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1951-03-08 第10回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月八日(木曜日)     午後二時十二分開議  出席委員    委員長 若林 義孝君    理事 池見 茂隆君 理事 玉置 信一君    理事 坂口 主税君 理事 受田 新吉君    理事 高田 富之君       菊池 義郎君    佐々木秀世君       庄司 一郎君    中山 マサ君       天野  久君    小林 信一君       柳原 三郎君    堤 ツルヨ君       今野 武雄君  委員外出席者         外務事務官         (管理局引揚課         長)      武野 義治君         参  考  人         (在外同胞帰還         促進全国協議会         情報部長)   津布久知男君         参  考  人         (日本健青会中         央執行委員)  崎山  稔君         参  考  人         (留守家族)  中村 依子君     ————————————— 本日の会議に付した事件  海外胞引揚に関する日ソ親善協会外団体の  国際連合総会に対する要請問題     —————————————
  2. 若林義孝

    若林委員長 これより会議を開きます。  本日は、海外胞引揚に関する日ソ親善協会外団体国際連合総会に対する要請問題について、議事を進めるごとにいたします。この問題につきましては、先般の委員会におきまして、日本帰還者同盟外団体責任者参考人として来ていただき、その事情を聴取したのでありまして、要請の作成についての経緯等を大体明らかにいたしたのであります。この際、留守家族側よりこれに対する抗議文が先日委員長のもとに提出されておりますので、これを御報告申し上げます。     意見書  昨年十月九日附国連議長宛日本帰還者同盟等団体より提出された「引揚問題に関する国連への要請」については、引揚問題解決に関し国連提訴発意者の一人であるわれわれ日本健青会としては、その後の貴特別委員会審議経過に鑑みるも無視すべからずとして、三団体に対し抗議文を提出したのであるが、われわれは左記に略記せる如き理由により、該三団体引揚促進を阻害せる民族的背信行為、非人道的行為をなせるものと断ぜざるを得ないのである。即ち第一、要請文によれば『米ソ協定』に基き処理されるべきものであつて、「国連総会に提出さるべき筋合のものではない」としているが「本問題の現在における実相は。『米ソ協定』━━━━━━━━━━━━━━━━に基き実施」することが不可能となつているのである。このソ連責任を追求せずして、ただ問題を『米ソ協定』の枠内に限定せんとする三団体態度は、ことさらに問題の解決を不可能ならしめんとするものである。  第二、三団体は、政府資料の示す三十七万余という未帰還数字を、「ある政治的企図のために」作られたというが、これは、第八回対日理事会において、時のソ連代表デレピアンコ中将が承認している「引揚対象基本数」から引揚者を逐次差引いたる数字であり、他に基本数に関するソ連側のこれに代るべき発表がないという事実を考慮せざる」方的見解に立脚している。これは明らかに三団体の「政治的企図」がうかがわれるものである。  第三、更に一方「前後矛盾なく数次に亘つて発表せられた唯一のものとしてソ同盟政府発表註タス通信による発表を指していると考える)を正確なものとして確信している。タス発表が、第一回(昭24・5・20)第二回(昭25・4・21)の両文を照合して、それ自身辻棲が合わぬことは、去る二月十六日の貴委員会における小澤常次郎参考人自身も認めざるを得なかつた程であり、且つ現実の引揚受入数とも合致せず、更に死亡者発表一名もなしという不可解極まる底のものであるに拘らず、これを「唯一つの」「前後矛盾なく」「正確なもの」として確信するという三団体は、決して明朗な公正な人道的観点より本問題の解決を望んでいるものではなく、「ある政治的企図の為にあいまいな虚構の事実によつて作為されたものである」というほかはない。かかる点は要請文中随所にこれを発見することができる。第四、復員者引揚者受入態勢生活援護政策の貧困について三団体が述べていることは、原則としてはわれわれが主張していることであるが、但しこの事と、ソ連管理地区における抑留同胞引揚促進とは、全然別個の問題であり、これをもつて引揚促進とすりかえんとするのは、失当なるイデオロギー的偏向なりと断定せざるを得ない。以上のごとく、要請文並びにこれにうかがわれる三団体の主張は、本問題が国際的人道的立場から究明されるのを恐れる共産主義国立場を擁議せんとする宣伝であり、真剣に未帰還同胞の運命を憂え、これを徹底的に解決せんとする留守家族を初め国民意思を裏切り、政治的イデオロギー的立場からではなくして、人道的観点から公正に解決を図らんとするわれわれの引揚促進運動を阻害せる非人道的態度であると断ずるのほかはないのである。貴委員会におかれては速かに三団体の功罪いずれにありやを鮮明にし、その結論国民に示されんことを切望する次第である。    昭和二十六年三月五日       日本健青会中央本部衆議院海外胞引揚に関する特別委員会   委員長若林義孝殿もう一つは、    要請状  全国留守家族が、平和的且つ迅速完全なる解決を熱願している、在ソ肉親解決措置が、国際連合において日本国民代表として齊藤、中山、倭島三氏の出席を許し、審議せられつつある重大な場合に、「ソ連邦には、二千数百名の戦犯を除き一名の残留者もないことは、ソ連政府公表によつて明らかである。三十余万の未帰還者ソ連にいるという日本政府公表政治的企図によつて捏造されたものである」との書簡各国代表間に撒布した日ソ親善協会日本帰還者連盟民主主義擁護同盟の三団体の反同胞的裏切り行為に対しては、われわれはまつたく遺憾かつ憤激に堪えない。  このたび貴委員会中山委員提案により、本件糾明のために前記書簡に署名せる三氏を喚問せられたことにつきましては、われわれは多くの期待を持つて注視していたのであります。しかしながら喚問の実情は、われわれの気持を率直に言わしていただけるならば、極めて手ぬるく、寧ろ寛大丁重に過ぎると思われる次第であります。  曩に徳田要請事件の審理に際しては、連合国当局においても極めてこれを重視し、対日理事会英連邦代表ホジソン氏は「要請が事実であるならば、徳田は祖国に対して重大な罪を犯したことになり、日本政府をして断固処罰せしめるよう最高司令官に対して勧告せん」と発言されておる程であります。われらは今回三団体のとつた行動は、徳田要請以上の重大犯罪であり、断固処罰せらるべきであると信じます。彼らの行動こそ、正に三十余万のわが肉親を闇から闇に葬り去らんとするものであつて書簡に署名せる三者こそは死刑または無期もしくは二年以上の懲役に服せしむべきであると信じます。殊に日本帰還者連盟の幹部の如きは、ソ連邦において抑留日本人の生殺与奪の権をほしいままにして来たものであり、今日尚ソ連邦に不明なるままに放置せられているわれらの両親が実在することに対する彼らの責任たるや重大であるのであります。貴委員会がわれらの心事を篤と了解せられ、断固たる処置をとられんことを切に要望する次第であります。   昭和二十六年三月五日    在外同胞帰還促進全国協議会       委員長代理上島善一  衆議院引揚特別委員長    若林義孝殿  この二つが要請文として委員長のもとに届けられておりますことを御報告申し上げます。  これから過般の三団体参考人発言中心といたしまして、委員各位の御意見を伺うためにその発言を許します。     —————————————
  3. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいま議題とせられました三団体代表者参考人発言に対する質疑に入るに先だちまして、私は次の動議を提出いたします。  ただいま委員長より朗読に相なりました抗議に類する覚書並びに意見書等を拝聴いたしましたが、私たちは先刻議員会館におきまして、そうした団体代表の多数の方々から概して同様の意見を開陳され、強硬な申入れがあつたのであります。しかしながらかかる重大な問題は、私たち委員が個々にこれを聞くというのでなく、先般三団体代表者をこの委員会参考人として招致し、実情を聴取いたしました経緯からかんがみて、一方的な実情のみをここで審議いたしますより、むしろこの場合、こうした多数の方々が押しかけておりまするうちから、在外同胞帰還者促進全国協議会情報部長津布久知男君、日本健青会中央執行委員崎山稔君、宮城留守家族同盟事務局長立花榮子君、大連地区抑留者留守家族として中村依子君、この四氏をここに参考人として招致いたしまして、これらの諸君より詳細にわたつて意見を聴取した上において、さきの三団体代表に対する質疑に入ることがきわめて公平であるのみならず、その内容等を判断する上においても誤りをなからしめるゆえんかとも存じますので、この場合、この四氏を即刻ここに招致せられるよう動議を提出する次第であります。どうか満場の御賛成を得たいと存じます。
  4. 若林義孝

    若林委員長 ただいまの玉置信一君の動議についてお詣りいたします。  玉置信一君からの留守家族代表者参考人として招致し、これより事権を聴取するという動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 若林義孝

    若林委員長 御異議なしと認めます。  それでは留守家族代表者として、在外同胞帰還促進全国協議会情報部長津布久知男君、日本健青会中央執行委員崎山稔君、宮城留守家族同盟事務局長立花榮子君、大連地区抑留者留守家族として中村依子君の四名を参考人として招致し、事情を聴取することにいたします。委員長において早速その手続をとることにいたします。(発言する者あり)     —————————————
  6. 若林義孝

    若林委員長 なおただいま外務省管理局引揚課長武野義治君の御出席を願つておりますので、武野引揚課長から一般の引揚げ問題について簡單お話を願いたいと思います。     〔「議事進行」と呼び、その他発言する者多し〕
  7. 若林義孝

    若林委員長 御静粛に願います。  ただいま委員長不信任動議が提出されましたので、理事にこの席を譲ります。   〔委員長退席池見委員長代理着席
  8. 池見茂隆

    池見委員長代理 ただいま委員長不信任案高田委員より提出されましたから、この不信任案趣旨弁明を願います。高田君。
  9. 高田富之

    高田(富)委員 実はこの前に三団体代表を呼びまして、いろいろと質問をいたしました。このあといかように処理するか。ただ聞きつぱなしというわけにも行かないし、何とかこれを処理せねばなるまいという当然の御意見でありますが、若林委員長もそのようなことを漏らしておりました。その後荏苒すでに二週間——はつきりは覚えておりませんが、相当時日を経過しております。私どもといたしましては、この問題につきましては各方面から相当注目のあることでもありますから、何とかこれについて処理するなりどうするなりしなければならぬと思いまして、実は委員会があまり開かれずにいることを私どもは非常に不審に思つておりました。たまたま先般全然別個在外公館の問題で、委員打合会が開かれました。その際も私はこの委員打合会に出まして、委員長にもこの問題をお聞きしたのであります。しかしながらその委員打合会にはほとんど委員出席しておりません。最後までおりましたのは私一人であります。私と委員長と大蔵省の関係者だけでこれを審議いたしました。そのような状態でありますから、私はこれはどうしたのだろう、結局この間の参議院の方の意見で大体疑う点も晴れたというので、これをあらためて問題にする必要がなくなつたのだろうかとさえ私は思つてつたのであります。しかし私はこのままというのは何かおかしな気がいたしまして、実は昨日ここにおられます本問題の最初の提案者である中山さんのところへも、ちようど外務委員会で一緒になりましたので伺いました。中山さん、どうも委員会はつきりしないで困る、早くやるならやる、またどういう議題でやろうという予定を立てて、地方選挙が間近になれば各党の代議士もいなくなりますから、はつきり日程等もきめてやつてもらおうじやないかというようなことも相談しました。昨日の話ですよ。中山委員ほんとうに何をやるのかわからぬが、当分ないかもしれませんよ、ただしかし南方の三十幾人かの未帰還者の問題がありますから、これらの問題でも出して、近いうちに開いてもらおうじやありませんか、こういう言葉でありました。そういう問題があれば、ぜひ早い機会に予定を立ててやつてつていただきたいと申し上げて私はおわかれしたのである。しかるに本日突如委員会が開かれまして、本日の委員会議題は三団体の問題でやることになつておるのであります。しからば当然この間聞いたあの結果に基きまして、いかように処理すべきかの理事会等も開かるべきであつたろうと私は思う。しかるに突如として正規の機関である理事会にも諮ることなく、このよう委員会が開かれておる。私どもは全然このことは寝耳に水でありますから、本日のことについてはもちろん準備をするいとまもありません。私は朝から事務局に参りまして、きようどういうことをやるのか、あるいはこの前の三団体の人をもう一ぺん呼ぶのか、あるいは報告書でもできてその報告書を検討するのか、こういうことを聞くべく、数回にわたつて事務局に行きましたが、その事務局の職員は何を言いつけられたか、きようは朝から忙しくて席におりません。さつきこの委員会が開かれるにあたりまして、開会前に若林委員長のところへ参りまして、初めて事務局の人に聞いた。実はきよう参考人を喚問するのだ。全然予想だもしなかつた方面から、きよう呼ぶのだ。その手続等も大体話合いができて、きよう来ることになつておる。私はまつたく驚いた。そこで若林委員長に、われわれは理事として出ておる。この会議運営につきましては、あらかじめ理事会においていろいろな点を十分考慮いたしまして委員会を開くという従来の慣例に従つて、当然それをやるべきではないか。しかるに一部の委員諸君暗黙のうちに相談をし、それに従つて運営するために、突如として開く、そういうことやつてはいかぬ、そういうふうに若林委員長に申し上げた。しかるになおこれを強行しようとする気配が強い。私は何とかして、これは委員会の今後の公正なる運営をはかるためにも、開会に先だちまして、議事進行発言を求め、この事情を明らかにし、そうして今後の運営の公正を期すべく重大な発言をしよう思つておりましたところ、委員長は遂に私の議事進行に対する発言すらも許そうとしない。議事進行に関する発言は他の事項に先だつて許すべきが当然であるにもかかわらず、これを許そうとしない。かくのごとく一から十まで発言を押え、一部の委員と結託して、暗黙裡委員会運営を密議でもつてせんとするがごときことは、事のいかんを問わず、政党政派を超越した本委員会の正当なる運営のために断じて許すべからざる暴挙であります。よつて私は、若林委員長がこの際責任を負つて辞任すべきことを要求した次第であります。
  10. 池見茂隆

