運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-16 第10回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十六日(金曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 渕  通義君    理事 金光 義邦君 理事 三宅 則義君       大上  司君    高塩 三郎君       田中 角榮君    田中不破三君       多武良哲三君    藤枝 泉介君       山口六郎次君    上林與市郎君       井之口政雄君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房会計         課長事務代理) 相良 惟一君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     太宰 博邦君         厚生事務官         (薬務局長)  慶松 一郎君  委員外出席者         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  山口 正義君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      大澤  實君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君 二月十六日  理事稻田柳右エ門君の補欠として橋本金一君  が理事に当選した。     ————————————— 二月十六日  昭和二十四年度特別会計予備費使用調書(そ  の2)  昭和二十四年度特別会計予算総則第六條並びに  第七條に基く使用調書  昭和二十四年度日本国有鉄道予備費使用調書  昭和二十五年度一般会計予備費使用調書(そ  の一)  昭和二十五年度特別会計予備費使用調書(そ  の1)  (承諾を求めるの件) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十三年度特別会計歳入歳出決算     —————————————
  2. 渕通義

    渕委員長代理 これより会議を開きます。  この際理事補欠選任につきお諮りいたします。理事稻田柳右エ門君が、去る十四日委員を辞任いたされました。ついては理事補欠をいたさねばなりません。この際委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渕通義

    渕委員長代理 異議なしと認め、橋本金一君に理事をお願いいたします。     —————————————
  4. 渕通義

    渕委員長代理 本日は昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算及び特別会計歳入歳出決算中、文部省並び厚生省所管について審議を進めます。  まず報告書百五十二ページ、報告番号四四八、病院収入徴収に当り処置当を得ないもの、ないし報告書百六十一ページ報告番号四六四、国有財産管理当を得ないもの、以上十七件を一括して文部当局より説明を伺います。文部事務官相良政府委員
  5. 相良惟一

    相良政府委員 御説明申し上げます。四四八号、病院収入徴収に当り処置当を得ないものにつきまして申し上げたいと存じます。これは東京大学外六箇所で、多額の徴収決定未済額を生じたことが、処置緩慢であるという御指摘を受けたのでございますが、この理由につきましては、説明書にございます通り健康保険組合共済組合国民健康保険組合等関係する診療料金でございまして、これらこの未済額の九八%までは、今申しました組合等の組織に関係する診療料金でございまして、個人の分はごくわずかでございます。これらの解決は、現在におきましては、大体順調に進行いたしております。御承知通り、公務員の給與改訂、ベース・アツプと、それからこれらの保険組合の掛金の増加をいたしましたために、現在におきましては、この未済額というのは漸次減少しつつある次第でございます。しかしながらかような収納未済を生じましたことにつきまして、私どもはなはだ責任を感じておる次第でございます。  次は四四九号の、職員の犯罪に因り国に損害を與えたものという事案でございますが、これは伝染病研究所でもつて、そこの所員が不正をいたしまして、国に非常に損害を與えたというわけでございます。この処置につきましては被害金額、全部で八十七万円余でございますが、これらのうちの三十三万三千二百大十五円は弁償済みでございます。なおこの残額につきましては、法務府の方に連絡いたしまして、裁判所の和解申立てが成立いたしまして、その後二万円また弁償いたしまして、まだ残額五十万円余が残つておりますが、当人は目下この事件によりまして服役中でございますから、当人の親等に交渉いたしまして、なるべく早く残額支拂うように督促中でございます。  その次は、四五〇の、予算示達を遅延したものでございますが、これは北海道大学外四十五校に対して、二十四年度進学適性検査実施に関する経費示達が、非常に遅れたという事案でございます。これらにつきましては、新しい学制に切りかえます際に、かような進学適性検査ということが行われたわけでございますが、事務上の種々の手違い、その他ふなれ等のために、かような予算示達が遅延いたしまして、そのために他から一時立てかえ使用をしたというような状態に陷つたわけであります。かような事態が生じましたことは、非常に遺憾とするところで、私ども今後十分注意したいと存じております。責任者に対しましても注意処分をいたしました。  次は、四五一の義務教育費国庫負担金交付に関し処置当を得ないものと申しますのは、これは義務教育費国庫負担法に基きまして、小、中学校の先生の俸給を半額国庫負担するのでありますが、これを超過交付したという事案でございます。これらにつきまして、補助超過分につきましては、すでに処置をいたしました。かような結果に相なりましたことは、私どもの非常な手違いでございまして、責任者に対しましても、注意処分をいたしました。  それからその次は、四五二号の補助金交付に当り処置当を得ないもの——これは公共事業費関係でございまして、文部省が、新制中学校校舎模様替費補助金といたしまして、東京都外三十九府県に対しまして交付した、その交付が非常に遅れたというわけであります。なお市町村等に対しましては——これは府県の方に補助をいたすわけでありますが、大部分の都府県が、これについての地方費予算を作成するいとまがなく、市町村に対して未交付のまま年度を経過したということの御指摘を受けたのでございます。かような事態が生じましたこと、ことに年度内に完成されない工事について補助金交付したことは、はなはだ遺憾といたすところであります。責任者に対しましても、注意処分をいたしました。  その次は、四六一号の会計経理がはなはだしくみだれているものという事案でございます。文部省直轄研究所でございますところの統計数理研究所が、庁舎が三箇所に分散しておるというような状態でございまして、会計事務も勢い複雑となり、なおその会計に当つております事務経験者至つて経験者であつて、有能の人を得がたかつたというような状態でありまして、ことに所長九大教授を兼ねておつて、しばしば不在がちであつたというような関係から、そこの所員その他にもいろいろな不在事件がございまして、経理が非常に乱れたのでございます。これは、たとえば源泉徴収所得税として控除した分を歳入に納付しなかつたとか、職員給與を過拂いしたとか、出張の事実がないのに、職員に対して旅費として幾ばくかの金額を支給したというような状態があつたのでございますが、これらにつきましても、それぞれあるいは納付せしめるとか、あるいは返納させる、あるいは予算復活措置というような処置をとりましたし、ことに刑事上の責任を問われました者も二、三名おりまして、ことに所長あるいは会計主任等につきましては、所長は、この所長の職を解きまして、九大教授に専任いたすとか、あるいは会計主任の免官をいたす、さような処置もとりました。それからなお国に対して損害をかけました分に対しては、法務府の方に連絡いたしまして、和解が成立いたしまして、二名のうち一名については弁償をいたさせました。  それからその次の事案は、四六二号、土地購入に当り処置当を得ないもの——これは東京にございます東京体育専門学校で、運動場拡張用地といたしまして、民有地を第三者の借地権が設定されたまま購入した。それからなおその購入いたしました土地に、建物がそのまま存在して、運動場としては利用できないような状態にあつた。こういうような状態に対しまして、会計検査院よりの御指摘を受けたのでございますが、この事案につきましては、この購入いたしました土地について、土地建物を持つておりますものにつきましても、三軒を残しまして、大体解決がつきました。その残りの三軒につきましても、大体目下話合いがつきつつございます。かような事態が生じましたことにつきましては、責任者に対しまして、注意処分をいたしました。  次の四六三号、国有財産管理当を得ないもの——これは大阪大学で、同大学附属研究所でございますところの産業科学研究所敷地内の休閑地——空いております土地を、堺市の農業実行組合無償使用させて、使用料徴收決定をしなかつた。あるいはその土地を大阪府に学校用地として無償使用させた。これは有償としなければならないのを、無償使用させたという点につきまして、会計検査院の御指摘を受けたのでありますが、これらはいずれも徴收済みでございます。しかしながら、かような事態を生じましたことにつきましては、私ども十分責任を感じ、責任者に対しましても、注意処分をいたしました。  それから、なお同じ国有財産管理当を得ないもの——これは東京の第二師範学校で、池袋駅の前の土地でございますが、これを公用財産のままで池袋戰災復興会外四名に貸し付けたというわけでございます。これはすみやかにこの土地公用を廃止して、大蔵大臣国有財産として引継ぎさせなければならなかつたのに、そういう措置をとることなく、前記の者に貸し付けたということについて、会計検査院の御指摘を受けたのでありますが、これらにつきましても、すでに大蔵省に引継ぎを完了いたしました。しかしながら、かような事態を引起しましたことは、まことに遺憾でありまして、責任者に対して注意処分行つた次第であります。  以上でごく概略の経過及びその処置について申し上げた次第であります。     〔淵委員長代理退席三宅(則)委員長代理着席
  6. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまは文部当局説明を聽取したのでありまするが、右批難事項中、特に異なる意見があれば、会計検査院から簡単に補足的説明を願います。
  7. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 大体文部省の案件につきましては、会計検査院検査報告に関しまして、特に政府当局として争つておる点もありませんので、若干補足して御説明申し上げる程度にとどめたいと思つております。  四四八号の、病院収入の件でありますが、これはこうしたいわゆる収納未済が多いということと同時に、こうした債権決算面上、徴収決定済額として計上されていないという点が妥当でないというのでありまして、いやしくも国が債権として請求権を行使したならば、その金額決算上、徴収決定済額にあげるべきである、そうして決算収納未済のものは収納未済額としてあげるべきである。ところが本件に関しては、全然決算面上に現われていないわけであります。その点を補足しておきます。  なお四四九号は、特に申し上げることはありません。  四五〇号と四五二号の点は、共通の点といたしまして、予算示達というものがいろいろの手続の関係もございましようが、どうも遅くなり過ぎる。そのために、四五〇号のように、一部他の資金を立てかえ使用しなければならない、あるいは四五二号のように、末端の市町村に対する補助金交付ができなくなるというような事態が生ずるのでありまして、この予算示達の促進ということに、さらに一層の努力をしなければならない点があるのではなかろうかと考える次第であります。  なお百五十八ページに、表にいたして掲げてあります四五三号から四六〇号までのものでありますが、これは大体同じ事態でありまして、公立小中学校建物復旧整備費補助というものを出される場合に、補助の要件としまして、年度内に必ず完成することを必要とする、こういう補助要綱に基いて補助されておるのでありますが、事業主体である市町村等で、敷地関係その他の問題のために、全然工事に着手していないものに対しまして、そうした年度内に必ず完成するという條件がありながらも、着手していないことがわかつておる年度末、あるいは翌年度の四月において、補助金交付されておる。こういう点は、補助金使用上非常におもしろくないのではなかろうか。むしろこうした場合には、その事由によりましては、補助金予算繰越しの措置をとられて、実際の工事進捗状態補助金交付がマツチするように整理されるのが当然ではなかろうか、こう考える次第であります。  それから四六一号の点は、すでにただいまお話のありましたように、特に補足することはありません。  あと四六二号も、先ほど御説明のあつた通りでありますが、こうしたいわば運動場として使用のできないものを、今買つておかなければならないといういろいろな気持は、わかるのでありますが、それを購入されて、現在に至るもまだそこに居住者がおつて使用できないというような土地購入されたということは、妥当な方法でないのではなかろうか、こう考える次第であります。  あと国有財産の問題は特に補足して申し上げることはありません。簡単でありますが…。
  8. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 本所管に関し、質疑を許します。井之口君。
  9. 井之口政雄

