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1951-06-01 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月一日(金曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君 理事 原   彪君    理事 山口シヅエ君      岡村利右衞門君    黒澤富次郎君       玉置 信一君    畠山 鶴吉君       山崎 岩男君    木下  榮君       川島 金次君    柄澤登志子君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房観光         部長)     間嶋大治郎君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君  委員外出席者         日本国有鉄道運         輸総局総支配人 天坊 裕彦君         日本国有鉄道営         業局長     藪谷 虎芳君         專  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 五月三十一日  委員黒澤富次郎辞任につき、その補欠として  犬養健君が議長指名委員に選任された。 同日  委員犬養健辞任につき、その補欠として黒澤  富次郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一七五号)(参議院送付)  国鉄輸送力整備に関する件  日程追加請願  港湾法の一部改正に関する請願宮原幸三郎君  外三名紹介)(第二〇六三号)     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  国鉄輸送力整備に関する件を議題といたします。岡田五郎君。
  3. 岡田五郎

    岡田(五)委員 最近新聞その他の雑誌によりますと、国鉄沿線における在貨が非常に増加いたしまして、ごく最近の記事によりますと、すでに百十四、五万トンになつておるという記事を拝見いたすのであります。休会前の国会におきまして、予算その他国鉄事業計画を承りましたときにも、私からいろいろ政府委員または説明員の方に、在貨の見通しその他をお尋ね申し上げたのでございますが、その節私からも、在貨の数は日一日と激増し、これがひいては日本経済の完全なる運行を阻害する傾向になりはしないかといつて、非常に憂慮した見通しをもつて質問申し上げたのでありますが、はたせるかな、夏枯れどきであるべきこのときにおいて、すでに二百二十万トン近くの在貨を蔵するに至つた現況を見ますと、日本経済の復興のために、はなはだ憂うべき状態であると私は考えるのでございます。そこで最近における在貨の状況につきまして、できますれば品目別に、どういうように駅頭滞貨されておるかということにつきまして、まず政府側説明員の御説明をお願いしたいのであります。
  4. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいまの御質問につきましては、国鉄から営業局長並びに総支配人が一緒に来ておりますので、その方から説明をしていただきたいと思います。お許しを願いたいと思います。
  5. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま特に最近の鉄道滞貨が、非常な数字をもつて増加しつつあるが、最近の、状況はしさいにどうかという御質問でございますが、この前に御説明申し上げたのとやや重複するかと存じますが、最近の滞貨数字を申し上げてみたいと思います。  昨年の八、九月ごろにおきましては、八月は六十四万トン、九月が九十六万トン、こういう数字でございましたのが、十月になりまして百四十六万トン、十一月が百四十三万トン、十二月が九十六万トン、一月が百五十八万トン、二月が百六十九万トン、三月が二百万トン、それから四月になりましてやはり二百万トン、それが五月下旬ごろで二百十五万トンというような数字に増加して参つております。それでは鉄道輸送力の方が全然上つていないのかと申し上げますと、それはそうではございませんで、この方も相当増加いたしておるのでございます。今の数字に対応して申し上げますと、昨年六月に約九百九十万トンでございましたのが、七月には千四十三万トン、八月には千三十八万トン、九月には千六十八万トン、十月には千一百四十三万トン、十一月には千二百二十三万トン、十二月には千二百六十九万トン、一月には千百九十一万トン、二月には千百三十万トン、三月が千二百二十六万トン、四月が千二百八十四万トン、五月が千三百五十五万トン、こういうふうに輸送の方もいろいろな無理等もございますけれども、できるだけの力を注ぎまして、懸命に滞貨の切りくずしをやつておるのでございますが、依然として、先ほど申しましたように二百十五万トンというような滞貨を持つておる現状でありまして、はなはだ申訳ない次第に存じておるわけであります。  その滞貨内容はどんなものかという御質問もございましたのですが、どうも中身がいろいろ動いておりまして、この数字が必ずしも正確な数字を把握できないのですが、その主たるものはやはり木材でありまして、大体三月の統計では、木材が約四十四万九千トン滞貨の中に入つております。それから石炭、これは滞貨と申しましても、大体それくらいはふだん始終持つておるのが普通の姿とも言えるのでございます。特にこの三月は、二月に石炭の出が相当悪うございます。その関係もございますけれども、三月の数字では二十二万千トン、こういうのが一番おもなる数字であります。これも地方によりましては木材石炭以外の物資につきましても、相当滞貨のかつこうになつておりますが、毎日々々その中身はいろいろかわつております。大きく拾い上げることができますのは木材石炭、こういうことになつております。
  6. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほどの御説明によりますと、最近輸送能率向上といいますか、輸送成績向上に基きまして、逐月数量相当増加されて発送いたしておるようでございまして、国鉄努力に対しましてまことに敬意を表するのでございますが、かような輸送成績向上にかかわらず、逐日逐月沿線滞貨がふえて行つておる、かような状況を見ますると、今後における日本国内陸上輸送によるべき貨物数量は、やはり逐日増加する傾向を私は予想いたすのであります。ところが一面いろいろ承りますと、年齢三十年以上の貨車が数万両ある。非常に消極的に廃車しても、年間数千両の貨車を廃車しなければ、列車運転上、保安上非常にゆゆしき、憂うべき結果が出る、かような話を聞いているのであります。にもかかわらず国鉄車両新造状況を拝見いたしますと、二十五年度貨車はわずかに五百両程度しかおつくりなつておらない。二十四年度はわずかに千両しかおつくりなつておらない。本年度においても四千両と呼号しておられましたが、今まで承つておりますと、わずかに二千六百両程度しか貨車をつくつておられない。かような輸送力整備状況、かような輸送要請をする貨物の激増というようなことを照し合せますと、この状態で進みますならば、おそらく鉄道の各駅には、数箇月たたずして数百万トンの滞貨ができるのではないかと私は考えるのであります。かように考えますと、一日も早くこの鉄道輸送力整備について、国鉄及び政府は重点的に施策を講ずべきである、かように私は信じて疑わないのでありますが、この面につきましての政府決意というか、国鉄首脳部の所信をこの際承つておきたいのであります。
  7. 足羽則之