    池見委員長代理 趣旨弁明は終りましたから、討論を許します。討論通告順によつて行います。玉置信一君。
  11. 玉置信一

    玉置(信)委員 私はただいま不信任案提出者高田委員説明内容を聞きまして、これに対して討論するだけの実は内容価値等を認め得ないのでありますが、ただこの中に、本日のこの団体代表参考人として呼ぶことはあらかじめ委員の間において密謀したかのごとき発言をなされた。私はこれに対して取消しを要求したいのでありますが、それよりも実際の問題としては、私こうした代表参考人として呼ぶべしとする動議を出したについては、何ら話合いをしておりません。本日の委員会があるという公報によつて、私は承知して出て来たのでありまして、本日、先ほど申し上げましたよう団体代表からの申入れを聞きまして、その結果によつて、私はここに動議を出すべきことを痛感して動議を出したわけであります。この点からいたしましても、ただいまの高田君の不信任案というものは、全然そのピントがはずれておるのでありまして、私はこれに対して反対をいたします。
  12. 池見茂隆

    池見委員長代理 申し上げておきますが、なるべく簡單に要点のみを御発表願います。堤君。
  13. 堤ツルヨ

    堤委員 私は社会党でございますが、ただいま私ども理事の受田氏が席をはずしておられますので、まだ理事との打合せができておりませんけれども、ただいまの共産党高田委員不信任案提案理由を承りますと、海外胞引揚げ促進に対する今までの共産党あり方の問題は別といたしまして、委員会運営には少し本日は遺漏があつたのではないかと思うのであります。これは国会の権威のために、やはり理事会を開いて、公平な正しいコースをたどつて委員長委員会運営されるのが当然であろうと思うのであります。でありますから、ただいまの共産党不信任案提案理由が正しい、うそでないとするならば、私は委員長の方に黒星があると思います。これはくれぐれも申し上げておきますが、今までの海外胞引揚委員会における引揚げ問題に対するところの共産党あり方賛成するものではございません。但し本日のこの委員会運営につきましては、私は委員長不信任案を突きつけられてもしかたがない手落ちがあつたのではないかと思いますので、今後のために私は一考を促しておきたいと思います。これは日本社会党意見であります。
  14. 池見茂隆

    池見委員長代理 堤君にお尋ねいたしますが、賛成ですか、反対ですか。もう少し明確な一つ結論を……。
  15. 堤ツルヨ

    堤委員 本日の委員会運営については反対です。(「不信任案についてだよ」と呼ぶ者あり)それは今の提案理由説明中心とすれば、本日の委員会運営については反対です。
  16. 池見茂隆

    池見委員長代理 それで終りですね。天野君。
  17. 天野久

    天野(久)委員 私は本案に対しては反対の意を表します。ただいまの社会党代表堤氏のお話は、あるいはそこにお考え違いがありはしないかと思う。今参考人を呼ばんとすることは、ただいま動議を提出されて委員長は初めてそれを聞いて決したのであつて、これを事前に委員会にはかる時間とその考えをお持ちにならぬと思う。従つてよう突発的に出たものであるから、理事会を招集するいとまがないことは当然な話であつて、決して私は委員長のとられておる策は違つておらぬ、よつて私はこの委員長不信任案に対しては反対をいたします。
  18. 池見茂隆

  19. 今野武雄

    今野委員 ただいま高田君から出された不信任案賛成意見を持つものであります。と申しますのは、先ほども私は本会議場佐々木秀世君に聞いたら、きよう引揚委員会があるそうだけれども知らない、ところが事務局人たちは、けさから委員長の命によつてこの人たちを集めるために奔走したと言つている。そうして委員長みずから高田君に対しては、やはりきようも呼ぶことになつているのだ、こういうことを言つている。そうすればさつきから言つていることは、初めからしまいまでしめし合せたうそだとしか思われない。こういう点から言えば、この委員会運営において、非常にうしろ暗いところがあるということがはつきりするわけであります。そういう意味でも、私は委員長責任をとらなければならないと思う。そればかりではございません。今までのこの委員会運営を見ても、たとえば三十一万何がしという数字に対して、再々われわれもあるいは自由党の佐々木盛雄君あたりからも、この内訳をはつきり示せということをどんどん出して来ている。そうしてそういうようなことに対しても、やはり委員長はそのはからいをしないで、えんえんと日を延ばしておる。間もなくするでしよう、間もなく明らかにできるでしようと、いつでも引揚げ関係のお役人が言つているのだけれども、いつまでたつてもその約束を果さない。日本の国内で事柄を明らかにしないでおいて、やたらにソ連を責めることばかりやつている。南方の問題や何かについても、事柄を明らかにしようとする努力がはなはだ薄い。こういうやり方は明らかに━━━━━     ━━━━━━━━━━━━━  こういう意思を持つて運営されていることは明らかです。そういう意味で、われわれはやはりこういう委員長のもとでは、公正な審議は続けられないと思いますから、不信任案賛成であります。
  20. 池見茂隆

    池見委員長代理 討論は終局いたしました。ただちに採決に入ります。若林委員長不信任案に対して反対委員起立を願います。     〔反対者起立
  21. 池見茂隆

    池見委員長代理 起立多数。よつて不信任案は否決されました。  それでは委員長の席を交代いたします。     〔池見委員長代理退席若林委員長着席〕     —————————————
  22. 堤ツルヨ

    堤委員 議事進行について……。私は何も共産党賛成をするものではありませんけれどもあまり目に見えた不公平がありますと、それは第三者から見てもいやなものであります。引揚げ促進の目的を持つてこの委員会開会されておるのでありますから、この場合どうか発言の自由を封ずることなく、お互いに言うだけ言わして、そうして正しい批判を下して結論を出すのが当然と思いますので、片寄つた委員長あり方を少し反省されまして、公平に発言を許されるよう、特に委員長にお願いいたしておきます。
  23. 若林義孝

    若林委員長 ただいまの堤ツルヨ君の御発言了承いたしました。さよう注意をすることにいたします。
  24. 今野武雄

    今野委員 議事進行について……。先ほど不信任案は否決されましたが、本日の開会については非常に無理があると思う。先ほども本会議佐々木君と話したときも、どうも無理があるようだということは認めておられた。そういう点からして、やはり正式に理事会を開いてこの運営をきめるというふうにしていただきたい。そうしてせつかくいらつしやつたのでありますけれども、本日はこの程にしてあらためてお呼びする手続をとられたい。このことを提案いたします。
  25. 若林義孝

    若林委員長 ただいま今野君から、本日はこの程度において散会という動議が出ておりますが……。
  26. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 やはり議事進行でありますが、今野君からたまたま私の名前が出されましたので、一言議事進行に関して述べてみたいと思います。先ほど会議において今野君が私のところへ参りまして、本日の引揚促委員会開会についてはどういうことをやるのだと言われましたので、私もよく知らないのだと言つたのです。今野君から言われた通り、ほんとうに私はきようは知らなかつたのであります。しかをここへ来てみますと、たまたま玉置委員から動議が出まして、先ほど参考人をここにおいで願つた、先般の三団体に対してのいろいろな疑惑の点、あるいはそれを明らかにするという意味において、四者を参考人として呼んだらどうだという動議が成立したのでありますから、本日はこの成立した動議に基いて、いろいろ今までわかつた方もありましようが、一応動議が採決されたのでありますから、このまま散会することは議事進行上まことに不手ぎわであり、そうした議事進行はあり得ないのでありますから、ただちにこれを続行せられんことを述べまして、私は議事進行発言といたします。
  27. 天野久

    天野(久)委員 われわれはあの傍聴される方々、また全国における何百万という遺家族が日々に涙を流してわが家族の身の上を心配しておることを思いまするときに、本委員会におきましてこういうことはまことに私は愼まなければならぬことだと思う。そこでもし委員長手落ちがあるとしまするならば、それは是正してもらう。それからまだ時間は三時前であります。ここに動議を出された方は、おそらくさき参考人の方がここにおいでになることを知つて動議を出されたことと思います。従つてまだ、時間がありますので、その御意見をよくわれわれは聞きまして、そうしてこの帰還促進のために、われわれは私情を捨てて、ほんとうに一人でも海外におる同胞を救わなければならない重大な義務を持つておるわけでありますので、きようこのまま散会ということはなさらずに、どうぞさき動議のごとく進めて、ありつたけの意見をよく聴取いたし、双方の意見を聞いてわれわれは公正な判断をいたし、われわれの同胞を海外より一刻も早く本国に引取つて家族のもとにお届けしなければならない重大なる義務があることを委員長は御確認の上に、本会議を進められんことを希望します。
  28. 若林義孝

    若林委員長 ただいま散会の動議が出ておるのでありますから、これを採決いたします。この散会の動議賛成の方の御起立を願います。     〔賛成起立
  29. 若林義孝

    若林委員長 起立少数。では続行することにいたします。  暫時休憩いたします。     午後二時五十三分休憩      ————◇—————     午後三時六分開議
  30. 若林義孝

    若林委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  ではこれから参考人方々より、その事情を聽取することといたします。本委員会は、先般の第五回国際連合総会において戦時捕虜問題討議の際に、日本帰還者同盟、日ソ親善協会民主主義擁護同盟の三団体より国際連合に提出されました要請書については多大の関心を持ち、先日の委員会において、三団体責任者参考人としてその事情を聴取いたしましたことは御承知の通りですが、本日これについて留守家族側よりのこれに対する抗議により、早急ではありますが、出席していただいたわけであります。御紹介をいたしております。一番上手の方が、日本健青会央執行委員崎山稔君であります。次のまん中の方が、在外同胞帰還促進全国協議会津布久知男君であります。一番端の御婦人が、大連地区抑留者留守家族中村依子さんであります。  ただいまからお尋ねするのでありますが、参考人各位に申しておきますが、お尋ねいたしましたならば、委員長という掛声をおかけくださいまして、立ち上つてその許可を得ることによつて発言を願います。御答弁はできるだけ簡明に、要点のみをお話願うことにいたしたいと思います。  では日本健青会の中央執行委員崎山稔君に、大体の会の構成人員、あるいは会の目的その他について、ひとつ御説明を願いたいと思います。崎山稔君。
  31. 崎山稔

    崎山参考人 簡單に申し上げます。私ども日本健青会は、引揚げる青年を中心に、日本の道義的な再建を念願いたしまする青年男女をもちまして結成いたしております団体でございます。現在約一万の会員を全国に持つております。東京上野にその本部を置いておりまして、私を含めまして六名の中央執行委員によつて現在運営をいたしております。
  32. 若林義孝

    若林委員長 次に津布久知男君から、在外同胞帰還促進全国協議会、これは名前を読んだだけでわかると思うのでありますが、ただいま崎山君がお述べくだいましたように、協議会の内容をひとつお聞きかせを願いたい。
  33. 津布久知男

    ○津布久参考人 お答えいたします。在外同胞帰還促進全国協議会、略して全協と言つておりますが、全協は、終戦後在外の肉親の一日も早い帰還を希求する留守家族たちが集まりまして、各地で散発的な運動を展開しておつたのでありますが、それが昭和二十二年の十一月十七日に、各ばらばらの運動を続けておるよりも、問題の国際的な性格にかんがみて、国内的に一致結束する必要があるということを考えましたので、当初十六県の団体代表が集まりまして、在外同胞帰還促進全国協議会という中央機関を設立いたしたのであります。その事務局は東京都千代田区西神田二丁目二番地の東方学会の中に置いております。現在全協は、当初の十六県から拡大をいたしまして、青森、愛知を除くほとんど全日本の各県の留守家族団体を統括する団体になつておるわけであります。  簡單でありますが、以上をもつてお答えといたします。
  34. 若林義孝

    若林委員長 中村さんは御説明を願いませんでも、大連地区に抑留されておられます留守家族の方でございますから。別に何もありませんね。
  35. 中村依子

    中村参考人 はい。
  36. 若林義孝

    若林委員長 では委員長から御質問を申し上げますから、その要点をかいつまんでお話を願いたいと思うのであります。  今日おいでを願いましたのは、先ほどこあいさつのときに申しましたように、第五回の国連総会において、いまだ抑留されております捕虜並びに邦人の問題が取上げられたについて、日本から三団体要請文が出ておつたのでありますが、その要請文に対して健青会から、本委員要請文が出されたのです。その要請文は大体了得いたしまして、委員長から各委員発表いたしたのであります。大体委員会といたしましては、その要請文内容を了得しておるのでありますが、留守家族人たちから考えますときに、あの要請文の中に盛られておるように、きわめて忿懣、憤激の情があるということがありますが、それはどういう理由であるかということを、一度ここに鮮明していただきたいと考えます。
  37. 崎山稔

    崎山参考人 私ども委員会に対して意見書を提出いたしましたにつきまして、ちよつと申し上げたいと思います。  私どもは、ただいま申しましたように、引揚げ青年を中心にいたしておりますが、必ずしも引揚げ青年だけではございません。と申しますのは、私どもは、日本の倫理的な、道義的な再建をはかるというときに、一番先に目につきましたのは、引揚げの問題でございます。ソ連中共地区を含めました戦争の跡始末はまだついておらない。この跡始末をつけずして何の平和もない。平和の根底になるものは、実はこの戦争の結末をどうつけるかということだ。しかもそれは人がやつてくれる、あるいは自分の身寄りの者だけがやるというようなものではなくして、全国民的な責任においてこの解決をつけなければならない。そう考えますときに、私ども青年といたしましてまつ先にしなければならないのは、この引揚げて来られる方々のめんどうを少しでも見て差上げることであり、さらに内地に残つております留守家族方々に、小しでも慰安、激励をお与えしたいということでございました。そういつたところから、実は引揚げの開始以来、駅頭の奉仕等をずつと続けて参つたわけでございますが、その間に考えましたのは、結局内地で留守家族方々の生活を安定させてあげること、あるいは引揚げて来られる方々の生活を考えてあげることはもちろん大事なことではございますが、何よりも一番重大な問題は、終戰後これほど年がたつというのに、いまだに帰らない夫や、親やあるいはわが子を待つて引揚者のために涙にかきくれているあの留守家族方々の心情を考えまして、この方々の熱望、懇願を何とかして遂げさせなければならない。そのことは決して單なる生理的な現象とか、あるいは人間本来の本能であるとかいうような問題ではなくして、もつと大きな、人道につながる問題である。しかもそのような重大問題が、このような長い年月なおざりにされているということは、国民的な、民族的な視野から申しまして屈辱である。この問題を一日も早く解決することこそが、実は先ほど申しました戰争の処理であり、平和への基底であり、しかもこの泣き悲んでいらつしやる現実の留守家族方々を最もお慰めすることである。そう考えましたがゆえに、私どもはこの問題と実はずつととつ組んで参りました。そして昨年の正月に、私ども団体意見書を出しまして、御承知のように、去年の四月海外抑留同胞救出国民運動総本部が中央に結成され、共産党を除く各党の議員の方々が、党派を越えてこの人道的な問題を、政治的観点からでなくして、取上げなければならないというお考えによつて参加してくださいまして、遂に結成をしたのでございます。そうした関係がございまして、私どもといたしましては、このたび日本帰還者同盟、日ソ親善協会民主主義擁護同盟の三団体から出されました国連への要請文を見ましたときに痛憤やる方ない思いにくれたのでございます。なぜならば、この文書は、内容から申しまして悪意に満ちている。最初には、平和と自由と独立を熱愛しとお書きになつていられるが、内容を検討いたしまするなれば、これがうそであることは立証できる。しかも非常にえげつないと申しますか、欺瞞を使つて事実を糊塗しようとしておられる。さらにこの要請文の根底にあるものは、あいまいな虚構の事実ではなくして、明白な虚構の事実に基いて作為されたものである。こう考えますると、單にこれがこの団体方々や、そうした傾向を持たれた一連のグループの方々の宣伝文とのみ受取つて安閑としておられない。少くとも現在残つておる数百万に上る留守家族の悲哀を踏みにじり、私どもが今合理的と考えられるその数字をまつたく信ぜずして、信ずべからざるところのタス通信を盲信しておられる。まつたく現実を乖離し、事実を無視しておられる。実は私どもも昨年国連に対し、ぜひこの問題を解決してほしいという要請をいたしました一人でありますので、この私どもの希望を、ある政治的な企図を持つて作為されたものであるかのごとくにうたつておられるこの要請状は、私どもから申しまするならば、人道に対する冒涜であり、日本国民に対する反逆であると断ぜざるを得ないような重大な問題であると思いましたので、この前の委員会におきまして、三団体方々から先生方は種々聴取なさつたようでございますが、私どもといたしましては、かく考えるというその論拠を一応お出しいたしまして、皆様の御審議の御参考に供したい、そう思いまして実は意見書を差出した次第でございます。
  38. 若林義孝

