運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-09 第10回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月九日(水曜日)     午後一時二十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 三宅 則義君    理事 金光 義邦君 理事 渕  通義君  理事 早稻田柳右エ門君       田中 角榮君    田中不破三君       多武良哲三君    藤枝 泉介君       山口六郎次君    上林與市郎君       井之口政雄君  出席政府委員         総理府事務官         (特別調達庁財         務部長)    川田 三郎君         大蔵事務官         (管財局長)  吉田 晴二君  委員外出席者         総理府技官         (特別調達庁技         術監督部長)  池口  凌君         大蔵事務官         (印刷庁業務部         会計課長)   呉藤  恒君         建設事務官         (営繕部営繕第         一課長)    江ケ崎太郎君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      山名酒喜男君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      小峰 保栄君         日本専売公社経         理局原価計算課         長       山口 龍夫君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 二月八日  委員岡延右エ門君及び田渕光一君辞任につき、  その補欠として藤枝泉介君及び山口六郎次君が  議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十三年度特別会計歳入歳出決算     —————————————
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより決算委員会を開会いたします。  この際政府並びに会計検査院当局に一言申し上げておきます。議事の運営上、政府側説明はなるべく簡潔に、要点のみを述べらるるよう、また検査院側は、政府当局説明と相異なつた意見があつた場合、特に発言を求め、意見を開陳せられるよう希望いたします。本日も批難事項相当たくさんありまするが、以上のごとき運営で連行いたしたいと存じまするから、各位の御協力をお願い申し上げる次第でございます。前会に引続き、昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算、同年度特別会計歳入歳出決算を議題とし、大蔵省所管につき審議を推めます。  まず報告書八十五ページ、国有物件批難番号三三三ないし三四七、社寺国有境内地管理当を得ないもの——以上を一括して説明願います。管財局長
  3. 吉田晴二

    吉田政府委員 三三三号ないし三四七号は、社寺国有境内地管理当を得ないものでございますが、社寺側関係者で、境内地の一部を無許可住宅商店映画館等敷地として使用させているもの、また立木を無許可伐採したという点は、終戦前後の戦災者引揚者等の救護のため、その他当時の混乱した社会情勢によるもので、社寺側が自発的にやつたものではないのでありまして、大体が、その周囲の非常に無理解な措置により、中には社寺側が好意的に一時使用させたところが、そのまま居すわつて、どうにもならなくなつたというような事態が多いわけであります。しかしながら、こういう不当処分が認められましたことは、まことに遺憾な次第でありまして、この住宅商店等敷地につきまして、家を建てておるものについては、十分調査いたし、そのうち宗教活動目的外使用として認められるものについては、売沸い処分をするということにしておるわけであります。具体的の事案となつております三三三号ないし三四六号の例を見ましても、たとえば三三三、三三四の増土寺東照宮——この中には境内地料理店をつくつているようなものでございまして、そういものにつきましては売沸い処分をいたしまして、讓與はしないということにした次第であります。ただその次の千葉神社のような例につきましては、これはやはり終戦後バラツクを建てまして、いわゆる露店をこの境内につくつたわけでありますが、その後神社市側との間に協議が整いまして、これらのものは全部その他へ引越すということに話がきまりまして、その結果全部転用になつたという事例もあつたわけであります。社寺側としては、極力そういうものを立ちのかせて、全部讓與を受けたいというような方向に進めます一方、またその間に相手側がなかなか聞かないということで、その処置が多少遅れるようなものも見受けられるわけでありますが、第五号ただいま申し上げましたような方針によつて処置を講じておるわけであります。  なお三四七号の立木許可伐採につきましては、その後大部分のものは、被害額弁償金として徴収することにいたしまして、大部分のものは収納済みになつております。なお多少のまだ未済のものについては、極力収納処置をとつておるわけであります。
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 この際本事項に関しまして会計検査院側の意向をごく簡単にお伺いいたしたいと思います。小峰会計検査院第四局長
  5. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 社寺国有境内地管理当を得ないもの——これは今政府委員から御説明がありました通りでありまして、当局者も、会計検査院検査の結果明らかになりましたこれらの売拂い等につきまして、事後処理の万全を期しておられるようでありまして、私どもといたしまして、それについて特に申し上げる筋はございません。
  6. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより質疑を許します。
  7. 田中角榮

    田中(角)委員 一つだけ希望を申し上げておきますが、管理当を得ないことに対しての質問ではなく、いわゆるこのような事態から来るところの所有権という問題に対して、希望があるのであります。これは終戦後一時的に相当好意をもつて貸したものが、そのまま長くずつと所有権自分のものに移るまで要求するというようなことが、非常になくさんあります。これは一つ社寺仏閣境内においてのみではなく、ちよつと間借りをさせてくれ、十日か十五日でいいのだというのが、ずるずるべつたりになつてしまつて最後は法定によるところの立ちのき料を要求する。これは私は古来からの日本人の淳風美俗をこわすものであつて、こういうものに対しては、相当強い処置をやらなければならぬということを、常に考えておるのであります。だからこういうものに対しては、所有権の問題とか、当を得なかつたために、あとから金を徴収するとかいう問題ではなく、もう少し大きく日本人的な立場から考え処置を、ひとつ強引にとつていただきたい。いわゆる一時的に露店を出して、これが永久建築にかわつて行くというようなものに対しては、相当強い、——いわゆる小さい意味における居住権とか使用権というものではなく、淳風美俗をこわすという立場から、ひとつ強い処置を願いたい、こういうことだけ希望として申し上げておきます。
  8. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これに対して政府側の御答弁がありますか。
  9. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいまの田中さんらのお話の点、まことにごもつともでございまして、われわれといたしましては、当時の事情をよく見まして、ただいまのような、当時の事情社寺側の方で非常に悪意であつたというようなものにつきましては、これはもちろん仮借することなく考えなければならぬのでありますが、また一方非常に社寺側の方が好意的にやつたのに対して、つけ込んだというようなものに対しては——これは手続はそちらの方でとるわけでありましようが、そういう入つて来たものに対しては、非常にきつい措置をとるという方針考えておるわけであります。
  10. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。——それでは次に移ります。  八十七ページ、批難番号三四八、国有財産貸付目的を達していないもの——本件説明を求めます。
  11. 吉田晴二

    吉田政府委員 この三四八は、終戦の当時、非常に塩が不足であつたわけでありまして、その際に、当時非常に経済状態がやかましい状態ではありましたが、東製塩株式会社外二十五名に対し、特にこの旧軍施設塩田として使用させたわけであります。ところが、その後御承知通り関係方面政策がかわりまして、製塩車業に対しての補助金を打切り、また製塩事業に対して非常にきつい政策をとつて来られました関係上、これらの塩田がなかなかうまく行きませんで、事業が中止になつたり、あるいは継続しなくなつたというようなものが相当出たのであります。そういう事情になりましたので、われわれの立場といたしましては、なるほど従前の事情は非常に同情すべき点はあつたと思うのでありますが、この事情が変化した以上、やむを得ないのでありますから、機会あるごとに他に転活用の道を講ずるように、財務局に指示をして来たわけであります。当時まだ十九件のものが塩田として残つておりまして、そのうち二件は製塩業者がこれを買受希望がありまして、これを売り渡し、またそのあと五件のものは、事業不振で、とうてい再起の見込みがないために、返還して参りました。そのほか五件については返還を受けまして、これを自作農地として、農林省所管がえにして売り拂うことにしたわけであります。なお七件のものが残つておりますので、これらのものについては、なるべくこれを売り拂う、どうしても売沸いに応じなければ、返還するようにということで、相手方と折衝を続けておるような次第であります。
  12. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これに対して質疑がありますか。——質疑かなければ次に移ります。  八十八ページ、批難番号三四九ないし三五一、国有財産の管理不当のもの——事項一括説明を求めます。
  13. 吉田晴二

    吉田政府委員 三四九は、栃木県の日光にございます田母沢御用邸及び付属邸並び日光御用邸を、栃木県に使用させておるという問題であります。御承知通りこの栃木県の御用邸につきましては、これをだれにでも売るというような性質のものではございませんので、ちようど前に宮内省が管理しておられまして、引継ぎになりましたときには、栃木県の方に宮内省貸付をしておつたわけであります。ところがこれを県の方で買受の意思がございまして、できるだけ早く売るつもりで、いろいろと交渉を進めましたところが、隣に東京大学の植物園がございます。この植物園との間の所管がえをいたすべき土地との境界の問題で、非常に交渉がまとまらなかつたわけでございますが、ようやく二十四年の十月に至つてまとまりまして、これを栃木県で買収することになつて、大体値段もきまりまして、これを県議会にかけたわけであります。ところが不幸にも、二十四年の十一月に栃木県下に地震がございまして、栃木県の財政に非常に影響を及ぼしたものでございますから、県としてもどうも買うわけに行かないというような状態になつてしまつたわけであります。いたし方なくその一部を活用することにいたしまして、一応これを貸し付けて、昭和二十五年の九月の二十日に、従来使用させておつた分に対する弁償金を徴収したというような次第になつております。  それから三五〇号は、これは関東信越財務局管内で、元霞ケ浦海軍航空隊土地及び建物学校に貸したところが、その使用状況が非常に悪いということになつたのでありますが、これにつきましても、検査院指摘後、ただちに現地に文部省それから農林省関係、あるいは茨城県の当局者というような関係者を集めまして、そこでいろいろ協議をいたし、一部は自作農地として地元の自作農民にこれを使わせることにいたしまして、農地に所管がえをいたしました。残りの部分のうち、霞ケ浦農科大学の分は、これは茨城県の県立農科大学となることになりましたが、さらにこれが翌年度からは国立茨城大学の農学部となる予定でありますので、一応そのまま使用を認めることにいたしました。そのほかの財団法人霞ケ浦高等学校につきましては、一応その施設経営状況が思わしくありませんので、さらにその使用範囲について検討中でありますが、もし県から高等学校の認可が取消されるというような場合には、明渡しを要求する予定で、今状況を見ておるわけであります。現在使用料についても、まだ五十万円を納入したばかりで、残額を滞納しておりますので、法務府に取立ての依頼をする予定でございます。  最後に、財団法人日本体育大学の使つておる分につきましは、どうも非常に経営状況が悪いのでありまして、法務府に、明渡し要求をするというつもりで、手続中でございます。また使用料につきましても、百八十九万三千九百三十四円のうち、五十万円を納入したばかりでありますので、残額については法務府に取立て方を依頼しております。  それから次の三五一号は、名古屋財務局管内でありまして、豊橋市の元予備士官学校愛知大学使用させたわけでありますが、そのうち一部を日本聖書協会に転貸しておるという件でございます。その後この日本聖書協会に転貸しておりました分につきましては、これは学校から返還を受けまして、国から同協会に買し付けるように手続をいたしました。  なお愛知大学経営しております工場については、これは閉鎖してただちに建物内の機械設備も撤収せられ、改修の上講堂に使用しております。これもそのまま使うことを認めております。ただ余剰施設と認められる分があるように思われますので、この点については文部省と相談いたしまして、学校当局として必要かくべからざるものだけを残すという方針で、ただいま折衝中であります。以上であります。
  14. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 当局意見は開陳せられました。御質疑ありませんか。
  15. 田中角榮

