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1951-03-24 第10回国会 衆議院 外務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十四日(土曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 守島 伍郎君    理事 北澤 直吉君 理事 佐々木盛雄君    理事 竹尾  弌君 理事 山本 利壽君       淺香 忠雄君    植原悦二郎君       小川原政信君    菊池 義郎君       近藤 鶴代君    並木 芳雄君       砂間 一良君    黒田 寿男君  出席政府委員         外務政務次官  草葉 隆圓君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         外務事務官         (條約局長)  西村 熊雄君  委員外出席者         厚生事務官         (大臣官房渉外         課長)     齋田  晃君         專  門  員 佐藤 敏人君         專  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 三月二十二日  日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二五号)  世界保健機関憲章を受諾することについて承認  を求めるの件(條約第二号) 同日  強制引揚者損害賠償に関する請願久保田鶴  松君紹介)(第一四七九号)  未帰還邦人完全送還等に関する請願玉置信  一君紹介)(第一五三二号) の審査を本委員会に付託された。 同日  比島に使節派遣に関する陳情書  (第四四四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二五号)  世界保健機関憲章を受諾することについて承認  を求めるの件(條約第二号)  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 守島伍郎

    ○守島委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。  まず日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案内閣提出第一二五号)を議題といたします。政府より提案理由説明を求めます。草葉外務政務次官
  3. 草葉隆圓

    草葉政府委員 日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案提案理由及びその説明を申し上げます。  御承知の通り、昨年第七国会において、日本政府在外事務所設置法が成立いたしまして、まずアメリカ合衆国内の五箇所に在外事務所設置されましたが、その後、同法第二條第二項に基く日本政府在外事務所増置令によりまして、昨年十月、スエーデン国ストツクホルム市、フランス国パリ市、ブラジル国リオデジャネイロ市及びサンパウロ市、パキスタンカラチ市、インドニューデリー市、カルカタ市及びボンベイ市、ベルギー国ブラッセル市並びにウルグアイ国モンテヴィデオ市に、また十一月には、オランダ国へーグ市に、さらに、十二月には、タイ国バンコック市に、それぞれ在外事務所増設されて参つたのであります。政府といたしましては、その後も、いまだ在外事務所設置されていない諸国に対し、総司令部を通じて、その増設方を交渉しておりましたところ、このたびビルマ国の承諾を得ましたので、同国ラングーン市に日本政府在外事務所設置することといたしたのであります。  そこで、従来国会が閉会中であり、かつ緊急を要しましたために、増置令によつて増置して参りました前記十二の在外事務所も、この際、在ラングーン日本政府在外事務所と一緒に日本政府在外事務所設置法二條第一項の表に追加いたし、現在設置されているすべての在外事務所法律の中に明らかにしようするのが、今回の改正の第一点なのであります。  次に、前記改正に伴いまして、日本政府在外事務所設置法第九條第一項を改正する必要が生じたのであります。すなわち、同條第一項によりますと、アメリカ合衆国以外の国に設置される在外事務所についても、今回の在ラングーン日本政府在外事務所のように法律設置されるものには、一律に別表が適用されることとなり、この場合には、その所在国の通貨の対米為替相場や、その所在地の物価水準基準として、公正なる在勤手当及び住居手当を定めることができないという不合理が生じるのであります。そこで、アメリカ合衆国設置される在外事務所については別表を適用し、その他の在外事務所については、外務大臣が、別表の額の九割から十一割の範囲内で定めることとしようとするのが、今回の改正の第二点であります。  なほ附則におきましては、この法律施行期日を定め、さらに今回の改正によりまして、法律の中に追加される既存の十二の在外事務所を増置して参りました日本政府在外事務所増置令を廃止せんとする規定を設けたのであります。  以上がこの法律案提案いたしました理由並びにその説明であります。何とぞ愼重に御審議の上、すみやかに御採択あらんことをお願いいたす次第であります。     —————————————
  4. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に世界保健機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件(條約第二号)を議題といたします。政府側より提案理由説明を求めます。草葉政務次官
  5. 草葉隆圓

    草葉政府委員 世界保健機関は一九四八年四月七日に效力を生じました世界保健機関憲章に基いて設立されましたもので、現在アメリカイギリスフランス等六十三箇国が加盟しております。  この機関目的とするところは、憲章の前文及び第二條規定で明らかな通り、すべての人民の健康を増進し及び保護するため相互に及び他の諸国と協力することでありまして、このためこの機関国際保健事業の指導的かつ調整的機関として行動することを第一の任務といたしております。  政府におきましてはこの機関加盟して、国際保健事業への積極的協力をいたしますことは、はなはだ有意義であると認めまして、かねて加盟手続を進めておりましたところ、本年一月十五日連合国司令部から覺書をもちまして、加盟申請してさしつかえない旨を申し越して参りました。よつて二月六日世界保健機関事務局長に対しまして加盟申請書を送付しましたところ、二月二十八日付をもつて、この加盟申請を受領したこと、及びわが国申請は、来る五月七日からジュネーヴで開催される保健総会に提出される旨の通知がありました。  この総会の過半数によりまして、わが国加盟承認されれば、わが国はこの憲章を受諾して保健機関加盟国となり得る状態となります。この場合には、世界保健機関憲章を受諾することといたしたいと存じます。  なお国会の御承認を得まして、受諾の手続をすみやかに進めますときは、わが国国際社会への復帰が、それだけ早く一歩を進めることになるのみならず、来る五月七日から開かれます保健総会出席予定されておりますわが国のオブザーヴアーは、会期中にその場で正式代表となり、討議に参加し、また投票権を行使し得る可能性も出て参るのであります。これがこの案件について御承認を求める理由でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認いただきますよう、お願いを申し上げる次第であります。     —————————————
  6. 守島伍郎

    ○守島委員長 これより質疑に入ります。まず日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案内閣提出第一二五号)について質疑を許します。北澤君。
  7. 北澤直吉

    北澤委員 講和條約の締結以前におきましても、日本がなるべくすみやかに国際社会に復帰するということは、われわれ日本国民として希望にたえないところでございますが、そういう見地から申しまして、日本政府在外事務所というものが世界の各地にだんだんと設置を認められるようになりまして、この点も非常に欣快と思うのであります。今般また東南アジアビルマラングーン日本政府在外事務所設置が認められましたことにつきましても喜びといたすわけであります。  そこで伺いたいのでありますが、こういうふうにせつかくビルマラングーン日本政府在外事務所をつくることになりましても、問題はこのビルマ国内治安状況、特に日本との貿易関係が十分に発達できないということでは、その目的を十分に達するわけに参らぬのであります。新聞報道によりますと、最近ビルマ国内治安状況もだんだんとよくなつて共産勢力もだんだん弱くなつおる。従いまして現ビルマ政府の何と申しますか、勢力範囲もだんだんと広まつて来ておる。従つて日本との貿易というものも、ことにビルマの米の輸入というようなものから、だんだんと貿易もよくなつておるということであります。そこでビルマ国内治安状況、それから日本ビルマとの最近の貿易状況につきまして、簡単でけつこうでありますから、御説明願いたいと思います。
  8. 島津久大

    島津政府委員 御質問の第一点のビルマ治安状況に関しましては、これは事務所もまだございませんし、あまり正確な資料も実はわれわれ持つておらないわけでございます。ただいまのお説のように、最近になりまして治安状況が相当改善されたというような情報を各方面から得ております。従いまして事務所設置してその活動が妨げられるというような事情は、毛頭ないものと考えております。  次にビルマとの貿易概況でございますが、ごく概況だけを申し上げますと、一九四六年は輸出だけで輸入がございません。四七年、四八年、四九年、五〇年とだんだんと貿易量が増大して参りまして、たとえば四七年のビルマに対する輸出の総額が五百六十九万ドル、四八年、四九年は落ちておりますが、五〇年の一月から十一月までの間だけで一千百六十万ドルというふうに増大して参つております。日本に対する輸入、これは一九四八年に始まりまして百四十三万ドル、四九年が六百十六万ドル、五〇年の一月から十一月の間に一千五百三十三万ドル、そういう数字になつております。また輸出輸入の主要な品目につきましては、一九五〇年の一月から九月までの実績に徴しますと、輸出品は第一が綿布、綿製品類であります。次が綿糸、次が機械、絹、人絹製品、そういうような順序になつております。輸入品はもつぱら米であります。
  9. 北澤直吉

