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1951-02-12 第10回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十二日(月曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 三宅 則義君  理事 渕  通義君 理事 早稻田柳右エ門君       田中 角榮君    田中不破三君       高塩 三郎君    藤枝 泉介君       山口六郎次君    上林與市郎君       井之口政雄君  出席政府委員         総理府事務官         (特別調達庁財         務部長)    川田 三郎君  委員外出席者         総理府技官         (特別調達庁技         術監督部長)  池口  凌君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      小峰 保榮君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十三年度特別会計歳入歳出決算     —————————————
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより決算委員会開会いたします。  まず会議を開きまするに先だちまして、委員長より政府当局に申し上げます。二十四年度の決算検査報告書会計検査院の手を離れて、政府に提出いたしてあるそうであります。つきましてはその稿本なりあるいは写本でもよろしゆうございますが、早急に本委員会に提出せられまして、この審議を進める上においての便益に供せられんことを、特に政府委員でありまする大蔵省平井司計課長に申し上げておきます。  なお、本日は前会に引続き、昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算、同年度特別会計歳入歳出決算を議題とし、大蔵省所管中、終戰処理費関係につき、審議を進めたいと存じます。特に特別調達庁の方に申し上げておきます。本日は一時開会でありましたが、御出席がありませんので、議員の方が先に出席し、政府あとから出席するということは、まことに議会軽視もはなはだしいものと考えます。過日本委員長より議長を通じまして、大蔵当局に対し、すみやかにこれを改善することを、厳重に申し入れておつたものであります。さらに特別調達庁におきましては、前々日にすでに開会せられておりまして、引続きの開会でございまするから、ぜひ早急に来てこの審議の便を供することが当然であると思います。はなはだ当局といたしましては怠慢であると考えますので、厳重に警告を発します。  まず九十三ページ、報告番号三五八ないし三六〇、工事設計及び施行に当り処置不当のもの——右につき一括説明を願います。政府委員特別調達庁財務部長川田三郎君。
  3. 川田三郎

    川田政府委員 では前会に引続きまして、工事設計及び施行に当り処置当を得ないものの、三五八以下を御説明いたします。これはまことに当局者の手落ちでありまして、資材の支給が不円滑であつたという事情はありましたが、これは軍当局と十分に連絡をし、軍の処置を促進すれば、こうしたことも起らなかつたと存ずるのであります。当時の事情といたしましては、やむを得なかつたこととは存じますが、今後は十分こういう面にも注意をいたしまして、手待ちのために、こうした経費を百三十一万円も余分に使わざるを得なくなつたというような事態を引起さないように、責任者にも十分注意いたしまして、一般にもこうした過誤を繰返さないようにいたす次第であります。  次の三五九、これは大阪府が施行いたしました工事土砂運搬についてのものでございますが、これも会計検査院の御指摘通りでございまして、当時としては、作業のいわゆる段取りにつきまして、軍の指示も強かつたので、軍当局といたしましては、要するにその作業を完遂せしめればいいのでありますから、経費という点について、昭和二十三年当時においては、今日と違いまして、軍は仕事の成功第一主義であり、経費は、その現場におきます監督将校としては、あまり制約せられておりませんでした。現在は日本国内官庁予算配賦と同様に、どの部隊のいずれのキヤンプでは、現在のところ仕事をする予算幾らである、こう限局されております。そして一つ仕事計画いたしましても、一々軍内部経理官の認証がなければ、一つ仕事現場作業も命令することができない、こうなつておりますので、特調現場監督官並びに軍の現場監督官におきましても、トラツクによつたり土運船によつたりすることなく、経費節約に資することができるように、体制としても改善されております。その体制をますます活用いたしまして、国民負担をたとい一円なりとも軽減するようにいたしたいと努力しております。当時といたしましては、やむを得なかつた事情、また軍及び特調内部におきます事務処理執行方法が制度的にうまくなかつた結果と存ぜられます。この点は現在改善いたされておりますから、どうぞ御了承願いたいと存じます。  次の三六〇、これは兵庫県で連合軍宿舎工事をいたしました問題でございます。検査院指摘の第一段は、急勾配の道路工事設計が悪いということ、御指摘の第二段は、玉石まじりの硬土を切り取る、これは石があるので手数をとります。従つてこれに〇・四二人工を一立米当りに見たのでありますが、施工した結果は、玉石の出て来る率が非常に少くて、結局仕事は楽であつたという面でございまして、これをもしその通りにやつたとすれば、もつと節約できたのではないかということでございます。これは当時の事情といたしまして、こうした面を十分注意せず施工をいたしました。この点につきましては、今後はこういうことのないように十分注意いたします。この点はやはり検査院指摘通りでございまして、われわれの事務について、非常な警告をいただいたと存ずる次第でございます。
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 今、川田政府委員より特別調達庁側といたしましての説明を求めました。先ほど委員長警告を発しましたことにつきまして、川田三郎君より、政府委員としての答弁を要求いたします。
  5. 川田三郎

    川田政府委員 本日の決算委員会は、定刻国会側議員各位におきましては御精励になつて、すでに御出席になつておりました。また会計検査院側も御出席になつておりながら、当時の所管ではないとはいえ、現在所管を引継いでおります特別調達庁側から、定刻に遅刻をいたしましたことは、まことに熱意の足らぬように解釈されまして、遺憾な次第でございます。今後はこうした会合には必ず定刻以前に待機いたしまして、皆様に御迷惑をかけないようにいたします。ここに陳謝をいたします。ただ事情をおくみとり願いたいとは存じます。現在私がやつております仕事関係で、今日は軍に召喚されておりまして、相手が外国人でありますので、もう少し少しということで、つい延ばされました、私の態度が弱い次第でございましたが、今後はそういう点は十分にみずから戒めまして、こういうことのないようにいたしたいと存じます。
  6. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまお答えがありましたが、私ども政府全般に対して右のように警告を発しておきまするから、ぜひ本委員会等には特に御出席を願いまして、早くから審議を進めるように便を供せられて、幾分でもすみやかに、本案の審議を完了するように協力せられんことを重ねて希望いたします。  次に本事項に関して検査院側に御意見ありませんか。
  7. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 ただいまの三五八から三六〇までの案件でありますが、特別調達庁側から、結論的には、いろいろ御説明になりまして、会計検査院批難に対しては御異議がないようであります。案件が非常に長いのでありますが、私からごく要約いたしまして、この案件はこういう案件、こういう案件ということを御説明しておいた方がよろしいと思いますので、申し上げておきます。  三五八でありますが、これは特別調達庁大阪支局で、神戸の鷹取で行いました浚渫工事——海の底をさらう工事でありますが、その工事費支拂いにあたりまして浚渫船に使います油、石炭、これを軍船なり官給ということにしたのでありますが、その手配がうまくなかつたというために、軍給官給になるまでの間、浚渫船手待ちを生じた。浚渫船の一日の借料は、なかなか高いのであります。一日遅れまして遊ばせますと、金がかかる。それでこれの油なり石炭の材料の手配ということが、非常に大事なのであります。それが遅れたために手待ちを生じまして、その経費として百三十一万円余りを余分に支拂わなければならなくなつた、こういうわけであります。  それから三五九号でありますが、これは大阪府で大阪の市内に連合国軍用飛行機着陸地新設工事をしたのであります。トロで、切つた土を運搬すればいいのに、高いトラツクとか土運般とかで運んだために、よけいな経費支拂つた、こういう案件であります。かりにトロで全部やつたといたしますと、約百万円は節減できたのではないか、こういう結論になつております。  それから三六〇号でありますが、これは御承知かと思いますが、兵庫県で六甲山の山腹に連合国軍家族宿舎を建設したのであります。これに道路をつくるのに、がけ盛土をしまして——がけ盛土をするというのは、御承知のように非常にあぶないのであります。新しい土をがけに盛りますと、くずれるおそれがあるのでありますが、これをやつたわけであります。道路をつけるのに盛土をやりまして、片方は非常に急ながけになつたのであります。それで大雨が降りまして、土砂くずれがしてしまつた、そのためにあまり使えていない。結局最初計画がまずかつたのではないか、こういうのが批難の第一点であります。第二点は、先ほど御説明がありましたが、設計当時は、相当石がまじつた固い土——玉石まじり硬土と言つておりますが、玉石まじりの硬土だろうというので、設計をつくつたわけであります。石がたくさんまじつておる土ほど、これは切取りの単価が高くなるわけでありますが、実際やつてみますと、玉石のまじつている所は非常に少くて、大部分は普通の硬土だ、こういうのであります。こういう場合には、設計変更とか、早く処置を講じたらどうだつたろう。それをしないで、初めの、石がたくさんまじつているような契約金額を、そのまま拂つてしまつたのはよろしくない、これが批難の第二点であります。
  8. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 以上会計検査院側の御意見は開陳せられました。質疑を許します。質疑通告順にこれを許します。井之口君。
  9. 井之口政雄

