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1951-02-19 第10回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十九日(月曜日)     午後一時五十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 三宅 則義君    理事 金光 義邦君       大上  司君    高塩 三郎君       田中 角榮君    田中不破三君       藤枝 泉介君    山口六郎次君       宮腰 喜助君    井之口政雄君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     伊東 正義君         食糧庁長官   安孫子藤吉君         林野庁長官   横川 信夫君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     伊藤 繁樹君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      上松 憲一君         通商産業事務官         (通商化学局ア         ルコール課長) 井上  猛君         通商産業事務官 河村 篤信君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      大澤  實君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十三年度特別会計歳入歳出決算     —————————————
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、前会に引続いて、昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算及び特別会計歳入歳出決算のうち、農林省並びに元商工省所管について審議を進めます。  委員長より申し上げておきますが、天候が惡かつたり、いろいろの御都合もあろうかと存じまするが、本委員会におきましては、各省とも局長以上の人の御出席がない場合には、開会しないことにいたしておりますから、さよう御承知願います。本日も局長以上の御出席があつて初めて開会することにいたしました。各省政府を通じまして嚴重に警告を発します。  まず報告書百七十二ページ、一般会計報告番号四八七、農業水利費分担金徴收処置当を得ないもの、ないし報告書百七十六ページ、報告番号四九二、国有物件中、使用予定のない建築資材等処理当を得ないもの、以上六件を一括いたしまして、農林当局より説明を伺います。ごく簡單に願います。伊東正義君。
  3. 伊東正義

    伊東(正)政府委員 御説明いたします。四八七から一括簡單に御説明申し上げます。  四八七号は、昭和二十二年と二十三年の農業水利費分担金につきまして、その徴收が遅れているという御批難であります。ここに検査院の御報告にありますように、金額にいたしまして二十二年、二十三年の分が一億三百万円ばかり徴收延期なつております。これはわれわれもはなはだ遺憾に思つております。大体この水利事業につきましては、昭和二十二年十月まで農地開発営団でやつておりました仕事を、農林省が引受けまして、国営の水利事業にしたわけであります。それでこれは国が六割持ちまして、四割は地方が持つ、大体府県が四割のうち二割、地元の市町村が二割というようなことになつておりますが、その分担金徴收が遅れているという御批難であります。これは当時の事情から申し上げますと、地方の財政の問題が一番問題になりまして、起債のわくでありますとかが相当圧縮された関係もありまして、徴收が非常に遅れたことになつております。その後徴收いたしましたのは、このうちから六千百三十九万円ばかり徴收済みなつております。この制度につきましては、われわれとしましても、工事にかかれば、効果が出ないうちにも、すぐに分担金徴收ということには、相当無理がありますので、実は昭和二十四年六月からは、土地改良法で、工事完了後、その翌年から十年以内に年賦で分担金を償還して行くというような制度に改めております。これはその以前の事項でありまして、徴收が遅れたことは、はなはだ申訳ないと思つております。  それから四八八号でありますが、これは会計検査院の御批難は、福島県の大川筋小用水改良事業補助金を出した、それが一部ほかの地区にまわつているという御批難と、それからまた十分に請負契約もしないのに金を払つているという点と、もう一つは、農業水利事業以外の電気事業資材を、補助金の中から使つているという御批難であります。それで最後の電気事業の方に使いました補助金につきましては、これは御指摘通りでありまして、みな返還させております。それから、次の契約が遅れました分は、これはその工事一環なんでありますが、実は当時その地元電気——日本水力工業株式会社という発電工事をやる会社なんでありますが、それと県との間にいざこざがありまして、請負契約が実は遅れたのであります、工事一環なんでありますが、請負契約が遅れました分について補助金払つたという御批難でありますが、われわれの方としましては、請負契約が若干遅れましたことにつきましては、はなはだ遺憾に思つております。それから第一点の大川筋の費用を県内の他の地区——ここに書いてあります大笹生村とそれから宇多川にまわしたという点につきましては、農林省としましては、実はごの当時、こういう小用排水事業とか、耕地整理とか、機械揚水とかたくさん土地改良事業をやつたのでありますが、農林省補助のやり方は、当時は事業と金を一括しまして補助金を払つているような状態でありましたので、大体県にその配分はまかせるというようなことをやつておりました関係上、こういう結果になつたと思いますが、実はこれは私どもとしましては、返納はさせませんで、その事業はそのままやらせております。  それからその次の四八九でありますが、これは御承知の民有林施業計画をつくつておりますが、その中の補助金で、岐阜県に出しましたものの補助金が、もう岐阜県からは、一応仕事を完成したというような形になつて報告は来ているけれども、一部は二十四年に繰越しておる、それから一部は不用なつておる、そういうように漫然と補助金を出しているのじやないかという御批難であります。これはほんとうに私の方の手落ちでありまして、実はその当時、これは二十三年の十二月に、県の職員等も呼んで十分検討した上、補助金を二十三年度中に出したのでありますが、御指摘になりましたように、繰越した分がある、それから不用になつた分がある、その通りであります。それで繰越しました分は別にいたしまして、不用になりました分の補助金は返させておりまして、国庫納入済みであります。その補助金を出すのに、県その他と一緒に調査したのでありますが、調査不十分でこういう結果になつたことは、はなはだ遺憾に思つております。  それから次の四九〇は、北海道開墾馬耕隊の問題なんでありますが、馬耕隊の厩舎の建設費として出した金が、一部住宅建設に使用されておるという御批難であります。これも建物の性質上、開墾者がそこを共同に利用することは、一時的にはあり得るのでありますが、住宅として使用するということは、はなはだ遺憾でありますので、今後こういうことのないように嚴重に指示しております。次の四九一でありますが、これは公共事業でやつておる仕事であります。北海道漁田開発という仕事をやつております。大体樺太や千島の漁業関係の引揚者を、北海道に入れまして——これは農業開墾と同じ思想でありますが、住宅でありますとか、倉庫とか、そういうふうなものをつくりまして貸しております。これは今御審議願つております。十六年度の予算にも、四千数百万でしたか計上いたしております。これを無償で貸し付けているという御批難であります。われわれの方も、実は最初から無償で貸す意思ではありませんで、大蔵省と、国有財産としてどこの所管にするか、どこでこの賃貸料をとるかというようなことを相談いたしたのでありますが、その手続が遅れて、話合いがつきましたのが昭和二十四年十月でありまして、その後は大蔵省所管国有財産にいたしまして、杉幌財務部でこの賃貸料をとつておるような状態であります。会計検査院検査されました当時は、確かに無償であつたのでありますが、現在は有償で、大蔵省の方へ賃貸料を払つておることになつております。  それから四九二でありますが、これは北海道に、昭和二十二年度中に農林省から委託しました住宅その他の施設の建築資材が残つていた、それを二十三年になつても、北海道庁が漫然としてその資材を持つていたという御批難であります。これは二十二年の第二・四半期から、農林省が内務省からこの予算を引継ぎまして、二十二年度までは委託事業として北海道にやらせていたものでありますが、二十三年度以降は、これが補助事業にかわつたのであります。それで二十二年度に持つておりました資材を、実は開墾入植者資材に困つておるところに払い下げようということであつたのであります。その事務が遅れたことは、はなはだ遺憾でありますが、これは全部二十四年度までには売りまして、納付済みということになつております。  簡單に四八七から四九二まで御説明いたしたわけであります。
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまをもちまして、伊東会計課長からの御説明は承つたわけでありまするが、実は本委員会といたしましては、当該局長出席を求めた後に、これを審議いたしますので、せつかく伊東君の御説明でありまするが、これは保留いたします。局長の御出席がないときは審議を進めません。  順序を変更いたしまして、今度は農林省関係で、林野庁長官横川信夫君の御出席がありますので、その方に移ります。百八十二ページ、報告番号五〇一、薪炭売渡代金徴收処置当を得ないもの、ないし報告書百八十六ページ、国有物件報告番号五〇九、薪炭現品不足しているもの、以上九件を一括して林野庁説明を承ります。林野庁長官横川信夫君。
  5. 横川信夫

