運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-21 第10回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十一日(水曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長代理理事 三宅 則義君    理事 八百板 正君       高塩 三郎君    高橋 權六君       田中 角榮君    田中不破三君       多武良哲三君    藤枝 泉介君       山口六郎次君    畠山 重勇君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     國安 誠一君         郵政事務次官  大野 勝三君         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 龜三君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      山名酒喜男君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 二月二十日  委員田中不破三君辞任につき、その補欠として  江崎真澄君が議長の指名委員に選任された。 同月二十一日  委員江崎真澄君及び宮腰喜助辞任につき、そ  の補欠として田中不破三君及び畠山重勇君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十三年度特別会計歳入歳出決算     —————————————
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより会議を開きます。  前会に引続いて、本日は、昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算及び同特別会計歳入歳出決算中、運輸省並びに元逓信省所管につき審議を進めて参ります。まず報告書百九十六ページ、運輸省一般会計報告番号五一九、特殊物件売渡代金回收処置当を得ないものを議題といたしまして、運輸当局から説明を聽取いたします。運輸省鉄道監督局国有鉄道部長石井昭正君。
  3. 石井昭正

    石井説明員 国有鉄道に譲渡いたしました本件放出物件代金徴收でございますが、これは従来は運輸省鉄道総局が執行していたわけであります。つまり行政官庁である運輸省が、同時に事業官庁である国有鉄道と一緒でございましたために、さようなことになつたわけでございますが、結局昭和二十四年六月から、運輸省鉄道総局公共企業体となりましたために、本件徴收事務も、公共企業体である日本国有鉄道から運輸省に引継きをなすべきところでございましたが、その手続がいろいろな関係で、当時忽忙の際で遅延をいたしておりましたことは遺憾でございますが、できるだけすみやかにその方の手続をいたし、そうしてその後は現在の運輸省の方でもつて徴收の決定をいたしまして、代金を納入させることにいたしておる次第でございます。
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま運輸省側説明を終りました。本件に関しまして、会計検査院の御意見はありませんか。山名会計検査院検査第三局長
  5. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 本件はただいま政府側から御説明のありました通り事情でありまして、事後の措置もついておりますので、異存ありません。
  6. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これに対しまして質疑はありませんか。
  7. 藤枝泉介

    藤枝委員 それは手続はされているようでありますが、まだ徴收なつていないのですか、どうですか。その点をお伺いいたします。
  8. 國安誠一

    國安政府委員 ただいまの御質問ですが、昭和二十五年の三月三十一日に、運輸省一般会計当該関係科目に納付しております。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。——質疑がなければ次に移ります。  報告書番号五二〇ないし五二三、予算使用当を得ないもの、なお報告番号五二四、工事設計及び施行に当り処置当を得ないもの及び報告番号五二五、補助金交付に当り処置当を得ないもの、以上六件を一括して説明を願います。運輸省会計課長国安誠一君。
  10. 國安誠一

    國安政府委員 最初に五二〇号の、第一港湾建設部におきまする問題でございますが、これは説明書の百二十五ページにも書いてあります通り、新潟港及び伏木港の修築費から、本部職員宿舎を新設した点でございます。説明書に書きました通り、まことに遺憾に存ずるのでございますが、こういう事態に立ち至りました事由につきましては、いろいろと当時の事情もございまして、御了承を願いたいのでございます。昭和十八年以前の内務省に所属しておりました当時から、港湾工事特殊性から、工事費をもちまして宿舎新築した例もあつたのであります。また戰前は借家が自由に得られなかつたこともなかつたために、従事員住宅難もさしてなかつたのでありますが、戰後におきましては、住宅難戰災、非戰災のいかんを問わず、深刻をきわめまして、工事遂行にも相当支障を来すおそれがありましたために、最小限度宿舎新築したのでございます。今後はこういうことのないように、十分注意をいたすつもりでございます。なお責任者に対しましては、訓告処分をいたしました。  次に五二一号でございますが、これは第二港湾建設部で、横浜の港の修築費の一部をもちまして、これまた本部職員宿舎新築し、あるいは本部の庁舎の増築をしたということであります。説明書の百二十五ページに書きました通り、これまた種々戰後事情がございました次第でありますが、まことに遺憾のきわみでございまして、本件もまた責任者に対しましては、それぞれ訓告処分をいたしております。  それから五二二号の第二港湾建設部作業衣購入の件であります。これは第二港湾建設部で、作業衣購入しまして、職員に一斉に無償貸与したということでございますが、これは説明書の百二十五ページ並びに百二十六ページに書きました通りでございまして、港湾工事は、その作業特殊性から申しましても、大部分機械力を必要といたしておりますので、必然的に作業衣が必要になつて来るのであります。しかしながら、本件につきましては、戰争中からの惰性もございまして、直接工事関係のない事務員にまでも貸与したということになつておりまして、まことに遺憾であります。本件につきましては、直接工事従事員以外のものに貸与いたしましたものにつきまして、昭和二十四年の十二月十五日に、全部返納させることにいたしました。なお今後も十分注意をいたしまして、責任者に対しましては訓告処分をいたしました。  次に五二三号の、第四港湾建設部についての問題でございます。本件本部職員宿舎新築または増築並びに本部の所要の自動車購入いたしたり、そのほか通信裝置を設備いたしたりしましたものを、港湾修築費工事費をもつて支出いたしたのでございますが、これも百二十六ページの説明書通りでございます。なおその事情を申し上げますと、本部宿舎といたしましては、戰時中に軍の要請等がありました関門海峡の改良工事徴用船その他の従業員收容宿舎といたしまして、内務省下関土木出張所時代同省事業費をもちまして新築いたしたものでございますが、昭和十八年の行政機構の改革に伴い、内務省運輸省に分割されまして、内務省所管なつたものが建築されて、その残りをその後現場従業員のほか、一部本部職員用に充てて参つたものでございますが、設備の改善のうち種々総修理を要するところがございましたので、その一部を改修いたしたのであります。また下関附近戰災の被害が甚大でございましたので、遠くから参りますところの現場従業員工事用務のための出勤等にも相当混難を来しまして、ひいては工事遂行支障があるように思われましたので、これらを收容する目的で寮を新築いたしたのでございます。また自動車購入につきましては、現場との連絡がぜひ必要でありましたために、これまた購入いたしましたような次第でございまして、そういつたふうな種々事情があつたとはいいながら、これは会計検査院から御指摘なつ検査報告通りで、まことに遺憾でございまして、今後十分注意をいたすごとにいたしております。なお責任者につきましては訓告処分をいたしておきました。  次に五二四号の、工事設計及び施行に当り処置当を得ないものについてお答えいたします。本件は相当技術的にわたりますので、後ほどこれは港湾局長の方から、なお詳しく説明をしていただごうと思いますが、当時の事情を一応申し上げますと、第一港湾建設部で秋田港の北防波堤の早急なる新築に迫られたため、当時は資材難、さらにその資材運搬難でもありましたので、廃艦三隻をもちまして防波堤を築造いたしたのでありますが、技術的にいまだ未研究の部分が相当あつたこととて、当局といたしましては、初めに工期二箇年を予定いたしたのでございます。しかしながら、それは関係当局の許可その他種々関係でやむなく執行し得なかつたのでございまして、昭和二十三年の十月から翌年の三月の間に、沈設したところの艦艇が、折損あるいは解体いたしたのでございます。これは種々事情があつたとはいいながら、その事実につきましては、まことに遺憾の限りでございますが、技術的には、当時万全を期してやつたつもりでございます。この点関係者に対しましては、特に処分はいたしてございませんが、さらに技術的な詳しいことにつきましては、後ほど專門の方から御説明をいたすことにいたします。  それから次は五二五号の、補助金交付に当り処置当を得ないものにつきましてでございますが、本件は香川県で高松港の改修工事補助金支出に対しまして、昭和二十三年度中に完成する見込みがないのに、最終交付額を支給いたした点につきましてでございます。これは説明書の百二十七ページに書きました通り、電力の需給状況がきわめて困難であつたことに基因いたしまして、自家発電裝置に切りかえる等のための工事がだんだん遅延いたしまして、昭和二十四年の七月ようやく完成を見たものでございます。そういつたような事情もございましたけれども、本件につきましては、検査院の御指摘通り、まことに遺憾のきわみでございまして、今後は工事進捗状況に応じまして、年度内に完成見込みがない場合には、繰越しその他正当な手続をさせるように十分の注意をいたしました。なお同県に対しましても、嚴重注意を喚起しておいたのでございます。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長より申し上げます。諸君にもたびたび申し上げておきましたが、本決算委員会は、予算委員会と同様に、国の財政支出等に関しまする総締めくくりをなすところでありまするから、せつかく会計課長の御説明でありまするが、なお当該局長の御出席を求めまして審議を進めることが、ほんとうに当を得ていると考えるのであります。しかるがゆえに、当該局長の御出席がないので、関係局長が来まするまで、先の方を始めたいと思うのでございます。  それではこれに対しまして、会計検査院側の御意見がありましたら、この際承ります。山名会計検査院第三局長
  12. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 五二〇号ないし五二三号及び五二五号につきましては、この事案の経緯は、政府側から御説明になりました通りでございまして、なおこのような経理の取扱いに対しての遺憾の意並びに将来を戒めることについての御方針の説明もありましたので、これについては、つけ加える事項はございません。五二四号は政府側関係局長がおいでになりますのでその際一応申し上げることにいたします。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次に報告書二百ページ、報告番号五二六、法律に基かないで特別の資金を保有し予算外経理したもの——本件につき説明を求めます。運輸省会計課長國安君。
  14. 國安誠一

    國安政府委員 法律に基かないで特別の資金を保有し予算外経理いたしました件につきまして御説明申し上げます。航海訓練所昭和二十一年の六月から、練習船改E型木造船数隻をもちまして、航海訓練のかたわらに物資輸送し、その謝礼金歳入に納入することなくして、所用の寮を買つたり、あるいは特別の慰労手当を出したといつた事件でございます。これは説明書の百二十八ページに書きました通りで、まことに遺憾でございますが、当時の事情を申し上げますと、これは練習生に実際の荷役の知識を体験させておく必要がございましたのと、潮流と風波の高い日本の近海を航海するところの、先ほど申しましたところの改E型の練習船——八百八十トンでございますが——につきましてのバラストといたしまして、ある程度足荷が必要であるという事情もございまして、その足荷を買うための費用を節約したいということもございましたし、さらにまた終戰後日本の船腹の事情から申しまして、海上輸送力が非常に逼迫をいたしましたので、この際内地に石炭をよけい運んで、逼迫した石炭事情を緩和いたしたいという目的など、いろいろとございまして、当時マル公運賃の約三分の二程度謝礼金として受取りまして、練習生がそのために働いたところの被服の洗濯、補修、あるいは手袋とか、くつ、くつ下といつた程度補給品を買つてやろうというつもりの手当を支給いたしたのでございます。と同時に、当時一般船員には、ある程度厚生施設として、陸に上つた場合の畳に上つて休む場所があつたのでありますが、この練習生にはそれがなかつたために、船員ほどのぜいたくなものではありませんが、何がしかのそうした施設をつくつてやりたいという気持から、京浜及び阪神地区に寮を購入いたしました。また文化施設といたしまして図書、雑誌類購入もいたしたわけであります。当時の事情を申し上げますと、そういつた事情で、まことにわれわれといたしましても、練習生のためにやむを得ずやつたと思われるのでありますが、何分にもこれは法律に基かずにやつたことでございます。特別の資金を保有いたしまして、予算外経理したという事実につきましては、会計検査院報告通りでございまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。その当時の保有いたしました金額の残りが、検査院実地検査で発覚いたしました。それにつきましては、昭和二十四年十月三十一日に歳入といたしまして処理いたしました。また京浜及び阪神地区購入いたしました寮につきましては、同年二月十一日及び二月二十日にそれぞれ国有財産に編入して始末いたしてございます。この点御了承願いたいと思います。なお責任者に対しましては、訓告処分にいたしておいたような次第であります。何とぞ御了承を願いたいと思います。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまをもちまして、運輸省当局説明を終りました。これに関しまして会計検査院の御意見はありませんか。