    北澤委員 御説明によりまして、だんだんとビルマ国内治安状況も改善せられ、また日本との貿易も年々増大しておるということであります。しかして特にビルマ国内日本に対する感情、対日感情というものは、ほかの東南アジア諸国に比べまして、比較的いい方であるというふうにわれわれは聞いておるのでありますが、どうぞラングーンにおける日本政府在外事務所設置を機として日本ビルマとの関係をさらに緊密にするように、今後とも政府の御努力を願いたいと思うのであります。  次にお伺いしたいのは、最近新聞によりますと、イギリスロンドンにも日本政府在外事務所設置が認められ、さらにアメリカワシントンにも認められるというふうに、英米の首府においても日本在外事務所設置が認められるというふうな段階になりまして、これは政治的にも大きな意味を持つと思うのでありますが、ラングーン在外事務所設置以後、どういうところに日本事務所設置を認められましたか、そういことについてお伺いしたいと思います。
  10. 草葉隆圓

    草葉政府委員 日本政府といたしましては、先ほど御説明申し上げましたように、なるべくまだ設置していない、ことに日本との関係の深い国には、なるべく早く設置希望して、それぞれ希望を申し出ておるのであります。最近、ただいまお話にありましたような地方におきまして、日本在外事務所設置を許可されたような報道がありますが、まだこちらには正式には回答がございませんけれども、しかし今後なるべく関係の多い諸国には、逐次在外事務所増設を熱望いたしておる次第でございます。
  11. 北澤直吉

    北澤委員 次にお伺いしたい点は、在外事務所資格でありますが、この日本政府在外事務所は、その所在国政府との交渉はできないようになつておると私は了解するのでありますが、日本と、類似の状態にある西ドイツの点を考えますと、西ドイツにおきましては、前からロンドンパリ、それからニューヨークには領事館設置が認められております。最近また西ドイツにおきましては、連合国占領政策が大幅にかわりまして、外交権通商権西ドイツに委譲するというふうになりまして、今度はロンドンパリワシントンにおきましては、外交代表も置けるというふうにかわつて来ておるようであります。従つて日本政府在外事務所西ドイツ領事館もしくは外交代表というものとの間には、資格の点において非常な違いがあるのでありますが、こういうふうに講和條締結以前におきましても、日本在外機関というものの地位が、できるだけ強化されるということをわれわれは希望するのでありますが、日本の場合におきましては、講和條約の締結以前におきましては、こういうふうに外地に領事館もしくは外交代表というふうなものは、置けないものでありますか、またそういうものに対しまして、これまでそういうふうな点で連合国との間に話合いがあつたのかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  12. 草葉隆圓

    草葉政府委員 お話のようにドイツとは少し趣を異にしておる次第でございますが、しかし幸いに日本におきましては、講和見通しもたいへん明るくなつておりますし、講和以前におきましても、できるだけ在外事務所の持つております権限を拡充いたしますことは、日本政府といたしましても要望いたしておる点であります。現在におきましては、まだそこまで実現し得ない状態であります。ただいま申し上げましたように、幸い講和がたいへん明るい見通しになつております。いずれこれらの点も同様含めて近く拡充し得るであろうと希望を持つておる次第でございます。
  13. 北澤直吉

    北澤委員 もう一点伺いたいのですが、これは前々からこの委員会において論議があつたのでありますが、せつかく在外事務所をつくりましても、その活動がなかなか十分に行かぬ。その原因をただしてみますと、いろいろの事情がありましようが、結局活動に必要な経費が少い、たとえばニューヨーク日本在外事務所を置きましても、自・動車一つ持つていないというようなことで、どうも経費の面で制限を受けて、なかなか十分な活動が葦ないというふうなことをわれわれは聞いておるのであります。もちろんこれは日本政府予算状態とにらみ合せなければならぬと思いまするけれどもせつかくこういうふうに外国に日本政府在外事務所を置くということでありますれば、日本国の体面もあります。またそういう機関活動を十分にせしめるという点からいたしましても、どうも現状では不十分と思いますが、政府におかれましては、こういう在外事務所経費の増額といつたようなことにつきまして、どういうような考えを持つておられますか、この点についてお伺いしたいと思います。
  14. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これはいつもたいへん御心配を願つて、むしろ恐縮に存じますが、私どもも何とかもう少し経費を潤沢にするようにいたして参らねばならないと存じておりますが、これはなかなか簡単にちよつと行きにくいような事情がありまして、必ずしも経費がないという関係ばかりじやないのであります。交際等におきましてもまことにきゆうくつでありまして、十分な活動ができにくい状態だと存じておりまするが、今後機会あるごとに関係方面等の了解を得て、内容の充実をいたしまするように進めて参りたいと存じます。
  15. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君。
  16. 並木芳雄

    並木委員 私はどうもいつも憎まれ役を買つて申しにくいことを申し上げるので、自分だつてこういうことを言うのはいやなんですけれども、またきようも外務大臣はどういうわけで出ないのか、まつ先委員長にお伺いしたいと思います。
  17. 守島伍郎

    ○守島委員長 要求いたしておきましたが、今日は参議院の本会議出席いたしておりまして、こちらに出席できないそうでございます。
  18. 並木芳雄

    並木委員 外務委員会としては、さきの国際捕鯨取締條約、また今回の在外事務所設置、さらに国際連合世界保健機関加盟と、ようやく日の目を見るようになつたという感じがするのです。このことは講和條約の前であればあるほど、私どもには非常に重要な関係を持つので、ぜひとも外務大臣出席を要望したいのです。かねてから要望しておるにかかわらず、また今日出なかつたということは、はなはだ遺憾であります。ですからこそ外務大臣不信任の声などが出て来るわけである。委員長は来週からの外務委員会に、必ず外務大臣をひつぱり出すという努力をここで誓つていただきたいと存じますが、その点いかがですか。
  19. 守島伍郎

    ○守島委員長 そういう努力はいたしますが、必ずひつぱり出すということを誓うわけには参りません。
  20. 並木芳雄

    並木委員 次官ちよつとお伺いしますけれども、もうこうなつて来ますと——ただいまも次官は、幸いに講和條約も近く開かれるという明るい見通しになつて来たと述べられた。そうすると私どもは、かねての主張である専任外務大臣をいよいよ必要とする時期が来たんじやないかと思うのです。このことは当然論議されておると思いますが、専任外相設置に関する形勢はどうなつておりますか、次官からお話願いたいと思います。
  21. 草葉隆圓

    草葉政府委員 私は現在の情勢におきましては、吉田総理大臣が兼任いたしておりますることが、むしろ日本外交のすべての点において一番妥当であると考えております。
  22. 並木芳雄

    並木委員 先ほど北沢委員から非常に適切な質問がありまして、私も実はその点を指摘してみたいと思つておりましたが、西ドイツ代表日本代表との間で、どうしてこういう違いが出て来ておるのでありましようか、この点を御説明願います。
  23. 草葉隆圓

    草葉政府委員 西ドイツ状態日本状態と必ずしも同一ではありませんから、従つて日本といたしましても、在外事務所の機能が充実することはもちろん希望しておりまするが、先ほど申し上げましたような現状に相なつておる次第であります。
  24. 並木芳雄

    並木委員 在外事務所に勤務される日本から派遣された職員は、一般商社海外渡航者と同じようであつて、そこに何ら政府職員あるいは準外交官的な特点というものは認められておらないのかどうか、その点の説明をお願いいたします。
  25. 島津久大

    島津政府委員 一般渡航者とは取扱いが違つておりまして、たとえば旅券ども、公用の旅券を持たしております。それから駐在国の待遇は、国によつて多少の差異はあります。事実上領事館にひとしいような待遇を与えられておるところもございますし、それに近いところもあるのであります。あらゆる商で通常の旅行者とは異なる政府代表取扱いを受けておるような次第であります。
  26. 並木芳雄

    並木委員 その領事館並み待遇を与えられておるところはどことどこでしようか。それから治外法権的な特権を与えられておるところはあるかどうか。
  27. 島津久大

    島津政府委員 各国の個々の取扱い資料は本日持つておりませんので、どこがどの程度ということは正確に申し上げかねるのであまりす。しかし各国とも大差はないのでありまして、課税その他につきまして、特別の配慮がなされておるわけであります。治外法権的な取扱いというものは、領事館にもないのであります。従つてそういう取扱いは受けておりません。
  28. 並木芳雄

    並木委員 先ほど次官の答弁によりますと、今後ともこういう在外事務所設置については、政府としては希望し、努力をしておるということでした。そこで、今どことどこに開設するように関係方面申請をしておられるか。
  29. 島津久大

