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1951-05-25 第10回国会 衆議院 経済安定委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十五日(金曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 竹山祐太郎君    理事 勝間田清一君      小野瀬忠兵衞君    金光 義邦君       奈良 治二君    細田 榮藏君       宮原幸三郎君    村上 清治君       森山 欽司君    中崎  敏君       河口 陽一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         経済安定政務次         官       小峯 柳多君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      今泉 兼寛君  委員外出席者         議     員 高橋 英吉君         議     員 前田 正男君         議     員 八木 一郎君         議     員 山本 久雄君         議     員 藤田 義光君         建設事務官   藤原  學君         建 設 技 官         (管理局企画課         長)      落合 林吉君         経済安定事務官         (国土総合開発         事務処主幹) 佐瀬 六郎君         経済安定事務官 首藤 宣通君         経済安定技官  奥田  享君         経済安定拔官  本城 和彦君         経済安定技官  幸野 弘道君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 五月二十五日  委員堀川恭平君辞任につき、その補欠として寺  本齋君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  閉会中審査申出に関する件  委員派遣承認申請に関する件  国土総合開発計画に関する件  特定地域開発問題に関する件   陳情書   日程追加  一 労務用物資配給に関する陳情書    (第五一三号)  二 労務用物資対策に関する陳情書    (第五一五号)  三 労務用物資配給等に関する陳情書    (第五三八    号)  四 労務用物資配給に関する陳情書    (第五五七号)  五 事業者団体法改正に関する陳情書    (第六一三号)  六 事業者団体法改正に関する陳情書    (第七〇七号)  七 労務用物資配給に関する陳情書    (第七二七    号)     ―――――――――――――
  2. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまより会議を開きます。  これより国土総合開発計画、特に特定地域開発問題を議題に供し、政府当局より説明を聴取いたします。国土総合開発事務所主幹佐瀬六郎君。
  3. 佐瀬六郎

    佐瀬説明員 昨年の六月から国土総合開発法が施行されまして以来、八月の二十九日に第一回の国土総合開発審議会が開催されました。それ以降の経過概要につきまして最初に御報告申し上げます。  この審議会は五月十七日までに十四回開催されております。ただいままでに審議決定を見ました事項を申し上げますと次の通りでございます。  第七回の審議会におきまして国土総合開発計画運営方針決定がございました。  次に第九回の審議会におきましては、国土総合開発計画の樹立に必要なところの、国土調査に対しまする要望事項審議決定を見ました。  次に都府県総合開発計画書作成様式検討を終えまして、第十一回の審議会におきまして、その計画作成の要綱並びに要目の決定を見ました。これは総合開発法第四条にございますところの、総合開発計画作成基準に該当するものでございます。  次に開発計画経済効果測定基本方針審議が第十回の審議会においてなされまして、その一般的な方針決定を見ました。  本年の二月に開きました第十一回の審議会におきましては、経済自立計画の報告がございました。この経済自立計画目標をもつて国土総合開発計画の第一期計画目標にするということが決定されました。同時に昭和二十八年度までの第一期の総合開発資金の供給につきましては、この経済自立計画資金計画に沿つて考えるということが決定いたされました。  次に十二回の総合開発審議会におきましては、特定地域指定基準審議されまして、これが一般の基準決定されたわけでございます。同時にこの審議会におきまして、昭和三十五年までの将来人口推計決定いたしました。これは将来の開発目標決定いたします際の一つ基礎になるものでございます。昭和三十五年度人口が九千五百六万人になるという推定であります。  第十三回の審議会におきましては、河川総合開発調査協議会の廃止に伴いまして、国土総合開発審議会河域部会を設置するということが決定されました。  次に十年後の開発目標につきまして審議を終えまして、主要食糧エネルギー木材、塩、重要鉱物等につきまして、昭和三十五年度開発目標審議決定されました。それから昭和二十八年度までの第一期の開発目標につきましては、十三回、十四回の審議会におきまして決定されましたが、これは自立経済計画決定後の内外情勢が、いろいろかわつておりますために、なお細部にわたりまして再検討余地がございますので、一応暫定目標ということで決定されております。  次にお手元に配付されております資料に従いましてその概要を御報告申し上げます。「国土総合開発関係業務概要について」というプリントがございます。これは総合開発審議会事務所が発足いたしましてからなされましたおもな作業概要でございます。  第一に、府県別現況分析資料の作製、総合開発基礎資料として都府県人口資源、産業、経済社会等に関しまする代表的な指標を選びまして、これを検討しまして簡單な形に図表化したものでございます。次に国土総合開発基本調査、これは昨年の七月建設省におきまして実施いたしました地方総合開発計画調書、同じく十一月に審議会におきまして決定されました都府県総合開発基本調査を実施いたしまして、ただいま各省におきましてその資料整備中でございます。これは今年六月末までに、安定本部におきまして総合とりまとめを完了する見込みでございます。  次に都府県総合開発計画様式でございますが、これは総合開発法第四条二項に基きますところの総合開発計画作成基準といたしまして、計画要領作成いたしますためにつくられたものでございまして、本年二月決定を見まして、都府県並びに出先機関に対しましてこれを連絡いたしまして、現在この計画様式に従いまして、都府県におきまして昭和二十八年度までの第一期計画並びに三十五年までの十箇年間の主要な事業計画につきまして、計画作成中でございます。  次に経済効果測定基本方針、並びに測定方法でございますが、総合開発計画の対象となります生産保全交通、及び民生の各般にわたる單独並びに複合目的事業順位並びに資金の調達を考慮するにあたりまして、その事業国民経済上に及ぼす効果を見きわめまして、その地域的、時期的配列を考察する際に必要と考えられますところの経済効果考察上の観点、その前提要件測定方法の大綱、共同費用の振りわけ等の決定を見まして、これを総理に報告いたしました。  次に特定地域指定基準でございます。これは総合開発審議会内閣総理大臣から諮問がありました際に答申するための基準でございまして、指定基本方針地域の分類、資源開発国土保全災害防除、都市及び周辺地域整備その他の事業中心とします地域につきまして、リーデイング・フアクターとなる要件決定いたしました。これはお手元資料の中に詳細説明がございますが、後ほど担当者から御説明申し上げます。  次に開発目標でございますが、これは昭和三十五年度及び第一期の二十八年までの開発目標につきまして、一応作業を完了いたしました。その内容は次の通りでございます。まず昭和三十五年までの十箇年間の開発目標でございますが、これは主要食糧米麦、かんしよ、ばれいしよ、雑穀、大豆、菜種、それから水産物、エネルギー石炭電力、塩、木材重要鉱物等につきましては、昭和三十五年におきますところの人口を九千五百万人と想定いたしまして、その際の国民生活水準昭和九—十一年基準の一〇五%まで引上げるということを前提として作業したものであります。大体そのおもな数字を申し上げますと、主要食糧は米が八千百万石、麦が三千七百万石、これの土地改良開拓等の施設による増産が、そのうちで米麦合せまして二千百万石ということになつております。次に石炭が五千五百万トン、電力水力開発七百三十八万キロワット、これは一人当り石炭六千五百カロリー換算一・三五トンの消費が、十年後に必要であるという前提のもとに策定されたものでございます。それから塩が二百四十六万トン、鉄鉱石が二百七十万トン、木材の用材が六千九百五十万石、薪炭林が七千二百万石等の目標が一応仮決定を見ております。  次に第一期の昭和二十八年までの開発目標は、自立経済計画目標の線に沿つて考えられることになつておりますが、昭和二十五年度においてすでに相当生産が上りまして、二十六年の自立経済計画目標を上まわるものが幾つかありますために、二十六年度につきましては、自立経済計画改訂案によりまして、二十七年度、八年度につきましては、この二十六年度改訂計画基礎にいたしまして、通産省の御意見を考慮いたしまして、この自立経済計画数字を一部修正したものによつております。なお現在は将来の見通しが非常に困難でございますので、これらの目標は上下ほぼ一割の動きがあるということを予定いたしました暫定目標でございます。これらの数字は、先ほど申しました通り人口並びに生活水準基礎にいたしまして推定いたしました。なお今後貿易情勢、物価の状況等によりまして、これの目標が再訂正されることも予想されております。大体おもな作業は以上の通りでございます。なおこのほかに技術分科会におきましては、国土総合開発関係いたしますところの試験研究課題の要点を集約いたしまして、その問題を総理大臣に報告しまして、文部省通産省等関係試験研究費用所管機関に対しまして、その試験研究の推進を要望いたしております。  以上が従来国土総合開発審議会におきまして、審議決定されておりますところの内容でございます。
  4. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまの政府説明に対し、質問があればこれを許します。村上清治君。
  5. 村上清治

    村上(清)委員 ただいま経過の大要を伺いましたが、われわれはさきにこの本法施行前において、建設省中心として一応決定しておりました国土開発の十三地区に対しまして、いろいろ各省における意見の差もあるように聞いております。もちろんこれは審議会の最終の決定によることでありますが、この間における審議の行程において、愼重に御研究を願いたいと思うのが第一点であります。  次に概して申しますと、法律はできたが、さつぱりスタートが切られていない。地方民は一日も早く具体化することを、翹望しておるのであります。大体ただいまの御説明によりまして、具体的にスタートを切るのはいつごろになる見込みであるか、及びその予算的の措置の方法いかん資金投入具体案いかん、これらのただいまのお見通しをまずお伺いいたします。
  6. 今泉兼寛