    若林委員長 あのタス通信の数字的のことについて、今虚構であると感ぜられたようでありますが、その根拠をひとつお話し願つておきたいと思います。
  39. 崎山稔

    崎山参考人 詳しい点は後ほどここにおります全協の情報部の部長の津布久君が、こまかい数字にわたつて説明申し上げようといたしておりますので、私は簡單に申し上げます。  実は私どもがタス通信を申しますのは、ほかではございません。お話を進めます前提として一応申し上げておきますが、形式的に申しますならば、この要請状がはたしてここへお取上げになつた引揚げ妨害であるかいなか、私が今申し上げました引揚げ妨害の事実があるかないかということは、ソ連支配地区には一名も日本の抑留者はおらないか、あるいはおるかということが実はその論争のわかれ目にあると思うのでございます。その点をあいまいにいたしておきまするならば、單なる意見の食い違いであり、意見の相違でございます。この三団体要請状を見ますと、ここには日本政府の三十七万という数字はでたらめであるとある。しかしその通り読ましていただきまするならば、「終戰以来前後矛盾なく数次にわたつて発表せられた唯一のものとしてソ同盟政府発表を正確なものとして確信せざるを得ない」とはつきりおつしやつておられますが、このことはタス通信をさすものと私どもは解釈いたします。二回にわたるタス通信は、結論として昨年の四月二十一日現在において二千四百六十七名、これは戦犯及びその容疑者並びに病人を含んでおりますが、それを除いては一名ももはや日本人は抑留されておらない、全部送還されたということを申しておるのでございます。従つてこの一名も日本人はおらないということを正確なものとして確信しておるこの三団体方々は、私どもから申しまするならば、その根拠をあくまでもこの二回にわたるタス通信から引き出されたものと思うのであります。それ以外に何らかの情報のソースをお持ちであるかどうかは、今論外でございます。かく考えますると、私どもは、タス通信がはたしておつしやるような前後矛盾なく発表せられた正確なる唯一のものと考えられるかどうかということが、実はこの問題のわかれ目になると思うのでございます。そこで私どもはこのタス通信をずいぶんいろいろとひねくりまわしてみたのでございますが、どうしても私どもの貧弱な頭をもちましては、考えることのできない不可思議な数字によつて構成されておるという以外にない。一番わかりいい例を一つだけ申し上げまするならば、死亡者の数が一名も含まれておらない。実は急なことでここに他意して参りませんでしたので、ちよつとおわかりにくいかと思いますので、かいつまんでもう一度申し上げますと、タス通信は二回発表されております。第一回は一九四九年の五月二十日であります。そのときには日本人将兵の捕虜総数というものを出しております。これが五十九万何がしというふうになつております。その中から今度は戰闘地域で即時釈放した者を七万八百八十名というふうに出しております。この数を今の捕虜総数から差引いたします。それからすでに帰還した者、これは一九四六年十二月一日から四九年五月一日まででございますが、その間に四十一万八千何がしという数字を返しておる、これを差引きます、そうするとその結果は十万四千九百五十四名となるというふうに第一回のタス通信は発表したわけでございます。第二回のタス通信は、約一年おきまして昨年の四月二十一日ですが、このときには日本人捕虜総数はあがつておりません。ただ送還者の総数全部で、送り返した者が五十一万何がしである、こう述べております。それから現地で釈放した者は第一回と同じでございます。そうして今現実に残つておる者は二千四百六十七名である、こういうふうな数字の出し方をしておられるわけでございます。まず第一回のタス発表でございますが、このタス発表の引算は、私どもの計算をもつて、私どもの貧弱な頭をもつていたしましても、一名も間違つておりません。従つてこの数字は一応計算としては正しいと考えます。正しいといたしまするならば、このおととしの五月二十日までには捕虜の中には死んだ者は一人もなかつたということしか言えないのでございます。もし死んだ人間がありといたしまするならば、どこかにそれが含まれなければなりません。たとえば即時釈放した者の中に入つておるか、即時釈放したのでありますから、死人ではないはずでございます。すでに帰還せる者とございます。すでに返した者は、死人は帰つて来ておりませんから、この中にも含まれておりません。しかも総数という中には当然総数でありますから受入れられたときの生きた人間の数が入つておるわけでございます。しからばこの数年間に一人も死んでおらぬということをタス通信は実証しておるのでございます。しかも帰還者方々が一名の例外もなく認めておられるように、死亡者があつたことはおおうべくもない事実でございます。しかもその最初の一九四五年あたりにおきましては、相当数の死亡者があつたと、私ども直接資料を持つておりませんが、しろうとでも常識で考えられることでございます。この矛盾を一体どう説明されるか、このようなものが正確無比なものであると考えられるか、私は一例を申したにすぎません。しかもよく考察いたしますと、この第一回の発表と第二回の発表とは食い違つております。この食い違いの点につきましては、この前ここへおいでになりましたはずの小澤常次郎氏が、実は自分もその食い違いには気がついておる。気がついておるが、それはおそらく死亡者であろう、そう解釈するよりほかにないとお漏らしになつようであります。これは後ほど詳しく出て来ると思いますけれども、私どもの考え方をよくお聞き取り願いたいのであります。もし小澤氏のおつしやる通りだといたしますと、第一回の発表から第二回の発表の、あの約一年足らずの間に一万二百四十四名という人間が死んでしまつたということにならざるを得ない。なぜならば、先ほど申しましたように、第一回の発表においては一名の死亡者もなかつたということをはつきりうたつておるからでございます。このような前後矛盾しておることをなぜお話になるか、私ども今持つております数学的な知識や常識をもつてしては判断することのできないこの矛盾を、矛盾なしとして頭から盲信しておられるこの態度は、決して自主独立な自由な態度ではございません。従つてどもは自由と独立を熱愛するとはうそであると申し上げるのであります。向うから与えられたものをそのままうのみにするならば、私どもに自主性はございません。そんなことは今さら先生方に申し上げる必要はないと思います。こう考えて参りますと、私どもはタス通信はこのほかたくさん矛盾がございますが、たとえば現実に日本で受入れた数とはまつたく数が違つている。そういつたことを考え、さらに現実に日本の内地に残つております三千四百六十七名を越えるところの留守家族、明らかに生存を確認しておるところの、捕虜通信を持つておるところのその日本留守家族が二千四百六十七戸をはるかに越えているはずであります。このことも留守家族団体が調査しておりますのでお聞取りを願いたい。しからばこのように現実に、私の夫は確かにソ連におります、私の親は確かに大連に抑留されております、しかも戦犯ではございませんとはつきり言えるこの人たちがあるというのに、この三団体方々はそういう事実をまつたく無視しておられるのでございます。私が事実を無規し、信ずべからざるものを信じておると申しましたのはこのゆえんでございます。かく考えて参りますと、私どもの観点から申しますれば、明らかにソ連圏地区には多くの同胞がいまなお抑留の鉄鎖に呻吟しておる、この事実をもととする以上、これを一名の抑留者なしと断定して要請書をお出しになつたこの三団体は、明らかに引揚げの妨害をしていると断定してはばからないと信ずる次第でございます。大体私どもが考えておりまして、ここに出しました意見書理由と申しますものはかくのごときものでございます。
  40. 若林義孝

    若林委員長 なお私から今お尋ねした以外に、委員が知つておいていいとあなたが思われる事柄があれば、簡單にひとつお話を願いたいと思います。
  41. 崎山稔

    崎山参考人 実は出しました意見書はつきり書いておきましたので、責任をとる意味から私どもの見解をついでに申し上げさせていただきます。  この引揚げ問題に関する懇請という三団体要請書の第一番目に、これは米ソ協定のわく内で考えるべき問題で、決して国際連合に持ち出すべき問題ではないというように書いていらつしやいますが、この点は私どもはそうは考えない。これはいささか見解の相違になるかもしれませんが、かく考えますので、私どもその申し上げた論拠をちよつとかいつまんで申し上げます。大体意見書にも書いてございましたので御承知と思いますが、米ソ協定を蹂躪して、これを実施しなかつたのソ連でございます。日本責任ではございません。そうして実際上としては今申しましたように、抑留者がたくさんおるのにかかわらず、一人もおらないという一方的な宣言を、しかもまつたく信ずべからざる声明形態をもつて発表しておられる。その結果引揚げは杜絶してしまいました。このような事態が起きましたので、私どもといたしましては——私どもと申すよりも、これは日本人全体であると思うのでございますが、日本人全体といたしましては、米ソ協定のわく内でどれだけ月に引揚げさせるとか云々というような計数的な、あるいは技術的な問題ではもはや解決すべき段階ではなくなつた。これは人権に関する世界宣言にもはつきりございますように、こういう問題は当然基本的な人権に関する人道上の問題として、そういう問題が討議せらるべき場合に提訴して取上げてもらうよりほかはない。それを向うでお取上げになるかならないかはまた別でありますが、私どもとしては当然日本人としてそうすべきである。日本民族の独立を熱愛し、自由を熱愛しているものであるならば当然そうすべきである、あらゆる手を打つべきである。そう考えるがゆえに、当然私ども日本人が国連に提訴すべきであり、要請を出して訴えるべきである。しかるにこれを国連総会に提出すべき筋合いでないとおつしやるならば、われわれから言うならば、決して日本人に対するお互い同胞としての熱い血潮が流れているものとは思えない、こう思うわけであります。  さらにこの問題に関しましては、先ほども申し上げましたように、死亡者のことが全然不明でございます。死亡者がいつどこでどのように死んだかというようなことは、当然あのジュネーブ條約でございますか、これらの取扱いに関する條約等に見ましても、当然こういうものは通報をいたすべきであります。それは一ぺんもいたされておりません。このような問題は当然單に米ソ協定のわく内で考えるべき問題ではない。さらに戰犯並びにその容疑者が千何名いると言つておりますが、しからばどういう訴因で訴えられ、現在どこにいるか、その氏名はだれとだれであるかということも当然発表せられるべきであるにかかわらず一度も発表がございません。このような問題もまた米ソ協定のわく内で考えるべき問題でない。こういつた問題全体を含んだ引揚げ問題に関する私どもの懇請でなければならないのであります。といたしまするならば、これは当然国際連合に訴え、人道の立場からどうしたらいいかぜひ解明してほしいということは、私ども無力な、独立もできないよう日本といたしましては、この以外に力がないではございませんか。私どもはそういうことを考えますると、この米ソ協定のわく内にこの問題を限定してしまおうとする意図がほぼ察知できるように思うのであります。すなわちこの三団体方々は、こういう問題が今米ソの政府的な渡り合いのさ中にあつてソ連にとつて不利な一つのデーターとして出されることを極度に恐れるところのソ連圏の諸国に追随してこびを呈する意図から出たものではなかろうか。私どもこの問題を深く考えて来たものといたしましては、このようにまで実は臆測せざるを得ないように思うのでございます。そこでこの要請がいかに誤つているかということの一つの例証として、この問題を取上げた次第でございます。  さらに三十七万の日本の政府の示す数字の問題でございますが、私ども政府でございませんので、どういう意図でどのようにして出したか責任を持つてお答えする立場でございません。しかしながら私ども新聞紙上で承知している限りにおきましては、第八回の対日理事会において、テレビヤンコ中将が出席されている面前で引揚げ対象基本数が討議されたはずであります。そうしてそのときにテレビヤンコ中将は、これに対して一言も異議を唱えておらないはずであります。すなわち中将が認められたその数字から逐次帰つて来た数を差引いたものがこういう数字になつているというように私どもは理解しております。もしこの数字がでたらめであるとおつしやるならば、こうさせたものはたれであるか。春秋の筆法をもつてすれば、明らかにこれは当然公表し、報告すべき数字を全世界のいずこへも何一つ発表しないところのソ連責任にかかつているはずである。しかもこの引揚げ対象基本数に対して違つている、こういう数字がおれの方にあるから、これが正しいのだからこれを使えということは、寡聞にして一度も聞いておりません。このよう数字がまつたく不明になされ、暗黒にされて、いわゆる鉄のカーテンの向うに隠されているがゆえに、実はこういう数字が出て来ているというように思うでございます。私どもといたしましは必ずしも政府のちようちん持ちをして、これが正しいのだとは決して考えておりません。非常に疑問に思う点は多々ございます。その意味では、この三団体要請書の中に一言も真実がないとは私は申しません。しかし大綱は先ほど申し上げましたように、まつたく誤つた観点に立ち誤つたものを取上げておる。しかもこの三十七万の数字がでたらめであるという点を追究して、だからこの問題を国連に出す必要はないというように訴えられておるかのように見受けられるこの国連に対する要請書は、明らかに政治的な企図を持つて書かれておる。結論にあるごとく、三つのこの結論は引揚げの促進に関しては一言も触れておられない。むしろ今私ども常識で考えられまするところの、共産党中心とする諸君が反米運動に、あるいは政府攻撃にこの運動を使おうとしているのではないだろうか、そういうような感すらも私どもは率直に受けるのでございます。従つて今申しましたこの数字等にいたしましても、私は三十七万の数字が正しいとは申しませんが、私どもの目の前に出されているデーターだけをもつて考えるならば、これは当然ソ連に対してもその責任を追究すべきある。しかもこのソ連に対する責任を一言も追究せずして、單にこの数字が間違つておるからタス通信の方が正しいとするがごときは、はなはだ非科学的な態度であるというふうに考える次第でございます。  さらにはこの要請書の中におきまして、日本引揚者の受入れ態勢がなつていないということを事こまかに計数をあげて言つておられます。私どももこれに対してはまつたく賛成でございます。この通りでございます。はなはだふがいない日本政府に対して私ども憤懣を禁じ得ないの先ほど申しましたように、私どもはこの処理こそが実は平和の基礎である、かく考えておりますがゆえに、当然こうであるべきだと思います。しかしそのことは引揚げ促進の問題とはおのずから別個の問題でございます。この問題があるからソ連地区からの引揚者を返してならないという理由はどこにもございません。そのことはこの前、去年でございましたか、この場所へ中央地区からの最近の引揚者方々おいでなつたときのことを私傍聴いたしましたが、そのとき共産党委員のどなたでございましたか、そのお方から御質問が出ましたが、そのときの一参考人が述べておりましたように、單に経済的な問題が向うに残つております抑留者の問題ではございません。どんなに貧しくとも、どんなにつらくとも、肉親相つどうて苦しみをわかち合うところに実は人間らしい生活もあるということを申しておりました。私どももそう考えます。この日本引揚者の受入れ態勢の問題のみを論じて、これを国連に訴えて政府のしりをたたけとおつしやつて、しかもソ連に対することに対して一言も責任を追究しようとしないこの態度は、明らかに一つの偏向を持つたものであるというふうに考えるのでございます。そこで先ほど御承知のような私ども要請文を出した次第でございますが、最後に一つつけ加えさせていただきまするならば、要請文の最初の方に——最初でございましたからちよつと忘れましたが、言葉は違うかもしれませんが、真に平和と自由と独立を熱愛して民主的な国家をつくろうとしつつあるところのこの日本の勤労大衆というものは、全部だれ一人として信ずることができないというようなことをおつしやつておられますが、このようなことはどこから出たのか了解に苦しむのでございます。私は先ほどこれを宣伝文と申したのでございます。なぜならば、私どもの知つております限りにおきましても、昨年の十月にブラッセルで行われました国際自由労連、これに参加しております日本の労組の代表が持つて参りました一つ議題といたしまして、ソ連圏に抑留されておる日本人の状況を調査することと、それからその帰還を促進せしめるところの件を提案いたしております。そしてその国際自由労連の会議、世界中から集まりましたこの会議におきまして、これが採択せられまして、決議として書記長のオルデンプルーク氏がこれを国連のILOの理事会に提出をしております。いやしくも日本の六百万と称するところのいわゆる勤労大衆、この方々はおそらく真理を愛する日本の勤労人民であると思うのでございますが、この方々がどうかソ連におるところの日本人を早く帰してもらいたいという要請を出しているというこの事実一つ見ましても、引揚げ促進問題を取上げることは、勤労大衆の意思に反するというがごときこのお言葉ははなはだ受取れないものである。しかもここにお述べになりましたようなこういう要請書は、実はこの三団体を除きましては、寡聞にして私ども国連日本から一通も出されたとは聞いておりません。私どもつておる限りにおきましては、一方的かもしれませんが、どうかソ連実情を調査して、一刻も早く返してもらいたいという要請がたくさん出ておるはずでございます。こういうことからいたしましても、ここにお書きになりましたようなこの三団体要請書を支持する者は、ほんとうに中和と自由と独立とを熱愛し、民主的な日本をつくり上げようとするところの真理を愛する日本勤労人民ではないと考えるのでございます。かく考えまして、私どもはこの三団体要請書はどこから見ましても、原則的に申して日本国民に対する反逆であり、留守家族を踏みにじるものであり、真理にもとるものであり、人道を冒涜するものである、こういう結論を下した次第でございます。私どもの見解はこうでございます。
  42. 若林義孝

