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1951-05-28 第10回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十八日(月曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長 若林 義孝君    理事 池見 茂隆君 理事 小西 英雄君    理事 玉置 信一君 理事 受田 新吉君       青柳 一郎君    小川 平二君       門脇勝太郎君    菊池 義郎君       佐々木盛雄君    庄司 一郎君       玉置  實君    中山 マサ君       小林 信一君    今野 武雄君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         外務政務次官  草葉 隆圓君  委員外出席者         外務事務官         (管理局借入金         審査室長)   池田千嘉太君         大蔵事務官         (理財局外債課         長)      上田 克郎君     ――――――――――――― 四月六日  委員天野久君は退職者なつた。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会中審査に関する件  在外資産に関する件  在外公館借入金に関する件  海外同胞引揚問題に関する件     ―――――――――――――
  2. 若林義孝

    若林委員長 これより会議を開きます。  まず在外資産に関する件及び在外公館借入金に関する件を議題といたします。  ただいま政府当局より、外務政務次官草葉隆圓君、外務省借入金審査室長池田千嘉太君、大蔵省外債課長上田克郎君が出席されております。玉置信一君。
  3. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は在外公館借入金確認の問題について、外務政務次官にお尋ねいたします。その本論に入る前に、これは私の記憶違いかもしれませんが、たしかこの前もお聞きしたように思つておりますが、確認に関する調査であります。三月三十一日までには大体の見当はつくような政務次官の御答弁をいただいたことがあるように思うのですが、今日どういうような段階に至つておられるか、お伺いいたします。
  4. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ただいまの玉置さんの御質問は、在外公館等借入金確認審査状態がどういうふうになつておるかという御質問の御要旨と承知いたします。御承知のように、在外公館等借入金と思われまする総数が、以前にも申しましたように、約二十一万件でございますが、そのうちでほぼ借入金と予想されまする該当数が十三万八千件という見当をいたしております。これは一応調査いたしました結果、十三万八千件という見当をいたしております。さらに調査を十分にすべきもの、現在の書類だけでは不十分であるから、さらに調査を十分にやらにやならないと思われまするものが約五万八千、また今日まで出て参りましたもので、一応これは該当しないと思われまするものが一万四千件、これが大体今申し上げました二十一万件の内訳になるのでございますが、そこで五月二十五日までに審査をいたしました審査の結果が、借入主体審査をいたしましたのが百件ほどでございます。これで大体全体の九割程度を、主体としての立場からは審査を了したことになりまするが、もう少しまだ残つておるのであります。それから確認請求書審査を終了いたしましたものが、五万二千百九十三件、そうして確認証書を発送いたしましたのが三万八千件ほどでございます。不確認通知書を発送いたしましたものが現在までに一千百二十九件、それで八月ごろまでにさらに確認書の発送が約二万件程度事務的にできるというので、今急いでやつておるような次第でございまして、この点から申しますると、全体といたしましては、まだただいま御質問程度までには進んでおりませんが、審査室におきましては取急いでいたすべきものとしまして、借入金該当と思われまする書類の整備に、現在全力をあげているような次第であります。以上お答えいたします。
  5. 玉置信一

    玉置(信)委員 そこで私はこの確認請求に関する問題でお伺いいたしますが、北海道の室蘭市母恋北町三十一番地、佐藤好夫君からの在外公館借入金確認請求書外務大臣あて提出しておるのであります。これの提出の時期は昭和二十五年三月七日であります。一、借入金提供地は中支の上海、二、借入金提供を受けた在外公館または邦人自治団体客は、上海日僑自治会、三、借入金提供した者の氏名、佐藤好夫であります。次は四、現地提供した借入金通貨種類及びその金額、イ、儲備券一、銀一億九千七百二十三万六千六百七十元、日本金に換数して金五十万円、ロ、一、銀百八十三万一千五百元、金参万円、ハ、一、銀十一万元、金千八百円、五、借入金提供した年月日、イ、昭和二十年八月三十日、ロ、昭和二十年九月四日、ハ、昭和二十年九月一日、六、添付書類の名称、送金小切手預り証、七、証拠書類を添付することができない場合は、これにかわる事情の詳細な説明、金五十万円送金の際大使館の命により七十倍の積立をなす、その金額、銀一億九千四百四十四万五千元、日本金に換算して三千五百万円、八、備考送金小切手預り証在外公館等借入金整理準備審査令法第五条第一項の規定により、右のように借入金確認請求します。こういうことで請求書を出しておるわけでありますが、なおこれの証拠としては、普通送金代金領収証として、横浜正金銀行上海支店から「送金代金下記通り領収仕候」というので載つておるわけであります。これは今日までたびたびお伺いしてお願いをしておるようでありまするが、この決定は今の外務省在外公館等借入金整理準備審査会事務局に行つて陳情したのに対して、当局者のお答えとしては、両院在外胞引揚対策特別委員会――これは対策というのは誤りじやないかと思いますが、法規に基く委員会かもしれません。ここにおいて決定さるべきものだから、さよう承知せいということで、今日まで延び延びになつておるということであります。かような内容を持つ借り金確認請求に対して、政府としてはいかようにお考えになり、この内容を持つ程度のものをどういうように処理して来られましたか、この点を草葉政務次官にお伺いいたしたい。
  6. 草葉隆圓

    草葉政府委員 実は、ただいま佐藤好夫さんの問題を拝承いたしましたが、ちようどこれに類似いたしました問題が、現在約二万件ほど出ておるようでございます。いわゆる調整料付送金小切手の分を借入金の項に取入れるか取入れないかということが一つの根本的な問題のようでございますが、この借入金――ただいま申し上げました在外公館等借入金の中にどうすべきか、一方には現在の法律の上からいうと、ちよつと該当しにくいのじやないかという議論が相当あるようでございます。しかしそれで決定いたしたわけではもちろんございません。審査委員会等におきましても、従つてそういう議論が相当強くございまして、総数においてはおそらく三、四万件くらいは当時あるのではないか――三、四万件と申しますのは、ただ想像にしかすぎませんが、確実に申しますると、請求のありまする二万件余り、そのほかにも幾分あるのじやないかと思われるほど、この調整料付送金小切手というのが相当あるのじやないか、そこでこれを借入金として確認するかどうかという根本問題を決定いたしまして、それから審査というもので、多分今は審査室長はつきりとお名前は承知いたしておりますまいが、このような類似内容が相当今申し上げましたように出ておるようでありますから、従つてこの審査はまだ進んでおらない実情にあるのでございます。この法律による該当と認めて、それから審査という順序になつて参りましようが、今その該当に認めるということにおいても相当難点があるようでございまして、まずそれからきめてかかるという現在の段階なつておりますことを御了承願いたいと思います。多分今お話になりましたことは、受付けてはいるだろうと思います。これは帰りましてよく調査いたしますと、明瞭になると思います。
  7. 玉置信一

