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1951-03-26 第10回国会 衆議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十六日(月曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 守島 伍郎君    理事 北澤 直吉君 理事 竹尾  弌君    理事 山本 利壽君    淺香 忠雄君       伊藤 郷一君    菊池 義郎君       栗山長次郎君    仲内 憲治君       福田 篤泰君    並木 芳雄君       砂間 一良君    高倉 定助君  出席政府委員         外務政務次官  草葉 隆圓君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         外務事務官         (政務局情報部         長)      田付 景一君         外務事務官         (条約局長)  西村 熊雄君         外務事務官         (管理局長)  倭島 英二君  委員外出席者         厚生事務官         (大臣官房渉外         課長)     齋田  晃君         專  門  員 佐藤 敏人君         專  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二五号)  世界保健機関憲章を受諾することについて承認  を求めるの件(条約第二号)  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 守島伍郎

    ○守島委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。  まず世界保健機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件(条約第二号)を議題といたします。並木君。
  3. 並木芳雄

    並木委員 私は国連世界保健機関憲章について若干質問いたします。憲章第二条の(K)に「国際的保健事項に関して、条約協定及び規則を提案し、並びに勧告を行うこと並びにこれらの条約協定規則及び勧告がこの機関に与え且つこの機関目的に合致する義務を遂行すること。」とあります。そこでどのような保健上の条約協定規則というものがあるか。
  4. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 われわれの持つている資料では、今日までこの条に基く条約協定その他はまだできたものがございません。
  5. 並木芳雄

    並木委員 では次に第五十四条です。第五十四条には「パンアメリカン衛生事務局パンアメリカン衛生会議とが代表するパンアメリカン衛生機関及びこの憲章の署名の日の前に存在したすべての他の政府間の地域的保健機関は、漸次この機関統合する。この統合は、当該機関により表明された権限のある当局の相互の同意に基く共通の行動によつて、できる限りすみやかに実施しなければならない。」この点につきましてどういう統合が行われましたか、お伺いいたします。
  6. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 現在までのところは、一九〇七年の協定によつてパリに設置されました公衆衛生事務局関係事業を引継いでおります。それから国際連盟で行われました保健関係事業を引継いでおります。汎米保健機関は、一九四九年五月二十四日ワシントンで署名されました協定によつて汎米保健会議は、西半球世界保健機関地域委員会となり、また汎米保健局は、西半球世界保健機関地域事務局となりました。
  7. 並木芳雄

    並木委員 では次、第五十七条、「保健総会又はこれを代理する理事会は、この機関に対して行われる寄附及び遺贈を受諾し、及び管理することができる。但し、この寄附又は遺贈に附された条件が、保健総会又は理事会の受諾しうるものであり、且つ、この機関目的及び政策に合致するものでなければならない。」とあります。寄附及び遺贈実績についてどういうものがありましたか、この際お伺いいたしておきたいと思います。
  8. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 その点については、私ども手元資料を持つておりません。
  9. 並木芳雄

    並木委員 その次の第五十八条に「理事会の裁量によつて使用される特別資金は、緊急事態及び不測の事件に応ずるために設けなければならない。」こう書いてありますが、この特別資金実績などにつきましても、資料はありませんか、あつたらお知らせ願いたいと思います。
  10. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 現在は憲章には規定がございますけれども、実際上はまだ設けていられないようであります。
  11. 並木芳雄

    並木委員 「この機関は、各加盟国領域内で、その目的達成及びその任務の遂行のために必要な特権及び免除を享有する。」と第六十七条の(a)にありますが、その特権及び免除にはどんなものがありますか、この点お尋ねいたします。
  12. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 大体この機関のために職務を遂行する機関職員が、加盟国領域内におきましては、外交使節の享有する特権免除とほとんど同一の特権免除を享有することになつております。
  13. 並木芳雄

    並木委員 最後に、第六十九条「この機関は、国際連合憲章第五十七条に掲げた專門機関の一として国際連合関係をもたされる。この機関国際連合との関係をもたせる協定、又は諸協定は、保健総会の三分の二の投票による承認を得なければならない。」とありますが、私どもはこの機関国連の一機関であろうと思うのです。しかるに親機関子機関との間で特に協定を設けるということは、ちよつとおかしいような感じも受けるのです。どういうわけで、この協定をしておかなければならないのか、そういう点をお尋ねします。
  14. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 国際連合憲章建前から申しまして、国際連合機関と申しますのは、この憲章によつて直接規定されておる機関、たとえば国際連合総会安全保障理事会経済社会理事会信託統治理事会事務局、国際司法裁判所の六つのものをおもとして、その他これらの機関によつて直接設けられた機関国際連合機関と申すのであります。国際連合憲章でいいます專門機関と申しますのは、国際連合とは独立に、各国政府間の協定によりまして設置されておる国際的機関をいうのであります。いわゆる条約によつて設置せられた国際機関、これが專門機関となつております。ですからこういう機関は、国際連合ができる前からすでに存在したものもございます。たとえば万国郵便連合とか電気通信連合というようなものでございます。ないしは国際連合憲章の第五十九条にありますように、国際連合がいわゆる自発的に新たに国際專門機関を設けることを、各国政府勧告して設けさせたというものもございます。後者はむろん国際連合創設後に設置された国際機関であつて、それが第五十七条の規定によりまして、経済的、社会的、文化的、教育的及び衛生的の分野と、これに関係のある分野とにおいて、広い国際的責任を有するものは、專門機関として国際連合と特殊の関係を持つてよろしい、こういう建前になつておりますので、国際連合憲章にいう專門機関ということになりますと、その專門機関国際連合本体との協力関係についでとりきめをして、それによつて協力継続して行く、こういう関係になつておるものであります。お手元に参考として差上げてあります両機関間の――両機関といいますと、国際連合保健機関、その間の協定両者協力関係を規律しておる協定でございます。だから決しておかしなものではないと思います。
  15. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、私どもはこういう機関加盟することによつて、実質的に国際連合加盟を許されたというふうに見たいのですけれども、そういうふうには見られませんか。
  16. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 これらの專門機関国際連合機関ではなくて、国際連合とは独立国際的機関であつてその両者の間に協定に基いて寄接協力関係がある性質のものでございます。従つて專門機関加入することによつて国際連合にある程度加入したというふうな考えをすることは、実際から見ては少し行き過ぎではないか、こういうふうに考えざるを得ないのであります。
  17. 守島伍郎

    ○守島委員長 砂間君。
  18. 砂間一良

    砂間委員 政府世界保健機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件の理由書によりますと、かねて日本から加盟申請書を提出しておりましたところ、本年五月七日からジユネーヴで開催される世界保健機関総会で、多分日本加盟申請承認されるであろうから、あらかじめそのときを予想しまして保健憲章を受諾することとしたい、こういうふうな趣旨のようであります。まだ加盟承認されるかどうかもわからぬ以前に、あらかじめ国会の承諾を求めておくということは、少しおかしいように思うのですが、これは加盟が正式に承認された後において、国会承認をあらためて求めるというふうなことにしてもよろしいのじやないかと思うのです。特にこれを急がれる理由はどういうところにあるのですか。
  19. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 もちろん砂間委員のおつしやるように、保健機関総会におきましてわが国加盟申請可決されましたあと国会承認手続をとるということも、さしつかえないことだと思うのであります。しかし現在の段階におきましては、すでに日本加盟申請議題に上程せられることになつておりますと同時に、それを通報して来ました事務局長の手紙によりますと、来るべき五月八日から開催されます保健総会に出席する日本代表は、オブザーヴアーの資格で出席されることになるけれども総会によつて日本加入申請可決されれば、ただちに正式代表者資格をもつて行動できるように、準備をして来られるように要請するという公式の書簡があつたような次第でございます。自然私どもとしては、今度の総会わが国加盟申請というものは、必ず可決になるように信じております。それで可決になりましてから国会承認を得ることも、むろんこれは私どもも考えたのでございますが、御承知の通り、本国会は四月は休会になり、五月初旬に開会されるものと了解いたしております。それでございますから、五月八日以後総会が始まりまして可決するのを待つておりますと、おそらくそのころは国会はすでに閉会になつておるかもしれません。わが国憲法建前からいいますと、条約加入につきましては、事後承認という手続も容認されておりますので、あるいは事後手続をとつてもいいかとも考えますが、現在すでに国会は開かれております。わが国加入申請は、可決になることはほぼ確実であります。そういうような状態におきましては、政府といたしましてはでき得る限り、第七十三条の第三号の原則によつて、事前に承認を求めたがよろしいという方針に基きまして、今国会承認手続をとつておるような次第であります。
  20. 砂間一良

    砂間委員 この世界保健機関加入しますと、権利義務と申しますか、そういう関係はどういうふうになるのでありますか。ここでいろいろな協定条約が結ばれまして、それに日本が違反した場合、何らかの罰則を受けるのですか、それともただ道徳的、精神的な違反ということだけでありますか。その内容はどうなつておるか、御説明願いたい。
  21. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 御指摘の点は、憲章の第七条に規定されております「加盟国がこの機関に対する財政的義務履行しない場合又は他の例外的な場合には、保健総会は、その適当と認める条件で、加盟国のもつ投票権及び受けうる役務を停止することができる。保健総会は、この投票権又は役務を回復する権限を有する。」と規定してあります。
  22. 砂間一良