    若林委員長 ありがとうございました。  次に津布久君から承りたいと思いますが、崎山君からお話なつ事柄は要点のみを言つていただいて、なお要請文全体から受け、あるいは全国留守家族から相当全協へ意見が開陳されて来ておると思うのでありますが、その様子を一つ聞かしていただきたいと思います。
  43. 津布久知男

    ○津布久参考人 お答えいたしたいと思います。私がこれからお話いたしまする言葉の中に、人道とか、人権とか、平和とか、民主主義という言葉が出て来ると思いますが、この点について私は唯物論を信奉する共産党方々に一言申し上げておきたいと思うのです。それをはつきりしておかぬと、私が何をしやべりましても、その方々は何らの痛痒も感じないと思いますのではつきりいたしておきたいと思います。われわれは人間というものを精神と肉体の複合体であるというふうに考えもし、教えられても参りました。で精神の存在を初めからネグレクトしてかかつておる人たちに対して、私どもは人間の情愛を説こうとは考えておりません。
  44. 高田富之

    高田(富)委員 委員長委員長注意してください。委員の中のだれだれに対してどことか何とか……。
  45. 津布久知男

    ○津布久参考人 発言中です。私の言論を圧迫することは言論の自由に対する侵害であります。私はこのことをはつきり申し上げておきたいと思うのであります。私は今のよう立場に立つて人聞として話を進めて行きたいと思います。
  46. 高田富之

    高田(富)委員 委員長注意してください。
  47. 若林義孝

    若林委員長 この間どうだつた。
  48. 高田富之

    高田(富)委員 この間何とかがあつたからやり返しをすると言うのか。
  49. 津布久知男

    ○津布久参考人 次に私は人間の立場から、人間としての留守家族の声を率直に申し上げたいと思います。これは人間留守家族の叫びであります。私が申し上げたい第一点は、要するに共産党方々から言わしまするならば、これは反ソ反共の言動というふうにお考えになるかもしれません。しかしながらわれわれは要するに親ソ容共のために私ども肉親を犠牲にすることは断じてできないのであります。これはわれわれの基本的な立場であります。私はいかに共産主義という理論が正しく、またいかにソビエトという国が美しい国でありましようとも、私ども肉親をその犠牲に供することは断じてできないのであります。このことだけははつきりと申し上げておきたいと思います。私はただいまのような観点から、この委員会に対してお願いをいたしました。すなわち二月十六日の要請書を出されました団体代表者三人をを御喚問くださいました委員会に対しまして、全国留守家族は、はつきりした真相の糾明を期待しておつたのであります。しかしながらわれわれの気持を率直に言わせていただきますならば、これははなはだなまぬるいものであるというふうに考えざるを得ないのであります。そこで私どもは断固たる処置をとつていただきたいということをお願い申し上げたのであります。お願いの筋につきましては、もうすでに委員長からごひろうになりましたので熟知せられておることと思いますが、私がここではつきりと申し上げておきたいことは、三団体がとられました今回の措置は、明らかに世界の通念であり、世界の法と考えられるところのものに対する侵犯であると私は思うのであります。それは要するに、昨年の四月三十一日の夜にソビエトの政府から、タス通信をもつて全世界に報道せられましたにころのものは、明らかにまだ多数の日本人が残つているにもかかわらず、これを二千数百名しか残つていないと断じ、すなわち残りの部分を完全に黙殺せんとする態度であり、暴挙であります。私はあえて暴挙と言います。そしてこの暴挙に対してどういうふうな態度をとられたかと申しますと、それが唯一絶対のものであり、正しいという立場にお立ちになつておられる。それはすなわち日本の、もつと言うならば、人間の尊い基本的な人権を三十数万名黙殺されながら、それに対して正しいと考え、しかもそれを全世界に宣伝するという行為は、すなわち日本の人民に対する侵害に対する幇助であるとさえ考えられるのであります。これは日本の刑法がはつきりと明示いたしておりますように、力をもつて抑留されました数十万の同胞の生命を黙殺せんとする態度に対する援助罪を構成するものではないかと思います。日本の刑法は、これに対して死刑、無期もしくは三年以上の懲役と規定いたしております。われわれは毅然たる処置を要求いたします。これが要請書の要点でございまして、そのほか、こまかい数字につきましては、ただいま崎山君からお話がありましたので、私はもう申し上げることはないと思いますが、ただ後ほど御質問があれば、それに対してはお答えすべき多くのものを持つておりますので、本日は十分に聞いていただきたいと思います。終ります。
  50. 若林義孝

    若林委員長 次に中村依子さん。大体あの三団体から出されました要請文全体を読み、また出されたということについて、相当御不満の気持があつたと思うのでありますが、思うまま率直に、ひとつ留守家族の方の気持として、何ものにもこだわることなく述べていただきたいと思います。
  51. 中村依子

    中村参考人 今の津布久さんのお話で盡されております。
  52. 若林義孝

    若林委員長 では、これから各委員から参考人にお尋ねを願います。
  53. 玉置信一

    玉置(信)委員 崎山参考人にお伺いしますが、いろいろとお述べになりました中に、三団体国連に対する要請書の内容は、タス通信を盲信しておられるということをお話になつたのであります。またそのあとに、あいまいな作意でなく、明白な作意である、こう申しておられますが、盲信をいたしたということになりますと、何もかも、わき目もふらずに、タスで通信されたものはその通りだなと信じ込んでしまうことが盲信のように私は解するのでありますが、その後段において、あいまいな作意ではなくして、明白な作意だということになりますと、盲信でなく、タス通信の裏を知つておるが、ここに明らかに作意的に発表いたしておることが明白のように思われるのでありますが、これに対する見解をもう一度承りたいのであります。
  54. 崎山稔

    崎山参考人 盲信という言葉が先生方にちよつと誤解を生んだかもしれませんが、私が申し上げましたのは、盲信的態度であるということでございます。すなわち常識あるものであるならば当然疑問が生ずるにかかわらず、その疑問の生ずべきところに疑問を生じないで正しいと断定するのは、盲信的態度である。しかもその盲信的態度は、明らかに裏を知つておらなければならない。知らないなら白痴であります。白痴とは思わない。しからば知つておりながら盲信的態度をとるということは何であるか、明らかな虚構である、こう私は見るのでございます。
  55. 玉置信一

    玉置(信)委員 三団体国連に対する要請についての崎山参考人の考え方を相当つつ込んでお話を承つたのでありますが、もつと具体的にこの要請についてのお考え、あるいは批判等がありましたならば、この機会にお伺いしておきたいと思います。
  56. 崎山稔

    崎山参考人 私は言葉の上の問題ではないと思うのでございます。たとえば言葉をさらに激烈にいたすこともできますし、あるいはよく一部のプロパガンデイストが申しますような野卑な言葉を飛ばすこともできます。しかし問題は、言葉の表現ではなくして、真実でございます。私どもは、いかなる言葉を使つても真実をおおい隠すことはできない、かく考えます。
  57. 玉置信一

    玉置(信)委員 津布久参考人に伺いますが、崎山参考人発言されたので内容を盡しておるかのごとくに解釈して、あなたがこの特別委員会要請した趣旨、それから三団体さき国連要請をいたした内容等についてあまり詳しく触れなかつたのでありますが、もう少し具体的なお話ができるなら、この機会に伺つておきたいと思います。
  58. 津布久知男