    玉置(信)委員 佐藤好夫君のごときは、ほかにもたくさん類似のことがあるそうでありまするが、九州海運局福岡支局保管証までも実は出しておるわけであります。かような明確なものであるので、私はこうした問題を法律のわく内に入るか入らないかということで目下検討されておるということについては、私としても実は異論があるわけであります。法律のきめ方を一体どこを基準としてやつたかということになるわけでありますが、政務次官の御答弁によりますと、法律はつきり明示されていないので、取扱い方に御苦心をされておるようにお伺いするのでありますが、法律をたてにして、この問題を処理するつもりでありますか、もし立法措置が誤つて実態を見たときに看過すべからざるものであるということにお気づきになつたならば、法律をかえてこれに対処するのお考えがあるかないか、これをまず先にお伺いいたします。
  8. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは当然、もし法律が同じ精神のものであつて文面等のために該当困難というようなことになりますると、これはさらにこの法律改正等をいたしまして、当然該当するようにいたさなければならないと存じております。ただこの問題の場合に、事務的に扱つておりまする方面から一応御説明申し上げまして、御了承願つておきたい点もございますので、お聞き取りをお願いいたします。
  9. 池田千嘉太

    池田説明員 今お話調整料付送金小切手というのは、今草葉政務次官からもお話のように、類似のものが相当件数あるのでございますが、ただいまお話になりましたように、九州海運局の預かり証がつけてある。これは、外地におきまして送金小切手のごとき債権を表示する証書類は、全部日本でも持ち帰りは許されないし、向うでも持ち出しを許されなかつたわけでありまして、いずれも持つて帰れないので、現地で領事あるいは総領事がこれを預かりまして、預かり証を出して、それをさらに上陸の際に海運局がこれを預かりまして、さらに預かり証を出しておるわけでありまして、その預かり証があるからどうとか、ないからだめだとかいうことを、今言う段階に来ておりませんで、これはただいま政務次官お話のように、さらにその本質から調査して来ませんとはつきりわからないので、その本質はつきりさせまして、一件々々について確認すべきものとなれば、確認証を出すという段取りになつております。事務上の進行状態は以上の通りであります。
  10. 玉置信一

    玉置(信)委員 これは妙な話をするようになりますが、政務次官におかれても、私ども立場においても、もしこうした境遇のもとにあつて、しかもこれだけの債権を持つておるということがはつきりしておるものならば、私はこういう請求をすることは正当だろうと思う。この点にかんがみまして、私は法律上の問題よりも、海外から難難辛苦をなめて帰られたこの立場を、人間的なヒューマニズムの立場に立つて考えてやることが妥当でないか。できる限り政府はこうした者に対して、法律というかたいものから一応脱却して、現実に実態調査して、できるならばこうしたものに対しての責任において出せるだけのものは出してあげる措置を講ずるのが適当でないかと思うのでありますが、これに対して、重ねて草葉政務次官の御答弁をお願いいたします。なおこの問題につきましては、佐藤好夫という人は私は直接存じておりませんが、その友人である丸山健藏という者が先般来再々私の方へ参りまして、実は佐藤好夫君は、今日の生活状態は非常にからだもそこねて帰つて来ておりますし、一定の職も持たないで、実は家族を引連れて塗炭の苦しみをいたしておる。そしてこの金を最大のたよりとして、毎日政府から下る金を待ち受けておるのであるが、万一これが下らないということがはつきりするならば、これはここの公の席で申し上げてよいかどうかわかりませんが、丸山君の話によると、玉置さん、これは何とかして委員会及び政府に反映させて助けていただかないと、一家心中をやる気配が濃厚なんだ、かような悲壮な訴えをして来ておるわけであります。この現状にかんがみまして、私は政府当局、特に草葉政務次官に、この点に対していかようにお考えなられますか。ひとつ一はだ脱いで、これらの解決に積極的に打開の道を講じていただく熱意があるか、この点についてもお伺いできれば幸いだと存ずるものであります。
  11. 草葉隆圓

    草葉政府委員 まことにごもつともな御質問内容と存じます。ことに調整料付送金小切手と申しましても、いろいろな種類がある。従つて一口にここで申し上げることは困難で、私もどうも最初ちよつとわからないで、だんだんと調べて参りますと少しずつわかつて参つた次第でございますが、一般の借上金と趣の違つておる点も確かにあるものがある。これはあとで室長からひとつ事務的に申し上げることにいたしまして、ただできるだけ、ほんとうに借り上げました金が、たまたまいろいろなこだわりで、もしや確認ができないというようなことになると、これはまことに気の毒である、従つて何とか方法がつきますものは、努めてそれに該当させる、大蔵省もちようど見えておりますが、大体そういう方針で、該当する筋合いのあるものは、努めてこちらからいろいろ指導をいたしましても、それに該当するようにいたして行きたいというので、今審査室も大いにその心持で進んでおります。一般的に、今申し上げます点につきまして、あるいは該当する、該当せぬという議論があると申し上げましたことにつきましても、もう少し事務的な点を一応御説明申し上げたいと思いますが、全体としては今申し上げたような筋で参つておるのでございます。
  12. 玉置信一

    玉置(信)委員 これは大蔵省側にお伺いしようと存じますが、今の評価審議会というものが生れて、評価審査をしておるようでありますが、評価基準並びに評価にかけておりまする件数、その他詳細にわたつて説明を願いたいと思います。
  13. 上田克郎

    上田説明員 御説明申し上げます。在外公館等借入金評価審議会につきましては、御承知のように在外公館等借入金返済準備に関する法律というもので、現在その審議会進行中でございますが、ただいま申されましたような意味で、件数というようなものではやつておりません。御承知のようにこの委員会の目的は、ただいま申し上げました法律に書いてありますように「借入金を表示する現地通貨評価に関する事項」というふうになつておりまして、たとえば儲備券幾ら借りたが、儲備券は円の幾らに相当するか――今の一億九千万円の儲備券というようなものが、日本円でお払いする場合に、幾らお払いすべきかという問題は、この次の国会支払いに関する法律皆様の御決定を得ましてきまる問題でございますが、その前に、円の幾らに相当するかという、いわゆる現地通貨円評価ということをやる委員会でございます。従いまして通貨がそれぞれ異なつておりますと、それぞれの通貨について円との評価をきめるわけでございますから、これを地域別に大きくわけまして、たとえば朝鮮関係朝鮮部会、これは鮮銀券の問題を主として扱います。次は満洲と関東部会、これは主として満洲国幣を扱いますが、御承知のように満洲国幣のほかに東北九省の流通券であるとか、法幣であるとか、あるいは朝鮮銀行券であるとかいうようなもの、さらにはソ連軍票であるとか、そういものがこの部会の取扱います通貨種類になります。地域はさらに大きく三つに現在はわかれておりまして、華北疆部会華中華南部会南方部会、大体それぞれの部会を形成いたしまして、委員八八のうち三人の官庁側、御承知と思いますが、外務省管理局長大蔵省主計局長大蔵省理財局長、そのほかに各部会を主として責任をもつていただく委員がそれぞれ一人ずつで、五人ほどすでに御活躍を願つております。それで委員だけでは、事がきわめて技術的な円評価の問題でございますので、現地に当時おられまして、たとえば金融機関等におられまして、現地通貨事情なりあるいは経済事情なりによく通暁なさつていらつしやると思われます委員の方をそれぞれ各部会ごとに選びまして、約三十人の専門委員の方がございます。これが各部会に、それぞれ地域ごとに、たとえば朝鮮で申し上げますと、京城からお一人、これは御承知通り京城大学の教授でありました鈴木武雄氏、あるいは平壌から当時の朝鮮銀行支店支配人であつた和田氏、それから新義州から島津氏、これも朝鮮銀行新義州支店支配人でございました。そういう方を選びまして、現在進行中でございます。他の地域を申し上げますと、たとえば満洲関東部会では瀋陽、長春、大連からそれぞれその地にお詳しい方を選びました。原則として銀行支店の方を選んでおります。それから華北疆部会では、北京、天津、済南で三人を選んでおります。華中華南部会では上海、広東でそれぞれの方をお願いしておりますし、南方部会ではバンコック、ラングーン、シンガポール、ジヤワ、スマトラ、そういうような地域経済事情通暁なさつていらつしやいます方をお願いして、現在審議を続けております。それで総括部会といたしまして、それぞれ外務省大蔵省、その他現地事情にお詳しい方、たとえば当時北支におられました三井武夫氏とか、当時満洲におられました清島氏という方を総括部会専門員にお願いして、現在審議を進めておる次第でございます。  審議状況を申し上げますと、いわゆる正式の審議会といたしましては、すでに三回ほど開催いたしました。次の第四回は六月の上旬を予定しております。部会といたしまして、最も多く開きました部会朝鮮の四回、その他の満洲、華北華中につきましては、まだ一回の開催でございますが、満洲、華北につきましては、本月末の明日第二回目を開くことになつております。南方についてはすでに二回開きました。  われわれ事務当局といたしましての予定は、なるべく早く評価基準を御答申願いまして、一番かんじんな支払いに関する法律草案を作成いたしたいと存じております。従つて現在の予定では、審議会の切上げを大体六月一ぱいに切り上げていただくように、お忙しい各委員方にお願いいたしまして、頻繁な会合を開く予定にいたしております。従つて審議会の結果でございます大蔵大臣に対する円評価の答申は、六月一ぱいには一応の草案ができることになろう、そういうような見通しでございます。以上お答え申し上げます。
  14. 玉置信一

