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1951-05-18 第10回国会 衆議院 経済安定委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十八日(金曜日)     午後二時十七分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 竹山祐太郎君    理事 勝間田清一君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       寺本  齋君    奈良 治二君       細田 榮藏君    森   曉君       有田 喜一君    森山 欽司君       河口 陽一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         経済安定事務官         (総裁官房長) 平井富三郎君         経済安定事務官         (財政金融局         長)      坂田 泰二君         経済安定事務官         (貿易局長)  湯川 盛夫君         物価庁次長   熊田 克郎君  委員外出席者         専  門  員 圓地興四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  日米経済協力の基本問題に関する件     —————————————
  2. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまより会議開きます。  これより去る十六日、マーカツト司令部経済科学局長によつて発表されました日米経済協力に関する件を議題に供し、同声明内容中心にいたしまして、周東長官説明を聴取いたしたいと存じます。周東国務大臣
  3. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいま委員長からのお話でありますが、マーカツト少将声明書内容はすでに新聞に発表されておりますので、それを繰返して御説明する必要もなかろうかと思います。従つて大要は大部分それで御承知を願いたいと思います。昨日マーケット少将に呼ばれて会いまして、お話をしたのですが、大体同じようなことであります。マーカツト少将以下随員の方がアメリカへ帰られて、三週間にわたつて方面を視察され、そして日本との将来起ることあるべき協力問題についていろいろ話されたようでありますが、その点につきましては、従来とかく日米協力内容等について誤解があつたというようなことがすべてはつきりし、氷解した、との点は非常によいことであつたというような話がありました。そのことは私どもも、前の休会前におきまして申し上げたことを、今までいろいろ新聞にあれこれととりざたざれた事柄が、実はきまつておらなかつた内容のものだということがわかる証拠でもありますし、またそれに関して日本が将来興るような場合に、どういう方策をとるかというようなことも、いろいろととりざたされておりましたが、そういう点がよく御了解されたことだと思います。私どもは前にも申し上げましたように、今日の日本の復興並びに民主的自由主義国家という方面との経済的な協力なくしては、日本の生きて行けないことは当然でありますが、同時にまた今日の世界の情勢から判断いたしまして、日本工業力余力を動かして必要なものを生産し、世界人のために協力するということは、当然な行き道であるとかように考えておつたのでありまして、マーカツト少将声明を聞いて非常に意を強うしたのであります。ただその際にも、特に戸明書にも書いておりますが、日本の将来の行くべき道として、やはり南方における天然資源地下資源等開発して、それらの原料材料日本の未稼動工場といいますか、工業力余力を発動して生産し、これを必要な方面輸出するということによつて、直接には民主国家の陣営に役立つて、同時にそのことが日本の産業の生産を高め、国民経済に裨益することは当然であります。この点について特に話を強くしておりました。アメリカ資本技術日本の労力、機械というようなものをもつて東南アジア地区開発をして、それを日本に使うということは最もいいのじやないか。そういう面について積極的な協力を惜しまない。それらについては、具体的にリテールにわたつては今後相談をして進めて行つたらよかろうというような話がありました。それから米国においての物資調達機関等については、声明書にあつたと思いますが、陸軍、海軍、空軍というようなものが、日本には別別の予算で関連なぐ別々に発注しておるというようなことが、価格の面においてもいろいろ影響がある。こういう問題については、国内的にも発注等は政治的に総合調整したい、こういうつもりでおるというようお話でありました。これらに関しては、おそらくそういうようなものは、総合調整せられた形で、アメリカ国内における発注はもとより、日本等に対しても将来話があり、そしてその結果個々別々に契約が進むのじやないか、かように考えます。声明書にもありましたが、やはり政府政府との間における協力の形ということよりも、具体的なものについての発注、注文は、民間民間というようなかつこうになつて来るのではないかかように考えられるのであります。またよく心配ざれる、きのうも本会議質問がありまして、この経済協力というものが一ぺんにどざつと来て、しかもそのことが大部分軍需生産というものが中心になるよう考え方から、軍需インフレが来て民需が圧迫され、その結果国民生活水準が引下げられるおそれはなかろうかというよう質問がありましたが、声明書を通じて見ましても、また昨日マーカツト少将と会談いたしましたことから受取る感じは、そういうことはないように思われます。声明書にもはつきりと経済協力の結果、日本国民生活水準を引下げるどいうようなことの起らぬようにしたい、またする、こういうようなことが書いてあります。今申しましたように、南方資源開発というものが一ぺんに行われるということになれば、そのことによつて日本生産工場が煙を上げる、生産が高まるということになれば、そのことはひいてもつて国内生産を高め、国民生活をよくするということになるのでありましようし、その内容が必ずしも軍需品のみの生産でないのではなかろうか。ことにあの声明書に、少し翻訳が悪いのかもしれないが、ぴんと来ない点はありますが、アメリカに対しても相当軍需品輸出ということを要求しているようであります。このことは日本工業生産ということの関連において、非常によいことであると思うのであります。但しそのことは、だんだん向うが余裕が出て来れば輸出が続くかということは、多少問題かということは、書いてありますが、そういうふうな面からしても、軍需生産だけで日本工場使つて、そうしていわゆる飢餓輸出的な輸出をきせて、日本経済を圧迫し、消費を引上げるというようなことにはならぬように考えておるのじやなかろうか。また私どもは絶えず申し上げているように、この点が今後における一番大事な点であつて経済的な自立を達成する上においても、また協力するということが常に国民生活水準を高め、国家生産が上るという方面に、一歩々々結果的に持つて来るというような形に考えて行かなければならぬと思つております。なお声明書の中にありましたように、そういう観点から、日本に対して必要な原料というようなものについては、現在世界的に少い物でも、黄田通商局長がいつておりますが、そういう割当会議等の推進ももとより考えられるだろう。しかしそういう場合において、少い物をやはり日本の必要に対してはやらなければならぬということが声明書にあつたのでありますが、そういう面から見て、せつかくそういうものを割当て、日本でいろいろと生産しても、日本に来て生産されたものがめちやくちやに高くなるというようなことでは、今度は売出すのに困るだろう。結局日本原料を送つて輸出せつつ、世界協力させ、かつ日本生産力を高めるということについては、どこまでも日本生産というものに対して合理化して、そのコストが引下るようにすることはもちろんのこと、価格上昇に対し、インフレ的傾向を帯びないように考えるということを言われております。これは当然のことであろうと思います。今までとにかくインフレの収束に対して、内閣は非常な努力をして来ております。その努力が砕けないように、今後も生産は高めて行く、できるだけ日本国民経済を高めるが、その間にインフレ的傾向が生じて行くというようなことのないよう努力しなければならぬことはもちろんであります。ただわれわれの考えるところによりますと、インフレということに対しこの要因がいずれにあるかという問題であろうと思います。物がなくて価格が上り、通貨と物のバランスがとれないという形のインフレ的の傾向が、どの程度に起るかということは問題であろう、今日の場合は、いろいろな努力によつてアメリカ初めその他民主国家協力によつて輸入はともかくも非常な数量額に上つております。従つて物は入つて来ておる。その物の価格国際価格影響し、ことに運賃等の厖大な値上りによつて、特に日本の物が高くなつておるという時に際して、これを押えて行くということについては、コストを切るわけに行かぬ、従つていかに安くして売るかということになれば、これは国家の補助で行くかどうかという問題があるのであります。そういう程度における値上りということになれば、物があつて値上りですからあえて私どもは恐れない。ただこの際によく問題になりますのは、輸出インフレといいますか、輸出はどんどん上つて物がなくなつて来るということになるとたいへんであります。今の状況ではその面から来る形は少いと思いますが、ただ鉱工業生産というような、生産物とあるいはその他の生活必需物資との間におけるバランスなり、生産進行状況というようなもののバランスの差というものがきつく起つて来るということになれば、そこに要因がありますので、この点に対しては政府はいろいろとこれに対して案を練つて行く、この点は要するに国内民需を圧迫して外に出して、物がないということが起らぬようにすることが大事であり、またもう一つ大事な点は、国内における生産者販売業者価格利潤というような面に、あまりデイザイアラブルでない価格で売られるというようなことが起れば、これは抑制する必要がありましようし、またこの際特に考えられることは、金融の面について、ほんとうに不要な面については押えるが、必要な面について金が動くことを考えることも一つ行き方であるし、要するにわれわれはこの声明考え方根本については考えなければならぬ。インフレ防止のためにあらゆる措置をとつておかなければ、せつかくつくつて物ができても、それが世界競争場裡に立つて売れないということになれば、根底からくすれるわけであります。この点については声明書にも強調しておつたかと思いますが、第一に考えられることは、生産工業における設備機械合理化、こういう点は向うの意図しておるところであります。ことに今後における講和前、講和後を通じて、考えられることは、やはり外資の導入とかいうような問題に関連いたしましても、あまりインフレ状況というものが、もしも悪性インフレが起つて日本通貨というものが安定しない、信用を得ないということになれば、ここに資本投下あるいは外資を入れるということに対しましても、なかなか不安でもつてやれないということが一つ、そういう意味合いから行きましても、どうしても根本インフレ防止ということに対しては、万全の措置をとる必要があると思います。日本からの割当——緊要物資といいますか、稀少物資というものについての割当会議等についての各国要求は、日本だけではなくして、いろいろ出ておるようであります。こういう面に関して東南アジア地区各国要求日本要求とは、調整がつけ得られるのではなかろうかということも思われます。それは日本がかわつて日本から出してやればいいということにもなる、こういう点にも非常な希望が持たれると私どもは思つております。アメリカの方ではやはりドル・クローズの問題とも関連するかもしれませんが、これはいろいろと問題があるようであります。要するに、アメリカにおいて対日貿易に関連して、従来は戦争前はもとよりのこと、アメリカの方からは、日本への輸出関係はあつても、日本から輸入関係は比較的少かつたが、今後の問題としては、大いにアメリカの方へも物を送る。こういうかつこうに持つて行くことが必要なので、そういう点についてもよほど将来の貿易計画なりあるいは生産計画というもの、そういう計画について考えろ必要があるだろうという示唆もあるようであります。  いろいろこまかいことはありますが、大体今のところは、声明書にありましたようなかつこうでありまして、個別的なデテールにわたつては今後各それぞれの担当官と折衝し、話を聞き、また日本政策を立てて行くことにいたしております。いずれにいたしましても、講話を控えていろいろな問題、あの声明を通じての内容を、一時の声明に終らせずに、具体的に日本がこれに沿うよう経済政策金融政策各種政策を立てて、実行に移して行くことが必要であり、われわれもまたさような方向に進むつもりで、いろいろ具体策を考えておるということだけを申し上げておきます。
  4. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまの周東長官説明に対し、質疑があればこれを許します。
  5. 勝間田清一

