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1951-05-24 第10回国会 衆議院 経済安定委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十四日(木曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 竹山祐太郎君    理事 勝間田清一君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       金光 義邦君    奈良 治二君       細田 榮藏君    村上 清治君       笹山茂太郎君    森山 欽司君  出席政府委員         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         長)      徳永 久次君         経済安定事務官         (物価庁第三部         長)      川上 為治君  委員外出席者         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         鉱政課長)   永野  量君         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         配油課長)   百武  寛君         経済安定事務官         (産業局燃料課         長)      近藤  勝君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 五月二十四日  委員寺本齋君辞任につき、その補欠として堀川  恭平君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  石油事情に関する件     —————————————
  2. 圖司安正

    圖司委員長 これより会議を開きます。  石油事情に関する件を議題に供し、政府当局より説明を聴取いたします。近藤説明員
  3. 近藤勝

    近藤説明員 本年度におきまする石油需給関係について、大体の御説明をさしていただきたいと思います。  石油需要は、私の方で従来割当てをいたしております関係から、その割当て主務官庁からとりました需要の要請というものをほぼ集計いたしまして、本年度における需要は四百七十七万トン程度するものと推定いたしております。この有効需要を満たすために、できるだけ国内における石油原油生産、及び精製による製品生産というものを育成すると同時に、どうしてもこの両者によつて満たされない数量は、製品のままで外国から輸入しなければならないという関係から、私の方の作業としましては、原油及び製品による輸入外貨をどの程度つけなければならないかということに、現在はもつぱら重点をかけておるわけであります。お手元に配付いたしました資料ごらんになつていただきますとわかりますが、原油有効需要約四百七十七万トンのうち、国内から三十万トン程度充足するのであります。それから輸入原油によりまして二百八十万程度を充足し、その他は今後ガリオアが漸次減少ないしは廃止になるという関係で、商業勘定による民貿を開始いたしまして、これでほぼ本年の需給を緩和できるような外貨予算を編成いたしまして目下貿易当局及び総司令部の方と折衝しているわけであります。この金額は大体一億五千万ドル程度であります。この数字によりますと、去年ほぼ二百六十万キロ程度割当しかできなかつた石油関係としましては、本年度もし外貨の問題、その他タンカー等輸送関係が円滑に行くということになりますと、ほぼ割当数量の二倍近くになるという関係で、全体としては去年のような窮屈な割当事情から比べて、相当明るい見通しを持ち得ることになつております。  今御説明しましたのは、一年を通じての一億五千万ドルの外貨でございますが、最近までの一—三及び四—六の外貨事情を見ますると、予定の一〇〇%はついておりませんけれども、少くとも去年の割当事情から見ますと、すでに多いものでは二倍近く、少いものでも約五割の増加状況にあります。従つて去年の窮屈さからみますれば、この一・四半期実情も、相当の増配が行われておるという関係で、比較的需給関係も明るくなつているように考えております。  以上大体需給関係のあらましでございますが、この石油関係における需要量が、去年約二百六十万トンであつたのが、今年に至つて一躍四百七十万トン程度あるということになりまして、ちよつとごらんになりますと、需要量が圧倒的な増加を示しておるのは、どういうわけかという疑問を抱かれるふしもあると思いますけれども、これにつきましては、昭和七年から十一年ごろの実績に徴しますと、この需要量というものはほぼ一〇%から一二、三%の増加にすぎないのでありまして、日本経済がもとのベースに乗つて来た今日、この需要を充足するために、相当外貨予算及び生産増強ということを考えてもいい段階に入つていると考えられます。  以上簡單でございますが、石油需給関係について御説明申し上げました。
  4. 圖司安正