    玉置(信)委員 これはもちろん外務省側整理準備会確認証決定に基き、大蔵省から金は交付されることになるでありましようが、支払い法案が通過しないと、これまた実施に移らないことは当然であろうと思います。この支払い法律を来議会と承つたように記憶しますが、来議会と申しましても、いつごろの議会予定しておるのか、この点をお伺いいたします。
  15. 上田克郎

    上田説明員 法律では次の国会なつておりますので、臨時国会が開かれますれば、もちろん臨時国会でございます。
  16. 玉置信一

    玉置(信)委員 もちろんこれは現金支払いをするということになるでありましようね。
  17. 上田克郎

    上田説明員 現金で支払うかどうか、支払い方法につきましては、法律の第二条で、返済方法は次の国会できめていただくということになつておりますので、事務当局といたしましてはそうあつてほしいと思いますが、どうなりますか、法律できまる問題と存じます。
  18. 玉置信一

    玉置(信)委員 もちろん法律国会できめるわけでございますが、しかし政府提出法案の形で国会に出されるということになると、原案を作成するのはおそらく事務当局でありましようから、事務当局考え方は、今の望ましいでなくて、はつきりどうするようにしたいという基本的なお考えがあるように思われるのです。この点を明確にしていただきたいと思います。
  19. 上田克郎

    上田説明員 御承知のように、予算の問題になりますと、在外公館のことを担当しております課長といたしましては、これはこうだとは申し上げられません。全般的に閣議できめていただく以外にないと存じておりますが、当事者といたしましては、いろいろ皆さんのお苦しみのことを聞くにつけましても、できるだけ皆様実情に沿うようにということを念願いたしております。
  20. 小西英雄

    小西(英)委員 この際政府在外資産に対する見解をただしておきたいと思うのであります。  私有財産に対しては、従来まで国際法において不可侵の原則のもとに尊重されて来たのでありますが、第一次世界大戦の際に、英国人私有財産をもつて国家賠償あるいは戦勝国民の諸請求権に充当するという新しい考え方が起つて参りまして、当時各国の国際法の学者やあるいは政治家間に大きな論議がなされ、結局ヴェルサイユ条約の第二百九十七条中に、在外資産を喪失した個人及び会社に対してはドイツ政府自身補償すべしというふうな義務を規定し、私有財産尊重原則を貫いております。しかるにさきにUP通信が伝えた対日講和条約草案によると、補償の項目が見当らず、引揚者はもちろん、一般日本国民に多大な不安を抱かせておる。この件について官房長官あるいは外務大臣から承りたいのでありますが、お見えではないので、次の二、三点を草葉政務次官から聞いておきたいと思います。  在外資産連合国によつて保有清算せられた場合に、これに関する個人法人の損失に対して、日本政府補償すべき旨の条項を入れるべきであると思うのでありますが、この点について答弁をお願いしたいのであります。もう一点は、対日講和条約草案中に右の補償規定がないとすれば、政府連合国側に挿入を要請する考えを持つておるかどうか、これが第二点であります。第三点は、講和条約政府在外資産に対する国家補償を実施する意思を持つておるかどうか。まずこの三点について外務当局の意見をお尋ねしたいと思います。
  21. 草葉隆圓

    草葉政府委員 在外資産、ことに個人の所有になつておりました従前の在外資産講和後の処置という問題につきましては、直接関係なさつておる方方が多数ありますので、この問題は、講和の上におきましても大きな問題として御関心をお払いになつておると存じます。従来とも国会におきましては、この問題について再三御質疑があつたのでありまして、ことに外務委員会等におきましては数回あつたのでございます。講和内容等につきまして、現在これらの問題についての動きはまことに微妙な関係を持つて来ると存じます。ただいまお話になりましたような点につきましては、私ども引揚げていらつしやつた方、ことに在外資産をお持ちになつておる方々のお立場と御心中は十分察知いたします。従来からそれらの強い御要望があり、お立場等も察しまして政府としてはこれに即応する方針をとつて参りつつある次第でありますが、ここで国家補償の問題その他につきまして、はつきりと講和の前にあります際に申し上げることは、まことに妥当を欠くのではないかということで、実は従来ともそういうお答えをいたして参つたのであります。この点どうぞ御了承願います。これらの関係方々の御心中あるいは国民の御要望等十分尊重をいたしまして、これらに対する政府としての最も、適当な方法をとるように進めたいということをもつて御了承を賜わりたいと思います。
  22. 小西英雄