  16. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 五二六号は、実質的な批難と申すよりも、このように法律に基かないで、特別の資金を保有して予算外経理することは、会計務者の私の曲事が発生する恐れがありますので、批難いたしておる事項でございます。本案につきましては、政府説明通りに、非違を認め、将来のことを戒めておられますので、これ以上つけ加える事項はありません。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの山名局長のお話によりまして、政府の方も大いに改革いたしたいという御意見であるようであります。  これより質疑に入るわけでありますが、委員各位にお諮りいたします。本日は他の理事諸君が欠席されておりますが、ただいま私所用のため、委員長代理を他にお譲りしなければならぬことになりました。この際委員長代理委員の方にお願いいたしたいと考えますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議ないものと認めまして、委員長代理委員藤枝泉介君にお譲りいたします。     〔「三宅(則)委員長代理退席藤枝   委員長代理着席
  19. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 それでは、次に報告書二百ページ、国有鉄道事業特別会計報告番号五二七、予算をこえて工事施行しその経理当を得ないものないし報告書二百六ページ、報告番号五三四、職員の犯罪に因り国に損害を与えたもの、以上八件を一括説明を求めます。石井国有鉄道部長
  20. 石井昭正

    石井説明員 報告番号五二七でございますが、これは昭和二十三年度におきましては、御承知のようにアイオン台風あるいはヘーゼル台風、あるいは福井地方震災等、非常に一般災害の多かつた年でございまして、災害による応急復旧工事は、もちろんある程度予備費はございますが、かように多額の大きな災害に対しましては、大体従来の慣例から申しますと、一応鉄道でございますので、ただちに復旧に着手しまして、その経費追加予算でお認めを願うということが普通の慣例なつております、またそういうやり方でやつてつたわけであります。ところが昭和二十三年度は、かように災害工事が多かつた一面、二十三年度の追加予算のときに、日本の経済安定のために、いわゆるドツジ均衡財政方策がとられましたために、結局十五箇月予算ということで二十三年度の追加予算から、二十四年度の本予算にわたりまして、非常な緊縮ということに相なつたわけであります。従つて当初予定いたしておりましたところの追加予算の計上が不可能になつた。そこで一般工事費から差繰り合せておりましたので、一般修繕工事費等も、かような大きな余裕はございませんで、結局工事の若干が実際問題といたしまして完成はいたしたけれども、支出をすることができないというような関係に相なりましたので、一部は債務負担行為として処理いたし、また一部は新年度にわたりまして契約がえをして支払つたわけであります。これらは、経理上の措置といたしましては、会計検査院の御指摘通り妥当ならざるものと思うのでございますが、ちようどそういうふうに政府財政政策が急転回いたしたために、従来からの災害工事に対する経理考え方で処理いたしたために、かような食い違いを生じたわけであります。まことに遺憾ではございますが、かような事情でかような結果になつたことを御了解願えれば、仕合せと思うわけであります。しかしながら、その後はずつと緊縮予算の精神も徹底いたしまして、また会計規則の改正によりまして、支出負担行為認証制度を制定いたしまして、かように予算がないのに契約をいたすというようなことのないようにいたしておりますので、これまた御了承願いたいと思うのであります。  次に五二八号の、不経済な工事施行したものの問題でございますが、これはアイオン台風によりまして、岩手県の山田線不通になりまして、交通が杜絶し、沿線住民は非常な困難な目にあつたわけでありまして、相当区間の不通となりましたが、そのうち現在におきましても、いまだに平津戸茂市間は復旧、ておりません。軽便、ガソリンカー、モーターカー程度が動くような線路にいたしておりまして、復旧材料等運搬を辛うじて行つておる程度でございます。茂市から纂目の間でありますが、この間は災害程度も、復旧可能の程度でございまして、しかもこの間をつないで生きることによりまして、切り離されておりました茂市から奥に入ります小本線が生きるわけでございます。小本線沿線は、非常ないろいろの林産物等もございますが、なかんずく小本線の終点から奥に入りましたところに、岩手シヤーモツトー日本における唯一の高性能の耐火粘土産出地があるのでございます。この輸送に非常に困難しておりまして、一時トラツク等を活用いたしまして、輸送を続けておりましたが、惡路、長距離の輸送でありますから、非常に輸送能率も上りませんし、かつまた、運賃高のために採算割れを生じて、需要者の方でも非常に困つておるというような実情でございます。従つてこの茂市・纂目間の応急復旧工事を急速に施工いたしまして、小本線山田線の残つておる分を連絡いたしまして、そうして宮古方面へまで、とにかく一応シヤーモツトを出しますれば、そこから海路、輸送できる。それからなお釜石線開通を計画いたしまして、山田線の方は、平津戸茂市間は、とうてい地形上、治山治水が完了しない間は、再び線路を敷くことも無意味であろうというような技術的な意見もございまして、結局釜石線の方から本線連絡をとることにいたしまして、釜石線建設に着手いたしまして、昨年十月に開通いたしましたことは御承知通りでありますが、そういうような見通しもございまして、こちらの方の応急復旧工事を施工いたしたのであります。御指摘の点は、応急復旧工事に引続いてラツプして、本復旧工事をやつておる。結局応急復旧工事はむだではないか、むしろ本復旧工事をやつた方がいいのではないかという御指摘のようでありますが、これはただいまも申し上げましたように、一刻も早くとりあえず鉄道開通いたしまして、しかる後にあらためて本格的な復旧工事をやるという建前が、私は事故不通なつた場合の鉄道としては、できるだけさようにすべき筋合いであると思いますし、なかんずくこの岩手シヤーモツト輸送というような問題、並びに小本線沿線住民並びに物資は、山田線連絡をつけるという意味合いにおきまして、一箇月でも早くというような意味合いから、かような応急復旧工事を先行したような次第であります。検査院指摘通り、あるいは多少そのために余分の経費はいつたかもしれません。しかし、少くとも五箇月ないし八箇月というものは、開通が早まつたという実際上の利益はあるのでございます。御了承願えることではないかと思うのでございます。  五二九号の著しく多額工事費支払つたもの——これは福井震災早々の際に、復旧工事内容に、比較的ずさんな計算書に基いて支払いをしたということでございまして、これはまつた検査院の御指摘通り、不注意があつたようであります。これは、なるほど震災直後のことでございまして、いろいろたくさんの復旧工事も重なつて、請負人も、またそれに発注いたします方も、現場で口頭で説明したりということも、早々のことで、あつたために、手続その他が非常に不備であつた。かつ支払いにあたりましては、内容審査注意が行き届かなかつたということがあつたことは、まことに早々の際とはいいながら、遺憾なことだと存じております。関係者に対しましては、今後この種の事故を起さないように、嚴重注意をいたしますとともに、なお責任者に対しましては、処分をいたしたような次第でございます。  五三〇の、共済組合に対して国庫負担金過払いいたしました点は、これはベース改訂がたびたび重なりましたので、事務的に疎漏の結果、会計検査院の御報告通り過払いをするような結果になつたのであります。これは昭和二十三年度においては、たびたびペース改訂があり、追給等措置があつたために起つたのでありまするが、いかにも仕事のやり方としてはまずいやり方でございまして、さつそくこの過払い分を戻入いたしまして、歳入に還付いたしますとともに、責任者に対しましては処分行つた次第でございます。  五三一の、夜勤加給支払いにあたつて所得税源泉徴收を行わなかつたという案でございます。これは一応検査院の御報告通りでございまするが、当時運輸省といたしまして、鉄道側の考えとしては、これは夜勤食糧かわりに、当時主食の統制等もございましたので、夜食を給与する、現品給与かわりのものだというような建前だから、所得税の対象にはならないという見解を持つてつたわけでございます。ところが税法の方も非常にきびしくなりまして、経済九原則の一として、納税に対する考え方も非常に嚴重に相なりましたので、かような考え方が大蔵省のいれるところとならなかつたわけでございます。それで多額の追徴をいたさなければならぬような結果になりましたので、いろいろ折衝いたしました結果、国税庁の方から、昭和二十三年一月以降の分について、不足税額を追徴することとし、それ以前の分については、しいて追徴しないという通牒を出していただきまして、この通牒に基きまして、不足分徴收を行つております。ほぼ完了いたし、この三月分の給料をもつて給料から差引きまして、全部完了いたすことになつております。さような次第でございまするので、その間見解の相違がございましたとはいえ、御指摘通りのような結果になりましたので、円満にこれは追徴いたして、納付いたして、解決いたしておる次第でございます。  それから五三二の、経費の年度区分をみだつたものでございます。これは甲府におきまして、官舎の新築工事を、買收用地内に施工したのであります。この買收地内の建物と物件の移転取片づけは、契約当時、地主において除去すべしという条件でございますが、なかなかその条件通りやらなかつた。再々強硬な督促をいたしましたが、どうしてもこの除去が遅れましたために、工事の着工が予定より遅延いたしました。しかしながら本年度末におきまして大体五〇%程度の出来高でございましたので、まず大体竣工扱いとして処理して支障ないものとして、年度内に決算いたしましたが、検査院指摘通り、まことに遺憾でございまして、今後十分注意するように、関係の者に注意いたしました。責任者に対しては嚴重処分をいたした次第でございます。  五三三、五三四の二件は、これは職員の不正でございまして、会計検査院の御指摘通り、まことに遺憾のことでございます。この犯人は、いずれも刑事手続によりまして、あるいは有罪の判決が確定し、あるいは目下訴訟が進行中でございます。いずれも免職処分にいたしまして、また当時の責任者である保線区長あるいは助役等につきましては、訓告等の処分を行つて、責任を明らかにいたしておる次第でございます。
  21. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 この際会計検査院側に御意見がございましたら伺います。山名検査第三局長
  22. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 五二七号、五二九号ないし五三四号の事案に対しましては、政府側よりそれぞれのいきさつ並びに善後措置についての御説明がありました。その当該案件については、検査院といたしましては、これ以上つけ加えて申す意向はございません。ただ五二八号の、不経済な工事施行したもの——山田線応急復旧工事につきましては、政府側見解を異にいたすものであります。検査院の所見は、既述の通りでありますが、ここに重ねて説明を追加いたしたいと存じます。これはアイオン台風山田線の四十キロの区間が不通になりまして、ただちにモーター・カー線を開通されております。その四十キロのうちで、特に茂市・裏目間の四キロ四につきましては、岩手窯業の耐火粘土輸送するごと、並びに地方の民生の関係物資輸送するため、及び旅客輸送のために応急復旧をされ、それが二十三年の十月に着工されて、二十四年二月に二千五百万円をかけて完成しておられますが、その二十三年十月着工の二月あとの二十三年の十二月には、その四キロ四の区間に本復旧工事、すなわちかき上げ、路線のつけかえ、橋梁位置の変更、橋脚の改造等の工事八千三百万円と、重ねてその間を、区間で申しますれば、重復するわけでございますが、それをやつておられるのでございます。すなわち応急復旧工事を始められました二月あとには本復旧工事が着手されて、完成いたしましたのは二十四年九月でありますから、この七箇月間のための工事として、応急復旧工事が行われたようなかつこうになつております。もちろん応急復旧工事が行われますれば、本復旧工事の方が、いろいろ資材輸送上の便がありますので、早くできたことは、もちろん事実であろうと思いますが、ただそのようにガソリン・カーを通して応急復旧工事をやつて、本復旧工事をやつた。私の方で考えますのは、その四キロ四の間は、別に道路があるではないか、その道路で応急物資輸送ができるではないか、トラツク及びバスを配備することによつて、その間の交通が疏通できるではないかという見解のもとに、応急復旧工事は、少くとも本復旧工事にかかるならば、それに資材、労務を集中して、早く本復旧工事の方を完成すべきである。鉄道の世帶が非常に苦しいときでありますから、そういつたような点を考慮する必要があつたのではないか、かような観点から、この問題を取上げておるのでありまして、先ほどお話になりましたように、岩手窯業鉱山の粘土の輸送の要請ということは、政府の正式の答弁書にもありますように、輸送経路の変更によつて、一応目的は達せられておるのでありまして、鉄道のこわれる以前の輸送量は、輸送経路の変更によつて——長距離になり、運賃はかかるが、その運賃は結局製鉄業の方に負担させ得る余地があるものと考えております。——とにかく一応目的は達成しておられる。そうすると一般茂市・纂目聞の四キロ四の区間の民需を無視することができないので、八箇月でも九箇月でも早くそこを鉄道輸送しようというので、応急復旧工事をおやりになつたのでありますが、その応急復旧工事ができてから、その本復旧工事ができるまでの間の輸送実績を、今から検討してみましても、その区間の発着の貨物及び通過トン数というものは、年度初末を除きますと、一箇月平均約三百トンぐらいでありまして、木材及び木炭が主要品目であります。これはその区間のトラツクを、大体七台から——予備車を少しまわしまして、まあ七台前後、それにバスが三両あれば、その程度の品物は十分通せるというように考えられるのでありまして、現に四十キロのうちの残りの三十六キロの平津戸茂市間の不通区間に対しては、現在一日トラツク七両、バス三両をもつて、とにかくも需要を満たしておられる状況でございます。従つてかような状況でありますので、鉄道が非常にゆたかであるときには、鉄道の側から申しますれば、鉄道がこわれたのだから、鉄道復旧するということはごもつともの話でございますが、鉄道が非常に貧乏しておるということになれば、とにかく道路の方は、道路を直せばあとも使えるわけですが、応急復旧鉄道の方は、本復旧工事ができれば、あとでひつぺがさなければならぬわけですから、そういうことをするよりも、道路の方に少し金を注ぎ込んで、トラツク及びバスを配備すれば、とにかく地方の民生上の影響を避け得る方法もあつたではないか。しかもそれの方がよほど経済的である、こういう観点に立つて応急復旧工事は、二十三年の十二月に本復旧工事が着工されたならば、これを中止して、本復旧工事の方に経費、労力、資材を集中して、すみやかに工事完成すべきものであつたという意見を持つておるわけでございます。ここに重ねてつけ加えておきます。