    井之口委員 この三五八号も三五九号も、それからあとの三六〇の項目も、これは一つ設計を立てて各業者に請け負わせたんじやないですか。そうすると、一番気になるのは三五九号でありますが、トラツクを使おうとトロを使おうと、その請負業者の負担によつてなされるものじやなかろうか。請負業者が、トラツクを使つたらいいと思えばトラツクを使うのだし、ただこれをぜひトラツクを使えというふうに政府指示してやらせたものかどうか。そういう指示でやらせたとすれば、これは政府は非常におかしな指示をしたと思います。またかりに概算拂いで、幾らでも向うのかかり次第、政府は拂うということを建前にして、この工事をやらせたとすれば、この指摘はこれくらいのものではなくして、その他多くの指摘されなければならぬ設計上の誤謬があるのじやなかろうか、こう思うのであります。なお六甲住宅地は、私はしよつちゆうあそこの下を通つて、上を見ながら、あそこに大きな不正があるのだなということを考える。また人民も、あそこを行つたり来たりする人たちが、みなその感を抱いております。会計検査院指摘された点も、工事設計方法が、こうして道路の建設のやり方が悪かつたというふうな点になつております。これはもしもつと正しい設計をし、そうして請負によつてやられておつたならば、幾らぐらいの節約になる性質のものか。これよりほかにどうしてもやり方がないとすれば、盛土をしたつてしようがないけれども、それが可能であつたのか、その点がこれではよくわからぬようであります。また第二の、玉石まじりの硬土というものが、全般的なものだと推定されたということは、これは政府で推定されたのか。請負業者が、これくらいのことは、簡単なものでありますから、それをわからないはずはない。その間に何らかのなれ合いずくで、こうした過大なる見積りがされていたんじやなかろうかと思いますが、この点をひとつ……。
  10. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 ただいまの井之口さんの御質問にお答えいたします。三五八号、三五九号は、これは当時盛んに行われましたいわゆる概算拂いつきの随意契約であります。実際はかかつただけ拂う、こういう性質のものでありますから、こういう批難が実はできるのであります。先ほどおつしやいましたように、かりに競争入札にいたしまして、一応こちらでは腹の中でトロを使うときめておきましても、また何日間でやらせるときめておきましても、請負業者がそれと違つたものをかりに使いましても、契約條件——たとえば期限とか、出来高とか、そういう契約條件に違反しなければさしつかえないという契約とは、大分性質が違つているわけであります。かかつただけ精算して拂う、こういう性質契約でございます。それでここに批難が成り立つわけであります。  それから兵庫県のでございますが、道路をどうしてもここへつけなければ、ほかに工事のしようがなかつたとしたら、やむを得ないじやないか、こういうふうに伺いました。これは実は一軒の家をはさみまして、両側に道路がある。私どもは強気に出ますと、庁方でいいじやないか、道路は何も二つやらぬでもいいじやないか。実は初めもそんな気を持つていたのであります。そして片方くずれてしまいましたが、残つている片方道路で、りつぱに実は間に合つているのであります。そういう危險なところへ——これはすぐ下が六甲山へ上る登山道になつております。その上に大きくがけくずれいたしまして、ずいぶん人が迷惑したわけでありますが、それからちよつと奥の方に続きまして、相当広い空地が当時はまだあつたのでありまして、こういう危險な所へ、非常に高い金をかけて、道路をつくつてまでしなくても、ほかにないとは思えない。こういうつもりで、実は私も現場を見たのでありますが、これを批難しておるのであります。ぜひここへ道路をつくらなければ、その所へ予定の戸数が建たぬ、こういうような関係になりますれば、あるいは本件もやむを得ないかと思いますが、どうも現地の事情から見ますと、必ずしもそうでないように思えるのであります。  それから玉石まじりの硬土と推定したのが、実際は石のあまりまじつていない硬土であつた、この点でありますが、請負人と当局者の間の云々ということは、私どもそこまではわかつておりません。ただ非常に急いだ関係なんかで、もう少し地質調査でもやれば、石の入つているところは少いということがわかつたのじやないだろうかと思うのであります。とにかく最初試みに掘つてみたところは、おそらく石が相当入つてつたのじやないかと思います。それで全部を推定して、そういう設計をなさつたのじやないかと思うのですが、工事をやつて参りますと、現場監督もおりますし、設計が違つていたということもすぐわかるのじやないか。そうしたならば、そのときに、設計変更つきものでありますし、当時は終戦処理費増額は、設計変更でどんどんつきものでありますから、こういうような減になる面もお考えになつたらどうか、やらなかつたのはよろしくない、こういうつもりで、ここに出してございます四十五万円というのは、そう大きな額ではございませんが、一応そんなつもりでここへ掲げたわけであります。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申し上げておきますが、特別調達庁に関しましては、たびたび新聞にも出ましたり、また世間も多少疑惑を持つておるような点もあるわけでありまするから、どうかゆつくりと御質問も願い、また政府からも懇切丁寧にお話願いまして、国民の納得の行くように本委員会において証明せられんことを特に希望いたします。
  12. 井之口政雄

    井之口委員 特別調達庁にお尋ねいたしますが、この概算拂いというやつが、まつた国民疑惑の中心になつております。その結果、ただいま会計検査院の方から指摘通り弊害も、現われているわけであります。その場合でも、たとい概算拂いにしろ、政府からの監督役員行つて現場についている。そうであれば、これはトラツクを使うよりはトロでやる方が安くつくというのは、専門家が見ればすぐわかる話なのであります。そういう点を政府概算拂いでやる以上は、それに対する一つの明確なる指示をなぜ徹底的に與えないか。與えているのか、いないのか。お先まかせで、何か殿様の仕事みたいに、幾らかかりましたからと言えば、どんどん拂うというふうなやり方特別調達庁の方で今までされたから、こういう結果が出た。指摘されたのは一、二の例でありまするが、この弊害というものは、一切の工事に全部起つておるものではなかろうかと、非常に疑問を抱く次第です。そういう場合の監督関係は、あなたの方ではどうなつているか。また六甲の場合を考えてみますと、あんな山の上に持つて行けば、非常に金がかかるということは、だれが見たつてわかる話です。そういう場合、どこそこにどういうふうにやれという命令が出て来るのですか、何人分住宅を適当なところにつくれというように出て来るのか、どうか。いやでもおうでも、こういうように費用をかけなければならぬのか、政府として話合いでできないものか、この辺もひとつ御返事願いたい。神戸の近くなんかには、幾らでも焼け跡もあるし、開墾地に適するようなところもあるし、費用をかけまいと思えば、もつと安くできるところはたくさんある。それなのに、あんな山のてつぺんに持つて行つて、平地でも何でもないところを切り開いて、近所に迷惑をかけて、たくさんの費用をかける、こういうふうなやり方を、将来もやはりやらなければならないのですか。また今の概算拂いの問題は、徹底的に一掃できるものかどうか。
  13. 川田三郎

