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1951-05-09 第10回国会 衆議院 外務委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年五月九日(水曜日) 午前十時二十五分
開議
出席委員
委員長
守島
伍郎
君
理事
北澤 直吉君
理事
佐々木盛雄
君
理事
竹尾 弌君 大村 清一君 菊池 義郎君 仲内 憲治君
福田
篤泰君
並木
芳雄君
武藤運十郎
君 高田 富之君 高倉 定助君 黒田 寿男君
出席国務大臣
法 務 総 裁 大橋 武夫君
出席政府委員
外務事務官
(
政務局長
)
島津
久大君
委員外
の
出席者
外務事務官
(條約
局條
約課 長)
高橋
通敏君 專 門 員 佐藤 敏人君 專 門 員 村瀬 忠夫君 ――
―――――――――――
三月二十六日
委員近藤鶴代
君
辞任
につき、その
補欠
として福 田一君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十七日
委員福田一
君
辞任
につき、その
補欠
として
近藤
鶴代
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
三月二十八日
平和擁護
に関する
決議案
(
河田賢治
君外二十五 名
提出
、
決議
第七号) 同月二十九日
国際連合教育科学文化機関憲章
を受諾すること について
承認
を求めるの件(條約第三号) 同月二十八日
戦犯者
の
減刑助命
に関する
請願
(
増田甲子
七君 外一名
紹介
)(第一五六五号) 四月二日
戦犯者
の
減刑助命
に関する
請願
(
滿尾
君亮君紹 介)(第一七三八号)
全面講和等
に関する
請願
(
砂間一良
君外一名紹 介)(第一七三九号) 同月十三日 グリニツチ島の
燐鉱石採掘
に関する
請願
(庄司 一郎君
紹介
)(第一八六〇号) の審査を本
委員会
に付託された。 三月三十一日
海外同胞救出国民運動費国庫負担等
の
陳情書
(第四九六号)
海外
同
胞引揚完了促進
に関する
陳情書
(第五〇一号) 四月六日 比島に
使節派遣
に関する
陳情書
(第五九九号) 五月四日
国際社会復帰
に関する
陳情書
(第六四〇号)
在外資産補償
の調査に関する
陳情書
(第六五八号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
国際連合教育科学文化機関憲章
を受諾すること について
承認
を求めるの件(條約第三号)
国際情勢等
に関する件 ――
―――――――――――
守島伍郎
1
○守島
委員長
ただいまより
外務委員会
を開会いたします。 まず
国際連合教育科学文化機関憲章
を受諾することについて
承認
を求めるの件(條約第三号)を
議題
といたします。
政府側
より
提出理由
の
説明
を求めます。
島津政務局長
。
島津久大
2
○
島津政府委員
ユネスコ憲章受諾
に関する件の提案の
理由
を御
説明
申し上げます。
ユネスコ
は、今次大戦中に
ロンドン
に参集しておりました
連合国亡命政府
の
文部大臣
を中心としまして構成されました
連合国文部大臣会議
を母体といたしまして、
世界
平和の維持を
目的
とする
教育
、
科学
及び
文化
の
世界的組織
となることを目ざして発足をいたしたのであります。
ユネスコ憲章
は、一九四五年十一月十六日に
ロンドン
で作成されまして、一九四六年十一月四日に
効力
を発生いたしました。また
ユネスコ
は
国際連合
との間の
協定
によ
つて
、
国際連合
の
專門機関
にな
つて
おります。
ユネスコ
は、
国際連合
の
設立
の
目的
である国際平和と
人類
の共通の福祉に、
教育
、
科学
、
文化
の面を通じまして貢献をしようとするものであります。このために、いわゆるマス・コミユニケーシヨンの
方法
によりまして、
加盟国国民一般
に広く
知識
の
普及
をはかろうとするものであります。
加盟国
の数は、昨年十二月十五日現在で五十九箇国に達しております。
政府
はこの
機関
に
加盟
しまして、
国際教育科学文化事業
に
積極的協力
をいたすことは、はなはだ有意義であると認めまして、また国会におかれましては、
昭和
二十四年十一月二十九日に参議院、同年十二月一日に衆議院の
決議
によりまして、
政府
に対して
ユネスコ参加
のための
措置
を講ずることを要望され、
国内
にも広く
ユネスコ加盟
の希望が表明をされておりました
事情
にかんがみまして、かねて
加盟
の準備を進めておりましたところ、昨年十二月、
連合国
総
司令部
から、
わが国
の
ユネスコ加盟
に異議がないとの
申越し
がありました。そこで
政府
は、ただちに
ユネスコ事務局
に対しまして、
わが国
の
加盟
を
申請
いたしました。
わが国
の
加盟申請
は、本年三月十四日、
憲章
の
規定
に従いまして、
国連経済社会理事会
の
過半数
による
承認
を得ました。この
承認
は、さらに本年六月
パリ
で開催されます
ユネスコ執行委員会
及び
総会
に
提出
され、
執行委員会
の
過半数
及び
総会
の三分の二の多数による
承認
を得ることが必要であります。
政府
はこれらの
承認
によ
つて
、
わが国
がこの
憲章
を受諾して、
ユネスコ
の
加盟国
となり得る状態となりました場合には、
ユネスコ憲章
を受諾することといたしたい考えでございます。 何とぞ
愼重御審議
の上、すみやかに御
承認
あらんことをお願いいたします。
守島伍郎
3
○守島
委員長
次に
逐條説明
を求めます。
高橋條
約課長。
高橋通敏
4
○
高橋説明員
簡単に
ユネスコ憲章
の條を追いまして
説明
したいと思います。
ユネスコ憲章
は、その内容、
活動
が非常に重要なものでありますが、その
規定
といたしましては、
前文
と十五箇條からなります非常に簡単な、法三章的な
規定
でございます。 初めは、この
ユネスコ憲章
の
前文
でございますが、これはこの
憲章
の
主義精神
を最も確定主張したものでありまして、原則的な重要な意義を持
つて
いると考える次第であります。 御
承知
の通り、ここにはまず初めに、「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」この有名な文句がうたわれている次第であります。そうしてこのために、
政府
間の政治的または経済的な
協定
ももちろんでございますが、真の平和は「
人類
の知的及び
精神的連帯
の上に築かなければならない」ということをはつきり宣言しているわけでございます。そしてこの認識に基きまして、
憲章
の
当事国
は、すべての人に
教育
の十分で平等な
機会
を与えること、それから
客観的真理
が拘束を受けずに探究されること、それから
思想
や
知識
が自由に交換されること、そして
国民
の間において、これらの
相互
の伝達の
方法
を発展させる、そしてこの
基礎
のもとに
相互理解
をますます深くし、進めるということをうた
つて
いる次第であります。こういう
目的
のために「ここに
国際連合教育科学文化機関
を創設する。」ということをうた
つて
いる次第であります。 その次は本文に入りまして、第
一條
にまず
目的
及び
任務
をうた
つて
いる次第でありますが、大ざつぱに申しますれば、この
