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1951-03-26 第10回国会 衆議院 運輸委員会水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十六日(月曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君      岡村利右衞門君    黒澤富次郎君       滿尾 君亮君    山崎 岩男君       川島 金次君    山口シヅエ君       江崎 一治君   水産委員会    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君       小高 熹郎君    田口長治郎君  出席政府委員         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君         海上保安官         (海上保安庁海         事検査部長)  松平 直一君  委員外出席者         運輸委員会專門         員       岩村  勝君         運輸委員会專門         員       堤  正威君         水産委員会專門         員       杉浦 保吉君         水産委員会專門         員       徳久 三種君     ————————————— 本日の会議に付した事件  船舶職員法案内閣提出第一一六号〕  (予)     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより運輸委員会水産委員会連合審査会を開会いたします。  運輸委員長であります私が、本審査会委員長の職務を行います。  本日の議題は船舶職員法案であります。
  3. 前田郁

    前田委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。鈴木善幸君。
  4. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 この法律案につきましては、第一條の目的にうたつておりますように、船舶に乗り込むべき者の資格を定めまして、もつて船舶航行の安全をはかるということでありますので、これは漁業の面から見ましても、漁船安全航行漁業の将来の発展のために、きわめて適切なる法案であるという観点から、この法案に対しましては水産委員会といたしましても全面的な賛意を表するものであります。ただ実施上二、三の点につきまして、当局に対しお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まずその第一点は、この法律実施にあたりまして、従来総トン数二十トン以上の漁船適用されておりましたものが、今回の改正によりまして総トン数五トン以上の船まで、これが適用されるということになつて参つたわけでありますが、そういうぐあいに適用範囲が拡大されましたことによりまして、新規にどれだけの乗組員資格を持たなければならないか。資格者がどれだけ増加するかという点、及び適用範囲が拡大されましたのと資格の上昇によりまして、どれだけの人員資格者としてふえて来るかという点につきまして、まずお尋ねいたしたいと思います。
  5. 松平直一

    松平政府委員 ただいまの御質問でございますが、今度新たに適用を拡張いたしました範囲は、総トン数五トン以上二十トン未満の帆船漁船、それから同じく平水区域航行する帆船、こういうことになつておりまして、帆船においては一万一千三百十四隻、漁船におきまして二万一千二十三隻、合計三万二千三百三十七隻でございます。それで小型船舶操縦士一般について一名ということでございますから、これだけの同数の資格を持つた者が必要だ、こういうことになります。
  6. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの御説明によりましても、漁船関係において二万人以上の資格者がふえる。さらに機関士その他通信士等を入れまずならば、おそらく三万人以上になるかと思うのであります。そこでこの三万人以上現に資格を有しない者が、これから資格を得なければならない、こういうことに相なるわけでありますが、実際面におきまして漁船の場合におきましては、職員が各自独学でそれらの資格を得るに至る技術あるいは学問というようなものを勉強するということは、事実上困難な事情に置かれておるわけであります。そのような現況に置かれておるわけでありまして、今後これらの者に資格を與えますためには、国として講習その他適切なる指導養成が行われねばならぬと思うのでありますが、この法律立案にあたりまして、当然これらの養成事業について当局として御計画があると思いますので、その点をお尋ねしたいと思います。
  7. 松平直一

