし報告番号六〇一、職員の犯罪に因り国に損害を与えたもの、以上九件及び報告書二百四十六ページ、元内務省の分、報告番号六〇二ないし六一三、補助金の交付に関する批難事項十二件を、便宜一括いたして、当局説明を願います。諸君に申し上げますが、説明だけでありまして、詳しいことは、関係局長が来てから質問を許します。植田君。
  35. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまから議題になります問題は、ほとんど全部が土木災害復旧事業費の問題でございます。ただ一件だけ異なつておりますから、それだけまず御説明申し上げます。二百四十ページの五九三号でございますが、これは岩手県の宮古市に対する補助金が、二十三年度に補助すべきものを、三月までに補助できないで、四月になつて補助いたした、こういう問題でございます。これは補助金の決定が遅れまして、岩手県の方に国庫の補助金を送金いたしまして、その指令等が着きますのが年度末になりましたので、そのうちに岩手県と宮古市との事務のやりとりがだんだん遅れまして、やむを得ず、四月に一部補助するというふうなことになりました。これは年度区分を誤まつたことでございまして、まことに遺憾でございますが、実情はさようなことであつたことを御了承願いたいと存じます。  その次に問題になりますものは、五九一から五九八までの災害復旧経費の問題でございます。  それから六〇二から六二三の問題は、これは旧内務省時代に補助金として交付したものの、跡始末の問題でございます。まず内務省分の六〇二号の方で申し上げますと、内務省は御承知通り昭和二十二年末に解体になつたのでございますが、その際に災害復旧事業費の補助金が、内務省には若干残つてつたのであります。これが内務省が解体いたしまして、建設院になつたわけでございますが、こういつた際には、とかく次の官庁への予算の執行が非常におそくなるわけでございまして、下手すると、この金が使えなくなるかもしれないということをおそれまして、補助金額の見通しについてはつきりした確定は持ちませんでしたけれども、早く出さないと、その年度中に工事が完成することができないという心配から、概算的に補助いたしましたことについての問題でございます。  それから前にもどりまして、五九一号でございますが、五九一号からただいま申しましたものまでの前の方の問題は、大きな問題としては、こういうことがあるのでございます。御承知通り、災害土木事業の復旧費は、たとえて申しますれば、国が借金している、予定通り補助金を出し切れないというふうな状態でございます。従いまして、各府県とも国庫の補助金を待たないで、やり越し工事をしている、こういうのが実情でございます。これはこのやり越し工事があるという事件から起つた問題でございます。実はこの事件がすべて昭和二十二年年度中に、二十三年の補助の対象になるべき工事がやり越しておつた。従いまして、二十三年度は物価が、場合によりましては三倍近く上つておりますので、二十三年度で補助金をもらつたのでは、その金がいらなかつた。やり越し工事をやつて余分ができた。こういう問題なのでございます。そういたしますと、その年度だけの災害を考えますと、それだけの金が余つているから、返さすべきだという会計検査院の御主張なのでございます。これは私ども災害復旧費というのは、本省から地方に補助いたしますのは、災害復旧補助費としまして、年度災害にかかわらず、一括いたして補助いたしておりますが、実際の細目の整理につきましては、二十一年災は二十一年災、二十二年災は二十二年災、こういうふうに整理いたしておりますから、二十年災、二十一年災のやり越し工事について、翌年度工事の單価で補助いたしますと、金が余つてしまう、これを返さすべきだというのが本筋でございまして、私どもも、事務をそうして進めております以上は、返さすのが本筋でございますから、納入命令は出しておるわけでございます。また一部納入はいたしておりますが、しかし災害復旧工事は、二十年災は二十年災で最後の竣工認定までいたしませんと、どれだけかかつたかということが確定いたさないわけでございます。竣工認定をいたし次第に、この金は返しております。その点はひとつ御了承願いたいと存じます。従いまして、会計法上から申しますと、会計の経理を乱つたというようなことになるのでございますが、実質的にはやむを得なかつたことじやないかというふうに考えております。それから、実はただいまもちよつと委員長からここでお話になつたのでありますが、余つた金は、県はいらなかつた金であるかと申しますと、御承知通り災害復旧事業は、また国の方が金を借りているようなかつこうで、補助金を出すべきものを出していないので、むしろ県としてやり越しておるのが現在の実情でございますから、これは決してこの金をほかの方面に使つたのではなくして一災害復旧費の方に当然使つておるだろうと思います。実情から申しますと、御了承願いたいものが多いのであります。  それから旧内務省分も同様でございまして、これは今のような物価の問題もございませんので、竣工認定が済み次第に、余つた金については返還を命じておるのであります。  一応簡單でございますが、概括的な説明をこれで終らせていただきます。
  36. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 会計検査院批難に対する政府説明は一応終りました。この説明は区分だけでありまして、深き説明はあとに譲りたいと思います。これに対して会計検査院側の御意見はありませんか。
  37. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 ただいま御説明がありました五九一号以下であります。これは補助金の交付に当り処置当を得ないもの一ただいま概観して申しますと、ここに並べました五九三号を除きます七件、これが交付額が七千百八十六万円に対しまして、約二千六百二十一万円というものが交付超過になつておるのであります。ただいま当局は、仕越し工事がある、だから結論は、こういうものをやつても、実際あまり惡くないのだ、そういうお話であつたのでありますが、これははなはだ意外でありまして、仕越し工事は、これは別問題であります。仕越し工事のよけいの工事を県が進めておるということに対しましては、私どももなぜ早く補助をしないのかというようなことは、のべつ言つておりますが、災害は御承知通り年災ごとに予算をとつております。経理も年災ごとに嚴重に区別してやつておるのであります。後年災でよけいにやつていただいたからといつて、従来の災害補助金をよけいにやつてもいいのだというような結論は、どうしても出て来ないのであります。ことにここに揚げました北海道なり、青森なり、群馬県なり、こういう県が、はたして仕越し工事をやつているかどうかということは、これは個々に調べて行かなければわからないのでありまして、全体として仕越し工事があるからといつて、ここに掲げました批難の件につきまして、そういう論法で、しかたがないとか、やり過ぎではないかというような結論は、絶対に出て来ないのであります。それだけ申し上げておきます。この案件を一つ一つごらんになりますとわかりますが、工事が終つてしまつたので、当然この程度は補助金を幾らやつたらいいかという計算ができるのにかかわらず、予定額をすつぽりとやつてしまつた、そのために大きな補助超過を来している。あるいは御承知通り災害工事は、工事中にまた新しい災害を受けるということは、相当多いのであります。そういたしますと、そこで工事を打切りまして、後年度の新しい災害に転続するということが多いのであります。ここに後年災害に転続になりましたものは、これははつきりわかつておるのであります。それを転続にならないものとして、計算いたした予定額を、すつぽりやつている案件が多いのであります。完成してしまつた、あるいは後年転続になつて打切るようになつた、こういうようなものにつきまして、そういう事実がなかつたものと同じような状態で、補助金をやつておる案件であります。そういうものだけを拾い出したものであります。仕越し工事とは、そうからみ合せてお考え願うと、ちよつと困るのであります。先ほど申し上げましたが、お聞き漏らしかと思いますので、もう一回申し上げてみたいと思います。七件を合計いたしますと、七千百万円交付しまして二千六百万円補助超過になつているのであります。それから内務省廃庁に伴う補助でありますが、これなんかも、あれに一々精査しないと書いてありますが、よく調べればわかつただろうと思うような案件を拾い出したのであります。第六〇二号以下の内務省の分も、いわゆる廃庁補助と申しておりまして、これは昨年の検査報告にもたくさん載つておりますが、内務省廃庁のときに、よく調べないでやつてしまつた、こういうような案件であります。表になつておりまして、この中には、補助の要否が判明しないのにやつたというのと、もうすつかりわかつていて、幾らやれば足りたのに、こんなによけいやつてしまつた、こういうのとありますが、精査したらやるべき案件は、比較的少いのでありまして、大部分はやはり返つておりますので、特に私ども批難間違つていなかつたのじやないか、こう考えております。
  38. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま会計検査院小峰局長からお話がありましたが、これは問題の多いところでございますから、次に政府当局、ことに各局長に一応補助的質問を許しますから、ありましたら……。先ほど聞きました五九八は、愛知県に対して二百四十二万円は払い済みである、こういうことでありますが、それは事実ですか。
  39. 植田俊雄

