運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-07-26 第10回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月二十六日(木曜日)     午後二時四分開議  出席委員    委員長 若林 義孝君    理事 足立 篤郎君 理事 坂口 主税君    理事 受田 新吉君 理事 林  百郎君       淺利 三朗君    甲木  保君       庄司 一郎君    瀬戸山三男君       高橋 權六君    寺本  齋君       中山 マサ君    平井 義一君       福永 健司君    水田三喜男君       村上  勇君    小林 信一君       中曽根康弘君    堤 ツルヨ君  委員外出席者         外務政務次官  草葉 隆圓君         外務事務官         (管理局長)  倭島 英二君         外務事務官         (管理局引揚課         長)      吉岡 俊夫君         大蔵主計官   岩動 道行君         厚生事務官         (引揚援護庁援         護局長)    田辺 繁雄君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君     ————————————— 七月二十六日  委員青柳一郎君、小川平二君、門脇勝太郎君、  菊池義郎君、北川定務君、佐々木秀世君及び佐  々木盛雄君辞任につき、その補欠として瀬戸山  三男君、甲木保君、福永健司君、平井義一君、  寺本齋君村上勇君及び水田三喜男君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  海外同胞引揚問題に関する件  留守家族援護に関する件     —————————————
  2. 若林義孝

    若林委員長 これより会議を開きます。  本日は海外同胞引揚げ問題並びに輿守家族援護に関する件について議事を進めることにいたしますが、一昨日の本委員会におきまして論議の焦点となりました対日講和条約引揚げ問題、すなわち未帰還者に関する問題を講和条約においていかに取扱われるか、またポツダム宣言講和条約との関係、あるいは留守家族に対する援護については、なお各委員も疑点を持つておりまして、今日も引続き政府当局より明確にこれについての説明を求めるべく会議を持つたわけであります。去る二十三日より東京で開かれております留守家族大会におきましても、この講和条約引揚げ問題がその焦点になつておりまして、昨日は本委員会といたしましてもこの大会に臨み、その状況を見て参つたのでありますが、その悲痛なる叫びは、各委員も文字通り御承知なさつたことだろうと考えるのであります。今日政府当局にただすべきことをただし、この留守家族大会の悲願をして、世界の正義を愛する国々に協力を求めるべく、この委員会の使命を果したいと存ずるのであります。一昨日に引続きまして発言を許します。
  3. 堤ツルヨ

    堤委員 議事進行について……。委員諸公御存じ通り、この前の委員会は実は中止をいたしました。その理由は、ここにお見えになつている外務政務次官が御答弁になりましたけれども、一向要領を得ない。中曽根委員の御質問に対しましてらちが明きませんでした。これは委員会金員が確答を承りたい核心に触れられなかつたので、実は外務大臣でなければ片がつかないというので、吉田総理出席を求めてもらうべく、一日目を置きまして私たちはきよう委員会再開したのでございます。ただいま草葉政務次官がせつかく暑いところをお見えになつておりますのに、こういう言葉を申し上げてはまことに失礼でございますが、一昨日の委員会外務政務次官答弁と申し、また昨日の総持寺におけるところの留守家族代表に対する外務政務次官答弁と申し、私は結論を得られるようには存じません。でありますのに総理はなぜこれに御出席にならないか。外務大臣がこの段階において御出席にならないということは、私ははなはだ遺憾である。大臣出席なさらない、この前の委員会の立ち往生のままの形において再び委員会が開会されることは、何ら意味をなさないと思うのでございます。ひとつこの点を明らかにしていただきまして、委員長答弁によりましてはさらに緊急動議に関する発言を許していただきたいと思います。
  4. 若林義孝

    若林委員長 外務大臣は健康の都合によりまして、出席ができないとの通告がございました。
  5. 堤ツルヨ

    堤委員 私は吉田外務大臣お年も存じ上げております。われわれのようなお年ではございませんので、御同情申し上げますが、しかし新聞紙の報ずるところにより、またいろいろなニユースを総合いたしますのに、きよう一日押して箱根から首相が出て来られないというような健康状態ではないと、私は、邪推かもしれませんが、気がいたすのでございます。健康が許さないという理由をもつて外務大臣がここに出られないという御答弁委員長からありましたが、これはやむを得ないというふうに委員長はお考えになるかもしれませんけれども、私から言わせれば、それでは一体どの程度に悪いのか、悪いならば現段階において出られない首相病状を、たとえば体温なり脈搏なり、医者カルテなりをこの席上に明示せられるのが、外務大臣としてのほんとうあり方ではないかと思うのでございますが、もしそれが明示されないで、病気理由に御欠席になるのでしたら、われわれ委員としては承知しがたい。この点、委員長においておとりはからいを願いたいと存じます。
  6. 若林義孝

    若林委員長 委員長といたしましては、御存じ通り一昨日来国会法の示すところにおきまして、成規手続をふみ、要請をいたしたのであります。それに対する御回答が、先ほど私が申しましたように、あつたわけであります。所管省としては、外務政務次官草葉隆圓君が出席せられております。この件に関しては、おそらく草葉政務次官からの御説明があることと思います。これに関連して草葉政務次官説明を求めます。
  7. 草葉隆圓

    草葉説明員 大臣出席につきましては、ただいま委員長からお伝え申し上げた通りでありまして、御了承いただきたいと思うのであります。
  8. 堤ツルヨ

    堤委員 委員長はこの間の委員会責任をもつて応諾されたのでありますから、箱根でありますか、伊豆でありますか、熱海でありますか、その辺は知りませんが、委員長みずからお出かけになつたか、その点が一つと、それからただいまの草葉政務次官答弁では納得いたしません。でありますから、ここに首相病状を示すところの医者カルテを御提出になるのが順序だと思いますから、カルテが届くまでこの委員会休憩願いたいと思いますので、他の委員の方にお諮り願いたい。
  9. 中曽根康弘

    中曽根委員 二十三日の委員会におきまして、私は外務政務次官に対して、この問題について特に講和条約の中に捕虜に関する条項欠除している点を追究したのでありますが、われわれが満足するような、納得し得る答弁が全然なかつた。そこでどうしても外務政務次官では言えないことがあるだろう。また総理自身腹中考えられておつて、また講和会議の席上において発言をするという考え方もあるかもしれない。そういうような考えもあつて、ともかく外務政務次官では話にならぬというので、これは自由党委員も含めて延期ということになつたわけです。それできようは、外務大臣たる吉田氏が来ることを期待してわれわれは集まつて来た。しかるにただいまの委員長よりの話や外務政務次官の話によると、何だか病気だという。しかし総理大臣病気だということは、新聞紙上にはちつとも出てない。依然として箱根に涼んでおるのだろう、私はそういうふうに怪しまざるを得ない。そういう一片答弁をもつてしては、ほんとうに真剣にあの大会に集まつた人たち気持考えて、真剣にやつたわれわれの誠意に対する答弁になつておりません。どうかもつと納得の行くようなあり方を示してもらいたい。外務大臣がよんどころない事情で来られないのならばやむを得ません。しかし一片の身体が悪い、あるいは暑いというような事情では断じて聞きません。委員長はもう一ぺん外務大臣をひつぱつて来るようにお願いします。
  10. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどの委員長の話では、首相の健康が出席を許さないということでしたが、その委員長の得られた情報はどういう径路で委員長のところまで来たのですか。それをひとつお聞かせ願いたい。
  11. 若林義孝

    若林委員長 内閣官房長官より通告がございました。
  12. 堤ツルヨ

    堤委員 私の先ほどの質問の、委員長みずからが吉田外務大臣会つて、この委員会出席されるように御交渉になつたかどうかということについて、御返答願いたいと思います。
  13. 若林義孝

    若林委員長 国会法に基く成規手続をとつて出席要求しております。
  14. 堤ツルヨ

    堤委員 委員長自由党でございますので、吉田外務大臣とは同党でございます。吉田さんという人は、今までの経過から見ても、あらゆる委員会にいかに出席しない人であつたかということは御存じであります。通り一ぺんの国会法に基く手続をもつて、現段階におけるところの外務大臣の呼び出しをなされたということは、私は委員長に対して少し不信任をしたいと思います。あなたはそれでよいと思いますか。委員長責任を問います。
  15. 若林義孝