    横川政府委員 五〇一号につきまして御説明を申し上げます。林野局管下の冬木淡事務所におきまして、薪炭売渡代金徴收について、非常に遅れているという御批難でありますが、各木炭事務所におきましては、事務の分量に比較いたしまして、職員が非常に少かつたのであります。四十七の木炭事務所に約二千人の職員をもちまして、非常に多忙をきわめておつたのでありますが、昭和二十三年度におきましては、輸送中におきまする事故が激増いたしまして、一層事務処理が輻湊して参り、従つて徴收事務が遅延していたものでありましてこの点まことに遺憾でありますが、徴收未済の十九億二百六十一万五千六百九十七円については、全額調定を終了しております。  次の五〇二でありますが、薪炭需給調節特別会計におきまして、昭和二十三年度中に、薪炭購入のため、予算をこえて債務を負担したものについての御批難であります。昭和二十三年度は、年度末に至り、薪炭の供出が予定量に対して、予想外に多量に達し、さらに輸送中における事故激増等により、的確な数量の把握に非常に日数を要したため、時間的に計数の整理が困難となり、予算的措置を講ずることができず、遂に予算を超過するに至つたものでありますが、その後大蔵省と折衝の上、昭和二十四年度において予算的措置を講じ、債務全額支払いを完了した次第であります。  次の五〇三号につきましては、福島木炭事務所におきましての薪の購入代金の支払についての御批難でありますが、これは同事務所において事務の繁忙のため、購入代金支払いにあたり、調査の粗漏によりまして算定を誤り、過払いなつたものでありまして、まことに潰憾でありますが、過払い分の四十九万五千三百七十九円につきましては、昭和二十五年二月二十八日、全額国庫收納済みであります。  五〇四号につきましては、林野局におきまして薪炭購入代金支払いについての批難でありますが、これは京都木炭事務所で、京都薪炭林産組合外組合からの薪炭購入にあたりまして、調査粗漏のため過払いとなりましたもので、まことに遺憾でありまして、過払い分十五万九百七十一円につきましては、昭和二十五年三月四日、全額国庫收納済みであります。  次の五〇五号は、林野局におきまして、木炭購入についての批難でありますが、これは鹿兒島木炭事務所で、鹿兒島林燃料株式会社栗野出張所から購入した木炭検收にあたり、調査が粗漏のため現品不足したもので、まことに遺憾でありまして、不足数量四千七百十五俵については、昭和二十五年一月三十日、同会社から補填せしめたのであります。  次の五〇六号は、林野局におきまして、卸売業者に対する横持料支払いについての御批難でありますが、木炭価格改訂の際、マージンにつきましては、当時公正取引委員会調査部薪炭配給統制現況調査におきましても、御指摘なつておりましたように、価格改訂に多少無理がありました事情もございまして、特にまた同年の冬期は大消費地燃料事情がきわめて逼迫しておりましたために、薪炭需給調節目的達成上、やむなく横持料を支払うことといたしたのでありますが、かかる措置を講じなければならなかつたことは、まことに遺憾とするところであります。  次の五〇七号でありますが、指定集荷業者に対する増額手数料支払いについての御批難であります。これは五〇六号と同様の理由によりまして、かかる処置を講ぜざるを得なかつたことは、まことに遺憾とする次第であります。  次は五〇八号でありますが、薪炭需給調節特別会計資金借入れについての御批難であります。日本銀行及び農林中央金庫の資金をもつて立てかえ支払いをたしましたものは、この需給調節特別会計法で規定するところの借入金以外のものであるという解釈を持つていたのでありますが、法の解釈が適当でなかつたために、借入金の限度をこえる結果となりましたことは、まことに遺憾とするところであります。  次は五〇九号でありますが、薪炭需給調節特別会計におきまして、薪炭現品保管についての批難であります。薪炭現品整理保管については、従来から嚴重に督励をいたしまして、注意を払つて来たのでありますが燃料事情の逼迫に伴いまして、需給の円滑を期するため、中継受授、あるいはかま前受授による等の措置を講じなければならなかつた事情にありましたところ、さらに職員不足によりまして、一部を業者代行せしめるのやむを得ない状態となりまして、現品の確保が著しく困難となり、鋭意その整理について努力して来たのでありますが、その調査に時日を要し、整理が遅延しまして、遂に帳簿と不実合いを来す結果となりましたことは、まことに遺憾にたえない次第であります。その後整理の結果不足金額十三億七百四十一万一千余円のうち、現物補填をせしめたもの、あるいは行先が判明いたしまして売却いたしましたものが四億二千九百十二万一千円余、出荷業者弁償金、あるいは輸送業者弁償金または代金回收をいたしましたものが一億九千六百三万円余、以上両者を合せまして、国の收入となりましたものが六億二千五百十五万二千円余、その他国損と相なりまするものが四億四千三百十四万円、帳簿上の誤算を発見いたしましたものが二億三千九百十一万九千円余、以上二者を合せまして、六億八千二百二十五万九千円余と相なつておるのであります。  以上簡單でありまするが説明を終ります。
  6. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま横川林野庁長官より説明を承りました。委員長より申しまするが、あと出席するであろうところの食糧庁長官食糧管理特別会計と、ただいま説明せられましたる薪炭需給調節特別会計等は、特に過去におきまして問題の多かつた問題であります。でありまするから、あとで御質問もかなりあろうかと存じまするので、本委員会といたしましては、嚴重にこれらのことにつきまして調査をいたしたいと存じまするから、御遠慮なく質疑をしていただきたいと思います。その質疑の前に一応会計検査院より御意見がありましたならば、簡單に御説明を願いたいと存じます。大澤第二局長
  7. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまの五〇一号から五〇九号までの点につきまして、個々の点につきましては、ただいま長官の方からの御説明で、すでにおわかりのことと思いますし、また特に会計検査院の見解に対しまして、反駁されている点もありませんので、個々の点に対する説明は除きますが、全体を通じまして、薪炭特別会計がこうしたいろいろな問題が出て来たということの原因を研究してみますると、全国にまたがるところの薪炭需給調節という大きな仕事をなさるのに対しまして、それを担当する職員の数が、多い場合でも約二千名程度のものである。そうして勢いこの全国津々浦々にわたる検收事務とか、集荷運送事務とかいうものに対する政府の監督が十分に届かずに、業者にこれを委託せざるを得なくなつている、そこに大きないろいろな問題が出て来ているのではなかろうか。特にこの五〇九号に述べました薪炭原品不足という問題、またその前の方の五〇一二号から五〇五号にありますところのいろいろな誤払いの問題というようなものは、みなそうした検收を委託している、あるいは集荷を委託しておるというところに、問題が介在するのではなかろうか。こう考えまして、この会計はすでに整理終つたといいますか、終局に近づいているのでありますが、国として一つ特別会計を運営する場合には、やはり相当人員を擁してその経理に当らなければ、またこの二の轍を踏むのではなかろうか。公団に関しましても、業者に物資を保管委託しておいたものが、相当混乱しているという例が間々ありますので、こうした面については、将来の特別会計運営上相当注意を払わなければならない問題ではなかろうかということを考えまして、一言そのことだけつけ加えておきたいと思います。
  8. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま会計検査院大澤局長よりの御説明がありました。まことにごもつともな御説明であると存じます。各委員からも嚴重な御質問があろうかと思いますが、今横川長官大臣に呼ばれて行きましたからして、重要な問題は横川長官が来たときにいたします。なお事務的なことについては、業務部長が来ておりますから、これに答弁いたさせます。  これより質疑を許します。宮腰君。
  9. 宮腰喜助

    宮腰委員 ただいま議題となつておるこの問題は、前々の国会を中心大蔵委員会で、一般会計から特別会計へ繰入れる問題で問題になりまして、その赤字補填も、すでに予算措置で完了されております。ところが、この問題は非常に大きな問題になりまして、予算委員会、それから農林委員会、各関係委員会において、相当論議された問題であります。従つて、これを一々詳細に調べることは、非常に困難と思いますので、その当時の農林委員会あるいは予算委員会で論点になつた点を中心に調べるという意味合いから、その時の速記録を各委員に配付していただけば、非常に調べよいのではないか。決算委員会としては、当然この結論をつけなければならぬのですから、その記録をもし拝借できるならば、御配付を願いたい。
  10. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ちよつと速記を中止して……。   (速記中止
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは速記を始めて。  ただいま宮腰委員より御発議になりました、薪炭特別会計に関しまする報告書等につきましては、かつて決算委員会はもちろんのこと、農林委員会大蔵委員会予算委員会等におきましても、しばしば論議をせられたところでありまして、その速記録もしくは調査書等を基準にいたしまして、当決算委員会專門員室におきましてそれを集録し、それを要約いたしましたものを本委員会に提出せられ、本委員会の各位がよく了承した上においてこれを審議する、こういうことに決議することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なきものと認めます。さよう決しました。  次に質疑に入るわけでありますが、せつかく林野庁長官がおもどりになりましたから、根本的な御質疑でありますならば、この際許します。
  13. 井之口政雄

    井之口委員 ただいま会計検査院指摘によりますると、二千人そこらの人間がやつてつて人間が足らなかつたことが、こういうふうな不始末を起して来るおもな原因をなしているというふうなお話でございました。しかるに、二十四年の十月一日には、行政整理をやつて一千六百九十五人になつております。人数が少かつために、こういう不正を起したのが原因ということを指摘されているところから見れば、なぜそういう行政整理をして、足りないものの上になおさら人数を足りなくして、そうしてこの不正を激発するような手段をとられたのか、この点ちよつとお伺いしたい。
  14. 横川信夫

    横川政府委員 お答えいたします。私ども林野庁職員といたしましては、薪炭需給特別会計の現状からいたしまして、整理には長いこと反対を申し出ておつたのでありますけれども、周囲の情勢上やむを得ず人を減らさなければならないというふうな状態に立ち至つたのでありまして、私どもといたしましては、努力の足りなかつたことを省みまして、まことに遺憾と存じておるのであります。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまお伺いして、事情はよくわかつたのでありまするが、してみますると、この行政整理というのが、まつたく一文惜しみの百損を招来したような結果になつて、有能な人たちの首を切つてしまつたために事務が停滯して、しかもこうした厖大な不正が起り、不当な事項として指摘されるようなことが起つて参らなければならなくなつて来た。そうして国家はこれに五十四億からの補償をしなければならないような結果に立ち至つてしまつた、こういうふうにわれわれは理解するのでありますが、そう理解してさしつかえありませんか。
  16. 横川信夫

    横川政府委員 大体御説のようでありまするけれども、二十三年度は暖冬異変というようなことでありまして、急にまとまつた数量がどつと一度に出て参りましたために、かようなことになつたのでありまして、整理の当時といたしますれば、暖冬であるというような見通しはとうてい立ち得なかつたのでありまして、必ずしも御指摘のようなことばかりではないと、私ども考えております。
  17. 井之口政雄

    井之口委員 それから現品不足のところで、やはり検收を自分の方でしつくりとやらないで、だれか代行業者に一任したということになつております。そのためこうした行き違いがたくさん起つたようで——この代行業者にもやはり相当費用を払わなければならぬものだし、またそういう費用をもつて正規の人員整理しないでやつて行つたならば、むしろこうした弊害は起らずに済んだのじやなかろうか、こう思うのでありますが、どうでしようか。
  18. 横川信夫