    田中(角)委員 三四九に対して会計検査院ちよつと注文だけいたしたいと思います。批難事項が非常にたくさん並んでおりますので、当然三四九に対しても、いわゆる違法である、処置当を得ないということでもつて、ここに登載せられたと思うのでありますが、会計検査院がいわゆる生きた検査を行うという建前であるならば、この三四九などは、あまり不要にお取扱いにならないような方針をとつていただきたい。この三四九と三四八は、全然性格が違うものでありまして、日本的な立場から考えて、三四九は、法規にはいわゆる管理当を得ないものとして、純理論からいつて批難せらるべきことであるかもしれませんが、現実的には、批難せらるべきことでないと考えておりますので、こういうようなことにあまりお力をお注ぎにならないようにしていただきたい。私が申し上げるのは、三四九に比べて三四八、三五〇、三五一というものは、非常に大きな問題であります。こういう旧軍事施設転用ということに対しては、大蔵省もつと積極的なる御処置考えていただきたい。これは現在国民が重税で困つておるときに、国有財産の拂い下げ、それから賃貸というものが非常に不明朗であるということは、当然講和会議でも終つたら、相当な問題になつて取上げられるものであると思つております。その意味において、国民負担を少しでも軽くするためには、有効適切に、このようなものは妥当なる値段をもつて拂い下げて、そうしていわゆる減税その他の面に働くような拂い下 げ方法をとつていただきたい。これは私たちが考えるのに、こういういわゆる特殊物件が非常に厖大なものであり、かつ明治初年から戦争直前まで、大きな国費を投じられたものであつて、これが現在全然国家的目的に合わない不要の土地であり、建物であるという場合には、これは少くとも早く処分をいたしまして、これを国家に還元せしめるというような考えでやつていただきたい。このような状態をずつと続けて行く場合には、換金がただちにできるようなものでも、当を得ないために、ある一部の局限せられた者だけが使用し、しかもそれが完全に利用できないということは、国家的な立場から考えても、相当大きな損耗であると考えるのでありまして、ひとつ特段の御注意を促したいと思つておるであります。
  16. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 政府側の御答弁ありますか。
  17. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいま田中さんから御指摘の点、まことにごもつともでありまして、われわれといたしましは、先ほどもすでに申し上げましたように、できるだけこれを有効な施設の方に転用するということで進んでおるわけであります。今までのところは、非常に残念なことでありますが、とにかく軍事施設というものは、ある意味においては、終戦後は不経済施設でありまして、また何といいますか、一つ余剰施設というような観を呈しておりました次第で、その希望者も割合に少いというような状況であつたわけであります。幸いにして朝鮮事変後、最近地方産業の復興とともに、こういう施設につきまして、だんだんと利用者ができて来るような状況でありまして、今後ただいま御指摘のような点にできるだけ沿うように、転活用を促進したいと考えておる次第であります。
  18. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 会計検査院からもありますか。
  19. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 田中さんの会計検査院に対する御希望、まつた同感であります。三五〇号、三五一号、これは私ども実は、波及するところの大きい相当重大なものと考えております。  三四九号でありますが、これは一応検査して参りますと、当局者が何もしてなかつた、ほつたらかしておいた。それでいろいろ御注意したり、事故処理に御協力したりして、その結果がここに上りまして、文章にいたしますと、同じような長さになりますが、内容的には田中さんと同じような考えを持つております。それからその後の事後処理についてこれは管財局長からお話がありましたが、県に買つてもらつて、県で経営していただく、こういうことでやつて参りまして、価格等について相当つつ込んだ御相談を受けたのであります。もう一歩で県の方にお譲りするという段階にまで行つたのでありますが、あいにく震災のためにそのままになりまして、正式の貸付ということに変更いたしまして、処刑は一応現在の段階では済んでおります。先ほどの田中さんの御意見は、私ども同感であります。
  20. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまの会計検査院側の細説は、どうもふに落ちないと思うのであります。ここの三四九号は、会計検査院からの報告の方が正しい。今の意見は、それからそれるような気がいたします。第一、三四九号の田母沢御用邸につきましては、観光協会がこれを借りている。それで観光協会が非常に利益をあげて、その五割を徴収したり、日光御用邸については、二十二年十月十五日以降日光パレスホテル、こういうものが私的な経営をやつておる。そしてそれをしかも今日まで放置して、これは何らの賃貸契約にも何にもなつていないということを、会計検査院指摘されているのであるが、これは指摘する方が最も正上いのであつて、これに軽重の差をつけて、これは大したことじやないというようなお考えは、けしからぬと思うのであります。また県に貸したものも、今まで成規手続をとらずに貸してあつたのを、今度は県が借りて、何とか観光ホテルに貸すというようなことをやられては、同じことじやないか、不正は一ぱいここから生れて来るのであります。ですから、こういうものは、たとい県に貸し付けられる場合でも、成規手続をとり、そうしてその使用目的に対しては、公共の利益にかなうような、何とかそれ相当のいろいろ適当な用途を考えてやられることが当然だと思うのであります。一体この日光国立観光株式会社ですか、元栃木観光協会などというものは、旅館兼貸席業を営んでおる。こういうところの利益配当とか、こういうものの社長とか専務とかいうのは、一体だれがやつておるのですか。ちよつとお聞きしたいと思います。
  21. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 三四九号でありますが、これは会計検査の際に、何も当局者処置をとつていないというので、検査院で見つけまして、そうして成規手続をとらせるような方向行つたのであります。まず第一段の処置としては、これは売り拂つて県に買つてもらつて、国の手から離す、こういう方向に進んでいたのであります。それが震災関係でできなくなりまして、会計検査院が見つけました当時は、何もしていなかつたが、現在では成規貸付手続をとつておりまして、井之口さんのおつしやる方向に行つたわけであります。今の段階では、万全のものではないかもしれませんが、直つたわけであります。それから県が商売人の観光株式会社とかいうようなところに経営させるというのを、国が成規手続もとらないでほつたらかして料金などとつていたという点を責め立てているのでありまして、これは会計検査建前としては、当然やらなければいけないことで、これをここに書いてあるわけですが、会計検査院検査の結果の注意によりまして、当局もその方向に行つておるわけでありますから、どうぞその点御了承願いたいと思います。  それから観光協会が一応対象になるわけでありますが、観光協会は、県知事名誉会長、それから副知事会長になつております。それから田母沢会館日光国立公園観光株式会社、これは代表取締役が船田中さんでしたが、後追放によつて二十四年一月辞任されております。あと金谷ホテル経営者取締役になつておるわけであります。配当関係は、今ちよつと資料を手元に持つておりません。
  22. 井之口政雄

    井之口委員 その処置をとられて、成規手続によつて賃貸契約になつておるそうでありますが、これは入札によつておるのですか。すでに前に借りておるのですから、ただその既成事実を認めて、形式だけの賃貸料というようなものを決定したのじやないですか。賃貸料の点などは、どういうふうに会計検査院では査定なさつておられますか。
  23. 吉田晴二

    吉田政府委員 賃貸料は、政府の方でとるものでございますので、政府でとつておるのでございますが、土地が大体十万円、建物について六十万円とつておるわけであります。期間につきましては、この使用料相当する期間でございまして、こまかい内訳が出ていないのでございますが、田母沢御用邸本邸については、二十三年十月から二十五年三月までの一年半の間のものをとつておるわけであります。
  24. 井之口政雄

    井之口委員 御用邸つた相当のものでしようが、どのくらいの坪数ですか。
  25. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいま土地坪数建物坪数ははつきりしておりませんが、実際の状況を申し上げますと、田母沢御用邸本邸につきましては、維持費相当かかるわけでありまして、なるほどりつぱな御殿ではございますが、利用価値としては非常に低いというものでございます。附属邸も大した利用価値はございません。一番利用価値のあるのは、日光御用邸かと思うのでありますが、これも御用邸としての建築でありますので、最近は洋館建でないと外国人向きとしては経営が成り立たないという点から申しまして、それほどの利用価値はないと考えられるのであります。
  26. 井之口政雄

    井之口委員 これは聞けば聞くほど奇々怪々の感を抱くのであります。約一年半でこの建物賃貸料が六十万円、しかも皇室が持つてつたところの、こうした実に堂々たる建物が一年半で六十万円というと、ただみたいなものである。しかも私企業の社長、副社長を、県知事並びに副知事がやつておる。これは私的な関係においてやつておるのだろうと思います。当然官吏としてやつておるものではないと思う。してみると、県知事並びに副知事は、その職を利用して、こうした国家財産自分私利私欲のために使つておるとも判断される十分の嫌疑があるのであります。この点もつと詳しく、どういうふうに処置をしたか、この点について、なお政府並びに会計検査院の方からの報告をお願いしたいと思います。これが入札によつてここに貸したものであるかどうか、その貸すときの状態と、今日ただいまどうなつておるかというような点について、ひとつ報告書を出させていただきたいと思います。いかがなものでしようか。
  27. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申し上げます。あと理事会に諮つた上でなければ、ただちに取捨選択できません。さよう御了承願います。
  28. 井之口政雄

    井之口委員 私は理事にも入つておりませんし、共産党は理事からオミツトされておりますので、もしこういう重大な問題が、やみからやみに葬られてしまうということになりますならば、国民ははなはだ疑惑を持つ次第であります。もし正確なる報告書が出されぬというのでありましたならば、本委員会において、あくまでも詳細なる点に至るまで、納得の行くまで、ひとつこれを審査してみたいと思うのですが、発言を続けて、こまかな点まで一々してよろしゆうございますでしようか
  29. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 井之口委員にお諮りいたしまするが、あとたくさんありまするから、最後におまわし願つたらいかがでしようか。あとがつかえておりますから、進行が遅くなつてもいけませんので……。
  30. 井之口政雄

    井之口委員 それでは本会期が終つてしまいます。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  32. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 速記を始めてください。
  33. 上林與市郎

    ○上林委員 今の問題につきまして、ちよつとお伺いいたしますが、今の説明を伺つておりますと、利用価値が少いという説明なんですが、私ども常識的に考えてみましても、土地の約一万三千坪、建物の五百六十七坪というようなものは、これは相当利用価値があると私は考えます。その証拠には、報告書の末尾を見ましても、経営をして純益金の五割を徴収しておるということもうたつてあるのです。なお相当の収益をあげている状況であることも、報告をされております。これを見ましても、利用価値がないというようなことは、軽々しく断定できないのじやないかと思う。そこで私は、「相当の収益」という内容を、ひとつ具体的に明らかにしてもらいたいと思います。それから「純益金の五割」、これは一体どこに帰属して、どういうふうに使われているかという点、この二点を具体的に明らかにしてもらいたいと思います。
  34. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいまのお話でございますが、この日光御用邸につきましては、先ほど御説明いたしましたように、なるほど広大な土地はあります。しかしこの土地というのは、これは昔ここでもつて、天皇陛下が植物を採取されたような、一種の植物園をも含んでいるわけであります。何といいますか、ただささが非常におい茂つているとか、そういうような、一種の、林とまでも行きませんが、灌木があるという土地相当広いのであります。それから建物についても、なるほど御殿の方は非常にりつぱでありますが、それ以外のところは、相当古いものでありまして、いわゆるただだだつぴろいというようなものでありまして、一般の族館経営に適するとか、あるいは料理屋になるとかいうような種類のものではないわけであります。ここに「純益金の五割を徴収し」とありますが、もちろん純益金が出たならば、その益金の五割を徴収するというので、純益金が五割という意味ではないと思います。(「それは国家の方でとるのか」と呼ぶ者あり)これは栃木県が徴収するのであります。そのときには、栃木県が貸付をしておつたわけでありますので、一応栃木県が徴収する。そこで、それはぐあい悪いので、それは国家の方に納めさせるとうことで、これを国家の方へ徴収するという措置をとつたわけであります。なお「相当の収益をあげている」という点につきましては、実はわれわれの方では資料を持つておりません。
  35. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 検査報告に書きました「純益金の五割を徴収し」と、最後の「相当の収益をあげている状況である」その点をちよつと御説明いたします。これは田母沢御用邸は、観覧料をとつて見物させておるわけであります。それが純益金が二十二年度で十万五千七百四十五円……。
  36. 井之口政雄

    井之口委員 それは観覧料がですか。
  37. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 いや、観覧料の純益金でございます。これは二十二年度は一人十円ずつ、二十三年度は二十円ずつとつております。収入はございますが、経費がかかりますので、それを差引きました純益金を今申し上げたわけであります。これを県が七割、経営者協会が三割というふうにとつております。  それから旅館の方ですが、田母沢会館は、田母沢御用邸附属邸であります。これが二十三年度全体で申し上げますと、純益金が六十五万四千円ほどになつております。これを県が五割、協会が五割ということになつておるわけであります。  それからパレス・ホテルでありますが、これは二十二年十月に開業しておりますから、二十二年十月から二十四年三月までの累計で申し上げますと、八十三万六千円ほどの純益になつております。これは実は金谷ホテル経営しております。純益金は協会金谷ホテルで等分するようにというのが県の指令になつております。この期間国有財産を使われておりながら、全然成規手続をとつておりません。今申し上げましたように、県と経営者というもので、直接利益をわけていた状態でありまして、それで私どもとしては、売り渡すなり、あるいは成規貸付をして、適当の貸付料をとるなりするのが妥当ではないか、こういうふうに考えるのであります。
  38. 上林與市郎

    ○上林委員 これは二十三年度の決算報告の問題でございますが、私の希望する取扱いができるかどうか、ひとつつてもらいたいのです。それは二十二年の十月十五日以降は日光パレス・ホテルで経営されておりますので、その後の経営の実情、これを何とかひとつ参考のために御報告願えないものでしようか。委員長の方でおとりはからいを願いたいと思います。
  39. 田中角榮

    田中(角)委員 私はこの問題は、当然国の財産であるので、国が使用せしめる場合は、使用料をとらなければならないのに、成規手続をとらざるために、差配であつたところの栃木県が、国にかわつて家賃を徴収したというようになつておるのでありますから、これは後学のために調査を行いたいということであれば、非常にごもつともな御意見でありますが、批難事項も非常にたくさんあるのでありますし、私の考えでは、政府が早急にこれを売り拂つて、適当な価格を国庫に収納することが一番妥当な方策である。こう考えますので、当委員会としては、早急に栃木県をして買いとらしめるように政府に要望して、そして次の項に移られることが至当だと思います。
  40. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは速記を始めて。本件に関しましてはいろいろ各委員からも御質疑がございましたが、政府からも一応の報告を追つて出していただくことにいたしまして、次に移ります。  八十九ページ、批難番号三五二、物品を詐取されたもの—本件につき説明を簡単に願います。
  42. 吉田晴二