    小西(英)委員 いつの質問にいたしましても、大体今政務次官の述べられたように具体的に何も出て来ない。講和条約草案が正式に発表になつたわけじやないので、われわれ引揚者全国の同志はまつたく政府を信頼しておつたのでありますが、いろいろUP通信等の片鱗をうかがいますと、在外資産なるものがはつきりと賠償の対象には認められたが、国内に政府がこれを補償する何らの条項も入つていないということから、在外資産の問題、さらに領土問題等については非常に全国各地にいろいろな話が持ち上つ来て、国民がまことに不安にかられている。答弁をするたびに、これはきわめて重大なときである、あるいは総理等答弁にも、講和締結後には何とかなるというような答弁をいたしておりましたが、順次詰め寄つて参りますと、大体輪廓がわかつて来て、個人財産といわずあるいは法人財産といわず、それらのものが没収される。没収されるが、はたしてそれに対して政府は何。パーセントとか補償はつきりとする条項がどの点にも出て来ないので、われわれ議員連盟の一員としてでもこの際ダレス特使に会うて、在外資産の問題、またそれに密接な関係のある領土問題等についても一応ただしておきたいという関係から面談を申し込んだのでありますが、非常に時間の都合で会えなかつたのであります。私たちは日本国民の一員として、も少しはつきりと在外資産、特に法人個人財産についてはこれをはつきりと、戦勝国の賠償の一部に充てるが、これはそのままには政府はしておかない、国力に応じた補償を十分するという政府答弁を聞きたいのであります。本日は外務大臣並びに官房長官も来ていないので、こういうことを尋ねるのはどうかと思いますが、とにかくいろいろ草案が有形無形に世界に伝わり、現在の日本立場から言いますならば、ポツダム宣言に規定されていない、たとえば沖縄とか小笠原諸島等ははつきりこの際堂々と連合国要望して、これは土地の住民の意思にもよるものであるから、ぜひこの領土並びにそれらの資産はつきりしてもらいたいということを、特に要望いたします。  それからもう一つは、この間外務事務次官だつたと思いますが、ロシヤが講和に参加しなかつた場合には、千島と樺太は依然日本のものであるような見解を述べておりましたが、また中国並びに中共が日本との講和に参加しないような新聞報道が出ておりますが、もししなかつた場合に、台湾も同様の立場に置かれて、依然日本の領土であるというようなことに解せるのですが、そういう点について、もし見解がわかつておりましたら御答弁を願いたい。
  23. 草葉隆圓

    草葉政府委員 在外資産の問題につきましては、お話の点十分含みまして、国民の戦争に対する公平な負担、戦後のあり方というものを進めて行かなければならないと政府考えながら、現在進んでおります。この点十分御希望の点は了承いたします。  次に樺太、千島の問題が、もしやソ連が講和条約に参加しなかつたならば、日本領土としての主権が残るのではないかという意味を他の者が答弁したというお話は、実は外務委員会におきまして、四月の初めにアメリカから入りました、UPのヘンスレー記者のいわゆる講和条約草案なるものの内容についての質問がありました際に、局長から答弁いたしましたものであります。くれぐれもそのときに御了承を願つてつたのでございますが、しかしこのヘンスレー記者の打つたUPの電報は、確認すべき電報とはこれに対して理解することができないので、従つてまつたく一つの単なる仮説のもとであるから、今申し上げたのであるけれども、これはただ仮説の上に、そういう場合はどうかということを法理学的に、国際法的に解釈した答弁としてお聞き流しを願いたいというので実は申しておつたのが、たまたま新聞に出たような次第であります。それはヘンスレーの打つております内容を論理の中心にした場合の話でありましたが、そのときには、もしや三年以内に今のアメリカの講和草案にソビエトが入つて来ない場合は、一体これはどうなるか、この草案にはそういう点が権利を失うようなことを打つて来ているが、これはどうなるかというので、その場合には、依然として、国際法的には、法理的には領土主権というものは日本に残るのじやないかという意味の御答弁を実は申し上げたのでありますが、それもくれそれも一つの仮定に基いた問題でそう申し上げたということを申して、十分御了承願つた次第でございます。従いまして台湾の場合は、またそれとちよつと趣が違うのじやないかと存じます。実はここで台湾の場合に、中共の問題あるいは中国の問題、両方あります場合に、たとえば法理的にも国際法的にも、これに対することを申し述べることは結局何にもならずに、かえつて妙な刺激を生ずるというようなことになると存じますので、この前お答え申し上げましたのはそういう意味で、あとでよく御了承願うように、仮定の問題としてお聞きとりを願つた次第でございますから、御了承を願います。
  24. 小西英雄

    小西(英)委員 わかりましたが、簡単にこういうことをお尋ねしておきたいと思うのであります。講和草案の中にもあるそうでありますが、たとえば満州におけるいろいろな私有財産並びに国の財産等をもつて賠償に充当するものなりというふうな条文をどつかに見受けたのでありますが、政府としては、在外資産なるものを賠償金の対象に考えているかどうか。賠償金に考えているかどうかということは、フィリピンのように日本在外財産がきわめて少いところについては、たとえば原料を日本に送つて、その工賃で払おうというふうな考え政府は持つているようでありますが、そういう見解からいたしますならば、在外資産というものは決して日本のむだになるわけではなく、日本の国力、経済力きわめて貧困なるために、在外資産をもつて連合諸国の賠償はつきりと政府が認めているということについて認めたというか、あるいはそうでないのか。その見解をひとつただしておきたい。
  25. 草葉隆圓

    草葉政府委員 賠償の問題はまことに大きな問題でありまして、この間もちよつとした問題で、ただいまのお話のフィリピンが賠償を盛んに要求している、その場合において、日本政府は各省でいろいろこれを加工して輸出することを研究しているということをある者が談話で発表したがどうだというようなことも、たいへんつつ込んで御質問がありましたので、さようなことは一切申し上げませんとお答え申し上げておつたような次第であります。従いまして賠償は、国外のものを全部充ててしまつて、今後それらのものがどうなるかという問題につきましても、いずれはもう少しいたしますと、なおはつきりいたして来ると存じます。ヘンスレー記者の打つておりますことの中には、その点はいろいろいわれておりますが、現在政府といたしまして、これをここではつきり申し上げることは、かえつて適当ではないと存じますので、この点御了承願いたいと存じます。
  26. 小西英雄

    小西(英)委員 その点はまあそれくらいにいたしておきまするが、もう一点は、講和条約後に在外資産をこのままにして、政府がほおかむりしてしまうのではないかという不安を引揚者の中に持つておられるので、この点について、政府はこのままでほおかむりして、在外資産国家補償等は講和前にもそう考えておつたというふうなことがあつてはならないので、講和後に必ず政府が幾分かでも補償するということを、ここでひとつ表明願いたいのであります。
  27. 草葉隆圓

    草葉政府委員 在外資産は、結局ただいまの御質問にお答え申し上げましたように、賠償関係と、それからこれに関する所有者に対する問題と、こういうふうにだんだんと進展し乗ると存じます。政府はこれら私有財産としての在外資産に対しましては、慎重なる態度をもちまして進んでおりますることを御了承願いたいと存じます。
  28. 小西英雄