    松平政府委員 ただいまの御質問でございますが、当然そういうことが考えられるわけでございまして、今度の法律立案にあたりましては、関係庁とは非常に密接な連絡を保つて立案いたした次第でございます。それで私の方としましては、新しい適用をいたします面、あるいはまた新しい免状を設けた点、その他いろいろ資格を変更しておりますので、もちろんこういうかわつた点を十分周知させるということに努力する一方、ただいま申し上げました通り関係各省と十分な連絡を保つておりますので、ただいまの養成の問題の点は、各関係省において十分お考えをいただいておる次第でございます。私の方ではもちろんこの講習その他に関連いたしまして、今後とも密接に各省連絡をとりまして、この法律施行に遺憾ないようにいたしたいと存じております。なおつけ加えておきますが、この法律でたとえばただいま問題になりました小型船舶操縦士試験のごときも、三年間の猶予期間と申しますか、経過期間を設けております。
  8. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 松平部長の御答弁によりますと、この法律実施についての前提でありますところの船員養成という問題につきましては、水産庁関係官庁において十分その準備をやるべきだ。なお立案当局としての運輸省においては、三年間の経過期間を定めている。その間において関係庁が十分それに対処する準備を進めたらどうかというようなぐあいに承つたわけであります。まことにその通りと思うのでありますが、現在の漁船船員養成の実態を見ておりますと、一箇年に約二千人の養成をいたしております。これは昭和二十四年、二十五年におきましても、その養成に関する国の予算額は百二十六万円程度という少額でありまして、二千人程度養成しかできない。ところが先ほどの御説明によりますと、新たに資格を要する者、あるいは資格が上昇したために資格を取直さなければいけない者を加えますと、約三万人ある。そういたしますと三箇年間の経過期間で、昭和二十九年にこれが円満に実施されますためには、今後一箇年間に一万人ずつ講習会等によつて養成をしなければならない、こういうことに相なると思うのであります。そういたしますと予算面におきましても現在の五倍程度、約六百万円程度年額養成事業費予算に確保されなければ、この法律は死文に帰する、実際上実施できない、こういう結果に相なると思うのでありますが、もし予算等が確保されずに、この三万へ新規資格者養成できないということに相なりました場合に、この法律運用についていかようにお考えになりますか。その点をお尋ねしたいと思うのであります。
  9. 松平直一

    松平政府委員 ただいまの点は当然この法案立案にあたりまして考えられるべき点でございまして、たとえばただいま問題にもなりました三万人という数字が、ほとんどが小型船舶操縦士の問題でございますが、これの養成につきましては、水産庁の方で十分お考えをいただいている次第でございます。それでこれは試験内容にもわたるとは思いますが、ただいまの三年間の猶予期間でもしまかなえない場合にはどうか、こういうお話でありましたが、私の方でなぜ小型船舶操縦士を設けたかということから出発をいたしますと、少し話が長くなりますが、結局いわゆる試験ということで、非常に受ける感じがやかましく聞えるわけでございますが、大体私どもの方でこういう画期的な施行をいたしますので、この試験を通じまして、むしろ指導啓蒙をやつて行くような方向の試験でまかなつて行きたい、こう考えております。
  10. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 水産庁山本次長がお見えになつておりますから、この面につきまして水産庁からはつきりした御答弁をいただいておきたいと思うのであります。先ほども申し上げましたが、昭和二十四年、二十五年度の経過から見まして、政府は一年に年額百二十六万円程度のわずかな予算しか組んでいない。その養成人員は二千人を満たない。こういう状態で、たとい三箇年間の経過期間があると言いましても、新規に三万人の有資格者養成しなければならないということでは、どうしてもこの法律実施期間までにそれだけの養成はできないということに相なると思うのであります。そこで水産庁は、一箇年に一万人以上を養成するに足るだけの養成事業費を、大蔵省との間にお話合いがついておるかどうか、そういう点を固めた上で、この法案政府が御提案になつたものであるかどうか、その点をお尋ねしたいと思うのであります。
  11. 山本豐