    吉田政府委員 本件は検査院の御指摘になりました通りの問題でありまして、まことにこれは遺憾なことであります。責任者に対しましては、今後かかることのないように厳重な注意をいたしたわけであります。  なおこの転売をいたしました井上並びに岡田両名については、これが発覚したために告発され、すでに刑も確定しております。財務部としましては、本物件が他に転売されており、回収不能でありますために、その弁償金として四十三万五千五百四十四円を納入するよう告知書を発行して取立てをいたしましたが、相手方はそれに応じませんので、法務府に取立て方を依頼した結果、ようやく井上の方が十五万円、岡田の方が二十八万五千円を拂うことによつて和解が成立し、これを井上の方はすでに完納いたしましたが、岡田の方はなお残金二十五万円残つておりますので、さらに和解の條項に従つてこれを支拂うことになつております。以上この物品売渡しについて注意を欠いておつたことはまことに遺憾でございまして、今後こういうことのないように、十分注意をいたしたいと思つております。
  43. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 質疑がなければ、次に移ります。  引続き財務局関係批難事項をこの際審議いたしますので、御了承を願います。  報告書百五十ページ、財産税等収入金特別会計、歳入、批難番号四四六、物納財産に対する使用料の徴収決定を遅延しているもの、及び同特別会計、歳出、批難番号四四七、物納財産売渡特別手数料の支拂に当り処置当を得ないもの、右二件を一括説明を願います。右に対し検査院当局に何か意見がありますれば、ごく簡単に願いますが、まず政府から説明を求めます。
  45. 吉田晴二

    吉田政府委員 四四六は、これも検査院の御指摘通りで、まことに遺憾な次第であります。私どもといたしましては、物納財産については、なるべく急速に売り拂うということで来ております。一ぺんこれを貸付いたしますと、なかなか売沸いが澁滞するというような点で、躊躇しておつたように思われるのでありますが、最近大体この売拂い処分の困難なものがはつきりして参りましたので、こういうものは思い切つて貸付するということで、ただいま整理中でございます。  なお四四七号につきましても、この金額につきましては、一応二千五百円ずづ支拂つてつたのでありますが、これも多少弊害が伴うように考えましたので、一律に二千五百円を支拂うのでなく、一万円以下が一〇%、三万円以下が七%、五万円以下は五%というふうな率によて支拂うというように改正いたしました。
  46. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 会計検査院側の御意見がありますれば、簡単に願います。
  47. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 四四六号でありますが、これは政府側が、全面的に検査院の批難の趣旨をくんでおられるので、特に申し上げることはございません。  四四七号でありますが、これは物納財産売拂いの特別手数料というので、やはり信託会社へ——比較的小さな会社が多いのでありますが、非常にたくさん拂つた。しかもその拂う標準と申しますか、基準が適当でない、こういう趣旨の案件であります。これは小さいものになりますと、定額で五%という率を拂うほかに、二千五百円ずつ乗せますので、せつかく財産を売り拂つても、国の手取額がない、こういうような結果を来しまして、これはプールをして計算しておりますので目立ちませんか、  一件々々考えますと、そういうような結果を来すことにもなるわけであります。二千五百円乗せますから、かりに五千円とか六千円というような財産になりますと、これは非常におもしろくないではないかというので、検査の結果御注意申し上げまして、その後はかえて、率によつておやりになつているようでありますが、ちよつと見て、非常に不合理な感じのする取扱いだと考えてこうしたわけであります。
  48. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 質疑はありませんか。
  49. 田中角榮

    田中(角)委員 物納財産に関連して、ちよつとお伺いしておきたい。物納財産で、非常に安く納入した住宅地を、非常に高く評価しておるということがあるのですが、これはどういうふうなものさしをもつて、おはかりになつておるか。というのは、こういうように批難されている物件の、ある特殊なものに対する拂下げ、譲渡、賃貸は、われわれが考えても、措置当を得ないというくらい安いものがありまして、現在東京都内のものは、坪当り三百円から三百五十円くらいで収納したものを、二千円以上でもつて拂い下げておるが、これは私は非常に間違つておるのではないかと思う。もちろんこのようにして国家財政の足しにするというならばよいのでありますが、とりやすい零細な人からうんと高くとり、相当財産価値のあるものは大ざつばにこれを処置してしまうというようなことがあるのではないかと思うのです。しかもこの土地に対して、私は現在新宿区でありますが、元の麹町区内等は、われわれ財産税を物納した場合の価格は、三百五十円か四百円だつたのですが、現在買い入れるには二千円以上でなければどうにもならない。しかも分納を認めないというようなこと言つてつたのです。しかも中には仲介業者が入つておる。仲介業者というのも、私たちは、あの程度のことをやられるのであるならば、公告をやつて基準を設ければ、仲介業者の必要もなくて拂下げができるのではないか、こう考えておるのですが、そういうようなことに対して、国有財産部でどういうふうなお考えを持つておられるのであるか。特に零細なるものについて、すでにある場合においては、法律をもつて争うと、全然売れないのではないかというような方法もとつておるのです。現在すでに居住権はありますし、地上権を全部出して買つておる。ですから、地上権を五千円も出して買つて、なおその上に二千五百円もとられると、七千五百円の土地になる。しかも小さな一区画ずつをそういうふうにしておるので、大蔵省当局にひとつ聞いてもらいたいというようなものが、たくさんあります。これはそのような拂下げ方法をとられる場合、どういうふうにしておられるのであるか、ちよつと伺いたいと思います。
  50. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいま、物納財産が、財産税納付の時には非常に低い額であつたけれども、実際売り拂うときには非常に高くなるのではないかというお話でありますが、国有財産処分というものは、その時の時価によるということになつておりますので、なるほど物納した二十一年の三月には非常に低い価格であつたけれども、それが最近になつて参りますと、土地の値上りによつても非常に時価が高くなつておる。従つて特に法律の規定がない限り、これを時価以下で処分するわけに行かないというのが、一応の原則であります。  なお延納の点につきましては、旧軍用財産貸付及び譲渡の特例に関する法律で、確実な担保があり、利息を付する場合には、三年以内の延納ができることになつております。ただ非常に金額が小さい場合には、これを特に延納にするということも、両者ともにめんどうなことでありますので、できれば現金で即納していただくという措置をとつて来たわけであります。しかし最近の状態を見ますと、だんだん売れにくい非常に零細なものが多く残つて来ておりますので、場合によつて、最近の状況によりましては、月賦販売的な、いわゆる月割的な方法を採用いたしまして、毎月の調定をいたしまして収入するというような方法も今後はとることにいたします。そういうことで歳入をはかつております。  なおただいまの、いわゆる仲介業者と申しますか、委託売拂い業者の点につきましては、いろいろ弊害もありますので、十分な監督はして来ておるわけでありますが、ただ役所の方の仕事といたしまして、非常にむずかしいことは、非常に零細なものが多いことと、これに対して、かりに役人が行つて話をするにいたしましても、晝間行きましても相手がいない。ことに、これはやはりある程度まとまつた話でありますから、細君がいても話にならない、どうしても主人がいなければ話にならない。会社に勤めておるような人でありますと、帰つてから晩に行かなければならぬというようなことになりまして、役所の仕事としてやつて行きましても、どうも話が進みにくいというようなことで、その話のできるまではこの業者にやつてもらつてあとの現金収入の方は役所でやる。しかも月割に、できれば二、三年以内の延納も認めるというような方法で、整理を促進したいというふうに考えております。
  51. 田中角榮

    田中(角)委員 簡単に希望だけ申し上げておきます。私は議論をするために言うのではなく、適切なる国有財産の拂下げをしていただきたいということを基盤にして申し上げるのですから、御留意いただきたいと思います。それは今こういうものの実際の拂下げに対して、民間の力をお使いになる。これは私がこの前の委員会にも申し上げました通り、所得層の把握とか、そういう問題について、徴税の面にもお使いになつたらどうかということを、一歩前におやりになつておるのですから、たいへん適切だと思います。ただこれをやつておるのと比較して、ある面においては非常に脱けておるのではないかということが、同じ隣接しておる土地にあります。これは例の昭和二十一年の、いつでございましたか、いわゆる戦災地の特例というような土地に対して、今物納しておりますので国有財産になつておる。それを知らないで、ある人が戦後地上権を買つた。ところが既得権がありますので、その人が家を建てる、これは裁判を行わないで、ばたばた強引に建ててしまつた。この場合には、裁判を行わないし、地上権というものを一応ブランクにした場合、これは物納されておるのですから、当然地上権の争いがある場合には、大蔵省が中に入つて、いずれでもよいから、私どもが拂い下げる価格でもつて買える人にやるというような妥協の道があると思う。こういう問題に対しては、国有財産を不法占拠されておる、これを何年間も家を建てさせながら処分をしない。そして十の区画があるうちに、二つの区画に家を建てている。それを処分しないので、三つも四つも建つてしまつて、現在では全部建つてしまつている。私もそういう土地を持つておるのです。不法占拠としていわゆる仮処分をしてくれと幾ら言つても、しない。しないから、強引に家を建ててしまう。現在とかく地上権を買つて家を建てておる人が、法律的な争いを起す。いわゆる国が強制的に買入れをやつた場合は、われわれは二十年ないし三十年も地上権を持つておるのですから、それ以後にならなければ買えません。実際好むと好まざるとにかかわらず、金がないから買えませんという手を打てば、国有財産の拂下げはうまく行かない。それを、とにかく土地の人が入つておりますので、まあまあ妥協というのでもつて、二千円ないし二千二百円ぐらいでもつて治めております。これはいいことかと思います。と同時に、その近くにある不法占拠されておるところに全然手を打たぬということは、当を得た処置ではないと思うのですが、これが現にたくさん都内にあります。こういうものに対しては、特別公平なるおとりはからいを願いたいという希望だけ申し上げておきます。
  52. 井之口政雄

    井之口委員 四四七号の、手数料の支拂いに当り処置当を得ないものでありますが、これは二十四年一月から三月までの間の調査になつております。これ以前またはこれ以後の分にも、やはり特別手数料というものが支拂われているのかどうか。この期間でやられたものは、正規の分三千万円で済むべきものに五千万円からの過拂いがなされているわけでありまして、これは、正規の手数料以上にこんな厖大な手数料が支沸われておる。これは第一信託外三十八の銀行業、金融大資本家を非常に援助したところのやり方である。これに対して、国民が、そんなばかな話があるものかというようにお考えになるのは当然でありまして、ただいまの田中委員の話でも、不当な事実がたくさんあげられておりましたが、これをこうした信託会社におまかせになりまして、信託会社が分割で売るなり買うなりして来れば、それが実際消費者に渡る場合には、うんと高いものになつておる。しかも国家は、それによつて何ら利益を得てはいない。信託会社は、特別手数料をとつた上に、またこれの処分によつて非常に大きな利益を得るということも、やみ操作をやればこれは十分可能であります。この点を、政府としてはどういうふうに防止されるか。国家自身がこれを直接販売する、直接売り渡すというふうな方法はできないものかどうか。
  53. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、これは別に直接の売沸いを禁じておるわけではないのでございまして、買う人の方で直接国と契約したいという御意見があれば、その通りにしているわけでございます。ただ買う方でもその委託業者を利用してやろうという場合に、こういう措置をやるわけでございますので、特に御心配の点はなかろうかと思うのであります。  なお、こういう制度は全然とらないではどうかというような後段の点かと思うのでありますが、その点は先ほどちよつと申し上げましたように、処理を促進するかどうかということに問題がかかつているのでありまして、なるべくならば物納財産というものは、財産税特別会計のある間に処分すべきもので、できるだけ処理を促進させたい。先ほど申立上げましたように、非常に零細なところに参りますと、晝間はその責任者がいない。どうしても晩にゆつくり話しないと、それもたびたび足を運びませんと、ほんとうに不動産を買う気にならぬというような状況もありますので、ある程度やむを得ずこういうことをやつて促進するというようなことにいたして参つた次第であります。
  54. 井之口政雄

    井之口委員 一月から三月までの間で、これだけでしよう。そのほかはどうなんですか。
  55. 吉田晴二

    吉田政府委員 従つて二十四年三月以降も、やはりこの制度は続けておるわけでございます。ただ金額につきましては、ただいま手元に資料を持つておりません。
  56. 井之口政雄