    砂間委員 私のお尋ねしたのは、財政的義務たとえば分担金を納めないという場合に、投票を制限されたりあるいは受ける役務を停止されたりする、そういうふうなことではなくて、いろいろな保健上の協定と申しますか、そういうものまで拘束されるかどうかという保健内容の問題であります。たとえばこの憲章の前文に非常に広範ないろいろなことがうたつてあります。ここでいいます健康という意味は、單に肉体的な病気ということばかりじやなくて、精神的及び社会的福祉状態であつて、單に疾病または病弱の存在しないことではない。また「到達しうる最高基準の健康を享有し得ることは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件差別なしに万人の有する基本的権利の一である。」ここで申してある政治的信念または経済的もしくは社会的条件差別なしにやるというふうなこと、あるいは児童の健全な発育というふうなこと、あるいはもつとあとの方に母子の健康と福祉だとか、あるいは「栄養住宅衛生、リクリエイシヨン、経済上又は労働上の条件及び他の環境衛生状態改善」こういう広範な保健衛生上の内容を含んでいて、その向上をはかるというのが目的だと思うのです。ところがこの世界保健機関加盟いたしましても、ただ名目上日本加盟しているだけであつて、もしこれらの企図する内容を、日本政府あるいは日本がサボつてやらない場合、伝染病やコレラが入つて来ましても、それについてほつたらかしておくとか、あるいは大衆の健康状態がどんなに悪化していても何ら顧みないでいる、こういうふうなことをやつた場合に、何か制裁を受けるとか、あるいは処罰されるとか、そういうふうなことがあるのかないのかというふうな、内容のことに関した質問であります。
  23. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 保健機関がやりますいろいろな事業がございます。その中で条約または協定の採択ということが総会によつてなされますが、条約及び協定につきましては、保健総会の三分の二によつて可決されれば採択されるわけであります。しかしこれらのものは第十九条に規定されてありますように、「各加盟国がその憲法上の手続従つて受諾した時に、その加盟国に対して効力を生ずる。」こうなつておるわけであります。また第二十一条にありますように、保健総会は、各種事項につきまして、規則を採択する権限を持つております。その規則を採択されれば、各加盟国はこれに従わなくてはいけないという義務を負うわけであります。また第十四章第六十一条ないし第六十五条に規定してありますように、各国は、保健機関に対して、各種の報告を提出しなければならないという義務を負つておるわけであります。こういうふうな義務を負うほか、総会執行理事会その他の各種決議に応じて、いろいろ機関に対しまして役務を提供するということがあると思うのであります。むろんこういう場合は、勧告であり、それを受諾した国がこれを履行する、こういうふうなことになりましよう。そういうふうな各種義務履行いたす、その履行の仕方がきわめてふまじめであつた場合に、どういうふうな罰則を受けるかという御質問でありますが、それはやはり第七条にありますように、「他の例外的な場合」――第七条は主として分担金履行しない場合を規定しておりますが、それに次ぎまして、「又は他の例外的な場合には」とありますので、いわゆる加盟国における各種分担金負担以外の各種義務履行がふまじめであつた場合の処置方法は、同条によりまして処置されるということになると思うのであります。従つて総会が適当と認める条件加盟国の持つ投票権とか、ないしは保健機関から受ける各種のサービスを制限することができる、こういうようなことになろうかと思います。第七条によつて依然としてカバーされていると考えます。
  24. 砂間一良

    砂間委員 どうも何か法律くさいような御説明でありまして、わかりにくいので、端的にお伺いいたしますが、現在日本国民保健状態というものは、決して、りつぱなものだ、良好な状態だということは言えないと思います。そこで世界保健機関日本加盟したならば、これがずつとよくなる、そういう利益があるかどうかということなんです。
  25. 齋田晃

    齋田説明員 私からお答え申し上げたいと思います。お話通り、まだ日本の国の保健衛生上には、いろいろいたさなければならない点が多々あるわけであります。さればこそ加入いたしまして、いろいろ私ども足りませんところ、ある面においては、一生懸命やつておりますけれども技術上の知識、あるいは医学上の技術が未熟であつたために及ばないということもございます。これに対しましては、他の国においての経験を生かし、あるいは他の国においての研究機関によるところの医学的技術を、私ども申請に応じて導入してもらうということが行われます。また実際上の疫病を防ぐというような面におきましても、いろいろな新しい医薬品というようなものの紹介、あるいはそれをどういうふうに使うかというような、技術指導というようなことも、われわれが希望してこれを申し入れますならば、こちらに来て援助してくれるというようなことが行われて参ります。また世界保健機関の中におきまして、いろいろな国際的な協力学術研究委員会ができております。たとえますれば、ストレプトマイシンの基準を定める、あるいはペニシリンの基準を定めるというような委員会があるのでありますが、そういうところにわれわれも顏を出して、一緒にひざを交えて相談をいたしますことによつて、あるいはわれわれの面において遅れている医薬品の標準を高めることによりまして、われわれの国民に使つていただく医療品内容を高めるということも、できて来るかと考えるのであります。そういうような面におきまして、きわめてたくさんの利益を招来できると予想いたしております。
  26. 砂間一良

    砂間委員 そういうこともありましよう。いろいろ新しい医学上の知識、あるいは技術上の知識を得るということもありましようけれども、しかし現在の日本状態は、何もそう事あらためて最新の医学上の技術や何かを知らなければ、国民保健状態が向上できないというようなことでもないと思うのです。     〔発言する者あり〕
  27. 守島伍郎

    ○守島委員長 お静かに願います。
  28. 砂間一良

    砂間委員 現在の実情を見たらわかるじやないか。結核の状態一つ見てもそうです。それからここに書かれている住宅の問題にしたつて、リクリエーシヨンの問題にしても、栄養の問題にしても、あるいは母子の健康の保持、あるいは児童のそれにいたしましても、こんなことは事あらためて外国の新しい知識を得なければできないというようなことじやないと思うのです。しかもそういうわかり切つて、すぐやらなければならぬ、またやればできることがありながら、それをやらずに置いておいて、こういう国際機関にただ加盟した、加盟したというだけで、それを日本政府が、日本当局者が何らやらなかつたら、私はこんなものに加盟しても何も利益はないと思うのです。そのこともお伺いしているわけです。たとえば第二条の、ⅰ号なんかにもいつてあります「経済上又は労働上の条件及び他の環境衛生状態改善を促進すること。」こういう点において経済上または労働上の条件改善というようなことについて、一つ日本はやつておらないのです。いろいろな労働立法なんかも戰後できましたけれども、そういうものが実行されていない。だからせんだつて国連経済社会理事会においても、日本労働のあれについて非難決議をせられている、こういう状態になつているのです。国連機関で非難されているような、そういう実情にある日本が、いたずらにこういう国際機関加盟したというだけで何の利益があるか。実行して行く筋道は、やらなければならぬことはわかつていながら、それをやらない。そうしてこういう国際機関加盟して、さも何か日本国民の生活が、あるいは保健衛生が実質上に向上するかのような幻想をいたずらに振りまくだけだと思います。その点について、もし日本政府がそういうことをサボつていた場合には、何かしかられるとか、あるいはどうしてもやらなければならぬように強制せられるとかいうような効能が、あるかどうかということをさつきからお伺いしているのですが、どうもひようたんなまずで、一向要領を得ないわけです。しかしこのことは討論にわたりますから、これ以上申しません。  その次にお伺いしたいのは、地域機関のことなんですが、この間の条約局長の御説明によりますと、日本は香港に事務局が置かれている西太平洋地区の中に入ることになるらしいのですが、この西太平洋地区に現在加盟している国々はどういうところでありますか。
  29. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 西太平洋地区に含まれますのは、オーストラリア、中国日本、韓国、フイリピン、ニユージーランド、マレーその他の英領土、ヴエトナム、カンボジア、ラオスとなつております。
  30. 砂間一良

    砂間委員 ただいま読み上げられました国々は、現在加盟しておるのですか。
  31. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 今読み上げましたうち、中国が脱退いたしましたし、日本加盟いたしておりません。それからマレーその他の英領土もまだ入つておりません。
  32. 砂間一良

    砂間委員 それから次に第七章の事務局のことでありますが、事務局長及び事務局職員の構成というふうなことは、この機関の実際の運営の上に非常に重要性を持つておるものと思うのです。従つてこの第三十五条でもいろいろなそれに関連した考慮が払われて、特別の規定がなされておるわけでありますが、この事務局局長は今だれがやつておるか。あるいはまた事務局職員は、国別に、アメリカから何人出ている、イギリスから何人出ているとか、そういうふうなことはおわかりになりませんか。
  33. 齋田晃

    齋田説明員 私からお答え申し上げます。ただいま事務局長の職についておりますのは、チゾロムというカナダ人であります。その下に二人の副局長を置いております。一人はフランス人でありまして、一人はスウエーデンであつたかと記憶しておりますが、この点はつきりいたしません。
  34. 砂間一良

    砂間委員 国際連合との関係でありますが、予算及び財政的方面でもいろいろ関係があるようであります。国際連合世界保健機関との間の協定の第十五条によりますと、その一項及び二項にいろいろ書いてありますが「国際連合と緊密な予算上及び財政上の関係を設定することが望ましい」、第二項に「国際連合及び世界保健機関は、前記の目的達成最大限度協力することに同意し、且つ、特に、機関予算国際連合一般予算内に編入せざることが望ましいかどうかについて協議する。このための取極は、両機関の間の補足協定において明定する。」この補足協定はその後つくられておりますかどうか、そのことが一つ。それから、現在世界保健機関予算は、国際連合一般予算内に編入されているのか、おらないのか。その辺の予算関係における国連との関係、その点お伺いいたしておきたいと思います。
  35. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 御指摘補足協定はまだできておりません。また保健機関予算は、国際連合一般予算の中にまだ編入されておりませんので、両予算独立いたしております。
  36. 砂間一良

