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1951-02-09 第10回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月九日(金曜日)     午後二時二十一分開議  出席委員    委員長 若林 義孝君    理事 池見 茂隆君 理事 小西 英雄君    理事 玉置 信一君 理事 高田 富之君       青柳 一郎君    門脇勝太郎君       菊池 義郎君    北川 定務君       庄司 一郎君    玉置  實君       中山 マサ君    細田 榮藏君       天野  久君    堤 ツルヨ君  出席政府委員         外務政務次官  草葉 隆圓君  委員外出席者         法務事務官         (民事局第四課         長)      吉田  昂君         法務事務官         (民事局第六課         長)      長谷川信藏君         外務事務官         (管理局引揚課         長)      武野 義治君         外務事務官         (管理局借入金         審査室長)   池田千嘉太君         外務事務官         (連絡局調査課         長)      吉村又三郎君         大蔵事務官         (理財局為替審         査課長)    崎谷 武男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  海外同胞引揚問題に関する件  在外資産に関する件  在外公館借入金に関する件     —————————————
  2. 若林義孝

    若林委員長 これより会議を開きます。  この際御報告申し上げたいことがございます。先般来比島戦犯に関しまして新聞で種々報道をせられておりました。一番最初報道は、死刑になる者も許されて内地服役をするであろうということが報道されたのでありまして、その当時本委員会におきまして、外務当局に対してこれに関して質疑を試みられたのでありますが、直接政府当局に対しては何らの連絡もなかつたという御答弁であつたのであります。その後日ならずしてそのうちの十四名が死刑執行せられたということにつきまして、一度家族たち国民一般も、非常な明るい気分でおりましたところが、逆にそういう結果がもたらされたものでありますので、関係家族たちが非常に憂慮されまして、委員各位のところへもそれぞれ悲痛な陳情がなされたことだろうと思うのでありまして、委員長のところへも本委員会あてその陳情が参りました。また直接面談をされましてこの陳情を聞いて、われわれといたしましても、このままではという気持に打たれておたのでありますが、昨日参議院の千田委員長紅露みつ両君と私とが比島代表部を訪れまして、率直にこの家族気持を訴えて懇請をいたしたのでありまして、講和條約も間近に控えておるときであり、なお五年有余にわたる服役をまじめにしておるところの者である。また将来も近くのフイリピンとは格別密接なる関係で行くべき間柄である。特にどこの国よりも好意を持つて日本の再建に協力をしてくださるという気持であるときに、この間の十四名の戦犯に対する実刑執行は意外の感に打たれたのである、残つておるところの人たちに対しては、できれば実刑を科することなく、罪二等を減じて、あわよくば内地服役にまで、ひとつ寛大な処置をとつていただきたいという家族気持をそのまま訴えて懇請をいたしたのであります。これに対して、代表部におられます代理公使のベルナルド氏に直接お目にかかつたのでありますが、非常に好意を持たれておりまして、そのままの内容を概略御報告いたしますと、一番最初に私たちに示されましたのは、比島大統領からの照合の手紙でありました。その手紙は、朝鮮動乱以来日本戦犯についてはどういう処刑変化が来されたか、それをひとつ報告してもらいたいということであります。これに関してのべルナルド氏の気持というものは、おそらくこちらの戦犯の取扱い方の変化に即応したやり方を比島でもとろうという気持からではないかと思う。おそらくスキヤツピンその他の強い指令でもフイリピンへ行くならば、それに従つて減刑処置をとられるであろう。昨年朝鮮動乱を契機として、日本における戦犯処刑が、二十人の死刑宣告を受けておつた者が、一人だけが死刑になり、あとの十二人が、終身刑になり、七人は十五年の刑に減刑せられた例を自分としては報告をしたのである、こういうことでありました。なお家族たちあるいは他のいろいろな団体から比島代表者に対して送られた減刑懇請書を荷づくりして、きようこれを飛行機の便によつて大統領に届けようと思つておるのだというその包みを見せられたのであります。なおフイリピン日本とは将来ほんとうに手を携えて行かなければならぬのであつて、おくまでもどこの国とよりも密接な関係で行くべきだという気持で、自分はあらゆる事柄にこの気持をもつてつておるのであつて、この戦犯の取扱い方についても、十分與えられるだけの好意を注ぎ込んで、家族なりまた日本国民皆様方の御期待に沿うべく努力をいたしたいと思う。しかしながら日本のように戦後着々とすべてのことが復興をしていないのであつて、むしろ日本の方が民主化された目ざましい復興ぶりである。これに比べると比島というところは、きわめて複雑なる国情にあるために、御期待に沿うような結果が生れて来ないことを自分はおそれるけれども、万全を期して御好意に沿うべく努力をする。従つて国会国民の声として比島戦犯その他についていろいろ希望が集まれば、それは御遠慮なくわれわれ代表部にその様子を御報告を願いたい、御遠慮なしに国民の声をわれわれ比島代表部に持込んでいただきたい、われわれは大統領にこの声をお取次をするから、こういうことでありました、私たちといたしましては、その御好意国会を通じて国民一般方たちに周知、徹底せしめるよう努力をするから、こういうことでわかれて帰つたのであります。将来も戦犯に関しまして批判的な態度、あるいはその他強力な懇請ということを国会の名においてすることは、われわれとしては慎重な態度をとらなければならぬと思うのでありますが、国民の声をそのまま飾るところなく、また加重するところなく、比島ばかりでなしに、あるいは英国、ビルマなどへ対してそのまま伝えるということは、比島代表部の御意向をそのまま察知するならばさしつかえないのではないか、大いに国民の声を、要望を各政府代表部にもたらすということが、むしろ国会の使命ではないかというような気持がいたしたのであります。過般来比島戦犯を中心として、戦犯関係家族皆様方国会に寄せられましたこの気持を、昨日比島代表に伝え、懇請をいたしました概要を御報告いたした次第であります。  なおこれに関して御質疑なりあるいは御注意がございましたならば、承りたいと存じます。
  3. 池見茂隆

    池見委員 ただいま、昨日比島代表部衆参引揚委員長が訪問せられたその結果を承りましたが、われわれといたしましては、まことに好意あるお話に対しましては満腔の感謝をするのであります。ただいまの報告の中に、この比島戦犯問題については、国会の決議あるいはその他国会を代表してといつたような立場におけるところの戦犯に対する強力なる批判、あるいは懇請等はこの場合において一応これは考えなければならぬ問題であるということにつきましては、私も一国の主権ないしはその裁判におけるところの判決権に対しまして、他国の者よりこれに容啄をせられるということは、これはその主権を左右するといつた意味合いから考えなければならない問題と心得えておるのでありますが、私はここにおいて、今お話のように国民の声を十分に国会に集中して、その集中せられたるものを比島代表部に伝えたならば、比島代表部はでき得る限り本国連絡をとつて善処するであろうと言われた。このことにつきまして、先般行われました二十名の戦犯死刑をせられる判決理由は、少くとも残虐行為あるいは非人道的な行為といつたようなことによつて判決せられたのでありましようが、しかし聞くところによりますと、その二十名の中にも全然その場面にも登物せず、あるいは軍に同姓であつたがゆえに、それであるであろうといつた程度のことによつてこの死刑執行せられたというようなことを伺うのであります。この点につきましては、私は裁判の公正といつた面においても適当の弁護人もあるでありましよう。あるいは立証的な方法もとられておると思いますが、これを考えますときにおきましては、第二回の十名の死刑囚は、その後におきましては再裁判が行われた結果によつて、六名が減刑を言い渡され、四名はこれをのがれたということを聞くのであります。この理由がどこにあるか。第一回の死刑囚とほとんど同様の理由を持つた死刑囚ではなかつたろうかと私は心得ておるのであります。かかる再裁判が行われて、それらの人々がこの死刑の災いよりのがれることができたならば、どのくらい留守家族人々が喜ばれるかということを考えるときにおきまして、この裁判を私は批判するのではありませんけれども、それらの点につきまして、当局としてこの事実を知つておられるかどうか。もしそういうふうなことによつて残された現在七十四名の者が、すでに十六名が処刑せられて、さらに六名の人は露と消えるのでありましようが、その際そのさらに残されておる人人において、今申し上げるところの事柄によつて裁判等を行つてもらつて、この除名ができ得るならばこれに越した喜びはないと私は心得るのであります。この意味よりいたしまして、今私が当局に聞かんとすることは、再裁判経過等によつて、何らかのそこに資料を持つておられるかどうか、あるいはまた残された人々に対しても、私はでき得べくんばそれらの方法をもつて裁判をしてもらいたい。さらに望むことは内地送還を懇望したいと思いますが、この際御当局の御所見を伺いたいと思います。
  4. 吉村又三郎