    若林委員長 私の考えでは、成規手続をふみ、一昨日の本委員会の様子を伝達いたしておりますので、十分手続とつたと考えております。
  16. 林百郎

    ○林(百)委員 実は昨日の夕刊から今朝の新聞にかけても、抑留者の問題が出まして、これは単に引揚げの問題ということではなく、重大な、外交的な問題になつておるのであります。日本の国が置かれている国際的な地位、ことに国際的、政治的な立場を決定する重要な問題になつていると思うのであります。従つてこの委員会総理出席を求めるのが当然だと思います。ところがそれに対して、ただ国会法手続に基いて請求しただけだ、答えは病気で出られないということだけでは、われわれはどうしても納得できないと思います。私は委員長誠意吉田総理の国政に対する誠意、両方を疑いたいと思うのであります。  そこで委員長国会法に基いて出席要求されたと言いますが、どういう手続でされたか、それを明らかにされたい。
  17. 堤ツルヨ

    堤委員 私が先ほど委員長に申しましたが、今、林委員もおつしやいました通り病気で出られない、これはいつも使われる手です。私はおそらくにせ病だと思います。たとえにせ病でなくても、いつでもにせ病を使うから、今日にせ症だと言われても従来の態度からしてしかたがない。ですから私はカルテを出しなさいと言つている。委員長はそれくらいのことをなされなければ委員長ではないです。今日委員長がいかに議事を進行されようとしても、私は壇を占領します。ですから順序としてカルテ、たとえば大臣の脈搏はこうである、体温はこうである、いつから病床にいる、年齢として心臓の状態はどうである、医者は大事な方ですからついていると思います。ですからそのカルテをどうぞお示し願いたい。カルテを出して病気ということが確かなら、万やむを得ないということを私たち国民の前にも発表できるのであります。そのカルテを出さないで、通り一ぺんのあいさつで委員長がこれを片づけて議事を進行させるということは——私は委員長不信任です。委員長どうですか、もし議事を進められるならば、私はそこを占領しますよ。
  18. 若林義孝

    若林委員長 堤委員の御解釈にまかせるよりしかたがありません。
  19. 受田新吉

    受田委員 私はおとといのこの委員会外務大臣出席要求して、委員会の打切りの緊急動議を出した責任者として申し上げたいのであります。中曽根君が重要な講和草案捕虜条項の挿入に関する発言をしている最中に、私としてはこれ以上この議事を続行しても、外務政務次官答弁では要を得ないという見通しがついたので、直接の責任者外相にこの点を鮮明していただきたいと思つて要請し、各委員の了承を得たわけでありますが、昨日の留守家族大会代表者がわざわざ総理のもとまで尋ねて行つて面会を求めて、切々の情を訴えようとしたところが、それすら吉田外相は拒否したという事実があります。われわれ本日この会に主席することは、国会法の七十一条の法的発動に基いて出席要求したという重大な問題があるにかかわらず、これが実現もきなかつたということは、国会を無視し、委員会を無視し、同時に全国留守家族の全部の人たちの切実な声を封殺して、そして悟然として恥じないという、政治家として最も恥ずべき行為だと思います。また外務大臣は、どういうわけでここへ出席しないという理由に健康の理由をあげられているのでありますか。堤委員林委員の言われる通り新聞にも健康がどうだという最近の状況が出ておりません。しかも昨日留守家族代表の諸君が行つたら、何らかの手続を経て来い、手続を経たら会おうという答弁をしているのであります。従つて非常に殿様趣味が遺憾なく発揮されているのでありますが、手続を経て留守家族代表と会おうというような、そういう高いところにとどまるという気持がまだ外相にある。これが今日委員会要求くらいのことは無視してもがんばるのだ、そういう結果になつたと思うのです。この点講和を前にして、しかももうすぐ最終草案ができ上るという重大段階にあるから、たつた一回だけ、最終委員会に出てくれ、過去三年間海外同胞特別委員会総理出席していない、この切実な委員会要求すらも拒否したというこのことに対しては、委員会はあげて総理に対する不信任と同時に、委員長の御尽力の足らなかつたことを責める次第であります。  同時に外務政務次官にお伺いいたしたいのでありますが、昨日以来総理外相出席することに対する可能性に対して御連絡をとられたかどうか。そうして出席不可能ということがわかつた場合に対して、準備をしておられるかどうか。出席不能の場合には、外務大臣からいかなる立場外務大臣としての見解を述べてくれよという指示があつたか。それに対する外務政務次官としての外相との連絡の点について、明らかなる御答弁を願いたいのであります。この点引掛げ問題における最終の重大問題を審議する委員会としての、外相出席、不出席ということに対する草葉さんの御答弁をお願いしたいと思います。
  20. 若林義孝

    若林委員長 暫時休憩いたします。     午後二時二十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十八分開議
  21. 若林義孝

    若林委員長 休憩前に引続き再開をいたします。  先ほど堤委員よりの御発言に基きまして、外務大臣出席を、委員長において再度要請をいたしております。
  22. 堤ツルヨ

    堤委員 外務大臣出席はどういう方法をとつておられますか、ちよつと御発表願います。
  23. 若林義孝

    若林委員長 ただいま議長の手を経まして、それぞれの処置を議長においてとることになつております。
  24. 堤ツルヨ

    堤委員 それで再び出席要求されて、きよう御出席になると思われますか。
  25. 若林義孝

    若林委員長 それは御返事がただちに来ると思います。
  26. 堤ツルヨ

    堤委員 それでは私が先ほど申し上げました通り、そういう手続をとられましたならば、外務大臣がお出ましになるまでは、事になりません。そこに政務次官おいでになつても、それは答弁になりません、これはお怒りになるかもしれませんけれどもきのうおとといの実績からすればそうであります。でありますから、むだな会を進めていただいても何ですから、私たち首相おいでになるまで待たせていただいたらどうかと思います。
  27. 若林義孝

    若林委員長 暫時休憩いたします。     午後二時四十分休憩      ————◇—————     午後二時四十九分開議
  28. 若林義孝

    若林委員長 休憩前に引続き再開をいたします。受田新吉君。
  29. 受田新吉

    受田委員 ただいま堤委員より強力な外務大臣出席要求意見が出て、出席するまではこの委員会を開くべからずという至誠あふるる意見が出たのであります。私たちはこの点について、お互い総理出席を極力要請して、今日の会を待つたのでありまするが、現実の問題として、健康上の理由でここへ出て来ていない。外務大臣に今から委員長が言われたいかなる方法をもつてしても、この委員会が開かれている本日中に出席する可能性がきわめて薄いのではないかという危惧が抱かれるのであります。この点について、健康上の理由というこの不出席理由に対して、委員長は直接総理のもとにはせ参じて、この重大な講和条約締結直前講和草案捕虜条項欠除はまことに遺憾である、外務大臣として信念ある答弁国会でなすべしという要求を、最後努力委員長みずからがなしていただせるかどうか。しかもこの期間はきわめて短かくなければならないので、今月中に総理外務大臣出席を得て、委員会再開されるような慎重かつ重大な決意のもとに、委員長努力要請いたしまして、これが可能であるという結論に達し、かつ委員長努力がここに確約されるならば、本日外務大臣出席なくとも、われらはこの外務大臣出席を前提としての審議を続行して、会議を進めることもさしつかえないのではないかと思うのであります。この点委員の一人であり、かつ本日外務大臣出席要請した私として一言申し上げます。
  30. 小林信一