目的
、
任務
としますところは、まず第一に諸
国民
間の
相互理解
の仕事に
協力
し、必要な
国際協定
を
勧告
すること。次は民衆の
教育
と
文化
の
普及
とに新しい
刺激
を与えること。その次、Cとしまして、
知識
を維持し、増進し、かつ
普及
すること。この
三つ
の
目的
ないし
任務
とすることをうた
つて
いる次第でございます。そしてこれがために、いわゆるマス・コミニユケーシヨンと申しておりますが、
大衆通報
のあらゆる
方法
を用いること
——大衆通報
と申しますのは、
新聞
、
ラジオ
、
雑誌等
、その他あらゆる
方法
で、
大衆
に対しましてその
思想
を伝達し、理解させるというような簡単な
方法
でありまして、これによ
つて
諸
国民
が
相互
に知り合うということであります。 それから
教育
と
文化
の
普及
とに新しい
刺激
を与える。そのために
加盟国
の要請によりまして、
教育事業
の発展のためにその国と
協力
する。 それから人種、性または経済的もしくは社会的な差別にかかわらない
教育
の
機会均等
の理想を進めるために
協力
する。それから児童に対する
教育方法
、これも
考慮
しなければならないということであります。 そして第三の
目的
として
知識
を維持し、増進し、かつ
普及
することといたしましては、「
世界
の遺産である図書、
芸術作品
並びに歴史及び
科学
の
記念物
の保存及び
保護
を確保し、且つ、
関係
諸
国民
に対して必要な
国際條
約を
勧告
すること。」というようなことをここで
規定
しておる次第であります。 ただここで特に断
つて
ありますのは、第三項といたしまして、こういうことと、いわゆる
国内事項
または
国際法
上もつぱら一国の
管轄
に属する
事項
とい
つて
おりますが、その問題との
関係
を明らかにしているわけであります。「この
機関
の
加盟国
の
文化
及び
教育制度
の独立、
統一性
及び実りの多い
多様性
を維持するために、この
機関
は、
加盟国
の
国内管轄権
に本質的に属する
事項
に干渉することを禁止される。」従いましてこういう
方法
で
相互
協力
するということでありましても、
国内事項
に干渉することは、当然
国際法
上禁止にな
つて
おる次第であります。 第二條は
加盟国
の
地位
、すなわちどういう
国々
が
加盟国
たり得るかということを
規定
しておる次第であります。まず第一に「
国際連合
の
加盟国
の
地位
は、
国際連合教育科学文化機関
の
加盟国
となる
権利
を伴う。」すなわち
国際連合加盟国
は当然
ユネスコ
の
加盟国
たり得る次第であります。 それから
国際連合
の
加盟国
でない国、それもやはり特定の
手続
を経ることによ
つて
加盟
することを得る次第であります。その
手続
と申しますのは、これは
わが国
の場合もそうなのでありますが、まず
申請
をいたしまして、その
申請
が
国際連合
の
経済社会理事会
の
過半数
の
承認
を受けること、そしてその次に
ユネスコ
の
機関
であります
執行委員会
の
勧告
があること、これも多数決の
勧告
であります。この
二つ
の
勧告
に基きまして、
総会
の三分の二の多数で
機関
の
加盟国
となることができる次第であります。 この
二つ
の
方法
があるのでありますが、第一の
方法
、すなわち
連合国
であ
つて
、当然
加盟国
たる
地位
を獲得するのでありますが、そういう意味で
加盟国
と
なつ
たものは、ただいま五十一箇国であります。しかし反対に
国際連合
の
加盟国
ではありますが、当然その有する
権利
を行使しなかつたものと申しますか、
加盟国
でありながら
ユネスコ憲章
に
加盟
の
手続
をとらなかつたものと申しますか、そういう
国々
としては、国をあげてみますと、
白ロシヤ
、チリー、エチオピア、アイスランド、ニカラグア、パラグワイ、ウクライナ、
ソ連
邦、イエーメンというような
国々
が、
国際連合国
でありますが
憲章加盟国
では、ございません。他面
国際連合加盟国
ではなくて、しかもこの
ユネスコ憲章
の
加盟国
となりました国といたしましては、現在八箇国ございます。これも国をあげてみますと、オーストラリア、セーロン、ジヨルダン、ハンガリー、イタリア、朝鮮、モナコ、スイスというような
国々
でございます。 第三條以下は、この
ユネスコ憲章
の
機関
、いわゆる諸オルガンと申しますか、諸
機関
を定めておる
規定
でおります。この
機関
として
総会
と
執行委員会
と
事務局
の
三つ
が掲げてあります。
総会
と申しますのは、簡単に申しますれば
最高
の
意思決定機関
であり、
執行委員会
はその
実施機関
、それから
事務局
は
事務
をする
機関
、この
三つ
の
機関
が存在するわけであります。繰り返して申しますれば、
総会
の構成を申しますと、
機関
の
加盟国
の
代表者
から構成される。
加盟国
の
代表者
は五名以下の
代表
を
任命
することができるわけであります。その際に
国内委員会
が
設立
されているときは、これと各
加盟政府
は協議してその
代表者
を
任命
しなければならないという
規定
が掲げてあります。 この
総会
の
任務
としますところは、
機関
の政策と
事業
の主要な
方針
を決定すること。すなわちこの
最高
の
意思決定機関
ということが言えると思うのであります。そして必要な場合には、
教育
、
科学
及び
人文学
と
知識
の
普及
とに関する
国際会議
を招集する。今までたびたび種々なる
国際会議
を招集しているわけであります。たとえてみますれば、一九四九年六月、デンマークで
成人教育
に関する
国際会議
というのが開かれ、また同年の六月には
パリ
で
科学文献抄録
に関する
国際会議
が開かれました。そしてこの
国際会議
には
日本
からも
オブザーヴアー
が出席することができた次第であります。それから同年の八月には、
自然保護
に関する
国際技術会議
というのが開かれております。また
パリ
で一九五〇年の三月には
点字統一
に関する
国際会議
というのが開かれておりまして、この
会議
には
日本
からも
オブザーヴアー
が出席いたしております。こういうふうな
国際会議
を招集することのほかに、
総会
は
勧告
や
国際條
約をやはり
採択
する次第であります。そして今まで数多くの
勧告
をなしております。また
国際條
約も、これは数は多くはございませんが、従来二、三
採択
にな
つて
いる次第であります。すでに
総会
が
採択
しました條約としましては、第三回
総会
で
教育
的、
科学
的及び
文化的性質
の
聽視覚的資材
の流通を促進する
国際協定
、それから第五回の
総会
で
教育
、
科学
及び
文化
上の
資材
の輸入に関する
協定
というような
協定
が
採択
にな
つて
おります。そして「各
加盟国
は、この
勧告
又は條約が
採択
された
総会
の閉会後、一年の期間内に、その
勧告
又は條約を
自国
の
権限
のある
当局
に
提出
しなければならない。」という
規定
がございます。それから次は、
総会
はやはり
国際連合
との
関係
に関する
権限
を持
つて
おりまして、
国際連合
にも
助言
を与えるのでございます。また
加盟国
が
ユネスコ当局
に対していろいろな
報告