    井之口委員 この四四八号ですが、徴収決定未済額が、ずつと各大学について、あげられておりますが、これは健康保険法あるいはその他のものによつて政府支拂うべきものですか。これらのものは、どこにだれが支拂うべきものであるかということが、先ほどの説明ではよくわからなかつたのですが、政府支拂いが遅れておるのですか。
  10. 相良惟一

    相良政府委員 さようでございます。政府と申しますより、これらの共済組合病院に対して支拂うのが遅れたというわけでございます。
  11. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、大学の方では、それを催促上なかつたという欠点があるわけでございますか。それを指摘されておる……。
  12. 相良惟一

    相良政府委員 さようでございます。催促いたしたのに、組合が拂込みをしなかつたという点でございます。
  13. 井之口政雄

    井之口委員 これは普通の病院等においても、また個人の医者においても、みなあつた例の大学における状態だなと了解されます。  この予算示達を遅延したものですが、こういうことがあの当時どうして一般的に遅れておつたのか。補助金交付に当り処置当を得ないもの——こういうものも遅れておるようであります。どういう事情のために、あの時分にこうした補助金なり、予算示達なりが遅れたのですか。
  14. 相良惟一

    相良政府委員 遅れました事情につきましては、説明書にもございますけれども、大体先ほど申し上げましたように、かような進学適性検査というようなことは、新しい六・三・三・四の学制に旧制の学校を切りかえます際に、まず起つた。現在でも、もちろん進学適性検査というものは、やつておるわけでございますが、これがちようど切りかえ当初の第一回の進学適性検査であつたということ、そのために進学適性検査をいたしますのは、進学適性検査管理委員会というところでいたすわけでございますが、その受験者数というものがはつきりしていなかつたということ、それから最初報告しました管理委員会委員の構成とか、受験場、あるいはそこで受験いたします受験者数というものにいろいろ変更があつて予算の分配についてたびたび調査の必要があつた事務上そういうようないろいろな手数があつたたに、予算決定従つて予算示達ということが遅れたというわけでございます。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 文部省が、これを大蔵省へ催促しなかつたわけですか。いくら言つても、大蔵省が出さなかつたのですか。
  16. 相良惟一

    相良政府委員 それは私どもの方が、予算額の大体の正確な数を、大蔵省の方に報告するまでの材料が、なかなか手に入れられなかつたためで、主としてこれは文部省の方の責任でございます。
  17. 井之口政雄

    井之口委員 なお四六二の、土地購入に当り処置当を得ないものですが、これはいまだにそのまま放置されている状態だと理解されますが、そうですが。  それから東京体育専門学校で、この土地を買い入れるについての責任者は、学校長ですか。何かそういう初めから立ちのきのできぬようなものを買い入れるについては、地主側と何らかの利害の一致があり、そうしてそこに刑法上の忌まわしい問題も発生するようなからくりがあつたのではなかろうかと推測されますが、そういう方面はどうなつておりますか。
  18. 相良惟一

    相良政府委員 現在では——先ほど申し上げました通り、その土地建物が二十棟ございましたが、ほとんど解決を見て、未解決分がまだ三軒ございます。二十軒のうち三軒だけが未解決でございますけれども、これも大体目下話合いが順調に進行いたしております。すなわちあと三軒が立ちのきますと、すべて問題が解決するというわけでございます。  第二の点につきまして、契約の当事者は、学校長であります。学校長土地所有者あるいは建物所有者との間に、何らさような忌まわしい関係は、全然ございませんことを申し上げておきます。
  19. 井之口政雄

    井之口委員 よくPTAの会長だとか、あるいは教育委員等々が、そういう役に立たぬ、使えもしないような土地を買い込んで、収賄事件が裏にひつかかつておるということは、全国至るところに見るのであります。神戸方面でも、そういう実例があつたのであります。たまたまこれはそういう不在が中になかつたといたしましても、大体これはやはり不正の影を非常に引くものであります。しかし一応それを買つたものとすれば、それを処理するについては、どういう処置をとられたのか、無理に立ちのかせたのですか、立ちのく場合の費用というふうなものも、予算の上に組むのですか、それを伺いたい。
  20. 相良惟一

    相良政府委員 その点につきましては、予算に、立ちのきに要する経費等も、すべて組んでございますし、すべて話合いの上でもつて、円滑に処理いたしております。
  21. 井之口政雄

    井之口委員 最初から立ちのかせる予算を組んで、これを買い込んだわけでありますか、後になつて、やむなくそういう追加予算を別個に組んだわけでありますか。
  22. 相良惟一

    相良政府委員 その点は、最初から立ちのきに要する経費等も、予算面に組んでございます。しかしながら、條件その他の折合いがつかなかつたために、解決が遅延したというわけでございます。
  23. 田中角榮

    田中(角)委員 二、三点お聞きしたいと思います。ただいま批難せられておることではなく、文部省所管事項に対して、二、三お答えを願います。戰後道義の高揚のために、教育機関発達拡充強化ということが叫ばれておることは当然でありますし、私たちも、現在においてもなおかつ私学振興に対して、国の努力の足らざるを嘆いておるのでありますが、その反面、またいわゆる教育機関としての重要性を認識されたために、ある一部の間においては、特殊な恩恵もまた受けておるわけであります。しかるに、いわゆる教育機関拡充発達強化ということに対して、一面非常に叫ばれていながら、また反面、二、三の者であろうとは思いますが、その特権というがごときものを利用しておる者があるということは、まことに寒心にたえない。これに対して文部省当局は、将来どういうことをお考えになつておるかということをお聞きしたいわけであります。  大蔵省所管批難事項の中で、八十八ページ及び八十九ページ、批難番号三五〇及び三五一、国有財産管理当を得ないものという中に、いわゆる元軍用施設霞ケ浦農科大学及びその他の教育機関が、一時使用をしておりながら、これを一部に、全然成規処置をとらずして転貸を行つておるというがごときことがあるのですが、このような事実に関して、当局はいかなる考えを持つておられるかということを伺いたいと思います。
  24. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 途中でありますが、ちよつと委員長から申し上げます。文部省は、官房より相良会計課長が参りましたが、ほかの局長は来ませんか。
  25. 相良惟一

    相良政府委員 ただいま地方行政委員会等をやつておりまして、そちらの方に局長が行つておりますので、必要があればその委員会の方に……。
  26. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 本委員会は、予算と並んで決算は、きわめて重要な問題でありますから、決算面については、相当重要視して、局長が出て来るのが当然でありまして、かつても、本委員会において、委員長より発言を求めて、そういうことを忠告いたしてあります。本日も局長が御出席がないときにおきましては、委員長において適当な処分をいたしたいと思いますから、さつそく局長をお呼びにならんことを希望いたします。
  27. 相良惟一

    相良政府委員 関係局長だけでよろしゆうございますか。
  28. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 関係局長です。重要問題を審議するにあたつて関係局長がいないということは不都合です。
  29. 相良惟一

    相良政府委員 ただいまさつそく呼ぶようにいたします。
  30. 田中角榮

    田中(角)委員 お答えがなければ、次の質問に移ります。
  31. 相良惟一

    相良政府委員 ただいまの御質問を、具体的にもう一度伺いたいと存じます。
  32. 田中角榮

    田中(角)委員 これは私が申し上げるまでもなく、過去の決算委員会は、当分批難事項をお聞きするようなことだけで済んでおつたようでありますので、まあ批難事項に対する御答弁の用意だけして来られたと思いますが、申すまでもなく、決算委員会予算委員会に対比するものでありまして、これは根本的な施策を究明する委員会であります。ただここにあげられた決算面上における批難事項だけをお聞きするのではなく、どうしてこういう結果になつたろう、よつてその原因を探究し、かつ将来その過誤を繰返すことのないようにというのでありますから、一般的な質問予算委員会と同様に行いたいと思つているわけであります。  私の質問が徹底しなかつたようでありますが、いわゆる……。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ちよつと委員長から申しますが、局長が来るまで待ちますか。局長に来てもらつたらどうですか。
  34. 田中角榮

    田中(角)委員 待たなくても━━。もし質問お答えができなければ、次の方に移りますが、みなこのような質問ですから……。
  35. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 田中委員に申しますが、関係局長が来ておつたときに聞かぬと、的をはずれてはいけませんから、いかがですか。来てからにいたしましよう。
  36. 田中角榮

    田中(角)委員 では次の問題に移ります。これは官房会計課長においてできると思うのでありますから、次のことを伺います。すでに新年度になり、学期も新学期が始まるのでありまするが、ここに当然教育用教科書の問題が起きて来るわけであります。この印刷に関しては、種々論議があつたのでありまするが、もうすでに軌道には乗つておると思います。しかし一部においては、なおかつこの厖大なる印刷を、特定の、いわゆる今まで指名をせられておつた業者のみに行わせて、事実上は例年の通り地方の小印刷業者をもつて下請をなさせておると言われておるのでありますが、この間の事情について御説明を伺いたいと思います。
  37. 相良惟一

    相良政府委員 ただいまの教科書発行についての御質問について、お答え申し上げます。御承知通り教科書には、昔、国定教科書と申しまして、現在では文部大臣において著作権を有する教科書と、検定教科書と二種類あります。検定教科書につきましては、業者がつくりましたものを、文部大臣検定によつて学校において使用をすることかできるということになつておりますので、この点について、ただいま御質問があつたのではなく、文部省著作権を持つておりますいわゆる国定教科書発行についての問題だろうと存じます。これにつきましては、教科書発行に関する臨時措置法という単行法がございまして、文部省がある業者に頼みたいと思いましてもこの法律によつては、さようなことはできない、すべて平等な條件によつて、競争入札によつて発行を特定の業者に委託する、こういうような建前になつておりますので、非常に公正に行われております。この法律も一昨々年昭和二十三年に、関係方面の意向によつで、かような法律を制定いたしましたので、現在ではさような弊害はないと、私ども確信しております。
  38. 田中角榮

    田中(角)委員 今の質問に関連をしまして、新聞紙等に報道せられておりますように、新年度は用紙事情が非常に悪くなつたために、ある意味においては、統制をしなければならないということが報ぜられておるのでありますが、これについて特段の処置を講ぜられておるかどうか。もちろん、ただいま文部大臣検定のものということになりますと、現実の面においては、印刷したものが全部検定が受かる、また使用もできるということで、事実はマツチしておるとは思いますが、もしも、仮定の事実として、通らないような教科書を刷るような場合があつた場合の処置その他に対して、具体的な方策がありましたら伺いたい。
  39. 相良惟一