    ○津布久参考人 お答えいたします。要するに三団体が出しました要請状というものを通読いたしまして、これが組み立てられておる基本的なものというのは、タス通信が絶対に正しいという立場から出発しているわけであります。それでタス通信が間違いであるということが立証されますならば、これは根底から崩壊するべき筋合いのものであります。さよう意味のなくなつたものを今ここでむし返すことは、私の本意とするところではありませんけれども、私は重ねて、この三団体が唯一絶対のものと信じているところのタス通信について、われわれの考えておるところを述べてみたいと思うのであります。それが最も具体的なお答えになる、かように私は考えます。一九四八年の八月十日の日に、全国留守家族が三千名東京の日比谷に集まりまして大会を開き、タス通信否定の声明を発したのでありますが、そのときに私どもが考えておりましたおもな論点、そしてさらに昨年の四月二十一日に発表せられました第二回目のタス通信と比較照合して生ずるところの明白な誤謬というものについて御指摘を申し上げたいと思うのであります。まずタス通信は、ソ連において捕虜となつ日本人の将兵の総数は五十九万四千人といつおります。しかしながらわれわれはあとから参考資料を提出いたしたいと思うのでありますが、この五十九万四千というのは、終戰の年の九月と承知いたしておりますが、そのときに赤軍が発表いたしました対日戰の戰果という報告の中に、日本人を五十九万四千以上を捕虜としたということをいわれておるのであります。その数字をここにそのままそつくり持つて来ておるのでありますが、故意か作意かは存じませんが、ここに「以上」という言葉が抹殺されておるということも指摘しておかなければならないと思います。  それからまた私はここに提出をいたしたいのでありまするが、それはソビエト地区から中共地区に逆送されたということをはつきりと書いて来て、しかも現在なお中共地区に抑留されておるまま残つておるという方々の通信を発表いたしたいと思うのであります。それは現在鞍山の鉄工医院に勤めております岡山県の吉岡春雄君の手紙であります。これにはその一節にこう書いてあります。小生は八月十五日以後、九月から翌年の二月までシベリヤに行き、その後義勇隊の者は東北へ帰され、東北経済建設部門の鞍山鋼鉄公司におりますというふうに書かれております。その人員は不明でありますが、義勇隊の者が相当数ソビエト地区に抑留されてから、翌年の二月ごろに再び満州に返されておるということははつきりした事実であります。それからこれは三重県三重郡の荒木さんという奥さんにあてて、今松江省双鳴子炭坑に働いております荒木要さん、これは御主人でありますが、その手紙によりますと、一節にこういうふうに書かれております。佳木斯で妻とわかれて、団員らと牡丹江に下り、横道河子で武裁解除されてソ連に運ばれ、二箇月余りを過して牡丹江収容所にもどされ、東海で日本人三十名と開墾に従事、昨年二月、この双鳴子に移つて、百名ほどの日本人とトロ線の保線、坑木の運搬等をして現在に至つておるというふうに書いてあります。  それからさらに申し上げますならば、これはハルピンの日本人民会気付で出されました柿沼氏、受信人は長野県の方でありますが、その手紙によりますとこういうふうに書かれております。一九四五年八月十五日、終戰のときでありますが、チチハルをたち、戰後の満州をあとに一度ウラジオストツクに行つて四箇月石炭掘りをやり、状況の変化により牡丹江に帰つて来て、一九四八年九月までおりましたと書いてあるわけであります。  それから現在松江省穆稜県梨樹鎮鳳山煤礦に勤めておりますところの中村氏はこういうふうに書いております。小生八・一五の災変以後、ソ国に留用、現在旧満州の牡丹江付近の炭鉱の技術員として祖国遺送の日を待つて働いておりますというふうに書かれております。すなわちソビエトに捕えられましたとき、九月の対日戰の戰果に発表されております五十九万四千以上という数字、そしてその後の出し入れがさらに明確にされおらないのであります。私どもはこの九月の対日戰の戰果が発表されました後に、武装を解除されてソ連に連れて行かれて、しかも帰つて来ておるたくさんの人たちを知つおります。すなわち五十九万四千というタス通信の大前提は、もはやわれわれは今日これを基礎数字にすることは意味がないとさえ考えられるのであります。それは先ほど申し上げましたよう理由によります。  その二番目でありますが、戰闘地域で即時釈放した七万八百八十名という数字があります。この数についてでありますが、一旦ソ連の手中に入つた者である以上、何ら帰国の措置を講ずることなくして、満州でかつてに釈放する。そうして事後の措置が何ら明確にされていないというのは、私は明らかにポツダム宣言の違反であると思います。ポツダム宣言は、武装を解除した日本軍隊はすみやかに日本の国に返して、平和的かつ生産的な生活を営ましめることが連合軍の義務であるということを規定しておるのであります。  その三番目でありますが、タス通信は一九四六年十二月、日本人捕虜送還に関する米ソ協定が締結されましてから、一九四九年五月までに送還した者を四十一万八千百六十六名と言つております。しかしながら日本側が受取つたソ連管下よりの将兵数は約四十三万余であります。しかも一般邦人をも加えますならば、その数は九十一万四千九百五十七名と相なるのであります。四十一万をはるかに上まわるだけではなくして、ソビエト側がつかまえたという五十九万という数をはるかに上まわる九十一万という人たちソ連地区から帰つて来ておるということは、これはまつたく驚くべきことであると思います。数字の魔術であります。ソビエトに数学の革命でも起らない限り、二十世紀の算術を信ずるわれわれとしては、このことは絶対に承認ができない、かように考えるのであります。しかもこのタス通信の中にはこういうふうな言葉をはつきりと使つております。それは第一次タス通信の末尾でありますが、それにはごこうかれております。日本人捕虜及び非戰闘員の送還に関し、ソ連の支出する経費の全額は米ソ協定によつて日本政府によつて返済されねばならないというのであります。これは国際法に明確な規定がありますので、これに準じておる米ソ協定には当然過ぎるほど当然のことであります。ナホトカはソ連側が持つて、ナホトカ以降は日本の船で運んでおりますからこれは問題がないと思いますが、問題になるのは、日本人捕虜及び非戰闘員とタス通信ははつきり二つにわけておるのであります。非戰闘員の送還に関し、否送還どころではなくして、その数、氏名、詳細に関しては何らソビエト側から通報がないままに現在に至つております。ゆえにわれわれは送還地域、人員、軍人、邦人別の区別が明らかにされていない、そのために返した四十一万八千百六十六名という数字はどこから出て来たものか、まつたくわからないのであります。  第四番目に、われわれが申し上げたいのは、戦犯着を含めた十万四千九百五十四名の残留者についてであります。これにつきましては、その当時ソ連から帰つて来ました人たちの報告を総合いたしまして、対日理事会においてシーボルト議長は次のように言つております。未帰還総数は四十万八千七百二十九名である。そのうち生存と推定される者、ソビエト地区にはつきり生きておるということが帰還者の証言やもしくは向うから来る捕虜通信によつてはつきりわかつておる者が十五万三千五百九名いるということを第百六回対日理事会において言明をいたしておるのであります。この点から見ましても十万四千九百五十四名の残留総数というものはまつたく不可解であります。われわれからすれば絶対に承認ができない。しかもその当時五万も上まわるところのはつきりした生存確認の証拠をわれわれ留守家族は握つておるのであります。  第五番目でありますが、この発表には死亡者が一人も含まれておらない、これは驚くべきことであります。その当時シーボルト氏は何と言つておるかと申しますと、その当時すでに死んだことがはつきりいたしておる者が、ソ連地区において三万九千九百三十七人と言われております。これは帰還者の二人以上の証言に基いて作成されたものであります。二人以上のソ連地区からの日本帰還者が現認しておる事実をソビエト側が黙殺しようとするならば、これは明らかに人間の基本的な権利に対するところの侵害であると断ぜざるを得ないのであります。しかも一人も死亡者がないというがごとき発表はまつたく事実に相違するのみならず、この算術計算を根本的に崩壊せしむるものであると考えるのであります。もはやタス通信の信ずべからざるところの事由は明々白々であると私は考えます。さらに私どもが遺憾に思い、かつ強く主張いたしたいのは戦犯者に関するところの処置であります。これはタス通信において、戰犯関係取調べのための一部グループを残して、九万五千に達する捕虜の全員が日本におととしの五月から十一月までの間に帰されるということを公約いたしておりますが、その戰犯者の問題につきましてわれわれはかように考えたいのであります。戰犯問題について第一に私どもがまつたく憤懣というと少し語弊でありますけれども留守家族立場から言えば明らかに憤懣であるのでありますが、これにつきましては、戰争裁判というのは東京とニユールンベルグで一番大きいのが二つ行われております。その戰犯のカテゴリーといたしまして、平和に対する罪、人道に対する罪、通例の戦争犯罪の三つをあげておりますが、この三つ、しかもソビエトの裁判官がちやんとついて、検事が二人もつきまして、東京の国際裁判で重光葵氏を禁錮七年の刑に処したのであります。この訴因の中もしくはその審理の過程の中にこういうことがいわれております。すなわち日本が戰争中つかまえておつた米英の捕虜の名簿もしくはその所在、近況、氏名といつたようなものは、相手国すなわち米英の政府に対して日本政府から通報しなければなりません。この通報の義務を怠り、また重大な理由なくして、赤十字国際委員会人たちが捕虜の状況を視察することを拒むことはできません。しかしながら日本はこれを拒絶いたしたのであります。そのために重光氏は禁錮七年の処刑を受けております。われわれは戰争中において明らかにこれが犯罪を構成するものであるならば、戰争が終り、平和の鐘が打鳴らされて五年もたつ今日において何らこれらのことについての報告がないということは、私どもは明らかに犯罪を構成するのではないかと考えるのであります。いな今日赤十字国際委員会の入国視察を拒否しておるというソビエト側の態度は、私はどこからそういう根拠が生れるのかまつたく了解に苦しむのであります。さらに私どもが考えますのは、これはわれわれとしてまつたく遺憾しごくに考えるのでありますが、ここで証言いたしました小澤氏のごときは、ソビエト地区におきまして彼がやつた行為をはつきりと考えてみるがいいとわれわれは言いたいのであります。彼は共産主義に転向をがえんじない者、いわゆる民主主義者にならなかつた者を反動分子としてつるし上げ、そうしてそれを奥地に逆送した経歴を持つております。今日残されておるところの人たちは、遺憾ながら、残念ながらこの人たちによつて奥地に送還された人であると言つても過言ではないのであります。われわれはこの事実に対してもはや八つ裂きにしてもあきたらない憤懣を感ずるのであります。これは全国留守家族の叫びであります。聞いていただきたいと思います。さらにわれわれがもう一つだけ申し上げておきたいことがあります。これは要請状の中に、妨害するための方策として、日本の国内の受入れ態勢の問題を原因にいたしております。戰争犠牲者の保護、保障、待遇の改善等に関する日本政府の取扱い方が非常に冷酷なものであり、またその施策の不十分おることはわれわれ留守家族は身をもつてつております。しかしながら先ほどお話のありましたように、われわれから考えますならば、いかに日本政府の扱い方が、日本国内の状態がひどかろうとも、それはソ連側の抑留を正当化する何らの理由にもならないということが第一点であります。しかもソビエトの代表団は、徳田球一氏と私どもが一九四七年の四月十九日と九月十四日、このときには日本帰還者同盟の人たちが——前身をソ連帰還者生活擁護同盟といつておりましたが、この人たちもわれわれの代表とともに行つてソ連の政治顧問ゲネラロフ氏から聞いておりますが、引揚げ遅延をしておる理由は、米ソの問題や国内の政治の問題、施策の問題ではないのだ、それは一にかかつてソビエト国内の輸送力の問題であるということを言明いたしておるのであります。彼らはその当時われわれに対して何と言つておるか、すなわち船に積んで行く食糧が足りないとか、あるいはまだ日本の受入れ態勢がなつていないとか、あるいは日本が民主化されていないからソビエトは返さないのだということを言つてつたのであります。これらのことは、まつたくソビエト代表団の責任者も否認しておる事実を、あえて曲げて、あるいは故意にか、とにかく彼らは盛んに宣伝しておつたということは事実であります。  それから私が申し上げたいことは、すなわち第一回目のタス通信と第二回目のタス通信でありますが、この間に矛盾が起きておるのであります。それは第一回のタス通信では、つかまえた捕虜は全部で五十九万四千人と言つております。現地で釈放したものが七万八百八十名と言つております。第二次のタス通信は、最後においてこういうふうに言つておるのであります。日本の降伏以来五十一万四百九名の日本人捕虜がソ通から日本に送還された、そのほか一九四五年には七万八百八十名の捕虜が戰闘地域で解放されておる、こういうふうに言つておるのであります。七万八百八十名に五十一万四百九名を足しまして、五十九万四千から引いた一万二千七百十一名が残留者とならざるを得ないはずであります。ところが第二回目のタス通信で何と言つておるかと申し上げますと、戰犯または取調べ中の戰犯容疑者として千四百八十七名、病気の者九名、そうしてまた中共政府に引渡さるべき九百七十一名、合計いたしますと二千四百六十七名になるのであります。それだけしかソビエトに残つていないというのでありましたが、それではその間の一万二百四十四名はどこに行つたのでありますか、これは明らかに幼稚園の生徒でも間違わないと思われるような算術の魔術であります。この人たちが宙に消えてしまつておる。かくもタス通信というのは当てにならないものであるとわれわれは言わざるを得ないのであります。さらに死亡者についても何ら言明するところがありません。しかしながら本委員会でこの前に証言いたしました小澤氏は、この一万二百四十四名の誤差というものはおそらく死亡者であろう、言外に死亡の意味を含ませておるのであろうと言つて、タス通信の誤差については彼も承認せざるを得なかつたのであります。死亡者はないと言つておりますが、死亡者はこの一万二百四十四名を上まわるということは、帰還者の現認した事実によつて裏づけされておるのであります。  以上申しました諸点、さらに帰還者実数との食い違い等についても、もはや申し上げることもないほどに明々白々であると私は思います。タス通信はかくも間違つたものであり、さらにタス通信を絶対正しいという基本的な大前提の上に立つて国連にあてて三団体が出した要請状というものは、まつたく意味をなさないとわれわれは考えざるを得ないのであります。
  59. 玉置信一

    玉置(信)委員 さらに重ねて津布久参考人、それから崎山参考人にお尋ねいたしますが、先般の委員会におきまして、三団体代表者を当委員会が招致していろいろと意見を聽取したそのことに対して、期待はずれをいたした。もつと聞いてもらうべきではなかつたかという意味発言があつたように記憶いたしますが、留守の家族方々は、せんだつての当委員会における三団体参考人意見を聴取した内容に対して、どういう点を不満に考えておられますか、その点について詳細を盡してお答えを願いたい。  同時に中村依子さんにお尋ねしたいのは、大連地区にまだどなたか抑留されているようでありますか、その家族の往復文書といいますか、手紙の往復をされておりますかどうか。聞きますと、最近大連地区では、抑留されておる日本人は、生活の面において以前とは違つて楽になつて来たというようなこともいわれておりますが、そうした抑留者の実情等についてあなたの知つておられる点、あるいはまた不満があれば、どういうようなことを漏らしておられるかというような点、また依子さん自身にとつてどういうような考えを持つておられるか、こういう点についてお伺いたしいと思います。
  60. 崎山稔

    崎山参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたします。私どもこの前の委員会の結果を拝見いたしまして非常に残念であつた。意見書に座視すべからずと書きましたゆえんのものは、ただいま私ども意見を申し上げましたような、本質的な問題が究明せられなかつたやに承つておりますので、それではこの問題は、はたしてその妨害の事実があつたかなかつたかというようなことすらも不明のままに終るのではなかろうかというように危惧をいたした点にあります。
  61. 津布久知男

    ○津布久参考人 非常に大きな質問でありますので、私はお答えするのにちよつと困るのでありますけれども…。
  62. 玉置信一

    玉置(信)委員 お話がなければけつこうですが……。
  63. 津布久知男

    ○津布久参考人 われわれがただ申し上げておきたいと思いまするのは、要するに問題の究明という点なのであります。われわれが念願いたしておりますものは、これは言葉のやりとりではなくして、現実に私どもの父を、子を、夫を、妻を帰してもらいたいということに出発しております。われわれは今三十七万と、そうしてタス通信の何万かという数が三十二万幾らも食い違つておるということは、われわれの実は聞きたいところではないのです。私どもほんとうに何人残つておるか、不幸にしてなくなられたならば、なくなられた状況をはつきり知らしてもらいたい、そうして一日も早くこの陰惨なわれわれの生活の状態からのがれたい、それが消極的な意味ではなくして、それが明快なる解決ということなのであります。その点について委員諸賢の御高配を切にお願いをいたしておきます。
  64. 中村依子

