運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-20 第10回国会 衆議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 守島 伍郎君    理事 北澤 直吉君 理事 竹尾  弌君    理事 山本 利壽君       伊藤 郷一君    植原悦二郎君       大村 清一君    菊池 義郎君       仲内 憲治君    並木 芳雄君       武藤運十郎君    砂間 一良君       高田 富之君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  出席政府委員         外務政務次官  草葉 隆圓君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         外務事務官         (條約局長)  西村 熊雄君  委員外出席者         專  門  員 佐藤 敏人君         專  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 三月十六日  終戰後外地における被接収船舶の返還に関する  請願(關谷勝利君紹介)(第一三七二号) の審査を本委員会に付託された。 同月十五日  ILO産業委員会並び連合海事委員会日本  代表全面的参加に関する陳情書  (第三九四号)  一九二四年のブラッセル協定参加に関する陳情  書  (第三  九五号)  小笠原島住民の帰郷促進に関する陳情書  (第四二七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 守島伍郎

    ○守島委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。  国際情勢等に関する件を議題といたします。外務当局より発言を求められておりますので、これを許します。草葉外務政務次官
  3. 草葉隆圓

    草葉政府委員 その後の国際情勢について御報告申し上げたいと存じます。対日講和の問題でございますが、対日講和は、すでに草案作成段階に至つておる旨伝えられておるのでありますが、この点に関しアチソン国務長官は、去る十六日記者会見におきまして、ダレス氏は現在上院外交委員会とも協議をいたしながら草案を練つており、近い将来これを終えて、関係国とさらに話を進める運びになつておるという点、次に対日講和を本年中に実現するよう希望しておるという点、また去る三月三日の、前回申し上げましたマリクソ連代表のその声明にもかかわらず、かかる態度ソ連が今後続けることのないように希望するという点を述べたのであります。これに対する関係各国の最近の動向につきましては、まずフランスが対日講和について、米国のとらんとしておる方針に大体従うことに意見の一致を見た旨が報ぜられておりますし、イギリスは、アメリカの提示いたしました七原則に対する見解を、最近米国政府に通達したといわれておりますが、その内容は発表されておらないのでありまするから、詳細に承知いたしかねるのであります。また濠州につきましては、スペンダー外相下院の本会議におきまして、対日講和條約は、戰略的な原料の輸入統制を含む効果的、合理的な日本武装の制限、並びに太平洋における効果的な地域的安全保障の確立の点、これらの二点を基礎とするものでなければならないと述べておるのであります。  次にユネスコ加入問題について、この機会に申し上げておきたいと思います。さきに本委員会においても御報告申し上げました通り政府は総司令部当局の許可を得て、パリのユネスコ事務局長あてユネスコ加入申請書を送付いたしたのでありまするが、去る三月十四日の国際連合経済社会理事会におきまして、過半数をもつて西ドイツ、ヴエトナム、ラオス、カンボジアとともにわが国の加入支持したことが伝えられたのであります。今後ユネスコ執行委員会過半数支持を得ました後、最後ユネスコ総会で三分の二の多数決による承認を経る必要があるのでありまするが、まずその第一段階においてわが加入支持のありましたことは、まことに喜びにたえない次第であります。  最近に、欧州における四箇国外相代理会議のその後の動きについて申し上げたいと存じます。四箇国外相代理会議は、すでに昨日から会議第三週を迎えまして、第一日の去る五日、双方からそれぞれ提案いたし、その議題をめぐりまして、若干の修正等を含んで討議が続けられて参つたのでありまするが、去る十四日、ソ連側は第一議題を、ドイツの非武装化に関し四箇国がポツダム協定を完全に履行すること、この議題は、その前にはドイツ武装化に関するポツダム協定の適用と、ドイツの再軍備禁止ということになつておりましたのを、再軍備禁止という部分を撤回したものでありまするが、ただいま申し上げましたドイツの非武裝化に関し四箇国がポツダム協定を完全に履行することというようにいたしまして、さらに第三の議題でありまする現在の欧州緊迫の諸原因を終止せしめ、四箇国の軍備縮小を含む四箇国間の関係恒久的改善をはかる手段をも検討することという議題、これは前回も申し上げましたが、欧州情勢改善と四大国の軍備縮小となつておりましたのを、このように修正いたしたものでありまするが、この修正提案を行い、これに対しまして西欧側は翌十五日、さきに述べましたソ連提案の二項目を取入れた妥協案として、その第一議題といたしまして、欧州における現下の国際的緊迫原因、及びソ連イギリスアメリカフランス間の関係の現実的かつ恒久的な改善保障する方策検討、すなわち現在の軍備水準、これがドイツ軍備に及ぼす効果軍備を管理し、縮小する方策、侵略の恐怖の除去、こういうのを目的とする処置、すでに締結された諸條約から生ずる義務の履行、こういう諸問題の検討、こういうことを提案いたしたのであります。西欧側のこの提案は、従前の立場を幾分讓歩して、ドイツの非武装化問題と軍備縮小問題に触れておりますが、ソ連側は依然これに難色を示しておるようでありまして、今回の会議の成否は、まつたくこの点がいかに調整されるかにかかつておると見られておるのであります。  最後朝鮮動乱の問題につきまして申し上げておきたいと存じますが、国連軍は御承知のように、最近各戰線にわたりまして、急速な進撃を遂げ、去る十四日には遂に京城を無血占領しまして、また中部戰線要衝洪川も占領し、引続き北進中のようであります。これとともに再び国際的な関心を集めて参りました問題は、いわゆる三十八度線突破の問題であります。従来この問題は、国際連合軍が北上するにつきまして、二月上旬以来すでに国際間に論議されて参つたところでありますが、西欧諸国は、事前に、国際連合関係国間で愼重にこれを討議しなければならないという態度を持して参りまして、特にイギリスは、局地的な越境は純軍事的な問題としては考えられるけれども、大規模な突破政治的問題であり、関係国間の協議を経なければならないという立場をしばしば表明して参つておるのであります。この問題の解決をめぐりまして、アメリカイギリス間あるいは朝鮮に派兵をいたしておりまする国際連合諸国間の動きはにわかにしげくなりまして、あるいは国際連合諸国には、マッカーサー元帥に対してもし必要とあるならば、三十八度線の北側に新たな戰略的防衛線を樹立することを許可する用意がある旨が伝えられ、あるいはイギリスは、三十八度線で戰線が安定いたしますると、問題の解決をはかるべく中国に停戰申入れをせよという通告アメリカ行つたとも伝えられておるのであります。また最近リー国連事務総長は、新しい方式による平和提案について西欧諸国側意向を打診しておるなどと、いろいろの動きが伝えられておるのでありまするが、今後中共の態度とも関連いたしまして、軍事的政治的観点から、いかなる決定がなされるかが特に注目される問題と存ずるのであります。  以上御報告申し上げます。
  4. 守島伍郎