    井之口委員 特別手数料も支拂つておりますか。
  57. 吉田晴二

    吉田政府委員 特別手数料も支排つているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、一件につき二千五百円というような均一的なものにいたしませんで、五万円から三万円までは五%、三万円から一万円までは七、一万円以下は一〇%、そういうような率に直しまして、先ほど検査院の方から指摘されましたような不合理が起ることを是正したということでございます。
  58. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、売上げ価格の五%を引上げたということになるわけですか。これを訂正したというふうに感ぜられるのでありますが、会計検査院は、その後のやり方に対して満足されるのでありますか。後の問題に対しては、会計検査院政府側との問に、意見の齟齬はないのでありますか。
  59. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 井之口さんの御質問でありますが、これは会計検査院注意によりまして、その後率だけの手数料に変更したのであります。ただ雑品の売拂額の小さいものが比較的高率になるのは、ある程度やむを得ないかと思うのであります。大きなものと非常に小さいものとの売拂いの率を、同じにしなければいかぬというのは、あるいは実際に適合しないという面もございますから、率を安いものほど比較的高くする、こういうようなことで改正されましたので、その点は、現在では私どもとしては認めているわけであります。二千五百円という定額を五%の上に全部乗せますので、たとえば三千円以下の売拂いになりますと、非常に高い手数料になつてしまいまして、極端な場合には金をつけてやらなければいかぬというような不合理なことにもなりますので、これを批難したわけでありますが、率にいたしますと、そういう不合理なところはなくなるわけであります。
  60. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、もしその新しく訂正した率をもつて、この一月から三月までの期間をやり直したといたしましたならば、一般手数料以上につく特別手数料は、どのくらいの額になるのですか。ここには二千五百円のやり方でやつて、約五千万円普通手数料以上のものが出ております。これがどれくらいの特別手数料に当ると御計算になりますか。
  61. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 今の井之口さんの御質問でありますが、これは実は件数も相当多いのでございまして……。
  62. 井之口政雄

    井之口委員 いや、取扱つた部分の件数に対して……。
  63. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 それが相当多いのであります。実はこうなつております。五万円以下三万円を越えるものは売沸い価格の百分の五、これはここに言う従来のいわゆる正規の手数料であります。それから三万円以下一万円を越えるものは百分の七、一万円以下のものは百分の十、こういうふうに新しくきめたわけでありまして、これでこの一月から三月までの五千万円の定額手数料を拂つた分につきましての計算をやり直すということは、実はやつておりません。
  64. 井之口政雄

    井之口委員 会計検査院が批難しているところは、六億の売拂の中から八千万円という厖大な手数料をとつたところがいかぬというわけであります。しかるに、今の新しい率のやわ方でもつてすれば、かえつて八千万円以上になるやもわからぬ。名義は立つても、かえつて多くなるやもわからないのでありまして、その辺の計算がしつかりとできていないで、会計検査院が新しい手数料の基準率を承認なさるということは、そろばん合つて銭足らず、角をためて牛を殺すような結果にも立ち至ると思うので、その辺の明確なる算定なくしては、あとの率の引上げを承認するわけに行かぬのであります。
  65. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 ただいまの御質問でありますが、これは今申し上げました率からいいまして、当然非常に差があるのであります。と申しますのは、三万円以下一万円、結局三万円以下一万円以上になるものが百分の二ふえるわけであります。かりに三万円といたしますと、一番高いのが六百円であります。一万円以下のものになりますと百分の十で、百分の五よりプラスされるのが百分の五でありますから、五百円であります。一件二千五百円ずつ大小問わず乗せたものが、五百円とか七百円とか減つてしまうわけでありますから、全体の計算をいたしませんでも、非常に減るということは、これだけ見ましてもおわかりになると思います。私どもといたしましては、実は何千件と件数がありまして全国ばらばらになつておりますので、一つ一つの計算はいたしかねたのでありますが、一目見ればわかるわけでありまして、非常な軽減になります。定額に乗せますと、二千五百円の財産でありますと百分の百、それが百分の五くらいになりますから、その点御了承願いたいと思います。
  66. 井之口政雄

    井之口委員 使用料未徴収の分や、あるいは売拂代金の未徴収の分はありませんか。もしこれがある場合には、強制執行ででも、とれますかどうか。
  67. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいまの点は、どうも少しむずかしいように考えております。
  68. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは委員長から申し上げます。先ほど田中委員からも、政府当局に対して御希望があり、御忠告があつたわけでありまするが、事実物納財産に対しましては、たとえば在地などを五百坪とか千坪やりますると、その中には二十軒、三十軒、五十軒も家屋が建つておるわけであります。そういうものに対して、買えということを言つて来るわけでありますが、それには仲介業者、たとえば土地会社が入つておるわけであります。そういうものに対して、中には買う者もあり、中には金が高くなつたというわけで買わない者もある。前には二百円で物納したものが、五百円とか千円、二千円、つまり五倍ないし十倍、あるいはそれ以上に上つている場合には、非常に売れ行きが困難だと思う。こういうような場合に、もちろん時間もありましようが、そこに定住した者に対しては、多少穏便に取扱うように努力されておるかどうか、この際伺つておきたいと思います。
  69. 吉田晴二

    吉田政府委員 そこに住んでおられる者につきましては、たとえば土地の場合で考えてみますれば、当然その家屋の所有者という場合でありますから、借地権があるわけであります。これはめつたに例はないのでありまして、家屋に住んでいて、その家屋を買つてくれという場合はあるわけでありますが、その場合にはやはり従来その家屋に居住しておつたということ、ただいまのいわゆる一種の居住権と申しますか、そういうものは認めて評価をしておるわけで、その点十分考えておる次第であります。
  70. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 もう一点、委員長から御質問いたします。先ほど田中委員からも、御質問になつた通りでありますが、なるべくそこに住んでおつた者に対しては、便益を與えるということが、人情、道徳上必要だと思うのですが、これも一律一体に土地会社を仲介いたしまして、たとえば五倍に上つたから五倍で売らなければならぬという厳重な操作をなさいますか。あるいは場合によりましては、多少値引きをするとか、あるいは前側とか、うしろ側とか、中側とかいうようないろいろな点を勘案せられまして処分せられておりまするか。実情について簡単でよろしゆうございますから、御説明願いたいと思います。
  71. 吉田晴二

    吉田政府委員 これは先ほども申し上げましたように、時価で売ることが法律できまつておるのでありまするから、その時価以外のもので売ることは、一応できないわけであります。ただその時価の算定につきましては、もちろんその実情に十分応じた時価を評定すべきものでありまして、たとえば電車通りから非常にひつ込んでおるとか、あるいは家が非常にいたんでおるとか、土地が非常に、何といいますか、低地でもつて條件が悪いとか、そういうような事情については、もちろん十分これは考慮して評価をしなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  72. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。——質疑がなければ国有財産関係は終りまして、この際諸君にお諮りいたします。次は終戦理費関係に移る順序でございますが、この際特別会計の分を審議いたしたいと存じております。右御了承願います。  それでは報告書百四十二ページ、印刷庁特別会計、歳出、批難番号四三八、物品の購入に当り処置不当のもの批難番号四三九、印刷代金の支拂いに当り処置不当のもの及び批難番号四四〇、運送契約を締結するに当り処置不当のもの、以上三件を一括いたしまして説明を願います。印刷庁業務部会計課長呉藤君。
  73. 呉藤恒

    呉藤説明員 それではただいまの三件につきまして、御説明申し上げます。御説明に入ります前に、文字の間違いがございますので、説明書の方の文字を訂正させていただきたいと思います。四三八号の件につきまして、七十六ページの四行目、上から十七字目に「廃し」とありますが、これを「中止し」と御訂正を願います。それから四三九号でございますが、これの七十七ページ、終りから二行月の六字目に「記載したこと。」と打切つてありますが、これは「記載したものもあり、」と御訂正を願います。それから七十八ページの一行目の十字目に「ための労務人員増等に起因するもの」とございますが、これは「ため労務人員が増加したことなども一つの原因であつたもの」と訂正させていただきます。  それでは四三八号を御説明申し上げます。本件に取上げられておりますデキストリンは、御承知と思いますが、切手印紙の裏についておりますのりでございます。その原料は澱粉を使つております。このものにつきまして購入がみだりに行われた、しかも購入したものについて腐敗品が出たという御指摘でございますが、御承知のように印紙、切手のようなものは、必ず裏にのりをつけまして、使用される方が、最も簡単に使えるということが、必要でございます。印刷庁といたしましては、こうした企画があります都度に、必ずのり引きをやるという計画を、一応は立てておるのでございます。たまたまこの取引高税、印紙の製造の御注文は、非常に突発的なものでございまして、しかも納期を非常に急がれておりましたので、早々にのりの原料の手配をいたしました。当時澱粉は、御承知通り統制品でございまして、その割当を農林省からいただいておつたわけであります。ちようど印刷庁にありますのり引き機械の能力一ぱいのもの、その能力は大体三百二十四キロぐらいでありますが、それに該当する原料澱粉四百九十トンを農林省から割当を受けまして、割当のわくを業者に引継ぎまして、製造に着手したのであります。ところが、取引高税印紙の需要が、前にも申し上げました通り、きわめて急を要しましたので、のりを引いておりましたのでは、税法施行の日までに印刷の納品が間に合わないというような見通しがついて参りましたので、使用者の不便を重々お察しはいたしましたが、余儀なく発注者である主税局とも御相談をいたしまして、数量の多い低額の印紙につきましては、一時のり引きを中止をして、とりあえず発行するということで、製造に着手した次第であります。その後実際の需要に当つて見ましたところが、零種の御要望、地理的な需要の予定が大分狂つて参りましたので、引続き各券種につきまして大増刷をいたしました。そのために、さらにのり引きをしては間に合わないというような状態を継続しておつたわけであります。しかしながら、印刷庁といたしましては、前にも申し上げました通り、いつでものり引きをして、皆様の御便宜に供したいとふうことを考えておりましたために、デキストリンは、とりあえず在庫品として獲得をしておこう、そうして倉庫に準備をいたしておいた次第であります。ところが、たまたま二一四年の五月一日になりますと、取引高税印紙は使用せぬということ決定され、われわれとしましては、非常に苦労しましてとり置きましたデキストリンの使用は、道を失つたという事情に立ち至つたのでございます。かくしまして二十三年度末に残りましたのが、二百三十三トンという多量のものになつたのであります。これはもちろん検査院の御指摘通り、のりつけをしないというような計画で発足しましたときに、とりあえずデキストリンの購入は中止をするのが、一番よろしいのでございましたが、第一には、原料である澱粉が統制品であつた。従つて割当を受けるための日数も非常にかかりましたし、さらに割当を受けましても、その後これを製造するためには二、三箇月の期間を要しましたので、急場の間に合わぬというような事情を、あまりにも先深く考慮いたしました取越し苦労をいたしましたために、結果的に見ましては、かくも多量の在庫品を残すというような不手ぎわな購入を続けた次第であります。このことは、まことに御指摘通りでありまして、遺憾に存じております。なおデキストリンのうち、八十七トンは御指摘通り濕気を呼びまして品質が低下し、切手や印紙などの裏面ののり引き用としては、使用に耐えないような状態になりました。その理由は、いろいろございますが、このデキストリンの原料であります澱粉は、当時としては食糧事情が非常に逼迫しておりましたので、デキストリン用に充当する澱粉のごときは、最も悪質のものを引当てておつたのではなかろうか、そのために製品そのものも劣つてつただろう。さらに具体的に申しますと、その品質の程度は、有価証券ののり引き用としては、最低のものであつて、辛うじて使つていた程度のものでありました。と同時に、これを梱包いたします包装材料は、麻袋を使いましたが、この麻袋がきわめて悪かつた。こういうような原因が、吸濕の理由になつておるのであります。しからば、こういうようなものをなぜ買つたというようなことを、われわれ反省いたしたのでありますが、当時といたしましては、これ以外にはデキストリンを求める方法がなかつたのであります。当時としましては、これが最上のものであつたということで、余儀なく受入れをしておつた次第でございます。さらにいけないことには、印刷庁は、従来とも倉庫が十分ではございませんでしたが、滝野川工場の一部が戰災で燃えまして、本件のように予期しないデキストリンを格納する場合には、格納場所に非常に困難でありまして、仮倉庫に収納した。担当の者といたしましては、もちろん十分な注意を拂つては参りましたが、このような事情がありましたために、普通の程度の注意を拂いますならば避け得たでありましよう濕度を吸収しまして、このように品質を落してしまつたような次第であります。もつともこのものは、品質は低下いたしましたが、製品の包装用には使い得るものでありまして、これにももちろん流用いたしましたが、さらに長期間これを保管いたしますならば、いよいよ品質落すというおそれがございますので、当庁としても拂下げの方針でございましたが、売沸いの価格等について條件の折合いがつきませんで、余儀なくこれを年度を越しまして、検査院の御指摘を受けた次第であります。まことにわれわれとしても遺憾と思つておりますが、将来かかることのないように十分な注意をする考えであります。なお当時の責任者に対しましては、十分かかることのないようにというような、巌重な注意を與えております。  次の取引高税印紙でございますが、これも前のデキストリンと関連を持つております。非常に緊急な作業でございまして——この取引高税印紙の印刷は、平版印刷でやつておりますが、当時印刷庁では、このような種類の有価証券を、平版印刷ではやつておりませんので、予定価格の算出に非常に苦慮いたしましたが、たまたま日本銀行のA百円券が平版印刷になつておりましたので、その実績を類推し勘案いたしまして、印刷予定価格をつくり仕上げ、検査、封包作業の部分につきましては、場外作業に付した切手印刷の実績を持つておりましたので、それを勘案しまして、百面判百万枚当りインキ代五十キロ、従業員数を七百五十名と算定いたした次第であります。なおこれにつきましては、後に実績を調査しましたところ、インキの使用が四十九キロ、従業人員が六百七十名となつたのであります。請負業者が提示されました印刷代金の支拂請求内訳書に記載されております平版インキの使用量や、その従業員の人数が過大であるという御指摘を受けたのでありますが、これは昭和二十三年法律第百七十一号によつて、請負業者はきわめて詳細な内訳書を作成することになつてつたのでありますが、その書類が非常に複雑なものでありました関係上、書類の作成に非常にふなれでありまして、会社側からはしばしば適正でない文書が出ておりまして、その都度訂正させたこともあるのであります。本件につきましても、その後御請求を受けまして調査いたしましたところ、若干の事実が判明いたしたのであります。たとえば、印刷上必要とするインキのほかに、乾燥剤や溶剤などを、インキの中に記載しておつたというようなこともございます。それから取引高税印紙のように——これは若干専門的になりますが、紙一ぱいにインキをつけまして刷る有価証券というものは、あまりに民間会社に例がございませんので、そうした作業のふなれなためや、インキの使用量が多かつたこともある。さらに印刷庁から貸與いたしております印刷の版面、用紙、包装紙の授受や、製品を搬出入しますために使用した人員等も、印刷工と区別せずに計上してある。また当時非常に急がれましたので、製品納入を極端に急がせまして、本平ならば、経済的には貨物自動車に満載して発車すべきものを、とにもかくにも、でき次第若干ずつでも納入させたというような事態もございまして、発車回数、従つて従業員数が非常に増加したというようなこともあつたわけでありまして、こういつたことが、当庁の予定価格の内訳とは、必ずしも符号しないというようなことになつたものと思つております。根本的には、これは関係書類の作成になれておらなかつたという点ではないか、かように考えております。個々の記載につきまして、なるほどいろいろ御指摘がございまして、数字上でこぼこもありますが、印刷庁といたしましては、契約金額総体として、業者の見積り額を当庁の予定価格まで引下げるように交渉し、予定価格と同様の契約をいたしておるのでありまして、当庁としては、契約金額そのものが、予定価格を越えておらなかつたという点で、一応は納得した次第であります。ただ予定価格と支拂い請求内訳書の細部の比較を十分にやらなかつた点は、まことに遺憾な点でありまして、この点については十分担当の者に検討いたすように申し告げました。当時の責任者に対しては、特に作業官庁の立場におきまして、さらにこういうような状態がないように、長官から嚴重に訓告を與えておる次第であります。  最後に四四〇でございますが、これは印刷庁が使用上ますもののうち、パルプ及びみつまたの量が非常に厖大でございまして、この運送契約が非常に多岐にわたりましたので、その手続を簡素化するということの結果起きた問題であります。運送事務の簡素化、運送能率の増進をはかるために、運送賃金のプール価格を計算いたしまして、これを物価庁にお諮りしまして、     〔三宅(則)委員長代理退席、渕委員長代理着席〕 昭和二十三年八月二十三日、物五第五百四十号及び同年十二月十七日、物五第七百二十二号によつて、物価の例外許可価格を得ておるのであります。この例外許可価格によりまして、日本通運株式会社と運送契約をいたしたのでございますが、結果的に見ました場合には、個々別に運送契約をした方が、より安く行つたのであるという結果を生じたのであります。これは当初の計画と実際の運搬とにおきまして、若干事情の変更がごさいましたので、このような結果を生じたのでありまして、今後はこのような事情変更の場合には、応急の措置をとるようにいたしたいと考えております。これまた担当者に対しては、長官から将来かかることのないように、厳重な訓戒を與えておる次第であります。
  74. 渕通義