    植田政府委員 これは昭和二十年及び昭和二十一年の災害の年度区分で、災害復旧費の中で二十年と二十一年の災害をとつた場合におきましては、この通り支払い超過、補助超過に相なるわけてございます。
  40. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 あととの継続はありませんですか。
  41. 植田俊雄

    植田政府委員 たいていの県におきましては、災害復旧費というものは、めつたにないわけでありまして、おそらく愛知県におきましても、二十二年災、二十三年災というものがあつたと思います。しかも二十二年災、二十三年災とこの補助金とは、同じ災害復旧費補助金の中に入つておるわけであります。災害復旧費の補助金の中で、これの金額を二十一年災、二十二年災と区わけをいたしまして補助をしているわけであります。従いまして、こまかく嚴密にやりますと、余るはずだということになりますが、災害復旧費全部からいいますと、余つたよりも、あるいは足りなかつた、県が期待している金額としては足りなかつたというのが常識ではないか、かように考えております。
  42. 田中不破三

    ○田中(不)委員 ただいまの会計課長さんの御答弁は、納得が行かないのであります。災害費全体としては、もちろんその中にあるわけだけれども、というようなお話でありましたが、それははなはだおかしい話で、年度区分を誤つておられる御答弁じやないかと思いますので、ちよつとお伺いいたします。
  43. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいま田中委員からお話のありました年度区分というのが、嚴密に予算の上で二十年災、二十一年災というふうにはつきり書いてあるものでありますれば、災害の予算区分を誤つたということになると思います。しかし私どもこの補助の仕事につきましては、年災の区分を非常にやかましく言つておりまして、年災の区分を誤ることは認めない趣旨でありますので、その範囲内におきましては、会計検査院の御指摘通りであります。しかしながら、その当時における県の事情趣考えてみました場合に、先ほども申しましたように、二十三年度におきましては、その以前の災害に対して物価のスライドを認めまして、高い金で補助金が参りました。ところがその工事は、二十三年度分でやるとすれば、たいていやり越していたものだから金が余るが、その金はおそらく災害復旧事業に充てておられるので、こちら一返せといつてもなかなか返しにくい事情があつたろうと思う。従いまして、確かに形式的には会計検査院の御指摘通りでありますが、実情はこういうことであつたということを申し上げているわけであります。決して検査院批難に対して、反抗しているわけではありませんので、御了承を願います。
  44. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 河川局長目黒君が御出席になりましたから、先ほど留保いたしておきました報告書二百三十二ページ、報告番号五七七、予算使用当を得ないもの、ないし報告書二百三十七ページ、報告番号五八九、納付すべき所得税を他に流用していたもの、以上十三件を一括いたしまして説明を求めます。目黒河川局長
  45. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 予算使用当を得ないもののうちで、各建設局で職員宿舎を建てたものがあります。ここにあります通り、東北三棟、関東二十五棟、中部十棟、中国四国一棟であります。これは、終戰後の住宅難の問題と、戰時中工事が中止されておりましたものが、終戰後公共事業費相当増額し、積極的にやらなくちやならぬというようなことのために、相当人を移動しなければならなかつたというような関係で、どうしても現場の宿舎が払底いたしまして、そのためにやむを得ずこの工事用の宿舎を建てたのであります。もちろんこの時代には、御承知通りに、労働攻勢も一方にありましたし、こういうふうな職員の待遇の問題等に関しまして、相当強い要求もあり、やむを得ずこれをやつたのですが、最近におきましては、公務員宿舎というようなものが予算に組まれましたので、この点は工事費を流用するというようなことは、全然やつておりません。われわれとしても、当を得たものとは思いませんでしたが、一応過渡的な手段としてやむを得ずやつたのであります。
  46. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの目黒局長のお話になりましたことにつきまして、植田会計課長から補足説明があります。植田君。
  47. 植田俊雄

    植田政府委員 五八九の、所得税を他に流用していたものでございます。これはまことに申訳ない次第でございますが、昭和二十三年度当時におきましては、職員の生活不安と申しますか何と申しますか、相当動揺がございまして、何らかの形で貸付でもいたしませんと年が越せないというふうな事情がございましたので、地建の当局といたしましては、建設工事を維持するためにも、やむを得ず財源を一応農業協同組合から借りましたり、あるいは国に納めるべき所得税を納めないで、一応立てかえ財源に充てたり、こういつたことをいたしたのであります。所得税というような国庫歳入の重要なものを、一時他に流用いたしましたことは、まことに申訳ないことでございます。私どももこういうことをやつておろうとは全然知りませんで、出まして驚いたような次第でございます。この所得税から流用いたしました金額も、四月の二十一日には納めております。今後はかかることが全然起らぬことを私ども期待し、またそういうことについては十分出先機関に注意いたしたい、かように考えておりますから、御了承願いたいと思います。
  48. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 中部地建というと、名古屋でございますか。
  49. 植田俊雄

    植田政府委員 そうです。
  50. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 こうした問題は、他の官庁にもなきにしもあらずと存じますが、ぜひともそういうことのないようにしていただかぬと、官庁自身から乱すようなことがあつてはかえつていけませんから、よく事前に政府当局と打合せの上において、間違いのないように、ひとつ本国会を通じて申し上げたい、かように考えておるのであります。  住宅局長伊東五郎君がおられますから、この際関連して質疑を許します。
  51. 田中不破三

    ○田中(不)委員 目黒局長さんがお見えになつておりますので、前にもどつて少しお伺いいたしたいと思います。  まず第一が工事費分担金徴收処置当を得ないという五六八から五六九でございます。もちろんここに示されております年度というのは、日本国の財政も、地方財政も、相当に困つてつた時代でありまするので、そういう案件相当出たかと思います。しかしだんだん地方財政が確立して参りました昨今においては、次第にこういうことは少くなつて来ておるのではないかとも思うのであります。それで私どもこれをずつと拝見いたしましても、あるいは実際に実地調査をいたしましても、もちろん個人、会社等に対する徴收については、相当嚴格にやつておられます、なかなか峻烈にやつておられまするが、公共団体あるいは公共的な組合というふうなものに対する徴收は、比較的穏便に過ぎているのではないか、もちろん公共団体その他でございますから、信用は十分ありまするが、こういうふうな公共団体に対して徴收すべきものについては、相当に緩和的な考え方を持つておられる箇所が多いようにも思われたのであります。そこでまず検査官がごらんになつた場合に、その点で少し緩慢に過ぎてはいないかというようなお考えを持たれるかどうか、これを第四局長さんにまずお伺いいたしたいと思います。
  52. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 田中さんの御質問にお答えいたします。おつしやる通りに、相手が公共団体の場合に若干甘いという面も、たとえば個人が租税の滯納について差押えを食うという場合と比較いたしますと、そういうようなお考えをお持ちになるのも、ごもつともだと思うのでございます。この分担金につきましては、これは建設省も実はなかなかやかましいのでありまして、これは建設省の方からお話があると思いますが、私どもの予想以上に割合によく入つておるのであります。ただ平年くらい遅れたというのは、予算関係なんかで間々ございますが、私どもの方といたしましては、そういうものは早くとるように、御注意はいたしますけれども検査報告にあげるようなことは、実際はいたしておりません。これは案をごらん願いますとわかりますが、五六八の方は、二十二年度中に本来納めるべきものです。それが間を一年置きまして、二十四年の五月になつて会計検査をしたところが入つていない、こういうことで、検査報告にあげたわけであります。これはその後すでに県から納めていただいております。  それから五六九の方も、二十一年度分、二十二年度分でありますが、これも二十四年の六月に検査をいたしましたところが——これは市町村の負担分に相当する分でありますが、それが入つておらないのであります。いかさま例外的におそいという案件でございます。これもその後收納しております。地元の負担というと、えらく地元に負担をかけるようでございますが、これくらいの金額は、十四町村でありますから、一町村にしますと、そう大した金額ではないのであります。地元の道路もよくなるのでございますから、お納め願つても、そう無理とは思われない程度案件であります。分担金はそういう状況でございますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  53. 田中不破三