    小西(英)委員 大体答弁はつきりできないので、これ以上言つてもしかたがないのですが、私が去るダレス特使が参りました際に、議員連盟としてダレス特使に陳情した簡単な文書があります。それに対し返答が出ておりますので、ここに参考のために読み上げておきたいと思います。  第一は、在外資産について米国がソ連に提示した対日講和条約原則案は、日本公有及び私有在外資産は、原則として連合国において接収する方針が示されているとのことであるが、もしこれが事実とすれば、かかる条項は国連の人権宣言、ポツダム宣言に反するものであり、日本民主化を阻害するものとして日本国民は反対せざるを得ない。特に私有財産の没収は人道上大問題であつて、次の観点から反対を表明する。一、在外私有財産の没収処置は私有財産の不可侵の原則に反し、世界人道と正義を冒涜するものである。二、日本国民在外私有財産を一九一八年ベルサイユ条約及び一九四七年のイタリアの平和条約のごとく処理することは不当である。三、朝鮮、台湾、樺太、千島における私有財産は国内私有財産であつて一般在外資産とは区別をして処理せらるべきである。四、世界各地における日本人の私有財産の多くは正当に蓄積されたものであり、これを没収することは基本的人権を侵害することになる。ブラジル国が日本私有財産の没収を行わず、またすでに接収した分についてもこれを解除しているが、これは正しい処置であつて、人類平和の原則を守るものであつて、同様の処置が連合国各国においてとられることを期待するものであるということを述べたに対しまして、ダレス氏より議員連盟あてに回答が参りました。拝啓、述ぶれば旧日本領土復帰及び在外資産問題に関する一月二十七日貴下書簡受領いたしました。私は右の文書をきわめて興味深く読みましたが、これに対し注意深い考慮を払うであろうことをここに表明いたします。日程のないために会見できなくしていることはまことに残念と思います。  二月六日のこういう返答でありまして、この手紙にもはつきりした回答がございませんが、注意深い考慮を払うであろうことをここに表明いたすということは、ダレス氏はその後の動きについても非常に慎重を期しているようでありまして、われわれといたしましては、正しき主張はここでやらぬでおいては、決して向うにも通じないことであつて、意見としては、在外資産並びに同胞の在外資産にきわめて関係の深い領土問題等についても、沈黙を守るのではなくして、相当自分等の意思を表明することが今後世界平和のためにも非常にいいと思うので、私たちが以上述べたのでありますが、政府当局においては、この際勇断に国際正義にもとつた在外資産については、日本国民の将来のために、あるいは世界人類の正しき道を提示する意味でも強く要望されんことをお願いしまして、私の簡単な質問にかえる次第であります。
  29. 池見茂隆

    ○池見委員 在外公館等借入金の問題について、最初に草葉政府委員より、本借入金件数については二十一万件余ということを聞きまして、すでにその内容確認書の発送済みなるもの三万数千件、それからなお一万数千件も近く確認書の発送をする、こういうことを承りましたが、今の調整料付借入金が二万ないし三、四万件予想される。二万件は確実ということを聞きましたが、これは二十一万件の中に含まれているかどうか。
  30. 草葉隆圓

    草葉政府委員 二十一万件の中に含まれておりますのが、約二万件と承知しております。
  31. 池見茂隆

    ○池見委員 そうしますと、二万件の中に含まれておつて、さらにこれに類したるもの、ほとんど性質を同じゆうするものが出て参りましても、すでにその支払い申請の時期を失したがゆえに無効というような見解になりますか。
  32. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これはただ想像でございますけれども、いろいろその当時の情勢を考えますと、今出ているのは二万件でございますが、どうも当時の状態からすると、もつとあつたんじやないか、おそらく三万件以上もこういう状態が当時予想されるのではないかということを今申し上げたのであります。
  33. 池見茂隆

    ○池見委員 従つてこの調整料付小切手というものが、これに該当するかしないかという根本的な一つの理由を今検討しておるというお話でしたが、その見解が非常にむずかしいというお話のもとに、どういつた点がそれに該当しないか、あるいは該当するかという現在までにわかつておる程度のことをお話願いたい。
  34. 池田千嘉太

    池田説明員 これはまだ深く研究していませんので、ほんの今までわれわれが知つている範囲でのお答えでありますが、この調整料付の送金というのは、終戦の直前でしたか、八月十三日に大蔵省でこの取扱い方をきめられまして、それを各関係機関に連絡されたのでありまして、これに対して今までの送金方法を、外地から日本内地に送る場合は、元金の七十倍をとる、これは中支でございますが、北支は多分五十倍となつておりました。ここに規定を持つておりませんからはつきりしませんが、それで送つてよろしい、そうすると、日本へ七十一送ると、一だけ日本金でとれるというように承知しております。そのほか引揚げのため及び退職金などを送る場合に限つて、十一倍出せば、こちらで一だけをとれるという規定なつておりました。それでこれが終戦直前にきめられましたので、向うへ着いたのが八月下旬かと思いますが、終戦になつて、九月早々日本へ帰るのに非常に困るだろうということで、在外公館において、在留民にこれをやつたらどうかというような勧誘的といいますか、そういつた意味のことがあります。それからその限度におきまして、在支年数及び家族の関係などを見まして、一万、二万、三万というように段階的にこれに認定といいますか、やつたようでございます。そういう関係でこの金は扱われたのでありますが、この送金の分は、もちろん為替銀行で扱えば問題なかつたのでありますが、そのほかの十倍あるいは七十倍に相当する部分は一応外資金庫なるものに入つたものといわれておりまして、その外資金庫に入つたものを、ある地方では一部を在外公館において公館費または引揚げ救済費に使つたところもあるように聞いておりますが、これはまだ私の方でははつきり確認できません。そういう関係で、請求書はこれは確かに借入金該当するものだということで出ているようでございますが、私の方としては一応そういうような筋がございますので、法律に照して、その在外公館借入金としてただちに確認されるかどうか、ある程度の疑問があるのではないかということを考えております。さらに研究をしなければはつきり断定はできないという状態であります。この点につきましては、昨年の八月に、直接とでもいいますか、参議院の引揚げ委員会で、当時の上海の岡崎大使館参事官、それから土田公使などを御召喚なさつたようでありますが、その当時の考え方も、私が申しましたのと大体同じようなものであつたと承知しております。大体そんなところであります。
  35. 池見茂隆

    ○池見委員 そこで調整料付の小切手というものの大体の性格もよくわかりましたが、しかもこれは中支方面に非常に多いという関係で、私の出身県である福岡県の博多、ここの海運局において、この調整料の支払書というものに対しての預かり書をその海運局で保管しておる。さらに引揚者として要求されるときは、当時三万円送つて三十万円の調整料をとられた。そうして引揚げて来た者なるがゆえに、結局この三十万円というものは、これは見解の相違もありましようが、引揚者としては当然公館の借入金に属すべきものだ、支払いを早くやつてもらいたいという陳情を受けますが、今聞きますところによりますと、いわゆるその調整料というものが、当時外資金庫にこれが預かられて、そしてその外資金庫の方でいかようにこれを支出したかということは、今日でもこれは取調べれば明確にわかるのではないかという考えを持ちますが、その点はどうですか。
  36. 上田克郎

    上田説明員 外資金庫の当時引受けましたそれらの資金の使い方につきましては、仰せの通りに、調べればわかるべきはずだと存じますが、その資料等の明細はただいま手元に持つておりませんし、あとで調べまして御返事申し上げることにいたしたいと思います。中支について資料が詳細存在しているかどうか、大体私の記憶では、外資金庫と為替銀行とは大体同一店舗がやつておつた、そういうふうに記憶いたしておりますので、為替銀行が接収などされますと、その書類なんかにつきましては、一切向うが押えておりますので、詳細な資料が来ているかどうかは疑問でございますが、あとで調べてお答え申し上げます。
  37. 池見茂隆