を出すのでありますが、この
報告
を受領し及び検討する。その他
事務局長
の
任命
、いろいろなこまかい
権限
が定められております。 そうしてこの
加盟国
は
総会
において一個の
投票権
を持
つて
おります。
代表
は五名の
代表
を
任命
しておるのでありますが、
投票権
は一個の
投票権
を有する。それから
決議
は
過半数
によ
つて
行います場合と、重要な問題の三分の二多数によ
つて
行う場合とがございます。 次は
手続
及び
オブザーヴアー
に関する
一つ
の技術的な
規定
であります。少くとも
総会
は
通常会期
として毎年会合いたします。また
臨時会期
として会合することもあります。 以上がごく大
ざつぱな総会
に関する逐條的な御
説明
でございますが、今度は
総会
の
意思
を実行する
機関
として、ここに第
五條
以下に「
執行委員会
」というのが書いてあります。
執行委員会
は、
加盟国
が
任命
した
代表
の中から
総会
が選挙した十八人の
委員
及び
助言的資格
で職権により列席する
総会議長
で構成する。」おもに
加盟国
の
代表者
の中から選挙した十八人の
委員
で構成するわけであります。但し同一の
加盟国
から二人の
委員
を出すわけには行かないということが
規定
されております。またこの
委員
の選挙にあたりましては、「
文化
の
多様性
及び均衡のとれた
地理的分布
にも
考慮
を払わなければならない」ということを書いております。 次は、そのほかこの
執行委員会委員
の
任期
の
規定
、それから
会議
における
任務
でございます。すなわち「
総会
の権威の下に行動する
執行委員会
は、
総会
が
採択
した
計画
の
実施
に
責任
を負い、且つ、
総会
の
議事日程
及び
事業計画
を準備する。」すなわち
総会
の
採択
した
計画
を
実施
することがその主要な
任務
とな
つて
おる次第であります。次にこれは
定期会合
として、毎年少くとも二回会合しなければならない、また
特別会期
として会合することもある次第であります。 それから次は、
事務局
の
規定
でありますが、「
事務局
は、
事務局長
及び必要な
職員
で構成する。」
事務局長
の
任命
は、
総会
が
承認
する
條件
で
執行委員会
が
指名
する。
執行委員会
が
指名
して、
任命行為
は
総会
がこれを行う次第であります。
任期
は六年であります。それから
事務局長
が
事務局職員
を
任命
するわけであります。この
事務局職員
の
任命
は、誠実、能率、
技術的能力
の
最高水準
を確保することに最大の
考慮
を払うことを
條件
として、できる限り広い
地理的基礎
に基いて行わなければならない。またこの
職員
がどういう
性質
のものであるかということを第五項に
規定
しておるのでありますが、
職員
はもつぱら国際的なものである、いわば
一つ
の
国際的役人
としての
地位
を持
つて
おるのでありまして、その
任務
の
遂行
にあたりまして、いかなる
政府
からも、またこの
機関外
のいかなる権力からも訓令を求め、また受けてはならない。またこの
機関
の
加盟国
の側におきましても、
事務局長
及び
職員
の
責任
の国際的な
性質
を尊重すること、またこれらの者の
任務
の
遂行
にあたりまして、これらの者にいろいろな影響を与えたり、左右しようというようなことのないことを約束しなければならないという
規定
を置いております。 第七條に参りますと、先ほど、
ちよ
つと触れました
国内協力団体
の
規定
でありまして、「各
加盟国
は、
教育
、
科学
及び
文化
の
事項
にたずさわ
つて
いる
自国
の主要な
団体
をこの
機関
の
事業
に参加させるために、その
特殊事情
に即する
措置
を執らなければならない。」そうしてその
措置
としてここに
一つ
示唆しておりますが、「広く
政府
及びこれらの
団体
を
代表
する
国内委員会
の
設立
によることが望ましい。」ということを申しております。そうしてこの
団体
は「
総会
における各
自国
の
代表団
及び
自国
の
政府
に対して
助言的資格
で行動し、且つ、この
機関
に
関係
があるすべての
事項
について
連絡機関
としての
任務
を行う。」というような、その
任務
を
規定
しております。前に申しましたように、各国が
代表団
を
任命
するときも、この
機関
と協議するというようなことが示唆されております。 それから次は
加盟国
による
報告
でございますが、先ほ
ども
申しましたように、
加盟国
は
総会
に対して定期的な
報告
をする、特に
教育
、
科学
、
文化
の
活動
及び
機関
に関する
自国
の法令や
規則
や統計について、並びに
勧告
や條約に基いてとつた
措置
について、
報告
しなければならない次第であります。 次はこの
機関
の
予算
でありますが、
予算
に関連しまして、各
加盟国
は
財政的負担
の割当を
承認
する、すなわち各
加盟国
は、それぞれいわゆる
分担金
というものを
負担
する次第であります。これはあとでまた詳しく御
説明
あることと思いますが、
分担金
はほかの場合と同じく、その
予算
とその国の
国民所得
を
基礎
として計算するのであります。そしてたとえば本年における
ユネスコ
の
予算総額
は約八百二十万ドルでありますが、それに対しまして、
わが国
の
国民所得
から計算しますと、約一・九八%が
わが国
の
負担
になるのじやないか、すなわち約十六万ドルというふうな、ごく大ざつぱなところでありますが、こういうふうな計算になるのじやないかと思います。 それから第九條におきましては、
国際連合
との
関係
でありますが、すみやかに
国際連合
との
関係
を持たせる。これは
協定
がすでに
国際連合
との間になされまして、その
国際連
の
一つ
の
專門機関
と
なつ
た次第であります。 その他第十
一條
におきましては、単に
国際連合
のみならず、他の
国際機関
との
関係
におきましても、種々
連繋関係
を持つことができるということを
規定
しておるのでありまして、今まで非常に多くの
国際機関
と
協力
をいたしておる次第であります。たとえば
国際労働機関
であるとか、
世界保健機関
、
食糧農業機関
、
郵便連合
、
電気通信連合
、
民間航空
というような多くの
專門機関
と
協力
しておる次第であります。 それからこの
機関
の
法的地位
としては、
国際連合
と同じような
一つ
の
法的地位
、すなわち
法人格
を持
つて
おる次第であります。 第十三條以下は、
改正
、
解釈
、
効力
の発生というふうな
規定
でありますが、
改正
につきましては、本質的な重要な
改正
は、
総会
で
採択
になりましてから、さらに
加盟国
の三分の二がまたそれを
承認
するということが必要であります。ささいな、軽微な
改正
は、単に
総会
の三分の二の多数によ
つて承認
を受けたときに、ただちに
効力
を発生する次第であります。かかる軽微な
憲章
の
改正
としまして、従来とは多少
改正
にな
つて
おる点もあります。それは軽微な
改正
でありますから、一々御
説明
申し上げる必要はないかと思いますが、大体第四條、それから第
五條
に関するいわゆる
会議
の
手続規則
というようなものではないかと考えております。 はなはだ粗雑でありますが、