    足羽政府委員 国鉄の運びます輸送量が、ただいま説明にありましたようにだんだん努力をしてふえて参つている、にもかかわらず滞貨も逐次ふえているという現象につきましてのただいまの御質問につきましては、われわれといたしましても、そうした傾向がおそらく今後続くのではないかという懸念を持つている次第でございまして、それに対しては、できるだけ諸般の輸送力を増強する施策をいたさなければならないと考えているわけであります。御承知のように今年度予算は、その作成の時期が時期的に少し以前だつたものですから、現在のような急激な輸送の情勢の変化、あるいは物価値上り状況を十分に織り込むわけにも参らなかつたことは、これまでの予算の御説明のときに申し上げたと思うのでありますが、大体今年度予算において貨車が約四千六百両、たしかワムに換算いたしまして七千両前後のものになるかと存ずるのでありますが、それがその予定通り新造をする見通しもなかなかつきかねている次第でありまして、現在のところは約三千両を少し上まわる程度新造計画をいたしているわけであります。しかしながら今年度輸送量年間にどれくらいであるかという見通しにつきましては、目下愼重運輸省あるいは国鉄におきましてもいろいろ検討でありますが、二十六年度予算にあげた数字よりは、さらに上まわるであろうことは明らかな事実であろうと思います。従つてどのくらいの想定をして、どう対処するかというような具体的な数字につきましては、検討いたしているわけでありますが、しかし相当上まわるので、おそらくそれに対して相当数貨車新造をいたし、あるいはそれに伴いまして施設の補強と申しますか、施設整備もいたさなければならぬところもあります。またこれに対して要員確保その他万端のそうした点について、いろいろな施策をいたさなければならない。いずれそうしたものは、数字がだんだん明確になつて行くにつれて、またあらためていろいろ御審議を願い、御批判を仰がなければならない、こういうふうに考えている次第でありますが、現在の方向といたしましては、少くとも輸送量年度初めの予算のときに予想しておつたものよりは相当上まわる、これに対してはおそらく特段の予算措置もいたさなければなるまいか、こういうふうに考えまして、ただいま申し上げました貨車新造あるいは施設整備、あるいは要員確保等につきまして、具体的な点を現在愼重検討いたしている。しかもそれはできるだけ早くそういう結論を出さなければならないのではないかというふうに考えて、現在いろいろ努力しているわけでありまして、なおその点につきましても、国鉄としてもいろいろ実際についての検討をされていると思いますので、国鉄側からも説明をしてもらうことにしたいと思います。
  8. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいまの足羽局長の御説明で、話の全体は盡きておるのでございますが、私どもの方といたしましても、先ほど御指摘がありましたように、今年の貨車新造も、予算面では四千五百両をぜひつくりたいという覚悟でスタートをいたしておつたのでございます。それがいろいろと物価値上りというようなことを考えますと、いただきました予算ではどうも三千両近くしかできない。しかも昨年予算を編成いたしますときには、四千六百両近くもできますれば、輸送力としては相当ふえるというふうに考えておつたのでありますが、まつたく想像以上の輸送要請の増加がございまして、昨今その関係の御当局方面と折衝いたしておるのでございます。本年度輸送の全体の要請は、一億五千万トンを突破するのではないかといわれておりますので、大体の私ども予算ぺースが一億三千六百万トン前後の立て方で、全体がバランスしたかつこうででき上つているわけでございまして、途中で私どもも一億四千七百万トン前後の構想で、予算を何とか考えていただく必要があるのではないかというふうに折衝して参つたのでありますが、それが今申しましたように一億五千万トン以上も要請になるというようなお話で、その間いろいろ数学的に折衝を願つておるのでありますけれども、それが固まり次第、またいろいろな特別の御措置をお願い申さなければならぬというふうに思つております。先ほど申しましたように、ただ昨年の車両その他をもつてではありますが、できるだけ毎月何とかくふうを凝らして、全体の輸送力が上るようにという方向には、いろいろと努力いたしておるのでありますが、反面やはり現在のままでは、いろいろな面で無理が出て参つておるのでありまして、円滑な輸送をやりまして、できるだけ日本経済の大きなこぶになつて、経済の発展をじやまするようなかつこうにはならないように、一生懸命やつているわけでありますが、いずれ資料その他を十分整えまして、別の措置に関しましてお願い申し出ることがあるかと思いますので、その節はよろしくお願いいたしたいと思います。
  9. 岡田五郎