    ○田中(不)委員 今の小峰局長さんのお話で、公共団体その他に対する微收関係の模様は、一応はわかるのでありますが、この案件の後には、地方財政もややよくなつて来ておるように思われるのでありますが、最近における分担金徴收はどういうふうに相なつておりますか。依然としてまだ改められておらないのか、あるいは相当に改善されたのかということについて、御意見をお伺いいたしたいと思います。
  54. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 この分担金の問題につきましては、実はわれわれは非常に頭を悩ましておるものであります。そこでここへ出ましたのは、先ほどお話の通り、特殊な例でありますが、どうも府県から納めてもらうのが、なかなか府県の財政のやりくりがございまして納まらない。そこでわれわれといたしましては、実は公共事業の新規の箇所、あるいは予算獲得のために各府県の関係者がおいでになりますが、それらの人には、分担金を納めないところは費用はやらないぞと強いことを言いたいと思つておるのですが、これもなかなか思う通りになりませんので、それで私自身の行き方としては、私の部屋に分担金納入状況を張つておきまして、それを見ていただいて、陳情をしていただくというような作戰をとつておるのであります。その後は大分それでよくなつて参りましたので、こういう問題は、将来は起きないと考えております。
  55. 田中不破三

    ○田中(不)委員 そこで、このように約二年がかりでまだ納入されないというふうな案件は、あるいは今でもあり得るだろうと思いますが、ただそういうふうに漫然と放置されずに——もちろん督促はされましたでしようが、そういうように二年間も漫然と放置されずに、とれを市町村の財政能力に応じて初めから計画を立てて分納させるというふうに、会計処理をきちんと明確にさせて、——いつまでも全額を納めろくと言うておりましては、これはなかなか納まらない。だから、できる限り督促する一つの方法として、初めから納まりそうもないものについては、ひとつ見当をつけて分納さすというふうな方法、あるいはそのほかいろいろとあると思いますが、そういうようなうことを、このときにお考えにならなかつたのか。また今後そういうような方法でもとつて、できるだけ徴收するように努力をされることが必要じやないか、それについてお考えを承りたいと思います。
  56. 植田俊雄

    植田政府委員 分担金の問題は、翌年度予算の配賦にあたりまして、いつも大蔵省から指摘を受けて、苦肉の策として、ただいま局長が申されましたような策をとりまして、やつておるのであります。昨年度のように、地方財政年度半ばに至るまで確立されない場合においては、私どもとしましては、そう言うのは非常につらいのであります。つらいけれども、片一方金を出す大蔵省の立場からいいますと、言わざるを得ない立場でございまして、私ども、中に立つて苦しんでおるような状態であります。先ほど小峰局長から、遅れがちであるけれどもつておるとおつしやいましたが、打明けて申しますと、小峰局長がおつしやるよりは、まだもう少し惡いのでございまして、実際は一年遅れ程度には入つております。従いまして、二十三年度のものは、二十四年度中には全部納まつておる、それから二十四年度のものは、二十五年度中には大体納まる見込みである、大体こういうような見当でございます。農林分担金につきましては、工事の完成後分納するという制度がございますが、従来、河川道路については、そういう制度がございませんし、また一時的に一箇所やつて、翌年は工事がだんだん減つて行くというようなものじやございませんで、建設省工事は、数年、長ければ十年も続くような工事でございますので、うしろに延ばしましたところで、いずれにしても県の負担になるのでございます。分担金の苦しいところにおきましては、私どもとしましては、あるいは歳出官庁でございます大蔵省に了解を得るとか、あるいは会計検査院事情をよくお話するとかいうことをいたしまして、あまり無理のないようにはいたして行きたい、かように考えております。
  57. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から補足して申し上げまするが、先ほど来しばしば応答せられました通りに、六〇二より六一三、補助金の交付に当り処置当を得ないもの、こういうものは、旧内務省関係でありますが、まことにおもしろくないようなことになつております。これらにつきまして、うまく解決いたしましたか、重ねて質問をいたしたいと思つております。
  58. 植田俊雄

    植田政府委員 内務省は解体いたしましたが、そこで仕事をやつておりました者は、すべて建設省にずつと残つておるわけでございます。先ほども申し上げましたが、災害復旧の補助金は、その年度災害の竣工認定をまたないと、幾ら余るかということは、確定しがたいものでございます。だから、この竣工認定というのを急いでおるわけでございますが、六〇二から六一三の間で竣工認定を終つておりませんのは六〇三と六〇六と六〇八、この三つにつきましては、ただいままだ終つておりません。これはいかにも怠慢のように、御存じでない方はお考えになるのはごもつともでございますが、決して着手しておらないわけではございませんで、着手はしておるのでございますが、県と建設省との書類のやりとり、あるいは出張しましたときに、はつきりした書類ができ上らないという意味でございまして、決してこの三つとも放置しているわけではございません。従つて大体事業は竣工認定をやつておると申していいわけでございます。竣工認定いたしました。結果、幾ばくの金を返すべきかということが決定いたしまして、納入済み——竣工認定が終りますと、残金還付命令を出します。これは竣工認定を終りましたものは、全部出しておりまして、そのうち納入されましたものは六〇二、六〇四、六〇七、六一二、こういうものにつきましては、すでに補助金の過ぎましたものは返還になつております。かようにいたしまして、全部の項目につきまして、はつきりとした結末をつけたい、かように考えております。     〔三宅(則)委員長代理退席、金光委員長代理着席〕
  59. 三宅則義

    三宅(則)委員 せつかく目黒局長、菊池道路局長おいでになりますから一、二質疑を試みたいのであります。建設省はわが国の国土建設並びに文化の開発上、きわめて有力なる事柄をやつておるわけでありまして、ことに河川とか道路というものは、日本国民津々浦々まで、十分にその恩沢に浴するわけであります。ここで聞きますことは、ちよつと方角違いかと思いますが、実際予算決算とは、きわめて重要な関係にありまするから、この際ひとつ局長からお示しを願いたいと思うのです。見返り資金その他の資金を流用いたしまして、河川に、あるいは道路に使つておることと思いますが、この機会に、どのくらいありますか、全貌の一部分でもよろしゆうございますから、承れれば仕合せであると存じます。
  60. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 河川の分につきまして申し上げますと、見返り資金でやりましたのは、大体大きな堰堤四箇所、川が数本、砂防工事が数億程度、結局三十三億現在使つておるのであります。そこで来年度予算になりますが、御承知のように、来年度は見返り資金が打切りなりますので、これに対してどうするかというのが現在の悩みであります。しかしながら、こういうふうな大きな堰堤を着手しましたことは、結局は河川本来の工事の一部なんでございまして、これを継続することが最もいい方法でありますので、予算の中から相当の額を捻出しまして、この事業をさらに継続して行きたい。ただ最初見返り資金を予想したときの計画通りには参らぬかと思いますが、ある程度延長しても、この事業を継続して行きたいというのが、現在の状況であります。
  61. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの目黒局長のお話に、私も同感であります。治山治水といい、国土開発といい、これは短日月にやられるものでないのは、当然のことです。見返り資金も、なるべく使いたいというのが、われわれの念願でありますが、ただいま仰せになりました通り、講和も促進せられまして、いつまでもこれが続くとも思われ得ないのであります。われわれ議員といたしましても、万難を排してそういうような予算を組み、また決算のときにあたりましても努力いたしたい、かように思うわけでありますからして、多少方角は違つておるかしれませんが、これに関連いたしまして、着手いたした工事については、ますます完成に努力せられたいと思います。ここで聞いてははなはだ失礼ですが、今後どのくらいかかりますれば、あなたの目的の域に達するようになつておりますか、ごく簡單でけつこうですから、承りたいと思います。
  62. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 一番問題になりますのは、ダムであります。ダムは最初は三箇年計画を目途にしてやつたのでありまするが、来年度予算がそのまま行きますれば、一番長いので五年、あるいは場合によりまして、非常に小さい仕事でありますと、最初の計画通りやれるのもあります。一番長く考えられますのは、東京地方におきまする鬼怒川上流の五十里ダムであります。あとのダムはそれ以内に仕上ると思います。
  63. 三宅則義