    吉村説明員 ただいま池見委員の申されたことは、非常に意味の深い、そうして非常にむずかしい関連を含む問題でありまして、私は終戦以来、ほかの役所と違いまして全然職をかえることなく、足かけ六年戦犯裁判連絡及びその他付随の事務を担当して参つたのでありまして、朝な夕なこの問題を検討して来ておるのであります。その意味におきまして、私は当面日本側責任者であります。で戦争裁判ポツダム宣言受諾の結果行われました外国の法廷における裁判であります。これに対しまして、政府のなし得る措置となすべき措置は、一切講じて来たつもりであります。なすべき措置と申しますのは、戦犯裁判を許される限り、可能な限り公正ならしめること、この点においては、連合国日本政府との意見の一致はたやすく得られたのであります。これに基きまして、わが方といたしましては日本人弁護団を参加させることを要請しまして、たとえば比島の場合においては、比島人弁護士日本人弁護士と協力しまして、裁判の公正なる遂行を実現せんと努力して参つたのであります。なし得る措置としましては、日本ポツダム宣言受諾後、日に月に民主化せられ、日本人のすべてがあげて過去の戦時中の変態的な惨虐行為俘虜虐待行為に対しては反省をしておる、それは下手人である戦犯者のみならず、家族及び国民もみんな反省しておるということを十分に向う側にわかつてもらえば、そこに何かよき結果が得られるのではないか。こういうふうに考えまして、日本国民の現在の感情と、日本の民主化せられたる姿を先方に伝えるために、機会あるごとに、あらゆる機会を探し求めて努力して参つたのであります。そこで私はこの問題に関しましては、非常に愼重たらざるを得ないのであります。と申しますのは、われわれの考え、われわれの行動が比島国民のみならず、連合国各国に不当、不測の誤解を與えた場合には、これは單に戦犯者のみならず、日本国家及び国民に対して重大なる——目に見えないとしても、重大なる害悪を残すのではないか、そういう誤解が起らないようにしたいのであります。と申しますのは、換言すれば、日本国民戰犯者に同情してあるということが、戦犯者に不当な行き過ぎた同情をしているのじやないか、連合国にそういうふうな誤解を植えつけますると、この問題はますます深刻な様相を呈して来るのではないかということをおそれるのであります。われわれ政府国民戦犯を憎んでおるけれども、戦犯者を憎んでいるのではないという、この微妙なポイントが十分に向う側に認識されることを希望し、その方面努力しておるのであります。それでなければ、不当な誤解を與えますれば、なお日本には軍国主義、超国家主義、そういう精神の胚芽が残存しておるということになれば、これはゆゆしい問題だと思います。そこにおいて私の公的資格における発言は非常に注意しなければならぬと考えておるのでありまして、政府の意図するところは、決して国民とかけ離れたものではありません。そうして国民の声と申すのは、罪は憎むけれども、人は憎まない。罪は罪として、それは戦犯者のみならず、政府国民も全体が反省して行かなければならないというこの厳粛なる事実を世界の各国に伝えることが、すべての問題への解決策だと考えるのであります。
  5. 池見茂隆

    池見委員 ただいまの説明によりまして、一応国際間における、しかも戦犯者の問題についての日本国民としての心構え、ないしは当局としての今日までとつて来られたことに関するそのお気持は十分了承するのであります。ただ、今最後説明がありましたように、罪を憎んで人を憎まずといつた、少くとも人道的な立場においてこの問題を最も有利に転換せしむるということが私は眼目のように了承したのであります。どうか当局としては、その意味においてこれからますます好転するように善処していただきたい。  さらに私は委員長に対してお願いがございます。私は今の問題につきまして、委員長自身も、もちろんわれわれ委員としても、留守宅人々よりこの戦犯者の問題については多数の陳情を受けておるのであります。それでありまするがゆえに、どうかその陳情の趣旨を国会に集まる国民の声として、最初お話になりましたように、比島代表部に向つてもさらに私は切々とこの問題については懇請していただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を打切ります。
  6. 吉村又三郎

    吉村説明員 ただいま池見委員の言われましたお言葉にまつたく同感でありまして、御鞭撻に従いまして、既定方針で進みます。
  7. 小西英雄

    小西(英)委員 先ほど委員長並びに同僚議員池見委員からも、切々たる戦犯者に対する嘆願の意味を含めたわれわれ国民に通ずるところの信念を披瀝され、また外務当局者の言によりますれば、この問題を非常に重要視し、今日まで努力をしてくださつていることを承つたのでありますが、終戦以来ここに六年、先ごろダレス特使の参られて以来、国民講和という非常に明るい日を見出し、今年こそは日本は必ず講和を締結され、独立国家となるであろうということを喜んでいるこの際、突如として七十数名に上るフイリピンにおいて死刑宣告を受けた人のうちより十数名の人が処刑され、われわれは日本国民対外発言のない立場において黙々とフイリピンあるいはマレー、濠州等における戦犯者のことを思い、また家族を思いつつ発言するのではなくして、ほんとうに心の解合いにより——いかなるものでも五箇年を過くれば税金すら時効消滅になるのが実際の状況であるにかかわらず、突如として刑を執行されたので唖然とした。アジア十二億の民族がスポーツの面におきましても、この二月二十四日日本青年諸君がニユーデリーにおいてフイリピン初めインド、ビルマタイ、イラン、イラク等青年と非常に友好的にせられるであろうというこの際、その衝撃は、われわれ国民の一頁として非常にさびしく感じたものであります。昨日もマレーにおいて刑を受けて帰つた人々の声を聞くとき、われわれはどうか国民が一致協力して、何とかこれらの人に、あらゆる努力をして、国際赤十字なり、あらゆる角度から手を伸ばしてこの問題を善処しなければならない、そういう点について今後とも——一面に講和が早くなれば、考え方をかえますならば、いまだ戦犯の傷を各牢獄に置いておくことが、極端に言えば、この処理の面で処刑かある  いは送還かというふうなことになりはすまいかと私たちは心配するのであります。そういう見地より、この際一段と政府において、国民において哀訴嘆願し、何とかこれら数百名の戦犯者本国に送り返していただいて、講和の際にあるいは恩典に浴さしてもらいたい、刑の減刑をお願いしたいということが、われわれ国民の偽らざる心でありまして、どうぞやこの面について政府としての立場でなく、国民全体の声としてフイリピンのキリノ大統領、あるいは濠州、マレー、この代表部懇請いたしまして、これらの人を一日も早く祖国に連れ帰られるよう努力を願いたいのであります。外務省といたしましても、現在、聞くところによれば、非常に微妙であり、こういう点については、これほどやればかえつて反対の反響があるのではないかという非常な御愼重さを持つておられるようでありますが、これ以上の刑の執行をなさらないように、いろいろな面についてわれわれも手を引合うて、これらの人の一日も早く帰国をされるように、ひとつ努力をお願いする次第であります。現在マレーフイリピン、濠州における日本人の刑を受けた人、残留されておる方の数字を、何人がこういう状態におるということを、ちよつと御答弁願いたいのであります。
  8. 吉村又三郎