    砂間委員 最後にお尋ねしたい点は、これが一番中心点だと思いますが、この間の御説明によりましても、世界保健機関から中国ソビエートその他いわゆる社会主義あるいは人民民主主義国という国々が、こぞつて十箇国ばかり脱退したというお話がありました。その脱退した理由は、条約局長が詳細に読み上げられましたが、世界保健機関技術上のことよりも、むしろ政治的な見解によつて支配されておる。東ヨーロツパ人民民主主義国あるいはソビエート等へは、保健機関に対して要請をしても、一つもやつてくれない。そして英米ブロツクの方にばかり力を入れておるというような、非常にへんぱな行き方をやつておるというので脱退したという御説明があつた。またこの世界保健機関は、国連と非常に密接な関係を持つておるのでありますが、その国連も現在は当初の国連憲章の精神をまつたく失いまして、世界の安全と平和を維持する本来の目的から非常に離れたような形になつておるのであります。先般もソビエートスターリン首相が、プラウダ記者との間にいろいろ問答されておるのでありますが、そのスターリン首相の言明の中にも「平和の防壁としてつくられた国連機構は、このように新しい世界戰争を始める戰争道具と化してしまつた。」……。
  37. 守島伍郎

    ○守島委員長 砂間君に御注意申し上げますが、あなたにお約束しました二十分を過ぎましたから、簡單にお願いします。
  38. 砂間一良

    砂間委員 「国連中心的侵略国は、侵略的北大西洋条約加盟十箇国と中南米二十箇国である。」「このようにして、国連侵略戰争道具と化すとともに、もはや加盟国が平等に権利を持つ世界機構としての価値を失い、今日では米国に仕える機関にすぎなくなつた。」こういうようにスターリン首相は言つておるのであります。しかもこういうスターリン首相と同じような見解を持つ人々が、世界には相当多いのであります。また現実において国連世界の平和と安全の役割を演じていないということは、今日朝鮮の戰争一つ見てもはつきりしておる。国連がかような状態になつておる。それから世界保健機関もまたそういうふうな同じような性質にかわつて来ておる。こういうときに、日本がこの英米ブロツクの支配する世界保健機関加盟するということは、世界の対立の一方の側について、対立をますます激化させて行くことになる。これが日本が当面している最大の問題であるところの講和の問題、これについてはわれわれは全面講和ということが、唯一の正しい講和であるとかたく信じておるのでありますが、この講和の可能性をますますなくして、そうして英米ブロツクの方とだけ講和を結ぶという、單独講和の方へ事実L進んで行くことになる。そういう点について政府はどういう見解を持つておられるか、この際はつきり伺つておきたい。
  39. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 ソ連その他ソ連圏内諸国が保健機関から脱退いたしましたその理由につきましては、まだ加盟もいたしておりません日本政府の事務当局として、かれこれ批評がましいことは言わないがよろしいと思います。人類の健康水準を可能な最高限度まで高めて行こうという目的をもつて設置されました保健機関は、まつたく政治的見解とは別に、人道的見地からどの国からも異論がないはずの目的でございますので、現在脱退しております諸国家におきましても、他日必ずやまた考え直されて、この機関に復帰されることがあろうかと思います。保健総会もそういつた趣旨の決議をしておるということは、前会御答弁申し上げた通りでございます。
  40. 守島伍郎

    ○守島委員長 質疑はございませんか。――なければ質疑はこれで終了いたしたことにいたします。     ―――――――――――――
  41. 守島伍郎

    ○守島委員長 この際、日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、質疑を終了いたしておりますから、これより討論に入ります。討論は通告順にこれを許します。砂間君。
  42. 砂間一良

    砂間委員 日本政府在外事務所設置法が制定されますときに、共産党は反対したのでありますが、その反対いたしました理由は、これは前の速記録を見ればわかるわけでありますが、簡單に申しますと、こういうふうな、なしくずしの單独講和ということは、真の日本独立と自由を達成することになならい。日本はあくまで全面講和でなければいけないという趣旨から、基本的には反対したわけであります。従つてその見解は現在でもかわつておりません。今度新たに増加される在外事務所のあれを見ましても、これはきわめて一方的であります。そうしてほんとうに日本の重要な、たとえば日本の一番近い最大の隣国であるところの中国というふうなところには設置されておらない、またソビエートにも設置されておらない。(笑声)君ら笑うけれども、ほんとうに日本の自立を達成するためには、どうしてもそういうものを含めて考えなければできないのです。これは結局なしくずしの單独講話を推し進めて行く既成事実をつくるものでありまして、これは全面講和をますます不可能にするものである。そういうような意味におきまして、私は共産党を代表して、この日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案には、絶対反対であります。
  43. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君。
  44. 並木芳雄

    並木委員 国民民主党は、日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案については、その人選及び予算的措置を強固にすることを希望いたしまして、賛成の意を表明いたします。
  45. 守島伍郎

    ○守島委員長 討論はこれにて終局いたしました。  これより日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案内閣提出第一二五号)について、採決をいたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  46. 守島伍郎

    ○守島委員長 起立多数。よつて本案は可決いたしました。     ―――――――――――――
  47. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に世界保健機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件を議題といたします。  ただちに討論に入ります。討論は通告順にこれを許します。砂間君。
  48. 砂間一良

    砂間委員 私は共産党を代表いたしまして、本案に絶対反対いたします。  なお本案につきましては、本会議における反対討論を留保するものであります。
  49. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君。
  50. 並木芳雄

    並木委員 国民民主党は、この種機関に入ることをきつかけとして、一刻も早く国際連合加盟を許されることを希望いたしまして、本案に賛成いたします。
  51. 守島伍郎

    ○守島委員長 討論は終局いたしました。  世界保健機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件(条約第二号)について、採決をいたします。本件を承諾すべきものなりと議決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  52. 守島伍郎

    ○守島委員長 起立多数。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。  なお本日採決いたしました両法案についての、衆議院規則第八十六条による報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異存ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 守島伍郎

    ○守島委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  54. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に国際情勢等に関する件を議題といたします。  質疑を許します。並木君。
  55. 並木芳雄

    並木委員 ロンドン二十四日発のAP電報によりますと、対日講和草案として、一、日本に自衛権を与えてもよろしい、二、将来日本の陸海空軍に制限を設けない、三、日本の再軍備を阻止する条項を含まない、四、日本からの連合国占領軍の撤退を規定しない、というような条項が、含まれるものと報ぜられております。そして日本の安全保障については、直接触れておらないと思うのであります。そこで私はこういう問題に関連して――この問題についてというと、いつでも政府は差控えてと言いますから、こういう問題に関連いたしまして、若干質問してみたいと思うのであります。  まず日本自衛権の問題についてお尋ねいたします。日本には自衛権のあることは、すでに憲法ではつきりしておるのであります。それを特に講和条約の中に取上げて、日本には自衛権があるのだということを言うのは、何か特別の意味がなければならないと思われます。日本憲法では、なお連合国の側から見ますときには、疑問が残つておると政府はお考えになりますかどうか。それとも日本の自衛権があるということを再確認して、強調して、そうして軍備を持つてもよろしいということの裏づけとして、こういうことを持ち出されたのであろうと政府は思われますか。そうしてそれは国際連合憲章の第五十一条の自衛権の項に、あすこには特に加盟国の個別的及び集団的自衛権とありますところから、非加盟国の自衛権についてははつきりしておらないのであります。従つて日本が講和条約国連加盟しない、つまり非加盟国としても、この自衛権を有するのだ、すなわち第五十一条の適用を受け得るのだというために、自衛権があるということを取上げるのであろうかどうか。もしそうでないならば、第五十一条の自衛権というものは、非加盟国でも当然適用されるものであるかどうか。こういう点につきまして、お答えを願いたいと思います。
  56. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 御質問の点は、加盟国、非加盟国という場合に、その国が自衛権があるかないか。現在日本は自衛権があるというておるが、これは何か一種の目的を持つた方向でいつておるのじやないか、というような意味だつたと拜承いたすのでありますが、現在の憲法下におきましても、日本が自衛権がありますることは、しばしば総理からも、その他の場合におきまして、日本政府の所見を申し上げておる通りであります。従つて加盟国、非加盟国云々にかかわらず、自衛権のあるものと私どもは考えております。
  57. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、国際連合憲章第五十一条によるところの自衛権というものは、日本が講和後加盟を許されておらなくても、当然適用を受けるものと解釈してよろしゆうございますか。
  58. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 御所見の通り、当然と存じております。
  59. 並木芳雄

    並木委員 そのほかに、何か特に自衛権を講和条約の草案の中に盛られたということで、政府として思い当る節はありませんか。
  60. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 別に思い当る節はございません。
  61. 並木芳雄