    ○守島委員長 これより質疑に入ります。質疑通告順にこれを許します。植原君。
  5. 植原悦二郎

    植原委員 申すまでもなく、日本軍閥政治国民を率いて真珠湾やみ討ちをいたしましたとき、アメリカ国民日本国民の卑劣なる行為として烈火のごとくに憤怒いたしたことは皆様承知通りであります。当時アメリカの各新聞は、真珠湾アメリカ国民として孫子の代まで忘れてはならないといわれたほどのことでありました。しかるに戰争が済みまして、アメリカ政府また国民日本国家国民に対するところのきわめて寛容なるところ態度マッカーサー元帥のきわめて賢明なる占領政策によりまして、この五年有半の間に真珠湾を問題とするところ日米両国民の感情は、まさに拂拭されたことく思われるばかりでなく、最近朝鮮事変が起りまして以来、さらに共産主義に対して共同の防衛をしなければならないという考えから、日米両国親善友好関係動きはすこぶる強くなつたように思われます。この間に処して、御承知通りマッカーサー元帥は、早く日本講和條約を締結することが、日本国民のためにも、また日米両国民のためにも、緊要なる問題であると、しばしばこれは米国政府提案されたようにも考えられます。このときにあたつて、御承知のごとく、実に現在アメリカ民主党政府であるにもかかわらず、共和党上院議員ダレス氏を大統領の代表の大使として、講和條約に対する日本朝野意向をも研究調査するだけの労をとられたということは、まことに日本国民にとつて、ある意味から申しますれば、仕合せのことでもある。極東に対し日本に対してよく精通されておるところの人、しかも現政府と反対の立場におる共和党上院議員、かかる適材を抜擢いたしまして、日米両国におけるところの、いな日本との交戰国におけるところ講和條約の作成に当らせられるようにしたということは、日本国民として大いに感激してよろしいことだろうと思います。これと呼応してと申しますか、あたかもほとんどときを同じくして、米国上院下院において、移民帰化権平等等を規定した移民法案なるものが両院に提出されました。これは二月十五日提出されたのでありますが、アメリカ上院においてはマツカラン氏、下院においてはウオルター氏この両案の間には多少差がありますけれども日本人移民に対して平等な取扱いをする、これが入国を許された場合には、帰化権をも許容しようという点においては、両案ともほぼ同一であります。両案は三月六日、すなわち本月の六日から両院において審議を始められると報道されておるのであります。この場合に私は、日米両国間において多年の煩わしい問題でありましたところ移民の問題を少しく考慮してみたいと思います。  半世紀前に、アメリカ鉄道敷設のために多数の労働者がいるということから、ハワイから契約労働者が送られたということが、かなり盛んでありました。また日本からも出かせぎの移民が参りました。アメリカの人情、風俗も知らず、ただ出かせぎの人でありましたからして、アメリカ社会状態に対して、これと和合し融和するというようなことがなかつたために、今から四十数年前に日本人移民に対して、かなりはげしい排斥運動が起つた。土地所有禁止、ある一定の場所に日本人移民居住を許さないというような、日本移民に対するずいぶんはげしい排斥太平洋沿岸を通じて起つたことは、皆様方御記憶であろうと思います。両国政府が苦心して、ある場合においては日本移民を調節するために、紳士協定というようなものができまして、日本移民から生ずる日本移民排斥の声、また日本移民が向うへ行きたいというような考えから、この両者のもつれの間に、單なる移民のことでありまするけれども日米両国感情のもつれを生じたことは少くなかつたのであります。それが今日、ことに戰後、これはアメリカ居住したところ日本同胞戰争中まことに謹愼なる態度でありましたことも一つ理由でありましよう。また第二世が真実アメリカに対して忠誠を誓つて、まことにりつぱな行動をいたしたことも一つのことでありましよう。また文化が進んで、人種差別のごときことをいたしてはならないという考えが起つたことも一つ理由でありましよう。いずれにいたせ、戰後日本同胞アメリカ居住者に対して、アメリカ国民の有するところ感情は徹底的にかわつた、と私どもは思うておるのであります。私はときどきかようなことを考える。真珠湾の攻撃のために日米感情ははなはだしく悪くなつた。また日本軍国主義世界の恨みを買うようになつた。けれどもこの戰争が済んで、これを契機として一番いい立場に立つたものは、アメリカ居住しておる在留民だと、こういうような考えを持つたほどでありましたが、最近アメリカ国民が進んで日本国民帰化権を與え、土地所有を許す。今日はすでにここに移民帰化権の平等を規定した移民法案両院提案されて審議されておる実情であります。アメリカ移民をいかに処置するかということは、これは外交上の問題ではありません。また日本国民としてこれをただいま外交上の問題といたすべきではないと思います。移民の問題はアメリカ国内の問題でありますがゆえに、私どもはこれに対してかれこれの意見を陳述いたしたくはないのであります。けれども終戰後におけるところアメリカ国家なり国民日本国民に対する寛容なる態度マッカーサー元帥の賢明なる過去数年間におけるところ日本国民に対する政策、さらに進んで最近問題になつておりまする早ければ今年の秋にも、いくらおそくとも今年一ぱいには締結されようとするところ講和條約、その講和條約に対しても世界に比類のない私はアメリカ態度であると思います。これまでの戰争あと講和條約の結ばれるときには、必ず戰勝国戰敗国に対するところのいろいろの要求をなし、それを抑制することに努めたところ講和條約が締結されるのが、過去の世界国際間の実情であります。しかるに今日は、ダレ久氏が日本に到着して第一に発声されたことは、今度の講和條約は、戰勝国戰敗国に対してかれこれ要求するのではない、日本戰敗国と見ずして、平等の立場において講和條約を締結しようとするのだ、戰争のために一等国から四等国にも転落した日本に対して、この国の経済的な立て直しをして、早く日本国民一等国民として生活ができるように、世界自由国家の一員として活動のできるようにしたいという講和條約を結びたいのだ、こう申されたことに対しては、日本国民、しかも真珠湾——たとえ軍閥に左右されたといたしましても、真珠湾やみ討ちをした国民としては、この国際的な情勢に対しては感激いたさなければならないと思うのであります。この際にアメリカ上下両院において、日本移民に対して平等の取扱いを與えよう、帰化権を與えよう、しかもこの移民法通りましたときには、少くとも百八十五名の移民が年々日本から入国できるようにしよう、こういうことを私ども新聞を通じて報道されましたときに、このアメリカ国民真珠湾の問題はもうまつたく過去の夢のごとくに忘れて、そうして日本国民を平等の立場に立つて取扱うばかりでなく、その他に移民入国をも許そうとする法案アメリカ上下両院において審議されるということを思いますときに、私どもこのことについて、これを批判するのではなくて、日本国民自然にわき出る感謝威激状態をここに表現して、そうしてこの法案の成立することを希望するということは、日米両国民の了解を一層深厚ならしむる上においてよろしいことだと考えるのであります。こういう意味におきまして、私はこの移民法アメリカ国内法であるがゆえにこれを論議しようとか、批評しようとかいうことではない。講和條約のまさに締結されんとする前において、かような問題がアメリカ上下両院において審議される成行きを見まして、非常にこれに感激し、喜びを持つばかりでなく、私はこの法案が一日も早く成立することを希望するという日本国民威情をここに吐露いたしまして、これに対する外務省の御所見を承りたいと組うのであります。
  6. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ただいま植原委員からの御所見並びにこれに対する外務省見解に対しまして、私どももまつたく同感に存ずるのであります。なおまだ内容についての詳細なことは、通信報道以外には何ら承知いたしておりませんので、不明でありまするが、伝えられておりまするような方向移民の問題、帰化権の平等というような点について、お話のようにアメリカ国会においてこれを取上げ、さらに進められておりますことだけに対しましても、ただいまお説にありましたように、まつたく日本政府といたしましても、その好意に対して衷心より感謝をいたす次第であります。以上申し上げます。
  7. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは北澤質疑を許します。
  8. 北澤直吉

    北澤委員 私はまずユネスコの問題につきまして伺いたいと思います。  先ほど外務当局からの御説明にもあつたのでありますが、過般国際連合社会経済理事会におきまして、日本ユネスコ加入の問題が取上げられまして、多数をもつて日本ユネスコ加入が認められたというわけでありまして、これはわれわれ日本国民としてまことに欣快に存ずるのであります。終戰後マッカーサー司令部好意とまた日本政府努力によりまして、日本国際社会加入の道がだんだんと開けて、さきには日本国際捕鯨條約に対する加入が認められ、さらに今度はユネスコ加入、あるいは最近には世界保健機関に対する加入も認められるという段階になつておるのであります。こういうように日本国際社会復帰の問題がだんだん具体的に進められ、日本国際的の地歩がだんだんと向上して参りましたことも、われわれは非常にうれしく存ずるのであります。そこでこの日本ユネスコ加入の問題は、日本が正式にユネスコ加入するまでには、今後どういう段階を経てなりますか、まずその点をお伺いいたしたいと思います。
  9. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ただいま申し上げましたように、すでに国連経済社会理事会におきましては、過半数をもつて通過いたしまして、今後さらにユネスコ執行委員会におきまして、これまた過半数承認を経て、六月のたしか十八日でございましたか、総会において三分の二の多数決による可決を必要として、初めて加入承認されるという手続になつて来ると思います。
  10. 北澤直吉

    北澤委員 日本ユネスコ加入せんとする場合におきましては、日本の憲法によつて、その事前もしくは事後において国会承認を経なければならぬことになつておりますが、その日本ユネスコ加入に対して、いつ国会承認を求められますか、その見込みを伺いたいと思います。
  11. 草葉隆圓

    草葉政府委員 今申し上げましたような国際的の大体の方向に向つておりますので、今国会中のなるべく近い機会ユネスコ加盟承認をお願い申し上げたいと存じます。
  12. 北澤直吉

    北澤委員 ただいま申し上げましたように国際連合その他の方の空気が非常に好転しまして、日本ユネスコ加入の問題が非常に明るくなつて参つたわけでありますが、それに引きかえまして、日本国内ユネスコに対する協力態勢と申しますか、現状を見ますと、われわれ必ずしも満足できないのであります。このユネスコに対する国内協力態勢につきましては、最初は非常にはなばなしかつたのでありますが、どうもその後の模様を見ておりますと、いろいろの事情でこれがうまく行かず、最近では非常に低調になつておる、こういうように私は見受けるのであります。日本ユネスコ加入が近い将来に期待される今日におきまして、日本国内ユネスコ協力態勢というものを、もつと積極的にするように政府努力すべきであると私は思うのでありますが、この国内ユネスコ協力態勢に対しますこれまでの経過、現状につきまして伺いたいと思います。
  13. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ユネスコ参加を許されましても、結局ユネスコ憲章に示しております目的を達成するという点にあらゆる努力を注ぎますためには、どうしても国内委員会国内ユネスコ協力態勢機構というものを十分整備してかからないと、その憲章目的達成には沿いがたいと存じておりますから、ただいま御質問にありましたように、従来とも政府民間それぞれの立場におきまして、ユネスコ精神をくんだ運動はなされておりますから、今後加盟を許されましたあかつきにおきましては、その憲章に示されます内容に従いまして、国内日本独特のユネスコ国内機構を整備いたしまして、この憲章目的に沿うように進めたい、目下官民あらゆる方向検討しながら進むように研究をいたしておる次第であります。加入と同時に、この機構を整備しまして進んで参りたいと存ずるのであります。
  14. 北澤直吉

    北澤委員 ユネスコに対する国内協力態勢の整備につきましては、政府におきましても極力研究中とのことでございまして、了承いたします。これに関連しまして、私は過般の予算委員会におきましてもいろいろ質問したのでありますが、こういうふうに日本国際連合及びユネスコ加入を認められるということが具体的に進んで参りますにもかかわらず、ユネスコに対する政府予算の手当と申しますか、そういうものがきめて貧弱なのであります。せつかく外国におきまして日本ユネスコ加入に対して非常な好意をもつてつておられるにかかわらず、日本政府のこれに対する考え方は、どうも調子が低いというふうに私は見ております。特に予算面に現われたユネスコに対する政府方針というものは、きわめて消極的であると私は思うのでありますが、いよいよユネスコ日本加入を許されますときにおきましては、私は日本政府予算的措置もぜひとも必要であると思いますので、補正予算におきましては、日本政府ユネスコに対してもつと熱意をもつてこの予算等について善処を願いたい、私はこう思うのでありますが、これに対して政府の御所見を伺いたいと思います。
  15. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ユネスコ国内活動、あるいは国内委員会国内協力態勢という問題につきましても、結局重要な問題の一つは、いわゆる予算的措置と存じます。この行き方につきましても、国内委員会あり方によりまして、あるいは民間協力を得るなり、あるいは政府だけで十分なる予算的措置をするなり、委員会あり方によつて多少かわつて参ると存じます。いずれにいたしましても、政府といたしましても、この機関に対しましては、十分なる力を注ぐべきことは当然であります。従つて予算的な立場におきましても、今後十分その活動を達成するように努めて参りたいと考えております。
  16. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君。
  17. 並木芳雄