    相良政府委員 ただいま用紙事情等の関係で、御指摘があつたのでございますが、それも非常に重大な問題でございますが、より重大な問題といたしまして業者からよく訴えられることは、教科書発行に対する金融の問題でございます。この点につきましては、非常に私ども腐心しております。あるいは大蔵省、日銀等にも交渉いたしまして、預金部資金の貸出しというような措置も講ぜられるように、目下鋭意努力中でございます。  それから検定に落ちた場合、どういうような措置をとるかという御質問であつたと存じますが、これにつきましては、検定基準というものが相当さびしゆうございます。これは関係方面の意向も一々聞かなければならないというような状態でございます。し、しかも文部大臣一人によつて検定をいたしますのではなく、文部大臣か委嘱をいたしました検定審査会で、非常に公正に審査を受けるわけでございます。それで大体検定の基準につきましても、これは文部省の省令で一応の基準を定めております。それで初めから検定を通るような見込みのないものにつきましては、業者の方も、大体検定基準を知つておりますから、大体において望みのあるものを出して来るというような関係もございます。しかしながら検定基準が非常にきびしいという訴えを聞くのでございまして、この検定基準を多少下げるというようなことも、私ども考えおりますが、なかなか関係方面の意向もございまして、実現しがたいということを、私ども少し残念に思つておるのであります。
  40. 田中角榮

    田中(角)委員 端的に申し上げまして二十六年度の新学期に対しては、教科書に対しては全然御心配がない、こう了承してよろしゆうございますか。
  41. 相良惟一

    相良政府委員 一応は二十六年度、新学年に間に合うように、目下業者の方を督励いたしまして、従来起りましたような、教科書が手元に行かないというような事態の生じないように努力しております。大体におきまして、さような事態は生じないのではないかと思つております。
  42. 田中角榮

    田中(角)委員 第三問といたしまして、これは特に法務関係及び警察予備隊、国警等に対しても、同じことが言われたのでありますが、私学に対しても、もちろん先ほど申し上げましたように、われわれは振興に大いに努力をし、また寄賦したいと思つておるのでありまするが、往々にして——今年はさようなことも、だんだんなくなつて来たとは思いますが━━私学に対する寄付行為の強要という問題があります。これは警察署、司法当局においても、全然国費をもつてまかなえないからやむを得ず寄付行為をもつてこれを充填して行くということがあるのであります。しかし、ただこの寄付行為の云々を言うのではありません、もちろんアメリカ等においては、私学の振興に対しては、莫大なる財産を寄付し、これの振興をはかつておる、こういうのでありますから、これに対してとかくのことを言うのではなく、これが自発的であれば非常にいいことだとは思うのでありますが、往々にしてこの寄付行為と入学考査の問題が混淆せられて、今すでに入学準備でもつて、若い人たちが日夜勉強しておつても、寄付をしないために、ある学校へ入れないというようなことがあるならば、これは非常に大きな問題である。しかし、往々にして私学においては、そういうことがあり得るのであります。また現在でもあります。こういう問題に対しては、政府は当然私学に対する補助費として、国費をもつてやるのが正しいと思うのであります。いわゆる限られた財政でまかなう以上、もちろんやむを得ず許容せられておると私は思いますが、これに対して文部当局は、将来どうしようというお気持があるのか、もしどうしようというよりも、いわゆるそれに伴う弊害に対して、どのような処置考え、かつ行つておられるかという問題に対して、お尋ねしておきたいと思います。
  43. 相良惟一

    相良政府委員 ただいまの第一の点につきまして、ただいま御指摘のように私立学校が非常に経営難であるということは、これは私ども非常に痛感しております。この問題につきましては、ことに戰災復旧等につきましては、政府あるいは地方公共団体の助成ということなしには、私立学校の経営あるいは戦災復旧ということは、実現困難だということも、私どもよく存じております。この点につきまして、関係方面の意向は、私立学校に対しては、いかなる援助もなすべきではない、また監督もなすべきではない。アメリカでは、私立学校に対する政策としましてノー・コントロール、ノー・サポートという原則を、私ども長い間押しつけられていたのでございます。この点憲法第八十九條に、さような私の団体に対する補助金というようなものは、でき得るというような解釈も成り立つたわけでございますし、また先年私立学校法の制定によりまして、国あるいは地方公共団体に対して、補助金を出し得るという道も開けたわけでございます。目下非常に少額ではございますが、二十六年度におきましては私立学校の戦災復興のために、特に十億円を新たに計上いたしましたし、その他数億、私立学校——主として大学でございますが、大学に対する経営費の補助ということも、目下やつております。結局さような弊害が生じますことは、経営難であるという点、これが大きな原因であると思いますので、ただいまお話がありました点については、ますます私立学校の助成に力を入れて行きたいと思つております。  第二の点につきましては、これはどこの学校でもよければ、大学入学者を収容し得るだけの収容施設はあるわけでございますが、特定の学校に対して父兄が自分の子弟をぜひ入れたいというところから、その入学と寄付がからみ合つて、その間おもしろくない事態が発生するわけでございますから、この点につきましては、父兄の自覚を待つという以外には、手はないのではなかろうか。やはりみな一流の学校を目ざして行きまして、一流の大学、高等学校中学校でさような事実が生ずるということは、父兄が自覚しない限り、何とも解決が困難じやないかと思つております。私どもといたしましては、私立学校の内容の充実に大いに留意いたしまして、レベルを上げて、特定の学校だけに志望者が集中するというふうな事態が、だんだん少くなるように力を入れて行きたいと考えております。
  44. 田中角榮

    田中(角)委員 第一間にもどります。これは局長が来られても、はつきりした態度は出ないと思いますので、申し上げるのですが、批難番号三五〇、三五一はこういうことなんです。いわゆる学校とい、ものが非常に重要視されておるというので、教育施設の名前を使うと、端的に申し上げると、国有財産の拂い下げ、借用等が、無條件にやつてもらえる、こういうふうな弊風があります。特に神宮外苑に対しても、ほかの名前を使うよりも、学校が使う、学校がこれを借り入れるというような場合は、その重要度がら見て、国も管理をあまりきびしく言わない、適用條件もゆるやかに失するくらいでやつておる。その結果三五〇、三五一というのは、農科大学の名前でもつで借りたものをほかに貸してしまつたり、特に文部省所管の中で、先ほど管理当を得ないものというのがありましたが、それと同じ條件で、三五一には、いわゆる学校の名前で旧軍施設を借りで、これを転貸しておる。なお会計検査院指摘があるにもかかわらず、全然処置をしておらぬし、国庫に対して正当なる賃貸料も納付をしておらぬ。これがまず悪意のものではなく——私はここに批難されたものが悪意のものであるとは解釈いたしません。いたしませんが、私の見聞するところ、いわゆる学校や教育施設の名前を使う場合、非常に簡単に物が買える、簡単に物が借りられるということが、往々にして言われております。こういうものに対して、もちろん会計検査院も、大蔵省所管なるがゆえに大蔵省たけに注意を喚起するということだけでなく、会計検査院も、きつと処置をとられておるとは思いますが、こういうものに対する文部省の見解、将来に対する処置はどうか、こういうことをただして見たいと思うのであります。
  45. 相良惟一

    相良政府委員 ただいまのような事例は、学校の名をもつていたしますと、普通だつたらなかなかできないようなこともできる、こういう点について文部省はどう考えるかという御質問だと了解いたしましたが、この点につきましては、先ほど私が申し上げましたような、私立学校に対するコントロールというようなことをすべきではないという線、そういう原則が現在では非常にくずれた。くずれたと申しますのは、私立学校に対しましても、適正な経理状況とか、あるいは事業内容について、官が、あるいは地方公共団体が監督すべきであるというような、私立学校法の建前もございますので、私立学校に関して、ただいま御指摘になりましたような、思わしくないような事態が生じないように、適宜私立学校に対する監査ということを、文部省はなすべきであろうと考えております。私立学校法の建前も、もちろん非常にきびしい監督というわけではなく、私立学校に対しましても、学校であるという本質と相反しない限りにおいて、ある程度の営利事業も認めているわけでございますが、もちろんそれは学校法あるいは学校がなすべき本質、つまり教育ということと相反しない程度においてこれを認めているわけでございまして、さような本質を逸脱いたしまして、ただいま御指摘のような事態が生じないように、文部省も大いに私立学校法の精神に基きまして、事業内容あるいは経理状況の監査ということをしつつあるわけであります。
  46. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申しますが、関係局長は来ておりますか。こういう重大問題のときに来ておつてもらわぬと困ります。
  47. 相良惟一

    相良政府委員 ただいま呼んでおります。
  48. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 相良政府委員もけつこうですが、当局のかんじんな人が来ておらぬと、ぴつたりとわれわれには納得が行きません。——田中君は、まだ発言がありますか。
  49. 田中角榮

    田中(角)委員 私は一応これで……。
  50. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは委員長から一つ申しますが、田中委員からも御質問があつたわけでありますが、私立学校等におきましては、往々寄付あるいは校債——いわゆる学校の債務というものを校債と名をつけておりまして、これは十年後には還付をするということになつておりますが、実際はしていないと私は思う。今文部当局は、そういうような学校の内容に立ち入りまして、監査するということを言つておりますが、監査はどうなつておりますか、その実情を大学局長から承りたいと思つておりますが、その辺は……。
  51. 相良惟一

    相良政府委員 私立学校法に関することにつきましては、文部省の管理局というところでやつておりますが、管理局長は今連絡中でございますので、しばらくお待ちを願いたいと思います。
  52. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 責任局長に納得してもらつて、改善すべきところは改善したい、田中委員の仰せになりました通り、国会で言われましたことは、国民の代表でございますから、よく了承して、直すべきところは直すというのが、政府当局のとるべき手段であると思います。国民にかわつてやるのはこの委員会しかない、どうぞさよう御承知願いたい。
  53. 井之口政雄

    井之口委員 先ほどの四四八号の問題ですが、約四千八百万円からの未収をやつてつて、それで病院経営というものが成り立つものですか。またこういうのをおろそかにしておるという意味は、健康保険法でかかる患者、そういう者に対して、各大学の付属病院が非常に不親切で、なるべく受付けぬようにして放任しておつたことを、反面において意味するものじやなかろうか、こう思うのですが、どうですか。
  54. 相良惟一