    川田政府委員 ただいま井之口委員から御質問の第一点は、概算拂い契約しておきました。その精算の原因となる日々の、たとえば工事契約でありますならば、作業をいかにして特調が処理しておるか、この点につきましては、ただいま御提言のありました通り、その趣旨においては、私どもも微力を盡しておる次第でございます。ただ現実の面になりますと、普通の官庁国費を使用いたしまして、自己の計画に基いて、作業をせしめるのとは違います。この点は、もう万々御承知であろうと思いますが、軍の監督官というものと、特調監督官というものと、両方立会いであります。立会いとはいいながら、軍の監督官指示するものを、予算節約上、最も経済的な方向に懇請をいたす立場にあります。それから一つ一つ作業につきまして、具体的にどこをこうやれというようなことは、軍自身が当初に承認いたしました設計書仕様書に基きましてやるのであります。その場合、なかなか日本現場監督官吏考えるようにばかりは行かないということがございまして、当時特調地方局、または都道府県においてもやつておりましたので、都道府県工事をいたします場合、どちらかと申しますと、二十三年度当時におきましては、軍の指示に対してこちら側が意見を述べます場合に、軍側といたしましては、聞いてくれることもありました軍自身の方針によつてその意見をそのまま強制されるという点もございます。今日においては、軍自体がむしろ予算節約ということを、軍の系統から命ぜられておりますので、なるべく金のかからぬようにというさしずをするようになりました。むしろかえつて軍一定作業目的をもちまして、ある現場を指揮される。業者といたしましては、請負をしておりまして、確定契約の場合などは、先ほどお話のありましたように、金額増額してもらう理由が立たない場合があります。そういうときも、この壁を何分に塗れとか、このみぞを何尺掘れとかいうことを、軍の側から強制されます。前はそれでどんどん金がもらえたわけですが、今は軍の方の一定予算わくがありまして、金の方はやらない、やるのはこれだけだ、ひとつ協力してくれということで、むしろ業者が、一面においては、軍工事というと圧力を感ずるというくらいにまで、予算節約方向に向つて強く出ております。従つて概算契約を結びました場合でも、軍も予算わくがあることでありますし、もとより特調はそうしたことに対して、軍と国の一つ緩衝地帯として間に入つてあつせんする仕事が職分でございますので、まず第一に国費節約ということを念願といたしております。それから軍の日本政府に要請する工期、調達のでき上り、つまり調達目的に対して協力する。早くやれということと、安くやれということと、この矛盾する面を、間に入つて圧迫を受けながらやつておるのが調達庁でありまして、どちらから見ても、調達庁という役所は不満足な役所でございます。軍から見れば、日本会計法規をたてにとり、日本予算節約するというので、軍の側から言うのを十分に受入れない。また日本政府側からは、調達庁というところは、いつも軍の言いなり次第になつて、甘い契約ばかりやると批判されます。これはもう永久に調達庁の浮ばれないところであります。これは訴えるというよりも、そういう板ばさみ立場にあるものでございますので、常に両方を満足させるようにやらなければならない。調達庁の中にも、財務部長というような職種の方は、この決算委員会の意向を十分に体しまして、いつも引締め役であります、また現場の方の部といたしますと、軍側からの要請を早く、よりよく達成するために、金のことについても心配はしますが、それ以上に現場そのもの仕事の完成ということに努力をしなければならぬという、この相矛盾した中に入つておりますので、常に御満足の行くような結果を招来することができないのは、まことに遺憾でありますが、そういう哀れな仕事をやつている日本政府機関も、終戦後はあるのだということをこの際……(「まつたく哀れだ」と呼ぶ者あり)ええ、まつたく哀れであります。しかしこれは日本国民一人々々が、直接アメリカ軍によりまして、これをやれ、あれをやれと言われるかわりに、調達庁という機関ができてやつておるわけであります。私どもは、国民のために、自分が苦しいときは、国民のためになつているのだというつもりでやつております。また設計変更等のことにつきましては、これは調達庁のそうした面の職種の者が大いに努力するところでございまして、設計書等につきましても、数回軍に最も経費が安くつくように出しましたが、軍の側もまた二手にわかれております。予算節約する調達部というのと、また仕事をする方の部とありまして、軍の中も予算節約という面においては、一部は味方であります。他はやはり仕事をさせるという方の側であります。軍側におきましても、設計変更増額ばかりをやつておるわけではございません、減額になるものもずいぶんございます。そういうわけで、この兵庫県の道路等をどこにつけるかということにつきましては、私どもの当初の意見は、かなりいれられるものでございます。従つてただいま御質問と御主張とがございましたが、その御主張になりますところの、最も国民生活を圧迫しない場所と時期を選べということは、まことにごもつともなお説でございます。ただその板ばさみになつております結果、六甲山の上に家をつくるという計画を私どもが十分に調整し得なかつたということは、国情のいたすところとはいえ、まだ不十分に感ぜられるかもしれません。ただ当時の事情といたしましては、軍の習慣、アメリカ人生活上の一つの感情と申しますか、こうしたい、あすこに住みたい、いないな、六甲地区においては、山の上でなければアメリカ人の健康の維持等において不安であるという、むしろ他のものを否定する否定的な観点からあすこを選ばれたので、こういう所がいいというような考えでございますれば、まだここにもございますと言うことができますが、ここでなければだめだという主張でございますと、そういう設計をかえてくれと言うことは、なかなかできなかつたものと見られます。  先ほど委員長からも、なるべく懇切に話せというお話もありましたので、やや冗漫にはなりますが、現在の状況を説明いたしますと、最近独立家屋、いわゆるD・Hを建設いたしますにあたりましても、なるべく軍の既接収地、すでに接収しておる土地の上にやつてくれということを強く要望いたしまして、ここに技術監督部長も出ておりますので、詳細はわかりますが、わずか箇所か二箇所だけが新たな接収になりまして、他は全部かつての接収地の上に建てました。これなども、やはり特別調達庁が新たなる国民生活上の圧迫を少くするというところに働いた一つの実例でございます。従つて六甲の上に家ができましたことは、当時としてまことにやむを得ない。アメリカ人側から申しましても、あとあと自分たちの健康ということを非常に心配しておりまして、あすこだけが例外ではなくして、住宅地といたしましては、名前もハイツというくらいに、高地を望みます。従つて他の方面におきましても、比較的高燥な地を望まれて敷地になつておるところが多いのでありますが、これらにおきましても、今後も十分日本国民の実情も訴え、また連合国軍に対する政府の協力の面も、特調を窓口といたしましていたさなければなりませんので、軍の方におきましても満足し得る所、この兼ね合いを縫いまして、両方の満足に近い解決を見出すように、私どもは今後とも努力いたしたいと存じます。ただ単に国民生活の側だけで予算節約するという面も大事でありますが、国民生活の側だけで軍に当るということもまた、他に不協力というそしりも免れなくなりますので、その間の調整を十分考慮いたしまして、国民も忍び得る不便は忍び、軍もまたある程度の異国の不便は忍んでもらうという線で努力したいと存ずる次第であります。
  14. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ちよつと皆さんにお諮りいたします。特別調達庁は、いろいろな問題があることでありますし、あとにもだんだん出て来ますが、委員会の申合せによりまして、一応実地検証してもよろしいかと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それではさようとりはからいます。  それでは続けて質疑を許します。田中角榮君。
  16. 田中角榮

    田中(角)委員 特別調達庁の特殊の性格と、それから戦後、かつての財政法や会計の規則で律せられない行き方をしなければならないということは、十分わかるのでありまして、ここにあげられた多数の批難事項も、私たちは専門でありますので、その当、不当の軽重もよくわかるつもりであります。しかし総括的な意味から、多少の質問を試みたいと思うのであります。大体ここにあげられておるところの各批難事項は、かつて日本の、いわゆる国費の支弁に基く行為を行う場合の基準であるところの入札制度をとつておらないということに基因して、こういうことになるのでありますが、何分にも発注者が連合軍であるということにより、いろいろなこういう問題が起きて来るのでありまして、私たちは、過去におけるこの種の批難が発せられたことに対して、とやかくと申し上げるよりも、これから後のものに対して、このような間違いを起さないようにしていただきたいという立場に立つて考えておるわけであります。  まず第一番に、法律百七十一号が廃止せられたのでありますが、問題が多く起るのは、いわゆる不当支出を食いとめるためにつくられた法律百七十一号が、工事の精算に非常に支障を來しておるということに、まつたく結論づけられると思うのでありますが、法律百七十一号によつて施工しました工事の精算が大体ついたか、つかないかということから伺いたいと思います。
  17. 川田三郎

    川田政府委員 ただいま田中委員からの御質問は、法律百七十一号の精算は非常に困難である、その精算事務がもう終つておるかどうかということでございますが、大体において法律百七十一号の適用になりました精算の事務は、終つております。現在残つているのは、若干クレームを伴うもの、それからスキヤツプ・イン違反で軍のアプルーヴアルがおりないもの、これだけであります。
  18. 田中角榮

    田中(角)委員 法律百七十一号が設けられたころは、非常に物価が上る時、すなわちインフレの現象のある時でありましたから、特殊の工事を行うのには、特別厳密なる精算を行うというところから、法律百七十一号がつくられたのでありまして、二十一、二十二、二十三年度までは、本法律によつてすべての工事が精算をせられて來た。それで二十四年の末から二十五年の上半期にかけては、物価が下降をたどりましたので、法律百七十一号も必然的に廃止の運命になつたのでありますが、昨年末から朝鮮事件によるところの物価の値上りという問題で、現在は法律百七十一号を適用せず、いわゆる入札の形式をとつておられる。もちろんここには軍予算もあり、特調がその予算内において工事を進められるわけでございますが、実際に実施される場合において、非常に資材も労賃も高騰しておるということと、非常に短かい時間に相当の事業を要求せられる。もちろんこの種の特別工事の特殊性として、設計の変更も相当ある。以前と違つて制約は受けておるとしても、現に設計変更行つて施工しても、チエンジ・オーダーはなかなか出さない。軍予算においてこの工事を仕上げなければならぬという。相反する現実がたくさんあるのでありますが、現在の状況において法律百七十一号を適用しないで、現在の工事様式をやつておりながら、特調は特別調達の義務を完全に果し得るかどうかという見通しについて伺いたいと思います。
  19. 川田三郎

    川田政府委員 ただいまの御質問の要点は、現在の情勢としては、物価が値上りになつておる、軍の予算は一応それぞれのわくがある、そこでかりに入札をするにしても、業者に対して将来工事をやつて行く上に、その入札金額で履行に無理がかからぬかというふうに拝承いたします。この点につきましては、私どもも、まことに業者の身になつて心配をしておる次第であります。予算節約するという点は、ただ單に値切ればよいというものではありませんで、最も合理的な予算の支出をするということであります。従つて、ここに会計検査院もおられますが、ただ安かつたらいいということはないのでありまして、民業の圧迫にならないように、しかして最も廉価な契約をする。そこで入札をいたします場合、御承知のように、予定価額を上まわる札は落ちません。その予定価額というものは、一体将來の値上りを見て立てる。ある建設物を坪三万円でつくるというのが、予定価額であつたといたします。しかるに、それが工期が三箇月かかる。そういう場合に、三箇月先の木材、くぎ、労賃、セメント、そういうものの含みは、もう坪三万円ではできないということがわかつている場合があるのであります。そういうときに予定価額を立てるものは、一体政府機関として、先含みの予定価額を立てるとかと申しますと、これは立てないのであります。現在の三万円でできる値段で立てる。もうこのときすでに将来の不合理がはらんでおる。やむを得ませんので公定価格、労賃、これらのやむを得ない客観的に明らかな理由によつて業者工事費がかさむ場合は、両者協議の上増減に応ずることができる。双方からその合理的な増減の主張ができるような條項を契約書に入れまして、これを入札條件として、一般実業界と政府機関との経済的扱いの食い違いを調整するようにしております。
  20. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ちよつと申し上げますが、本日は特別調達庁から財務部長川田三郎君、官房会計課長大石孝章君並びに技術監督部長池口凌君がおいででございまするから、どなたでも適切な質問をせられたいと存じます。
  21. 田中角榮