    並木委員 私は日本集団安全保障について、前会に引続き、さらにつつ込んだ質問を申し上げ、またこれに関連して、先般社会党の鈴木委員長が、旅先ではあるが発表されたと称せられる不可侵條約というものについての質問も、してみたいと思うのであります。  第一に、前会の私の質問によつて、非加盟国国連保障を受け得るという答弁でございました。その程度においては差があるけれども、とにかく保障を受け得る。そうすると今度は、国連憲章の第五十二條に地域的とりきめの條項がございますが、これには非加盟国加入できるという明文はないようてあります。しかし精神からいいますと、やはりこの地域的とりきめにも、非加盟国が当然加入し得るものと解釈してよいと思われる。ただそうすると、国連加盟しておつてもおらなくても、実際的の効果はあまり違わないのではないかという疑問も出て参りますので、まずこういう点を明らかにしていただきたいと思います。
  18. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは前会の御質問に、外務当局として御答弁申し上げました通りでございまするが、第五十二條にありますように、地域的のとりきめまたは機関が存在することを妨げないという意味なり、それから非加盟国参加できるかどうかという意味につきましては、当然非加盟国参加できると存じます。北大西洋條約におきますイタリアなりポルトガル等がその例であると存じます。またここに言うておりまするように、地域的のとりきめなり、あるいは機関が存在することを妨げない、こういう意味は、国際の平和と安全の維持とに関しまして、その行動国際連合目的原則に一致しますことを條件としまして、地域的のとりきめなり機関が存在することを容認されておるという意味と、解釈いたしておるのであります。
  19. 並木芳雄

    並木委員 第五十二條の第一項に「地域的行動に適当なるものを処理するために」と書かれております。従つて地域的とりきめは、なるべく範囲を狭くするということが建前であろうかとも考えられるのであります。その点はどうでしようか。  それから地域的とりきめというものは、国連のいわゆる集団安全保障というものが完全でないために、こういうものが認められておるのかどうか、その辺のところの関連を述べていただきたいと思います。
  20. 草葉隆圓

    草葉政府委員 御質問の第一点は、必ずしも狭いというのが目標ではなしに、その情勢なり関係国の認定によつてきまるものだと存じます。  それから第二の問題も、性質上今のお話のような意味ではないと存じます。
  21. 並木芳雄

    並木委員 二、三日前の時事新報でございましたか、日米暫定安全保障協定の構想という記事が出ております。私は祕密外交をもつてモットーとする外務省が、こういう構想をいち早く報道されるということは、むしろ大いにけつこうだと思う。実際こういう線に沿つて外務当局では日米暫定安全保障協定を研究され、かつ準備されておるかどうか、そしてまた日米暫定共同防衛あるいは安全保障協定というものも、ここに言うところの地域的とりきめに当然入るものと思いますけれども、その点はどうでありますか。
  22. 草葉隆圓

    草葉政府委員 いろいろと地域的の安全保障については、いわゆる論をなさる方面もあると存じますが、こういう問題に対しましては、まだ日本政府といたしましては、具体的にとりきめの方針というものも持つておるのではなくて、今後の動きによりまして、どういう態度をとつて来るかということを決定するわけでありますから、従つてただいまお話の新聞記事の問題を日本方針とするというような意味ではないことを、御承知願いたいと思います。
  23. 並木芳雄

    並木委員 日米暫定共同防衛協定、かりにそういう名前をつけますと、いわゆるダレス氏も言われておりますが、これは当然第五十二條の地域的とりきめに入ると思いますが、その点はどうでしようか。それとも全然別個の性質を持つたものが成立し得るかという質問であります。
  24. 草葉隆圓

    草葉政府委員 実はまだそういうものが今後どういうふうになるかということを、具体的に考えていないわけです。それで必ずしもどの條項によつて今後つくつて来るか、あるいは今報道されている條項がこれであるかというようなことは、今申し上げる対象にはならないと存じております。今申し上げましたように、今後の動きによつて、どうするかという問題が出て参りますので、構想によつてこれを何條に当てはめて来るかという点ではないと思います。
  25. 並木芳雄

    並木委員 政府当局としてはそういう答弁になると思います。ただ問題は、地域的とりきめだけでなく、そのほかにいろいろの安全保障の道があるかというふうに展開されて来ると思います。そこで私はこの際ぜひお尋ねしたいのは、鈴木委員長の言われておる不可侵條約というものについて、これは一体国際連合の安全保障という建前のどういうところへ入つて来るだろうか。それからまた不可侵條約という文字から申しますと、私ども日本は別に他国を侵略する力もなければ、資格もない。軍備を捨てておる日本において、他国と不可侵條約などを結ぶことができるかどうか、それからまたあの構想には、ソ連とか中共などを含めた関係諸国との間で結ぶというふうに、主張されておるようですが、そういうことができるならば、いわゆる三原則である全面講和や、中立、軍事基地反対ということも、できる状態ではないかと思うのです。ですからこういうものが実際においてできるかどうか。またできても、それが守り得る効果があるかどうか。私は現在の国際連合の建前というものは、あくまでも防衛的な点が主力であると思う。軍備などはなるべく捨てて行くべきだというのが、今の平和を念願する世界の建前であると思うのです。そのときにおいて不可侵條約というものを持ち出すということは、これは観念が一世紀遅れているような感じもするのです。そういうような点について、外務当局所見をお知らせ願いたいと思います。
  26. 草葉隆圓

    草葉政府委員 りくつの上から、あるいは法理論的な立場から可能かどうかということは別といたしまして、できると言えばもちろんできましようし、相手の関係によつて生ずることでございますから、これは別といたしまして、少くとも国際連合ができまして以後の国際関係においては、このような事例はないと存じます。国際連合憲章の第二條第四項に示しておりますように、武力の脅威または行使を愼まなければならない。いわゆる国際連合目的と両立しない他のいかなる方法によつても、武力の脅威または行使を愼まなければならない。こう第二條第四項によりまして、加盟国は相互に不可侵を誓約いたしておるのであります。いずれの條約の場合におきましてもそうでありまするが、不可侵條約の場合には、その性質上、特にそれらの当事国の間に、いわゆる相信じ合う信頼関係がありますことが、根本的な前提條件であると存ずるのでありまして、従つて問題はそのりくつ的な、法理的な立場ということよりも、むしろ政治的な観点から考えられ、解決されて来る問題だと思います。
  27. 並木芳雄

    並木委員 もしそういうものができるとすれば、国際連合の上から、やはりこれは第五十二條にいう、地域的とりきめの中に入つて来るかどうか、その点いかがでしようか。
  28. 草葉隆圓

    草葉政府委員 国際連合憲章に違反しない範囲におきまして、数箇国間で締結されるとりきめは、一応は国際連合憲章にいうております地域的とりきめに該当すると考えても、もちろんさしつかえないし、当然であろうと思います。
  29. 並木芳雄

    並木委員 過去において、日本のような武力を捨てた国が、加盟した不可侵條約というものはありますでしようか。何か実例があつたらお尋ねします。
  30. 草葉隆圓

    草葉政府委員 そういう例はないと存じます。
  31. 並木芳雄

    並木委員 第五十二條には、先ほども次官のお言葉の中にもありましたが、妨げないということがうたわれております。そこでもし妨げる場合には、どういう行動国際連合はとるのでしようか。
  32. 草葉隆圓

    草葉政府委員 それはさきに申し上げました、国際連合目的原則に一致しますことを條件として、地域的とりきめや機関の存在することを許容し、容認するという意味でございますから、従つて妨げる場合はどうかというのと、そこにおのずから懸隔を生じて来ると思います。容認してこれを認めるという点だと思います。
  33. 並木芳雄

    並木委員 それをかりに容認しないといつた場合、国連として実際に何らかの行動に出る方法があるのかどうか。たとえば中ソ友好同盟條約ですが、あれなどはどういうふうに国連で扱われておるのでしようか。
  34. 西村熊雄

    ○西村(熊)政府委員 国際連合憲章の第百三條を見ますと、加盟国に関する限り、連合憲章が優先いたしまして、連合憲章の規定に反する條約というものは、無効であるという規定があるわけであります。第五十二條で許容されている地域的とりきめというものは、国際連合原則に従う範囲という條件がついておるわけでございまして、連合憲章原則にもとらない限り、地域的とりきめの存在を許容するというのが、第五十二條意味であります。従つて中ソ條約は、第五十二條の地域的とりきめと考えられております。
  35. 並木芳雄

    並木委員 私は大橋法務総裁にも質問があるのですが、もう少し時間をいただいていいですか。
  36. 守島伍郎

    ○守島委員長 なるべく簡單にお願いします。どうぞ……。
  37. 並木芳雄

    並木委員 それでは続いて、それに関連しての質問をいたします。地域的とりきめができる根拠は、何から来ておるのでしようか。つまり国連憲章の第五十一條には、集団的の固有の自衛権というのがございます。私どもは、あるいはこの集団的な固有の自衛権に基いて、地域的なとりきめということが行われるかとも思うのでありますが、要するに集団安全保障と、集団的自衛権との関連というものを、この際はつきりしていただきたいと思います。
  38. 草葉隆圓

    草葉政府委員 地域的とりきめができます根拠は、憲章の第五十一條ではないと思います。地域的紛争の解決のために地域的とりきめを結ぶというのは、さきにも申し上げましたが、第五十二條によつて容認されておるのでありまして、すなわち地域的とりきめは、常に集団的な自衛権と関連を持つものというわけではなく、集団的自衛権にも言及していない地域的なとりきめもあると考えられるのであります。あるいは国際連合発足以来の共産陣営の地域的とりきめは、第五十一條には言及していませんが、先回申し上げました全米の相互條約、あるいはブラツセル五箇国條約、北大西洋條約というようなものは、やはり第五十一條にも言及しているのであります。
  39. 並木芳雄