    小林(信)委員 同僚の中曽根委員が、どうしても自分考えというものを最後まで目的を達するために努力しておつたのに対しまして、全委員が今日の段階では結論を得ることができないから、委員長並びに政府努力をお願いして、この結果が得られるように、明後日は外務大臣出席させるという了解のもとに、われわれは一応先日了解をしたわけでございますが、この点につきまして、委員長といたしましても私は大きな責任があると思う。ことに昨日留守家族方たち大会に出ておるときに、委員長留守家族方たちにも言明をしておられる、途中から退席しなければならないのは、明日重大なる会議を控えて、これがために私は準備しなければならぬから途中から帰る——これは別にこの席でもつて、あなたの言質を云々するということはできないのでありますが、道義的には私は追究できると思う。、委員長としても当然甘受すると思いますが、それくらい委員長も真剣にお考えになり、またこの問題については委員長委員長になられて以来、一人といえども残さず外地から引揚げさせなければ自分任務達成はできない、こういうことを私たちにも常に確約されておるのであります。従いましてただいま受田代議士の言われるところの、総理大臣を必ずこの委員会に一度だけはどうしても出席さして、総理の腹の底をわれわれ国民の前に吐露さして、そうして来るべき講和会議に敢然として臨み得られるようなものをつくつていただきたい。こういうことを私はお願いいたしまして賛成するのでありますが、伺うところによれば、留守家族方たちが、昨日やはりこの事態を重大視いたしまして、箱根総理をたずねたそうです。しかし面会を求めようとしたときに、正当の手続をふまなければ面会しない、こう言つて断つたそうですが、先ほどの委員長のお言葉から察しますと、委員長成規手続をとつて総理出席を求めた。成規手続をとつて要求すれば、われわれに対しては病気だと言つて断る。国民立場から面会を求めれば、成規手続をふまないから会わないというような、まことに国民の今日心配しておられるところのこの重大な問題に対しまして、総理態度というものは、きわめて冷淡だということが言えると思います。従いまして委員長がここで、ただいまの受田委員の条件をつけた、再開を約するものをいれるとするならば、相当な御決意委員長は持たなければならぬと私は思います。昨日留守家族方たちの前で委員長も言われたように、おれのからだを皆さんの前に投げ出して、踏んだりけつたりして、たといおれを殺そうと私はいとわない、しかしそんなことではあなたたち目的が達するものではない。私は自分のこの命を、自分任務を途行するために捧げようと考えておる。こういうようなりつぱな態度を申されております。私たちもそういうことは信じております。従いまして相当な御努力によらけなれば、ただいまの受田委員の要望というものは達し得られぬと考えておりますが、委員長には相当な決意をもつてこの問題に当つていただきたいということをつけ加えまして、本日は総理のいない状態で、官房長官なり、あるいは厚生大臣なり、そういう方たち出席し得るものはさせて、会議を続行してよろしいと考えるのでありますが、とにかく委員長にはその態度を言明されることを私は要望いたしまして、賛成するものであります。
  31. 若林義孝

    若林委員長 ただいまの受田委員委員長に対する要請に基きまして、委員長におきましても最大努力を払うことにいたします。堤ツルヨ君の動議がございましたが、先ほど来の受田小林両君発言通り議事を進行するに御異議ありませんか。
  32. 堤ツルヨ

    堤委員 議事進行に関して——私は、お人のよい人格高邁な委員長を、決して困らせようとしてこういう発言をしておるのではございません。あなたのお人格は知つておりますし、あなたの御努力、まことも知つておりますけれども、かかる状態において、あなたの人間に対する私の感情とは別にいたしまして、委員会は進められないことはみな慰めるところであります。今あなたは受田委員並び小林委員発言に対しまして、最大努力をいたします、かようにおつしやいました。いつも最大努力、でき得る限りの努力、万全を尽してという代名詞は、壇の高いところにいらつしやる方に対する言葉でございますが、それでは最大努力は具体的にどうされるかということを、もう一言おつけ加え願つて、そしてもう一段と確約をいただいて議事進行していただく。この点で了解さしていただきたい、さように思つております。私は、男一匹、この問題で委員長は職を投げ出されたらいいと思うのです。それでちつともおかしくはないと思う。そうして箱根行つてください。箱根行つて、そして自由党の総裁の吉田さんに会われて、動かぬとおつしやるならば、医者を連れて行つて調べられて、ひつぱつて来られてもいいと思う。そういうところまであなたは具体的な約束ができるかどうか。ただ最大努力をいたしますという代名詞だけでは受付けません。
  33. 若林義孝

    若林委員 いろいろな表現をもつて委員から申されましたが、このいろいろな具体策を包含しての最大ということでございますから、御了承願いたいと思うのであります。  では議事を進行するに御異議なきものと認め、会議を続行することにいたします。中曽根君。
  34. 中曽根康弘

    中曽根委員 二十四日の委員会におきまして、私は草葉外務政務次官に対しまして、主として対日講和条約内容捕虜条項のないことについて質問いたしました。それに対する草葉外務政務次官答弁要領を得ておりません。私が質問しました内容は、まず第一は、何ゆえに捕虜条項は載せていなかつたかということである。この捕慮条項を載せることについて政府はいかなる努力を今までして来たか、われわれが知つている範囲では、一月にダレス氏が来たときに、吉田総理はこのことを言つておらぬ。ただ四月に来たときに、わずかに言つてすぐ引下つてしまつた。こういうような努力ではたして国民を納得せしめ得るかということ、それに対してダレス氏はいかなる見解を示してこれに載せなかつたのかとう質問、それから一体今後八月十三日に最終草案がきまるが、それまで政府はいかなる努力をするか、特使を派遣する決意があるのか、あるいはまた最終草案がきまつて、いよいよ講和条約会議なつたときに、一体政府はいかなる最後努力をする決心であるか、連合国に対して共同宣言をしてもらうということも一つ方法である。これは一つの例示であるけれども、一体総体的にいかなる決意と方策を持つているかと聞いたが、外務政務次官要領を得た答弁をしない。そこで新しく考案を練つて、外務省としての対策をお示しするというので、私はきよう出て来たわけであります。それで最初にまず外務次官は、いかなる対策を持つておるか、これからの決意及び対策をお聞きいたしたいと思います。きようは私はこれで質問をやめますが、最後にあなたの答弁によつては、さらに質問することを留保しておきます。
  35. 草葉隆圓

    草葉説明員 中曽根君のただいまの御質問に対しましてお答えを申し上げます。一昨日のいろいろな御熱心のある御質問に対しまして、私から外務省の見解、解釈等をお答え申し上げた次第でございますが、今後政府は、この抑留同胞の引揚げについてどのような方策と考えとを持つておるか、こういう御質問でございました。これは一昨日も実はこの点に触れて御答弁を申し上げたと存じますが、今後講和会議もございますし、またその際多数の国国の関係者も会同いたします。あらゆる機会をとらえまして、国民の熱心な要望に対しまして、政府も熱心に最大努力をして、この問題の解決に処して参りたいという所存をいたしております。具体的の問題につきましては、具体的にその様相が現われます場合に、これらの問題を検討しながら、最良の方法を講じて参りたいと存じております。
  36. 中曽根康弘

    中曽根委員 今の外務次官答弁は、おとといの答弁より何も出ていない。いやおとといの答弁以上に不誠意答弁である。そんなあいまいな答弁を聞きに私はきよう委員会へ出て来たのではない。委員長もそんなあいまいな答弁をさせるために委員会を開いたのではあるまい。これは委員諸君全部同感だと思います。私はそのような答弁が今日この委員会においてなされるならば、この委員会はやめた方がいいと思う。外務大臣が来るまで待とうとか、あるいはしばらく待とうという言葉があつたけれども、そのような答弁をきようもまたさせるならば、私はこの委員会をやめさせる、やめなくちやならぬと思います。私はそういうことをあなたにここで言います。何らかの政府の新しい見解なり新しい対策なり、その他の外務省としての政策を誠実に示されたい、私はそのことをここでまう一回重ねて言いまして、私の発言を一応打切ります。
  37. 若林義孝

    若林委員長 中山マサ君。
  38. 中山マサ

    ○中山委員 今の問題に関連いたしまして、私どもが昨年の十月から国連へやつていただきまして、要請して国連の中に引揚委員会というものができ、やつと三人の人が指名になりましたが、この問題につきまして、八月にはこの三人の委員人たちが日本に来られるということでありますが、外務省及び政府はこの三人に、この問題の専門家でありますから、今の点を要請いたしまして、ぜひとも国連が指名したこの三人委員会——しかも国連の人道委員会は、その原悟で申しますならばユーア・ヒユーマン・ライツというものを出しております。いわゆる人権宣言なるものをこの委員会は本としてりつぱに世界に出しておるのでありますが、この人権宣言の中には、人間はその意思に反して外国に抑留されることはないというりつぱな項が入れてあるのであります。私はぜひともわが政府、わが当局は、この点を三人委員会に究明していただきまして、そうしてその委員会から、講和会議においてぜひこの点を草案の中に入れなければこの人権宣言というものはほんとうに死んでしまうのだということをきつく要求してもらう意思があるかどうか、その点に対して外務省当局の御答弁を願いたいと思います。私はこの点を押して行くのが最も筋道の立つたことであり、私どもがしなければならないところの留守家族に対する責務であるということを痛感するものであります。どうぞそういう御決意があるかどうか、伺いたいものであると思います。
  39. 草葉隆圓

    草葉説明員 ただいまの御質問の、三人委員が近く八月に日本に来訪される際に、政府はこれに対する十分なる内容を示しながら、講和条約草案に一項を入れるように努力せよという意味の御質問でございますが、実は最近の報道等におきまして、近く八月ごろに三人委員が来訪するという報道が伝わつておりますが、しかし私ども確実なる報道としては、まだ受取つておらないのであります。お話のように講和会議は九月の上旬に決定いたしておりますが、三人委員が願わくばその前に来訪されることを心より期待いたしておりますけれども、現在におきましては、まだこのような情報も確報も実は入手しておらない状態で、従いまして確報を得ました上におきましては、十分御意思の点等もくみまして連絡をいたし、その前にできるだけ早く来訪してもらうように努力をいたして参りたいと存じております。
  40. 中山マサ

