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1951-03-06 第10回国会 衆議院 経済安定委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月六日(火曜日)     午前十一時五十四分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 多田  勇君 理事 永井 英修君    理事 竹山祐太郎君       岩川 與助君    奈良 治二君       福井  勇君    渕  通義君       細田 榮藏君    村上 清治君       森   曉君    有田 喜一君       森山 欽司君    羽田野次郎君       田中 堯平君  出席政府委員         経済安定事務官         (民生局長)  東畑 四郎君         物価政務次官  郡  祐一君         経済安定事務官         (物価庁第二部         長)      長谷川 清君         経済調査官         (経済調査庁監         査部長)    木村  武君  委員外出席者         経済安定事務官         (物価庁第一         部総務課長)  高橋 時男君         経済安定事務官         (物価庁第三         部軽工業課長) 柿坪 精吾君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 三月一日  委員宮原幸三郎辞任につき、その補欠として  犬養健君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員犬養健辞任につき、その補欠として宮原  幸三郎君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員勝間田清一辞任につき、その補欠として  田中織之進君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  物価価格政策に関する件     —————————————
  2. 圖司安正

    圖司委員長 これより会議を開きます。  ただいまより物価及び価格政策に関する件を議題に供し、政府当局より説明を聴取いたします物価庁政務次官郡祐一君。
  3. 郡祐一

    郡政府委員 物価動向について御説明申し上げます物価は昨年上半期におきましては、一昨年に引続いておおむね横ばいないし下降傾向を示しておつたのでありまするが、朝鮮動乱勃発後は、一部の物資、特に繊維品鉄鋼非鉄金属等が、顕著な値上りを示しますとともに、物価は全般的に上昇傾向に転じて参つたのであります。これを物価指数について見ますと、事変前の六月に対しまして、本年一月は、日銀調査東京卸売物価指数において二九・二%の値上りをいたし、生産財につきましては四三・八%、消費財については一三・七%の値上りを示しております。  物価上昇を来しました主要な原因は、申すまでもなく国際価格上昇という事実であります。すなわち世界各国における再軍備の進展に伴いまして、軍需資材、特に原料物資需給が逼迫することと相なり、また民生物資につきましても、今後の需給の逼迫を見越しまして需要が活溌となつております。かような動きは当然わが国にも影響を及ぼすところでありまして、一方において綿糸布、スフ、人絹、鉄鋼製品などの輸出商品輸出価格が上り、これに伴いまして国内相場上昇しているところでありますし、他方において綿花、羊毛、ゴム、鉄鉱石その他の輸入商品価格も、かなりの高騰を示しております従つてかような一部の国際商品値上りは著しいのでありますが、大部分物資、特に消費財についての価格上昇は、いまださほど著しいとは申せないかと思うのであります。さらに動乱前の状態を思い起しますと、当時において国内購買力は停滞いたしておりまして、また輸出も伸び悩みの状態にありました結果として、さきに述べましたように一部の商品については、過度に値上りしていた面もあることを思い合せますと、まだ必ずしも著しく物価上昇したとは言い得ないと考えているのであります。もちろん物価の安定、ひいては国民生活の安定をはかりますことは、きわめて肝要な事柄でありまするから、政府といたしましても物価動向については、特に慎重な考慮を払いまして、物価について煩わしい統制を行い、自主的な経済活動に制約を加えることは、極力避けなければ相ならぬと考えているのであります。すなわち経済界の現状をながめますと、現行価格統制の面においては、いろいろな不合理な点を発見されるのであります。すなわち商品によりましては、原料統制していながら製品が自由であるというような種類のもの、また商品によりましては、製品統制していながら原料は自由であるというようなもの、さらに同一商品でも統制されている規格、たとえば下級の紙と、統制されていない規格、上級の紙というようなものがあるのであります。このように統制されている分野と、統制されていない分野とでは、収益率にも不均衡を来しているのであります。また最近の情勢から一層の増産を要請されている物資につきましては、マル公をはずした方がより適当だと思うものもあるのであります。その上、輸入原材料価格値上りが今後も継続されるものと予想されます限り、従来の厳格な原価主義によりますある期間安定した統制価格というものを算定することは、はなはだ困難と相なつております。さらにまた商品によりましては、需給関係の好転によりまして、または原材料価格統制の解除によりまして、マル公を存続する実益を失つたものもあるのであります。以上のような不合理な諸点に考えまして、この際さらに一層輸入の確保及び生産増強等努力をいたしますとともに、内需の規制及び輸出の調整を行う等、総合施策と並行いたしまして、以下申し述べますような方針に該当いたしますものにつきましては、現行価格統制廃止するのが適当なように考えております。  すなわち第一には、廃止によります値上りが、国民生活及び経済安定に及ぼす影響の軽微なもの、第二には、値上りが、次の段階業態によつて吸収可能と考えられますもの、第三には、若干の値上りよりも、値上りによる増産の方が重要なもの、かようなものについては、統制をはずして参ろうと思います。以上のように、現在の価格統制廃止いたしました結果は、五十ないし六十品目マル公をはずし得ると考えております。  今後における物価動向としましては、以上のような観点に基きまして、現在の価格統制廃止した結果、当該品目価格のある程度上昇は不可避と考えられますが、今回の価格統制品目の整理によりまして、消費財価格水準及び生計費に及ぼします直接の影響は、必ずしも大ではないといえるのではないかと考えております。しかしながら、他方におきまして、輸入原材料あるいは運賃の値上り、及びこれらに基く思惑等によりまして、今後一般に物価水準は、ある程度上昇するものと予想いたしております。  かような事態に対処いたしましては、不当に国民生活を圧迫し、あるいは経済の安定を阻害することのありませんように、生産の増加、輸入の促進、国内使用規制等経済総合施策を活用することによりまして、全体の物価を安定することといたしたいと考えております。さらに今後といえども、特定の物資については、もちろんマル公は存続するのでありますし、またマル公廃止いたしました物資については、今後異常な値上りを示す等の場合には、勧告価格基準価格等の適当な措置によりまして思惑を阻止し、不当な値上りをすることのないように、万全を期しておる次第でございます。  以上物価状況についての御説明を申し上げました。
  4. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまの説明に対し、質疑があればこれを許します
  5. 永井英修

