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1951-06-21 第10回国会 衆議院 外務委員会 第19号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十六年六月二十一日(木曜日) 午前十時二十八分
開議
出席委員
委員長
守島
伍郎
君
理事
北澤 直吉君
理事
佐々木盛雄
君
理事
竹尾 弌君
理事
山本
利壽
君
植原悦二郎
君
小川原政信
君 菊池 義郎君 近藤 鶴代君 仲内 憲治君 中山 マサ君
並木
芳雄君
武藤運十郎
君 米原 昶君
委員外
の
出席者
外務政務次官
草葉
隆圓
君
外務事務官
(
政務局長
)
島津
久大君
外務事務官
(
条約局長
) 西村
熊雄
君
通商産業事務官
(
通商鉄鋼局鉄
鋼政策課長
) 川島 一郎君 専 門 員 佐藤 敏人君 専 門 員 村瀬 忠夫君
—————————————
六月一日
講和条約草案
を調印前に
国会
に
提出
すべき
決議
案(
淺沼稻次郎
君外百二十六名
提出
、
決議
第一 九号) 対
日講和
のための四
大国外相会議開催要望
に関 する
決議案
(
河田賢治
君外二十四名
提出
、
決議
第二四号)
日米軍事協定
及び
駐兵反対
に関する
決議案
(河
田賢治
君外二十四名
提出
、
決議
第二八号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 同月五日
国際経済
に関する件
講和会議
に関する件
国際情勢
に関する件 の
閉会
中の
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
国際情勢等
に関する件
—————————————
守島伍郎
1
○守島
委員長
ただいまより
外務委員会
を開会いたします。
国際情勢等
に関する件を
議題
といたします。まず
政府側
より最近の
国際情勢
についての
説明
が求めます。
草葉外務政務次官
。
草葉隆圓
2
○
草葉説明員
最近の
国際情勢
につきまして、先回御報告申し上げた以後におきまする
情勢
を御報告申し上げます。 まず
朝鮮動乱
のその後の
情勢
でございますが、
朝鮮動乱
は勃発以来まさに一年になんなんといたしておりまして、
国連諸国
の
平和解決
の
努力
もその後ほとんど効を奏せず、依然一進一退の
戦闘
が続けられて今日に
至つて
おるのでございます。五月中旬
国連軍
は
中共軍
の第二次
春季攻勢
を撃破いたしまして、再び三十八度
線以北
に追い返し、いわゆる鉄の
三角地帯
といわれております鉄原、
金化
、平康の要衝を制圧いたしまして、戦局を好転いたしたのでございます。この
機会
に再び
国連諸国
の間に
和平解決
をはからんとする
努力
が行われて参りまして、
朝鮮
に派兵いたしておりまする十六
筒国
の間で、三十八度線に
沿つて
三十二キロの幅の非
武装地帯
を設けることを骨子とする
停戦案
に、
意見
が
一致
したとも伝えられておるのでございまするが、またこれと前後して、
リー国連事務総長
なり
アチソン国務長官
の口からも、
和平
の誘いとも見られまする
意思表示
が行われて参
つたの
であります。しかし
中共側
はいまだ
和平
に応ずるけはいを示しておらないばかりでなく、
国内
におきましては、かえ
つて
抗戦意識
をあお
つて
、
戦闘
を継続せしめる態勢の強化に努めておりまして、
中共
の第三次攻勢のきざしさえ見られておる
状態
であります。 かような
状態
にありまして、
アメリカ
は
ブラツドレー統合参謀本部議長
が上院における
証言
にも申しましたように、味方の
損害
をできるだけ少くして、
共産軍
に大きな
損害
を与えて、
侵略
の引台わぬことをさとらしめて、その間
国連
を通ずる
交渉
によりまして、
和平
を求めざるを得ないように仕向けようとしているように見られるのであります。従いまして、結局
国連軍
と
共産軍
との
根気比べ
の
状態
を呈しておるのが、現在の
朝鮮動乱
の
情勢
と思われる次第でございます。 次に先回御報告申し上げました後の
四国外相代理会議
の
状態
を申し上げますると、去る五月三十一日、
モスクワ駐在
の
アメリカ
、
イギリス
、
フランス
三国の大使によりまして、
ヴイシンスキー・ソ連外相
に対して、五月二日に三
国側
が
提案
いたしましたいわゆるABCの
三つ
の
議題
の中のいずれかを基礎として、七月二十七日からワシントンで四箇国
外相会議
を開催するように
提案
いたしたのに対しまして、六月四日グロムイコ・
ソ連代表
は、北大西洋
条約
問題と、欧州におきまする
米軍基地
の問題を
議題
に入れることを
条件
にして、これに応じようという
回答
をいたしたのでございます。そこで三
国側
は六月十五日に、
議題
についてはすでに四箇国間に広汎な
一致
を見ておるのであるから、これ以上
議題
に関する未
解決
の点について論争することはやめて、
一致
した
範囲
内で
外相会議
を開催すべきことを
提案
いたしたのであります。これに対する
ソ連
の
回答
がまだなされておらないのでありまするが、この
回答
のいかんによりまして、いよいよ四箇国
外相会議
を開催するかどうかということがきまることと相な
つて
参ると存じます。 次に
イラン
の石油問題について見ますると、
イラン政府
は最初から、
アングロ・イラニアン石油会社
の
国有化
の問題について、
英国政府
には
発言権
がないといたしまして、
英国政府
との
交渉
を拒否して参
つたの
であります。これに対しまして
英国政府
は、五月二十六日、ハーグの
国際司法裁判所
に提訴いたしましたが、
カゼム・イラン外務大臣
は
国際司法裁判所あて
に、
イラン政府
は、
国際司法裁判所
が
アングロ・イラニアン会社
と
イラン政府
との紛争に裁定を下す権限を有していないと考えておるという旨の電報を打ちまして、応訴の
意思
のないことを明らかにいたしたのであります。 その間
イラン側
といたしましては、第一に、
会社
の接収に伴う
補償
を与えるということ、第二に、新
会社
の
純益
の二五%以内を旧
会社
に支払う
用意
があるということ、第三に、従来の
貸付使用者
に対する
供給確保
については特別に考慮しておるということ、こういうことを漸次明らかにして参
つたの
であります。 また
イギリス
の
モリソン外相
は、ほかの
関係事項
について満足な
解決
ができ得るならば、何らかの形における
イラン
の
石油業
の
国営化
を考慮する
用意
があると述べまして、
国有化
を頭から否定するものではないことを明らかにいたして参
つたの
であります。 こうして
両者
の間には、幾分歩み寄りの
可能性
があるように見受けられて参
つたの
でありますが、六月三日に至りまして、
会社側
は
イラン政府
の要請に応じて、
会社側
の
代表
の
イラン派遣
を承諾いたしました結果、去る十四日から、
イラン政府
と
会社側
との
代表
の
会談
が開かれて参
つたの
であります。この
代表
には
イギリス政府
の指名しました者が含まれておりまして、これは
イラン政府
の了承しておるところでございまするから、この点につきましても、
両者
の間に互譲の跡が見受けられると存ぜられるのであります。
会談
におきましてまず
イラン側
から、正式の討議を開始する
条件
といたしまして、第一には、
イラン
の
石油国有化法
が可決された去る三月二十日以来の
純益
の二五%を
補償
に充てるため、
イラン政府
及び
会社
の双方の同意する銀行にこれを寄託する、第二には、右以外の
石油売上高
は
即時イラン
に引渡すこと、という二点を要求いたしたのであります。今度の
会社代表
の
派遣
につきましては、もともと
イギリス政府
は従来から主張しておりました
法的権利
を保留することを
条件
として
派遣
を
承認
して参りましたのに対しまして、
イラン側
は、
国有化
を既成の事実とするの態度をと
つて参つたの
であります。この間に
イラン国内
におきましては、反
英米宣伝
が盛んに激化されつつありますることは、大部分の
イギリス人
の
従業員
の家族の
引揚げ待機
が
イスフアハン
において行われ、また十七日
イスフアハン
におきまする米人の
刺殺事件
とな
つて
現われておる点からも見られるのでありまするが、かような不安な
情勢
に対しまして、
イギリス政府
は十六日、中東の
イギリス防衛軍
に
イギリス人
の
安全撤退
のために
非常事態
をとることを命じた趣でありまして、
他方北部国境
には
ソ連軍
の
神経戰的
な集結も伝えられておる
状態
であります。 かような緊迫した
情勢
のうちに十八日開かれました
イギリス
の
閣議
が、さきに申し上げました
イラン側
の要求を拒否するに決して、また
イラン当局
と
アングロ・イラニアン会社
との
会談
は十九日夜完全に決裂して、
イラン政府
は二十日の
閣議
で、
アングロ・イラニアン会社
の全
石油施設
を接収することに決定して、
アングロ・イラニアン会社
は消滅したと宣言をし、
国立イラン石油会社
がこれにかわることにな
つて
、
イギリス
は
油田地帯
に残留しておりまする全
イギリス婦女子
の
引揚命令
を出したと報道されて参
つたの
でありますが、その詳細は、なお今日はつきりとはいたしません。しかしこのような
状態
から考えまして、
事態
の将来における
困難性
を示しておるものと存ずるのであります。 次に
米国
の
議会
の最近の
動き
について、この
機会
に申し上げておきたいと思います。
米国議会
におきまする
マツカーサー元帥
解任問題をめぐりまする
証言
は、御承知のように、
マツカーサー元帥
の
証言
の
あと
を受けまして、
マーシヤル国防長官
、
ブラツドレー統合参謀本部議長
、
コリンズ陸軍参謀総長
、
ヴアンデンバーグ空軍参謀総長
、
シヤーマン海軍作戦部長
という
順序
で四月十九日から五月三十一日までの長期間にわた
つて
続けられて参
つたの
であります。六月に入りましてから、
アチソン国務長官
が、一日から九日まで、七番目の
証言
に立
つたの
でありますが、これらの
証言
は、厖大な量に達するものであります。これまでの
証言
では、要するに