    圖司委員長 次に徳永政府委員説明を聴取いたします。
  5. 徳永久次

    徳永政府委員 石油一般情勢はただいま安定本部から御説明があつたわけでありますが、計画でなしに確定数字について話せということのようでございます。御承知のように、石油供給力の問題は、原油なり重油なりの輸入がどの程度ふえて行くかということによつてきまつて参るわけであります。国内精製業は一昨年の夏から着手して参りまして、昨年の一月以降精製段階に入つたわけであります。だんだんとふえて来ておりまして、スタートの当初は一日の処理量が二万一千くらいのところにあつたのでありますが、それがこの四—六で一日四万二千七百のレベルまで来たわけであります。去年の一月の約倍くらいのところに来たわけであります。重油につきましても、これまで全部ガリオアでもらつておりました関係もあり、消費量相当規正されておつたわけでありますけれども先ほどの御説明にもありましたごとく、この四—六から実は相当大幅にふえて参りまして、若干のストツクも見ておりますけれども、三十七、八万キロ分くらいの輸入予定されているというようなことになつております。また国内で全然できません高度へ機械油というようなものにつきましても、これは全額的にはそう大きなものではありませんけれども、この一月以降輸入が認められまして少しずつふえて来ております。ただいま当面しております基本的な問題は、今の四万二千七百バーレル処理量、それから国内でどうしても足りない重油なり機械油というようなものが、もう少しふやし得るか得ないかにかかつておるわけであります。と申します意味は、これを外貨資金の観点から考えてみました場合に、昨年中はその大半をガリオア資金によつて受けておつたわけであります。これは念願的にこの一—三月までの分として、昨年の分を私ちよつと記憶しておりませんが、千五百万か二千万ドルかそこらの数字にしか相ならぬわけであります。それ以外のトータルも、六千万ドルくらいのものにつきまして、残りの四千万ドルなり四千五百万ドルというものは、ガリオアによつてまかなつておるという実情にあるわけであります。そういう状況でございますので、四—六の若干がまだガリオアに残つておる。七月からガリオアがなくなつてしまうといたしまして、結局日本経済力から、自前で、国内石油需要を充足するための外貨資金をつけなければならないということになるわけであります。その数字年間として計算いたしますると、ただいま安定本部から御説明いたしましたように、一億五千万ドルくらいのものになるということであります。これは若干昨年度比較としては正確ではございませんが、昨年の六千万ドルより一億五千万ドルというのは、少し多くなり過ぎるのではないかというお感じがおありかと思いますが、この点は実は値段そのものも上つておりますので、六千万対一億五千万の割合で、供給をふやすということを考えておるわけではないのであります。その点は割引いたといたしましても、従来は自前でつけておつた金は、二千万ドル見当のものであつた。それを本年度は一億五千万ドル見当のものをつけなければならないということ、それが実現できるかいなかということによりまして、石油供給をどの程度ふやし得るかということになるのではないかと思うわけであります。少くとも私どもとして現在到達しておりますレベルを下るようなことがあつては、はなはだ申訳ないのでありまして、これを下げるということではなしに、ふやすのみならず、理想の二億五千万ドルのところまでつくごとくやりたいということをわれわれの目標にしまして、今安定本部にもお願いし、安定本部主務局でありまする産業局の方が、貿易局なり、総司令部方面と熱心に折衝してくれておるということであります。本年度外貨資金の組み方としまして、年間全体の額、産業ごとについての計画というものを見当して、その上で適当な業種別資金つけ方というものを生み出して行きたいという方向で、今総合的に問題が取上げられておるわけであります。まだ実はそれの結論が出ていないわけであります。ただ、ただいまの折衝段階におきましても、私どもは減らされるかもしれないという印象は受けていないのであります。当然今のレベルでは今の日本経済の発展に使用するものとしてまだ足りないのだという印象で、すべての人がこの問題を取上げてくれておるということを、私ども結論に到達しない過程でございますが、そういう感じでおるわけであります。ただそれがどの辺に落ちつくかということは、私どもまだ計画全体が策定中の段階でございますので、見当がつかないというところにあるわけでございます、確定的なものとしては、国産原油の問題は、先ほども御説明ありましたごとく、昨年が三十二万キロでございます。二十六年度は推算としまして三十五万を下ることはあるまい、四十万近くは行くのではないかというふうには見当をつけておりますけれども計画を組みます場合には、多少安全を見なければならないというふうに考えております。順調には伸びておりますものの、その数字は全体的に見ました場合には、全体の数量に対する割合というものは、一割にも満たないという状況にあるわけであります。従いまして石油問題のかぎは、輸入いかん輸入外貨資金いかんということに相なつて参るというふうに考えておるわけであります。外貨資金があつても、現物がうまく入るか入らないかという問題も議論の種になろうかと思いまするが、私ども現在のところその不安というものを感ずるような場面には当面いたしていないわけでございます。最近新聞紙上に出ておりまするイランにおきまする石油の紛争の問題が、どう結着するかということによりまして、多少の影響が及ぶということも予想されますので、非常に注目をいたしておるわけでありますが、全体的に見ますれば、石油供給力は世界的に非常にふえて来ております。他の物資朝鮮動乱以後当面しておりますような、供給力自体に対する不安というようなものは、実はあまり感じておらないというのが、ただいま置かれておる石油の環境でございます。従いして当面の問題は、日本経済力の中から、石油外貨資金が、どの程度つけ得るであろうかということに帰着するということに見ていいのではないかと考えておるわけであります。
  6. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまの政府当局説明に対し質疑があればこれを許します。
  7. 志田義信

    志田委員 実はまだ詳しく聞きたいので、質問するほど材料はまだお伺いしてないのですけれども、それでは今までお話くださつたことや、手元にある資料、その他によつてお尋ね申し上げたいと思います。  今度ようやく石油の問題につしきましても、日本が独自の立場で今後の国内生産能力増強や、その他石油事業に対して自主的に、自立の方向に向つて日本政策をとれるようになつたことは、私はたいへん喜びに思つておりますが、そういう自主的な石油政策を立てる上において一番問題になりますのは、もちろん外国から原油を入れることであるという意味の御説明はもつともだと思うのであります、そこで私はちよつとお尋ね申し上げたいのは、石油輸入原油処理量については、先ほど四万二千七百バーレルということを言われたようでありますがこれはどのくらいにふえる可能性があるか、これを詳しく申し上げますならば、七月からは——六月までは今までのような状態といたしまして、七月からはどのくらいこれをふやす可能性が出ておると思つておられるか、それをお尋ねしたいと思います。
  8. 近藤勝

    近藤説明員 先ほど説明申し上げました通り、この原油輸入は大体外貨予算がはつきりしませんと、はつきりした数量が予想できないのでございますが、ただいまのところ原料重油を合せまして四万四千七百バーレルのものをもつて、ほぼ十二月まで持續できるだけの予算手当はついておるわけでございます。先ほど説明申し上げましたように、一億五千万ドルの予算を編成しましたときは、さらにこれを昭和二十六年度におきまして、六万六百バーレル極度まで上げたいと思いまして、予算は編成しておる次第でございます。
  9. 志田義信

    志田委員 今重油の問題にもちよつと触れておられたようでありますが、これは重油の問題はきわめて重要でありますからお尋ね申し上げますが、重油原油とをインクルードしないで、これをセパレイトして、重油需要に対する輸入については数量をどんなふうに考えておるか。これは民貿によるのだろうと思いますが、その点をひとつ詳しくお尋ね申し上げたいと思います。
  10. 近藤勝