    並木委員 そうするとはつきりして来たのですが、私は地域的協定を結んだ場合に、もしその根拠が第五十一條の自衛権に基くものであるとするならば、地域協定というものは自衛権の範囲を出ることができない、こういうふうに考えておつたのです。しかしただいまの御答弁によりますと、そうではない、第五十二條によつて生れて来るということでございますので、しからば私お尋ねしておきたいのですが、伝えられる日米防衛協定、あるいは太平洋地域同盟、現には大西洋同盟というものがございますが、そういうところでお互いに援助し合い、侵略を防止し合うところの義務とか、責任、行動は、つまり自衛権の範囲を出ることがある。表現がまずいかもしれませんけれども、自衛権の範囲を出て、行動に移ることを協定し得るものと見てよいのかどうか。つまり地域的協定というものは、常に自衛権の範囲内において行動がチエツクされるというものでなくて、場合によつては——本来の自衛権ならばこれ以上行動できないのであるけれども、地域的協定によつてできるのだという場合もあり得るように受取れますが、そう解釈してよろしゆうございますか。と申しますのは、日本がだんだん地域的協定を結んで行きますと、本来日本だけの自衛権では他国を援助することができない、またすべきでないにもかかわらず、その地域協定によつて遠い国の助太刀に行かなければならないようなことも起ると思うのです。そうすると、せつかく日本は自衛権はあり、自衛権は認められておりますけれども、それを逸脱するおそれが出て来る。そうしますと、憲法を改正して行かなければそういう協定に加入できないのじやないかと心配されるわけであります。そういう点をひとつ解明していただきたいと思います。
  40. 草葉隆圓

    草葉政府委員 御質問の中にはいろいろの内容を含んでおるようでございますが、大体集団的な自衛権を規定しておる集団的とりきめの場合の御質問が中心であつたと思いますが、このとりきめは、一つの国が侵略された場合に、当然その安全を脅かされる国々の間に締結されるものでありまして、国家には自衛権という性質からいつて、個別的自衛権なり、集団的自衛権というような二つの別々な自衛権があるものではないと存じます。従つてさような場合に、そういう関係にありまする国々が、集団的な自衛権を発動いたしまして、その中の一国について個別的な自衛権の範囲を逸脱するというような問題は、これは起り得ないことだと存じております。
  41. 並木芳雄

    並木委員 起り得ないと断言できる根拠はどこにあるのですか。これはなかなかむずかしいと思うのです。たとえば、かりに大韓民国と地域協定を今、日本が結んでいたとしますならば、朝鮮の動乱というようなことに対して、日本はやつぱり援助に行かなければならない義務と責任が出て来べきものじやないでしようか。地域協定というものを結んでおらなければ日本は行かないで済む。だからその場合には、日本個有の自衛権というものは、すでに朝鮮にも来ておるんだというふうに解釈するのか、それとも一プラス一の別の自衛権が加わつて、一プラス一イコール二になるというのか、自衛権そのものには拡大性があるのかどうか、その点お願いいたします。
  42. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これはどういうとりきめをしておるか、またするかということによつて、その後の動きというものが出て来るので、ただ逸脱するかせぬかという将来の全然ぐつとかわつた世界を論議されましても、お答えができぬのじやないかと思います。
  43. 並木芳雄

    並木委員 これはむずかしい思想であり、重要な問題ですから、私聞いておるのですけれども、要するに日本に個別的自衛権がある。その自衛権が地域協定を結ぶと集団的な固有の自衛権になつて来る。それでもなお地域協定の場合には、必ずしも集団的な固有の自衛権に限られておらないということが先ほどの答弁にあつたのです。従つて、個別的な自衛権というものは、集団的な固有の自衛権が出て来た場合には、すでに自然的にそこまで個別的な自衛権が拡大されているんだ。拡大というと言葉は悪いかもしれませんけれども、もうそういうところに来ているんだという解釈が成り立たないか、それならば納得するのです。それならば地域協定を結んでいるがために他国の援助に行くという責任が出て来る。出て来るまではなおかつ日本の自衛権の限度内においての行動である、そういうことが言えれば、私は憲法を改正する必要はないと思う。そういう点なんです。
  44. 草葉隆圓

    草葉政府委員 憲法改正の問題とは別なもの、今の御解釈は——そういう自然と出て来るということは成り立たないと私どもは解釈いたしております。
  45. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、先般ダレス氏が日本を離れるときに、ヴアンデンバーグ決議で定められた基本政策に沿つて、ということを声明されておられたのです。この際私は、ダレス氏が特にヴアンデンバーグ決議を引用された点について、来るべき日本防衛協定、あるいは太平洋同盟との関係にどういう作用をなすかを考えてみたいので、この基本政策というものはどういう点であるか、御説明を願いたいと思います。
  46. 西村熊雄

    ○西村(熊)政府委員 御説明申し上げます。これは四八年六月十一日、合衆国上院で採択された決議でございます。提案者ヴアンデンバーグ議員の名前をとつて、普通ヴアンデンバーグ決議と称せられておりまして、最近におけるアメリカ外交の基本政策を示すものだとしてきわめて重要視されているものでございます。この決議の趣旨は、前文に言つております通り国際連合を通じて国際平和及び安全を達成するという合衆国の政策を再確認いたすと同時に、アメリカ合衆国大統領に対しまして、政府が憲法上の手続によつて国際連合憲章の範囲内で、次の目標を遂行されるようにということを勧告いたしておるものであります。勧告されている項目は六つございます。  第一は、国際的紛争及び事態の平和的解決を含むすべての問題並びに新加盟国承認について拒否権を除去するために自発的に協定することというので、国連における拒否権問題の解決であります。  第二は、憲章目的原則及び規定に従つて、個別的及び集団的自衛のために、地域的及び他の集団的なとりきめを漸進的に発展させること。  第三は、継続的で効果的な自助及び相互援助に基き、かつ合衆国の国家的安全に影響する地域的及び他の集団的とりきめに憲章法上の手続によつて合衆国が参加すること。第三項は、合衆国が参加する安全保障のとりきめについて規定しております。  第四は、合衆国の国家的安全に影響する武力攻撃が生じた場合に、憲章第五十一條に基く個別的または集団的自衛権を行使する決意を表明することによつて平和の維持に寄與すること。  第五は、憲章の規定するように、武裝兵力を国際連合に提供する協定に達するため、また侵害に対する十分な信頼的保証に基いて、軍備の一般的規制及び縮小について加盟国の間で協定に達するため最大の努力をすること。原則協定達成に向つて努力しようとすることであります。  第六は、国際連合の強化に対する十分なる努力の後、必要に応じ第百九條に基いてまたは総会により招集された全体会議によつて適当な時期に憲章を再検討すること。国際連合憲章の改正問題を討議しようということであります。  以上であります。
  47. 並木芳雄

    並木委員 今初めて私聞いたのですが、その全体をざつと聞いた感じというものは、やはり第五十一條に、いわゆる集団的自衛権、個別的自衛権、その自衛権に基いて、地域協定あるいは他の安全保障の道ということが論ぜられておるように思われますけれども、そうではないのでしようか、その点いかがでしようか。
  48. 西村熊雄

    ○西村(熊)政府委員 重要な一項をなしているということは言えると思います。但し同時にわれわれが忘れてはならないことは、ダレス使節の十一日の声明、その他アメリカに帰りまして、三月一日のラジオ放送でも言つておられます点は、第三項であります。継続的で効果的な自助及び相互援助に基き、かつ合衆国の国家的安全に影響する地域的及び他の集団的とりきめに、憲法上の手続によつて合衆国が参加すること、この点を指摘しておられる点をわれわれは忘れてはいけないと思うのであります。ヴアンデンバーグ決議によつてアメリカ参加することを許容されている安全保障に関するとりきめは、相手国が自助及びアメリカに対して援助をなし得る国家でなければならないという大きな原則があるという点を、日本国民に了解してもらいたいということを言つておられます。
  49. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に高田君——、ちよつとお断りいたしますが、高田君も砂間君もそれから並木君も法務当局を呼ばれておりますが、今法務総裁は閣議中でありますが、しまいましたらすぐ参ります、こう言うて来ております。
  50. 高田富之

    ○高田(富)委員 最近の国際的な動きの中で若干外務当局から御説明願いたいと思うことをお伺いしておきたいと思います。第一は、先般三月二日の夕刊毎日新聞に出ていたことでありますが、国連経済社会理事会におきまして、日本等の労働政策非難決議が採択されました。実はこの問題について、労働大臣からも御説明を承りたいと思いましたが、今日もお見えにならないので、外務当局としてのお立場から、これはかなり重要な問題だと思いますし、ことに講和にも関連があると思いますので、この決議が採択されましたことについて、大体どういう趣旨のもので、どの国が賛成し、どの国が反対し、そして結果としては採択されたということになつておりますが、これがもし事実とすれば、その間の事情につきまして、要点だけでけつこうでありますから、情報を御説明願いたいと思います。
  51. 草葉隆圓

    草葉政府委員 詳しい情報はありませんが、また手元にもありませんので、存じられる範囲の情報をあとで御報告申し上げます。
  52. 高田富之

    ○高田(富)委員 これは賛成反対の内訳もわかりませんか。
  53. 草葉隆圓

    草葉政府委員 はつきりわからないと存じますが、よく取調べてみます。
  54. 高田富之

    ○高田(富)委員 わからないというのはちよつとおかしいと思うのですが、これは相当大きな問題です。しかもわが国は今いろいろ国連関係機構に入つて行こうとしておりますし、政府もそれについて非常に期待を持つておるやさきであります。新聞によりますと賛成十四、反対三というふうに報道されております。相当圧倒的多数で日本の労働政策に対する非難の決議が採択された。ことに日本、スペイン並びにイラン、この三つの国に関する労働政策の非難ということになつておりますので、特にわが国といたしましては、スペインあたりと一緒に扱われて相当に多数の国が賛成したということになりますと、今後の国連との動向においても、政府としても相当重大な問題だと思いますので、これはぜひ次会に詳細な御報告を願いたいと思います。その上でなお御質問したいと思います。  それからユネスコの問題につきましても、これが採決の際に、国連理事会におきまして英国が棄権をしておる。それからたしかフイリピンであつたと思いますが、それが反対しておるというような記事も出ております。これにつきましても——これはユネスコ加盟の問題でありますから、そう直接大きな経済的な利害関係のある問題でもないのであります。にもかかわらず何かこういうふうな報道がありますことは、一般の国民としてもちよつどおかしいと思うのではないかと思います。これらの点につきましても、ただいま外務当局の持つております情報によりまして、英国が棄権である——これは新聞報道でありますから事実かどうかわかりませんが、これらの賛否、棄権というような点につきまして、大体の模様がわかつておりましたら、簡単でけつこうですから、伺いたいと思います。
  55. 草葉隆圓