    中村参考人 大連地区の状況につきましては、私はちようど終戰の年に女学校を卒業しましたので、あまり当時のことはわからないのですけれども、ただいま大連には約千二百名ほど残つておるとされております。その大半は皆その道の優秀な技術者の方ばかりで、中共側としてはその技術を利用するために、ぜひ残つてもらいたい意向らしく、一昨年大連地区引揚げがありましたときに強制的に残された人たちなのです。千二百名の大半が技術者で、私の父はその技術者ではなく、大連の労働改造所といいまして、刑務所なのですが、そこへ今入つているのです。そのことはやはり一昨年の引揚者によつて報告されたのですけれども、その刑務所には今名前のわかつている人だけで十一人入つております。名前のわかつている人だけ読みましようか。
  65. 玉置信一

    玉置(信)委員 読んでください。
  66. 中村依子

    中村参考人 三浦武美元駐満公使、中村博元大連埠頭局港湾部長、武田角太元芝罘特務機関長、福江三郎、森繁男、中川貞好、松本貞治、渡邊藤雄、安藤道夫、田上藤藏、以上の人だけが名前がわかつているのですけれども、もちろん名前のわかつていない人も入つているように思います。これは一九四八年の七月に大連引揚げの際に、当所から釈放されて帰国された宇佐美恭爾という人から報告されたものと、一九四九年十月の大連引揚げの際に、当所から釈放されて引揚げられて来た柴田吾一という人の報告によつてわかつたものです。またお手紙が来ているかどうかということでしたけれども、今までずつと労働改造所からは来ていないのです。技術者の方々とは大分往復されていたようですけれども、私の父からは昨年の九月十五日に初めて参りました。これはおととしの暮れくらいから中共地区との通信が再開されるようになりまして、初めて通信連絡ができるようになりましたので、当所にあてているだろうと思つて、毎月一ぺん、それから五月ごろから一週間に一ぺんずつあてて出していたのです。そうしたらその返事としてそこから手紙が来ましたので、いることは確実となつています。
  67. 玉置信一

    玉置(信)委員 最後にもう一つ先ほど崎山、津布久両君の陳述された中に、死刑をもつて、ないしは極刑をもつて処断すべきであるという極論をされておるのでありますが、これをさらに具体的に、何か発表できればお伺いしたいのと、それから最後に申し上げたいことは、せんだつて委員会における三団体事情聴取にあたつて、もう少し究明すべきでなかつたかということであります。私は当日実は出席して発言することになつてつたのでありますが、のつぴきならぬ用のため旅行いたして欠席いたしましたが、おそらく相当、究明まで行かなくとも、事情を聴取されたと思うのでありますが、これは私の個人の意見でありますが、委員会といたしましては、検察官が取調べをするよう立場に立つものでなくして、両方の意見を率直に聞いて、これを判断して、委員会としてこれに対する態度を決定するというのが当委員会あり方と私は確信をいたしております。従いまして私がけさほど留守家族方々の御意見等も聞きまして、突然この委員会動議を提出して、皆様においでを願う委員会としての態度をきめて、ここにおいでを願つておるわけでございます。従いまして一方的の意見を聞くのでは判断もつかない。関係のある両方の意見を聞くということによつて公正なる判断を下すことができるという建前から、本日三参考人おいでを願つておるわけでございまして、この点誤解のないように、当委員会あり方についてあらかじめ御了承を願つておきたいと思います。
  68. 津布久知男

    ○津布久参考人 私どもが三団体の方に対して、極刑に処してもらいたいということを言いましたのは、主として次のような考え方からであります。それは日本の刑法の第三章には、外患に関する罪というものを規定しております。その八十一條には「外国二通牒シテ日本国二対シ武力ヲ行使スルニ至ラシメタル考ハ死刑ニ処ス」という言葉があるのであります。これを逆に考えまするならば、今や国際的な法とも考えられ、もしくは普遍的な通念であることに間違いのない人権に関する国際宣言というものが普遍的な人間の基本権を守るたてとなつております。しかるに日本の同胞三十余万は、国連においてさえもソビエト側の妨害にあつてこれを究明することができない。しかもその妨害をさらに強くするために、私どもはこの三団体が、日本政府数字がでたらめである、さらにまたタス通信は絶対に正しいというふうな行動にまで出たことは、これは明らかに外患に対する援助罪を構成するものであると考えるのであります。それは法の規定するところに従いまして、私どもは明らかに死を免れざる大きな犯罪であるというふうに考えたからであります。  私どもはさらに申し上げておきたいことがあります。それはすなわちこの三団体方々といえども日本国内に留守家族があり、さればこそまだ帰つて来ていない人があるということははつきり認めておるのであります。三団体人たちも、まだ在外同胞がいるということを認めておる、これは不幸中の幸いであります。しかしながらこの三十余万の人たちがソビエトにいなくて、ソビエトの発表した通りに千四百幾名しかおらない。そのほかの者は終戰時英、米、濠、これらの国々が管理しておつたところの諸国南方その他の地域に残つておるのだ、こう言つておるのであります。私ども先ほど申し上げましたような実例によりまして、ソビエトがその後満州に入れたり出したりしておる事実をたくさん知つておりますから、ソビエトに今はつきり三十何万という人が残つておるかどうかということにつきましては、大きな疑問をもちろん持つております。しかしながら三団体の人の言うように、それは日本政府が抑留しておるのではありませんから、日本政府に聞いてみてもいたし方ないことだと考えております。そこでわれわれはソ連当局に対しましては、みだりな政治的拡大を欲しなかつたので、われわれといたしましては、過去数十回、数百回にわたつて、あの代表団に直接われわれの要求を——われわれの要求というのは、せんじ詰めて申し上げますならば、残留者に関する一切の情報を提供してもらいたい、死亡に関する一切の情報を提供してもらいたい。そうして治療して送還する九名というところまではつきりわかつておるのならば、その九名の名前だけでも知らしてもらいたい。さらに戰犯ということであるならば、その容疑の事実その他について、国際的に普通行われております手続従つてわれわれに知らしてもらいたいということをお願いをしたのであります。ところが今日までこれに関しては一片の通報も与えられておりません。これはもうすでに御承知の通りだと思います。しかし最後にわれわれが知ることができるのは、ソビエト地区から私ども肉親のところにもたらされました俘虜通信と、それから昨年の四月十七日と四月の二十二日に、ハバロフスク、カラカンダ、ナホトカ——ウラジオを含みますが、この三つの地区から帰つて参りました合計二千八百四十余名の人たちによつてもたらされた情報だけであります。そうしてこの三つの地区からの二千八百四十余名という限られた帰還者から得ておる数だけでも、すでに一万九千名に達しておることを、われわれはつきり申し上げられるのであります。今ここに、たとえばハバロフスクの十六地区、あるいは十三地区のウラジオ、そこにどれだけの人たちが残つてつて、それを証言した者はどういう人たちであるかというふうなことについて詳細申し上げることができますが、私は一つの例だけを申し上げておきたいのであります。それは受刑者以外の者で、信濃丸で帰国する予定になつておりまして、一度ナホトカまで出て来て、再びウラジオの第二分所——ウラジオの第二分所というのは、サマルカンドという船でありますが、この船の分所に帰された人たち、これらの人たちは明らかに戰犯者でも何でもない。信濃丸で当然返すつもりでナホトカまで引き出しておつたのに、またひつ込めてしまつた、こういう実例をわれわれ知るのであります。すなわち戰犯以外の者、病人以外の者の数は三百名に達しております、これらの人たちが厳然として存在するのであります。これを報告いたしました人は、このウラジオの第二分所のサマルカンドから帰つて参りました石川実という愛知県の人でありますが、この人がはつきりこの事実を確認して証言いたしております。  さらにわれわれはこういう事実のあることも知つていただきたいのであります。それは徳田要請事件が、ちようどこの前後に非常に問題になりましたので、当然日本に返して徳田要請事件に不利な証言をすると思われる帰還者を一時延期さしたのではないかと考えられるのであります。この点につきましては、カラカンダから帰りました日高高綱という方が報告をいたしております。すなわち峯田という人を明優丸で帰国せしめ、次に信濃丸で帰るはずの泉田という方の出発直前に、突然収容所の門前においてさしとめておる事実があるのであります。こういうふうなことは、明らかに戰犯でもなく、戰犯容疑でもなくして残して置くということであると思います。それからこれは非常に古いあれになりますけれども、たとえば樺太から中央アジア、タシケントとかアンダレンとかカラカンダ付近に送り込まれておる人たちの中には、三百名の婦人がおるということを証言しておる人たちがある。こういうことについてもわれわれは究明を願いたのであります。そうして一日も早く帰れるようにしていただきたいのであります。  以上二、三の点を指摘しただけでありますけれども、私は後ほど委員会に対して詳細なこれらの方々の口供書を添えまして、資料を提出いたしたい。そうしてその用意を進めておることだけを申し上げておきます。そういうふうな、事実今ソビエトに何人残つておるかということについては、これはソ連当局のみが知つておることだと思います。この点につきましては、われわれはさらに誠意を盡して要求を続けたい、かように今考えておる次第であります。
  69. 若林義孝

    若林委員長 高田富之君。
  70. 高田富之

    高田(富)委員 二、三簡單に御質問したと思うのでありますが、この同胞をこちらへ早く一人残らず帰してもらいたいということは、さつき何か共産党には言つてもわからぬからというお話でありましたが、そういうものではない。私どもは一人でも早く、どこにおるかしこにおるという問題は別といたしまして、ほんとうに遺家族方々のことを思えば、早く帰つていただきたいというので、終戰直後からいろいろな形で、あなたもさつき言われたように、徳田さんも一緒に行つたというようなことで、努力はしておるわけです。ところが数字の上では、この間も小林君でしたか、言いましたように、若干のわからぬ点はある。しかしともかくも公式発表と認められるタス通信で、何千人か残して帰つたという一応の報告があつたのです。これに対して日本の政府の方では、いやそんなことはない、三十七万おるはずだというふうに、終始一貫して非常に強調しておられるわけです。ですからわれわれとすれば、あなたもおそらくそうだろうと思うのですが、日本の方ではおるはずだと言つて、向うはいないと言つている。二千名と三十七万ではばかに開きがあるのであるのです。何とかこれを明らかにしたい。政府の方で確信をもつてそういつておるならば、ひとつぜひ教えてもらいたい。ほんとうに三十七万人確かにおるのだつたら、あなたの方は発表して、いないと言つているけれども、違うじやありませんか、これこれこういうわけですといつて行けるし、ほんとうに私ども確信をもつて、では何々県のどこには幾人、何々県のどこ町にに現に遺家族にこういうような手紙が来ておるということをお示し願えれば、私は今からだつてやります。ところがそのことについて私どもも、せつかく政府が責任をもつて、しかもずいぶん長く前から発表しており、国連までも行つている、対日理事会でも問題になつておる、これは日本政府の資料として出しておるわけですから、やはりこの政府の資料について疑惑を早く解きたい。そして私どもも早く遺家族諸君のところに行つてほんとうにそういうふうな人が三十七万もおるのならば、お見舞にも上り、あるいはさつき問題になりましたように、その引揚げの促進運動というようなことをやらなければならぬのです。御質問したいのですが、どうです。あなた方お考えになつて、そういういうふうなことを、何百何十何人まで政府は発表しました。この間、八月現在三十七万何百何十何人まで発表しました。これについては正確に名前も本籍も、留守家族のある人はその現住所も、その他いろいろな事情までがすつかりわかつておるというわけなんです。これを私早く、府県別、市町村別の内訳だけでもいい。名前はたいへんですから……。これを示していただいて、県から市町村に行けば名前もわかるわけですから、御発表願いたい、こう私どもはお願いしておるのですが、あなた方はそういうお願いを政府に対してやることを促進したいとお考えになりますか。
  71. 津布久知男

    ○津布久参考人 その前に、高田先生に私は御質問申し上げたい。それは…
  72. 高田富之

    高田(富)委員 いえいえ。私の言つたことにまず答えてください。
  73. 津布久知男

    ○津布久参考人 私は双方に立場上の開きがあると思うのです。それをまず調整しなければ、私が最終的に結論を出しましても、これはちよつとおわかりにならないだろうと思います。それで私は高田先生に御質問を申し上げたい。過去五箇年間にわたつて、私は再三再四ソビエトの代表団に対して要求をして参りました。それは先ほど申し上げましたように、残留数、そしてその人たちがどこにおるか、どういう生活をしておるかということについてはお認めになりますか、いかがでございましよう
  74. 高田富之

    高田(富)委員 委員長つてください。私に対してまず答えてもらつて……。
  75. 若林義孝

    若林委員長 議場になれない人ですから言いたいことは言わして、あなたは答えたくなければ答えないでいい。
  76. 高田富之

    高田(富)委員 それは答えなくても、私の質問には答えられるはずですから……。私は別に論争しようとも思いません。
  77. 若林義孝

    若林委員長 答えられないそうでありますから……。
  78. 高田富之

    高田(富)委員 ちよつと一言します。今日は論争しようとは思わない。私どもはこういう問題についてはしよつちゆう委員会でやつておりますから、今日はあなた方の御意見だけを伺つて、あとでまた前の小林君やなんかの言つたことを、皆さんの言つたことを総合して委員会議題になると思います。ぜひ今日は、私の聞いたことについて答えられる範囲で誠意をもつてひとつお答え願いたいと思います。
  79. 崎山稔

    崎山参考人 お答えいたします。私は高田先生が、タス通信の発表矛盾はあるけれども一応発表があつた、それから日本政府内容がまつたくわからないが、数字は出しておる、しかしいずれもその内容がわからない、そのときになぜソ連責任ある回答を求めることをしないで、日本政府にのみそれをお求めになろうとするのであるか、私ははなはだ了解に苦しむものであります。私はむしろこのことが起きたのは、先ほど申し上げましたように、もともとソ連がどれだけ連れて行つたかということに対する基本的な数字が、あの引揚げ対象の基本数以外には出ておらないというところに起因しておる。とするならば、究極的な責任ソ連にあると私どもは考えるべきではございますまいか。これが正しいのではないかと思うのであります。私の見解はこうであります。
  80. 高田富之