    ○渕委員長代理 本件に関する検査院側意見を求めます。山名検査第三局長
  75. 山名酒喜男

    ○山名会計検査院説明員 以上批難事項の三件につきましては、政府担当官の方から、詳細に経緯の御説明がありまして、批難事項の本院の趣旨に対しましては、まことに遺憾を表せられまして、また将来の点に対しましては、非常な愼重を期するということで、長官以下、印刷庁の経理については粛正されましたふうに見受けておりまして、格別にこれに付加して申し上げることはございません。
  76. 渕通義

    ○渕委員長代理 質疑がございます。
  77. 井之口政雄

    井之口委員 四三八号ですが、一千万円からののりを食べてしまつたという舌切りすずめのような話ですが、注文を出した年月と、不要だということが大体わかつた年月と、それがいつまでかかつて納入されたか、この三つの点をちよつと知らせてもらいたいと思います。
  78. 山名酒喜男

    ○山名会計検査院説明員 こまかい資料は手元にございませんが、一応この批難事項で申し上げておりますことは、ただいま政府担当官から話がございましたように、一応中止をするという方針をおきめになつたときに、大体それまでに三分の二程度入つております。三分の一程度が、客観的に見ますと、緊急措置して契約を解除する等の余地があつたのではないかという私の方の批難であります。ところが政府の方では、ただいま御説明のありましたように、デキストリンの入手について非常に困難があつた、注文してから製作までに約二箇月間の時日を要するというので、印刷庁ののり引きに対する将来の計画というものを非常に御心配になりまして、これまた物資の手当をいたされます方といたしましては無理からぬ点もあります。私どもの方といたしましても、この金額総体が損をしたというわけではなくして、少し買い込み過ぎたのではないか。買い込み過ぎても、それは当時の事情からいつて事業計画上必要であるということで、一応その事情は了承いたしたのですが、それを保管している間に吸濕して、品質もまずうございまして、悪くなつた。千百万円全体がなくつたわけでありませんで、品質が少し低下して、包装の場合ののりづけにしか使えないという品質の低下があつた。それも印刷庁の方から見ますと、大体倉庫がまずく、仮倉庫に入れたということで、客観的な事実の流れを見ておりますと、ある程度やむを得ないような事態もありますが、一面検査院の方の見方で行きますと、そこらのとろで緊急手配をして、何とかできるのではないか。政府の方では非常に先を心配されますし、私の方ではそのときはそのときで、また手配の仕方があるではないかということで、行政の問題と検査院の見方の問題で、多少そこらの寛厳の問題がございます。印刷庁の千百万円のデキストリンが、多少品質が低下した、その点については、倉庫の問題もありまして、事情としては気の毒ではありますが、将来を引締める意味で、かような措置も講ぜられるのではないかという批難をいたした次第でございます。
  79. 田中不破三

    田中(不)委員 今の問題について、それぞれ両者の間からお話があつたようでございますが、ここで一言ちよつと申し添えておきたいことは、とかく官庁におきましては、契約のときには非常に熱心である、一厘なんというものまでも、十分に御監査というか御検査なさつて、きめておられるようであります。ところが実際の購入につきましては、まつたく無関心であります。今の会計課長さん、あるいはその他の担当の係長さんあたりにしても、契約の書類がまわつて来るというときには、非常にこまかく見られる方もあるのでありますが、現実にどういう品物が納まつたか、どういう品物かということについては、とんと一つも御心配にならない。これは世間どこも、こういう類似のことについては、そういうふうになりがちであります。そうして検査院がお調べになると、いろいろとまずい問題が出て来る。今ちようどのりのこと、あるいは運送契約のことでありましたが、われわれが去年の暮に、郵便はがきを大分買つておるわけであります。そうしますと、これを縦に並べてみますと、紙のよし悪しがすぐわかる。これは紙そのものは、きつと印刷庁でつくるのでなしに、外部からお買いになつたんじやないかと思いますが、おそらく業者が、中に悪いものを大分まぜたのでしよう。われわれしろうとでも、紙のよし悪しは、長年扱つておればわかります。あちらこちらのをずつと集めて、数千枚、一万枚以上のものを並べてみまずと、束になつていい悪いが歴然と現われて来ます。それで現物を実際にごらんに入れて、実は御注意しようかと思つてつたのでありますが、今たまたまこういう印刷庁の関係の話が出ましたので、つまらない小さな話でありますが申し添えるのでありますが、実際の納入の品物について、十分な御検査をしていただきたい。これはもちろん納入の検査係か何かおられるでありましようけれども、しかしこれは印刷庁に限つたことでありません、ほかの省でも往々にして残念ながらそういうことが現われております。しかもそれが常に問題を起しております。印刷庁ももしほんとうに調べましたならば、またいろいろとつまらない事件も出て来るかと思われる。郵便はがきだけをとりましても、そういう問題になる紙がたくさん出ております。この点は十分に今後とも、課長さん自身が一々納入に立ち会うわけには行かぬでしようが、折々につれて、ときどきは課長さん自身が見られるのだというようなことを納入業者に示して、そういうことのないようにお願いしたい。一言お願いいたします。
  80. 呉藤恒

    呉藤説明員 お答えいたします。ただいまのお話は、われわれといたしましても、まことに日常痛感いたしておることでございます。なお帰りまして、長官初めに報告いたしまして、皆さんの御期待に沿うようにいたしたいと思います。  なお、はがきのことでございますが、紙の厚さは、すきのいい悪いで、非常に厚さ薄さがございまして、むずかしいものでございます。それからもう一つは、はがきの全量を印刷庁がすきますと、非常にけつこうでございますが、それだけの能力を最近持つておりませんので、一部分を王子製紙から納入させております。——部分を印刷庁でやつておりますが、こういう場合に、たまたまお手元に薄い厚いが参つたことであろうかと思います。なおどちらにいたしましても、厚さは同じにするように、作業面に努力させるようにいたします。どうもいろいろありがとうございました。
  81. 渕通義

    ○渕委員長代理 次に報告書百四十六ページ、専売庁特別会計、歳入、報告  番号四四一、放出たばこを著しく低価に売り渡したもの、同一般会計歳出、報告番号四四二、経費の年度区分をみだつたものの説明を求めます。日本専売公社経理局原価計算課山口説明員。
  82. 山口龍夫

    山口説明員 ただいまの四四一号、四四二号につきまして、一言御説明申し上げます。  四四一号は、ここにも御指摘になつておりますように、タバコの売渡し価格を間違えて売却したという、非常に珍しい事例でございます。どうしてこういうふうな珍しい間違いを起したかということでございますが、これは東京の本所の出張所長でございますが、本所の出張所長の家庭的な事情がございまして、本人の妻と子供が同時に病気であつた。特に子供の方は重病であつたというようなことで、出張所長が欠勤がちで、十分職務を見ておることができなかつたというような点があつたのでございます。この点につきまして、東京の地方局の出張所でありますので、地方局からの連絡の状況を見ますと、地方局の方では打合せ会議を開いておりますし、その他できるだけの措置をとつておりまして、当局の趣旨の徹底方につきましては、手落ちがないように考えられます。ただ、ただいま申しましたような出張所長の個人的な事情、それからこれまで放出タバコは、労務特配用にしか売つておりませんでしたのを、このときから一般自由販売用にもまわしたのでありまして、そういうような関係が重なりまして、非常に珍しいほどな間違いを起したという事情でございます。これに対しましては、東京地方局長に対しまして厳重に注意をいたしますとともに、当面の責任者でございます出張所長を免官にいたした次第でございます。  その次の四四二号につきましては、岡山の地方専売局で、岡山専売出張所の新築工事でございます。これも年度内に大体完成するという見込みのもとに、工事の契約をしたわけでありますが、その工事が、天候の状況等によりまして、多少遅延しておりましたが、年度末までには完成するという見通しで、年度整理の都合もありましたために、小切手を振り出しまして、それを官側において預金の形で保管しておりまして、できてから業者の方に渡すというような措置をとつてつたわけであります。これはもちろん会計規定で申し上げますと、年度区分をみだつたのでありますが、そういうような見通しと、それから正式の手続で予算繰越しをやりますと、支拂いの方が非常に握れるのではないかということを心配いたしまして、そういう措置をとつたのでりますが、翌年度に工事が繰延べになりまして、さらに悪いことには、当時の敷地関係で、そこに住んでおりました住居人が、契約で移転することになつてつたのでございますが、それがこちらからの催促にもかかわらず、いろいろな都合でなかなか移転ができないというようなことで、年度を経過して工事を継続するという結果になつたのであります。これも非常に遺憾なことでございますので、厳重に注意をしてございます。こういう次第でございます。
  83. 渕通義