    並木委員 日本の陸海空軍に制限を設けないとか、また日本の再軍備を阻止する条項を含まないとの報道がございます。そこで私は、これは一般論になるかとも思いますが、お聞きしておきたいのでございます。それは講和条約で特に禁止をしないという積極的な表示がなくても、何も触れておらない場合、これは今まであつた禁止条項というものは、解除されたと見られるのですかどうか。どうもこういう含まない、制限せずといつた、積極的に否定をしないということによつて、再軍備もしてよろしい、あるいは陸海空軍を持つてもよろしいというふうに見られますと、特に条約に積極的表示がなくても、特に何も触れておらなければ、今まで再軍備の問題のみならず、他にもいろいろあつたと思いますが、これは禁止されておつたものが、解除されたと見ることができるように私ども考えるのですが、そう考えてよろしいと政府は思われますか。
  62. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 先ほどのお話にありましたように、報道でいろいろ伝わつておるのでありますが、この問題につきましては、現在政府の所見を申し上げる段階でもありませんし、また政府の所見を申し上げる筋合いでもないと存じまして、御解釈は御自由と存じまするが、ここで政府の所見を申し述べることを差控えたいと存じます。
  63. 並木芳雄

    並木委員 ですから、陸海軍とか、軍備とかいうことになりますと、政府の所見は述べられないと思いますけれども、一般論として、今まで禁止されておつたことを、特に講和条約に取上げて禁止しない限りは、講和条約の性格からいつてその禁止は解除されたと見られるのじやないかということに対しては、答えられると思います。
  64. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 一般論といたしましては、御所見の通りと存じます。
  65. 並木芳雄

    並木委員 それではその点ははつきりいたしました。  次に日本に自衛権はある、しかし自衛権の発動に有効な方法がございません。そこで吉田首相は、集団防衛をすると言つております。そして集団防衛をするためには、日本を保護してくれる国があれば、その国に対して共同防衛の一環となることは当然であるとも言つております。講和後も米軍に駐留してもらいたいという希望を申し入れたのも、こういういきさつからであろうと思います。これは、つまり伝えられる日米暫定安全保障協定、ないしは日米暫定共同防衛協定とも呼ばれるものになつて来ると思いますけれども、これは当然講和条約とは別個のとりきめが同時に行われるように、私ども今までのところ了解しておりましたけれども、この点いかがでございますか。
  66. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 これはどういうふうな講和の内容になるか、それによりまして初めて判明して来るのでありまして、現在このことについて、政府の所見として別個のものである、あるいはその内容に盛るということを、申し上げる段階にはないと存じます。
  67. 並木芳雄

    並木委員 申し上げる段階ではなくても、政府としては私はきまつており、かつそれを知つておるはずだと思います。何となれば、ダレス氏は、日本がもし希望するならば云々とはつきり言われておつたのです。従つて日本はこれを希望する、希望する以上はこうなるということで、これは講和条約とは別個の性格を持つた協定でありますので、私はその点ここで答弁されても、一向さしつかえないと思います。当然別個の協定であろうと思いますけれども、いかがでございますか。
  68. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 この問題につきましても、しばしば御質問がありましたが、従来総理がお答え申し上げておる通りでありまして、その後別にかわつた情勢もありませんので、あの答弁によつて御了承願いたいと存じます。
  69. 並木芳雄

    並木委員 私がなぜこの点をお尋ねするかといいますと、先ほどの草案の中に、講和条約後も連合国の占領軍が引続いて駐屯するというような項目が、あるように伝えられておるからなんであります。そうすると、占領軍が撤退しないということは、ポツダム宣言からいいますと――ポツダム宣言には「ただちに日本国より撤収せらるべし」という条項が入つておりますので、ポツダム宣言から申しますと、どういう関係になるのでしようか。つまりポツダム宣言を修正したものになるのかどうか。その点をお伺いしてみたいと思います。
  70. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 この点につきましても新聞報道で、あるいは占領軍がそのまま続けるとか、あるいはまた内容のかわつた意味において駐兵になるとか、いろいろ伝わつておりまするが、その一々につきまして、ここで政府見解を申し上げることは差控えたいと思います。
  71. 並木芳雄

    並木委員 あるいは私はこうかとも思うのです。日米防衛協定――仮称でございますが、そういうものが結ばれることを前提として、連合国占領軍、これは特に括弧して、主として米軍と書いてあります。米軍その他が残るということを、条約に前もつてうたう、つまり防衛協定との関連におけるものではないかとも考えるのですが、政府はどういうふうにお感じになりますか。
  72. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 その点は、今政府がどういうふうに感ずるかということは、別に特別な感じを持つておりません。いろいろと御見解はあるかとも存じますが、今政府として申し上げる所見を持たないのであります。
  73. 並木芳雄

    並木委員 どうしても吉田首相に出て来てもらわなければならないという感じを、ひしひしと私は抱くのであります。占領軍がそのまま残るということについては、私も前に一応触れたことがありますけれども条約履行のための保障占領であるならば、当然残るということが、あり得る。そこで条約履行のための保障占領のほかに、そのまま残るという場合はどういう場合にあるか。これは一般論でありますから答えられると思いますが、何かそういう先例があれば、同時に示していただきたいと思います。
  74. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 これも実は講和条約内容について片々的に外電で伝わつておりますが、総合的な内容とあわせて考えらるべきものでありまして、従つてこれについて今日本政府では意見を申し上げる段階にはないと存じます。
  75. 並木芳雄

    並木委員 条約履行のための保障占領のほかにどういうものがあるか、その点。
  76. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 ちよつとまだ御質問内容をのみ込めませんが、条約履行のために保障占領じやなしに、何かの方法で条約履行を監視するかという意味でございますか。
  77. 並木芳雄

    並木委員 そういうことにもなりましよう。私は一般論としてここでお聞きしているのです。つまり私の今まで知つた範囲では、占領軍というものがそのまま残る場合には、条約履行のための保障占領ということだけのように理解しておりましたけれども、このほかに何かありましたならば、教えていただきたい、こういうことなのです。
  78. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 ただいまの御質問は、条約履行のための保障占領として、武力による場合以外にいろいろな場合があると思うが、そういう場合一般論としてはどうかということでございますが、これは多分日本条約についてのさつきからのお話……。
  79. 並木芳雄

    並木委員 いいえそうじやないのです。一般論として、つまり講和条約……。
  80. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 一般論でございますと、一般の外国の例でございますか。
  81. 並木芳雄

    並木委員 そうです。
  82. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 私どもが知つている範囲内では、先例としては条約履行のための保障占領以外にございません。
  83. 並木芳雄

    並木委員 その点はそれで私はもうお尋ねしないことにします。  次に非加盟国たる日本が固有の自衛権を持つて、そうして国連憲章第五十一条の適用を受け得る、こういう根拠を一応国際連合憲章の上から聞いておきたいと思います。国際連合憲章の精神というものでありますか、それとも非加盟国でも当然第五十一条による自衛権というものの適用を受けるという、何か特定のものがあるかどうか、この点。
  84. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 並木委員に非常に大きい誤解があるように思うのです。国家の自衛権というものは国連憲章の第五十一条などの規定がなくても、国際法上国家たるものは当然持つておる固有の権利であります。第五十一条はどういう意味を持つておるかというと、国際連合加盟国に関する限り、武力攻撃が発生した場合でなければ、自衛権は行使できないと制限されている点に、意義があるのであります。
  85. 並木芳雄

    並木委員 その点は自衛権のあることは先ほど確かめてわかつておる。今も条約局長からお答えがあつた通り加盟国ということが第五十一条にうたわれておりますから、私は聞いているのです。従つて加盟国に武力攻撃が加えられた場合に、当然非加盟国の自衛権は、発動してもよろしいという適用を受けるというお話でありますから、その受ける根拠はどういうところだという……。
  86. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 これまた並木委員に非常に誤解があります。もともと国際法上国家というものは、国際法または国内法上禁止されない限り、その生存を全うし、または発展をはかるため、あらゆる措置をとり得るのであります。国際連合憲章にいつております地域的とりきめというようなのも、第五十二条に規定があるから各国は締結できるというのではなくて、よくごらんになるとわかりますように、国際連合は地域的紛争を処理するに都合がいいと思つた場合には地域的協定をし、地域的機関を設けてよろしいということなんです。国家がそういう措置をとる根拠というものは、国家が国際法上持つております自己の生存を全うし、生成発展をはかるためにあらゆる措置をとり得る権能、国際法学者からいえば、これを国家の生存権というような言葉を使つている学者もございますが、正確にいえば生存権というのは当つていないのであつて、いわゆる国際法、国内法に禁止されない限り国家の生存を全うするために、あらゆる措置をとり得る権能といつた方が正しいと思いますが、そこが根拠であります。
  87. 並木芳雄

    並木委員 これは条約局長からずいぶんはつきりしたお答えがありまして、ずいぶん国際連合というものを大きく扱われたと思うのです。それならばお伺いしたいのですけれども、第五十一条に、特に加盟国に対して武力攻撃が発生した場合においてとあるのは、非加盟国に対して武力攻撃が発生した場合においては、この条項が適用しないのだという反対解釈が立たないわけですね。もう少し言いかえますと、加盟国だろうが、非加盟国だろうが、今の条約局長の趣旨からいうと、特に加盟国と断る必要がないようにも受取られるのですが、そうですか。
  88. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 考え方から申しますと、非加盟国の方が自衛権の行使に関する限り制限が少いということになるのです。国際連合加盟国に関する限り、国際連合憲章によつて自衛権の発動をして武力行使をなし得るのは、加盟国に対して武力攻撃が発生した場合というように限定されておるのです。そこに大きな意味があるわけです。
  89. 並木芳雄