ソ連
の戦備、
経済力
及びそれに伴う
極東情勢
並びに対
中共軍戦略
に関する
マツカーサー元帥
と
アメリカ政府側
との見解の相違に重点が置かれたのであります。
マツカーサー元帥
の
満州爆撃
、
国府軍
の
使用
、
中共沿岸封鎖
という
提案
に対しまして、
政府側
はこれらの
提案
は
朝鮮動乱
を
世界大戦
に導くものであるとして、
米国
は
宥和政策
をとるものではなく、第三次
大戦
に備えて、むしろ戦争を阻止するために、
朝鮮戦線
において時をかせごうとするものである。切迫した第三次
大戦
の危機を防止する
唯一
の手段は、
自由国家側
の
軍備充実
を促進することにあるという点を明らかにすることに努めて参
つたの
であります。
アチソン証言
に至りましては、
アチソン長官
がか
つて
台湾
の
軍事的価値
を否定いたしましたこと、また
米軍
なり
アメリカ軍事使節団
の
台湾派遣
に反対いたしました事実、遠くは一九四五年の
ヤルタ会談
から現在に至りまするまで、
アメリカ
の
極東政策
をめぐ
つて論議
が行われたのでありまして、その背後には、
アチソン長官個人
に対する反感もあつたようでありますが、この
機会
に
国務長官
が更迭するのではないかとの臆測さえ行われたのであります。これに対しまして、
トルーマン大統領
は、
アチソン長官
の
証言
はきわめて妥当であり、彼を解任するの
意思
はないと言明いたした次第であります。その後十一日からは、
ウエデマイヤー中将
の
証言
が行われ、まだ三、四名の
証言
が残
つて
おるようでありますが、一応この問題はすでに山を越えた形であると存じます。 次に
フランス
の総
選挙
について申し上げたいと思います。
フランス国民議会議員
の総
選挙
は、去る四六年十二月以来、五箇年ぶりに六月十七日に施行されたのであります。今度の
選挙
について、その結果を申し上げまする前に、今回適用されました新しい
選挙法
について一言触れておきたいと存じます。この新
選挙法
は
比例代表制
と
多数決制
とを折衷いたしたような方式によつたものであります。すなわち一県一
選挙
区とし、その区の
議席
と同数の
候補者
をもつた各党の
名簿
に対して投票するのであります。もつとも
全国
三十県以上にわた
つて
候補者
を立てておりまする
政党
は、その
候補者名簿
についてほかの党派とも
連立関係
を結ぶことができるといたしております。そして投票の
過半数
を得ました
単独名簿
なり
連立名簿
が、その区の
議席
の全部を占めることと相なります。
連立名簿
の場合は、
連立名簿
の間に
当選者
を
比例代表制
で配分する。絶対多数のないときは自動的に
比例代表制
が適用されて、
最高平均点
の方則によりまして、各
名簿
間に当選を配分するのであります。なお
パリ
及びその付近の二県におきましては特例が設けられております。このような方式のねらいは、結局
政府与党
が
連合戦線
を張りまして、
共産党
と極右のド・
ゴール派
に対抗するというところのねらいがあつたわけであります。これとほとんど同様な
選挙法
は、
イタリア
の今回の
地方選挙
でも実施されたのでありまするが、
イタリア
の場合は、
全国
の市町村を人口一万以上と一万以下の
二つ
にわかちまして、
選挙
の結果絶対多数を得た
政党
なり
政党ブロック
に対して、一万以上の場合は
議席総数
の三分の二、一万以下の場合は五分の四を与えて、
残り
の三分の一なり五分の一の
議席
を、得票に比例して
残り
の
政党
に配分するという方法をと
つたの
であります。これで
政府与党
であるキリスト教民主党が、ほかのすべての
民主主義政党
と
共同戦線
を
張つて左翼
諸
政党
に対抗することをねらいとして行われたのであります。 さて
フランス
の今回の総
選挙
は、第一に
共和主義政体擁護
を目標といたしておりまする
中道派
の
政府与党連合
と、第二には
中道派
の政治の
無力無能
と
共産党
の反
フランス的行動
を攻撃しつつ
政党政派
を超越した
国民
の結集を呼びかけておりまするド・
ゴール派
と、第三に
共産党
とのこの
三つ
の争い、
選挙
である。これにさらに加えて第四
勢力
といわれておりまする、ド・
ゴール派
とも
中道派
すなわちいわゆる第三
勢力
とも相いれない
保守系
の
諸派バ
第四
勢力
として割込もうといたした。こういう
選挙
の
情勢
を呈したのであります。開票の結果の全貌はまだ判明しておりませんが、政界の分野には激変はなさそうであります。ド・
ゴール将軍
の
国民連合
が、今回初めて
国民議会
の
選挙
に出て、第一党になるだろうということは、すでに予想されておるところであ
つたの
でありますが、今回の
選挙
は、ただいま申し上げたように、特に目立つた結果が現われなかつたところに、むしろ特徴があるといえると存じます。換言すれば、大体におきまして
国民
が依然として
中道政治
を支持しておることを示すものと考えてよかろうと存じます。しかし
中道派
の
中心勢力
として百五十一名を擁しておりました
カソリツク民主主義
の
人民共和党
の激減によりまして、これを中心としておる
政府与党各派
は
議席
の
過半数
を占めることができずに、今後の政局安定は一層困難にな
つて
来るだろうと思われます。また
社会党
、
人民共和党
、
急進社会党
、
抗戦同盟等
の従来の
与党連合
が引続いて
政権
を担当しようといたしまするならば、いわゆる第四
勢力
の
保守派
の協調を必要といたすのでありますから、
従つて
そこに従来の
政策
が、従来以上に右翼的に輝いて来ることが考えられるのではないかと存じます。 最後に、対
日講和
のその後の
動き
について御報告申し上げます。
ダレス特使
のいわゆる対
日講和解決
の
準決勝戦
といわれました
ロンドン
におきまする
米英会談
は、主として対
日講和
に参加すべき
中国代表
の問題及び
台湾
の将来に関する
問題等
こつきまして
意見
が
一致
いたしませんところから、一時は難航が伝えられて参
つたの
でありますが、六月十三日、
ダレス特使
が
パリ
から
ロンドン
にもどられまして
会談再開
後
両者
は急速に
合意
に達したのであります。十四日
イギリス外務省
及び在
英アメリカ大使館
は
共同コミユンケ
を発表いたしまして、対
日講和条約草案
その他すべての
主要懸案
について、
両国
間に万全な
意見
の
一致
を見たことを明らかにいたしました。しかしその
具体的内容
につきましては発表されないのでありますが、伝えでおりますところを要約いたしますると、第一に、
中国政府
の問題については、
講和
後
日本
は
外交政策
に関して完全な主権を回復し、
講和相手国
として
中国
のいずれかの
政権
を選ぶことを可能ならしめられること、第二に、
台湾
については
草案
には触れずに、ただ
日本
は四つの大きい傷並びに若干の
近接諸島
を保持することのみを
規定
することということに
意見
の
一致
を見たようであります。その他
賠償
の問題、
日本
の
在外資産
あるいは東京の総
司令部
に保管されておりまする金塊、それから自衛のための
日本
の再
武装許可等
について
一致
を見たといわれておるのであります。なお
関係筋
がその日言明いたしましたところによりますと、
英米両国
の
合意
は、対
日平和解決
の基本的諸項のみに関するもので、
通商
、
経済
、
賠償
、戦時中の
抑留者
に対する
損害賠償等
多数の
懸案事項
は、
講和
後
日本自身
において取扱われる問題である、つまり
関係国
との
個別的交渉
によることになるだろうとも伝えられておるのであります。なお
右コミニケ
によりますると、今後この
合意
の結果が
両国政府
によりまして最終的に
承認
されますると、まず対
日戦
に大きな役割を果しました
諸国
と協議の上、対
日講和草案
はほかの対
日参加諸国
にも回付されまして、できるだけすみやかに
意見
を求めた後に、最後的に
条約案
の作成に着手する
運びとなるものとされておるのであります
。 今回の
会談
の結果についての反響の二、三を見て参りますると、
アメリカ
におきましては、ニユーヨーク・タイムズの社説におきまして、今回の
解決
はある
意味
では問題をただ延期したものにすぎず、
台湾
はいつかは
独立国
あるいは
二つ
の
中国
のいずれかの一部としての地位を確保しなければならず、また
日本政府
はいつかは
中国
のいずれの
政府
と
講和
するかを決定しなければならない。もし
日本
が
共産主義
諸国
家の
侵略
に対する保護を
西欧側
から受けておるにかかわらず
中共
を選ぶとするならば、
事態
は複雑なものとな
つて
来るだろうと論じております。また
イギリス
では、今回の会見につきまして
労働党部内
に相当不満なものがあるようでありまして、
イギリス政府
といたしましては、
中共
を犠牲にして
アメリカ
に譲歩しました点、及び
台湾
問題について今後党内のかなりの反対を乗り切らねばならないものという観測が伝えられておるのでありまして、
労働党
の左派の
意見
をよく
代表
いたしまするニユー・ステーツマン・アンド・ネーシヨンは、
ダレス特使
の
努力
を攻撃いたしまして
外交
上の
イギリス
、
フランス協力
の欠如に由来する悲しむべき結果が、
ダレス
氏の
ロンドン
、
パリ
における活動によ
つて
立証され、また結局
中国政府
の
選択
を
日本
にまかせることに
なつ
た結果、
日本政府
が
国民政府
を選ぶことは違いないところである。また
日本
の再武装に制限を付さずに、将来の
日本
による
侵略
に対する保障が与えられておらないことは、不吉なことであるという論調を掲げておるのであります。
他方ダレス
氏の
パリ会談
におきまするいろいろな
問題等
も残されておりまするが、これらの問題は
新聞等
で報道されておる通りであります。 こうしていろいろな問題の
懸案
も、
解決
を要する焦点がだんだん明らかにな
つて
参りまして、大局におきましては一応
解決
されたと見ることができると存じますし、また対
日講和促進
につきましても、
関係国
の足並がだんだんとそろ
つて
参りましたことは間違いない事実と存じます。 今後この線に沿いまして、
ダレス特使
は
米国
の
国内
におきまする各方面との折衝に尽力をし、