    島津政府委員 大体私ども予定では、昭和二十五年度におきまして二十箇所を予定いたしておつたのであります。ラングーンにできますと十八箇所になりまして、大体予定通り進行いたしておるわけであります。二十六年度は二十二箇所ほどを予定いたしております。大体日本との関係が深かるべきところをほとんど網羅しております。これらにつきまして、米国政府のあつせんで関係政府と下打合せが行われております。
  30. 並木芳雄

    並木委員 それはどことどこなんでしようか。たとえば、今までとりきめができたものの中でも、フィリピンとかカナダ、濠州、そういうところは実現されておらないようです。それからいわゆるソ連圏ソ連関係の方はどうなつていますか、全然見込みはないのかどうか。今二十二という、その申請されておる国々の名前を教えていただきたいと思います。
  31. 島津久大

    島津政府委員 ただいま御質問ソ連圏につきましては、ただいまのところは予定を立てておりません。と申しますのは、一昨年の夏ごろから、この在外事務所設置とか、日本国際会議への参加が極東委員会議題になりまして、極東委員会討議をされ、結局極東委員会では成立しなかつたのであります。当時ソ連はこれに反対の意向であつたと承知いたしております。
  32. 並木芳雄

    並木委員 二十二箇所のうち、予定されておるふえる国の名前を教えていただきたいと思います。
  33. 島津久大

    島津政府委員 二十二箇所はほんの腹案でありまして、一応並べたのであります。予算関係もあり、そのときの情勢によりまして、できるところから少しでも多く、早く置きたいという心組みでやつておりますので、そのリストは必ずしも参考にならないと思つております。また本日は持つておりません。
  34. 並木芳雄

    並木委員 日本講和後、当然大使館とか公使館というものの設置が行われると思いますけれども、こういう在外事務所というものは、その場合に切りかえられて行くものであるかどうか、もし切りかえられて行くとするならば、大使館公使館方面に切りかえられて行くのか、あるいは領事館になるのか、こういうような点について質問をいたします。
  35. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは講和後は当然切りかえて参りたい希望を持つております。しかもこの大使館公使館領事館内容は、場所によつておのおの違つて参ると思うのであります。
  36. 並木芳雄

    並木委員 それについて、ちよつとこの際参考までにお尋ねしておきたいのですが、わが国が例をとるのに一番いいのはイタリアだと思いますが、イタリアでは、むろんその後大使館とか公使館とかいうものを開設したところがあると思います。どういうところに開設をされましたか、お尋ねをいたします。
  37. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ちよつと御答弁申し上げる資料が十分ありませんので、御了承願います。
  38. 山本利壽

    山本(利)委員 関連して……。日本政府在外事務所の数が漸次ふえて行くということは、まことにけつこうなことでありますが、その活動が予期の通りに進展していないということもよく耳にするところであります。しかも先ほどあまり活動がうまくできないのは、費用が足りないからではないかというような発言がありましたけれども、私の聞くところでは、人選が当を得ていないということがあるのではないか。この在外事務所というのは、今度御提案になつておる理由でもわかりますように、貿易の振興及び在留邦人に関する事務の処理のために置いてあるのであるから、その目的を十分に達しなければならないので、他の準備のためにまず置くというのではないと考えるのであります。そこで現在行つておる人は、貿易の知識などは皆無であつて、ほとんど用をなしていない。そのために日本輸出入貿易等が円滑に行かないというような声も、しばしば聞いておるのであります。英国あたりはこういう目的のために、海外に派遣する場合においては、業界の経験の深い者とか、その他人選に注意して、非常な能率を上げておるように思うのでありますけれども日本が今派遣しておられるのが、単なる外交官の卵を今のうちから出しておいて、先に外務省の役所の拡張をはかろうというのでは、さしあたつて目的に沿わないと考えるのであります。でありますから現在海外に派遣しておられる人たちは、どういう人たちをおよりになつておるか。特別の基準とかなんとかいうものがあるなれば、それも承りたいし、ないなれば、外務省からどのくらい、通産省からどのくらい、一般民間人からどのくらい、そしてそれらの人は大体どういう人たちであるかというようなことを具体的に承りたいと考えます。
  39. 草葉隆圓

    草葉政府委員 御質問の第一点は、在外事務所が所期の目的をあまり十分果し得ておらないのではないか——従来再三こういう点について御質問がありましたが、これは一つは見方の問題だと存じております。現在の機構と状態、また許されたる範囲活動状態から申しますると、私どもは相当活動いたしておると存じておる次第であります。ただ従来の大使館なり公使館なり領事館等の場合に、その地方へおいでになり、あるいは旅行者がお立寄りになり、貿易等においてやられました経験をもつて、現在の在外事務所をただちに批判されますると、それだけの機構と力とが不十分でありますために、それと比較することは困難だと存じまするが、現在与えられておりまする人員と活動範囲におきましては、十分活動をいたし逐次これらの情報を提供し、その情報はこれを国内関係方面になるべくすみやかに連絡するようにしまして、従つて相当そういう点には資しておると存じております。しかし全体といたしましては、先ほど来申し上げまするように、さらに関係方面とも十分な了解を得て、その内容等を充実することは当然でありまするけれども現状におきましては、この点は特にひとつ御了解をいただいておきたいと存じます。  またこの職員等の内容につきましてお尋ねでございまいするが、なるべく貿易関係あるいは通産省関係からも出てもらいますし、それらの経験のある者はまた外務省としましても最も適当な人たち——特別な標準を設けてやつておるわけではございまませんが、現状におきまして最も妥当であり最も適任であるという者をすぐつて、実は苦労して出しておるような次第あります民間人——民間からの採用は、現在は一般公務員法その他の関係ちよつとできにくくなつております。従つてこの在外事務所におきましては、実は人数に一定の制限がありまして、また予算等におきましても相当そういう点で縛られておりまする関係で、その範囲におきまして最大の努力をしたいというので、あらゆる努力をいたしておる次第であります。この点特に皆さんの御了解を願つておきたいと思います。
  40. 山本利壽

    山本(利)委員 ただいまのお言葉で、最善の努力はしておるということでありましたが、さらに戦前の領事館とか公使館というようなものと比較されると、その能率の点で困るというお言葉がありましたが、私どもの考えでいうと、戦前のような程度の役所をこしらえてもらつては、あまり国民としては喜ばしくないと考える。海外領事館とか大使館とかにおつた人たちは、その国の人たちのごきげんをとることは、まことに上手であつたかもしれないけれども日本人の海外における着たちの便宜をはかるということについてはほとんど無視されておつたのではないかくらいにわれわれは考えたのであります。(拍手)私もしばらく海外におりましたけれども日本の役所をたずねて行つた場合に、気持のよかつたことは、かつて一ぺんもない。実に日本人というものに対しては、扱いがそまつであつて、ただ遊ぶことばかり考えておるのではないかと思つたのであります。昔のことは済んだことでありますけれども、特に今日このことを申し上げるのは、今の大切な場合に、まず日本の経済力を充実させようという意味で、この在外事務所を置いて、貿易その他の進展をはかろうとするのであるから、それに役立つような人を十分に送つて、それらの活動を督励していただきたいということであります。将来も講和会議以後においては、大使館領事館設置されるでありましよう。そうしたらそれに適当な人を送るべきで、しかもその場合に現在行つておる人が適任であるなれば横すべりするということも考えられるけれども、現在もう貿易その他関係についてほとんど役に立たないのを、一つの見習生のつもりで送るということは、私どうかと考える。吉田首相のたいへん重視せられる外交官的なエチケツトということも不必要だとは考えませんけれども、国家のために真に働くような人を送り出してもらつて、しかも外務省その他関係当局においては、それらの人の活動状況を常に監督し、時折われわれの方にも御報告願いたいということを希望いたします。
  41. 並木芳雄

    並木委員 先ほどのイタリア大使館公使館ですけれども、調査局関係の方は、今日おられないのでしようか。資料がないとのことですが、どなたか御存じの方ありませんか。
  42. 草葉隆圓

    草葉政府委員 実はここにないばかりでなしに、外務省にもまだ詳しいものは持つておらないと存じます。それで帰りまして、調査しましてから御報告申し上げます。
  43. 並木芳雄