    三宅(則)委員 河川局長のお話で、私どもも意を強くするわけであります。これに関連して、道路局長に御質問いたしたいのですが、わが国の道路につきましても、昔の国道は非常に狭くて、荷馬車が通り、人力車が通るための国道でありましたが、今日は超スピードのハイヤーやトラツクが通るわけでありますから、わが国の国土建設上においては、道路をきわめて完全にしなければならぬのであります。これまた河川と同様見返り資金とかその他の資金を融通してやつておられるだろうと思いますが、これに対しまする見通しを、局長から簡單でよろしゆうございますから、この際承りたいと思います。
  64. 菊池明

    ○菊池政府委員 道路関係につきましては、今年度見返り資金から三十九億一千万円だけ道路事業をやつております。おもなものは、東海道の整備に十八億、それから大きな橋を整備いたしますのに十億五千万、それからその他の、主として開発的に重要なものを選びまして十億六千万、それを合計いたしまして、先ほど申しました三十九億一千万円、これを現在執行中でありまして、ほぼ予定通り進行いたしております。来年度の問題でありまするが、これらを完成いたしますには、実はまだ数十億必要なのでありまするが、御承知のように見返り資金は打切りになりましたので、とにかく手をつけましたものを有効に利用できるように、始末をつけることが等一であります。橋梁の方は、どうしても何とかしませんと困りますので、全部完成するようにいたしたい。それから東海道も、もちろんまだ全部では八十七億ばかり必要なのですが、本年度手をつけました部分が、在来道路にとりついて通れるようになりますように一応片づけたいということで、それからその他の生産関係に必要なものも、できるだけやはり続けてやりまして、在来道路にとりつくように努力したいという方針で、今検討中であります。
  65. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの菊池局長のお話によりまして、見返り資金は、いよいよ打切りになるが、一旦手をつけたものは、何とか完成したい、この御趣旨にもわれわれ賛成です。日本の治山治水といい、道路の開発といい、まことに必要欠くべからざる事業でありまして、何といたしましても捻出しなければならぬという断定が下されるわけであります。しかして、はなはだ申しにくいことでございますが、およそ建設省関係につきましては、いろいろ工事途中でありましたり、またいろいろな関係からして、簡單に完了しないものが多いわけでありますから、これを監督する上におきましては、局長はもちろんのこと、技官の方、あるいは課長さんあたりが、十分に監督せられまして、所期の目的を先途するように努力してもらいたい。とりあえず今のもくろみをもつてすれば、来年もしくは再来年あたりには、一応今のお考えになつておりまする東海道の開発でありますとか、あるいはその他の道路の開発というものは、完了する見込みでありましようか、この際承れれば幸いであります。
  66. 菊池明

    ○菊池政府委員 ただいま申しましたように、橋梁の方は完成いたします。東海道の関係は、この二十六年度で完成と申しましても、舗裝までを見ておりまするから、完成というわけには行きませんが、一応大型のバスも通れることかと存じております。通れるようにはなりますが、まだそう早く走り得る程度にならないところが——せめて十億ぐらいあれば、相当走れるようになり得ると思うのですけれども、それも今度はなかなか一般公共事業費からは捻出できないだろうと思います。ですから、完全とまでは行きませんが、今度十八億かけた部分は、完全に利用できるようにはなるという考えでおります。
  67. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一言だけ追加いたしまして、道路局長並び河川局長に注文というほどではありませんが、御研究を願い、御努力を顧い、われわれも協力したい、こう思うわけです。いろいろな問題が起つておるのでありまするが、われわれといたしましては、国の開発がうまく行き、また国民の幸福になり、利益になり、便益を保持することができれば、まことにけつこうであるという意味合いから、われわれも国会議員の一人といたしまして、すみやかに国の開発と国土の建設ができるように、念願しておるわけです。日本は負けた国ではありまするが、およそ文化の基礎というものは、私は言うまでもなく治山、治水であり、また道路の開発であると思う。ほかのことももちろん必要でありますが、まず重点的に考えまして、そういう基礎的な事業を完全にしなければ、あとの方も完備しない、こういうことが常識であります。多年建設関係、内務関係に御努力なされました両君のごときは、特に日本の至宝であると思いまするから、しつかりとひとつ技官等を督励せられまして、なるべく早く完成し、また国民の便益になるように、渾身の勇と努力を払われたい。同時に、われわれも国会におきまして、予算の面におきましても、その他の面についても、努力いたしますから、やはり政府も議会も揮然一体となつて、惡いところは正し、よきところは助長せしめまして、国利民福を増進する、この線を強く出していただきたいと思いますから、この際はなはだ恐縮でありまするが、両局長から決心のほどを承りたい。
  68. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 われわれのために非常な鞭撻を受けまして、非常に感謝しております。日ごろわれわれの主張しておりますのは、今お話の通りの気持でおります。ただいろいろの予算関係や何かから、この計画が、おそらくわれわれの希望する半分にも行かないというのが現状でありまするが、われわれは、この半分以下の予算を、まず有効に使つて行くというのが一つの目的でありまして、その次には半分以下あるいは三分の一というようなものから、逐次その目的の予算の獲得のために努力しなくちやならぬというふうに考えております。
  69. 菊池明

    ○菊池政府委員 私も長年道路関係に従事いたしておりまして、特に現場の工事等にも携わりまして、工事を執行いたします面につきましては、及ばずながらやつてつたと思つております。予算の問題もちろん容易なことではありませんが、今日の状況では、特に道路関係では、何しろ機械の利用ということが、わが国におきましては、諸外国に比べまして約二十年以上遅れておりまして、それを取返して、資金を有効に使うという面に努力いたし、また部下を督励いたしまして、その面から少しでも安く、早く、工事ができますように念願いたしまして、今努力いたしておる次第であります。ただ私がおそれますのは、この機会に申し上げてはいかがかと思いまするが、できるならば、国会におきまして、そういう予算があまりに分散しないように——非常にこまかく、百万とか二百万とかいう工事がばらばらに散ることが、やはり建設工事に支障を来すのではないかというふうに思います。でき得るならば、有効なものを重点的にやるという線に、どうしてもお考え願いませんと、ほんとうの建設工事を、特に経済的にやりますには、こまかいものをたくさんやつたのでは、どうしても不経済になる。特に直轄工事のごときは、ちやんとまとまつたものをりつばに仕上げて行くという線に進まなければならぬ、われわれはそう考えております。どうかちようどよい機会でありますから、そういう面に御協力を賜わりたいと思います。
  70. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一点、関連して——伊東局長おいでなつておりますか。——それでは局長がおられませんから欠席裁判ですが、住宅ということもまことに重大な問題でありまして、国土開発の基準は、道路であり治山治水、河川でございまするが、そのほかに住宅ということにつきましても、私どもこの委員会で聞くのはどうかと思いまするが、やはり都市を、周辺の都市並びに都市計画と関連いたしまして、ひとつ完備してもらいたいと思います。来たときに言いますが、一応私からも特に強く要望いたしまして国民は一活の安定と文化の啓発にひとつ努力してもらいたい、かように思つております。
  71. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 ただいま道路局長から、今度道路の修築等に対しては、機械を用いられるというような御意見でありましたが、東北一帶また北海道にわたつては、冬期間ほとんど雪のために自動車が通れない。これに対して、当局が多少の機械をもつて除雪いたしたならば、東北の道路というものの利用面が非常に効率的になると思いますが、これに対して何か建設的な施設をおやりになる御意見があるかどうか。これはもしなかつたならば、東北の国道だけでも常に自動車が通れるようにぜひとも御考慮を願いたい。この機会に特に要望いたして御意見を伺いたいと思います。
  72. 菊池明