    田中(角)委員 もちろん法律第百七十一号の廃止以後において、現在の時勢に即応して法律百七十一号のよいところばかりおとりになつて、まず何とかやらておられるということが、特調業務に支障を来さないということについては見通しもつき、安心もしておるわけでありますが、この問題に対しては、講和会議が目睫に追つておる。とかく終戦処理費の問題に対しては、これに国民の関心もありますが、大きな目から見て、今までにすでに長い過去、われわれが支障なくして占領軍の業務に協力をして来て、最後の一ときになつて、わずかな手違いから感情的な、またいろいろなマイナスを国家的にもつくりたくないという大きな意味から、ただ単に業者の生存権の問題というような意味からでなく、御質問したわけであります。その意味では、何とかやつて行ける、大過なく施行して行けるということでありますので、その件はそれといたしまして、同じような終戰処理費の総額の中で、軍予算一つ工事にとつて、しかも公開契約を適時適切に行えるということであれば、ある工事に対しては問題はないのでありますが、日本の法律でもつて、制約をせられておる工事がある。先ほどあなたが申された連合軍住宅公社という法律案に対して、総支出のわくがきまつておる、工事は要求せられておる、しかも現在法律の改正案はお出しになつておらないというような問題、これは私たちの考えから言うと、私はこういう工事には、現在までまだ携わつてはおりませんが、これは技術的に考えても、非常に無理があるところがたくさんある。場合によつては、相当の施工業者が極端なる負担に耐えなくて、倒産をするのではないかというような場合が、起き得ると思うのであります。この連合軍住宅公社の工事は、もうすでに終つておるはずでありますし、もう精算段階に入つておられるはずでありますが、この見通しと、しかも改正案をお出しになるか、その範囲内で処理ができるかという見通しにつきまして、ひとつお答え願いたい。
  22. 川田三郎

    川田政府委員 ただいまの連合軍住宅公社の予算につきまして、現在の工事の分量、質から、当初の予算五十二億何千万円、これではとうてい、設計変更や何かをやつた結果が、予算的にカバーできないおそれがある。まことにその御見解は、ごもつともであります。私どもも、当初あの工事の輪郭を知りましたときに、約七十三億円はかかるという見通しを立てまして、その案によりまして、七十三億の予算が国会に提出せられる予定でおりましたのですが、軍自体が、一応それは将来の工事の進行によつて考慮することにしよう。まず見返り資金から貸すのではあるけれども——直接日本人の税金からとるのではないが、見返り資金そのものもいろいろ需要があるのであるから、一応ここで五十二億のわくで始めよう。そこで国会に議定をお願いいしました。議定金額といたしましては、五十二億何がしでございましたが、弾力條項をお認め願いまして、今後必要なるものは、建設費については増額できるということを予算総則に入れていただきました。その結果、現在六十九億までにわくをふやしてもらいまして、見返り資金からの借入れも認められました。それでも、ただいま御心配になりました軍の設計変更の命令がございまして、まれは当時現場でございました関係上、中央の承認、軍側のアプルーヴが済んでいないものと、済んでいるものとありますので、私どもといたしましては、一応アプルーヴの済みます段階に即応するように、七十四億の見返り資金貸付けのわくを今要請中でございます。これが通るということと、それを通す以上、GHQがそれをアプルーヴいたしますと、設計変更を認めるわくも七十四億に達するまでは認めようという方針が定まるもので、あと個々の設計変更についてはこれはぜいたく過ぎるから認めないというふとが起るかもしれません。従つて今後の精算に入りました場合、設計変更そのものが承認されましたものにつきましては、支拂いは行い得る、こう考えております。
  23. 田中角榮

    田中(角)委員 そうすると、結局法律で制限をした五十二億何がしをオーバーした金額は、法律案をを提出せず、いわゆる新しい予算処置を講ぜずして、見返り資金その他においてまかなうということに了承してよろしゆうございますか。
  24. 川田三郎

    川田政府委員 初めから全部見返り資金でまかなうのであります。そうしてそのわくが広げられる、これは新しい法案を提出せなくてもやれるように、本年度だけはなつております。
  25. 田中角榮

    田中(角)委員 これに関連しておるのですが、昭和二十年から二十二、三年までに、一般個人の住宅を接収しておるのです。近く解放せられるのではないかというふうな朗報もあるようでありますが、これに対する解放の見通しはどうかという問題と、この問題に付随しまして、今まで満鉄ビルその他を改修して、これが返還を受けた。その場合に、改修の費用を原価に加えて、これをいわゆる建物の所有主の負担としておられる。これは売り拂う場合はいいのでありますが、実際日本人的な住宅を西洋人並に改造しまして、それを返還をする場合には、その費用を持主が負担をするということならば、これは非常に恐慌を来すのでありまして、こういう問題に対しての今後の見通し、なおGHQその他の意向というものに対して、お答えができましたら、ひとつ答えていただきたい。
  26. 川田三郎

    川田政府委員 田中委員の御質問の第一点は、接収されておる現在の不動産が、返る傾向にあるということでございます。これは何も今のところ積極、消極両面とも、私ども判断できません。ただ現在は、過去の状態から見ますと、接収を解除してもらいたいという意向の戻るものは、特別調達庁を通じて申し出ろ、こういう制度が確立されましたので、私どもの方は、いただきました希望につきましては逐一軍に申し出ております。そのうち、割合はわかりませんが、つまり割合にかからない程度であります、わずか認められて解除されておるものもございます。  第二点は、いわゆる調達解除物件の不動産につきまして、その受益費が元の所有者の負担になるかということでございますが、これは一口に言うと、そうなるのであります。最も肯定せられやすいところは、焼けビルの接収をいたしまして、これに窓をつけ、ガラスをはめ、屋根をふいたというようなものは、これは異論なくそのかかつた費用について御了解できる。料理屋が接収されまして、ひのきの床柱へペンキを塗られた。こういうものはいかぬということになると、非常にむずかしくなつて参ります。そこで私どもは、初めから板ばさみでございます。そういう場合に所有主の主張を軍に出しまして、その状況を認めてもらう、また最近庭がいたんだり、へいがいたんだりいたしましたものについても、維持費は政府側で持つという契約でございます。軍の方に要請いたしましてPDの維持、修理工事として接収家屋を修繕しようという案が、ただいま進行中であるやに聞いております。そういうふうになるべく実質的な損害は少くするという面と、それから與えられまする利益につきましても、今後ただ單に特調一つの局や課が決定するのではなく、やはり委員会に付議いたしまして、客観的にどなたも不利益なら不利益なりに満足できるように、しかし私どもとしてはなるべく不利益という点の少いように努力したいと存じます。
  27. 田中角榮

    田中(角)委員 一般調達工事と、俗に言う特殊工事との問題が、これもいわゆる特別調達庁が伏魔殿であるというような感じは、こういう専門的な内容を知らない一般国民が、まずこういううわさを出す。しかし特調の方々も、君らは知らないのだから、君らが全然知らないやり方でもつて要求されておるといつて、あえて説明をせられないところに、そういうようなうわさが生れるものと思う。私は占領軍に協力をするということを公言し、相当厖大な費用をかけている以上は、最も万遺憾なきを期せられなければならないということで、特にこういうことを御質問申し上げるのですが、いわゆる一般調達工事を行うために特別調達庁ができておりながら、特殊工事で、連合軍住宅公社等も、あの法律の適用によつて特別調達庁でもつてこれを行う、こういうふうになつているのです。あの法律案を建設委員会審議するときも、共産党の諸君などからいろいろと言われました。いわゆる別な費用でやるならば、別の人間でやればいいじやないかという理論的質問があつたようでありますが、私どもは、それほど厳密には考えておりません。この連合軍に対する協力であり、一般調達を行うならば、特殊の工事に対して当然便宜を供與すべきであると考えておるのでありますが、特に考えられることは、特殊工事であるということより申しましても、工事金の支拂いにおいて、一応調達工事の資金の中からこれをまかなうことがあるとかないとかいうような問題が、一般的感覚からいうと、非常に疑問を生じはしないかということが考えられるので、現在特別調達庁において従事しておられる一般調達工事、特殊工事の実際の面を、ごく簡単に御説明が願えれば伺いたいと思います。
  28. 川田三郎