    並木委員 私はこの在外事務所ができることが非常に喜びとすべきであるとともに、これもさることながら、日本の霞ケ関の外務省の本庁というものを見るときに、実にさびしい姿だろうと思うのです。在外事務所と相呼応して、当然本省の方の建築を急ぐべきであると思いますが、その計画はどうなつていますか。
  44. 草葉隆圓

    草葉政府委員 まことに御同情ある御質問で、はなはだありがたく感謝申し上げます。実はお話のように仮住居をいたしておりまするために、事務の執行上も不便な点が多いので、なるべく早く本建築をして、せめてできまするならば、講和と同時に晴れそれとした日本の外交ができるように進めて行くことが当然だと存じますが、いろいろ予算等の関係で、この点まだ実現しかねております。しかし外務当局といたしましては、そういう希望を持つております。
  45. 並木芳雄

    並木委員 どうもさつきから話を聞いていますと、予算等の関係というのがくつついて来て、それが痛々しくて聞いておられないのです。予算が必要なものならば、予算を請求したらいいと思うのですけれども、どうしてそんなに外務省予算というのは痛々しいのですか。御答弁願います。
  46. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは私よりもむしろ並木君の方がよく御存じだと思います。結局外務省の建築は、一般予算から十分全体の予算をにらみ合せて来るべきものであります。在外事務所の方は実は必ずしも予算という問題ではなく、いろいろな関係において、人数の制限なり、予算の制限というものの中で活動いたしておりまするから、おのずからそこには区別がある次第です。この点は御了承を願つておきたいと思います。
  47. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、在外事務所の方における単に予算だけでないほかの隘路というものは、どういう点ですか。
  48. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは人数も一定の人数がきまつておりますし、また予算におきましても従つてそれによつてきまつて日本政府だけでは簡単に行きにくい場面がある次第です。
  49. 並木芳雄

    並木委員 本年度並びに来年度、つまり二十六年度の外務官吏養成の計画はどうなつていますか。それから新規に採用するのはどのくらいであるとか、外務省養成所における状況とあわせて婦人外交官の卵についても、この際質問しておきます。
  50. 草葉隆圓

    草葉政府委員 本年度の新規採用等におきましても、先ほど来いろいろお話がありましたような点を十分加味しまして進めて参つておるのでありまするが、外交関係の採用といたしましては、全体をくるめて四十人程度であつたと記憶いたしております。なお今後におきましてもいろいろな関係を考慮しまして、もつと充実される状態が想像されまするが、これらの点に対しましては研修所等におきまして、新しい人なりあるいは在来の人の再教育なりに目下努めておるような次第であります。
  51. 並木芳雄

    並木委員 婦人外交官の卵を養成しましたけれども、結局卵はかえつたのですかどうですか。こういう場合の要員として使うに適しているかどうか、今後の方針ともあわせて質問いたします。
  52. 草葉隆圓

    草葉政府委員 外交方面における婦人の進出という点につきまして、従来とも外務省は大きな期待を持つておりまして、お話の点につきましては、十分卵もかえつて参りました。現在アメリカにも行つておりまするし、本庁にも勤務しております。また研修所等におきましても研修をいたしておる次第であります。
  53. 並木芳雄

    並木委員 今研修所では何人くらいですか。それからアメリカには何人行つて本庁には何人おりますか。
  54. 草葉隆圓

    草葉政府委員 アメリカにはたしかサンフランシスコに一人であつたと存じます。本庁にも研修所を出ました人たちが相当おりまするし、研修所で今おりまする人数等、こまかい計数を本日は持つておりませんが、大よそは本庁に六名余りと研修所に五人であつたと記憶しています。
  55. 並木芳雄

    並木委員 在外職員の健康状態はどうですか。乏しい費用で自動車も使えないようなみじめな姿で、敗戦国家の在外職員というものは、私は相当精神的にも肉体的にも疲れているのじやないかと思うのです。それで病気でやめた人なんかあるのじやないか、現在病気になつている人もあるのじやないか。
  56. 島津久大

    島津政府委員 現在在外事務所に勤務いたしております総数は六十二名でございますが、そのうちで病気になつたというようなことを聞いた例は一つもございません。
  57. 並木芳雄

    並木委員 それならばまことにけつこうでございますが、要するに私はこういうものをつくつても、ほんとうにみじめな貧乏になつ日本の姿というものを出すための目的ならば、それは予算などの措置もいいかげんでよいと思いますが、やはり向うへ行つて活動してもらつて、普通の調査、そういうものだけでは得られないところのものを、專門的の立場から得てもらうのが目的でありますから、そういう点に対しては、どうしても財政的裏づけがなければ、だめだと思うのであります。外務省としては当然ただいままでのいきさつを考えましても、あの程度の貧弱な予算では私はだめだと思います。早晩補正予算を出して増額しなければならぬと思いますけれども、その覚悟はあるかどうか。これは計画くらいではだめなので、多少ワン・マン外相ににらまれても、必要なものは必要のように出して行くのがほんとうだと思います。それほどの遠慮は一切いらないので、出して来れば国会の方は十分これに協力するということは言えるのであります。それで補正予算は出す覚悟ができておるかどうか。
  58. 草葉隆圓

    草葉政府委員 在外事務所は先ほど来お話のように、また御答弁申し上げましたように、むしろ現在の日本としては最も大事な機関と存じまして、現在限られた範囲において最も適当な人を出すということに、実は苦労しながら努めております。人はそういう意味において適当な優秀な人ということを標準にして出しておる次第であります。この点十分御了承願いたいと思います。また今後外交再開等の場合におきましては、現在の外務省予算では不十分であることは当然でありまして、また機構等の内容におきましても、十分検討して行くべきものでありますが、これらとあわせまして、必要な場合には、当然補正等の予算的措置を講ずべきは当然であります。外務省といたしましても十分その点は覚悟いたしておる次第であります。
  59. 菊池義郎

    ○菊池委員 先ほど山本君のお説がありましたが、私も非常に共鳴いたします。草葉次官お話では、民間人を採用することは、公務員法の関係上だめだということでありましたが、公務員法の関係で、民間の有能な貿易に通暁している腕ききの人を入れることができないとするならば、いかがでしよう、嘱託みたいな名目のもとに、むしろ本職は減らしてもいいから、そういうふうな有能な人を民間人から採用するようなくふうをされてはどんなものでしようか、お伺いしたい。
  60. 草葉隆圓

    草葉政府委員 この点はいろいろと在外事務所の機能という点から、現在におきましても外地にありまする民間機関との提携、さらにあわせてただいまお話にありましたような、あるいは嘱託なり、適当な方法によつて、その力を十分に国家機関に吸収しながら進めて参るという点につきまして、実はわれわれ研究を進めております。何かそういう適当な方法をとりたいというので実は進めて参つておるので適当な方法が発見されますると、その方法をとつて参りたいと思つております。
  61. 守島伍郎

    ○守島委員長 砂間君。
  62. 砂間一良

    ○砂間委員 在外事務所設置する手続についてでありますが、これは日本政府の自主的な発意によつて、どことどこに設置したいというふうにされて、そしてそれを総司令部なりあるいはアメリカ政府なりのあつせんによつてつておられるのでありますか、それとも他の方面からあるいは総司部あたりから、どことどこに設置したらどうだというふうな話がありまして、日本政府はそれを受動的に受けてやつておるのでありますか。つまり日本政府は自主的に、自発的に設置したいという要望をもつて、そしてそれが軌道に乘つて設置しておるのが、あるいは他からの押しつけによつてしておるのか、どつちでありますか。
  63. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは日本希望しまするところを関係方面に連絡し、そのあつせんによりまして、希望する当該国に交渉してもらつて、話合いがついたら設置する、こういう順序で進んでおります。
  64. 砂間一良