    永井(英)委員 ただいまはおもに物資そのものに対する五十ないし六十品目マル公廃止ということが言われましたが、サービス業については、何ら言及されておらないようであります。最近私どもいなかの方に参りますと、理髪業なんかのサービス料統制されておる。しかも一方において、衞生設備をしなければならないということが強要されておる。そうすると、現在の価格では、とうてい衞生設備を改善して行くことは困難であるというような話を非常に聞くのであります。それでこのサービス業に対するマル公の改訂もしくは廃止というようなことは、どういうように当局においては考えられておるか、その点をひとつお伺いしたいと思います
  6. 郡祐一

    郡政府委員 御指摘のように、料金関係で徐々にはずして参りまして、結局その料金の中で、鉄道だとか、自動車だとか、電車だとか、郵便料金だとか、地代、家賃だとかいうような公共的なものを除きましては、問題になります点は、ただいま御指摘理髪料金の点だと存じます。これにつきましては現在地方の物価局で、それぞれ理髪業業態の相違、または衞生状態関係しております点等で、部内におきましても両論がございますけれども、私どもといたしましては、大体これをはずして参る方向で進んで参りたいと考えております
  7. 永井英修

    永井(英)委員 むろん当局におかれては実態は御承知であろうかと思いますが、東京方面では、銀座あたりに参りますと、三百円くらいの料金をとつておるところもある。それはいろいろクリームをつけるとか、あるいはシャンプーをやるとかいうような、そういう名目でもつて相当料金をとつて埋め合せておる。ところがいなかに参りますと、そういうようなお客さんはありませんし、現在では百円まではとつてよろしいということになつておるが、しかし一面非常に業態の弱いところにおいては、百円とつたんではお客さんがないのじやないか、少くなりはしないかというような懸念のために、百円とつていないというところもあつて、大体統制されるのは、いろいろな理髪に要する資材統制されておつた関係上、統制されておつたのだろうと思いますが、それは現在においては、何らそういうふうな方面から統制の必要がない。ただ国民生活影響があるというだけでもつてこれが統制されておるというようなことで、むしろこれは統制廃止して、そして業者自体がその業態に応じて料金をとるというような方向に向う方が、お客さんも非常に都合がいいのじやないか、こういうふうに考えられますので、この点は十分に考えていただいて、廃止する方向にひとつつていただきたいと思うのであります。  それからいま一つは、最近しよう油なりみそが非常に騰貴して参つております。聞くところによりますと、六月ごろまでは現在の豆が入つたみそがあるが、それ以降は以前のように、じやがいもを入れたみそでなければ、とうてい不可能な状況になるだろう、こういうことがいわれておるのであります。それで予算委員会におきましては、この点について戸叶委員が、豆その他油の問題について質問をいたしまして、これは十分に考慮しているという答辨が、ありましたけれども、実際の市場状況をうかがつてみると、豆が入つて来ないために、六月ごろまでしか豆が入つたみそは得られない、こういうようなことをいわれておるわけであります。それでこれは物価庁質問するのは、あるいは当を得ないかもしれませんけれども、大体わかつておりましたならば、このみそ原料の豆が、はたしてどの程度手当ができておるか、もし手当があるとすれば、いつごろ入つて来るか、その点がおわかりでありましたら、お答え願いたいと思います
  8. 郡祐一

    郡政府委員 永井さんのお話理髪料金についての御意見は、ごもつともであり、おつしやる通りだと思いますので、努めてなるべく早く御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。  みそしようゆについて現に相当著しい値上りをしておりますことはお話通りであります。これにつきましては、みそしようゆのような、メーカーから最終の小売商人の間までに、非常に数多くの段階を経ておりますものについて、どこに値上りの主たる原因があり、またどこに一体思惑が強く働いているかというような点につきまして、その原因はつきり確めますために、経済調査庁においても必要な調査をいたしておりますお話のように大豆輸入見通しということが、思惑等の働きます最大の原因と考えられるのであります。これにつきましては、他の政府委員から御説明申し上げることにいたします
  9. 東畑四郎