    草葉政府委員 前の労働関係のことにつきましては、次会に調べられる範囲の詳細を御報告申し上げます。  ユネスコの問題につきましては、ヴオイス・オブ・アメリカの報道で今のようなこともいわれておつたと記憶しまするが、それ以外には実は詳細な資料を持ちませんので、申し上げる範囲には行かないと存じます。
  56. 高田富之

    ○高田(富)委員 それではこれもひとつ次会に……。これはやはりユネスコくらいの問題でありましても、イギリスが棄権した、どこが棄権したということは、相当重大視すべき問題だと思いますので、ぜひその間の事情をはつきりとさせて、確かなところを御報告願いたいと思います。それからごく最近のあれでは、イギリスの対日講和に関する考え方が大体まとまつて報告されたというふうに報道されておりますが、その中で元の海軍工廠の造船施設は破壊しろというようなこともあるというふうに報道されおります。これは対日講和に関連しまして、イギリスその他英連邦諸国では、日本の繊維工業の施設の制限を要求し、また造船についても制限を要求しておるということが、かねてから伝えられておりましたのとやはり関連があるように思われるので、相当根拠がある報道であるとわれわれは考えるのであります。このことは今日本の経済が、いろいろアメリカとの関係等についてとかくのうわさをされておりますような方向とあわせ考えます場合に、やはりこれはそう簡單な問題ではないのではないかという気がするのでありますが、政府はこれにつきましてどのように解釈しておられますか、ちよつとこの点伺つておきたいと思います。
  57. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは先ほどごく簡單ではありましたが、対日講和に関しまする関係国の動向を御報告申し上げた中に、一点申し添えておきましたが、最近イギリスアメリカの提示いたしておりますいわゆる七項目に対する見解アメリカに通達したということがいわれ、その内容につきましての臆測がいろいろと報道によつて伝わつておりますが、実はその内容を公表されておりませんので、いろいろ報道される程度であります。従つて外務省といたしましても、これに対する的確なる資料を持つておらないような次第であります。さよう御了承を願います。
  58. 高田富之

    ○高田(富)委員 今いろいろそういうふうな問題がありますが、ひとつここで政府見解をお聞きしておきたいことは、対米関係についてはいろいろ御報告があつた通り、非常にうまく行つておるということでありますが、イギリス並びに英連邦諸国との関係におきましては、繊維や造船に関する問題ばかりでなく、最惠国待遇の見通しも、必ずしも楽観を許さぬというような状態で、とかく英連邦関係につきましての、集団安全保障につきましても、強度の日本の再軍備の制限や監視を要求しておるというような食い違いが、最近かなり具体的に明瞭化して来ておると思います。これに対しまして、日本政府態度が、本委員会におきまして、しよつちゆう報告されるところや御答弁によりましても、対米関係は非常にうまく行つていることは常に強調されておりますけれども、重要なわが国の貿易関係において相当重大性を持つており、対日講和においても、中ソ両国の問題は一応ここでおきましても、イギリス・ブロックとの関係がきわめて重大であるにもかかわらず、それとの関係が相当むずかしい点がたくさんある。これらの点に関する政府の、これを解消し、そういつたいろいろな問題についての反省が、どのように行われておるのかということを、はなはだわれわれは心もとなく思う次第であります。さつきも一つあげましたような、労働問題につきましても、ソーシャル・ダンピングの問題については、おそらく東南アジア、英連邦におきまして、相当の危惧を持つておるのではないかというふうに感ぜられるので、外交当局としまして、今後のイギリスとの関係についての、そういつたいろいろな問題がどの程度まではつきりして来ておるか、食い違いが出て来ておるか、それに対する対策としては、日本のとるべき態度としてどうかというような点についての御説明を、ぜひひとつ伺つておきたいと思うのです。ことに今度は原料割当機構への参加の問題等について、格別またこういう問題は表面化して来るのではないかと思いますし、また貿易協定等につきましても、最惠国待遇の問題も、相当ここで障害にぶつかるのではないかというふうに考えます。これらの点につきましても、見通し並びに政府考え方をはつきりと表明していただきたいと思うのです。
  59. 草葉隆圓

    草葉政府委員 対日講和の問題につきまする関係国動きにつきましては、それぞれ関係国の利害関係と申しますか、対日感情と申しますか、いろいろな意味におきまして、必ずしも平行線的には行きにくい場合ももちろんあろうと存じております。これは先般も総理からもその辺につきまして、むしろ国民の楽観を戒める意味においてもそうでありましたが、相当詳しく御答弁申し上げたような次第でございます。しかし、といいましても、ことにただいま御指摘になりましたイギリスなりあるいは英連邦諸国が、全然アメリカの七項目とは逆の方向に向つているというような印象は、私どもは持つておりません。やはりこの線に沿つて、相当強く対日講和の具体的な推進をいたして来ておる。それは英連邦首相会議の数回の模様から考えましても、さように考えまして、強く私ども信頼いたしておる次第であります。
  60. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君。
  61. 並木芳雄

    並木委員 大橋法務総裁に質問いたします。実は吉田総理大臣の施政方針に、共産党のことについて、共産党は影をひそめて治安問題については、不安はないということを発表されておりましたところ、先般幣原前衆議院議長の葬儀の当日、突如として廣川農林大臣から私の方の苫米地最高委員長ところに共産党非合法化の相談があつたのです。ただに閣僚としてのみならず、自由党の代議士である廣川さんが、その日もあろうに、これから前議長の葬儀が行われるという前に、電話で通告して来たくらいですから、私どもはこれは並々ならぬ事態ではないか、よほどの新事態が起つたのであろうと思つたのであります。そういう点について、当然これは大橋法務総裁の方にも相談があつたはずでありますし、たといなくても、法務総裁としてはその辺の事情はわかつておるはずである。どういうわけでああいう相談が持ちかけられたか、この点についてまず御質問いたします。
  62. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 日本共産党の非合法化の問題につきましては、政府といたしましては、これを一つ政策問題と考えまして、引続き研究をいたしている次第でございます。当面ただちに非合法化を実現するという考えを持つまでに至つてはおりません。なおこれに関連いたしまして、廣川農林大臣から民主党の苫米地委員長に対して申入れがあつたということも私新聞紙上によつて承知をいたしておりますが、しかしこの党の動きというものにつきましては、私からお答え申し上げる立場にないと存じます。
  63. 並木芳雄

    並木委員 当然何か相談あるいは意見を聞きに来たというようなことはあつたと思うのですが、その点はどうですか。
  64. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 法務府といたしましては、格別正式にこの問題について意見を問い合されたことはございません。
  65. 並木芳雄

    並木委員 総裁としては何かそのような新しい事態が生じておるということを感じておられるかどうか。ただいまの御答弁では、当面ただちに非合法化ということは考えておらないけれども、なおこれを考慮中であるというふうに聞きましたので、その辺のところはどうなつておりますか。
  66. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この非合法化の方法あるいは時期等につきまして研究をいたしますと同時に、この非合法化をすることによる利益、不利益等を十分に考究し決定をいたしたい、かように存じて引続き研究をいたしておるのであります。今ただちにこれを実施いたすという考えはまだ持つに至つておりません、
  67. 並木芳雄

    並木委員 私どもはいやしくも天下の公党として、廣川さんからああいう正式の申入れを受けて、それを翌日佐藤幹事長がやつて来て、引込ましたというようなことについては、ほんとうに憤激を感じておるのです。いやしくも共産党を非合法化するかどうかというような非常に重大な問題で、これはひいては国際に與える影響ということも、大いに考慮しなければならないのであります。そういうことの行われた陰において、法務総裁がこれに関知しておらないということは、実に私どもにはわからない。法務総裁はそれほどほかの人から私は無視されているとは思わない。閣僚であるとともに、りつぱに自由党の代議士なんですから、そこでどういうわけでああいうふうに騒がしたかということを、もう少し具体的につつ込んで表明されないと、私は国民が非常な疑点を抱いたまま推移するのではないかと思うのです。もう少しつつ込んで説明をいただきたい。いかがでしよう。
  68. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 党の動きにつきましては、私から申し上げる立場にないと存じます。
  69. 並木芳雄

    並木委員 共産党を非合法化することは総裁は考えておられる。だんだんとそういう事態が実現するようになりますれば、私どもとして考えなければならないのは、これはやはり日本の憲法を改正して行かないと、できないのではないか、もし改正しないでやるとするならば、法務総裁はどういうような方法をもつて共産党の非合法化をやらんとするのであるか、この所見をお伺いしたいと思います。
  70. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 まだ共産党の非合法化を、実施するという考えはありませんから、特にこれは一つの設定の問題として憲法上の問題をお尋ねになつたものと考えますが、さような意味でお答えを申し上げまするならば、政府といたしましては、日本国憲法は個人の尊嚴と自由を尊重いたし、民主主義を確立せんとするものでありまして、これを破壊せんとする者に対しましては、憲法の保護を與えるべきではないという見解のもとに、共産党の非合法化を研究いたしておる次第でございます。
  71. 並木芳雄

    並木委員 私は今ここでそれについては論争を避けたいと思います。それはその問題がいずれ具体化したときのことになると思いますから、質問の程度にとどめておきます。その問題はそのままにしておきますが、もし非合法化した場合において、これの取締りというものは相当むずかしくなつて来るのではないか。今地下にもぐつたといわれる八名でさえも、なかなか逮捕できないような状態になつておる。これはどういうわけでいまだに逮捕できないのでしようか、その理由を説明していただきたいと思います。  それから共産党を非合法化したあかつきにおける国内の治安の維持、これが取締りについて法務総裁は自信があるか、対策としてどういうような腹案を持つておられるか、あわせてお聞きいたします。
  72. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 追放八幹部に対しましては、関係機関の緊密な協力のもとに、その所在を追求いたしており、これらの人々が潜行いたしておることは事実でありまして、まだ逮捕に至つておりませんが、現在のところ、このこと自体が治安上憂慮すべき影響を及ぼしてはいない、かように存じております。また政府におきましては、日本共産党の非合法化後におきまするその取締り対策につきましても、非合法化に関連する政策の一環といたしまして、研究をいたしておるのでございまするが、特にこの非合法化をやりまするために、取締り機関を増強しなければならないであろうということは、考えておらない次第でございます。
  73. 並木芳雄