    ○砂間委員 そういたしますと、日本政府がまず最初にどことどこに設置したいという希望を申し出まして、それによつて関係方面あるいはアメリカ等のあつせんを得てやつておるということでありますと、先ほどの並木委員からの質問の場合にもありましたが、並木委員ソ連圏の方に設置するというふうなことはやらなかつたかという御質問だつたと思うのですが、それについて、そういうふうなことは日本政府として、外務省としてはやらなかつた、こういうお話であります。私どもこの在外事務所設置されておる表を見ましてきわめて奇異の感を持つので、あります。それはブラジルだとかあるいはパキスタンだとか、ウルグアイだとかビルマとか、こういうふうな非常に遠方の国あるいは小さな国、比較的日本関係はないとは申しませんが、どつちかといえば、薄いようなところに、そうしてアメリカと非常に親交関係のあるようなところにばつかり設置されておりまして、日本の立場から申しますと、地理的に見ましても一番近くにあつてまた日本の経済、文化、政治、いろいろな関係におきまして、非常に密接な関係にあるところの中国あるいはソビエト、こういうふうなところは全然問題にされていない。しかもそういうところに対しては、日本政府としてこれまで在外事務所設置してもらいたいという発意すら行わなかつたということにつきましては、これはどうしても奇異の感を持たざるを得ないのであります。なぜ日本政府はそういう方面に対して、在外事務所設置するというふうな努力をこれまでやつて来られなかつた、あるいはそういう申出、発意さえもされなかつたか、その間の事情について御説明を承りたいと思います。
  65. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは先ほど政務局長からも御答弁申し上げましたように、実はソ連圏におきましてはこれの設置に反対されましたために、希望されないところには、実はこちらがかりに置きたくても置けないという事情にありますことは御承知を願いたいのであります。
  66. 砂間一良

    ○砂間委員 ソ連政府日本在外事務所設置することに反対されたというお話でありましたが、そのソ連政府が反対された理由事情をお伺いしたいと思います。なお先ほどの政府委員の方の御説明の中に、一昨年か極東委員会におきまして、日本在外事務所設置が問題になつたときに、極東委員会としてはそれが取上げられなかつたという御説明があつたと思いますが、どういういきさつで極東委員会ではそれが取上げられなかつたのか、その事情もあわせて御説明願いたいと思います。
  67. 草葉隆圓

    草葉政府委員 実はその会議内容等も公表されておりませんので、その一つ一つのこまかいことは承知し得ないのであります。極東委員会議題として取上げられなかつたことは、ただいま申し上げましたようないきさつで、これが拒否されたことになつておると承知をいたしております。こまかい内容は発表されておりませんので、承知することができない次第であります。
  68. 砂間一良

    ○砂間委員 私はただいまの政務次官のお答えはきわきて欺瞞的なものであるように感じます。と申しますのは、極東委員会の論議のいきさつやあるいはソビエト政府がなぜ日本在外事務所設置に反対しておるかということが、外務当局としてわかつておらないはずはないと思うのです。これはわかつておりながらこれが説明を回避するのか、あるいはことさらにそれを言わないのだろうと思う。この問題こそ講和の問題と関連して来ている重大な問題だと思うのであります。  これは一話はちよつと別になりますが、日本政府は昨年十二月中共貿易を禁止しているのであります。在外事務所設置法によりますと、その仕事の内容貿易だとか、あるいは旅行だとか、いろいろな商業関係の情報を得ることだとか、もつばら日本の経済的な対外発展、ことに貿易の伸張というふうなことが重要な仕事の内容になつていると思います。そういう場合に、一番重要な中共貿易をみずから禁止するということは、中国に対する敵対関係、経済的な戦争をするにもひとしいと思うのでありますが、そういう態度を日本政府がとつている。中国やソビエトに対してそういう敵対関係をみずからとつているような政府であるから、在外事務所ということも、こつちからも問題にもしなければ、またそういうふうな立場で講和を進めて行つているから、そういうやり方に対して、ソビエト政府やあるいは中共政府が、いれがたいものを持つている、賛成しがたいものを持つているから、何か特別なつながりのある国にだけこそこそと、十分な権限も持なない在外事務所設置して行くというふうなやり方に反対しているのだと思うのであります。従つてここでも講和の問題が非常に重要な、しかも密接な関係を持つて来ると思うのであります。しかし講和論議をここで繰返そうとは思いませんので、そのことは一応別にしておきます。  そこでお伺いしたいのでありますが、日本政府がかりに中国なら中国に在外事務所設置したいという場合に、それがアメリカなりあるいは総司令部なりのお気に召さなければ、それが拒否されるというこうことがあるのでありますか。それとも日本政府が強くそういう要望をすれば、アメリカ政府としましては、やはりあつせんの労をとつてもらえるような事情にあるのでありますか。
  69. 草葉隆圓

    草葉政府委員 御承知のように、現在におきましては当然総司令官の権限のもとにありますから、その同意と承認とを得て、話を進めて来るということに相なつております。
  70. 砂間一良

    ○砂間委員 そういたしますと、マッカーサー元帥のお気に召したところだけが許されて、お気に入らないところは許されない、こういうことになつておりますか。
  71. 草葉隆圓

    草葉政府委員 そういう言葉を使われるとあるいは妥当ではないかとも存じます。むしろ日本として、現在この状態において適当なところと認められるところに許可され、またわれわれも申出てその設置を進めておる、こういう状態にあります。
  72. 砂間一良

    ○砂間委員 連合国総司令官と申しますのは、これはアメリカの総司令官ではなくて、連合国代表した総司令官であると思うのであります。そして日本がポツダム宣言を受諾したあの連合国というのは、これは一九四五年の九月二日のミズーリ艦上の降伏文書にも、ソビエト、中国、アメリカイギリス、四大国であることがはつきり書いてあります。従つて連合軍司令官が許可する、あるいは判断する場合におきましては、単に英、米の観点に立つだけでなくて、やはり中、ソも代表されなければならないと思うのであります。従つて日本在外事務所設置する場合に、アメリカイギリスの一方だけに許可するということは、連合国の総司令官としましては……(「論旨が支離滅裂だ」と呼ぶ者あり)支離滅裂じやない……。
  73. 守島伍郎

    ○守島委員長 お静かに願います。
  74. 砂間一良

    ○砂間委員 総司令官としましては、やはり中国やソビエトの方の意向、あるいは日本がそういう国々にも在外事務所設置したいという強い要望があつた場合におきましては、これは平等に扱われるのが当然であり、またそうだろうと思いますが、それがどうとて中国やソビエトの方には許可されないのか、それは日本政府努力が足りないからなのか、あるいはこういうことを初めから要望しないためであるか、それらの事情をお伺いしたいと思います。
  75. 草葉隆圓

    草葉政府委員 日本政府といたしましても、実は反対しておりまする国にはまだ申出ておりません。また占領政策に関する問題は、日本政府が答弁いたしまする限りでは、ございませんから、どうぞ総司令部に向つて十分お話を願う方が妥当であると思います。
  76. 山本利壽

    山本(利)委員 議事進行について……。時間の経済のために発言いたしますが、日本政府在外事務所設置ということについては、日本共産党としては一番初めから反対であつたのではないかと私は思うのです。それを今砂間君は、今度はまたこれをソ連圏にもふやすということを盛んに言つておる。一番初めに問題が出たときに反対であるならば、そういうことを言うのは少し矛盾するように思う。その点一番初めにわれわれが採決したときに、共産党は反対であつたか賛成であつたか、ちよつとお調べ願いたい。さらにもう一つは、今の点について砂間君もちよつと言つておられましたし、私も先ほど申しました在外事務所の問題が貿易振興とか経済の問題に限られておるという建前で行くならば、経済関係の非常に濃厚な中国にも置くようにはかるということは私はさしつかえないことだと思う。共産主義には私ども反対であるが、貿易の上からは設置されてよいのであります。そこらのところはただいたずらに一党一派の宣伝に大切な時間が使われぬように、委員長においておとりはからいを願いたい。
  77. 守島伍郎

    ○守島委員長 砂間君にも自由に発言を許さなければなりませんが、ただ関連したことをお尋ね願います。もう時間もございませんからなるべく簡単に……。
  78. 砂間一良

    ○砂間委員 先ほど来政務次官は、ソビエトや中国は非常に反対しておる、反対しておるようなところに話を持ちかけてもだめだというふうに申しておられるのでありますが、これは先ほどもちよつと申しましたように、講和の問題と関連しております。それと切り離して論議することはできない。だから単独講和を強引にやろうとしておる、その一環としてのこういう行き方には反対だというのだろうかと思いますが、しかしそのことは別にいたします。ただ中国の場合におきましては、中国政府日本との経済関係を密接にして行くということについては、決して反対していない。むしろ日本政府の方から中共貿易の禁止というふうな一方的な、挑戦的なことをやつておるのであります。日本政府が中国貿易を禁止した後におきましても、現在でさえも中共政府日本との貿易関係を非常に望んでおる。現にいろいろな品物の問合せだとか、貿易の道を広げて行くことについて、非常に向うから熱心に申し出たり、あるいは努力して来ておると思うのであります。そういう事情にあるにもかかわらず、反対しておるから設置しないのだろうというふうな、国民を欺瞞するような言辞を弄して、ある特定の経済圏とこそこそと正当な権限を持たないような事務所設置して行くという行き方は、私はおかしいと思うのです。中国やソビエトが反対しておるというふうな言い方は、これはひとつ訂正していただきたいと思います。
  79. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは訂正とか訂正じやないとかいう問題じやなしに、事実の問題をどういうわけかとお話になりましたから、今までの事実を私から申し上げたのであります。従つて中共という言葉は私は一言も今まで用いておりません。それは砂間君がみずから用いられた言葉である。私は中共はまだ実は国際関係状態が正常になつておらないと存じます。いずれ東亜におきましても、現在の状態がもつと平静になりまして、ずつと正常になりましたら、ただいまいろいろ御希望のありますような中国全体につきましても考えて行くべきことは当然であります。現在は御承知のような事情から、国際関係の正常な状態にまだなつておらないと存じます。
  80. 北澤直吉