    今泉政府委員 大体見込みといたしましては、特定地域のこの既定の基準は、先ほどちよつと大体の構想を申し上げましたが、その基準にのつとつて従来建設省指定しておつたものも、新しい観点からまた見直してこれを新しく考えるというものも含めまして、この五月末までに、それぞれの地方から計画を出していただくことになつております。すでに十三、四箇所から出て来ておるように聞いております。五月末で締切りになつておりますから、あるいはもつと全国から出て来るだろうと思います。これを審議いたしまして、大体八月の中旬くらいまでの間に、審議会としてこれを決定して、内閣総理大臣に答申する。そして具体的な指定を了する、こういうことを大体目途として進んでおるわけであります。それから指定なつたあとで、さらにその指定地域について具体的な計画を立てて、それで最後的な決定をいたすわけでございますが、その時期は大体九月下旬と予定しております。そして指定が終り、具体的な計画決定されたものについては、それに政府としてはどういう対策をとるか、なかんづく、予算なり資金なりについて、どういう配慮をするかという御質問であろうと思いますが、予算は御承知の通り特定地域を予定して本年度公共事業費は組まれてありませんので、本年度の経常的な公共事業費を、この特定地域に応じて特別に格段な配慮をするということは、本年度の問題としては実際問題としてむずかしいのじやないか。もつとも今後来るべき国会等において、補正予算等が上程されれば、その配分等については、また十分特定地域指定ということは、あわせて考えられる問題ではなかろうかと思いますが、しかしながら予算の実際の使い方については、今年は公共事業の認証ということが年一回となりまして、年当初に大体予算配分をするということになりますから、現実にそれを大きく動かして、特定地域なつたがために公共事業費を二十六年度予算において余分に持つて来るということは、実際問題として不可能ではございまするが、実際の使い方等について、本年度予算についても若干考慮する余地がありはせぬかとも考えられるのであります。公共事業予算に関して、本格的な特定地域について、重点的な扱い方をするということは、明二十七年度予算からこれが実施されると御承知願いたいと思います。しかし金融的な面において、たとえば見返り資金関係において、開発銀行等を通じてこれを投資するとか、あるいは預金部資金を融通するとか、今後に残された、そういつた資金の面における重点的な配慮ということは、できる限り、この特定地域指定されましたら、それにあわせて重点的に考慮して参りたい、こう考えておる次第でございます。
  7. 村上清治

    村上(清)委員 大体了解しましたが、大分遠い話のように考えられます。法律ができてもさつぱり着手しないということになりますと、これは絵に書いたもちであります。私はむしろただいまお話がありましたように、公共事業費として二十七年度からでなければ、相当まとまつた金を見込めないとすれば、まずもつて年度においては、いろいろな面の資金の操作によつて、巧遅よりもいわゆる拙速をたつとぶ方法をとつてもらいたい。この点が一つ。  それから特定地区十三地区、これはいずれも審議会において愼重に御審議の上決定されることと思いますが、全部これが決定になるように希望するのはもちろんでありますが、聞くところによりますと、現在各官庁内でいろいろ意見が違つているようなふうにも聞いております。さような場合に、審議会としてはむろんこれは調整しなければならぬわけですが、たとえばある省は十三地区のうち十地区はとるが、他の三地区はとれない、ほかの省では十一をとるが二つはとれないという場合の調整する基準——基準は書いてありまするけれども、この基準のとり方がすこぶる問題であろうと思うのであります。やはり重点をどこに置くか、むろん総合開発でありますから、総合的な価値に重点は置くと思いますが、それらの点について一応御説明を願えれば幸いに存じます。
  8. 今泉兼寛

    今泉政府委員 従来の十三地区についてどういうふうに考えるか、という御質問でございますが、理論といたしましては、新しく今度国土総合開発法ができて、新しい基準審議会で御決定いただいて、それに基いて目下審議しているわけでございまするから、理論といたしましては一応白紙に返つて、新しい基準に基いて審議されるということに相なるわけでございまするが、実際問題として、従来十三地区指定されているというその内容から申しますると、やはりそれだけの実質があつて指定されているわけでございまするから、今度新しく指定される際の候補地としては、最も有力な候補地になり得るということは申し上げられると思います。但しそれの全部が取上げられるかどうかという問題は、全体としてそれでは今度特定地区というものを、どのくらいの箇所数限つて、そうしてこれを重点的に開発して行くかという問題になつて参りますると、今後において動員できる資金の問題、それから明年度においてどれほどの公共事業費が見込まれるかという問題と、なおここに重要な指標となりまするのは、自立経済達成上、来るべき三年間において急速にどれだけ開発の進度がこの指定地区について進められるか、この問題とも密接に関連を持つて来ると思います。十箇年くらいの計画であればゆるゆるということも考えられまするが、三箇年で急いでこれを開発するといつたような見地から申しますれば、限られた資金なり予算なりをもつて、この三箇年間に思い切つた開発をするということになれば、自然箇所数等もおのずから限定されて来るんじやなかろうかと考えられますので、その辺の兼ね合いを見極めまして、十二分に審議会の方で御検討いただくことに相なつておりまするが、御要望の点は十分審議会の方にも反映するようにいたしまして、なるべく皆様方の御要望に応ずるような仕組みにおいて指定をしたいと考えております。
  9. 村上清治

    村上(清)委員 最後に自分の選挙区のことを申し上げます。東北の秋田県地区阿仁田沢地区開発現況、並びに鳥海山麓地区栗駒地域、これは小さな問題ですが、これらに関して、一つ候補地一覽表にあります通り最上地区とこれは離れておるようであります。私は地元の者ですからよく知つておりますが、阿仁田沢は独立してけつこうですが、鳥海山麓地区並びに栗駒地域というものは、地形の関係上これは一つ山續きでありまして、県はかわつておりますけれども、建設省の前の案によりますと、奥会津地区最上が入つておるのでありますが、むしろ栗駒及び鳥海は、最上一つ地域にして開発した方が、すべての点で有利じやないかと考えられる点もあるのです。繰返して申しますと、阿仁田沢の現在の状況、及びこれからの構想並びに最上地区鳥海及び栗駒を包含して一つ地区にしたらいかがであるか。この二つの点を伺います。
  10. 落合林吉

    落合説明員 阿仁田沢のほかに、今お説の栗駒地域としまして、最上、それから岩手県、宮城県の一部からなります栗駒地域というふうなものを、一つ地域として考えてはどうかというふうな御質問でありますが、これは従来からいろいろと研究はせられておるのでございまして、今回の特定地域候補地調査をいたします際に、関係の県でまだ一定計画をお出し願つておりませんので、御趣旨の点は県当局にも十分連絡をいたしまして、調査を進めることにして行きたいと思います。
  11. 圖司安正

  12. 永井英修

    永井(英)委員 ただいま御説明がありましたが、来年からこの総合開発に多少予算の裏づけをして行きたい、こういうようなお話があつたようであります。ただいまうわさに上つておりまする利根開発とかあるいは北上川の開発といつたようなものが出て来ておりますが、要するにこれらはこの審議会等が十分に働かない、こういうことで出て来ておるのではないかというふうに思われるのであります。来年度から大体予算をつけるというようなお話でありますが、十三地区には——十三地区になるかあるいはそれより多くなるか、あるいは減るか、そこはわかりませんが、大体総花的に予算をつけて行かれるのか、あるいはその指定地を、そのうちのまた重点的に予算をつけて行かれるのか。大体わかつておられるならば。ひとつお知らせ願いたい。
  13. 今泉兼寛

    今泉政府委員 特定地域指定になりますれば、何か特定地域というその地域の範囲内で、どんな事業も、すべてこの地域外のところに比べて、何でもかんでも予算重点的になるのだ、道路も、港湾も、山林も、すべてが優先順位になるのだと、こういうふうには考えておらないのでございます。たとえばある地区において電源開発が緊急だと、そのほかにいろいろな副次的な目的はございまするが、電源開発を、たとえば三箇年なら三箇年間に緊急にやらなければならぬ。それに付属していろいろ、鉄道の問題、道路の問題、あるいは林道の問題、そういうものが出て来たといつた場合に、それならばその三箇年間に電源開発するための基幹になる事業、たとえばどうしても道路を引かなければその発電所ができないといつたような場合に、その道路については特段予算的あるいは金融的な配慮をして、早くこれを開発する、こういうことになるのでございまして、何かある一定地域指定になれば、その中の事業は、基幹であろうが、基幹でなかろうが、すべて一様に優先されるということには考えておらないのでございます。  それから、今度は、特定地域相互間に何か差異があるか、こういう御質問であろうと思うのでございまするけれども、これについても、私ども考えておりまするのは、この特定地域種類別と申しますか、区分けには、大体二種類を考えない。一つは、国民経済の発展なりあるいは経済自立目的達成なりにも、必要欠くべからざるところであるという点は同じであつても、これを時期的にどれだけ早く開発するか、それからしかもこれを国がほんとうに力を入れて、大々的に急速に開発する必要があるかどうかという点と、そこまで国が力を入れなくても——もちろん国としてはできる限りの力はいたすのでございまするが、むしろ地方中心なつて、従来国がめんどうを見ておつた事業相互間のバランスをとる。たとえば道路はできたけれどもそれに伴うところの鉄道がついておらないとか、あるいは道路はかかつたが、それを通ずる重要橋梁ができていないとか、あるいはそれを港に出すところの港湾の設備ができていないとか、こういつたふうの各事業相互間のバランスが非常に問題になるところ、こういつたところにおいては、予算をたくさんつけるというばかりではなくて、むしろそういつた事業相互間の調整が必要だ、こういつた第二段階のところもあろうかと考えます。従つて第一段階種類別としては、国が特段国家的見地から、むしろある意味においては国が直接力をいたしましても、急速に開発を要する地域と、それから第二の種別としては、そこまでは行かなくとも、各事業間のアンバランスを調整して早く開発する、こういつたような大体二つ種類に応じて指定をして参りたい。もちろんその際に従来の公共事業予算つけ方なり、あるいは資金つけ方なりについて、従来より以上に国が見るという点はかわりはないのでございまするが、国が予算なり資金なりを投ずる際のやり方として、さらにより重点的に考えるのと、そうでなくて、各事業間のアンバランスを主としてこれを調整して行くのと、こういう二種類にわけて大体考えて参りたいと思います。
  14. 圖司安正

  15. 志田義信

    志田委員 幸い安本政務次官がお見えになつておりますので、最初安本政務次官にお尋ね申し上げます。同時に同じ質問のお答えに関しまして、建設政府委員の御答弁を期待いたしております。さよう御承知置き願います。  国土開発法の第十条第六項によりますると、この国土開発を行うにあたりまして、「国は、地方公共団体が行う特定地域総会開発計画事業について、国が負担すべき経費の割合に関し、別に法律の定めるところにより特例を設け、」云々という規定がございます。この規定がありまするために、国土開発に必要な開発法施行法が必要ではないかどいうことが、今期国会におきましても、これに関心を持つわれわれ議員の間に考えられて来ておるのでありまするが、安本当局としては、国土総合開発法をして完全にその効果を表わすために、近い機会に施行法令をつくるお考えがあるかどうか、これについて御質問申し上げます。
  16. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘の施行法は、ただいま研究中でありまして、おそらく次の国会には御審議いただける見込みでございます。
  17. 志田義信

    志田委員 同僚議員の前田君は、運輸省所管の法律の一部改正法律案を議員提出で出しておりまして、今参議院にそれがかかり、三時からその会議に出られるそうでありますから、私の安本長官並びに安本次官、あるいは建設大臣並びに建設次官、その他政府委員に対する質問は一時留保いたしまして、前田議員に交代して質問をお許しくださるようお願い申し上げます。
  18. 圖司安正

