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1951-02-16 第10回国会 衆議院 経済安定委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十六日(金曜日)     午前十一時五十五分開議  出席委員    委員長 圓司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 竹山祐太郎君    理事 勝間田清一君      小野瀬忠兵衞君    奈良 治二君       渕  通義君    細田 榮藏君       宮原幸三郎君    笹山茂太郎君       森山 欽司君  出席国務大臣         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         経済安定政務次         官       小峯 柳多君         経済安定事務官         (総裁官房経済         計画室長)   佐々木義武君         経済安定事務官         (貿易局次長) 松尾 金藏君  委員外出席者         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君 二月十日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として  中崎敏君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  自立経済計画に関する件  物資確保輸出入計画に関する件     —————————————
  2. 圓司安正

    圓司委員長 ただいまより会議を開きます。  これより自立経済計画に関する件を議題に供し、特に物資確保輸出入計画関連する諸問題を中心に質疑を行います。勝間田清一君。
  3. 勝間田清一

    勝間田委員 大臣は何か会食で出られないということでありますので、はなはだ遺憾でありますけれども小峯政務次官に、大臣が見えるまで御質問したいと思います。  一つは従来まだ明確になつていないと思うのでありますが、去年の暮れの外貨手持ちが五億二千万ドルということは、大体発表なつたわけであります。現在の状況はどういう状況でありますか。
  4. 小峯柳多

    小峯政府委員 これは外貨の方の担当者がおりますので、正確な数字はその方面から答弁させることにいたします。
  5. 勝間田清一

    勝間田委員 安本日本外貨手持ち発表ができないということはまことに残念だと思います。  しかし従来まで非常に輸入確保するということを、安本関係当局も、再々盛んに主張しておつたのでありますけれども、最近の輸入はまことに不振でありまして、すでに日本経済一は、非常な困難に実は当面していると私は考えるのであります。まず第一にお尋ねしたいと思うのは、中共貿易のいわゆる中絶状況及びそれをどう振りかえて輸入確保をするか、その点についての具体的な計画をひとつお示し願いたいと思います。
  6. 小峯柳多

    小峯政府委員 輸入があまりはかばかしくないというおしかりなんでありますけれども地域を振りかえるにいたしましても、あるいは新しい輸入先を見つけるにいたしましても、なかなかそう簡單にできるものとは私ども考えておりません。むしろ十二月、一月の数字は今御指摘のものと多少違つて、割合に輸入も伸びて来ているというような感じがいたしております。数字事務当局から発表いたさせます。  それから中共の問題は、御指摘のように実は中共から入つて参りました物の振かえをしなければなりませんのと、よそに振かえますと運賃関係が高くなりますので、この点はなかなか困難な問題になつております。しかしその振かえは主としてアメリカカナダ、あるいはその他こまかいところもありますが、振かえをやつておりまして、その方の振かえも予定通り進んでいるというように、御承知願つてよいと思います。
  7. 勝間田清一

    勝間田委員 予定通り進んでいるということでありますが、その予定通り進んでいる内容を実はお聞きしているわけです。
  8. 小峯柳多

    小峯政府委員 すぐ貿易局長が参りますから、答弁させます。
  9. 勝間田清一

    勝間田委員 順調に行つているということを言われますけれども、少しも順調に行つているわけではないと思う。昨年の十二月に五億二千万ドルあつたことは、大蔵大臣から発表なつたところであります。これは何よりの証拠でありまして、輸入不振であるということは、はつきり言えるのではないかと私は思う。特に私がお尋ねしたいと思うのは、たとえば最近は非常に困難な事情がある、やむを得ぬということをよく言いますけれども、そこにひとつ考え願いたいと思いますのは、これは最近における西ドイツの場合を見てもよくわかると思う。西ドイツは従来から入超の状況を続けて来たが、日本のみは出超という状態を続けている。こういう状態は六月以前のことならば、われわれも喜んだかもしれませんけれども、現在ではこういう状態は喜ぶわけには行かぬと私は思う。でありますから、日本の今の状況というものは、何かやむを得ぬ状況であるということで、政府が自己の責任を逃れていると私は考える。これはまことに遺憾でありますが、小峯氏はいかが思いますか。
  10. 小峯柳多

    小峯政府委員 勝間田委員は、非常に経済のことに明るい人でありますから、よくおわかり願えると思うのでありますが、なかなか短期的に、右向け、左向けがきくような国民経済はないと考えます。また輸出がきき過ぎて輸入が伴わないという御指摘でありますが、これは御承知のように日本経済がまだ穴だらけでありまして、働かなければ買う資金さえない現状でありますから、私は輸出が出ますことは、決して今御指摘のような悲観すべき状態ではないと思います。もつともその裏づけになります輸入が並行して行われるかということになるのでありますが、これは契約ができてまだ入つて来ないような関係もありまして、外貨の面から見ますと、相当外貨は大きくなつておりますが、輸入契約は順調に進んでおる、かように御承知願いたいのであります。
  11. 勝間田清一

    勝間田委員 外貨状況が、最近輸入が進んでおる。こういうことを言うわけでありますが、それは数字を見なければはつきりはわかりません。また輸出の進展ということをよく言うておりますが、私はやはり輸入と見返つて初めてそこに輸出がなければならぬと思う。その意味で今日の輸出状況輸入状況をあわせて考えると、もう輸出というものを考慮すべきときではないか。輸出の問題について改めて従来と違つた一つ考え方を持たざるを得ないのではないかと思うが、この点についてはどう考えられますか。
  12. 小峯柳多

    小峯政府委員 その点はまことに御指摘通りでありまして、私どもも、そろそろ輸出に対する調整措置考えなければならぬ時機だというふうに考えて、物資別輸出調整の問題を検討中であります。
  13. 勝間田清一

    勝間田委員 輸出の問題を検討中ということでありますが、最近輸出の問題とも関連して非常に大きな問題は、いわゆる特需関係だと思う。特需原材料についての特別の処置というものは講じておりますか。
  14. 小峯柳多

    小峯政府委員 特需性質から申しまして、特別の措置を講じなければならないと思いまして、非公式ではありますが、折衝しております。
  15. 勝間田清一

    勝間田委員 これは完全に特需の注文に見返つた原材料の優先的な輸入確保なり、あるいは普通の輸入とは個のわくで、特需原材料確保するというように考えておるのですか。
  16. 小峯柳多