説明
を終ります。
守島伍郎
5
○守島
委員長
本件に関する
質疑
は
次会
に譲ります。 —————————————
守島伍郎
6
○守島
委員長
次に
国際情勢等
に関する件を
議題
といたします。
質疑
を許します。
並木
君。
ちよ
つと
並木
君に申し上げますが、
法務総裁
はまだお
見え
になりませんから、お
見え
に
なつ
たら、そのときに
質疑
を許すことにいたします。
並木芳雄
7
○
並木委員
この一月余りの休会の間に、相当大きな動きがありまして、私
ども政府
に尋ねたいことが山積しております。
漸次質問
を繰広げて参りますが本日はとりあえず、きのうの
ソ連
の
覺書
につきまして、
政府当局
はどういう所感を持たれるか、それを
まつ先
にお尋ねしたいと思います。
島津久大
8
○
島津政府委員
ソ連
の
覺書
の問題につきましては、
新聞
でいろいろ報道されております。何分
全文
が十一ページにわたる長文なものという話であります。
全文
をよく読みませんと見当がつかないような実情でございます。なおまたこの問題は、かねて繰返して申しますように、
連合国
間の問題でございまして、
日本政府
はこれを批判するような
立場
にないわけであります。この点御了承願いたいと思います。
並木芳雄
9
○
並木委員
大体答弁はそう来るだろうと私は予期しておりました。きのう
ラジオ
で
岡崎官房長官
はやはり、
政府
としてはとやかく言えないけれ
ども
、これによ
つて
対
日講和條
約が遅れるようなことはないと思う、こういうことを言われておつたのです。この点いかがでしようか。
井口次官
が京都で
記者団
に語つたところによ
つて
も、
最終條
約草案は六月初めころにできて、
ダレス大使
も七、八月ごろには調印の運びになるよう努力する旨確言されたので、
政府
はこれに全幅の信頼を寄せておるというように語
つて
おられるのです。こういう点から考えても、今回の
ソ連
の
覺書
ないし回答というものを、むろん織り込んでこういう予測がなされておるものと見られるのでありますが、その点
政府
の御
見解
はいかがでしようか。
島津久大
10
○
島津政府委員
最初に
井口次官
の言明について
ちよ
つと申し上げておきますが、これは
次官談
というようなことではなくして、
記者団
の
質問
に対して、ごく非公式に常識的な話をしたということであるそうであります。何月ごろどうなろうというようなことを、外務省としてはつきり
見解
を申し上げたことではないのであります。しかしながら、御
承知
のように、
ダレス特使
は再三、
講和條
約を早く完成するという決意を述べられておるのであります。その
方針
には私は何らかわりはないものと思います。ただそれが今度のソビエトの出方に対して、どういうことになるかということは、これまた確たる見通しを申し上げる
立場
にないわけであります。報道によりますと、
アメリカ政府
は
既定方針
をかえないで邁進するというようなことが報道されておるのであります。
並木芳雄
11
○
並木委員
それでは
覺書
の中の
條項
について
一つ
。これは技術的な問題ですから、
政府
から答弁いただけると私は思いますが、
ちよ
つとお伺いしたいと思います。それは、引用されております中に、
アメリカ
は、
ポツダム協定
によ
つて外相会議
の
任務
は
講和條
約の
起草
であると
規定
しておるにもかかわらず、
講和條
約
起草
のための
外相会議
の招集を執拗に無視した、こう言われておるのであります。ここにいう
ポツダム協定
と申しますのは、一九四五年八月二日発表の
ポツダム協定
、そうしてその第二項に
外相会議
の設置という項目があります。これをさすものであろうかとも思いますが、この点どうでしようか。そうしてこれをさすとすれば、この中にはヨーロツパのことをあげておるのであ
つて
、これが対
日講和條
約に適用されないのではないかと思われるのですが、この点もあわせて御回答願います。
島津久大
12
○
島津政府委員
ただいま御
質問
の点は、大体
並木委員
の御
見解
と同様に
解釈
してよろしいと思うのであります。四五年の会談で、
日本
に関する
ポツダム宣言
というほかに、
ポツダム協定
というものがあります。これは欧州に関することでございます。これに基いて
外相理事会
というものが成立しておるのであります。そういうふうに
解釈
をいたします。
並木芳雄
13
○
並木委員
それからもう
一つ
、これは
解釈
の仕方になりますからお尋ねしておきたいのですが、
日本
の
軍備
の問題が触れられております。これに対して制限を設けないのはいけないというふうな書き方で、常識的にこれを私
ども
が拜見しますと、
日本
に
軍備
は全然禁止するわけではないのだ、
軍備
は許すけれ
ども
、ある程度の制限を必要とするというふうに
解釈
さるべきものであると思いますが、この点
政府
はどういうふうに読んでおられるか、お尋ねしたいと思います。
島津久大
14
○
島津政府委員
ただいまその報道の資料を持
つて
いないのであります。従いましてまた先ほど申し上げましたような
理由
で、
政府
の読み方というものを申し上げにくいのであります。御指摘になりました点をごく常識的に考えまして、何か非軍事化というようなものが先にありまして、それがあとでまた
軍備
の制限ということにな
つて
おります。その点はやはり正確な飜訳文というようなものでも見ませんと、何とも見当がつかない次第であります。
並木芳雄
15
○
並木委員
この
覺書
にも
日本
の
国際連合
加盟
ということを認めておりますが、
政府
としては
講和條
約前に
国際連合
に
加盟
を申込みをすることを考えておられるかどうか。これはもし
講和條
約が延びるということもあり得ることですから、
講和條
約を待たずとも、
講和條
約締前に
国際連合
に
加盟
の
手続
もできるかと思うのです。そういうことを考えておられるかどうか。
島津久大
16
○
島津政府委員
講和條
約前に
手続
をとり得ないことはないと思うのであります。ただいま、いつどういうふうにして
手続
をとるという決定までにはまだ至
つて
おりません。
並木芳雄
17
○
並木委員
それでは私はたくさんありますけれ
ども
、大橋
法務総裁
に対する
質問
に時間をいただきますから、今日はこれで打切
つて
おきます。
黒田寿男
18
○黒田
委員
関連して……。ただいま
並木委員
から問題にされました
ソ連
の
覺書
の内容ですが、私
ども
今まで
新聞
で見ておる程度以上知りません。これは外務省の方では詳しいことはわか
つて
おりますか。わか
つて
おれば至急ひとつ
委員会
の方へお知らせ願いたいと思います。
島津久大
19
○
島津政府委員
新聞
報道以外に何も
承知
しておりません。
黒田寿男
20
○黒田
委員
しかしそうしますと、何にもわれわれとしてはこれを早く知るという
方法
を持たないわけですが、外務省として特にその内容を一日も早く全面的に知る
方法
をと
つて
いただきたいと思います。ただ私
ども
新聞
で見ておるというだけでは、十分な判断はできませんから、特別にそのおはからいはできませんか。
島津久大
21
○
島津政府委員
われわれも御同様一日も早く
全文
を見たいと思
つて
おります。しかしこれは
日本政府
に示される
性質
の文書ではございませんが、極力早く入手したいと思