    岡田(五)委員 いろいろお尋ね申し上げたいことがあるのであります。現実の姿から将来の見通しにつきましていろいろお話し申し上げてもきりがないと思いますので、一応結論的に政府の方のかたい決意を求めますとともに、なお政府における行政的な強力な働き方とも期待いたすのでございますが、先ほど政府委員の御説明によりますと、最近関係各省ともいろいろ相談をして、どのくらいの数字が出るであろうか、本年度輸送要請量はどのくらいであろうかという作業を続けている、こういうお話でございますが、御承知のように鉄道輸送力整備は、おもちやの汽車をこしらえるわけでもございません。おもちやの貨車をこしらえるわけでもございません。作文ができたから翌日貨車ができる、輸送力整備ができるというものではございません。要するに私が非常に心配いたしておることは、夏枯れのこのときにおいてすら、すでに二百数十万トンになつておる。まして秋口から暮れにかけて現在の輸送力をもつて臨まれたならば、数百万トンの滞貨ができ上ることをおそれておるのであります。私は常常申し上げておるのでありますが、政治現実によつて進まなければならない。いくらりつぱな作文ができましても、駅頭に五百万トンの滞貨を並べられたならば、全国に分散したいわゆる弱小荷主は、現実に非常な被害をこうむるのであります。これがたまたま繊維業者港頭駅頭における滞貨であるならば、強力な陳情と政治力に基きまして、あるいは融資の方法、あるいはその他の金融措置を講じられるかもしれないと思うのでありますが、駅頭に五百万トン滞貨させられたたくさんな弱小荷主は、かような強力な政治的保護も受けられずして、とにかく涙を流して忍ばなければならない。この声なき声を十分聞きとつてやるだけの善政といいまするか、交通機関としての使命を遂行されるべきである、私はかように考えるのであります。数字は多少——百万トン違つても二百万トン違つても大したことはないのだ。一億四千八百万トン輸送するなら、早く輸送計画を立てて、一日も早く車両をこしらえ、鉄道輸送力整備する現実作業に突き進むことが、善良なる官吏であり、善良なる国鉄首脳部である、かように私は考えるのであります。国民のこいねがつておることは、りつぱな作文のでき上ることをこいねがつておるのではなくて、十分なる鉄道輸送力ができ上ることを、一日千秋の思いで待ちあぐんでおると私は考えるのであります。なるほど一箇月の輸送トン数はどんどんふえておりますが、その内容をいろいろ承りますと、鉄道はいたずらに輸送数量を上げんがために、貨車能率を高めんがために、近辺の運びやすい所の荷物、——かつぱらつてと言つて言葉が悪いのでありますが、輸送をしておるから、輸送しにくい、いなかの地方では、滞貨のなるがままに残されておる、かように承つておるのであります。聞くところによれば、米子にいたしましても、福知山にいたしましても、北海道の釧路にしても、とにかく運びにくい地域ではどんどん滞貨として残されておる。滞貨木材が非常に多いといわれたのも、一にその傾向を如実に示しておると私は考えるのであります。どうか政府におきまして、作文はともかくといたしまして、早急に施策を講じ、早急に輸送力整備の実行に着手せられんことを特に要望いたすのであります。何といいましても国有鉄道日本血管であります。この血管の血液の循環が惡ければ惡いほど、この人体となる日本国経済が、青きインテリのごとき状態を呈することを私は非常に憂うるのであります。従いまして私はあらためて政府委員の方、また国鉄首脳部に対して、輸送力整備につきまして特段の緊急の施策を講ぜられんことを特に切望するのであります。極端な言い方をするかもしれませんが、車両費を捻出するためには、あるいは停車場建物を会社にまかして、その停車場費を節約して、とにかく貨車をつくろうと思えばつくれるのであります。今までの行政官吏の行き方——停車場建物国鉄がこしらえなければならない、どこそこの建物も自分のところで直接やらなければならないという、しやくし定規の行き方で行きますならば、金が幾らあつても足りないので、何でもかんでもやりたいということになると、結局交通機関としての第一目的である輸送というものが、世間の希望に沿わないという状態に追い込まれるのじやないか、これが現在の傾向ではないか、現在は国鉄輸送面における国難——といえば言葉が悪いのでありますが、最も危機に瀕した重大な事態にあると考えるのであります。この事態を十分に御認識なさいまして、重大なる決意をもつて政治的、行政的措置を講ずべきであると私はかたく信ずるのでありますが、どうも先ほどからの政府委員の御説明または国鉄天坊支配人お話を承りますと、その熱意が足りない——言つて言葉が悪いかもしれませんが、私たちが期待しておるほど熱意をお持ちになつておられないような感じを受けてたまらないのでありますが、その点につきまして、あらためて御答弁を願いたいのであります。
  10. 足羽則之