    勝間田委員 マーカツト経済局長声明についての安本長官説明を聞いたわけでありますが、どうもきわめて政府は楽観的で、実は驚き入つた次第でございましてこれから若干基本的な問題についてひとつ質問させていただきたいと思います。  まず第一に承つておきたいと思いますのは、今度の声明はどういう性質のものと見てよろしゆうございますか。今までは経済の九原則、いろいろな問題がありましたが、手続その他の問題も関連いたしまして、一体どういうよう性質としてこれを受取つてよろしゆうございますか。
  6. 周東英雄

    周東国務大臣 えらい楽観しているからということでありますが、それじやあなたは悲観してあれをごらんになるかということになるのですが、私どもはそういうこだわつた考え方はいたしません。今の現状において、世界人類のため、民主自由国家のためにでき得るだけ生産を増加して、そうして一は世界人類のため、一は日本経済を回復させて行こう、こういうことが根底に流れておるとし私は思います。
  7. 勝間田清一

    勝間田委員 アメリカではすでに軍需生産の問題を中心として、特に一月二十何日かのストツプ令等中心として、現在国内に非常な不安を与えておる。CIO等労働組合も、一斉にこの問題について立ち上つておる状況御存じだろうと思います。それから最近の、イギリス国家予算中心としての論争などを見ても、いかに大きな問題を投げかけておるかということを、あなたは御存じだろうと思う。特に最近においては、御承知通りペヴアンその他の辞職さえあつて、この問題はきわめて重大な論議の的になつておるということは事実だと思う。そういう問題が同時に日本に今度は提案されて来るわけでありまして、それがいかにラングザームに来るか、いかに急速度に来るかということは、それはもちろんいろいろ条件があるだろうと思うわけです。しかし問題の性質というものは私はまつたく同じものであろうと思います。そういう意味から見まして、この問題をほんとうに真劇に対策をとつていなければ、私はやはりアメリカイギリスと同じような結果が、日本にもやはり来る。こういう、私は悲観というよりも、現実の事案をもつてそういうことを考えとておるわけでありまして、その意味から行きますれば、いかにも今の総裁の御発言という心のは、楽観的であると私は思う。しかも人類に貢献するというようなお言葉をお使いになりますけれども、どの程度人類に貢献されておるのか、私は世界の動きというものを、真実をもつてながめてみたいと思う。それを人類に貢献するというような簡単な言葉で処理できないものだということは、英米の場合を見てもよくわかるのでありまして、この点は論争になると思いますからやめておきますけれども、ただ一言、その点は所見が違うということをはつきりさせておくべきだと私は思います。  まず第一に私は先ほど聞いたところでありますが、今度のは、指令とかメモランダム、そういう性格のものなんですか、これをどういうようにこちらの政府としては受取つておるのでありましようか、その点をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  8. 周東英雄

    周東国務大臣 別に今度は指令とか命令とかいう意味ではございません。
  9. 勝間田清一

    勝間田委員 今度のマーケット声明で、やはり一つの重大な問題になると私は考えるのでありますが、今までの吉田内閣のやつてつた価格政策を、全部かえなければいかぬのではないかという感じがいたしますが、価格政策を今後どう考えていらつしやいますか。その点をひとつ
  10. 周東英雄

    周東国務大臣 この点はあなたの御心配のようなことは、どういう点を意味しているか知りませんが、はつきりときのうの会見でも言つておりますのは、従来のような個別的な価格をつけるというよう行き方については、何も指示もしなければ、そういうことを考えておりません。むしろ価格政策というものは、日本のある姿というものと、英米のそれとは違うと思います。それはむしろアメリカ関係者の方がよく認識しておられると思う。アメリカにおいて、たとい価格というものを押えるためにある統制を行われても、同じ姿で日本に行くということは考えられないということを、はつきり申しておりました。ただ抽象的に言いまして、物の価格というものに対して、物自体を押えるための公定価格政策というようなものは、私は今とる必要もないし、とらないと思います。しかしむしろめちやくちやな価格が起りて来ないように、稀少物資等について、ある場合には指定する、あるいは割当しようというようなことが起つて来つつ、有効な形において使われるようにして、思惑的なことのなくなるよう方法を私はとる。  もう一つ特に考えられることは、いかなる場合においても、国民の主食あるいは衣料原料というものに対する関係は、物の数量の増加と、それからそれに対して、国際関係等影響から、ある程度財政的処理を必要とするかということは考えておりますが、ただ全般においてどのくらいに価格を押えるというために、価格統制あるいは公定価格制というよう行き方はとらないつもりであります。
  11. 勝間田清一

    勝間田委員 国際価格国内価格さや寄せの問題は、この案の中にも実際に示されておりますが、これはどういう現在の実情であり、それをどういうようにして行こうとされるか。これは何もイデオロギーの論争ではなくて、あなた方としてははつきりと方策があると思いますが、これをどういうふうにされて行くのでありますか。
  12. 周東英雄

    周東国務大臣 その点は国際経済に結びついておる関係上、国際価格というものに日本価格影響されて来る。従つてそれについて、自然に国際価格に従う形になつて行く。その際日本国民生活に及ぶ影響のもとに、どういうふうにその及んで来た価格調整するかという問題は、先ほど言つたように、食糧とか衣料とかいうものについては、場合によつては、国際価格影響されたものより、多少財政的処理等によつて調整措置をとるということはもちろんかと思いますが、一般的には、大体国際価格影響ざれた部分—原料材料外国に得ておるものは、当然国際価格さや寄せされつつ進んで行きますが、その点は常にその物の生産数量なり原材料が把握されて、影響を受けても物があるということならば、しばらくそのままにしてもいいという点があると思います。ただ問題は、それが一定生産コストに、一定のマージンをつけられた以上に、思惑的に売られることについては、それに対する利潤というものは、そういう場合には、その具体的物について考慮を払う必要は起るかと思いますが、ただいまのところは、そういう面については、しばらく見ておつていいのではないかと思います。
  13. 勝間田清一

    勝間田委員 国際価格は、昨年の六月以降から見ましても、アメリカ国内が、大体一割六分から一割七、八分の値上り日本が大体現在で、例の総合市場指数から行けば、大体七割三分になつておると私は思う、こういう状況で、現在日本の方はどちらかというと、価格影響は実際大きいと思う、また反撥の状況も大きいと見なければならない、こういう状況でございますので、今あなたがおつしやつたような、一応財政的処置をとるということでは、私は防げないだろうと思う。その意味で、私は今の御答弁では納得行きません。一体この開きというものをどういう形でなくして行くかということをひとつお伺いしたいと思います。
  14. 周東英雄