    ○中山委員 今の外務政務次官のお言葉の中には、期待ということがございましたが、私はそれでは満足できないのでございます。国連の人道委員会の名誉にかけてぜひ御来朝を願い、そうしてこのことを講和草案の中に入れるというところの、この私どもの悲願を実現してもらうように——何と申しましようか期待ぐらいの、ただいわゆる希望的考え方でなく、それに対して突進していただきたいと私はお願いをするのであります。それだけの強硬な御意思があるかどうか。私どもがはるばる国連に参りましたのに、ただ約束のから手形だけをもらつたのでは、留守家族に申訳ないと思つております。この点をぜひ実行していただかなければ、国連も、私どもの考えにぴつたり来ないものをかもし出すのではないかということを私は非常におそれるのであります。ぜひこの観点から極力要請をしていただくようにお願いしたいのであります。
  41. 草葉隆圓

    草葉説明員 私の申し上げました言葉が不十分で、まことに恐縮でございますが、実は先月も先々月も、総理大臣から国連総会あてに、三人委員の来訪を要請をいたして参つたのであります。今後におきましても、お話のように強く要請をして参りたいと存じます。
  42. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 前にちよつと私、当局に申し上げてから、質問に入りますから、一問一答でお願いします。  よく考えると、物も言いようではかどが立つと昔からいつている。まるい卵も切りようで四角ともいつておる。昔の人はほんとうにえらいことをいつている。吉田総理外務大臣を兼務しておりまして、所管によつて国民のために努力していることは知つておりますが、せつかくそれだけ努力をしておきながら、ここに出て来ないということは、千日でこしらえたかやを一夜に燃してしまつているような傾きになりはしないかと思うものであります。ぜひ外務大臣として出席もしていただきますが、私らは先日から、熱心なる若林委員長とともに各地に参りまして、親しく実情をお尋ねし、また見たりして参つたのであります。そのうちに、いろいろと申し上げたいが、熱心なるほかの委員から質疑があり、応答がありましたが、私はほかの方面からお伺いしてみたいのであります。  先日こういうものを各都道府県知事あてに出してある。  管引合第六五四号     昭和二十六年六月十九日           外務事務次官    都道府県知事殿    昭和二十六年度未引揚げ邦人調査に関する件   未引揚げ邦人調査は都道府県の積極的な御協力により多大の成果を取めて来たが、調査の進展に伴い、個人消息の究明は今後主として都道府県の活動によらなければ不可能となつたので、過般の第十次ブロツク会議において決定された未引揚げ邦人調査昭和二十六年度作業計画に基を、従来外務省に保管していた未引揚げ邦人原簿を都道府県に移管することと相なつた次第であるが、本年度計画実施のため、必要な調査人員の補充、県費予算の計上等については格別の御配慮をお願いする。こういうことを書いてあるのであります。これについてお伺いをしたいのでありますが、一般邦人の引揚げ調査を都道府県に移管された理由をひとつお伺いいたします。一つずつお伺いします。
  43. 倭島英二

    ○倭島説明員 今の御質問にお答えいたします。  御質問にお答えいたします前に、従来一般の未帰還者の調査につきましては、軍人関係については復員局がやつておる。それから一般邦人の関係は外務省がやつております。約四年間くらいやつて、外務省がみずからその調査を担当し、しかも国内における調査ということでございましたので、その国内における調査は大体引揚者を中心にして引揚援護局の方で行う調査と、それから留守宅家族の協力を得てやる調査、それからすでに引揚げて来られた方々に適当な場所あるいは時に集まつていただいて、その協力によつていろいろ調査を進めるという大体三つの方法をやつて来ております。その中で引揚者が毎船ありました当時以外は、留守宅家族と、すでに引揚げられた方々を、府県庁のお世話によりまして適当な所に集まつてもらつて調査をしておつたわけであります。従つて外務省が主となつて調査を進めておりましたけれども、その調査の実態は、各府県庁の絶大なる御協力、あるいは留守宅家族あるいは引揚げられた方々の御協力によつてこれを実施することができたという実情でございます。従つて従来はそれで進めたのでございますが、実態は今申し上げますように、府県の担当官の方の御協力でやつておつた。その原簿と申しますか、今の通牒の中にあります原簿というのは、引揚げ調査の関係を記入している原簿でございますが、それを従来外務省が持つておりましたが、それを各府県に移しまして、実際上各府県と外務省と一緒にしてやつてつたのを、各府県に保存していただくことにして、今後は従来以上に各府県の御協力といいますか、積極的な努力をいただいて調査を進めて行きたいという趣旨でございます。
  44. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 今の御答弁によりますと、一応承服をされるような点もありますけれども、昨日の総持寺における留任家族の方々の叫びにもありまするように、どうもはつきり信用していいのか悪いのかわからないような点が多々ありはしないかと思つておるのであります。まして政府はより以上の力を持つておる。地方庁におきましては力が弱い。しかも今日においては、地方庁おいてはいろいろの問題に追われておる。まして風水害のごとき余興まで飛び出して来て、非常に困難を来している際であります。そういうときに、それの方がいいか、それは手伝いさせるのはいいが、日本国民としては、あくまで力の強いところの中央政府で徹底的にやつていただいた方がよくはないかと思うのでありますから、もう一ぺんそういう方面に引きもとしてやつていただくようなお考えがあるかどうか、もう一度お尋ねをいたします。
  45. 倭島英二

    ○倭島説明員 お答えいたします。今御説明申し上げましたように、従来も外務省がやつておりましたのは、外務省の所員と、それからカード等をこしらえるため臨時職員の補助員を入れておつたわけでございまして、調査の実態にあたりましては、各府県の世話課、あるいは県によつては厚生課というところにずいぶんお世話になつております。今後も、その従来やつておつたところにカードを移して、そこを中心にしてやるということでありますが、外務省が中央で全然手を引いてしまうということではないのでありまして各地方で従来もいろいろやつていただいておりますし、各地方のことは結局は各地方で中心になつていただかないとうまく行かないという点がございますので、われわれの考えといたしましては、今後は特に地方で努力をしていただきたいと考えております。
  46. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 もう一つ別の方面からお伺いをいたしますが、都道府県の方に移管いたしまして、この費用は地方においてそれを引受けるということになつておるように聞き及んでおります。また書類もこういうような意味になりはしないかと思うが、今日地方財政が非常に窮迫している際において、ますます圧迫を加えられるような感じはないか。その結果、引揚げ邦人のことについてかえつて不徹底に終りはしないかと思うが、その負担の率その他についてどういうお考えを持つておられるか、お伺いしたいのであります。
  47. 倭島英二

    ○倭島説明員 お答え申し上げます。従来の例から申しますと、国の方の財政の関係も相当詰まつております関係上、従来実施しました実績から申しますと、引揚げの調査に関しましては、県によつて多少違いますが、実際要した金の二分の一、あるいは三分の一、所によつては四分の一くらいしか国の補助が出なかつた。県によつて、熱心な県、あるいはさらに財政の豊かな県などでは、国の方から出した補助の倍あるいは三倍、あるいは四倍というような金が県費から出されておりました。われわれとしましても、できるならば国庫の方から少しでも多く補助を出したいと思つておりますし、今後もできるだけ応援をしたいと考えております。しかしながら、従来以上にさらに出し得るかというと、まあ大体従来程度には何とか出して行きたいと思つておりますので、成績が落ちるというようなことはないだろうと考えております。
  48. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 今御答弁をいただきましたが、政府当局がこういうことをなさるから、一般引揚者の家族の方々から、熱意がないと言われるようなことになりはしないかと思うのであります。またそういうことがある際に、外務大臣であるところの吉田総理出席なさらない。そういうことがますます政府の不熱心を世間からとえられる原因になりはしないかと思つておるのであります。そういうことはお考えにならないのかどうか、もう一ぺんお伺いいたします。
  49. 草葉隆圓