    ○渕委員長代理 本件に対する検査院側意見を求めます。山名説明員。
  84. 山名酒喜男

    ○山名会計検査院説明員 第四四一号は、間違いました件でございますが、前に所長会議も開かれておるし、通牒も出ておつたので、所長としては、放出タバコが来るぞということを念頭に置いていなければならぬのを、すつかり失念しておつたという点で、八十四万円ばかり損失を出したということで、非常に個人的な偏差のある欠陥でございます。制度的な欠陷ではございません。  第四四二号の方は、各省とも、このような事例が多くありまして大蔵省でも、この点につきまして研究の上、年度繰越しを簡易な手続でやるというような措置をとられておりますので、将来は改善されると思つております。
  85. 渕通義

    ○渕委員長代理 質疑はありませんか。
  86. 田中角榮

    田中(角)委員 四四二号についてでありますが、年度繰越しということが、簡単に措置をとられるというのであれば、私は申し上げないのでありますが、こういうふうに工事の年度区分をやられますと、実際工事を行うのに非常に困るということと、もう一つは、昔は三月三十一日をもつて全部小切手を保管しておいて、それを他に流用したというようなことがありましたが、現在のところでは、工費が非常に上つて来ており、あらゆる物品の購入に対しても、一日々々に物は上つておると思う。いわゆる次年度に繰越しをやるために、別にまた財政法その他の改正をして、予算をまかなつて行かなければならぬというような事態も来るだろうと思います。法律第百七十一号というのは、今廃止になりましたが、こういうものを基準にして国費支弁の工事を行うということになりますと、これは非常に支出が増すということを心配しておりましたが、現在ではあの法律は廃止になつております。現在のままで繰延べ制度を行つているような場合、当然その責任官庁でもつて責任を持てるような場合には、これは法律的に厳密に要求せられれば、もちろん批難さるべき事項ではありますが、会計検査院として、こういうことに頭を使つているよりも、なお厖大な赤字を出している各種公団その他特別会計において、もつとメスを入れべきものがある。各省官房会計課長所管の工事費支出、これは明治からずつと一つの口座が設けられておりますので、会計検査院は、特にこういう官房会計課長所管事項などばかりにメスを向けておられるが、これは失敗があつても幾らでもない。私は前から、会計検査院の権限拡大とか、いろいろに対して、御協力は申し上げているつもりなんですが、会計検査院も生きた動き方をしてもらいたい。もちろん、こんな小さなものだから、過誤は許してよいということは、断じてありませんが、こういうものを列挙するよりも、もう少し大きな方面に力を入れられた方がよろしい、こういうふうに考えておるわけであります。  もう一つは、これは少し突き進んだことになるかもしれませんが、こういうことを批難するということの原因は、どこにあるかというと、現在の予算年度を暦年度にしろということを言つているのです。私がなぜこの問題を取上げるかというと、現在の年度区分におきましては、実際全国における三分の一の国費の工事というものは、ほとんど年度内にはできない。これだけはお考えになつていただきたい。三月三十一日で予算が通つて、七月ごろに本省の打合せを行う。七月から十月に現地で実施設計を行う。それについて本省に対して打合せをする。工事の発注は十月末から十一月になつてしまう。降雪期一箇月前ぐらいになつて工事を行う。厖大な工事が三月三十一までにでき上ろうはずがない。現在このようなことをはつきり言われると、二十五年度における公共事業の見返り資金でまかなつておるものは、令部二十六年に繰越さなければいかぬというようなことになりまして、このような場合は、当然かかる責任の衝にある人は、その年度の発注を、予算通過後三箇月だつたら三箇月以内に行うべしというような法律をつくらないと、実際行えないという煩項な事態が当然起つて来るのでありまして、こういうものに対しては、実情に即したようなお考えを持つていただきたい。私はあえて法律を歪曲して、いわゆる寛大なる処置をとれというのではありません。要は、法は運用のいかんによつてプラス、マイナスが確定するのでありまして、特に会計検査院に対して御注文だけ申し上げます。
  87. 山名酒喜男

    ○山名会計検査院説明員 ただいま検査院のあり方について御意見が出ました。おつしやいます御意見、ごもつともに考えられます。検査の目標につきましては、ただいまおつしやいますように、形式的なこまかいしつぽをつかまえてもしようがないので、もつと大きなところをとおつしやいますのは、ごもつともであります。検査院といたしましても、検査会議におきまして検査の重点というものを考えて、それをつかんでやつて行こうというふうにしております。  第一番目の、年度区分の問題も出しておりますが、私どもは、予算が通れば、予算執行に関して、できるだけ政府の承認なり、示達なり、実施計画なりというものを繰上げて、民間の請負業者が五月、六月ごろ手をあげて待つておるというようなことは、国としてもばかげた話で、年度区分のしつぽはつかまえておりますが、予算執行に関して手続をすみやかにして、早く適正な時期にやるように——北海道で、十二月になつて、雪の降つている中で工事をするというようなばかな話はないので、実質的な面をやつてつておるのですが、ここに申し上げます年度区分の問題は、終戦後の経費の乱れで、会計法規などはある程度蹂躪しても、行政上やむを得ないものはやむを得ないということから、公文書その他の取扱いの問題で、うそをつくことを公に黙つておるわけにはいかぬ。官吏の会計法規に関する心構えが直れば、こういうつた末のことで形式的に押えたくない、しかし当分乱れておるので形式的な点からたたいて直して行つたらどうかということで——二十三年度には、年度区分が相当できております、二十二年度には、年度区分がよくできませんで形式的なものでやつておりす。
  88. 田中不破三

    田中(不)委員 今、別の田中委員から御意見があつて検査院からも御答弁があつたようであります。田中委員のおつしやることも、別の角度から見ますると、ごもつともな点もありまするが、この年度区分は、私がこの前の会議でも申し上げました通り、まだできておらないもの、納入されておらないものに対する前拂いになつておるわけであります。この点は現在前拂いの制度ができておりまして、それが一応特に極端な批難もなしに認められておりまする以上は、やはりこの年度区分は——年度区分と申しますよりも、できないものに対する前拂いということがいけないのであります。現実にあとでしばしば問題を起しております。ですから、田中委員の言われるところにもごもつともな点はありますが、しかし一方には、現実におもしろくない結果の現われておることもしばしばある。その両点をお考えになつて、この前も申し上げましたように、今の繰越し使用の問題は、運用の点でこれを十分解決していただきたい、こういうふうにお願いいたします。
  89. 渕通義

    ○渕委員長代理 次に、報告番号四四三、工事の設計当を得ないもの及び四四四、過大な既済部分拂をしたもの、以上二件を便宜一括して説明を願います。江ケ崎建設省営繕第一課長
  90. 江ケ崎太郎

    ○江ケ崎説明員 御説明申し上げます。本件は戦災復興院官制第一條、続いて建設院設置法第一條、さらに建設省設置法第三條二十六号の、国費の支弁に属する建物の営繕によつて、専売局より支出委認を受けて施工したものであります。専売局名古屋工場の第一回工事は、株式会社鴻池組が請負い、第二回の建築工事は大成建設株式会社が請負つたのでありまして、昭和二十二年十一月に着工し、二十三年の八月に完成しておるのでありますが、完成後三箇月で、小屋組みにはなはだしい曲りが出まして、小屋組みの補強工事をしなければならぬというようなことになつたのでありまして、これは会計検査院で御指摘通り、工事の経験に乏しかつたところの変形小屋組みを採用しながら、その構造の強度計算に不十分な点があつた、すなわち私どもの設計の上において当を欠いたものがあつた、こういうことの結果でありまして、私どもといたしましては、従来営繕の担当工事は、構造計算において十分に注意をいたしまして、かかることがなかつたので、この事件につきましては、私ども非常に不名誉にも感じておりますし、まことに遺憾に存じておる次第でございます。本件の設計の関係者に対しましては、厳重に注意いたしますとともに、今後かかることのないように十分注意いたしております。  それから四四四でございますが、これもやはり建設省設置法の第三條の二十六号による国費の支弁に属する建物の営繕として、専売局より支出委認を受けて実施したものであります。これは会計検査院の御指摘通り、まことに遺憾に存ずるのでありまして、関係者に対しましては、厳重に注意処分いたしますとともに、今後かかることのないよう十分注意いたしておりますので、何とぞ御寛大の措置をお願いいたします。
  91. 渕通義

    ○渕委員長代理 本件に対する検査院側意見を求めます。
  92. 山名酒喜男

    ○山名会計検査院説明員 二件とも、建設省関係官の御説明通りでありまして、検査院として付加することはございません。
  93. 渕通義

    ○渕委員長代理 質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 渕通義

    ○渕委員長代理 次に国有物件報告番号四四五、葉たばこの管理当を得ないもの——本件に対し説明を求めます、日本専売公社経理局原価計算課山口龍夫君。
  95. 山口龍夫

    山口説明員 四四五号の問題は、昭和二十二年と二十三年、その後もやつておりますが、北海道においてバーレ一種の葉タバコを、主として農薬用に使う目的をもつて試作した問題でございます。この問題は、当時の食糧増産という点から、農薬を急速に大量に生産しなければならないというような農林省方面の要望に協力いたしまして北海道においてバーレー種を試作し、できましたものを農薬用とタバコ製油原料の補充として使用する見込みで始めたものであります。この最初の計画におきましては、農林省、それから農業会、北海道庁等関係機関の間でいろいろ論議が進められまして、専売局といたしましてもそれに協力したのでありますが、当初においては、農業会が農薬製造工場をつくりまして、一手につくるという計画で始まつたのであります。ところがその後におきまして農業会が御承知のように解散を命ぜられまして、当初の目標でございました農業会が農薬製造工場をつくるという計画が挫折したのであります。そのために善後措置といたしまして、新たに農薬製造工場をつくらなければならないということで、関係者間でいろいろ相談がありまして、結局答弁書の方に書いてございますように、たばこ興業と日本農薬という二つの会社をつくつたのであります。それで、この二つの会社が農薬を製造するということで、その工場の整備に乗り出したのでありますが、当時の資材状態その他によりまして、なかなか計画通りに進捗しないというような状態にあつたわけであります。ことにそういうような建設途上におきまして、大船にありました建物が進駐軍の管理に移されるというような問題、それから、たばこ興業の社長がたまたま病死したというような問題がございまして、なかなか操業が進捗しなかつたというふうに、計画の齟齬を来したわけでございます。そのために、できましたバーレー種の処理がつきませんで、相当長い期間にわたりまして保管せざるを得なかつたというような結果になりました。その間におきましても、農薬製造の方の仕事が進捗するように、いろいろ努力はしておつたのでありますが、そういうような事情で、なかなか計画通りに進捗しなかつたというような結果になつたわけでございます。そのために保管中におきまして変敗品を生じたり、あるいは一部盗難にかかつたというような問題が起りまして、検査院から御指摘を受けましたような結果になつたわけでございます。ただこの処理につきましては、その後の農薬製造の計画の進捗状況、それから製造に使えるかどうかというような鑑定の問題等ともにらみ合せまして、その後におきましては、すべて二十二年産葉、二十三年産葉を処理いたしております。変敗いたしましたものも、すべて農薬用原料といたしまして売り渡しておるのでございます。それから製造原料に使えますものは、製造用として使つております。それからどろぼうにあいましたものは、日本通運の倉庫に保管中のものでありましたので、日本通運に弁償させております。  大体以上のように処理いたしましたので、御了承を願いたいと思います。
  96. 渕通義

    ○渕委員長代理 本件に対し、検査院側の御意見がございますか。
  97. 山名酒喜男

    ○山名会計検査院説明員 本件は、ただいま経過を御説明になりましたように、ニコチン製造会社の方の事業計画が進捗していない間に、冬期収納した葉が腐り、あるいは一部盗まれ、無断使用するという結果を発生しておりましたことは、非常に遺憾でございましたので、それを批難いたしましたが、善後措置は、ただいま御説明のありましたように、賠償させ、あるいはまた弁償させ、売渡し契約を結んで処理するということで跡始末はついておりますが、一応経過においてなお十分な注意をいたせば、かような点は防げたのではないかという点を指摘したような次第でございます。
  98. 井之口政雄

    井之口委員 これは、何か私企業の会社で、ニコチン製造をやるのですか。そういうところは一箇所になつておるのですか。何箇所もあつて、それが競争入札か何かでこれを買い入れるのでしようか。一箇所がまだできなかつたら、ほかのところに売るとか何とかいう手段はないものですか。
  99. 山口龍夫

    山口説明員 これは当時食糧増産ということが非常に急で、農薬を急激に増産しなければならないということで、農林省方面におきまして、農業会にやらせるということになつていたと存じます。これは、もちろんそういうような手続でやつて行けば、何と申しますか、正当であろうと存じますが、当時の事情から、ニコチンの製造とい、うことも、日本でそう経験のあるものでありませんし、かたがた食糧増産ということに密接に結びついておりますので、ある程度損をしてもやらせるというつもりで、農業会にやらせたのではないかと思います。その後農業会がつぶれましたので、そのかわりといたしまして、たばこ興業と日本農薬というものをつくつたのでございますが、これも大体そういう系統でつくられたというふうに考えております。この関係は専売自身としては直接にはタツチいたしませんので、農業会とか、農林省関係に協力したという関係になつております。
  100. 渕通義