    北澤委員 今の問題に関連しまして、政府にはつきりしていただきたいのですが、日本在外事務所設置希望する場合には、総司令部にあつせんを願う、ところがデメリカは御承知のようにまだ中共を承認しておらない、従いまして総司令部が中共に対して日本在外事務所設置希望する場合には、アメリカしては蒋介石政府を通じてやるほかない、従つて中共には現在の段階では、日本在外事務所設置はできない、こう思うのでありますが、その点を……。
  81. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ただいま申しましたように、中共政府は国際的な正常な状態になつておりませんので、従つてこれは日本から申し出るのは困難な状態だと存じます。
  82. 守島伍郎

    ○守島委員長 ほかに御質疑ございませんか。——なければ本案に対する質疑はこれで終了といたします。     —————————————
  83. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは次に移ります。世界保健機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件(條約第二号)の質疑に入りますが、最初に西村條約局長より発言を求められておりますから、これを許します。西村條約局長
  84. 西村熊雄

    ○西村(熊)政府委員 ごく簡単にこの憲章の概略を御説明申し上げようと思います。  この憲章は前文と八十二箇條からなつておる相当大きな憲章であります。本文は十九章にわかれております。  前文におきましては、すべての人民の幸福と円満な関係と安全の基礎である九つの原則をあげまして、締約国はこの九つの原則を受諾して、すべての人民の健康を増進し、保護するため、国際協力をなす目的世界保健機関を設立することを明らかにいたしております。  第一章は第一條でございますが、この機関目的を定めておりまするすべての人民が可能な最高の健康水準に到達することが、この機関目的である、こういつております。  第二章は第二條でございます。この機関の任務を列挙いたしております。二十二の事項が並べてありますが、その要領はお手元にあります説明書の第三ページに八つにわけて説明してございます。御参照願います。  第三章は第三條ないし第八條でありますが、加盟国と準加盟国について規定を設けております。第三條はすべての国がこの機関に加入することができるということを明らかにいたしております。第四條は国際連合の加盟国加盟手続、第五條はこの憲章を作成しました一九四六年の国際保健会議にオブザーヴアーの派遣を招請された国の加盟手続、第六條はその他の国の加盟手続規定いたしております。わが国はこの第六條の規定によつて加盟いたそうとしておるのであります。すなわち第六條によりますと、国際連合とこの機関との間の協力関係を定めまする協定の定める條件に従うとありますが、実際はこの協力に関する協定は何らの條件を定めておりません。加盟申請した国は、申請保健総会の過半数の投票によつて承認されたとき加盟国として認められる。しかし加盟の效力は、その後におきまして、その国がこの憲章の受諾書を国際連合事務総長に寄託したときに効力を生ずるということになつております。これは第十九章にその規定がございます。また国際関係の処理について責任を持たない領域または領域群のために、準加盟国の制度が第八條で認められております。  第四章は第九條でございますが、この機関の事業が保健総会と執行理事会と事務局によつて途行されるということを規定いたしております。  第五章は第十條ないし第二十三條でございますが、保健総会に関する規定でございます。総会加盟国代表で構成され、保健機関の政策を決定いたします、執行理事会及び事務局の上級指導監督機関であります。定期的年次会期として会合しますし、また特別会期として会合することもできます。それから保健総会が條約または協定を採択した場合には、十八箇月以内にその條約または協定の受諾に関する手続を、加盟国はとらなければならないということになつております。これは第二十條に規定しております。  第六章は第二十四條ないし第二十九條でございますが、執行理事会に関する規定であります。この理事会は、総会が選挙しまする十八箇国の任命した十八人の委員で構成され、総会の決定と政策その他総会によつて委託された住務を、総会全体にかわつて実施する機関であります。少くとも毎年二回会合することになつております。  第七章は第三十條ないし第三十七條であります。事務局に関する規定であります。事務局は局長並びに技術的職員及び事務職員で構成され、ああらゆる会合に関する事務を担当し、また保健機関の財政状況報告、それから予算見積書を作成して、理事会に提出することになつております。  第八章は第二十八條ないし第四十條であります。委員会に関する規定であります。執行理事会は総会の指示に基き、または事務局長提案に基き、または自発的に各種の委員会設置することができるということになつております。  第九章は、第四十一條と第四十二條であります。会議に関する規定であります。保健総会または執行理事会は、この機関の権限内にあるすべての問題を審議するために、地方的会議一般会議、技術的会議その他の特別会議を招集することができると規定されております。  第十章は第四十三條であります。本部の所在地を規定しておりますが、総会が国際連合と協議して決定するとなつております。これはジュネーヴに決定されました。  第十一章は第四十四條ないし第五十四條であります。地域的とりきめについて規定いたしております。保健機関の一部としまして、総会の定める各地区に地域的機関設置することができることになつております。地域的機関は、地域委員会と地域事務局とから構成されております。そうしてもつぱら地域的性質の事項について政策を立てるということになつております。第一回の保健総会は、六つの地域を指定いたしました。わが国はそのうちの西太平洋地区に含まれております。西太平洋地区の事務局は暫定的に香港にございます。  第十二章は、第五十五條ないし第五十八條であります。機関予算経費について規定いたしております。機関の財政的基礎は、加盟国の醵出します分担金並びに寄付金及び遺贈でございます。歳出入予算案は、毎年事務局が作成しまして、執行理事会の審議を経て総会に提出され、総会承認すれば予算が成立いたします。そうして加盟国間に割当が行われるということになつております。緊急事態及び不測の事件に応ずるために、特別資金が設置されまして、執行理事会の裁量によつて使用されることになつております。  第十三章は、第五十九條と第六十條であります。表決について規定いたしております。重要問題についての総会の決定は、出席し、投票する加盟国の三分の二の多数によります。その重要問題とは條約または協定の採択と、この機関に国際連合及び政府機関との関係を設定します協定の承認憲章改正の三つであります。その他の事項はすべて出席し、投票する加盟国の単純多数決によるということになつております。執行理事会その他の委員会の表決も、同じような原則に従うことになつております。  第十四章は、第六十一條ないし第六十五條であります。加盟国がこの機関に提出しなければならない各種の報告について規定しております。  第十五章は、第六十六條ないし第六十八條であります。機関法律行為能力、状権及び免除について規定しております。この機関は各加盟国の領域内で、その目的達成及びその任務の送行のため必要な法律行為能力を有し、また特権及び免除を享有するということになつております。  第十大章は、第六十九條ないし第七十二條であります。他の機関との関係規定しております。この機関は、国際連合の專門機関の一つであります他の政府機関と協力関係を持つことができます。また民間の国際団体または政府の、もしくは民間の国内団体との協力ができるということになつております。  第十七章は第七十三條でありまして、憲章改正について規定しております。前に申しましたように、憲章改正は、保健総会の三分の二の投票で採択されます。加盟国の三分の二が憲法上の手続従つて受諾しますと、すべての加盟国に対して効力を生ずるということになつております。  第十八章は第七十四條ないし第七十七條でありまして、解釈に関する規定であります。解釈または適用に関する疑義または紛争で、交渉または保健総会で解決されないものは、国際司法裁判所に付託することになつております。またその機関はその権限内で生ずる法律問題につきまして、国際司法裁判所に勧告的意見を求めることができるとなつております。  第十九章は第七十八條ないし第八十二條であります。この憲章の効力の発生について規定いたしております。国が憲章の当事国となるのは、第一に承認を條件としない署名、第二に承認を條件とする署名、及びその後の受諾、第三に受諾の三つであります。わが国は今受諾によりまして当事国となろうといたしておる次第であります。受諾は、国際連合事務総長に正式文書を寄託することによつて効力を生ずるということを、第七十九條が明らかにしております。  以上であります。
  85. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは質疑を許します。北澤君。
  86. 北澤直吉