    山本(豐)政府委員 この法案審議の途中におきましても、いろいろとこの漁船乗組員養成の費用が、従来も非常に少かつたわけでありまして、大倉省には時々いろいろ話合いはいたしたのであります。しかしこの法案いろいろ論議の途中で、二十六年度以降の予算の点には確たる確約を得たわけではないのでありまするが、しかしながら現在漁船のこの法律改正がこういう経過で進みつつある、従つて二十六年度以降、特に追加予算等におきましては、ぜひ考えてもらわなければ困るということを、大蔵省の方にも時々通じてあるわけであります。われわれといたしましては、この法案が通過いたしまして、臨時国会等におきましてぜひこの必要な予算を要求いたしたい、またある程度大蔵省の、これは係の話でありますけれども、その事情は十分大蔵省もわかつてくれておると思うのであります。ただ具体的問題といたしましては、今鈴木委員の言われました点は、要するに金がとれても事務的に年間一万人の養成ができるかどうかという点もあろうかと思うのであります。これは特に漁船につきましては、一般の場合と違いまして、かりに養成をいたしました場合におきましても、常時自分の仕事に沖に出る手合いでありますので、よほどその時期なり、あるいは方法なりというものにつきましては、十分考えてやらなければならぬと思うのであります。従いましてまた保安庁方面に対しましても、この試験制度実施にあたりましては、その運用の面で決して特別扱いしろというわけではないのでありますが、十分実情を御認識いただいて、水産庁と連繋のもとに実施していただきたいというふうにお話をしよつちゆうしているわけであります。そういう点で三千万円程度この事業をやるためには予算がいるわけでありますが、今日までのところ確たる結論は得ていないのであります。これらの状況につきましては常々大蔵省とはよく折衝はしておるわけでございます。従いまして事務的には、次回の臨時国会にぜひ二十六年度分の追加を要求いたしまして実施に移して行きたい、こういうように考えているわけであります。
  12. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの御答弁によりますと、この法案立案の過程において、大蔵当局ともいろいろお話合いはなさつたやに推察されるのでありますが、まだこの養成事業についての補正予算等の編成の際に、確実に出してもらえるという確たるお話合いがついていない。つまりこの法案の具体的な実施についての、養成の面についての裏打ちがなされてないというように承つたのでありまして、これはこの法案が成立いたします前提でございまするから、国会において法案審議するその期間中において、当局十分予算措置についての確たる見通しをつけていただくように、当局に要望いたすものであります。なおこの点につきましては、本法案審査主管委員会であります運輸委員長に対しましても、水産委員会を代表いたしまして格段の御配慮をお願いする次第であります。  次に先ほど来松平部長山本次長からお話が出ておりましたが、これら船員資格試験の問題であります。今日まで海上保安庁でおやりになつております経過を見ておりますと、いろいろ漁業実情漁業者が置かれております経済條件から見まして、十分漁業者側の希望するように必ずしも行つていないように私ども承知いたしておるのであります。申すまでもなく漁業者は現在魚は少くなつている、資材は非常に高くなつているし、魚価は低落をたどつておりまして、鋏状価格差で、その経済は非常に危機に瀕しております。漁業経済はまさに崩壊の一歩手前にあるというような苦しい経済状態に置かれているわけです。従いましてこれらの海員免状等を得まするために、何をおいてもその試験当局が指定した期日に受けることを必要とすると考えておると思うのでありますが、生活に追われておりまする関係から、漁期におきまして、その必要を認めながら、とうていその試験に参加することができないという実情にございます。そこで当局漁船関係者資格試験をおやりいただきます場合には、漁閑期を選んでいただきたい。各漁業におきましてそれぞれ漁期の閑散の時期がございまするから、それらを地域的に十分水産庁ともお打合せいただいて、漁業者試験が受けやすい時期をお選びいただくことが必要かと思うのでございまして、それだけの親心をぜひお願いしたいと考えておるのであります。  それからもう一点は、漁業者基礎的学問の素養が非常に欠けております。しかし幼少のころから漁船に乗り組みまして働いておりまするから、その実力におきましては、一般船舶職員とも何ら懸隔がない、相当優秀な実力を持つた者があると思うのであります。それを学術的な、学問的な試験というような面からだけで検査を進めますと、実力を有しながらどうしても試験に受からないという者ができて来ることになるわけであります。そこで漁業者に対しましては、学問的な基礎知識ももとよりでありまするけれども、そういう漁業着実力——海上においてみずから体得し、練磨したところの実力重点を置いて評価していただきまして、真に船の航行の安全が期せられる腕前を持つておるということを認定していただき、学術偏重に陥らずに免状等を交付していただくのが適当であろうと思うのでありますが、この面につきまして海上保安庁当局はいかように考えておりますか、お尋ねをしたいと思うのであります。
  13. 松平直一

