○倭島
政府委員 米国の
わが国民に対する取扱い方が、いろいろほかの外の国に影響があるということに対しましては、御意見の
通りだろうと存じます。さてその米国の
わが国の
国民に対する入国あるいは帰化ということについての最近の傾向は、どうかという御
質問に対してでございますが、この傾向については御存じだと思いますが、現在米国の議会にはアジア人の移民入国また帰化の
関係について、七つ、八つの法案が出ておるように承知しております。ただ遺憾ながら、この法案についての一々の詳しい最近の発展を御
説明するだけの
資料がございませんので、その七つ、八つ出ております法案の中で、特に問題とな
つておる二、三の法案についての最近の状況を申し上げたいと存じます。従来
わが国民が米国へ入国する問題あるいは帰化の問題につきましては、御承知の
通り、入国の問題については制限があり、帰化の問題については、従来まではできないという
状態にな
つておりましたが、それに対して三年くらい前から、御承知の
通りジヤツド法案というのができております。このジヤツド法案は、要するに
日本人にも帰化権を与えるということと、それから
日本人に対してもほかの外国人に適用しておる移民のクオーターを平等に適用するという趣旨であつたわけであります。このジヤツド法案が三年間くらい懸案にな
つておりますうちに、帰化と移民の問題を同時に片づけるということはなかなか困難だということで、すでに米国の国内におる
日本人及び二世その他の人たちの運動によりまして、その運動が相当影響したのではないかと思いますが、さらにその後、早くこのジヤツド法案が通らなければ、何とか米国の国内にある
日本人の地位をもう少し
改善してやろうじやないかというような趣旨から、これも御存じの
通りのウオルター法案というのが出ております。これはさしあた
つて一九二四年以前に米国に入りました
日本人――これは永住を許されておりますが、その人たちに帰化権をやろうじやないかという意味の、帰化権だけを解決しようという法案であります。この法案は昨年一旦議会を通つたのでございますが、その法案の一部分に、外国人の入国についての不満足な点があるというので大統領に拒否されまして、結局法律にならずに終つたのでありますが、その不満足なる点を取除いて、さらにまた議会に提出せられまして、本年の二月十九日に下院を通過し、現在上院にまわ
つておる状況のように承知しております。なおこの法案がもしも
通りますと、先ほど申しましたように、この法案はすでに米国に一九二四年以前に入
つておる人たちの帰化権の問題だけでありまして、大体一九四〇年の統計をもとにして統計が算出せられておりますが、その当時の統計によれば、もしもウオルター法案が
通りますと、
日本人の八万四千人、朝鮮人の約三千人、その他の国のアジア人の百四十五人というものが、帰化権を許されるという
内容にな
つておるようであります。ただ四〇年からすでに五、六年たちましたので相当死亡者等が出ておりますれば、このウォルター法案が
通りました
あとで帰化できる実際上の
日本人の数は、よほどこの八万四千人から減るのではないかと思います。なお従来から懸案にな
つておりましたジヤツド法案、それからそれよりもさらにいろいろな移民法の修正等を含んでおりますマツカラン法案などについては、議会には出ておりますが、諸般の反対があるものと見えまして、まだウオルター法案のように進捗していないように承知しております。