    並木委員  一体共産党というものを非合法化した諸外国の実例というものは、どうなつておるのでしようか。伝えられるムント・ニクソン法案にいたしましても、マツカラン法というものにいたしましても、これは部分的であつて、全体としての非合法化というものではないように思うのですが、この点どうでしようか。それからオーストラリアの共産党の解散法と申しますか、これは連邦高等法院で無効の裁判の判決が下されたというふうに私ども聞いておるのですが、はたしてそうでありますかどうか、外国の例についてお伺いしたいと思います。
  74. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 法務府として、ただいままでに調査いたした限りにおいてお答えを申し上げます。世界におきまする共産党非合法の措置をとりました国には、次のような国がございます。スイス連邦のある州、ポルトガル、カナダ、オーストラリア、メキシコ、チリー、スペイン、こういうところで行われております。  それから御質問になりましたアメリカの一九五〇年の国内安全保障法でございまするが、この要点といたしましては、この法律は共産主義運動を封ずることを目的とするものでありまして、その方法といたしましては、共産党の結社自体は非合法とはしない、しかし特定の破壊活動を違法とし、国家機密の漏洩を防止いたし、また共産主義者の公務員または主要産業への雇用を禁止する、共産主義団体の構成員に旅券の交付を拒否する、共産主義団体及び構成員にその会計の届出を命ずる、緊急事態に際しましては、共産主義者等の破壊行為をなすおそれのありまする者を拘禁し得る規定を置いておる、共産主義外国人を国外に送還する、こういうことを規定いたしておるようでございます。
  75. 並木芳雄

    並木委員 それではこの問題はひとまずこの程度でとどめておきまして、次に先般吉田首相が参議院の予算委員会で、十五日でしたか、こういうことを答弁しております。終戦直後制定された法律制度の中には、日本を平和破壊者と見るような特殊な感情ないし誤解からつくられたため、今日では改廃を適当とするものもある。このような法律制度の改廃については、総司令部自身においても異存がないようである。従つて政府としては、占領下といえども今日その必要を認めない制度については、その改廃に努力する考えであるというふうな答弁をいたしております。  そこで法務総裁にお尋ねしたいのは、終戰後の諸法令において、首相がここに言われておるような改廃を必要とし、適当とする、そういうもので現在考慮しておるものはどういうものか、これを具体化してお伺いしたいのです。一つは、廃止を適当とするものには、どういうものが今考慮されておるか、いろいろあると思います。それから第二は、廃止でなく改正を適当とするもの、同じくです。それから三番目に、ポ勅、政令というものはどういうふうになつて行くか、この点についてお伺いします。
  76. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 終戰後制定せられました法律制度というものは、終戰後の当面の事態に適応せしむるべく制定せられたものであるわけでございまして、これが今日講和を控えた時期におきましては、国内、国外の情勢等から考えまして、その改廃を必要とするものもあるであろうということは、十分に想像し得るところでございまして、政府といたしましてはこれらの諸法令につきましては、各関係省におきまして、それぞれの立場において研究をいたしておるような次第でございまして、今日いかなる法律が廃止を適当とするか、いかなる法律が改正を適当とするかということを、まだここに申し上げる段階に至つておらない次第でございます。  次にポツダム勅令の処置は、講和に際してどうなるかというお尋ねでございますが、わが国と連合国との間に、講和條約が締結せられまして、わが国の統治権が、連合国最高司令官の制限から完全に解放せられるに至りましたときは、昭和二十年勅令第五百四十二号、いわゆるポツダム緊急勅令というものは、即刻法律による廃止の手続がとられるであろうと予想をいたしております。     〔委員長退席、竹尾委員長代理着席〕  次にいわゆるポツダム命令の措置でありますが、ポツダム緊急勅令が廃止せられました場合に、この勅令の委任に基いて制定せられました政令、その他の命令が当然に効力を失うかどうかということにつきましては、学説といたしましては積極、消極の両説があるように存ずるのであります。いずれの説をとるにいたしましても、ポツダム命令につきましては、ポツダム緊急勅令の廃止と同時に、法律によりまして創設的な意味ないしは宣言的な意味におきまして、その廃止または存続あるいは改正の上存続させるというような措置を講ずることが適当ではないか、かように私の立場といたしましては考えておる次第でございます。いわゆるポツダム命令のいずれを廃止し、また存続させるかということになりますと、それぞれの命令の内容検討いたし、場合によつて講和條約の内容ともにらみ合せて決定しなければならないことは、もとより申すまでもないのでありますが、たとえば連合国占領軍財産等收受所持禁止令などのように、連合国占領軍の存在を前提としてできております命令は、その占領軍の駐在かなくなりました場合には、当然不要となるものと言えるでありましようし、また他方、たとえば警察予備隊令のように、その実体は引続きわが国といたしましても、存続させる必要があると考えられるものもありましようから、これらは種々の観点から検討を要するものと思うのでございまして、ただいまそれらを具体的に申し上げる段階に至つておらないと存ずるのであります。  なお従来最高司令官の覚書または示唆に基いて、法律の形で制定されておるものもございますが、これらのものは他の一般の法律同様、当然には講和條約の成立によつて、その法的効力を左右されるものではないのであります。もつともその実質について改廃を期待すべきものもありますが、これは先ほど申し上げましたごとく、具体的なことを申し上げる程度に至つておらないことを御了承願いたいのでございます。
  77. 並木芳雄

    並木委員 警察予備隊の問題が出ましたから、ちよつとそのことについて一、二お伺いしておきたいと思います。実は先般追放解除になつた若い士官でございますか、そういう方々に対して、当局の方から警察予備隊へ入るように、志願するようにという勧誘状を出したと聞いております。この勧誘状はどういう内容を持つておるものか、それは何通ぐらい出したか、出したうちで幾人くらい応募をして、そして何名ぐらい採用したか、そういう点についての質問。それから予備隊の移動状態について、最近どういうふうに移動がなされたか、あるいはアメリカから州兵が来まして、それが北海道の方へ配属されるやに聞いておりますが、予備隊の方でも北海道方面を強化したというようなことがあるかどうか、あるいは今後予備隊の北海道方面への移動などが計画されておるかどうか、要するに予備隊の配置状態、そういうものを合せて、わかればどこの地区何人、こういうことまでお伺いしたいと思います。
  78. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 先般警察予備隊の幹部の欠員が相当ございましたので、持別募集をいたしたのでございますが、その特別募集をいたしました場合の応募資格といたしましては、昭知二十五年十月三十日内閣総理大臣より正規陸海軍将校としての理由に基く覚書該当者としての指定を解除されました者のうちで、陸軍士官学校第五十八期の卒業者、陸軍経理学校第五十七期及び第五十八期の卒業者、海軍兵学校第七十四期の卒業者、海軍経理学校第三十五期の卒業者、これらの者のうち、思想健全、身体強健な者を幹部要員として募集をいたしたのでございます。その募集のために募集趣意書を送付いたしました先は三千三十六名でございます。このうち応募者は五百六十七名でございまして、ただいまの予定といたしましては、このうちから約三百名を試験の上選考採用いたしたい、かように予定いたしております。  なおその際の募集の趣意書の内容を御質問でございましたが、読み上げますと「警察予備隊は、わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉の保障に任ずるために、昨年八月発足しましたが、国民の絶大なる支援協力によつて、現在ようやく一応の編成を終らんとして居ります。しかしながら、わが警察予備隊が、その内容を整え実力を備えて、国民の期待に応え得るか否かは、一に今後の育成に俟たねばならぬのであります。特に部隊幹部の一層の充実を図るため、更に優秀なる人材を加えることは、最も肝要と信ずるのであります。たまたま過般追放指定解除の措置があつたので、今回その旧陸軍士官学校、陸軍経理学校、海軍兵学校及び海軍経理学校の卒業者中より適格者を幹部要員として募集することになりました。緊迫した内外の情勢の下に、警察予備隊はいよいよその使命の重大さを加えつつある秋、少壯有為の緒君が将来警察予備隊の中核的幹部として活躍されるよう切に期待するものであります。別紙募集要領参照の上奮つて応募して下さい。警察予備隊本部人事局長」かような趣意書を付しまして募集要領を送付いたし、そして応募せしめたという次第でございます。  次に警察予備隊の配置の問題でございまするが、アメリカより州兵師団の来日に備えまして、従来アメリカ側より借り受けておりましたところの宿舎の一部を明け渡さなければならないことに相なつております。これがために移動しなければならないキヤンプもできると思われまするので、北海道、東北方面には特に警察予備隊といたしまして、新らしくキヤンプを新設し、あるいは既存建物をすみやかに改築をいたして、この地方へ、アメリカ側にキヤンプを明け渡しまするために、移動をしなければならない部隊を收容いたしたい、かように計画をいたしておるのでございます。この計画におきましては、特に北海道を重視いたしておるということは事実でございます。現在全国におきまして、三十数箇研のキヤンプがありまして、小は千名内外、大は四千名内外を收容いたしておるような状況でございます。
  79. 山本利壽