    ○渕委員長代理 次に九十ページ、終戰処理関係の分、報告番号三五三ないし三五七、過拂金の回収に関し処理不当なもの、以上を一括御説明願います。特別調達庁財務部長川田三朗君。
  101. 川田三郎

    ○川田政府委員 二十三年度終戦理事業費その他につきまして、検査院から当委員会に御報告になりました事項について、三五三から御説明申し上げます。  この件は、当時戦災復興院特別建設局において契約いたしましたものを、特別調達庁が事務引継ぎをいたしまして、その間契約の解除がありましたものを、内部の事務連絡が不十分でございましたために、この解除によつて概算拂額を回収すべきものを、当時の支拂額から差引くことなく、そのまま支拂いをしてしまいました。この点は、まことに検査院の御指摘通りでありまして、責任者に対しては、十分の注意を與えてございますが、その後の徴収状況につきましては、現在民事上の訴訟を提起いたしまして、国といたしましての債務名義はとつけ得たのでありますが、いかんせん相手方が業況が悪いために、現在強制執行をすべく法務府にお願いしてあるのでありますが、適当の財産等がありませんために、強制執行がまだ行われていない、こういう状態でございます。これはまことに事務の不手ぎわから、こういう事態になりましたことを、申訳なく存ずる次第であります。(「これはみなで幾らになるか、三百万か、三百八十万か」と呼ぶ者あり)現在過拂金は百六十六万五千三百円になつております。それだけが全然未徴収ということになつております。  三五四、これはやはり会計検査院の御報告通りでありまして、その間の事務処理の不十分であつたことは、申訳ない次第でありますが、この点は二十五年三月十日までに回収済みになつております。  三五五、この点も事務取扱者の不手ぎわでございまして、まことに遺憾でございます。会計検査院の御指摘通りでありますが、過拂額につきましては、現在回収済みでございます。  三五六、これは設計変更が原因になりまして、全額が当初契約額より減少いたしたのでありますが、結果においてその回収が完全に終らず、過拂額が現在千八十八万円、これだけが残つております。この点につきましては、鋭意努力をしておるのでございまして、東京都におきまして、現在この債務名義をとりつけるべく努力いたしておりますが、いまだその運びになつておりませんことは、まことに不十分であります。これはなおさらに東京都を督励いたしまして、法的の措置を講ずるとともに、その法的の措置を講じました金額については、その回収につきまして、全力を注ぐつもりでございます。  三五七、これも神奈川県において過拂いを生じたものでございます。その後当初の金額から一部分は返納いたしましたが、現在残つておりますものは、四百八十万一千八百五十八円四十七銭、この点につきましても、まことに検査院の御指指の通りでありますので、過拂いについては、鋭意その徴収に努力せしめたのでありますが、神奈川県においていまだ法的措置を講ずるまでに至つておりません。この点をやはり督励をいたしまして、一日も早く徴収の実をあげるようにいたしたいと思つております。当時の責任者に対しましても、厳重に注意をいたした次第でございます。
  102. 渕通義

    ○渕委員長代理 次に本件に対する検査院意見を求めます。
  103. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 終戦処理費の検査の総括的の概況、それをごく簡単でございますが、一応御説明いたしまして、今の個々の案件に入るのが、御審議の御参考になるかと思いますので、一言申させていただきます。  大蔵省所管終戦処理費の二十三年度の支出額は、千六十一億五千百余万円という相当大きな額に上つております。一般会計の歳出総額のうち二三%を占めております。これは従来の年度の比率に比べますと大分下つておりますが、ともかくも大きなものであります。前年度に比べまして金額にいたしますと四百二十億円余りを増加しております。これは物価が上りましたので上つたわけでありまして、実質的には、むしろ仕事は減つておるような傾向にあります。七億六千五百余万円を翌年度に繰越しまして、六億五千余万円を不用額としております。今申し上げました千六十一億余円の支出額のうち、会計検査院検査を終了することができませんで、未確認として処理いたしました額が、八十九億四千百余万円に上つておりますが、これはあとの二百八十一ページに計数が出ております。このようにたくさんの未確認、検査未了というものがありますのは、これは終戦処理費の年々の例でありますが、概算拂いの精算が済んでいない、そのために支拂額の当否の判定ができない、こういうものや、質問に対しまして、当局の回答が来ない、こういうような事由によつて検査ができなかつたのでございます。  なお今申し上げましたように、従来とも未確認が非常に多いと申し上げましたが、既往年度の未確認額中、本年度になりましてもまだ確認のできなかつたというものが、二十一年度分が四億五千六百余万円二十二年度分が三十一億六千三百余万円に上つております。これも附表の二百八十八ページから二百九十二ページに出ておりますが、年度別にわかれて出ております。これらが一年、二年たつて検査を確認することができないという理由は、主として先ほどと同じ概算拂いの精算が済んでいないために、検査が進まないのであります。終戦処理費の検査にあたりましては、本年度は、特に工事、物品というものについて、特別の検査班をつくりまして、一年中日本中で同じことを検査させる方針をとつて検査の徹底を期したのであります。検査の結果、経理につきまして処置当得をないと認められるものが、遺憾ながら実は非常に多かつたのでありまして、この検査報告に掲げてあるものが合計八十五件の多数に上つているのであります。個々の概要は次に御説明いたしますが、一応これを分類して件数の多い方から申し上げますと、物件の購入管理の処置当を得ないものが二十五件に上つております。官給材料の取扱い処置が当を得ないものが十七件、それから非常に遺憾なことでありますが、職員の犯罪などによりまして国に損害を與えたものが十一件であります。あとはいろいろ分類がございまして、六件、五件というようにわけられますが、詳細は省略いたします。結局八十五件の多数に上つておるのは、まことに遺憾なことでありまして、当時の状況から見ますと、なお経理上改善を要する事項が非常に多いという印象を受けたのであります。その後当局者も鋭意努力はされておりますが、二十四年度になりましても、まだ相当批難事項がございます。これは後ほど二十四年度のときに申し上げますが、まだ跡を絶たぬというのは、はなはだ残念であります。  これで簡単でありますが、終戦処理費の検査の結果につきまして、大体のお話を申し上げたわけでありますが、今議題になつております三五三号から三五七号について総括的にお話を申し上げておきます。  個々の案件につきましては、先ほど特別調達庁の方からも説明がございましたが、大体終戦処理関係におきましては、工事物件の調達は、御承知と思いますが、二十二年度末までは概算契約が非常に多かつたのであります。そこにいろいろな問題があつたのでありますが、この概算契約は、概算拂いをしていながら、精算が遅延するものが非常に多いのも、大きな弊害だつたのであります。二十二年度検査報告にも、この種の案件が相当出ておりますが、二十三年度検査報告といたしましても、概算契約のときに過拂いしてしまつたが、精算が遅れてその過拂金の回収に至らないというのが、相当多いのであります。その顯著な例としてここに五件を掲げたわけであります。これは特別調達庁外四箇所で、内部の事務連絡が不十分であつた、あるいは支拂い官庁が制度の改正によつて変更されたのに、その引継ぎを間違えたというような関係もございますし、また官給材料を一応業者持ちとして計算して、概算拂いで渡しておきまして、その後にこれが変更になつたというような関係で過拂いを来したもの、あるいは終戰処理関係の工事は、設計変更がいわばつきものというくらい多いのでありますが、設計変更がありまして契約金額が非常に減つた、今まで渡した概算拂いが過拂いの結果を来しているのに、そのままほつてつたというようなものを、ここに集めているわけであります。これらの案件につきましては、先ほど当局からもお話がありましたように、回収に努力をせられておりますが、中にははかばかしく行かぬものもあるようであります。
  104. 渕通義

    ○渕委員長代理 本件に対し質疑を許します。
  105. 井之口政雄

    井之口委員 およそ終戰処理費の使い方に対しましては、国民は非常な疑問を持つております。いろいろな新聞その他雑誌等において、ほとんど終戰処理費を取扱つている特別調達庁は状魔殿であるとまで言われております。これをもつと明らかにすることが、われわれ必要と思います。終戦以来、約四十億以上の金が使われている、それが大体概算拂いで出されているが、概算拂いで出されるものだから、結局よけい出し過ぎて、それの回収ができかなくなつて過拂いになるという部分が、ここに出て来ると思うのであります。ただいま総括的な御説明を承りましたけれども、この総括的な御説明だけでも、これは非常に不十分であると思います。会計検査院においては、この終戦処理費の使い方に対して、もつと詳細なる、全体に通ずる何らかの調書というようなものをお持ちになつていらつしやらないか、特別に会計検査院用として使われているようなものがありはしないか、そのもつと詳しい資料を得たいと思うのですが、これはどうでしよか。
  106. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 井之口さんお御調質問にお答えいたします。詳細な資料とおつしやるのですが、概況につきましての詳細な資料と申しますと、結局先ほど申し上げたことに若干の肉をつけるということになるのでありますが、その検査の結果摘出いたしました事項は実は八十五件もあるのでございまして、これ以外に、ここに掲げるほどのものではないが、とにかく当局者注意を喚起すべきだという事項も実は数十件あるのであります。これは注意事項と言つておりますが、これは年々当局に御注意を喚起して、改善をはかつている次第でありまして、私が先ほど申し上げました以上に、検査の概況をまとめてつくつてあるというものは、現在はございません。それが先ほどの概況の検査報告八十五件に要約されることになるわけであります。
  107. 井之口政雄

    井之口委員 その検査報告八十五件というのは、それは委員会にも詳細なものが提出できますか。
  108. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 詳細なといいますと、資料でございましようか、それとも……。
  109. 井之口政雄

  110. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 検査報告の要点はこれに盡きるわけでありまして、これは相当長いのでございますが、今まで検査報告一つ事項についてこんなにたくさん書いたことはございません。これは一々の案件の御審議のときには、私ども説明のできる範囲は、御質問がありますれば、幾らでも御説明いたしますが、実は相当に詳しく書いてございます。
  111. 井之口政雄

    井之口委員 たとえば、ここに過沸金の回収に関しての問題が出ておりますが、この中にも、例の大橋法務総裁の関係していらつしやる二千万円からの過拂金の二重煙突事件の問題は、向うの方ではちよちよいと出て来ますが、この過拂金のところには出ていないようであります。かつこれが二行か三行くらいのこうした報告が出ていましても、内容の点を知るのに非常に困難をする。これがこしらえられて来るその前の調査の実体がわからないと、たとえば表面出された何会社外何件というふうに書き出しても、どこの会社でこれに関係しておるものなのか、はたしてこれはとれるものなのか、またその間にいろいろな不正もからまつた状態があるのやらないのやら、なかなかわかりにくい。この二行か三行かぐらいに集約されたものでは、わかりにくい。そういうふうなものが見られる何か資料というか、あなた方のつくつておられる調書を、私たちが知つておればいいけれども、そうでなければわからない。だから、そこを会計検査院の方で親切に、こういうような調書をつくつておる、こちらもこういうものをつくつておるというふうに書き出して、その内容をこまかく示せばこういうふうになるのだというようにすれば、われわれも相当な時間をかけて調査することもできますれども、こんな一行か二行の検査報告——たとえば中央産業のところで、まだ百六十六万円が回収していない、こういうことで出て来ましたところで、中央産業の実態が今日どうなつておるか、とんとわからぬし、またここに至らしめたところの責任というものがどこにあるのやら、これではなかなか推察ができぬのであります。そういうふうでなくて、もつと詳しい資料をここに出されぬのかどうか、聞いてみたい。
  112. 渕通義

    ○渕委員長代理 ただいまの二重煙突は、三九七に「不急不要又は不適格品を購入し在庫となつているもの」というところに、かなり詳しく出ているようです。
  113. 井之口政雄