    草葉説明員 その点につきましては、ただいま御質問の件につきまして管理局長がお答え申し上げましたように、実は今度事務的に、最もその方が確実であり、便利であり、またすみやかになし得るという事務的な立場からいたしたのであります。従いまして熱意におきましては、従来以上に熱意を持つておることは御了承いただきたいと存じます。従来はカードをこちらに持つておりまして、詳細の報告をもらつて、それによつてカードを訂正するという行き方をとつてつたのを、向うの方でただちにいろいろの改訂ができる方法をとつて来る便宜さを事務的にとろうといたしたのであります。
  50. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 今草葉政務次官が熱心に御答弁くださいまして、わかりました点もありますが、ただ草葉政務次官も九州男児であつて、しつかりした熱のある方で、常にこの引揚げ邦人のために努力していただいていることは、私も九州男児で知つております。もし足りなければ応援に行くくらいの気持を持つておりますが、ただここでお願いしたいのは、吉田総理が健康のゆえをもつてここに出席しないということは、一般民衆に徹底しない。おまけにあの方が、男らしく思つたことをどんどん言うところに私はほれ込んで自由党に入つているのであります。(笑声)しかしそれはそれである。日本国民である以上は、ほんとうに一人が欠けても、八千万から一名欠けたら八千万にならない。どれほど巨万の富を積んでも、一億円は一円欠けても一億円にならないように、国民は最も大切なものであります。そういう考えから私は手続云々はだれが言つたか。総理大臣その者が言つたか。また総理大臣を訪問した、皆さんに対して取次ぐ者が、そういうことを申し上げたか。私はこの次の会合でもある場合には詳しくそのことを承りますが、でき得べくんばそれを調べて、この委員会に報告をしていただきたいのであります。せつかく土佐武士らしく、男らしくやるところは大すきだ。私とよく似ている。(笑声)しかしながらそれはそれといたしまして、ほんとう国民を愛する心があるならば、少しの病気ぐらい押して出席していいと思うのであります。自分ほんとうに身命を忘れ——自分個人のことを申し上げるのは恐れ多いのでありますが、(笑声)自分は妻が死んでもこの議場から帰らなかつた一員であります。ほかの代議士のように選挙に望むところあつて、何かためにやる代議士とは違います。(笑声)笑つてはいかぬ。笑うやつは出て行け——私はそういう意味で、吉田総理は、もしそういう不快な点があるならば、なぜ養生して、侍医を連れてでもこういうところに出席されないかということを言いたいのであります。私は日本国民の師表に立つところの衆議院議員なるがゆえに、こういう機会にもう一ぺんお願いしておきたいのは、わが自由党のみは碁、将棋、麻雀等をやめさせたのは、この高橋權六であります。他の党派においては麻雀、将棋、碁をやつておる議員がたくさんあるではありませんか、そういう連中が、ただ質問するときには党を代表して熱弁を振えば、遠記録あるいは放送によつて世間に知られてよいことになるかもしれないが、この高橋權六の眼の黒いうちからにらむときには、確かに不謹慎きわまる衆議院議員なきにしもあらずであります。私はそういう意味から、委員長は今でもよいから、特別電報を打つてでも、総理大臣出席をしていただいて、ほんとうに外務省関係の説明を聞きたい。ただ毎日々々矢面に立つておる草葉政務次官に対しては私は同情します。どうかよければ総理大臣をただちに出席させて、ほんとうに顔でも見せてやつたら、どれだけこの留守家族の入が喜ぶでしようか。これはそういう意味における熱心なるところの叫びであります。どうかそういうことにおいて、外務省関係並びに委員長におかれても御答弁を願います。私はこういうことを委員長言つては申訳ありませんが、毎日委員長が私らのために、未帰還者のために尽していただいておることは十分に知つております。私は意気と熱の男であります。これは私の日本国民になりかわつてのお願いであります。そしてこの笑つた連中は退場させてください。
  51. 若林義孝

    若林委員長 高橋委員の御好意、御注意に対しては万全の措置を講ずることにいたします。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 私が先ほどから議事進行発言を求めていたのは、実は先ほど野党の諸君といろいろ相談をしたことが、野党の各委員から委員長に要望があつたのでありますが、結論がはつきりと出ていなかつたから、その結論を明確にするために委員長発言を求めていたのであります。それは先ほどの各野党の委員委員長に講ずる要望並びにただいま高橋委員の熱誠あふれる外務大臣出席の要望、これらの意見を総合しますと、こういうことになるのであります。  まず委員長がこの次には首相外務大臣と必ずみずから会つていただくこと、それから必ず出席の確約をとつてもらうこと、総理外務大臣出席できる日に本委員会再開してもらうことの三つが結論であります。この確約を委員長がわれわれ委員に与えて、これを条件として本日の審議に入るということになつていたのであります。それに対する委員長の返答は、最大努力をするという程度でありますが、われわれは国会法により当然国務大臣出席要求することができるのであります。何一かの口実を設けて首相外務大臣が本委員会出席をしないということは、首相みずからが日本の国の国会法を蹂躪しておることである。かかる首相態度をもつてして国連に捕虜問題の調査について書簡を送るということは、おこがましいこともはなはだしいということになるのであります。従つてわれわれは、まず主相みずからがみずからの国の国会法を守つてもらうことを要求せざるを得ないのであります。そういう意味で、委員長自由党の党内においては総裁であり、党員という関係になるかもしれませんけれども、一委員会委員長となれば、国会の体面と名誉をかけての地位にあるのであります。そして吉田総理外務大臣に対しては国務大臣に対する請求権を委員長は持つているのであります。もしわれわれ委員のかかる熱望を委員長みずからが党内の関係によつてこれを実現することができないとするならば、われわれはこの国会の本来の使命を果すことができないのであります。従つて私はもう一度委員長に要望をしたいのでありますが、必ず今月中に首相会つてもらう。首相出席のできる日を確約をとつていただいて、その日に本委員会を再会することのできるように、とりはからつていただけるかどうか。それをまず御返事を願いたいと思うのであります。それから私の質疑に入りたいと思うのであります。まず委員長にこの熱望をいたすのであります。
  53. 若林義孝

    若林委員長 先ほど私から申し上げましたのは、いろいろ具体的の、今林委員から発言があつたようなことが羅列されております。それらを含めた最大努力と申し上げたのでありまして、ただ繰返さなかつただけのことでありますから、御了承願いたい。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 委員長が非常に人のいい方であることはわれわれよくわかるのですが、最大努力がくせものでして、いつでも最大努力で肩すかしを食わされておるわけである。新聞の報ずるところによると、吉田首相箱根かどこかの三井の別邸で、非常に快適の生活をして気に入つておるということが出ていて、病気で寝ておるという情報はわれわれ一つも聞いておらないのであります。どうしても出席できないはずはないのであります。ひとつは、委員長はやはり遠慮されておるのではないかと思うのでありますが、そんなことで委員長の職責を果すことはできないのでありまして、また自由党の民主化のためにも、これはぜひ委員長行つて、みずから首相会つて、われわれ委員会の熱望を、茶坊主連中を排除して、直接首相にあなたから進言してもらつて、それからこの委員会出席してもらう確約をとつて、それから委員会を開いてもらいたい。ですから最大努力でなくて、この次の委員会は、必ず首相出席できる日に委員会を開くという確約をぜひ与えてもらいたいと思いますが、この点いかがですか。
  55. 若林義孝

    若林委員長 そういうことを含めて最大努力といつておるのでありますから、御了承願いたいと思います。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 最大努力では御了承できないのでありまして、要するに首相出席のできるときに委員会を開いてもらえればいいわけですから、そういうふうにとりはからうということはできないんでしようか。
  57. 若林義孝

    若林委員長 ですからそれを含めて、あなたのおつしやることを全部包合しておるわけであります。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 それではこの次の委員会には、首相出席するという期待を持つていいわけですか。
  59. 若林義孝

    若林委員長 そうです。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 もしこの次に首相出席しなかつた場合には、委員長はいかなる責任をおとりになるのですか。しつこいようですが、言い出した以上いいかげんにひつ込めるわけに行かない。
  61. 若林義孝