    周東国務大臣 その点は結局一番大きな問題は、たとえば鉄鋼という問題に制限したところで、鉄鋼原料の石炭とか鉄とかいうものの輸入についての、原料価格の特別の価格ができないかどうかという問題を今研究しております。日本価格上昇というものについては、大きな面においては私は運賃の問題だと思う。これはあなたも御承知ように、原価アメリカの方が一割六分で、こちらは四割、その大きな面は、運賃は従来の三倍以上に上つておる、運賃の方が原価より高いというのが相当あります。こういう運賃の面については、自国船増強というようなことで、でき得る限り運賃の値下げをして行くということが一つ方法だと思う。ことに運賃の問題につきましても、一時非常に上つて来た。最近において船運賃値上りも横ばいになつていると思いますが、私どもは何とかして、一番大きな上昇の原因といいますか、アメリカにおける価格上り方と、日本における価格上り方との相違点の大きな問題は、船運賃である。この面をひとつ引下げる方法について努力して行きたい、かように考えております。
  15. 勝間田清一

    勝間田委員 船運賃の最近の中だるみ状態というようなことを申しますけれども、これもかなり季節的なものがあるわけでありまして、現在の状況からいつて、必ずしもこれに満足するわけには行かぬと思う。今あなたがおつしやるように、造船計画で、国内船でやつて行こう。しかしそれも今言つたように、現在の政府状況では、現在の資金の面なり、資材の面からいつては、なかなか安くもできないし、早くもできない。そこへ持つて来て、例の外国船の問題も、これはできないということがはつきりこの中にも書いてある。だから私はあなたが船の問題で特に船運賃の問題でこの差額をやつて行こうということは、結局行き詰まつたことを意味するのではないでしようか。それで実際に効果ある処置がとれるのですか。一体どの程度とれると思うか。その点をお伺いしたい。
  16. 周東英雄

    周東国務大臣 お話の点ごもつともな点があると思いますが、自国船増強について、浩船計画が着々進んでおります。新造船は最近合計二十五隻、改造船も三隻というようになつておりますが、これは一ぺんにはなかなかむずかしい。少くとも第六次、第七次造船について、自国船増強計画を進めている。お話ように、アメリカからの貸与船というものについては、ちよつと困難な事情にありますが、何としても借入れるよりも、自国船を増加して行くということに主力を注ぐことが、一つ方法だろうと思う。いろいろ海運の増強については、アメリカ本国でも議論があるようでありますが、きようの報告を見ますと、マグナソン造船委員長も帰られて、日本現状に見て、日本自国船をある程度増強させても、アメリカの脅威になるわけでなしという、いろいろ好意ある意見も行われておるようであります。これはなるほど今すぐに自国船でサービスするという効果は出るとは思いませんが、その線に向つて行くことは、将来並びに現状を考えておる政策としては、ぜひとらなければならぬ。その点については、どうしても造船に必要な鉄鋼の問題が問題になると思う。鉄鋼をどうするかということについては、今研究中であるということを申し上げておきます。
  17. 勝間田清一

    勝間田委員 船賃の問題だけで、この価格開きというものは解決はつかないということは、長官御存じだろうと思います。しかしそういう船賃の問題を解決して行こうという努力は、私は承知いたしますけれども、そこに大きな期待は持てない。  次にもう一つ私は考えられるのでありますが、結局この七月以降相当の物価の値上りということが来るだろうと思います。これは御存じの通り、電力料金の問題、それから食糧の問題が出て来る。それから一切のいろいろな条件が出て来る。肥料の値段も出て来る。この七月以降の肥料なり、あるいは食糧なり、あるいは電力なり、こういうものは一体どういうように上ると見通されておりますか。この点についての見通しをひとつ聞きたい。
  18. 周東英雄

    周東国務大臣 米価の問題につきましては、これは国民生活に一番重大な関係を持つて来ます。ハリテイの上昇率からいえば、当然生産者価格についての引上げが行われなくてはならぬということは、これは御承知の通りであります。しかしその引上げられた形のものを、そのまま消費者に持つて行くか、持つて行かないか、あるいはいつの時期、どれだけの額を持つて行くかということは、今関係省の間で慎重に考究いたしております。今私どもはできるだけその影響を少からしめるという方向に向つて考え、消費者価格をできるだけ低くつけられることに努力しております。ただしかし、これも財政上の問題であります。どうしてもいかぬ場合において、価格が上るということと並んで考えられることは、そういう関係がどうしても困難な事情がある部分については、これはやつぱり税金の問題になる。あるいはベース・アツプの問題がそこに考えられる。こういうことと関連して、問題の解決の方向をとろうと考えております。肥料については同様に、これは農村生産物というものと重大な関係がありますが、これも実を言うと、米、麦等の農業生産物価格とも私は関連を持つと思うので、できるだけ肥料価格値上りがないということについての努力はいたしておりますが、実はその肥料価格値上りというものは、それだけ農業生産物についてパリテイーとして価格を上げなければならぬことになつて来ます。だからざつくばらんに言えば、肥料の価格を上げて行けば、米の価格も当然上げるということで、私はこれで相互の均衡がとれるかつこうになると思うのです。しかし上つただけ何とかできるか、できぬか、問題が当然政策的にありますから、できるだけ肥料についても上らぬことを望むし、そういう政策をとりたいとは思つておりますが、それにつきまして、まず硫安等については、私はただいまの見込みにおい、ては、今後しばらく価格上り方は、そうきつくならぬのじやないかと思います。それはなぜかというと、最近における肥料の生産状況が、非常に好調だからであります。昨年何月でありましたか、朝鮮、台湾への肥料の輸出問題が起つたときに、内地の需給推算から見て、そうたくさんは出せぬということでありました。しかしいろいろ研究の結果、去年から今年の五月までに十一万五千トンですか、出す、こういう計画をしたときの需給推算よりも、最近四月までの生産状況は、十二万五千トン供給がふえておるというようなこともありまして、生産状態も上つておる。のみならず、最近四月までの生産状況は、大分工場にストックがふえて参りまして、一約十八万トンぐらいストックがある。従つて四月一ぱいの荷の動きというものを見ると、二万トン余りしか動いておらない。これは、一つには春肥の手当が、関東地方は済んだという点もあると思います。関西はこれからでありますが—そういうことはあると思いますが、いずれにしてもストックがふえて来た。従つて硫安価格というものが、たしか四月までは高値七百八十五円、低値が七百四十円というよう程度で動いておりますので、おそらくその程度よりそう上昇はしないのではなかろうか、かように思つております。しかし今こうであつても、今後秋あるいは来年の春というようなことを考えると、ある程度生産に当つて余剰をストックして置くということが必要じやないかと思うのです。去年公団の手持があつたために、今日の状況であるのじやないかと思うときに、手放しで楽観しておれないのであります。これについては、今農林省方面で、余剰があるときに、全購連あたりに品物を持たせて、金融の道をつけて、価格の安定をはかる措置を講じたいと研究中であります。従つてこういう関係で、硫安等においては値上りが少いのじやないか。ただし今お話ように、電力料金の問題が関連して来る。電力料金の改訂という問題が起りますと、肥料にある程度影響を持つので、これは私もあなたと同じように非常に心配しております。しからばといつて、電力料金を上げないというわけにいかないと思います。今の電力料金制は、かなり不合理な点があるようにも思います。基準料金の問題なり、あるいは分割された電力会社の経理面から見て低過ぎるという点もあるようであります。あまり低いと電源の開発にも支障があるし、三割からのロスもあるので、こういう点はある程度節約させるとか、供給電力を増すということであらゆる面から見て、ある程度電力料金の改正は必要であろうと思う。しかし私どもは、よく物の見方として思つているのでありますが、電力料金が上るとそれでは物価がどうなるかというように、すべて原則を見て行くのがいいか、上つても電力供給量がそれだけふえて行くということによつて生産が上る。日本生産の一番大きなネックは電力にあるということであるから、生産量を上げることによつて単価を下げるということも生産計画として考えられる。従つて今の電力料金の不合理性を改正することによつて、電力の供給量も増し、ロスを減すということも一つ方法と思つております。今研究はさしておりますが、しかしその価格のきめ方いかんによつては直接に影響がありますので、できるだけ大きくならぬ程度に持つて行く。その時期等については慎重に考えております。こういうことが出て参りますれば、ある程度硫安の生産等について影響が起つて来ると思いますが、その影響も、今のよう生産量がふえることによつて、えらい刺戟が起らぬようにいたしたい、かように考えております。しかし、かくのごとき方法をとつても、肥料の値上りがあるとすれば—これは実は農家に対しては、パリテイーで生産費に影響するが、この程度上げても、農家の米の販売の仕組みで、シエーレの関係を少くするということはできると思います。しかしそれは生産者価格にあらず、その比率はとれても、生産者価格の上ることと、消費者価格の上ることが一番問題であると思う。これはまた国民経済の問題であると思うのであります。これにつきましても今慎重に考えておりますが、先ほど申しましたように、できるだけ消費者価格についての値上りを少くすることを考え、一部は財政的に処置し、一部は、どうしてもああいう場合においては、これは低額賃金所得者に対するベース・アップの問題なり、税金の減額というようなことで調整をとりたい、こういう総合的な各般の施策によつて、ある程度価格の問題を解決して行きたい、かように考えております。
  19. 勝間田清一