    近藤説明員 重油は従来まではガリオアとそれから国内原油及び国外から入つて参ります輸入原油による精製と、この二つよりほかに供給源はなかつたわけでございます、その数量は一・四半期、約国内精製による重油供給が二十万キロ、それからガリオア供給されるものが十三万五千キロ程度ございました。これが一月から三月までの実績でございます。ところが四万から石油行政権政府移譲を受けましたとほぼ時を同じゆうしまして、重油民貿が許されまして、これによる輸入量を最初に立案いたしましたときは、三十七万五千五百キロの輸入予定いたしまして、これに関しました外貨はすでにつきまして公表済みでございます。情報によりますと、今週の終りにすでにその第一船が入ることになつております。従つて先ほどの国内生産二十万キロ及びガリオアが引續き今期も入つて参りますから、十三万万五千キロ、それに三十七万五千五百キロという、これだけが第一・四半期供給力予定でございました。ところがこの三十七万五千五百キロを、私の方の予定としましては、四月から六月の供給源にそつくり見込めるつもりで予算をとり、外貨公表をしたかつたのでありますが、いろいろ事務上の都合で、約二箇月半ばかりずれましたために、四月から六月の供給が予期したほどに参りません。しかし六月ごろになりますと、今申し上げました民貿による輸入の効果が出て参りますから、六月以降の需給関係は、ほぼ有効需要の八〇%くらいまではつく予定でございます。この三十七万五千五百キロというのは、私の方で最初考えましたのは、業者としましては今までいわゆるランニング・ストツクがゼロでございますから、このランニング・ストツクを、将来に繰越す予裕を見て、三十七万キロ程度を、一・四半期に入れるということを予定したのでございまして、今後はこれだけが入りますと、ガリオアがなくなることを予定いたしましても、約三十万から三十五万くらい入れて行けば、重油に関する限り、需給関係は従来ほど逼迫しないだろうと考えております。そういうつもりで外貨の方の予算をただいま折衝中でございます。
  11. 志田義信

    志田委員 重油の点はよくわかりました。それでは現在原油の正常の在庫というものを何日分ぐらい見ておられるか、それから今後何日分ぐらい見ておられるか、それをひとつお伺いいたします。
  12. 近藤勝

    近藤説明員 従来までは約一月を予定しておりましたが、タンカー事情その他国際情勢関係もございますから、私の方の理想では四十五日分と予定しております。
  13. 志田義信

    志田委員 実は朝鮮事変その他国際的の情勢がありましたので、原油その他の製品につきましても、備蓄のために必要な緊急輸入というようなことが一時考えられておつたのであります。その後はそれはさたやみにみなつたようにも聞いておるのでありますが、今後そういうような朝鮮動乱や、その他の国際情勢に影響されての備蓄という考えからの、緊急輸入の面の外貨予算を計上する考えを持たなければならぬかどうか、その点をお伺いいたします。
  14. 近藤勝

    近藤説明員 大体外貨を編成いたしますときに、一般物資は一・四半期前に編成しまして、三箇月以内にほぼ入荷を見るように予定しておるのでございます。従いまして石油の方も、製品につきましての外貨の編成は、ほぼその方法に基いておりますが、原油につきましては、先ほどからのお話通り精製工場相当安定性を与えるという必要もございますから、特別に貿易関係と連絡をとつて、約六箇月以前に外貨予定を組んでおります。従つて精製業者としましては、ほぼ六箇月先を頭におきまして、いろいろ輸入手續がとれるようになつておる。従つて外貨がどのくらいつくかということは、先ほどからも問題ではございますけれども、そのついた外貨は、その六箇月の間にぐあいがよければ早く入れる、ぐあいが悪ければランニング・ストツクを少し食い込むことによつて、十日や二十日延ばしたら——極端にいうと一月程度は延ばしてもいいように外貨は組んでおります。従つて業者の自主的な備蓄はこういう面で大いに奨励しまして、先ほどお話のように、三十日間のランニング・ストツクも四十五日間程度まで引上げたいというふうに考えておるのでありますが、政府としての国庫その他による備蓄ということは、ただいまのところは考えておりません。
  15. 志田義信

    志田委員 経済安定本部が、最近石油統制権限移譲に伴う処置の中で、日本石油政策基本方針を述べておるように私たちは拝見いたしておるのでありますが、かように石油精製事業相当原油が入つて来るという前提のもとにおきまして、今後計画立案されるということになりましたならば、石油統制廃止ということに対して、安定本部ではどういうふうにお考えになつておられるか、それをひとつお話を願いたいと思います。
  16. 近藤勝

    近藤説明員 これは私のような事務官僚がここで申し上げるのはちよつと行き過ぎでございますが、私の方の仕事やり方として、若干統制撤廃その他に関係しました考え方を御説明さしていただきます。先ほどからの御説明のように、外貨が約一億五千万ドル、従つて本年度有効需要と、われわれの方で考えております四百七十七万キロの需要が、完全に充足されたときを考えますれば、これは統制がはずされてもいいような状況だろうと考えてをります。従つてたちの努力は、外貨をどの程度完全にこの需要につけられるかどうかということに、ただいまのところ問題が帰着しておるわけであります。従つて需給関係が均衡を得れば、四囲の情勢、特に石油供給の大部分を外国に依存しているといるという関係から、アメリカその他諸外国石油国際割当関係が、ただいま程度、このくらいの供給が確保されるということになれば、そのときは統制をはずしてもいいような段階であろう、そういうふうに考え仕事をやつておるわけであります。
  17. 志田義信