    吉村説明員 一番新しい私の方の集計によりますると、二月一日現在で集計いたしましたところ、フイリピンには現在百二十八名、そのうち判決のきまつた既決の方は百二十名、未決が八名、これは未決というのは正確ではないのでありまして、不起訴が五名、それから逃亡しておりました者が投降しまして、フイリピン政府の圏内に入つて、尋問の上何ともないというので帰ります三名。八名未決と申しました八名の内訳がそうなつております。既決は百二十名ありますが、そのうち五名は服役を満了いたしまして、この不起訴と決定しました五名と、投降者三名と、満刑者五名の十三名は近く内地へ帰つて来る予定であります。  イギリス戦犯裁判の結果、外地におりますのは方々にわかれております。これを内訳を申しますると、チヤンギーに十五名、オートラン刑務所に百三十九名、ジヨホールバルに十名、クアラルンプールに三十四名、タイピンに十八名、ビナンに十一名、北ボルネオのジエツセルトンに十三名、ビルマのラングーンに三十七名、香港に四十七名、香港にはほかに濠州関係戰犯が二十八名おります。  それから濠州は現在マヌス島に未決既決含めて二百九十七名の者がおります。但しこの二百九十七名のうち、刑期を満了した方が十七名ありまして、この十七名は近く内地へ帰ります。と申しますのは、ここ数日中に四日市に到着する予定になつております。  最後仏国側戦犯者としまして、サイゴンに四名あります。フランス関係、すなわちインドシナにおりました戦犯者は全部一昨年内地服役しましたが、この四名残留しておりますのは死刑判決を受けた者でありまして死刑判決執行されるかどうかきまらないと、帰るか帰らないかわからないのであります。この四名の運命に関しましては、私の方で一応の見通しは持つておりますけれども、これは申し上げない方が物事の解決上いいのではないかと思います。総計しますと現在七百八十一名になります。
  9. 小西英雄

    小西(英)委員 ただいま御報告のありましたこれらの人に対して、国際赤十字社か何かを通じて懇請したことがあるかどうか、また懇請する方法があるかどうか、ひとつその点を伺いたい。
  10. 吉村又三郎

    吉村説明員 これらの人々に対しましては、国際赤十字委員会はもちろん、総司令部にも種々の方法——ここで申し上げることはさしひかえますが、努力して参つたのでありまして、今後ともこれを継続して参りたいと思つております。民間の方が国際赤十字委員会にお願いされるということもさしつかえないと私は信じております。
  11. 小西英雄

    小西(英)委員 仏印は全部こつちへ帰されたのですね、四名を残した以外は。それはどういう理由でこちらに送還されたのでありますか。
  12. 吉村又三郎

    吉村説明員 その問題は内地服役戦犯の問題に関連するのであります。この前の引揚委員会で私は申し上げたのでありますが、この内地において刑期服役するようにしたいという戦犯者自身、御家族政府希望終戦当初からありました。いろいろ努力をいたしました結果、まず中国において、国民政府蒋介石首席のイニシアチーヴによりまして一番先に実現したのであります。その次に実現しましたのがインドネシア地域、その次に実現しましたのが仏印であります。この内地服役せしめるという件は、先ほども池見委員が申されましたように、各国ポツダム宣言に基く権利として裁判をした結果、服役するのはその主権内の地域においてなすのが原則でありまして、これをわが方の希望をいれて内地服役することにするということに関しては、まず第一に裁判国好意ある措置、第二に進駐軍が運営しておりまする巣鴨において受入れるという総司令部好意、この二つが実現して初めて可能なのであります。それで現在の段階は、総司令部とは、その裁判管轄国日本に送り返してやろうということになれば受入れてやろうという、受入れの了解はついておるのであります。裁判管轄国がこれを内地に送り返すという好意あるはからいをしてくれるようにずつと努力して参つておりますが、現在残つておりますのが先ほど申し上げた地域のものでありまして、これらの国々も日本側希望は十分了解し、機を見てこれを実現したいというふうに風向きが大体きまつた段階であります。ただここでちよつと考えなければならないことは、現在、イギリス裁判の結果、南方諸地域に抑留されている人は、全部再審が終りまして、絞首刑の人は絞首刑執行を受けまして、あと有期刑の人ばかりでありまするから、これらの地域の人も、内地帰還の上服役するということの実現は早いと思います。フイリピンの場合は、まだあと絞首刑判決のある人が六十名ありまして、この人たちに対する大統領最終決定があるまで——その最終決定が早ければ、それだけすべてが早くなるのでありますが、その最終決定とにらみ合せになると思います。濠州に関しましては、まだ裁判係属中でありまして、この裁判が全部終るまで、時期的に申しまして実現は困難かと思つております。
  13. 小西英雄

    小西(英)委員 非常に明るい御答弁でございまして、われわれ非常にうれしく思うのでありますが、当委員会としても、国際赤十字社懇請して、ぜひこれの実現期ずるように、委員長の方でとりはからわれんことを特にお願いいたします。特にソビエトにおける戦犯者状況は、われわれ聞くところによりますと、当時一万人近い戦犯者がおると伝えられておりましたが、まる五箇年経過した今日、それらの人々が一向帰つて来ない。聞くところによると、ソビエトは刑を満了すると国内でその人を解除する。解除した際に旅費その他ができないから、放浪を続けておる人が相当おるやに承つたのでありますが、そういう点について何か情報がありましたらお答弁願いたい。
  14. 武野義治