    勝間田委員 周東安本長官はなかなか頭がよいので、食糧と肥料と、今度は電力というように、順序を逆に御説明なさつているから、いかにも楽観的にとれますけれども、電力、それからそれの影響を及ぼす硫安、食糧、そうして賃金、こう説明されて行つた方が私はもつとよいと思う。それを逆に御説明になつているので、非常に楽観的にとれるよう感じられます。しかし、いずれにいたしましても、ここで電力が何割か、うわさによれば七割ということもいわれているが、これが肥料の方に及ぼす影響は非常に大きい。これも実際には御存じの通り大きな影響だろうと思う。この四月から統制を撤廃され、補給金を廃止されて、それで鉄なり、例の苛性ソーダなり、あるいはソーダ灰なり、いろいろな基礎資材に相当な値上りを来している。そこに持つて来て電力、肥料、あるいは今申しました食糧というように今度は来られるわけであります。ここで私は、一番その原則と照合して考えてみたいと思うのは、アメリカなどはすでにストツプ令で、ああいう措置を一月にとつている。すでに六月以降値上りの状態も日本とは違つているところへ、ああいう措置をとられている。日本経済というものは、今あなたにお聞きすると、これからが物価の値上りどきである—むしろこれから一層ふえるということが、非常に懸念—懸念ではなくして実際に出て来ているわけです。いよいよ国際物価との開きは大きくなるものと見なければならぬ。そういう状態で、一体商業勘定で、あるいは自由競争で実際の取引をして行かなければならぬという、ここに日米経済協力の姿というものが出ておるわけです。そういう結果から来て、一体どこに抑圧なり、しわよせが行われて行くかということが心配になる。あなたは早く言えば民需の圧迫になるとか、労働者の圧迫になるとかいうようなことは、心配いらぬとおつしやるけれども、そういう点について、明白なる見通しを示してくださらない限り、やはりイギリスアメリカと同じように、国民生活が圧迫されて来るではないか。もしその原料高なり物価高と、しかも国際価格との開きというものを、ここであなたはどういうように一体解決されるか、それを今度は具体的にお伺いしたい。たとえばこれをコストの引下げたどの形でやつて行くか。その場合における運賃を、どういう形でやつて行くか。あるいは補給金はどういう形でやるか。財政補給金は可能になるか。こういう関係をあなたが明白にしてくれなければ、われわれは納得が行かないわけです。だから現在の価格政策と、そして自由競争にたえて行くコスト引下げというものを、どう関連づけてあなたは処理されて行くか。この方針をひとつ伺いたいのであります。
  20. 周東英雄

    周東国務大臣 こまかい点については、ただいま関係省と相談中であります、具体的にはもう少しあとにしていただきたいと思います。しかし私の申し上げますのをえらく楽観々々と責められるが、あなたはまた少し悲観し過ぎると私は思う。一体第一の問題は、日本において生産が上るということです。物の生産なくして、統制をして、一つ外国から物を買わぬで、国内だけで行こうというお考えなら別です。これではとうてい国民生活というものは、よくなりはしない。今日の事態においては、先ほど言つたように、外国から輸入が一月、二月、三月と非常な力でふえて来た。これを生産して売る場合、生産数量が高まれば私は国民生活はよくなると思う。これを楽観と言われるが、これは事実だと思う。あなたも統計を見ればわかると思う。私は事実だから正しいと思う。ただ私もあなたと同じ心配を持つている。あなたはそこを突こうとされておると思います。今後の状況で、値が上つて輸出ができなくなつたらどうかという問題だろうと思う。その点につきましては、お話ように、アメリカがストツプしたから日本もストツプしたらよかろうというように、簡単にあなたもお考えにならぬだろうが、それは簡単に行かないと思う。アメリカにおいては生産資材というものを自国に持つている。だから生産についてストツプ令を出してもいい。ただこれにもアメリカでいろいろ問題がある。自動車の方ではストツプ令で困つておることは御承知の通りで、ストツプしたことが一体必ずしもいいとは私は思わない。ところが日本では現在アメリカから運んで来なければならない。それをやめるなら別です。そこに初めからハンデイキヤツプがあることは事実です。それをどういうふうにストツプをしてみたところで、内地でできたものの価格をストツプしてみたところで、やはり極端に言えば、運賃諸掛その他を考えれば、アメリカ本国において、同じ原料使つて生産される商品より高くつくにきまつている。そうしてそれを競争させて行くことになれば、財政的措置をとるかとらぬかという問題になる。販売する場合において、高いけれどもそいつをある程度生産者に対して補給金をやつて安く売らせる。これを端的に言えば、とるかとらぬかという問題になると私は思う。そうすると、あなたの方では大いに減税せいと要求する。それではどこに財源を得るのだ。こういうことが出て来るから、私は総合的な計画を立てなければできないと思う。今の問題は一つの例ですが、そこへ持つて来るか。その線でも日本生産設備の合理化、能率化ということを絶対にやらなければならぬ。たまたま今日まで世界各国が買付競争をやつてつたために、少々日本のものが高くても、必要にまかせて買えておつたかもしれない。しかしおちついて来れば、お話よう価格の競争が起ると私は思う。そのときに今のような非能率な設備であれば、コストが高いにきまつているから、これは思い切つて合理化をやらなければいけないということは、私がたびたび休会前の議会においても述べておる通りです。今度の声明書においても一つの点は合理化の点である。もう一つの点は、アメリカの方から日本に原材料を送つて来る。その原材料価格の問題について考慮があるようです。これはまだ申し上げられません。しかしそれがあつて運賃関係などいろいろあると思う。それはある程度容認される範囲の価格というものが私はあると思うが、それ以上生産者が利益をとり過ぎるとか、もうけがあつた金をばらまくということになると—生産につぎ込まれるならいいのですけれども、もうかつた利益がそのまま消費に使われるということでは、有害な傾向を生するのは当然であります。一面において生産者のもうけた利益を、再び合理化資金なりあるいは設備の改善資金につぎ込ませる。そうしてあまり消費的に資金が出ないようにすることが一つ。そこにある程度販売価格に自粛してもらいたいという点がある。私どもはそう考えております。もちろん今のままで、ただ手放しにやつてつて、めちやくちやに売らせるということになれば、当然原材料価格が高いのだから、どうしてもアメリカ自国において生産される原材料使つてつくる生産品よりも、その原材料を持つて来てつくる日本生産品が高い。それは統制だけではだめです。こういう点を考えてもらつて、私どもは総合的な計画を立てようと思つております。具体的にはまだ申し上げる時期ではありません。
  21. 勝間田清一

    勝間田委員 どうもおかしい。だから私はそれだけの高い傭船料を払つても、日本で加工して持つて行く商品が、自由競争できるということであれば、どこかにしわを寄せなければ、それはできないでしよう。そこを私ども国民生活の立場から心配しているわけです。だからあなたが高い高いという傭船料を、ある程度安くすることも大事でしようが、それを何でカバーして行くかというところがはつきりしなければ、結局賃金なら賃金にしわ寄せて行くわけでしよう。そこをどうされますか。
  22. 周東英雄

    周東国務大臣 あなたは賃金を押えるようなことをすぐ言われるが、私どもはさつき申し上げたように、たとえば自国船増強によつて運賃を下げるのも一つ方策でありましよう生産設備の合理化によつての引下げということも、一つ方策でありましよう。しかしそれで算術的に何パーセント下げるかということは、これはまだ今申し上げられません。しかし少くともそういう施策ができるだけ行われて、なおかついかぬ場合においては、物によつては財政的措置が講ぜられるだろうということを思つております。その具体的な個々の物資等については、これから研究されることであつて、目下取急ぎやつておる最中であります。
  23. 勝間田清一