    ○菊池政府委員 除雪の問題でありますが、北海道におきましては、すでに機械を入れまして、札幌の附近等は昨年からやつております。それから東北地方でも、ごく一部やつておると思いますが、何しろまだ機械の数が十分でありませんし、一台四百万、五百万という機械なので、なかなか普遍的におまわしすることができないので困つておりますが、機械を買うことのほかに、機械を維持して行くために、そういう小さな工場等を同時に整備しなければ、機械を買いましても遊びます。一連のそういう大きな構想のもとに動かしませんと、ぐあいが惡いので、まだそこまでなかなか十分に行かないわけであります。今仙台の局におきまして、何がしかの機械を維持して砂利道等を修理しておりますが、やはりあの機械が除雪の場合には、利用されるのでありまして、できるだけ早く拡充したい、こういう線で来年度も機械費を若干御要求申し上げてあるのですが、できるだけすみやかにそういう線に沿いたい、こう思つております。
  73. 井之口政雄

    井之口委員 道路局長並び河川局長に二、三お尋ねしたいと思います。この間のジエーン台風のときに、私は調査団として関西方面に参りました。あの時分に大阪の西部方面から西淀方面、それから兵庫県の尼崎方面にかけて、非常な水害をこうむつたり、大風のために高潮が参りまして、ほとんど一箇月ぐらいにわたつて、毎日区内に潮が入つて来るというふうな状態でありました。あの防潮堤の建設、またあそこの道路の改修というふうなことに対して、今日どういう計画が進められておるか。これが一つ。  それから、大阪、神戸間には約四十メートル見当の、非常に厚いベトン張りの大道路が建設されるというふうなことを地方当局が申しておつたのでありますが、こういうふうなものがはたしてああいうところにいるのか。これはむしろ今あるところの阪神国道のようなものをりつぱに舗裝を完備してやれば、十分に用が足りるのであつて、これ以外にこうした大道路を並行して通すというふうなことも不必要であると思いますが、何の必要があつてそういうふうなことをされるのか。もしあの調子で考えてみます場合に、やがて七十八億円からの金を使つて、東海道の道路計画をされる。しかもその間の橋をみな十億も使つて、おそらく修築するのでありましようが、使つてやられるといたしますならば、はたして東海道線にそれだけの大道路を必要とするのか。この道路計画は戰時中からの道路計画の延長なのか、終戰後新しい何かの方針が別個にきまつて、そうして日本の将来の運命を決するような大方針のもとに、何かこういう計画が立てられているのか。その点を道路並びに河川の責任者の方から、お聞きしておきたいと思います。
  74. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 昨年の大阪地方の水害に対しましては、大阪の特殊事情、非常に重要な昨業を持つておりますので、そういう観点から、これに重点を置かなければならぬ。そこで本年われわれとしては一応災害復旧事業費の予備費百億の中から一部これを出すということを決定いたしましたと同時に、御承知通り補正予算も組んでいただきました。大体阪神間に現在行つておりまする予算は、工事費にいたしまして、私のところの関係だけでも本数億行つておると思うのであります。この程度参りますると、全部完成いたしまするには、おそらく四、五年で完成いたすと考えております。現在の堤防を全部今度起りました高潮に対して十分安全なる高さまで持つて行く。もちろんそのためには堤防内の内水の排除といいますか、下水の処理もありますし、排水の関係もあります。さらにもう一つの問題としては、まだ予算化しておりませんが、目下研究中なのは地盤沈下をどうするかという問題であります。一応尼崎あるいは大阪は、終戰と同時に沈下はとまりました。これはおそらく工場が活動を停止した原因によるということになつておりまするが、さらにこれが終戰後また活況を呈して参りまして、沈下の現象が起きつつあります。それでどうしてもこの沈下に対して根本的な施策を講じませんと、いくら堤防を補強いたしましても、またそれが沈下して行くということになりまして、どうにもなりませんので、これに対して、いかなる方法を講ずべきかということを、目下研究中でございます。現在考えておりまするのは、結局地下水が工場用水のためにとられるということになりますので、この地下水をとらないように、工業用水を別に補給してやるべきだということが問題になつております。これにも相当予算がいることでありますし、あるいは市の水道というようなものの協力も得ないと、できませんのですが、そういう問題が残されてあるという以外には、一応の形は将来整うと考えております。
  75. 菊池明

    ○菊池政府委員 阪神間の道路を新しく何十メートルかにするというようなお話がありましたが、それは私どもはまだ伺つておりません。そういう計画は、あるいは将来百年の大計とかいうような、夢のような計画はあるかもしれませんが、当分とても実現は困難だと思います。まあ当分の間、現在の阪神国道でがまん願うよりほかないと思います。それから東海道の関係ですが、これはもう戰前昭和六年ごろからの計画募りまして、それがなかなか今までできなかつたわけなんでありまして、何も今やつておる仕事の内容は事新しいものではありません。三間とか四間とかいうもとの計画をやつておるわけであります。今まで二十年来手がつかなかつたところをやつておるだけであります。幸いに見返り資金があつたので、それで急にそういうことになつたのでありまして、そう別段な意味はないわけでございます。日本の一番幹線でありまするから、まずそこから手をつけて行こうというだけのことで、もとの方針を大体やつておるわけであります。
  76. 井之口政雄

    井之口委員 この道路並びに河川の方面で、たとえば今日の連合軍の必要としているというふうなものがございまする場合に、それは終戰処理質からやられますか、やはり建設省で組まれている公共事業費だとか、あるいはまた見返り資金の運用というふうなものでやられるのですか、そういうふうなものはどうなりますか。
  77. 菊池明

    ○菊池政府委員 ほとんど軍のみの必要だというわけで要請されるものは、終戰処理費で扱つております。
  78. 井之口政雄

    井之口委員 軍のみでなく軍の命令で建設するというふうなのがございますか。今までもありましたか。
  79. 菊池明

    ○菊池政府委員 そういうものはございません。
  80. 井之口政雄

    井之口委員 たとえば、終戰処理費の決算面を見て参りますと、これで飛行場の建設が行われておるのがたくさん出ております。かつそれの実施等につきましても、いろいろな不当事項としてあげられております。これは古いところは内務省関係でありますが、建設省関係でやられるのでありますか、どうですか。
  81. 菊池明

    ○菊池政府委員 それは建設関係ではございません。
  82. 井之口政雄

    井之口委員 たとえば三次飛行場の問題なんかも二十三年度に出ておりました。これは特別調達庁の関係で、建設省の方では全然関係されないのでありますか。
  83. 菊池明