    並木委員 なるほどそれは大きな意味がありますが、そのかわり非加盟国の方がかえつてその制限が少いということになると、非加盟国の中に相当大きいのがあると国際連合目的からはずれる。その取締り範囲からはずれるという、心配も出て来るわけですね。
  90. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 それでありますから、第五十二条の地域的とりきめを許容しております条文に、加盟国が締結する地域的とりきめは、国際連合憲章の範囲内でなくてはならぬということになつているわけであります。それで非加盟国加盟国との間に地域的とりきめが締結されるのは、加盟国が第五十二条の制限を受ける関係上、従つて武力攻撃が発生した場合という結果になるわけです。
  91. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君。あなたにはずいぶん時間を上げましたのですから簡單に……。
  92. 並木芳雄

    並木委員 それでは私の質問の前提が今の答弁でかわつて来ました。あと質問はあしたまたお願いすることにして、私の質問をとどめます。
  93. 守島伍郎

    ○守島委員長 山本君。
  94. 山本利壽

    ○山本(利)委員 わが国の人口問題の一環としての移民問題は、非常に重要のものであることはよく御承知の通りでありますが、この日本の移民を受入れてくれる相手国の事情ということが常に影響して参りますので、この問題は愼重に論議せられねばならぬということはよく存じております。しかし、この日本の移民が各国でいかに扱われるか、日本がどういうぐあいに今後この問題について計画を立てるべきかということについて、アメリカ合衆国が日本の移民問題をどう扱つてくれるか、日本の移民について、どういう特権を与えているかといつたようなことが非常な大きな影響を及ぼすと思うのであります。当局においては、アメリカにおける日本の移民問題について、いろいろ具体的な資料をお持ちになつておると思いますから、この際御発表を願いたいと思います。
  95. 倭島英二

    ○倭島政府委員 米国のわが国民に対する取扱い方が、いろいろほかの外の国に影響があるということに対しましては、御意見の通りだろうと存じます。さてその米国のわが国国民に対する入国あるいは帰化ということについての最近の傾向は、どうかという御質問に対してでございますが、この傾向については御存じだと思いますが、現在米国の議会にはアジア人の移民入国また帰化の関係について、七つ、八つの法案が出ておるように承知しております。ただ遺憾ながら、この法案についての一々の詳しい最近の発展を御説明するだけの資料がございませんので、その七つ、八つ出ております法案の中で、特に問題となつておる二、三の法案についての最近の状況を申し上げたいと存じます。従来わが国民が米国へ入国する問題あるいは帰化の問題につきましては、御承知の通り、入国の問題については制限があり、帰化の問題については、従来まではできないという状態になつておりましたが、それに対して三年くらい前から、御承知の通りジヤツド法案というのができております。このジヤツド法案は、要するに日本人にも帰化権を与えるということと、それから日本人に対してもほかの外国人に適用しておる移民のクオーターを平等に適用するという趣旨であつたわけであります。このジヤツド法案が三年間くらい懸案になつておりますうちに、帰化と移民の問題を同時に片づけるということはなかなか困難だということで、すでに米国の国内におる日本人及び二世その他の人たちの運動によりまして、その運動が相当影響したのではないかと思いますが、さらにその後、早くこのジヤツド法案が通らなければ、何とか米国の国内にある日本人の地位をもう少し改善してやろうじやないかというような趣旨から、これも御存じの通りのウオルター法案というのが出ております。これはさしあたつて一九二四年以前に米国に入りました日本人――これは永住を許されておりますが、その人たちに帰化権をやろうじやないかという意味の、帰化権だけを解決しようという法案であります。この法案は昨年一旦議会を通つたのでございますが、その法案の一部分に、外国人の入国についての不満足な点があるというので大統領に拒否されまして、結局法律にならずに終つたのでありますが、その不満足なる点を取除いて、さらにまた議会に提出せられまして、本年の二月十九日に下院を通過し、現在上院にまわつておる状況のように承知しております。なおこの法案がもしも通りますと、先ほど申しましたように、この法案はすでに米国に一九二四年以前に入つておる人たちの帰化権の問題だけでありまして、大体一九四〇年の統計をもとにして統計が算出せられておりますが、その当時の統計によれば、もしもウオルター法案が通りますと、日本人の八万四千人、朝鮮人の約三千人、その他の国のアジア人の百四十五人というものが、帰化権を許されるという内容になつておるようであります。ただ四〇年からすでに五、六年たちましたので相当死亡者等が出ておりますれば、このウォルター法案が通りましたあとで帰化できる実際上の日本人の数は、よほどこの八万四千人から減るのではないかと思います。なお従来から懸案になつておりましたジヤツド法案、それからそれよりもさらにいろいろな移民法の修正等を含んでおりますマツカラン法案などについては、議会には出ておりますが、諸般の反対があるものと見えまして、まだウオルター法案のように進捗していないように承知しております。
  96. 山本利壽

    ○山本(利)委員 そういうような法案が米国の議会に提案されました際に、日本政府としてはそういう法案を出してくれた議員に対して感謝の意を表明するとか、あるいは議会に対して日本の希望を懇請するとかいつたような手を盡しておられるのでありましようか。ただこれは向うの問題だから通したければ通せという態度でありますか。干渉するという意味でなしに、感謝の意を表明したり、懇請するということは、相手にとつても私は非常に好結果をもたらすのではないかと思いますが、その点に関する日本政府の努力の程度を承りたいと思います。
  97. 倭島英二

    ○倭島政府委員 今御説明申し上げましたように、日本人に対する考え方がたいへんわれわれにとつてけつこうな方向に動いて来たということに対しては、たいへんわれわれも喜んでおる次第でございますが、御存じの通り移民法の問題については、米国の国内法の問題としていろいろ問題のあつたこともございますし、こういうふうにわが国に対する感情がたいへん改善せられたということは、まことにけつこうなことだと思つておりますが、しかし政府といたしましては、これに対して直接あるいは間接にそれに対しての意見だとか、あるいは希望だとかということは、今の段階において表明するとかあるいは何か措置をとるということは、適当でないと思いますので、現在としては何らそれに対しての方法はとつておりません。
  98. 山本利壽

    ○山本(利)委員 現在まで政府がこの点に対して措置をとつておられないということは、今承りましたが、私は措置をとる方が圧力を加えるという意味でなしに、少くともそういう法案を提出してくれた議員たちに対して、日本が感謝しておるという程度のことは、私はぜひ必要なことだと思いますが、この点についての政務次官の御見解を承りたいと思います。
  99. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 御意見まことにごもつともと存じます。前会におきましても植原委員からも、この点につきましての御所見を御質問で承つたのでありますが、ただ先ほど管理局長からも御答弁申し上げましたような、国内法的な処置がとられておる。その結果に対しましては、日本国民並びに政府といたしましてはまことに感謝いたしておりますが、御意見の点は十分拜承しておきたいと思います。
  100. 山本利壽

    ○山本(利)委員 この際に帰化権を持つておる者、あるいは持たないで向うに暮らしておる日本の移民の生活状態及び活動の状況について承りたいと思います。
  101. 倭島英二

    ○倭島政府委員 現在米国内におる同胞の生活状況の問題でございますが、実はこの点については、在外事務所ができまして、在外事務所の一つの任務は、在外邦人のこういう諸般の関係についても、どういうことになつておるかということを政府に報告することになつておりますが、遺憾ながら現在までのところ、部分的にはある程度わかりつつありますが、全体の状況を御報告するまでには、まだ資料が全体のものがそろいにくいという状況でございます。従つてこの問題は、今いろいろこちらからこの状況はどうなつておるかというようなことを報告するように求めておりますので、後ほどの機会にまとめた御報告をさしていただきたいと存じますが、一つ二つその関係から申し上げますと、御存じの通り、戰後の米国に在住する日本人の地位というもの、あるいは米国人との関係というものがたいへん改善せられまして、各方面から、特にカリフオルニア等の各地方からほかの所へ戰時中移された者がほとんど帰つて来ております。それで帰つて来た当時においては、しばらく困難な状況もあつた所があるようでありますが、大体において前におつたところへ帰りつつある。帰つて農業をやつた者、商業をやつた者がおちつきつつある。そういうおちつきつつある状況については、具体的にまた後ほど御説明申し上げたいと思います。それから一旦前に住んでおりました所から移されたために、損害をいろいろ受けた模様でありますが、その損害の賠償というようなことにつきましても、戰後の日本人に対する一般のいい空気が反映しておるものと思いますが、だんだんとその損害賠償等の措置がとられつつあるという状況だと思つております。
  102. 山本利壽

    ○山本(利)委員 米国における日本の移民問題については、米国における日系市民、第二世の人々の活動ということに、われわれは注目しなければならないと思うのであります。すでに市民権を持つております者が向うで活動する場合にその人たちに日本の事情をよく知らして、大いに活動してもらうという点に日本政府は十分な連絡を保つことが必要だと思う。ことに先般の第二次世界大戰においては、日系市民の活動ということが、非常に米国の人々に好感をもつて迎えられたということでありますが、第二次大戰に参加した日系市民の数、そして終戰後日本の占領軍に加わつて来て活動した日系市民の数、それをちよつとお知らせ願いたい。
  103. 倭島英二

    ○倭島政府委員 今御質問の日系市民の数については、ここに数字を持つておりませんので、調査の上他日また御返答申し上げたいと思います。
  104. 山本利壽

    ○山本(利)委員 次に先般ブラジルの大統領が、中村嘉壽氏に日本市民の受入れを言明されたということが、新聞紙上に載つておりましたけれども、こういうことも国民にとつては非常に明るいニユースでありますが、その後その問題について、外務当局はどういうふうな調査をされておりますか、真相を承りたいと思います。
  105. 倭島英二