    志田委員 それは、いずれまた責任の立場にある大臣あるいは政務次官に聞きましてから、もう少し詳しくお尋ね申し上げることにして、その程度にとどめておきます。  原油輸入をやりまして、国内精製にいろいろ利益を得ようとするやり方であろうと思いますが、たとえば今の原油の場合におきましても、あるいは重油の場合におきましても、地域別価格地域別価格制といいますか、そういうものの矛盾というようなものがありやしないかと思いまするが、その点ひとつお答えを願いたいと思います。  いま一つ価格改訂の問題について、四月九日あたりですか、価格改訂をやりまして、全国を十三地区にわけておるようでありまするが、地域別価格制を採用したために、地域制価格に織り込んである運賃の問題が、実際運賃よりも高いのではないかという問題がありまして、消費者が脱法的に他の地から購入するというようなことがあつて、いろいろこの間に問題を起しておるようでありますから、この点について御説明なり対策なりをお聞かせ願いたいと思います。
  18. 川上為治

    川上政府委員 四月の九日に新しく改訂しました石油類価格につきましては、その当時私どもの方としましては、価格調整公団を残しておきまして、極力全国一本の価格にしたいと考えていたのであります。ところが関係方面におきましては、どうしても調整法団廃止しろという強い意向でありましたので、やむなく一本価格ということはできなくなつたのであります、そこで地域別価格にするかというような問題になつたのでありますが、地域別価格差につきましても、私どもといたしましては極力調整した価格でやりたいと考えていたのであります。すなわち東京と北海道を比べますと、運賃差だけでも三千円なりあるいは四千円の差がありますので、こういうような差がありますことは、どうしてもよくないというふうに考えましたので、地域別価格を設けるにしましても、極力調整されましたところの、北海道関東なら関東につきましては、それほど差がないような価格にしたいとわれわれは考えたのでありますけれども、これにつきましても関係筋におきましては、どうしても運賃差地域差は開くべしというような強い意向が表明されましたので、やむなく現在におきましては、全国一三地区にわけましての、まつた運賃差による地域別価格というものを設けております。これにつきましては先ほどお話がありましたように、各方面におきまして矛盾が生じておることは明らかでありますので、その実態を私どもの方としましては調査いたしまして、なるべくすみやかにこの地域別矛盾した価格につきましては調整をしたいと考えまして、その矛盾した点につきましては関係筋にも十分話をして、そうして調整を行いたいと考えております。  それから織り込みの運賃が実際よりも高いのではないかというような問題でありますが、これも私どもの方としましては、当時におきましては十分調査いたした上、実際それだけかかるものとして運賃を計算したのでありまするが、おつしやいますような事実がもしありますれば、さらに調査いたしまして、その点も是正したいと考えております。
  19. 志田義信

    志田委員 こういう事実を物価庁が知らないということはないと思う。今ここで私が申し上げたことによつて初めて知るということでは、物価庁の職員上、私は怠慢のそしりを免れないものであるといわなければならぬと思うのでありますが、こういう点では消費者がかなり脱法的に他の地域から購入いたしております。そして安本の割当切符地域別制限というものを廃して、全国一円の使用にしようとして、これが地域別価格制の維持を困難にさせておるという事実もあるのでありますから、この点はもしお知りにならないとすれば、早急にお調べ願つて十分お考えおきを願いたい、かように思うのであります。  それからもう一つガリオア資金によりまて輸入した原油を、各精油所別に配分しておるという問題が先ほどありましたが、これがある間は統制を解除することは、なかなか困難ではないかと私は思うのでありますけれども、このガリオア資金による輸入原油というものは、大体六月末で打切られるのではないかという考え方があり、打切られました場合におきましては、民貿輸入一本やりになるのではないかと考えられるので、ここに統制を継續して行く将来の機関というものが、きわめて眼前に迫つておるように私たち考えるのであります。それに対する政府の技術的な見方をお尋ね申し上げたいと思います。
  20. 川上為治

    川上政府委員 今も地域別価格の問題から、脱法的ないろんな行為が行われておるのではないかというようなお話がありましたが、従来地区別に発行されておりました切符が、五月の一日から全国一本になつておりまして、どこから買つてもよろしいということになつておりますから、その点から見ますと、現在におきましては脱法的な行為は行われていないのではないかと考えます。
  21. 志田義信

    志田委員 だから、そのために地域別価格の維持が困難になるのではないか。
  22. 川上為治

    川上政府委員 今程度の非常に広い幅を持ちました地域別価格につきましては、おつしやる通り非常に維持は困難であるというふうに私ども考えておりますので、なるべくこれを調整したいと考えております。
  23. 近藤勝

    近藤説明員 ガリオアは、先ほどお話通り六月一日をもつて打切られる予定が、ほぼ半年ぐらい前からわれわれの方には入つてつたわけでございます。従つて六月一日といいましても、これはアメリカの会計年度におけるフアンドが、六月一日で打切られるので、実際の入荷はそれより以後にも多少あるのではないかということは予想されるのでございますが、私の方は六月一日をもつて、打切られるときの最も手がたい資金を、先ほどの一億五千万ドルの範囲に、すでに盛り込みをしておるわけでございます。従つてこの外貨がつきさえすれば、私の方は需給関係では、それほど大きな心配はないだろうというふうに考えております。それで特にお願いと一緒に御報告をしておきたいことは、この一億五千万ドルの外貨は、今ほかの外貨予算との関係で、これは約八%ぐらいに相当するわけでございます。日本の全体の外貨予定としまして、約十七、八億程度予定されているように私たちつておるのでございますが、この十七、八億程度外貨の中に、どの程度先ほどのわれわれの理想案の一億五千万ドルが入るかということについていろいろ状況を探つてみますと、非常にむずかしい段階に行つております。ある程度の削減は、全体の経済の面からやむを得ないかと思うのでありますが、この削減があまりに大きい場合は、先ほどのような楽観的な観測が一挙にくずれるおそれがございます。そこでわれわれも非常に努力しておるのではございますが、石油経済としては、今度初めての民貿の問題もございますので、いろいろ輿論のの面でも、この需給関係を非常にいい方に持つてつていただくように、特段の御支持をお願いしたいというふうに考えております。
  24. 志田義信