    若林委員長 各委員の御要望が、外務大臣出席を求めるのでなければ開かないという御決意があるようでありますし、私は極力外務大臣出席した委員会を開くべく努力いたしたいと思いますが、その際外務大臣出席なければ、出席があるまで努力を続けて行きたいと存じます。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 では私はこれで質問を留保しておきます。
  63. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいまの問題は非常に重要な問題でありまして、全県のわれわれの同胞が大会を開いて外務大臣面会に行つたが、それすらも断られた。こうなると国民の声を総理大臣に伝える手段は、国民代表たるわれわれが直接国会においてやるよりほかしかたがない。ですからわれわれの言うことは決して不当な要求でもない。国民代表としての責任を当然来しておるだけにすぎない。ところがこれからの手続を見ると、八月十三日には最終草案がきまるという段階です。どうしてもそれより一週間や十日前に開いておかなければならない。国会はどうなるかというと、八月の初旬に開かれるらしい。そうなるとどうしても私は、七月中に外務大臣を一回この委員会に招致して、外務大臣の決心を聞く必要があると思う。委員長は万全の努力を払われると言われましたが、われわれも同感であります。そこで具体的に、ともかく七月中に外務大臣を必ずこの委員会に呼んで、外務大臣の所信をただす、こういうことを約束してくれますか。約束してくれれば委員会を続行しましよう。とにかく七月一ぱい、三十一日までにそれを必ず実現する、それを約束してもらいたいのです。委員長答弁をお願いいたします。それによつてたち一同はこの委員会を継続するかどうかということをきめます。
  64. 若林義孝

    若林委員長 本日の外務大臣の御出席は、健康上の問題にかかつております。本日の委員会の様子も、そのまま速記録によつて外務大臣に表明することができると思いますので、その意味におきまして、できるだけ早く外務大臣出席の本委員会が開催できますよう努力をいたしたいと思います。
  65. 中曽根康弘

    中曽根委員 できるだけ早くというのではわれわれは納得しない。ただいま申し上げましたように、八月十三日には最終草案がきまるのだ。そういう日程を考えてみると、これからいろいろ手を打つてもらわなければならぬ。外務大臣には、あるいは特使を派遣して、ダレスに会わせてもらう手を打つてもらうかもしれぬ。ともかくそういう手続考えると、七月いつぱいまでにその決意を披瀝してもらわなければならぬと思うのです。そこでできるだけ早くという意味を、七月いつぱいというふうに委員長は言明なさるならば、われわれはこの委員会を続行いたします。いかがですか。できるだけ早くとか、すみやかにとかいうあいまいな言葉では、われわれは済まされない。全国から来た遺家族の皆さんにも済まない。どうか委員長誠意を披瀝していただきたい。あなたも一生懸命やつておられるのはわかります。わかりますけれども、それが七月いつぱいにできるかできないかということによつて誠意の度合いにもなる。あなたがほんとうにきのう遺家族の前で、自分が体を張つてやると言われたほどならば、私は必ず七月一ぱいにできると思う。できないことはあり得ない。これだけの大問題を日本全国は抱えている。新聞を読んでごらんなさい。きようの朝日新聞の論説を読んでみても、こういうことが書いてあるじやないか。「捕虜条項講和条約に織り込んでもらいたいという留守家族の切実な要求は、絶対に取上げるべき題目でなければなるまい。生存者の存在を確認しつつ、講和後において、それがいかなる方法で何時還えされるかという見通しもなく、また現在ポツダム宣言にはまだ生きている手がかりすらが講和とともに消えうせるということは、大きな矛盾であり、失態である。政府はこの問題にいたし、早急に責任ある言明を行つてしかるべきである。」これがジヤーナリズムの与論である。これは全国民の与論です。この与論にこたえるためにも、外務大臣はこの委員会に出て、国民代表たるわれわれに対して言明してしかるべきものなんであります。時間の問題がある。だからどうしても七月一ぱいにこの与論にこたえるような答弁をしていただきたい。問題は七月一ぱいにやるかやらないかという問題です。委員長答弁要求いたします。
  66. 若林義孝

    若林委員長 要は総理の健康にかかつておる問題であります。ここに私がただ単なる皆様を喜ばすための要請合いをすべきものではないと思うのでありまして、最大努力——先ほど来各委員から種々具体的に委員長の行動に対しての要望があつたわけでありますから、そのあらゆる方法を尽して行くべきだ、こう申し上げるのであります。
  67. 中曽根康弘

    中曽根委員 委員長のいろいろな配慮はよくわかります。しかしこの問題の重要性ということも委員長は万々承知である。しかし今の委員長のお言葉を私は承ると、吉田総理大臣がこわいのじやないか。党員として、そういうえらい人はなかなか言うことを聞かないから、自分はなかなか請合えない、そういう危惧を私は感ぜざるを得ない。しかしそういう気持は捨ててもらいたい。あなたのようなりつぱな人がほんとうに打ち込んでやれば、これはできます。当然やらなくちやならぬ問題です。私の申し上げていることは、自由党の諸君もまつたく同感だと私は思うのです。私は今まで予算委員会に出ておつて総理大臣要求したことがもう何回もある。しかしそのときに、たとえば植原悦二郎氏にしても、あるいは小坂善太郎君にしても、必ず自分で飛んで行つて、もし自分たちかけで解決できなければ、側近の方にも手をまわして、総理のきげんを直して、あるいは誘導してここにつれて来るという努力をしておる。それはわれわれが見ておつて、茶坊主らしいという気がしたけれども、それだけの努力というものは委員長としての責任を果しておることだということで、私は感謝しておつた。それくらいの努力引揚げ委員長たるあなたもやつてしかるべきである。あなた一人でできなければ、党の全幹部を動かしなさい。党の全幹部を動せなければ、娘さんでもお婿さんでも動かして、ともかくこの委員会に七月一ぱいに連れて来る、これだけの努力を示してもらいたいと思う問題は早くとか、すみやかにとか、万全とか、そういう言葉じやない。ともかく七月一ぱいにここに顔を出させるか出させないか、責任ある言明をやらせるかやらせないか、そこにある。この問題に対する委員長決意を伺いたい。私は全国の遺家族にかわつてここにお願いいたします。
  68. 小林信一

    小林(信)委員 私はそのことについて、重大な問題をつけ加えて、委員長にひとつ反省していただきたいのです。実はここに外務次官がおられますからはつきり申し上げますが、外務次官はきのう留守家族大会に出られまして、あらゆる会合をなげうつて、四時間余にわたつていろいろと所信を申されておつたのですが、その過程におきましては、留守家族の御意見等を了解するような言葉であつた。ところが最後に何と言つたか。この言葉はありいは次官としては当然であつたかもしれませんけれども、私は次官の意中というものがどこにあるかということら一応考えてみた。これはもし次官として御意見があるならば、この際お聞きしたいのですが、留守家族の皆さんに対して、皆さんの要望することは私は至当だと考えるけれども、しかしそれが実現しない場合に、講和条約に対して反対をするようなことがありますと、これは非常に問題ですよ、かえつて皆さんにとつては不利ですよというようなことを言つております。不利であることがあるかもしれませんけれども、外務次官たるものが、しかも草案が発表されて、国民がこの草案に対してまだいろいろと検討中であるにもかかわらず、外務次官という地位にありながらそういうふうなことを軽々に言うことは、私に言わしめればひとつの恐喝である。これに対してもし反対するようなことがあつたら、かえつてあなたたちに対して不利だというようなことで、その心中を察するよりも、これをいかにして食いとめるかというふうな態度にしか私には考えられなかつたのであります。もし外務次官として御意見があるならば、関連してここで答弁を受けてもよいのですが、そういうような態度が外務省にありとするならば、いよいよもつて委員長としては、はつきりとした国民的な態度を持していただかなければならぬのであります。委員長としては、どうしても捕虜条項を草案の中に挿入してもらわなければならぬということを常に発表しておられ、そういう意中でおられる。いかにしてこの委員会を結集してそういう段階に持ち込むかということで御苦労なさつておる。総理がただ単に怠慢であるばかりでなく、外務省当局においても、草葉政務次官がきのうそうしたような言葉で、あなた方がこういうふうな意見をあまり強力にあれに持ち込むと、あなたたちに不利だというようなことすら言つておるので、私はその点非常に遺憾であります。でありますから、党の立場というものを一擲されまして、若林個人としてこの問題は相当がんばつてもらわなければならないと思う。ただいま中曽根委員質問外務次官に向けられた場合に、何らおとといの答弁以外に発展しておらない。かえつて消極的な面がうかがわれるというふうに発表されたのですが、私も同感であります。こういう事態に対しまして大きな決意を私はお願いしたい。もしできますならば、外務次官からそのときの意中を私はお伺いしたいのであります。
  69. 受田新吉