    圖司委員長 この際お諮りいたします。ただいま質疑をいたしておりまする特別地域開発問題について前田正男君、八木一郎君、山本久雄君、高橋英吉君の各議員より委員外発言を求められております。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 圖司安正

    圖司委員長 御異議なしと認めます。前田正男君。
  20. 前田正男

    ○前田正男君 先ほど来政府委員の御説明を伺いまして、特定地域指定のためにいろいろと尽力しておられる様子は大体わかりましたが、そのうち少しくお聞きしたいことがあります。と申しますのは、今のお話の中で、この地域を二通りにわけておやりになる、大体こういうような考え方であるというような話でございますが、そういたしますと、政府予算の範囲においては、相当の箇所が一応連絡上必要であるということならば、相当の数のところを、第二の段階の、あとで述べられたところの地域としては、指定できるのかどうかという点について、まずお聞きしたいと思います。
  21. 今泉兼寛

    今泉政府委員 これは審議会の答申事項でもありまするので、今日私ども事務当局から、幾つにしたいというようなことを申し上げることははばかりたいと思いまするが、われわれ事務当局の考えを率直に申し上げますれば、今後の動員できる資金なりあるいは予算なりを考えます際に、あまりたくさんこれを指定いたしますと、いろいろな特別法ができて、あとからあとから、次へ次へと特別法ができたために、特別の恩典に浴されなかつたという従来の経緯等にもかんがみまして、なるべく数は少くいたしまして、そしてより重点的に予算なり資金を動員して、来るべきこの三年の自立経済の目標達成ということに、できるだけ沿いたい、こういう趣旨から申しますと、先ほど申し上げたように、二種類にはわけて考ておりまするが、そのいずれもがあまりたくさんの数は御指定いただかない方がよろしいのじやないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  22. 前田正男

    ○前田正男君 今の御答弁はもつともなところもあるのでございますが、御承知の通り、国土の総合開発につきましては、いろいろと関係しているものがございまして、ことに後段述べられました総合調整をするという意味におきましては、実は各地におきまして、県であるとか、会社であるとか、あるいはまた公益委員会がやるとか、従来の電力会社がやるとか、新しい会社をつくるとか、いろいろな調査研究があるのでございます。従いましてこういう調査研究というものは、非常に重複したり、あるいはまたえてかつて研究調査をしているというような例が相当あるのでございまして、これをやはり特定地区指定せられて、総合的に調査研究するということは、まず第一に必要であるのじやないかと私たちには考えられるのであります。その間私の見ている範囲においては、今までわれわれの関係している範囲においても、非常にむだがあるように思つているのであります。従いまして、そういう意味におきましては、先ほどの国家で直接やるという方面は、非常に予算にも関係いたされまして、数も限りがあると思うのでありますが、後段に述べられましたところの総合調整されるというところの意味におきましては、できましたならば、ひとつ多数のところを御指定なつた方が、わが国の自立経済達成のために非常に有利ではないかと、私は考えるのであります。この辺につきまして、もう少しお考えをお述べ願えれば幸いであります。
  23. 今泉兼寛

    今泉政府委員 もちろんまだ指定前のことでございますので、それぞれ各府県なり各地区においては、この指定をめぐつてなるべく多数という見地から、あるいは重複して各府県等を調査をしておられる、こういう向きもあると思います。しかしこれは一旦指定になりますれば、その問題は一応——次の段階の問題は別でございまするが、解消する問題でございますし、それから何も特定地域にならなければ、総合計画なり、あるいはそれに基く具体的計画はやれないという問題でございませんので、現在むしろこの国土総合開発中心点は、都府県計画、いわゆる地方計画をしつかり固めてもらうということに重点を置いて、現在各地方にお願いして鋭意進めておるような次第でございます。従つて特定地域にならなければ、何か総合計画ができないという問題ではございませんので、むしろ中心都府県計画中心なつて、その中からある特定の地域が拔き出されて、それがさらに重点的に進められる、こういうことに相なるわけでございまするが、特定地域計画の基盤となるものは、あくまでこの都府県計画なり、地方計画であるわけでありますから、その地方計画なり都府県計画というものは、密接に各府県等は、それぞれの機関によつて総合調整されたものを出していただいて、そして国の地方計画あるいは国土計画として御決定いただく、こういうことになつておりまするので、そういう意味から数を多くふやすということは、御懸念のような弊害は出て来ないのじやなかろうかと考える次第でございます。
  24. 前田正男

    ○前田正男君 先ほど村上委員からの御質問で、従来指定されております十三の特定地域は、大体において顧慮されるだろうというような御答弁がありまして、われわれ関係者といたしましても非常に心強く思つておるのであります。しかしながら今の御答弁にありました通りの、特定地域を特権区域であるというようなお考えでありますけれども、実際問題といたしまして、どうもやはり限られた予算でいろいろと仕事をやつて行くということになりますと、この指定されていると指定されていないとでは、いろいろな点において差異が出て来るということは、皆さんの方ではよく御存じの通りだと思いまして、私ら自身も指定されているといないとでは、地元におりますところの態勢ばかりではなしに、いろいろな方面によつて食い違つて来るということは、人情のしからしめるところであると私は思うのであります。従いましてぜひ従来の十三特定地域はもちろん指定されるとともに、その他この立法の精神から見まして、日本の自立経済のために、ぜひとも必要であるというようなところについては、ひとつぜひお考え願いたいと思うのであります。  次に私の出身地の方に関係しておりますところで、吉野熊野地方は従来指定されておつたのであります。この方面は皆さんの御尽力によりまして、県でやるところの分水事業は、実はすでに着工しておりますが、さらにその奥に公益事業委員会が本年度調査するといつております北山川、熊野川の大きなダムの計画があるようであります。もちろん商工業の地帶に近いところでありますし、またここに今日鉱産等の資源も出ておりまして、ぜひ必要な地点であると思うのでありますが、私はこの公益事業委員会の今回の調査というようなものの今後の性格というものは、どういうふうに動いて行くものであるかということについて、おわかりでありましたならば、ひとつお聞かせ願いたい。われわれの聞く範囲においては、外資導入その他が実現するのだというふうな新聞その他の報道を聞いておるのでありますが、これにつきまして、現在までおわかりのところがありましたならば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  25. 今泉兼寛

    今泉政府委員 只見地区と熊野川地区につきましては、特別に予算的な措置も現在講じてありまして、この地区については特別の調査をするということで、通産省、今では公益事業委員会の手に移りましたが、そこに特別な調査室もとつてございます。従つて年度においては、その二地区に特に重点を置いて調査がなされると思います。しかしながら従来であれば電気関係は電気関係だけで、電気関係の採算だけを考えてやるというような、とかく採算本位の調査の仕方、あるいは設計の仕方等が間々行われたわけでございまするが、国土総合開発法ができた今日におきましては、私どもの方と公益事業委員会、通産省その他各省とは密接な連絡をとりまして、單に採算的な見地から、電気を起す、それに必要なダムをつくるということだけでことを進めて参らないように、密接な連絡をとつておりまするので、今回のその調査費等の使い方等につきましても、安定本部といたしましては、十分その間の調整をとりまして、国土総合開発観点から遺憾のないような扱い方をやりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  26. 前田正男

    ○前田正男君 最後にこの地方は、御承知の通り非常に関西の中心部に近いところでございまして、これは單に私が出身者といたしまして御説明申し上げましたのでありますけれども、私は実は電力分割の場合におきますところの党の特別委員でもありまして、関西方面から特別な要望を受けて、やつてつた者の一人でございます。非常に関西方面におきましては、この地方電源開発ということを待つておるのでございます。同時にまたこの面のことは、御承知の通り運輸方面で期待しておりますところの電化計画もぜひ必要でございますし、森林資源その他観光等、いろいろわれわれといたしましても考えるところがございます。また非常に土質も古い地方でございまして、貴金属類の昔からの鉱山がたくさんある地方でありまして、いろいろと計画はあるようでございますので、ひとつできましたならば、せつかくもらうことにきまりましたことでありますれば、調査費を早くお使いくださいまして、有効適切に実現せられまするように、御努力していただきますことを要望して、私の質問を終ります。
  27. 志田義信

    志田委員 今安本政務次官から、国土総合開発法施行法令を臨時国会には出したい、目下準備中であるという御発言がありまして、私はまことに喜ばしいと思いまして、むしろそれらの準備が少し遅れておつたのではないかという感を深くいたすのであります。さきに私は本委員会におきましても、施行法を早く出さなければならないのではないかという御注意をしておつたにもかかわらず、政府御当局は荏苒日を延ばしておつたことに対しましては、まことに残念に思つておる次第でございます。しかし遅しといえども、あやまちを改めて、ただちに臨時国会に間に合せるように御努力中であるという政府の御答弁に対しましては、まことに満足を表明いたします。そこでこの施行法が出るにつきましては、たいへんけつこうでありますが、施行法の出る前に、この国会に個別開発法が各地から出ております。今日自由党の政調会におきましても、あるいは各党の政調会におきましても問題になつております利根川開発法、あるいは北上川開発法及び目下準備中であります最上開発法、聞くところによりますと、関西方面の各河川にも開発法を準備して、本国会に提案しようという機運がございます。これは今考えられるだけで七つぐらいの法案を準備されておられるようでありますが、今後さらに全国各重要河川について、同じような法案が提出されるのであろうことを考えます場合に、一体国土総合開発法とこの個別開発法との関連を、安本当局、建設当局はどういうふうにお考えになつて、どういう処置をするつもりであるか、それをひとつ御質問申し上げたいと存じます。
  28. 今泉兼寛