    小峯政府委員 特別な交渉といいますと、御指摘のような線になるのだと考えます。
  17. 勝間田清一

    勝間田委員 輸出の面で特別な一つ考慮をせざるを得ない状態なつており、それを考えておると言われるが、その内容をもう少し御発表願いたいと思います。
  18. 小峯柳多

    小峯政府委員 御承知のように、日本産業性質加工産業中心なつておりますから、先ほど来御指摘いただきましたように、原材料輸入のテンポが合いませんと、これは飢餓輸出になるおそれが非常に濃厚であります。ことに私ども考え方として、末端のマル公や、あるいは割当のような形による統制というものを考えないで、根本の需給に調整を加えたらどうかというような考え方をいたしておるものでありますから、輸入原材料に依存するもの、あるいは特に重要な資材等につきましては、御指摘のような方法考慮中であります。
  19. 勝間田清一

    勝間田委員 もう少しつつ込んで聞きたいと思うのですが、結局輸出の問題を、もし制限なり、あるいは統制を加えて行くという形になりますならば、それをどういう形で実行して行くか、これをひとつ聞きたいのであります。
  20. 小峯柳多

    小峯政府委員 これは実際の技術問題としては、いろいろな問題があります。商社別割当てるような方法、あるいはそれをあらかじめ優先的に、申込順によつて受付ける方法等いろいろありましよう。あるいは関連して輸出組合等の問題も出ますが、まだ実はその技術問題については結論を得ておりません。
  21. 勝間田清一

    勝間田委員 まだ技術問題についての結論がついていないということであります。それで私は大臣にも聞きたいと思つておることでありますが、いわゆる中共貿易というものを一面において禁止して、それをアメリカなりカナダなり、そういう方へ振かえて行くという場合に、一番注目して行かなければならぬ問題は、日本経済自立性という問題だと私は思う。いわゆる自主性という問題だと思う。この自主性というものが漸次狭められて、特定国家に依存して行くという形が、はたして望ましいか望ましくないか、私はこれは重大問題だと実は考えるのでありますが、安本はこういう問題についてどう考えておるか。
  22. 小峯柳多

    小峯政府委員 私ども講和を待望しておりますのも、自主的な経済確保したいという念願なのでありますから、なるべく自主性を阻害しないような形が最も好ましいことだと考えております。
  23. 勝間田清一

    勝間田委員 自主性を失わないような状態で、物資輸入確保をはかつて行きたいということでありますならば、中国との貿易を一応禁止しておいて、他面において講和を結んで行くという形をとつて参るといたしますと、当然安本は今度の講和に対して、これだけのものは確保しなければならぬという処置が構じられるべきだと思う。またそういう要求があつてしかるべきだと思う。これは今度のダレス氏の来朝に伴つて、一体安本はどういう努力をされたか、この点をひとつお聞きしたいと思う。
  24. 小峯柳多

    小峯政府委員 直接ダレス氏と交渉を持つたわけではありません。今申し上げましたような経済自主性確保するという点については、かねがね長官を通じて総理に申し上げておりますので、総理ダレス氏とのお話合いの中で、今のような線に沿うて、お話合いされたものと思います。
  25. 勝間田清一

    勝間田委員 それならば、ダレス氏との交渉のいかんは別といたしまして、現在そういう問題で、アメリカ、あるいはカナダに、どういうものを希望するかということについての、安本希望があつてしかるべきだと思う。それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  26. 小峯柳多

    小峯政府委員 これはさしあたり中共からいただいておりましたものの振えを考えなければなりませんから、鉄鉱石、強粘結炭等は、最も強くその希望を申し入れなければならぬ品物だと考えております。
  27. 勝間田清一

    勝間田委員 貿易局長が来なければなかなか話が進まないのでありますけれども、これはひとつまた後ほどに留保するといたしまして、御存じの通りに、けさの新聞を見ましても、すでに西欧陣営側における物資動員計画というものは、ほとんど立てられようとしておる。こういう計画の中に日本も結局織り込まれて行くことにと私は思う。織り込まれて行くという状況が明白にわかつていて、これに対する処置というものがなされて行かないということであれますれば、日本経済自主性は失われて行くのみならず、一つの重大な困難に当面すると思う。こういう世界的な再軍備計画に基くところの物資動員計画の進行に対して、日本はそこにいかなる経済を打立てて行こうとするのか。特に今度の自立経済審議会の案ができておるが、こういうものの確保ということについては、そこに非常な大きな問題が存在すると私は思う。これをどう解決して行こうとするのか、この点をお尋ねしておきたいと思う。
  28. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘のように、国防物資といいますか、広い戰略物資に関して、国際的なアロツトメントの傾向が出始めておることは承知いたしております。しかし具体的にどういう品物を、またどういう形でというようなことがわかりませんときに、私どもは前もつて経済に手をつけるというようなことは考えない方がよいと思います。そういう事態が起りました場合に対応できるだけの心構え、準備を持つておればよいのだと考えておりますし、またそういうことになつた場合に、自立経済に及ぼす偏差といいますか、誤差というものは、私ども自立経済計画を立てますときにも、あの通り数字がそのまま実現すると考えたのではなくて、ああいう形で自立経済計画を推進するためには、どこに一番問題があるかと、その問題をつかみ出して、行政措置の中の重点をきめたいという心構えでありました。従つて今御指摘のような事が起りますと、原材料確保の問題に偏差が起りますので、それに対する努力をそれだけ多くすれば、その埋め合せがつくというように解釈いたしております。
  29. 勝間田清一

    勝間田委員 どうも抽象論でありますが、それではこの自立経済審議会の案を実行して行くには、どういう資材裏づけがなければならぬか。特に鉄鋼その他の資材裏づけ、これについて、現在の中共貿易等々から見て、たとえば価格の問題にしても、原料輸入状況についても、貿易の変化が起つておる。これは当然自立経済審議会の案に大きな影響を持つて来る。その影響、またこの案を達成するための処置、これをひとつお尋ねしたいと思います。
  30. 小峯柳多