つて
おります。特別の
方法
はないように思
つて
おります。
黒田寿男
22
○黒田
委員
日本
に示されたものではありませんが、外務省は国際情勢については情報
機関
もありますし、
日本政府
に示されたものでないとしても、
日本
にと
つて
は非常に重要な問題でありますから、ただそのようにぼんやりした考え方でなくて、ひとつ情報
機関
を動員して、一日も早くその情報をと
つて
いただきたい。これは私の希望でありますが、おそらく私だけでなくて、
委員
全員の御希望でありましようし、
日本
の
国民
もぜひそれを欲している。ひとつぼんやりして待
つて
いるだけでなくて、至急全内容がわれわれに知り得られるような
方法
をとることに努力していただきたい。 それからもう
一つ
、これは
ちよ
つと
委員長
はお尋ねしますが、いつも国際情勢に関して
質問
いたしますときには、
委員会
から
委員会
の間における国際的動きについて、
政府
委員
からの一応の御
説明
があつたわけです。きようは
政府
は何もなさらないようですが、これはどういうわけですか。
守島伍郎
23
○守島
委員長
お答えいたします。実は昨日
理事
会を開きまして
政府
が各会ごとに前に
説明
するのは必要ない、こつちから要求するときだけにしようということをきめまして、今日は要求いたしておりません。ですからこれから先、皆さんの間でそういう御要求が非常に起りましたならば、また
理事
会に諮りまして、今までのようにやらせるようにいたします。今回は昨日の
理事
会できめましたように、要求いたしませんでした。
並木芳雄
24
○
並木委員
今必要ないという言葉がそのまま速記に載りますと、われわれあげ足をとられますから、断
つて
おかなければなりませんが、今までのような草葉次官のああいう
報告
は必要ない。あれをわれわれがとつつかまえて
政府
はどう考えるかと聞いても、これは外国電報、
新聞
報道なんですから、何も
責任
をとれない
報告
です。きよう吉田さんは何と言われるかわかりませんが、あとで
質問
したときに
責任
をと
つて
もらえる
報告
ならば、われわれは歓迎する。またそれを求めている。今までのようなあれでは、何も
政府
の
立場
がはつきりしておりませんから、ああいう種類のものは御遠慮願いたい。こういう意味ですから、一言断
つて
おきます。
守島伍郎
25
○守島
委員長
私の
見解
を申し上げます。きようは政務次官にも出ておりません。またこの次の次には、多分外務大臣が出ることになるだろうと思います。そのときには積極的にお話がございましよう。そこできのうの
理事
会の話では、私の言い方が少し言い過ぎだつたかもしれませんが、要するに内容のある
説明
をしてもらいたい、しかしながら一週間に二度も繰返す
委員会
に、内容のあるものをそのたびにやるということはなかなかできないであろう、そこらはうまいぐあいに見合せてやる、こういうことで、皆さんの御要求及び私の
見解
に基いて、その都度考えまして、要求したり要求しないことにしたい、そういうふうに思います。ほかに何か御
質疑
ありませんか。
黒田寿男
26
○黒田
委員
それからこれも議事進行についてでありますが、外務次官がおかわりになりまして、まだ
外務委員会
に——私もなるべく出席しておつたつもりでございますが、まだお出にならない。もしお出になれば、私
ども
もいろいろと
質問
をしたいと思います。これまたひとつできるだけ出ていただくように、
委員長
の方からも要求していただきたいと思います。
守島伍郎
27
○守島
委員長
彼は
政府
委員
ではございませんが、御要求がありますれば、その趣旨を伝えておきます。そしてできるだけ出席するように申します。 それからついでに黒田君に申し上げますが、これは私から言うことであるかないかしりませんが、私は外務省におりました経験から、外務省であの
ソ連
の通告文の
覺書
のテキストあるいは比較的正確なる内容を知ることは、もう御要求がなくとも、極力努めておると私は想像いたします。なお外務省側にも申し上げますが、極力できるだけひとつ早く知らせていただきたいと思います。
並木芳雄
28
○
並木委員
私はさつき自分だけの時間をと
つて
は申訳ないというので、御辞退したわけです。しかしほかに申込みがあつたようですが、その方が棄権されるならば、私の方へ時間をいただきたいと思います。
守島伍郎
29
○守島
委員長
ほかの方は棄権され、それから菊池君が要求されておりますが、御出席願えませんので、
並木
君御要求がございましたら、許します。
並木芳雄
30
○
並木委員
それでは私は外務
当局
に伺います。対
日講和條
約の草案をめぐ
つて
、この間ダレス氏が来訪されましたけれ
ども
、大体あの草案は、
政府
はこれを受取つたと言い、そして検討済みと思いますが、すでに検討済みであり、これに対して了承の段階を経ておるかどうか、それをまずお伺いしたいと思います。
島津久大
31
○
島津政府委員
ダレス特使
との会談の内容につきましては、従来総理から申し上げておる通りの状況であります。また本日も多分午後一括して
報告
があるはずでございますから、その際お聞き取りを願いたいと思います。
並木芳雄
32
○
並木委員
日米駐兵暫定
協定
の問題でございますけれ
ども
、これは当然対
日講和條
約と別個の
協定
または條約というものができるものと思われますが、それは準備されておるかどうか。
島津久大
33
○
島津政府委員
御指摘のような点は、当然特使との話合いの中にあつたわけであります。その具体的なことにつきましては、再々繰返しますように、何とも私申し上げる
立場
にないわけであります。三月三十一日でございましたか、特使がロスアンゼルスで演説されておる、あれをお読みになりますと、大体の構想がわかると思います。
並木芳雄
34
○
並木委員
あれは相手の国は
アメリカ
だけなんですか。それとも報道を読むと、必ずしも
アメリカ
一国には限
つて
いないのです。たとえば
アメリカ
のほかに英国などがこれに参加して、軍隊を駐留せしめるというような話がなかつたのですか。
島津久大
35
○
島津政府委員
その点は、私何も
承知
をいたしておりません。
並木芳雄
36
○
並木委員
その駐兵暫定
協定
は、講和後に当然
日本
が地上部隊というようなものを中心とした
軍備
を持つということを前提にしておるものと思いますけれ
ども
、
政府
はその点どういうふうに了解しておられますか。
島津久大
37
○
島津政府委員
いずれの場合にも、
軍備
を持つ、持たないというような問題は、決定をしたことはないと思うのでございます。ただいまのお話のように、
協定
の前提として
軍備
云々ということがどうな
つて
おるかということは、これまた私
ども
として言明の限りではございません。
並木芳雄
38
○
並木委員
日本
は相当広範囲の
協力
をしなければならないであろうと思いますけれ
ども
、この
協力
についてどういうふうに具体化しておられるか、その点をお伺いします。
島津久大
39
○
島津政府委員
話合いの具体的な段階に、どの程度まで行
つて
おるかという御
質問
と思いますが、これもはなはだ申訳ないのでございますが、たびたび繰返しますように、私申し上げる
立場
にございません。
黒田寿男
40
○黒田
委員
関連して……。これは国会の休会中の、日付の順序から申すと 一番早く問題になる