    ○池見委員 今のお話では、結局そういつたことの使途は、資料等を集めれば明確になるということを聞きまして、まことにけつこうに存じますが、その明確なる使途の現われによつて、それが公館の一部の費用に使われ、公館によつてそれが必要である面に向つて使用されたものであるということになれば、少くともそれは公館借入金としての性格を持つものであるという考えを私は持ちますがゆえに、この辺十分に御検討になつて、次の委員会にでもお出しを願いたいと思います。この程度で終ります。
  38. 中山マサ

    ○中山委員 このごろやかましくいわれておりますアナタハン島の問題でございますけれども、そこにいまだに存在しているという確認を得た人の妹が私のところにやかましく言つて来ておりますが、それが外国船で迎えに行くと、そこにいるといわれている二十人ばかりの人が山奥に入つてしまう。できることならば、日本の船で迎えに行つたならば、あるいはその人たちが投降をしないというようなつもりで近寄ることはないか。これはぜひ何とかしてくれということをやかましく私のところに言つて参るのでございますが、これに関して当局ではどういうふうな御運動をしていただいておりますか、伺いたいと思います。
  39. 草葉隆圓

    草葉政府委員 アナタハン島から一人帰還されまして、そのことから、あとになお二十二名残つておられることがわかりました。その二十二名の氏名もはつきりいたした次第でございます。従いまして、その引揚げて来られた方から大体事情を聞きまして、何とかして一刻も早く現在の情勢を話をし、引揚げが完了いたしますように、実は留守家族から手紙も全部いただき、あるいは特に関係者の多い知事等の手紙等ももらつて、本人に届けるような方法をとる、できるならば、ちようど今のお話のようなことが事実考えられまするので、そういう手配をいたすように実はいろいろな方法を現在苦慮いたしております。多分そういうふうな方法を取運び得るように進み得るのではないかと、現在外務省は盛んにその点を苦慮しながら進んでおりまするから、1もうしばらく様子を見ました上で、また事情をよくお伝え申し上げたいと存じます。
  40. 中山マサ

    ○中山委員 ソビエト・ブロックからの帰還は朝鮮動乱でなかなか思うようにできませんが、この問題でございましたら、連合軍管下にあるのでございますから、私はやりようによつては、一早くできるのではないかと考えますので、どうかひとつできるところから早く呼びもとしてやりたい。一人の漁業会社の人のせがれもそこに住んでおる。自分がそこへ乗せて行つてもらつてでもせがれを迎えたいということを、きようもまた一人親御の方の友人を通じて私のところに言つて参りましたので、引揚げ促進でやかましく国連でもやつていただきましたので、できるところが近くにあれば、ぜひ早くやつていただきたいと私は考えるのでございます。そうしてついででございますが、国連は五月の初めに三人委員会が活動をするということになつておりますが、その後活動が始まつたとか、あるいはどういうところまで進んでいるとか、連絡が御入手できておりますでございましようか。もしできておりますならば、御説明を願いたいと思います。
  41. 草葉隆圓

    草葉政府委員 アナタハン島の問題つきましては、実は関係方面もたいへん心配してくれておりまして、ただ直轄の区域が少し違うようでございますので、その連絡にここ東京の直轄よりも少しはかかるかもしれませんが、しかしたいへん心配しながらすでにやつてくれております。御趣旨の点十分私どもも努力をいたして参りたいと存じております。  それから国連の方の三人委員会のその後の状態は、実はまだ今日までよく連絡をとつておりまするが、参つておりません。いずれ参りましたら、またよく御報告申し上げたいと存じます。
  42. 中山マサ

    ○中山委員 このごろいろいろ陳情が私のところに参つておりますが、朝鮮の私どもの同胞である女性で、朝鮮の籍に入つている人たちが引揚げたいという希望を持つているから、何とかしてくれというような話をしきりに私のところに持つて来られるのでありますが、この方々日本とはいえ、向うの籍に入つておる人たちではあり、またこういうことが実際行われるようになつているのでございましようか。そしてもし帰つて来るような手配になつておるのならば、その婦人たちは北鮮の人であるが、よく北鮮からずつと南の方へ移動して来ている人たちが多くあるというようなことも聞いておりまするので、もし北鮮に在住しておつた人たちであれば、その思想の問題というふうなことについて御調査なつておりますかどうか。今日いろいろと南鮮へ向つて北鮮人が下りて来て、ゲリラになつて、非常に困つている。日本の国内におきましても、国民が思想の問題で非常に不安になつておる連中もありますので、もしこういう人が帰つて来て、ゲリラ隊にでもなられたら困るというようなことを言う人もまた半面には聞いておりますので、その点もいささか心配になりますが、どういうふうな状況に今置かれておるのでございますか、御説明願いたいと思います。
  43. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ちよつと速記をとめて申し上げたいと思います。
  44. 若林義孝

    若林委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  45. 若林義孝

    若林委員長 それでは速記を始めてください。
  46. 池見茂隆

    ○池見委員 これは外務政務次官にお尋ねをしてはどうかと思いますが、ビルマ方面の復員の際に、これに脱落をし、ないしはその部隊から離れて残された人が相当数おる。私が聞く範囲内においては、約二千名程度のものが向うにおるように話を聞きますが、その人々はいわゆる適当の職、あるいは適当に土民と話合いの上、結婚あるいはその他のことによつて常住をしておるということも聞きますが、こういつた事実が実際問題としてありますかどうか、ひとつお尋ねしたい。
  47. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは巷間にはいろいろいわれております。また実際にはいろいろそういう情報等も私どもも聞いておりまするが、しかし公的にまだ幾ら同胞が残つてつて、そうしてこういう状態にある、従つてそれは帰るとともできずに押えられておるというような意味のいわゆる未帰還同胞とは違うのではないか。また正式にそれがはつきりとこうだということを確認し得る状態にも実はないと存じております。従いまして、よくそういう話は聞きまするが、はつきりと向うの政府からこつちに対して、こういう状態だから引揚船をまわしてくれというような問題とはちよつと違つておるのではないか、かように考えます。
  48. 若林義孝