    ○菊池政府委員 それは調達庁の関係で、建設省関係ではございません。
  84. 井之口政雄

    井之口委員 今の尼崎の防潮堤の問題でありますが、あの防潮堤だけでも、最低十七億、相当のものをつくれば二十三億ぐらいというふうな地方自治体での話であります。それを五年間ぐらいで建設するということになりますと、その間に高潮が上つて来ると、少々ぐらいつくつても、またこわれてしまうというふうなことに立ち至るだろうと思います。それから局長はあそこの現地を視察されたかどうか知りませんが、どろどろのどぶ水が流れておりまして、実に不衛生きわまるわけで、しかもその沈下の度合いは十年に一メートルぐらいずつ下つて来るという状態で、工場地帶はもう少しく下つたらどうなるかと思うのでありますが、これは嚴格に何か科学上の検討によつて、地下水さえ防止すれば沈下がとまりますでしようか、その辺御研究はどうなつておりますか。
  85. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 阪神間の問題で、河川の私の関係しておることを申し上げだのでありまして、実は阪神間の問題は、各省に関係があるのであります。ことに尼崎の防潮堤の問題は、これは運輸省の港湾局がやるということに協定ができておりまして、目下港湾局が計画中であります。もちろんあそこに神崎川とか多くの河川がありますが、河川の部分につきましては、私のところでやるというような協定がついております。あそこの防潮堤につきましてはわれわれ仲間でも相当議論をしたのであります。というのは、あの防潮堤を前面に一本つくつて全部を囲うか、あるいは各個にブロツクで囲うかという利害得失を論議されたのですが、結局金の安い、一本で前回に丈夫なものをつくろうという結論に到達したのであります。そこでこの問題に対しては、今のように工事に三年もかかつているうちに、もしも高潮があつたらどうするかというような危險性があるので、その問題につきましては、地元の意見を聞かなくちやならぬというので、尼崎の市長並びに市会の方の意見を聞いたわけであります。そこでそのときの話では、将来永久的な完全なものをつくり、工事を生かすという意味において、一本の防潮堤に賛成である。ただ国の予算関係で、これが延びるようなことがあつた場合には、尼崎市單独でも、この事業をある程度進めて行きたいという、強い意見が現われたのであります。それでその間もし災害という問題になりますれば、これは現在あります堤防を、ある程度災害復旧費で補強して行きたい。そういたしますれば、そう大きな高潮がない限りは、一応安全であるということになつたわけであります。そこで尼崎の地盤沈下の問題でありますが、これは先ほど申し上げましたように、まだ結論までには到達いたしておりませんが、調査によりますと、尼崎が終戰後工場が活発でなかつたときには、沈下がとまつておるという事実が発見されたのであります。それでその後工場が多少活気を呈して来たから、さらに沈下を続けて来ておるというわけで、工場の活動の状態と地盤沈下の状態とは、ある程度の連関性があるということだけは、はつきりされたのであります。それで結局地下水をくみ上げるための原因ではないか、大体そういうところで、今後それを確定すべく調査を進めて行きたい、こう思うのであります。そこで私も、兵庫県には長くおりましたし、十分承知しておりますが、あの辺の沈下と、あの辺の下水処理の問題は相当問題であります。そこであの河川の浄化をどうすべきかということを考えられたのであります。結論としては、やはり河川に集まつて来る水を利用して、水をフレツシユにするという以外には、ないのではないかということになつております。さらに工場内あるいは堤防内の下水処理の問題は、これも将来としては、十分計画を立てて行かなければならないじやないかというふうに考えております。
  86. 井之口政雄

    井之口委員 それから淡路の沿岸の道路が、この間の大風で全部いたんでおります。なお和歌山県の沿岸も、大分いたんでおります。それで予備費の百億円の半分ぐらいは、あの災害道路に使つてつて、あと五十億ぐらいしか残つていない。その上に追加予算を組んだところで、兵庫県の全体に割り当てられたならば、淡路のそうしたところの道路を急速に改修しなければならぬというふうなことになると、結局尼崎辺や、そういう基本的な道路、防潮堤の修理改善というようなものはできないじやなかろうかというふうに思うのでありますが、その辺の確信に対してはどうでございますか。
  87. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 災害復旧費と、それから今の高潮防禦というのが、いろいろ錯綜して予算に組まれております。そこで来年度——今御審議つているのは海岸堤防のために、来年度は七億、私のところに出すことになつております。それからその他の費用として、百八十数億の災害復旧費があります。そこでこれを二つ組み合せて、海岸の問題を施工して行かなくちやならぬのでございますが、御承知通り災害復旧費はわれわれの希望通りには参りませんで、非常に少いのでありまして、災害復旧でやつておるところと阪神間の今の高潮防禦でやつておりますところとは、おそらく阪神間の方が進むのではないかという推定をわれわれはいたしております。今の淡路とかその他の海岸の問題は、他の地方の海岸の問題と同じような歩調である。ただ大阪、尼崎関係だけは、特殊な関係で少し早く進めて行かなくてはならぬというのが、われわれの今の予算上から見た進行状態であります。
  88. 井之口政雄

    井之口委員 道路局長にお尋ねいたしますが、淡路また和歌山県の海岸の道路が破壊されて、寸刻もゆるがせにすることができない状態になつております。あれは今日は復興しておりますか。
  89. 菊池明

    ○菊池政府委員 実は災害復旧関係は、道路関係もまとめて、河川局の方でやつておるのでございますが、もちろん交通の関係もありますので、われわれの方でも見ております。多分そういうふうにすぐ交通に支障のあるところは災害復旧関係で応急工事をやつておると思います。
  90. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまの局長からのお話でありますが、地元においては、寸刻をゆるがせにできない場合がたくさんある。そのために、借入金だとかいろいろなものをもつて救急の工事をやつている。先ほどの御説明でも、不正の事件が起つて来たのは、大体そういうふうに前もつてつたものだからあとから出して来た。それを会計検査院指摘されているというふうな御説明がありました。しかし会計検査院の方では、そういうふうなものは入つておらぬ、そういうものは支払いの方が遅れているのだから、むしろ支払いの促進の方には入れてあるけれども、こういう不当な事項としては、むしろそういう方面のものはあげておらぬというようなお返事でございました。いろいろな工事というものは非常に急ぐ、こういう場合に、早く何とかしたい、また地方にまかせておいたのでは、当然急ごしらえの応急の処置しかできないために、その工事は非常におろそかになる。その金をあとから政府に要求するということになつては、たとえば河川といたしましても、河の曲りかどなんかを掘つて、十分下からコンクリートで固めて来なければならぬのを、ただその上にぽんぽん積んでしまう、だから一ぺん水が出ると流れてしまう。現に群馬県で、私は見たのであります。きのうできたばかりというのに、すぐ翌日の雨で流されてしまう。そういう工事がたくさんある。そういうことについては政府の方としては、十分これを防止するようなふうに方針をきめておられますか、どうですか。
  91. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 もちろん災害が起きましたときには、一応の応急の処置を講ずるということは交通関係あるいは水の流入を防ぐというような問題で起つて参りますが、私どもとしては災害は現地において査定をして災害額を決定する。もちろん工法の問題も論議しますが、そういうわけでありましてあとから行つて見て、この場所にはこれが適当かどうかということになるわけであります。そこで応急的に使つたものでも、場合によりますと、それがほんとうの工事には役立たない場合があります。そこでわれわれとしては本工事に役立つものはそのときに災害費として国庫補助の対象にしようということになつておりますので、全部が全部その通りにはならぬかもしれませんが、ある程度工事としてその一部の費用は組み入れて参ります。それであとから県に金が行くような形になりますが、結局は補助の対象になる部分があります。そこで今お話のような応急的にやつたからということで施工が粗漏になるというようなことは、大体府県におきましては、こういう場所は査定後の——査定後といいますか、国から査定官が派遣されて工法を打合せてからあとにいたすようにしておりますので、応急工事にはそれほどの大工事は着手されないと思います。われわれとしても、そういう点は十分注意しまして、再びこわれないような仕事をして行きたいと思つております。
  92. 井之口政雄