  23. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 以上の案件につきまして、何か御質疑はございませんか。——別に御質疑がなければ、次に進みたいと思います。  報告書二百七ページ、資金報告番号五三五、物品の売渡に関し経理処置当を得ないもの、ないし報告書二百十五ページ、国有物件中、報告番号五四八、貯蔵品の整理当を得ないもの、以上十四件、及び昭和二十二年度決算検査報告書百大十ページ記載の報告番号三四八、立木の伐採に当り過払いをなし、その返納に至らないもの——これを一括して当局説明を願います。石井説明員
  24. 石井昭正

    石井説明員 ただいま委員長から御指定のございました十五件につき、一括御説明を申し上げます。  五三五号の、物品の売払い代金の未徴收の問題でございまするが、この件につきましては、会計検査院検査報告通り、まことに申訳ないことでございます。この東京鉄道局の代金徴收のうち、日本鉄道会に対するものは非常にたくさんございます。これは当時石炭の割当の関係で、私鉄の石炭を、国鉄において一括割当を受けまして、そうして私鉄用の石炭日本鉄道会に売り渡しへ鉄道会から各種の地方鉄道あるいは関連事業に売り渡しておつたという、この売渡し代金でございまして、そのうち日本鉄道会に対する分は、この会が二十三年の四月になりまして閉鎖機関に指定されましたために、直接とるわけには参りかねるので、同年五月にただちに債権申告をいたしました。その他の分につきましては、できるだけ收納を完了するように、いろいろ督促をいたしております。最近におきましては、日本鉄道会の分とも合せまして、收納済み額が百三十九万円程度なつております。未だに收納せぬ残額が六百四十四万円ございまするが、このうち五百三十五万円ほどは日本鉄道会の分でございます。それから新潟鉄道局の不二越鉱業に対する分、これは二十五年三月三十日と同年四月十一日二回にわたりまして、残額を全部收納完結いたしております。かような売払い代金の未徴收を生じまして、検査院の御指摘を受けるような事態になつたことは、まことに遺憾でございます。関係者に対しましては、それぞれ訓告処分を行つておる次第でございます。  次に五三六号の大井問題でございまするが、これは大井工機部におきまして、制輪子——ブレーキ・ブロツクを——ただいまは工場と申しておりまするが、鉄道工場におきまして自家生産いたして所要数量を満たしておるのでありますが、御承知通り昭和二十二年ごろから三年にかけましては、コークスにも優秀なものが少く、たまに手に入りましても、非常にその質が惡いために、鋳物類でつくつておりますところのブレーキ・ブロツクがどうしても所要数量を満たせない、それで半ば消耗品でございますブレーキ、ブロツクが所要数量に満たない。特に東京附近の電車並びに客車を主として扱つておるのでありまするが、族客輸送、通勤輸送にきわめて重大な結果を及ぼす。当時の電車輸送の状態は——今日におきましても、通勤輸送は、改善されたとはいえ、なお相当混雑を来して、皆さんに迷惑をかけておりまするが、当時の通勤状況といたしましては、もつと混雑をきわめて、いわゆる殺人電車というふうなぐあいに言われ、またそのために人命を落したような事故も、遺憾ながらあつたような次第でございますので、この上ブレーキ・ブロツクによる支障のために輸送ができなくなると、非常に困るじやないかというようなことで、非常にあせりました。従いまして、自家生産の鋳物は、コークスの入手の見通しがつかないので、やむを得ず外注をいたしたのでございます。ところが、政府のいろいろの施策等によりまして、コークスの入手が割合に好転いたしましたので、非常に喜んで自家生産をやりました。その結果制輪子——ブレーキ・ブロツクの生産も、二十三年度に入つて非常に活発となつたわけでございます。ところで、一方外注の制輪子の方は、その間を埋めるために発注いたしましたが、予定より遅れて参りました。そのために大量を一時に納入された結果、いろいろ未稼働品もたくさん生じまして、そこで品質調査を行いましたが、どうも外注品の品質があまりおもしろくないということで、外注品はもう要求を打切りましたが、使用実績を勘案いたしまして、どうしても二万個ほど未稼働品として処分売却する——そのまま積んで置くことになつてしまいますので、結局処分したわけでございます。その結果、いりもしないものを注文したというふうな結果になりまして、検査院の御指摘を受ける事態になつたのであります。結果はまことにさような状態でございまするが、こういう事件を起しましたゆえんのものは、結局当時の輸送情勢、特に電車あるいは旅客列車の輸送情勢を御想起願いますれば、当事者がかような焦燥にかられて、いささか経理上思わしからぬ結果を生じたという経緯につきましては、幾分の御参酌を願えるのではないかと思うのでございます。しかしながら経理上思わしくないことは御指摘通りでございますので、責任者に対しましては、それぞれ訓告処分行つた次第でございます。  五三七号の、貯蔵品購入資金の運用当を得ないものというのは、これは一つは、結局いろいろの被服類を貯蔵品で購入いたしまして、無償配給あるいは有償配給いたしたのでございますが、これは御承知のように、二十二年度の冬に非常に貨物輸送が増加しまして、なお二十三年度におきましては、日本経済復興のために鉄道貨物を一億三千万トンぜひ輸送しなければならない、かような強い要請がございました。ところが、当時の情勢からいたしまして、今日からいたしますれば、非常に夢のような事態でございますがが、繊維製品が非常に逼迫しておりまして、戸外労働に従事いたしております者、あるいは積雪地帶に従事いたしております者の被服類が行き届かないために、勤労意欲が非常に阻害され、この大事な貨物輸送がいかに推進されるかということになりましたので、閣議決定を願いまして、そういう方面に対しての特段の手を打つ、安本におきましても、この繊維製品類の割当のわくをふやす等、いろいろの御配慮を願つたわけでございます。そういう意味合いからいたしまして、結局無償配給をして、戸外労働に対する繊維製品の、いろいろな着物類だとか、あるいははきもの類等をできるだけ貸与いたしたい、かように考えたのでございます。やはり年度を通じて参りますうちに、どうも予算上無償貸与ということができなくなつたというので、結局有償配給にしたのもあるわけでございます。かような結果、検査院の御指摘のようになつたわけでございまするが、無償配給にいたしました分は、いずれも業務上必要なものは無償で貸与するという規定がございます。それにもかかわらず、いろいろ職種、地域あるいはその配給、貸与する被服類の限定がございます。その範囲外に出るものにつきましては、やはり所要の手続をもつて決済を経て、それでその分を臨時に貸与範囲を拡大してやつたわけでございます。その間成規の手続はとつておるのでございまするが、そういうような状態で、貯蔵品の購入資金を使つたわけでございます。その御指摘の中には、防寒チヨツキの單価を四百丸十五円のものを二百七十三円で評価がえをしたのはよろしくないという御指摘がございます。これは四百九十五円の單価のものを二百七十三円で有償配給いたしたのでありまするが、実は当時貯蔵品は全部一律の定率をもつて評価がえいたしたのであります。二十三年度におきましては、物価騰貴が数次ございましたので、貯蔵品の單価も引上げたわけでございまするが、これの評価がえにあたつては一律に評価がえしたのであります。従いまして、この防寒チヨツキも平均單価が四百九十五円に相なつたわけでございます。しかしながらこれはいざ有償配給となつて実物を見ますと、どうも高過ぎる、やはり購入原価の二百七十三円が適当なわけであつたのであります。これに評価がえをいたした上で、成規の手続をして配給するのが当然でございましたが、それを省略いたしましたために、高いものを安く売つたというようなかつこうに相なつたのは、まことに遺憾でございますが、実情はさような実情でございます。  なお名古屋鉄道局におきましては、コム布、皮ぐつを無償で貸与したということでございます。これはやはり機関庫の技工あるいは駅手などが、さようなはきものが入手できないために、げたばきで作業に従事するというような状態で、まことに危險でもあり、勤労能率上非常に不適当でもありましたので、やむを得ず鉄道局限りで実施いたしたかつこうになつたのでございます。事柄億まことにやむを得ないことではあつたかもしれませんが、鉄道局限りで実施いたしましたので、これは当然鉄道局長には権限がないことを実施いたしまして、まことに遺憾なことでございます。今後はかようなことのないように嚴重注意を与え、責任者はそれぞれ訓告処分をいたしたのであります。  それから五三八号はいこれは労務者用石けんを買つたけれども、これがあまり使用に適しない粗惡品であつたという御注意であります。これは当時非常に石けんが逼迫しておりまして、昭和二十三年度におきましては、安本の割当が必要数の四分の一程度でございました。ところが、現場におきましては、石けんがなければ、工場あるいは機関区等の作業はどうしてもできないのであります。そこで何とか勤労能率の向上をはかるとともに、当時の労働組合運動の趨勢とも見合せまして、各鉄道局では、石けんの要求に対しまして何とか手を打たなければならぬというために、割当外の市場品の入手に苦心したのであります。その結果この会計検査院の御指摘のような結果になつたのでありまして、粗惡品を相当購入したということに相なりました。しかしながらこの粗惡品はそれだけに安かろうと惡かろうで、値段も安いのであります。そこでいくら安くても、使えないものはしかたがございませんので、その後の処置といたしましては、四対一の割合で東京鉄道局管内では良品ととりかえて現場に配付した。それから大阪鉄道局の方では、これは再製させまして、使用に耐えるような品物に全部直させて納入させております。かような次第でございまするので、今後はさようなことのないように十分注意いたさせまして、責任者に対しましても、それぞれ訓告処分をいたしたのでございます。  五三九号は、これは機関車のウオーター・ゲージのことでございまするが、要するに当時ガラスの製品が非常に粗惡でございまして、機関車に水の入つております分骨を示す計器が、運転中どんどん破裂してしまう、こういうわけで、幾らかまに水が入つているかわからないというような状態で、運転上非常に危險でありまして、従事員からもやかましく請求があつたのでありますし、また運転上もゆるがせにできなかつたわけであります。ところが、入手いたしますると、非常に粗惡品が多くて一運行に数本予備を用意しておかなければならないというような状態のために、何とか良質品を手に入れたい、こういうことで良質品の入手にあせつて、たまたまこの製作所の品物がきわめて優秀であるということで、同社とも交渉いたしまして、製作させたわけであります。その品物はきわめて良質品でございまして、目的には合致したのでありまするが、その値段が少し高過ぎた。特に他鉄道局の購入事情と比較しますと相当高い、こういう御批難でございます。これは会計検査院の御指摘通り、他鉄道局の購入状況等を調査しますれば、かような高い値段で購入契約するということはなかつたかと思いますが、ただ、ただいま申し上げましたようなめくら運転を余儀なくされて、やかましく言われておる実情を見まして、購入する方がややあせりぎみになつたというようなことは、私は御了承願えると思うのであります。しかしながら、それにいたしましても、その單価の契約の仕方が少し軽率であつたことは、まことに申訳ないと思つておる次第でありまして、責任者に対しましては、訓告処分行つた次第でございます。  五四〇号、これは亜鉛メツキの鉄板の加工賃が著しく高価である、こういう御批難でございます。これは御指摘の中にありますように、加工賃見積り明細書に亜鉛地金代二百五十キロ分と、いりもしないものを非常に過大に計上してあるのでございまして、これが検査院の御指摘を受けるもととなつたかと思うのでありまするが、これはまつたくこんなに亜鉛はいらないのでございます。ところが、実はこの担当者がふなれで、そのほかにいりますところのすずとかアンチモニー、あるいはコークスとかいう副資材は、全然計上しておりません。まあやり方が非常にルーズで、全部亜鉛地金にまとめて、副資材関係経費を計上してしまつたというような結果になつたのでありまして、加工賃そのものの單価は、これは当時のマル公格等から逆算してみますると、必ずしも不当でないと思うのであります。これは加工賃は大体六千八百四十円で請負わせたのでございます。当時の物価庁告示を基礎にいたしまして、亜鉛メツキ殊板と普通鉄板との差から考えてみますと、やはり大体六千八百五十円ぐらいに相なると考えるのでありまして、必ずしも値段そのものは不当ではないと思うのでありまするが、加工賃見積り明細書等において、使いもしないものをたくさん使つたように書いてしまつたようなやり方は、ルーズなやり方でありますので、まことに申訳ないと思うのでありまして、関係者に対しましては、このようなことのないように嚴重注意を与えた次第でございます。  それから五四一号の、まきの製造代金でございまするが、これは御承知通り、当時薪炭不足でございまして、国鉄も自家生産をしなければならぬということで、兵庫県におきましても、自家生産は認めてくれたのでありますが、その地域は一般薪炭生産者の供出のじやまにならないように、きわめて経済的に不利、不便な僻陬の地に指定するというようなことで、これが生野町の黒川火というところの山林にきめられたのであります。そこでこれを大鉄産業に原木を支給しまして、委託加工したのでありまするが、この地は生野駅から二十数キロ山奥でありまして、労務賃と運搬賃に非常に食われてしまつた。その結果統制額でまきを買うよりも、高価なものについたというようなことは、当時のあらゆる自家生産については言えるのじやないかと思うのであります。まことにやむを得ないことであり、遺憾なことだと思うのでございますが、そういう結果になつたのであります。二十三年の八月以降は、薪炭の需給状態が非常に緩和いたしまして、かような経済的に不利益な自家生産をしなくても、所要の配給を得られることになりましたので、自家生産を廃止いたした次第でございます。  五四二の、タンク車の使用料の支払いが不当であつたというのでございますが、これは内外輸送日本石油の二つの会社が、旧軍に対しまして相当の債権を持つてつた。それでその所有でありましたタンク車は、自分たちがそのかわりに譲渡されたから、これを名義変更して申請して参つたのであります。そこで当時運輸省でありますが、国鉄におきましては、二十二年二月にこの名義変更を認可いたしまして、両社に対しまして国鉄から使用料を払つていたのでありますが、後日に至りまして、これは国有物件とすべきであるということでございまして、終戰当時にさかのぼつてそういうふうなお取扱いになるということになりましたので、結果といたしますと、どうも真の所有者でないものに使用料を支払つていたという結果に相なつたわけでございます。別に特段の惡意はなくて、当時の事情から見て、この譲り受けということを認め、そうしてタンク車の活用をはからなければならないという実情でございました。また大蔵省といたしましても、この件の取扱いにつきましては、両者に対しては、国有物件といたしましたとき以前のものについては、弁償金という形で処理しておるようでございます。それらを勘案いたしますと、手続上、確かに検査院の御指摘通りでありまするが、事情やむを得ないものがあつたことを御了承願えるのではないかと思うのでございます。  