    小峯政府委員 鉄鋼の問題あるいは強粘結炭の問題で、中共貿易中心になりました関係影響は確かにあります。それを振りかえて確保するために、市場を他に振りかえたり、あるいは貿易輸入しやすいような形で外貨の操作などを改めたり、また少しこちらから投資することによつて、手に入りやすいような鉱石もありますから、そういうものを拾い上げて、実はいろいろの角度から努力をいたしております。そうして今私どもが確信を持つている点は、中共からの振かえはありましたが、自立経済計画でうたいました鉄鋼増産計画支障なしに、二十六年度も行けるという見込みなんであります。
  31. 勝間田清一

    勝間田委員 それはどういうふうに支障なく行けますか。はつきり御返答願いたい。
  32. 小峯柳多

    小峯政府委員 結局本年度は三百六十万トンくらいの鋼材になると思いますが、明年度に四百万トンを確保するといたしまして、その所要の鉱石あるいは強粘結炭は、中共以外の市場確保できるという見通しであります。
  33. 勝間田清一

    勝間田委員 しかし振りかえたときに、相当輸入価格違つて来ませんか。
  34. 小峯柳多

    小峯政府委員 なかなかおきびしい御追究ですが、船運賃が違いますから当然かわつて来ると思います。
  35. 勝間田清一

    勝間田委員 かわつて来ると、鉄鋼五百六十万トンをつくつて行くときのいわゆる生産費はどれくらいになるか、これは非常に大きいと思う。こういうものが出て来れば、結局それであなたの方は造船計画を立てておられる。この造船計画に及ぼす影響は非常に大きい。そうなると、造船計画の今までの案というものは、今までの補助金政策の打切りで行けるかどうかということが問題になる。そうすれば結局所得の配分計画等々の問題が出て来るし、また貿易を振りかえて行くことが、自立計画造船計画鉄鋼計画に及ぼす影響が出て来ると思う。それをどこかでチエツクしなければならぬ。補助金でチエツクするか、あるいはその他の方法でチエツクするか、おのずから考えざるを得ないと私は思う。そこで私はあなたにそれを聞きたい。
  36. 小峯柳多

    小峯政府委員 原材料が高くなると製品も高くなります。しかし、幸いというか不幸というか、国際物価の水準も高まつておりますので、全体としてのコスト高というものが、経済の循環にそう大きなさしさわりがあるとは考えません。ただ船問題等で、直接造船建設費などに影響があるものは、これは何か調節する方法をぜひ考えたいと考慮中であります。
  37. 勝間田清一

    勝間田委員 造船の方は、何かチエツクする方法というものはどういう方法であるか、これをひとつ伺いたい。もう二十六年度から計画されているわけであります。本年の計画の実行の上において、これをどう予算に盛つて行くか、あるいはどうかえて行くかということは、具体的にならなければ、すでに二十六年度はスタートしておるのでありますから、三箇年計画の第一年度においてすでに不可能であることになるので、この処置をどうされますか。
  38. 小峯柳多

    小峯政府委員 それでは申し上げますが、そういうふうな原材料高の環境の中でも、鋼材価格へのさし響きを、なるべく少くするように努力しなければならぬと思います。私どもの見方では、日本鉄鋼業というものは、外国に比べまして相当後進性を持つていると思いますので、それに対するいわゆる近代化でありますか、産業合理化でありますか、コストを引き下げるような機械設備のくふうも、当然なされていいと思います。また今御指摘のように、鋼材原材料が高いのは、主として船運賃の暴騰に原因すると思いますから、その船運賃をもつと安くして確保いたしますために、お聞き及びかもしれませんが、船腹対策についても努力いたしております。その船腹に対する対策もだんだん鼻がついて来ておりますし、そういう努力をやつて土地の振かえによる原材料高を、どれだけ吸收できるかということが第一の目標でなければならぬと思います。なおそういうことによつて原材料高の吸收が困難な面につきましては、おそらくあなたは、最後は補給金考えなくちやならぬのではないか、補給金考えなくちやならぬのではないかという御趣旨だろうと思いますが、それも万やむを得ない場合には考えなければならぬ問題ではないかと考えております。
  39. 勝間田清一

    勝間田委員 大臣一つお尋ねしたいと思います。これは総理の話といえば総理の話になるかもしれませんが、しかし大臣は閣僚で、しかも非常な責任者であられるのであります。最近国際的に再軍備計画が進められており、国際的な物資配分計画というものが実際行われておるわけであります。だから、一面において中共というような面の貿易がなくなつて来て、他面こういう面に依存率が非常に高くなつて来る。どちらかというと、早く言えば、非常に一面的な国家に依存しなければならぬという状態なつた来ると思う。今度の講和の問題についてもそうだと思いますが、輸入確保の点についてどういうことを主張しているか、この点をひとつ具体的に御説明願いたいと思うのであります。
  40. 周東英雄

    周東国務大臣 国際間における物資割当輸出というようなことが起り得るのではなかろうかというお話でありますが、この点は私どももさよう考えます。これは今までの本会議または委員会でもたびたびお話をしていることであり、そういうことが起ることは予想しておりますが、その際におきましても、日本に対し必要なる限度の原材料輸入はぜひやつてもらうように、すでに関係方面品目別交渉を進めておるわけであります。
  41. 勝間田清一

    勝間田委員 この前大臣は本会議におきまして、食糧輸入確保の点についていろいろ心配しておるということの答弁があつたのであります。特にアメリカ政府手持ちの麦の輸出禁止などの状況もあつて、この食糧輸入状況は、実は現在の状態から参りますならば、かなり心配になるわけであります。そこで、確実な食糧輸入計画というものをはつきりお示し願いたい。
  42. 周東英雄