    勝間田委員 こまかいところまで入つて行くとたいへんなんですが、そうするとあなたのを聞いておりますと、ストツプ令などはやらない、これは私はけつこうだと思う。やつてもらつては困る。結局価格は自由価格制度で、しかもお聞きしますと電力、肥料、食糧、すべて大幅に上つて行くという状態もある。そこで財政的措置を講ずる。おそらくこれは補給金あるいは食糧の二重価格制度をお考えでしよう。その点はまた聞きたいところでありますが、そういう点もとられるだろう、思う。そうして池田大蔵大臣は、最近賃金の値上げをするということを選挙前に言われた。これは選挙演説だとすれば別でありますが、選挙演説でない責任ある答弁である。それから減税ということも言われた。そうするとあなたの政策は、インフレ政策じやありませんか。そうするとここでインフレを処理して行かなければならぬという根本原則と、どう調節されますか。結局最後は、増税に行くんじやないですか。今のあなたの政策インフレ政策だと思うが、それでないという具体的な反駁の政策を呈示してもらいたい。
  24. 周東英雄

    周東国務大臣 賃金を上げることが、ただちにインフレになるというあなたの論議は、勝間田君らしくないと思う。外国原料に上つて生産している企業の、そのもとのコスト程度については、それだけの価格上昇はやむを得ぬと思う。但しそれを、できるだけ国際場裡においての競争が成り立つようにするために、できるだけ機械合理化、能率化ということが一つは考えられるし、また船賃自国船による減額、これも非常に大きなものであります。たとえば燐鑛石の問題にしたところで、大体原価は九ドルくらい、それに船運賃を込めて十一ドルくらいのものが、船賃値上りによつて二十二ドルになつておる。この大きな船運賃というものを下げることによつて非常に安くなる。これは一例です。こういう問題に処理をしつつ、しかも生産が上つて行くならば、私はそれらの点についてはそう心配しない。ただちにそれが賃金を圧迫するということにはならないと思う。ある程度生産が上がれば、それに必要な面についての賃金の上昇はあるでしよう。しかしそれが不当な賃金の上昇でなければ、自然にまかしておいてよろしい。大蔵大臣が賃金の値上げを言つておるのは、工場賃金というものと、全体的の経済界の状況にらみ合せて、一番困るのは低額賃金所得者だと思う。それに対して今のベース・アツプが一部考えられるとしいうことがあるだろうということを大蔵大臣は言つた。これは私ども当然だと思う。ところがあなたの論旨は、低額賃金所得者のベースが上ると、それだけ高くなつて、やはり国際場裡にだめだから圧迫するだろうという勝間田君の御意見、それは分量によると思う。それは国際価格日本価格との問題だと思う。私は原料コストというものは、向うの価格はやむを得ないから、同じ価格コストにして考えるが、日本における大きな問題は、何としても今の船運賃自国船による減とか、合理化による減とかいうことを積極的にやつて生産コストを下げる方向をとりつつ、国際場裡に動いて行きたいという考えである。その間にどの程度賃金が上げられろかということについては、何も賃金をストツプする必要はないのであつて、それは合理的に各業者にまかしておいてよかろうかと思います。
  25. 勝間田清一

    勝間田委員 どうも長官は少し聞き違えておる。賃金を上げること自身がいい悪いということを言つておるのではない。現在の六割九分というような消費水準は、去年の一月の消費水準に後退しておるわけです。だから現在の政府の立場からいえば、当然すべきものだ。ただ先ほどから聞いておれば、肥料も値上る、電気料も値上る、また食糧も値上る、そういう状態だから、どうしても実質賃金は上げざるを得ない状態が出て来る。それをどこかで絶ち切ることなくしては、やはり同じように、これは全体から見ればインフレ政策をとつているという以外にないじやないですか。どこにインフレを押える要素が出て来る。生産の面なり、価格の面なり、補給金の面なり、あるいはまた金融操作の面なり、税金の面なり、どういう面で一体あなたはインフレをとめようとするのかということを私は聞きたいわけです。船運賃のことは聞きましたけれども、実際に現在のインフレを抑制する具体的な政策はどうなのかという方針を聞きたい。
  26. 周東英雄

    周東国務大臣 それは一番初めに言つておるが、あなたは断片的にお聞きになる。金融の問題を聞くとおつしやるけれども、一番初めの私の説明で、金融についてのある程度の引締めは必要であろうということははつきり申しておる。但しそれは不要不急な問題について考えなければいかぬということを申し上げたはずである。それから税金の問題については、今大蔵当局とも相談しておりますが、個人的な税については、まだ今でも必ずしもよいと思いませんので、できれば下げたい。それに上つて負担を下げる。しかし法人等において特別な利得をしておるものについては、これはもう少しとるべきだし考える。とにかくだぶついておるというが、特殊な関係において金を引締めるということは私は必要だろうと思う。そこで税制なり、財政なり、金融の面における一つの引締めが必要であろうということを申し上げたはすであります。お聞き落しなら、もう一ぺんはつきり申し上げておきます。
  27. 勝間田清一

    勝間田委員 大体今個別的にはおつしやつたわけですが、しかし結局インフレ要因がどこにあるかということを明白にきめられないで、現在そういうことを言われても、私は立体的に理解することができません。しかしいずれにしてもあなたはストツプをやらないことは明白にされた。金融の引締めをやるということは言われた。しかし財政上の方では減税、しかし法人税というものについては金をもつととつたらよいだろうへということをあなたは言われた。本心で言われたか、出まかせで言われたか、おそらく本心で言われたのだろうと思うのですが、そこで一つ聞きたいのは、給与ベースの改訂をやつて、そうして補給金政策をどの程度あなたはとられるか知りませんが、その点を先ほどからにおわされておる。そこで減税ができるかどうかということを聞かしてもらいたい。
  28. 周東英雄

    周東国務大臣 補給金政策はできる限りやめたいというのは、われわれの方針です。しかしそれは一般論で、具体的な個々のものについて、私は先ほど今後の具体的政策については研究さるべき問題だということを申し上げたので、どれについてどうするということはまだ申し上げる時期でありません。しかして国民生活の水準を維持しつつ生活を安定するという面について、価格の面についてどういうふうに響くかというお尋ねがあつたから、私はある程度において国際価格と競争する点においては、原材料輸入しておるものについては、外国の原材料価格を引下げるわけにいかぬが、しかしでき得る限り生産された商品の価格を下げるために、合理化の問題なり、船運賃の問題なり、そういう問題について一例をあげてお話をした。そういうような点について考えれば、それは結局今後における国際価格とのにらみ合いにおいて、どの程度まで下げられるかという問題だろうと思う。これははつきりしておる。それ以上にわたつてどうしてもいかぬという場合に、できればものによつては補給金の問題が考えられる余地が出て来るかもしれぬが、それは具体的な問題について研究したい、こういうことである。
  29. 勝間田清一

    勝間田委員 具体的なことはきよう発表できないということですから何ですけれども、あなたが先ほど答弁の中で言われたことは、食糧について消費価格をどれくらい下げるかどうかという問題が一つある。しかし従来の燐鉱石の問題、あとは結局石炭とか、ソーダとか、銑鉄とかいうところが残つているだろうと思うのですが、いずれにしても具体的に言われぬというならばやむを得ませんけれども、補給金政策をとらなければ、さつき言つたよう国際価格との開きができて行つて合理化や、あるいは用船料の急速度の値下げができないとすれば、財政的なものがそれを埋めて行くという形になるだろうと思う。補給金というようなネセツサリーブルでこれを埋めて行くという形を、もう一ぺんバツクアツプして来ざるを得ないというところに、現在の自由党の政策が破綻を来している大きな現象であろうと思う。いずれにしてもそういう状態がここに出て来ている。  そこで、これは最後でありますけれども、もう一つ、軍需注文によつてふえ大国民所得を相殺できるだけの国民所得の、吸収の方法を考えろということが出ている。これが結局税金の問題とつながつておると思う。いわゆる軍需インフレが起きて来るのを相殺するに必要な財政的措置が、おそらく税制に来るんだろうと思うのであります。この問題は大蔵大臣の所管かろうと思いますが、減税々々と言われるけれども、実際上は増税になるだろう、これはお認めになりますか。
  30. 周東英雄