    川田政府委員 ただいまの御質問の特需、いわゆるドル拂いの軍の需要について、特別調達が具体的の問題としてどういうふうに折衝しているか、こういうように拝承いたしました。この特別調達庁は、いわゆる連合国軍の調達要求書に基いて仕事をする設置法の建前を出ることができないので、軍の側からある仕事の要求がございますその場合でも、調達要求書を発給しなければこの仕事はいたしませんということで、つまり予算関係して来る分は峻拒いたします。これはまた峻拒しても不協力にならない。GHQへ行つて私が協議をいたしましたときに、GHQは国連軍関係でわれわれに命令権ありやということをただしました。いささかも命令権はない、だから頼むということ以外にはないということであります。それでは金の問題では調達要求書の線に乗つたものだけいたしますよということで、現在もその線だけでやつております。ただお話は、そういう答弁では、まだ奥歯に物がはさまつたようだ、こう思われると思いますので、この際もう一歩進んで申し上げます。それは軍の方も、初めからある調達いたしましたものが国内で使われることのわかつておるのと、全然それが今日の軍の作戰から申しますとわからない場合がある。これは家を建てるとか、道路をつくるとかいうことは、国内の進駐軍のためでありますが、物を買うというような場合、その買つた箱なら箱がどこに持つて行かれるかは、それを買ういわば向うの会計さんにはわからないのであります。何でも相当の高いランクの軍人でなければ、計画はわからない。それを使つたあげく一応終戰処理費で拂われますが、あとで向うの内部で計算してみて、この分は結局国連軍の方へ品物を渡したという計算が成り立つものが出て参ります。そうすると、おもしろいことには、部隊予算がありまして、一つの部隊は、自分のところの予算を食われて、朝鮮に箱を持つて行かれたのでは、予算上かなわぬということになりまして、それを国連軍に要求するのかどうかはわかりませんが、あとから日本政府に、これこれの分は国連の方で使つたから、あの終戰処理費はこれだけ返すよといつて、金を返して参ります。それは默つてつております。そういう関係があるので、予算一つの関連を持つ。しかし私ども仕事をするときには命令によつてだけやる。  それから現場の問題でありますが、これはちようど住宅公社と同じようでありまして、たとえば入札をするのに、業者の選定をだれがするか、最後的選定は国連軍のオフイサーがいたしますが、調達工事、または調達の物品の提供に成績のよかつた者が排斥されて、特殊の運動をした人間が入るということは、日本の業界のためによろしくありませんので、私どもは今まで特別調達工事において成績が上つている者は、やはり業者の選定の際にはそれを推薦する用意を持つております。また軍の側も、日本政府機関によつて選定された方が、一部の軍人等が恣意的に選ぶよりは見解が広いということで、業者の選定等について私どもお手伝にする。これは結局私どもといたしましては、事務上のサービスということになつてしまうのでありまして、むしろ定員または事務費等について見ますと、それだけ負担が重くなつて来る次第であります。この点がまあ協力しているという点でございます。
  29. 田中角榮

    田中(角)委員 最後に一つだけ伺うのでありますが、もちろんただいまは、この昭和二十三年度——二十四年度の決算にもたくさんこういうものがあると思いますが、二十五年度、二十六年度に対しては、入札制度をとつておられ、しかも特別な契約によつて契約公開を行う。もちろんその契約公開を行う場合の調達要求は、連合軍側からあるのですから、こういうような問題は激減しているだろうと考えます。ただ私たちがもう一歩進んで考える場合、二十五年度、二十六年度において会計検査院から批難せられるような、こういう事件が起りやすい面がもう一つだけある、こう思うのです。それは現在特別調達庁でもつて設計をし、予算を組まれておつたり、また昭和二十二、三年当時のようにして、連合軍でもつて設計をせられ八軍から設計書予算書も来るというような場合でなく、今は設計業者という民間業者を使つておられます。これは特調に命令をされてこういう業者をお使いになつているのか。私の考えでは、直接お使いになつているのだろう、こう思うのですが、そういう場合に、工事を非常に急いでおりますために、私は自分でよくそう思うのですが、ここでアメリカ軍は高度な事務処理の能力を持つておるのだから、もう少し日本人にわかりやすい方法をとつてくれれば、批難されなくていいんじやないか、こう思つている。それは、アメリカ軍は適当な業者設計をさせる、それで軍予算を組んで、特別調達庁に発注して、すぐ入札に付す、こういう問題になつて来ると、いわゆる設計業者工事業者を選び、かつ現実的な現業面において促進の任に当つておられるところの特別調達庁と、それからわくを持つておるところの、いわゆるオーダーを出さなければ工事ができない、オーダーが出なければ金にならないというところの発注軍関係と、この三者が結論的にはまつたく別々になる、こういうところに、私はきつと批難されるようなことが起きて来るのじやないか、こう思うのです。この間の調節をおとりになれば、特別調達庁事務は軌道に乗つて、このような批難事項は非常に少くなる、こう思つているのですが、その面はどういうように調節せられておるかということだけ、最後にお聞きします。
  30. 川田三郎

    川田政府委員 特殊の設計機関に対しまして設計せしむる場合は、軍から特に指名のあつた場合だけであります。これも従来設計管理協会、ああいうものがありましたのですが、現在は個人々々の有能な設計者を軍が指定いたしました場合に、法規に基きまして特命あるものとして、それと設計契約をいたす。その場合、あとあとの精算、ないしその前の履行について円滑な連絡がなければ、またまた批難事項を招来するようなことになるという、まことにありがたい御注意であります。この点につきましても、ある特殊な物の使用を命ぜられ、ないしは設計されます場合、単価が非常に高くなる、ないしは随契によらなくてはならなくなるというようなことがございますので、そういう場合には二つの見方があるわけであります。ただ單に責任のがれをするというつもりでありますならば、その間の経緯を明らかにしておけばいい。しかしもう一つの方は、一歩進みまして実質的にそういう特殊なものを使わずに、一般的にもつと廉価にできる方法はないかというところまで入つて行くのが、特別調達庁の務めではないかと存じます。その間、特別調達庁の技術陣を動員いたしまして——われわれ事務屋だけではとうていできないことで、技術陣の動員によりまして、優秀なる設計、最も連絡のうまくつく経理方法をとりまして、特殊性は特殊性としてやむを得ざるもののみ認めて、最も広く業界の力を集めまして、最も経済な予算の執行をして行きたいと考えます。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長からちよつと申し上げます。特別調達庁に関しましては、かねてよりたびたび申し上げました通り明確にする必要があると思いまするから、話が進行中でございますが、次にはぜひ長官並びに官房長、及び契約部長と、本日出席の各委員の御出席を得まして、もう少し掘り下げて検討する必要があると思いますから、お間違いなく定刻に御出席をお願いいたします。
  32. 井之口政雄

    井之口委員 私の先ほどの質問が中絶されてしまいましたが、われわれ共産党といたしましては、この決算を非常に重要視しているのであります。いつも純粋な野党として、政府の金の使われ方が、正しき方面に使われておるか、国民の利益が裏切られていはせぬだろうかというふうなことに対して、深甚な考慮を拂つておるわけであります。そのために、毎回委員会にも欠席することなくずつと出席して、事こまかに質疑をしておるわけでございます。ただ、今の法律に法律上の欠陷があるために、決算委員会においていろいろな意見があつても、これを過ぎたものであるために、どうすることもできないというふうな、非常な不合理な点があつて、効果は上つておりませんけれども、しかしこれを詳細に調べることは、将来におけるこうした不正の発生を防止し得る点に、多々役立つと思つております。また終戦処理費の使い方に対しましては、概算拂いということが非常に重要になつている。この概算拂いというものがある限りは、いろいろ不適当な事項とか、いろいろな指摘を受けるような批難事項が絶えない。また会計検査院において拾い出されるものは、そのうちのごく少部分にすぎないもので、大部分は表面に出ていないと思われる。終戰以来、毎年々々一千億以上の金を使つておる。でありますから、そのうち概算拂いとして出される金額が、二十一年度は何パーセントくらい、二十二年度は何パーセントくらい、二十三年度になつてこう減り、二十四年度にはこう減り、今日はどうなつているかという点を明らかにしてもらいましたならば、かなりこの点も明瞭になるのではなかろうかと思いますが、まずそれを伺いたい。
  33. 川田三郎

    川田政府委員 終戦以来の各年度にわけました概算拂いの支出額に対する割合の御質問でございます。ただいまここに資料は持ち合せてございませんが、最近の傾向といたしましては、二十五年度から、軍の側におきまして、概算拂いというものは原則としていたさない、する場合には特別の許可を要する、こう改められましたので、二十五年度におきましては、概算拂いは数えるほどの件数しかございません。二十四年度以前につきましては、概算拂いは、日本会計法規の方が、むしろ軍の現在の指示よりは、それを認めるようになつておりまして、現在日本会計法規で許された範囲でさらに軍の承認を受ける、業者から見ると非常に金がもらいにくくなつたような状態であります。この割合につきましては、資料は調査いたしますればわかるのでありますが、まことに不十分な話でありますが、現在全国の調達局でいたしました概算拂いの計数を、統計的に処理するような法規になつておりませんものですから、ちよつと調査に手間取りますが、大体の推定の金額だけでもよろしければ、資料として提出いたしたいと存じます。
  34. 井之口政雄