事項
として、私
ども
新聞
で知つたわけで、私もこれは
まつ先
に尋ねたいと思いましたが、きようは條約局長もおいでになりませんけれ
ども
、
新聞
で拜見しますと、西村條約局長、井口外務次官などが、シーボルト大使、ジヨンソン陸軍次官補その他の人々等と交渉に当
つて
おられる。それから、
井口次官
からシーボルト大使に対し、この問題に関して資料を
提出
した、こういうようなことも出ております。そこで私
ども
、これは非常に重要な問題でありますので、いろいろと
政府
に
質問
したいと思いますけれ
ども
、きよう條約局長も
見え
ておりません。先ほど
井口次官
のことを問題にしましたのも、実はこのことを
質問
したかつたからですが、きよう條約局長はどういうわけでお
見え
になりませんか。要求がなければ来ないということではなくて、少くとも外務省の各局長は、私
ども
どんなことを
質問
するかわかりませんので、いつも出て来ていただかなければならぬと思います。きようは何か特別な御
事情
があ
つて
おいでにならなかつたと思いまするが、この次にはぜひ出て来ていただきたい。 それから、きようは次官もお
見え
にな
つて
おりませんが、これもどういうわけですか。こういう
委員会
では、私
ども
用意しておつたことも
質問
できない。今
外務委員会
は非常に重要な
委員会
として、内外から注目されておりますので、ひとつ
政府当局
はもつと勉強していただきたいことをお願いしておきます。これは私も
質問
がありますが、きようはこれだけ述べましてこの次詳しく
質問
いたします。
守島伍郎
41
○守島
委員長
私から
ちよ
つとお答えいたします。数日前外務省に参りまして、そして政務次官は出られるかと聞きましたら、政務次官は何か旅行しているそうで出られないそうです。それから條約局長にはぜひ出てくれということを要求いたしておきましたが、何かよんどころない用事がございまして、きよう出られない、こう申して参りました。
次会
からはなるべく出るように伝えます。
佐々木盛雄
42
○佐々木(盛)
委員
議事進行と関連して、あえて私はこの際
政府
の注意を喚起しておきたいと思います。先ほどの
並木委員
の対米
覺書
に対する
島津政務局長
の答弁を聞いておりますと、非常にロジツクにおいて合わない点があります。あなたはフル・テキストがないから正確な答弁ができないという主張をされている。その背後には、もし正確なテキストが入つたならば、これに対する
政府
の
見解
を表明する用意があ
つて
のことだと私は考えるわけです。ところが第二段におきまして、この対米
覺書
なるものは、
ソ連
から
アメリカ
に対して行つた
意思
表示であ
つて
、第三国のものであるから、
日本
の関知するところではない、こういうふうな趣旨のことを述べられております。この
二つ
の間には、その背後にあなたのお持ちにな
つて
おります気持にも、非常にロジツクの合わない点がある。まつたくあなたの本日の答弁は、言いのがれの答弁としか私は考えることができない。そこで私は、何も正確なテキストがなくても、ただいま
新聞
に報道されている程度のものを材料として、われわれが
政府
の
見解
をただすことは十分できると思います。またこれらに対して
政府
の
見解
を表明することもできると思う。必ずしも正確な、一言半句も間違いのないテキストが来なかたつならば、これに対する
政府
の
見解
を表明することができないわけのものではなかろうと私は考える。現に外務省
当局
の
見解
として、
新聞
には報道されている面もあるわけであります。従
つて
これらの点につきましては、私は必ずしも正確な
全文
が来なければ、何らの
意思
表示ができないというようなことについては、この際私は
政府
委員
の者君たちの反省を求めたいと考えます。 それから同時に、これは第三国の間に行われた
意思
表示であ
つて
、
日本政府
の関知するところではないということに至
つて
は、私は言語道断だと思います。伝えられる
覺書
の中に、ただいま
ダレス特使
との間に話が進んでおりますところの、講和
会議
の方式の問題についても言及している。また條約の内容についても言及している。第三国の問題でないのみか、現に
日本
の運命を決定する重大な交渉が、今
ダレス特使
との間に進められて、あなた方自身がそれにタツチされている。これをまつたく対岸の火災のように、第三国の出来事であ
つて
日本
の関知するところではないというようなごときことは、国会に対しても、また
国民
に対しても、決して忠実なゆえんではないと考える。このような見地から、この
委員会
を
政府
委員
の単なる言いのがれの場にしないで、ほんとうにもう少し誠意をも
つて
、こういう問題とまつ正面にとつ組んでいただきたいということを、あえて
国民
代表
たるの
立場
に立
つて
、特に国会の権威の
立場
に立
つて
、
委員会
の尊嚴の擁護のためにも、私はあえて皆様方の注意を喚起しておきたいと思う。 なお
委員長
に申し上げておきますが、こういうふうな
政府
の態度の反省されない限り、当
委員会
の
会議
をここで継続しても無意味だと私は思う。幸いにして本日は総理から講和内容に関しての
意思
表示があるそうでありますから、それを終つた後、あらためてこの
委員会
を開いて
政府当局
の反省の上に立
つて
、新しく
委員会
を招集されて、そこでわれわれの意見を開陳いたしたいと思います。
島津久大
43
○
島津政府委員
ただいま反省をするようにという御意見が、ございましたが、私
ども
十分反省をいたしまして、誠意をも
つて
御答弁をいたしたいと思うのであります。先ほど御叱責になりました点は、私の言葉が足りなかつたと思いますので、もう一応繰返して申し上げたいと思うのでありますが、それをお聞きになりましたならば、おそらくただいまおつしやいましたことは見当が違
つて
おるということがおわかりくださると思います。 私が申し上げましたのは、ソビエトの例の
覺書
というものに対して、
日本
政府当局
として批判をする
立場
にないということが第二点であります。第一点で申しましたことは、批判するしないということとは無
関係
に、
新聞
に今まで出ておりますことが正確であるかどうかということは、
全文
を見てみなければわからない。従
つて
批判するしないという問題と離れまして、情報としてこれを研究するにも、今まで出ておる程度では正確を期し得ない、そういう趣旨でお話したのでありますから、決して私は言いのがれはいたしません。
並木芳雄
44
○
並木委員
ただいま佐々木
委員
から動議のような形で議事進行について発言がございましたけれ
ども
、私は
質問
している当事者なんです。佐々木
委員
は用意をされて来るはずでありましたけれ
ども
、きようはそれを棄権された。その
質問
している当事者の私から、別にああいう
政府
委員
を不信任するような発言はないのでありますから、まだ時間はあることですし、あともう少しと思いますから、続いて許されんことを希望いたします。 大橋
法務総裁
が
見え
ましたから、総裁にごく重要なことを二、三
質問
いたしたいと思います。 第一は、先般ダレスさんがおいでにな
つて
、重ねて間接的並びに直接的侵略ということをあげて、相当事態は容易ならぬものであることをわれわれに印象づけたのであります。この一箇月余りの間、国会が休会になりまして、総裁に
