○
高田(富)
委員 私は
日本共産党を
代表いたしまして、ただいま
議題とな
つております
国際捕鯨取締條約
加入に関する件につきまして反対の
理由を一言申し上げたいと思います。
第一に、この條約に入ることによ
つて、現実的に
実質上格別現在までの実情とかわ
つたところがないように、御
説明を承りました結果考えられるに
至つた次第であります。これが純粋に技術的な
観点からする
占領政策遂行上ぜひとも必要なものというふうに考えることも、いささか無理であろうと思うのでありまして、実際しただいま
連合国最高司令官の
管理のもとで今まで行われておるわけであ
つて、しいて條約に
加入しなければならない各別の
実質上の
理由も、また技術的な
理由もないというふうに思われるのであります。入りまして後におきましても、今までと同様な
管理下に置かれるわけであ
つて、この條約に関する限り、
独立国として完全に扱われるものでないということも明らかに
なつた次第であります。でありますから、結局しいてここでこの條約に入るということは、これは
捕鯨問題とは離れまして、やはり
講和との
関係においてのみこの
意義が考えられるというふうに私は考えられるのであります。結局私
どもが
国際社会に早く
復帰したいという
希望、それからまたそのために
対外信用を高めるようにしなければならぬということ、これらはすべてま
つたく同感であります。しかしなるべ早く
国際社会に
復帰したために、
対外信用を高めたいためになすべきことは、これは
連合各国全体に対しまして、真に
信頼を得るような公正な
方法をわれわれが誠実に実行することによ
つてのみできることであ
つて、ただ一
部分々々々の問題について、この條約に入り、あの條約に入るというような形でそのような
信用を高めるとか、
国際社会に
復帰するという道を選ぶべきではなく、かえ
つてそのようなことをいたしますれば、特定の国に対しましてのみ
独立国として扱いを受けながら、他の方ではそうでないというふうな
対立関係を深め、
猜疑心をも
つて見られるような結果にもなるのであ
つて漁業條約については、今われわれが全体の国政の上で
ポ宣言に基く誠実な
信頼を回復する道を歩みさえすれば、
講和締結後はただちに
関係各国との間に
漁業條約は当然
締結できる、またそういう道を選ぶことが、ほんとうに
漁業條約を直接
わが国と
関係の深い
諸国との間に一齊に取結び得る唯一の道である。かように考える次第であります。
従つて一言にしていえば、やはり
單独講和の事実上の実績を積み重ねて行くというような、なしくずし的なやり方ということに帰着すると思うのであります。
従つて私
どもはさような
意味におきまして、これに
加入することに賛意を表しがたい次第であります。