    志田委員 日本の製油施設の今後は、日本政府の独自の立場で、設備の拡充やら操業度の向上をやり得るようになつたのでありますが、この機会に、日本の製油事業をやつておる各会社のほかに、新たに製油事業をやりたいという希望を持つておる石油会社があつた場合には、これを許す方向に行くのか、それとも従来通り許さない方向に行くつもりであるか、それをひとつお尋ねします。
  25. 百武寛

    ○百武説明員 お答え申し上げます。先ほどから外貨資金の点で、近藤説明員から説明申し上げましたように、現在の段階では、非常に限られた原油外貨資金がついておりますので、特に石油工場を運転します場合には、期別にその運転の状況を、特段に増減するというふうな措置は、経済的でもないというふうに考えておりますので、今後外貨資金増加程度に見合いまして、また従来建設しました製油所の操業率の程度に見合いまして、新しい製油所を運転したいという希望を有する人に対しては、そういう機会を与えるということについて、決してやぶさかではないのであります。またそれをいなむという気持も持つておりません。一に原油資金を獲得いたしまして、そういうふうな道を逐次開いて行きたいというふうに考えております。
  26. 志田義信

    志田委員 逐次開いて行きたいという方針を明らかにされましたので、私はたいへん仕合せに思のでありますが、元来、石油産業というものは、採掘から販売に至る一貫的な経営を行うことが、企業経営の成り立つゆえんであるということは、申し上げるまでもないのであります。しかるに、最近わが国における唯一の採油会社であります帝国石油が、戰時中の原油増産の要請から、さらに帝国石油法の性格の改変を見ました今日、なをかつ石油精製事業の経営に対しましては、これを許可されておらない。なぜ帝国石油に対しては許可されておらないのか、帝国石油株式会社に対する政府事務当局のお考えを、この機会に明らかにしてもらいたいと思います。
  27. 百武寛

    ○百武説明員 お話のように、戰時中、帝国石油は採油專門の会社として、現在存在しております日本石油昭和石油その他の石油会社の山部門を統合しまして採油專門の会社として事業を継織して来たわけでありますが、日本石油精製工場の戰後の操業の状況、またその操業に関する関係方面の監督指導の実情といいますのは、輸入しました原油を太平洋岸の製油のみに割当て、これを運転するということだけが許されておりました。かつ一方におきまして帝国原油の採油しました国産原油は、国産地帶に、帝国石油の前身である石油精製会社が持つております製油所の運転のためにそれを配当する、割当するという措置がとられておりました。それが現在まで續いておるわけであります。従つてさらに今日までの段階では、国産地帶の製油所にも外国原油割当てるという措置をする段階までに——外貨資金その他の原油輸入、そういう手配もついていない状況でありまして帝国石油の製油を、どういう段階において許して行くかという時期的な問題はあると思いますが、その場合には、同時に国産地帶に存在する石油精製工場原油の取得についても、同様の機会均等的な考慮を拂つて行かなければならぬと考えております。従いまして帝国石油石油精製業について、現在までの段階では、そういつた意味で許可をしていないわけであります。かつまた現在の段階では、製油所自身も持つておりませんので、実際的にはまだ精製事業に乗り出すという段階に至つていなかつたわけであります。
  28. 志田義信

    志田委員 私は別に帝国石油だけに限つてそういうことを申し上げようというつもりはもちろんないのでありますが、大体帝国石油の事業地区は、わが郷里である山形県並びに隣の秋田県でありますので、郷里の産業開発の点からいつても、私はその点をこの機会に御理解いただいておきたいと思うのであります。第一、もうじき統制も解除されようという石油事業が、企業の自主性が認められていないような状態で経営されるということは、まことに私は不可解である、こういわざるを得ないと思うのであります。ことに帝国石油の定款の中には、明らかに石油精製を営むということをうたつておるのであります。企業のあり方としても、採油面における危険負担を、製油面においてカバーしようというようなことが考えられて、たとえば北海道の天北油田等を私は昨年見て参りましたが、これも一滴の油も出ない。それに要した投資額というものは、全部会社の負担になつているような状態である。これはひとり北海道ばかりじやなくて、帝石といたしましても、会社としては相当な危険負担をやつて日本の産業に協力しておるわけなのです。従つて、本来国産原油の採掘を使命としておつた帝国石油といたしましても、やはりその定款の定めるところによる事業を経営いたしまして、そうして企業の自主性を認めていただいて、製油をやろうということに対して、どうも政府はその筋の了解を得ることに努力が足りないのではないかとの疑いを、帝石方面では持つておるのであります。もう少しその点につきまして、皆さんの御心配によつてできるものなら、早く定款に規定されておる事業の経営ができるように、ひとつおとりはからいを願いたいと思う。一体製油所を太平洋沿岸だけに置かなければならないという理由はどこにありますか、それをひとつ伺いたい。
  29. 百武寛