    横川政府委員 代行という説明がございますが、実は契約をいたしまして、契約に基いて事業を請負わせたということでありますが、それにいたしましても、お話のように契約者がやはり人を使つて同じような仕事をするのでありますので、お話のような点は多分にあつたのではないかと考えております。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは食糧庁長官が御出席になりましたから、その方に移ります。今、薪炭特別会計につきましても質問がたくさんありまするが、留保いたしておきます。  報告書百七十七一ページ、食糧管理特別会計報告番号四九三、売買を作為し公団損失を補てんしたもの、ないし報告書百八十一ページ、報告番号五〇〇、運賃加算額支払い当り過払をしたもの、以上八件及び昭和二十二年度決算検査報告書百四十ページ記載の報告番号三二〇、亡失食糧に対する弁償金徴收措置緩慢なもの並びに三二二、予算使用当を得ないものを便宜一括いたしまして、食糧庁より説明を取聽いたします。食糧庁長官安孫子君。
  20. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 御説明を申し上げます。百七十七ページ、報告番号四九三、売買を作為し公団損失を補てんしたものとして批難事項が出ております。問題はここに書いてありますように、食糧管理局昭和二十三年七月及び八月に、食糧品配給公団から輸入分蜜糖千六百五十万キロを、百キロ当り七月分四千六百六十八円、八月分四千三百三十円、総額七億五千一万四千四百円で購入し、同時に輸入分蜜糖を百キロ当り五円、総額八十二万五千円で同公団に売りもどし、その差額七億四千九百十八万九千四百円の利益を同公団に得させた云々の事項でございます。この件に関しましては、砂糖の価格は、御承知のように輸入砂糖の価格と国内産の砂糖の価格とがそれぞれ違つておりますこと、それから輸入砂糖については、砂糖の消費税がかからなかつた等のために、砂糖の価格の決定にあたりましては、関係方面から、食糧庁と食糖品配給公団との間でプールをした価格を決定指示されました関係がありまして、食糧庁と食料品配給公団との間で、売買行為によつて処理することにしたために、こういうケースが起つたわけであります。今後は、かような取扱いについては、十分善処いたしたいと考えております。もつとも今後におきましては、目下予算審議でいろいろ御検討願つておるのでありますけれども、油糧砂糖配給公団が三月末日をもつて解散をいたしまして、砂糖に関する取扱いは、一切食糧庁自体がやる。食糧庁が買い入れまして、それを元売業者に売り渡し、卸売を通じて小売に行くというような措置に、四月以降切りかえることに大体決定を見ておりますので、今後はかような問題は起らないと思いますけれども、当時の情勢は、以上のようなわけでございまして、かような事案が生じたわけでございます。何とぞよろしく御審議を願います。  それからその次が四九四、北海道食糧事務所で、昭和二十三年七月二十一日及び二十三日に、株式会社日本製鋼所外一名に対し、内地産小麦粉九四二袋を四十二万六千七十四円で売り渡したものがある。右小麦粉は、七月十一日の価格改訂により、一袋二十二キロ紙袋入りは五百四十一円七十銭、四十四キロ麻袋入りは千百五円四十銭に値上りしたものであるのに、旧価格の二百七十円六十銭、または五百六十二円二十銭で売り渡したもので、四十一万五千九十八円の差損を生じていたので、二十四年七月、本院会計実地検査の際注意したところ、十月までに差損相当額の收納を了したという案件でございます。
  21. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これをお読みになることも必要でありますが、根本の精神のことを言つていただきたいのです。わかりやすく言つていただいてけつこうです。
  22. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 これに対する私どもの考え方でありますが、北海道食糧事務所で、昭和二十三年の七月十一日の価格改訂当時に、事務が複雑なために、小麦粉の売却にあたりまして、一部旧価格を適用いたしましたことは、ここに指摘されております通りに、まことに遺憾に存ずる次第でございます。  この差額四十一万五千九十八円は、昭和二十四年の十月二十二日に收納済みでおります。また当時の責任者に対しましては、それぞれ嚴重注意を与えた次第でございます。  その次に、同じようなケースで、四九五でございますが、これは京都の食糧事務所で、昭和二十三年の七月十一日の価格改訂直前の七月九日に、京都府の味噌工業協会に、みそ原料としてうるち玄米を売却しております。この売却の指令は七月二日食糧庁において決定をいたしまして、同日付をもつて京都食糧事務所並びに京都府味晦日工業協会にそれぞれ通達済みというものでありまして、七月九日契約が締結されたものでございます。  次に四九六、予算使用当を得ないものという案件であります。これは官舎の貸渡内規第一條に基きまして、義務官舎として、従来食糧事務所に設置されておりましたものを、今回も附属建物として復旧新築いたしたものであります。附属建物とは、官舎も含むものでありますが、明確を欠いていましたために、指摘を受けることとなつたのでありまして、この点はなはだ遺憾に存ずる次第であります。なお二十五年度予算におきましては、明確にこれを記載いたしておるような次第でございます。  その次の四九七、これは神奈川の食糧事務所で、二十三年七月から十二月までの米麦の供出最盛期におきまして、取扱い検査官が、新集荷制度実施初年度のために、事務ふなれの結果、四十四万一千七百十五円の支払証票を二重交付したのでありまして、まことに遺憾に存じておる次第であります。なお過払い額につきましては、二十四年の一月二十二日に收納済みであります。なお当時の責任者に対しましては、それぞれ嚴重注意を与えたような次第でございます。  次に四九八、これは新潟食糧事務所におきまして、昭和二十三年産米の買入れにあたつて、供出の短期間の殺倒、また当時の需給事情原因をいたしまする県外搬出事務の輻湊のために混乱をいたしまして、なおそれに個人別の事前割当の決定が遅延いたしておりましたのと、また人口異動による事前割当の変更等によりまして、一層混乱の度を加えまして、そのために一般供出分に超過供出価格を適用したために過払いを生じたものであります。これについても、それぞれ供出の計画化、あるいは超過供出代金支払い方法の改正等を措置いたしますとともに、過払い金額昭和二十四年十一月十一日までに、総額收納済みでございます。なお当時の責任者に対しましては、それぞれ注意を与えた次第でございます。  それから四九九、これは昭和二十三年八月二十八日に、油糧配給公団関西支部から、輸入脱脂落花生かす二千四百二十かます、金額千百六十三万八千五百二十四円を買い入れまして、これに対して取引高税相当額を追加支払いにあたりまして、旧価格に対する一%の取引高を計上すべきを、誤つて価格を適用して支払いましたために、過払いを生じたものでありまして、まことに遺憾に存ずるのであります。なお過払い金額は、二十四年五月までに收納済みでございます。また当時の責任者に対しましては、それぞれ注意を与えた次第でございます。  それから五〇〇号の、運賃加算の問題でございますが、これは新潟食糧事務におきまして、昭和二十三年産米麦の、特別指定倉庫搬入費の過払いは、供出の短期間の殺倒、それから人員不足、ふなれ及び当時の需給事情等から迅速に県外に搬出しなければならなかつたような事情等によるものでありますが、結論的には、まことに遺憾に存ずる次第でおります。なお過払い額は二十四年十一月二十五日に收納済みでありまして、また当時の責任者に対しましては、それぞれ嚴重なる注意を与えた次第でございます。  それから二十二年度の分の三二〇号でございますが、亡失食糧に対します弁償金徴收措置が、手ぬるかつたということであります。東京の食糧事務所で、亡失食糧に対します弁償金の微收措置が、非常に緩慢であつたという点は、会計検査院の御報告通りでありまして、はなはだ遺憾に存ずる次第でございます。現在も努力いたしておりますが、十分将来とも注意をいたすつもりであります。百四十四トン、この弁償金百七十三万四千二百六十円六十六銭、これは二十三年の十一月九日に調定をしまして、納入告知書第一千四百十三号をもつて、日通から十二月十日に納入済みでございます。当時の責任者に対しましては、それぞれ嚴重注意並びに訓告を与えた次第でございます。それから三二一、三二二、予算使用当を得ないものという点でございますが、三二一は、官舎の貸渡内規第一條に基く義務官舎として、従来食糧事務所に附設されていたので、今回も附属建物として復旧したのでありますが、予算に積算の基礎を計上しなかつたのは手ぬかりでありまして、今後は十分注意をいたすつもりでおります。やはり前同様、当時の責任者に対しましては、十分注意を与えた次第であります。  それから三二二は、農家の供出によりまして買い入れました主要食糧は、割当数量の供出が完了したからといつて、買入れを打切るものではないのでございますから、買入れが完了したものとは考えられないのであります。商品費に積算してあります主要食糧の種類、数量及び單価は、一応の見込みでありますから、価格が適法に変更決定されましたならば、それを既定予算から支払うことはさしつかえないと思つております。従つて商品費全体が不足しない限り、追加予算措置を要しないものと実は考えておる次第でございます。  以上簡單でございますが、私どもの気持を申し上げました。
  23. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 食糧庁長官安孫子君より御説明がありましたこの問題は、先ほど来継続して審議いたしておりまするところの薪炭需給調節特別会計と同様、食管特別会計は、過去におきましても、相当世間をにぎわした問題でありまするので、この際会計検査院側より説明を求めます。大澤検査第二局長
  24. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいま食糧庁長官から御説明がありましたうちで、会計検査院の見解を承服されて、それぞれ是正の処置を議せられたものについては、特に申し上げることはありませんが、そのほか二、三補足いたしたいと思つております。  最初に、昭和二十三年度の百七十七ページ、四九三号、売買を作為し公団損失を補てんしたものという件でございますが、これは先ほど来御説明がありましたように、砂糖の価格政策のために、食料品配給公団が手持ちのものを安く売つて価格調整をしなければならぬことになつておる。それをいわば一種の仮裝売買といいますか、食糧管理特別会計で高く買つて安く売つてやることにして、そのつじつまを合せたことになつております。会計検査院といたしましては、こうした価格政策の面における損失は、当然別途に、損失補填のための価格調整費の予算としてそれを受入れられるべきではなかろうか。食糧管理特別会計には、こうした欠損補填の予算というものは組んでいないのだから、これを売買の形式をもつて欠損補填の処置をとられるのは、会計経理上妥当ではないのではなかろうか、こういう趣旨で掲げた次第であります。  それからもう一点、百七十九ページの四九五号でありますが、これは京都の食糧事務所で、七月九日にうるち玄米を味噌工業協会に売られた。ところが七月九日の当時には、すでに七月十一日の価格改訂が予想されていたのであるから、一日二日を争つて改訂前の価格で売る必要はなかつたのではなかろうか。同時に、当時の京都のみそ事情を見ましても、大体一月に十二、三万貫の所要量でありますが、手持ちが、熟成したみそ及び不熟成のみそを含めて二十五、六万貫はある。そのほかに原料といたしましても、少し程度を下げて、つまり蛋白質原料をもつてやはり優に二十六、七万貫の原料がまだあつたという状態であるから、一日二日を争つてまでも旧価格で売る必要はなかつたのではなかろうか、こういう趣旨でありまして、検査院としては、配給の価格はあしたかわるから、今日の配給はとめるということまでもしなければならぬとか、そうすべきだという議論をしておるのではないのであります。これはいわゆる一般消費者に対する配給ではなくて、製造業者に対する割当でありますから、一日二日を争う必要はなかつたのではないか。同時に、これを原料としたみそは、その後七月二十三日かと思いましたが、みそも同時に価格改訂に伴つて値上げになつておりますから、価格改訂後の値段で売つても、何ら業者に対する損害はなかつたのではなかろうか、こういう趣旨で掲げた次第であります。  それから昭和二十二年の検査報告の三二二号の件でありますが、これは例の国会の決議などによりまして、二十二年産米の価格を二十三年度に入つて、二十二年の八月にさかのぼつて改訂した。そしていわゆる追加払いをされたわけでありますが、会計検査院の見解といたしましては、二十三年度の予算は、大体二十二年の八、九月ごろ組まれて、二十三年の三月ごろ国会の議決を経たと思いますが、これの内容を見ますと、一石当り五十六円でありましたか、この追加払いの予算は計上されていない。だから追加払いということがあらためて起つたならば、これはやはりあらためて追加払いの追加予算をつくつてから支払うべきではなかろうか、こういう趣旨で掲げてある次第であります。  簡單でありますが、以上を申し上げました。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま大澤会計検査院検査第二局長より説明を承りました。委員長からもさらに申し上げておきますが、この食管特別会計につきましては、昨年も、実は北海道を見て参りましたが、いろいろ複雑多岐にわたつておりまして、あまりに会計、経理になれていないというような実情を見てまわつた次第でありまするから、なお委員諸君からも相当な御質疑があろうかと思いますが、どうぞ活発なる御質疑を願います。
  26. 宮腰喜助