    ○倭島政府委員 中村さんがブラジルにおいでになりまして、ヴアルガス大統領といろいろお話をせられたという件につきましては、三月十五日ごろの新聞に出ておりましたので、承知をしておりますし、その後また現地の在外事務所からも一応報告が来ております。ただ現在ブラジル大統領が中村さんにどういうお話をせられたかということは、今まで事務的に照会をし、報告を受けておるところでは、はつきりしない点もございますが、大体の傾向としては、日本人に対するいい感情を持つておられるというような現状でありまして、まことにけつこうなことだと思つておりますが、ただ新聞の報道で伝えられましたような、今すぐにも移民の問題が具体的に取上げられることになるかどうかという点については、目下調査中でありますので、さらに詳しいことがわかりましたならば、御報告申し上げたいと思います。現在までわれわれのところでわかつおります状況は、日本人の移民ということについては、まだ移植民審議会で具体的には取上げられておらないという点が一つと、もう一つ現在ブラジルで相当具体的に考えられておる問題は、低い濕地帶に日本人を移して――日本人と申しますのは、すでにブラジルにおる日本人でありますが、そのブラジルにおる日本人を移して、そこを開墾してもらおうではないかという案が、具体的に考慮せられつつあるという点と、二点しかまだ判明しておらない状況であります。
  106. 山本利壽

    ○山本(利)委員 そういたしますと、ブラジルに現在おります日本移民の数であるとか、生活程度であるとか、すでに市民権を獲得しておる者の数及びその活動状況――と申しますのは、向うの地方議会とか、あるいは中央の議会まで進出しておる者があるか、あればどの程度か、さらに日本移民がブラジルの国民に与えておる感情、さらにヨーロツパその他から多数の移民が参つておると思いますが、他国からの移民との勢力的な比較、そういうものについて御説明を承りたいと思います。
  107. 倭島英二

    ○倭島政府委員 最近の日本人のブラジルにおける居住状況と申しますか、発展状況と申しますか、それについても、実は在外事務所ができましたのが昨年の暮れでございますので、それ以来いろいろな現状を明らかにするために調査をしてくれておると思いますが、これもまだ着きまして間もないので、全貌を明らかにするような統計が参つておりませんが、しかしながら二、三の傾向をお話申し上げたいと思います。  現在ブラジルにはまだはつきりした統計がございませんが、日本人二世を含めまして三十万から三十五万の日本人がおるわけでございます。その大体半分は向う生れの二世という状況でございます。この二世は、御存じの通り、向うで生れましてから二週間以内に国籍を留保すれば日本人になるのでありますが、その後戰争の期間において国籍の留保というようなことが事実上不可能になつておりましたので、今年の四月一日以後、在外事務所がこの国籍留保の問題等を受付ける事務を開始する予定になつておりますから、その事務を開始したあとでないとわかりませんが、今申し上げました三十五万人の中の約半数は二世であり、その大部分は、戰後生れた二世は国籍をまだ留保することができなかつたわけでありますが、われわれの一応の見当では、二世のうち相当部分の者が国籍を留保するということになるのではないかと思つております。現在どれくらいがいわゆる日本の国籍を有しており、どれくらいが有しないかというようなことにつきましても、いずれまた報告をはつきり入手いたしましてから御報告申し上げたいと思います。  それからブラジルにおける日本人の最近の生活状況の問題ですが、これも具体的な報告が出てから御報告申し上げたいと思いますが、生活程度は従来よりははるかによくなつておるということだけは申し上げられると思います。なお在留日本人の関係で一番問題になつておりましたのは、いわゆる臣道連盟事件というものがありました。これは御存じの通り日本が勝つた負けたということについての認識程度いかんの問題でございますが、最近の状況を申し上げますと、何と申し上げてよいか、われわれの一応の目の子では四分六分、大体六分程度のものは日本の最近の実情をよく認識をしておると思いますが、いまだに四分程度の人は、日本実情を知つてつても、いろいろな関係から、いわゆる従来の臣道連盟がやつておりましたような態度を続けておるような模様でございます。大体状況はよくなつたのでありますが、まだときにそういう臣道連盟的な傾向が現われておるという一例を申し上げますと、昨年の十一月二十日ごろに、いわゆる大日本国民前衛隊というような一つの右翼的なものの暗殺計画が発見された趣でありまして、一味の者が約三十名検挙された。これなどは実際つかまえたあと調べてみますと、いわゆる従来の臣道連盟というようなことではなくして、一種の金もうけをほんとうの目的にしておつた団体の模様でありますが、臣道連盟の名前その他の傾向を利用しておる団体である。このような状況がまだぽつぽつ出るわけでありまして、最近のリオの新聞でございますが、日本の移民に対しては、これはやはり人種的ながんになるから、入国を許すことは反対だというような、相当激烈な反対の社説を書くような新聞論調も見えておる傾向であります。ブラジルの移民につきましては、欧洲方面ではイタリアその他からラテン系の移民は相当積極的に入れたい、また現在も相当入りつつある模様でありますが、残念ながらわが国関係につきましては、やはり従来の臣道連盟その他の影響もありましてあまり積極的にこれを進めようという空気が、実際まだはつきり見られないという状況のように承知しております。
  108. 山本利壽

    ○山本(利)委員 もう一つ……。
  109. 守島伍郎

    ○守島委員長 山本君、あなたに大分時間を差上げましたが、簡單にしてください。
  110. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それでは、大体政府の移民問題についておやりになつておることがわかりましたが、戰前には民間でこの移民問題を扱つておる団体がありましたが、現在どういうものがあつて、どういう程度の活動をしておりましようか。そして最後に、私は今までの御説明を聞いてから、やはり私の考えていたように、向うの地におります者に対する日本の指導ということが非常に誤つておつた。まだ手が届いていないというように考えるのでありますから、この際次々にアメリカ合衆国あたりに使節を送られますけれども、ブラジルであるとか、アルゼンチンであるとか、その他将来日本の移民をぜひ迎えてもらわなければならぬ方面に対して、視察なりあるいは懇請を兼ねて、この外務委員会あたりからでも使節団を派遣する、そういうふうなことが政治的に非常に効果があるのではないかというふうにも私は考えますが、その点を政務次官からひとつお伺いをしたいと思います。
  111. 倭島英二

    ○倭島政府委員 移民関係の団体の点だけを私から御答弁申し上げます。従来何と申しますか、特に南米方面への移民ということを目的として、ブラジルだとか、ペルーだとか、アルゼンチンだとか、各国関係についての団体もあり、またラテン・アメリカ全体の移民、あるいは経済関係等を考慮して団体ができておりますが、実際問題として、それらの団体は現在移民ということを表面に掲げて活動をしても、むしろいい影響があるかどうかわからぬというので、われわれの承知しおります範囲においては、移民ということをはつきり表面に出して活動しておられるよりも、経済関係をまず伸ばして行こうというような点に力を入れて活動しておられるように思います。現在直接政府関係しておる、あるいは補助をしておるというような関係団体は一つもありません。
  112. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 移民問題に関します政府の今後の方針と申しますか、そういう点についての御質問にお答え申し上げておきたいと思いますが、実は御承知のように、今回の太平洋戰争におきまするいろいろな痛手と申しますか、障害、あるいは日本人に対しまする感情、そういうものがまだ十分回復しておりませんし、日本自体が現在まだ占領下にあつて、講和もまだ締結されておらないのであります。従つて日本自体といたしましては、人口問題その他の点からたいへん大きな問題でありまするけれども、ここで現在移民問題を強く取上げますることは、むしろかえつていろいろな意味におきまして、適当ではないと思われまする点もたくさんあろうと存じます。むしろ現在は日本の講和締結、独立というものがまず先決であつて、講和後におきまして、相手国とよく話し合つて、そうしてさらに今後の移民等につきましては、むしろいわゆる経済開発なりあるいは技術的な輸出なり、そういう方面において、世界人類の福祉のために日本国民が大いに働く、大いに貢献をするというような立場から、進めて来なければならない問題だと存じますので、まず現在におきましては、講和条約の締結による日本独立ということが中心であつて、その後においてそれらの相手国と十分相談し合いながら、今申し上げましたような世界人類の福祉のために貢献するという方向に、進んで行かなければならないかと存じております。従いまして、この移民問題という言葉からすでに十分検討してかからなければならないと存じますが、慎重な態度をとつて参る方が妥当であると考えております。
  113. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に菊池君。
  114. 菊池義郎

    ○菊池委員 ただいま移民の問題が出ましたが、倭島管理局長にお伺いいたしますが、イタリアは終戰後において、かれこれ十万ばかりもう海外に移民を送つております。同じ戰敗国である日本といたしましても、やはりこの移民の問題に十分力を注いでいただかなければならないと思うのでありますが、今日移民の問題を取上げるということは、世界の神経を刺激するおそれがある、ごもつともであります。しかしこの小さな四つの島に、八千万の人口が固まつてつては、子の代、孫の代には、もう食えないどころではない、飢死にもしかねないということは、世界各国が認めておるのでありますから、移民を歓迎しております国々に対しましては、今から折衝して少しもさしつかえないと思うのであります。  ところで話は別でありますが、南米その他アメリカ等、日本の移民がたくさん行つておりますところへ持つて来て、日本から寄付募集がひんぴんとして行く、それがために困り切つておるということであります。こういうことが日本の移民の発展を阻害する一つの原因になると思うのでありますが、こういうことについて日本政府は等閑に付しておつたのでありますか、何かまたその当事国との間に、取締りの方法でも講ぜられておつたのでありますしようかどうでしようか、ちよつとお伺いいたしたい。
  115. 倭島英二