五四三号の、ケーソンを北海道庁に無償で貸し付けた問題でございます。これはケーソン十個が大体室蘭の港にございまして、これを北海道庁の方から貸してくれないかというような話があつたわけでございます。ところが、当時は国鉄といたしましても、終戰後の情勢の変化によつて、このケーソンを使うあてがございませんものですから、かつまた申込者が公共団体でございまするので、漫然とその申入れを受諾して、ただでお貸ししてしまつたというようなかつこうになつておるわけでございます。しかしながら、今日はこのケーソンの製作費も高くなつておりますので、ここでただちに道庁に対しまして、その代金を払つてくれというのもいかがかと思われますので、国鉄といたしましては、いずれ函館の水陸連絡設備の修繕に同様のケーソンが必要だという見通しもございまするので、そういう際にはそのケーソンを製作して提供してくれというようなふうに、道庁の方と協定をいたしておるわけでございます。事柄はさような事柄でございまして、管理上必ずしも妥当ではないという点もあるかと思うのでありまするが、いきさつを申し上げると、さようなことでありますので、この点もまた御了承願いたいと思うのであります。なお今後はこういうことのないように職務執行上嚴重注意をいたしたいと思いまするし、なお昭和二十四年の六月から公共企業体と相なりましてからは、独立採算というような建前から、こういう点についての認識も、末端まできわめて徹底いたして参つたようでございますので、再びかようなルーズなやり方をするようなことはないと信じておる次第でございます。   五四四号の、貯蔵品の経理が当を得ないものという御指摘でございまするが、これは先ほど工事関係のときに申し上げましたことと、大体似たような事情でございまして、二十三年度中には物価の改訂が非常に高かつた、非常に物価が高騰いたしました。従いまして、予定以上物価改訂が高率となつたので、貯蔵品もこれに応じて改訂されたわけでございますが、たび重なる災害応急工事等のために予算を超過するということで、追加予算をお願いいたしましたが、結局先ほど申し上げましたようなドツジ予算が急にとられたために、この引締めが間に合力なかつた。既定予算の範囲内でいろいろやりくりいたしましたが、遂に及ばず、多額の貯蔵品を一部仮使用というようなかつこうで年度を越したわけでございます。まことにやり方といたしましては、ぐあいの惡いやり方でございます。しかしながら今後はかようなことも、経済の安定、均衡予算の確立に向つておることでありますし、また制度の上からも、支出負担行為認証制度が確立されました。従つて予算もないのに、いろいろの工事を興すこともできないように相なつております上、また資材配給部面の機構も、一昨年来改正いたしておりますので、かようなあやまちを再び起すことはない、かように考えておる次第でございます。  その次は、末契約のまま車両を製作納入させたものでございますが、これは二十三年度におきまして、日本の経済復興、あるいは社会情勢を緩和するために、旅客列車、貨物列車ともに、非常に混雑を遂げておりましたものを、急速に改善するために、相当車両をふやしたい、かような計画で予算を組んでおつたのでございますが、七月に物価改訂が行われて、非常に物価が高騰した。その結果当初計画によるところの車両の新造計画が、新造不能となつたわけでございます。しかしながらまた一方、車両製作の方は、当初計画でもつて見越し生産を行つたわけであります。その結果、国鉄の方の購入予算と食い違いができまして、メーカーの方で相当手持ちの車両を生じてしまつたわけであります。ところがメーカーの方は、せつかくつくつたものでございますし、国鉄の車両はほかに市場性もありませんから、結局売れなければ工場に置いておかなければならぬ。しかしながら、かえつて、じやまになります上に、使わないでおけば車両のいたみも早いというようなわけで、ただでいいから使つてくれということを国鉄の方に言つてつたわけでございます。そこで国鉄の方も、それならばということで、一応無償でこれを使用しておつたというようなかつこうに相なつたわけでございます。まことに経理上ルーズなやり方でございます。これはその後二十六年度の予算におきまして、全部消化いたして正規のものにいたしたのでございまするが、やり方といたしましては、いかにも事情やむを得ないといいながら、ルーズなやり方でございまするので、責任者に対しましては嚴重注意を与えた次第でございます。  五四六号の、貯蔵品の取扱い当を得ないものといいますのは、これは札幌鉄道局におけるまくら木、これが検收の能力の不足と、それから搬出が意のごとくならなかつたために、非常に腐蝕のまくら木を生じたのでございます。さらに惡いのは、その腐蝕のまくら木を東京鉄道局その他の鉄道局が保転いたしまして、そしてこれにわざわざクレオソートまで注入してしまつたというようなことでございます。これは検査院指摘通り、まことにルーズなやり方でございます。ただ当時の事情といたしますと、戰時中の酷使のために、線路の敷設まくら木が非常に腐朽して取扱いも十分でなかつたために、運転上非常に憂慮すべき状態になつたため、まくら木の増産並びにまくら木用材の獲得ということに必死になつておつたのでありまして、最も生産力があると見られた北海道地区に対しまして、できるだけたくさんの割当が来たのであります。その結果検收能力を上まわつて、あるいは輸送力を上まわつたような割当をした結果に相なつたのが、かような申訳のない結果を生んだのではないかと思うのであります。こういうような状態を演じましたので、その後は物品の検收保管について、特に機構の改善をはかりまして、検收職員の養成に努め、検査の適正と、保管管理の的確を期しておる次第であります。この分に対しましては、非常にたくさん責任者もございますので、全部にわたりましては七十三名にわたつて処分をいたして、一番重きものは停職、それから三箇月、十分の一を初めといたしまして、減給処分に付しましたものが約三十六名ございます。そのほか戒告、訓告処分もいたしておるわけでございます。何とぞ御了承を願いたいと思う次第であります。  五四七、交付原材料が未回收のままとなつているもの——これは会計検査院の御報告通りで、まことに申訳ございません。このうち一人の方は片づいたのでありますが、伊藤某という者に対しまする弁償金はまだ未回收であります。これはもう資産もなくなつて、強制執行をいたしましても、訴訟手続の金の方が高過ぎるというような状態なので、遺憾ながら未回收になつております。この関係者につきましては、もう今日退職しておる者が多いので、特段の処分はいたしておりませんが、今後こういうことのないように、十分注意をいたして行くつもりであります。  五四八号の、貯蔵品の整理当を得ないものという御指摘でございますが、これは御指摘通りでございます。要するにはなはだ申しにくいことでございますが、戰争中及び終戰直後にわたりましては、いろいろな事由で仕事のやり方もルーズになつておりますし、また物品の払い出し、亡失等の処理もきちんときちようめんに行つていないというようなことが、確かにあつたわけでございます。かような、いわばあかをためたままではどうにもならぬということで、ようやく二十三年度末あたりに、全部これをきれいに整理しようということで、これらの措置をとりましたために、結局亡失毀損というようなものに対しまして、多額の金額を出しました。あるいは貯蔵品の元帳残高とたな卸残高とが非常な差額を生じたということになるわけでございます。これらを一々糾明いたしますためには、約千二百余の物品会計官吏の全部の出納簿の受払い事実と、元帳登記の有無を再調査しなければなりません。まことに困難をきわめた仕事でありましたために、整理上やむを得ず欠損処理というような処理方をいたしまして、検査院のおしかりを受けるような結果に相なつたわけでございます。事実かようなやり方は、何と申しましても申訳ないのでございますが、もし一つの終戰直後における、あかを落すということが事実問題として御了承が願えましたならば、ある程度その点でごしんしやくを願えるのではないかと思うのであります。これ以後は、物品の払い出しは伝票による以外は、一切出納がなし得ないというように、規程を改正いたしまして、また積送品勘定というものを設定いたしまして、輸送中の貯蔵品の動態も把握できるような制度に改めております。一ぺんあかを払い落しました上で、新しいしつかりした制度を組み立てておりますので、今後こういうような事項はほとんど起らないように相なるものと期待しておる次第であります。  なお昭和二十二年度分が一つございますが、これは三四八号、立木の伐採にあたりまして過払いをいたしまして、その返納に至つていないということでございます。これは会計検査院の御指摘通りでございます。     〔藤枝委員長代理退席、三宅(則)委員長代理着席〕  これもまことに遺憾なことでございます。このうち石坂某の分については、当時差上げました説明書には、まだ残額があるようでございますが、これは全部二十四年の九月に済んでおります。竹内某の分につきましては、これはその後一万円返納いたしておりますが、まだ残額が三十一万円ほどございます。これはもうまつたく赤貧洗うがごとき状態になつておりますもので、いかんとも手のつけようがないので、督促はいたしておりますが、ちよつと望みがない、まことに遺憾な結果になつております。お許しを願いたいと思う次第であります。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 本事項に関しまして、会計検査院側に格別の意見がございますか。
  26. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 五三五号ないし五四八号並びに二十二年度検査報告掲記三四八号について、政府側より御説明がございましたが、特に言及いたしたい事項が一、二ございますので、申し上げます。  五三七号の、貯蔵品購入資金の運用当を得ないものという案件は、貯蔵品購入資金の運用並びに調達いたしました物資の使用が放漫であるという意思表示でありまして、その間における事情は一応ございまするが、本件と同様の案件につきましては、すでに国会においては、昭和二十二年度の決算の検査に関しまする国会の議決第八「会計処理その他に関し、措置当を得ないもの」で「政府会計経理の適正を期するより最善の努力をなすべきもの」の中に、列挙いたしましたものと同様な性質のものでございまして、将来放漫のないことは期待いたされますが、当時の事情といたしましては、いささか放漫であつたように考えるものであります。  五四〇号の問題は、亜鉛メツキのものでございまするが、非常に大きなものになりますれば、中間の業者を排除するわけではございませんが、一応管内のそれぞれの関係業者がじかにやられるところがないかという調査をされた上で、加工にお出しになるということが大事なので、さような意味合いにおいて調べて参りますと、百万円で出したものが七十万円でそのままきれいに下請に行つておる、しかも支払い内訳を見ると、百キロで済むのが二百キロ勘定になつておるのは、どうもおかしいじやないかということで出しました案でございます。多少その間にお使いになりました物資の記載漏れがあるという御説明でありましたが、そういうような事情がありましても、一応のねらいといたしましては、ただいま申し上げましたような、加工の請負をする人間の相手方の選定において注意を要することがあるのではないかという点においてひつかかりをつけて、かような問題を引出したものであります。  それから五四二号の、タンク車使用料の支払いの問題は、これは内外輸送にお払いになりまして、内外輸送に対しましては、大蔵省の方が弁償金をとつておりますので、結局国損は発生していないのでありますが、お払いになりました当時、なるほど運輸省で名義の書きかえをなさつて、会社の所有ということに運輸省の内部ではおきめになつておりますが、私の方で、内外輸送その他の会社に対して、はたして所有権を持つておるか、もしくは正規の使用権を設定されておるかということを調べて行きますと——いずれも復員局並びに財務局の回答によりますと、まだその間が暖味模糊としており、なお会社の正規の所有権なり使用権が設定されたものとは認められない、かような状況にありましたので、ここに出した問題でありまして、その間を裏書きするかのように、大蔵省におきましては弁償金をとつて、大蔵省所管国有財産に編入後のものについては、使用料をとるということにいたしておりまして、当時内外輸送がこのタンク車を使用するについての使用権が正規のものでなかつたということは、大蔵省が弁償金という形で、使用料に相当するものを徴收いたしております観点からも、見受けられることでありまして、経理に対しまして、支払いをする対象の人の権利の確認について、いささか欠くろところがあつたのではないかという意味合いにおきまして、五四五号の案件は出しておる問題でありまして、これは国損はもちろん発生いたしておらない件でございます。  その他各項目については、政府側の前後のいきさつ並びに、善後処理についての御説明通りでございまして、格別異存はございません。
  27. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま会計検査院側説明は終りました。これより運輸省並びに国有鉄道関係に関しまして質疑を許します。質疑はありませんか。——質疑がなければ次に申し上げます。  本日、運輸当局及び国有鉄道公社側の局長の場出席せられなかつたことは、決算審議上、はなはだ遺憾に存じます。本日出席を要求しておきました港湾局長、官房長、日本国有鉄道総支配人以下関係局長には、他日連絡をいたしまするから、必ず本決算委員会出席せられまして、詳細なるお説明をくださるよう、この際強く要望いたしておく次第でございます。ちよつと二重のようですが、国有鉄道運輸省の方に答弁を得たいと思います。連絡していただくことに対する決心のほどをここに示されたい。
  28. 石井昭正

    石井説明員 ただいま委員長から、国有鉄道当局出席についての御要求もありましたが、まことにごもつともと存じます。実は国有鉄道経理局長は、病気のため出勤不可能でございまして、ずつとこの二、三日来病臥しておりますので、まことにやむを得ないことかと思つております。また総支配人は、会議のために出張いたしておりますので、いずれ機会を得まして、委員長のお呼び出しに対しまして、まかり出るように連絡いたしたいと思つております。
  29. 國安誠一

    國安政府委員 本日お呼び出しを受けました官房長以下各局長出席がありませんことは、まことに遺憾でございます。必ず十分連絡いたしまして、次回には出席いたすようにいたします。
  30. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 引続いて、旧逓信省所管について審議を進めます。報告書二百十六ページ、報告番号五四九及び五五〇、一般会計の批難事項につき、一括して電気通信省から説明を伺います。