    相良政府委員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。ここの議案にございますような国立大学の付属病院等では、いわゆる収入金支弁ということをやつておりません。これは会計法の規定によるのだと思いますが、収入によつて経営しておるわけではなく、別に国の経費でもつて病院を経営しておるわけでございまして、収入がなくとも、当然病院としてはなすべきことをやつておるわけでございます。
  55. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ちよつと速記を止めて……。     〔速記中止〕
  56. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 速記を始めてください。  ただいま批難事項になつております事柄につきまして、ほかに御質疑ありませんか。——御質疑なしと認めます。  なお先ほど来問題になつております私立学校の問題あるいは入学寄付のこと、校債のこと、その他監査のことにつきましては、またあらためて文部当局から御出席を願いまして、各委員と、とつくり御質問なり御説明なりを承りたいと存じます。  引続き厚生省所管の問題を審議いたします。報告書百六十一ページ、報告番号四六五、国立病院及び療養所の収納未済多額に上るもの、ないし報告書百七十一ページ、報告番号四八六、職員の犯罪に因り国に損害を與えたもの、以上二十二件を一括議題とし、厚生省当局より説明を承ります。太宰政府委員
  57. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 ただいま議題になりました四六五号より四八六号までのことにつきまして、おわびかたがた御説明いたしたいと思います。  四六五は、国立病院及び療養所の収納未済多額に上るものといたしまして、八雲病院ほか七箇所で、二十三年度中に徴収決定した病院収入五千八百十三万円のうち、二千八百万円余が収納未済となつている。これの全国平均の病院収入の収納率を見ますと、国立病院は八二%、療養所は七八%一平均八〇%となつておるわけでありますが、特に八雲病院等の成績が五〇%にすぎない、この点のおしかりを受けたのであります。これは検査院の指摘通りでございます。ただ当時の状況を申しますと、この批難されました八箇所の収納未済のおもなる原因と申しますのは、生活保護法及び社会保険による分の収納未済が多いのでございます。これは当時ちようど御案内の通り、非常に財政的に地方が苦しくなりました時代でございまして、生活保護法による者につきましても、関係市町村の財政が非常に苦しいというようなことで、これがつい延びましたことが理由になつておるように聞いております。また社会保険の方につきましても、御承知通り、社会保険がこのころから急激に財政困難をきわめて参りまして、その支拂いが遅延になつた、こういうことが非常に大きな原因をなしておるように思うのでございますが、いずれにいたしましても、かような高率に上ります収納未済を出しましたことについては、申訳ないと存じております。なおこの収納未済の分の二千八百万円のうち本年一月末までに二千六百万円余は収納済みになつておりまして、残りのものにつきましても、なお早急に収納するように努力中でございます。それから当時の責任者に対しましては、厚生大臣から嚴重な注意を與えて、今後を戒めておきましたような次第であります。  次の四六六号、薬品売渡代金の徴収に当り処置当を得ないもの——これは昭和二十二、二十三両年度におきまして、都道府県に厚生省から配給いたしましたDDTの代金でございまして、徴収決定漏れになつでいるものが、二十四年の十月末現在で、東京都外十県分で千五百八十三万円余ある。これが薬品売渡代金の徴収で、処置当を得ないものとして批難を受けたのでございます。これも当時の状況を申し上げますると、その府県でいろいろ使用目的が違いまして、たとえばそれを県として使うのであるか、それとも市町村として使うのであるか、あるいはさらに一般国民に配給いたしまして、一般用として使用するのであるか、その使用目的によりまして、それぞれ価格が異なりまして、県の場合は二分の一、市町村の場合は三分の二、一般用の場合は全額というようにいたしまして、その分をそれぞれの使用目的に応じまして、代価のきまりました分を、府県が一括して納入告知書を出して徴収して、こちらに納めるということになつてつたのでございますが、その実際の使用区分が変更になつた。たとえば、県で使つておるものを市町村が使うようになつたというようなことになりますと、当然県の場合の値段よりも高い値段でこれを売つて、国にそれだけの収入が入らねばならないのでございますので、その都度、都道府県より、さような使用区分の変更がございましたような場合には、こちらに報告をいたせまして、こちらでその決定額の訂正をするという手続をとるようになつてつたのでございまするが、こちらの方の事務もまことにふなれでございまして、また県の方に対する監督も不行届きの点がございまして、都道府県からの報告もなかつたというようなことからして、先ほど申し上げたような多額の徴收の決定漏れが出ました次第でございます。これはまことに遺憾に存じますので、かかることのないよう、十分注意いたしたいつもりでございます。なおこの徴収決定漏れの千五百八十三万円というものは、二十五年の十月に全額納まりましたような次第でございます。  それからその末尾の方にあります薬品代、二十三年度末までに五億五千二百五十三万七千六百九円、徴収決定をしたが、年度末までに収納済額が一億六千百二十七万四千三十三円にすぎないという点でございますが、これも大いにその後努力をいたしまして、本年一月末現在で、五億五千万円のうち五億二千四百五十六万余円というものが収納済みになりまして、残りの分につきましても、なお引続き早急に納入するよう督励中でございます。さよう御了承願いたいと存じます。なお当時の責任者に対しましても、厚生大臣から、かかることのないように注意を促して、処分をいたしました。  それから四六七、これは東京都及び北海道で、昭和二十二年度中に、管内地方公共団体に対しで、生活保護費補助金として六億八千二百八万余円概算交付して、その精算による補助超過額千二百五十一万余円の回収が遅延したということについて批難を受けたものでございます。これは私どもの方の手落ちでございまして。何とも申訳もございません。今後十分に注意いたしたいと思います。なお超過額は、東京都におきましては昭和二十五年の三月、北海道も同様三月に、それぞれ全額返納させましたような次第でございます。それから当時の責任者に対しましても、大臣から注意を與えて、今後を戒めたような次第でございます。  同じく四六八号、これは北海道外六府県で、昭和二十二年度中に、公共団体である道府県に対し、児童福祉法による施設及び事業費補助金として犬百三十八万円概算交付しているが、その精算による補助超過額二百三十二万七千余円の回収が遅延していたということで、指摘を受けたのでございますが、これもその通りでございまして、今後は監督を一層嚴にいたしまして、かようなことを二度と繰返さないようにいたしたいと存じます。この補助超過額も、作二十五年の五月までに全部返納をいたさせましたような次第でございます。なお責任者に対しましても、厳重な注意を與えてれ今後を戒めたような次第でございます。  それからその次の四八九から四七九までの間は、補助金交付にあたりまして、まだ工事に着手さえしていなかつたものに対して補助金を與えておつた、あるいは年度を越えたものについても補助を與えた、かようなことでおしかりを受けたのでありますが、これも指摘通りでございまして、まことに申訳ないと存じます。これはただ当時の状況を申し上げますると、当時御案内の通りに、文化国家として再生いたします上につきまして、こういう児童福祉関係あるいは生活保護施設関係という方面にうんと力を注がねばならないというので、これの拡充整備について、都道府県を大いに督励もいたしましたし、また地方からも、この設置要望が非常に切なものがありましたので、極力いだだきました予算を生かすように努力して参つたのでありますが、地方におきましては、当初に予定しでおつた土地あるいは建物が変更になつた、あるいは諸費材の入手が予定した通り入らなかつたということで、つい年度を越えざるを得ないようになつた。それもしやくし定規で参りますと、当然その分は不用としてもどさなければならないのでありますけれども、当時の関係者があまりにこういう施設を早く整備するということにばかり夢中になりまして、会計法上の手続を忘れましたために、かような結果になりましたので、これも今後こういうことのないよう十分注意いたしたいと存じます。なおその工事は、昭和二十四年の十月までに全部竣工いたしましたことを最後に御報告を申し上げておきます。  それから次の四八〇は、鹿児島県の県立精神病院経費に対しまして、補助金として概算で百十五万四千五百三十八円を交付した。ところがそれの決算を見ますと、事業費支出額の二百五十万円に対して、事業収入額が三百七十万円余であつて、まつた補助の必要がないのに、補助申請資料を調査することなく、漫然と補助したという点につきまして、検査院より指摘されたのでございます。これもまことに何ら弁解の余地のない、私どもの手落ちでございまして、申訳ないと思つております。なお責任者に対しましては厳重なる注意を與えました。同時に、その補助いたしました分につきましては、二十五年の四月に返納させましたような次第でございます。  それから四八一でございますが、これは東京都で産院の設置費補助として二百万円を交付した。これは産院の設置費八百四十万円に対して、二十三年度において四百万円を補助の対象として、二分の一相当額を交付した。ところがこれはそこの購入の対象である建物が、いろいろな悪條件がございまして、結局ものにならなかつたというので、これについて、補助金交付当時に、そういう事情を詳しく調査すればわかつたのではないか、それを十分調査もしないでこれを交付したという点は、処置当を得ないとして指摘せられたものでございますが、これもその通りで、まことに遺憾に存ずるのであります。これも当時の事情を申し上げさせていただきますれば、やはり前申しましたように、児童福祉施設というものを、大いに拡充しなければならない状況下にございまして、産院の設置は非常に強く要望されておりました。たまたまこの土地が戦争前に都立産院の所在地でもありましたので、何とかしてこの土地に建てたい、その建物の買収や、そこに住んでおります現居住者の移転も確実に履行できるという話でありましたので、それをなお一層調査すればわかりましたものを、そのまま、それではよかろうというので補助金交付したために、結局これがおしかりを受ける原因となつたのでございます。これはその後におきまして、私の方で都の当局を再三督励したのでございまするが、進捗していないということが判明いたしましたので、昭和二十四年度の継続補助はこれを打切ることにいたしまして、二十三年度補助金につきましては、二十五年の十一月に返納をいたさせましたような次第でございます。なお当時の責任者に対しましても、今後かかることのないよう、厳重に大臣から注意を與えましたような次第でございます。  それから四八二号は、これは宮城県で二十三年の九月に風水害がございまして、それの災害救助費補助金として三千百万円を交付した。それが実施しました結果、八百二十七万円の不用額を生じたにもかかわらず、すみやかに精算をしなかつたということに対して、批難されたのでございます。これはまたたいへん遺憾なことでございますが、この風水害というのは、例のアイオン台風でございまして、非常に大きな災害を受けた。それで県としては、その経費立てかえをすることができませんので、申請しまして、一応概算交付したのでございますが、その混乱のときに手違いを生じまして、一部刑事事件を起したような事情もございました。そのために関係書類を会上部検察当局の押収するところとなりまして、事務の停頓を起し、その次に出ました職員が、新規でふなれでありましたので、また事務処理にあたつて当を得ないようなために遅れた、かようなことで、いろいろ重なりまして、精算が遅延したような次第でありまして、これも検査院の指摘せられた通りで、申訳なく存ずる次第であります。今後かかることのないよう十分注意したいと存じます。なお返納金は八百二十七万円、二十五年一月に完納させてございます。  それから四八三号、これは東京都の民政局世話課で、職員が間違いを起しまして、犯罪によつて国に損害を與えたということでございます。こういうことは、従来からもときどきございまして、まことに申訳ないと存じまして、相当注意をいたしておるつもりでございまするけれども、なお足りない点がございまして、こういう御迷惑をおかけするようなことができましたのは、申訳ないと存じます。この犯人には、懲戒免職をいたしますとともに、昭和二十四年九月に起訴せられまして、懲役一年六箇月の判決を受けて目下服役中でございます。この横領金の弁償につきましては、東京簡易裁判所で既決係の申立てが成立いたしました次第であります。なお監督者に対しましても、それぞれ大臣から行政処分行つた次第でございます。  その次の四八四、これも同じく岐阜県の世話課で、雇が犯罪を犯しまして国に損害を與えた事項でございます。これも御指摘通り、まことにかような事態を生じましたことについては、遺憾に存ずる次第であります。それからその犯人及び共犯の二人とも検察当局から二十三年の十二月に公訴の提起がございまして、それぞれ懲役三年の判決を受けました。それから被害金額のうち百五十八万円だけは弁償済みで、残りの分につきましても、なお弁済させるべく努力しておりますが、現存両人とも懲役三年の刑で服役中でございまして、なお財産を調べてみましたが、さしあたつて立てる資産もございませんので、これは本人たちが出所いたしました後に協定してきめたい、なるべく早く国にもどすようにいたしたいと存じます。なお監督者及び責任者に対しましては、それぞれ大臣から行政処分を行いまして、今後を戒めたような次第でございます。  それから四八五号の物品の取扱処置当を得ないものこれは多少事情が複雑化しておりますので、ごく荒筋だけ申し上げまして、あとでまた御質問に応じてお答えいたしたいと存じますが、この事件は、厚生省で昭和二十三年度に腸チフス・パラチフス混合ワクチン——普通腸パラ混合ワクチンと申しておりますか——これを三千七百万CC前年度から繰越して保有しておつた。それを今度は二十三年に、各地方でもつて伝染病の予防注射をいたします際に、各府県の方での需要量は三千百万CCであつた。そうすると、国の前期の繰越しの三千七百万CCで、それが全部まかなえる状態にもかかわらず、その間における国の処置がよろしきを得ていなかつた。と申しますのは、厚生省は、そのワクチンのメーカーに対しまして、二十三年度中の需要見込額を五千万CCとみなして、メーカーにこの生産を手配して五千万CC製造させた。そして一方におきまして、政府の配給代行機関、まあ請負でございますが、厚生省の命によつてこういう薬品の保管、配給の実際事務を取扱つております山之内製薬会社をして、府県に対して、自分の手持の三千七百万CCの中から、府県の需要として要求のありました三千百万CCをずつと流させましてそうして府県から得ました金でもつて、今度は国に納めないで、直接それでもつてメーカーに、先ほど生産命令を発しました分を買つて、その部品を国の倉庫に入れて、まあ新陳代謝をしたというようなことが、これが会計法上の違反である。のみならず、その三千百万CCの中で、千六百万CCだけは今のようなやりくりで現品で補充したが、補充未済となつた残りの千五百万CCについては、二十四年の九月になつて、これを二千百万余円でもつて山之内製薬会社に売り渡している、しかも、その金が十二月現在では全部納まつていない、こういう点を、また検査院としては、処置当を得ないとして指摘せられたような次第でございます。最後にもう一つ、国の現品の保有状況から見ると、二十二年度からの繰越しの残品及び山之内製薬会社が先ほどのからくりによつてあとで補充いたしました千五百万CC、合計して二千百七十万CCというものが、二十四年九月に至つて有効期限が経過したために廃棄処分されている。これは一番最初に厚生省が、前年度から持ち越した分を率先して山之内をして売らせておけば、結局国はこういうような有効期限の切れたようなものをつくらないで全部さばくことができたんじやないか、こういう点も厚生省は手落ちであるということで、検査院から指摘を受けたのでございます。私ども検査院からのおしかりを受けましたときに承りました点では、そういう会計法に違反しているという点でしかられましたので、その点は私ども何のお答えする余地もございません、まことに申訳ないと存ずるのでございますが、ただどうしてこんなからくりをしたかということにつきまして、当時の状況をちよつと一言申し上げさせていただきますると、当時は、御案内の通り、非常に伝染病が国内にはやりつつある状況でございまして、GHQも非常に関心を持ちまして、昭和二十三年度を迎えるにあたりまして、GHQの方から、腸チフス、パラチフス予防のための対策を立てろ、そのためには十分なる対策を立てろという指示がございました。それに基きまして厚生省としては、中央にこういう対策審議会というものを設けまして、大体そこで来年度どれくらいいるであろうという見通しを立て、その見通しに基きまして、メーカーに、二十二年度のうちに、この五千万CCのワクチンの製造を発注いたしたのであります。と申しまするのは、こういうもののはやりますのが、春から夏にかけてでございますので、手配を早くしておかなければならない。のみならず、こういうものの製造期間が三箇月かかりますので、急にはやり出してから、おいといつてすぐできるような筋合いのものでもございませんので、早目に見通しを立ててやらねばならなかつたというので、二十二年度のうちに、その手配をいたしましたわけで、その五千万CCというのは、その当時あらゆる状況を勘案いたしまして、大体そのくらいと思つて出したのでございます。ところが二十三年度に入りましてから、府県から実際に申請して、これだけ送つてくれと具体的な問題になりました際には、三千百万CCであつた。そこに見通しの違いが出たというのでございますが、この点は、私どもの方で専門家が愼重にやつたつもりではございますけれども、なお間違いができましたことは、残念に思うのであります。  それともう一つは、二十三年度に、例の予防接種法という法律が国会を通りまして、この接種法に基きますると、こういう予防接種は、爾今は全部各人からとれという、大蔵省あたりではそういう考えをとつておりました。その前年までは、全部国でもつてやる。従つて国としては、こういうワクチン類を国家買上げいたしまして、それを府県に配りまして、府県がその分の金を国に納める、そうして府県は、府県市町村の費用でもつて、この予防接種をやつてつたという状況であつたのでありますが、この予防接種法の施行に伴いまして、各人からとるのだから、従つて国は買上げする必要はないというので、予算を削られたのでございます。その結果、メーカーは五千万CCをつくれということを厚生省から言われたけれども、一体そのときの賛金はどうなるのか、国家買上げでございますれば、もう年度でも越せば、すぐに買い上げてもらえるだろうという予定で、何とか金繰りがついたのでございますが、末端の国民一人々々から金をとり上げて来て、それから自分のところに金が入るのだということになりますと、御承知通りメーカーがつくりまして、府県へ流して末端の市町村まで行きまして、それから各人から金をとつてそれがさらに府県を通つてつて来る。その間には、数箇月かあるいはそれ以上の期間を要する。その間をメーカーとしては、運転資金がどうにもならない非常な苦況に立ち至りました次第でございます。そこで当時の関係者が寄りまして、これは万やむを得ないということで、先ほど一番冒頭に申し上げましたような、からくりをいたしたわけでございます。  もう一度申し上げますれば、まず国が保有いたしている物品を、当時山之内に保管させておりましたので、この山之内を通じて府県に流させまして、府県で末端から金が入つて来ると、それを国に納めないで、山之内に納めさせて、山之内がメーカーからさつそくその金でもつて物品を購入して、その物品を政府の倉庫に納める。これを厳重にやれば、結局それでいいじやないか。たとえば政府にいたしますれば、このワクチンというものを保管しておりますると、有効期限というものがございますので、漸次古くなつて使えなくなる。それが今のような措置によつて交代いたしますれば、有効期限がそれだけ更新されるではないか、業者にいたしますれば、それによつて金詰まりというものが解決されるというようなことで、業者もよい。また同時に、業者のつくりましたワクチン類というものが、国なり公共団体が使います以外は、だれもほしがる者はございませんので、これはほかの商品と違いまして、結局国がめんどうを見てやらなければつくりません。一たび国が生産命令を出しておきながら、これを袖にしたということになりますれば、今後こういう業者の協力というものも、なかなか望みずらいのではないかというような、あれこれの考えも加わりまして、さような措置をとつたのでございます。ただそのときに、今から考えますれば、なお一段と深く検討いたしまして、それぞれ適法な措置をとりましたならば、今日かようなおしかりを受けることもなかつたと思うのでありますが、さようなことで思い至りませんで、かような次第になりまして、検査院からおしかりを受けたのでございます。まことにこれは申訳ないと存じております。そのために関係者につきましては、厚生大臣からそれぞれ今後を戒めるべく注意を促しました。同時に山之内につきましても、補充未済となつた分で売り渡しました分についても、納めさせますように努力いたしまして、すでに未済の分は全額納入になつておるような次第でございます。  なおその一番末項にございまする二千百万CCが、有効期限経過のため廃棄処分されたと申しまするのは、これは御承知のあの京都のヂフテリヤ事件が、二十三年の秋に起りまして、GHQ当局から、一切のワクチンの使用を二十三年の十二月に禁止されました。その場合に、日本の国内にありまするものは、全部ワクチンの使用を禁止して、これを国立予防衛生研究所に集めまして、もう一ぺん検定をし直す、そうして合格したものだけもう一ぺん市場に出させるという非常措置をとられました。その検定に一年間かかりました。ために、その間に有効期限の切れるものが続出いたしたのでございます。これは申訳ないとは存じますが、さような事情で、この大量のものが有効期限経過のために廃棄処分されたような次第でございます。おわびいたす次第でございます。  最後に四八六号の、職員の犯罪に因り国に損害を與えたもの——これは福岡県の直方の社会保険出張所で、事務員が横領した事案でございまして、これも先ほど世話課の事件と同様、注意をいたしておるつもりでございましても、ついこういうものがときどき出まして、まことに申訳ないと存じます。犯罪防止につきまして一層注意を促し、あるいは監督の強化をはかりたいと存じます。なお犯人及び共犯は二十四年の五月に公訴の提起がありまして、それぞれ懲役刑を受けおります。その被害金額のうちでも、若干は弁済済みになつておりますが、残りの分につきましては、この犯人三人とも資力がございませんので、定期貸しと申しますか、毎月少しずつ返すということで、これを返すような措置を講じました次第でございます。なお責任者につきましては、大臣から厳重に処罰をいたしまして、今後を戒めました次第でございます。  以上厚生省所管批難事項につきまして、厚生省の立場から、当時の事情を申し上げますと同時に、おわびいたす次第でございます。
  58. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいま大臣官房太宰君より、厚生省に関する説明がありました。委員長から申し上げますと、本委員会は、決算委員会でありまするが、われわれといたしましては、予算決算とはきわめて重大なる委員会でありまするからして、各省とも、政府当局といたしまして、各関係局長並びにそれに関連いたしまする局長の御出席を得たいと存じます。本日御出席の方は、ただいまの太宰会計課長外慶松薬務局長、なお山口一正義君といいまして環境衛生部長並びに復員局経理部長白井君が御出席であります。この厚生省に関するいろいろの問題もまた、現今の社会情勢からして、きわめて重大なる問題が山積しておると思いまするからして、諸君より心行くまで関連質問なり、あるいはこれに対しまする質問を許します。なお、この際申し上げておきまするが、ぜひ厚生省からも、ひとつ熱心なる説明もしくは資料等の御提出を望みます。それに対しまして会計検査院よりの簡単な補足説明がありますか、ありますればこれを計します。大澤検査院第二局長
  59. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 ただいまの案件は、ただいま太宰政府委員の方からの御説明で、おおむねすべておわかりになつたと思いますので、全般的なことを一言申し上げておきたいのであります。  厚生省の関係は、何といいましても補助金が、予算上の金額の比率も最も多い、そうしてこの補助金といいますのは、県が支出官になりまして、この受ける相手も公共団体である県の場合が多い。従いまして補助金交付する場合に、補助の必要性というものは、ほかの資格といいますか、ほかの人格のものに交付するよりも、交付する場合において相当実体が把握されておるのが普通であろう。そしてなおかつ補助金交付したあとの精算も、自分のところの仕事を精算するのでありますから、すみやかに精算して、その精算の結了の結果、返納すべきものは早く返納するのが当然である。そう考えておりますのに、事態はその逆でありまして、やはり何といいますか、各都道府県が自分の身がかわいいということになりますか、もらうものは早く出してもらつて、その精算は遅れる、こういう点が相当見受けられるのではなかろうか。この検査報告に出ておりますものも、今御説明にありましたように、ほとんどそうした種類のものが多いのであります。これに関しまして、将来十分に県の支出官というものの調査——県の支出負担行為担当官なり支出官なりというものの実際の金を出す場合の注意と、なお出されたあとの精算ということには、厚生省としても、より一層の御監督を願う必要があるのではなかろうかと考える次第であります。  それから百七十ページの四八五号の案件でありますが、これも検査院の申し上げたことに対して、あえて反駁をなさつておるわけではないので、つけ加える必要はないかと思いますが、会計検査院といたしましては、すでに二十三年度においては国が買うという予算がない、従つてつておるものはもう売つてしまえばいいのではなかろうか。これを持つておるものを、いわば交換して新品心々として新陳代謝して行くことは、とりもなおさず国が予算もないのに、新しいものを買つて補充するということになつて歳入歳出をくぐらぬ一つの経理をすることになるのではなかろうか、それか会計経理上妥当でないのではなかろうか。もしも売つた初めから売渡し処分でやつておれば、京都事件その他の突発事件による国のワクチンの有効期限経過のための廃棄処分というようなことも、結果から考えれば、なくても済んだのではなかろうか、それだけ国の損失は少くて済んだのではなかろうか、こう考える次第であります。以上で補足説明を終ります。
  60. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長からちよつと申し上げます。社会問題といたしまして、厚生省所管は、非常に大事な問題がたくさんあるわけでありまして、たとえば結核の撲滅であるとか、あるいは復員に対しまする援護施設であるとか、あるいは医薬分業の点でありますとか、その他いろいろな問題が山積しておるわけでありまするからして、これに関係いたしまして質疑を許します。どうぞ政府当局もこれに対してひとつよくわかるように、予算決算とはいつも関連して必要であるということを肝に銘じて、明敏なる頭をもつて答弁せられんことを望みます。
  61. 井之口政雄