    北澤委員 過般国際捕鯨取締條約に対して日本の参加があり、また最近国際連合の経済社会理事会でユネスコに対する日本の加入問題が取上げられたわけでありまして、さらにまた今回世界保健機関に関する日本加盟の問題を、大体承認される段階になつて来たということは、まことにけつこうなことであります。こういうふうに最近次々に日本が国際機関に参加を認められまして、日本の国際的地位がだんだんと向上するということは、講和を控えまして、非常にけつこうなことだと私は思うのであります。ところがこういうふうに主として文化あるいは保健方面に対する加入は認められておるのでありますが、この文化などに劣らず大事な経済関係、経済方面——あるいは小麦協定とか、あるいは国際連合傘下のアジア極東経済会議、すなわち最近インドのラホールで開かれた経済会議、こういう経済方面の国際機関に対する日本加盟というものが、まだどうも緒についていない感じがするのであります。こういう国際経済機関に対する日本加盟が遅れておる事情について、まずもつて伺いたいと思います。
  87. 草葉隆圓

    草葉政府委員 現在お話のような状態になつておりまするが、政府といたしましても、経済方面におきましてもたいへん希望いたしております。特別な事情で遅れておるということはないのでありますけれども、まだその運びに至つていない状態であります。
  88. 北澤直吉

    北澤委員 現在の見通しでは、講和條締結前にこういうふうな、ただいま申しましたような経済関係の協定なり、国際協定ないし国際経済機関に、日本が参加するということは望めないのでありますかどうか、一応お見込みでけつこうでございますから、伺いたいと思います。
  89. 草葉隆圓

    草葉政府委員 はつきりと講和條締結前に加入し得るという見通しのものは、現在ありませんが、小麦協定は、できれば講和前にでもぜひとも進めるというような段階に運び得るのではないかと存じます。その他につきましてはちよつとはつきりと見通しは現在申し上げかねる次第でございます。
  90. 北澤直吉

    北澤委員 この世界保健機関憲章によりますと、この保健機関の任務につきましてはたくさん書いてあります。たとえば「要請に応じ保健事業の強化について各国政府を援助すること。各国政府の要請又は受諾があつたときは、適当な技術的援助及び緊急の際には必要な助力を与えること。」ということになつておりまして、もし日本がこれに加盟すれば、こういう問題については、この世界保健機関の助力、援助を受け得るということになつておるのでありますが、従来この世界保健機関各国政府に対して、こういう問題で一体どういうふうな援助をしたか。その実績の概況でもありましたら、伺いたいと思います。
  91. 齋田晃

    ○齋田説明員 厚生省の側から、ただいまの御質問について御答弁申し上げたいと思います。世界保健機関は、御承知のように終戦後できまして、今日まで約四年間をけみしておるものでございます。従いまして非常にたくさんな仕事を今日まやつて来たのであります。終戦後の非常に混乱しております世界にありまして、いろいろな方面活動いたして参りました。一番われわれに近しく感じますることは、ユニセフと協力をいたしましてあるいはギリシャあるいはスカンジナヴイアの諸国に対しまして、母子衛生の事業を強力に推し進めて参つたことであります。御承知のごとく、ユニセフは日本にも粉ミルクなどを供給してくれまして、私どもの手で配給し、国民、ことに小さい子供たちの体位向上にたいへん貢献して参つております。このWHOにおきましては、ユニセフの関係官と協力いたしまして、栄養の低下いたしておりまするギリシヤあるいはスカンジナヴィア諸国の子供たち、特に学童たちを対象といたしまして必要であるところの動物性蛋白質を含んでおりまする、主としてミルク、乳製品を配給いたしました。それに伴つて栄養調査をいたしまして、具体的にどうしたらこれらの子供たちの健康の向上をはかり得るかということを、強力に進めて参つたのであります。またエジプトにおきましては、御承知のようにたいへん流行病発生の度の強いところでございまするが、コレラが発生をいたしました際、ただちにエジプト政府の要請に応じまして、医師、看護婦その他必要であるところの医薬品を供給いたしまして、非常に短時間にコレラの防疫に貢献をいたしたというようなことも行われております。またインドにおきましては、これもユニセフと協力の計画のもとに、結核対策を行つておりまして、日本でも私どもがやつておりまするBCGの接種を、大がかりに多数の人々に行うことによつて、結核の蔓延を防ぐというようなことをいたしております。また先年ペルーに大きな地震がございましたが、その場合におきましても、ペルー政府の要請に応じまして、必要であるところの救済医薬品を送り、また技術者を送つて援助をいたしておるというようなことが行われておるのであります。
  92. 北澤直吉

    北澤委員 ただいまの御説明によりまして、この世界保健機関が発足以来、各国の保健問題につきまして、相当程度の貢献をいたしておるということを了承いたしたのであります。特に敗戦によつて国民の健康水準あるいは生活水準が相当低下した現在の日本におきましては、こういう機関に参加しますれば、その恩惠を受け得る度合いも非常に強いと思うのでありまして、私どもはぜひともこの世界保健機関への加入が、すみやかに許可されることを希望するのであります。ただ、ただいまの御説明のように仕事はしておるのでありますが、しかし仕事をする場合には、結局その裏づけは経費の問題だと思うのであります。この政府から配付されました国際連合世界保健機関加盟に関する説明書によりますと、一九五一年度の予算総額は七百三十万ドルであつたが、その後これが減額されて、年額六百十五万ドルになつた。それくらいではこれはなかなか十分な事業もできないのではないかと思うのであります。特にわれわれが期待するように、この機関が十分な仕事をしてもらいたい、こう思う点からいたしますと、この予算がもつと大幅に増額されることを希望するわけでありますが、これはどういうわけでこういうふうな少額に予算がなつておるのか、それを伺いたい。
  93. 齋田晃

    ○齋田説明員 ただいまの御質問にお答えを申し上げます。分担金が初めは七百三十万ドルでありましたが、ここにございまするように約六百十五万ドルに削減をせられたということになつておりまするのは、当初は加入いたしておりまするすべての国々から、予定通りの分担金納入金を見越して計上をいたしたものであります。後に不幸にいたしまして約十箇国のものが、——その名前どもここにございまするが、この機関から脱退をせられたのであります。従いましてその十箇国が負担をいたすはずになつてありましたところの会費が未納になつた、その結果減少いたしたものと考えます。
  94. 北澤直吉

    北澤委員 年額六百十五万ドルの予算となりますと、この日本の分担金は、この説明によりますと、国際連合の分担金割当方法にならつて、国民所得を勘案して算定するというふうになつておりますが、そうしますと日本の負担は大体どのくらいになりますか。
  95. 草葉隆圓

    草葉政府委員 かりに本年度、五一年度に加入を許されましたといたしまして、第四回WHOの総会によつて、五一——五二年の会計年度におきまする負担率を決定されると考えられるわけであります。そこで日本といたしましては、今お話がありましたように大体国民所得を基準としていたされておりますが、日本の国民所得は安定本部の調査によりますと、四九年度を基本に考えますと、大体七十五億ドルと標準を置いて考えて参りますと、全体の一・七三%になつて来るのではないか、するとこの負担率によつての分担額を仮定いたして算出いたしますると、收入を本年度は総額七百八万九千二十五ドルが分担金による收入と考えまして、そのうちで十二万二千六百四十ドル、邦貨に換算しますと四千四百二十七万九千百七十二円ということに相なると存じられます。しかしこれは一応の計算でありまして、新しくこただけ收入が増しまするために、従つて本年度はほかの分担金が減ると同時に、日本の分担金も幾分か減つて来るのではないか、また戦後の関係でなるべく少く負担をするように話が進められる可能性もあると存じます。
  96. 北澤直吉

    北澤委員 ただいまの御説明によりますと、本年度にもし日本加盟を許された場合に、日本の分担金は四千四百二十七万何がし、もしいよいよ日本加盟を許される場合には、これは新しく予算に計上するわけですか。あるいは近く成立します二十六年度予算の予備費か何かでまかなう方針でありますか、その点はいかがなことになりますか。
  97. 草葉隆圓

    草葉政府委員 いろいろと国際関係のかような分担金を予想いたしまして、先般も御答弁申し上げた予備金を組んでありまして、大蔵省にとめ置きの二十億の中からただちに出し得ることになつております。
  98. 北澤直吉