    受田委員 今小林委員から発言をされたことと関連をするのですが、委員長が非常な努力をされていることは私もよく認めます。同時に私はこの際、外務大臣を政務的に補佐する最高責任者である草葉先生が、外務大臣といかに連絡しているかということを伺いたい。最近外務大臣にいつ会われ、その健康状況がどうであつたか。そうして最初私ちよつとお尋ねしたのですが、昨日以来本日の会議出席するということに対して、外務大臣といかなる連絡をしておられるか。電話でもよいし、何か他の方法をもつて連絡をしているか、いかに指示を受けているかという点も伺いたいのですが、私は全国の留守家族がこのように一日も二日も長くとまつて自分の金まで出して悲痛な叫びで東京に集まつている、その代表面会を申し込んでも、成規手続でないと言つてあつさり拒否された。その吉田さんのあまりにも冷淡な気持ほんとうに遺憾の意を表するとともに、吉田さんがちよつとここへ出て、留守家族の皆さん、私はあなた方とともにしかばねをさらして皆さんのためにやりますよ、最後まで努力いたしますから一緒に立ち上りましようというお話を一言してくださつたならば、全国の留守家族人たちは、それほどまでわれわれと手をとるためにやつてくれるならばといつて、必ずその実を結ぶ——よし結び方が十全でなくても、あきらめ切れるのです。この点吉田さんの動き一つ留守家族に安心も与え憂いも与えることができる。この重大な段階に、この委員会があげて国会法の七十一条の発動までしているのに、この要望を無視して吉田さんが出席されないということに対して、政務的に補佐される最高責任者である草葉さん、外務大臣に密接に結びついている側近の一人であるあなたにもつともつと努力していただいて、留守家族状況はこうだ、悲痛な叫びはこうだと常に密接な連絡をとるとともに、ほかの取巻連中を押しのけて、どうしてあなたは直接の責任者としてやつていただけなかつたのであるか、しかも委員長が非常に重大な責任を負うて外務大臣に会いに行きますが、その際に外務省の最高級官僚としての草葉さんは、いかなる態度をもつてこの委員長の行動に協力せられるか。今やこの問題の最終段階にあたつて草葉外務政務次官の御意向を伺いたいのであります。
  70. 草葉隆圓

    草葉説明員 先ほどの高橋委員からのお話にも関連して、ただいま受田委員から熱烈な御意見並びに御質問をいただきました。平素引揚問題につきましては、実は事務的にもあるいは政策的にも直接総理が、場合によりましては自分で筆をとつて手紙など書くということくらいに、まことに熱烈にやつております。この点はどうぞ御了承をいただきたい。あるいはこれに関連しました在外資産等の問題につきましても、国会のいろいろな意見のありますときにも、その日にみずから外務省に参りましてわれわれを呼び、一々自分で指示をしながら、各省との十分な連絡を強く命令しておるというような状態で進んで来ております。引揚げの問題も同様でございます。従いまして、従来私が皆さんの意見を十分に伝えた点も——あるいは不十分かもしれませんが、昨日の模様等につきましては十分連絡をいたしまして、全国引揚者の熱望、熱情等は連絡をして参つておるのであります。ただいまはまた委員長に対しまして、いろいろと委員会のすみやかな開会につきましてのお話等がありましたが、これらに対しましても、私といたしましては十分本委員会の意思のありまするところは、あるいは一緒に、あるいはその他随時十分皆様の御意見を伝えておきたいと思います。
  71. 堤ツルヨ

    堤委員 それでは草葉政務次官にもう一言関連してお尋ねいたします。あなたは密接な連絡をとつておいでになつておるようでありますが、たとえばきのう上島さん以下六人の各府県の代表を網羅して参りましたときに、前もつて成規手続をとつて来なければ会わぬというような吉田さんだとすれば、それはあなたが横から介添えしてやらなければならぬというところまできのう気を使つていただいたならば、私は留守家族が汗をかきかき電車で箱根まで行つて、むだに帰つて来なければならなかつたということはなかつたと思うのです。このきのう面会が不可能であつたということに対して、政務次官はどういうふうにお考えになつておるか、またおとりになつた経過をひとつ説明願いたい。
  72. 草葉隆圓

    草葉説明員 私は昨日も予定を全部やめまして、最後まで——最後ではありませんが、長らくいろいろな意見を熱心に聞いて参つたのであります。その前も全国大会の皆さんたち意見を十分聞くように、くれぐれも言われております。それでほかの問題は捨てておつたのであります。しかし昨日私が着きましたときは、実は時間がちよつと過ぎておりまして、そのときには代表がお出ましになつていたようでございます。私が出ましてから、その話を議長から報告になつておりましたので、代表のお出ましと私とは何ら連絡がなかつたのは、はなはだ遺憾に存じておつた次第でございます。
  73. 堤ツルヨ

    堤委員 私がこういうことを御質問申し上げるのは、何としても条約の草案の中に条項を入れてもらわなければなりません。でありますから、あらゆる手を留守家族としては尽すと思いますが、その際にああいうことをたびたび繰返されておつたのでは、まことに御同情にたえない。でありますから、よく事情を目のあたりに見て御存じ草葉次官は、今後そういうあつせんの労をおとり願わなければならぬと思う。たとえば鶴見の総特寺に行つたときには、代表が出たということを聞いた。それなら警察電話でも何でも使つて首相に伝えておけば会うだろうという御親切心があつてしかるべきではないかと思いますが、きのうはあなたの出席と、それから御出発の時間が食い違つて、あなたに連絡がなくて残念だという気持を漏らされておるのでありますから、今後は誠意を持つてつていただけると思います。密接な関係を持つておられる一番お近いあなたが、ああいうふうにきのう代表会つてもらえなくて、希望が断たれて帰つて来るということになりますと、国民の不満を買いますから、今後はそういうむずかしいところは、全部あなたが事務的に早く片づけて会わせるように、またあらゆる関所を通させていただくようにお願いいたしておきたいと思います。きのうは御存じなかつたら了承いたしますが、今後のためひとつよろしくお願いいたします。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 この問題は大体委員長委員会の空気はおわかりだろうと思うのです。なぜわれわれがこういう要望を重ね重め外務次官並びに委員長に申し上げるかというと、先ほど中曽根委員からも、新聞がこぞつてこの問題の重要性をあげておる。その一例を朝日新聞の社説をあげて説明されたのであります。そのほか私たちの直観するところによりますと、明らかにこれはソの発表に対する日本政府の、少くとも吉田総理の一種の挑戦的な書簡とも、われわれから見れば考えるのであります。(「ノーノー」)そうなると、この問題は明らかに全面講和を犠牲にしての、腹をきめての書簡を国連に出したのではないかとすら、われわれには推測されて来るのであります。そうすると、この引揚げ問題は単に引揚者の問題というのみではなくして、日本の講和の問題、日本の国と民族の将来の運命を決定する非常に重要な問題になつている、要するに、もう単なる数字の問題ということでなくして、政治的な問題、それも外交に及ぼす——九月四日の講和に影響する重大な政治問題に関係しておる。われわれ国会議員としては、その職責上どうしても講和前に、この問題についてのわれわれの意見政府に反映させなければならぬという熱意から出ておるのであります。その意味をよく委員長了解されまして、ぜひ日本の国と民族の運命を決定する重大な問題だというこの重要性を十分御理解の上、ひとつこの吉田総理外相出席問題を取上げていただきたいと要望するものであります。この問題につきましては、ここでいくら論議を重ねていても切りがありませんから、理事の皆さんに御一任して、私は、昨日の夕刊から本日の朝刊に出ておる引揚げの問題について、五、六点お聞きしたいと思うのであります、なお重要な問題については、総理出席したとき、各同僚委員からの御質問もあると思いますから、私は簡単に数字の問題等についてお聞きしてみたいと思うのであります。(「休憩後にしろ」と呼び、その他発言する者あり)それでは私から重ねて要望しますが、今各委員からも要望があります。今後の内容に関する審議に入る前に、この七月中にそういうようなおとりはからいができるかどうかということに対する各委員の熱烈なる要望があるのでありますが、この点について委員長の回答を重ねて聞きたいと思います。
  75. 若林義孝