    井之口委員 そういう概算拂いで出されているパーセンテージというものが、非常に国民にとつては必要なのでありまして、その必要なる統計が、ややともすると政府にはない、不必要な統計ばかり出て来るというのがしばしばわれわれの見受けるところであります。しかし実際なければしかたがありませんから、おおよそのところでも、ひとつどのくらい使つたものか、今までの点を明らかにしてもらいたいと思います。  それから、アメリカ軍の方からでさえ、二十五年度においては原則として概算拂いをやるなということを言つて来ている。してみるとこれは可能とわれわれは断定できるのです。概算拂いをやらない、原則としてこれを廃止する。ただ特別の許可を得たものだけに概算拂いをすることが可能だということは、これで断定される。国民の利益を守る方法があるのに、日本の法律がこれを今までやらなかつたということは、これはまつたく驚き入るくらいの事実なのでありまして、従来の政治がいかに間違つてつたか、いかに国民の利益が無視されておつたかということが、これによつてわかる次第であります。まつたアメリカ軍をかさに着て、それに便乗して大きな利得をむさぼつてつた、土建業者の罪悪の巣窟となつてつたのでありまして、この点からも国民疑惑を招いておつたと思う次第であります。これは二十五年度からは原則としてやらなくなつたとすれば、将来は廃止になるのでありますが、自由党の田中委員からも、朝鮮事件に終戰処理費がどう使われておるかという、それとの関連の質問がありましたが、これは非常にいいところに自由党はお気づきになつたと思うのです。私がこの間大阪調達局の調査に参りましたときに、和歌山方面において、例の日本燃料でございますが、あの近くに空襲を防ぐところの施設が特別調達局の費用をもつて設置されておるということが報告の中に出ておりました。技術監督部長も来ておいでになりますので、ひとつ技術的な方面から、あそこにどういう施設をしたのか、そして費用はどんなふうになつておるか、何のために使つておるか。占領軍としてそういう空襲を防ぐような設備は、一見われわれはいらないように考えます。しかも朝鮮事件後にそういう設備がなされておるというふうな点、どうも不審に思いますが、技術監督部長として、あそこはどういう施設をなされたか、またそれはどれくらいの費用のものが、どんなふうな仕組みになつておりますか。
  35. 池口凌

    ○池口説明員 今の御質問の点につきまして、大阪調達局からどういう報告が出ておつたか存じませんけれども、私の方にはまだそういう報告は来ておりません。当初事件の始まりました時分におきまして、米軍側におきましても、そういうことを感じたかどうかわかりませんけれども、そういう話はときどき聞いたことはございます。しかし私ども調達庁といたしましては、調達要求書という成規の指令書によつてしか工事はやつておりませんが、そういうものには、全然そういうものはございません。ただ直接の軍特需工事とか、そういうものにつきましては、私ども全然わかりませんので、少くとも調達要求書にありまして、私どもが正規のルートで仕事をしておるものについては、ございません。あるいはそういう防空壕式なものは話はたしかありましたので、現地において、あるいはお前たちは技術的にこういうものはどう思うかというような、先ほどお話のありました事務的なサービスとして、向うの人たちに技術的なヒントなり、アドヴアイスを與えてやつたというようなことが間違つてそういうふうな報告になつたのではないか、こういうふうな感じがするのでありますが、成規のものとしては全然ございませんので、御了承を願いたいと思います。
  36. 井之口政雄

    井之口委員 さもあることと思います。これは当然向うからやはり命令が出て、その命令によつて支出されなければならぬもので、その命令以外のものは、たとえば好意でもつて個人的にやるとかなんとかいうことは、あり得るでしようけれども、そうでないものは政府がやるとは思いません。しかし向うからの指令によつてやられたもので、和歌山県でそうした施設をなすつたことはございませんか。
  37. 池口凌

    ○池口説明員 私どものところには、そういう報告は参つておりません。PDは必ず地方調達局に直接向うから発出になるのでありますが、同時に必ず横浜の第八軍の方から写しの方がむしろ本庁に参るので、そういうものは平素ながめておるわけであります。工事といたしましても、一千万円以上の工事になりますと、必ず地方局では業者選定、入札ということについて、長官の承認を得なければできないことになつておりますので、必ずわかるのでありますが、今まで全然そういう例はございません。
  38. 井之口政雄

    井之口委員 会計検査院にお尋ねいたしますが、今申しましたような疑いのあるようなことを、調査なすつてはいらつしやいませんでしようか。  それから朝鮮事件が起つた当初のことでございますが、まだ初めこれをどう取扱つていいかわからないようなときに、人夫賃だとか何とかいうふうなものを、むしろあとになつて訂正されるような、または訂正されたというようなものもございますでしようが、それらのときに、項目以外に支出された点を発見されたようなことはありませんでしたか。私たちが国政調査で大阪特別調達庁を視察したときに、これは見返り資金の問題で、一時こういう金は出したけれども、しかしこれは将来どうなるかわからないということを聞いた覚えがありますが、会計検査院においてそれを調査なすつたことはありませんでしたか。
  39. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。会計検査院といたしましては、検査のときに、まだ大きなものでそういうものをあれしたことはございません。それから小さいものでも、別に特に聞いておりません。それから先ほど財務部長からもお話がありました終戦処理費への入れもどしがあるのでございますが、それがどういう理由で入れもどしになつたかということは、会計検査院としてはなかなかわからない……。
  40. 井之口政雄

    井之口委員 入れもどしとは何ですか。
  41. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 先ほど、たとえば特需に間違つて終戰処理費を使つてしまつた、あるいは住宅公社の家賃、こういうようなものとして入つて来るものがあるのであります。こういうようなものは、なかなかその内容がどういうものかという、こまかいことはわかりません。ただいま御質問のありましたようなことを、具体的に検査上見つけたということを申し上げるほどのものは、聞いておりません。主任課長も来ておりますが、今打合せましたところ、課長も知らないようでございます。
  42. 井之口政雄

    井之口委員 それではこれからそういう場合にも、われわれは明確にそういうことを聞いて来ておかなければいかぬと思います。そういうことが今までなかつたことはけつこうです。  いろいろ政府の方からの御意見承りましたが、特別調達庁の存在が実に哀れなもので、自分らの方で国民の利益を守ろうと思つても、なかなかできぬというようなお話でありましたが、そういう苦しい点はあるだろうと思います。それで最近、概算拂いももうするなとか、予算の面も非常に切り詰めろとか何とかということを、アメリカ軍から言われるといたしますれば、これは国民の声が反映して、こうしたものも、厳重にその支出面を取扱わなくてはならなくなつて来た効果だと思うのであります。それでありますから京都市だけでなくどんどんと法にかなつたものはやつていただきたいと思います。この間広島の特別調達庁の支局へ参りまして、われわれが調査いたしましたときに、支局長は国会から参りましたわれわれ調査員に対して、最初はまるでけんもほろろのあいさつで、何しにやつて来たかというふうな調子なんです。それでわれわれはしかたなしに、これはもう調査しないと、そのときに宣言いたしました。そうして一応そこを引揚げて参つた。もしもそういう態度を続けるならば、われわれとしてはその通りの報告をするからと言つたので、ようやく向うが折れて来て、またそれからあらためて調査をやり直したという事実なんかもある。やはりそこはこういう官僚的な調子でやられましたならば、いわんや注文を出す相手方なんかに対しても、官僚的な態度になり、連合軍の威勢をかさに着てやるような官僚的な態度になつて来る。もしそういうふうにでもなつて来ましたならば、特別調達庁というものは日本政府機関じやなくして、それこそほんとうに国民から見離されるようなことになると思う。この点もひとつよく注意してやつてもらいたいということを申し添えておきます。
  43. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次に九十六ページ批難番号三六一ないし三六五、工事費の精算に当り不当のもの——この件につきまして当局より一括説明を求めます。川田政府委員
  44. 川田三郎