国内
治安の状態などについてお尋ねする
機会
がなかつたのを遺憾と思いますので、この
機会
にまずその後の
国内
治安一般状況についてお尋ねしたいと思います。それに関連いたしまして、共産党幹部の追放された者がいまだに逮捕されておりません。最近では懸賞までかけて搜査をするというようなことを、
新聞
の広告か何かで私は見たような気がするのですが、どうしてそんなにむずかしいのか。また一説にはわざと逮捕しないのだろうなどという流説も行われておるようでありますけれ
ども
、こういう点について私
ども
はまつたくその真相を知るに由がないのでありますから、この
機会
に総裁から御答弁いただきたいと思います。それから
思想
的の方面について共産党の非合法化の問題というものは、その後影をひそめたようにも思われますが、どうな
つて
おりますか。立消えにな
つて
おるかどうか。あるいは聞きますと、特審局の方面では相当の人員の増加をして
思想
取締りということをや
つて
おるようでございますが、この点もあわせてお伺いしたいと思います。 それからこれも
国内
治安に関連している問題ですが、警察制度の
改正
及び警察法の
改正
という話は、前からも総裁は非常に熱心に企画立案されておつた。これは
国内
治安とにらみ合せて非常に重要な問題であると思
つて
おりますが、この点総裁はあくまで断行されないのであるかどうか。私は総裁の運命をかけての問題であろうと思いますので、どういう決意をも
つて
警察制度及び警察法の
改正
について臨まれておるか、そういう点についてお尋ねいたします。
大橋武夫
45
○大橋国務大臣 御
質問
がございましたので、お答え申し上げます。第一に最近一箇月におきます治安状態の御
質問
でございまするが、この一箇月は選挙中でございまして、主として選挙の取締りに主力を注いでおつた次第でございまするが、選挙中におきましては、格別選挙以外に主要な治安上の問題は発生を見ておりません。ただ五月一日にはメーデーの
関係
で全国的に一応警戒はいたしましたが、幸いに無事故に過ぎたような次第であります。現在のところ、治安の問題につきまして、特に変化があつたというふうには私
ども
は考えておりません。この点につきまして
政府
といたしましては、警察予備隊の訓練は漸次その進捗を見ております。また警察につきましても、現在のところ治安上遺憾ない
活動
が期待できると考えております。 それから次に共産党幹部の逮捕の問題でございまするが、
日本
共産党潜行八幹部の所在につきましては、爾来
関係
各
機関
の緊密な連絡のもとに鋭意搜査を継続いたし、逐次搜査上進展は見ておりまするが、いまだ所在を発見するに至
つて
おらないのであります。その原因は種々ございまするが、調査人員の不足並びに調査費用、調査員の調査能力の不十分及び搜査に関しまする機動力の欠如等がおもなものでございまして、これらの点につきまして、ただいま対策を研究いたしておる次第でございます。なお懸賞金をかけて搜査をいたしておるという風説が伝えられたことがございまするが、搜査
機関
といたしましては、懸賞金をかけておるという事実はございません。それからわざと逮捕をしないのではないかという流説もあるようでございまするが、これはまつたく流説にすぎないわけでございます。さようなことは決してございません。 それから警察制度の
改正
の問題もありまするが、警察制度の
改正
につきましては、私といたしましては今年一月以来
関係
各方面と折衝をいたしまして、ほぼ成案を見るに至
つて
おりまするので、なるべくすみやかな
機会
に今国会に提案をいたしたいと考えております。 それからもう
一つ
共産党の非合法化の問題でございますが、共産党につきまして非合法化は、従来と同様の考えのもとに目下研究を進めておるような次第でございます。
並木芳雄
46
○
並木委員
追放解除に関連しまして、やはりこれは
国内
治安対策の意味も含まれているのではないかというふうに見る向きもありますけれ
ども
、その点はいかがですか。
大橋武夫
47
○大橋国務大臣 追放の解除と治安対策というものとは格別の
関係
はございません。
並木芳雄
48
○
並木委員
特審局の人員を増加して、
思想
対策に当
つて
おるということに対しての御答弁はいかがですか。
大橋武夫
49
○大橋国務大臣 特審局の人員につきましては、昨年八月ポツダム政令によりまして増員をいたしました。これは従来六百各程度のものでございましたが、この政令によりまして、約倍数の千二百程度に増員をいたしております。この増員は、その後引続き人員の採用をいたしておりまして、ほぼ完了をいたしたような状況でございます。
並木芳雄
50
○
並木委員
では次に警察予備隊についてお尋ねをいたしたいと思います。 マッカーサー元帥の証言によりますと、「警察予備隊を小規模ながら強力な国際安全保障兵力に転化することができるか」との
質問
に対し、強い同意の気持を表わし、次のように述べたと報ぜられております。すなわち「むろん警察予備隊を拡張し、これを優秀な地上部隊に転化することは容易である。
日本
が
日本
自身の安全に寄与しなければならないことは当然だと思う。われわれは、
日本
の防衛に海空軍の援助を送ることができるが、地上部隊は
日本
人の間から供給されるであろう。しかし、これによ
つて
太平洋諸国が脅威を受ける可能性は少しもない。」こういう証言でございます。これは私は、従来
政府
がしばしば述べておつた点と違うのではないかという少くとも疑いをさしはさむものでございます。そこで総裁にお尋ねしたいのですが、警察予備際を地上部隊に切りかえることがあるであろうという話があつたかどうか。それから総裁は、地上部隊にこれを切りかえることができると考えているかどうか、やればできると考えているかどうか、将来切りかえる
計画
を持
つて
おられるかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
大橋武夫
51
○大橋国務大臣 この点につきまして、従来
政府
が述べておりまする点とまつたく違
つて
おるという
並木
君の御説でありまするが、違
つて
おるとは私は考えておりません。と申しますのは、現在の警察予備隊、これを地上部隊に切りかえることが可能であるかどうかという問題でございまするが、地上部隊に切りかえるという可能性につきましては、さような
方針
がきまりますれば、これは切りかえることは不可能ではなかろう、かように考えるのであります。しかしながら、現在までのところ、地上部隊に切りかえるという
方針
を
政府
といたしましてはもちろん決定もいたしておりませんし、またさような
計画
を全然持
つて
もおりませんし、またさような話を従来聞いたこともございません。
並木芳雄
52
○
並木委員
同じくマツカーサー元帥の証言によりますと、「
ソ連
は北海道を占領できるかもしれない」という箇條があるのであります。これは前回総裁にお尋ねしたときの答弁と符牒が合うと私は思うのでありますけれ
ども
、北海道方面の危機というものはやはり相当深刻なのであるかどうか、そうしてその守りは手薄ではないかどうか。この前警察予備隊の配置を、重点的に北の方に持
つて
行くという
計画
を発表せられましたけれ
ども
、その後どういうふうにこれが行われましたか、この点についてお伺いしたいとともに、警察予備隊全体の増員の
計画
を持
つて