    周東国務大臣 この間、アメリカ政府手持ちのものを輸出禁止をしたから、すぐに影響があるのではないかというような足鹿君の質問がありましたが、それにお答えしたように、今後いろいろの情勢が起きて参ると思います。あの輸出禁止それ自体が事実であるとしても、直接にはすぐには関係はなかろうというような答弁をいたしたのであります。と申しますのは、あのこと自体につきましても関係方面と話をし、お尋ねに行つておりますが、まだ公文は来ておらないという話でありました。そうしてまた、政府手持ち小麦というのは、おそらく商品金融機構手持ちのものを指しておると思うのでありますが、二月積出しを予定されております十万トンの民間輸入小麦とこれとは別でありますので、この点についてただちに影響はないと思います。ただ二月に予定しておりますガリオア資金によるところの九万トン、これがどうかという問題でありますが、この措置は直接政府手持ちのものの民間拂下げを禁止し、輸出を禁止しておるのでありまして、陸軍省等が買い上げて、特殊の関係で出すものについて、直接関係があるかどうかということはまだはつきりしておりません。あるいはこれは別になると思います。いずれにいたしましても、私ども食糧については御同様心配をいたしておるのでありまして、なるほど今日までは予定計画よりも少いような現状でありますが、二十五会計年度における輸入食糧計画がどういうふうに行くか、最初はたしか三百二十万トンくらいでありましたが、そのうち集計して三百十万トンあまり来たと思います。それからこの四月から今年の十二月まで百七十万トン、その後における計画で多少減ると思いますが、大体二百七十万トンくらい入るであろうという予想を立てているわけであります。その上に最近バーターで輸出入を交換しておつた地域におきまして、ドルの現金をもつて決済し得ることが認められましたし、そういう観点からさらに努力アメリカ以外のところへもやつておりますので、今後の努力と船の問題との関連において、もう少しふえて行くのではなかろうか、かように考えている次第であります。
  43. 勝間田清一

    勝間田委員 船の状態でどの程度のカバーができるか、ここに問題が一つ残つていると思いますが、食糧輸入価格というものは相当つて来るのではございませんか。この点をどう見ておられますか。
  44. 周東英雄

    周東国務大臣 なるほど価格は確かに米、麦ともに上つておりますが、一方日本から輸出しているものの原料関係は、直接の関連はないにしても、受取勘定価格の上つている関係から多くなつております。この点はドル手持ちというものに対する処置から申しまして、多少の値上りに対してもかえつて進んで行くつもりでありますし、これに対しては関係方面においても、日本買付け関係契約に関しては協力をしてくれることになつております。
  45. 勝間田清一

    勝間田委員 そうしますと、結局食糧補給金というものは、やはりふやさざるを得ない、こういう状況になるのですか。あるいは輸入数量が少くなるからそれでカバーできるとお考えなつておられますか、その点はどういうふうにお考えなつておられますか。
  46. 周東英雄

    周東国務大臣 その点はあるいは次官からもお答えしたと思いますが、よほど値が上つて参りますれば、補給金等関係で、あるいは予算の追加ということが必要になつて来るかと思います。しかし幸いなことには、日本としては食糧年度は十一月から十月までということだから、もう少し情勢を見きわめた上において考えれば考え得るということが起つて来るかもしれません。ただいまのところでは、もう少し情勢はつきりしてからと考えております。
  47. 勝間田清一

    勝間田委員 よく大蔵大臣は、国際小麦協定参加すれば、その必要がなくなるのだと言いますけれども、これは一体どの程度の根拠があると安本ではお考えなつておりますか。
  48. 周東英雄

    周東国務大臣 これは昨年の夏ごろであつたかと思いますが、小麦協定参加の問題が出たときに、これに入りますれば、その当時の価格で大体十ドルくらい違つておりました。当時いつでも参加ということについては日本としては異議がない。ただその参加について多少あなたもお聞き及びと思いますが、條件付のような参加になりますから、そういう條件をつけるということが将来の日本にとつていかがかということで、むしろ時期を延ばしているような状況であります。従つて大きな面から価格等関係から、また将来確実に、食糧自給度というものが思い切つた高さになるまでの間においては、確実に輸入食糧を得るという意味からいいましても、小麦協定への参加ということは、私どもは適当であろう。従つてこれは協定等会議の時期がありますので、その時期まで待たなければならぬかもしれませんが、こちらとしてはいつでも参加の用意がある。ただそれも條件付のような参加のかつこうになりますから、多少時期を待つた方がよかろうということで延ばしているわけでありまして、見込みは私はあると思つております。
  49. 勝間田清一

    勝間田委員 だれの答弁を聞いても——今の大臣答弁を聞いてみても、食糧輸入について現在ほんとうの確信があるか、どうも答弁にならぬと思う、これは非常に遺憾であります。しかしそういう姿のままで、今度の公団廃止、あるいは麦の統制撤廃という姿を、依然として続行されて行くつもりか、あるいはこれをやめて別な方法考えるか、この点についてお伺いいたします。
  50. 周東英雄

    周東国務大臣 食糧輸入に対して自信がないようだというお話でありますが、私は先ほど申し上げたように、ともかくも今日の状態においては関係方面食糧輸入、あるいは衣料原料品の問題については、優先的に確保するように協力してもらえることになつております。しかもその計画について、二十五会計年度における生産からいうと多少下りましたけれども日本の今日までの手持ちをにらみつつ二百七十万トン以上を二月から確保できると思います。なお今年の麦、米、その他の收穫問題も関連いたしますが、アメリカ会計年度以降における輸入計画について、また新しく二十六年度輸入計画考えるわけでありますから、その間に船なりあるいは買付の問題なり、あるいは小麦協定への参加なり、これは積極的になつて行くことができれば、私はそう心配はないのではないかと思う。もとよりいろいろと国際情勢の変化もめまぐるしい状態でありますが、少くとも日本に対する食糧と、必要な原材料確保については、積極的に援助を得られると私どもは確信しておりますので、そうあなたの御心配のように悲観はいたしておらぬのであります。
  51. 勝間田清一

    勝間田委員 そうあることを希望するわけであります。だからといつてここで麦の統制を撤廃するこういう際に自由経済へ帰つて行こうという形が、はたしていいものか惡いものか、これは安本として重大な問題だと思います。この点お尋ねしたい。
  52. 周東英雄

    周東国務大臣 食糧の御心配から、麦の統制撤廃について御心配になる点はよくわかりますが、ただいまのところ私どもは、一応話し合つた計画のもとに——しかしこの点もたしか七月以降の問題に考えておりますので、今後における情勢変化ということもあり得ると思います。ただいまのところは規定方針のもとに進んでおりますが、極端な事態が起れば、その事態に即応するような措置をとることは必要だろうと思います。
  53. 勝間田清一