    今泉政府委員 きわめてデリケートな問題でございまして、私ども事務当局といたしましては、一切政治的な観点は拔きにいたしまして、純粋に事務的な立場から御答弁申し上げますれば、御指摘のように国土総合開発法はできたが、それの具体的な実施法がまだ施行されていなかつた、それがためにいろいろな臆測等も生み、この法律でできない部面もあるのではないかというような一部の懸念等から、今の問題になつている個別的な開発法というものが生れて来たのも、その一つの原因じやないかと考えております。そういう意味から、早く総合開発法の実施方法指定しておけばよかつたということは、まことに御意見通りだと思います。従つて私ども事務当局の立場から申し上げますれば、別にああした個別法はつくらなくとも、当然国土総合開発法でできる、こういうふうに考えております。但し実施の面について、今の法律だけでは不十分の点もございまするので、寄り寄り研究はして参つたのでありまして、本国会にはとうとう出て参りませんでしたが、次の国会までにはぜひ出したい。それで今検討を進めておるわけでございまして、私どもの事務的な立場から申しますと、国土開発法があつて、しかもこれを補うのにこれの施行法が出れば、ああいつた特別な法案は出さなくても十分開発はできるし、またああいつた個別法が次から次へと出て参れば、單に利根川だけでは済まない問題だろうと思います。北上川も出る、木曽川も出る、淀川も出るということになつて参りますと、せつかく国土開発法で総合的に、国家的見地から開発して行こうという立場がくずれて来るのじやないか。またそういう法律ができて、何か一番最初にできた法律は優先するがごとくに見えますが、次々に出たあかつきにおいては、結局その優先性もなくなつて来る。これは私が先ほど申し上げた特別都市計画法、あれと同じような状況になりますので、決してそういう優先的な実効は收められない。しかも国全体から見て総合的にこれをやつて行く。單に河川だけでなく、山のことも港湾のことも、あらゆる面で総合的に施策して行く上からは、ああいつた個別開発法はあまりけつこうではない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  29. 志田義信

    志田委員 こうした單独法が出るということにつきましては、私は現内閣がモツトーとしておる立場から行きましても、相当考えなければならぬものがあるのじやないかと思います。なぜかならば、こういう單独法ができますと、ただちに開発庁という役所ができるということが考えられます。そうして北海道開発庁としてすでに四十五人からの人員を擁しておるのでありますが、おそらくその他の開発法におきましても、これに劣らざる人員を擁する役所が一つできることになろうと思います。せつかく現内閣が行政整理を断行いたしまして、国民の税の負担を軽からしめようとする政策と相反するような役所が、今後續々全国に、治山治水の立場から出るということになりますと、行政簡素化という建前が失われるということがまず考えられなければなりません。  いま一つは、地方自治体に権限を委譲しようというのが現内閣の方針であり、わが党の方針であるにかかわらず、こういうふうにまた役所を設置いたすということになりますれば、地方自治の権限をそれだけ縮小するという結果を生ずるおそれなしといえないのであります。利根川開発法それ自身につきましては、政務次官の出身の地方とも直接関係がありますので、私は特に利根川開発法だけを問題にいたすものではございません。全国の河川開発法に対しまして、こういう法律の出ますことは非常に問題ではないか。むしろ私はこういう国土開発法施行法令を出すと同時に、その必要があるといたしますならば、建設省を解体して、今のお役人の方々の職は保障しますが、国土省あたりにするというような考え方で、安本と建設省一つなつて、そうして日本の国土開発を総合的に一元化するという考え方まで上昇してやつていただくことが、むしろ進歩的なやり方であり、現内閣の政策にもマツチしており、自由党の政策にも違反しないということになろうかと思いますが、それについての政府当局のお考えを承りたいと思います。
  30. 小峯柳多

    小峯政府委員 個別開発法と行政機構に関する御意見は、まことにその通りだと思います。また後段御指摘いただきましたような、非常に雄大な構想に関しましても、これは行政管理庁として試案としてあつたやに聞き及んでおります。ぜひそういうような形で許されれば検討を進めて参りたいと思つております。しかしまた個別開発法でねらつております地方の熱意に対しましては、やはりこれはどうしても生かしたいと考えまするので、先般来御指摘のように、特定地域指定を早目にしまして——これが遅れておりましてお叱りを受けましたが、こういう点で政府がもつと積極的に進んで行けば、今御指摘のような矛盾なしに、しかも各地方の熱意を十分反映できると考えて、そのつもりで善処したいと考えております。
  31. 志田義信

    志田委員 たいへんよくわかりました。ところで国土開発計画基本方針とその基準について、少しお尋ね申し上げてみたいと思いまするが、先ほど特定地域の問題については、他の委員からも御質問がありまして、それに対するお話を拝聴いたしました。全国計画や、あるいは都府県計画地方計画というものについて、国土総合開発審議会は、今どの程度の審議過程にあるかをお尋ね申し上げたいと思います。
  32. 佐瀬六郎

    佐瀬説明員 ただいまの御質問につきましては、先ほどちよつと御報告申し上げましたが、国土総合開発計画作成要綱というものが今回決定いたしております。それによりますと、計画の種別は一応法律にあります通り都府県計画、県にわたります地方計画、それから特定地域計画、これらを含めました全国計画ということになつております。これを時期的に見ますと、長期計画、期間計画及び年度計画というふうにわかれるわけでございます。生産、交通、民生施設関係は、おおむね十箇年と考えます。国土保全災害防除施設は特に期間を限定いたしませんで、相当長期の計画を策定することになつております。それから期間計画としましては、二十六年度から二十八年度に至ります三箇年を第一期計画と考えております。それからこの第一期計画の中で年度計画をつくるということになつております。それから区域でございますが、都府県総合開発計画都府県全域を計画の対象といたすわけでございます。その計画区域を数地区にわけまして、開発目標地域重点に応じまして、施設計画の規模と配置及び相互の関連を十分考慮して、計画をつくつて行くということになつておりまして、この地区の大きさはおおむね千五百ないし二千平方キロメートルを適当として、その区画にあたつては、必ずしも現行の行政区画に拘泥せずに、たとえば流域による区画を採用する等、自然的条件、特に地形、地質、水系、気象等の類似性あるいは同一性を考慮し、また社会、経済、文化あるいは歴史的性格が類似、近縁関係にあるという点を重視する。またその資源が重要種目が相当賦存しまして、その開発総合開発計画の実施によりまして、合理的に推進され得る事情にあるということ、それから保全施設の要否によりまして区別し得る地域單位と認められること、さらに特に建設事業におきまする技術的措置が、相互に密接な関係を持つておるという地域であります。こういつた点を考慮しまして地区計画をつくるということをきめております。  次に計画重点目標を設定するということでございますが、都府県の自然的条件、資源開発利用方策、産業立地条件、人口増加の趨勢、並びにその地域配分災害防除対策等を考慮しまして、長期開発、保全の目標重点的に設定しまして、その達成のための所要施設を、総合的に計画しなければならないということになつております。その際普通公共事業費の対象となつております事業を、A種公共施設と称しまして、その他の鉄道電力等の公共施設をB種公共施設と称することにしております。このうちで生産、交通施設等に関しましては、特に将来の経済自立上の生産増加の目標を十分勘案しまして、関連施設の規模を決定すべきである。それから国土保全施設につきましては、これは経済活動目標と直接関連をつけることはありませんが、将来その地域に予想されるところの災害の規模等を十分考慮しまして、なお地方財政の実情等を考慮しまして、この計画を合理的に設定するということを考えております。それから民生施設につきましては、将来の生活水準によりまして、計画の規模が想定されるべきものでありまして、経済活動目標との関連は、交通、生産施設ほど直接的ではございません。特に個々の施設につきましては、その関連の深いものではあるが、総括的には一応別の群として扱うべきものと考えます。なお都府県総合開発計画策定にあたりましては、特にその開発目標構想、施設の規標、配置等につきましては、国の財政経済の実情、地方産業の動向等を広く検討して策定されなければ、計画の完璧は期しがたいのみならず、その作成された計画の実施も困難になることは当然であります。さらに自然条件、経済、社会事情等におきまして、特に関連の深い隣接都府県計画は、これは地方総合開発計画と歩調を合せまして、関係府県の規約によりまして地方総合開発計画を立てるべきでありまして、すでに関東、四国あるいは瀬戸内海沿岸等につきまして、そういつた動きが見られております。  特定地域計画は、これは府県の内部に限られておるものと、数府県にわたる地方総合開発計画関係するものがございますが、これらの総合計画がただいま府県において立てられておりまして、一方におきましては、これらの各地方計画を貫きますところの全国としての期間計画も、建設省安定本部等におきまして、ただいま検討中でございます。これら全部を審議会におきまして総合的に調査審議されました結果、全国の総合開発計画作成されまして、将来これが勧告されるということを予想されるわけでございます。大体以上のような構想であります。  それから今後の予定でございますが、ただいま特定地域作業につきましては、一応四月末までにこの計画の調書を御提出願うということになつておりますが、やや遅れておりまして、一応五月中に出そろう見込みでございます。それから都府県総合開発計画につきましては、正式の計画は期限はございませんが、先ほど答弁いたしました通り、二十七年度予算編成期に間に合せるために、一応中間報告を五月末までに御提出願うということになつております。それも特定地域計画関係でやや遅れる見込みでございます。  なお審議会におきましては、七月におきまして、この特定地域計画の諮問によりまして調査審議をいたしまして、九月以降におきまして、特定地域計画の実施計画、あるいは都府県総合開発計画等の審議をいたす予定になつております。
  33. 志田義信

    志田委員 特定地域指定が、今のお話によりますると、大体七月下旬あるいは八月上旬までかかるように言われておりまするが、かような指定はもう少し早くできないものでしようか。一体その特定地域指定するのが八月上旬になるといたしますると、それまでは特定地域になるかならぬかわからない。しかも既往において特定地域として設定された地域は、非常に不安焦躁にかられなければならないのでありますが、第一政府は、既存の特定地域十三ございまするが、この十三特定地域に対しましては、優先的にこれを指定するというお考えを持つてこれに臨むのか、それとも新たに特定地域指定の具体的な基準をつくつて、その基準によつてこれを選定する方針をとるのか、その点をひとつお尋ね申し上げたい。
  34. 今泉兼寛