  31. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 一般会計の分につきまして御報告申し上げます。  五四九号は、昭和二十二年度当時におきまする航空保安庁の職員関係でございまして、当時一般職員の給与が著しく惡うございましたので、非常に困難をいたしておつたのであります。それに加えまして民間会社等におきましては、いずれも通勤費あるいは越年資金を支給しておりました関係から、保安庁の職員の労働攻勢が非常に強うございました。ところが予算のきゆうくつな一般会計におきましては、何ら支給すべきものがございませんでしたので、当時多少余裕のございました人件費から支出いたしまして、交通費補助等に支給したものでございます。これは公務員法施行前のものでございますので、給与法に抵触するものではなかつたのであります。その他の使用につきましても、その内容はいずれも正当に支出し得る使途に使つておるのでございまするが、ただこのような作為を加えまして、不当な方法で支出したことにつきましては、まことに遺憾に存ずるのであります。将来におきましては、監督を嚴重にいたしまして、再度繰返さないように、十分注意いたすつもりでおります。なお支出額六百五万円余のうち、所得税及び共済組合に使用いたしました八十万余円のうち、所得税の納付額を除いた共済組合の十六万円余は、昭和二十五年二月六日に返納済みでございます。なおこの所得税の分は、架空の名義で出したのではありますが、所得税でありますので、一応そのままにとどめておいたわけでご葦います。また職員の交通費補助外三件の支出額の合計二百六十万余円につきましては、業務上まことにやむを得ない支出でございましたので、そのまま処理することといたしました。残額の二百五十七万余円のうち、現金で保管したりまたは職員に一時貸し付けておりました百二十三万余円につきましては、二十五年七月二十六日までに全部返納いたしたのでございます。また関係責任者に対しましては、二十四年九月三十日に戒告の処分行つたのでございます。  次の五五〇号、予算使用当を得ないものでございますが、これも航空保安庁関係でございまして、終戰処理費の事務費で家屋を購入したことについて、指摘されたのでございます。これは職員の中に戰災、引揚げ等で住居に非常に困窮いたした者が多数おりまして、職務遂行上、支障を来すおそれが非常に多うございましたので、本費用を差繰つて購入いたしたのであります。今後におきましては、予算措置を講じまして、かような不当な処理をいたさないように、十分注意をいたすつもりでございますから、何とぞ御了承をお願いいたしたいと思うのであります。
  32. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま肥爪経理局長説明を承りました。会計検査院側に御意見はありませんか。
  33. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 五四九号、五五〇号は、いずれも政府説明通りでございまして、関係者に対する善後措置、将来の再発防止についての御意見了承いたして、これ以上つけ加えることはございません。
  34. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 質疑を許します。御質疑はございませんか。——質疑がなければ次に移ります。  次に報告書二百十七ページ、通信事業特別会計歳入歳出、報告番号五五一、歳入歳出決算の作成に当り金額の計上を誤つたもの——本件説明を郵政当局より願います。郵政省大野事務次官。
  35. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 五五一で御報告のありました内容は、まさにこの通りでございまして、まことに申訳ないことだと存じております。実は御承知のように、全国一万五千にも及びます各郵便局での窓口におきまして、日々歳入歳出金のほか、いろいろの各省のお金などを預かつておりますが、その扱いのうち、歳入はすべてそこの出納官吏より歳入徴收官の方へ、その都度証拠書類を添えて報告をいたしますし、歳出につきましても同様でありますが、同時に私どもの方といたしましては、歳入歳出外のお金の出入りなども合せますと、この二十三年度で年間一兆三千億以上に上るという厖大なお金でございます。それを毎日々々一万五千の各郵便局から日報といたしまして、こまかく内訳計算をいたしましたものの報告書をつくりまして、これを途中で何度か検算をいたします関所を通りまして、これが本省の主任出納官吏の手元に流れて参るのでございます。つまり歳入徴收官なり支出官の方への報告は、これは別ルートで直通で参ります。もう一つの方の実際の現金の出入りの報告は、検算の関所を通りながら、主任出納官吏の手元にまで出て参ります。この両者の数字をぴつたり会せますことがなかなかむずかしいのでございますが、これはどうしても合せなければならないし、また合わなければならないことは当然でございます。ただ何さま局所が全国非常な遠隔の地にばらばらにありますので、そこから出て参ります報告書の到着の遅延の場合もございます、また非常にこまかないろいろなものの集績でございますので、あるいは年度の区分、科目の区分、金額その他において誤謬なきを保しがたいというような関係もございまして、会計検査院より御指摘をいただきましたように、不符合を生じたのでございます。ちようどこの二十三年度という年は、逓信省を電通、郵政の両省に分割いたします前の年に当りまして、その方面のいろいろの準備その他で忙殺されておつたというような関係もございますが、それにいたしましても、この両方の系統の数字がぴたりと合うように、欠陥を十分に検討いたしまして、今後においてはかような事態を生じませんように、極力いろいろの対策を講じております。最近までに漸次不符合を是正して参つておりますので、まことにこの点申訳ございませんでしたが、将来は十分注意をいたしますので、何とぞ御了承をいただきたいと存ずる次第でございます。
  36. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま郵政省側の御説明は終りました。これに関して会計検査院側から何か御意見ございませんか。
  37. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 ただいま政府側より御説明通りでありまして、つけ加えて申し上げる事項はございません。
  38. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 検査院の御報告は終りました。質疑を許します。質疑はありませんか。——なければ委員長から一、二お尋ねいたします。  全国に数万数千というようなたくさんの郵便局があるわけでございまして、この従業員等につきましては、相当な御監督をなさつていらつしやると思うのでございますが、実際面については、不十分になりはしないかと思うのであります。一体どういうような系統でおやりになつていらつしやいますか、本委員会を通じて国民大衆諸君に知らせていただきたいと存じます。
  39. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 まことにごもつともなお尋ねでございまして、私どもも非常に多数に上ります出先機関に働いている職員の監督指導という面につきましては、まことに平素から苦心いたしておるのでございます。新たなる組織系統から申し上げますと、全国を十の区域にわけまして、その十の区域にそれぞれ郵政局というものを置きまして、この郵政局がそれぞれ平均いたしましてやはり手数百の郵便局を掌握するごとになりますが、その千数百の郵便局の直接の監督機関といたしまして、常時現場連絡を密にいたしまして監督をいたして、業務上の指導その他をいたしておるわけであります。しかし何さまただいま委員長から御指摘になりましたように、非常に広い地域に散在をし、しかも多数の職員を擁しておりますので、とても普通の監督機構の系統だけでは、完全を期し得ませんので、郵政省の特殊の機構といたしまして、特に郵政監察局というものを設けてございます。この郵政監察局というのが全国十の区域にわけられまして、おのおのただいま申しました郵政局の所在地に郵政監察局が設けられております。ここに專門の郵政監察官を配置いたしまして、この郵政監察官は、原則として常時現場に出て非違なからぬことを期し、また業務上の必要なる調査、現状の把握といつたような任務をもつぱらその使命として活動をいたしておるわけであります。監察局というのは、区域によりますと、どうしても数府県になりますが、最近におきましては、そういう数府県を持つ監察局一箇所に監察官を配置しただけでは、もちろん十分でございませんので、おもなる郵便局には監察官を駐在させまして、その駐在監察官というものが主要な郵便局におりまして、その附近の数局を合せて、常時監督指導をするというようなことにいたしてございます。こういう点につきましては、ほかの行政官庁ではちよつと例のない組織でございますが、ただいま委員長からも御注意のありましたような特殊な要求にこたえますために、かような制度をとつて、今日いろいろと配慮をいたしておる次第でございます。
  40. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一言委員長からお尋ねいたしますが、二十三年度においては、全逓とかその他の労働運動が相当盛んであつたと思いますが、そういうような運動によりまして擬乱されたり、あるいは惑わされたというようなことは、なかつたかどうかということが一つ。  もう一つ、ついででありますから申し上げますが、昔は三等郵便局というものは、各町村の名望家がやつておりましたが、近ごろそれがだんだんぐらついて来たように考えております。それらについての改善策、政府当局の要望もしくはこれに対する考えがありましたならば、この際伺いたいと思います。
  41. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 二十三年を中心としました前後は、非常に労働運動の盛んなころでございまして、しかもその労働運動がまだ、いわば揺監期とでもいいますか、しつかりとした軌道のできていないころでございましたので、全逓といえば、相当に急進的な労働組合であるという評判をとつたくらいでございますが、実際問題といたしまして、これがため業務上に非常に大きな影響を受けたというようなことは、とりわけ申し上げるようなことはなかつたかと考えるのであります。もつとも例の二・一ストライキというあのころには、全逓も相当大きく動いておつたのでありますが、これは関係筋の指令によつて、すぐとめられました。当時は公務員法もございませんでしたし、もちろん公務員といえども罷業権を持つておりましたから、罷業をやるというので、俗にいうさみだれ戰術というようなことが、各地の郵便局で起つたこともございます。しかもこのさみだれ戰術とか職場離脱ということも、その都度適切な措置をとりまして、漸次、非常に急進的で、とうてい公務員としては適格性のないと思われるようなものは次第々々に排除されて参りましたので、一般経済情勢も好転し、また労働運動についても、おのずから軌道ができるのに伴いまして、今日におきましては、まつたく業務の運行上に懸念をいたすような面はなくなつたように考えているのでございます。  それから次にお問いになりました特定郵便局の件でございます。明治初年に新式の郵便制度が始められまして以来、非常に当時の先覚の人たちの周到なる用意のもとに始められた、実に妙味のある制度でございます。その後幾たびか変遷を経まして、今日におきましては、いわゆる昔の二等局は、特定郵便局という名前にかわつているのでありますが、旧来のような請負というような形式を全部脱却をいたしまして、経費その他国の直轄ということに粗なつております。しかしその局長さんは、やはりそれぞれその地方の名望家と申しますか、そういう方々が依然として大部分局長として今日その職をとつておられるのであります。そうして、大体これはもう三代にわたつて同じ局を守つておられるというくらいに、相当古い歴史を持つている、まつたく今日におきましても、その面からいえば特殊な一つの行政機関というようなことになつておりますが、だんだんと終戰後いろいろ主の中の改変が次次に行われまして、なかんずく土地制度による土地の開放と申しますか、ああいつた事柄、あるいはいろいろな特殊な税の政策とか、そういつたようなことから、確かに地方の旧家あるいは名望家というようなところから出られました特定郵便局長の方々の中にも、経済的には昔のように非常に彈力のある地位は保てないようになられた向きもあるやに考えられます。時あたかもこういう情勢でありましたので、旧来ほとんど給料というようなものもなしに、自分の家を提供し、自分の労務を提供し、そうして国家のために御奉仕を願つた、その形も自然今度は——これは必ずしもただいま申し上げましたその経済的の地位がいろいろかわつて来たからというのではございませんで、別の面から来たのであります。と申しますのは、これもこの特定郵便局長さんが、やはりりつぱな国家公務員でございますから、そういう意味で、その国家に奉仕する労務に対しましては、正当なる給与、報酬を与えるべきであるというので、給与の面も、昔と一変して、普通公務員のように、それぞれその経歴あるいはその他の条件に従つて、適切な給与が現在は支給されておりますし、またその局舎につきましても、旧来はこれはただ無償で提供するということでありましたが、国が国の必要のためにその建物を使うのでありますから、これに対しましては、正当な局舎料——その賃借料でございますが、国がその局舎を借りるという建前になりましたので、正当な賃借料を払うというふうに改まつて参りました。このために全国の一万数千の大部分が特定郵便局なのでありますが、その特定郵便局の経営という面を経済的に見ますと、昔と違つて非常に金のかかるものになつて参りました。金のかかるものになつて参りましたが、しかしそれは、昔はその時代の背景から見て、それでよかつたかもしれませんが、今日におきましては、これがむしろ当然なやり方でございますから、これを私どもは、むしろあたりまえのことをしたというふうに見ていただきたいと考えておるのであります。ただ昔のいわゆる請負制度時代におきましては、地方と特定局長とのつながりというものは、非常に緊密なものでありまして、今日郵政省における三本の大きな事業の柱の、その中の二つになつております簡易保險あるいは郵便貯金というような仕事は、これはまつたく特定郵便局長のその地方所在との緊密な連絡によつて、今日の成果を来したといつても過言ではないと思われるのであります。そういうわけでこの特定郵便局長の方々が、よく自主的にその公益的な使命を自覚されて、ほんとうに御奉公するという気持、何でも国策に協力して来られたのでありますが、その国策に協力される一つの形式といたしまして、各地に自発的な一つの集団と申しますか、特定郵便局長会というものを設けまして、その局長会の中に、さらに部会というようなものもあり、そうしてその部会の局長方が相寄り相集つて相談をし、またその上の団体である局長会というものが、会長を中心にしていろいろと相談をして、保險とか貯金の割当は、あなたの方は、これだけやつてくれ、おれの方はこれだけ引受けるからというように、自主的にいろいろやつて来られたのであります。しかしこれもこういう時勢になりますと、よくない。これもやはり国家の機関である以上は、上は大臣からずつと脈絡指揮系統を一貫した公務員であるはずであるから、そういう会とか団体という自主的なものは、いやしくも行政機構の中においては存在を許さるべきではない。——もつとも、これには多少またほかの理由もあつたように思いますが、これは臆測でありますからこの席で申し上げることは差控えますけれども、ともかくも、表面の理由はそういうことで、これが昨年の夏全部解散ということになりました。この局長会を解散したということが、相当いろいろな面に問題を提供したのであります。私どもといたしましては、これは第一に委員長から御質問になりました、全国非常に多数の郵便局、あるいはその職員を、いかにして監督されるかと言われたその事柄とも関連を持つのでありますが、一々郵政監察局がそれぞれ監督するといたしましても、かゆいところに手の届くような掌握というものは、なかなかできません。そこで実は局長会とか部会とかいう、一つの並行的な自主的な組織が相当役に立つてつた。これを解散して、そのままあとをほうつておくというわけには、どうも行きかねます。そこで今度は、理想的に言いますと、局数が十数局ぐらいがいいのでありましようけれども、今日は非常に急いでやりましたので、局数が少しまちまちになつておりますが、とにもかくにも特定局を一つの集団に、それぞれブロツクにわけまして、その集団の中に中心局のようなものを指定いたしまして、それを指定局ということにしまして、その指定局がその指定局の星団の中の郵便局の仕事をいろいろと連絡調整をするような仕組みで、昨年の十月から始めました。特定局長会の解散しましたのは八月でありましたが、二箇月たつて、十月から指定局制度というのを始めまして、これによつて旧来の自主的なものから、今度はそうでない、ほんとうに行政機構的なものでありますけれども、そういうものをつくつて今日仕事を運営いたしております。しかし、これはまだ始まつて半年にもなりませんので、だんだんと指定局制度というものを、さらに実地の経験に徴して、うまく軌道に乘せるように心がけて行きたいと考えておる次第であります。