    周東国務大臣 先ほど、特殊な利得に対して今後税金の問題は考える必要があるだろうとし申しました。  それから補給金の問題が復活すれば自由党の政策は破綻だろうと言われたが、あなたは何百年たつて一つ政策は固定不変のものだと考えているから間違いだと思う。自由党の政策はそういう固定したものじやない。今日まで補給金をはずして—社会党といえども率直に認めなければいかぬと思う。国民が一番よく知つておる。この二年ぐらいの間、生産増強されて、自由取引になつて来て、あなた方が考えているよう国民生活を非常に圧迫したものであるか、国民生活が伸びてよかつた感じておるかということを、私は国民の批判に聞いた。決して自由に取りはずしたことが不平である、反対であるということを聞きません。食糧にいたしたところで、主食は別として、野菜、果物、魚、みなはずされた。綿布もはずされておる。決して不服だということは聞きません。従つて今日まではずされて来た問題について、私は党の政策が間違つてつたとは思いません。しかし新しく出て来た事態に処して、今後個別的に必要なものは考えるが、それが政策の破綻だとか、そういうことを言うものじやない。経済政策というものは、一定不変、固定化したものではない。それならばあなた方の政党の片山さんが内閣をとつたときに、なぜすべてのことを統制して国営にやらなかつたか。それは主義じやないからできなかつた。またせぬのがあたりまえだと思う。そういうことであげ足をとるものではない。私は勝間田君のために惜しむから申し上げておきます。
  31. 勝間田清一

    勝間田委員 そういうあげ足をとる行き方の答弁をあなたから聞こうと思わなかつた価格政策が現に進んでおる。この現在進んでいる価格政策を、あなた方は自由価格によつて完全に均衝状態が生じて、よい価格ができるからということで今までやつて来られたのではないですか。そのやつて来られたものが、ここで一つの未曽有のインフレの懸念を生じて来たのであるから、これに対してとらなければならぬ政策というものを、あなたは数箇月前、補給金をとりたいとか、いろいろなことを大言壮語されて来た。それに対して実際われわれは警告して来た。もちろん、われわれは何も好んで統制をしようというのではなく、物がふえて来れば、順序よくやつて行くべきものである。だから終戦後今日まで、食糧がふえて来れば食糧は自由になるだろうし、あるいはみかんがふえて来ればみかんが自由になるだろう。それはお互いの政治責任じやありませんか。お互いの政治責任が、長い歴史の中で築き上げて行く一歩々々の努力じやありませんか。われわれはそういう努力の中であるものがはずされて行くということに対して、社会党がやつたからできたのだ、民主党がやつたからできたのだ、民主党がやつたからできたのだ、そういう議論はあまりしたくありません。そうじやなく、現に当面しておるところの経済現象に対して、あなたが数箇月前まで主張されておつたこどが—私は突発条件だとは考えられない。去年六月以降今日まで、朝鮮事変の勃発のときに、こういう事態が起るだろうということを、われわれは主張したが、それをあなたは拒否されて来た。そこで私はあなたに今後の方針を聞きたいと思う。こういうことを言われるこは、周東安本長官のために私は惜しむものであります。それから最近政府は、国際的金融機構へ参加するいろいろの交渉を続けておられるということでありますが、どういう条件で現在交渉を続けておられるか、その点をひとつ……。
  32. 周東英雄

    周東国務大臣 これは主管の大蔵大臣からお聞きを願います。まだ具体的にこまかく申し上げる段階でないと私は思います。
  33. 勝間田清一

    勝間田委員 もう一つ、今度の声明の中で、国際的計画—国際的計画といえば、世界的再軍備計画と思いますが、この国際的計画に寄与することができなければ、日本原料及び食糧の確保について影響があるということが書かれてある。それと同時に、アメリカ日本へ今まで援助して来たし、投資もして来たのであるから、この長期調達計画に優先権を持つているということも主張されておるわけであります。優先権を持たれて、この計画協力できなければ、食糧及び原料について悪影響が来るということを、一体どういうように御解釈になつていらつしやいますか。このことが日本経済の自主性、経済の独立性日本の独立の基本になる経済根本、ここに私は非常に疑念を生じます。開くところによると、最近は、日米防衛同盟をつくられ、日本国に外国軍隊が駐留されるということを、吉田内閣は、政府及び国民の大多数が歓迎すると言われておる。そこに今度日米経済協力が優先権を持たれ、それに協力できなければ食糧不安があるということになると、私は日本経済の独立性ということに非常な不安を持つ。ここをいかにお考えになつていらつしやいますか。
  34. 周東英雄

    周東国務大臣 なるほどそういうふうな声明があるようでありますが、私は別に自主性を侵害すると考えない。またそう強くお考えにならぬでよかろうと私は思う。日本の、余剰というか、未稼働ということがいいか、日本工業力には余力がある。これに一定の原材料を与えれば、ある程度生産力がふえるということははつきりしておりますが、そういうことによつて協力を求められております。今お話の、軍需であれ、民需であれ、求められていると思うのですが、そういうときに、日本政策をいたずらに思想的な別の考え方これはあるいは共産党なんかの言うことかもしれませんが、アメリカ協力すれば妙な結果になるとか何とかいうことで、故意にこれに反対するというようなことがあれば、私は今までこちらが協力を得ているという立場から、これは道義上おかしいしと思う。こういうくらいに考えております。別にこれで威嚇されておるとも、日本の自主権を侵害されているとも考えておりません。
  35. 勝間田清一

    勝間田委員 最後に、こういう行き方と、従来安本長官が言われておつた経済自立計画というものとの関係の問題でありますが、経済自立計画を変更する条件があると思うか、あるいはないと思うか。この問題についてひとつあなたの所見を承りたい。
  36. 周東英雄

    周東国務大臣 結論から言えば、内容においては変化を受けることがあると思います。経済自立三箇年計画を立てるときには、生産増強、原材料の供給の面においては、むしろもつと悲観的に考えておつた。国際情勢によつてそれらの諸条件が達成せられないとするなら、むしろ経済自立三箇年計画は縮小されて、内容を変更しなくちやならぬかしらと思いました。これは一番初めに断りがしてあるように、諸情勢の変化によつてこの計画は伸縮ありということがうたつてあるはずであります。幸か不幸か、国際情勢は逆に、原材料の供給等については、われわれが考えていたよりも非常に輸入等が進んで来た。とすれば、内容的には非常な変化を受けることがあり得ると私は考えております。
  37. 圖司安正

    圖司委員長 森山欽司君。
  38. 森山欽司

    ○森山委員 マーカツト局長の声明の中に、調達命令長期的に発し得る総合計画は存在しないという言葉がありますが、これについてどういうお考えを持つておりますか。
  39. 周東英雄

    周東国務大臣 その点は、一ぺんにまとまつての長期的な注文はない、個別的になるであろうということであると思います。
  40. 森山欽司

    ○森山委員 個別的に調達命令があるにいたしましても、長期的な総合計画というものを、ある程度わが国に示されない場合におきましては、こちら側のいろいろな計画立案上起るべき不都合等があると思うのでありますが、いかがお考えですか。
  41. 周東英雄

    周東国務大臣 その点は私どももそう考えておりますが、まだ向うで全体的にまとまつていないようでありますから、できれば示されると思います。
  42. 森山欽司

    ○森山委員 重ねてお伺いいたしますが、アメリカにおいてそういう長期的な総合計画が将来あり得るとしいうお見通しでありますか。
  43. 周東英雄

    周東国務大臣 まだ向うでは現在ない。しかしこれから研究して、できれば示されると思いますが、まだあるとも、ないとも、私は話を聞いておりません。
  44. 森山欽司

    ○森山委員 マーカツト局長の声明の末尾には、日本はただちに長期的経済政策を樹立し、これを世界に発表する必要があるということを言つている。わが国に対してのみ、長期的経済政策の樹立を要望しながら、アメリカ自体において、この協力の基本となる調達命令に関する総合計画が存在しないということを言い切つているのでありますが、その関連はいかがお考えですか。
  45. 周東英雄

    周東国務大臣 経済協力ということだけに考えなくても、日本日本としての、ある程度将来に向つての見通しといいますか—変化はありましようが、今日は今日としての事情に立脚して、一つの総合的にまとまつた計画は必要だと思います。これはむしろ自主的な立場から、経済協力というものを、われわれが要求されることがあろうがなかろうが、日本としては持つていなければいかぬと思うのであります。これは別に日本だけが片務的な義務を負わされた上は思いませんが、しかしおそらく向うの考えは、私はよくわかりませんが、想像するに、向うとしてもこの間マーカツト氏が行かれて、いろいろな点について日本の立場なり考え方を述べられたと思います。それについてまとまつた考えを今は持つてはいないが、しかし何らかまとまつて出てもらわないと—、それが基本になつて、今度はその中の個別的なものが出て来ないと、われわれが協力をするについても支障があると私どもは考えております。これはどういうふうなことだつたか知りませんが、文面に現われている点では片務的に見えますが、この方は相談して日本でやるべきことだと思います。
  46. 森山欽司