    足羽政府委員 われわれといたしましても、現在の状況なりあるいは今後の見通しにつきましては、これに対処するために十分な努力をいたしたいと考えておる次第でございまして、あるいはただいまおしかりをこうむりましたような印象であつたこと、あるいは私たちの非常に未熟な点もあろうかと思いまして、おわびを申し上げる次第であります。御鞭撻をこうむつて、十分御期待に沿うように万全を盡して努力いたしたいと考えます。どうぞ今後よろしくお願いいたします。
  11. 岡田五郎

    岡田(五)委員 政府委員をつかまえておしかりのお言葉を差上げたりしてまことに申訳ないのでありますが、この輸送力整備の問題につきまして、政府は最近何か行政的な手段なり交渉を始められたか、また国鉄首脳部はこの問題に対してどういうように活躍されたか、これを参考のために承つておきたいのであります。
  12. 藪谷虎芳

    藪谷説明員 本御提案に対して岡田さんからいろいろ御意見を開陳せられましたが、一々ごもつともに存じます。そこで国鉄として今後どう考えておるか、こういうお尋ねでありますが、先ほどからお話が出ました通り、今年度輸送要請は大体一億五千万トン——滞貨も日に日に増大しております。しかしながら輸送力も上つておる。そこで現在の車両運用効率は、戦前よりはまだ低いのでありますが、戦後の混乱時代よりは非常に運用効率が上つております。これを一層上げるように、現場の方に指令をいたしましたことが一つであります。それから第二は、やはり根本的に貨車が不足しておる、こういうことに対しましては、先ほどから話がありました通り、三千両では足りない、どうしても何とか財源を見つけて、あと少くとも四千両ばかり増備をする必要を感じて、ただいまその措置をどうするか。一番問題は財源でありまして、この点またいずれ御協議を願いたい。いずれにせよ財源を何とか見つけて、運用効率とその増殖する数量、これをあわせて完成すれば、何とか一億五千万トンの輸送要請にこたえられる、こう存じておる次第であります。そういう意味におきまして、この御提案は非常に時宜に適した、しかも日本経済伸張のために非常に重要な御提案でありまして、国鉄のわれわれといたしましても、ここに心を新たにして御注意の意に沿うように努力いたしたい、こう存ずる次第であります。
  13. 足羽則之