  42. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一つ立ち入つて御質問いたします。ただいま大野女官のお話しの通り、三等郵便局は、特に地方の信頼を厚くいたしておりまして尊敬の的でもあり、また信頼すべきような気分が往々あつたわけであります。先ほどお話のありました通り、郵便貯金あるいは簡易保險その他のものが、そういうような名望家の郵便局長の信頼に負うて発達したものである、こういう点私ども承認するわけであります。  そこでもう一言申し上げますが、郵政事業というものにつきましては、御承知通り全国に何十万というような人間が配置せられている。いわゆる労働階級に属するというか、集配関係と申しますか、とにかくそうしたような活動をいたすものが、存在をいたすのでありまして、これは特別会計としては、当然やり得ないのでありますから、一般会計から本年もたしか四十億だか繰入れたと考えておりますが、当然のことであります。しかしてこの際お伺いいたしますが、こういうような全国津々浦々にまたがりますところの文化的郵政事業につきましては、今後この際改善すべき策がございますが、特にこれらの人々の優遇と申しますか、手当といいますか、ということにつきまして、考慮しなければならぬ点があるだろうと思います。これに対しまする御感想を一つ。  もう一つは、地方税に関係がありまして、この委員会で言うことはどうかと思いますが、実際面を考えますと、今までの集配人であるとか、郵便局員であるとかいう者が、地方税におきましては、その村におきまして一番へ二番、三番というような、まことに高額を払う、いわゆる高額の地方税納付者、こういうことになつておるように私は陳情を受けておるわけでありますが、本省の方には、そういうような陳情が来ておりませんか。来ておりましたならば、これは早く政府は国会と関係を保ちまして、これらの修正意見を出すことが必要であると思います。一体公務員でありながら、地方税はたいへんな税額を負担しておるというようなことを聞いておりますが、これに対しまして大野次官の答弁を求めます。
  43. 大野勝三

    ○大野政府委員 郵政職員の待遇のことについて、非常に御理解のあるお言葉をいただきまして、非常にありがたく拝聽いたしておるのでありますが、お言葉にありましたように、特殊な現業職員といたしまして、一般の国家公務員と同様のわくの中での給与ということには、確かに私どもも不合理な点があると考えておるのであります。ただ、何さま新給与体制が今始まつたといつてもいいくらいの今日の状況におきまして、すぐに理想的な現業職員に適応したところの給与の体系を打立てるというようなことも、なかなか困難な事情があるように考えられるのでありますが、私どもといたしましては、ただいまの趣旨まつたく同様に考えておりますので、現に実は今日給与の所管官庁であります人事院当局の方とは、種々折衝を重ねておるのでありまして、何とかこの現場作業で、もつと能率を上げ、能率を上げれば従つて給与も増すといつたような、ほんとうに能率給的な新しい給与体系を一日も早く実現いたしたいと考えておる次第であります。  第二にお尋ねのございました地方税の面につきましては、私どももまつたくさような陳情をよく受けまして、承知いたしております。何さま地方農村におきましては、おそらくいわゆる給与、月給をもらつて生活をする国家公務員といえば、これは郵便局の職員くらいのものではないかと考えられます。それほど私どもの機関は、都鄙くまなく充満いたしておりますので、従つてそういつた農村地帶におきましては、これは御承知のように、給与の地域差というものはきわめて小部分でありまして、大部分は国家公務員としては同様のわくで給与されております関係上、どうしても多少目立つ関係で、地方税が多くなるというようなまあ地方税の方では、別に郵政職員に重くかけようというような趣旨が毛頭あるわけではございませんでしようし、きまつた規則通りにやられる結果がそういうことになるわけではありましようが、実際は見てくれだけの給与でほかには何もない。農村の人でありますと、見てくれの收入はなくても、別に食糧に困るわけじやなし、燃料にも困るというわけじやなし、住居の面でも、それほど困らないというような事情があるのに対して、給与生活者は、もうそれだけですから、実際的な経済力という点においては、いわゆる税の負担力においては、差があるというふうに考えられるのが、これが常識的だと思います。おそらくその点を御指摘なつて、委員長がお尋ねになつたのだと思いますが、何さま税の問題は、なかなか私ども実はしろうとでよくわかりません。だんだん国会方面の御指導も受けまして、これが是正されることができますれば、非常に幸いだと考えております。
  44. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 承知いたしました。それでは大野次官の説明が終りましたから次に移ります。  報告書二百十八ページ、報告番号五五二及び五五三、予算使用当を得ないもの——これを一括いたしまして議題とし、それぞれ大野次官並びに肥爪両氏から御説明を願います。
  45. 大野勝三

    ○大野政府委員 それでは私より、五五二で指摘されております生産施設経費として、業務費の方から差繰り使用、流用をしている点を、会計検査院から御指摘になりましたことにつき幸して、御説明を申し上げます。事実はまつたくこの通りでありまして、予算使用当を得ない点につきましては、会計検査院の御注意通りでありますので、その趣旨を体しまして、十分将来を気をつけたいと考えているのであります。内容は、これまた言い訳めいて恐縮でございますけれども、二十三年度は、ちようど終戰まだ年をあまりけみしておりませんで、食糧事情は、さらに緩和の兆も見えないというようなときでございまして、労務加配などという特典は持つておりましても、なかなか現場職員に、十分な作業を期待するような食生活の安定を期することは、むずかしゆうございました。まあ、ひとり逓信省ばかりではございません、この当時におきましては、個人も、家庭楽園でみずから食糧源の確保に努める、会社銀行あるいは各官庁、それぞれまあそういつたことをなさつてつたように思いますけれども、われわれの方といたしましても、まあ農場とか——これも農場と申しましても、実はほんとうに生産力のある土地が、そうあいているわけではございません、やはり開墾地に手をつけたり、比較的今まで見捨てられておつたような土地でございますから、効果の点においては、必ずしも予期通りに行きませんでしたけれども、農場を開いたのです。それから、当時は塩が非常に不足しておりましたので、製塩工場をつくつている。また水産食糧もひとつとろうというので、漁船を買い入れまして、そうして出漁して魚を捕獲して来て、これを職員に配給するといつたようなこともやつておりました。そういう仕事の始まりましたのは、終戰直後の二十一年でございましたが、二十一年、二年それから三年、この三年目におきましては、もちろん新しい施設のために金を費すというようなことはいたしておりませんが、せつかく二十一年にでかしたそれらの施設を、何とかもつと効果的に維持して行くのでなければ、つまりもう少し維持費を培養して行かなければ、せつかくの最初の投費がむだになつてしまいますというようなことと、また食糧事情はただいま申しました通りでありますので、何とかというので、いささか背に腹はかえられず、意に合わないことをいたしまして、まことに申訳ございませんが、その後これは全部それぞれ整理をいたしまして、今日におきましては、まつたく一つも残つておりませんので、どうぞ御了承願いたいと思います。
  46. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 大野次官の説明は終りました。次は電気通信省の肥爪経理局長
  47. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 私より五五三号につきまして御説明申し上げます。  本件は、移動式箱番の購入に名をかりて、倉庫や住宅を新築したという御批難でございます。まことにその通りでございまして、申訳ないのであります。元来移動式箱番と申しますものは、工事現場におきまして、工事用具をちよつと保管したり、あるいは従業員のちよつとした休憩に充てるという趣旨のものでございますが、何さま工事現場のことでありまして、物を保管するにもちよつと適当なものが借りられないというようなこと、いろいろなことがございまして、その範囲を逸脱して固定式のものを建てまして、そこへ入り込んで住宅とし、あるいは倉庫としたのでございまして、会計経費の使用区分を乱したことにつきましては、仰せの通りでございまして、申訳ないのであります。従いまして、これらに対しましては、その性質によりまして、大部分国有財産に登録済みでございますが、登録未済のものも、その登録を適当としないものは、すみやかに本来の姿に返すようにいたしたのであります。なお関係者につきましては、それぞれ戒告または注意処分を行いまして、将来かようなことのないように、それぞれ処置をいたしております。
  48. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 右に関し会計検査院側意見は、ございませんか。
  49. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 五五二号、五五三号はつけ加えて申し上げることはございません。
  50. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 質疑を許します。質疑ありませんか。——それではひとつ委員長から申し上げますが、この箱番というものに名をかりてやつたわけでありまするが、こういうように濫費することがたびたびありますか。
  51. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 これは元来組立式で、物品として購入する。従いまして、需品費といいまするものは相当のわくがございますが、固定式のものになりますと、これは新しい建設ということになりまして、建設勘定の支出になるわけであります。建設勘定でございますと、いろいろその金を使いますには、現在におきましては、安定本部の認証を得るということになるのでありまして、なかなか認証を得るのが困難である。それからまた、建設勘定の方は、大体相当大きなものを建てるのでありまして、相当の積算根拠を持つて予算が組み立てられております。従いまして、なかなか倉庫、住宅を建てるということは、認証がむずかしいのであります。ことに住宅につきましては、最近終戰後におきましては、住宅法というものが成立いたしまして、お役人の住宅というものはなかなか困難になつております。そういうようなことから、非常にたくさん余裕のありまする需品費の方から——余裕があると申しますのは多少語弊がございますが、まず金額が大きゆうございますから、無理をすれば何とか使うことができる経費でございます。その方の経費からこういうことをやつたのでありまして、私どもはこういうことを嚴に慎みまして、需品費は本来の目的でありまする電信、電話の設備保守を完璧にする、惡い電話機をとりかえる、そういうような本来の方面に使わなければならぬのでありますが、その点が、当時住宅事情、倉庫事情が非常に惡い関係で、こういうような使い方をしたのでありまして、まことに遺憾に思つておる次第であります。
  52. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま電気通信省の肥爪君からお話がありましたが、当時は住宅難でありましたから、こういうことが行われたのでありますが、実は電話をかけても電話が出ぬということが言われております。そういうことがないように、出るような電話に改良するように、電気通信省あたりは注意願いたいと思う。一言御注意申し上げます。  次に報告番号五五四、郵便はがきの製造計画当を得ないもの——本件に対する説明を願います。
  53. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 これまた会計検査院指摘通りでございます。ちようどこの年に、はがきの値上げがございまして、五月の国会にその値上げ案を諮つておりましたが、ほかにも重要法案がいろいろありました関係上、いつこの値上げ案が通過するかなかなか見通しがつかないような状況にありました。一方はがきは随時注文製作をいたしまして、末端まで配給をいたしておきませんと、郵便局の窓口なり売りさばき所ではがきが切れるというようなことがありましては、まことに申訳ないことでございますし、しかも末端まで配給しますのには、少く見積りましても二、三箇月を要しますので、そういつたことから注文を多少多い目にいたしておりました。ところがこの値上げ案が七月の終りに成立をいたしまして、注文をいたしておりました五十銭はがきが役に立たなくなつた。もつとむ、この五十銭はがきを売りましても、それにさらに一円五十銭切手を追加して張つて御使用願えば、一向さしつかえないものではありますけれども、しかしそういうお手数をかけるよりは、その二円なら二円のはがきをお売りした方が、ほんとうのサービスでありますので、自然法律がきまりますと、新しい二円の方を売りさばくということになつて、五十銭はがきが大分倉にたまつたという状況であります。しかし、それはもう少し予算に対する計画をちやんと立てて、月々もつとうまく合理的に手配をやれば、そういうストツクを来すようなことはないじやないかという御指摘は、まつたくその通りでございまして、われわれのはがきの調製の仕方や配給の仕方には、研究の余地があるわけであります。こういう御指摘をいただきました機会に、十分検討いたしまして、将来はかようなことのないように心がけたいと存じておるのであります。なおそのときに余りましたはがきは、爾後活用のできるものはいろいろと活用いたしましたし、活用できないものは、それぞれ処分をいたしまして、今日では処理を終つておりますので、御了承を得たいと存ずる次第であります。