    ○倭島政府委員 移民問題について各機会をとらえて大いに努力しなければならぬという御説については、まつたく同感に存じます。  なお現地におる日本人に対する諸般の寄付を募集する者が多いという点について、政府が何か従来措置をしたかということでございますが、戰後在外事務所のできましたところにおいては、日本からいろいろな寄付なり、あるいは経済上の投資ということで相談がある際に、在外事務所の者が日本の事情をいろいろ説明をして、しかるべくこれを変なことにならぬように話をしておるようであります。中には寄付というのではなくして、ある会社を興すのだということで、経済上の投資、その他の相当いかがわしいのもあるようでありますが、そういう点についても在外事務所のある方面、あるいは在外事務所に相談することができる関係にあるところでは、大した弊害は、起つていないように承知しております。
  116. 菊池義郎

    ○菊池委員 この前引揚委員会でちよつと政務次官にお伺いしたので、あらましの話はわかりましたが、はつきりしたことはまだわかりません。そこでこの際お伺いしておきたいと思うのでありますが、日本の委任統治であつた裏南洋、たとえばサイパン、テニヤン、ロタ、ポナペ、ヤツプ、パラオ、ヤルートの島々に、かれこれ四、五万の人が行つておつた、それが戰争中にみな引揚げたわけでありますが、日本の政庁のあつたところ、あるいは支庁のあつたところにおつた連中は引揚げたでありましようが、あの辺には大きな離島がたくさんある。千何百も島があるのです。そこへ行つてみなちりぢりばらばらに天然の資源を楽しんで生活して、たいていみな土人を嫁にもらつて、もう子供ができて、やしの小屋に入つて住んでおりますが、そういう連中がはたしてみな帰つて来たかということはすこぶる疑問で、これがたまたまソ連に三十何万の同胞がおる。それは南方におるのだということを共産党あたりが言つておる。その口実にもなつておるというくらいに、向うの方では日本人の種がふえておるわけです。南洋は非常に楽天地で、肉はたくさんある、魚はたくさんある、果実類はバナナ、パインアツプル、マンゴー、シヤシヤツプ、ずらつと食い切れないくらいある、うなぎなんか二尺、三尺のうなぎが幾らもある。遊んでおつて食えるところなんです。土方伯爵のむすこなんか向うで土人を嫁にもらつて、子供が数名できて、赤ふんどしをしめて、やしの屋根の小屋に出入りしておるのでありますが、こういうことならどうして自分は早く来なかつたかと言つておるのであります。そういうところでありますから、離島のしかも本島より大きな島々に移り住んでおるものは大分あるだろうと思う。いくら帰つて来いと言つても、そういうところまで手が届かない、また手が届いたところで家内と子供を離別して、籍が違うのでありますから、生木をさくごとくさかれて帰るなんということは、彼らにとつては死ぬよりも苦しいことです。そういうわけで、おそらく向うに相当残つておるだろうと思います。それでわれわれの考えといたしましては、そういうものは、アメリカさえこれを黙認してくれるならば、そのままにしておいて、これ以上引揚げる必要はないというように、政府としても打切るべきであると思いますが、こういう点について御見解はどうでありましようか。
  117. 倭島英二

    ○倭島政府委員 南洋の小さな島あるいは大きな島等に、同胞が――従来、今お話のようなかつてその島々に活躍し、発展された人たちが、現在まだ残つていやしないかという点でございますが、われわれの承知している範囲では、ほとんどというより全部引揚げて来られたと承知しております。  それからもう一つ、今のお話の中で、共産党が、約五十万人南方地区におると言つておることについて、この際一言真相を申しますが、その五十万人おるという問題を言いましたのは、昨年の十二月七日の国連会議でも、ソ連代表のアルチユニアンという方も言いましたし、その後またプラウダでもときにそういう数字を申しますが、これは一九四七年の八月並びに九月の朝日及び毎日に出ておつた数字を引用して言つておるのであります。ところがその引用した数字そのものを悪意といいますか、誤解と申しますか、誤解もあり、悪意もあるだろうと思いますが、全然引用しそこなつた数字でありまして、当時の新聞をごらんになればよくおわかりになりますが、軍関係が三十数万おる、それから邦人関係が十五万幾らおるというその新聞を引用して言つておるのであります。この三十数万の数字は、当時の記録なり統計をごらんになればよくわかりますが、これは戰時中の戰死者の数字であります。それから一般邦人が十五万幾らおるというのは、そのうちの十三万幾らは、ソ連地区の邦人であります。従つてこれを全部合計をして五十万南方地区に未帰還者がおるということを言うのは、とんでもない間違いであります。従つてその戰死者の点については、その後の調査でもう全部といつていいほどわかつております。ごく二、三千の者については、目下まだ調査中のものがありますが、全部わかつております。それから在留邦人の十五万幾らというもののうち、ソ連以外の点は、これもほとんど全部わかつております。従つて、今、南方地区に、まだ約五十万おるというようなことを聞くがというお話であつたのでありますが、それはおそらくソ連関係から出たのについての話だと思いますが、現在は、そういう大きな数の人たちが、残つておることは全然ないと承知しております。
  118. 菊池義郎

    ○菊池委員 私は五十万と聞いたのではなく、四、五万ばかり裏南洋におつたはずである。四、五万として、それが戰時中引揚げたとしても、あちこちの離島に残つておる者は、おつたところで五百人か千人くらいであろうと思う。それらを無理に引揚げさせる必要はないから、もう引揚げを打切つたらどうか、これに対する政府見解をひとつ伺いたいというのであります。
  119. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 これは南方、特に今お話のありましたところは、全部四七年に引揚げを完了いたしております。従つて今後引揚げを開始するということはないのであります。
  120. 菊池義郎

    ○菊池委員 サイパン島の属島のアナタハンという小さな島がある。そこに二十何名の邦人がたてこもつて、まだ日本の戰敗を知らないで、敢闘精神に火のごとく燃えて、今でもがんばつておるという話ですが、それは引揚げたのでございましようか。どうでございましよう。
  121. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 これはまだ二十二名残つておりまして、一人だけが帰つて、その帰りましたことによつて判明いたしたのでありまするが、これは家族の住居が全部わかつておりますので、家族から全部手紙を書いてもらい、日本はこういう状態になつて、こうこうだということを書いてもらつて、その手紙をもつて向うに勧告する予定でありますので、多分釈然として投降をしながら、いずれは帰られる日が近いと存じております。
  122. 菊池義郎

    ○菊池委員 西村条約局長に伺いたいのでありますが、先ほど講和後において戰勝国の軍隊が戰敗国に駐屯する場合は、保障占領以外にその例を見たことはないとのことでございますが、といつてこの日本の場合に、それを適用するという意味では毛頭ないことはもちろんであります。講和後においてもアメリカが日本に駐兵するということは、日本が希望するならば、という条件、つまりコンデイシヨナルフレーズがついておるのでありまするから、駐兵するといたしましても、これは決して保障占領の意味ではなくて、講和条約とは別に、さらに日米の協定によつて新たなる駐兵――保障占領と違つた新たなる駐兵であると解釈すべきものであると私は考えるのでありまするが、条約局長はどうお考えになりますか。
  123. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 ただいまの菊池委員の御質問は、並木委員質問と私の答弁を誤解しておられるようであります。並木委員質問は、講和条約で講和条約後の駐兵を規定する場合は、保障占領以外にどういうものがあろうか、こういう質問であつたのであります。講和条約で平和条約後の駐兵を規定する場合には、保障駐兵以外にどういうものがあるだろうか、こういう質問です。それに対して私が申し上げたのは、先例によれば保障占領だけでありますと答えたのであります。日米間の講和条約成立後におきまする関係につきましては、一切答弁いたす立場にございません。
  124. 菊池義郎

    ○菊池委員 これは抽象的に論じまして、たとえば負けた国と勝つた国と講和が成立し、その後でもつて両国の、戰敗国と戰勝国との協定によつて、戰勝国の軍隊が戦敗国に駐在する場合はこれをどう解釈すべきか。それでも保障占領と解釈すべきかどうか。私はそうは考えないのでありますが……。
  125. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 私は菊池委員が御指摘なつたような場合を、保障占領と解すべきだということは一言も申しておりません。
  126. 菊池義郎

    ○菊池委員 いや、そうは私は質問しません。そういう場合をわれわれは保障占領とは考えないと思いますが、西村条約局長ももちろん私たちと同じ考えであろうと思いますが、いかがでございましようか。     〔委員長退席、竹尾委員長代理著席〕
  127. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 私が申し上げましたことは、講和条約成立後におきます日米間の関係につきましては、御返事申し上げられない立場にございます、こう申し上げました。
  128. 菊池義郎

    ○菊池委員 それでは情報部の方にお伺いしたいと思いますが、朝鮮で原子兵器が使われるであろうということをアメリカ側が発表しております。われわれもこの原子兵器が使われることを希望するのでありますが、朝鮮国内においてはかわいそうに思う。侵略軍の軍事基地でありまする満洲あたりでもつてこれが使われますことは、痛快に感じる次第であります。朝鮮で使うということは、ちよつとわれわれとしては考えものだと思うのでありますが、それは別といたしまして、原子爆弾及び水素爆弾が、今後における戰争において敵国の死命を制するわけでありますが、新聞や雑誌にはしろうとの意見ばつかり、ここにもくろうとはおいでになつておりませんが、最近の各国の――ソ連、米国あるいは英国あたりの原子爆彈の保有量及びその性能等についての情報がありましたらば、教えていただきたいと思います。
  129. 田付景一