    足羽政府委員 運輸省に対しましても御質問がありまして、非常に熱烈な御希望、御要求に対しましては、いささか微温湯的ではあると思いますが、実は二十六年度車両費予算計画しておりました両数も、今までできないということは先ほど説明した通りでありますが、約三千両余の貨車をつくる計画予定を進めており、着手しておると申し上げた点につきましてちよつと御説明を申し上げますと、それに要する車両費は、当初予算で考えておつたものよりは上まわる数字なのであります。もし今後補正予算を提出して、そうして認められますれば、それの一部分となるであろうかと思いますが、しかし現在のところの見通しでは、まだそういう補正予算の問題になつておりませんので、ほかの工事勘定予算をそれの方に流用して、極力車両増備に努めておるというような形になつておる。そういうことを、きわめて一部分の対策と申しますか、措置でございますが、申し上げたいと思います。なお全般につきましては、先ほど申し上げましたごとく、極力各種の点について検討いたしておりますので、はなはだ御満足の行かない御返答を申し上げるようでございますが、御了承願いたいと思う次第でございます。
  14. 岡田五郎

    岡田(五)委員 どうも私は政府熱意が足りないような感じがしてしようがないのであります。こういうことを申し上げるとまことに申訳ないのでありますが、はたして運輸省が最近の陸上輸送状態を勘案いたしまして、陸上物資の海上への転移だとか、あるいは自動車輸送による近距離物資自動車への転貨、あるいはあらゆる交通機関総合利用によつて陸上輸送力円滑化というようなことをも研究されておるのかいないのか。またこの貨車が一箇月や二箇月でできない。たとい発注されても、鋼材その他の不足に基いて、そう簡単にでき上らないという最近の時節柄、かような鉄道輸送力整備が、非常に容易ならないという現実事態を十分に認識しておられるのかどうか。私は運輸省の各位におかれましては、かような面の認識がまだ非常に足りないのではないかと思う。かような面についての認識が十分おありになり、また現在の滞貨がいかに日本経済の円滑なる遂行に支障を與えているか、聞えないが、いかに大きな悲鳴が全国の各所、駅頭にあふれているかという、聞えざる声を聞くという、いわゆる実情に即しておられるかどうか。かような点について、欠けておると言つて言葉が悪いのでありますが、この重大なる事態についての認識の仕方が、まだどうも足りないように私は痛感するのであります。どうか政府及び国鉄当局におきましては、この国鉄日本経済機構上占める重大なる意義を十分に御認識、反省されまして、緊急にして適切なる応急措置を講ぜられんことを望みます。またそれが公共機関としての国鉄のほんとうの使命であり、本来の姿であると私はかたく信ずるのであります。望むらくは政府及び国鉄当局は、乾坤一番思い切つた非常対策を講じていただきたい。かように痛切に希望いたしまして、私の質問をこれで打切りたいと思います。
  15. 柄澤登志子

    柄澤委員 ただいま藪谷説明員の御説明を伺つておりますと、何か決議案というような言葉を承つたのでありますが、私まだ何も承知いたしておりませんので、何かそういうふうな議事の運営になつておるのかということを一応承りたいと思います。
  16. 前田郁

    前田委員長 ただいま国鉄輸送整備に関する件を議題としておりまして、別段何も案は出ておりません。
  17. 柄澤登志子

    柄澤委員 二月の予算審議のとき以来、與党岡田委員との間に輸送力のことについて、予算を土台にして熱心な質疑応答がたびたびかわされていたと思うのでありますが、足羽鉄道局長がお見えになつておりますので、運輸省としての御方針について承つておきたいと思います。この前たしか予算分科会であつたと思うのでございますけれども国鉄予算は、ダレス氏がおいでになる関係上、昨年の八月ごろの物価を基準にして組んでおり、特に国鉄の資材では、事変関係のものが多い関係から、七割くらいも値上りしておるものがあつて予算をどうしても補正しなければいけないというような立場にあつたということを、運輸大臣が大体御承認になつているようなお口ぶりが、その委員会で漏らされたと思うのであります。しかしただいま承りますと、工事勘定から流用したりして、そういうものを埋めておるというようなお話でございましたが、事実その資材の価格は、昨年の七、八月ごろの価格が基準で組まれておるかということと、それからそれが現在七、八割も値上りなつているということが事実であるかどうかということ、さらに工事勘定から繰入れてまでも、追加してつくらなければならないという、自由党の岡田さんに対します御答弁の中にありますものが、貨車であろうと思うのでございますが、そういうものがどういう要請に応じてどのくらいのものがつくられて、どういう種類のものがつくられておるかということ、それらについて局長から御答弁願いたいと思います。
  18. 足羽則之