  54. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これについて質疑を許します。——それでは簡單に質問いたします。この五十銭のはがきに一円五十銭を追加して張るか、もしくは印刷し直してはいかがですか。
  55. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 一円五十銭の切手を追加して使用することは、さしつかえないのでありまして、おつしやる通りであります。ただお使いになる側の立場を考えますと、二円のはがきがあるものなら、別に切手を買つてのりをつけて使うよりは、二円の方を売り出しまして、なるべくお手数をかけたくないというつもりで、あとへあとへとストツクに入つて来たのであります。なお、ほかの方へ使うという点は、実は私どもの方は、新しい職員の訓練にもなりますし、古い職員の技能の向上にもなりますので、年々郵便を区分いたします区分競技をいたします。練習をしよつちゆうやります。その練習はがきに使つておりまして、これは、どうせはがきと同じものをつくらなければならぬものですし、一枚五十銭というのも、それをお使いになれば五十銭の値打ですが、うちでそういうことに使います場合には、実費の調製費だけでございまして、そういう意味で、どうせ調製するものですから、そういうふうに使つたりしております。
  56. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 そういうものに対して、別に五十銭の土へ一円五十銭と印刷したらどうですか。
  57. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 非常に実際的なお話で、中国などではそういうことをやつております。印刷が間に合いませんで、切手などでも、二円と書いてあるものに二千円と赤字で書きまして、二千円に使わせているところがあるので、不可能ではありません。ただはがきは、御承知のように、調製しますときには、大きな紙へ輪転機で刷りまして、機械で裁断してやりますので、それを一枚片々増刷りをするごとになれば、相当の手数がかかります。それよりも経済的に使おうというわけであります。
  58. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 よくわかりました。なるべくそういうことのないように、今後国費をむだにしないように、十分御監督あらんことを希望します。  次は、同ページでありますが、報告番号五五五、物品を著しく高価に購入したもの、及び報告番号五五六、運送費の支払に当り処置当を得ないもの——右二件に対しまして、電気通信省の肥爪君より説明を求めます。
  59. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 五五五号は、物品を著しく高価に購入したというのでありますが、まことに検査院の御指摘通りでございまして、実は昭和二十三年当時でございますが、当省の貨物自動車がロープを備えつけておりませんでしたので、もつぱら荷づくりに使用するなわを使つてつたのであります。そこで当省の資材関係の仕事につきまして指導をいたしておりました関係官がロープをつけろということを命令いたしましたので、購買担当官がロープを探したのであります。当業者の数名のものにつきましてロープがあるかどうかを調査いたしましたが、持つておりませんでした。そこで急速に整備しなければなりませんし、いろいろ困難いたしておりましたが、たまたまいわゆる市販品が見つかりましたので、そこで、正当な割当の手続を待つて整備するということの時間的余裕がございませんでしたので、こういう市販品を割高に買いまして備えつけたのであります。この点まことに遺憾な次第でございます。将来は十分注意をいたしまして、正当な割当の手続を経て整備しても聞に合うように、早くこういうものの必要を調べまして、急いで市販品を割高に買うというようなことのないように注意いたしたいと思うのであります。  次には五五六号、運送費の支払いにあたりまして処置当を得なかつたというのであります。これも検査院の御指摘通りであります。大体代金支払いにあたりましては、支払請求内訳書を十分に検討いたしまして、支払いをしなければならぬのでございますが、当時運送契約は一箇月に平均六百十五件、支払い件数は平均三百七十五件という多数がございまして、これに従事いたしておりました人数は、わずかに四名にすぎなかつたのであります。そういうふうな関係から、非常に多忙のために、内容を十分に検討いたしませんで支払いをいたしまして、過払いなつたわけであります。これはまことに遺憾な次第でありまして、今後は十分注意をいたします。なお過払い金は、昨年一月二十一日に全額回收済みでありますが、関係責任者に対しましては、訓告処分を行いまして、将来かようなことを再現しないように、十分注意をいたしておるのであります。
  60. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 右に関し、会計検査院の御意見はありませんか。
  61. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 以上二点につきまして、つけ加えて申し上げる事項はございません。
  62. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより質疑を許します。質疑はありませんか。  次に移ります。報告書二百二十二ページ、報告番号五五七、二百二十三ページ、報告番号五五九、五六〇及び五六一、以上四件を便宜一括して郵政局から説明を願います。
  63. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 五五七号は、経費の年度区分をみだつたものというのでございますが、長野郵便局で、窓口の改修工事をやつてつた。それが年度内に終るべきものを、終つたものとして処理しておるが、実は年度を越えて六月——二箇月だけ年度を越えて完成しているのはよくないというので、まさにその通りでございます。将来注意をいたしたいと思いますけれども、何でもその年は善光寺の御開張と平和博覧会がございまして、窓口の工事が晝間できない。お客の出入りのない夜だけというので、工事の手違いを生じて大分遅れたという事情があるそうでありますが、それならそれで、ちやんと正当の手続をふんでやればよろしゆうございましたのを、そうしなかつたという点は、まさに私どもの方の手落ちでございます。十分注意をいたしたいと思います。  それから五五九は、給与の支払いに当り所得税源泉徴收をしなかつたものというのでございます。こういう給与につきましては、必ず所定の所得税は引くべきものという嚴重な通達を出しております。それで大部分は間違いなく処理されておるのでありますが、御指摘の場合は、どういう間違いでございますか、間違いをいたしておりましたので、まことに申訳ないことでございます。すべてこれはその後税を徴收いたしまして、手続を完了いたしておるのでございますから、御了承願いたいと思います。  それから五六〇号は、小切手を詐取されたもの——札幌逓信局で小切手を詐取されましたために、四十二万円国損を来しておるという問題でございます。また五六一号は、職員の犯罪によりまして、貯金局と簡易保險局等の現金の事故を生じました。その事故を生じた穴埋めを国の方でいたしますために、それだけ国に損害を及ぼしているという点を御指摘になりました。これら両件とも、もとをただしますと、まつた職員の監督不行届ということに相なるのでございますので、いろいろと申訳的なことを申し上げてみましても、事実はやはりそういう非違を犯したのでありまして、そういうことのないように、十分将来を注意いたしたいと存じております。まことに申訳ないことでございました。
  64. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これに対して会計検査院側の御意見ありませんか。
  65. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 五五七号の、経費の年度区分をみだつたもの——これについては、この前、田中議員からも御指摘がございましたが、かような経費の年度区分につきましては、予算の示達が非常に遅く、契約が遅くて、しりが年度を越えて行くという問題と、予算は早く来ても、執行する方が、設計を立てるのが遅く、契約が遅くて、そのしりが年度を越えて、つじつまを合すために、やむを得ず、でき上つたことにして、書類に作為を加えて金を出しているという問題でございます。本件はあとの方で、予算は十月二日に来ておりまして、窓口の改繕というごく簡單なものを、契約の仕方がのろくて、結局跡始末に作為を加えたというような形式的な問題になりますが、実質的に申しますれば、そこの問題に響いて参るわけであります。その形式的な問題の方は、大蔵省の方で予算繰越しの措置を今度は簡單に認めて——こういう作為を加えてまでやらなければならぬように追い詰めた原因は、幾らか大蔵省の予算経理手続事務がやかましいとかいうようなことで起つたこともあろうかと思うのですが、それは漸次改善されておりますので、将来はこういう事件はだんだん少くなろうと思います。その他の事項については、申し上げることはありません。
  66. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これで説明は終りました。これより質疑を許します。質疑はありませんか。——それでは委員長から簡單に御質問いたします。こういうふうに、年度が来ますと、できないものをできたというふうにやる場合が、往々ありはしないかと思いますが、今後も寒冷地帶において、たとえば、三月までは氷が張つてつたり、雪が降つてつたりして、四月、五月ないしは六月に至つてやらなければならぬ、しかし年度末は来るというわけで、三月末あるいは四月初めに締切つて、やつたことにして済ますということがありはしないかと思います。これに対する御感想を承りたいと存じます。
  67. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 ただいま山名局長からもお話がありました通り、この当時におきましては、年度の繰越しという手続はなかなかめんどうでございましたので、おそらくその前年も前々年も、同じような形式でやつたことがあつたろうと思います。しかし今の山名局長のお話のように、最近年度の繰越手続も、割合にやりやすくなりましたから、これからはそういう無理のないように、工事に印したように、それらの処置ができるようになろうと思います。
  68. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 応知いたしました。  次に報告書二百二十二ページ、報告番号五五八、予算目的に反した工事施行し損失をきたしたもの、報告書二百二十四ページ、報告番号五六二、不用の物品を購入したもの及び五六三、職員の犯罪に因り国に損害を与えたもの、以上三件を便宜一括いたしまして、電気通信省当局より説明を求めます。
  69. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 五五八号は、予算目的に反した工事施行して損失を来したという検査院の御批難でございまして、これはまつたくその通りでございます。実は当時東京逓信局におきまして、管内の東京電気通信工事局の西部線路部の庁舎が、二十二年の五月十六日に、進駐軍の命令によりまして、五月二十六日までに明け渡すように要求されましたので、急速にその移転先を決定しなければならぬ事情に差迫りました。そこで東京逓信局におきましては、戰災によりまして焼失いたしております四谷電話局を急速に復旧いたしまして、これに收容することに決定したのであります。しかしながら本省におきましては、これは電話局として復旧する予定でおつたのでありまして、その後十月に至りまして、事務局舎として復旧することが、本省の意図と異なることが判明いたしましたので、ただちに工事を中止したわけでございます。このために工事の手もどりと多量の物品を貯蔵するというようなことに相なりましたので、この点まことに恐縮に存ずるわけであります。これはまつたく東京逓信局と本省との連絡不十分ということでございまして、将来は連絡を密にいたしまして、かようなことのないように、十分注意をいたします。なおこの局は、昭和二十五年三月二十六日に、電話局として復旧開局いたしております。なお責任者処分につきましては、本人が死亡し、または退官しておるというような関係もございまして、処分をいたさなかつたのであります。  次は五六二号、不用の物品を購入したという件であります。本件は元長野逓信局管内の岡谷外四電気通信工事局で、昭和二十四年の一月ないし三月の間に、大阪興業株式会社から、雨具千二百組を購入したことについて批難を受けております。長野逓信局管内には、降雪によりまする電信電話の被害がはなはだ多うございまして、これに従事させる者に貸与する目的購入したのであります。これらの従事員の中には、平素の工事に従事することを常務としない者も、一時動員して復旧に従事させます必要上、被服貸与資格者の範囲を越えまして貸与したものがありましたが、その後調査の結果、工事局にはほかに在庫品があり、この品物は各電気通信工事局には不用であることが明らかになりましたので、本件購入雨具は、全部信越電気通信資材部に引上げまして、普通の雨具として必要の向きに交付することといたしたのであります。なお関係責任者に対しましては、訓告または注意処分をいたしました。  次は五六三号の、職員の犯罪によりまして国に損害を与えたという件でございます。本件は、下関の電気通信工事局の資金前渡官吏の城田の補助者が、保管しておつた現金三十五万円余りを横領費消したことにつきましての批難でございます。これは資金前渡官吏城田は、出納官吏としての仕事をしなければならないのでありますが、犯人でありますところの伊藤の評判と、平素の勤務成績とを過信いたしまして、現金の出納を行わせておりました関係から、こういうことをしでかしたのであります。伊藤はこれを奇貨といたしまして、昭和二十三年の四月一日から六月三十日までの間に、自分が保管しておりました二十二年度の前渡資金の残額の十五万七千円余りと、二十三年度において前渡を受けました二十万円の合計三十五万七千円余りを横領して逃亡したのでありまして、横浜に潜伏中に逮捕されまして、二十三年の九月二十三日に、下関地方裁判所に起訴されました。公判におきまして横領事実を認めまして、その弁償につきましては認諾いたしましたが、十一月の二十四日に言い渡されました懲役二年六箇月の刑期に不服で、十一月二十九日に広島高等裁判所に控訴いたしまして、四月に二年六箇月の判決が確定いたしまして、目下服役いたしております。犯人の伊藤は、弁償する誠意を申し出ておりますが、二十四年の五月までに一万七千余円、六月以降二十五年十月まで二一万七千余円を弁償しまたが、目下服役中でございますし、資産もございませんので、当分弁償の見込みはございません。残額に関しましては、資金前渡官吏城田から、二十五年の九月以降、毎月一千円ずつ弁償せしめることといたしました。なお犯人の伊藤は、二十五年一月二十日懲戒免職になり、その他の関係責任者に対しましては、二十四年の三月に、いずれも訓告処分をいたしたのであります。今後会計検査あるいは業務監察の励行によりまして、この種の事故の防止に十分努力をいたす考えであります。よろしく御了承願いたいと思います。