    武野説明員 昨年四月二十二日のタス通信の発表によりまして御承知のように、九百七十一名の中国関係戦犯者として中国に引渡さるべき者、ソ連において戦犯とされまする千四百八十七名、待機中の引揚者ではあるけれども病気中のもの九名、合計二千四百六十七名の者を除いてすべて送還するという報道がございましたが、その後これらの戰犯処置については全然情報がございません。われわれとしても深い関心を持つてこの今後の状況を注視しておる次第でございます。それから一般邦人相当の数の人たちが、あるいは樺太から、あるいは北鮮から、あるいは満州方面から、それぞれ何らかの刑に処せられてシベリヤに送られた者が相当の数になつているということが、われわれ日本政府側調査によりまして判明して参つたのであります。その数ははつきりしたことは申し得られないのでありますが、終戦当時ソ連が進駐した地域において判決を言い渡されてソビエト領内に連れて行かれた者、ソ連邦に連れて行かれてから犯罪の名のもとに処刑された者、あるいは服役させられておる者、こういつた者相当の数がございまして、明確なところはとうてい知り得ませんが、少くとも数千名の者はそうした服役状態にあるのではないかと想像されたのであります。また現在でも想像せざるを得ないのであります。昨年の四月末をもつてシベリヤ方面からの引揚げが終るとされたのでありまするが、それまでに帰つて参りました帰還者のうち、ソ連の監獄に入つてそこから釈放されて引揚者と一緒に帰還した人々報告に基きますと、幸いにして短期の刑で出獄を許された者も、この人々に対する措置相当苛酷な、あるいは相当気の毒な状況のもとにおいて釈放された。ある地点までの旅行証明と若干の金子並びに給與とを持たされただけで、とうていナホトカ、あるいは引揚げらるべきわが同胞のキヤンプのところまで収容される道を與えられないで、気の毒な状況のもとに釈放されておるということが報告されておるのであります。こうした状況につきましては、先般対日理事会の際に、シーボルド議長が日本側からの情報に基くものとして説明されたことは御承知の通りでございます。どの程度の数がそうした服役状況にあるか、どうした犯罪に基いて服役しつつあるか、服役後の待遇はどの程度に処置されておるのか、こういうことにつきましては、私どもは何ら正式な報告を受けることがございませんでした。ただ帰還者の報告によつておおよそのところを想像するにすぎない状況でございます。  以上であります。
  15. 小西英雄

    小西(英)委員 ソビエト側の方のこの戦犯問題、引揚げ問題は、明らかにされないと同時に、きわめてむずかしい問題であろうと思いますが、政府においては、われわれ委員並びに国民の総意によつて、あらゆる角度から今後とも一段の努力をされんことをお願いいたします。  さらに昨今新聞紙上に、釜山にいる望鮮籍の日本婦人を引揚げ……。
  16. 若林義孝

    若林委員長 小西君。よちつとお待ちください。戦犯関係したことだけにお願いいたします。
  17. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は先刻委員長の御報告を承りまして、きわめて適切なる手続措置をおとりくださつたことに対して衷心より敬意を表するものであります。その際のお言葉の中にもありましたが、先刻来同僚委員より申されたいろいろの面を、国民の声として反映することが望ましいやに承つたのでありますが、私の手元へ北海道利尻郡仙法志村村長井田定勝氏より、フイリピンにおいて無期刑を宣告された者を本国送還していただきたい、こうした状況の者は全国に相当数多くあることと思うから、ぜひ私を経て、この委員会を通じて国会の名において取上げてくれという切々たる嘆願書が参つております。幸いにこの間の新聞には、あの処刑された後に、キリノ・フイリピン大統領裁判所に対して、戦犯者の再検討をするようにとの命令を下したということが報道されておるのであります。こうしたフイリピン大統領のお気持等もそんたくいたし、また巷間伝えられるところによりますと、フイリピンはクリスチヤンの国であるがために、先ほど池見委員も申されたように、人道上の点から考えても、戦犯減刑ないしは本国において服役するということの嘆願をすることは、非常に得るところがあるんじやないかというようなことも考えられますので、特にこの場合この嘆願書を取上げまして、委員各位の御協力のもとに適当な処置を講じていただきたいと思うのであります。短かいのでありますから嘆願書を読み上げます。    嘆願書   嘆願の主意  昭和二十四年十一月十九日付戦犯者として無期懲役の判決を受け、現在比島カガヤン州ニユーピリピツト刑務所に服役中の私の長男、元陸軍兵長落合春一の服役場所を日本本国において服役するようにおとりはからい願いたく嘆願いたします。   嘆願の理由  私は現在漁業に従事しております。家族は六人で、私一人の働きで辛うじて糊口をしのいでいる現状であります。長男春一は、昭和十七年以来兵役に服し、太平洋戦争中は比島方面に派遣されておりましたが、昭和二十一年  一月復員いたしました。以来春一を唯一の力として老後にむちを加えながら家業挽回に専念しておりました。幸いにも近親者の勧めにより現在の妻ヨシを迎えることができ、老後を安穏に暮したいと考えておりました。ところが突然関係当局よりの出頭命令を受け、昭和二十四年五月出発しましたが、十一月戦犯の指名を受け、無期刑の判決を受けました。この悲報を受けた私ども家族は、悲嘆の涙に暮れ、失望落胆の毎日を送つております。その後の消息によりますと、比島カガヤン州ニユーピリピツト刑務所に服役していることを知りました。そうして月一度くらい音信がありまして、それが私どもの何よりの慰安であり、フイリピン政府のとりはからいに衷心感謝しておりますが、人情として親の身といたしましては、異国の空で服役することはまことに忍びないものがあります。せめて本国服役できるものならと、今はただそれのみ願つております。政府もいろいろ御盡力くださつておりますのはよく存じておりますが、こうした留守家族の衷情をお察しくださいまして、私どもの懇願が実現できますよう御高配をお願い申し上げます。  北海道利尻郡仙法志村字神磯七十三番地         父  落合 彦松  かような嘆願書が参つておるわけでございます。私はいろいろの質問がありまするが、それを後刻に譲りまして、この悲痛なる嘆願書を読みますうちにひとしお胸を打つものがあります。またせんだつての新聞報道によりますと、同じくフイリピンの刑務所に服役しております某将校の夫人あてに、参つた手紙が奥さんの名において発表されておりました。その内容を簡単に申し上げると、処刑が行われた後の戦犯者気持——私もいつどういう結果になるかわかりませんがということで通信をされ、その夫人が同じ立場にある家族の方々と寄り合つていろいろ協議された実情を報道されたことを見まして、私はまことに涙を禁じ得ないものがありました。どうか重ねて申し上げますが、当委員会とし特に委員長におかれまして、こうした嘆願の趣旨をとくとおくみとりくださいまして、適当にお取扱いあらんことをお願いいたす次第であります。
  18. 池見茂隆

    池見委員 さつき比島戦犯者は百二十八名ということを聞きましたが、その内容は既決が百二十名、未決八名、このうち不起訴が五名、逃亡兵の投降者三省、満期刑五名、計十三名は近く帰れるので、百二十八名から、それを差引いたいわゆる残数が現在比島戦犯者として抑留されておる。この残数のうち死刑囚が何名、無期が何名ということがわかりましたら伺いたい。
  19. 吉村又三郎

    吉村説明員 きようほかの方をまわつておりまして、その数字は私のデスクの上にあるのですが、死刑囚のこの間執行されました十四名を除きますと、現在絞首刑判決を受けておる者が六名ございます。その他が無期以下の有期刑でございます。その有期刑は私今想像で申しますと間違いが起りますから……。
  20. 池見茂隆

    池見委員 それからこれはもちろんとは思いますが、比島初め英国、濠州、フランス等の計七百八十一名、これらの人々の氏名その他のことにつきましては、十分明確にわかつておりますか。
  21. 吉村又三郎

    吉村説明員 わかつております。
  22. 小西英雄

    小西(英)委員 昨年の新鮮動乱以来、朝鮮籍日本婦人の引揚げが最近新聞紙上に伝えられておりますが、これについて総司令部側から何らかの連絡があつたかどうかという点と、もう一点は、今後引揚げて来る鮮籍日本婦人に対しての取扱いはどういうことになるか。日本戸籍を抹消せず、韓国の人と内縁関係にあつた者は、一応日本人引揚者として取扱えるものと思いますが、戸籍を抹消した者はどうなるか。またそれらの子供の取扱いはどうなるかという点についてお伺いたします。
  23. 武野義治