    今泉政府委員 先ほどちよつとお答え申し上げましたが、従来指定された地域につきましては、内容から申しますと、今度の新しい基準に照しましても、かなり実質を備えておるという意味において、有力な候補地としてはなつておりまするが、以前指定されておつたから、今度検討した結果がどうあろうとも、当然新しい意味の特定地域指定されるということにはならないというふうに考えております。先ほど申し上げました通り、実質をかね備えておれば、全部が全部なるかどうかわかりませんが、そのうちの大部分といいますか、大多数のものがなり得る可能性は出て来るのではないか。もつとも先ほど申し上げました通り、一体どのくらいの数に限定するかという問題とも関連して来まして、二十も三十も指定するということになれば、おそらく従来の指定地がそのまま入るということになろうと思いまするが、また審議会におきましての審議の模様等によつて、これが七つ、八つに限定されるということになりますると、当然従来のものも落ちて来るということになりますので、今後審議会として取上げる際に、どれだけの数にして、そしてどういうふうに種類別を認めて行くかという問題と関連して来る問題であろうと考えております。  それから特定地域にならなければ、予算的措置なり、金融的措置が何もできないかというと、そうではございませんので、現在従来の特定地域につきましては従来の経緯もございますし、われわれ公共事業費予算配分する上においては、十分その特性を考えまして、今年の予算配分を考えておる次第でありますし、その他金融的措置につきましても、それぞれその地域基幹産業、事業等につきましては、十分考慮を払いまして、その目的達成に、できるだけ国として、寄与して行きたい、こういうふうに考えております。  それから明年度予算の問題も、七、八月からぽつぽつ予算編成方針がきまつて来ると思いまするが、それとあわせて正式のものとして特定地域指定して、それとあわせて指定したいと思いますが、かりに若干この特定地域指定が遅れたにいたしましても、資料は各地方から十分いただいておるわけでありますから、その個々の内容を洗つてみて、ここにはこういつた事業重点を置かなくちやならぬということになれば、かりに指定にならなくても、われわれとしては予算を考える際に、当然そこに重点を置いて考えて行く、こういうことに相なろうかと考えております。  志田委員 私は今の今泉政府委員の御発言に対しては、非常に奇異な感じを受けるのであります。第一特定地域にならぬでも予算がつくのである、それだからあらためて特定地域にならぬでもあまり心配することはないというお話でありますが、それではなぜ特定地域というものを重点的に取扱うのか。あなたは今過去における十三の特定地域が、今後の指定基準に合致しないものも出て来るであろうということを考えて、それに落ちた指定地域の人々に、老婆心から同情的に申し上げておるというのなら話はよくわかるのでありますけれども、特定地域重点的に今まで取上げられて来たということにおきましては、地方開発をやつて、その経済効果が期待されたからこそ、今まで十三地域政府指定してやつて来たものと考えられるのであります。今にして見れば先に指定された地域は、あるいは今後指定されるであろうところの地域は、特に予算的措置をどうこうというものでもないというふうなことをあなたはおつしやつておられますが、それでは何のために十三特定地域というものを指定する必要があるのでしようか。全国から全国の国民要望によつて資料も相当出ております。トラツクで十二台くらいの資料は出ておると思います。それほどの資料を出しておる特定地域要望に対して、そういうような御発言をされるということは、同情でなければまことに非人情なお言葉であると言わざるを得ない。むしろそういうお考えでなく、私は従来の十三特定地域開発計画及びその効果について、政府当局はどういうふうに見ておるか。開発計画あるいはその効果をほんとうに考えて、今までそれを十三特定地域についてしんしやくしておられたであろうと思うのでありまして、あなたは十三特定地域開発計画とその効果を、いまひとつここでわかつておるだけお話願いたいと思う。効果がなかつた、あるいは開発してもうまく行かなかつたというようなことがあるかどうか、それをひとつお尋ね申し上げます。
  35. 今泉兼寛

    今泉政府委員 まだ新しい観点特定地域指定なつておりませんが、従来建設省特定地域として指定したものにつきましては、公共事業費配分につきましては、單に建設省だけではなく、農林省、通産省その他の関係各省において、それぞれその特定地域総合開発に、しかも急速な開発に役立つように重点的な配分をいたしております。従つてまだ新しい意味の正式の特定地域とはなつておりませんけれども、従来の経緯がそういうことでありますので、本年度予算につきましても、十分その点を配慮してあります。ただこれを新しい意味の特定地域に編成がえする過渡的な状況においては、では何もしないかという向きがもしあれば、そうではないのだ、それは本年度当初から特定地域として新しい国土総合開発観点から、新しい意味の特定地域にして、正式のものとして予算もそれに組めばよかつたのですが、時期的に現在までそれが間に合わずに遅れておるような状況でございますが、しかし二十七年度予算つけ方としては、従来のものは十分尊重されて、二十七年度予算はついておるし、かりに若干新しい指定までに遅れても、従来のものは十分尊重されてある。但し新しいものはさき申し上げました通り、二十六年度予算はすでにきまつた現在でございまするので、予算的な措置としては、二十六年度は補正予算以外については間に合わなかつた。しかしながら金融的措置において、今後できるものは、特定地域が新しく指定になりましたならば、それに重点を置いてできるだけやつて行きたい。もちろん二十七年度予算は、この特定地域指定ということと関連をして、今後も編成して参りたい、こういう趣意でございます。  それから従来の実績がどうかというお尋ねであろうと思いますが、これはほかの地域に比べまして、これを計数的にとつてみた際に、かなり特定地域については重点が置かれて公共事業予算がついております。従つて指定されなかつたところと、指定されたところとは、かなりの差がついておる。しかしながらこの際、先ほどもちよつとお断り申しましたが、特定地域指定されたから、それでは地域内のものは、何もかもみな一様に伸びておるかというと、そうはならないのでありまして、やはり何がためにこの地域特定地域指定されたか、その基幹事業中心として、あるいは土地改良なり、あるいは道路なり、あるいは港湾なりに、ほかの地区に比べて重点的に予算がついておるという次第であります。
  36. 志田義信

    志田委員 周東安本長官が御多用中御出席くださつておられるようでありまするから、はるかに敬意を表しまして御質問申し上げます。実は今大臣もお聞きの通りに、全国十三特定地域指定に対する具体的基準の問題について、当委員会はこれを明らかにしたいと思つておるのでありますが、大体におきまして今泉政府委員お話はよくわかりました。結論は十三特定地域特定地域として、今日までの開発経過及び効果というものは、相当期待すべきものがあるという結論に到達しておると私は了承いたしております。また各県から出されておるこの開発計画のグラフによつて見ましても、山形県方面におきましては直角的な上り方になつております。それだけに重点的に予算配付があつたということは、まことに感謝にたえないのでありますが、従来の十三特定地域につきましては、私は今後ともこれは開発すれば効果が上る、経済効果があるということは論ずるまでもないと思います。そこで、ややもすると、近ごろ自分の産んだ子供をそでにして連子を大事にするという風習が、政界を問わず、内外に瀰漫しております。それで私は別にその点でひがみを申し上げるのではありませんが、大臣にひとつこの十三特定地域を再指定してもらいたいという全国の要望を代表いたした方々も、今日は詰めかけて来ておられるのでありますから、大臣みずから、心配するな、おれの腹を痛めた子供は、必ず育ててみせるという力強い発言をひとつお願いできれば仕合せだと思います。
  37. 周東英雄

    ○周東国務大臣 従来研究されております十三地区ですか、十四地区の問題につきましては、まだ関係府県において資料の出そろわないものもあるようでありますが、これも大体八月ごろには出そろうと思いますから、そのときにおいては御趣旨に沿うように指定ができると考えております。
  38. 志田義信

    志田委員 それでは最後にお尋ね申し上げておきますが、国土開発法の現法規によりまして、国土開発事業を運行する上におきまして、国土総合開発法だけでは支障を感ずるというようなことを、各方面からいわれております。先ほど政府委員のお言葉の中にもありましたが、その支障を感じるということは、何か建設省と安本との共管になつておる権限上の関係でありますか、それとも施行法ができてないために不自由を感ずるという程度のことでありますか、それをひとつ大臣にお答え願いたいと思います。
  39. 周東英雄

    ○周東国務大臣 権限が安本、建設にわかれておるから支障があるということは感じません。片方は一般的に計画を推進するのでありまして、片方は各省別の立場に立つて受持つて立てられた計画従つて実行して行くという形になつておりますから、これは支障はあるまいと私は思います。問題は日本の財政問題であると私は思います。まま子、連れ子、ほんとうの子と言われたが、今日いろいろの計画が考えられますが、法案ができただけではこれは問題にならないので、早く具体的な総合計画が立てられて、その計画を推進するに必要な予算というものが伴う、これが第一必要であります。従つてその前提として、まずその総合計画のいいものが立てられて、そうして政府の方につきましても予算化することに努力するということが第一の問題であろうと思います。その上に、もしも立てられたる計画の遂行につきまして必要があれば、実施法とでも申すものをつくつて、強力に推進する方途をとる必要があるかと、かように考えます。
  40. 志田義信

    志田委員 よくわかりました。ありがとうございました。それで最後にお尋ね申し上げますが、この開発計画の中に盛られておる目標数字作業は、これで最終のものであるかどうか、あるいはこれを近い将来において変更する考えがあるのかどうか。自立三箇年計画との今後のかね合いは、国際情勢の変化、特に收支のバランスだけを考えてやらないで、国際情勢の変化によつては、国民生活水準を向上するという建前において数字を変更するお考えがあるかどうか、あるいは現在出しておるこの数字は、一体何に基いて出したのであるか、その点だけを最後にお尋ね申し上げます。
  41. 周東英雄

    ○周東国務大臣 国土総合開発計画経済自立計画との関連についての御質問でありますが、あの経済三箇年計画を立てられたときにも、またその計画書にもうたつてありますように、今後の国際情勢の変化等において、種々これが変化を受けることは予想しております。一つの基本ラインをつけたのでありまして、その意味におきまして、国際情勢の変化においては、これが修正をなさなければならぬ部面が出て参ると思います。同時に国土総合開発観点に立ちましても、あの策定をいたしました当時は、具体的に国土総合開発というものについての計画がないときであります。一応抽象的には、あの計画の三つの大きな柱として、輸出入貿易を推進する、これが一つの柱であり、一つは国内資源開発ということが一つの柱であり、もう一つの部面は、食糧の自給度の向上、そういう観点からいたしまして、具体的に国土総合開発計画に基いて、いい案ができて参りますれば、それに沿うて自立経済三箇年計画の修正ということは、当然起つて参るものと考えております。
  42. 八木一郎

    ○八木一郎君 ただいまの問題に関連して、指定地域の特定に関しまして二、三お尋ねいたします。建設省昭和二十二年から今日まで、熱心に行政上指導的立場に立つて実行して参られた、いわゆる特定地域に対処する方針と、その実績を裏づけといたしまして、これを法制化し、国土総合開発法を公布実施いたしまして、これに基き、去る三月の十六日ですか、記録によりますと、第十二回の国土総合開発審議会において、特定の地域基本方針決定されたとありますが、この二つ方針には、根本において著しき相違はないものだと承知するのですが、それでよろしいかどうかお尋ねします。
  43. 落合林吉