    川田政府委員 それでは三六一の御説明をいたします。これは三点にわたつて会計検査院から指摘を受けたものでございますが、すべて検査院の御指摘通りであります。  その第一点は、軟岩切取りにつきましての積算の誤りでありまして、過拂いが約三十万円ございました。これは徴収済みでございます。しかしこれも御指摘によつて初めてそうなつたということであります。まことに不手ぎわでございました。  第二点は、宮城県の土木工事でございます。これについても土の容積計算を誤りまして、よけいな金を拂いました。これについても、その過拂い額については、二十五万円何がし全部徴収済みでございます。  第三点は、神奈川県の土木工事でございますが、これは送水管、導水管、その鋳鉄管とエタニツト管を敷設しましたものの精算が、実際に敷設されたものより過大に計算されたということで、これは明らかに解釈の問題ではございません、支出の問題でありまして、二十四万七千円の過拂いを生じました。これも収入済みでございます。  それぞれ三点とも結果においてはその不当支出の回収はいたしましたが、たまたま回収できないような事態が起きたときには、非常に危險なことであります。十分取扱い者に注意をいたしまして、他の戒めともいたしたいと存じております。  次は三六二、これは北海道庁がいたしました工事でございます。その建築工事の際に、れんがの作業会計検査院から指摘されております。そのれんが作業は、使用いたしましたれんが数に基いて、れんが工の労務費を計算いたしております。しかし、れんがというものは破損をして、つまりれんが積みの作業のところまで出て行かないれんががあるではないかという、まことにごもつともなことであります。しかしこの点は、すでに精算をいたしてしまいました関係上、金額もわずか、五十八万円でございまして、再精算をするということも、なかなか困難でございますので、今後を十分注意することにして御了承を願いたいと思うのであります。  次は三六三でございます。これは青森県がいたしました連合軍兵舍の工事でございます。御指摘の点は二点ございますが、第一点は、総合仮設の坪数の見方及び諸経費の歩がかりの見方において、少し過大な点があるのではないかということでございます。第二点は、立木伐採費の基礎になりました立木そのものの見積りが過大である。第一点の分につきましては、法律第六十号と俗に申しております検査、これにつきまして大蔵省側の検査も精密に行われまして、その結果を勘案いたしますのと、その後この地区の総体的の精算をする段階になりましたので、それらを総合いたしまして、再精算的に審査をいたしまして、これにあわせて立木の伐採の過拂い——これは過拂いでございますから、五百五万円ございましたが、この分も差引くことにいたしまして、全工事精算の結果、二十五年三月三十一日までの間に千三百二十二万八千円を返納いたさしめております。これで、会計検査院指摘の趣旨に合うように処置して、私ども、ようやく業者をして一ぺん契約いたしました金額を、これまでに減額するように努力いたしました。趣旨においては検査院指摘通り、その処理の経過は、結局千三百万何がしを回收する契約減額をいたしまして、現実にその金も收入いたしました。  次は三六四——これは山口県でいたしました工事でございます。岩国の飛行場の滑定路をやりましたものでありまして、これは設計変更があつて、その材料費について御指摘があつたのでございます。材料費が金額において増額になつておる。しかるに設計変更において扱われた材料の数量は、十四万立米の現設計が九万立米に減つておる。増額になつたのは、結局單価が上つたからであります。この單価の見方につきまして、自動車の使用回数の一日当りが、特調側の見方——これは県庁が委託してやつたのでありますが、その県庁側の見方が、鉄道等の見ていることよりは甘いというのであります。この点はまことに検査院の御指摘の趣旨の通りでございますが、何せ当時の事情といたしましては、やはりそうした自動車の、抽象的に見ました回数は、四・六であるとか、二・七であるとか、いろいろ見方が成り立ちますが、現実に使つた自動車がどうであつたかということを、今から判断するわけには行きません。何もそういう資料がございませんから、当時そうした非能率的な運転回数を認めて材料費のコストと見たということは、会計職員として不十分のそしりは免れません。従つて十分に今後を注意せしむることにいたしまして、この件はこの辺で御了承を願いたいと存ずる次第であります。  三六五——これは愛知県が名古屋市に請負をいたさせました配管工事でございます。下請には松栄管工事というのがいたしておりますが、会計検査院の御指摘は、材料の使用料について、積算が過大であるということでございます。この点は、契約にあたつて、その引締め方がまことに十分でなかつた。これは今から申しますれば、そうなるのでありますが、当時としては、名古屋市も工期を急がれました関係上、おそらく十分な審査ができなかつたものと考えられます。御趣旨においては、会計検査院とまつたく同様の見解に服さなければならないわけであります。今後こうした同種のケースについても十分戒めまして、材料費の積算につき、なるべく多く予算節約に努力したいと存ずる次第であります。
  45. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申し上げますが、今特別調達庁財務部長川田三郎君の御説明によりますと、いかにも会計検査院もつとももつともという話でありまして、私どもも遺憾に存ずるのです。ちよつとお聞きいたしますが、工事の進行状況等は、会計検査院は常に監査しておりますか、していませんか。一年たつてから事後に監査されるのですか、その辺をひとつ含めて会計検査院から御説明願いたいと思います。
  46. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 先に、今の委員長の御質問にお答えいたします。工事の進行状況を会計検査院は監査するか、こういうお話でございました。御承知のように会計検査院検査と申しますと、証拠書類として提出になりました文書についての検査と、現場を見ましての検査と、両方あるわけであります。この書面検査の方は、始終やつております。その意味で、常に検査しておるということは言えるわけであります。また現場は、御承知のように、そう全部が全部行けるものでもございません。工事中に参ります場合もございますし、工事が竣工したときにちようど参ります場合もございます。竣工してから行くということには、必ずしもしておりません。物によりますと、三月なり半年なり過ぎまして行くこともあるわけであります。ちようどいい例が三六一号でありますが、これはでき上りましてあとで参つた件で、検査院としても珍しい案件であります。これは主要工事を全部実測したわけであります。図面を一々突き合せまして——検査院にもそういうものがわかる人間が相当おります。それで竣工図あるいは完成図、それが支拂いの基礎になるわけでありますが、それと現地とを対照いたしまして実測したわけであります。その結果これはほんとうの完全な検收違いとして、金を百拂つたところ、実測してみますと九十五しかできていない、九十しかできていない、こういうのがこの三つ並べました件であります。一件々々の金額は、必ずしも大きいとは申せないのでありますが、この種の案件というものは、実に遺憾なことでありまして、できてもいないものに対して金を拂つたというような点で、ここに同種の案を、実は三つ並べたわけであります。この案件につきましては、先ほど政府委員の方からのお話で、大体盡きているようであります。土量にも切取りの土量もございまして、一は、特調の横浜支局の切取りが、実際の切取り土量よりもよけいに見ていたという案件であります。二は、宮城県の盛土の方であります。土を盛る量が九千九百六十四立米分を拂つたのでありますが、そのうち三千九百立米はできていなかつた、こういう案件であります。三は、神奈川県のパイプであります。パイプの長さを間違えた、こういう案件でありまして、それぞれ内容的に違いはございますが、全体を通ずる批難の骨子は、先ほど申し上げましたように、実際にやらなかつたものに対して金を拂つた、こういう案件であります。  それから三六二は、これは先ほど御説明がありましたが、ちよつと補足いたします。これは持ち出し、取拂つたと称するれんが量を、みんな積んだことにして積み手間を拂つたという案であります。れんがは、御承知のように運搬途中にもこわれるし、塗りながらもこわれるものであります。これを取扱い途中で計算してはいかぬじやないか、実際に積んだものだけしか手間がかかつていない、これが骨子であります。これも珍しい案でありまして、金額は必ずしも大きい案ではございませんが、割合に検査が行き届いた案であります。  三六三、これは実は大きいのであります。青森県の三沢の基地でありますが、ここには非常に多額の終戰処理費が入つております大きな基地であります。ここでは、大体請負人が相当たくさん入つておりますが、西松建設が一番たくさん工事をやつております。そうして匿名で次々と工事をやつていたわけであります。ところが、ここに一、二とわけでございますが、これは大体一は二つにわけていただく方がいいのでありまして、前段と後段の分であります。前段は総合仮設費、後段は諸経費。総合仮設費と申しますと代表的なものは、飯場、事務所であります。工事をやる場合には、請負人の飯場、事務所というものが必要になります。こういうようなものは、大体積算では、別々の業者一つ一つ工事請負つても、採算がとれるように積算してあるのであります。ところがこれのように次々と工事請負つて行く場合には、最初工事でつくりました飯場が、そのまま役に立つのであります。それにもかかわらず、第二、第三の工事で飯場なり事務所なり、それに類するものを新しく建てるだけの経費を見てあるのがいけないというのが、この一の前段の批難であります。  それから一の「又」以下、「又、諸経費においては」とございますが、諸経費も、一つ一つ工事を別々の請負人が請負つた場合でも、やつて行ける雑費が見てあるわけであります。ところが、今申し上げましたように、一人の請負人が次から次へとやつて行く場合には、当然考えようによつては、全部を一括して諸経費を算定すればいいのじやないか、千万円の工事を三つばらばらにやる場合と、三千万円の工事一つ請負う場合とは、諸雑費は非常に率が違うわけでございます。今仮定の金額で申し上げましたのですが、この場合には、千万円ずつばらばらに請負わせたのであるが、同一請負人が引続きやつているのだから、三千万円の工事として諸経費を見るべきじやないかというのが、第二点の批難であります。一八%の諸経費を見たのであるが、これは大体一〇%ぐらいと見るべきじやないかというので、これは大体経費が多くなつております。  それから二でありますが、これもあとから調べますと、非常におかしな結果になつて批難になつたのであります。と申しますのは、あそこへ基地をつくりますときに、まだ山林があつたわけであります。その山林の伐木、抜根、伐採——木を切つたり、根を抜いたりしたわけでありますが、その根を抜いたり、木を切つたりした数と、それから拂つた料金というものを計算してみますと、拂いました分で参りますと、二坪に三本の割合で、目通りが五寸から一尺程度、相当の木であります。実際に支拂いました金額を逆に計算いたしますと、これが二坪に三本くらいの割合で生えていたような計算になるのでありますが、そんなことはあり得ない。これだけの一尺からの木が、二坪に三本も生えるというようなことはあり得ないのでありまして、大体普通は四坪に一本ぐらいの割合で生えているものだそうであります。この山林も、特殊な事情はおそらくなかつたのでありまして、大体三坪なり四坪に一本の割合で生えていたのでありますが、実際に拂いました金は、二坪に三本の割合で生えていた、こういうようなわけで、御注意したのでありますが、その点は当局者もすつかりお認めになりまして、これに相当する五百五万円というものはお返しになつた、こういうことになつたのであります。  それから三六四でありますが、これは最初明楽工業でありますが、指名競争で請負に付しまして、そのままならばよかつたのでありますが、その後大きな設計変更がありまして——これは砂利とかそういうようなものを運搬したのでありますが、石類の運搬量は、非常に減つたのであります。ところが支拂契約金額は、かえつてふえてしまつた。これはおかしいというので、実は検査したわけであります。内容を調べてみますと、広島鉄道局で、同じところを一日に四回以上も運搬しておるのに、その契約設計変更後の状況を調べますと、二回七というようなことになりましたので、これはおかしい、広島鉄道局でやつたくらいのことは、請負人としてもできるはずなんで、単価はそういうふうに計算するのがほんとうじやないか、こういうことで、ここに批難になつたわけであります。ちよつと今の広島鉄道局のやつたやつでありますが……。
  47. 田中角榮