    高田(富)委員 それで大分あなた方の考えはよくわかりました。ですから私の考えは、これは前の小林君が一万人といつておるのですが、タス通信でも一万人の食い違いがありますということは、これはこの前のあなた方と反対の方の方々でも言つておることなんです。この問題については、あなた方の意見を照合してまたこの議題になることなんです。今あなたに聞いたのは、とにかくここにそういう点はある。これは小林君が言つております。それに対して政府の方ではあまり開きがある。三十七万何がしの何名まで正確に発表しておりまして、そのことについては、もう調べが済んでおるはずのことですから、何とかもう少し目鼻をつけて、府県別くらいはどうとかこうとか発表願いたいということを、私どもは今お願いしておるわけです。これは共産党ばかりではない。自由党の佐々木君も、この間外務委員会で熱心に要望されておる。この間も、ちようど同じことをしよつちゆう聞くわけですが、国民としてやはりこれは政党政派を超越して——これは自由党の方も聞いておるのです。このことについてはあなた方の方でどう考えておるかということを、あなた方にお聞きしたいのです。
  81. 崎山稔

    崎山参考人 お答えいたします。そのことにつきましては、高田先生を初め共産党の諸先生までもがこの問題に関心を持つて御熱心に努力してくださつておることについて、非常にありがたくお礼を申し上げます。但し、しばしば耳にすることでございますが、私どもこの前、昨年の暮れに、貴党の立花先生と実はお目にかかりまして、このことにつきましていろいろ御懇談を願い、御教示いただいたのでございますが、そのときも、しからばお前らは一体何名数を持つておるのか、その数を持つて来い、どこの何というやつがあるのか、ちやんと名前を書いて持つて来い、そうすればいくらでも運動してやるぞとおつしやいましたが、私は失礼ながら、いわゆる共産党から言わせますならば、ブルジヨア的反動的政党がこういうことをおつしやるならば、あえて意に介しません。しかしながらいわゆる人民の党であり、人民の味方であり、プロレタリアの味方であると称せられるところの共産党の先生がかくも官僚的に数を持つて来い、名前を書いて持つて来い、おれの方で調べられぬから、お前の方で調べて来いというよう態度でもつてこの問題に対せられるということは、やる意思はあるあるとおつしやりながら実はする意思がないのだというふうにしか考えられないのであります。ですから私どもといたしましては、それだけ熱意がありますれば、どうかすぐにソ連の政府に対しまして、先ほど申しました戰死者の氏名死因等の発表、あるいは抑留者数等の発表、それをすみやかに求める一大国民運動の先頭に立つて大いに働いていただきたい、こう思うのであります。
  82. 高田富之

    高田(富)委員 いろいろあなたの要望事項はけつこうですから、いくらでも要望していただきます。立花君がどう言つたこう言つたといいますけれども、今のようなあなたのそういつた態度で行きますと、売り言葉に買い言葉みたいになります。実際は、立花君も共産党の代議士で、私どもはこんなに熱心にやつておるのだが、その根拠を持つて行かなければ、同じことばかり言うことになつて、ソ同盟の代表部に行つたつてようがないから、その根拠を——さつきの三十七万幾らの根拠を持つてやりたいと思うのです。ですから、立花君の言つた意味は、そういう意味なんです。
  83. 崎山稔

    崎山参考人 わかりました。
  84. 高田富之

    高田(富)委員 それはまあそれでいいでしよう。それからお伺いしておきたいことは、何かさつきあなた方の方で出された文書の中に、徳田要請のために、何か分所で引揚げたということを——記憶しておりませんが、徳田要請の何かのことをちよつと述べておつたように思うのですか、あの徳田要請の問題も、この委員会ではなかつたのですが、やはり国会で扱いまして、いろいろと事情を聞いたわけです。あのとき、もちろん私ども徳田さんが出るまでもないけれども、出て話されたことを見ましても、━━━━━━━━━━━━━━━━━こういうふうに考えた。
  85. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 ちよつと関連して……。
  86. 高田富之

    高田(富)委員 発言中だ。
  87. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 関連発言だ。
  88. 高田富之

    高田(富)委員 発言中に関連があるか。これは発言妨害だ。
  89. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 発言中でも、これは重大問題だから……。
  90. 若林義孝

    若林委員長 ちよつとあとにしてください。
  91. 高田富之

    高田(富)委員 前提が狂つておるとお話になりませんから……。そうするとあなた方は、共産党というものは終始帰すな帰すなというふうにやつて来たものだという前提に立つておられるのですか。
  92. 若林義孝

    若林委員長 では佐々木君から今の関連事項で……。
  93. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 今の高田君の発言は重大問題であります。なぜかというと、徳田要請問題をここで繰返すわけではございませんが、国会の権威にかかわることですから、私ははつきりしておかなければならぬ。要するに共産党の方では、徳田要請なるものは事実無根であつたというように自主的に考えておるかもしれません。しかし国会におきましては、二十三名の証人の証言を求めて、その結論を得たことは、本会議において当時の考査委員長から明らかに報告されておるのであります。その報告に基きますと、徳田要請なるものは事実あつたということがはつきりしておる。ただその証人の中に、菅君という人が、その徳田君から行きました文書を翻訳した、その翻訳の、要請であつたか希望であつたかという解釈の点が違つただけであつて、その徳田君から行つた書面というものはたしかにあつたということは明らかにされた。それは院議において認められたことであります。その院議において認められたことを、ここで高田君が今、徳田要請なるものがまるでなかつたよう発言をされるということは重大な問題でありまして、院議にそむく発言だと私は考えますので、関連発言を求めたのであります。  参考人の方に申し上げますが、ただいま高田君の言われたことは、これは院議において決定したものを、今高田君個人においてくつがえした意見でありますから、そのことを御了承願いたいのであります。そのことについての高田君の処置につきましては、いずれ後刻私たちが考えますが、一応……。
  94. 中山マサ

    中山委員 私はその点について関連して申し上げたいと思いますが、向うには実際人が行つていないのですから、徳田要請があつたかなかつたかということは、院議によつて決定しましたけれども、ずいぶん長い間ややこしいことになつておりました。私このたび国連に参りまして、これがよもや私どもの目にとまるとは考えないでお出しになつ要請が、偶然私どもの目にとまつたということによりまして判断いたしますと、徳田要請もきつとあつておつたろうと私は結論を結んで、向うから帰つて来たのであります。そしてまたこの今の三団体発言というものにつきましては、対日理事会におきましてもいつもソ連代表がそこに出席されて、この問題を取上げようとすると、席をお立ちになつた場合も、私は現に見ております。そういうわけでもしもほんとうにないのならば、あの対日理事会においても諄々と説明をして、皆様方になぜ納得さしてくださらないのかというのが、私のどうしても納得が行かないところでありまして、ここにおいてそういう態度をとられ、そうしてまた人道委員会におきましてもアルチューニヤンという代表が、それはもう話すべき問題ではないのだと言うてけられたこと、それからまたこの三団体がこれを国連で取上げてくれるなと言うたこと、この三つどもえを考えますと、私はここに一貫性がある、こう思うのであります。ですから、この問題は全然取上げないという、何と申しますか、御親切な取扱い方がここにあるのではないかと思います。また私ども国連のことを報道して各地を歩きますときに集まつて来る家族方々の数を見ましても、二千や三千ではないということを私どもはつきりと見て来ております。でありますから、この問題は私は確かに二千やそこらがいるのではないということは、私が留守家族に面接して来た点からもはつきりしておると思うのであります。その点いかがでございましようか。あな方はどうお考えですか、感想を聞きたいと思います。
  95. 若林義孝

    若林委員長 では先ほど高田委員からの御質問と、中山マサ君からの御質問とに答えてください。
  96. 津布久知男

    ○津布久参考人 まず高田委員の質問に対してお答をいたしたいと思いますが、高田委員の御質問はちよつと途中で結論がかわりましたので、論旨としてはつぶれておるのでありますけれども、最後の結論についてだけお答えを申し上げておきます。それは最初の方は数字の問題についてであつたと思いますが、私は日本政府責任者ではありませんので、高田委員の質問については答える必要がないと考えております。もう一つ最後の高田委員結論でありますが、これにつきましては、共産党は返すなと言つているかいないかということでありますが、これは私ども考えますのに、制限つきで返せということを言つております。すなわち共産主義者になつたら帰つてもよろしい、共産主義者は大いに返せ、いわゆる一時赤になつてつて来た人たち問出迎えたあの熱狂的な興奮というものは、はつきりこの事実を——徳田君は何と言つておるか知りませんが、明らかに人民大衆がこれを冷笑しておる。私はかように考えます。  それから中山先生の御質問でありますが、私は今日残念ながらはつきりしたリストを持つていないのです。ソ連にどのくらい、中共にどのくらい、そうして一つの県ではどういう比率でもつて残留者が分布しておるかということははつきり私は申し上げられますが、それは後ほど委員会に提出いたしたいと思います。しかしながら高田委員のおつしやるように、私は決し二千数百名ぐらいの人しかソ連に残つていないことは断じて考えられませんし、また留守家族の現認の事実は、これを否定せざるを得ません。そのことだけをお答え申し上げておきます。
  97. 高田富之

    高田(富)委員 それは私どもも、終始先ほど申し上げたよう態度でずつとやつております。徳田さんの名前でこの国会の郵便局から向うへ出した長文の手紙を向うので一般に発表しておりますけれどもほんとうに促進のためにはやつておるのです。政府与党はいろいろの宣伝をいたしますけれども、それはそれでいいとしまして、そこで一つお伺いしたいことは、さつき小澤君が何か奥地へ——何かしたものをみな奥地を返した。今帰らない人は彼らによつて向うへ返されたというようお話があつたようですが、あなたは小澤君とよく知り合いなんですか。
  98. 津布久知男

    ○津布久参考人 私はその点については、だんだん誘導尋問にひつかかつて、問題のあれを狭められて行くことをおそれますが、その点については私は小澤氏と知り合いでも何でもありません。また面識はありますが、小澤君は私を知つておりますかどうかは存ません。しかしながら小澤氏を含むところの高山氏であるとか、あるいはナホトカの鬼といわれた津村氏といつた方々が返したという事実に対して、高田委員がもし反証をあげろとおつしやるならば、幾らでも反証をあげたいと思います。
  99. 高田富之

    高田(富)委員 そうすると、間接的な話のわけですな。
  100. 津布久知男

    ○津布久参考人 高田委員の最後の結論から私は重ねてお聞きをいたしたいと思いますが、一九四九年のジユネーヴ議定書で、抑留しておる国の政府は抑留者の属する国の政府、すなわちソ連政府から日本政府に対して、捕虜の詳細について通報をする義務つてを持おる、こういうふうに考えるのでありますが、その点について高田委員はどういうふうにお考えになつておりますか。
  101. 高田富之

    高田(富)委員 それはきようはあなたから質問を受ける筋合いではないと思うのです。それできようはこの前のかたき討ちで、ないしよでいい人をお選びになつておいでだが、私は決してあなたと口論しようとは思つておりません。それでなおあなた方の御意見を伺いたいと思いますが、あなた方はソビエト地区以外の方面、太平洋方面とか、そういう方面残留者が相当いるとか、あるいは生死不明というような形のものが相当数あるのではなかろうかというふうには今お考になつてはおりませんか。
  102. 津布久知男

    ○津布久参考人 お答えいたしたいと思います。いると私どもは信じております。そしてまたはつきりした証拠も持つております。まず一番多いところは中共地区であります。しかも最近に至りましては、朝鮮事変の進展に伴いまして、中共側の大きな軍事動員が行われたのでありますが、向うの通信によりますと、この動員の中に日本人抑留者が多数巻き込まれているという事実も私は知つております。それらの点につきましては、後刻相当数の中共地区からの書簡を提出いたしたい。今日は私は突然でありまして、高田委員は作為的に私どもをお選びになつようお話になつたのでありますが、私どもは実は今日突然ここに呼び出されて、今まではそういう話を全然聞いていなかつたのであります。私ども委員長も、実は私がここに出て証言することに反対をいたしておつたほどであります。しかしながらわれわれは異地区に現在どのくらいの人が残つている——それについては、十一万や十三万くらいの人々が残つているであろうと考えております。しかもその中には相当数のソビエト地区から流入された人たちがいるということも知つております。
  103. 高田富之

    高田(富)委員 ソビエト、いわゆる中共以外の方面についてはどうですか。
  104. 津布久知男

    ○津布久参考人 私どもはそれを所管している各国政府から司令部を通じまして私どもの手元に、たとえば山の中にいるものが投降して来た、そういう事実については逐一知らされておりますので、その点については大きな不安を持つておりません。
  105. 高田富之

    高田(富)委員 それはあなた方の御意見で、それを承つておきます。  ただここでもう一つ念のために伺つておきたいのでありますが、この引揚げ関係の問題は、われわれの、またあなた方の意に非常に反して、何か政治的な対立関係の中で特別に大きく扱われる危険性を持つていると思うが、そういう危険性を感じておりますか。
  106. 津布久知男

    ○津布久参考人 私は人道的な立場からこの問題が最も大きく取扱われることを痛切に希求いたしております。
  107. 若林義孝

    若林委員長 他に参考人の方に御質疑のある方はありませんか。
  108. 津布久知男

    ○津布久参考人 私は高田委員に、こういうふうに了解していいかということについてお答えをいただきたいと思います。それは高田委員先ほど発言の中に、一万数百名のタス通信の矛盾を認めている、こういうふうに言われております。その矛盾は私はタスの根底を崩壊する大きな原因だと思いますが、それによつて、タス通信自体を高田委員が否認したもの、こういうふうに考えてよろしゆうございますか。
  109. 高田富之

    高田(富)委員 私の意見を申し上げたのではないのです。小林君もそういうふうに言つている、この両方の意見をこの委員会において大いに検討したい、こういう意味です。  それからお伺いしておきたいのは、ポツダム宣言違反とかいろいろなことを先ほど言われましたが、これについてはあなた方の意見はよくわかりました。ところでポツダム宣言違反ということは非常にこれは重大な問題です。引揚げ問題その他どの問題についても、日本としては連合国各国がこれをよく守つてくれるもの、また日本もこれを守るというこの協定で、敗戦後の新しい日本をつくるために努力しておるわけであります。でありますから、あなた方が幸いにしてこういことはポツダム宣言違反ではないかと思うようなことがあれは、これはどの問題でもかまわない、やはり私どもが主張するということは非常に必要なことです。そこでやはりこの引揚げ問題は、あなた方は今希望だけを述べられましたが、実際問題としては、国際的な対立関係の中での一つの政治的な意図を持つた問題として取上げられる危険性は非常に大きい。これを否定することはできないのです。それは別として、そういう状態の中ですから、ポ宣言違反ということを特定の国について言うような場合、事きわめて重大なことでありますので、あなた方がそういう今の環境の中で、冷静にお考えになつて、ポ宣言違反というものが、他の方の陣営においてあるだろうかないだろうかというようなことをお考えになつたことはありませんか。
  110. 津布久知男