    井之口委員 請負工事が非常にずさんであり、また工事の中で手を扱くというような不在事件が、いろいろこの工事にはからんで参るのであります。会計検査院でも、その点がなかなか調査ができないと見えまして、これに実際上の調査がなかなか出ていない。そこで工事を徹底的に正しく完成するために、地方でやる場合も、また国家でやる場合も、この工事が十分に正しく行われておるかどうかを見る何か特別の監督機関というようなものを設ける方針でやつてみたならば、工事における不正が大分少くなりはせぬかと思うのですが、そういうふうなお考えはどうですか。
  93. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 主として請負工事のお話ですが、請負工事が疎漏になるということは、結局その契約した請負金額が妥当であるか妥当でないかという問題になると思います。そこで最近のようにダンピング式な競争が行われます時代には、相当安く請負入札をする場合があります。その場合に利潤といいますか、利潤以外に損失をこうむつてまでその事務を遂行させなければならぬことが、みすみすわかつておる場合がありますので、それでも監督を嚴重にしてやつて行かなければならぬ場合が相当あります。そこでそういうふうな状態に置くことが一つの欠点だと、われわれは考えております。それを是正せんがためには、請負人の質の向上と、請負人の整理という問題を考えなくてはならぬと思います。しかしながら、今建設省で業者の登録をやつておりますが、この登録者それ自身も相当多いので、全部入札方法を公入札その他によつて公平にやつて行きますと、入札方法の公平を期するために、従つて今のような問題が起きて来る。それならば、それを指名入札にするかどうかということになりますと、今の請負人の排撃、排除という問題が起きて委して、これもなかなかむずかしいというようなことで、その事後の監査よりも、この制度そのものを先に研究していただくというのが、請負人の問題だと思います。請負人を生かして行くためには、ある程度工事上に必要なる請負人以外の請負人は要請しないくらいのことを考えませんと、今のようなことになるわけであります。これが一つの原因であります。それからもう一つは、それならば請負人を縛つて、監督を非常に嚴重にするということにいたしますれば、ある程度は是正されるかもしれません。是正されるかもしれませんが、結局その場合には、その請負人を請負人的な存在から排除する、いわゆる業を捨てさせるという強い決心がつかなければ、そこまでは参らぬ。参らぬというよりは、年がら年中その土地につき切りにいるだけの職員がありません。従つて職員のいないときの不正というか、手拔きというものは、なかなか発見されにくいのであります。結論的に申し上げますと、結局請負人の質の向上以外にないのではないかというふうにわれわれは考えております。  それから今の不正の問題でありますが、不正問題から起つて来るものとしては、結局忌まわしい役人の事件であります。この問題は会計検査ではとうていだめでしようし、いわゆる上層部の監督という点においてこれを是正するということも、なかなか困難で、結局これは人の問題に帰着すると思うのであります。やはり嚴正公平な、いわゆる公務員としての精神を十分に把握した人間でなければだめだということに帰することになると思います。
  94. 井之口政雄

    井之口委員 專門家の局長のお話を承つておりますと、そういうさまざまの矛盾、さまざまの困難性があることは首肯されます。どうしてもこういうものは、われわれが毒しているように、社会主義で国営でやつて、やはり人民の十分な監督でやらなければだめだというような結論として、われわれは感謝します。しかしそれはそうといたしまして、会計検査院ちよつとお尋ねいたします。  この補助金の交付に当り処置当を得ないものの中で、五九一は約二百九十三万円の不当支出、五九二は約百三十九万円、五九三が約一千百万円、五九四は約二百二万円、五九五は約百三十三万円、五九六は約千五百二十九万円、五九七は約八十三万円、五九八は約二百四十二万円、こういうふうにたくさんあります。このうちで、当然手続上そういう規定がなかつたために、補助金の交付にあたつて処置当を得なくなつたというものは、ごくわずかだろうと思います。たとえば政府支払いが遅れたために、かりに地方自治体においてやつていて、そしてそれがあとになつ支払いなつた。しかしもうそのときには何も予算の面に組んでなかつたというふうなものは、そういうふうなものは大した不正でないと思います。これは実際国家が実質上受けた損害というものが、重要な問題だと思います。会計検査院でももう一歩進んで、こうした不当な支払いの内容を十分調査して、国民全体にかけたところの大きな災害という建前から、こうしたものを出されてみると、なおこうしたものがたくさん出て来るのじやなかろうかと思うのです。その意味で建築したいろいろな結果と、それの契約面との中にも立ち入つて調べる。そのときの物価、いろいろなものとの関係も十分考慮して調べるというふうな点に主力を置くために、会計検査院でも特別のそうした部門をこしらえて、これを專門的にもつとつつ込んでやるような方法をやつたらどうかと思いますが、どうでしよう。
  95. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 井之口さんの御質問でありますが、この五九一から五九八までの案件の中で、今お拾いになりました金額でございますが、このうち五九三はちよつと性質が違うものであります。これは支出金額全体になつておりますが、工事が終らないのに補助をやつてしまつたこういう案件であります。これを除きまして七件でありますが、これは先ほどちよつと申し上げましたが、お聞き漏らしかと思いますので、もう一度申し上げます。支出額が七千百八十六万円であります。それに対して二千六百二十一万円が交付超過だ、合計すると、こういう結果になります。これが今の予算経理の建前から申しますと、全題補助交付超過なのであります。先ほど申し上げましたように、ある年災の二十年災なり二十一年災が、災害の工事としてはすでに完成している、それなのによけいやつてしまつたわけであります。ところが御当局は、さらに二十二年災があつて、二十二年災の方は補助金をやつたよりも、地元の方がやつているので、まだ国からもらい分がある。それで二十年災、二十一年災としてみると、やり過ぎだが、全体として見れば、まだやり過ぎではないのが、日本中の県に相当ある、こうおつしやる。ところがそれは仕越し工事というのでありますが、補助金をもらつたよりもよけい工事を、地元は災害復旧を急いでやらなければなりませんから、やる傾向が多いのであります。そういうのを日本全体として集計いたしますと、確かに仕越し工事相当あるのでありますが、ここに批難いたしました県なり道につきましては、仕越し工事が幾らあるということは、これは別問題になるわけであります。災害の補助は、これは安本で認証を得ますときに、嚴重に年災ごとの査定を経るのであります。ですから、予算が年災ごとにきまつておる、こう考えてよいのであります。そういう立場から、私どもは交付超過だと言つております。全体として見ますと、あるいは二十年、二十一年で交付超過になつたものをやつても、まだ足りない、こういうような県もなきにしにもあらずでありますから、その点を御了承を願いたいのであります。  それから工事の実態に入つて検査をしてはどうか、こういうお話でございますが、私どもも、まつたく同感でありまして、実は会計検査院もやつてはおるのでありますが、でき上つたあとの工事が流されてもしてしまいますと、先ほど井之口さんが例にあげられました、できた翌日に雨に流される、こんなようなことがありますと、私どももすぐによく調べるのでありますが——そういう種類のものはざらにあつては因りますし、あるものではありません。それで堤防なんかで流されたりなんかすることが間々ございますが、しかしそれはあとで調べますと、原因がどこにあつたのか、何分相手が大水でありますから、不可抗力というところに結局は帰着してしまうのであります。これは工事が疎漏であつたのか、設計が惡かつたのか、それを的確につかみますと、私どもとしても、もちろんこれは問題にいたしますが、とことんまでついて行きますと、ただ感じとしては、これは工事が疎漏であつただろう、設計がまずかつただろうということは言えるのでありますが、この検査報告にあげて批難するという段階になりますと、ちよつとそういう感じや資料ぐらいではあげられないのであります。やはり施工が惡いとか、設計が惡いということを的確につかまないと、この検査報告にあげられないのであります、比較的この種の案件が少いのでありますから。これは現在はありませんが、かつてはこの種の案件をあげたこともあります。  それから工事方法についての御批判でありますが、私ども同感であります。実は昨年から災害工事なら災害工事だけと專門にやる、また河川改修なら河川改修だけを專門にやる特別検査班と検査課の中につくりまして検査をしておりますが、相当な成績をあげております。ここにあがつております二十三年度のこの種のものは、比較的形式的な批難が多いのでありますが、これとはがらつと姿をかえました案件が、二十五年度検査報告にたくさん載つておりますから、それをごらん願いました上であれをしていただきたいと思います。
  96. 金光義邦

    ○金光委員長代理 以上で建設省所管審議と終了いたしました。  次に、報告書二百二十五ページ、労働省一般会計報告番号五六四ないし五六七、以上四件を一括議題とし、労働当局から説明を伺います。
  97. 亀井光