    東畑政府委員 大豆輸入見通しでございますが、ただいまのところ大豆一つアメリカガリオア資金で入つております。一方民間貿易で入るものもございます。そのうちでガリオア資金アメリカの一九五一会計年度輸入されます予定のものが八万トンございますが、そのうちですでに着きましたものが、約一万一千トン程度でございます。これは一月までに着いております。その後のものは三月の十日から以後、四月にかけまして参ると思います値段の方はだんだん上つて参りまして、最高のものが百五十ドル程度で参るかと考えます。それから民貿のものでございますが、これはわれわれとしましては、一応中共、主として香港から十万トン参る予定で計画しておつたのでありますが、大体三千トン程度のものが参りまして、以後停止になりましたために、一時思惑等が出まして、非常に大豆及び大豆かす等思惑的な相場があつたのでありますが、その後われわれといたしまして努力いたしまして、一—三月の外貨予算では、御承知通りAA制度輸入することといたしまして、極力努力いたしております到着は遅れますが、大体十万トン程度を一—三月で契約したいというので、目下民貿に期待しておりますアメリカ天井価格を置きましたために、大体向うの最高価格というものがきまつておりますので、そう思惑的な相場は出ないということができるのではないかと期待いたしておるのであります。この十万トン程度を今予想しまして、AAで契約したものが入りますれば、よほどこういう不安感は緩和するのではないかと考えております。なおこれは一—三月の考えでありますが、今後も大体やはり大豆そのものは三、四十万トンの輸入を期待しておりますので、四—六、七—九の外貨予算におきましても、大豆輸入を期して行きたい、かように考えます
  10. 永井英修

    永井(英)委員 今物価上昇状況を見ておりますと、やはり年間を通じては、あるいは予定の物が入つて来たといたしましても、その途中において物が切れるということになると、これはやはり商売上の常として、足りないというときには、切れそうなときには、相当値上りをする。これは大豆に限らずほかのものもそういうようになつておるようであります。たとえば綿化にいたしましても、買付は済んでおる、必ず来るというようにいわれますけれども、実際の市場においては、新しく入るものは非常に高いだろう。あるいはそれが来るまでの間には、相当品物が払底する、こういうようなことで、やはり物価が上る、こういうようなことになつておりますので、切れないように輸入をするということが結局必要だと思います。この点は政府におかれても、とにかく順調に物が入つて来るように極力努力していただきたい、こう思うわけであります
  11. 森山欽司

    森山委員 物価庁ではマル公撤廃されるそうでありますが、先ほど政務次官から、その撤廃理由として三つほどあげられました。そうしてその品目として五、六十品目というお話でありましたが、それぞれ理由によつてどういうような品目を今御予定になつておるか、お伺いいたしたいと思います
  12. 郡祐一

    郡政府委員 森山さんのお尋ねの統制撤廃について、三つほど理由を私先ほど申し上げましたが、それぞれの品目について、多くの場合は、主たる理由と従たる理由が重なつておりまして、それから現在五、六十と申し上げましたもとは、現在の統制品目が、告示いたしました分類で三百二十九あります。ところが料金関係で、もうこの告示には、鉄道でも旅客と貨物いろいろなぐあいでこまかくわけておりますから、品目の数は非常に多くなるが、そのうち料金関係が約百十、そういたしますと残りの二百十幾つのうちで約六十くらいは、はずすということになろうかと思つております。しかしこれをもつと常識的な品目にいたしますと、米は米、麦は麦、パンパン麺類麺類というような常識的なわけ方をいたしますと、現在五十五ほどの分類になりますが、そのうちの約三分の一は、はずれるということに相なろうかと思つております。そうして個々の品目につきましては、ただいま関係方面意向等も時々聞いております状態でありますので、もうしばらくたちましてから、この品目については申し上げることにいたしたいと思います。またこの品目はどうなんだというぐあいにお尋ねでございましたら、申し上げてもよろしゆうございますが、たとえば硫黄のような、先方でもこちらの方でも問題のないような品物、こうした物については現に進んでおり、物によつては、先方との間に意見食い違いがあるというような状態で、何とか今月中には、五、六十くらいははつきり目鼻をつけてしまいたいと思つております
  13. 森山欽司

    森山委員 新聞には相当詳細に品目が出ているようであります。少し国会の方も御尊重になつて新聞以上に具体的な名前を上げていただきたい。
  14. 郡祐一

    郡政府委員 新聞にいろいろ出ておりますが、あの中の大事なところで食い違いが起つておりまして、蚕簇蚕網というようなたぐいから始まりまして、圧延用のロールだとか、鋳型、硫酸、二硫化炭素、重クロム酸とか、たくさんあるのでございますが、問題になつておりますのは、お察しのつく若干の問題があるのでございまして、国会には必ず正確なところをいずれ申し上げるということで、一つお許しを願いたいと存じます
  15. 森山欽司

    森山委員 われわれは新聞紙上物価行政を知るだけで、まことに心もとないので、現在問題になつているような品目について、どういうような御折衝の状況にあるか、伺えないでございましようか。
  16. 郡祐一