    ○山本(利)委員 ただいまの警察予備隊の北海道方面への移動等に関連いたしまして、御質問申し上げたいのでありますが、それは三月十五日付の日本週報に、共産党の北海道辺区闘争の問題が相当詳しく載つておるのでありまして、北海道の方がどうも怪しいということは、世上一般にいわれておることでありますが、すでにこういうふうに週報等によつて知らされますと、世人は相当な動揺を来すのではないかと考えるのであります。ことに二月三日でありますか、周恩来は、北海道辺区闘争に対しては、中共は十分援助する態勢を整えておる、この日本共産党をして北海道解放のことを完成させるということは、共産党の勝利を労働者、農民たちに確信させるこそある、われわれは日本の共産党の活動を十分刮目して待つておるという意味のことを言つたらしい。なお二月四日にはソ連代表政治顧問団の意見として、この北海道こそ日本解放の唯一の拠点である、そうしてこの北海道辺区闘争の完了は、台湾に対する進攻と同時に行われなければならぬといつたよう意味のことが、いずれも日本週報に載つておるのであります。この際法務総裁から、北海道における共産党の動きについて、できる限り詳細に承つて、これは單なる神経戰の一部であるのか、事実かかる動きがあるのか、そこらのところを明確にしていただきたいと思います。     〔竹尾委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 日本週報の記事につきましては、私も読んでよく承知いたしておりまするが、北海道におきまする辺境闘争といつたような共産党の動きに対しましては、当局といたしましても情報といたしましてさようなことを聞いております。しかしながら、これらの情報についてはいまだ確認をいたすという段階になつておらないのでございます。もとよりかような情報がありまする以上は、北海道のかような動きにつきましては、当局といたしまして十分に嚴重に調査を進めておるのでございまするが、しかし現在のところといたしましては、確認をいたすということになつておりません。もちろんそれにもかかわらず、北海道の問題は治安上きわめて重大な問題であり、政府といたしましては、治安に関係あるすべての機関を督励いたしまして、その万全を期しておるということは、申すまでもない次第でございます。
  81. 高田富之

    ○高田(富)委員 その北海道問題でありますが、これはこの間、読売新聞に佐野博氏がやはり同じことを言つておりました、私はただいま御質問日本週報を読んでおりませんが、おそらく同様のものかと思います。そういうふうに何ら根拠のない、またただいま法務総裁の言によりましても、情報としてはあるが、確認されたものではないというふうな、ほとんどまだ何らその具体的な根拠が明らかになつていないにもかかわらず、それが新聞雑誌等に相当大々的に報道せられまして、そうしてただいま御質問にもありますように、これは一般国民はもちろんでありますが、国会議員といえども相当不安動揺にかられる。こういうふうなことが、現在も問題になつておる歯舞諸島の返還の問題であるとか、いろいろな問題と関連いたしまして、相当大きな政治上の意味を持つて来る危劍性があるわけであります。従つて真に国の秩序を保ち、治安の撹乱を予防しようという立場にある法務総裁としましては、そのような重大な、まだ根拠の確認されておらぬようなものが一般に流布され、それがために人心に動揺を来すというようなことに対しましては、もつと毅然としてこの種の風説を押えるということが、私は非常に現在重要だと思います。ごとに今度北海道方面へ州兵が行くということでも、まだきまつたわけではないが、そういうふうな報道がことさらにいわれ、歯舞あたりからソビエトが入つて来るとか、あるいは共産党が北海道で何かやるとかいうことが、何か関連あるかのごとく宣伝せられる、これは明らかに一種の反ソ的な感情をあおつたり、北海道の軍事基地化を叫んだり、そういうふうなことと表裏一体をなした政治的の色彩のある最も悪質なデマ宣伝である、一種の戦争挑発的な意味を持つた宣伝であると私は思う。こういうふうなことに対しましては、現在国際情勢もいろいろとむずかしいときであります、日本立場も非常に困難なときでありますがゆえに、特に法務総裁としては、もつと毅然としてそういうことを打消し、進んで、そのようなデマを飛ばす者に対しましては、断固としてこれを処罰するというくらいの立法措置を講じなければならぬと思う、平和を守るためには、そのくらいの断固たる処置をとらなければならぬと思います。しかるにただいまの御答弁では、何かまだ確認がされていないけれども、ありそうだというような、あたかもこれは聞きようによりましては、そのデマを裏づけるかのごとき御答弁をなさつておるということは、はなはだ不謹愼きわまることだと私は思うのであります。従つてそういうふうなことにつきまして、今後似たようなデマや何か相当飛ぶかと思いますので、この際こういうふうなものを嚴重に取締る、この種の風説等を取締るということについて、法務総裁はどういう考えを持つておられるか、この機会にもう少し明快な態度を表明していただきたいと思います。
  82. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 法務府といたしましては、言論出版等の取締りは、法規によつてやるべきものであると考えております。
  83. 守島伍郎

    ○守島委員長 砂間君。
  84. 砂間一良

    ○砂間委員 先ほど並木委員の共産党の非合法化という問題に関連いたしまして大橋総裁に質問いたします。  政府は対日講和問題に関連いたしまして、国内体制の整備というようなことをいつておるようでありますが、この共産党の非合法化問題は、講和問題と直接間接に関連いたしますかどうか、どういうふうな関連がありますかというようなことを、まずお伺いしたいと思います。と申しますのは、この対日講和の問題につきましては、国民の間にいろいろ意見がありますが、大きくいえば、單独講和あるいは多数講和ということと、もう一つは全面講和という二つの大きな主張があるわけであります。その單独講和の主張について申しますと、具体的に申しますと、講和後の日米軍事協定あるいはアメリカの軍隊の駐兵、あるいは軍事基地の提供あるいは再軍備というようなことがいわれておるのであります。また他方全面講和という主張の内容は、そういう軍事基地の提供だとか、あるいは日本戰争に巻き込むような再軍備といつたことについて、強く反対しておるのでありますが、その全面講和の主張を最も強く主張し、また国民のそういう意見を最も積極的に代表しておるのが、これが共産党であります。ところが先般ダレス日本に参りまして、アメリカの講和に対する態度意見というものを、吉田総理といろいろ話し合つて行かれたらしいのでありますが、日本政府、吉田内閣、あるいは自由党といたしましては、そのダレスの單独講和の意見を、そのまま強く支持しておるようなわけであります。そこでこれまでのポツダム宣言や国際緒協定を蹂躙して、單独講和を強引に推し進めて行くためには、日本国内のこういう全面講和の主張をするものはじやまになる、その中でも共産党が日本の独立と自由と平和ということのために強く闘つておる、だからこの共産党をやつつけて解散させてしまわないことには、どうも單独講和が思うように行かないというようなところから、実は共産党の非合法化ということを、意図しておるのではないかというようにも患われるのでありますが、この講和問題と関連いたしまして、特に政府国内体制の整備というようなものと、共産党の非合法化ということの関連につきまして、この場合法務総裁の率直な見解をまず第一に承りたいと思うのであります。
  85. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま砂間君は、政府が共産党の非合法化を研究いたしておるのは、共産党が日本の自由と独立と平和のために、最も勇敢に闘つておるので、じやまになるからではないか、こう仰せられましたが、政府がこの問題を研究いたしておりまするのは、共産党が日本の自由と独立と平和を破壊するために、最も乱暴に闘つておるから、それでこれを研究いたしておるわけであります。この点をはつきり御記憶願いたいと存じます。
  86. 砂間一良

    ○砂間委員 そういうふうな抽象的な言葉で言うことは、これはいたずらに共産党に対する罵詈讒謗でありまして、もしそういうことがありますならば、具体的事実を指摘していただきたいと思う。むしろ今の政府のやり方の方が、よつぽど乱暴で暴力的であります。ストライキ一つやるにしましても、あるいは税金の問題一つ見ましても、まつたく無理なことを上から押しつけて来て、それに対して国民が生活権を守るためにいろいろ運動をしますと、それを無謀に彈圧しておる。たとえば平和署名をとるような平和的な運動でさえも、いろいろ妨害し彈圧しておるというのが事実でありまして、共産党が何か乱暴なことをするとか、あるいは暴力的なことをするということは、実際上におきましては、ほとんどない、あるいはきわめて少いのでありますが、それもむしろ政府の側から売つて来た暴力に対して、自衛のためにやむを得ずやつているというのが実情であります。  しかし、そういうこととは別にいたしまして、非合法化問題について、もう少し別な観点から申し上げてみたいと思うのでありますが、私どもは單独講和は戰争への道である、日本を必然的に戰争に巻き込むことになるというふうに考えておるのであります。これは過去の歴史を振り返つてみましても、昭和三年に三・一五事件という共産党の最初の彈圧がありました。その翌年には四・一六事件というふうに、相次いで共産党彈圧をやつて来まして、共産党の勢力も大したものではなくなつたという大体の見通しのついたところで、昭和六年に満洲事変を始めた。それから軍部のフアツシヨ的な勢力がずつと台頭いたしまして、やがては日華事変あるいは太平洋戰争という、あの無謀な侵略の戰争に引きずり込んで行つたのであります。終戰の年までは、共産党は非合法の状態にありまして、みんな監獄の中に入れられておつたのであります。しかしナチズム、フアシズムに対して、ソ連を含めたところの民主主義陣営が勝利を遂げました結果、日本のそういう軍国主義的な、あるいは超国家主義的な勢力を排除して、日本を民主化するという建前から、終戰と同時に共産党は監獄から解放されまして、そうして合法政党として活動できるようになつたのであります。ところが最近單独講和の主張が強く出て来るに従つて、またしても共産党の彈圧ということが、日ごとに強くなつて来ておるような状態であります。こういうことは單に偶然的なことではないのでありまして、單独講和が戰争準備であり、そのためにはどうしても共産党がじやまになるというのであつて、かつての東條の反共政策と同じ軌道を歩んでいるとしか患えないのであります。最近口を開けば反共々々でありますが、しかし反共ということは、何も今新たに叫ばれ出して来たのではないのでありまして、あの東條さえも日独伊防共協定を結んで、共産主義勢力の拡大を防ぐということを口実にして、満洲侵略を始めたのであります。そういう過去の歴史的事実を見ましても、最近の反共あるいは共産党の非合法化という一連の政府のフアツシヨ的政策というものは、明らかに国際帝国主義の戰争準備の一環としか思われないのであります。そういう点からいたしまして、最近特に政府が強く主張しておる共産党の非合法化ということと、一面戰争準備政策というものとが無関係であるとは私ども考えられないのであります。こういう点につきまして、政府所見を聞きたいと思います。
  87. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 政府といたしましては、共産党の非合法化を研究いたしておりまするゆえんのものは、内外の情勢にかんがみまして、国際共産主義の侵略また独裁的な侵略に対しまして、日本国民の自由と独立と平和というものを守つて行く上にこれが必要ではなかろうか、かような観点から研究をいたしておるのでありまして、それ以外の何らの理由はございません。
  88. 砂間一良