アリソン公使
はパキスタン、インド、
フイリピン等
との
交渉
を続けて参
つて
おるようであります。この間
ソ連
から
アメリカ
に第三次の
覚書
がさらに送られたのでありまするが、
ソ連
の
覚書
は従来の主張を繰返しただけでありまして、対
日講和
の大勢には影響することがないと存じます。かくて対
日講和
の促進はだんだんと強められつつあることを感ずる次第であります。
守島伍郎
3
○守島
委員長
これより質疑に移ります。
並木
君。
並木芳雄
4
○
並木委員
ただいまの
草葉次官
からの御報告の中に引用がありましたが、私は
閉会
から今日までの間に起つたと報せられるいろいろな問題の中で、特に
中共
か
国府
かという問題に関連しての
質問
をいたしたいと思います。これは
中共
、
国府
というふうに申しますと、あるいは
政府
としては答弁しにくいかもしれませんので、かりに
中共
に相当する
立場
にあるものを
A国
といたし、
国府
の
立場
にあるものを
B国
として、そうして一般論的に
質問
いたしますから
お答え
願いたいと思います。 まず
日本
が
A国
を選ぶ場合がもし起つたとするならば、それは今まで
承認
されていない国でございますから、まずその
A国
を
承認
してからでないと、対
日講和
の
相手国
として選ぶことはでないと思うのでありますが、この点はいかがでしようか。
島津久大
5
○
島津説明員
ただいま御
質問
の第一点について
お答え
を申し上げます。答えやすいように
A国
という
お話
でございますので、
A国
ということで
お答え
申し上げますが、
A国
についての
承認
の問題は、国を
承認
するという問題ではなくて
政府
の
承認
の問題でございます。そこで
政府
の
承認
の性質は、本来
承認
する国の一方的の
行為
であります。しかしながら
条約
に
承認
の
規定
を置くことも法的に可能なのであります。 これにつきましては先例もございます。一九二一年十一月五日のソ蒙修交とりきめの第一条及び第二条におきまして、
締約国
はそれぞれ
相手方政府
を
唯一
の
正統政府
と認めるという
規定
がございます。明示的な条項がない場合でも、その
条約
が
平和条約
とか、
通商航海条約
というような重要なものでございますと、その
条約
の
締結自体
によ
つて
、
相手方
の
政府
を黙示的に
承認
したことになるのでございます。そうでない
条約
の場合には、
承認
とは解されないわけであります。これにつきましては、
英国
が一九二一年三月十六日
ソ連政府
との間に
通商協定
を
締結
しております。そうしまして一九二四年の二月一日に
至つて
初めて
ソ連政府
を
承認
をいたしております。また一九二二年六月五日のチエコと
ソ連
との間の
暫定条約
第一条、これにはこの
条約
が
相手国政府
の正式
承認
問題と無関係であるということを明らかにしております。以上が第一点に対する
お答え
であります。
並木芳雄
6
○
並木委員
ちよ
つと聞き漏らしたところもあるかと思いますが、そうすると私の
質問
に対する答えとしては、必ずしも
A国
を
承認
してからでなくても、
相手国
として選ぶことができるという場合もあるということですか。
島津久大
7
○
島津説明員
順序
としてまず
政府
の
承認
の
行為
があ
つて
、それから離れて
条約締結
が行われるという場合もありますし、また
条約
を
締結
することによ
つて
、それによ
つて承認
されるという場合もある、そういう場合をわけて御
説明
を申し上げた次第でございます。
並木芳雄
8
○
並木委員
わかりました。そうすると私は特に
日本
が
独立
を回復した後において選ぶ、こうきめた点は、
A国
というものを
承認
してから初めて
相手
として選び得ると
思つて
おつたから、これはあたりまえのことをあげたんだなと
思つて
いたのです。ところが今の
お話
ですと、
条約
を結ぶことによ
つて承認
をするという場合もあり得るのでありますから、必ずしも
日本
が
独立
してからでなくても、
A国
を
講和
の
相手
として選ぶこともできるわけですね。そういうわけですね。
島津久大
9
○
島津説明員
独立
を回復する前に
承認
ということはないと思います。ただ時間的に、たとえば
講和条約
を結ぶ際に、それと同時に
承認
ということはあり得ると思います。
並木芳雄
10
○
並木委員
そういたしますと、特に
独立
を回復して完全な自主権を得た
あと
にというふうに前提がついているのは、何かそこに含みがあるのでしようか、どうでしようか。
島津久大
11
○
島津説明員
今回の
米英会談
の
内容
として伝えられておりますところは、報道の
範囲
にとどまるのでございまして、どういう意図があるかわからないのでございます。またどういう形式で
選択
が行われるかというようなこともわからないのでございますが、いずれにいたしましてもただいま御
質問
の点は、特別な
意味
があるようには、私どもは考えておらないのでございます。
並木芳雄
12
○
並木委員
次に私は、
承認
のやり方について
ちよ
つとお尋ねしておきたいのです。これは要するに
承認
というのはどういう手続をふんで行われるか、新しい
憲法
のもとにおいては、やはり
憲法
第七十三条による内閣の
事務
に入るのかどうかということです。入るといたしますならば、ただいまも
お話
がありましたが、
承認
というのは一方的の
行為
ですから
条約
ではない。
従つて
第七十三条の三号の
条約
の
締結
ではないというふうに私は考えておるのです。第二号の方の「
外交関係
を処理すること。」の中に入
つて
来るのではないかと思うのですが、そうであるかどうか。そうであるとするならば、
条約
の場合には
国会
の
承認
を必要としますけれども、この第七十三条の二号の方の「
外交関係
を処理すること。」というのは、
国会
の
承認
を必要としておらないのです。そうすると
A国
を
承認
するというような重要な問題について、全然
国会
の
承認
を経ないというやり方になるのかどうか、これはつり合い上
ちよ
つと了解しにくいので、その点を確かめたい。
島津久大
13
○
島津説明員
最初に御
説明
申し上げましたように、
二つ
のやり方があると思うのでございます。その
承認
が
条約
によ
つて
行われる場合は、
条約
について、御指摘のように
憲法
第七十三条三号によ
つて
国会
の
承認
を得る、これはもちろんそうであります。ところが一方的
行為
で行われる場合には、第二号の
規定
にありますような
外交関係
の処理として内閣の
事務
に入る、こういうことになるわけであります。
並木芳雄
14
○
並木委員
その点はわかりました。そうすると、
外交関係
の処理で行くというときも、やはり
国会
の
承認
を経ることが、実質上
憲法
にはなくても必要ではないかと私は思います。そこでお伺いしたいのは、いやしくもある一国を
承認
する場合に、
政府
としては、当然
国会
の了解を求める手続をとるべきではないかと思うが、どうかということです。
島津久大
15
○
島津説明員
法律問題といたしましては、ただいま御
説明
申し上げた通りでございます。それ以外の取扱いについては、私から
お答え
申し上げかねます。
並木芳雄
16
○
並木委員
ちよ
つとくどくなりますけれども、
条約
によらずして
政府
が
承認
する易行には、
国会
の
承認
は求めないというわけですね。その点を
ちよ
つと確かめておきたいと思います。
島津久大
17
○
島津説明員
憲法
の
規定
からいたしましてそういうことになると思います。
並木芳雄
18
○
並木委員
その点は、今後の検討の余地があると私どもは思います。
憲法
に関する検討の余地がありますので、それはそれとして次の問題に移ります。 そこで
B国
ではなく、かりに
A国
を
承認
いたしました場合、要するに
A国
と
講和条約
を
締結
した場合には、今までの
B国
と
日本
との関係はどういうふうにかわ
つて
来るでしようか。この場合に考えられる問題として、
A国
と
B国
の両方を
条約
の
相手
として選ぶか、こういうふうなことはどうかという問題なのです。
島津久大
19
○
島津説明員
A国
の中に対立した
二つ
の
政府
がありまして、その片方の方の
政府
を
承認
した場省どうなるかという御
質問
と思いますが、これは当然
承認
した方の
政府
との関係が生ずるのでありまして、そうでない片方の
政府
は
A国
を
代表
する合法的の
政府
とは認められないということになります。
並木芳雄
20
○
並木委員
具体的に何か権利義務の関係でありませんか。
島津久大
21
○
島津説明員
つまり
承認
されなかつた
政府
と
日本
との関係がどうなるかと申しますと、これは国際法上の関係がないということになります。
並木芳雄
22
○
並木委員
前に伝えられておりました対日
講和条約
の
草案
の中に、
日本
は
中国
における一切の特殊権益を放棄するという条項があるようでございますが、この一切の特殊権益というものはどういうものですか。この際お聞きいたしておきたいと思うのです。
島津久大
23
○
島津説明員
これはおそらくは従前いわゆる不平等
条約
といわれておりました
中国
と外国との関係に当ると思うのであります。たとえば租借でありますとかあるいは駐兵権利、内水あるいは沿岸の航行権、一方的な最恵国待遇、そういうようなことをさすと思います。
並木芳雄
24
○
並木委員
そこでその問題に関する最後の
質問
として、私は
政務局長
では答えにくいと思いますから、次官に
質問
するのですが、要するに
A国
か
B国
かということは非常にむずかしい問題であると私どもは率直に感ずるのですけれども、そういうふうにお感じになりますかどうか。それとも
政府
としては簡単に結論の出る問題であるかどうか、先ほど私が
質問
した中にもあります通り、もしむずかしい場合には、あるいは
A国
と
B国
と両方とも
相手
にするということも考えられないか、こういう大きな問題を——与党の方々から聞くと、きようあたりが政務次官最後の
外務委員会
の出席になるらしいというから、そこをひとつはつきりしておきたと思います。みやげ答弁をひとつ……。
草葉隆圓
25
○
草葉説明員