    宮腰委員 この問題も薪炭特別会計と同じで、各委員会相当問題になつたのであります。そこでこれも速記録なり、あるいは資料を出していただかないと、表面に出ただけで審議するということは、とうてい困難でありますから、ぜひ速記録並びに資料を出していただいて急速に調べ上げないと、この会期でこれだけ厖大なものを調べ上げることは困難でありますから、ぜひその資料をまとめてから、この審議を続行するようにしてほしいという希望を申し上げたいと思います。
  27. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま宮腰委員から御発議がありましたが、大蔵委員農林委員会予算委員会決算委員会等の、これに関する速記録を、あるいは取捨選択することもあるかと思いまするが、一応わかりやすく集録いたしまして、これを各委員に配付し、しかる後に審議するに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なしと認めます。さよう決しました。
  29. 井之口政雄

    井之口委員 なお油糧砂糖公団も、今度廃止になるのでありまするから、これもひとつさつきの薪炭需給特別会計整理状況の一般的な報告と同じように、公団状態をまとめて報告していただきたいと思います。
  30. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの井之口君の御要求もありましたが、もしできましたら、そういうふうにとりはからいいたします。  幸い安孫子長官も来ておりますから、根本的な質疑を許します。
  31. 宮腰喜助

    宮腰委員 これはこの決算の内容に属しない問題ではありますが、前回の食管の赤字補填の問題で問題になつた点でありまして、実は予算説明書の中に、たしかぬか代金が一俵五十何円かの予算を出しておきながら、実際はたしか百九十何円かに売つたようであります。それをその後どういうふうに処理されたか、その一点を伺つておきたいと思います。
  32. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 お尋ねの点はおそらく公団で発生をいたしましたぬか——現在精米は公団でやつておりますから、公団で発生をいたしましたぬかの処分方法についての御質疑だと存じます。予算編成をいたします際は、発生いたしますぬかの総量並びに当時の価格というような——その当時は公定価格があつたと私は存じておりますが、それによりまして積算をして予算を組んだと記憶いたしております。最近になりまして、ぬかが全部統制がはずれまして公定価格もなくなつたのであります。従つて公団といたしましては、これを処分いたしますのに、入札の方法をとらなければいかぬということに、おのずからなつて参る次第でございます。入札をいたしました結果、予算に見積りましたよりも、相当高い入札価格、落札価格というものが出て参つたのであります。これは経理上の問題からいたしますと、当然そうした方針をとるのが通例であろうと、私どもは存じておりますけれども、ぬかの実需者関係、特に畜産関係、飼料関係等から申しますと、そう高い値段を出されたのでは、畜産経営上に重大な支障を来す、しかも一方それが政府関係いたしております機関から発生したぬかが、さような高い価格で取引されますことは、非常に矛盾じやないか、政策としても適当ではないというようないろいろな御批判も受けておるわけでございます。従つてどもといたしましては、会計規則の許される範囲内におきまして、できるだけそう思惑が介在いたしまして、ぬかの高騰、暴騰が生じないような措置でもつて処分方法を決定したいと存じまして、ただいま検討をしております。この次のぬかの払下げのときから、大体そうした線に沿うた払下げ方法をとりたいと存じておる次第でございます。
  33. 宮腰喜助

    宮腰委員 断片的なことをお伺いするようでありますが、現在のこの米の中間経費——石について二千円以上の中間経費が出ておるようでありますが、この経費を節約すること自体が、これからの小売業者の配給手数料の上昇をはかることにもなり、今後の運営上非常に必要だと思うのでありますが、この中間経費が非常にかかり過ぎる、そういう意味合いから、あの公団で持つている輸送機関以外に——この米の輸送に関するものは公団でやりましようが、ただ袋の回收だとか、あるいは俵の輸送についてまた特別な輸送会社をこしらえておるようであります。たとえば米を積んで配給所に届ける場合に、その配給所から帰りに、から袋を積んで来ればいいのに、別途な輸送会社をつくりまして、この中間経費が上昇している。それで結局中間経費を安くすれば、農村の農業者にも還元され、また消費者階級も安い米が食えるのではないか、こういう意味合いから、中間経費をうんと節約する必要があるのではないか。そういう意味で、この輸送会社の実態をもう少し研究しまして、米を積んで輸送して行つた帰りに、そのぬか袋、あき俵というものをそのトラツクで積んで帰つて来るという方法でやつた方がいいのじやないか。そうすることにおいて、その輸送会社は必要じやないということも考えられるのでありますが、長官はそういうことを研究されたことがありましようか。
  34. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 中間経費の節約については、国会方面からも非常に強い御要望がございます。また私どもとしても、できるだけ生産者価格を上げたい実情にあります。また消費者価格は、できるだけ下げたいという両方の要求からいたしまして、結論的には、中間経費をできるだけ圧縮するという方向で努力して来ておるわけでございます。ただ、ちよつと脱線をいたしますけれども、いわゆる中間経費というものの中には、純粋の中間経費のほかに、生産者に還元されまする超過供出奨励金でありますとか、あるいは、早場米奨励金でありますとか、バツク・ペイの費用でありますとか、そうしたものも含めて中間経費として算定されておるような場合がたまたまございます。こういうものを控除いたします。と、自由取引時代の、たとこば茨城の三等につきまして、生産者が出す場合の生産者価格と、当時におきまする東京の白米小売商同業組合で発表いたしておりまする小売価格というものを比較いたしまして、その間の価格差と、ただいま申し上げました生産者に還元されるものを除いたほかの純粋の中間経費というものを比較してとつてみますと、必ずしもそう大きな開きがあるわけじやなく、ほぼ同じような状況で、若干少いような実情にもなつておるのであります。これは一例でありますので、全般を推すことはできませんが、ただ先ほど申し上げましたような趣旨から、できるだけ圧縮いたしたいということで、ここ一年来その努力を払つて来ておるわけであります。その一方法として、運送面における作業の合理化によつて運賃の節約をして、その辺の経費を節約するという点について、私どもいろいろ検討いたして参りました。確かに、そうした方法でもつて運賃を節約する部分がございます。ただこれを一々のケースについて官庁が指示いたしますことは、商事会社の内容にも立ち入ることでもありますし、ケースが非常に煩雑でありますので、行政事務としてはあまり深入りのできない性質のものだと思つております。従つてそれを運賃の面で強く圧縮をいたしまして、間接的にそうした方向に持つて行くようにいたしたいということで、たとえば日通の運賃につきましても、昨年から本年にかけまして、一割以上の圧縮をしておるというようなことで、実は経費の節約に努力をいたしておるわけであります。お話のような点につきましては、実情を私どもも承知をいたしておりますので、何とかしてそうした合理的な輸送の実施によつて経費の節約をするということについて、役所側といたしまして、できるだけの努力を払つて参りたいと存じております。
  35. 高塩三郎

    ○高塩委員 先ほどの安孫子長官説明の中の四九五号に関連した質問になるのでありますが、この四九五号の問題は、京都府の味噌工業協会へ、値上りを予想して安く売つた、つまり業者に五十二万三千五百九十一円を利得せしめたという問題でありますが、これに関連しての質問であります。私のお伺いすることは、これと正反対の問題でありますが、最近非常に輸入大豆と申しますか、これが急に暴騰した、その原因についてお伺いしたいのであります。目下みそ、しようゆの製造業者が非常に狼狽しておるのでありますが、その値上りの原因並びに目下油糧公団でありますか、政府手持ちの原料は、どのくらい大豆がおありになるか、御説明願いたいと思います。
  36. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 大勢から申しますと、私ここで申し上げるまでもなく、食糧につきまして、主食は統制いたしておりますが、それをはずしましたすそものにつきましては、相当の値上りを見ております。この値上り率が、ほかの各種の物資の値上り率と比較して、なおひどいかどうかと申しますと、必ずしもそうではございませんが、統制物資に比較いたしますると、すそものの価格相当高騰しております。その原因いろいろあろうかと思いますけれども、畜産関係から申しますれば、飼料の問題もございます。またみそ、しようゆの原料についても、できるだけ早く手当をしておきたい。この辺の観測になりますと、私どもの申し上げる段階ではないかと思いますけれども、経済界全般を通じまして、若干換物思想が出て来ておると存ぜられるのであります。この換物思想の現われが、こうした面に出て来ておるのではなかろうかという実情もありますので、その辺を先ほどお話がございましたように、政府が売却をいたします場合に、どういう方法でそれを合理的に押えるようなやり方で行くかということを、ただいま検討いたしておるわけであります。  それから大豆でございますが、大豆は国内ものは米代替供出として、政府集荷の面にただいままで乘つて来ておりまするものが約八万トンあろうと存じます。今後も若干入つて参りますが、八、九万程度の新しい内地産大豆が手に入つております。これは工業用原料といたしまして、北海道並びに内地に近く配分をいたしたいと存じております。それから輸入ものにつきましては、ガリオアで入りますものが約八万トンあるわけであります。これは大体一応入港した上に処分しつつありますので、現在の在庫——ただいま資料を持つておりませんが、この買付並びに輸送はほぼ完了いたして、今後は民間貿易によつて入ります大豆がおもなる材料になると存じます。これも香港経由の中共地区の大豆というものが絶望状態にございますので、主としてアメリカ大豆が今後入つて参ろうかと存じております。
  37. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長より先に申しますが、先ほど皆様の御決議を得ました薪炭特別会計並びに食糧特別会計等に関しまする專門員室の御調査に対しましては、それぞれ林野庁並びに食糧庁よりもお手伝いを願いまして、急速に作成するように、本委員会からも申し上げておきます。
  38. 高塩三郎