    ○砂間委員 国際共産主義の侵略ということを言われるのでありますが、いつ国際共産主義日本へ侵略して来た事実があるか、またその侵略の危劍が差迫つておるかということをひとつ具体的に聞きたいのです。中国にいたしましても、あるいはソビエトにいたしましても、対日全面講和を早期に結びたいということを何べんも声明しておるのでありまして、現に日本に対して中国やソビエトの軍隊が侵略して来ておるという事実はないのであります。むしろ日本に現在おるのは、これはアメリカの軍隊でありまして、そういうアメリカの軍隊の占領下に日本が置かれておる、こういう事態であります。共産主義が侵略して来る、侵略して来るというそういう幽霊をつくつて、そうして国民を脅かしておいて、日本に外国の軍隊を駐屯させる、あるいは日本を再軍備する口実をつくろうとしておる、それ以外の私は何ものでもないと思うのでありますが、もし侵略して来る危劍があるというならば、それをひとつ具体的に示していただきたい。
  89. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 侵略されてはたいへんでありますから、そういうことのないようにいたしたいというわけであります。
  90. 砂間一良

    ○砂間委員 それこそそれは一つの仮定であります。私はその問題はそれくらいにいたしまして、次にひとつこの機会にお尋ねしておきたいことは、講和條約ができたあとで、かりに日米防衛協定を結んで、アメリカの軍隊が日本に駐屯するようになつた場合に、もしその外国の軍隊が日本国民に対して刑事上の犯罪を行つた場合には、その司法権はどうなるかということをお伺いしたいのであります。それにつきまして、私は一つの例を申し上げたいと思うのです。それはこの二月の二十六日でありますが、熱海におきまして、熱海の初島館に朝鮮から帰つて来たといわれるアメリカのロバート・W・へツセラー大尉とウイラード・W・ワイズ大尉という二人の将校がやつて参りました。そうしてこの初島館の帳場におつたところの柴井良之助、これは五十一歳になる人でありますが、この人を射殺した。それからまた番頭の前原深、二十八歳、この人を拳銃でなぐりつけた。あるいはそこにマッサージに来ていた本木何がしという女のあんまさんでありますが、これがその騒ぎで驚きまして、玄関へ逃げ出して行くところをうしろから二発射ちつけた。またその騒動をとめに出たところの熱海の自治体警察の渡辺巡査というのも射たれまして、そうして重傷を負つた。また一町ほど離れた幾代旅館の帳場にいたところの伊藤米蔵、五十六歳でありますが、この人のところにも来まして、二発射つた、こういうふうに一名は射殺され、数名が傷を受けた、こういう事実があるのであります。これは新聞にも発表されたことでありますから、政府としても十分御承知のことと思います。この犯人は熱海の市警がつかまえまして、そうして進駐軍の方に引渡したそうであります。現在は占領下でありますから、こういうふうな事件が起りましても、これは進駐軍の方で何らか処分されると思うのでありますが、日本政府においてはあるいは司法権というものはないかと思うのでありますが、しかしながら日本国民の生命、財産を保護する立場にある日本政府といたしまして、こういう事件が今後たびたび起るというふうなことがありますと、政府としての責任が私は盡せないのではないかと思う。占領下だから切捨てごめんだというふうなことになりますと、これは非常にうまくないと思うのです。しかしこれは占領下だからやむを得ないといたしましても、将来講和條約が締結された後に、もしアメリカの軍隊が日本に三十箇年も、六十箇年も駐屯するとした場合に、これと似たような事件がもし起つたとしたならば、そのときはどうなるか。これは駐屯軍のやることだから、日本の司法権、警察権というものは及ばないものであるということになるのか、あるいはそのときには日本政府が外国の軍隊であろうが何であろうが、そういう悪いことをした人はみんなとつつかまえて、そうして十分に処分できるようになるのかどうかという見通しについて、講和の問題に関連して政府は何か日米軍事協定というふうなことで、外国軍隊の日本駐屯をも要望せられておるように聞いておりますので、それらの辺の見通しについてひとつ伺いたいと思うのです。なおこの事件について、日本政府はどういう措置をとつておられるかということも、あわせて承りたいと思います。
  91. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 熱海におきまする不祥事件につきましては、それぞれ現在の法によつて、それぞれの機関において処分をされるわけでございます。日本政府といたしましては、日本国民の生命、身体、財産、これは十分に保護をしなければならぬ立場にありまするので、この線に沿うて善処いたす考えであります。しかしかような問題は、ひとり今日の四つの島のみにあつたわけではございませんので、むしろ樺太、千島あるいは満洲、朝鮮等におきまして、より大規模に、より残酷な目にたくさんの日本国民があつておるのでございまして、これらについても政府としては、十分に保護しなければならぬ立場にあるわけでございますてが、ただいまの日本立場といたしまして、力の及ばざるところ国民の一人として、私も衷心から遺憾に考えておるのであります。
  92. 守島伍郎

    ○守島委員長 高田君。
  93. 高田富之

    ○高田(富)委員 非合法問題につきましては、ただいま砂間君からも質問があり、また前々会二回にわたつて私も若干質問したことがございますので、きようはこの非合法問題に関しまして、先ほどの並木君の質問の関連として、二、三の点だけを御質問したいと思うのであります。あらかじめお断りしておきたいのですが、これは私お聞きしたいのは、実際に国民が関心を持つておる点について率直にお聞きしたいのであつて、共産党の立場からの特別の質問というのはすでに砂間君がやりましたから、率直にお聞きしますから、ひとつ率直な御答弁をお願いしたいと思うのであります。  第一にお伺いしたいことは、この非合法問題につきましては、すでに昨年のマツカーサー元帥の声明ごろから、政府としては研究しておられるということを、しばしば本委員会その他におきまして言明がありました。非常に国際情勢の変転めまぐるしい中に、よくおちついて、長い期間かかつて研究になつておられるということにつきましては、国民も相当愼重に扱つておるという政府態度を了解しておると思います。ただここでもう一つはつきりしていただきたいことは、研究がこう長引いております間に、この問題のようなまたちよつとした事件なども起りまして、とかくいろいろとうわさはうわさを呼ぶわけであります。政府とししはすでに成案はできているのだ、従つてやることは確定的である。確定的にやるのだけれども、ただ今やるということについては、結論は出ておらぬというふうに理解していいかどうか。この点をまず第一に伺いたいと思います。
  94. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 御質問の全体について研究を進めているという趣旨でございます。
  95. 高田富之

    ○高田(富)委員 そうすると、時期の問題ばかりでなく、実際内容その他いろいろの問題についても、まだ研究中であるという今御答弁だつたと思います。ところで、そうしますと、一つこういうことも考えられるのであります。一体政府がそういうことを考えているというのは、現実に、日本共産党の現在やつていることが、治安の維持という点から見て、現在はそういう強硬な法的措置を講ずる必要があるところまでまだ行つておらぬ、この程度なら治安上まだ心配ないということが一つ、それからもう一つ考えられることは、それはともかくとして、講和の前のことでもあり、いろいろの国々とのこれからの折衝等もまだ固定した軌道に乗つておらぬ。従つてそういう状態の中で、国際的にもいろいろた影響があることであるから、このところ国際情勢がわが国にとつて固定化するまで、しばらく待とうということであるのか、大体この二つが問題になつているのじやないかと思いますが、政府としては現在の研究段階において、どういうふうにお考えになつておるか、これをひとつお示しを願いたい。
  96. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 研究はまだいかなる点においても結論に達しておりません。
  97. 高田富之

    ○高田(富)委員 これほど率直にお聞きしおるのに、なかなかこだわつておられて、率直な答弁がないのは、はなはだ遺憾でありますが、そうしますと、何から何までみな研究中で、一切わからぬというわけでありますが、そうそう長く研究されるというのが大体わからぬ。というのは、先ほど法務総裁の御説明にも、アメリカにおける反共法案内容がありましたけれども、あの程度のものであるならば、現在もうすでにやつておるわけであります。届出もちやんとやらしておりますし、追放もやつておるし、検挙もやつております。これはすべて団体等規正令というものがありまして、これがすでに反共法案としての役割を果しておる。団体等規正令という武器を政府は持つておる。もしこれをさらに一段と強く活用しようと思えば、あるいは解散もできるし、何でもできるにもかかわらず、なおそのほかに立法措置として、特別の法律を考えなければならぬというのは、一体どういう理由でありますか、そこをひとつ御説明を願います。
  98. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 立法措置をとるかどうかという問題を研究中なのであります。
  99. 高田富之

    ○高田(富)委員 どうもあまり率直でないのですが、これは実際は国民がだれでも聞きたがつておることでありますが、特に共産党議員が聞いているからというので、かみしもを着てしまつたのでは、はなはだおもしろくないと思います。  それではもう一つ、今度は率直にお答え願いたいのですが、一体共産党を非合法化するということ、これは先ほどの御説明にもありますように、世界中でもあまりやつておりません。世界中でもそうたくさんはないのです。こういう重大なことを、まだ一人前の国になつておらぬときにやるということは、きわめて重大な国際問題でありまして、講和の前にそういうふうなことをやりましたならば、講和を非常にかどばつたものにして、かえつてうまく行かぬということになるおそれが多分にある。これは常識的にみな考えられることだと思うのです。しかしながら、相当表面立つたこともこの間国会であつたくらいでありますから、政府としましては、場合によつては講和の前においても断固としてやるということは、大体結論がついておるもののようにうかがわれるのでありますが、そういうふうに理解してよろしゆうございますか。
  100. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これまた研究中であります。
  101. 守島伍郎

    ○守島委員長 本日はこの程度で散会いたします。  次会は来る二十四日土曜日午前十時より開会いたします。     午後零時五十四分散会