    井之口委員 四六五号の国立病院及び療養所の収納未済多額に上る分でありますが、これは先ほどの説明によりますと、生活保護法やいろいろなものにかかつておる人たちの分が、こうした収納未済額になつておるのだというような御説明でありまして、それも大体取立てられておるということでありますが、生活保護法にかかつておるような人たちから、直接とつたのでありますか、これは生活保護法として国家が出す、それを収納を怠つていたという意味でありますか。当然生活保護法にかかるような人たちは、そういうものは出さぬでいいのではないですか。いろいろな国立療養所にわれわれがまわつて参りますと、非常に予算が欠乏しておるのであります。そうして名ばかりで、ほとんど終戦後の結核療養なんというふうなものは、かえつて戰時中よりも劣るような状態になつておる。対結核療法というものの厚生省における状態が、ほとんど破壊されておるのではないかというような感じがいたします。     〔三宅(則)委員長代理退席、金光委員長代理着席〕 看護婦の手当なんかも非常に少い、それからそのほかの費用が非常に少い。そのために、まだ治療をしなければならぬ人間も途中で追い出してしまうというふうなことも、間々見受けるところであります。いわんやそういうふうな金を収納未済でほつておくなんということは——ほとんど八〇%というふうなものを収納未済でほつておくというふうなことは、国家が別にとるとすればとにかくのこと、やはりとつたものと出すものとの見合いはあるのでありまするから、こうしたことは考えられない。ちよつと常識にはずれておるように思うのですけれども、どういう事情でこういう未済で放任しておかれるか、それをちよつとお伺いしたい。
  62. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 お答えいたします。御指摘通り、たとえば、生活保護法にかかつておる方が患者で入りますと、その方自身は、一文も拂わなくていいわけであります。その費用は、十のうち二は地方の公共団体で、国の方で十分の八を補助いたしまして、これをまかなうことになつているのであります。ここで申し上げましたのは、その市町村の方で財政的に困難なために、なかなか国立病院から納入を頼みましても入れてくれない。督励をやりましてもなかなか入れてくれないというようなことから遅れたのであります。それから社会保険によりますものも、御承知通り、もし被保険者が本人でございますれば、これは自分は拂わないでいいわけである、保険の方でその費用を拂つてくれるわけです。但し、社会保險それ自身が財政的に困難でございますれば、結局そちらの方に請求いたしました場合に、そちらの方が何とかかんとか言を左右にいたしまして、一日延ばしになつておる、こういうふうなことで、かような収納未済が多くなつたのであります。そういうのが大きな原因であるというふうに、私ども考えておるのであります。その点は、市町村に対しまする督励をさらに厳重にする、あるいは保険の事業主体に対するこちらの要求をさらに督励いたしまして、至急納めてもらう。これはどうしても納めてもらわなければならない筋合いのものでございますので、その方面努力は十分にいたしたいと存じます。  なお、それと関連いたしまして、今の国立病院ないし療養所に対して、あまり徹底した治療も進んでいないようではないかという御指摘のようであつたと存じます。これは私ども努力はしておるつもりでございまするが、何分にも財政的な面からいたしましても、思うように予算をお願いすることもできません。それで今日まで與えられました範囲内で努力をしておるというような状況でございまするので、第三者の方々からごらんになりますれば、なお大いに隔靴掻痒の感があろうかと思うので、これは皆様方の御支援によつて、今後ともこれを強化して行きたい。ただ明年度予算につきましては、結核対策というものを政府は取上げまして、相当大幅な予算を計上いたして、国会の御審議をわずらわすことになつてございますので、今後ともそういう方面に対する御支援をお願いしたいと存ずるような次第であります。
  63. 井之口政雄