    松平政府委員 ただいまの御質問のうちの試験の時期の問題でありますが、これは御説の通りでありまして、私の方ではもつぱらその線に沿うて運営をして行くつもりでございます。     〔委員長退席大澤委員長代理着席〕 従来もこういう面の仕事が、回数においても一番多うございましたし、将来も数の上から言つて、また地方に非常に分散をされておる点から申しましても、当然のことと考えております。  それから試験内容にわたる問題でありますが、従来の試験内容がどうであるかというこまかい議論は抜きましても、今回の改正機会に、やはりこの試験内容という点に一応触れることに相なるのでございますが、特にこの小型船を中心にしました試験におきましては、数学とか何とかいういわゆる学術試験というものでなく、いわゆる技能試験、こういう方面重点を置いて行きたいと考えております。実際問題としましても、それで十分目的は達せられるというように考えております。
  14. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの松平部長の御答弁で、当局のお考えもわかつたわけでありまして、漁業者諸君も非常に安心することと思うのであります。ただ従来は海上保安庁関係試験官の旅費が足らないとか、予算がないとかいうような関係から、どうしても漁業者の望む漁閑期等試験期日を定めて、そうして各地方に御出張願つて、便宜をはかつていただける機会が実はなかつたのであります。予算関係もありましようが、当局として派遣人員も制限される関係からか、どうしてもそのような漁業者本位試験期日の御決定ということが、事実上行われていなかつた。そこでせつかく農林省関係において講習を行い、勉強をした者であつても、試験期日漁閑期に当らないために、講習は受けたが試験は受け得なかつたというような者もございまして、しばしば漁村の方からそういう要望が聞かされておるわけであります。どうかただいまの松平部長お話のように、今後予算等につきましても十分な御措置をいただきまして、できるだけ各地方漁業者が望むところの漁閑期において試験実施されますよう、特にお願いをしたいと思うのであります。  さらにこの際お尋ねをしたいのは、ただいま私が申しましたように一般船員漁船船員との間には、試験にあたつての特別な配慮も必要かと思うのでありまして、これらの検査の適正をはかりますために、海上保安庁水産庁との間に試験に関する委員会のような特別な機関を設けまして、漁船船員資格試験についての適切なる御方針をお立てになる御意思があるかどうか、この点をお尋ねいたします。
  15. 松平直一

    松平政府委員 ただいまは試験内容をきめる上について、試験審議会のようなものをつくつたらどうかという御質問でありましたが、私の方は特別そういう試験のための審議会といいますよりは、幸い保安審議会というものが私どもの方にございまして、重要事項審議をいたすことになつておりますので、これへそういう試験の基準とかいうようなものは諮るつもりでおります。水産庁次長審議会委員でございますから、御懸念の点はまずこれで十分解決がつくと思つております。
  16. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 以上をもちまして大体水産委員会としての質問を終るわけでありますが、冒頭に申し上げましたように、本改正法律案は、船舶安全航行をはかることにその目的がございまして、この法律が円満に実施されますれば、漁業上からも非常な進歩であります。そういう意味で先ほど来私がお尋ねいたしました点、御希望申し上げました点、実施上のこれらの問題につきましては万遺憾なき御準備当局において進められんことを重ねてお願いいたしまして、私の質疑を終ります。
  17. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。——質疑がなければ、これにて連合審査会を散会いたします。     午後二時九分散会