    郡政府委員 折衝いたしております段階で、先方が要求して参りますのは、多くは非常にこまかい調査で、それぞれのメーカーについて一体契約があり、在庫があり、どういうぐあいになつているか、しかも二月末現在で調査をくれというような種類の、先方の判断をいたします材料でございます。これは私どもから見ますと、必ずしもそれが不可欠の資料とも思えないのでありますけれども、そういうものを要求されており、従つてそれぞれの業者等からそういう材料をとることに努力をいたしている、こういう種類のものが四つ、五つあるというような状態であります。しかしこれは一応要求されますから、提出をいたします。しかしこれはそれほど重要な材料ではないじやないかということを言うて、徐々に先方の了解をつけておりまするから、そのために非常にひまがかかるということもなかろうかと存じております
  17. 森山欽司

    森山委員 品目がいずれおきまりになりましたらひとつ御報告願いたい。大体いつごろまでにこれをおやりになる予定でございますか。
  18. 郡祐一

    郡政府委員 早いものは三月の中には相当はずしたいと思いまするが、先方の作業の模様等を見ましても、今月末くらいというのが多いように考えております。またものによりましては、月のかわりましたときが便利なものもあるのでありますが、多くのものは月末かと考えております
  19. 森山欽司

    森山委員 硫黄はいつごろになりますでしようか。
  20. 郡祐一

    郡政府委員 硫黄については先方においてもほとんど異論がないようでございます。実は今日も係の部長には行つてもちつておりますが、三月の十日ないし十五日くらいにできるのではないかと私は期待しております
  21. 森山欽司

    森山委員 第二部長がおいでのようですからお伺いしますが、最近の肥料価格の詳細について御説明を願いたい。私がお伺いしたいのは、肥料は昨年に比べますと二割五分程度増産になつておるそうでありますが、最近相当値上げ傾向が激しいというふうに聞いております増産にかかわらず何ゆえに値上りをしておりますか。
  22. 高橋時男

    高橋説明員 かわつて申し上げます肥料につきましては大体窒素肥料でございますが、硫安は最近御承知通り相当増産になつております。来年度につきましても、かなり増産になるということが見込まれておりますので、値上りといたしましては大した値上りはないと思うのでありますが、ただ全体の含みとしては、メーカー側がやや強含みではないかとわれわれは考えております。どういう理由かということでありますが、大体硫安について申しますと、電解法ガス法とあるわけでございます電解法電気料金が上らなければ割に問題は少いわけでありますが、ガス法の方は、コークス値段が最近少しずつ上つております。それは結局石炭相当強気であるということと、それからコークスが全般的に——一時は御承知のように、ガス会社コークスが山をなして非常に売れないで困つてつた。それで石炭の方も大体値段がストツプしておつたのですが、その後朝鮮事変が起りまして、コークス鋳物工場等相当程度はけるということになりましたので、コークスは、まず第一にストツクがはけて行くという状態が最初現われまして、その次に石炭が強気になり、従つてコークスも強気になるという状態になつておりますので、来年度硫安は若干上るかと思いますが、御心配になられるほどの著しい値上りはないのじやないかと思います石灰窒素につきましても、これもアメリカから輸入ますオイル・コークス——これは炭素分でございますが、それから国内コークス両方とも、やはり値上りして参りましたので、ある程度上げたいという業界の意向のように聞いておりますが、硫安との関係上、硫安が大して上らないということであれば——石灰窒素の方が値上り要素は大きいようでありますけれども窒素分含有率と、農民の使いなれておる度合ということからいいますと、硫安の方が全般的に見てはやや喜ばれる、地域によつて石灰窒素の方が喜ばれる地域もございますけれども、大体は硫安に対して石灰窒素がややメリツト的には割安である、こういう状態でございます石灰窒素の方が値上りのフアクターとしては若干大きいかと思いますけれども硫安価格に支配されておりますので、これもさして著しい値上りはないのではないか。カリにつきましては輸入価格が最近上りつつありまして、カリは国産は全然ないのでありまして、草木灰だけがカリ原料でありまして、大部分輸入カリによつてまかなつておるわけであります。これはかなり値上りをいたしますが、ただ反当り施肥量等が非常に少いわけでございますので、少し値上しても農家の負担となるという絶対額は小さいのではないか。最後に肥料要素一つとして重要な燐酸肥料でありますが、燐酸肥料につきましては、現在非常に問題が大きいことは御承知通りであります。ただいまのところでは、燐鉱石トン当り三千三百円ほどの補給金がついております。これは過燐酸石灰一トンつくるのに大体〇・六トンの燐鉱石を使いますので、過燐酸製品に直しますと、トン当り二千円程度補給金がついておるということになつております。その過燐酸でありますが、補給金がつかなくなると、補給金の二千円分が上るほかに、燐鉱石輸入到着価格相当上りますので、この面の値上りと、両方値上り要素があるわけであります。現在消費者価格十貫の袋入りますで三百四十七円五十銭ほどであつたかと思いますが、それが補給金がつかないという要素と、燐鉱石が現在十五ドル九十二セント程度でございますが、それが大体二十五ドルくらいになるという想定でございますので、そういう想定で計算いたしますと、ストレートで一かます当り五百四円から五円くらいになるのではないか、こういう計算をいたしておるわけであります。そういうふうになりますと大体農家は四〇%くらい、過燐酸値上り影響を受ける、こういうことになりまして、他の委員会でも相当問題となりまして、過燐酸についてはどういう意向を持つておるかという御質問が再々ございました。これにつきましては大蔵大臣からも安本長官からも、過燐酸の問題は非常に重要であるからして、来年度も補給金をつけるかどうかということについては、慎重に研究中であるというような趣旨の御答弁があつたように記憶いたしております。われわれ事務当局といたしましても、この問題は相当重要であつて農家経済に与える影響も大きいので、輸入補給金の点については十分に検討してみたいと思つております
  23. 森山欽司