この点は私がさきに
国際情勢
の
動き
について御
説明
申し上げました通りに、さような
情勢
が伝えられておりますが、
日本政府
といたしましては、いずれはこの
内容
がはつきりして参ると存じますが、いま一応の報道にすぎないのであります。将来どのうよになるか、かりに伝わ
つて
おります報道のようにいたしましても、
政府
は慎重な態度をと
つて
来ると思います。
並木芳雄
26
○
並木委員
それではもう一点だけお尋ねして私の
質問
を終ります。それはこの際お尋ねしておきたいのですが、
条約
というものが
憲法
に違反するようなことはないと思いますけれども、もし抵触する疑いが起つた場合に、最終的にはどこが合憲であるか、違憲であるかを決定するかということなのです。最高裁判所のようでもないですしもちんろ内閣などにあろうはずのものではなし、われわれ
国会
の手にあるのじやないかとも思うのですが、この点権威ある御答弁をお願いしたい。
島津久大
27
○
島津説明員
どうも権威ある御答弁をいたしにくいのでありまして、係官の私見として、
憲法
には
条約
が違憲であるかどうかを
審査
する権限がどの
国家
機関に属するかということに関する文明の
規定
はございません。これは違憲の
条約
が
締結
されるようなことを
憲法
自体が予想していないからだというふうに考えられます。また実際問題といたしまして、いかなる内閣でも
条約
の
締結
にあた
つて
はこの点を慎重に考えまして、いやしくも違憲の疑いのあるような
条約
は
締結
しないでございましようし、また
国会
も
条約
の
締結
に対しまして
承認
を与える際に、十分この点を検討されることでございましようから、
憲法
に明文がないために支障を生ずるようなことはなかろうと思います。
並木芳雄
28
○
並木委員
はつきりさせるためには、要するに
憲法
に何か明文をつくらなければだめだということになりますか。
憲法
に反するような
条約
を結ぶことはあり得ないということは、それは
島津
局長が非常に善良な人間で、主観的にかつ良心的にそういうふうに考えられるかもしれないけれども、一たびフアツシヨ的な人間が総理大臣にでもなれば、またどういうはずみで
憲法
に抵触する
条約
を結んで、時宜によ
つて
は事後
承認
ですから、そのうちに
国会
にかけると言いながら、ずるずるべつたりで
国会
にかけないというようなこともあり得るわけであります。それで私は心配ですからお聞きするのですが、やはりそういう
憲法
に抵触する疑いのある場合はあると思うのです。ことに今度のような場合には非常に起りやすいのじやないかと思います。その程度では
ちよ
つとわれわれとしては心細いのですが、どうですか。
島津久大
29
○
島津説明員
どうも
事務
当局といたしましては、先ほど申し上げたような
お答え
以外には、ただいまのところ
お答え
申し上げることはないと思います。御了承願いたいと思います。
草葉隆圓
30
○
草葉説明員
国会
の
承認
を
条件
といたしておりますから、さような際におきましては、おそらく当然
国会
は
承認
すまいと考えられるのであります。
守島伍郎
31
○守島
委員長
菊池君。
菊池義郎
32
○菊池委員 この前調査をお願いしておきましたところの南洋群島における軍艦、商船の引揚げに
日本
が参加することができたという経緯及びこれまでのその仕事の
状態
をお伺いしたいと思うのです。通産省からお見えにな
つて
おります鉄
鋼政策課長
にお伺いしたいと思います。
川島一郎
33
○川島
説明
員
お答え
申し上げます。太平洋諸島の信託統治地域内におきます船舶の引揚げにつきまして、去る三月末におきまして総
司令部
の工業課の方からその要領についての内示を受けました。
内容
といたしましては、太平洋諸島信託統治地域管理長官が当該地域における予想されます八十八隻の沈船の引揚げ及び解体処理の点につきまして、
日本
を含めてある一
会社
に対してその権限を許可するという
意味
の要領でございます。この引揚げ作業に参加を希望する
会社
は、指定されました期日までに当該長官に引揚げについての申込みを
提出
してもらいたいというふうな
内容
でございまして、各社から
司令部
にもいろいろ折衝が行われたわけでありますが、
司令部
側の
意見
といたしましては、
日本政府
においてまとめて適格者を出してもらいたいという申入れがありまして、去る五月十二日
政府
の方からサルベージ
会社
五社をこの申込み
会社
といたしまして、
名簿
を
提出
いたした次第であります。その後総
司令部
の方からおそらくこの太平洋諸島信託統治地域管理長官のもとに申込書は
提出
されたものと存じますが、爾来今日に至りますまでこれについての的確な指示は現在のところいただいておりません。以上の通りでございます。
菊池義郎
34
○菊池委員 太平洋諸島というのはおもにどの辺でございますか。
川島一郎
35
○川島
説明
員 この
覚書
に指示されております地域は、太平洋諸島の信託統治地域とな
つて
おりまして、例示されております地域は、アンガウル、パラオ、サイパン、トラツク、以上の地域が一応明示されております。
菊池義郎
36
○菊池委員 過般新聞に発表されましたが、引揚船の写真まで出ていたのですが、これはどこかサイパンかパラオかから引揚げたのですか。
川島一郎
37
○川島
説明
員 ただいま御指摘の点は、おそらく過般トラツクにおいて引揚げが完了いたしました第二図南丸の件ではないかと思いますが、それ以外につきましては隻数は一応示されておりますが、船名その他については全然不明であります。
菊池義郎
38
○菊池委員 その引揚げた軍艦、商船あるいは鉄くずとか、そういうものは結局どうするのですか。
日本
で使うことができるのですか。
川島一郎
39
○川島
説明
員 この要領によりますと、
日本
をも含めて引揚げの入札が行われるわけでありますから、必ずしも
日本
に帰属するというふうな形にはな
つて
おりませんが、もし
日本
が適当な一
会社
に許可されまして、この船の引揚げがなされました際には、これを改造して船として
使用
することもできますし、またスクラツプ——くず鉄として
使用
することもできるというふうに一応な
つて
おります。
菊池義郎
40
○菊池委員 引揚げて使える船はおよそどのくらいありますか。それからスクラツプの量はどのくらいですか。大体の見通しを伺いたい。
川島一郎
41
○川島
説明
員 これらの船についての正確な実情の調査が現在のところ全然行われておりませんし、
従つて
今のところ何隻が引揚げられ、何隻が船として
使用
されるかという点は、的確なところは全然わからないのでありますが、一応情報としてわれわれに伝えられておるどころによりますと、ただいま申しました八十八隻、総トン数にいたしまして約四十一万総トンでありますが、この中で約三分の二はおそらく引揚げ不可能であろう。それからスクラツプとして利用されますものがスクラツプ量として約五万トンくらいであろうというふうな情報は受取
つて
おります力
菊池義郎
42
○菊池委員 それから最近の新聞に、小笠原その他の島を
日本
に残してもよいというような
ダレス
氏の
意見
が発表されております。それに関する外務省筋に人参ました情報をお聞かせ願いたいと思います。
草葉隆圓
43
○
草葉説明員
いろいろ情報として伝わ
つて
おりますが、まだ外務省では今の点等につきまして正式に承知いたしておらないのであります。
菊池義郎
44
○菊池委員 これは外務省の方に対する希望でございますが、もう少し積極的に動いていただきたい。小笠原は全然軍事基地にならぬから、話ようによつたらとれる。現にわれわれはプライヴエートの
外交
で、あなた方を抜きにして三百人ばかりばかりの人を向うへ入れることを折衝いたしまして、成功しております。そのうち出ることにな
つて
おります。そうして向うにある産物をと
つて
来るのに、三箇月の期間を許されている。これはやがては小笠原も
日本
にとれる前提ではないかと考えておりますが、もう少し積極的に動いていただきたいと思います。小笠原から来ている連中はしびれを切らして、外務省の役人は人形みたいだと言
つて
いる。これは何も無能無策の
意味
ではないと思います。外務省の方は男つぷりがいいという
意味
だと思います。そのいい男つぷりを示して折衝していただきたいと思うのです。話によ
つて
はとれると思います。硫黄島は向うの軍隊が駐屯いたしまして、飛行場もでき、平坦地でありますが、小笠原は山岳地帯の島で全然使いものにならないので、兵隊も一人もいない。そういうわけで小笠原のことについては私極東海軍
司令部
へ行
つて
みましたが、さつぱり事情を知らない。それから鳥島のことについても話しましたが、鳥島はどこにあるか一生懸命地図で探している
状態
です。皆様が行
つて
話さなければちつともわからない。どうぞ外務省においても民間に劣らない折衝をしていただきたい。 それからフイリピンの対日
賠償
につきまして、最近フイリピンの何か最高
会議
において八十億ドルは無理であるが、二十億ドルは必ずとれるという見込みをつけて、二十億ドルはとろうという決定をしたということが報道されておりますが、これに関する情報が外務省におわかりでしたら、お伺いしたい。
草葉隆圓
45
○
草葉説明員
フイリピンの
賠償
問題は従来から再三情報として伝わ
つて
おりますし、またその
賠償
の問題につきましては、事たいへん重大な問題でありますので、
ダレス特使
も
日本
訪問の帰途、
フイリピン等
を訪問されて、いろいろと懇談をかわしておられる情報等も、その後承知いたしておるのでありますが、
ダレス
氏も去る三月三十一日の演説で
日本
からすでに受取つたもの、ないし連合国の領土内にある
日本
財産以外に、
賠償
を取立てることは実際的ではないと思う。しかし
米国
としては白紙の気持で、
日本
の攻撃によ
つて
最も深刻な被害を受けた
諸国
と、活発な
意見
の交換を行うという
内容
の発表をいたしておられるのでありますが、これらにもありますように、
日本
は実際にはすでに
賠償
の
可能性
のないことは、
ダレス
さんによ
つて
いろいろ了解に
努力
されていることと存じます。しかしフイリピンにおきましては、ただいまのような情報も伝わ
つて
おりますが、
日本政府