    井之口委員 そこで大体の事情はわかりました。つまり収納未済額というものが、こうした多額に上るということは、国家自体が、こうした厚生事業に対して非常に不熱心だということを、明瞭に物語つていると思います。  さらに最近厚生省の方針といたしまして、国立療養所に収容されている人たちに対して、特別に共産党員であるがゆえに、この人たちの治療を、もう死んでもいいのだというふうにしてほうり出すというようなことを、いろいろの療養所において聞いておるのでありますが、こういうことは、憲法の建前からいたしましても、とるべきところの方針じやない、また人道上の問題から見ましても、そういうことをやるべき性質のものではないと思います。これについて、何かこれは関係方面からの指令であるということを言つておる所長も間々あることを聞くのでありますが、そういうことがはたしてあるかどうか。
  64. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話になりましたようなことが、もし事実といたしますれば、これはまことにゆゆしきことでございまして、思想のゆえをもつて、生命の問題が左右されるというようなことは、いついかなる時代といえども、許さるべきことではないと、私深く信じております。私厚生省の職員の一人といたしまして、大臣、政務次官、次官の指導方針をかねがね承つておりますところによりましても、きようなことは絶対にあり得えからざることであります。ただいろいろ説をなす方々がございますので、その真偽のほどは、十分に調査せねばならぬのでございまして、もしお伺いするようなことを、お聞き及びでございましたら、具体的にどこそこでこういうことがあつたということを、私どもの方にお教えくだされば、私どもの方で調査してお答えいたします。
  65. 井之口政雄

    井之口委員 わかりました。兵庫県の方で間々聞くのでありますが、具体的に調査してお知らせいたします。  それから最近学校の先生方の結核療養の期間を、三年のを二本に政府は減しておる。これは事実ですか。そういうふうなことになつて来れば、━━結核というふうなものは、二年やそこらではなかなかなおらなとい思うのであります。厚生省の方としては、そういう点は今度新しく予算をよけい組むのだというような、さつきからのお話でありましたが、一方において、そんなふうに減しては、何の役にも立たぬと思いますが、これはどうでしようか。
  66. 山口正義

    山口説明員 公衆衛生局長の代理として、お答え申し上げたいと存じます。ただいま御指摘の、学校職員の療養期間が、三年から二年に短縮されましたということ、これは、事柄は文部省所管ではございますが、結核対策の全般的な問題から見まして、まことに遺憾なことだと存じます。厚生省といたしましては、二十六年度におきまして、ただいま太宰政府委員から申し上げました予算の中に、健康診断の普及徹底、あるいは予防接種の徹底、さらに今まで行われておりませんでした医療に対する国庫補助という点までも含めまして、できるだけわが国の結核を少くして行く。戦時中あるいは終戰直後に比べますと、全般的に見まして、結核による死亡数は漸減はいたしておりますが、まだ先進諸外国に比べまして結核が蔓延しておりますので、一日も早くそれを撲滅して行きたいという方針で進んでおります。
  67. 井之口政雄

    井之口委員 それから四八一の項目ですが、東京都へ昭和二十四年の四月に、産院設置費補助金として二百万円を交付しておる、こういうことが出ております。その建物なんか、それくらいのもので——それに都の方で八百万円か出してやつておるというのですが、これくらいの金で、東京都でこの四百万からの人間の産院の設備なんというものが、一体できますかね。この費用があまりに小さいために、こうした、まるでもう初めから投げてかかつたような、こういう不正な事件も起るのじやなかろうか。家を購入して、その購入した家が役に立たなんだというようなことになつておりますが、こういう小さな費用をもつてしては、こうした事業、産院というような社会施設は、なかなかやれぬのじやないでしようか。この点は厚生省の方で、どうお考えになつておりますか。
  68. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 お答えいたします。これは大体二分の一相当額を補助交付いたしたのでございますから、これは八百四十万円のうち、二十三年度はその約半額の四百万円見当で、継続事業であつたのでございます。まあ八百万円やそこらで、そんな施設ができるかと御指摘を受けますれば、それまでのことでございますが、ただ全般的に予算が非常に苦しい。しかしその中でぎりぎりできるだけ努力してこれをまかなつて行くというのが、今の行政をやつておる現状でございます。ただ、それだからといつて、めちやくちやに最低基準を割るようなものをやつても、これはむだでございますから、私どもはそういうことはいたさないつもりでございますが、今の御忠告、ありがたく拜聴しておきます。
  69. 井之口政雄