    足羽政府委員 まず車両について、どのくらい値上りしておるかという第一の御質問でございますが、車両についてどのくらいかということは、実ははつきりした数字をここに持つておりませんので、正確にはお答えをいたしかねますが、十二月に比べまして大体四、五割程度かと考えております。国鉄の資材の値上りが七割前後くらいであろうというふうな言い方は、ひとり車両だけにかかわらず、ほかのいろいろの資材も含めての数字でございますので、車両だけについて大体どのくらいかという点の正確な数字を、私としては申し上げられないことをちよつと遺憾に思いますが、大体の見当はただいま申し上げた程度だと思つております。  それから工事勘定から繰入れて云々というお話がありましたが、貨車新造いたしますのは工事勘定の中の問題でありまして、現在御審議をいただいた二十六年度予算工事勘定の中で、当初車両費予定をしておつた金額より、——現在約三千両と少しかと思いますが、それだけの貨車をつくるのに要する費用は、当初の予算予定しておつた額よりも上まわつておる。つまり工事勘定の中でやりくりをして、そういうふうな対策を講じているのでありまして、これは岡田さんの御質問に対しては、きわめて御不満な微温的な対策かもしれませんが、現在のところそういうふうにして、極力貨車増備についてできるだけのことをいたしておる、こういうことを申し上げたわけであります。  それからどういう種類の貨車をつくつておるかという御質問であつたかと思いますが、重点は十五トン車を中心として、大部分がたしか十五トン車であるように私記憶いたしております。やはりただいま資料を持つておりませんので正確な数字は申し上げられませんが、大部分が十五トン車であります。
  19. 柄澤登志子

    柄澤委員 十二月に比べて四、五割という御答弁でございましたけれども、私が御質問申し上げましたのは、七、八月を基準にして予算が組まれておるということが事実かどうかということ、それからどのくらいの値上りなつているかということ、二月の予算分科会のときですら七割ということがいわれていたのであるけれども、ただいまの御答弁では十二月からというお話でございまして、私のお聞きしたい点とちよつとかけ離れているように思うのでございます。それから当時はたしか石井政府委員からの御説明で、百五十億の予算の中から、当時の予算では四千両の貨車増備をやる。二千両廃車をして、二千両新車を入れるということだつたと思うのでございます。これは二月の当委員会での御答弁だと思うのでございますが、それが予定が狂つて、ただいまのところさらに増強したいという要請で、五千両になつたという答弁であろうと思いますけれども予算面で一体それがどういうことになつておるかということを承りたかつたのでございます。今日は特に輸送増強のための委員蚕でございますから、資料は当然御用意なすつていらつしやるはずであると思いますが、あなたがおわかりになりませんでしたら、ほかの専門の方にでも御答弁願えればけつこうだと思います。
  20. 足羽則之

    足羽政府委員 二十六年度予算は大体七、八月ごろの資料によつて——朝鮮事変で非常に物価値上りをしている状況でありまして、予算審議当時、二月、三月ごろの状況がその基礎になつておらぬということは、別な機会に別な政府委員からも御説明申し上げた通りであります。それからその当時に比較してどのくらい車両値上りをしておるかという御質問につきましては、正確に覚えておりませんのではつきりいたしませんが、大体いろいろな諸資材の値上りの影響で、平均して七、八割前後程度であろうというような説明を、たしかこの前の予算審議のときに申し上げたかと思いますが、車両だけについてどうかという点については、私資料を実はただいま持つておりませんし、はつきりした記憶がございませんので、それに近い一応の例として、十二月ごろに比較してということを、かりに実は申し上げたわけでありまして、御了承願いたいと思う次第でございます。
  21. 柄澤登志子