    北澤委員 もう一点伺つて私の質問を終ります。先ほども西村條約局長の御説明があつたのでありますが、この世界保健機関憲章の中の、いわゆる地域的とりきめの点であります。こういうふうに世界保健機関におきましても地域的のとりきめに関する規定があつて、西太平洋地区のブロツクの保健の機関ができているということでありまして、私はこの点は非常にけつこうだと思うのであります。とにかく日本はアジアに存在しておりまして、アジアの国との関係を特に密接にしなければならぬというこは、申し上げるまでもないのであります。従つてこういうように保健の面におきましても、経済の面においても、東南アジア、南方アジアの国々との関係を、さらに一層密接にするということは、当然必要と思うのでありますが、私はこういうように地域的な機関、経済あるいは保健、あるいは文化、そういう各方面までにわたつて、アジア特に東南アジア諸国日本関係というものをさらに一層密接にするように、こういう機関を利用するといつてはおかしいですが、そういう観点から、こういう機関に対して特別の考慮を払うことが必要である、こう思うのでありますが、政府におかれましてもそういうような考えを持つておりますかどうかを伺いまして、私の質問を終ります。
  99. 草葉隆圓

    草葉政府委員 御質問と全然同感に存じております。
  100. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君。
  101. 並木芳雄

    並木委員 私はきよう書類をいただいたばかりで、まだ検討の時間がありませんから、月曜日に準備して参ります。
  102. 砂間一良

    ○砂間委員 私もそうお願いします。
  103. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは外務当局から発言を求められておりますから、これを許します。
  104. 草葉隆圓

    草葉政府委員 並木委員のさきの御質問で、手元に資料がありませんのでお答えを保留しておきましたイタリアの在外公館のことをこの機会にちよつと御答弁申し上げておきます。  四九年現在におきまして、イタリアの在外公館は、大使館が二十箇所、公使館が三十八箇所、以上であります。
  105. 砂間一良

    ○砂間委員 先ほど厚生省の政府委員の方から、十箇国ばかり脱退したということを申されましたが、それはどことどこの国でありますか。
  106. 齋田晃

    ○齋田説明員 お答え申し上げます。アルバニア、ブルガリア、白ロシヤ、中国、チエコスロヴアキア、ハンガリー、ルーマニア、ウクライナ、ソ連、さらにもう一箇国ありますがちよつと判明いたしませんが、大体において……。
  107. 砂間一良

    ○砂間委員 それは千九百何年ごろでございますか、脱退した理由は、どういう理由でありますか。
  108. 西村熊雄

    ○西村(熊)政府委員 砂間委員の御質問に対して、少し時間がかかりますが、詳しく御答弁申し上げます。ソ連、ウクライナと白ロシヤは四九年二月十二日付の事務局長あての電報で、自国をもはや世界保健機関加盟国と認めていない旨を通報いたしました。その理由として、この電報はソ連の保健省及びその下にある事務関係機関は、保健機関の事業に不満であつて保健機関は疾病の予防及び撲滅のための国際的措置並びに医学の進歩に関連する事業を十分に遂行しておらず、また保健機関の尨大なる行政機構を維持するために、加盟国にとつて過重な負担が要求されており、これらすべては保健機関活動の方向が、一九四六年の国際保健会議において定められた事業と合致していないと述べました。これに対しまして、事務局長は、これら三国が機関の事業に参加することの必要を強調しまして、保健に参加することの必要を強調しまして、保健機関代表者と、三国の当局とが会合して、脱退を決定した理由を十分に審議したいという電報を三国に送つたのであります。第二回保健総会におきましては、この三国からの脱退通報について事務局長から、この問題は保健機関からの脱退は可能か、それからこの三国の保健機関への通報は、三国政府の正式の通報と認むべきかの二つの問題にわかれまして、前者につきましては、国際司法裁判所の意見を聞こうという意見が提出され、また諸国代表からも、いろいろな意見が提出されましたが、結局四九年六月二十三日、これらの三国がその意図を再考して保健機関の会合に復帰するように勧誘するという決議を採択いたしまして、事務局長は、この決議をこれら三国に送つたのであります。  四九年の十一月二十九日にブルガリア政府は、保健機関から脱退することを決定しまして、かつ自国をもはや保健機関加盟国と認めていない旨を事務局長に通告しました。五〇年の二月二十日ルーマニア政府、二月二十五日アルバニア政府、四月十四日チエコスロヴアキア政府は、これと同じ趣旨の通告を事務局長に送りました。第三回の保健総会は、これら諸国の脱退通報を取上げましたが、結局五〇年の五月十九日、これらの国が保健機関の事業に対する完全な協力を再開することはいつでも歓迎するが、現在の段階においては、これ以上の措置をとることが望ましいとは認めないという決議を総会は採択いたしたのであります。その後五〇年の五月二十日ハンガリー、八月十五日にポーランドが前通の諸国と同趣旨の通報をいたした次第であります。  ソ連は脱退の理由といたしまして、保健機関が、いたずらに経費負担のみ多くて実効をあげていないということを述べております。他のソ連圏諸国は、保健機関が技術機関であるにもかかわらず、政治的考慮が支配しており、特に米国は、西欧諸国などにはアイソトープ、ストレプトマイシン、ペニシリン等の貴重な医薬品の供給を行つているが、東欧諸国の要求には応じないでいるということを理由としてあげております。  最後に中国の脱退でありますが、中国は五〇年の五月五日に、自国が五月七日に保健機関から脱退するということを通報いたしました。これは国民政府であります、ところがちようど数日遅れまして五月十二日に、北京政府は、国民政府保健機関に参加する資格がないということを事務局長あてに通報いたしております。第三回保健総会はこの二つの通報を取上げまして、五月十二日に中国の保健機関の事業に対する完全な協力の再開を歓迎するという決議を採択いたしました。中国の脱退の理由につきましては、十分な資料がないので、私どもにまだわかつておりません。以上であります。
  109. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは本件に関する質疑はこの程度といたします。     —————————————
  110. 守島伍郎

    ○守島委員長 なおこの際、国際情勢等に関する件を議題といたします。並木君。
  111. 並木芳雄

    並木委員 ちよつと一点だけ大至急でお尋ねします。実はフィリピン戦犯の件に関してのことでありますが、昨今街頭などでも嘆願の署名運動が行われておるような状態です。事柄は非常に愼重を要する問題でございますので、この取扱いについては、すこぶる謹慎しつつ、なおかつ各国の助命減刑というものを嘆願する態度をとつてつたのでございます。先ほど資料をいただきましたこの中で、私はフィリピンと濠州の関係について最近の戦犯の状態というものをお伺いして、これに対して外務当局は、どういうふうな嘆願の措置を講ぜられておるか、それをお伺いしたいわけであります。それと講和ができましたあかつきには、いわゆる大赦とか特赦というような観念と、同じような意味合いにおける何らかの減免刑というものが行われる可能性があるかどうか、これもあわわせてお伺いする次第であります。
  112. 草葉隆圓

    草葉政府委員 フィリピンの戦犯死刑の執行がありました後におきまして、一層日本国内的に何とか執行の猶予あるいは減刑等の方法を希望されるという状態が強く現われて参つて、ただいま並木委員の御質問の点になつて来たと存じます。ほかの委員会等におきましても、再三この熱望が国会を通じてなされておりまする状態でありますが、その都度外務当局といたしましても、従来からの戦争犯罪の処罰についての経過等を詳しく御説明申し上げて、政府が従来十分この点については熱情をもつて処して参りましたことを愼重にお答えを申して参つたのであります。なほ多数の同胞が処刑を受ける順序になつておりまするから、具体的には今後政府といたしましても、従来の熱情をさらに続けて参りたいと存じておる次第でありますけれども、しかしこれはそれぞれの国によりまするそれぞれの法規、手続等によつてなされておることでございますから、ただ十分日本国民の心持を反映させる方法をとつて、十分理解ある同情を得るという点を進めて参らねばならないと存じ、講和によりまして適当な処置がとられるかどうかということは、これまた簡単には申し上げかねることだと存じまするし、今後におきましては、一層日本国民の持つておりまする戦争に対する強い反省と、この戦争犠牲による犯罪処置に対するそれぞれの国に対しまする正しい、また理解ある同情的な処置とを、今後も強く熱望いたして参りたいと存じております。
  113. 守島伍郎

    ○守島委員長 本日はこれにて散会いたします。  次会は二十六日月曜日午前十時から開会いたします。     午後零時二十一分散会