    ○森山委員 大工業が中小の下請け工業に対するような文言のように私は受取るのであります。経済の中枢の指導に当られる安本長官としては、わが国の立場から、こういう点についてアメリカ側に対するいま一段の強い御発言を私はお願いいたしたいと思います。  次にお伺いいたしたいことは、次のような文言があります。「米国においては生産と貯蔵の努力は最大能力を発揮しているが、現在はまだ概して計画の段階にある、種々の機関が設けられ、割当、統制その他の承認された手段によつて、主要な経路を通じて国家努力を指導している。もし世界の他の国国は、国内の製品価格世界の水準に合致させるよう政策を探つているとすれば、日本もまた同様な行動を探るべきであつて、さもなければ諸国と太刀打ちできなくなるだろうことはきわめて明らかである。次に国際的金融機構への参加の前提条件とされている幾つかの条件がありますが、この文句を見ますと、従来の吉田内閣経済政策の今までのやり方だけで一体足りるのかどうかということに対して、私は疑念を持たざるを得ないのであります。さきに発表されました自立経済三箇年計画の中におきまする国民経済予算の算定基準といたしまして、二十五年末の生産財実効価格指数は、昭和二十四年度を一〇〇として二割八分三厘程度の騰貴しか見積つておらないのでありますが、実情はすでに本年三月末において五割程度以上の上昇になつております。二十五年度を基準にしてさえ五割程度であります。三十五年度の自立経済自体によると、一割弱の騰貴しか見積つておらない。生産財実効物価において、三十五年度から二十六年度にかけての騰貴率を、自立経済計画においては一割弱、実状においては五割程度上昇になつておる。こういう実状が今はつきりしておる際、長官のおつしやられることは、今まで何回も本委員会を通じて言われたことと同じであります。同じことをやられて、はたしてこの物価の騰勢を防ぎ得るのであるかどうか、私ははなはだ疑念を持たざるを得ないのであります。しかもここにマーカツト局長の、日本もまた同様な行動をとるべきである、英語で何て書いてあるか知りませんが、日本もまた同様な行動をとるべきであるという文言に対して、その同様な行動とは、一体いかにあるべきかということについての長官の御見解を承りたいと思います。
  47. 周東英雄

    周東国務大臣 その点は日本における事情に即応した形において考えて行くべきものと思います。それはきのうの会見におきましてもそういう声明がありますが、先ほど申しましたように、あの問題にいたしましても、向うのような形によらないで、日本日本としての特有な考え方をすればいいということであります。それについて研究しております。
  48. 森山欽司

    ○森山委員 私は周東長官のお考えが楽観的でなければいいと思うのであります。年度当初にお聞きした非常に楽観的なお説が、年度終つて振りかえつてみますと、物価においてすら、今日こういう非常な値上りの幅を示しておるのであります。今後日本の物価がこれ以上上ることを押えるというような、今までとは違つた、別途の方策をとることなくして、日米経済協力なるものの、海外からの発注に対して一体適合できるのかどうか、長官にいま一度お尋ねいたしたいと思います。
  49. 周東英雄

    周東国務大臣 先ほど勝間田さんにもお話したように、今の日本の置かれている現状からすると、製品そのものの関係は、原材料外国に仰いでいるものが多いと思います。その点と、日本における生産設備は老朽化しており、非能率的なものであるということ、それから船賃等の問題もある。また今言われたよう方面については、利潤を取過ぎているのではないかというような点もある。こういう点をみな考え合せて、今後ほかの問題も考えなければならぬと私は思う。ただ一口に聞いておりますと、値が上つたら一ぺんに統制しろという考え方でありますが、これは日本の置かれている地位としては—アメリカにおける生産と、日本における生産とは違うと思います。その中で何が価格として押え得るか、下げ得るかということが問題であろうと思います。その点については、先ほど申しましたよう一つ船賃というような問題、原価値上りの問題、こういう問題についての施策は、はつきりとやつております。また合理化の問題などは、現在及び将来を通じて、日本が国際場裡においてやつて行くためには、今のうちからもうかつた金は合理化につぎ込めということを、政府はやかましく言つておりますが、なかなか全部が全部進行しておらぬようです。こういう面については推進しなければならぬし、今度のいろいろな金融の問題についても、能率的な機械輸入等について、見返り資金を出しておる点なんかはそういう点であります。さらに今のインフレの様相としての一つの大きなものは、やはりある程度利益を得た金は、資本蓄積という言葉で言いますか、あるいは設備の合理化という方に使われるなら、私はあまり影響は起つて来ないと思う。それがあまりむちやくちやに消費の方に向けられているのを押えることは必要であろう。これは先ほど勝間田さんに答えた点でありまして、現在まで、法人の利益については、ある程度税金の方で考慮が必要じやないと言つている点は、何も思いつきを申し上げているのではなくて、政府としても考えておる点なのであります。こういう点はできるだけ努力いたしたいし、ともに最後にどうしてもうまくいかぬ物資について、場合によつては、あるいは財政的処置が必要か、こういうことを私は申しておるのであります。私はただ価格が上るから、これにストツプ令をかけたら一ぺんに外国流に行くかという考え方だけではいかぬと思います。それは根底が違うのじやないかと思います。その点はまだ今後の研究にまつ点があります。決して勝間田さんやあなたが言われたように楽観はいたしておりませんが、しかし一概に統制したらうまく行くとも考えていないということを申し上げておきます。
  50. 森山欽司

    ○森山委員 私は長官の言われたことが全部わからないわけではないのでありますが、アメリカにいたしましても、昨年の末、大体アメリカの卸売物価が一割程度つたときに、物価に対する相当思い切つた手を打ちました。物価のみならず、国防生産法に基いて、各般の面にわたつていろいろ手を打つております。これはアメリカが一体本気でやつているのかどうか、私は現地に行つておりませんからよくわかりませんが、もしこれを本腰を入れてやつておるといたしまするならば、これはわれわれとして決してネグレクトすることのできぬ事象であります。特に日米協力とは言いましても、極端な言い方をいたしますならば、象とありの協力程度経済力の差が今あるわけです。日本の場合は、昨年の四月から六月を基準にして、三月末でもう五割近く上つておる。しかもこの種の質問は、昨年来何回も繰返しましたが、長官が別に心配ないのだ、心配ないのだといううちに、またたく間に五割も上つてしまつたわけであります。アメリカの場合には、ああいうやり方をしてまだ効果かあるけれども日本の場合はだめなんだというその理由、長官アメリカの場合はそうやれても、日本の場合はそういうような直接的な方法じやない方がいいのだという、その基本的な考え方、それをひとつお伺いしたいと思うのです。
  51. 周東英雄

    周東国務大臣 この点は意見になりますが、とにかく物資が非常にたくさんあるときにおいて、統制をびしやつとやるということは比較的やりやすい。品物が非常に少い、経済力の弱い日本現状において、ただ統制で押えたらかくれるばかりだと私は思う。しかも外国にその原材料を大部分仰がなければならぬ状態、こういう場合においては、同じ姿で行つても効果が上らない。これは私ざつくばらんに申しますが、あなた方が向うに行つて聞いてごらんになつてもわかります。向うの当事者も、日本は同じように行かぬと、はつきり言つております。それは向うの方が日本よりよく知つているし、私もアメリカと同じ形で日本でやつたら、困ることが起るだろうと思う。しかし日本に即応した形で、たとえば私がさつき勝間田君にお答えしたのだが、私はかなり思惑的といいますか、自由になつたがために生産業者、販売業者がむちやな価格で利益をよけいとるということもあろうと思う。品物が思惑に流れることがあろうと思う。そういうことを押えるためには、稀少物資を押えて、最終生産者というか、有効的なところへ割当で持つてつて、中間的な利益をとらせないで、コストを下げるということも一つ方法じやないか。しかも幸いにして稀少物資は、日本が受けたものは港口でどこへ行くということもはつきり押えられるのではないか。こういうことも、一例でありますが、考えられると、私は思う。
  52. 森山欽司

    ○森山委員 統制というのは大体物が少くなつたり、あるいは流れの傾向がはげしいときにやるものでありまして、物が余つてつたり、あるいは値が横ばいのときにはやる必要のないものであります。アメリカ日本の事情はもとより違つておりましても、ともかくアメリカが現在相当思い切つた手を打つているという事実は、事実として一応強く認識いたしますと—私—は周東長官に深く信頼するものでありますが、過去一年間来の速記録をお調べになつてみればおわかりのように、すでに現実には、もう昨年の四月から六月を中心にいたしましても、五割近くの騰貴をしているのであります。今勝間田委員に対するお答え等を伺つておりますと、やはり在来のやり方の線でお進みのよう感じを受けます。長官は昭和二十六年度において、やはり物価をもうこれ以上げないで済むような自信をお持ちで、そういう御発言をしておられるのですか。
  53. 周東英雄