    井之口委員 だから私の主張は、それが過拂いにも関係しているのだという意味であります。
  114. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 この二重煙突の案件は、社会的にも実はいろいろ問題になつたものでございますして、私どもこれを見つけたのでありますが、そのときは、先ほどもちよつと申し上げましたように、工事とか物品について、特にこの年度は重点的に検査しております。この物品の保管状況というものを見る検査の産物を言うと、ちよつと語弊がありますが、物品の管理状況を見て歩いているときに実は仙台の管内にいらないものがたくさん置いてありまして、これをたぐつて行きまして過拂いがわかつたのであります。実質的には過拂いの方が非常に悪い。配分しない物品に対しまして、三万フイートでありますか、二千何百万円というような金を拂つたのでありまして、これは過拂いがあるとして前の方に出すべきか、あるいは物品の案としてあとの物品のところにまとめるべきか、この二つの考え方があるわけであります。当時は、物品の検査の案として実は初めから手をつけましたので、物品の案の中で一番顯著なものとしてこの二重煙突、その次のセメント防水剤、この二つを特に掲げまして、物品検査の結果というので実は整理いたしました。過拂いという点に重点を置きますと、前に持つて参りまして、もつと過拂いのことを詳しく書くのがよい道かとも思いますが、当時はそういういきさつもありまして、物品の案件としてここに二十数件並べまして、これをトツプに置いたのでございます。そういうふうでありまして、検査報告をつくる重点といたしまして、どちらに置くかということによつて、書き力もかわつて来ると思いますが、二重煙突の案件は、その後社会問題化した関係から参りますと、後段の方がむしろ重点的になりましたが、私ども取扱いましたときの気持では、今のような考えで実はやつたわけであります。それで「外何名」という書き方が実は多いのでありまして、ここに会社名をたくさん出すということも、一つの行き方かと思いますが。会計検査院といたしましては、従来から、ある一つの事案というものをよく検査をして確認する、そして検査報告にあげるという立場をとつておりまして、一つの事案でその相手方の名前をここに幾人も——実は非常に数の多いのがありまして、そういうものをここに並べ立てるということは、これは批難事項を見る立場の相違もあるかとも思いますが、私どもとしては、相手方がだれかということは、もちろんこれは大切ではありますが、そういうことよりも事案の認識こういう方針で昔から会計検査院検査報告というものはできておりまして、代表的なものを一人あげまして、外何名ということでやつております。もちろんこの外何名という内訳は、詳細にわかつております。具体的な案件につきまして委員会としての御要求がありますれば、私の方も十分わかつておりますし、政府側も、この案件につきましては私どもと同様にわかつておりますから、その都度おつしやつていただきますれば、私どもの方なり、あるいは政府の方なり、当然御要求に応じられることと存じております。
  115. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまのお答えで、大分よくわかりましたが、私たちがこれを取上げ、将来こうしたものの根絶ということを考え、その責任の根源をつくという場合には、どうしても、どこに行つておるのか、だれがとつておるのか、だれが過拂いを受けておるのかということがわからなければ、これはなかなか芟除できないのであります。ただそういう過拂いが、終戦処理費の中には機構上あるのだというだけでは、これは何にもならないのであります。これの徹底的な追究をし、政府にそれだけの損害をかけさせないようにするという方法は、なかなかできないのであります。そこで会計検査院としても相手方をもつと重要視して、これがなぜこうした過拂いを受ける権能があつたのか、また全部が全部過拂いを受けていないのですし、またその人間が過拂いを支拂うところの能力があるのかというふうなことを、ひとつ明瞭にしていただきたいと思う次第であります。それは必要に応じて申し上げますから、どうぞ知らせていただきたい。  それから、過拂いの点につきましては、単にこれくらいのものじやないと思うのであります。この四年の間に、四千億からの金を使つておる。概算拂いで出した分が多いのでありますから、これくらいの少いものではないと思うのであります。ここに上つておるものでも、まだとれないのが二千億を越すじやありませんか。これだけの小さなものでなくして、もつもつとたくさんのものになるのだろうと思いますが、会計検査院の方では、過沸いとして政府が未徴収にあるようなものが、総括してどれくらいの額に達するだろうと概算なさいますか。
  116. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 全体の過拂瀬がどのくらいわかつておるかというお話でありますが、遺憾ながら全体のことは、私どもとしてはわかりかねます。ただいま御審議になつております二十三年度は、比較的平静になつて参りまして、割合に大きなものは少いのであります。二十二年度あたりは一件で六千万円などというのがございまして、二十二年度検査報告には、相当大きいのが上つております。二十四年度も実は過拂いが出て参りますが、私どもの方といたしましては、一年間で全部の検査を一ぺんにやつてしまうということはできませんので、歩きましたところで見つけた案件を検討いたしまして、これに掲げて批難するのが相当だと認めた分だけ整理したのでありまして、全部が幾らかということは、実はちよつとわかりかねるのであります。
  117. 井之口政雄

    井之口委員 それでは会計検査院が歩きまして、広い太平洋の中から一つ二つ捨い出した石でもよろしいのでありますが、二十二年度で捨い出したもの、二十三年度で捨い出したもの、二十四年度で拾い出したものが、総計してどれくらいになりますか。
  118. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 二十二年度は、検査報告に上げましたのが七千四百万円余であります、それから二十三年度は集計しておりませんが、この集計をいたしますとどのくらいになりますか、何でしたら後ほど集計いたしまして御報告いたします。それから二十四年度にも、またこの種のあれがございますので、もし何でしたら番号と過拂い金額を出しまして、この次の機会に御報告いたします。
  119. 井之口政雄

    井之口委員 これはひとつ二十二年度、二十三年度、二十四年度をまとめまして、過拂い額の実態がわかるように、どこそこに幾ら、どこそこに幾らという簡單な表にして御提出願いたいと思いますが、これはできますか。
  120. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 これは検査院でまとめまして、提出いたします。
  121. 井之口政雄

    井之口委員 どうぞひとつわかりやすくまとめて御提出願います。  それからせんだつて市場に出ておりまする「真相」という雑誌を拜見いたしますと、あの中に、終戦処理費の使い方が、たとえば直接メーカーに注文すれば安くできるものを、いろいろな段階を経てこれを出しておる。言いかえてみますと、御用商人というものがきまつておる。そういう独占的な人間が間に介在して、二重三重の中間搾取をやつて政府に納められるようになるから、これが非常に高くなるのだということが、あれの中に一つの官庁の欠点として指摘されておるのであります。これはあの二重煙突事件の場合を考えてみますと、大橋法務総裁が自分のきわめてじつこんなるところの高橋という人を通じて、二重煙突の注文を出しておる。こういうことがありますと、これは一つの大きな不正な独占的な注文引受けということになつて参りまするが、これらのことについて、会計検査院で何か調べられて、その弊害を認められておるところはございませんでしようか。
  122. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 今のブローカーみたいなものに注文になつて、そのために不当に政府の支拂いが高くなつておる……。
  123. 井之口政雄

    井之口委員 これはブローカーだけでなしに、三越や白木屋のようなものにも出ておるらしい。
  124. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 らしいとおつしやいますが、その方面がむしろ大きいのであります。これは進駐軍関係のものの特殊性と申しますか、一番簡単にわかるのは言葉であります。ある商品のメーカーに、かりに直接発生いたしましても、なかなか進駐軍関係の人に直接折衝する機会も多くなるのでありますが、ああせい、こうせいという注文も出ますし、そうすると言葉の点で意思の疏通を欠く、こういうことが主たる原因かと思いますが、とにかく進駐軍関係の仕事につきましては、先ほどおつしやいました三越あるいは高島屋なんか大きいかと思いますが、そういう捗外関係の職員のスタツプを相当つておりますところへ注文して、そこから適当なメーカーへ流すということが、比較的初期から行われておるのであります。これの手数料と申しますか、こういうものも、実は私どもやかましく言いまして、初めは高率だつたのでありますが、だんだん下げて今は五%ぐらいの見当になつておるのであります。契約額がそのまま実際のメーカー、あるいは高島屋なら高島屋へ注文したところが、実際につくるのではなくて、あるいは下請があるのじやないか、井之口さんはそういうことを御指摘になつたのではないかと思いますが、だんだん業者に渡る金額が細くなつて行く、こういうことが実はあろうかと思います。会計検査院といたしましては、第二次、第三次のところまで調べる権限も持つておりませんし、実際につくるものが幾らの値段を受取つておるかということまでは、私どもはかかりかねるのでありまして、その辺でひとつ御了承願いたいと思います。
  125. 井之口政雄

    井之口委員 それでは政府側にお聞きいたしますが、会計検査院の方では、そういうことがなかなかわからないそうであります。しかし注文を出す場合に、政府側におきましては、たとえば冷蔵庫の注文なり何かあつたといたしますと、それが市場において幾らくらいでメーカーが生産しているものであるかというふうなことは、はつきりわかつていると思う。それを高島屋とか三越とか白木屋とかいうふうなものを通じて出される場合には、それの受取るところの手数料というものを大体概算して見当をつけて、これくらいの手数料があればいいだろうというようなことも考えて、一流品なら一流品を注文するということになるのだろうと思いますが、そういうことはやつておいでにならないのですか。たとえば参議院の決算小委員会において足利板金のことを調べておりますと、煙突を製造している人は、自分は下請工場だつたのだ、名義は自分が請けているような形ですけれども、実質においては下請工場になつていたんだ。そうして中間においてほとんど半分くらいの利潤がしぼられている。なるほど名義は会社の専務である、片方は会社の社長である、こうなつておりますけれども、その専務がそういう権利として引受けて持つて来て、社長へ渡すまでには倍になつている。六百万円の政府からの下付金があれば、向うに行くときには三百万円くらいになつているということが、参議院の調査においても明らかになつております。これは一足利板金の状態ではなくして、一体的に終戦処理費の支出の場合にはそういうふうな注文になつているのではないか。これを政府の方では御存じないのかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  126. 池口凌

    ○池口説明員 今の中間のブローカーとか、そういう商社系統のものを、調達庁が非常に使つておるのではないかということにつきまして、一言御説明させていただきたいと思います。調達庁ができたのは、昭和二十二年九月からでありますが、そのころから終戦直後は、日本の経済状態、生産状況等が非常に混乱いたしておりましたので、もとの交易公団というようなものを相当活用しておつたので、今仰せのような状況も多少あつたかとも思いますが、調達庁ができましてからは、原則としてメーカー直接でやるという原則を堅持いたしております。現在ではこの点をますます強化するように努めております。しかし、ものによりますと、どうしてもメーカー直接ではできないものもあります。たとえば今三越とか、ああいうデパートメント式のものの御指摘がありましたが、私どもはああいうものを使うことは絶対好んでおりません。高島屋は自分でじゆうたんその他を製造しておる向きもありますが、原則としては、メーカーを直接としてやつておる。しかし今会計検査院お話もありました渉外力を持たないということがありまして、群小メーカーの場合には、どうしても渉外的な力をかりなければできないので、なかなか直接調達の事務をやることは不可能な場合もあります。そういう場合には、やむを得ず商社を使うこともあります。それから今お話のありました「真相」に発表になつたものは、おもに経済調査庁等からも御指摘のありましたローカル・パーチエスという——需品関係につきまして、地方調達庁の需品というのがあります。これがおもにあそこに取上げられておる記事だと承知しております。これは非常に、特殊なものでありまして、大量のものを注文するときには、メーカーに発註しておりますが、地方の小さな部隊——飛行場とかいろいろな部隊が、大量に注文しないで、毎日のように、きようはほうきがないからというて注文する。旗ざおを何本持つて来いというような、日々の、いわゆる地方調達といつております雑品式のものについては、一々メーカーにやることはできないものでありまして、どうしてもよろず屋式のものを使つて行きませんと、何の注文が出るかわからない、こういうものについては、性質上商社式のものを使うというようなことにいたしております。それから原則はどこまでもメーカー第一主義でありますが、今の、たとえば、今日でも問題になつております石炭のようなものは、やはりメーカー、石炭が山にある間は、直接そういうことを原則としておりますけれども、これは私どもがいかに原則として、入札等に参加させましても、鉱山そのものはなかなか代行して納めてくれない、やはり日本の経済の組織がそうなつておるせいもありましようが、石炭のブローカーと言いますか、大部分商社というもが活躍いたしておりまして、われわれ一生懸命努めましても、現在石炭を山元から直接買つておるものは三〇%に当らない、約七〇%のものはどうしてもそういう石炭業者というものを介在して使つておる、こういうような状態であります。努めておりますけれども、そういう状態になつております。またセメントであるとか、鉄製品というものは、非常な大量の金目のものでありますけれども、日本製鉄その他でも、決して自分ではやらない。セメントでも、セメントの生産工場は、やはり代行機関をもつておる。一手販売のものもありますし、数社を指定しておるものもありますが、代行の商社でなければ売らない、工場はどこまでも生産をするのが専門であつて、売る方はある専門のそういう商社に委託しておるのでありまして、どうしてもその間に商社というものが入つております。私どもはその場合に、商社をやむを得ず使う場合もあるのでありますが、その場合におきましても、あるいは山元が直接やるというような場合でも、値段は一本にいたして、実費で買うようにしておるのであります。このごろはだんだんマル公というものがなくなりましたものですから市場の価格というものは各方面でいろいろとり方はあると思いますけれども、非常に苦心していろいろな方面から資料を隻めて、市価の調査をいたしております。そして一番新しい石炭なら石炭の非常に微妙に動いて参ります動き、山元の値段、港頭渡しの値段、それから少額需要、非常に大量のもの、いろいろの価格の動きを見ておりまして、最も新しいものにつきまして値段をきめておるような次第であります。その間多少どうしても実費につきましては、金融その他の関係もありますし、経費というものはある一定の限度をつけまして、値段を立てているような状態であります。
  127. 渕通義

    ○渕委員長代理 大分時間も経過しましたので、本日はこの程度で散会いたします。     午後四時二十四分散会