    ○田付政府委員 お答えいたします。ただいま菊池委員がおつしやいましたように、われわれみんな專門家でありませんので、どういう性能があるかというようなことはわかりかねるのでありますが、原子爆彈の保有量――これも各国ともに国家機密になつておりますので、むろんほんとうのことはわかるわけではないのでありまして、現にアメリカあたりでも、これを知つている者は十五名ぐらいしかいないだろうといわれておるのであります。いろいろ雑誌だとか、新聞あるいは通信社等の話を総合してみますと、昨年の十一月ごろタイムという雑誌に載つておりますところでは、アメリカが持つておるのは大体最少五、六百ないし四けたにわたる数字である、四けたですから千単位になるのでしようが……。それから、ことしの三月二十二日のAFPのワシントン特電は、アメリカの多数の雑誌の報ずるところということを申しまして、現在やはり四百ないし一千個を保有しているのではないかということをいつております。一方これに対しましてソ連の方はどういう保有量になつておるか、これもむろん当推量と申しますか、いろいろな計算をしておるだけでありまして、実際のことがわかるわけではないのでありますが、先ほど申しましたタイムは、二十ないし二十五個ということをいつておりますし、さらにAFPの、アメリカの原子力委員会の委員でありますジヨンソン上院議員の談としましては、ソ連は一九六〇年以前には原子爆彈三百個を保持し得ないであろうということも言つております。さらにアメリカの陸軍工科大学教授のグリーン・ハル大佐は、近く年産二十五個ぐらいになるだろうということを言つておるようであります。そのほか、いろいろな人が月産一個だとか二個だとかいうようなことを申しておりまして、こういうようなところを集めますと、大体今のところ三、四十個ぐらいを持つておるというふうな計算になるわけでありますが、むろんこれは、いずれも情報にすぎない程度でございます。
  130. 竹尾弌

    ○竹尾委員長代理 砂間君。
  131. 砂間一良

    砂間委員 最近の新聞によりますと、アメリカの州兵が二個師団ばかり日本にやつて来るそうでありますが、何のために来るのでありますか。
  132. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 これは新聞報道以外に、政府といたしましても全然承知いたしておりません。
  133. 砂間一良

    砂間委員 マツカーサー元帥は、これまでたびたび声明をいたしまして、日本の非武装化、民主化ということはりつぱに達成されて、ポツダム宣言にいわれておるような目的は大体達した。だから日本は講和をやる資格があるというようなことをたびたびこれまで声明して来られたのであります。御承知のように日本の軍隊というものはとうの昔に解散されまして、いわゆる軍事的の潜勢力というものも解体されたことになつておるのであります。そういう状態で講和も間近に迫つておるということが一方にいわれておるときに、新たに二個師団も何のために日本にやつて来るかということは、日本国民としてどうしても合点が参らないのであります。先ほど菊池委員の質問にもありましたが、講和条約後も日本にアメリカが駐兵する、その法的根拠も私どもにはわからないのであります。講和条約後も日本にアメリカが駐兵する、すでにその第一歩としてこういうふうに兵力をどんどん増強して、日本へ派遣して来るとしか思われないのでありますが、その辺につきまして、日本政府はどういうふうな見解を持つておられますか。
  134. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 州兵が二個師団来るか来ぬかは存じませんが、新聞の伝えるところのように参りますにいたしましても、それは日本占領政策に必要なため、占領軍最高司令官の権限においてなされることだと考えております。
  135. 砂間一良

    砂間委員 新聞に書いてあるところによりますと、これまでいた占領軍はみな朝鮮に行つて戰争をやつておる、日本本土の占領軍の兵力が非常に手薄になつておるから、それを補うためだというふうに新聞には出ております。もしこれが事実だといたしますと、ちようど日本は朝鮮の戰争の基地になつて参りまして、ここへ占領軍という形でアメリカの軍隊がどんどん入つて来て、ここを足場にして朝鮮に出かけて行く、兵力が足らなくなると、未訓練の州兵を連れて来まして、敵前訓練をやりまして、また朝鮮に持つて行く、また足らなくなると持つて来てやる。それを占領政策、占領軍というような名目でそういうようなことがずつと繰返されて行く、しかも講和条約後もそのまま存続されて行くということになりますと、私は日本国民としては、こういう状態は決して好ましい状態ではないと思います。また日本独立あるいはアジアの平和というものを念願しておられるだろう政府の立場といたしましても、こういう状態を決して心から歓迎してはおられないのではないかとお察しするものでありますが、政府はどういうふうに考えておられますか。
  136. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 それは砂間君の御解釈であつて、必ずしも私どもはさようには存じておりません。
  137. 砂間一良

    砂間委員 時間もありませんので、別の問題をお尋ねいたします。この前二十日の本委員会において、高田委員より国連経済社会理事会日本等の労働政策非難決議がなされておるという質問をいたしましたところが、政府委員の方はそのとき資料の持合せがないというので、この次までに必ずできるだけ詳細に調べて来て、委員会に報告するということをお答えになつておるのでありますが、去る二十四日の委員会においても何らの御説明がなかつたのであります、もしその後お調べになつておりましたら、そのことにつきましてお伺いいたしたいと思います。
  138. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 実は私どもも御質問の点を十分承知したいと存じまして、いろいろの方法で目下調査いたしておりますが、現在のところまで、どうしても新聞報道以外の資料を入手することができません。従つて今後また入手いたしましたら御報告申し上げます。
  139. 砂間一良

    砂間委員 このことは私は講和の問題と関連して非常に重要だと思います。と申しますのは、日本の講和の資格と申しますか、には、やはり民主化ということが重大な一つ内容になつておるのであります。ところがその民主化の基本的の一つであるところの労働問題について、政府がおすきな国連の方で非難決議がなされたということは、これは非常に重大な問題である。近来政府がやつて来ておるいろいろな労働政策を見ますと、まつたく労働組合法や、あるいは労働基準法や、それらの労働立法を自分みずから蹂躪いたしまして、むやみやたらに労働組合の解散をやつてみたり、あるいは罷業権を剥奪してみたり、あるいは長時間労働を強制するというような、非常に労働者彈圧的なことを公然とおくめんもなくやつておる。こういうふうな状態のもとにおいては、国連あたりでも見るに見かねて非難決議ということをやつたのだろうと思うのでありますが、こういう吉田内閣のやり方につきまして国連非難決議があつた以後において、政府は少しは反省しておられるかどうか、その点きようは労働大臣はおいでになつておりませんが、政務次官でもまあ政府委員の一人として、政府が反省したかどうか、今後そういう点は改めて行く意思はあるかどうかということをお尋ねいたします。
  140. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 これは外務省の立場としましてお答えの範囲外でございますが、ただ私どもの対外的な感覚からいたしまして、日本におきまする労働政策は十分立法の趣旨を体しながら進んでおる。従つて日本労働政策に対しまする御質問国連における非難決議があつたかないかという点を、実は十分調査をしてお答え申し上げたいと存じておりますが、おそらくさようなことはなかつたのではないか、あつたらよほど間違つたのではないか。従つて占領政策におきまして、現在の労働状態についてもその後特別にかわつた方針の指示等も別にまだあるようには聞き及んでおらないのでありまするから、現在におきまする日本労働状態は、対外的な響きにおきまして、決してかれこれ強く非難される状態にはないと考えております。
  141. 砂間一良

    砂間委員 ただいまの政務次官の答弁は、まつたく人を食つたごまかしの答弁である。しかし時間もありませんのでこれ以上申し上げません。  最後にもう一つお伺いしたいのでありますが、政府は日米経済協力というようなことを最近盛んに言つておられるのでありますが、その具体的な施設の一つといたしまして、生産拡充本部、プロダクテイヴイテイ・センターというようなものを設置されるというような御意向はありますか。
  142. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 外務省といたしましては、今の御質問は承知いたしておりません。
  143. 砂間一良

    砂間委員 安本の長官がおいでになりませんから、これは外務省の方では詳しくおわかりになつておらないかとも思いますが、しかしこのことは單独講和の重要な具体的内容になつて来ておると思います。ことにきようの産業経済新聞によりますと、「周東安本長官は廿六日総司令部マーカツト経済科学局長に対し書簡をもつて、」云々というふうなことで、相当生産拡充本部の任務とか役割とかその内容というふうなことについて、具体的なことがすでに新聞に発表されておるのであります。話がこれまで進んでおるのに、外務省が何も知らぬということはおかしいと思うのです。おそらく事情を知つておられてもわざとここでは言われないのか、あるいはまた言つてはぐあいが悪いような事情があるか知りませんが、とにかく新聞にもこれほど詳しく発表されているのでありますから、わかつている程度でひとつお答えを願いたいと思います。
  144. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 わかつておりましたら私は決して隠しはいたしません。ことに国権の最高機関でございますから、承知いたしておりましたら承知いたしておりますと申し上げますが、現在のところは先に申し上げた通りであります。
  145. 竹尾弌

    ○竹尾委員長代理 次会は公報をもつてお知らせするこことし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十五分散会