おられるかどうか、伺いたい。
大橋武夫
53
○大橋国務大臣 警察予備隊の北海道におきまする部隊配置といたしましては、札幌に第二管区総監部を置いております。そうしてその指揮のもとに函館、帶広、惠庭、美幌等に部隊を配置いたしておるのであります。将来の
計画
といたしましては、その他の箇所にも営舎の新設を行いまして部隊を配置いたしたいという希望を持
つて
おりますが、
予算
の現状から見まして、目下のところ具体的にまだその
計画
を立てる段階には至
つて
おりません。次に予備隊の増員の問題でございますが、目下のところその
計画
を持
つて
おりません。現在の段階におきましては、訓練の強化と隊員の質的充実という方面に努力をいたしておる次第でございます。
並木芳雄
54
○
並木委員
では最後にもう一点だけお尋ねいたします。それは、リツジウエイ総司令官の声明によりて、いよいよ法令の改廃ということが具体化して参りましたけれ
ども
、現在どのように検討の歩が進められておるか、これを具体的にお伺いしたいと思います。特に私は、憲法
改正
の際に
国民
の
承認
を得る
方法
は、特別の
国民
投票によ
つて
表明されなければならないということにな
つて
おります。けれ
ども
、この
国民
投票の制度はまだ法制化されておりません。そこで、これは当然かつすみやかにやるべきであると思いますけれ
ども
、その準備をなされておるかどうか、その点をあわせてお伺いいたします。
大橋武夫
55
○大橋国務大臣
連合国
最高
司令官の指導に基いて制度せられました法律、政令の中には、必ずしも現在の
わが国
の実情に適合しないものもございますから、再検討の
権限
を与えられましたのを
機会
に、これが適切な是正をはかりたい、かように
政府
といたしては考えているわけであります。なおその具体化につきましては、目下準備をいたしておるのでございまして、適当なる
機関
によりまして逐次検討をいたして行く考えでありまするが、現在のところまだ具体的に申し上げるような段階にな
つて
おりません。 それから第二に、憲法
改正
に伴う
国民
投票の法制化がいまだ行われておらぬという御
質問
でございますが、これはまつくた御説の通りでございまして、
国民
投票のための特別の法律をすみやかに制定すべきものであると考えておるのでございます。もちろん国会方面におかれましても、当然御研究中のこととは存ずるのでございまするが、
政府
部内におきましても、全国選挙管理
委員会
等におきまして、
関係
資料を収集いたして現在研究中でございます。必要に応じていつでも法制化に着手できるように準備をいたしておるような次第であります。
並木芳雄
56
○
並木委員
その中で、追放解除に関する処置というものは、どういうふうに法制的
措置
がとられるのでありますか。今度相当大幅の追放解除が予定されておりますので、この点についてお尋ねしておきたいと思います。
大橋武夫
57
○大橋国務大臣 まだ具体的に準備にとりかか
つて
おりませんので、内容につきまして申し上げる程度にな
つて
おりません。
並木芳雄
58
○
並木委員
よろしゆうございます。
佐々木盛雄
59
○佐々木(盛)
委員
この際、リツジウエイ声明によりまする法令の改廃、修正の問題に関連して法務
当局
と外務省に聞いておきます。 それはこの法令の改廃に関して、すでに六人
委員会
ですか
政府
においても設けられて、これから仕事にかかられるそうでありまするが、当然先ほど来問題にな
つて
おりました公職追放令であるとか、あるいは
団体
等規正令、独占禁止法、集中排除法、物資統制令、警察法、労働
関係
法あるいは農地改革法、六・三制、そういうものまでも含めたものが再検討されるのではなかろうかと考えるのでありますが、ただいま
政府
部内におかれましては、さしあたり、どういう問題から手をつけようとしておるのかという点を、まず承
つて
おきたいと思います。 さらにこれと関連いたしまして、外務
当局
にお聞きしておきまするが、リツジウエイ声明によりまする法令の改廃に伴
つて
、たとえば通商
協定
の締結権であるとか、金融
協定
の締結権とかいうものも、当然再検討の俎上に上るものではなかろうかと考えるのでありますが、外務
関係
において、どういうものが今後問題にな
つて
行くかという点についても承
つて
おきたいと思います。 さらにリツジウエイの声明を見ますると、適切な
連合国
の政策指令を
日本政府
が引続き完全に履行するであろうとの期待のもとに、
日本政府
による諸法令の再検討と修正を許すということが声明されております。またこれらの改革については、既定の
手続
によ
つて
なされるということが声明されておるわけであります。そうすると、今度の法令の改廃につきましては、
日本
国
政府
が自主的にこれを推進するのはもとよりでありますけれ
ども
、最後的な
承認
というものは、やはり総
司令部
が決定権を持
つて
おる、こういうふうに
解釈
すべきものだと思うわけでありますが、法務
当局
はこの点についてどのようにお考えにな
つて
おりますか、以上の点について承りたい。
大橋武夫
60
○大橋国務大臣 まずどういう点から入るかという最初の御
質問
ございまするが、ただいままだこの
委員会
の最初の会合も持たれておらないような状況でございまして、さような点をこの
委員会
において相談をしてきめて行くということに相な
つて
おるのであります。従いまして、ただいま
委員会
においてどの問題から取上げて行くかということは、
ちよ
つと申し上げかねるのであります。 それから最後の御
質問
の、
日本
が自主的に検討を加え、これを
実施
するに際しては成規の
手続
によるべきであるという点の
解釈
でございますが、これは占領治下にあります
関係
上、もちろん
関係
当局
の完全な了解のもとになし得られるもので、その点は従来の法令制定その他と同じ
手続
を必要とする、こう考えております。
島津久大
61
○
島津政府委員
通商
協定
その他の渉外的な
権限
の委讓を予想しておるかという御
質問
だと思いますが、あの声明ではその点は意味されていないと思います。この点は別に
考慮
されることになるものと思います。
高倉定助
62
○高倉
委員
関連して……。ただいま総裁より、
ソ連
との
関係
における北海道の重要性にかんがみまして、第二管区の札幌、函館、帶広、惠庭、美幌等で予備隊の訓練をしておられる。ところが最近小樽に上陸いたしました
アメリカ
州兵二個師団の一部が各キャンプに入つたように聞いております。これに対して、ことに札幌と惠庭方面の予備隊が撤退いたしまして、そのキャンプを返さなければならぬ、かようなことを聞いておるのでありますが、この点に対してどういうような形において処理されておりまするか。
大橋武夫
63
○大橋国務大臣
アメリカ
州兵師団の来日に伴いまして、元来米軍用の兵舎の一部を警察予備隊において借用いたしておりましたものを、この際返還しなければならないということに相なりまして、札幌付近における兵舎を返還いたした事実はございます。そうしてこの札幌等におりましたところの警察予備隊の隊員の一部を帶広、美幌等に移動せしめたようなわけであります。
守島伍郎
64
○守島
委員長
ほかに御
質疑
はありませんか。——なければ、本日はこれにて散会いたします。
次会
は十一日金曜日、午前十時より開会いたします。 午前十一時四十五分散会