    森山委員 補給金はいつまで続きますか。
  24. 高橋時男

    高橋説明員 補給金については昭和二十五肥料年度はこの来る七月末で終るということになつております。二十五肥料年度に計画されております燐酸肥料は、全部合せまして百五十万トンということになつております。来肥料年度は百六十万トン農民に配るという計画になつております従つて補給金の点でも、七月末までに農民に渡すのに、百五十万トンのわく内では、補給金のついた安い燐酸肥料が農民の手に渡るように、本会計年度内に必要数量の燐鉱石補給金をつける、こういう建前になつております。ただ一つ最近困りましたことは、来年度は補給金がないのじやないか、しかも燐鉱石値上りしておるから、燐酸肥料相当値上りするに違いない。だから今春肥に必要でなくても、将来のために買いだめをしておこう、こういう気分が農村の一部分に現われまして、相当程度買い進んでおる、こういう傾向がございます。これが相当の数量になつておるようでありますが、そういうようなために、百五十万トン生産し、農家に渡せば大体需要はまかなえると思つていたものが、この肥料年度内に相当買い進みが起つておる。それに応ずるためには、従来の補給金では若干足りなくなるというようなことが心配されておりますが、ただかわり財源としまして、銑鉄の補給金をこの三月中に切りたいというふうに考えまして、政府と交渉しておりますので、これができれば、その方から数億の、金をまわせば、大体現在の買い進みによる仮需要の分についても、補給金のついた燐酸肥料が配れるのではないか、こういうふうに考えております
  25. 森山欽司

    森山委員 去年の七月だか八月に肥料が大幅に上つたと記憶しておりますが、去年からことしにかけて、大体どの程度肥料価格が動いておるか、御説明願いたいと思います
  26. 高橋時男

    高橋説明員 肥料につきましては、漸次少しずつ値上げをして参りまして、肥料に対する補給金をいうものを漸次なくして行こう、こういう趣旨でやつて参りまして、去年中に一回、二十四年の十二月末の消費者価格を一〇〇といたしまして、それに三五%アップしました。それが四月ごろだつたかと思います。それから肥料公団を廃止いたしまして肥料を自由にするというときに、七〇%アップにいたしまして——現在七〇%アップにすると、ちようど補給金がなくなる、こういう計算でございます硫安につきましては、七〇%アップでちようど補給金がなくなるという計算でおりましたところが、当時肥料のストツクが相当にある、メーカーの在庫もあるし、公団の手持ちもある、しかも累月異常な豊水等で電力事情も手伝いまして、硫安生産が非常に上昇しておりましたので、生産上昇とストツクの大きさと両方からしまして、七〇%アップというわれわれの計算ほどには、市場価格はついて参らなかつた。大体五八、九パーセント・アツプのラインだつたように記憶しておりますが、現在四〇%のラインを若干越しておるかと思います燐酸肥料についてのみ、七〇%で押えるためには、やはり補給金を要するということで、さつき申しましたような次第になつておるわけであります
  27. 森山欽司

    森山委員 最近の肥料事情についてわれわれ耳にするところによると、相当思惑による値上り等が考えられておるようであります燐酸については、今総務課長から御説明があつたのですが、そのほかの肥料については……。
  28. 高橋時男

    高橋説明員 窒素肥料につきましては、一部最近金のだぶついておる方面におきましては、若干商売外の方から手をまわして、肥料を買い集めておるというような風評も聞かないわけでもありませんが、これは確たる証拠もあるわけではありませんので、ただわれわれが風聞にそういうことを聞いておる程度であります。しかしそういうことによつて窒素肥料相当上るかといいますと、来年度におきましては、窒素肥料相当増産になりますし、それからコークスの点はさつき申しましたが、これもそう大して上るということも考えられませんので、窒素肥料については、まず心配ないのじやないかと思います
  29. 森山欽司

    森山委員 総務課長は非常に楽観論でありますが、肥料事情の将来は、私はそれほど楽観して考えられないと思います。しかし、こういうふうに肥料が原価の面からも上つて参り、かつ途中に思惑等も加わつて、その上る度がはげしくなるということになるわけでございますが、大体こういうのは、農業パリテイにどのくらいの影響を与えておりますか。
  30. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 農業パリテイに占めます肥料のウエートは、大体二五%程度であつたと思いますが、具体的に肥料が幾ら上れば、幾らパリテイが上るかということにつきましては、そのウエートを中心に考える以外にないかと思います。なるほどお話のように肥料値上りいたしますると、パリティ指数が上り、従つて米麦の買上げ価格も上るということになるのでありますが、ただ農家経済から申しますると、農家は自分のつくりました米麦のうち、大ざつぱにいつて半分自分のところで自家消費いたすということになりますし、自家消費分は販売しませんから、それだけは原価が高くなるということになるのじやないかというふうに考えておる次第であります
  31. 森山欽司