    勝間田委員 しかしそういうように変化することは、周東さんは長い間農林大臣をおやりになつておわかりでしようが、変化して来れば、また統制を行つていかなければどうのということでなく、その変化が農業の一年間の政策の大きな影響ではないでしようか。ましてや消費者の現在の状況からいつてもそうだと思います。将夫、今予測される状況なつて来たならば、私はここで統制をはずすなんということは無謀だと思うのでありますが、いかがでございますか。
  54. 周東英雄

    周東国務大臣 統制をはずすが、今日はずすわけではないのです。七月以降ということになつておりますから、それまでにわれわれは処置をすればいいので、はずしてからまた統制をするとかいうことでなくて、今の状態のままの見込み、その推移ならはずし得ると農林大臣答弁した通りであります。しかしこれは七月以降の問題であります。それまでの事態において、われわれは十分国民生活に必要な食糧の需給関係、配給関係について、支障のないように考えて行きたいと思つております。
  55. 勝間田清一

    勝間田委員 七月以降の情勢変化ということで、また考えたいということのようでありまして、早く言えば政府統制撤廃論というものも、かなりぐらついて来たというように私は解釈したいと思います。それはそれとして、最近は例の公団廃止、特に食糧の公団廃止という問題が出て来ておりまして、これを依然として続行されて行くやに言つているようですが、特に運賃プールの問題も重大な問題になつて来ております。これをどうやつていらつしやるのか、はつきりとお答えを願いたいと思います。
  56. 周東英雄

    周東国務大臣 私はいつも申しているように、勝間田さんはどうしても社会党の主義的立場から、統制というものが至上のもののように考えておられる。何か知らん統制の形をとるようになれば、政策の変更だというような断定を下しておられますが、少くとも経済政策というものは、そのときの経済事情に即応してやるのであつて、常にいかなる情勢の変化があろうとも、事理に見合わない形において仕事をすることこそ、愚の骨頂であると考えております。ですから私どもは原則として自由経済をとなえておるが、情勢の変化に応じて、これに即する政策を立てることこそ正しいのであつて、これによつて統制撤廃がぐらついた、ぐらつかないということではなく、情勢の変化に応じた現状の政策で、一向さしつかえないと考えております。  それから今の問屋段階における食糧公団の廃止の問題に関連して、運賃プールの問題、これは御指摘通り重要な問題でありまして、政府はこの点について非常に考慮を拂つて、このたびできれば民間にも調整機能を持たしたいと考えたのでありますが、いろいろな関係でその点は無理であります。特別会計において政府みずから運賃のプールをなして、配給に支障のないようにいたす所存でおります。
  57. 勝間田清一

    勝間田委員 周東さんは何か私が統制経済論者のような断定を下されたようでありますが、これははなはだ遺憾でありまして、私の方は計画経済を民主的に進めて行こうという考え方でありまして、統制経済がすべての経済の一番よいものだとは考えておりません。むしろ私は現在のような国際的な大きな動きなり、現に日本に置かれている経済状況から見て、これをはずすことは、むしろイデオロギーにとらわれ過ぎている。私は周東さんは自由主義経済にとらわれているというように考えるわけです。これは考え方の違いでしようから事実をもつてお尋ねして行く態度をとりたいと思つております。  それではさらにお尋ねをしたいと思うのでありますが、最近は肥料、飼料がきわめて重大問題になつて来た。これは安本としては重大な問題だと思います。肥料をこのままにしておくのか。現在の需給状況並びにこれに対する政策をお尋ね申し上げたいと思います。
  58. 周東英雄

    周東国務大臣 肥料の問題につきましては、硫安の関係においては生産数量は確保できるのでありまして、供給の必要量を確保し得ると考えております。問題は過燐酸とカリ、これについてはおそらく過燐酸が問題になると思いますが、燐鉱石が御承知のように輸入に仰いでいるような次第であります。この点が値上りを来している原因ですがこれに対してどう処置するかという問題でありまして、この点私ども心配しております。     〔委員長退席、小野瀬委員長代理着席〕 燐鉱石輸入については特別に処置いたしたく、また必要があればこれに関する補給金の問題は考慮いたしたいと考えております。最近における銑鉄の補給金問題等については、現在においてすでに補給金を出していることが、おかしなようなかつこうになつているほどに、鉄の関係が上つている。これは前々議会でしたか、社会党でいろいろ御心配になりましたが、この点はわれわれの見通しのようなかつこうに、むしろ日本の鋼鉄の価格は、世界の鋼鉄の価格に近寄つて来たかつこうで、中間の製品である銑鉄の方に補給金をこのままに置いておくのがいいか、惡いかということについて今検討しております。むしろ過燐酸の原料である燐鉱石に対する補給金考えるべきであろう、こういう処置も今急いで考えを立てつつあります。決して肥料の問題を放置しているわけではありませんので、そういう変化に応じつつ処置をしたいのであつて、私どもは自由経済に凝り固まつて、守株の愚をとることをやめているのであります。
  59. 勝間田清一

    勝間田委員 燐鉱石補給金の問題が出て参りましたが、これは当然今度の追加予算に出るわけでありますか。
  60. 周東英雄

    周東国務大臣 追加予算の問題についてはもう少し時期を考えてみたいのですが、燐鉱石に対して補給金考慮しなければならぬだろうということだけは今考えております。さしあたり二十五年度予算中にある燐鉱石補給金を、何とか考えたいということに関連して、銑鉄に出している補給金のことを今考えているわけであります。銑鉄の方にはむしろ補給金は、今日の場合無理ではないかと思うのでありますが、そういう場合において、できれば銑鉄に対する補給金を、燐鉱石補給金の方へ活用することができないかと今考えております。来年度の問題については、さらに研究を進めたいと思つております。
  61. 勝間田清一

    勝間田委員 ちようど補給金の問題が出て参つたのでありますが、先ほど小峯政務次官にもお尋ねしておつたところの問題で、造船の方の補給金の問題を、どう考えていらつしやいますか。
  62. 小峯柳多