    落合説明員 従来、建設省が経済安定本部と協議いたしまして、法律制定前に特定地域指定いたします際の大体の選定の方針としましては、国土計画及び地方計画構想に基きまして、特殊性のある未開発指定生産地域を対象としたのでありますが、しかしその対象といたしました地域は、日本の経済復興に寄与するための重要な資源を豊富に持つておること、こういうふうな観点から選定いたしたのでございます。先般国土総合開発法に基きまして、審議会等審議決定しました基準につきましては、先ほど来御説明がありましたように、未開発地域開発ということももちろん要素の中に入つておりますが、当面重要な施策としております日本経済の自立達成のために寄与する効果の、効率的でなければいかぬというふうな要素が、新たに前に選定しましたときに比較しまして入りましたので、そういう点若干相違がございます。しかしながら、先般経済安定本部の方々からもいろいろ御説明申し上げましたように、十三の地域を設定しますときには、数十箇所の候補地から厳選しましたので、相当いい内容を持つておる地域であろうと思います。なお従来まで法律制定前に特定されました十三地域に対する政府の措置がどうであつたか、効果がどうであつたかということについて、若干御説明申し上げます。大体昭和二十二年度から予算措置を始めまして、効果が現われましたのは二十三年度からでございます。それで従来の十三地域について申しますと、大体面積で全国の面積の八・五%、人口の比率で四・七%でございます。この地域におきまする二十二年度公共事業費の全国比は三二%でございました。二十三年度から重点的に公共事業が行われるようになりました結果、四・四%に上昇し、二十四年度には五・〇%、二十五年度も四・九%というぐあいに上昇しまして、大体この特定地域としての措置をする前に比較しまして、一・六倍ぐらいになつておる。つまり六〇%総合調整をしながら、足並のそろわないところは、出過ぎてるところを削らずに、足らないところを補うというような調整をしました結果、六割ぐらいの事業費が増しておる。それでもしこの十三地域に対しまして、このような処置を講じて行くものとしますと、特定しないで、普通の地域と同じように扱つた場合と比較しまして、どのくらい経費がよけいかかるかと申しますと、大体十六億五千万円ぐらいかかる。そのうち国費は大体十億ぐらい。十億ぐらいの国費を投入しますと、従来上げて来た程度の実績は上げ得るだろう、こういうふうに考えております。  なおついでに先ほど志田委員から御質問がありましたのに補足して申し上げますが、二十六年度におきましては、経済安定本部と緊密な連絡をとりまして、従来の特定地域法律の上からは一応白紙にもどつたのでございますが、従来からの関連もありますので、二十六年度公共事業費の支出につきましては、従来と同じような調整に努めて参りましたので、二十五年度で打切られた結果にはならないと思います。
  44. 八木一郎

    ○八木一郎君 経済安定本部では、法の十条二項に基いて行われたかどうか知りませんが、関係の行政官庁から特定地域候補地のとりまとめをしておると聞いておりますが、その事実、それから内容、何箇所ぐらいあるかということをお聞かせ願いたい。
  45. 奥田享

    ○奥田説明員 ただいま御質問がありました特定地域候補地について、安定本部できめておるのではないかという御質問でありましたが、安定本部といたしましては、行政機関として建設大臣と協議をする必要がありまして、各省にもお願いいたしまして、特定地域基準に基きまして、候補地を選んでいただきたいというお願いをいたしておるわけであります。ただいまのところ各省といたしましては、まとまつた案が出るという段階まで至つておりません。中間報告というような形で、運輸、農林、通産及び公益事業委員会というようなところから出て参つております。その数につきましては、農林関係が十、公益事業委員会は数を数えて参りませんでしたが、総合開発計画地域として考えられそうなところを三、四十出して参つております。それから通産関係につきましては、工業地域中心といたしまして、北海道の中央部その他のところを通じまして、約二十ぐらいの地域が出て来ておるように記憶しております。それから運輸関係でありますが、これは港湾の臨海工業地帶というものの整備中心といたしまして、地域として東京、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内の地域、それから富山附近といつたような地域が出て参つておりますが、そのほかに資源開発地域というものが出て来ております。これは従来建設省で問題になつておりました特定地域と、かなりオーバーラツプしている地域が織りまぜて多かつたように記憶いたしております。なお陸運関係につきましては、まだ出て参つておりませんし、先ほど申し上げましたように中間報告でありまして、今申し上げたような事情になつております。
  46. 八木一郎

    ○八木一郎君 建設省はやはり法の十条に基いて、府県の同意を得た候補地に関しては、特定の地域は従来の十三箇所によつておられるかどうか。
  47. 落合林吉

    落合説明員 先般申し上げましたように特定地域指定基準によりまして、先般地方の各府県からお寄りを願いまして、特定地域候補地調査様式を示しまして、四月三十日までにあらためて候補地を出していただく、その際には従来の地域ももちろん入る、そういうことで四月一ぱいに出していただくように要請しましたが、選挙その他いろいろな関係がありまして、先般安定本部の方から御説明申し上げましたように、五月一ぱいまでに出していただくように延期いたしました。現在までに二十の地域が届出をしております。なお今月の末までには、ほぼ同数ぐらいなものが追加されて出て参ると予想しております。
  48. 八木一郎

    ○八木一郎君 そこで私は同じ問題について、次々と簡單に進むものを、わざわざ煩わしいことにいたして、事務を法律規定した精神にも従わず、これにもとつてだんだんと遅らして——これは故意ではないでしようが、結果から言えば役所自体、政府自体がそうしておる。そう言わざるを得ないのであります。私どもはさつきも申しましたように、特定地域指定を、法の十条に規定された経緯からかんがみまして、最初指定はまず既定の事実として、政府が二十二年以来五箇年間、今日まで自主的に盛り上る輿論をもつてここまで指導の力でやつて来た。これに法律の裏づけをいたして行こうというこの際であります。その実績を見ますと、配られた県内の公共事業費の推移等から読みとりましても、二十二年を一〇〇とすれば、二十五年度は全国平均八七一という指数になつておる。ここに注ぎ込まれた事業費が出ておるのであります。多いところは一〇〇に対して三六一という熱意を示して来ております。この盛り上る模範的な、主導的なこの地帶を、いわば生みの親である建設省は経済安定本部との共管になつたとの理由かどうかしりませんが、遠慮的になりまして、さらに新しいものを追いかけようとしておる。また安定本部はこれに対して別の観点からだと称されて、各省に向つて候補地があるならば申し出て来いと話かけておられます。結果は今御説明がございましたように、運輸省であれば港湾重点があるとか、あるいは通産省であれば工業都市に重点があるとか、それぞれ所管の事項に力が張るのは当然であります。そういうものを寄せ集めて、今度は総合的に、これを原則に基いて審査して行くのだと言いますけれども、私どもは国土総合開発の基本的な態度と精神は、一日も早く、できるならば未開発資源開発いたして、さらに客観情勢に沿うように、自立の達成に寄与したいという熱意のある、精神のこもつたところに、初めて事業が実を結ぶと思う。そんな形式的な参考資料を寄せ集めて来て、総合的にりくつをつけて話をしても事業の実績は上りません。私はむしろこの法律の精神から言えば、附則に経過規定として、建設省政府昭和二十二年以来指定をして来た地帶は、第十条による特別指定地域とみなす、こういう経過規定によつて取上げて行つてもいいほどの性質のものであると固く信じ、また主張するものであります。  かような意味から、今まで伺いましたところによると、予定をしたごとき四月の末は一箇月延ばして、五月の末までに書類を整え、八月中旬に答申をし、九月に云々というような状況にはとうてい進まないと思う。私はこの際拙速と申すのではありません。精神のこもつた国土総合開発の第一歩を、取急いで踏み出せるためには、この際すでに実績のある歴史をつくつて来たこの地帶に向つて、集中的に、優先的に、当然考慮して進んで行くべきものだというふうに主張いたし、また解したいのでありますが、附則に経過規定として、みなすと、法を改正してまでもその必要があるというふうに思います。船頭が多く船が山に登るのはわかりきつたようた総合開発の店開きはしてもらいたくない、これに対して責任ある政府の所信を伺います。
  49. 小峯柳多

    小峯政府委員 大分きついおしかりを受けましたが、新しく出発した国土総合開発法の精神からいつて、なるべく材料は、総合的に整えて研究するということが必要だと存じます。しかしまた御指摘のように船頭が多くなつて船が山に登つたのでは、これはまた非常に目的に沿わないのでありますから、結果において、今御指摘に相なりましたような形で進めるように努力いたしますということで御了承いただきたいと思います。
  50. 八木一郎

    ○八木一郎君 努力ははかるものさしがありません。いつまでに予定の八月中旬の答申をもつて指定するという、今の言明を期待いたします。
  51. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘のように、八月の中旬ごろまでには、ぜひ終るように努力をいたしたいと思います。
  52. 圖司安正

    圖司委員長 高橋英吉君
  53. 高橋英吉

    ○高橋英吉君 四国の西南開発の問題についてお願いやら御注文をしたいのであります。  この国土総合開発法成立以前の特定地域総合開発計画として、四国西南開発が取上げられておるのでありまして、この点においては、この法律ができましてから、ますますその必要性が痛感されて来られておると信じておりますが、実は当時の開発計画における地域は、ある点において狭小であつたのであります。あの際決定されました地域では、とうてい開発目的が達成できない。完璧な計画にならないということを申し上げておつたのでありますけれども、当時費用が少いのであるから、優先的に願いたいというようなことで、われわれが当局その他と折衝中にこの法律ができ上つて、まだわれわれの主張が貫徹できていなかつたのであります。従つて私がここでお願いする地域と、当時の地域とは多少相違しておつたのでありますが、しかし私がここに申し上げる地域を包含しなければ、いろいろな点で開発目的が達成できない、そういう点からこの地域の変更をぜひお願いしたいと思うのです。  従来の地域は愛媛県の北宇和郡、南宇和郡、宇和島市、及び東宇和郡の一部、高知県の幡多郡とであつたのでありますが、これを東宇和郡の大部分——つた部分、それから西宇和郡及び八幡浜市、喜多郡の肱川流域、高知県では高岡郡、これをぜひ増加していただきたいと思うのです。理由はいずれ将来書面をもつて申し上げますが、大体地勢から、文化から、民情から、交通産業関係の同一の地域でありますし、ことに喜多郡の肱川流域、それから高岡郡を包含しなければ、とうてい電源開発目的が達成できないのであります。電源開発ができなければとうてい開発目的が達成できないというふうなことになつておりますので、どうしてもこの地域の包含をお願いしたいのであります。当局は今なお経費の関係からこの地域の包含に対して御反対でありまするが、こういうふうな総合的な法律ができ上つた今日でありますから、百尺竿頭一歩を進めて、私が主張し、お願いいたしまする地域も包含していただけるような、そういう心持になつていただいてもいいと思うのです。念のためにお確かめ申し上げますとともに、委員諸君においてもぜひこの点御賛同願いたい。
  54. 今泉兼寛