    若林委員長 岡崎官房長官が見えましたから、受田委員どうぞ。
  49. 受田新吉

    ○受田委員 官房長官が来ておられますから、私より旧日本領土の日本資産についての質問をいたしたいと思います。台湾、南樺太、千島、朝鮮等の旧日本領土におきまして日本人が所有しておりました私有財産の取扱いにつきましては、去る五月十日の衆議院本会議におきまして、民主党の千葉三郎議員より質問いたしました。他の地域在外資産と性質が異なり、元所有者に返還すべきが至当であるが、総理はいかなる見解を有し、いかなる要望をしたかという内容質問をしたことに対しまして、吉田総理が、ポツダム宣言その他において定まつておるのである、在外資産賠償の担保として所在連合国において没収することになつておるとして、没収せられる旨を述べておられるのであります。またこれと同じ問題に関連しまして、十三日のラジオの国会討論会において岡崎官房長官が、たとい旧領土であつても、日本主権から離れるならば在外資産とみなされる、イタリアの海外領土のイタリア在外資産もそうした取扱いを受けておるのであると言つておられるのであります。これらの答弁は、いずれも的をはずれておるものでありまして、問題を正しく伝えておりませず、政府みずからが請求権を放棄いたしまして、日本の利益を否定する結果になつておりまするから、ここにいささかこの点について質問を申し上げたいと思うのであります。  周知の通り、第一次世界大戦におきましてのベルサイユ条約、あるいは今次大戦におきまするイタリア平和条約におきましては、ドイツやイタリアの旧領土はそれぞれ割譲せられまして、ドイツにおきましては、ベルサイユ条約によりポーランドやチェコスロヴアキアの独立を認め、またイタリアではエチオピアあるいはアルバニア等の旧領土を割譲したのでありますが、この際独立した国は、戦争による対独、対伊請求権がないために、非ドイツ化清算あるいは非イタリア化清算という方法によりまして、それぞれ処置したのであります。すなわちドイツの場合は、ポーランドやチエコのドイツ人在外資産は返還を認めており、さらにイタリアの場合は、講和条約附属書の第九及び第十項におきまして、エチオピアやアルバニア等の旧領土にあるイタリア人の資産は、そのイタリア人が割譲地の国籍に変更した場合はもちろんのこと、イタリア国籍のままそこへとどまつておりまするイタリア人に対しても、自国民のそれと同様に財産及びその権利、利益等につきまして尊重しなければならないということになつておるのであります。割譲地から退去いたしまするイタリア人は、動産、不動産を売却したり、あるいは動産を持つて行つたり、あるいは資産の携行が許されておるのであります。連合国領土内にありまするイタリアの在外資産は、対伊請求権の範囲内で処分することができる旨が第七十四条に規定してあるのでありますが、旧領土の分については返還がもちろん建前になつておりまするので、この点特に注意して考える必要があるのであります。  翻つて日本の場合についてみますと、朝鮮がこれによく似ておると思われるのであります。すなわち理論的に言いますと、朝鮮は戦争中旧日本領土の一部分でありました。独立したといたしましても、日本と戦争したわけではないのでありますから、戦争による早対日請求権は持つておりません。ただ在鮮日本人の財産を非日本化する措置がとられるだけであります。また台湾についても、本国の中華民国に返還するという形で割譲されるとしますならば、割譲地域にありまするところの日本財産は、尊重されなければならないはずであります。しかるに現実の姿はどうかといいますると、連合国領土はもとより、割譲地域でありまする旧日本領土には日本人は居住を許されておりません。父祖以来粒々辛苦の結晶でありまする有形無形の一切の財産は没収せられて、わずかに身のまわり品のリック一つと千円の携行金を許されただけで、引揚げの名のもとに日本に送り返されたのであります。このような状態で、割譲地域日本人の私有財産に対する侵害行為は、第一次欧洲大戦におけるドイツや、今度の大戦におきまするイタリアの場合を見ても、まつたくその前例がないのであります。従来から政府当局の言動を見ておりますと、在外財産に対しまして放棄したかの感があるのであります。正当な権利を主張するに退嬰的であるのであります。まことにこれは遺憾といわなければなりません。かつての第一次大戦におきましてのドイツ政府、今次の大戦におきまするイタリア政府当局は、連合国在外資産処理方針については、私有財産権を擁護するという立場から、いずれも正々堂々の主張を行つて来たのであります。日本政府にこの気魂があるかどうか、私はその点をお尋ねしたいのであります。いまや講和の時機がいよいよ差迫つておりまするが、在外財産問題につきましては、引揚者はもちろんのこと、全国民の最大関心事となつておるのであります。私はこの際に、旧日本領土の日本資産問題につきまして、第一に政府はいかなる見解を持つておられるか。第二に、連合国に対しましてベルサイユ条約あるいはイタリア条約の場合と同様の取扱いを要請されるという意思を持つておられるかいなか。この二点につきまして、明快な御答弁をいただきたいと思うのであります。
  50. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 ただいまだんだんの、お話がありましたが、第一に、われわれはポツダム宣言を受諾いたしましたが、ポツダム宣言の中に、日本在外資産は云々ということが書いてあることは御承知通りであります。また同じくポツダム宣言の中には、カイロ協定の条項は遵守せらるべしということが書いてありまして、台湾とか朝鮮とかいう領土は日本から離れるということをわれわれは承認いたしておるのであります。従いまして、ポツダム宣言の、ごくこまかい内容につきましては、あるいは解釈の差があるかもしれませんけれども、これは無条件降伏いたした関係上、少くとも形式的には講和条約連合国が定めて、われわれにこれを受諾するという建前になつております。その講和条約の中にどういうふうに書かれるかまだわかりませんけれども、われわれはポツダム宣言を議した以上は、ポツダム宣言の内容を忠実に遵守する、これが国際信義を全うするゆえんであろうと考えております。  なおイタリアその他の国の例をお引きになつていろいろ論ぜられたのでありますが、よその国のことはよその国のことであり、われわれとしては、ポツダム宣言というものがはつきりあるのでありますから、これに従つて行動するのが適当であろうと考えております。むろん連合国側も、講和条約については、できるだけこれを長く守ることのできるようにするために、国民要望はあとう範囲内においては入れようという気持があるということも存じておりまするから、国民要望については、総理を通じていろいろ先方にもお話しておることは事実であります。またその結果が条約の中に相当程度現われるであろうということも期待してはおります。しかしそれ以上のことをここで言明する立場にはないのであります。
  51. 受田新吉

    ○受田委員 講和に対するいろいろな国民的な要望がなされておる現在の段階で、政府自身が非常な強固な決意を持つて国民が現に抱いている要望にこたえるという努力は、講和を担当する政府として当然心がけなければならぬと思うのであります。またポツダム宣言の解釈でありまするが、これについて、五月十日の総理の御答弁で、ポツダム宣言との関係で一切の在外資産は所在連合国においてこれを没収されるという解釈は、妥当な解釈であると官房長官御自身もお思いになりますか。その点もう一ぺん総理の御答弁官房長官確認されるかどうかを、ちよつとお尋ねしておきたいと思うのであります。
  52. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 吉田総理大臣は外務大臣を兼任しておられまして、日本政府のこういう問題に関する担当大臣でもあり、内閣の責任者でもあります。この内閣の責任者の言つたことを、官房長官確認するとか確認しないとかいう問題は、当然起らないのであります。
  53. 受田新吉

    ○受田委員 これは総理の答弁の中に、少くとも国民的な要望の声をある程度含ますべきであると私は念願しておつたのであります。従つて一切の在外財産はそれこそ賠償の担保として所在連合国の間で没収されるという、まことにさびしい、冷たい感じのする、特に引揚者関係者のために非常に悲観的な総理の答弁がなされたことに対しては、まことに心細さを感ずるのであります。特に国民要望を政治の上に反映させるということは、時の政府の非常な責任であると思うのでありますが、この点については今一言も触れられぬのであります。政府の努力の点において、先ほど二つの点をお尋ねしましたが、その努力の点において、今後国民要望講和の問題に関しては強力に反映したいという、そうした引揚者やその他の関係者に対する思いやり的な感覚を、官房長官として特に持つておられるかどうか、これもお尋ねしたいと思います。
  54. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 お説はごもつともでありますが、われわれとしては、その点と同時に国際信義ということを十分に守らなければならぬという考えを持つております。すなわち最近の国際関係は、日本にはなはだ都合のいいような状況に向つておりますので、われわれはつい約五年有半前の降伏当時の状況を忘れがちであります。従つて何か対等の条約でも結ぶような気持がだんだんと国の内外に広がつて来たような気もいたしますけれども、しかし同時に、無条件降伏をしたという厳然たる事実は常に忘るべからざるものでありまして、幸いにして環境がわれに有利だからといつて、妙な言いまわしでありますが、それにむやみに図に乗るべきではないとかたく信じております。しかしながら、許されたる範囲において国民要望をできるだけ連合国側に正確に伝えるということには、従来も今後も政府として努力するのは当然であります。
  55. 受田新吉