    ○高塩委員 ただいまの長官の御説明で、大体了承したのでありますが、さらにもう一点一つ込んでお聞きするのでありますが、その丸大豆を油の会社、製油会社に対してはマル公で搾油させる、搾油した脱脂が自由価格で販売されるというところに、非常に価格の暴騰というものがあると思う。それは全部丸大豆でその油の会社にどうしても搾油させなければならぬという規則があるのでありますが、このみそ、しようゆ、アミノ酸などの業者を育成するという意味から、ことにみそ業界に対して、幾分でも丸大豆を配給せしめるというような御意思があるかどうかお伺いしたいと思います。
  39. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 大豆については、油脂原料が相当欠乏しておりましたために、全量搾油の上に、大豆かす等をみそ、しようゆの方に振り当てておつたことは、おつしやる通りであります。内地産のものにつきましては、若干丸大豆で渡したものもございますが、大量が輸入ものでございますので、そうした措置をとつたのであります。これについて、みそ、しようゆ業界の方からは、味その他の点から申しまして、やはり丸大豆がどうしてもほしいということで、再三お話があつたのでありますけれども、現在までその実現を見ないで来ているわけであります。近く大豆につきましても、統制を廃したいと考えております。輸入ものにつきましても、一種の外貨割当をいたしまして、それでもつて自由に輸入をするという方法で参りたいと思つております。公団の方も、三月末日をもつて整理段階に入りますので、そうすれば、みそ、しようゆ業者の方も自由にお買いになられまして、原料用としてお使いになるという道が開かれて参りますので、ここ一、二箇月ごしんぼう願わなければならぬかと思いますが、先々はそういうことにいたすつもりでございます。
  40. 井之口政雄

    井之口委員 安孫子さんにちよつとお尋ねいたしますが、この食糧の点は、今まで非常に値上りがございまして、そのたびに価格差益を收納していると思います。ところが、この価格差益の納付金に対しましては、非常に多額の未納がある。これはみな自主的に自分で申告する制度なつている、そのためにこれがなかなか上つて来ぬと思うのですが、今実例を見ますと、もう二、三日で上るというような場合にも、二、三日前にたたき売つたりなんかよくやる。そういう点は、価格差益金をどつちが払う、納付するというようなことに、重要な関係を持つて来るのですが、あまり急いでこういうことをするところを見ると、こうしたものの申告というものは、正確にはやつていないんじやないかと思う。この方面に対するところの食糧庁の監督は、どんなふうになつていますか。
  41. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 実は率直に申し上げますと、価格差益金の徴收、つまり価格変動による価格差益金をとるという問題は、物価庁の所管なつておりますので、私その辺の取締り、あるいは監督の状況について、十分存じておりません。私の方からも、物価庁に連絡をとりまして、お答えするようにいたしますから、しばらく御猶予を願います。
  42. 井之口政雄

    井之口委員 それが物価庁にまかされておつたために、こういう專門的なものはよくわからないで、とつていないわけですね。でありますから、食糧庁においても、自分らが直接関係する、いろいろ取扱つている方々がいる、マル公の引上げとか、いろいろなものに対しては関係があるのですから、その点の考慮を払われていたかをお聞きしたのでありますが、それはこの次にいたします。     〔三宅(則)委員長代理退席、金光委員長代理着席〕  それはそれといたしまして、今度は飼料の問題でありますが、飼料もやはりガリオアで輸入する、そのほか民間貿易で輸入する。輸入して来たものは、従来の統制のなかつた前に帰つて、みな入札か何かの自由価格で、一般の牛、馬、豚、鶏等の飼育者に対してずつと渡つて行くようになるのでありますが、今淡路方面では乳牛をたくさん飼つている。そうすると、今度は自由販売になるということになれば、飼料田というものも廃止になるのか。それから飼料の例のナンバー・ワンであるところのとうもろこしとか、ああいうふうなものも、将来輸入の見通しがついているのか。最近はだんだん養鶏事業のようなものも盛んになつて参りますが、またこれが戰前のような状態、あるいは戰争直後のような状態なつて来ますと、今拡張しつつあるやつが、みなそれきりになつて停滯して来るということを気づかうのですが、その点に対する見通しはどんなものですか。
  43. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 飼料の輸入の問題ですが、飼料は自由にいたしましたために、外国から入りましたものを政府で買うとか、あるいは公団で買うとかいうことは全然ございませんので、商社が入れましたものを、商社の商売上の取引といたしまして、実需者なり関係方面にずつと流れて行くことになろうと思います。政府はタツチいたしません。
  44. 井之口政雄

    井之口委員 ガリオアで来るのは……。
  45. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 ガリオアで入つて来るものは、飼料としては、ないのであります。現存の輸入の状況は、オートマテイツク・アプルーヴアル・システムといいますか、為替を公表いたしまして、その範囲内において早いもの勝ちに入れるというシステムでもつてつております。そのために政府としてはタツチしておりませんけれども、いろいろ食糧の事情にも関係がありまするので、一応為替銀行を通じてチエツクはいたしております。大体大豆かすの契約のできておりますのが八、九万トンと、うもろこしが四、五万トンあると思います。合せて十三、四万トンのものが入ることになつております。とうもろこしは飼料になるかと思います。しかし大豆かすの方は、みそ、しよゆの原料にもまわりますので、全部が飼料になるとは限らぬと思います。輸入事情はそんなことになつております。それに関連して、そういうものがどんどん入つて来ると、飼料作物をつくつております日本の農家に相当打撃を与えはしないかというような御懸念もお持ちであつたようでありますけれども、ただいまの状況から申しますと、相当飼料が値上りを見ておりまするので、この程度のものが入りましても、生産者に非常な打撃を与えるということはなく、価格の安定が得られまして、むしろ畜産の発展あるいは安定の上に、よい結果をもたらすのじやなかろうかというふうにも存じております。一番困りますことは、いろいろものが入りましても、思惑の対象となりまして、実需者の方に公正な価格で入らないという点も私ども見ておりまするので、何とか手を打たなければならぬではなかろうかと存じてあります。
  46. 三宅則義