    森山委員 農産物の中の価格統制のあるものはよろしうございますが、ないものは、こういうふうに肥料が上つて来た場合に、来年度の農産物価はどういう傾向をとるかということについて御見解はいかがでしようか。
  32. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 将来の農産物価動向でございますが、これは結局生産量の問題等とも関連して参りますし、特に野菜だとか、くだものとかいうものになりますと、季節的な需給というものが非常に鋭敏に働きますので、具体的にどういう見通しであるかということを申し上げることは非常に困難でありますけれども、先ほどお話がありましたように、肥料価格等につきましても、今のところさして上昇するというふうなことも考えられませんし、また肥料値段それ自身が他の物価に比較いたしまして特に飛び抜けて高いというようなこともない現状でございますので、現在の価格がそう急に上昇するというふうには考えておらない次第でございます。ただ先ほど来ちよつとお話がありましたように、今回統制のはずされました大豆以下いろいろの雑穀類の価格につきましては、需給の事情等の関係もございまして、多少従来の公定価格よりも上るのではないかというふうに考えております
  33. 永井英修

    永井(英)委員 ただいま肥料の問題について、コークスの方はあまり上らないのではないかというお話がありましたが、これは相当上るのであります。今石炭は非常に買えませんし、市場においては、コークスは非常に払底しておりまして、相当値上りをする情勢にあるのであります。ですからコークスを使う肥料は、相当高くなるのではないかというふうに私どもは考えております。  それと先ほどちよつと鉄鋼の問題が出ましたが、この鉄鋼価格政策について、物価庁はどういうようなお考えを持つておられるか、これをちよつとお伺いしておきたいと思います
  34. 高橋時男

    高橋説明員 鉄鋼の問題につきましては、鉄鋼という物が物だけに、非常に慎重を要するということでございますが、現在どういうことになつておるかということを大体申し上げますと、銑鉄につきましては、マル公がございます。そのほかに銑鉄の補給金というものがございます。これは一貫メーカーが自家用に使う場合に三千二百六十円、外売り、つまり平炉メーカーが使う場合には、それに四百五十円をプラスした補給金がついております。三千七百円についておるわけであります。スクラツプがマル公がございます。それ以外には現在ではマル公のあるものは鉄鉱関係にはございません。この間鉄鉱石——鉄鉱石はちよつと記憶しておりませんが、従来マル公でやつておりました今度の五、六十品目をはずすという、さつき政務次官から御説明申し上げました統制を解除する品目になつておりますので、鉄鉱石についてはマル公がないとお考えいただいてさしつかえないと思います。またマンガン鉱につきましても、これも今度はずす品目になつております。それから鋳型、ロール等も今回はずす品目に入つております。それから鋼材につきましては、すでにずつと前からはずれておりますので、結局現在の価格統制というものは、銑鉄はスクラップだけである、こういうことになつておる。銑鉄には補給金がついておる、こういう状態であります。割当の方は、銑鉄の方に指定生産資材の割当がございまして、鉄鋼局の方から平炉メーカー、各一貫メーカーに対して、川崎製鉄には幾ら銑鉄をやる、神戸製鋼には幾ら銑鉄をやる、こういう指令が出る。こういう仕組みになつております。二十六年度当初からは、銑鉄の現在の補給金は計上いたしてございませんので、二十六年四月一日になれば、当然銑鉄の補給金はなくなるわけでございますが、二十五年度に計上してあります銑鉄の補給金につきましても、最近の鉄鋼面の情勢等から見て、いつまで続けるという必要も現在ではなくなつているのではないか、こういう観点から三月の中途においても、もし補給金がはずせればはずしたい、こういうことで進んでおります。今後の問題点といたしましては、結局鉄鋼はどんどん値上りしておるから、何か政府としては直接にか、あるいは間接にか、これをコントロールする、何か統御するといいますか、統制という言葉が悪ければ、何か野放しではないような手を政府として打つべきではないか、こういう御議論が起るかと思います。こういうものに対しましては、結局方法といたしましては、鋼材にもマル公をつけるか、あるいはそのマル公が上るのを防ぐために、製鉄の原材料たる輸入石炭とか、輸入鉱石に補給金をつけるとか、こういう問題があるわけでございます。現在の予算案といたしましては、鉄鋼原材料輸入補給金というものは計上してございません。それから鋼材につきまして、マル公を置くという問題も、遠い将来はいざ知らず、現在としてはそういうことは物価当局としては考えていないと申し上げる次第であります。しからば残つておる銑鉄とスクラツプについてはどうか、こういうことでございますが、銑鉄につきましては、御承知のごとくこれをはずしますと、結局指定生産資材としての銑鉄の割当配給もやめるということを、同時に行わなくてはならぬと思うのであります。そうすると結局問題になつております一貫メーカーと、平炉メーカーとの問題を、どう調整するかということにただちにひつかかつて参りますので、銑鉄の価格については、なお相当慎重に研究の必要があるのじやないか、こういうふうに考えておりますので、これが最後的な結論を見ますまでには、若干の時間を要するのではないかと考えられます。スクラツプにつきましては、銑鉄がどうなるかということによつて大きく響いて来ると思うのでありますが、ただ扱いとしては、必ずしも銑鉄と一蓮托生でなくてもいいのじやないかという見方もありまして、これまた最後的結論に達するまでに、若干の時間を要するものと考えられます。一応説明を終ります
  35. 永井英修