    武野説明員 ただいまの小西委員の御質問でございますが、順々に申し上げますと、総司令部からの連絡、この点は本年の初めにあたりまして約三百名の名簿をいただきまして、この方々の申請されました住所その他所要の事項につきまして調査をやることとなつておりまして、現在この調査が進行中でございます。この取扱いにつきましては、調査の結果をまたないと、いろいろの要件を考えねばならない條件が出て来ると思いますので、どういうふうに取扱うかということは、個々のケースについても相当考えねはならないことになるのではないかと思います。もちろん戸籍が抹消されておらぬ、いわゆる内縁関係というような場合には問題ないと思いますが、明確に除籍されておる、朝鮮籍になつておる者につきましては、やはり戸籍の回復をどうするか、あるいは当人が協議離婚というような、はつきりと内地に参りまして朝鮮籍を離脱して、日本人の戸籍にもどるという十分なる條件がございますれば、これまた受入れ方について問題はないのでありますが、戸籍が除籍されておる、また内地において住所その他いろいろ調査の結果、本人の申立てについて必ずしもその通りでないというようなことがあり得るかもしれません。その点については、調査の結果をまつてよく考えたいと思つております。先般同じような問題について御質問がございましたときに、引揚げの線に乗せて考えると申し上げましたが、このラインは、大きな受入れ態勢の筋としてはそうなろうと思つております。引揚げの線に乗せて解決する、これはわれわれといたしましても日本人一同の気持と思います。現地において非常に御苦労されておることをいろいろ承りまして、まことに同情にたえませんので、受入れにつきましては万全の措置を構じたい、こういう気持でやつております。従いまして個々のケースかどうなるかということにつきましては、こうしたいろいろの点を考慮して、それから大きな筋としては、そうしたあたたかい気持を持つて受入れにできるだけのことをする、こういうような方針でやつております。
  24. 小西英雄

    小西(英)委員 大体わかりましたが、この朝鮮動乱によつて夫を失うた者や、あるいはいろいろわかれわかれになつた者が多々あると思います。まして韓国の人と同居、あるいは結婚していた方に対して、ともすると兄、弟、親戚等においてもいろいろな目で見られるというふうな、非常につらい立場に置かれておる人の話も承つておるのでありますが、そういうふうな点について、政府はこの郷里にも帰れず、あるいは引揚げ場所で待期しているというがごときことがないように、ひとつ敏速に受入れ態勢を整備されんことを望んで、私のこの質問は打切ります。
  25. 堤ツルヨ

    ○堤委員 関連して、大体ただいまの御答弁を拜聴いたしまして、いろいろ事情が個々まちまちであるとおつしやいますけれども、人によつてはこの三百名のうちには、もうはつきりしておつて帰せる者もある、こちらへ受入れるべき考もあると思うのでありますが、三百名の調査が今進行しているものが完了しないと、そろえてでないと、こちらへ帰さないような方針をとつておいでになるのかどうか、その辺ちよつと伺います。
  26. 武野義治

    武野説明員 もちろんこの調査も、三百名が全部まとまつたときにという意味ではございませんので、わかり次第それをどうするか、個々に迅速にこれを処置する、こういう意味で考えております。
  27. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいまの御答弁によりますると、迅速ということをおつしやいますけれども、私は今までの経過からいつて迅速でないと思うのであります。この間の新聞で、政府側の御意見の発表を大体拜見したのですが、非常にむずかしいことを言つていらつしやるように思うのであります。ああいうりくつを抜きにして、個々の調査はいろいろややこしいものもあるでしようけれども、とにかく受入れるものは先に帰してやるという方針をとつて、少しでもこちらへ受入れていただきたいと、私は同性として思うのですが、そういうわけに行かないのでしようか。どうも外務省のおつしやることはむずかし過ぎて、りくつが先に立つてかんじんの帰してやる人を捨てておるような気がするのです、その辺どうでしようか。
  28. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 ごもつともな御意見と思います。この前この問題についての御質問の際にも、ただいまの、また小西委員からお話のような内容の御質問に対しましても、十分すみやかに受入れをして、そうして一日も早く引揚げをいたすように手配をいたしたいと申し上げました。こういう方針で参つておりますが、たださきにも申し上げましたように、一応の調査というのが一つの前提になつております。あるいは住所地に対する照会とか、あるいはその姻戚関係とかいうような一つの條件がありまするが、その條件を今急いでいたしております。もうここ一両日が期限になつておりまするから、一両日のうちには大体は出そろうと思います。そうしてそれによりまする回答をして折衝を進めて行くということに相なつております。根本はただいま申し上げましたように、すみやかにというのは、なるべく早くこれを引取る方向をとつて行きたい、国籍とか、いろいろ問題はありまするが、できるだけ大乗的な立場から取扱つて行きたい、こういうつもりです。
  29. 堤ツルヨ

    ○堤委員 調査が一両日中に完了するような見通しであるとの政務次官のお言葉を信じまして、まことにけつこうに存じます。これは日本国において生れた日本人種に違いないのでありますから、どうかむずかしいことを言わずに早く帰してもらいたい。この気候を考えましても、裸一貫で放浪生活のようなことをしておる女性の身の上を思いますときに、あまりに調査々々で、少しも帰してもらえないというようなことがありますと、非常に人道的な問題であると思いますので、どうかなお急ピツチにやつていただきたい。  なお小西委員から御質問があつたのでございますが、これに対して御答弁がございませんでしたので、私から承りますが、この間に生れました子供のことにつきましては、この女性の問題とあわせてどういうふうにお考えになつているか、そこのところの説明をいただきたいと思います。
  30. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 実はただいま申し上げましたように、おそらくこれらの方方の中には、日本国籍である方と、すでに日本国籍を離脱しておられる方とあり、従つてその中には出生されました子供についても同様な場合があろうと存じます。日本国籍の場合はもう問題はないのであります。しかしそうではない場合におきましては、従来も少しはありましたが、引揚げて来た場合に、いろいろ事務的な、あるいは外国人としての取扱い等というようなこととからんでたいへん困つた場合がありますので、そういう不便をかけないようにして行きたいというので、日本の国籍を離脱しながら生れても、従つて日本の国籍じやなしに、朝鮮の国籍と申し上げる方がいいかもしれませんが、広い意味からいうと日本の国籍でありますから、この点は誤解があるといけまんが、朝鮮の国籍である場合に生れた人たちの場合におきましても、なるべくならばそれを登録等をいたして、便宜を與える方法をとつて行く方がいいじやないか、かような考えをもつて進んでおります。
  31. 堤ツルヨ

    ○堤委員 私はたえず引揚げの舞鶴の沖合いでこういう姿を見たのであります。と申しますのは、やむを得ず大陸を放浪いたしまして、戦争犠牲になつて他の男性と同居をした——まあ二重結婚をした、しかもこれが妊娠をしておつたという場合に、いろいろ事情を調査いたしまして、舞鶴の受入れ病院で実は妊娠中絶の処置をいたしました例がございます。この人たちとつぶさにひざをまじえて話を聞いたのでございまするが、実は身体の調子がよくなつても、先ほど小西委員から御発言がありましたように、いろいろな関係があつて国もとへ帰れないという立場の方が多いのでございます。  今度の三百名の女性についても、私はこちらへお帰りになつても、おそらく封建的ないなかであるとか、また全然受入れてくれないところの大都市に帰つて、そうして生活の道を見出して行くところの能力のある方は少いであろうと思うのであります。でありますから、これは今日の戦争未亡人の問題と同様に、非常に戦争犠牲者の大きな社会問題でありますから、これにつきましては調査を御進行すると同時に、この人たちを引受けるところの寮であるとか、特別の何かを私は政府の方において、また引揚げ援護関係の方において御準備だろうと思いますが、それがございましたらお知らせ願いたい。
  32. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 ただいまの問題は結局受入れの中心になる問題だと存じます。従つて大体の経過はただいまお話のような方々の回答が相当ありはしないかと存じます。これはまだはつきり調査がまとまりませんので申し上げかねますが、しかしそれがために、それを大体想像しながら今どこということは決定いたしておりません。ただいまの御質問のような内容の方向で母子寮なり、その他の方途をとつて行くべきものだと存じまして、そのように進めて行きたいと思います。
  33. 堤ツルヨ