    三宅(則)委員 幸い食糧庁長官がおいでになりますから、一、二質問をいたします。  大分行き過ぎたようなことを考えまするが、実は私昨年も北海道をまわつて見たのでございますから、委員長席からもちよつと質問したわけでございます。出先の農林省関係の方は、技術面においては、相当に優秀な人もおるわけでありますが、経理面についてはほとんど熟達していない、こういうことを聞かれておるのです。見てまわりまして、実に歯がゆいと思うこともあります。北海道におきましては、札幌だかにたしか支所があつて、各地区に出張所があるわけですが、その北海道の支所と、各地区の出張所との連絡もうまく行つていないというようなことを見てまわつたわけでありまして、これはもちろん会計検査院からも先ほど御指摘もありました通り、いろいろふなれな点もありましたり、あるいは技術者が中心なつてやるということもありましたでしようし、またよく了解しなかつたというようなこともあつたわけでありますが、これをもう少しく何とかうまく関係をつけたならば、食糧庁もあるいは食糧管理事務所等も、うまく連絡がついたのではないかと思うのです。大体こういうような会計経理に関係の少い者が中心にやつてつたのではないかと思いますが、長官からほんとうのことをおつしやつていただきたいと思います。実はここで長官を責めたててどうするというわけではありませんが、今後の国政を審議し、また将来技術面と同様に会計経理というものを確立して、会計検査院からあまり指摘せられないようにしたいというのが私の代願です。一応の答弁をいただきたいと存じます。
  47. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 末端におきまする経理面の粛正、あるいは適正化という問題でございますが、これは私ども全く同感であります。と申しますのは、末端の職員は、端的に申しますと、従来の穀物検査——府県庁等、あるいは食糧庁に移りましてからも、主として穀物検査事務に長年従事して来て、その方面の練達の士が、ほとんど八、九割でございます。それに、昭和二十三年からだと思いますけれども、経理の面を担当させることになつたわけであります。この経理面については、——これも御承知だと思いますが、新集荷制度以前におきましては、全部の事務を協同組合等がやつておりまして、それを一括して参つて、それに対して現品領收書を発行して、中央の本庁において金を支払つて、それが末端の方に流れて行くというような立て方であつて、一々の支払事務について、末端の検査員はタツチしておらなかつたのであります。ところが、それが生産者に対する代金支払いが遅れるというような理由でもつて、どうしてもその場その場で金を払えというような関係方面の強い意向がありまして、それで現在のような新集荷制度——現品が授受されますと同時に、支払証票というようなものを食糧庁が発行いたしまして、——これは端的に申しますと、小切手に相当するような性質のものでございますが、それを一々の件数について発行するということになつて参つたのであります。従つてこれを円滑にやつて参りますためには、相当厖大な人数がいります。欲を申しますれば、従来の人間検査專門の人であるから、経理面の人を一人ずつまたふやすことになりますと、約三万人近い人間がいる。そうもできぬからということで、二箇年計画であつたかと思いますが、それで一万人程度の人をふやすという段取りで、新集荷制度が実施されたのであります。当初の年は四千人ぐらい採用いたしたのでありますが、その次の年になりますと行政整理ということになりまして、食糧庁も二割の行政整理をすることになつた。当然前の方針として、この末端におきまする経理面を担当する意味から、一万人をふやすというようなことは、もちろん吹き飛びまして、その上全体を通じて二割の削減というようなことで、去年の行政整理終つたわけであります。そのために末端におきまする業務が、検査のほかに経理、なお調査事務というようなものが非常に重くかかつておりますので、そのために、いろいろ会計検査院の御指摘を受けますような事案を生じておりますことは、確かだと考えます。これは人をふやしますか、あるいは現在の人員——これは今かたがた努力いたしておるのでありますけれども、経理面についても相当習熟させるような訓練をすること、あるいは新集荷制度というものをまた考え直しまして、元のような制度にする、そして末端の経理事務の負担を軽くさせるというような、いずれかの方法をとつて、この事態を改善いたしたいと考えているわけであります。経過並びにただいままでの状況は、以上の通りであります。
  48. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの安孫子長官の最も露骨な言でもつて、真相を発表せられたのでありまして、それに対しまして、私も了承するにやぶさかでございません。  この際ちよつと專門違いのことをお伺いするわけですが、私ども日本国民とし、また一般市農民といたしまして、最も必要なものは食糧なんです。ところが、この食糧に関しましては、先ほど来高塩安員も御質問なつたわけでありますが、講和会議を目前に控えておるわけでありますが、今後も食糧は相当輸入をしなければならぬという段階であろうと私は思う。私の私見から申しますと、講和会議後におきましては、ある一定量の食糧たとえば米、麦あるいはメリケン粉というようなものにつきましては、日本に買わさせられるのではないかと思つているのですが、長官はどういうふうに考えておりますか、ほんとうのことをお示しいただきたいと考えます。
  49. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 外国から食糧を押しつけられるのではないかという御懸念、あるいは御批判は、これは前国会においては、相当猛烈にその御意見があつたようであります。その後の国際情勢の動きを私ども見ておりまして、ただいまの見通しといたしましては、そういうことはなかろうかと思つております。むしろ各国とも、需要国が買付にあせつておるという状況でありまして、供給国の方は強気であります。アメリカのシカゴの小麦相場等を見ましても、一ブツシエル一ドル、八十セントが、小麦協定の際に、加入国に対しまする売渡し義務の価格であつたと存じておりますが、それが現在におきましては、二ドル二、三十セントに上つておる。従つて、一時新聞にちよつと誤報されましたけれども、アメリカの政府所有の麦については輸出禁止をするというような記事が、ちよつと出ておりましたが、さような状況であります。濠州のものについても、カナダのものについても、需要国は相当買い進んでおるという状況でありまして、供給国の方が強い状況であります。ただいまのところでは、そういうふうになつております。
  50. 三宅則義

    三宅(則)委員 国際情勢が大分変化して参りましたから、今安孫子長官の仰せになりましたように、わが国の食糧事情等も勘案いたしまして、さように変化したことを、私は了承するわけであります。私ども地方をまわつてみますと、こういうことを言われることがあるのです。一応参考のために、農林省の方もいらつしやると思いますから承りたいと思いますが、荒地を開墾するというようなことよりも、むしろ現在の田畑等を改良いたした方が増産になるということを言つております。これはしろうとくさい話でありますが、一体長官はどういうふうに考えておられますか。もちろん改良もしなければならぬ、開拓、開墾もやらなければならぬ、両方やればけつこうなのでありますが、どちらを先にやつた方が、わが国の国際情勢もしくは食糧事情について、適当であると思つておりますか、御意見を承りたいと思います。
  51. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 これは私から申し上げるのは、はなはだ適当でありませんが、しいて私見を求められるとすれば、私はやはり既墾地に対しまする相当の資本の集中をやりまして、生産力を上げて参りますことが、全体の生産量を上げることにおいて有効ではないかと、私としては考えております。
  52. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一つ。今長官の御答弁を承つたわけでありますが、あとでまた農地局長とか、あるいは農政局長が来たときにお伺いすることにいたします。最後に一つだけ伺わせていただきたいと思いますが、わが国は国際的の小麦協定には入つていないと思うのでありますが、将来は入らなければならぬように私ども思うわけです。その見通し等について、政府の御意見がありましたら、この際承つておきたいと思います。
  53. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 小麦協定の話がありましたが、私どもは今ぜひ加入をいたしたいということで努力をして参つたのであります。端的に申しますと、イギリス等の反対意見がありまして、現在まで加入をいたさないで来ておるわけでありますが、ただいま申し上げましたように、供給国の方が強い情勢にありますので、入つておくべき状況であろうと思うのであります。今すぐに入れるかどうかと申しますと、大蔵大臣はその方面に努力いたすということを申しておられますが、当然加入するについての努力を、われわれは払いたいと思つております。ただ簡單に加入できるかどうかと申しますと、そう楽観は許されないと思います。
  54. 三宅則義

    三宅(則)委員 了承いたしました。ありがとうございました。
  55. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまの三宅君の御質問ちよつと関連しておりますが、局長の御返事によりますと、押しつけられることはない、むしろこつちの方が買いたいのだというような御返事であります。しかしこれがもし單独講和または多数講和ということになつて、一方とだけ講和してしまつて、それで中国とかソ同盟とか、こういう方面との講和がないといたしますれば、結局これはそつち側だけからしか買うことができない、最も近接的な中国並びにソ同盟からの食糧の輸入というものはとまつてしまう。その意味においては、やはりこれは一つの押しつけだ。しかも押しつけになつていながら、なお数量でさえも向うの言う通りに指示されて、向うの割当だけしか買うこともできないというふうな困難性も、さらに出て来るとすれば、ますます将来の日本の食糧事情というものには、非常に大きな困難性が出て来るのではないか、こう思うのです。現在大豆にいたしましても、遠い航海を経て、太平洋を渡つてアメリカから輸入するよりも、近い満州から輸入する方が、費用の点からでも、運搬の点からでも、非常に安くなることは明らかでありますが、その辺の考えはどうでありますか。
  56. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 大豆等を考えますと、中共地区から入りますことが、取引の径路としては順当であろうと思います。いろいろな国際情勢、あるいは政治情勢からいたしまして、距離が近接しておりましても、その先の見通しについては、私ども何とも申し上げかねますけれども、取引の状況から行けば、そうだと思います。  それから、これから先、私が先ほど申しましたように、実は買付する方の国があせつておるような状況であつて、供給国の方が強気だ、この状況が相当長く続くか、あるいは逆転するかという見通しの問題だろうと思いますが、大体の情勢から申しますれば、やはり今のような状況が、ここ当分続くのではないかと思つております。つまり買手の方が弱いというような状況が、しばらく続くのじやないかと思います。
  57. 金光義邦

    ○金光委員長代理 次に報告書百八十八ページ、農業共済再保險特別会計報告番号五一〇——再保險料等の徴收処置当を得ないもの及び報告書百八十九ページ、自作農創設特別措置特別会計報告番号五一一、農地等の購入代金の支払及び売渡代金徴收当り処置当を得ないもの並びに五二一、農地等の売渡代金徴收処置当を得ないもの、以上三件を一括議題とし、それぞれ関係当局から説明を求めます。
  58. 上松憲一

    ○上松説明委員 それではただいま議題となりました百八十九ページの五一一号、農地等の購入代金の支払及び売渡代金徴收当り処置当を得ないものにつきまして、御説明申し上げます。  農地等の買收にあたりまして、その代金につきましては、勧業銀行をして支払わしめておるのでありますが、何分にも件数が多くございますし、かつまた市町村の農地委員会において計画書が作成されまして、それに誤謬もあるというような関係によりまして、二十三年度におきましては、支払い相当遅延いたしたのでございます。まことに遺憾に存じまして、その後極力これが支払いにつきまして勧奨いたしまして、その後ほとんど支払い手続は完了いたしておるのでございます。御案内の通り、勧業銀行に対して委任状を提出するものにつきましては、ただちに勧業銀行をして支払わしめますし、また所在不明等によりまして支払い得ないものにつきましては、供託手続をとりましてこれが支払い手続を進めておるのであります。従いまして、現在におきまして三万六千円ほどのものが支払い未済となつておりますけれども、これはその後の計画の変更、あるいは取消し等というような問題もございますので、全額支払済みと見られるのでございます。  それからその次の売渡代金でございますがこれも徴收が二十三年度におきましては著しく遅延いたしたのでございます。これは市町村をして徴收をせしめるのでございますが、人員不足あるいは事務にふなれというような点によりまして、かかる支払い未済額を生じたのでありまするが、その後鋭意徴收を督励いたしまして、昭和二十五年七月末までには一億四千余万円を收納したのであります。その後十一月末日までに七百余万円を收納いたしまして、同月末におきまする收納未済額は二千三百六十二万七百三十七円であるのであります。従いましてこの残額につきましては、目下鋭意この三月末までに徴收を完了いたすべく努力中であります。  次に百九十ページ、五一二、農地等の売渡代金徴收処置当を得ないものにつきまして、御説明申し上げます。福井県におきまして、農地等の売渡し代金徴收にあたりまして、二十三年六月の震災以後は、県の事務が混乱いたしておりましたような原因もございまして——この徴收事務につきましては、県から村に通知いたしまして、村から各個人に通知書を出します。これに基きまして徴收をして、日本銀行に村から納入するというのが手続でございますが、この手続をふまずして、市町村をして代金徴收させまして、その一部は県に持参させるとかいうような方法をとつたのでございます。これにつきまして、集金の督励に当りました県の津田某が六百八十余万円の使込みを行い、また深見某が九万円使込みをいたしたのでございます。これにつきましては、津田の分につきましては、二十四年七月に七十二万六千余万円、二十五年四月に五百二万円と百九万円、合計同人の費消いたしました六百八十三万七千二百八十三円を回收いたしまして、日本銀行に納入したのでございます。津田はこのために二十四年四月三十日起訴いたされまして、懲役二年の第一審判決を受けたのでございますが、目下控訴いたしております。深見の九万円につきましては、昭和二十四年四月二十二日回收いたしまして、日本銀行へ納入済みでございます。同人は二十四年四月三十日に起訴されまして、懲役一年、執行猶予四箇年の判決を受けておるのでございます。監督不行届きの結果、かかる事態を惹起いたしましたことは、まことに申訳ないことでございまするが、今後はかかることのないよう十分留意いたしたいと思います。
  59. 金光義邦

