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周東国務大臣 米価の問題につきましては、これは
国民生活に一番重大な
関係を持
つて来ます。ハリテイの
上昇率からいえば、当然
生産者価格についての引上げが行われなくてはならぬということは、これは御
承知の通りであります。しかしその引上げられた形のものを、そのまま消費者に持
つて行くか、持
つて行かないか、あるいはいつの時期、どれだけの額を持
つて行くかということは、今
関係省の間で慎重に考究いたしております。今私
どもはできるだけその
影響を少からしめるという方向に向
つて考え、消費者
価格をできるだけ低くつけられることに
努力しております。ただしかし、これも財政上の問題であります。どうしてもいかぬ場合において、
価格が上るということと並んで考えられることは、そういう
関係がどうしても困難な事情がある
部分については、これはやつぱり税金の問題になる。あるいはベース・アツプの問題がそこに考えられる。こういうことと関連して、問題の解決の方向をとろうと考えております。肥料については同様に、これは農村
生産物というものと重大な
関係がありますが、これも実を言うと、米、麦等の農業
生産物の
価格とも私は関連を持つと思うので、できるだけ肥料
価格の
値上りがないということについての
努力はいたしておりますが、実はその肥料
価格の
値上りというものは、それだけ農業
生産物についてパリテイーとして
価格を上げなければならぬことにな
つて来ます。だからざつくばらんに言えば、肥料の
価格を上げて行けば、米の
価格も当然上げるということで、私はこれで相互の均衡がとれるかつこうになると思うのです。しかし上
つただけ何とかできるか、できぬか、問題が当然
政策的にありますから、できるだけ肥料についても上らぬことを望むし、そういう
政策をとりたいとは思
つておりますが、それにつきまして、まず硫安等については、私はただいまの見込みにおい、ては、今後しばらく
価格の
上り方は、そうきつくならぬのじやないかと思います。それはなぜかというと、最近における肥料の
生産状況が、非常に好調だからであります。昨年何月でありましたか、朝鮮、台湾への肥料の
輸出問題が起
つたときに、内地の需給推算から見て、そうたくさんは出せぬということでありました。しかしいろいろ研究の結果、去年から今年の五月までに十一万五千トンですか、出す、こういう
計画をしたときの需給推算よりも、最近四月までの
生産状況は、十二万五千トン供給がふえておるという
ようなこともありまして、
生産状態も上
つておる。のみならず、最近四月までの
生産状況は、大分
工場にストックがふえて参りまして、一約十八万トンぐらいストックがある。
従つて四月一ぱいの荷の動きというものを見ると、二万トン余りしか動いておらない。これは、
一つには春肥の手当が、関東地方は済んだという点もあると思います。関西はこれからでありますが—そういうことはあると思いますが、いずれにしてもストックがふえて来た。
従つて硫安
価格というものが、たしか四月までは高値七百八十五円、低値が七百四十円という
ような
程度で動いておりますので、おそらくその
程度よりそう
上昇はしないのではなかろうか、か
ように思
つております。しかし今こうであ
つても、今後秋あるいは来年の春という
ようなことを考えると、ある
程度生産に当
つて余剰をストックして置くということが必要じやないかと思うのです。去年公団の手持があ
つたために、今日の
状況であるのじやないかと思うときに、手放しで楽観しておれないのであります。これについては、今農林省
方面で、余剰があるときに、全購連あたりに品物を持たせて、
金融の道をつけて、
価格の安定をはかる
措置を講じたいと研究中であります。
従つてこういう
関係で、硫安等においては
値上りが少いのじやないか。ただし今
お話の
ように、電力料金の問題が関連して来る。電力料金の改訂という問題が起りますと、肥料にある
程度の
影響を持つので、これは私もあなたと同じ
ように非常に心配しております。しからばとい
つて、電力料金を上げないというわけにいかないと思います。今の電力料金制は、かなり不合理な点がある
ようにも思います。基準料金の問題なり、あるいは分割された電力会社の経理面から見て低過ぎるという点もある
ようであります。あまり低いと電源の
開発にも支障があるし、三割からのロスもあるので、こういう点はある
程度節約させるとか、供給電力を増すということであらゆる面から見て、ある
程度電力料金の改正は必要であろうと思う。しかし私
どもは、よく物の見方として思
つているのでありますが、電力料金が上るとそれでは物価がどうなるかという
ように、すべて原則を見て行くのがいいか、上
つても電力供給量がそれだけふえて行くということによ
つて生産が上る。
日本の
生産の一番大きなネックは電力にあるということであるから、
生産量を上げることによ
つて単価を下げるということも
生産計画として考えられる。
従つて今の電力料金の不合理性を改正することによ
つて、電力の供給量も増し、ロスを減すということも
一つの
方法と思
つております。今研究はさしておりますが、しかしその
価格のきめ方いかんによ
つては直接に
影響がありますので、できるだけ大きくならぬ
程度に持
つて行く。その時期等については慎重に考えております。こういうことが出て参りますれば、ある
程度硫安の
生産等について
影響が起
つて来ると思いますが、その
影響も、今の
ような
生産量がふえることによ
つて、えらい刺戟が起らぬ
ようにいたしたい、か
ように考えております。しかし、かくのごとき
方法をと
つても、肥料の
値上りがあるとすれば—これは実は農家に対しては、パリテイーで
生産費に
影響するが、この
程度上げても、農家の米の販売の仕組みで、シエーレの
関係を少くするということはできると思います。しかしそれは
生産者価格にあらず、その比率はとれても、
生産者価格の上ることと、消費者
価格の上ることが一番問題であると思う。これはまた
国民経済の問題であると思うのであります。これにつきましても今慎重に考えておりますが、先ほど申しました
ように、できるだけ消費者
価格についての
値上りを少くすることを考え、一部は財政的に
処置し、一部は、どうしてもああいう場合においては、これは低額賃金所得者に対するベース・アップの問題なり、税金の減額という
ようなことで
調整をとりたい、こういう総合的な各般の施策によ
つて、ある
程度価格の問題を解決して行きたい、か
ように考えております。