    ○受田委員 いま一つ、在外資産を失つて帰られた引揚者に対して、国内問題として補償にかわるべき対策を早急に打立てるべきであると思うのでありますが、この措置に対しての官房長官としての心構えをお伺いしたいのであります。
  56. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 これは受田君の方が非常に早手まわしでお考えなつておりますが、われわれは条約上の信義は十分に守るのであるから、在外財産が全部賠償の対象として取上げられても異存は申したくないという決心は持つております。同時に今おつしやつたように、国民要望は伝えられておるのでありますから、講和条約がいよいよでき上つてみないと、その結果がどう現われるかわからないのであります。従つて今からそういう国民私有財産賠償の対象として取上げられたということを仮定して、それに対する補償措置考えるというのは、1少し手まわしが早いように思う。つまり講和条約が実際でき上つてみないと、その点が全部そうなるのか、あるいは一部そうでない場合があるのか、こういう点はわからないのでありますから、まだまだそういうことをはつきり申し上げる時期ではないと考えております。もつとももう在外公館借入金の問題については、一応の措置もいたしておるくらいでありまして、引揚者立場には政府としてもできるだけの同情を持つて考慮いたしておることは、これは事実であります。
  57. 受田新吉

    ○受田委員 関連してもう一つお尋ねしたいのですが、ポ宣言の忠実な受諾ということになると、ポ宣言にははつきりと私有財産権の不可侵の原則が守らるべく、特に最後に、その他の基本的人権は守らるべきであるという条項が入つておるのであります。こういう点と、そしてアメリカ自身が今度の講和に関しましても、伝えられるところによると、和解の講和を持ちたいというておるのであります。こういう点においても、無条件講和といいつつも、そうした非常におおらかな線で講和に対する態度がなされようとするときに政府としては当然この基本的人権の尊重、あわせてそうしたおおらかな線による講和締結の意思に対しての国民的な要請を十分含めた態度をとるべきだと思いまするが、このポ宣言の基本的人権の尊重ということと、そして今の和解的な態度をとりたいという含みを、今度の講和を担当するという政府責任者として、どうした立場でこれを果すようにするかという問題を最後にお伺いして終りたいと思うのです。
  58. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 ポツダム宣言にありますることは、むろん政府としてはまじめに実行いたします。なおただいまの講和条約の問題でありますが、われわれの方はあくまでもポツダム宣言により無条件降伏という立場で進んで行きましても、連合国側の方でそれを緩和するのを適当と思つて次第に緩和するような構想のもとに条約を考えてくれれば、なおさらこれはけつこうなわけであります。しかし事実上、これはかけひきではありませんけれども、一つにはわれわれがまじめにポツダム宣言を受諾し、無条件降伏という立場を強くかえずにとつておるがゆえに、かえつて有利な講和条約連合国側考えてくれたというような筋もあると思います。この辺は政府としてもいろいろやり方もありましようし、心構えもありましようが、それがうまく行くか、うまく行かないかは別といたしまして、ただいまのところは、終戦当時から考えられたことよりは、ずつとぐあいよく行つておると思いますので、しばらく政府のやり方に御信頼を賜わつて、十分に力を適当な方法で振うことを見ていただきたいと考えます。
  59. 受田新吉

    ○受田委員 それではこれで質問を終りますが、政府としては国民的な要請を十分政局担当者として講和の上に反映させなければならない。それは国民外交の立場からも、もはや特に秘密的なやり方ではなくて、これを広く国民に納得させるような方向に外交を持つて行くという立場が、私たちには念願されてやまない事柄なのでありますが、こうした国民の声、引揚者の声というものが――外交上のかけひきはありましようが、しかしその点に政府を絶対信頼させるためには、政府自身が  いかなる機会の発言にも、常に国民的要請を取入れたような発言をしてもらつて、そうして国民の声は常にかくのごとく忠実に外交の上にも反映させようとするのだという努力のあとが見えなければならぬと思うのであります。長官のこの間のラジオ討論会における発言や、総理の御答弁に対して、いささかさびしさを感じたがゆえにかかる質問を申し上げたわけで、今後この点において非常な努力をお願いしたい。  もう一つ、この問題は現在御回答をいただくのに非常な困難があるかと思うのでありますが、最近において問題になつておりますあの歯舞諸島の所属でありますが、これは本来日本の領土であつたことは、いろいろな証拠これを物語るものでありますが、政府としてはまだこれに対する見解を発表しておられませんが、この歯舞諸島の帰属に対する政府自身の解釈はどういうふうに持つておられるのか、お尋ねしたいのであります。
  60. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 歯舞諸島につきましては、政府としては、これは北海道に属しておつた島であつて、千島に属しておつた島ではないと考えております。しかしながらポツダム宣言によりますと、日本は本州、四国、九州、北海道及び連合国決定するその他の諸小島に限られる、こう書いてあります。かりに日本の領土であるとしましても、連合国決定によつては今度それを日本から離されるというようなこともあり得るのでありまして、四大島以外の諸小島については、一に連合国決定による以外に方法はないのであります。これがポツダム宣言を受諾した日本としての正当の立場であろうと思つておりますので、連合国決定を待つ以外に方法はないのであります。
  61. 受田新吉

    ○受田委員 以上で質問を終ります。     ―――――――――――――
  62. 若林義孝

    若林委員長 この際閉会中の審査についてお諮りいたします。  本委員会はその使命にかんがみ、設置以来引揚げに関する種々の問題につき調査をいたして参りましたが、引揚げ促進に関しましては、国際情勢とともに困難な段階にあり、留守家族の心情に思いをいたしますと心が痛むのであります。しかし国際情勢の変転には機微な点があり、あるいは事態の好転もあるやもしれず、本委員会調査は真に重大なものがあります。また引揚者及び留守家族の援護並びに在外資産在外公館借入金の問題につきましては、一日もゆるがせにできず、早急に解決しなければならぬと考えますので、国会法第四十七条の二項によりまして、閉会中も継続して審査して行きたいと思いますが、閉会中審査を行いますには、その旨を議長に申し出て、院議によつて付託せられなければなりませんので、閉会中の審査を議長に申し出たいと思います。その申し出る閉会中審査すべき案件は、海外同胞引揚げに関する件として、一括いたしまして以上の手続をいたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 若林義孝

    若林委員長 御異議なきものと認め、さよう手続をいたします。  次に閉会中審査の際、その実地調査を必要とする場合におきましては、委員を派遣いたすことにいたしたいと思いますが、その際の派遣委員の人選、派遣地等の決定並びに委員派遣の手続等に関しましては、委員長並びに理事に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 若林義孝

    若林委員長 それではさよう決します。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十五分散会