    周東国務大臣 なかなかむずかしいお話を伺うので、神様でない以上そう簡単には行きませんが、今日の状態は、私は事案がはつきりと証明しているように、横ばいの状態にあると思います。問題は七月以後を心配します。それはアメリカの電事予算等が現実に動き出してからの問題は、これはアメリカにおける価格が動くかどうかという問題です。そういたしますと、日本へ来る問題もやつぱり関係して来ますが、世界的な価格上昇というものが、世界経済に及ぼす影響が、日本に波及するということは考えます。しかし、その点は、アメリカにおいてはストツプ令などをかけておるからどう動くか、そう極端に私は動いて来るとも思わないのです。しかし何がしかの影響は起つて来ると思う。その際までに日本としてはどうするかという問題ですが、これはもう少し具体的なこまかい点にわたつて日米協力の案が判明して来ることが必要でありましようし、私どもも今まではこうであつたが、今後の新しい問題については、今いろいろ施策を立てておるのであります。まだ申し上げる時期ではありませんから言いませんが、先ほど一端は勝間田君にも話した。そこで勝間田君から、急に政策の変更じやないかと叱られたが、私は目下いろいろと策は立てております。
  54. 森山欽司

    ○森山委員 最後に一つ……。日米協力を具体的に進行さして参つた場合に、生活水準の向上を、自立経済三箇年計画の線に沿つて、相伴わして行くことができるというお見通しをお持ちがどうか。このマーケツト局長の声明の中にも、日本国内生活水準を最大限に向上させることが必要であると言つておりますが、かねての三箇年計画の線に沿つた向上を、お見込みになることはできるか、あるいは現在程度の線で横ばいに行くのか、あるいは下るのか、ひとつそういう点の大ざつぱなお見通しを伺いたい。
  55. 周東英雄

    周東国務大臣 この点は、まだデイテールにわたつて詳しく話合いが進んでおりませんから、はつきり申し上げかねます。しかし抽象的に言えば、少くとも日本生産が上り、そこに国民経済上昇するという因子は私は含んでおると思う。ただその際に、先ほども答えたように、軍需生産が多くて民需の方にまわらぬというようなことが起ると、生産は上つて国民生活の水準には悪い影響がある。そういうことのないように私どもは主張もいたしておりまするし、その点は考慮に入れて来ると私は今のところ考えていますから、どれだけ上昇するか、あるいは下るかという問題については、今具体的には申し上げかねますが、下ることはおそらくあるまいと私は思います。
  56. 森山欽司

    ○森山委員 念を押すようでありますが、国民の消費水準の向上をある程度犠牲にしても、資金資材を主要産業に重点的に振り向けなければならないというようなお考えは、将来お持ちにならないでおやりになるわけですか。
  57. 周東英雄

    周東国務大臣 私どもとしては、そいうう考えで進みたいと思つております。
  58. 圖司安正

    圖司委員長 志田委員。
  59. 志田義信

    ○志田委員 日米経済協力の問題でお伺いしたいと託つておりますが、長官も、見ておりますと大分御疲労のようでありますので、国事多端な折に、もし万一生命に関するようなことがありますると、お気の毒で、国のためにも損失でありまするから、私は簡単に、五、六分で質問を打切りたいと思います。これに長官を愛すること浅いわけではありませんが、国を愛すること深いためにするのであります。さつき長官は、南方における天然地下資源の開発をやつて日米協力の面に日本の未稼働工場を稼働させたいというお考えを述べておられます。さらに具体的には、これは民貿による方法で行きたいのであるということを言つておりまするから、これはどこまでも経済的なものであつて、政治的な意図はないということが明らかになつておりまするので、この政治的な意図がないということにつきましては、われわれもまつたく同感でありまするし、これを政治的な意図に持つて行こうとする野党諸君のいろいろな意図も考えられるのでありまするが、ただ一つ、政治的な意図がない、どこまでも商業的な基盤の上に立つてこれをやるという場合におきましても、なおかつ先ほどいろいろ委員の間に質問が出ておつた競争的な価格というような問題が非常な問題になるのだと思いますが、そういう場合に、それを商業的な基礎の上に立つてやらせるのであるから、それらは一にかかつて企業家の責任においてやらせるということを第一の建前に考えておられるかどうか、その点をお尋ね申し上げます。
  60. 周東英雄

    周東国務大臣 お話の通りに、企業家というものの意図を尊重し、その手腕にまつということが第一の点になると思います。それに対して金融の問題などをどういう形で出して行くかということは残りますが、大体民間の方の創意くふうを基本として進めて行く、こういう考えでおります。
  61. 志田義信

    ○志田委員 そうしますと、日米協力の間におきまして、新しい特需の面で、相当危険負担を企業家が考えなければならないと思いまするが、質問を簡略にする意味から、第一に日米協力の期間というものを、一定期間アメリカ日本側が保障させるというようなことについて、一体政府は大臣をしていろいろ交渉させることが今までにあつたかどうか、また将来交渉させる意図があるかどうか、それをお尋ねします。
  62. 周東英雄

    周東国務大臣 まだ具体的にそういう点までは入つておりません。それはよく聞かれることでありますが、特需とか特殊な関係において、日本工場等に注文した場合に、簡単な期間で打切られたら、設備なりその他損夫を補障しろということであります。これはまだ具体的に今のお話については何も話しておりませんし、そう一ぺんにまとまつたものが来るのではないのですが、しかし私は日米の協力というものは、一年とか何とかいうものでなく、相当に長い間続くものだと思います。そこに私どもは単なる軍需的な協力だけでなくて、民需的な生産協力というものがあるということを申し上げておきます。これはよく関係方面との個別的な話をしているときに出るのは、一年とか二年というものではなくて、やはり長く経済的な提携協力というものが続くものであり、そうでなくちやならぬ、こういう話を聞かされております。しかし今度の問題で具体的にどういうふうにということに、まだきまつておりませんので、お答えいたしかねます。
  63. 志田義信

    ○志田委員 アメリカの動員計画は、御承知の通り一九五三年をもつて完成されることになつております。従つてこの日米経済協力態勢の期間というものは、一九五三年の動員計画が完成した以後においては、われわれは別の形で行われればとにかくといたしまして、今の日米経済協力の、少くとも緊急物資の調達計画日本が参画するという意味においては、一九五三年というものが山であろうと思うのでありますが、そういう場合に日本の未稼働工場を稼働せしめて、フルに運転さして、一九五三年が来ればそれで終らなければなんぬような状態が、いわゆる新特需の危険負担の一つとして出るということも考えられるのでありまするが、そういう場合には、政府としてこの一定期間の保障について何か考えておられるか、その点をひとつお尋ねいたします。
  64. 周東英雄

    周東国務大臣 政府としてはまだそういう点について具体的には考えておりません。しかし私どもはできるだけそういうことのないように、かりに一時的に軍需品生産使つても、それが後に至つて民需生産に切りかえられるというような形に、できるだけ初めから計画を進めて行くことが必要だと思つております。そこに私ども南方の資源開発ということに重きを置いておる一つの重要な点があると思います。当然私ども世界経済の視点に立つて、われわれの主張は常に平和の貿易ということであり、南方地域、東南アジア地域という面においては、非常に民需製品の需要の多い地域であります。その点は戦前においてもしかりでありましたが、将来貿易によつて立たなければならぬ日本としての一つの部面です。こういう地域における市場を獲得するためにも、そういう部面における民需品の生産というものを頭に置きつつ、やつて行く必要があると考えております。
  65. 志田義信

    ○志田委員 そこで日本政府として一定期間の保障を考えなければならぬような状態の起る場合を予想いたしまして、未稼働工場を稼働せしめる前提として、設備資金ないしは運転資金について、アメリカから何らかの形式で、あるいは開発金庫のようなものを通ずるとか、見返り資金表するというような形で、これに金融措置を行うというようなことも、やはり考えなければならめのじやないかと思いますが、その点はいかがでありますか。
  66. 周東英雄

    周東国務大臣 具体的な御質問でありますが、まだその点については考えておりませんが、具体的な事柄がわかり次第、お話の点は頭に置いて検討いたしたいと思います。
  67. 圖司安正

    圖司委員長 他に御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。次回は来る二十四日午前十時より、石油及び電力問題を議題に供し、本委員室において開会いたします。     午後三時五十七分散会