    永井(英)委員 三箇年間の需給計画によりますと、三百九十五万トンですか、それだけの鉱石を輸入する、そのうちアメリカから百六十万トンくらいの鉱石を輸入することになつておりますが、最近の輸送賃の値上り鉄鉱石値上り、それから強粘結炭をアメリカから持つて来る。それも運賃の非常な値上りを含んでおる。この両方面から考えてみますと、そういうものが輸入された場合には、相当高い鉄の生産費になると思うのであります。そうするとただいまその問題については、相当の検討を要するというお話でありましたが、この基礎物資である鉄鉱が、相当値上りをするということになれば、これを野放しにすればいろいろな方面影響して来て、輸出もそのためになかなか困難になるのではないか、ことに造船の材料等も非常な値上りをすることになつて来るので、この点を私どもが考えますと、どうしても鉄鋼補給金相当出さなければ産業を非常に圧迫する、こういうように考えられるわけであります。大体現在の運賃でアメリカから持つて来る強粘結炭を使つて銑鉄をつくる場合、大体どれくらいで仕上る見当になるのですか。それをひとつ説明願います
  36. 高橋時男

    高橋説明員 私、鉄の方はあまり専門でございませんので、結局今後どういう価格になるかという計算を、前にちよつと担当官から聞いたのですが、ちよつと記憶を漏らしておりますので、現在ので申し上げますと、生産価格で大体二万円でございます。これをドルに直しますと五十五ドルということになります。その場合の石炭は、大体国内の北松とか、そういうものもございますけれどもアメリカ炭を二〇%前後混入いたしまして、古い安い単価のアメリカ炭と、新しく最近入つたものと、北松とウエイド・アヴアレツヂいたしまして、大体二十二ドルぐらいで織り込んであります。つまりアメリカとつつ込みで、大体二十二ドルくらいになる計算をしております。  それから鉱石の方は、安いものは九ドル五十セントくらいで入つているものもありますけれども、最近十八、九ドルで入つたものもございますので、これをウエイド・アヴアレツヂしまして各社ならしてみますと、大体十五ドル五十セントくらいの織り込みになつておるわけでございます。しからば将来どのようなコストになるかといいますと、炭は大体アメリカ炭で三十ドルぐらいになるのじやないだろうか、そうしますと現在の内地炭をも込めた二十二ドルがアメリカ炭についてのみ三十ドルになるわけでありますが、アメリカ炭の混合率を二五%ぐらいに見ますと、値上り八ドルのうちの四分の一のニドルくらい上るのじやないか、こういう計算になる。それから鉱石につきましては、国内の鉱石が百万トンから百二十万トンくらいのところでございますので、大勢は輸入CIF価格にストレートになる、こういう計算でいいかと思います。現在十八、九ドルのものが、これはよくわかりませんが、相当つて来るのじやないか、こういうふうに計算しますと、五十五ドルのものが幾らになりますか、ある新聞でちよつと見ると、七十五ドルくらいに上るのじやないかという報道もございましたが、私どもまだよく検討しておりませんが、大体鋼材が丸棒の基準物で、銑鉄の倍であるということでありますので、もしも銑鉄が、こういう輸入炭の値上り及び輸入鉱石の値上りによつて、かりに七十五ドルくらいに終局的におちつくとすれば、十九ミリ棒鋼のベース物で、大体百五十ドルくらいになるのじやないか、こういうふうに考えられます。私あまり専門でございませんので、なお詳細につきましては、担当の係官を、また後日指定していただけば、こちらへ連れて参ることにいたしたいと思います
  37. 森山欽司

    森山委員 さつき肥料の問題で、肥料思惑があるらしいけれども、実態はわからぬというお話もありましたが、経済調査庁では何かこれをお調べかどうか。
  38. 木村武

    ○木村(武)政府委員 肥料の問題は、先ほど物価庁当局からお話がございましたように重大な局面も予想されますので、それに備えて先ほど政務次官からお話があつたように、調査庁で実態を調査をいたしまして、そうしてそれぞれの関係の向きへ、その実態に応じての手を打つていただくということにすると同時に、やはりお話がございました若干の思惑ということがあれば、その思惑ということについて、適当な措置を講ずる必要があるということで、調査をいたしておるわけであります。ただいま実は調査に入つたばかりなのであります。先ほど物価庁からお話がございましたように、若干金がもうかり過ぎているという面が、商売がえして肥料をやるというような気配が見えておるというようなことなども、いくらかずつ耳に入つております。それから過燐酸石灰については、非常な強いセラーズマーケットのようなことになつておるわけでありまして、メーカーが建値をどんどん上げて行つておる、こういうふうな状況になつておるわけであります。実は調査いたしております例が非常に少うございますので、もう少し調査を進めて、そうしてできるだけ早い機会に、適当な対策が講じられるようにいたしたいと考えております
  39. 森山欽司