    井之口委員 これは一箇所ですか、一箇所のために、政府補助費二百万円を出しておられるのですか。一年間の全体の産院設備費用の補助金として、二百万円を国庫から出しておられるのですか。どつちですか、東京都においては。
  70. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 これは一箇所の設備費でございます。ですから、いわゆる経営費の分は別になります。たとえば建物を買つたり建てたりするのを、設備費と申しております。
  71. 井之口政雄

    井之口委員 四八五の項目に移りますが、ごてごてして、なかなかわかりにくいが、結局この事件で、政府において損失をこうむつておる額が四千五百万円見当になりますか。それからもう一つ、こういう腸チフス・パラチフス混合ワクチンの使用は、政府でなければできない、個人のところはできないものだというお話ですが、そうすれば、これは政府として買い上げなくてはならぬという規則を、二十三年の四月ですか、何年だつたか、二十三年度から廃止になつたということになりますと、これはもうやることはできなくなりはしませんですか。それからまた山之内製薬にだけ、こういう保管を依頼していたものであろうか、どういうわけで山之内製薬だけにこれの保管を依頼していたものであるか。それからなお五千万CCの過大な注文というものは、これは過大であるということは、やつているうちに発見するでありましようから、ただちにそれを中止させるなり何なりの方法はできなかつたのであるか。また期限を過ぎてしまつたところのものは、全然破棄するものですか、どうですか。これらの点をひとつ聞かせてもらいたい。
  72. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 政府損害額は一番末尾にございます、廃棄処分になりました分は二千四百七十四万余円でございまして……。
  73. 井之口政雄

    井之口委員 徴収未納分は……。
  74. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 徴収未納の分は、その後納まりました。あとの御質問の二、三、四は薬務局長がおられますので……。
  75. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 この問題は、一応こまかい数字は別といたしまして、ごく簡単にわかりやすく当時の状況を申し上げたいと存じます。それは昭和二十一年の十月に、連合運総司令部から覚書が出ております。その覚書にまりますと、爾今連合運総司令部がいろいろやつておりました日本における防疫対策を、すべて日本政府に移管するということがまずございまして、それには当時連合運総司令部がいろいろ持つておりましたワクチンとか、あるいはDDTのような防疫用資材を、全部日本に移管する。それについて日本政府においては、これを保管するための、代行機関という言葉を使つておるのでありますが、代行機関を設置しろということと、それから必ずある程度のものを政府で保管をして、そうして随時伝染病があつた場合に、これを出し得る態勢を整えろという覚書が出ております。この覚書に対しましては、厚生省側からいろいろなそれに対しまする方式を書き出しまして了解を得ておつたのでございますが、さてこの件につきましては、昭和二十三年におきまして腸チフス・パラチフスの混合ワクチンの接種をすることについて、二十二年の十二月に、連合軍総司令部から強硬な申入れがありまして、日本におきまする六歳から六十歳の人間全部に対して予防接種を行えということでございまして、それに要しまする量は、大体のところ九千万CC、これをわかりやすくリツトルで申しますと、九万リツトルと相なります。大体これを接種いたしますのが、この種の病気が夏はやるものでございまするから、まず六月あたりまでに接種しなくてはなりません。ところが当時におきましては、わが国のこういう薬をつくりまする製造所等が、あまりまだ整備をされておりませんでしたことと、それから政府におきます検定——これは検定を必要とするのでございますが、検定措置が十分できておりませんでしたので、従いまして、実際これを使う方に、患者の手に入りますまでには六箇月と見なくてはなりません。従いまして、どうしても前年の暮までにその計画をすつかり立てなくてはならぬのでございます。ところが、ただいま申しましたように、全体として必要な量が九万リツトルなのでございますが、当時政府が持つておりましたのは、ここにも出ております山之内に保管させておりました三万七千リツトル、約四万リツトルなのでございます。その差すなわち五万リツトルなるものをつくらなくてはならないということ厚なつたのでございます。そこで政府といたしましては、日本におきまする当時の腸パラワクチンの製造業者全社に対しまして、適当な数字をもりて割当てまして、公文をもちましてその生産の依頼をいたしたのでございます。二十一年の十月に、先ほど申しました覚書が出ました当時におきましては、まだ予防接種法等もございませんでしたから、従いまして政府においては、この腸チフス・パラチフス混合ワクチンのごときものは、二十二年度予算におきまして、これを政府で買つて保管しておつたのでございます。そのつもりで、実は五万リツトルのものをつくつても、大体これは政府で買い上げる。従つて諸会社は大いにこれをつくつて間に合せてもらいたいということを申し伝えたのでございます。ところが二十三年四月ごろになりまして、地方庁が手持ちしておりますものが相当あることが初めてわかつたのでございます。それと、なお実際問題といたしましては、この九万そのものを全部注射することがきわめて困難であるということも、大体判明したのでございますが、すでに私どもといたしましては、この接種を完璧にいたしますには、それらの数字を待つていたのでは間に合わなかつたために、五万なるものを製造業者に製造の依頼をした次第でございます。そこでそういうことがわかりましたので、ただちに製造業者を集めまして、その製造量を極端に減らすように指示いたしたのでございます。従いまして、実際上できましたのは、五万リツトルはできませんで、私ちよつと数字は忘れましたが、それを下まわつた数字のものができたと存じております。そこで先ほど来すでに太宰政府委員からも説明がございましたように、この接種は、六月あたりまでに全部しなくてはなりませんでしたが、なお検定をいたしますところの予防衛生研究所なるものが、前年の六月でしたか七月でしたかに——従来伝染病研究所でやつておりましたのが、予防衛生研究所なるものができまして、これに移管されたのでございますが、当時は移管早々でございましたので、検定等の業務がきわめて遅々としておりまして、すでに接種期に入つているにかかわらず、まだ国家における検定が十分できませんでした。そこで私どもといたしましては、山之内をして保管せしめておりましたところの政府保有の分を出しまして、あとこれに対しまして、使いましただけの数量を、新しく製造業者からできましたものをもつて補うということを考えたのでございます。この点会計法上から申しましてまことに遺憾な次第でございますが、当時といたしましては、そういう事情があつた次第でございます。ところが一方昭和二十三年の七月から、予防接種法なるものが行われることになりまして、そこで接種法によつて使われるところのワクチン類は、受益者負担ということになりまして、従つて予算上腸パラ混合ワクチンを政府で買い上げるということが、不能になつたのでございます。ところがすでに私どもといたしましては、大体政府で買い上げる予定で製造業者につくらせておりましたので、従つて、もしもそれだけのものが全部業者の手持ちになりますことは、当時におきましては、きわめてわが国における経済情勢がこんとんといたしておりましたので、非常な迷惑をかけるということ、その点から申しましても、これを何とか措置しなくてはならないということから、ただいま申しましたような措置に及んだ次第でございます。もちろん会計法上はきわめて遺憾でございますが、これによりまして、国においてできましたワクチンの期限を長くすることかできるその一つの利益と、いま一つは、最初に申しました連合軍総司令部の覚書によりまして、常時これを保有しておくということの一つの解決法と、それらの意味をもちまして、ただいま申し上げましたような措置をとつた次第でございます。  なお山之内を選びました理由は、これにつきましては従来、と申しますと、つまり昭和二十二年におきましては、これは当時の統制機関でございました日本薬業株式会社というものに保管させておつたのでございますが、その会社が、閉鎖機関令に基きまして閉鎖されることになりましたので、その取扱い業者をいかにすべきかということにつきまして、総司令部側と折衝いたしました結果、これは公平に新聞に公告して、一般から広く募集して、その一業者に請負わしめることが適当であると、こういうことになりまして、昭和二十三年の二月十六日付の日本経済新聞と朝日新聞と毎日新聞の全国版に公告をいたしまして、その結果、十二社の応募があつたのでございますが、その選考方針といたしましては、資本的にも適当な会社で、そうして請負率が薬の価格の五%以内で、かつこの薬品に対しまして知識並びに経験のある者等の條件に基きまして、適当なもの三社を選びまして、さらに三社の中からいま一度入札をさせまして、その請負率の一番低い山之内製薬株式会社を選んだ次第でございます。
  76. 井之口政雄

    井之口委員 この二千四百万円の欠損の中には、保管料も入つておるのですかどうですか。  それからいま一つ、一括購入の方針は、二十三年度から廃止になつているのですが、一括して購入する方が、むしろ厚生省としては適当だとはお考えだならないのですか。受益者負担というような制度は、腸チフス、パラチフス予防の上においては、きわめて適当しない方針ではなかろうか、厚生省の方はどう考えますか。
  77. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 この二千四百万円は、その二千百七十万CCを購入しました当時の価格でございます。一CC一円十四銭だと思いましたが、それで計算しました額だけでございます。保管料は入つておりません。
  78. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 私どもといたしましては、予防接種に使いまするような薬は、当然政府で買い上げまして、そうして受益者負担でやるべきではないことが理想だと考えておりますが、大蔵当局との折衝の結果、そういうことになつたわけでございます。
  79. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 四六九号以下の、補助金交付に当り処置当を得ないもの——これに関連してでありますが、二十三年度でありますから、おそらく暫定予算といいますか、何度かに区切つた予算で、追加々々で重なつたときの予算だと思うのでありますが、この批難事項に上りましたような施設の対象に対して、補助金予算決定されたのは、いつごろでありますか、おわかりでしたらお知らせ願いたいと思います。  それからその予算がきまつて、これらの各府県、あるいはその他の施設に、予算の内示と申しますか、あらかじめお前の方の施設に対して、これくらいの補助金が出るというような内示をされましたら、それはいつごろされたか。と申しますのは、おわかりと思いますが、実は従来非常に接近いたしまして、一月、二月ごろになつて補助金を出すからこれで三月中に完成しろというような補助金の出し方をされた例が、非常に多いのでありますが、そうなりますと、会計検査院の批難はさることながら、これは非常に不可能をしいるような問題なので、結局予算をつくるとき、あるいは内示をされる時期が非常に問題になると思いますので伺うのであります。
  80. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 ただいま資料の持合せがございませんので、調べましてお手元へお届けいたしたいと思います。
  81. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 その点は、あとでいただくことにいたしまして、二十四年度以降は、とにかく一年分の予算を組むようになりましたので、おそらくそういうことはないと思いますが、現在はこういつた施設について、年度に非常に切迫いたしまして補助金の内示をしたり何かするようなことがありますかどうですか、その点だけをお伺いいたします。
  82. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 私どもも、こういうことで検査院並びに国会からおしかりをこうむるのは、あまり好ましくございませんので、極力こういう事態にならないようにと思つておりますので、その方面努力いたしておるつもりでございます。
  83. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 努力されておるようでありますが、もしも一年分の予算がきまつたとすれば、四月から予定がつくわけでございます。それにもかかわらず、もしも補助の内示が非常におそくなるというようなことがあるとすれば、それは財政当局との関係でありますかどうですか、その点だけをお聞きしておきたいと思います。
  84. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 当初予算できまりましたものにつきましては、現在まで、ほとんどこういうものはないと存じます。ただ補正予算などできまりました場合、補正予算を組みますのは、たいてい年度の半ば以降になります。それから仕事をやりますと、あるいは北の方の寒いところになりますと、たとえば基礎工事などをいたしても固まらないというようなことで、どうしても三月くらいの雪解けを待つてからやる、そうすると、その間にひよつと事故がございますと、ぎりぎり一ぱいの工事になり、四月に越してしまうこともあろうかと思います。私ども会計課長になりましてからの一、二のちよつとした記憶を申し上げますと、おもに予定していました土地が、その後急にもんちやくや何かができて、どうしてもその土地がいかぬ。さればといつて、どこの土地でもいいということならば、簡単に解決するけれども、やはりこういう施設をつくるからには、適地にそれを設けなければいかぬ。その適地に折衝をしたりなんかしている間に、期限が非常に切迫して来たとか、あるいは最後になりまして、どうしてもこれはだめだから予算を返上する。それではこれを大蔵省にお返しするかといつた場合に、やはりせつかく努力してとつたものでございますので、何とかしてこれを使いたい。そうすれば、ぎりぎり一ぱいに突貫工事をやれば何とか間に合うというような場合に、府県の方に話をする、それが不幸にいたしまして予定通り行かぬ場合に、こういうふうになる。これは藤枝委員の方が私どもの大先輩で、その間の事情はおわかりと思います。私どもも極力そういうことのないように努力いたしておりますが、ときたまそういうことはありますが、そういう事情がからまつておるように思います。
  85. 田中角榮