    今泉政府委員 今御要望になりました点は、先ほど来申し上げました通り、新しい観点から新しい選定基準で選定するということになつておりますので、今度選定する際に、決して従来出した範囲だけに限定して、それ以外は広めないのだという考えは毛頭持つておりません。当然新しい資料の御要望の向は、そういう観点をもつてお出しになると思いますから、中央におきましては、そういう御希望の点を盛りまして再検討した上、当然広める必要があれば包含して指定する、こういうことになろうかと思います。
  55. 圖司安正

    圖司委員長 山本久雄君。
  56. 山本久雄

    ○山本久雄君 ただいま志田委員から私の問わんとするところはほとんど問われましたので、多くを質問する必要のないものと認めておりますが、ただ今八木議員から申されましたごとく、新しい法が制定されました関係上、四十、五十というようなそれぞれの地方の各府県から、各省にわたつて提出された。これについては政府当局におかれましても、相当考慮していただきたいと思いますことは、一昨年広島市と長崎市が原子爆弾の被害をこうむりました関係上、これを特別法によつて救済をしてもらうために私は努力いたしまして、そうして長崎、広島は平和都市、文化都市として新しい特別法を制定してもらつたのであります。ところがその後次々とこの特別法に類似した法案が通過いたしまして、今日ではほとんど二十を越えるというようなことになつている。中には観光都市とか、あるいは温泉都市というようなものまで出ました。それがために今日では、長崎市も広島市も何ら一般的の措置しか考えてもらつておりません。これではどうもわれわれが最初この法案を提案いたしましたときの意思とは、まことに相反したわけでありまして、明治政府が始まつて以来今日まで、旧憲法、新憲法を通じて新しく制定されたこの法律は、そんなものではないと私どもは思つてつた。法の尊厳の上から申しましても、まことにわれわれは遺憾千万に思つております。従つてさようなわけでありまするから、今日この地域の問題につきましても、ただいま八木議員が申されましたごとく、二十二年から建設省所管のもとにあらゆる資料を提出し、收集し、そうしてまた実地についても幾たびかの調査を遂げられ、相当精密な調査ができておつた。この十三地域というものが一昨年制定されまして、やれやれこれでまず国土総合開発はでき上つたのだ、これから予算の裏づけだと思つておりましたところ、本法の制定によつてこれが御破算になり、まことにどうもそれぞれ関係地方民は落胆しておるのであります。そこで私はこの場合申し上げたいのは、願わくは政府当局におかれましては、ただいま志田委員が申されましたごとく、連れ子なんというような問題ではない。現にこの十三地域というものは、今日まで数年間、建設省においても相当自信のある、真剣な取組みをして調査を遂げられた結果の結晶が現われておる。できればこの際十三地域に限定されて、そうして新しく各省から出ておるものはお取消しになる意思はないかということをまずお尋ねするのであります。
  57. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘の精神はまつたく同感であります。特に実際の御経験から御教示をいただきましたが、私どももそういう精神を生かすようにやりたいと考えております。なおまた候補者が非常にふえたというお話でありますが、これは基幹条件に対する追加という意味もあつて、当然研究しなければならない問題だと思いますが、しかし御指摘の精神に沿いまして、いたずらに数をふやしまして、特定が普通になるようなことは、十分考慮して参りたいと思つております。
  58. 藤田義光

    ○藤田義光君 委員長の御配慮委員外発言を許されましたので、きわめて率直に、私は政府当局の御意見を伺いたいと思います。  まず第一は、昭和二十二年に、先ほど来お話がありました通り、十三箇所の特定地域決定いたしております。昨年国土総合開発法ができまして、この十三箇所の既成事実を裏づけするための法文化であるというふうに、われわれは常識的に解釈しておつたのでございまするが、先ほど来の政府委員の御答弁はまつたくわれわれの期待に反します。この点八木議員も繰返し強調しておりますので、私から多くを申し上げませんが、講和会議が目睫に迫つておる際に、日本の自立経済の深さと広さというものは、講和条約が完成しましたならばはつきりして来る。その直前である今日におきまして、相当厖大な国家予算を捻出しなければならない特定地域を、特に早く再検討するということは、どういう根拠でございますか。総合開発法にはそういう規定はございませんが、政治的見地から、どういうふうな観点から、八月中旬ころにはきめたいという意向でございますか、お伺いしたい。われわれとして講和会議が済んだならば、この特定地域の国家の体面にかかわる大きな総合開発計画に対して、どのくらい国家予算を出せるかという、はつきりした目途がつくわけでございます。あえて今日こんな時代にこういうものを出すということは、国家財政の将来を考えない暴挙であるというふうな懸念もあるのでございますが、その点政務次官の御意向を承つておきたいのであります。
  59. 小峯柳多

    小峯政府委員 国土総合開発のやり方も、先ほど大臣からも答弁がありましたが、結局国力の問題でございましよう。自立経済計画の進め方は、講和が済んでから深さも幅もきまるというお話でございましたが、講和後に経済がどのくらい盛り上るという点になるのだと思います。しかし経済の盛り上る裏づけとして、国土に対する総合的な経営ということは、許されたる財政力の中でも最大限度でなければならぬと思います。今だんだん委員の各位から御指摘いただきましたように、ただ総花式に、何もかにも広げるという意味ではございませんで、特に手塩にかけて育てられた建設省の十三地域の問題も、結局その他の候補地の追加をあげますのも、国の基幹条件はもつと総合的に取上げられるという意味で検討に値するということはございますが、地域をいたずらにふやしたいというような考えは毛頭ございません。なおこれを八月中旬までにやりたいということは、二十七年度予算編成の時期とにらみ合せまして、そうでないと特定地域としての予算しかとれない、かような意味で八月中旬を目途といたしたわけでございます。
  60. 藤田義光

    ○藤田義光君 そのことは一応了承いたしましたが、次にお伺いしたいのは、特定地域の規模によりまして、大体国から出す予算の額もかわつて来まして、はつきりした数字はつかめませんが、大体どの程度年々この計画に国費を注ぎたい、二十八年目標あるいは三十五年目標というようなことを、今まで審議会においても協議されておりますが、この国家財政の中に占める総合開発に要する費用の規模というものがはつきりしなければ、基本方針というものは絶対きまらぬはずでございます。この財政規模のいかんによりまして、総合開発の規模は左右されるのでございますから、この点に関しまして当局に何か腹案がございましたならば、お示し願いたいと思います。
  61. 小峯柳多

    小峯政府委員 先ほどごらんをいただいたかもしれませんが、休会前の国会で、自立経済計画の中に公共事業費として各年別に、こういうふうに盛り上げたいという最低の数字は確定してございます。ただいま手元に持つておりませんので具体的な数字は申し上げられませんが、その最低の線も、経済力の進展の仕方、あるいはまた急に必要な、あるいは理由が立ちますれば、建設公債等の考慮もできますれば当然かわつて来るわけでございますが、少くともわが国の自立経済計画にうたつた最低の線だけは確保したいというふうに、私どもは考えております。
  62. 藤田義光

    ○藤田義光君 たいへん財政に明るい政務次官にいま一点お伺いしたいのですが、この総合開発法に基く特定地域決定しまして、いよいよ事業面が具体化します際におきまして、地方財政にいかなる影響を与えるか、たとえば府県庁の予算等にも、相当地元負担と称して影響するところがあると思いますが、どういうお見通しでございますか。この点地方財政が非常な深刻な現状にありますので、念のためにお伺いしておきたい。
  63. 小峯柳多

    小峯政府委員 地方財政に非常に詳しい藤田議員からの御質問なのでお答えがしにくいのでありますが、総合開発をやりますれば、当然財政の負担は地方に及ぶと思います。しかし今日の苦労は明日の楽しみになるという総合開発の精神を解しまして、地方は喜んでやつていただけるのじやないか。もつともそれに関しまする措置としましては、施行法が実施のあかつきには、金融の措置とか、あるいは別個の措置等、その地方が負担に耐えられるようなかじのとり方は、施行法でやつてもらいたい、そういうことで先の楽しみがあるから、さりとて今の苦労をほうつておくわけにはいかぬ。その辺のかじは施行法でとれることと思います。
  64. 藤田義光

    ○藤田義光君 この際私は少し根本的な問題を簡單にお伺いしたいのですが、実は御存じの通り日本では予算面を見ますと、公共事業費というのが各方面に置かれておりまして、雑多になつております。アメリカにおきましては、たとえばテネシーのTVAのごとく、公共事業と申しますのは、ほんとうの国家的な計画に集約されておりますが、日本におきましては、小さい刑務所の建設に至るまで公共事業なつております。これをほんとうにアメリカ式に整理いたしまして、大きな国家の責任と財政力においてやらずんば、完成せざる大事業のみを公共事業に集約する、いわゆる公共事業本然の姿に返すことによりまして、特定の地域というものはおのずから決定して行くと私は考えております。この公共事業というものを整理しない限りは、いつまでも中央集権の弊風が残ります。公共事業をお互いの選挙区に持つて行くために、国会議員が執行機関に頭を下げて補助金をいただくという醜態を、長く継續することになりますので、この問題に関しまして、おそらく政務次官は何か考えておられると思います。先般のわれわれの委員会でもちよつとお伺いしましたが、はつきり御答弁がなかつたので、重ねてこの公共事業の将来の大幅な整理に関しまして何かお考えがないか、お伺いしておきたいと思います。
  65. 小峯柳多

    小峯政府委員 公共事業の問題と地方行政の問題とは、どちらが鐘でどちらが撞木であるかという関係であると思います。かりに地方行政が充実いたしますれば、御指摘のように公共事業をほんとうにすつきりした形にすることができると思います。アメリカの例を御指摘でありますが、その点は私どもの国とは、もちろん非常な隔たりがあちら様にはあるのであります。ただそういう線に沿いまして、だんだん整理して参りたいという心がけから、営繕事業のような関係は今回公共事業からはずしておりまして、幾らかずつでも現実に即しながら、すつきりした形をとりたいという考え方で進んでおります。
  66. 圖司安正