    若林委員長 暫時休憩をいたします。     午後三時五十七分休憩      ————◇—————     午後四時二十四分開議
  76. 若林義孝

    若林委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  吉田外務大臣出席につきましては、委員長から本日の委員会における各委員の要望及び留守家族大会の様子をよく伝えまして、今月中に必ず総理出席を得て委員会を開き得るようとりはからいたいと存じますから、さよう御了承を願いたいと存じます。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 われわれ委員の要望をいれられまして、委員長決意を聞くことができ非常に欣快にたえないりでございます。どうか委員長責任を持つてそれを実現していただくことを重ねて要望して、私のその問題に関する質疑は終りたいと思うのであります。  なお他の質疑でありますが、私は他の質疑については、またいずれ総理出席するときがあると思いますから、その機会に責任のある回答を受けることにして、具体的な引揚げ内容の問題については本日は打切りたいと思います。ただあと二点だけ委員長に対する要望もかねて質疑をしたいと思うのであります。  第一点は、本日も家族の代表総理のところへ面会を求めに行つておるのであります。それについては、草葉次官は常日ごろ総理と綿密な連絡をとつているという先ほどの御報告でありますが、本日の家族代表総理会つておられるかどうか、またそれについて次官はいかなるあつせんと努力をされたか、その模様を本委員会に報告していただきたいと思うのであります。  それから第二点は、これは委員長に対する要望でありますが、家族の皆さんの方から、本委員会とぜひ懇談の機会を持つていただいて、家族の衷情を訴えたいという熱望があるのであります。どういう形でもけつこうですが、本日委員長からなおとりはからいを願いたい。この二つを要望と質問をかねて申し上げて、私の質疑を終りたいと思います。
  78. 草葉隆圓

    草葉説明員 ただいまの林委員の御質問に対しましてお答え申し上げます。実は本日も総理に御面会おいでなつたということは、私は承知をいたしておりませんで、こちらへ参りましてから承知をいたしましたので、ただちに電話で連絡をいたしております。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 実は家族の皆さんとしては、昨日総理のところへ乏しい金を出し合つてわざわざ面会行つて面会できなかつた。このことは次官は御存じだと思います。本日また出かけておることは、昨日の大会でたしか次官は御存じのはずだと思います。もしこの問題で誠意があるならば、次官としては当然あつせんもし、また本日の総理の都合も家族の諸君に連絡がとれておるはずであります。先ほど堤委員への回答によりますと、密接な連絡をとつている、今後も面会できるようあつせんをすると先ほど言われておるのであります。ところが現実には本日行つておるのであります。これに対する情報を次官が全然持つていないということは、次官がこの問題について非常に不誠意きわまるものだと私は言わざるを得ないのであります。ただちにその模様の報告と、それから家族の人たちの要望にこたえるように、その情報をとつて、のちほどでもけつこうですが、ここで発表するような努力をしていただきたいと思うのであります。
  80. 庄司一郎

    ○庄司委員 この際私から提案をいたしたいと存じます。すなわち、ポツダム宣言及び今度発表されました講和条約草案との関連から、講和条約草案中にぜひこの引揚げ問題に関する条項を挿入していただけるよう、関係方面並びに内閣に対し本委員会から要望をいたしたいと存じます、その具体的な方法等につきましては、委員長及び理事諸君に御一任したいと思います。これを提議いたしますから、委員長におかれてはしかるべく適当なおとりはからいをお願い申し上げます。  以上動議を提出いたします。
  81. 若林義孝

    若林委員長 ただいまの序司君の御提議に対し御意見はありませんか。
  82. 小林信一

    小林(信)委員 ただいまの庄司委員の御意見に対しまして、私たち全面的に賛成するものであります。しかし少し私たち意見をつけ加えさせていただきまして、なおこれを留守家族方たちの要望するところに十分沿い得られるようにして行きたいと思うのでございます。庄司委員のおつしやられた対日講和条約に対しまして捕虜条項を挿入することにつきましては、これは非常な努力を要すると私は考えるのであります。現在の政府態度といい、また将来講和会議におきまして論議される場合を想像いたしますときに、相当事前において工作を講じなければ、目的を達することはむずかしいという点からいたしまして、この方法等はただいま理事委員長に御一任というような御意見がありましたがこれは私賛成であります。賛成でありますが、私たち考えておる意見といたしまして、政府はもしできるならば、この際特使を派遣してでもこれを要請する、ダレスのところに特別な使いをつかわしてでも国民の意思を反映させるようなところまで努力をしていただきたい。あるいは親書をつかわすなり、あるいはそれが不可能であるならば、リツジウエイ大将に対しまして要請するなり、あらゆる努力を講じていただきたい、そこまでせんじ詰めたものを私たちが持つておることを御考慮に入れていただいて、理事あるいは委員長にお願いするものであります。またわれわれ委員会といたしましても、委員会として行動することができるならば、委員会の総意として同じような方法がとらるべきである、政府に単に要請して終るのでなくして、われわれ委員会におきましても、いかなる形によつても同じような方法をこの際講ずることを委員会として決議していただきたい、これを要請するものであります。  さらに第二としてつけ加える問題といたしましては、先ほど来中山委員からも、この際国連の三人委員が来朝されましてわれわれの要望を聞き、これに対する詳細な調査を要望するととは最も必要なことであるということが、意見として出されたのでありますが、この問題もぜひとも政府委員会として要望いたしまして、この実現を期していただきたい。同じように委員会といたしましても、どんな形かによりまして、この三人委員会の来朝を要請することを努力して行きたい、こういうことをつけ加えまして、私たちは庄司委員意見に賛成するものであります。
  83. 若林義孝

  84. 受田新吉

    受田委員 私は庄司委員の提案に対し、かつ小林委員のこれに対する附加的な意見に対しまして、全幅の賛意を表します。同時にこれは当然国会の決議として、国民代表総員の意思表示であるべきものだと思いますが、さしあたり本委員会において、党派を越えてこの問題の解決に御努力を願うという意思をきめることは、これは必要であると思いまするし、さらに国会の決議への発展を期待するものでありますが、一言ここで触れておきたいことは、国会として、この特別委員会として、何らかの形を連合国に対しても表わす道はないか、また各党ともそれぞれの党の立場においてこの要望を伝える道はないか、あらゆる方策を尽すべきことをここにつけ加えまして、われわれの決意をきめることを賛成するものであります。
  85. 若林義孝

    若林委員長 林百郎君。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 わが党も、今庄司委員から提案になりました要望が、家族の皆さんの要望であるということをよく了解して、私たちはかかる意味に解釈して賛成したいと思うのであります。それは、御存じ通りにイタリアとの平和条約におきましても捕虜条項が入つておるのでありまして、これはもちろんソ連も批准の手続をとつておるのであります。問題は、この場合はソ連も入りまして、それから全面講和の形で、四大国が相互の友好的な関係のもとにイタリアと講和をしたためにこの捕虜条項ができ、しかもその捕虜条項が実質的な効果をあげておるのであります。ところがもしソ連と中国を除いた講和でこの条項を入れたところで、それは無意味となるのであります。家族の皆さんが望んでいるのは、決してソ連や中国を敵にまわして反共の条約を結べというのではなくて、ソ連も中共も入れて、みんなが仲よく相談し合つて、ソ連や中国にもし自分の家族がいるとするならば、その人たちとの文通、交通、その人たちの意思、安否を問いたいがために引揚げ問題を問題にしていると思うのであります。そういう意味で、家族の人たちの要望は、要するにソ連、中国を入れて全面的な講和をし、対日戦に参画した全部の国の会議を持つて、円満に全部の国が対日講和を結んで、引揚げ問題についての家族の安否の道を開いてもらいたいという希望であると思うのであります。われわれは家族の皆さんの希望がこういう希望であるという解釈のもとに、この家族の人たちの希望を体して、今の提案をそういう意味にわれわれは解釈して、賛意を表したいと思うのであります。くれぐれも申し上げますが、自由党の諸君からいろいろ反駁が出ておりますが、家族の諸君の真意はあくまでもソ連、中国を敵にまわせということでなくして、もしソ連と日本との間に発表した数字の違いがあるならば、両国がお互いに友好的な条約を結び、会議を持つてそれぞれの誤解を解き、それぞれの実情を知りたいというのが家族の者の真意だと思うのであります。われわれはこういう意味で、あくまでも全面講和と対日戦に参画した各国との会議を持つということを希望している。家族の諸君の真意はここにあるという確信のもとに、この提案に賛意を表するものであります。
  87. 若林義孝

    若林委員長 庄司君の御意見に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 若林義孝

    若林委員長 御異議なしと認めます。なお小休君初め各委員から討論において述べられました貴重なる御意見については、委員長理事が要望をするにあたりまして、それぞれよくその趣旨を尊重してとりはからいたいと思いますから、さよう御承知を願いたいと思います。  この際、酷暑の中にもかかわらず、委員諸君の二日間にわたる御熱心なる御審議をつつしんで感謝するとともに、ここに本委員会の強き決意として表明せられました先ほどの庄司一郎君の動議を通じまして、留守家族百万の方たちの悲願を世界の正しき計を愛する人たちに訴えまして、この悲願が必ず達成し得ますことを心から祈りつつ、閉会のごあいさつといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十八分散会