    小峯政府委員 先ほどの答弁関係がありますので、私からお答えいたしますが、足りませんところを補つていただきます。私は鋼材の値上りの問題、国際価格と見合うかどうか、早期にやる必要はないと申しましたが、先ほど申しましたように、製鉄業の内面的な努力、金融措置、あるいは船の確保等によつて、なお鋼材価格を引上げる余地はあるだろう、そしてなるべく日本の使う造船の規格材などに対する影響を少くしたいと考えたのでありますが、もしそれが吸收し得ませんで、非常に造船価格に大きな影響等があります場合には、補給金の問題も特別な規格材に対し考慮する場合もある、かようにお答え申し上げたいと思います。
  63. 勝間田清一

    勝間田委員 今まで自治統制の問題が盛んに新聞紙上に伝わつておつたのでありますが、これを続けるつもりですか、どうですか、お尋ねいたします。
  64. 周東英雄

    周東国務大臣 お尋ねの点については、抽象的になつて、具体的にどういう部面がやり得るならばできるかということで、日本の官治統制を助けつつ、いろいろ調整の目的を達し得る方法はということで研究いたしておりますが、まだ最終の結論に至つておりません。
  65. 勝間田清一

    勝間田委員 そうしますと事業者団体法、独禁法等の修正の問題、あるいは一部停止の問題というのは、本国会ではまだ提案しないということですか。
  66. 周東英雄

    周東国務大臣 もうしばらく時をかしていただきたいと思います。今結論を得ておりません。というのはこの国会に間に合いませんので——この国会を当てにせず結論を出していないというのではなくて、今どうしても物調法の期間延長なり、物価統制令の期間の延長の問題があります。それと関連して法案を提出する際に、できるならばいろいろ考えている点を挿入いたしたいと今やつております。それはまだ最終的にきまつておりません。もうしばらく時間をおかし願いたい。
  67. 勝間田清一

    勝間田委員 大臣に最後に一つお尋ねしたいと思う。具体的な月越であります。価格の問題もありますけれども、今の農村の状況から行きますと、肥料はまつたくの入手難でありましよう。私どものところに来る状況から見ておりましても、まことにお気の毒な状態にあります。ましてや家畜の飼料の最近における暴騰などの、畜産に及ぼす影響は非常に大きい。それから最近における油脂資源の問題も同様でございます。私はここでひとつ総括的にお尋ね申し上げたいと思いますが、肥料の現在のような配給状況、現在のような飼料の状況、現在のような油脂資源の状況、これに対してこういうものを具体的にどう確保されて行くか、この点をお尋ね申し上げておきたいと思います。
  68. 周東英雄

    周東国務大臣 肥料の問題ですが、物がないのではないのです。これはあなたの御承知通りであります。硫安については私は物はある。それに対していろいろ入札等の関係において手に入らないという、多少の手続の問題はある。この点について、どうすべきかということについて私ども考えております。ただ過燐酸については、お話のように、将来補給金がなくなりはしないか、今のうちに早く買つておきたいというので、多少思惑的な買いだめが行われる。農業者団体の方に向いましても何とか自由契約にしないか、こういうことであります。こういうことについては、今関係方面と折衝しております。物はあるが、えらく先薄になろうというので、つり上つて手に入りにくいという状況です。むしろ随意契約にして農業団体に、少くとも政府手持ちの肥料ぐらいは出したらどうかというので、今その点を打ちつつありますが、非常に妙な現象になつておる。そういう場合に、あなたはむしろ割当配給をもつとふやしたらどうかとお考えかもしれないが、私どもはそういうような自由契約の面ができれば、もう少し様子がかわつて来るだろうと思う。非常におかしい現象です。私は公団の手持ちのものを、ある意味において肥料価格調整に使いたいというような考えを、初めには持つていた。すでに十二月以前に三十万トンの拂下げを行つたにもかかわらず、どういうわけか、農業団体の方でも落札しない。当時は冬で手持ちだつたのと、多少最低価格が高過ぎた。また古いものよりも新しきものがよかろうし、古いものはかますを持つて行かなければならぬ。これでは困りということがあつて政府としては値下げをしろということで、値を下げさした。そうして入札をさしたのですが、今度は春肥を控えて買いが殺到した。それでつり上つてなかなか落ちぬ。それでは商人の方に落ちておるかというと、その方でもないらしいので、これはほかに何か原因があるのではないかと考えておる。肥料がなくて困つておるのか、あつて入札しにくいので、今の状態が生じておるのかわからぬ。過燐酸については先ほど言つたように、補給金の問題について、さしあたり本年度内で調整できるものは、もう少し補給金をふやして行くし、将来の問題として、はつきりした見通しがついたならば、その点を見ることによつてもう少し農家に安心させて、これから後の過燐酸の入手を待たせる方がいいのではないか、いたずらに値をつり上げて、買い競争で入札し合う、そういう事情がありますので、そういうことを今査察庁で調査をさせております。
  69. 勝間田清一

    勝間田委員 大臣はあまり楽観的だと私は考えるのでありましてたとえば硫安の場合には、生産費が上つておることも私はよく知つております。また生産数量も相当よいことも私はわかつておりますが、何といつても一番大きな問題は、価格が上昇せざるを得ないという状況であります。これは現在の硫安工場のコストというものを見てみればよくわかるのでありまして、最近において、たとえば十貫目俵七百十五円という協定値段でやつていたが、実際にはカバーできないというので、月五円というものをメーカーが要求しておる。二月になれば五円上がる、三月になれば十円上がるという状況であります。そこへ持つて来てあなたが政府手持ちということを云々されましたが、政府手持ちはほとんど出ております。ただそれを受取つて行く現在の協同組合が、受取るだけの資力を持たない。なぜかと申しますと、全購連がそれを持ち得たところで、受取るだけの信用を持つておらない。ここで言う地方の県連、地方の單位組合というものは一層その傾向が強い。早く言えば、單位組合は買う資力を持つていても、県購連、全購連がそれを引受けるだけの力を持つていないところに原因がある。そういう状況——価格の値上りという状況、それから農業団体の引取り資力が少いということ、そういうところに持つて来て、現在の配給状況がそうでありますから、結局早く言えば、商人あるいは商人以外にまわつてしまうという状況がある。そういう状況がわかつておるのに、一体生産者本位に価格確保して行くという政策を、今度とらざるを得ないというようなことは、私はおかしいと思う。これはすべてがそうであると思う。現在の油脂資源においても、現在の繊維原料においても、現在の家畜飼料についても、すべてメーカーにそれを渡さないで、早く言えば、生産者の手段として渡らないで、よそへ渡つて行くというのが現状で、安本が必要なところに必要な飼料がどう行くかということを考えるのは、決して統制経済のイデオロギーではない。逆に私は現在の社会全体から見て、自由主義の名のもとに、実際上はある面——いわゆるやみ取引その他の面の所得をふやしておる。だからその面についての政策を承りたいと思います。
  70. 周東英雄