といたしましては、これらの情報は情報として承知いたしている次第であります。
菊池義郎
46
○菊池委員 フイリピンの向うの
会議
でも
つて
日本
の
賠償
能力ありやいなやを調査するために、
国連
から選ばれた調査員を
日本
によこすというようなことを向うで
決議
したようでありますが、それについての
国連
各国の意向はどうでありましようか、そういつたような情報が入
つて
おりませんか。
草葉隆圓
47
○
草葉説明員
今菊池委員の
お話
のような情報が伝わ
つて
おりまするが、先ほど申し上げましたように、
ダレス特使
の
努力
は、相当強く
日本
の
賠償
というものを白紙の
立場
から考え、かつ
日本
経済
の自立という点に強い影響を来すようなことをおそれながら
日本
の
立場
を了解して、各
関係国
と折衝をしておられることと存じております。従いまして、さような問題につきましても、十分
日本
の
立場
を了解しながら、
国連
関係
諸国
は了解してくれると存じております。
菊池義郎
48
○菊池委員
ちよ
つともう一つ……。先ほどの南洋群島から引揚げました
日本
人が七万数千、アナダハン島からも最近引揚げる——この南洋群島はすべからく
日本
の
講和会議
後における、
独立
後におけるところの移民地として
アメリカ
に折衝しますならば、必ず彼らは聞いてくれると思うわけです。
日本
の残しました多くの工場施設、三十足らずの
会社
の施設が向うにそのまま残されており、南洋群島の開発がまだ未成功に終
つて
おる。向うの土人はほとんどもう役に立たない。アメリか人がや
つて
来て開発するということはとうていできないのです。
日本
人でなければできないということは
アメリカ
は知
つて
おるのですから、
日本
の折衝いかんによりましては、これらの施設もくれましようし、燐鉱の採掘を
日本
に許したという日米
経済
協力の線に
沿つて
日本
が折衝いたしましるならば、あるいは引継ぎができるのではないか。私は十分その
可能性
を信じておるのでありまするが、一つは
日本
の移民地として、この南洋群島を足場として、さらに表南洋に進出する試練地として選ぶことができるわけであります。
アメリカ
は決してそういことうを不本意なりと考えるはずもありません。すでに
日本
がいくさに敗れて、まつたく平和愛好の
国民
になり切
つて
いるということを、
アメリカ
は
日本
に進駐してはつきり知
つて
おりますから、向うの開発に
日本
人が使われ、あるいは
日本
人自体が率先して向うの開発をやるということは、日米
経済
協力の考えからいたしまして、向うは必らず許してくれると思うわけであります。そういう点についてこれまで外務省として折衝したためしはありませんかどうか。
相手
がいるのですから、これは必ずできると私は考えております。
草葉隆圓
49
○
草葉説明員
お説のように、現在アンガ・ウルで燐鉱開発
会社
が許可を得まして、燐鉱の採取を行
つて
おりまする以外には、
日本
の
会社
に事業の継承を許可された例はないのであります。しかしただいまお説にありましたように、南洋群島のこれらの
経済
関係においての問題は、将来いろいろな
意味
におきまして、
経済
協力というような点からいたしましても重大な問題でありますので、従来ともそうでございましたが、
日本
といたしましても、十分お説の点を進めて参りたいと存じます。
菊池義郎
50
○菊池委員 別の問題になりますが、
社会党
が今
日講和
三原則なるものを提唱いたしまして、左右二派にわかれて争
つて
おる。
国民
はこれに非常に迷わされておる。どつちの方が正しいかさつぱりわからない。外国の
政府
におきましては、しばしば
政党
の
政策
主張に対しまして批判を加えて、
国民
を啓蒙しておるのであります。
日本
の
政府
はそういうことをちつともやつたためしがない。そういうことでも
つて
いかに見識が違うかということがはつきりわかるのですが、
講和
三原則のうちの他の原則は別といたしまして、彼らが唱えておりますところの再軍備
反対
、軍事基地貸与絶対
反対
ということは、私は実にゆゆしき問題だと考えている。これは申すまでもなく、
共産党
の思想とまつたく同じである。結局
共産党
とはまつたく一線を画せんければならぬところの
社会党
が、かくのごとき
共産党
と協調するがごとき態度はまことにおかしい。それはまあどうでもいいといたしまして、この点について
国民
は非常に迷
つて
おる。われわれ議員の間でもどうもさつぱりわからぬ。
政府側
がこれに対するところの
意見
を一言いえば、なるほどと
国民
は信ずる。国を守るには当然軍備がなければならない。防衛に最も必要な、
侵略
防止に必要なところの軍隊は必要ない、軍事基地を貸与することは絶対
反対
である、こういう
意見
は外務省としてどういうように考えられるか。
侵略
のある場合に、力のないところに向
つて
、世界至るところにおいて、
共産軍
は
侵略
を加える。
朝鮮
の例しかり、そういう場合に
社会党
のこの原則に従うならば、
日本
はどうなるかということについて、外務省はどう考えておられるか、はつきりとこの点についてもう一度おつしや
つて
いただきたい。
草葉隆圓
51
○
草葉説明員
国民
の間にいろいろ
意見
があり、その
意見
を率直に述べられますることに対しまして、
政府
がかれこれ申し上げることではないと存じます。従いまして、ただいまお説にありましたように、かりに
社会党
におきまして、あるいは平和三原則という主張をされましても、それはその主張に対する批判はむしろ
国民
がいたすべきものであ
つて
、
政府
がこれに対しましてかれこれ批判をすることは妥当ではないと存じます。
政府
は従来から
講和
に対しましては、はつきりした態度をとりまして、一日も早く、一国も多くの国々と
講和
を進めて参りたい、この線をと
つて
おるのであります。従いまして、この線を強く堅持しながら進めまする上について、これらの平和三原則にどういう関係を生ずるかという点は、これは生じて参りまするが、一般の主張に対しまする関係におきましては、ただいま申し上げた通りに御了承願つたらと思います。
菊池義郎
52
○菊池委員 もちろん
政府
はそれに答える義務はありませんが、答える権利はいくらでもある。だから、権利も自由自在に活用しておつしや
つて
いただきたいと思います。ほかの原則は別どいたしまして、
社会党
が唱えるような軍備がなくともいい、軍事基地
反対
ということを推進して行きまするならば、
侵略
があつた場合にどうなるかというこの点を
お答え
願いたい。
草葉隆圓
53
○
草葉説明員
この問題は従来から再三
政府
として所信を表明しておる通りでありまして、別に最近の改まつた
情勢
における展開は来しておらないと存じます。
従つて
従来の
政府
の主張で何ら間違いないと私どもは存じております。
守島伍郎
54
○守島
委員長
佐々木君。
佐々木盛雄
55
○佐々木(盛)委員 私は本日岡崎官軍長官の出席を要求しておいたのでありますが、不幸にして出席がありませんので、外務当局の見解をこの際明らかにしておきたいと思います。 私のお聞きいたしたいのは、このたびの追放解除の問題に関連してでありますが、もとより追放解除の
事務
は、外務省でなく、別の機関において担当されておつたわけでありますけれども、そもそも追放ということが指定されるに至つた源を考えますときに、ポツダム宣言の第六項目の
規定
に
従つて
、ポツダム宣言の受諾に伴う占領
政策
のために追放ということが行われておつたわけなのであります。
従つて
この追放解除の問題も、
外交
上国際上重大な影響があると考えますから、外務当局はどう考えておるかということを承りたいと思うのであります。それは昨今の
新聞等
のジヤーナリズムの上に現われて来ます追放解除というものをつらつら考えますと、これはあたかも凱旋将軍が再び復活したかのごとき印象を受けたり、あるいは昨夜のごときは、東京の各料亭や、あるいは柳暗花明のちまたにおいては、たいへんな騒ぎであつたということを聞いたわけであります。あたかもこれが何か救世主がここに復活したような印象を誤ま
つて
一部には受けないわけでもないのであります。もともとポツダム宣言第六項目の
規定
は、
日本
国民
を欺瞞し、
日本
国民
をして世界征服の過誤を犯さしめるに至つた者の権力並びに
勢力
は永久に除去せられなければならないとしてあります。もとよりその権力というのは、いわゆる官——公のものであろうと考えます。並びに、
勢力
というのは、民間の影響力、
勢力
を持つたものであろうと考えますが、早い話が、このたび非常に新聞をにぎわし、そうして追放解除された人々の中にも、私はかなり著名な、
日本
をして世界征服の過誤を犯さしめるに至つた権力や
勢力
であつた者があるようにわれわれは考えるのであります。私は
日本
国民
である以上、陛下に忠誠を誓
つて
お
つて
、その
国民
が、陛下の詔勅によ
つて
戦争が始まつたから、なんじらは朕に協力しろというおぼしめしが出たときにこれに協力することは、
国民
としてもとより当然であり、やむを得ないことであると思いますが、しかしながらポツダム宣言に、
日本
国民
をしてそういう過誤を犯さしめるに至つたところの権力や
勢力
というものは、永久に除去しなければならぬということが
規定
されておるわけであります。この鉄則というものは、たとい追放解除になりましようとも、あるいは
講和
が結ばれましようとも、その後とても文字通り永久に守らるべきものであると私は考えるわけであります。これに対しまして、
政府
は一体いかようにお考えにな
つて
おるか。また私は最近の解除されております人々の言動等を見ましたときに、何か非常に自分たちが輝かしい定跡を残して来たところの勝利者であるかのごとき、殊勲者のごとき印象を受けないわけでない。本日の朝日新聞の漫画を見ましても、私は諷刺深い漫画を発見した。何か親分らしいのが前科がありまして、それがおそらくは青天白日の身とな
つたの
でありましよう、酒、さかなのごちそう攻めにあ
つて
おるというような漫画、諷刺画が出てお
つたの
であります。これらを見ましたときに、われわれはこのたびの追放解除に何かもも少し意義があるのではないか、また追放解除を受けた者にも何か一つのモラルがあ
つて
もいいのではないかということを考えるわけであります。
従つて
外交