    ○百武説明員 今二つの問題についてお話がございましたが、初めの帝国石油の、あるいは帝国石油に限らず、採油会社の製油所を持つという問題につきましては、特に禁止をしたというふうな意味よりも、むしろ帝国石油自身、あるいは日本の国策といいますか、関係方面から監督を受けていた過去のいろいろ政策の点からいいましても、国産原油の増産という方面に力を注ぐという使命を、強く負わされて今日まで来たわけなのであります。それで私たちとしましては、国産地帶の製油所の有効利用という点につきましても、これは考えなければいけないので、また帝国石油自身が製油をやるといたしますれば、現在はございません製油関係のいろいろの技術その他の包含、自分の会社への受入れということを考えなければいけませんので、必然的に既存の国産地帶にある製油所の有効な利用、あるいは適切な関連性を持たせるというふうな点を考えて行きたいと思つております。  それから太平洋岸でなければなぜ製油所が開かれなかつたかというのは、これはむしろ太平洋岸の製油所が開かれます当時の一般的な経済常識といいますか、漠然とした常識的な判断で、判断といいますのは司令部関係あるいは日本政府側の判断でありまするが、これは国産原油というものは限られておりますので、原油供給しますには、いい港がなければできない。そうなりますと裏日本地帶には一万トンあるいは現在すでに二万トンくらいのタンカーもできておりまするが、そういうふうな船が入りますところは、非常に限られておりまして、しかも工場を建設するような場所というふうになりますと、どうしても太平洋岸に限られざるを得ない立場にあつたのでありまして、現在においても私たちとしましては、裏日本地帶に輸入原油を持つて行きたいと思つても、一旦鶴見とか横浜とか、あるいは和歌山とか、ああいうところに入れてからまた転送しなければならないという不利な点もありますので、そういう港湾方面関係も、もし裏日本方面を拡充するというふうな考慮を払う場合には、意を用いなければいけないというふうに考えております。
  30. 志田義信

    志田委員 私は特にこういう製油事業をやりたいという業者に対して門戸を開放しないということは、ややもすれば独占形態になる心配を生ずるおそれがあると思いますので、その点を御注意願いたいと思つておるのであります。ことに独占禁止法が厳として存在しておる以上におきましては、その点についても、政府は十分考えておいてもらわなければならぬ。また今お話の太平洋沿岸製油所の問題についてのお話はよくわかりましたが、国内原油を処理する製油所というものは、それでは日本海岸にないかというと、私の知つておる限りにおきましても七つ数えられます。そうしますと日本海岸の油田地帶を中心として七箇所の製油所があるのでありまするから、そこにまた製油所の併設をして国内的にこれを送るという、原油を太平洋から日本海に送るということも、決して遠距離のものではありません。一万トン級の港がないと言いますけれども、必ずしも港から港に原油を送らなければならぬものではございません。タンカーだけを利用するのが石油ではございませんから、その点は少しどうも、日本海岸の製油所が製油地として不適当であるという御議論には、私は少しもならないのではないかと思います。それは何かもう少しその間に、皆さんが関係当局との間にお話になつておられる理由があるのではないかと私思いますが、それはさらにお聞きすることもきようは御遠慮申してけつこうですけれども、従来戰災でずいぶんあちこち焼かれております。そういう焼かれたところを復活さしたつて相当に製油所は私はできると思う。また帝石が製油事業を許されたという場合には、必ずしも裏日本にばかり持つてつて製油所をつくらなければならぬものではございません。それは太平洋沿岸に製油所をつくつても、一向さしつかえない。従いましてあなたが今タンカー関係だということは、ちよつと受取りにくいのでありますけれども、太平洋沿岸の製油所が操業停止を長く命ぜられておつて、それが解放されて今日できておるのでありまするが、これはやはり永續性のある原油供給ということを考えなければなりませんから、原油が一体どの程度入るかということが一番の問題だと思います。それにしても現在、皆さんが今御説明くださつた数量が入るものとすれば、一、二の製油所が出来たつて、決して私は営業ができなくなるというようなことはなかろう、原料不足で困るというようなことはないと思いますが、その点は原油割当制度の問題にもなるでありましようから、その点をよく御研究くださいまして、ひとつできるだけそういう会社の、赤字を出している企業体がその赤字を克服するための方法を、定款によつて行おうとすることができないでおるというような、非民主的なやり方を、私は非常に遺憾だと思いますので、ぜひひとつこの点は、今後とも御考慮を願いたいと思います。  それから最後にちよつとお尋ね申し上げておきますが、あまり帝石の肩ばかり持つようでおかしいですから、そんなことはもうやめますけれども北海道の天北油田、あれはたしか三千万円ですか、助成をしておられると思いますが、あれが一滴も出なくなつたようであります。あの助成は、たしか出ない場合においては返すとか、あるいは出た場合に返すのですか、何かそんなようなことがあるのかと思いますが、その点はいかがですか。
  31. 百武寛

    ○百武説明員 はなはだ申訳ございませんが、直接の担当ではございませんので、知つておる範囲だけお答えいたしますが、出ました場合には一定のものを返します。それ以外の場合には、いわゆる試掘助成ということで、やむを得ないかと存じます。
  32. 志田義信

    志田委員 三億もかかつた試掘に三千万円くらいの助成では二階から目薬どころではない、二階から何でしようか、さつぱりわからぬくらいの金だと思いますが、そういう助成というものは、政府でもう少し率を考えるような方法はないものでございましようか。
  33. 百武寛

    ○百武説明員 その点は、むしろ鉱山局としましては、非常に希望しておるところでありまして、今後御指導によりまして多くしたいと思つております。
  34. 多田勇

    ○多田委員 ただいま志田委員からの御質問で大体わかつたのでありますが、先ほどお話がありました国内の製油能力をさらに拡充することと、太平洋岸の製油所の整備をするという線で、強力に進まれておるのでありますが、現在までの日本の製油設備では、将来国際市場に対抗し得る程度の、設備にはなつていないのではないか。どうしても今後設備するものにつきましては、近代的な設備をして操業能力を強力に向上させることが必要だと思うのでありますが、それに対して政府としてどういうような具体的な手を打つておるか、あるいは今後手を打とうとしておるか、それについて現在の考え方をお尋ねいたします。
  35. 百武寛