    森山委員 その調査はいつごろできますか。
  40. 木村武

    ○木村(武)政府委員 大体今月一ぱいには、全国的な傾向がおよそわかる程度調査ができるのじやないか、こう考えております
  41. 森山欽司

    森山委員 アメリカは今統制経済に入りつつあるわけであります。すでに物価停止令のような、物価統制法というものができておるわけであります。こういうアメリカ物価統制について、物価庁はどういうふうな見方をしておられるか。
  42. 郡祐一

    郡政府委員 アメリカ物価について凍結をいたしまして、現在に見ますような大規模な軍需の生産をいたしておる。そのために急遽あのような措置をとつておりますけれども、日本につきましては事情を著しく異にいたしており、従つてその影響というものは、いろいろな面で現われて参ることは承知いたしておりますアメリカ物価賃金について凍結をいたし、また他の国々においても似たようないたし方をいたしておりますけれども、これはこれらの国における厖大な軍需生産を主要な原因といたしており、従つてしばらくその推移を見て参る、このような考え方をとつております
  43. 森山欽司

    森山委員 そういたしますと、アメリカのような軍備拡張というようなことが日本にないから、日本と同日の談ではない、主たる点はそこでございますか。
  44. 郡祐一

    郡政府委員 現に日本の国内に、アメリカその他の国から多くの輸入物資を入れて、そしてただいまいたしておりますような輸出状況を来しておる。これらの点で、今後日本の国の生産が発展して参りますことを、ぜひ期待するところではありますが、そうした事情がまつたく異つておる、しかも努めて輸入の促進をはかつて参らなければならない日本の現状からいたしますと、日本が今度物価についてとります対策というものは、よほど趣を異にしておる、このように考えております従つて森山さんのおつしやいましたような意味合い、それからいろいろな意味合いを合せまして、今後の物価対策は考えて参りたいと思います
  45. 森山欽司

    森山委員 私はただ客観的に、アメリカが現在物価統制の第一段階に入つておるので、それについて日本の物価庁は何を考えておられるか。そういうものを見て、どういう観察をされておるか。もとよりそれにはアメリカの軍備拡張ということが大きな問題でございますが、そのほか日本の経済アメリカ経済とは事情を異にしておる。そのいろいろ事情を異にしておる点等について相当詳細な御研究がおありになると思いますので、この際御見解を承つておけば幸いと思いましたので、御質問を申し上げたのでありますが、もう少し詳しくお伺いできないでしようか。
  46. 郡祐一

    郡政府委員 アメリカ物価統制につきましての情報等も、できる限り入手いたそうとしておりますけれども、ただいまのところどうも十分に情報を得ることもできておりません。従いましてアメリカ統制等につきましては、十分推移を見、情報をできる限り正確にいたしたいという努力はいたしておりますけれども、日本の現状における物価安定対策といたしましては必要なものについてはマル公を存続いたしまするし、また廃止しもて可能なものは廃止いたして参る。それからマル公を存続いたすなり、また自由価格になりましたものでも、必要に応じては取締りの方法も講じて参ろう。それからそのほかには輸入の促進、あるいは輸出調査、または綿糸布等につきましては、内需額の確保というようなこともはかつて参ろうと思います。さらに財政金融上の措置も、あわせて講じなければならない。当然のことではありますが、これらの方法をもつてバランスをとつて物価の安定をはかつて行きたい、このように考えております。もし必要があれば、総務課長の方からさらに申し上げましよう。
  47. 森山欽司

    森山委員 私は、今の政府の政策を聞いておるのじやないので、アメリカでは現在物価統制に入つておる。日本はマル公等をはずして行くような状況にあるわけでありますが、なぜアメリカの方はこれから統制をやろうとし、また日本の方はそれに違うような方向になろうとしておるか。それは、アメリカでは軍備拡張という問題があるのだ、あるいは他の面で、こうこうこういう点がある。日本はこうこうこういう点があつて違うのだというような、そういう御見解があればこそ、今の物価庁物価行政になつているのだと思うし、そういう点で何かもう少し詳細な御見解があるのじやないかと思う。それを承りたい。輸入を促進するとか、あるいは消費を規制するとか、生産を増強する、これは結論であります。その前提の認識として、日本経済はこういう形においてアメリカ経済とは違うのだという点です。世界の動向としては、むしろ統制方向をとりつつあるのに、日本のみがむしろ違つた方向をとるような印象をわれわれ受けますので、そういう世界の経済統制の流れというものと違つた流れを、日本の経済が、日本の政府がとろうとしておる以上、これはこういう点によつて、こういうことになるのだという、何かもう少し、物価庁としては、物価行政の立場から、特有の見方があるのじやないかと思つて、今私がお尋ねしておるのです。結論の方はわかつておるのですが、その前提たる御認識の方をひとつ説明願いたい。
  48. 郡祐一

    郡政府委員 森山さんのお話にもございましたが、結局アメリカが軍需生産に非常に強く進み出しておるという点、また厖大な物資をすでに保有しており、生産して参つておるという点、それらの点が、根本的な、アメリカのとりました物価対策の原因だろうと考えております。それらの点で、従つて日本は全然違つた立場にあるという点に、差異が起つて参るのだと思います
  49. 圖司安正

    圖司委員長 本日はこの程度にて散会いたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後一時四分散会。