    ○堤委員 さようにお進めになりたいような政務次官のお言葉でありますので、安心いたしますけれども、まだ御準備できないように私解釈いたすのであります。でありますから、今後帰りましても、帰れない、食つて行けないところの女性の犠牲者に対しましては、私は住宅問題であるとか、また生活保護に関連した問題であるとか、子供の教育問題であるとか、また職業指導、あつせんの問題であるとかいうことをひとつ立体的に取上げていただきまして、この人たちを、この荒波の中に自殺行為にまで導いて行かないような方法を考えていただきたいと思うのであります。釜山集結の女性の問題に関しましては、今日私が質問をいたそうと思つてつたのでございますが、男性の小西委員からもございましたから、これは性を超越いたしまして御同感だろうと思いますので、今後この委員会におきましては、釜山集結の女性の問題に関しましては、強力に私たちもこの準備受入れ態勢推進のために御援助申し上げる。なお政府側におきましても、十分な誠意をもつて、弱い女性のために今後早くやつていただきたいことを特に申し上げておきます。  それから今調査をやつておいでになります子供の数でございます。いかなる国籍になつておりましても、そのお母さんが生んだといえば、それはそのお母さんについた子供でございますから、受入れなければならないと思いますが、今のところ大体どれくらいの子供がこの婦人に付随するか、見当が大体出ておりますか。
  34. 武野義治

    武野説明員 私今資料を持つておりませんが、今では一番大きい子供が十九歳というのもございます。それから十七歳、そういう程度の方がございます。大体は小さい子供の方が多くて十前後でございます。いろいろ国籍関係等、非常に複雑な問題も起ると思います。今のところ私の記憶では、大体三人から四人ぐらいまで子供がある。
  35. 堤ツルヨ

    ○堤委員 大体合計どのくらいの子供の数になりますか、わかりませんか。
  36. 武野義治

    武野説明員 今ちよつとわかりません。
  37. 堤ツルヨ

    ○堤委員 私はときどき引揚者の寮などを拜見してつくずく考えさせられるのでありますが、引揚げて来た人たちの子供の教育の問題でございます。これは今までに十分考えておかなければならないことだつたと思うのでありますが、引揚寮にお住いになつておる方々は非常に狭いところに雑居生活をしておりまして、お母さんたちは涙を流しまして、私が視察に参りますと、子供の教育上よくない環境のことを言われるのであります。これにつけ加えて、お父さんのない子供がお母さんについて帰りまして、その中には十七歳になり、十九歳になるという高年齢の子供がおりましたり、また日本語さえも知らない子供の教育に関しましては、非常にお母さん方も困るだろうし、子供のためにやらなければならないことが非常にたくさんあると思うのであります。でありますから、先ほど申しました問題と同様に、この子供の教育の特別の機関などにつきましても、考えていただきたいということを一言つけ加えておきます。
  38. 高田富之

    ○高田(富)委員 外務次官のお見えのところでぜひ伺つておきたいと思います。たしか昨年の十二月十三日だつたと思いますが、外務委員会で、ソ連地区残留同胞の数が三十一万有余名だとの調査が完了した、こういう外務省の情報局の発表がありまして、佐々木盛雄自由党議員並びに私から、この数字につきましては、いろいろ従来わからない点があつたので、ぜひこの機会に内訳を詳細にお示し願つて国民の納得の行くようにしていただきたい。かつわれわれといたしましても、それぞれ地元におきまして、これらの判明した遺家族の方々の見舞をするとか、あるいは援護の実情を調査する必要もありますので、少くとも残留地区別並びに遺家族の府県別数をお示し願い、またさらにでき得れば、府県等に行きまして、その詳細な内訳をお伺いしたい、こういうお願いをいたしました。そのときには幸いにしてできるだけ早い機会にそれをいたしましようというお約束があつたと思うのでありますが、われわれ待ちに待つておりましてもなかなか発表がないのであります。これはどうなつておりますか。
  39. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 先回の委員会でただいまの御質問がありまして、当時十二月十一日外務省発表で、八月三十一日現在の確定いたしました人員が、三十一万六千三百三十九名ということを御発表申し上げました。その後だんだん国内の各方面につきましての調査が進捗いたしまして、本日は新たにまた約七千六百余名が明瞭になりまして、昨年末におきまして、三十二万三千九百七十三名が明瞭に相なつたのであります。現在もなおこの数字がたんたん増して来る状態にありますから、むしろ現在はその判明という点に主力を注いでおります。     〔委員長退席、玉置(信)委員長代理着席〕 先回申し上げました全体のいろいろな分類というものは、もうしばらくお待ち願いたい。もう少し基礎数字が増して来る状態でありますから、それから発表いたしたいと思います。
  40. 高田富之

    ○高田(富)委員 それは知らないうちにだんだんふえるということはあり得ると思う。しかし一旦八月三十一日現在で切りまして、そうして三十一万有余名の正確な数字を発表になつたのであります。しよつちゆう数字は動いておるのでありますから、いつまで経つてもこれを待つてつたのでは待ち切れないわけです。せつかくあの機会に、長い間発表のなかつたものを、調査完了として、八月三十一日現在幾らという発表ができたのですから、それの詳細がわかりますれば発表願いたいと思う。数字があとで若干ふえましても、これは何らふしぎはないので、その都度その都度、前のことを推察すればわかるのでありますから、そういうことをできるだけ早くやれ、でき得ればあの機会にわかつておるものは発表していただきたかつたという佐々木盛雄君の強い要望があつたわけです。しかしそのときの政府の方の御答弁は、こういう御答弁であつた。ただいま中山マサ君ら三名が国連へ行つておる。いろいろの角度から得たたくさんの資料を持つて国連へ行つてつて、はたしてどの数字を関係国に示したか、連絡がまだない。だから今発表するのはちよつとぐあいが悪いという御答弁で、佐々木君の要求は一応拒否されたのであります。さらに私は重ねて要求して、ぜひ早い機会にということをお願いしておつたのであります。中山君はとつくに現在帰つておるのでありますから、どういう数字を国連で発表されたかは当然御連絡があつたはずです。でありますから、あなたの方で発表できないという理由はわからないのです。これはどういうことになつておりますか。中山君からまだ御報告がないのですか。
  41. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 府県別とか、そういう点は、国連とは別でありましようが、ただ全体の今申し上げましたような数字は、府県別に分類できるのとできないのとがありまして、従つてなるべくすみやかな機会に発表するということを私申し上げたはずであります。いわゆる本籍地の問題とか、あるいは居住の問題になりますと、なかなか甲の府県に入れるか、乙の府県に入れるかというような具体的な技術的な面でずいぶん問題のものもありますから、従つて数全体をもう少し確実に把握しまして、それから全体の分類をして来ないと、きつと誤りを来すであろう、こういうことで愼重にいたしておる次第であります。
  42. 高田富之