    ○百武説明員 現在太平洋岸で復興しております製油設備は、戰前平均二千バーレルというのが、製油所の一つの單位能力でありましたものを、現在は五千バーレルから一万バーレルの單位に、戰後におきましてはふやしまして、一応外国製品輸入と対抗でき得る程度の規模にまで持つてつて、復旧をしておるのであります。お説のように、その能力はそれでよろしいのでありますが、その設備の内容、非常にこまかな段階的な、二次的、三次的な設備内容になつて参りますと、必ずしも十分ではないというように考えておりましてこの二次的、三次的な設備につきましては、現在の一万バーレルあるいは五千バーレルを基礎にしまして整備中でございます。その整備によりまして、各種の石油製品生産可能となり、かつまた高価な製品輸入という点も防いで、それに対抗して行けるというふうに考えております。そういうふうな意味におきましても、現在の認められました、操業率程度原油割当というものを下まわるような割当の仕方を将来やるということは、なるべくしないで、できるだけ集約して行くというふうに——門戸を開放しないという方策はよくないと思いますが、ある程度門戸は開放しますが、できる限り集約して、製油所があまり分散しないような方向に持つて行くという方策を、可能な限りとつて行きたいというふうに考えております。
  36. 多田勇

    ○多田委員 御説明ごもつともだと思うのでありますが、製油所の設備をいたしますにも、民間の資本能力等を動員して設備されておるのでありますが、民間のそれだけの資金にしましても、あるいは技術にしましても、はたして国際的に競争し得るような設備をし得る能力があるかどうかという点は、非常に疑問だろうと思うのであります。これを民間だけの責任において、長岡たけの力において、この製油所の設備というものを元成させるということが、今言われましたように順調に進んでおるような話でございますが、必ずしもこれは順調に進んでおるのではないのであります。相当な困難と隘路があるために、予定通りに設備の拡張、あるいは整備ができない面が相当あるように聞いておるのでありますが、これらに対して、たとえば金融  の措置をどのように考えておるか、あるいは技術の面、あるいはまたさらに外資の導入等について、どういうような考え方で、日本の製油事業の育成というような点を考えておるか、具体的にひとつ御説明願いたいと思います。
  37. 百武寛

    ○百武説明員 現実に民間の石油会社の資金能力という点は、その運転資金にあたります。原油の購入貸金というものが、各社とも相当実質的にはそれに追われているというふうな面もございますが、その点はユーザンス、それからスタンプ手形などの措置によりまして、現在一応順調に回転しているというふうに考えております。それから技術面につきましては、当然石油業の技術の一番進歩しておりますのはアメリカでございますので、アメリカの新しい装置の特許、あるいは装置の操業方法等につきまして、これは可能な限り導入をいたしておりまして、最近建設しておりまする溶剤精製関係の装置は、特許及び技術者の派遣なども米国からしてもらいまして、建設をいたしておるわけであります。それから一方におきまして、これらの促進をいたします関係もあり、個々の石油会社におきましては、一般的に見ますと外資導入をしてもらつておりますが一その内容につきましては、單に技術援助を契約したり、あるいはその技術援助に関連する資金的な援助を受けるという各種の形態がございますが、いろいろの形態によりまして、米国の石油会社と、ほとんどの会社が連繋を保つております。
  38. 多田勇

    ○多田委員 ただいまのお話で、資金はどうやらまかなつておるというお話でありますが、設備資金が一番問題になつて来るだろうと思います。今のお話で、技術の面あるいは操業の面等で外資の導入が行われているという、外国商社との結びつきが行われておるというお話でありますが、でき得れば設備資金についても、なるべく国内資金において設備をして行くという考え方を、強力に推し進めて行くことが、今後の日本の産業のために必要な点だろうと思うのでありますが、設備資金等について十分な手当ができておるのかどうか、あるいは設備運転資金は、今お話のような、ユーザンスあるいはスタンプ手形等によつてまかなつておるけれども、設備についてはそれぞれの企業体の力によつてまかなつて行かせるというような考え方従つて企業体としては、どうしても外資を積極的に導入しなければ、日本の製油設備をつくることが不可能だという段階に来ておるのかどうか、その点についてお話願いたい。
  39. 百武寛

    ○百武説明員 太平洋岸の製油所の開設当時、燃料関係の人気があつたので、資金の調達も不自由をいたさないで建設にかかりまして比較的順調でありましたが、最近におきましてお説のような面も多少出て来た。というのは、いろいろの設備の拡張も大規模になつて来ましたので、そういう点も出ておりますが、これにはそれぞれの場合に応じまして、石油会社に対して見返り資金の融資をするというふうにいたしましてわれわれとしてもさしあたりは見返り資金によつて応援して行きたいと考えております。
  40. 多田勇

    ○多田委員 見返り資金の融資によつて応援して行きたいというお話のようでありますが、見返り資金の限度もありますし、どうしても見返り資金以外の資金を、相当強力につぎ込んで行くという政策をとることが必要だと思うのでありますが、現在の石油製油所の設備の整備あるいは拡張等について、今言われましたような見返り資金の融資あるいは外資の導入の程度で、日本が希望しておる程度経済能力まで築き上げることが可能だという見通しを持つておられるのかどうか。
  41. 百武寛

    ○百武説明員 この点の判断は非常にむずかしい点でございますが、政府としましては見返り資金、あるいはその後新しい金融関係の機関ができますれば、その関係をでき得る限り利用いたしまして、応援して行きたいと考えております。また個々の会社につきましては、ある程度の外資を利用するという点も考えていいと思いますが、政府としましては、できる限り国内金融による措置を考えて行きたいと考えております。
  42. 多田勇