上から見て、外務当局がこのたびの追放解除というものをどういうふうに考えておるか、並びに先ほど申したところのポツダム宣言の鉄則は不変のものであるべきだと私は考えるが、どういうふうに考えているかということにつきまして、
政府
当局としての見解を明らかにしていただきたいと思います。
草葉隆圓
56
○
草葉説明員
佐々木委員の御説まことにごもつともな点がたくさんあると存じます。いわゆる追放の問題につきましては、本質的に当時示されました方針に基きます線によ
つて
追放が開始され、これによ
つて
追放該当者が決定いたしたのでありますが、この追放の本質的な問題は、将来とも民主主義
日本
の建設のためには必要な精神であろうと存じます。ただその該当の
範囲
の問題について今回追放解除がなされ、今後におきましても、この線に
沿つて
広く追放解除の方針がとられて来つつありますことは、ただいま
お話
の通りでありますが、
日本
といたしましては、近く
講和
を迎えんとして、民主主義
国家
としてのりつぱな再建を、みずからも期待し、世界も期待しているところであります。
従つて
この線に沿つた
立場
におきまして追放並びに追放解除ということも当然考えられて参る点であります。追放解除を受けました方方も、この線に沿いまして
講和
後の
独立
の
日本
に十分協力するために、その力の最善をいたしてもらいたいと、私どもは平素念願をいたしております。従いまして追放解除にあたりましては、ただいま
お話
になりましたような点から、むしろ誤ま
つて
日本
の真意を誤解されることのない行動が最も望ましいのではないか、この点は強く私どもも考えております。要するに全力をあげまして
講和
の日を迎え、同時に
独立国
家としての
日本
の美しい民主主義をつくり上げるために、すべての
国民
の
努力
を結集して進んで行く際でございます。この際に少しでも世界各国からの疑いを招くようなことは、お互い十分謹慎し合うべきものだと考えております。
佐々木盛雄
57
○佐々木(盛)委員
政府
の考えておられます気持だけはわかるわけでありますが、先ほど私の
質問
いたしましたポツダム宣言の中の、
日本
国民
をして世界征服の過誤を犯さしめるに至りたるものの
勢力
並びに権力は永久に除去せられざるべからずというこの
規定
は、
講和
独立
後といえども守らるべきものであり、なお存続すべきものであると私は考えますが、当局はどういうふうにお考えでありますか。
草葉隆圓
58
○
草葉説明員
お説の点もつともであると存じます。私どももポツダム宣言あるいは極東
委員会
の決定等につきましては、十分これが行わるべきものであり、また行うことを誓
つて
参りたいと存じております。その指令の
範囲
内において追放解除というものは初めて可能にな
つて
来ると存じます。従いまして、今回の追放解除もその線内でありますので、今後におきましてもポツダム宣言の精神あるいは極東
委員会
の決定の精神等は十分遵守して参りたいと存じます。
佐々木盛雄
59
○佐々木(盛)委員 次に先ほど来問題にな
つて
おりました、いわゆる
A国
と
B国
との
選択
権の問題でありますが、私は
並木委員
の感覚とはやや感覚を異にいたしまして、
A国
だの
B国
だのということをこの際言う必要はないと思いまして、私は
中国
国民政府
政権
、
中共
政権
というふうに明らかにして御
質問
いたしたいと思います。 ただいまの
草葉次官
の御報告の中にもありましたように、
ダレス特使
の奔走によりまして、
ロンドン
で発表されましたコミニユケによりますと、
日本
の
独立
後、
中国
国民政府
と
中共
を自由に
選択
する権利を
日本
に与えるということがあつたわけでありますが、もとよりこれは正確な文書が外務省に到達していなくてもけつこうなことでありますが、その中で
草葉次官
の
お話
では、そういうときが到来したときに、そのいずれの
政権
を
承認
するやをあらためて考えるのだというような、きわめて間の抜けたような御答弁であつたわけでありますが、私はこの今日の吉田
政権
というものの性格から考えまして、何と申しましても、これは反共の
政権
である。今日の
日本
の
政府
は、世界周知の通り反共の
政府
である。
従つて
この反共の
政府
がそのときが来たなれば、あらためて考慮した上で、いずれを選ぶかということを決定すべきであるというようなことをおつしやることは、まことに筋道の通らない話であると、私は考える。
政府
といたしましては、この外国の
政府
を
承認
する権利を、
憲法
第七十三条によ
つて
政府
が持
つて
おるという先ほどの御答弁であります。
政府
がその権利を
国会
にも諮らずして自由に行えるだけの権利を持
つて
おるとみずから公言しておる
政府
といたしますならば、この
二つ
の
政権
のいずれを選ばんとするかということにつきましては、もう先刻御
用意
がありてしかるべきであると私は思います。
従つて
私は
国民
にそういうあいまいな気持を与えることなく、勇敢に
国民政府
というものを
承認
し、これと善隣関係を結ぶべきであるという考えを明らかにされる必要があると考えますが、いかがでしようか。
草葉隆圓
60
○
草葉説明員
これはさきの報告の通わといたしますると、
独立
後に
日本
がいずれかの
政権
を選ぶことの
可能性
が生ずる。
従つて
独立
後の世界の
情勢
が現在の
情勢
通りにありまするか、あるいはまた動いて参りますかによりましても、違
つて
参ると存じます。この通りにずつと進むということばかりは考えられないのではないか、
従つて
今の
情勢
において、
日本
が
独立
後の仮定において
意見
を発表するということは、むしろ妥当でない場合が生じ得ることが起りはしないか、かように存じます。
佐々木盛雄
61
○佐々木(盛)委員 不幸にして見解の相違ならいたしかたないと思います。 次に私は先ほどの御
説明
によりましても、
講和
の時期が間近に迫りつつあるという印象を強く受けるわけでありますが、総理もこの
条約
の
締結
にあた
つて
は、
国会
の
承認
を求めるということを言明されております。それがいつ、いかなる形式においてなされるかは存じませんけれども、私はこのたびの
講和
締結
にあた
つて
は、たとえば
講和
の全権等が任命されるときにおきましては、当然
国会
側を
代表
する人々も、その中に参加するのが是政の常道であろう、また最も妥当な行き方ではなかろうか、このようなことを考えるわけでありますが、
国会
代表
の参加という問題につきましては、いかようにお考えにな
つて
おるかという点を承りたいと思います。
草葉隆圓
62
○
草葉説明員
この点につきましては、御
質問
の趣旨をむしろ強い
国会
の御
意見
と存じまして、よく了承いたしておくということにいたしたいと思います。
佐々木盛雄
63
○佐々木(盛)委員
あと
もう二点だけ私は承
つて
おきたいと思います。今伝えられております
講和
の
草案
、実際の原案も外務省に到達をしておるそうでありますが、その
草案
等によりますと、
日本
の請求権が打切られることにな
つて
おると思うのでありますが、たとえば満州における
日本
のか
つて
の権益等を、ポーレイの
賠償
使節団の報告によりましても、二十億ドルという莫大なものを
ソ連
側は戦利品だとい
つて
、これを
ソ連
領内に運び去
つて
おるわけであります。私はこれらのものは当然
日本
の戦利品ではなくして、むしろ
賠償
の対象になるべきものである、こういうふうに考えますから、
講和
回復後において、
日本
に主権が確立されたあかつきにおきましては、それらの戦利品に対して、その代償ないし返還方を要求する権利がわれわれにあると、このように考えておるわけでありますが、これらにつきまして、どのようにお考えにな
つて
おるか、まず承りたいと存じます。
島津久大
64
○
島津説明員
ただいま御指摘のような、満州に起りました
事態
、これにつきましてはいろいろ問題もあろうと思うのでありますが、
日本
の
在外資産
全体について、おそらく
講和
の際に問題が坂上げられるということになると存じます。ただいま御指摘のような点は、将来どういうふうにするというようなことは、そういう
在外資産
全体の問題とも関連して参ることでありまして、この段階で
ちよ
つと言明しがたいと思います。
佐々木盛雄
65
○佐々木(盛)委員 時間がございませんから、もう繰返して申し上げません。 次にもう一点承
つて
おきたいことは、極東軍事法廷によ
つて
正式裁判を仰いで決定した戦犯の死刑等の問題は別でありますが、
中共
地区や
ソ連
地区におきまして、いわゆる人民裁判なるものの名において、われわれの側から申しまするならば、不法に死刑をされておる者がかなりたくさんあるということを、われわれは引揚者から聞いておるわけです。それらの処刑した者については、
ソ連政府
から何らかの機関を通じて
日本
側にわかるように連絡があるかどうかという点、さらに私はその人民裁判等によ
つて
死刑にな
つて
おる者に対して、これはまつたく不法に死刑にあ
つたの
でありまして、正常なる国際法上の手続を経て死刑にされたものではないと私は考えるのです。
従つて
これらに対しましては、
損害
賠償
を要求することも、
講和
後に持ち越された問題であり、
日本
の権利であろうと私は考えるわけであります。従いましてそれらにつきましては、今から十分なる資料を収集しておく必要があると私は考えます。外務省におきましては、未復員の調査をされ、資料を集めておられますが、それと同時に、それらの不幸な、死刑等を執行された人人、しかも不法に正式な手続をふまずして、異国に消えた人々に対する資料の収集等にりきましても、十分
用意
がなければならぬと私は考えております。
従つて
外務省といたしましては、
独立
後においては、そういう
損害賠償等
を要求する権利があると考えるが、どう考えるか、あるいは
国際司法裁判所
に提訴するだけの権利もある、それらについてどういうふうに考えておるか、また資料の収集等の点についてはどういうふうにや
つて
おるかということも、あわせてこの際明らかにしていただきたいと思います。
草葉隆圓
66
○
草葉説明員
お話
のように、終戦直後におきます外地の引揚げが前後いたしまして、いろいろなこんとんとした
情勢
になりました。
従つて