    田中(角)委員 議事進行に関して特に発言を求めます。昭和二十三年度決算報告中、大蔵省所管終戦処理費の分に関しましては、批難されておる事項は、大体同一の線に沿つた事項であります。しかも会計検査院より検査報告書及び政府より国会に対する説明書も添付せられておるのでありまして、これと同じことを御説明になり、特段変化のない御説明をお聞きすることによつて審議はあまり深く入ることはできない、こう思うのでありますので、特に次会は三六六より四三七まで一括議題となさるようにいたしまして、委員諸君も、さきに提出された両書面によつてできるだけ勉強の上、当日は政府説明員にも総員勢ぞろいをされて、重点的に審議を進められたい、こう考えるのでありまして、お諮りの上、決定せられんことを望みます。
  48. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 田中君の御動議でありますが、ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  49. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは速記を始めて。引続き開会します。  ただいまの田中委員の御発議に対しましては、これを一括いたしまして議題となし、当局出席を求め、全員出席の上において進行いたしたいという動議でありますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 冗漫に流れるおそれを防ぎまして、重点的に、きわめて詳細にまた明細に、きわめて効果的にやりたいと思います。それでは田中君の御動議に御異議ないものと認めまして、次会はそういうふうにいたします。  それでは委員長より簡単に質問いたします。三六三の青森県の三沢の地区につきましては、実は昨年決算委員会で、青森県に出張いたしまして調査いたしたのであります。まことに会計検査院のおつしやる通りつたことを私も見まして、遺憾に序ずる次第でありますが、これは三年間にわたつておることでありますからして、なかなかうまく行かなかつたかもしれませんが、もう少し早くおわかりにならなかつたかどうかということを、会計検査院にお伺いいたします。
  51. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 これは先ほど申し上げましたように、非常に大きな工事でありまして、なかなか結論が早く出なかつたのであります。これは全国有数の終戰処理費が入つておる工事でありますから……。
  52. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 今局長のお話のありました通り、重大問題でありまするから、これは代表的問題といたしまして、次にひとつ特調の長官も来まして、これに対してはもう少しつつ込んだ説明を願いたいと思います。
  53. 井之口政雄

    井之口委員 今の青森県の三沢のことですが、第二に、会計検査院指摘は過拂い五百万円の指摘になつております。これは政府は実際調査して、現実に返納させたものは一千二百万円とかいうことになつております。会計検査院の倍になつております。政府の方はそういう御返事だつたと思いますが……。
  54. 川田三郎

    川田政府委員 政府の方も、これを五百万円だけとは申しておりません。第二点として五百万円が過拂い第一点としては総合仮設諸経費の点で再審査をして、その結果、千三百万円となつた。こう申し上げたのであります。
  55. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 ただいまの点でありますが、これは一と二に批難がわかれております。一が総合仮設、諸経費であります。二は今の樹木伐採費であります。樹木伐採費の方は五百五万円で、検査院といたしましては、もし検査院が言うように、まとめてやり、総合仮設費もあまりたくさん独立の請負として認めなかつたら、九十九ページの六行目にございます約三千九百万円は節減できたはずだ、こう言つておるのであります。これは当局としては一応六十号の検査もございましたし、三千九百万円、検査院がこういう計算ができたはずだという金額を含めて、一応結了していたわけであります。それをさらに再審査されまして、二の方の五百万円と前段とを合せまして千三百二十二万八千円回収された、こういう次第であります。千三百万円、五百万円はそつくり会計検査院の言う通りとお認めになつたあとは八百何十万円、こういうことになつたのであります。
  56. 井之口政雄

    井之口委員 そうしますと三千九百万円の節減ができるという会計検査院指摘を、八百万円だけ節減したことになるのですか。
  57. 川田三郎

    川田政府委員 数字だけの事情は、八百万円程度ということになります。それに対する事情説明等は、本日まだ十分の資料がございませんので、ただいますぐにお答えはいたしかねます。
  58. 井之口政雄

    井之口委員 これは三千九百万円の節減ができるはずだという、つまり論理上の会計検査院指摘であります。しかるに事実はもうやつてしまつておる、実際はそれだけ拂つてしまつておる、こういうのが事実でございます。そうしてみると、そういう事実を、あと会計検査院が発見して、そうして指摘されても、政府はそのよけい拂つたものから、合法的に拂つたものの中からでも、なお八百万円を回収させ得るところの可能性がある。してみると、これは三千九百万円も過拂いとして返納させ得る可能性が、論理的には生ずるわけでありますが、どうでしようか。
  59. 川田三郎

    川田政府委員 一般には精算をいたしてしまいましたものを、再精算をするということは、いわば契約上の取引でございますから、取引の手を打つてから、またあれは間違いだつたというのは、いわゆる取引安全の保護という民法の精神にも反します。しかし、その特例といたしまして、法律第六十号というのができておりまして、一ぺんそうした決算をしたものでも、特に再査の必要ありと認めるときは、その法律の特別條項に基いてこれを再査する、こういう結果が、ここにおちついたわけであります。こういうことはめつたにいたさないのであります。
  60. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると三千九百万円も、やつてやれぬことはないわけですか。
  61. 川田三郎

    川田政府委員 三千九百万円という御指摘に対する一つの根拠といたしまして、六十号検査の発動をしたわけでございます。その結論が私どもといたしましては、八百万円程度でよろしい、こういう見解を持つたのでございます。
  62. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、大分手心してやわらげて、できるものを三千九百万円だけはとらなかつたということになるのでありまして、実に西松建設株式会社に対して、政府の方は至れり盡せりの考慮を拂つておいでになるように考えますが、どうですか。
  63. 川田三郎

    川田政府委員 一応三千九百万円という数字が出ました以上、それは一つの材料といたしまして、これにもとらわれることなく、また元の契約額にもとらわれることなく、まつたく白紙にもどつてやる、また六十号検査というのは、特調関係のものがやりました仕事を、大蔵省系統のものが、全然別の角度からやるのであります。従つてずいぶんこまかいところまで入りまして、検査権までも持つてやるわけでありますから、別に西松建設という会社に対して、特に三千九百万円をある程度にとどめようというような考え方は、毛頭なかつたわけであります。
  64. 井之口政雄

    井之口委員 そういたしますと、会計検査院指摘なんというものは、へでもない。向うはそういうものにもよらず、あつちにもよらず、自分独特でやつたということを返事されておるのですが、会計検査院が三千九百万円も節減できるはずだということを、明確に科学的に立証されておる以上は、相当の権威を持つものではなかろうかと考えますが、会計検査院としてはどうですか。あなたの方は無視されて、そんなものはいらないのだ、われわれはわれわれの方で独特でやつて、そうして八百万円と認定したのだ、こういう御返事なのでありますが、どうですか。
  65. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 会計検査院が無視されたのじやないかという御質問でございますが、いわばこれは清算が済みまして、あとから検査院検査するということで、ほかにも、この案件に限らず非常に多いのであります。たいがいは現在の法律制度の上から参りまして、あとから検査院が結論をつけましても、返つて来ないのであります。こうなつたはずだという批難が、実は非常に多いのであります。この制度がいいかどうかは別問題といたしまして、今の制度では、そうなつておるのであります。これは今の法律六十号の適用をたまたま受ける案件でありまして、検査院検査した結果によりまして、当局がもう一度再検査されまして、これだけ返つて来たのでありまして、ほかの確定契約ですと、これはいくら検査院が三千九百万円節減できたはずだと言いましても、一文も返つて来ないのが多いのであります。それから見ますと、これはもう一応精算したものでありまして、精算して法律状態が一応確定したわけでありますから、それをこうなつたはずだというだけ取れというのもどうかと思います。
  66. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 諸君にお諮りいたしますが、本日はこの程度にいたされまして、明後十四日午後一時より終戦処理費事項に関し、審議することにいたします。特別調達庁関係者は、長官以下必ず定刻出席せられるよう要求いたしておきます。  なお当日の模様によりましては、東京近郊の実地調査に参ることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なしと認めます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十四分散会