    ○津布久参考人 私は三つの点についてお答えを申し上げます。それは高田委員の御質向がその三つを突いておるからだ、こういうふうに考えます。第一番におしまいから申し上げますが、ポツダム宣言の問題です。われわれは留守家族立場といたしまして、ポツダム宣言にソビエトが違反しておるかどうかということについては私は大いに訴えたいと思います。しかしながらその他の点については、どうぞあなた方の方からほかの国のことについてはお知らせを願いたい。私どもはそういうものに頭を使つている余裕がないほどに陰惨な生活に打ちのめされておる。こういう事実をはつきり知つておいていただきたい。  もう一つの点であります。それは政治的な目的ということを言われましたけれども、それは私はこういうふうにとれたのであります。それはソビエト側からする政治的な何といいますか、たとえば抹殺措置であるとか、あるいはまたこの問題を歪曲する措置であるとかいうふうな意味に考えてよろしゆうございましようか。  もう一つの問題についてはちよつと忘れましたから、思い出したらお答え申し上げます、
  111. 高田富之

    高田(富)委員 そういうふうなことをお伺いした意味は、実はあなたじやなかつた。一番向うの方じやなかつたかと思いますが、健青会という団体は引揚げばかりやつているのではない、新日本をつくる倫理的、道徳的云々ということを言われましたので、そういうことをお伺いしたのです。ですから、あなたの方からお聞きしたい。
  112. 崎山稔

    崎山参考人 私どもは政治的な問題にこれが利用されることを極度におそれております。それは高田先生の仰せられる通りでございます。なるがゆえに、私どもはこのよう要請文が実は政治的にこの問題を取上げようとしている企図を持つておるとして、ここに意見書を差出した次第でございます。私どもはそういつた意味から、常にこの問題が人道的な立場を離れまして、政治的な問題に発展することを極度におそれております。しかしながら同時に、客観情勢が自然にそうなるのだから触れてはならないとしてこの問題に触れないわけには参りません。従つてどもはあくまでもこれを人道的な立場から取上げて、理非曲面をただして行くという立場をどこまでもとりたいと思つております。  それからもう一つの問題は、ポツダム宣言違反云々のことでございましたが、ポツダム宣言に違反している、していないということを申しまするならば、違反しているのは、明らかにソ連であるということははつきり私ども申しております。これをくつがえす理由を持つておりません。しかしながらポツダム宣言は国際的にも、負けた勝つたは別にいたしまして、国際的な協約でありまする以上、連合国と敗戰国日本との間の約束でございます。その意味で、この連合国の名において私どもに約束されましたポツダム宣言九條が実施せられないことは、アメリカをも含んだ全連合国の御責任であるということは、私どもの基本的態度として持つております。
  113. 高田富之

    高田(富)委員 御意見はよく承つておきます。いずれにしましても、健青会というような、広い範囲で新日本をつくる団体でありますから、やはり冷静に、客観的に御判断になる努力をお互いに政治的な団体はやらなければならぬということを申し上げておきたいと思います。  ついでにお伺いしておきたいのですが、あなたの健青会の綱領のようなものがありましたら朗読していただきたい。
  114. 崎山稔

    崎山参考人 実は今日綱領を持つて参りませんので、何でしたら、後ほど党の方へお届けいたします。
  115. 高田富之

    高田(富)委員 大体御説明願いたい。
  116. 崎山稔

    崎山参考人 第一点は、私どもは人道的立場に立つて社会正義を追求するということが一つ、第二点は、日本のこれにつながる独立と再建をはかるということが一つ、第三点は、それを通して世界の平和に寄与したいということが一つ、この三点でございます。
  117. 高田富之

    高田(富)委員 なかなかりつぱな綱領で、私も入会さしていただいてもいいと思います。先ほどあなた方が出された何か文書の中に、ちよつと御説明もあつたようですが、刑法の何條かに触れる——外国と結託して、武力をもつて日本を何とかする條文に触れるというようなことを言われたのでありますが、しかし言葉はすこぶる最大級の、極刑に処すべしという言葉でありまして、穏やかでないのであります。それほどまでに言われるとすれば、今のあなたの言われた綱領の中にある世界の平和、日本民族の独立というような観点から、われわれ日本の今置かれている立場というものをよく考えまして、今は独立しなければならないという前提に立つた綱領だと思いますが、早く独立しなければならぬというこの観点から私どもが考えた場合に、あの三人の人々が言つているように、日ソ親善協会方々も、あなた方も傍聴されたと思いますが、よく言つておられた、つまり共産主義のすききらいということは別にして、日本が完全に独立するためにはどうしても隣合つている国々、特にアジアの諸国と親善関係を結び、全面講和の方向に進みたい、そういうふうな立場に立つたあの人たちの理念、いろいろこまかい点、具体的な行動や何かについては対立ということはあるでしよう。しかしながらこの理念に対しましては、私どもお話を聞きまして相当了解できる点があると思う。ですから、お互いにみな日本人だから、故国を愛し、民族の独立のために、そして平和のためにやろう、こういう熱意から出ているのでありますから、あなた方も感情的にならないで、同じソ連から帰つて来た日本帰還者同盟の人々の間柄でありますから、よく話合つて、——私もあなたの基本綱領を聞いて、あたの会に入りたいくらいです。綱領は同じすから、意見の食い違いはどこにあるかということを徹底的に討論して、手を握つて正しい方向へ行くというくらいの熱情がなくてはならない、こういうふうに私は思います。さつきように、ああいう何か事態を荒立てる文句を使つて、あのような文書を出したりするということは、はなはだ穏当を欠き、健青会の将来の発展のためにどうもおもしろくないことになるのではないかと思うわけであります。  そこでこの機会にさらに伺つておきたいと思うことは、さつきもあなたが強調されたように、一体ああいう国連要請を出すよう団体が、自由、平和独立などというのはとんでもない。まつ赤な偽りだというふうにあなた方は断定された。しかしながら私はあなた方の綱領を読みまして、こういう綱領を掲げておるあなた方がどうしてそういうふうなことを言うのかわからない。だからあなた方もきよう委員会の空気を、初めからごらんになつてよくわかつたと思うのでありますが、最初から私はこうして少数で、ただの一人で、みんなのやつている中で日本人のために、日本の独立のために、真の平和のためには……。(「それは宣伝だ」と呼び、その他発言する者多し)という考えでやつておる。その自由、平和、独立をあなた方はどうやつてかちとろうとしておるのか(「そんなことは聞きたくない」と呼ぶ者あり)どういう方法で自由、平和、独立を達成しようとしておるのか、ひとつ伺いたい。
  118. 津布久知男

    ○津布久参考人 私は高田委員に聞きたい。平和とか独立とか何とか言つておりますけれども日本の主権の中に日本人民を置き得ない国家というものはありますか。日本の平和と独立を要求する者が、そのような妨害的な言動をするというようなことはまつたく考えられない。あなたの言うことは論旨がまつたく滅裂じやないですか。  それからもう一つ私は申し上げたい。われわれは高田委員の言うような平和であるならば、われわれは絶対にその平和のために、われわれの肉親を犠牲にすることはできない。黙つてささげ奉ることはできない。  最後に私は高田委員からこのことについてぜひ承つておきたい。それは、あなたはタス通信の間違いを認めるかいなかということです。
  119. 崎山稔

    崎山参考人 私はあなたから聞かれておりますからお答えいたします。  この前の私の言葉ではありませんが、きようは私は、この三団体から出された要請文が、引揚げ妨害になつておるか、なつてないかということの私ども意見を申し上げに来たのであります。どうやつて平和をかちとるかとか、独立をかちとるか、そんなことを言いに来たのではない。しかし一言申し上げるならば、私ども先ほども申したように、言葉の上の美辞麗句を並べ、あるいは綱領やスローガンに目をとらわれて、まことにいい団体だから入りたいというようなけちな根性を持つておらぬ。その団体なり個人なりの実際に実行しているこの事態においてその価値判断をするのです。共産党がそれほど自由と平和と独立のために働いておるというならば、そしてこの引揚げの運動のために熱心にやつておられるというならば、私のさつき申し上げた要素をさつそくやつていただきたい。やつておらぬじやないか。それならばなぜ国民運動に賛成されなかつたか。そういうことを度外視しておいて、いたずらに理論闘争をなさろうというよう態度は……。
  120. 若林義孝

    若林委員長 参考人に申し上げます。質問せられたことのみについて簡單にお答えを願うよう、議論にわたり他事にわたらぬよう……。
  121. 崎山稔

    崎山参考人 関連いたしまして申し上げました。以上であります。
  122. 玉置信一

    玉置(信)委員 議事進行について……。私はただいまの高田委員の質問になつております要旨をつぶさに聞いておりますと、どうも質問に名をかりまして、とんでもないわが党の宣伝をしようというような気分で発言しておるように思う。しかも質問する内容はことごとく偏見です。しかも相手方は先ほど委員長の言われたように、議会に対しては全然なれていない方なんです。院外の方なんです。でありますからできるだけの発言を許し、同時に質問されたことに対しても親切に答弁すべきだと思うのでありますが、高田委員は自己の主張ばかりし、宣伝ばかりをいたして、相手方の納得するような答弁は、都合の悪いところはたな上げしてそれに触れないように、痛いものに触れないというよう態度をとつておられる。はなはだ不可解しごくだと思う。従いましてあのよう発言内容は、委員長において適当にひとつ処理していただくように希望いたします。
  123. 高田富之

    高田(富)委員 私が誠心誠意冷静に聞いているのに、そういうふうに意識的に出て来るのは、明らかにこれはこの前に大分やつつけられたからそのかたき討ちをしようというような………(発言する者多く議場騒然)それで私が聞きたいことは、結局この引揚げ問題を取上げまして、政府自体が、敗戰後満洲におつた者の教が七十万人も食い違つておることを言つておる。━━━     ━━━━━━━━━━━━━
  124. 高田富之

    高田(富)委員 私が誠心誠意冷静に聞いているのに、そういうふうに意識的に出て来るのは、明らかにこれはこの前に大分やつつけられたからそのかたき討ちをしようというような………(発言する者多く議場騒然)それで私が聞きたいことは、結局この引揚げ問題を取上げまして、政府自体が、敗戰後満洲におつた者の教が七十万人も食い違つておることを言つておる。━━━青年の君たちにそういうばかばかしいことを言つておる。そういうことは全部……(発言する者多く議場騒然)諸君の考えはわかつた。これ以上聞く必要も何もない。これははつきりしておる。大体こういうふうな初めからの仕掛をしておいて、この前やつつけられたからきようはひとつ反共宣伝をじやんじやんやろうというような卑劣なことをやるようなこの委員会であるからこそ、政治的陰謀の道具となつておる。━━━━━━━となつている本委員会をすみやかにやめるべきことを先般来わが党は主張しておる。しかるにこうやつて十日も二十日も仕事をしないでおいて、突如として反共宣伝の花火をあげようという……。
  125. 若林義孝

    若林委員長 高田君、質問ですか、何ですか。
  126. 高田富之

    高田(富)委員 こういうふうなでたらめきわまる……。
  127. 若林義孝

    若林委員長 質問以外は……。
  128. 高田富之

    高田(富)委員 もはや質問やら何やらいう必要はありません。引揚対策委員会は解散すべきだ。やめなさい。
  129. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 私はここにただいま高田委員発言中に容易ならざる点があると思うのであります。それはわが党を非難することは決してさしつかえありません。それは政党が違うのですから。しかしながらこの引揚げ問題に対して国会がこれほど熱心にやつておるのに、そのやり方においては、見方によつてはそれはなまぬるいと言われる点もございましよう。しかしながらこの引揚げ問題は重大問題だというので、この委員会が続行されておるのであります。それを独断的に解散すべきであるというような論を出されたことにおいては、留守家族のために非常にわれわれは憤懣にたえません。しかしこれをどうしようというのではありませんが、その発言の中に、━━━━     ━━━━━━━━━━━━━
  130. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 私はここにただいま高田委員発言中に容易ならざる点があると思うのであります。それはわが党を非難することは決してさしつかえありません。それは政党が違うのですから。しかしながらこの引揚げ問題に対して国会がこれほど熱心にやつておるのに、そのやり方においては、見方によつてはそれはなまぬるいと言われる点もございましよう。しかしながらこの引揚げ問題は重大問題だというので、この委員会が続行されておるのであります。それを独断的に解散すべきであるというような論を出されたことにおいては、留守家族のために非常にわれわれは憤懣にたえません。しかしこれをどうしようというのではありませんが、その発言の中に、━━━━事実無根であります。━━━━━━━━━━━━━━━━━、大衆がよく承知しております。そういう捏造的な、しかも、事実無根の発言を当委員会委員長のもとに発言させるということは、これはわれわれといたしまして院内の秩序を保つためにも、ただいまの高田君の発言をお取消しになるか、そうでなければ速記録を調べた上で、委員長において適当に処置されんことを私は動議として提出するものであります。
  131. 若林義孝

    若林委員長 ただいま佐々木君から、高田富之君の発言中の不穏当なる言辞について取消し、あるいは委員長において善処の動議が出ておりますが、これは委員長において適当にとりはからいたいと思います。  なお高田富之君ばかりでなしに、その他さつき抗議文というか、出されたものについても、不穏当の箇所がもしあるとするならば、取消し、その他善処いたしたいと思いますから、御了承を願つておきます。  これにて参考人に対する質疑は打切ります。  今日は参考人各位には、忙しい中をまことに唐突なことであるにかかわらずおいでくださいまして、ありがとうございました。熱意を込めてお話くださいました事柄は、当委員会において将来引揚げ問題を審議する上におきまして、種々有力なる参考になることが多々あつたと思うのでありますが、この点私から厚くお礼を申し上げておきます。  では本日はこれにて散会をいたします。     午後五時二十一分散会