○砂間委員 それこそそれは
一つの仮定であります。私はその問題はそれくらいにいたしまして、次にひとつこの
機会にお尋ねしておきたいことは、
講和條約ができたあとで、かりに
日米防衛協定を結んで、
アメリカの軍隊が
日本に駐屯するように
なつた場合に、もしその外国の軍隊が
日本国民に対して刑事上の犯罪を
行つた場合には、その司法権はどうなるかということをお伺いしたいのであります。それにつきまして、私は
一つの例を申し上げたいと思うのです。それはこの二月の二十六日でありますが、熱海におきまして、熱海の初島館に
朝鮮から帰
つて来たといわれる
アメリカのロバート・W・へツセラー大尉とウイラード・W・ワイズ大尉という二人の将校がや
つて参りました。そうしてこの初島館の帳場におつた
ところの柴井良之助、これは五十一歳になる人でありますが、この人を射殺した。それからまた番頭の前原深、二十八歳、この人を拳銃でなぐりつけた。あるいはそこにマッサージに来ていた本木何がしという女のあんまさんでありますが、これがその騒ぎで驚きまして、玄関へ逃げ出して行く
ところをうしろから二発射ちつけた。またその騒動をとめに出た
ところの熱海の自治体警察の渡辺巡査というのも射たれまして、そうして重傷を負つた。また一町ほど離れた幾代旅館の帳場にいた
ところの伊藤米蔵、五十六歳でありますが、この人の
ところにも来まして、二発射つた、こういうふうに一名は射殺され、数名が傷を受けた、こういう事実があるのであります。これは
新聞にも発表されたことでありますから、
政府としても十分御
承知のことと思います。この犯人は熱海の市警がつかまえまして、そうして進駐軍の方に引渡したそうであります。現在は占領下でありますから、こういうふうな事件が起りましても、これは進駐軍の方で何らか処分されると思うのでありますが、
日本政府においてはあるいは司法権というものはないかと思うのでありますが、しかしながら
日本の
国民の生命、財産を保護する
立場にある
日本政府といたしまして、こういう事件が今後たびたび起るというふうなことがありますと、
政府としての責任が私は盡せないのではないかと思う。占領下だから切捨てごめんだというふうなことになりますと、これは非常にうまくないと思うのです。しかしこれは占領下だからやむを得ないといたしましても、将来
講和條約が締結された後に、もし
アメリカの軍隊が
日本に三十箇年も、六十箇年も駐屯するとした場合に、これと似たような事件がもし起つたとしたならば、そのときはどうなるか。これは駐屯軍のやることだから、
日本の司法権、警察権というものは及ばないものであるということになるのか、あるいはそのときには
日本政府が外国の軍隊であろうが何であろうが、そういう悪いことをした人はみんなとつつかまえて、そうして十分に処分できるようになるのかどうかという見通しについて、講和の問題に関連して
政府は何か
日米軍事協定というふうなことで、外国軍隊の
日本駐屯をも要望せられておるように聞いておりますので、それらの辺の見通しについてひとつ伺いたいと思うのです。なおこの事件について、
日本政府はどういう措置をと
つておられるかということも、あわせて承りたいと思います。