    ○高田(富)委員 この問題があいまいであることは、いろいろ誤解を招いておもしろくないと思いますから、はつきりしていただきたいと思います。この前の外務省御当局の御答弁では、三十一万有余の完了した分については、留守家族からの報告によるものである、留守家族がこれだけあるんだということは、これはその当時の速記録を調べればはつきりわかりますが、言われておるのであります。でありますから、留守家族が現存する以上は、これの府県別の数字がわからないということは、あり得べからざることであつて、当然その数字はすぐでも出せるものだと思います。それから残留地域別については、どこにいるとかなんとかいうことは、こちらの留守家族を調べれば、手紙が来たとかいうようなことで、いろいろわかるでしようから、これこれの数字は向うからのたよりによつてわかつた、こつちの留守家族は三十一万幾らある、そのうちたよりのないものはこれだけだという分類の程度のものは、あの当時だつて出せるはずなんだ。ところがあなたの方では、国連の方へ報告した数字がわからないから出せないという理由なんだ。しかし中山さんも帰つて来て、国連に報告した数字もはつきりわかつておるのですから、それが発表できないというのはどういうわけか。第一に聞きたいのは、あの三十一万有余と発表されたものは、その後一致しようが、すまいが、あの三十一万というのは、りつぱに情報局の数字として発表されたものなので、それについて資料を出すのが、前と食い違つてはまずいという非常に了解しかねる御答弁であるが、どういうわけか。その辺明確にしていただきたいと思います。
  43. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 当時におきましても、また現在の三十二万も同様でありますが、全部が必ずしも家族からの報告ばかりではない、家族報告が多くの部分を占めていると当時御答弁申し上げたはずでございます。従つて全部家族があつて、そうしてどこそこにちやんと住んでおるというものばかりではないのであります。今の御質問の点とは、その点は食い違う次第であります。
  44. 高田富之

    ○高田(富)委員 そうすると、あなたの御答弁によると、三十一万全部遺家族があるわけではない、こういうのですね。それならば遺家族のある分は何県に幾らということはすぐわかると思うのです。遺家族のある分は幾ら、遺家族の方ははつきりしていないけれども、通信によつて推定されているものは幾らということはわかるわけですね。
  45. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 私の答弁とさきの御質問とがちよつと食い違つているようです。この数字は一体どこの報告がもとであつたかというようなことで、この前は留守家族のパーセンテージはこのくらい、そうでない場合はこのくらいと大体のパーセンテージを申し上げたと思います。そのことを今申し上げておる次第であります。
  46. 高田富之

    ○高田(富)委員 あのときあなたに要求したのは、三十一万幾らという数字をせつかくお出しになつたのだから、皆にわかるように、このうち遺家族報告によるものが幾ら、そうでないものが幾らなんだということを示してくれ、こういうふうに佐々木君が特に言つたわけです。そのときの御答弁は、今国連へ行つている人がどういう数字を発表したか連絡がないので御答弁ができないということであつた。これは速記録をお調べになればわかりますが、そうなつておるのです。ところが中山さんは帰つているので、今ごろは発表してもよいではないかという意味なんです。
  47. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 いろいろこまかく分類した発表について御要求になつたようですが、それは今私が申し上げたように、簡単にわかりますものはもちろん御発表できると思います。しかし詳細な発表となりますと、もう少し数字が固まりまして、そうしてそれがきちつといたしまして——実は本年の四月末日までに十分なる調査をするというう方針で政府も進んでおります。従いまして、中間におきまして不十分なる発表をいたすことは、この機会においてはむしろ差控える方がいいじやないか、四月一ぱいで一応切つて、そうして分類したものを発表する方が妥当ではないか、こういう方向で来ておる次第であります。
  48. 小西英雄

    小西(英)委員 古いことでありますが、無條件降服した日本在外資産は、国際法上消滅しておるかどうかお伺いいたします。
  49. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 ただいまの御質問に対して、私あるいは誤解をいたした答弁を申し上げるかも存じませんが、いわゆる在外資産としての私有財産は、国際法上講和後どういうふうになるかということが御質問の中心であつたのではないかと思いますが、大体従来から私有財産に対しましては、これを認めるという方針で来ております。
  50. 小西英雄

    小西(英)委員 国際上過去の例に徹しても、正当に個人が取得した財産は、いずれの国にあろうとこれは国家で手をつけるべきものではないというふうにわれわれは解しておつたのであります。今回ダレス大使が参りました際に、在外私有財産についてあまり触れてないのでお尋ねをいたしたいのでありますが、聞くところによりますと、英国側においては日本在外資産はちやんと保管してある。また米国は一部米国の犠牲者に対してこれを使用さしておるということでありますが、これについて政府の方からダレス閣下の意見をただしたことはあるかどうか、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  51. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 全般の内容等につきましては十分なることを申し上げかねると存じますが、ただ在外資産に対しましては、従来とも政府は明瞭になるようないろいろな方法をとつておることを御了承願いたいと思います。
  52. 小西英雄

    小西(英)委員 非常に微妙なときで、政府当局はその発言を控えられておると思いますが、新聞紙上で見る範囲においては、予想しておつたよりこの講和條件は私個人といたしましては相当過酷であるように思われる。歴史的に関係あるところの千島、小笠原並びに沖縄諸島に対する態度もまだ明らかに宜明されたわけでありませんが、これらに対してもわれわれの予想を上まわるところの問題が起きておる。住民はこの際帰れるであろうと大いに期待しておつたのでありますが、その点も明確にされない。ポツダム宣言受諾に伴うて無條件降伏したわが国として、これは当然の義務であるかとも思いますが、歴史的に日本の領土であつたということを認めておつても、それには條件があるということを承るのであります。さらに戰争中のことを思い出すのはいやなのでありますが、広島、長崎に落された原子爆彈というものは、これは国際法規上無警告に投下したものであるが、二十万の一般同胞に対し、何らの含みもない。われわれ新聞紙上で何らこれを承らぬのであります。かような見地からするならば、われわれはこういう際にあらゆる点をただし、アメリカが同僚国である日本とお互いに手をとり、世界平和のために貢献するという襟度を持つているならば、在外資産並びにこの諸島に対しては、日本の八千数百万の国民が納得する処置を特に懇請したいものであります。     〔玉置(信)委員長代理退席、委員長着席〕  さらに国内においてはあまり関心がないのか、在外公館の問題あるいは在外証券整理事務についても明確にされていないので、この際外務省並びに大蔵当局が、在外資産の問題についてもう少し積極的に善処されんことを特に要望すると同時に、ダレス特使の来られておる際、さらに今まで申し上げた点についてただし、懇請されんことを望むものであります。  在外公館のこの拂いもどしの関係について、政府はどこまで進めておるかという一点を、非常に時間がなくなつたので、証券整理事務に関して税関に現在残つておるものの進捗状態、あるいはそれらの整理事務に当つておる人がどういう程度でこれをやつておるか、この在外証券というもの、この在外資産はこの講和にきわめて密接な関係があり、引揚げて来て零細に暮している幾多の同胞が関心を持つているので、これらについての進捗状態をお伺いしたいのであります。
  53. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 在外公館の借入れ金のその後の審査の状態でございますが、これは最初、従来からも申し上げましたように、全体といたしましては主体が約七百ぐらいありまする中で、昨年の年末までに大体九十三の主体につきまして、約三万件ほどは調査を完了いたしました。昨年末約一万九千八十件ほどの確認証を出したのであります。さうにだんだん進捗いたしておりまして、この三月ごろに次回の確認証を出す。以後は隔月ぐらいに二、三万件ずつぐらいは出しまして、全体として二十一万の申請の中で十一、二万程度が大体この該当であると存じまするが、そのあとのものの中にいろいろ資料その他不十分であり、疑義の多いものもありまするので、これらもあわせながらなるべく早く進捗いたしたいととりはからつておる次第であります。
  54. 小西英雄