    周東国務大臣 今のお話の点で、最終消費者というか、必要な面に行かないうらみがあるということは、私どももわかつておる。先ほどあなたにお答えしたのはその点なのであります。今経済査察庁をして、過燐酸が実際上どこへ行つておるかということを、嚴重に調査させておる。これは巷間伝うるところによれば、某製糸関係の方が非常に景気がいいので、肥料を買つておるといううわさも入つております。これはなかなかむずかしいことであつて、おそらく自分の名で買つていないで、町肥料商を使つて買わしておるのではないかと思うのですけれども、そういう面について、私は嚴重に調査をさせたいと思つております。あなたは政府手持ちはみな出てしまつて、ないと言われるが、また売れないのです。それが出ればいいのですが、入札価額でなかなか出ない。八十何万トンあつた肥料が、最近正月に聞いたところによると、すでに三十万トン拂い下げられることになつたが、それがわずか九万トンしか出ないので、政府手持ちはまだ七十何万トン残つておる。それしか政府のものは出ていない。私はまず指名して入札させたらどうかと考えている。これが一つ考え方である。これは随意契約——指名入札はいいが、随意契約はいろいろな関係で許されていない。オープン・ビツドの関係等で、ほんとうの需要者でない金を持つている者が、一もうけしようと思つて買う。そういうやり方は私はいかぬと思います。だからそういう面についてはやり方として随意契約ができれば一番いいのですが、面接な指名入札をして、最終消費者というか、ほんとうに必要なところに流れるようにするということが必要だと私は考えます。
  71. 勝間田清一

    勝間田委員 一応これで私の質問を打切ります。
  72. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬委員長代理 竹山君。
  73. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私は、きようも大臣がおそく来て、時間がないから御質問できませんので、勝間田君の御質問と周東さんの答弁で急所がはずれておる肥料と飼料の問題について、簡單にお伺いいたします。  今週燐酸の問題で、燐鉱石補給金を二十五年度予算の銑鉄の補給金にはつて考慮したいとおつしやるが、今の問題は二十五年度補給金の問題にあらずして、要は二十六年度の問題である。二十六年度補給金政府が出すか出さぬかということが、今の思惑の焦点である。そのことを政府が早く言明をされれば、この問題は解消する。それをあいまいにしておくからいけない。二十六年度で切れるということが明瞭であれば、思惑をするのがあたりまえである。今の答弁は問題の焦点に当つてないと私は思いますが、もう一度伺います。
  74. 周東英雄

    周東国務大臣 私は勝間田君の御質問にお答えしておるつもりであります。二十六年度においては、過燐酸について今いろいろと研究している。できれば適当に早く言うことによつて違つて来るだろうと先ほど御答弁した、それで御了承願いたい。
  75. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 重ねて伺つておきます。が、二十六年度において補正予算その他の方法によつて補給金を出す考えを少くとも安本長官はお持ちだということでありますか。
  76. 周東英雄

    周東国務大臣 今の情勢からいたしますと、私は必要ではなかろうかと思つて、私は今いろいろ関係方面と相談をしておる。大体時期的に考えて必要な場合といたしましても、すぐ補正予算を組まなくても、適当な策を考えている。二十六年度において燐鉱石については、何か考えたいと思つております。
  77. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 もちろん、今すぐ予算を組めと言つても、本年度予算審議中でできませんが、要は早くやらなければいけない。二月中に今お話政府手持ちの放出をしようとしている。その問題の以前に、この政府の態度をきめなければ意味をなさない。四月、五月になつてゆつくりと補正予算を出される時分には、農民は高い肥料をいや応なしに買わされたあとであります。そういう意味において、本月中などというのんきなことを言わないで、少くとも今週、来週中に閣議の決定をされるなり、事態を落着かせるだけの処置をお考え願いたい。  それから今硫安の問題のお話がありました。これはもう大臣承知のことだと思いますが、御答弁を通じて想像するのに、少しニユースが古いと思う。この間の名古屋の入札では三百人殺到しております。関西では百五、六十人という話でありますが、この次の入札には、何百人出て来るかわからぬだろうという情勢であります。これは政府が最高価格を押えたのでは、入札の意味がなく、要するにくじ引きをさせるだけの話であつて、農民団体は入れたものではない。その処置が非常に問題なのであつて政府手持ちのものだというので、大蔵省にこれを一任されておることがいけない。これで今肥料公団は八億の利益を上げようということを考えておるそうでありますが、農民がこれを聞いたら、とんでもないことで、ほかの方で穴を明けて、これでもうけるという、そんなばかなことはない。むしろこれは農林省に処置を一任されたらどうか。会計規則のもとに、大蔵省の役人がこの処置をするから、そういうことになるので、これの割当方法なり、価格の点なりは、肥料担当省の農林省に一任させるという点は、安本が中に入つて解決をしていただける問題だと思いますが、この点についてお伺いいたします。
  78. 周東英雄

    周東国務大臣 お話の点は御希望としてよく承つておきます。
  79. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 肥料政策については問題はたくさんありますが、差迫つての問題は、今の二点——政府手持ちの肥料処置を農林省に一任させるという問題と、燐鉱石補給金について、急速に政府の態度を決定する要があるということ。手続はあとでよろしい。  次いで飼料の問題でありますが、これの事態はむしろ肥料よりも急迫しておる。肥料は、今大臣のおつしやるように、国内においては今必ずしも量的に欠乏していない。ただ処置が——大臣は不思議だとおつしやるが、私どもに言わせれば、不思議ではない。統制の撤廃が早過ぎたという政治的処置の——私どもに言わせれば、誤りのために、今日の事態を起しておるということで、何も不思議ではない。しかし飼料の点についてはそうではなく、おそらく政府処置なしで手を上げた状態である。これは統制撤廃の結果だから、どうなろうとしようがないといえばそれまでだが、迷惑をするのは農民です。ふすまは倍になつて、製粉会社が全部もうけている。それから米ぬかも倍になつて、これも公団がもうけている。高いものを買わされるのが農民である。政府はこれに対してはもう手当のしようがないという状態であります。しかもこの間二万トンのとうもろこしを政府が放出した際において、一部の業者が莫大な利益を得ておるということは、農民はみな知つている。従つて今後政府が現在手持ちをしている七千トンのとうもろこしの処分その他を通じて、どういうふうにこれをやつて行こうとするのか。できない相談で無理を言つてるのではない。これを手放しでほつたらかして、上りつぱなしにされる方針なのか。これについては全体の輸入計画等と見合つて考えておられるのか。現在の段階においてはどうか、伺つておきたいと思います。
  80. 周東英雄