たいへん不幸な
状態
が現出しましたことは、私どももよく了解をいたしております。従いまして引揚げの問題とあわせまして、外地にありました邦人の保護、なお未引揚者の引揚げその他の点につきましては、外務省は関係省と十分協力をいたしまして、現在もなお調査を強く進めておる次第であります。その結果によりましては、いろいろ今後に残された問題も生じて来ると存じますが、とりあえずは、外地の問題といたしましては、未引揚者の引揚げということに相当強く主力を注ぎながら、これが
促進
をいたしておる次第であります。
佐々木盛雄
67
○佐々木(盛)委員 私は繰返して申し上げませんが、答弁漏れしたから承ります。その人民裁判やその他のことによ
つて
、不法に、すでに殺されたというような人々に対しては、どう考えるか、未復員の問題とは別の問題であります。
草葉隆圓
68
○
草葉説明員
これは地域によりまして、いろいろかわつた
情勢
を来しておると存じます。引揚げの途中におきまする
情勢
において、あるいは外国部隊による処置なり、あるいは邦人同士の中における人民裁判等による問題がいろいろあると思います。今それらの事情を詳しく調査を進め、また調査をすでに完了しておるのもあります。なお不十分なものもあるのでありますが、現在ただいま申し上げたような調査を進めております。ただ外地におきます全部の場合が必ずしも一様な形では来ておらないと思います。
中山マサ
69
○中山委員 関連して——。この間鞍山から来ました手紙の中に、技術者でありますが、自分が知
つて
いる
範囲
内の技術はみんな向うの人に教えてしまつた。今することは何もない。向うでは帰るのはいつでも帰
つて
よろしい。しかし帰ることを受入れる国が十分なる運営をしていないのだということを言われているので、これは
米国
がじやまをしているのか、それとも
日本
自体がじやまをしているのか、その点が知りたい。何とかして帰れるように
英国
大使館に頼んでくれ、その一つの事実といたしましては、同僚であつたドイツ人が奉天まで出まして、そしてそこの
英国
領事館に頼んで、飛行機に便乗させてもら
つて
ドイツに帰つたという実例があつた。自分は船で帰らなければならないのだから、
日本
の方でも何とか
英国
の大使館にひとつ頼んで、船に乗れるような措置をと
つて
もら
つて
くれという手紙が長野県の小川平二先生のもとに参りましたので、私が頼まれて大使館まで行
つて参つたの
でありますが、外務省は外務省として、こういう
事件
をどういうふうに取扱
つて
くださ
つて
いらつしやるのでございましようか。そしてドイツに帰つた実例があるのでございますから、私は私としていろいろお願いして参りましたけれども、外務省はどういう措置をと
つて
——こういうふうに向うでは、いつ何どきでも帰
つて
いいのだとい
つて
おりますにもかかわらず、帰るところの措置がとられていないことをまことにふしぎに
思つて
、
日本
がじやまをしているのかということを問い合せた手紙が現在来ておりますので、私は外務省のこれに対する今後の態度を承りておきたいと思います。
草葉隆圓
70
○
草葉説明員
まだ相当数の邦人が
中共
地区に残留しておると予想いたしております。従いましてこれらの人たちができるだけ早く引揚げをいたす方法を講じたい、今
お話
にありました飛行機はほとんど
中共
地区かちはなか
つたの
でありますが、シベリア地区かちは飛行機の場合がありました。
中共
地区からは船で個人的に帰
つて
来られました方々が相当数に達しております。しかし個人上りもむしろ集団引揚げというものがどうしても必要であると存じまして、従来とも
司令部
を通じて、
司令部
はさらに
中共
を
承認
しております
関係国
を通じて強く
日本
の懇請を取扱
つて
くれられておるとかたく信じておりますが、不幸にして今日までその実際の開始ができずにおる次第でございます。しかし今後とも
中共
地区の引揚げにつきましては、外務省といたしましても、根気強く懇請をして参りたいと存じております。
中山マサ
71
○中山委員 集団引揚げはまことに望ましいところでございますけれどももし集団引揚げまで間がございますものならば、私はたとい単独であろうとも引揚げ得る者は、今のようにいつ何どきでも帰すのだというような場合には、手紙を出すことによりまして出国の証明書をとらせて、何とかそこに処置が願えないものであろうかということを私は強く要望するのでございます。集団というものはなかなかや
つて
くれませんので、帰れる者は先に呼びもどすという方法をと
つて
いただきますれば たとい一軒の留守家族でも助かるであろう。それが一つ。 もう一つは きのうの新聞でございましたか、長崎に帰
つて
参りましたところの拿捕された漁船の人たちの報告によりますと、向う側はマ・ラインを一つも厳守していないのだというようなことがございますので、マ・ラインまでだと
思つて
出漁する人でも、向うがそれを認めない場合には、次々と拿捕される
可能性
があると思いますが、そういう問題はどこへ持
つて
行
つて
そのマ・ラインを確認してもらうか、そこまで侵さない者は拿捕されないようにするという御措置は、どういうふうにしていただいておるのでございましようか、伺
つて
おきたいと思います。
草葉隆圓
72
○
草葉説明員
お話
の通りにまだ集団引揚げが困難な
情勢
にありますので、その間できるだけ個人引揚げを進めて、個人引揚げの場合には、今
お話
のように出国の手続を大体向うはと
つて
くれておると存じます。また今まで引揚げて来た人たちの実際を聞きますと、そういう手続を向うも了承しながら進めてくれておりますが 問題は船便でございまして、結局現在は定期航路を
日本
も持たないし、また一定の航船がないような
状態
でありますので、この船に
日本
から船賃を寄託して処置をするというような方法がとれにくいので、
日本
国内
の留守家族もその点にたいへんに困
つて
おられるし、また
政府
といたしましてもこの処置に困窮いたしておる次第であります。ただ今まで帰
つて
来られました実情は、たまたま出国のすベての手続が済んで、偶然に寄港した船に最も理解ある処置をと
つて
もら
つて
、乗船させてもら
つて
帰
つて
来たという
状態
にな
つて
おると思います。この船便とそれらの旅費について最も現在は
困難性
がありまして、これらの点の処置に実は具体的には困
つて
おるような次第であります。 また漁区のマツカーサー・ラインの問題につきましては、
日本
の漁業はマツカーサー・ラインの
範囲
内において現在出漁を許可されておる次第でありまして、マツカーサー・ライン外に出ることは禁ぜられておる次第でありますから、
日本
漁船は
お話
の通りにマツカーサー・ラインをかたく厳守して、その中で漁撈に従事いたしておる次第であります。昨年来漁船の拿捕
事件
等がありまして、たいへん心配いたす
情勢
をたびたび見て参
つて
おるのであります。これらの点につきましては
日本
としましては、
日本
の漁撈がマツカーサー・ラインを越さないように監視船をして監視せしめますと同時に マツカーサー・ライン内において安全なる漁撈をいたしておるものを拿捕されるということはまことに不穏当であり、国際関係におきましても当然これは不法なことでありまして、これらの現実の問題が従来しばしば起こりましたから、この問題につきましては
司令部
等にそういうことのないように現在懇請をいたしますと同時に、従来から拿捕されました船の返還等につきましても、
交渉
を進めて参
つて
おる次第であります。
中山マサ
73
○中山委員 私が
英国
大使館に行つた
交渉
の結果といたしましては、出国証明書をと
つて
上海まで出て来て、二箇月先の乗船契約をした場合に、あるいは
中共
から出る人たちがほんとうに
日本
に帰らないかもしれないというおそれをも
つて
それを拒否するかもしれない、その場合には、ここの大使館に連絡をと
つて
もらえば、この人は必ず
日本
に帰る人であるという証明をしてやるということをこの間おつしや
つて
いただきましたのでございます。そうして参りますと、今の船賃の問題にな
つて
来ると思いますが、それは何とかしていただけるものでございましようか、その点私は伺いたいのであります。もしいわゆるブツキングができまして、その船賃の問題があつたときに、
英国
の船でこちらへ着港したときに、
日本政府
が支払
つて
やるという保証でもしていただけるものでございましようか、その点はどうでございましようか。
草葉隆圓
74
○
草葉説明員
上海等の場合は、今のような
お話
で話が進んで参りますと、十分その留守家族もそれこそ心をおどらせて待たれることだと存じますから、船賃等の問題につきましては、あるいは
政府
として困難な場合においても、他の方法によりましてもそれは
可能性
がありはしないかと思われます。ただ
中共
の北の方なり、地域によりましてずいぶん違
つて
おるようでございますから、一口には申し上げかねるとは存じますけれども、確実にさような場合は、これはいかような方法でもあるいは講じ得る方法がありはしないかと存じます。
守島伍郎
75
○守島
委員長
米原君。
米原昶
76
○米原委員 岡崎官房長官がおられないので、私も追放解除の問題については、簡単に一つだけお聞きします。 私の聞きたいと
思つて
おりましたのは、佐々木委員が先ほど言われた点に尽きるわけなのでありますが、それに対する
草葉
政務次官の
お答え
を聞いておりますと、佐々木委員が言われた、あたかも追放解除者を凱旋将軍のごとく迎えている実際の
事態
、これに対する認識がやはり不足しておるように思うのであります。このことがアジアの、ことに
日本
の
侵略
を受けて非常な
損害
を受けたアジアの諸民族に与える影響は、決して好ましいものではないと私は考えるわけであります。その点に関連してこういううわさを聞いておるのでありますが、今度の追放解除の問題が問題化しましたときに、フイリピン
政府
とオーストラリアの
政府
から抗議的な
意見
が出て来たという非常にもつともらしいうわさを聞いておるのであります。そういう事実があ
つたの
かどうか、こういう点を伺いたい。
草葉隆圓
77
○
草葉説明員
ただいまの御
質問
のようなことは、外務省といたしましては承知をいたしておりません。
米原昶
78