    ○金光委員長代理 検査院当局から御意見はございませんか。
  60. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまの二件は、御説明通りでありまして、特に付加することはございません。その前の五一〇号の御説明がありませんでしたが、これもここに書いてあります通りで、特に付加することはありません。内容は農業共済再保險特別会計における再保險料の徴收が遅延しておる、早くとらなければいかぬではないかという趣旨でありまして、特に残つておりますもののうちに、製糸業者からとるべきものがある。製糸業者からの納付金という制度は、たしか二十四年度だつたと思いますが、なくなりまして、あと一般会計負担ということになりましたので、残つておりますのが昨年の末、ころの調査におきましても、まだ約千四百万円ある。これは早く徴收しておく必要があるのではなかろうか、こう考えます。
  61. 金光義邦

    ○金光委員長代理 質疑はございませんか。——それでは留保の分を除きまして、農林省関係審議を終了したことにいたします。  引続き商工省所管について審議をいたします。報告書百九十一ページ、報告番号五一三、補助金の交付に当り処置当を得ないものないし百九十五ページ、報告番号五一八、糖蜜管理はなはだしく当を得ないもの、以上六件を一括議題とし、通商産業省から説明を伺います。伊東政府委員
  62. 伊藤繁樹

    ○伊藤(繁)政府委員 五一三号の批難事項補助金の交付に当り処置等を得ないものということでございます。本件は昭和二十二年度、二十三年度におきまして、北海道炭礦汽船株式会社に対し、自家用火力発電所動員費補助の二千大十七万余円を交付いたしましたが、これが実績に比して過払いであるという批難であります。二十二、二十三年度におきましては非常に電力が不足いたしましたので、炭塵汽船の持つております自家用火力発電所を動員させまして、それに対しまして1火力発電でございますので、購入電力料よりも著しく経費がよけいかかりますので、その分を国家の補助金から見るという制度をとつたのでございます。その場合に、その当該火力発電所の動員経費を査定いたしまして、それと購入電力料との差額を補助金として交付するという建前になつておりますが、この場合におきまして会社側が申告いたしました経費は、実際に符合いたしておりませんで、あるいは火力発電経費として計上すべからざるものを計上し、あるいは期間計算をして——これは一月から三月までと記憶いたしますが——三箇月間の経費を補助する建前でございますから、その消耗器具類につきましては、三箇月の経費を補助すべきものでありますが、会社側が期間計算をせずに入れて来たものを、実地調査をせずに認めて、その結果百三十八万円ほどが過払いなつたという批難でございます。この点は、当時炭礦汽船会社が極端に金繰りが苦しくありまして、できるだけ早く補助金を交付したいという方針で、本省といたしましては、札幌商工局の方に認証の手続を依頼いたしましたが、札幌商工局の方でも、時期的に実査するひまがありませんでしたので、書類審査のみで申達した結果、かような過誤を生じた次第でございます。過払金につきましては、二十四年の十二月十九日に全額返納をいたさせて、今日においては問題は残つておりませんが、当時の責任者に対しましては、それぞれ戒告及び注意を与えております。  それから五一四号は、官有物に対する処置当を得ないものという批難事項でございます。これは終戰後、当時軍需省航空兵器総局が官有で持つておりました機械を商工省に引継いだのでございますが、これは兵器等製造事業特別助成法で、国が軍需品品工場に貸し付けた機械類及び元第一軍需工廠で調達した機械類を、商工省が軍需省から引継いだのでございますが、これにつきまして昭和二十年九月と二十一年の三月に、機械類所在の会社にあらためて保管させましたが、その台数は二万九百四十七台と当該会社から報告があるのでございます。しかるにその機械につきまして、この会計検査がありました当時、三年を経過いたしましても、まだその会社側の報告台数とその後の事故あるいは現在台数等を実地検査してはつきり確認しておらないのは、その処置がはなはだ緩慢である。現に会計検査院検査によりましても、その当時の報告による引継保管数と現在台数との間には、食い違いがあるのではないか、これは非常に事務の怠慢である、こういう批難事項であります。これに対しましては、御承知のように終戰直後の事情におきまして、軍需省が保管しております機械類に関する帳簿一切が、当時全部滅失しておりまして、何台われわれが引き継いだかということが、はつきり確認ができなかつたのでございます。またその間終戰直前の混乱状態で、戰災の機械台数も不明瞭でございました。また会社側におきましても、やはり同様の状態におきまして、混乱の際で書類を紛失した、あるいはこの機械は全国各地に散在いたしておりますし、またこれを把握すべき官庁機構も非常に弱体であつたというようなことで、かように整理が遅れたのでございます。その後商工省といたしましては調達賠償部及び通産局にある程度の予算を計上いたしまして、とれの把握に努めた結果、現在におきましては、その機械台数も数的に把握し、大部分実地調査も進んでおる状態でございます。  それから五一五号の批難事項でございますが、これは御承知のように、工業用アルコールは、一般アルコールと違いまして、低廉で売渡しをいたしておるわけでございます。従つてこれが横流れするのを防ぎますために、工業用アルコールに売り渡します場合には、商工省の官吏が立ち会い、また変性という物理的な変化を加えることに立ち会い、また最終用途としては工業用に使つたという使用済証明書を出させることにいたしておるのであります。しかるに会計検査院批難によりますと、札幌外五商工局で調べたところ、八十七件、九百七十キロリツトルにつきましては、変性の場所、日時を指定せず、政府職員立会いの手続を怠り、変性済み証明書等を作成しないという事例もあつたので、必ずしも不正とかそういう問題ではございませんが、売り渡したアルコールが、はたして工業用に確実に使われたものであるかどうかという認定が困難になつて来た、これははなはだ事務の疎漏ではないか。なお一般定価で一応売り渡したもので爾後に工業用に供した場合には、変性済み及び使用済み証明雲によつて、特別定価との差額をあとから交付することになつておりますが、これにつきましても、大阪商工局で二十九件について、変性済みあるいは使用済み事実を確認する資料がないということで、同じような性質の事項でございます。これにつきましては、事実は会計検査院報告通りでございまして、今日におきましてその事実の確認が困難になつたことは、はなはだ遺憾とするところでございます。人手の不足あるいは事務のふなれ等が事故原因でございまして、これにつきましては、何とも抗弁の申しようがないわけであります。今後担当官を訓練いたしまして取締りを嚴重に励行し、こういうあやまちを犯さないようにするつもりでございます。なお当時の札幌外五商工局長に対しては、訓告処分を与えてございます。  それから五一六号、アルコール賠償金の支払に当り過払を生じたもの、この事案は、東京商工局で二十三年の四月から六月までの間に、三楽酒造株式会社川崎工場から、三回にわたつて收納したアルコール大十二キロリツトルの代金として二百六十五万円を支出しております。この支払い代今立につきましては、批難事項の書類にもございますように、二十二年産のほしかんしよを主原料にして生産されたアルコールとして、該当賠償価格キロリツトル当り四万二千三百八十八円で算定したものであるが、会計検査院が実地調査したところが、そのうちに二十一年産のほしかんしよを主原料にしたアルコールが含まれておつて、そのときの賠償価格は、二十二年産のほしかんしよを主原料にしたものよりも低いのでありますから、五十三万円ほど過払いなつておるのではないかという批難事項でございます。御承知の通り当時のアルコール価格は、原料の年産の差によつて、買い上げた收納価格をかえておりましたので、こういう問題が起るのでありますが、これも事実は会計検査院報告通りでございまして、遺憾とするところでございます。工場監督を十分嚴密にいたしておりますれば、原料の受払いからいたしまして、かような事実ははつきりつかめたと考えるのでありまして、これはわれわれの行政の十分行き届かなかつたことが原因であると考えております。今後十分注意をいたします。なお過払いなつておる分五十三万円につきましては、二十四年の十一月二十五日に、これを全部完納せしめております。  それから五一七号は、アルコールを帳簿外に処理したものという批難事項であります。これは東京通産商産業局千葉、石岡両アルコール工場で、二十二年の四月から二十四年の九月までに、工場で生産したアルコールのうち、その合計額二十七キロリツトルを、物品会計官吏に引渡さずに帳簿外で処理しで、これを無償あるいは低廉な価格職員に配給し、あるいは外部にこれを交付しておつた、こういう批難事項でございます。これは当時の事情が終戰後の特殊事情でございまして、当時極度にアルコールの生産が減退しておりましたので、生産を回復するために、また当時国民生活が非常に苦しくて、ある程度工場の特別配給というものが、一種の慣例のようになつておりました情勢におきまして、増産奨励用として工場職員に配給をし、あるいは資材が、当時やはり需給状態がはなはだ逼迫しておりましたので、資材購入のための一種のバーター用に使つたということは事実でございます。しかし事実は会計検査院報告通りでございまして、成規の手続をとらなかつたことは、はなはだ遺憾とするところでございます。現在におきましては、かかる事態は全然ございません。また当時の責任者に対しましても、それぞれ訓告及び注意を与えております。 五一八号は、糖蜜の管理はなはだしく当を得ないものというのでございまして、東京通商産業局千葉アルコール工場で、アルコール製造原料として保管中の糖蜜在庫量について、昭和二十四年九月、会計検査院において実施調査いたしましたところ、出納簿の残高は五百八十トンになつておりましたのに、現品調査いたしましたところ、五百十四トンばかりしかない。従つて六十五トンの不足を生じており、しかもその現品には水が加えられておつたということでございます。糖蜜は御承知のように水あめ状の半流動体でございまして、これを輸送いたします際には蒸気を送人するというような、非常に特殊の操作を必要とするのでございます。またアルコール原料としては、全然使用されました経験がございませんでしたために、計量の設備、あるいはその取抜い方について不完全でありまして、随時工程別にその重量を把握して行くということに欠けておつたことが原因でございます。また貯槽の底にも損傷がございまして、ここからも相当量が流出したのではないかと考えられるのでありますが、事実は会計検査院報告通りでありまして、はなはだ潰憾とするところであります。今後計量器、貯槽設備等につきまして十分整備いたしまして、かようなことのないように努力したいと思います。なお当時の責任者に対しましては、それぞれ減給、戒告の処分をしております。
  63. 金光義邦