    ○亀井政府委員 労働省関係の五六四号から五六七号まで一括して経過及び結果につきまして御説明申し上げます。  授産共同作業特別施設は、二十一年の第三丁四半期から始まつたのでございますが、この目的は、外地から引揚げて参りました方々、あるいは戰長者その他一般の失業者の中で、企業能力やあるいは経験があるが、資金がないためにそれからの経験を生かすことができないという方々に対しまして、失業対策の一環としましてこれに補助金を交付して、それぞれの事業を営ませるという趣旨のもとに始められたのでございます。労働省といたしましては、当時これらる補助をするにつきまして、利用料の徴收あるいは払下げ手続の設定等細部を定めまして指示をいたすべく、その準備をいたしていたのでございますが、たまたま昭和二十二年の十二月に、関係方面から、これらの事業は職業、横奪事業でもなければ、失業救済事業とも認めがたい、むしろこの種の事業は労働省以外の資金調達に関する事務を取扱う政府機関において行うのが適当であるという指示を受けたのでございます。従いまして、労働省といたしましては、ただちにこの事業すなわち補助を停止いたしまして、大蔵省または当時の商工省にこの仕事を移営するよう協議をいたしたのでございますが、その決定と見なかつたのでございます。さらにこれが補助のやり方としましては、都道府県知事に補助をいたしまして、都道府県知事からそれぞれ企業主体に補助金を出さすという手続でございますのでこれらの施設並び運営を都道府県知事にまかせてはどうかということで、これまた関係方面と折衝いたしましたが、その結果これを認められず、最後に労働省で所管すべきであるという結論になつたの昭和二十四年の九月でございました。従いまして、ただちにこれらの利用料徴收の手続等と定めまして、二十四年の十一月一日にその方針がきまつたような次第でございます。そういう関係で、これらの利用料等の徴收が遅れて参りまして、ここに案件として批難事項にあがつておるのであります。従いまして、実際の徴收は二十四年の十一月一日から始まつたのでございます。この利用料は、この施工に補助金と交付しましてから五年以内において、毎年五分の利用額を納めることになつておりますが、初年度はこれを免除いたしまして、四年間で納め、その後五箇年間に企業主体に払下げをしてやるという仕組みのものでございます。従つて昭和二十五年十二月末までに百八十一万四千三百二十九円の利用料の徴收をいたしておるわけで、ございまして今後も都道府県知事を督励にいたしまして、この利用料の徴收の万全を期したい、かように思つておるのであります。  五六五号から五六七号は、労働基準局におきまする。不正事件でございまして、これらの事件を起しました実行者に対しましては、裁判の結果判決が下され、またその監督者につきましては、それぞれ徴戒の処分等がなされておるのであります。その経過を申し上げますると、五六五号は、佐伯某が一般の公金を費消いたしまして国に損害を与えた事件でありまして、裁判の結果懲役三年、執行猶予四年という判決が下されております。それから責任者でございまする広島の労働基準局並びに基準局の庶務課長に対しましては、減俸の懲戒処分がなされておるわけでございます。この件におきまして国に与えました損害総額は八十万四千八百五十六円でございまするが、これは昭和二十五年五月に弁済がなされておるのでございまして、事実上国に対する財政的な損害は、今解消した結果になつております。  五六六号は、東京労働基準局におきまして、労災保險の給付金を不正費消した事件でございまして、四人の職員がこれに該当いたしております。これにつきましても、花形某に対しましては懲役一年二箇月、大澤某に対しましては懲役一年、宮本某に対しましては懲役一年六箇月、寺山某に対しましては懲役一年というふうな判決が下されておりますし、直接の監督者でございます東京労働基準局の労災補償課長に対しましては、嚴重な戒告がなされておるのであります。この件におきまして国に与えました損害額は百四十万八百八十五円でございまするが、昨年の十一月までに六十八万四千六百十円の弁済額がなされておりまして、残額につきましては、百下鋭意徴收に努力いたしておる次第でございます。  五六七号は、長崎労働基準局の労長補償課におきまして、五人の職員が犯しました事案でございまして、それぞれ懲役の判決が下されております。宮本某には懲役十箇月、橋本某には懲役一年、小宮某には懲役一年二箇月、山田某には懲役十箇月、寺本某には承役十箇月の判決が下されております。またその当時の監督者でございます長崎労働基準局長は依願免官の措置が講ぜられておりまして、この事案によりまして国に与えました損害額は三十七万四千七百八十九円であります。昭和二十五年の十二月までにそのうち十七万一千五百七十八円が弁済済みになつておりまして、残額については目下徴收に努力しております。
  98. 金光義邦

    ○金光委員長代理 本所管に対しまして、特に異なる見解があれば、会計検査院より補足して説明を願います。
  99. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 ただいまの四件につきましては、特に会計検査院が掲げたことに反駁もされておりませんので、今の説明について反駁するわけではございませんが、多少補足いたしますと、五六四号の案件は、二十一年度と二十二年度に補助されたわけでありますが、三十二年の六月にはこの共同作業場の運営要綱というのが、司令部その他関係筋と折衝の結果きめられました。それによりまして、一年間は無償として第二年目以降はここに書いてありますように、年五分の率の貸付料を組合から県が徴收して国に納めるというようにきまつておりますので、二十三年度におきましては、二十一年度設置の分全部はもちろんのこと、二十二年度設置の分につきましても、これを徴收する時期になつていた。でありますから、もう少し早く細部手続を定められて早期に徴收すべきであつた、こういうように考える次第であります。一言補足しておきます。
  100. 金光義邦

    ○金光委員長代理 これより質疑に入ります。井之口君。
  101. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまの五六四でありますけれども、こういうのは、一体日本にいまだ幾らぐらい残つておりますか。この組合で作業場をやつているものは、大概引揚者が初め組合をつくつて開始したものでしようが、しかし長い過程を通ずるうちには、その引揚者の株が一つにまとまつてしまつて、ほとんどある個人の営利事業というふうなものになつているだろうと思うのです。これもどうも初めの目的に沿わない一つの結果になつておりはせぬかと思うのです。かつ第三番目に御質問するのは、この作業場は国有財産になつておりますか。国有財産としてのりつぱな登録があるのか。あるとすると、やはりこの保管のための費用というふうなものも何とか計算されていなければならぬと思いますが、その辺の関係はどうなつておりますか。
  102. 亀井光

    ○亀井政府委員 数は、昭和二十一年度並びに二十二年度におきまして、司令部からとめられますまでに二百五十箇所に補助金を交付いたしております。その現状がどうかという問題になりますと、各府県からの調書がまだ十分そろつておりませんので、ここで明確に申し上げる域には達しておりませんが、われわれが調査をいたしましたところだけでも、持主がかわりましたり、あるいは持主が行方不明になつておるという案件相当あるのでございます。営利事業に転化しておるのではないかという御意見でございますが、そういうおそれもありました関係上、司令部からとめられたというふうな関係もございまして、その後の問題につきましては補助の目的に反しないように監督はいたしております。もし補助の目的に反するような行為がございましたならば、その施設を取上げるという契約になつておりまして、これは今後の監督によつて補助の目的に沿うように運営して参りたい、かように考えております。  第三点の国有財産の問題でございますが、一応補助金で施設をいたしましたその施設は、もちろん国有財産でございまして、五箇年間の利用料が払い終りますと、あるいはその前において本人に資力がございますと、いつでも払い下げ得るという規定が、それぞれ契約の條項に入つております。ただこれの管理について、特別の予算措置その他の方法がとられておるかどうかという御質問の趣旨と考えますが、これにつきまする管理については実は特別の予算は組んでないのでございまして、この直接の監督機関は、都道府県知事でございます。われわれとしましては都道府県知事に対しまして、これらの施設がその補助の目的に利用されますよう監督をいたしておるという状況でございます。
  103. 井之口政雄

    井之口委員 今の二百五十箇所というのは、政府が今まで許した総計でございますか、現在存在するものだけでありますか。それが一つと、それからこれに対して政府は幾らの金を支出しておるのか。現在荒廃してなくなつておるようなものもあるかどうか。
  104. 亀井光

    ○亀井政府委員 二百五十箇所は、補助をいたしました当時の数でございまして、現在につきましては、先ほどもちよつと申し上げましたように、十分各府県からの調査が集まつておりませんので、現状を確実に把握することのできないのをまことに遺憾に存ずる次第で、申訳ないと思います。これらの施設の荒廃その他につきましての実情を調査しながら、問題はこれの払下げの額の問題決定の際に、問題になるのでございまして、都道府県知事には、常時これを見まわりまして、その状況を把握するようにという指示はいたして、そのようにさせております。全額はここの説明書にございますように六千五百十万円でございます。
  105. 金光義邦

    ○金光委員長代理 労働省所管は済みました。  本日の審議は、この程度とし、次会は追つて公報でお知らせいたします。これにて散会いたします。     午後四時十八分散会