    周東国務大臣 飼料が異常に上つていることは私も耳にしております。これについては畜産その他養鶏飼料についても、飼料政策の上に急速に何らかの手を打ちたいと思いまして、農林大臣と相談している。これは一つにおいてはとうもろこしの輸入飼料もありますが、国内で生産されるぬかなり、ふすまなりについて、あるいは停止価格というような形ができるのがいいかということは、今研究をさせております。しかし量的には少いものですから、これに対して価格で縛ることは、かえつてそういうことでやみに抜けてしまつて、捕捉することのできない事情がありはしないかということも考えられますので、その処置については今愼重に研究している。もちろん急いでおります。私は飼料についてはあまり外から入る飼料に依存し過ぎる。これは飼料政策としての根本が抜けておるのではないかと実は思う。そこで作付等にも関連しますが、養鶏とか、養畜とか、相当大仕掛なものは別として、農家が副業的に飼うものについては、将来——これは竹内さんも御存じだと思いますが、購買飼料でこれをまかなつて行くという考え方は是正されていいのではないか。これは戰時中家畜の食糧さえ、すべて人間の食糧として奪いとられたというときの状態と違うのでありますから、もう少し自己経済の内部で飼料の自給態勢を立てることが必要である。これは戰後において常に議論され、考えられた問題である。畜産をやるので飼料がいる。飼料は輸入してもらいたい。輸入するには補給金がいる。こういうことになつて来ると、外貨の支拂いがふえる。そこで大きな養鶏なり養畜は別として、自己のところで養つている耕作用の牛馬の飼料については、もう少しくふうすることが必要ではないか。だからといつて飼料政策を放つておくということではありませんので、これはやはり協力して一緒に考えていただきたい、かように考えておる次第であります。
  81. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 周東さんと議論するつもりはないが、根本的に非常な食い違いがある。農民に餌の問題を考えずに、鳥を飼え、牛を飼えといつても、間に合わない。肥料の方は多少条件的にいつて違う。農地は生きておるものではなく、すぐ口に入れるものではないから默つておるが、牛や鶏は生きているのである。今処置がないというか、急に混乱したというか、無計画にやつておる責任は農民にあるような口吻に私は感じますが、これは非常に問題だ。そうじやない。今ふすまが高くなつた、大豆が高くなつた、あるいはとうもろこしが暴騰しておるのは、決して農民が足りないから奪い合つておるのではない。工業原料その他政府統制撤廃と関連して、広い意味における食糧政策というものを無定見にやつて来た。特に国際情勢がかわつて来た、それを見込んで、工業原料を確保するために狂奔して来る、その犠牲が農民に転嫁されておるのであつて、農民が決して鶏や牛を無計画に飼つたから、今日そういうことになつたのではない。そのことは周東君は戰争中から経験しておられることで、私が申し上げるまでもないことだ。周東君のような方がそういう認識で閣内で主張されておると、一番ひどい目にあうのは農民だ。これは決して農民の責任じやない。今の工業原料を含む全体の食糧政策というものに計画性を持たない、総合性がないために、農民が犠牲を負つておるということであつて、ここはひとつよく閣内においても強く主張されて、弱い農民がいつも一番最後に犠牲になるという政策をとられぬようにしていただきたい。
  82. 周東英雄

    周東国務大臣 竹山君はお聞き違いがある。農民の方が無計画にやつたからということは、一つも申し上げておりませんから、これは速記録をごらん願いたい。私の言うのは、現在の目先の問題は別に考えなくちやならないということを先ほど申し上げた。しかし根本においては養鶏、養畜をやるについて、常にその飼料は輸入飼料に依存するという考え方は、将来かえて行かなければならぬし、政府もまたその線に沿つて、人間の食う物だけを農家に作付させるという考え方は改めなければならない。とにかく畜産に対して大きな考え方がなければならないというのが、私の持論である。決して農民がへたしたというのではない。農民自体政府自体考えなければならないのは、畜産の振興について、常に飼料作物の植え方を考えていない、人間の食うものだけを優先的に考えるという考え方ではいけない。畜産を奨励して、とによつて食糧問題を解決しなければならない。そういう根本から考えて飼料政策というものは立てて行くべきものである。今は目先の問題を考えて手を打ちましよう。しかし根本はそこをお考えにならぬと、竹山君のような人が、いつまでも畜産奨励にあたつて、畜産の飼料は外国からのとうもろこしに依存するというのでは、私は日本の畜産は振興しないということを言うのであります。
  83. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私は少し違う。必ずしも国内の飼料生産で日本の畜産を解決するという考えは持つていない。私は驚いたのですが、日本の狭い国土で食糧をつくつたり、飼料をつくつたり——それができればけつこうだが、そんなことはできつこない。もしそういうお考えであるならば、安本の総合計画をこの次お示し願いたい。それはきわめて希望すべき情勢でありますが、そういう夢物語が日本に許されるのであれば、私は一応計画を伺つた上で論議をいたす。そんなのんきなことを言つておられるくらいならば、戰争中も戰後も食糧問題はありはしない。問題はそういう議論でなしに、現実に、政府は人間も家畜も総合的に、そして工業原料も含んだ食糧政策をおやりにならぬと、最後の犠牲は農民のところへ来るということを私は申し上げたつもりであります。これ以上の議論は私は今日はやめます。
  84. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬委員長代理 ほかに御質疑がなければ本日はこの程度にて散会いたします。  次会は公報をもつて御通知いたします。     午後一時五分散会