  70. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまをもちまして、電気通信省の肥爪政府委員説明は終りました。これに関し特に御意見がありますれば、会計検査院側より簡單に補足御説明を願いたいと存じます。
  71. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 特につけ加えて申し上げます事項はございません。
  72. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより質疑を許します。質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御質疑がなければ委員長より質疑をいたします。  物品の購入に対しましては、電気通信省を初め、郵政省も同じことでございますが、よほどこれを監督し、もしくは調査をいたしておりますか、それについて御説明を求めます。
  74. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 物品の購入につきましては、委員長お示しの通り、よほどの注意をしなければならぬと思つております。最近におきましては、認証制度というものができまして、個々の收支行為につきましては、認証官が認証をすることになつておるのであります。従来ですと購買担当官限り物品を購入し得たのでございますが、認証官ができましてようは、資材系統以外の経理局系統に、認証官というものがおりまして、この認証官があらゆる角度から審査をいたしまして、物品の適正なる価格によつて購入されることを期待しておるのでありまして、私ども郵政省、電気通信省にわかれましてから、この認証制度によりまして物品の購入がよほど割安にできるようになつたと確信しておるのであります。
  75. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一つつけ加えて申しまするが、会計検査院も御指摘なつておる通りでありますが、会計経理と並んで、物品会計につきましても嚴重に取締り、もしくは監査するのが当然であろうと思うのでありまして、今後の経営状況につきまして、あるいは運行状況につきましては、ぜひ物品と会計経理の金銭とは、同様に重点的にひとつやつてもらいたい、かように思いますが、もう一ぺん局長からの答弁を要求いたします。
  76. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 委員長指摘通り、物品会計につきましても、よほど注意をしなければならぬと思います。私も多年お役人生活をやりまして、官庁におきましては、金銭に対しましては相当シーリヤスに考えて注意をいたしておりますが、物品方面につきましては、やや考え方が薄い、この点は民間の事業家と比べまして、大分異なつておる。役所におきましては、物品を現金同様に、あるいはそれ以上に注意深く考えまして、購入、保管その他すべてにつきまして、慎重にしなければならぬと思つております。ことに役所におきましては、物品というものは、たとえば、不用のものを買いましても、それで終りというようなぐあいに考えがちでございます。金銭でありますれば、ただちにそれが利子を生むということの考えに及ぶのでありますが、物品につきましては、不用なものを買えば、それだけ利子を生まない、それだけ仕事をしない、資金がそれだけ寝ろということになるのであります。そういうふうな徹底的な考え方が少いということが、官庁の能率を阻害しておるということを、つくずくと考えますので、私ども経理系統におきましては、ことに電気通信事業はマツカーサー元帥の書簡で、能率的に事業を経営するために、政府に二つの機関を設けろということで、郵政とわかれて電気通信省ができたのであります。そういう趣旨から考えましても、経営分析なり、あるいは原価計算なり、あるいは決算、あるいは現場会計監査というようなあらゆる機能を総動員いたしまして、物品行政というのは少し変ですが、物品の仕事につきまして、現金あるいは現金以上の考えをもつて、能率の発揮に努めるように努力いたしております。
  77. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの電気通信省経理局長肥爪君の御発言は、官庁といたしまして、まことに当然であると思います。ぜひその事柄を末端の各局所等に至りますまで伝達せられんことを、特に要望いたします。  次にもう一つつけ加えて申しますが、電信電話は、割合にもうかつておるということを言われておる。独立採算制といたしましても、特に收穫がある、こう言われておるのでありますが、ややもいたしますると、電話等については、先ほども申しました通り、なかなか改善が遅かつたり、また引くことが困難であるということが言われております。このごろでは大分改善せられまして、申込みましたならば、割合早く電話をとりつけるというようになりましたかどうか、この際お答え願いたいと存じます。
  78. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 電信電話は、先ほど委員長からおしかりを受けましたように、現在のサービスでは、まことにおそまつでございます。よそへ行きますと、電気通信省を電通省と言いますが、反対に通ぜぬ省と言つた方がよいではないかというような皮肉さえ言われるほどでありまして、この点まことに申訳ないのでありますが、何ゆえに電通省が通ぜぬ省になつたかというと、それは実に資金が不足なのでございます。電気通信省の施設では、本年の三月三十一日に、固定資産は、帳簿価格におきまして五百六十五億になる予定でございますが、これを再評価いたしますと千八百億を超過するのであります。これに対しまして、適切なる減価償却率をかけますれば、百六億ばかりの減価償却をしなければならぬのでありますが、来年度の予算におきましては八十八億四千万円しか減価償却費を計上することができておりません。しかもそのすでに十八億ばかり減価償却不足の八十八億をも、設備の拡張のための資金が百三十五億しか得られません関係から、本来その減価償却費はとりかえ補充に使うべきであるにもかかわりませず、拡張のために、電話の個数をふやすために用いざるを得ないというような状態でございます。そういう関係から、設備が十分にとりかえできないのであります。  はなはだ恐縮でございますが、時間を拝借しまして、ちよつと歴史を申し上げさせていただきたいのでありますが、昭和九年に電気通信事業は特別会計に郵政事業とともになつたのであります。ところが昭和九年から昭和二十年終戰の年まで、毎年減価償却に相当する資本維持のために費しました金は、とりかえ補充として費しておるのでありまするが、そのとりかえ補充の率は、その償却資産の〇・二五から〇・五八%にすぎないのであります。大体電気通信事業のごときものにおきましては、減価償却をいたしまするのには、それの十倍の最低四分四厘、普通六分近いところまで減価償却をしなければならぬのでありまするが、それが十分の一にも足りない程度しか資本の維持に使つておりませんで、その間もうかつていなかつたかといいますれば、郵政事業とともにわれわれの通信事業は、財源として使われておりまして、年々総收入の二〇%近くを臨時軍事費特別会計へ、あるいは一般会計へ繰入れておつたのであります。そういう関係から、国民はこの資本を食いつぶしておつたのであります。そこへ戰争でどんどん爆彈でやられまして、ひびが入り込みまして、雨が降りますと混線が多いという電話で通ぜぬ省になつたのであります。そういうものを、今、一挙にとりかえまして、普通の状態に来しますためには、約三百億の金がただちに投ぜられなければならぬのでありますが、それを投ずることはできません。その上に今申し上げましたように、来年度の予算におきましても、八十八億四千万円の金のうち、一部は建設の拡張のために使わなければならぬというような状態にあるのでありまして、私どもはまことに遺憾にたえないのであります。従いまして、目下大臣以下省の主脳部こぞりまして、資金獲得をいかようにするかということにつきまして狂奔いたしておるのであります。あるいは一定の限度以上の遠いところに住んでおられる方の電話は、負担金をしていただく。あるいは一般の電話の加入者には、ある程度の設備負担金をになつていただく、あるいはP・B・Xなどにつきましては、ある特別の縁故借入れのようなことをいたしたいとかいうような点で、司令部、大蔵省関係方面の御了解を得べく努力いたしておるのでありますが、何といたしましても資金を豊富にいたしまして、少くとも資本維持のために計上いたしました減価償却費は、必ずその本来の目的たる設備のとりかえ補充に使いまして、拡張はほんとうに外部から得ました拡張資金で拡張して行くというふうなぐあいにいたしますのが最低限でありまして、さらにその上に来年度におきましても、電話の加入希望が七十万もあるわけでありますが、来年度の二百二十六億の予算では、七万五千箇しかつけられない、一割程度しかつけられないという状態であります。従いまして、これをもつとつけませんと、日本の電話の稼働率は非常に高いのであります。アメリカに比べまして日本の電話の稼働率は倍働いておるわけであります。倍働きまする関係から、その設備が摩滅する速度が非常に早いのであります。そこへまた一つの電話が盛んに使われまする関係から、加入者がビジーでありまして、電話が通じない。ここに通せぬ省の状態を生じておるのであります。そういうことで、どうしても資金を豊富にいたしまして、旺盛なる電話需要に応ずるようにい失したいと、かように考えておるのでありまして、本委員会の皆様方にも、この点の御了解を、いい機会でありますので、ぜひともお願い申し上げたいと思うのであります。  電話をほんとうに電通省にいたしますのは、その資金の確保でございまするが、しからばさて電話事業の経営状態はどうかと申しますと、たとえば昭和二十四年度の決算で見ますれば、予算上減価償却として計上すべき金が八十七億であつたのでありまするが、予算に計上し得ました減価償却の金額は四十六億にすぎません。従いまして四十一億は計上不足であつたのでありまするが、幸いその後漸次改善を見ておりまして、昭和二十六年度の予算におきましては、先ほど申しました百六億の減価償却を計上すべきところが、八十八億まで償却額が計上できた。従いまして減価償却計上不足額が十八億円にすぎないということで、半減いたしております。そういうところから見まして電気通信事業はだんだん舞状態も改善されつつあるということは、まことに御同慶の至りでございます。電気通信事業は、大体電話を一箇つけますと、それが翌年度フルに動くと仮定いたしますれば、二万円の増收になるのであります。また最近は、国際電気通信が非常に盛んに利用されるようになりまして、終戰前の最も多く利用された時よりも、本年度はよけいに利用されているというようなぐあいに、まことに好都合の状態にあるのであります。そういうふうな関係から、本年度の当初予算と来年の当初予算を比較いたしますと、本年度の当初予算は、損益勘定三百九十五億であつたのでありますが、来年度の当初予算は四百八十三億でございまして、八十八億グロスにおいてふえておるのであります。それだけふえておりますが、もちろんべース改訂あるいは年末の一時手当その他のために約三十億円、その他いろいろなことがございまして、減価償却もよけい計上する。本年度は減価償却は七十四億計上しておりますが、来年度は八十八億計上する。そういうようなぐあいに、減価償却もよけい計上するというようないろいろな関係がございまして、そういう八十八億も額がふえましたが、ただ減価償却をあくまで合理的な線まで計上するということがまだできないのでありまして、資金をうんと投じまして、電話の能率をよくいたしますならば、電気通信事業は、将来非常に有望な事業であり、非常に改善せられると思うのであります。何といたしましても、電気通信事業をよくいたしまするためには、資金の確保でございますることを重ねて申し上げまして、御了解を得たいと思うのであります。
  79. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま電気通信省経理局長肥爪覇王君よりの詳細な御説明がありました。  もう一つ補足的に質問いたしておきますが、簡單に御答弁願います。近ごろテレビジヨンというものが現われるようになりましたが、これについて電気通信省はどういうふうに考えておるか、この際ちよつと承りたいと思います。
  80. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 テレビジヨンは、電波監理委員会ができましたので、大体そちらの方の所管になると思いまして、電気通信省といたしましては、今のところ、電話と並用して、声を聞きながら顔を見るということの考えは持つておりません。
  81. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの肥爪君のお話によりまして、電波監理委員会においてやるというお話でございますが、いずれあなた方の方にも相談があるごとと思いまするから、よく研究されたいと思います。また本委員会等にも、ときどき連絡をとつていただきますれば仕合せである、かように考えます。  本日は、運輸省の方は、局長が見えませんでしたから、保留いたしておきます。  今日の郵政並びに電通両省関係審議を一応打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議がないようでありますからさように決定いたします。  本日は大野次官並びに肥爪局長が御出席でありましたが、この次も各官庁を呼びまするので、この際本委員会を通じまして申し上げておきます。どなたも会計課長のほかに、当該局長が御出席くださいまして、これらの意見を陳述せられ、また委員の質問に答えられんことを希望いたします。次の明後日二十三日金曜日は、労働省と建設省を呼びたいと思います。なお昭和二十四年度特別会計予備費使用総調書外四件につきまして、承諾を求める件を議題といたしたいと思いまするから、その説明を求めます。二十三日でありまするが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議ないようでありますから、そういうふうに手続をとります。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時散会