    田中(角)委員 簡単に一つ二つ伺いたいのですが、まず第一番目に四八五号の最後段に書いてあるところの、廃棄処分の価格上千四百七十四万八千余円、この価格はいわゆる非常処置によつてこういうことができたことはわかるのでありますが、この二千四百余万円というものは、物品で全部廃棄処分をせられたのですか。それとも、こういうことも考えるのです。これは私はあまりつつ込んた解釈をするようでありますが、いわゆる前段のことは会計法規上の違法であつて、こういう生きた運用をせられることが、とにかく会計法規上はよろしくないとしても、私たちは、あまりこういうことをとやかく申し上げるつもりはありません。ただ一番最後の、廃棄処分をせられた二千四百余万円が、実際においていわゆる帳簿上の数字によつて廃棄処分の額が決定せられたのか、全国から集められたものを、再検査を行うために六箇月も七箇月もかかつたということで、この山之内製薬が廃棄処分を受けたところのものは、現品として受けられたのかという疑問が、当然第三者としては起きて来るのですが、この間の事情を簡単に御説明願いたいと思います。
  86. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 これは実際に当りまして、廃棄処分をいたしております。と申しますのは、こういうものは監督不行届きにして、いいかげんにいたしますと、有効期限の切れたものが、密売買とか何とかで市中に流れたりしましてもいけませんから、個数を調べて廃棄処分をいたしております。
  87. 田中角榮

    田中(角)委員 現品の個数を数えて廃棄処分をせられたということであれば、何も申し上げることはありません。ただ私が先ほどお尋ねしたのは、とかくこういうふうにいろいろないきさつのある物件は、最後には廃棄処分というものがついておるのでありまして、これは大蔵省事件などでも、みなこの廃棄処分がくつついております。こういうものについては、とかく数字の上だけでやるということになりますと、いろいろな問題が起きやすいというために申し上げたのでありますが、現品を検収の上廃棄処分をせられたということであれば、それでよろしゆうございます。  もう一つ、別の問題でありますが、各病院に対して、今建設費に対する補助金その他を交付しておられます。これに対する工事の管理監督というような場合は、現在実際上は厚生省でやつておられるということを承知しておるのですが、これは法律で制限は受けておらないけれども、この問題に対しては相当疑義がある、こう私は考えておるのです。いわゆる準拠するところの法律がなくして、適宜にやつておられる、こう考えるのですが、この間の事情を御説明願えたら、ひとつお願いしたいと思います。
  88. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 大体工事関係は、国立関係の施設でございますると、厚生省の、直接には私が監督の責任を負うことになつております。ただ何分にも厚生省は施設が非常に多うございますので、一部分担させまして、病院とか、療養所とかいうものは、医務局の監督下でいたすというようなことをしております。ただ責任者としては、会計課長が負いまして、会計課に営繕係という係がございまして、そこの者がいろいろな入札とか何とかをやつております。なお辺鄙なところに行きますれば、例外的にはそこの病院長に頼んでやらせるということもございます。それから補助金を流します施設の方は、これは大体その補助を受けます、つまり事業主体府県とか、市町村などでもつてやります。以上いずれの場合を問いませず、検査院の方で、あとでその工事の適、不適ということについての検査がありますことは、申し上げるまでもありません。
  89. 田中角榮

    田中(角)委員 この問題は、厚生省だけの問題ではありません。私の今申し上げた国立病院の問題について、御答弁があつたようでありますが、国立病院の問題よりも、いわゆる補助の対象になるものを厚生省でやつておられるようです。厚生省では、あなたが直接の責任者だ、こういうふうにおつしやられたようでありますが、実際のいわゆる国費の支弁に基く営繕というものになりますと、これは建設省でやるということははつきりしております。御承知通り、建設大臣と各省大臣の協議になつた事項だけは、大臣官房で行えるというので、昔は一口五千円未満ということでございましたか、それ以外は大蔵省営繕管財局以外ではできなかつたのであります。職後は但書の広義解釈において、ほとんど各省に営繕課を設け、中には営繕部、営繕局を設けておりますが、農林省においては、建設を設けようとしてわれわれにたたかれたこともあるのです。これはわが党内閣の行政機構の再編簡素化と、建設行政の一元化、こういう問題から言いますと、まさに逆行していることが五年間も続いております。ところが、戦後は非常に国費を投下する面が複雑多岐になつて来たために、必然的にそういうことが起つたのでございましようが、御承知通り建設省設置のときに、できるだけこのようなものは統一したいというので、建設部門その他が統合せられたのであります。ところか一番大きなものとしては——厚生省はあまりうわさをせられてはおりませんが、病院建築という非常に大きな面を持つておられる。それから法務庁は、御承知通り刑務所の建物を持つている。裁判所が、技術官を持たずして裁判所の営繕を行つておる。農林省、文部省は、ほとんど自分で建設庁を設けてやろう、こういうような状態があるのでありますが、やはりもち屋はもち屋というので、国費の支弁によるところの営繕は統一することが当然である、こう考えている。現在官庁営繕統一法というようなものがつくられつつあるという状態にあるのですが、実際私たちが考えても、これは單に厚生省の会計課長だけに申し上げるわけではありませんが、実際よるべき法規がなくして、現実的な面からだけやつておられる。但しこれよりもう一歩突き進んだならば、大きな病院等は、やはり準拠する法律によつて建設省で統一した建物をつくられる方が得だ、こう私は考えます。そればかりではなく、そういうことをすることによつて病院建築というものも合理的になるし、また予算も大きくとれるのではないかというふうにも考えておるわけであります。厚生省の前に文部省もおられたのでありますが、文部省は少くとも現在厚生省よりも多少合理的にやつております。文部省学校建築という昔からの伝統がありますので、御承知通り文部省では教育施設部を設けられてやつておりますし、各学校の営繕は、大体昔の五千円以上というもので、現在の物価指数に勘案したものは本庁でやつております。こういうふうになつておるのであります。これがいいとか、悪いとかいうのではありませんが、とにかくそういう薬屋さんがいろいろなものを一緒くたにやるということよりも、やはり近く出るであろうところの法案で統一することに対しては、御協力を願いたい、こういうふうなことをお願いしておきたいと思うわけであります。  もう一つ伺いたいのであります。これは御答弁ができないかもしれませんが、二十六年度に、社会保険のモデル病院をつくりたいというようなことをお考えになつてつたようでありまして、予算案が提出されておりますが——今年はなかなかむずかしいというようなことでありましたが、私は厚生省あたりは、将来の行政機構の再編、改革という場合には、また新しい脚光を浴びた一つの省になる、こう思つております。それは衛生省であろうが何であろうが、当然そうなると思つております。だから先ほど私があなた方にも申し上げたように、病院建築ということは持つておられますが、建設省と共管になつている水道行政などは、そこに部長さんがおいでになりますが、これも厚生省から離されるのが至当だと私は思つておるのです。そうすると、まつたく衛生局になつてしまうのではないかというようなお考えがありますが、現在の感覚上から言つて、厚生省がそれらのものを離されても、衛生省として大きくなることはあたりまえのことだと思います。そういう意味では、非常に大きな嘱望を持つているのです。そこで、かつて内務省が、非常に乏しい補助費を割りつけられ、現在の労働省が、失業対策費のわずかなものを、多少にもかかわらず全部割りつけるというようなことでなく、私は厚生省の将来のためにも、社会保険のモデル病院をつくるという場合は、ひとつうんと腰を入れて、大きいものをつくつてもらいたい、このくらいな希望を持つておる。私はあえて新潟県人だから新潟県の施設病院について言うのではありませんが、こういうことについては、大いに私も折衝しておるのです。社会保険病院を二十六年度にもしおつくりになれない場合、将来の御計画はどうかという問題に対して、お答えが願えたら簡單に伺いたいと思います。
  90. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 結局最初の問題とあとの問題とが関連して、こういう施設の建設などは建設省に一本にしたらどうかということで、あわせて水道行政なども一元化したらどうかという御忠告があつたわけですが、これは厚生省の現局の方々の意見を聞いてみますると、もつともなことを申しておりまして、厚生省でなければいかぬように思われます。私も数年前は建設省の役人でありましたので、建設省の役人から聞きますと、またはなはだもつともなことでありまして、建設省でやつても一向さしつかえないようにも思われます。結局その点は、行政管理庁あたりで機構改革の問題も出ておりますので、近く政府として一本にまとまるのではないか、かように考えておりますので、その際には、十分に国会の意思も体して行きたいと思つております。
  91. 金光義邦

    ○金光委員長代理 以上で本日予定の審議は終りました。次会は十九日、月曜日、午後一時より農林及び商工両省所管を審議いたす予定であります。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十三分散会