    小西(英)委員 この借上金のレートの問題を早く定めてもらいたいということでありますが、これを政府側はどういうふうに考えておるかという一点と、借上金支拂いに関する法律案はこの国会に出すかどうか、確認証発給に関しても、上海引揚者のごときはわずか七件であるという点、また事務当局内部においてこれをやつている連中が非常に薄給であり、生活不安からあまり事務が進んでないというふうに承つておりますがどうですか、ひとつお尋ねしたい。
  55. 草葉隆圓

    ○草葉政府委員 事務的には実は給料関係は一定しておりまするので、現在の方法で全般的に進んでおりまするから、ここだけがどうという問題ではないのでありますが、それにも増しまして一生懸命に進んで努力をいたしております。この点はどうぞ御了承願いたいと思います。なお組織が不十分であるからもつと整備しながらなるべく早く進むようにというので、いろいろとこういう点についても打合せをしておりまするが、現在の人員によりまして最大の努力を進めておりますることは、どうぞ御了承願いたいと存じます。  なおこれは大蔵省の方からも、あるいは御答弁がおありかとも思いまするが、結局確認いたしましても、本質は早くレートをきめて、現金その他の方法で支拂いを早くやる。そうでないとかえつていろいろな確認証というものが将来災いを残すというようなことも考えられますので、この点につきましては、特に総理が外務大臣を兼務いたしておりまする関係もあり、また借上げ当時の外務大臣でもありました関係で、ことにそれを熱望いたしておりまするために、できるだけ今国会にこれが処理についての具体的な方法の法律を提出して、そうして結論におきましては、今出しておりまする確認証のできるだけの多くの部分を二十六年度中から支拂いを始めるようにして行きたい。こういう線で外務、大蔵その他も関係をいたしまして目下進んでおるような次第であります。いずれ具体的になりますると十分御審議を願つてお願いを申し上げることに相なると思うのでございますが、ただいまそういう方向で進んでおります。
  56. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 小西委員のお尋ねに対して大蔵省からお答え申し上げます。供入金の支拂いの準備に関する法律は、今外務政務次官のお答弁にありました通り、われわれといたしまして日夜努力をいたしまして、今国会にもちろん提出する予定でございます。何しろ借入金の支拂いにつきましては、結局換算率の問題が御承知の通りデータがそろつておりませんので、われわれとしても非常に苦慮いたしております。その点御承知願いたいと思います。
  57. 小西英雄

    小西(英)委員 証券の問題でありますが、在外証券と申しますか、その整理事務は現在全体の三分の一程度しか進行していない。三分の二は現在の人員で整理するならば、まだあと四、五年かかる、二、三年かかるということでありますが、これらについてこの問題が解決されなければ、講和の際に、私有財産の問題に触れたときにまつたく齟齬を来すので、この点についてどういう処置をとられるかひとつ承りたい。
  58. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 ただいまの証券の整理の問題でございますが、昭和二十二年九月に、当時関係方面から一ぺんに何百万件というものを引渡された。それから関係各省集まりまして整理にかかつたわけです。その当時御承知の通り昭和二十年大蔵省令第八十八号がございまして、証券類の輸入がきわめて制限されておりましたので、なかなか本人に返還することができなかつた。その後二十二年、三年、四年とだんだん関係方面との折衝で輸入の制限が解除されるものが出て参りました。これはすべて八十八号の告示の輸入の制限をはずして本人に返還したわけであります。こういう返還というものは、実は今まで輸入の制限の解けたものは、本人に返して行くものにつきましては全部返還したわけであります。そのほかに残つておりますのは、実は今小西委員のおつしやいました何百万件というのがまだ本人に返還できないで残つている。これもただいま整理に今後四、五年もかかるだろうというお話もございましたが、実はそんなにかかるものではございません。かつ証券の整理というものは一応分類して、どこの地区のどういう証券だというふうに一応区分して、ケースに收めて整理はしてあるわけです。それをただ理想的に台帳さえ見ればすぐわかるようにというので、台帳をすつかり整備しようということで、ただいま横須賀の税関でやつているわけであります。この台帳記帳整理ということも、台帳さえ見れば何もかもすぐわかるのだ、アメリカ式とまで行きませんけれども、書類の整理保存という関係で、台帳をりつぱなものをつくろうということでこれを始めたわけであります。その関係の仕事が、なるほど今のままの人員で参りますと今後かなりな期間を要するわけです。これも税関の方と相談いたしまして、さつそくに人をふやすなりいたしまして、おそくとも本年半ばまでには台帳の記帳もすつかり整理したい、こういうふうにきめまして、ただいまそういう措置をとるべく協議中であります。御了承願います。
  59. 小西英雄

    小西(英)委員 証券の問題は、大体今答弁のように、なるべく講和に間に合うように、講和で私有財産を返還するとかいうことに決定した場合に、先からそういうものを要求されないでもこつちの方がちやんと出せるように準備をしてもらいたいと思う。と同時に、証券ばかりでなく、個人の私有財産の台帳、そういうものははつきりわかつているかどうか、それをちよつと伺います。
  60. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 今の小西委員の御質問で、個人の財産全部がわかつているかということでありますが、これにつきましては、九十五号省令によりまして、在外財産の報告というものを、終戦直後引揚げられた方々で在外財産をお持ちの方から、非常にむずかしい報告でございましたが、いただいたわけであります。これは当時関係方面からの指示によつて報告をいただきまして、そのまま実は関係方面に引継いだようなかつこうになつております。その点につきましては、それさえあれば一応その御報告なつた財産ははつきりするわけであります。ただいまのところ、それだけお答えさせていただきます。
  61. 小西英雄

    小西(英)委員 証券より、むしろ今言つた不動産とか、その他の財産の方が多額に上るので、あの当時引揚げて来た方々が、引揚げの中でわずか千円か二千円しか持つていない金を費してあの報告をしたのでありますから、そういう点から十分にその関係方面に渡つている書類の保管、そういう点について大蔵当局並びに外務省において向うからいただけばいつでもすぐにその報告書ができるように準備を特にお願いいたしまして、私の質問をこれで終ります。     —————————————
  62. 若林義孝

    若林委員長 この際お諮りをいたします。先日の委員会散会後の懇談におきましてお打合せいたしました、ダレス特使に対する懇請の件でありますが、ただいまお手元に配付しましたような懇請状の案文を作成したのでありますが、これについては、各委員におかれましては、党においても御研究の上意見をまとめられる必要もあると存じますので、本日はこの案文をお持ち帰りになつていただきまして、もし御意見のある場合は委員長のもとまでお申出をいただき、各党においても御異論のない場合は、早急に両院の特別委員長において提出いたすことにいたしたいと思いますが、このようにとりはからうことにいたしまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 若林義孝

    若林委員長 それではさようとりはからいたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十四分散会