    ○金光委員長代理 次に本所管に対して、会計検査院の意見を伺います。
  64. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいま伊東政府委員の方から詳しく御説明がありましたので、特につけ加えて申し上げることはないと思います。会計検査院指摘したことに対して、それぞれ処置を講じておられますので、これ以上申し上げることはございません。
  65. 金光義邦

    ○金光委員長代理 これより質疑に入ります。
  66. 井之口政雄

    井之口委員 五一四号のこの機械は、今どうなつておりますか。
  67. 伊藤繁樹

    ○伊藤(繁)政府委員 これは現在通商産業省の所有になつております。そしてその大部分がいわゆる賠償の指定になつております。従つて国といたしましては、善良なる管理者の注意のもとに、保管すべき義務を負つておるわけでございます。ただこの機械も、賠償の方針の変更に従いまして、ある程度一般産業用に活用することが許されておりますので、現在これを管理いたしますと同時に、司令部と連絡をとりつつ、これを一般産業用に活用するような方針をとつております。
  68. 井之口政雄

    井之口委員 会社からの報告の部分を見ても、盗難があるやら、いろいろになつております。しかもそれが現品とも合わないというふうなことになつておる。それはこの保管政府において非常に不注意なつておるのではなかろうかと思われるのであります。またこれの手入れとか、これが消耗した場合の結果は、政府においてはどうなつておりますか。
  69. 伊藤繁樹

    ○伊藤(繁)政府委員 この書類に出ております盗難その他職長と申しますのは、一応調べ上げましてから後の問題ではございませんので、つまり引継ぎ以前にこういうことがあつたということなんでございます。これは会社からの報告でございますから、はつきり申し上げますれば、あるいは真実でないかもしれないと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、こちらに帳簿が全然ありませんので、われわれといたしましては、これをまた検討して反駁する材料もないわけでありまして、一応会社側から報告された台数を基礎として、それから仕事が始まるというより、いたし方ないのでございます。こちらに引継がれまして後に、これが盗難にあい、あるいは滅失したというような事例はございません。すべて引継ぎ以前の問題なのでございます。
  70. 井之口政雄

    井之口委員 会計検査院ちよつとした調査でも、こうした現在台数と会社側の報告の食い違いを発見しておりますが、これは当局者として、もつとこういうものの全般的な基礎的な調査が、前もつてできていなかつたものでしようか。会計検査院指摘は、ごく一部分にすぎませんが、日本の全国における賠償工場のこうした機械類というようなものは、厖大なものに達するであろうと思いますが、それに対してはどうなつておりますか。
  71. 伊藤繁樹

    ○伊藤(繁)政府委員 おつしやる通りでありまして、検査院検査をまつまでもなく、一応会社側の報告と現在の台数との比較は、もつと早くなさるべきであつたと考えます。その点につきましては、何とも申訳のない次第でございますが、先ほど申し上げましたように、これは賠償に指定されたりしておりました関係で、当時連合軍がその工場に進駐いたしましたとか、いろいろ困難な事情もございまして、この確認が当時におきましてはまだできておらなかたつのでございます。現在におきましては、先ほど申し上げましたように、大部分の工場につきまして実際の調べを終りまして、通産省の保管機関におきましては、全貌を把握いたしておるのでございます。
  72. 井之口政雄

    井之口委員 この機械類の全貌の一目瞭然するような調査書類が何かございましたら、出していただきたいと思います。これはひとつ委員長の方からもお願いいたします。  それからアルコールを、変性せずに変性したものとして販売したという事件ですが、こういうことは、何か犯罪を構成するのじやないですか。
  73. 井上猛

    ○井上説明員 変性をしないという問題でございますが、これは昨年の五月に規則を改正する以前のことでございまして、その当時は、変性の特別価格で売る場合には、その品目が羅列されておるわけでございまして、変性アルコールという品目がありまして、一応そういうものにつきましては、特別価格で売るということになつておつたのですが、事実変性しないで売つたということは、これは事務の簡素化ということも、一応そのときに唱道されておりましたので、そういう面で、変性しないものを変性したというかつこうの書類をつくつて渡しておつた事例もあつたと思うのであります。そういう意味で、事実変性しないものを変性したということで処理した点もございまして、これは事実の通りで、どうも遺憾な次第でございます。
  74. 井之口政雄

    井之口委員 このことから何か刑法上の問題を引起したことがありますか。
  75. 井上猛

    ○井上説明員 変性しないものを変性したといつて出したことについては、これは別に犯罪は構成しないと思いますし、またそういつた事件もございません。
  76. 井之口政雄

    井之口委員 それは何か詐欺になるんじやないですか。たとえば工業用なら工業用ということを、何か押して売つておるようです。そうでないものは、そうでないものとして、明示して売つておるのですから、何か販売上の規則、薬事法か何かの規則で、一々レツテルをつけて明確にして売つておるので、もしそれに違反したならば、犯罪が成立するのではないかと思う。
  77. 井上猛

    ○井上説明員 それは、工業用というものについては、ドラムカンに一応変性したという表示はいたしておりますが、薬事法の関係は別にないと思います。
  78. 伊藤繁樹

    ○伊藤(繁)政府委員 ただいまの御質問は、こういうことに対して、刑事犯罪にならないかということでありまして、アルコール課長からお答えを申し上げましたが、たとえばこの場合に、職員が変性済みの価格で売り渡す。その場合に明らかに販売者、購入者が不当利得するつもりでそういう行為をし、その情を知りつつなおこういうことをやらなかつたということであれば、私は刑事当局でありませんから、断定的なことは申し上げられませんが、たとえば詐欺罪の一種の共犯と申しますか、そういう論理も成り立つかと思います。しかし本件の場合は、別にそういう事実を知りつつやらなかつたとか、そういう不正行為をやるという意思でやつたとかいうものではないように考えております。事務的に本来出張してそういうものをすべきものを、しなかつたということなのでございます。
  79. 井之口政雄

    井之口委員 たとえば、專売事業でタバコを売るのに、低級のタバコに高級のレツテルを張つて売つたということになつたら、やはり刑法上の一種の詐欺みたいなものが成立するだろうと思う。これだつて現に変性してないものを、変性されておるというレツテルを張つてつたのだから、その売つた人間は明らかに詐欺ではないか。だれにそれが来るかは別問題といたしまして、関与した官吏なり、あるいは買い受けて販売した人たちが、そういう責任を負わなければならぬのではないか。
  80. 河村篤信

    ○河村説明員 ちよつと御説明し上げます。一般の工業用に供給せられるアルコールにつきましては、建前といたしましては、あらかじめ政府が変性したアルコールを供給する。たとえば食酢のようにあらかじめ変性して出せない場合には、未変性のままで食酢業者のところまで持つて来まして、そこで政府できめた変性法によつて変性したものを供給するということになつておるわけです。従つてもしかりに政府で変性すべきアルコールを変性しないで供給した場合、そしてまた未変性のままでそれを使用した場合には、アルコールの価格は工業用と一般用の二本建になつておりますから、その差額金は追徴するということが、アルコール專売法上の建前になつておるわけです。
  81. 井之口政雄

    井之口委員 私の懸念するところは、ただ間違いであつたということであつても、変性したものと変性しないものとの価格が非常に違う。だから、もしこれが單に事務上の齟齬だというふうにしてのがれられるのであつたならば、変性してないものを、いつも変性しておるようにして紫にどんどん流して、下の方ではどこへ行つたか、どこで使われたかわからぬという報告ですが、こういうルーズなことでは、この種の犯罪が将来もまた起つて来はしないか。これはある程度薬品を取扱うような嚴格なものにしまして、相当の刑法上の犯罪が伴うとすれば、アルコールはアルコール、変性したものは変性したもの、工業用のものは工業用というふうに規定されて来ますれば、間違いがなくて済む。たとえばジフテリアその他のいろいろな薬のようなものでも、少しでも間違つておつたら、人体に非常な危害を及ぼすのですから、これにも、何かそういうふうなことがありはせぬかと思つて質問したわけですが、それがないとすれば、アルコールの取扱いについては、かなりやみに流れて行く傾向があることが推察される。現に市場においても、軍隊が持つていたアルコールがドラムカンに入つて来て、それが合成酒になつて目をつぶしたとかなんとか、いろいろな事件が起つておりますが、やはりそういうふうなことを助成する仕組みになつていたのではなかろうかと考えるのですが、それについてお答えを願いたい。
  82. 井上猛

    ○井上説明員 実は昨年の五月まで、法規上の不備もございましたし、また人間不足でございましたので、そういう事例が出る可能性が多かつたのでございます。また実はそういう事例もございますので、昨年の五月に政府であらかじめ変性したものを渡すというふうに一応規則の方は改正いたしました。それからなお、取締りの人間不足の点でございますが、これにつきましては、專売事業の運営の点からいたしましても、当然取締りの職員を増員して、その取締りを嚴重にやるという建前で、一応二十六年度の予算も折衝いたした次第でありますが、実は予算関係で、増員の点は認められずに、そのかわりに大蔵省にある国税庁の收税官吏を応援に出す。従つて今度から收税官吏千名ばかりが、專売の方の取締りにも、酒の横流れを防ぐという意味で応援に出ることになりましたので、今後はこういう事例は起らないだろうと存ぜられます。
  83. 金光義邦

    ○金光委員長代理 それでは、井之口委員より五一四号に関する通産省所有の機械類一覧表につき提出要求がありましたが、通産省当局から次会までに御提出を願います。  本日の審議はこの程度とし、次会は明後二十一日午後一時より運輸省及び逓信省所管審議をいたす予定であります。本日はこれにて散会いたします。     午後四時十六分散会