    ○多田委員 融資の問題は非常にむずかしい問題で、これ以上御質問するのはどうかと思いますが、ただ現在の段階では、完全な製油所を整備するだけの資金をまかなうことができないのではないかというのが実情のように思われるのでありますが、見返り資金だけでなしに、その他の民間資金、あるいはでき得れば政府資金まで投入するようなことを考えていただきたいということと、いま一つは、先ほど来、門戸を開放して新しい企業体の製油設備を認めて行こうというお考え方であるけれども、しかしなるべく集約的になることを希望しておるというお話であります。門戸を開放したということになれば、どんどん新しい企業体が生まれという点も一応考えられましようが、旧来の技術あるいは旧来の設備を最高度に整備し、発揮させることによつて、最も能率的な企業体をつくり上げるというような考え方で、單に門戸を無条件で開放することだけでなしに、何か製油所の設備あるいは製油所の新しい開設について、制限をするような考え方を全然持つていないのかどうか。自由に各企業体が考えておられる設備をそのまま認めて行く。そうして輸入されました原油は、その設備の能力に応じて、それぞれの企業体に割当てて行くというような考え方なのかどうか。その点をいま一応はつきり確かめておきたいと思います。
  43. 百武寛

    ○百武説明員 第一番目の資金の点につきましては、お説のように十分検討いたしたいと思います。それから門戸開放と設備制限という関係につきましては、これはそれぞれの場合によつていろいろの表現の仕方があると思いますが、さしあたり私たちといたしましては、設備の制限という考え方は持つておりません。一つの單位の会社の場合などを考えましても、工場を二つに分散するとか、三工場にするというような場合、できるならば工場に集約して行く、あるいは三工場を二工場に集約して行くというような、集約の仕方、またそういうふうなことをでき得る限り会社の方も考えてもらうような方法に相談して行きたい。そして今度門戸を開放するにいたしましても、その際には、あるいは場合によつては、それぞれの生存権といいますか、生活権の要求にこたえなければいけない。小さなものについてもこたえなければいけないという、こともあるかと思いますが、考え方の大道といたしましては、既存の設備をできる限り優先的に、かつ既存の設備を利用すること自身がまた経済的だと考えますので、そういうものが拡張して行くように、あるいは新規に出る人でも、現在遊んでいる設備を生かすような方向に事業が成立して行く、そういうような方向に、できる限り指導して行きたいという構想を持つております。
  44. 多田勇

    ○多田委員 前にもどつて資金の問題でありますが、先ほどいろいろお話がありましたように、なかなか資金がまかない切れないということで、どうしても外資の導入をはかろうという考え方のようである。そうしますと、非常な不利益な条件であつても、この際外資を導入して、一つの企業体をつくり上げようという考えになるのは、やむを得ないことだろうと思いますが、外資導入の現在までの状況を見て、あるいは技術の面、あるいは契約等、いろいろな方法で、外資の資本なり技術なりその他が入つて来ておりますけれども、これらの外資が今後日本の製油業を発展させるために不利益な条件がないかどうか。たとえばこれは製油ではございませんが、国内石油の配給につきましても、カルテツクスと日石との契約、あるいはその他の契約等についても、相当不利な条件で契約が結ばれておるというようなことを用いておりますが、外資が日本の製油所に入つて参ります際に、今後の日本経済にとつて不利益な条件がないかどうか。そういつた心配が全然ないのかどうか。あるいはまた現実にはどういうふうな見通しを持つておるのか。それらについての見解を明らかにしていただきたいと思います。
  45. 百武寛

    ○百武説明員 外資導入の基本的な構想につきましては、むしろ非常に大きな国策になると思いますので、私たちといたしましては、その国策に従つて判断して行かなければいけないというふうに考えておりますが、従来の経緯及び現在の段階について御答弁申し上げますと、初め日本石油製糖業あるいは石油業というものが、終戰後どうなるかわからないというふうな四囲の状況のもとにおいて導入した形態の外資導入というものが、現在の日本の置かれている立場から考えた場合には、非常に不利であつたという判断がなされるかもしれませんが、その当時としては、やむを得ない、また妥当な措置と判断して導入したというふうに解釈しております。従いまして、現在あるいは今後導入されるであろう外資との提携が、どのような形であつたらいいかというふうな問題につきましては、そのときどきの政府の基本方策が、どういう方向にあるかということはもちろんあると思いますが、それと同時に、その裏づけをなす一種の国民感情という言葉で表現していいかと思いますが、そういうふうな問題も反映して来ざるを得ないと思つておりますので、私たちとしましては、現在の段階で、できる限り関係方面の御意見を伺いまして、導入のあり方について判断をして行きたいと考えております。
  46. 多田勇

    ○多田委員 それから先ほど来二十六年度輸入の見通しとして、約一億五千万ドルというふうなお話が豊二あつたようでありますが、安本の資料によりますと、二十六年度輸入見通しとしまして、石油及び石油製品については一億三十万ドルですか、この安本の見通しと、ただいまのお話の一億五千万ドルという見通しには、相当大きな開きがあるようでありますが、一億五千万ドルの輸入がたいてい大丈夫だという相当強い見通しを持つておられるかどうか、その点を一点だけお伺いしたいと思います。
  47. 近藤勝

    近藤説明員 ただいまの一億ちよつとという安本の総括的な資科と、私らが申し上げました一億五千万ドルとの差額は、二つの理由からだと考えられます。その一つはすでに入つたフアンドがそれから控除されていることであります。だからもう先ほどちよつと触れましたように、手当済みのフアンドが相当ございますが、そういうものについて控除されておるという問題と、もう一つは、貿易の方でつくつた本年度の必要量というので、私の方とはまだ最終的な意見の一致を見ていない資料じやないかと考えられるのであります。
  48. 圖司安正

    圖司委員長 他に御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。  次会は、明二十五日午后一時より、特定地域開発問題を議題に供し、本委員室にて開会いたします。     午後零時四十四分散会