○米原委員 外務省としては承知をしておられないので、これはやはり岡崎官房長官がつかまえられましたときにお伺いすることにいたしまして、この問題は
あと
にします。 それから最初に問題になりました英米
会談
の問題に関連してでございますが、新聞で伝えておる北京の中華人民共和国の
政府
の方を認めるか、
台湾
の中華民国の方を認めるかという問題を
日本
に一任したということは、単なる情報の
範囲
を出ないわけで、実際にコミユニケには何も書いていない。しかし大体はそういうことがあ
つたの
だろうとわれわれは推測するのでありますが、そういう
意味
では
英米両国
の対立が伝えられておつたにかかわらず、それが相当接近して来たということは事実だと思うのであります。ところが新聞の情報を見ると、一方ではそういうふうにきわめて簡単に、これはいわゆる
米国
の
草案
を基礎にした
講和
が間もなくできるだろうというふうに一般には、書かれているにもかかわらず、
ロンドン
の
会談
があるいは準決勝だ、決勝じやないのです。こういうふうに伝えられて、何かまだ問題が残
つて
いるという報道があるわけであります。われわれとしてはそういう点がどういう点かと想像するよりほかにないのでありますが、この中華人民共和国と中華民国と、そのどちらかを
日本
にまかせるということだけでも、それだけの問題としては若干おかしい点があると思う。まだもう一つ何か
条件
があ
つて
、それが未
解決
なので最終的な
解決
に到達し得ないといわれているのではないかと思われるのであります。そこで考えられるのは、
朝鮮
事変の
解決
ということ、それからソビエトの最後の
覚書
でありますが、こういうことかまだ何かひつかかりが残
つて
おるのではないかと思われるのであります。
朝鮮
事変の
解決
に、この間もマーシヤル国防庁官が見えてどういう話があつたかしりませんが、そういう方面の情報は、外務省としてはどの程度とらえられておるのか、
朝鮮
事変はどういうふうに
解決
せられるという見通しであるか、こういう点を情報をできるだけ聞きたい。
草葉隆圓
79
○
草葉説明員
朝鮮
事変の動乱の見通しにつきましては、私ただいま
説明
いたしましたことが実は外務省といたしましての見解でございます。従いましてあれ以上特にこの対
日講和
の問題と関連したという
意味
は実は考えておらないのであります。
米原昶
80
○米原委員
英国
が対
日講和
の問題にせよ、極東の問題の
解決
についていろいろ異論を言
つて
来ましたのは、実際には
朝鮮
事変に関係があるかと思うのであります。
朝鮮
事変に非常に縛られている限り、
アメリカ
の軍事力が極東の方に集中されて行く。それがヨーロツパの、いわゆる英米の考えているヨーロツパの防衛でありますが、そういうことが不可能にな
つて
いるという点に不安があるからだと思うのであります。そういう
意味
ではやはり
朝鮮
事変の関係は、非常に密接なものを持
つて
いるのじやないか。また中華民国か中華人民共和国かという問題も、
朝鮮
事変と密接な関係があるのじないかと考えざるを得ないので私は聞いたのでありますが、その点が情報が明らかでないとすれば、もう一点先ほどの政務次官の
説明
では、ソビエトの新しい
覚書
の問題でありますが、前の
覚書
と
内容
が同じだというような御
説明
でありましたが、この具体的の最後の
覚書
に書いてある点を見ますと、もちろん今までソビエツトが言
つて
来たいわゆる
外相会議
、これは
米国
の
回答
に対して、いわゆるポツダム協定の文書を引用して、
外相会議
を持つのは当然であるということは反駁はしております。しかしながら実際に
提案
しておる最後の
提案
を見ると、その
外相会議
の問題には最後の
提案
では触れないで、この七月、八月中に対
日戦
に軍隊を
派遣
して参戦したすべての国の
代表
より成る
講和会議
を聞くべきであるという具体的
提案
をやつたわけであります。しかもそれがどういう形であるかというと、現在ある対日
講和条約
の諸
草案
は、
米国
案、
英国
案いろいろあると思うのでありますが、そういうものを検討するだめに、対
日戦
に参加したすべての国が参加して、
講和会議
を七月、八月中にやるべきであるという、これが今までにソビエトが
提案
したものとその点が非常に違うのじやないかということは、常識的にもわれわれ考えられるのでありますが、全然米英
会議
のコミユニケではこの点に触れていない。
外相会議
の問題には触れておりますが、この点を全然無視してあのコミユニケが発表されたところに、何か問題が残
つて
いるのじやないかとうかがわれるのであります。しかもこういう形の
講和会議
ということになりますと、これは明らかにいわゆる全面
講和
でありまして、これをしかも一方的に拒絶するという形になると思うので、非常に問題が残
つて
来るのであります。しかも
日本
側が、こういうものを拒絶した形で新しい
講和条約
を受諾するということなにると、九月二日の例の降伏文書における
日本
の義務、これに違反することにおのずからなるのじやないかと考えるのであります。その点についての見解を聞きたい。
草葉隆圓
81
○
草葉説明員
従来からソビエトは三回ほど対
日講和
についての
覚書
と申しまするか、
質問
的
回答
と申しまするか、それを
アメリカ
に送
つて
おると存じます。今回のは、なるほど
お話
のありましたように、期日を定めてそうして参加国の
会議
等を示しましたことと、多分記憶いたしておりまするのは、
日本
の再軍備についての問題を黙認しておるような形において
回答
しておつたと記憶しておりまするが、しかしただいま
お話
にありまするように、対
日戦
に参加したすべての国を参加せしめましても、その
内容
におきましては、従来通りに四大国のいわゆるポツダム方式による拒否権付審議というものが
中心
の考え方にな
つて
おりましたら、多数、それ以上いくら集まりましても、審議形式というのは従来とかわりがないという結果になりはしないかと存じます。
米原昶
82
○米原委員 その点を私は聞いておるのでありまして、この
覚書
が出ました当時一部の新聞に報道された、今おつしやいました点が、具体的な
提案
としてはひとつも触れられていないのです。問合せもせず、全然この点には触れない。結局この点には
回答
していないという形にな
つて
おる。こういうことで問題はまだ残
つて
おるということなんです。
草葉隆圓
83
○
草葉説明員
御
質問
の結局準決勝という
意味
は、まだこれらの問題、極東の問題、ソビエトの
回答
の
問題等
が残
つて
おるから、いわゆる決勝でなしに準決勝という見解が生じて来るではないか、その中にはただいま
お話
がちりましたような
問題等
を含めての
意味
においてのことではないかという御
質問
であつたと存じます。しかしこの
講和
の問題につきましては、
日本政府
の観測といたしましては、ただいま
情勢
報告を申し上げました通りに、準決勝というのはいわゆる
ロンドン
会談
におきまする最後の仕上の一歩手前であ
つて
、今度
ダレス
さんあるいは
アリソン公使
等が各地をまわ
つて
帰りましての
草案
がいろいろつくられて、これを
関係国
に最後に示すことによ
つて
のしめくくりができると存じておりますので、
従つて
その間、先ほど
情勢
報告で申し上げました以外に、特にこの問題について、こんとんとした
状態
は現在ではないと存じます。
米原昶
84
○米原委員 それではもう一点だけ、これはこの
委員会
でたびたび問題に
なつ
たかもしれませんが、この
覚書
で非常に詳しく
外相会議
の点が論ぜられておるが、法的に
政府
としてはどういうふうに解釈しておられるかという点を聞きたいと思う。このポツダム協定を見ますと、はつきりとこの
外相会議
の設置の意義が前文に書いてある。これには
講和会議
の準備は要するに
外相会議
でやるべきだということが最初に原則的に出ておるのです。その
あと
で緊急に結ぶべきものとしてヨーロツパのことが書いてある。またドイツのことが書いてある。原則問題としては、
講和会議
はこれで全部やるということが最初に書いてある。その点をソビエトの
覚書
も指摘しておるので、そこに議論があると思う。原則としては、この協定をそのまま読めば、ヨーロツパのことも
日本
のことも何も書いていない。原則としては来るべき
講和会議
の準備は
外相会議
でやるのだということが最初に書いてあるわけです。ソビエトの
覚書
も明らかに指摘しておるのです。その点を
政府
としてはどう解釈しておるか、またどういう態度をとられるかということについてお伺いいたしたいと思います。
草葉隆圓
85
○
草葉説明員
これは当時参加いたしました国々が、それぞれその当時の
状態
を元にしてあるいは
回答
し、あるいは
質問
をしておられますので、ソビエトの
覚書
に対しまして従来とも再三
アメリカ
も
回答
いたしておるのでありますから、その
両国
の
質問
並びに
回答
に対しまして、
日本
がこれに註釈を加えることは妥当でないと存じます。
米原昶
86
○米原委員 そうではないのです。
日本
の
立場
として法的にどちらが正当か、条文をそのまま読んでどちらが正しいと解釈せられておるかということなんです。今までのソビエトと
アメリカ
で往復された
質問
なり
回答
なりを見ますと、ソビエトの方は
外相会議
設置の根本問題の最初に掲げておるところを強く言
つて
おるわけなのです。それから
アメリカ
の方は、この
あと
に出て来るいろいろな具体的な問題としてあげられておる問題、つまり緊急かつ重要な任務として
外相会議
はこういうことをやるのだと書いてある、そのことだけを言
つて
おるわけです。その点をどう解釈しておるかという点です。
草葉隆圓
87
○
草葉説明員
当時の
会議
におきまして、
ソ連
もこれを
承認
しながら十分承知をいたして進んでおられると存じますから、当時の
会議
の問題についてこれを
承認
し、あるいは参加した国々との間の問題として私ども従来ともその
覚書
なり
回答
に対しましては、十分細心の注意はいたしておりまするが、
日本政府
として、その宣言あるいは条文に対して、両方の国々がいたしておられます解釈に新しい解釈を加え、これを批判するという必要もないと存じます。
守島伍郎
88
○守島
委員長
それでは本日はこの程度で散会いたします。 午後零時二十六分散会