    圖司委員長 公共事業は議題外でありますから……。
  67. 藤田義光

    ○藤田義光君 あと二点ばかり簡單にお伺いして、私の質問を終りたいと思います。  次にお伺いしたいのは、国民の常識としまして、従つて国民の輿論の代表である国会の常識としまして、従来の十三地区指定された既得権というものが侵害されないということは確信しておりますが、従来の計画のうち、執行機関におきまして規模が小さ過ぎる、あるいはその計画のうちで、ある種の計画が具体化できないというような横やりが途中で入りまして、この十三地区が変更されるというようなうわさも拝聴したことがございますが、政務次官、そういうようなことがございますかどうか。あくまで十三地区の既得権はひとつ政治家の節操としても守りぬいていただきたいと考えておりますが、この点いかがごありましようか。
  68. 小峯柳多

    小峯政府委員 私も役人半分、また同時に同僚議員と同じ議員でありまして、御指摘の点はわれわれ同感であります。御指摘の特定地域を生かしますためには、あまり数を多くすることはできないと思います。さりとて新しい角度から基幹条件というものを十分追加して、まんべんない計画を立てたいという考え方もございます。しかし御趣旨は私ども同様に持ち合せている常識だと思つております。
  69. 藤田義光

    ○藤田義光君 これは総合開発法の立法の当時にさかのぼつた問題であるかもしれませんが、最後にお伺いしておきます。国土総合開発の所管は建設省なつておりますが、事務は安本になつておる。これは私の誤解ではないと思いますが、もしこの所管が建設省である、あるいは両方の共管であるというようなことによりまして、従来の既得権を持つた地域が左右されるというようなことがありますと、これは中央官庁に対する国民の不信を起す危険があるということをわれわれはおそれております。非常に公平な小峯政務次官が安本の次官をされておる間は、私はそういうことがないことを確信しておりますが、新聞の報道では、近く政務次官の更迭があるということであるから、今小峯さんがどういう答弁をされましても、やめた以上は私は知らぬということでなくて、国会の権威ある速記録に、小峯さんの政治家としての真情をこの際とどめておきたいために、あえてお伺いするのでありますが、この際国土総合開発の所管を一本にしまして、官庁のセクシヨナリズムの犠牲となつて、地方が迷惑をこうむるというような弊風を一掃される断固たる態度に出られるお気持はございませんか。あるいは従来の総合開発特定地区指定にあたりまして、非常に努力しておりました農林省その他の各省においても、共管ならば同様な権限において発言権を持つという態勢をとるべきではないかというふうに私は感じております。理想としてはあくまで一本の官庁によつてこの事務を遂行することが、最も円滑に運ぶのではないかと考えております。私どもの忌憚ない意向としましては、政務次官とは違います。建設省で全責任を持つて、あくまで強力に推進してもらつたらどうかと考えますが、もし小峯さんがやめられないとすればけつこうでございますけれども、やめられるとすれば、最後の大きな置きみやげとして、この点に関する何か手を打たれるお気持はございませんかどうですか。これをお伺いいたしまして私の質問を終ります。
  70. 小峯柳多

    小峯政府委員 私は精神はあくまで一本、しかし現実の事務担当は、その仕事の量に応じて適当に分担するのがよかろうと考えております。なおまた建設省一本というお話がありましたが、総合開発基幹条件が非常に多種多様にわたりますので、国の経済を総合的に見ております安定本部が一枚加わりますことが、どうしても必要だと考えます。これは私の身分いかんにかかわりませず、安定本部の設立の精神に照らして、大所高所より見る必要があると思います。従つて私の顔の問題でなしに、役所の方といたしましてもこの点は堅持いたします。ただ御指摘のように、まとめあげる精神はどこまでも一本で行く。しかし仕事の方は適当に、今までの経験あるいは現場の把握等の状態から分担していただくことによつて、万遺漏なくやつて行けると思います。その点で公共事業は私どもが把握するようになりましてから、非常に進歩したのではないか、こう申し上げましで御了承願いたいと思います。
  71. 志田義信

    志田委員 本委員会において特定地域に対する、あるいは総合開発に対します政府の御答弁をいただきましたことは感謝にたえませんが、総合国土開発について特に熱心にこの成行きを見ております議員団体といたしまして、過般来特定地域指定促進の議員連盟ができまして、昨日その臨時総会が行われたのであります。その臨時総会の席上で決議がなされておりますので、本委員会においてこの決議の朗読をお許し願いたい。同時にこの決議を政府に伝達する方法を政務次官においておとり願いたい、かように思います。
  72. 圖司安正

    圖司委員長 決議の朗読はさしつかえございません。伝達することも委員会としてさしつかえございません。
  73. 志田義信

    志田委員 それでは朗読いたします。   特定地域指定促進に関する決議  第七国会に於て成立した国土総合開発法に基き、政府に於ては開発地域選定につき折角努力中ではあろうが同法施行前既に政府よりその指導と関係地元の努力とに依り、数年に亘る調査の結果一応特定地域としての取扱いを受けて居た別記十三特定地域は同法の実現に依り改めてその指定を得なければ特定地域として認められないので関係都県及地元民に於ては不安と焦燥とに駆られ、開発促進に至大の支障を来して居る現状である。就ては同法施行以前政府より特定地域としての取扱いを受け積極的にこれまで開発を進めて来た前記十三地域は速かに同法に依り、特定地域としての指定を与へ、現在までの努力に酬ゆると共に之等地域開発の進展に寄与せしむる様、政府は最善の措置を講じさきに政府が言明の如く遅くも昭和二十六年八月中にはこれらの地区を再指定でき得るようわれらは政府に申入する。  右決議す  昭和二十六年五月二十五日  特定地域指定確認促進議員連盟         会長庄司 一郎    記   阿仁田沢地域  秋田県   最上地域    山形県   奥会津地域   福島県           新潟県   伊豆島嶼地域  東京都   能登地域    石川県   東三河地域   愛知県   吉野熊野地域  奈良県           和歌山県   島根大山地域  島根県           鳥取県           岡山県   芸北地域    広島県   那賀川地域   徳島県   四国西南地域  愛媛県           高知県   阿蘇地域    熊本県           大分県   南九州地域   鹿児島県           宮崎県
  74. 圖司安正

    圖司委員長 今の決議に対して政府の所見があれば承ります。
  75. 小峯柳多

    小峯政府委員 ただいま朗読になりました決議文の精神に対しましては了承いたしましたから、最大限度その精神に沿い得るよう善処いたしたいと思います。  なおまた特定地域指定総合開発の問題は、国家百年の計を決する重大な問題でありますので、関係議員諸君におかれましても、引續き当局を御鞭撻いただきますよう、この機会にあらためてお願い申し上げる次第であります。     —————————————
  76. 圖司安正

    圖司委員長 他に御質疑がなければ、この際閉会中の審査に関する件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、今会期の初めに国政調査の承認を得まして、日本経済の自立計画並びに国土総合開発計画等、経済の総合的基本施策に関する諸問題につき種々調査研究いたして参りましたが、会期終了も目前に迫つておりますので、閉会中もなお継續して審査をいたしたいと存じます。ついては国会法第四十七条第二項の定めるところにより、自立経済計画国土総合開発計画事業者団体法等、経済諸法令の再検討電力及び公共事業費を初め産業経済事情に関する諸問題につき、閉会中も継續して審査することを院議に諮る必要がありますので、その旨議長に申し出たいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 圖司安正

    圖司委員長 御異議なしと認めます。それではただいまより閉会中の審査申出書を朗読いたします。     閉会中の審査申出書一、閉会中審査すべき事件(一)国土総合開発計画に関する件、(二)電力及び公共事業に関する件、(三)自立経済計画に関する件、(四)産業経済事情調査に関する件、(五)事業者団体法等経済法令に関する件一、閉会中審査の目的  以上の件検討のため(小委員会設  置、委員派遣、関係方面よりの説  明、意見の聴取及び資料の要求等)右により閉会中もなお審査をいたしたいから、しかるべくとりはからい願いたい。   昭和二十六年五月二十五日     経済安定委員長 圖司 安正   衆議院議長 林  讓治殿  以上の通り議長に申し出ることといたします。  次に委員派遣の承認申請の件につきお諮りいたします。閉会中の継續審査が本委員会に付託されましたならば、委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 圖司安正

    圖司委員長 御異議なしと認めます。それでは委員派遣承認申請書を朗読いたします。     委員派遣承認申請書  一、派遣の目的国土総合開発計画電力並びに公共事業、及び自立経済計画上緊急を要する経済問題並びに企業実態の実地調査  一、派遣委員の氏名 第一班、永井英修君、細田榮藏君、勝間田清一君、第二班、志田義信君、寺本齋君、笹山茂太郎君、第三班、圖司安正君、森曉君、有田喜一君、第四班、多田勇君、村上清治君、森山欽司君  一、派遣の期間 各班十日間  一、派遣地名 第一班北海道地方、   第二班中国及び大阪兵庫地方、第三班四国及び和歌山奈良地方、第四班九州地方右により委員を派遣したいから衆議院規則第五十五条により承認を求める。   昭和二十六年五月二十五日     経済安定委員長 圖司 安正   衆議院議長林讓治殿  以上の通り委員派遣の承認申請を議長に提出いたすことといたします。  なおこの際お諮りいたします。閉会中の継續審査が本委員会に付託されましたならば、閉会中の委員会開会も考えられますので、国土総合開発に関する小委員会、事業者団体法等経済法令に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 圖司安正

    圖司委員長 御異議なしと認め、以上の両小委員会は設置いたすことに決定いたします。  なお小委員長及び小委員の選任については、委員長にに御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 圖司安正

    圖司委員長 御異議なしと認めます。  それでは国土総合開発に関する小委員に    岩川 與助君 小野瀬忠兵衞君    志田 義信君  有田 喜一君    中崎  敏君を指名し、志田義信君を小委員長に指名いたします。  次に事業者団体法等経済法令に関する小委員に    多田  勇君  永井英修君    細田 榮藏君  竹山祐太郎君    勝間田清一君を指名し、多田勇君を小委員長に指名いたします。     —————————————
  81. 圖司安正

    圖司委員長 引續き日程を追加いたしまして陳情の審査に入りたいと存じます。  本日まで本委員会に送付されました陳情書は、労務用物資配給に関する陳情書(第五一三号)、労務用物資対策に関する陳情書(第五一五号)、労務用物資配給等に関する陳情書(第五三八号)、労務用物資配給に関する陳情書(第五五七号)、事業者団体法改正に関する陳情書(第六一三号)、事業者団体法改正に関する陳情書(第七〇七号)、労務用物資配給に関する陳情書(第七二七号)、以上の七件でありますが、いずれも去る三月二十三日本委員会において審査いたしました陳情書と、大体において同趣旨のものでありますので、前会同様いずれも委員会において了承ということにいたしたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 圖司安正

    圖司委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十七分散会