    柄澤委員 全体として不満足な御答弁しかいただけないのでございますけれども予算審議のときに、御予定が大体一億三千五、六百トン、最高で一億四千万トンだろうという加賀山総裁からの御答弁だつたと思います。今日承りますと、一億五十万トンの大体要請だというふうに、たしか先ほどお話があつたと思います。そういたしますと、当時よりも一千万トン要請が多いことになつておりまして物価が上つているし、さらに要請が多いということでありますと、とうていこの計画が遂行できないと私ども思うのでございます。この点の見通しについて、どういうふうにお考えになつていらつしやるのか、具体的に知りたいということと、さらに補正予算をお組みになるお見通しがあるかということと、この輸送計画というものが二月から今日までの間に一千万トンもふえているそうでございます。そうしますとまた九月ごろまでに一千万トンふえるかもしれない。実に自主性のない、波にもまれているような形で、輸送計画というものがねこの目のようにかわつておる。そういうことであなた方は御対策をおやりになれるのかどうかということを、もつと具体的に誠意をもつて説明していただきたいということでございます。
  22. 天坊裕彦

    天坊説明員 鉄道輸送力の想定の数字について御質問がございましたので、お答えいたしたいと思います。ことしの二、三月ごろの国会で私ども申し上げた数字は、大体八、九月ごろから計画いたしておりまして、この前の議会で承認を得た予算は、大体一億三千五、六千万トン前後の数字を想定してでき上つたものであつたのであります。しかしながらその数字予算を組んでいただきますれば、いろいろと努力もいたしまして、一億四千万トン前後は何とか運べる見込みがあるということを申し上げたわけであります。ところがその後安定本部等で、日米協力態勢その他の新しい事態で、いろいろ数字を計上されて参りまして、大体一億四千七百万トンから、さらに一億五千万トンくらいふえるのだというふうなことになつて参つたのであります。ごく二、三箇月の間にそれだけ数字がどうしてかわつたか、見通しがつかなかつたかということにつきましては、いろいろおしかりを受けてもしかたがないのでありますが、このごろの急激の変化には、想像できない点があるので御了承願いたいと思います。一億四千七百万トン程度を運ぶために、四千六百五十両近くの予算を組みました。物価値上りがなければそれができるのでありますが、相当値上りがありまして、三千両しかでき上らない姿になつております。値上りがあつたためにだきなかつた分はもちろん、新しい増加の数量に対しては何とか車両をつくる、そのほかの施設も補強するような措置を、予算的に講じていただかなければならないというふうに存じているということを申し上げて、御答弁にかえます。
  23. 柄澤登志子

    柄澤委員 いろいろ御説明がありまして、どうしてもまだ不十分でございますけれども、効用の率ということをこの前おつしやつていると思います。その辺についても、何か藪谷さんからも御説明があつたと思いますが、もう少し説明していただきたいと思います。
  24. 天坊裕彦

    天坊説明員 今の御質問貨車の運用の効率と申しますか、貨車の手配の上手下手という問題でございますが、その点につきまして、数字的にも、なるほど戦前と比べましてどうも効率が上つた数字を見せていないのでありますけれども、最近は昔と違いまして、車の大きさも大きくなつております。距離も非常に長くなつております。こういうような関係を考えますと、必ずしも生の数字で戰前の三割前後というものが——最近は二割五分とか、七分とかいう数字なつておりますが、それが非常に落ちたというふうには言えない。従つて数学的には、ちよつと見たところは三割五分か二割八分というかつこうに落ちているのだが、実際運んでいる貨車の力というものは昔とかわつていない。従つて先ほど申し上げましたような、その三千両の車はまだできないのでありますけれども、毎日四十万トン近く運んでいるというふうに申し上げたわけであります。
  25. 柄澤登志子

    柄澤委員 加賀山総裁の御説明では、労働基準法とか夜間作業関係上、二十七、八パーセントに下つているけれども、最近では、三八%程度の実績までは上げることはできないが、三五%ぐらいまで上げて、何とか補いをつけたいというような御説明があつたと思いますが、そういう点でもいろいろ操作をやつておいでになるのでございますか。
  26. 天坊裕彦

    天坊説明員 もちろん私どもといたしまして、この二十七、八パーセントという数字を、少しでも上げるような方向努力はいたしております。
  27. 柄澤登志子

    柄澤委員 そういたしますと、本年度予算審議のときに、定員の点で私どもはたしか千八百六十二名かと思いましたが、昨年のいわゆる予算定員から減つておる定員というものが、自然減耗だということで承認された形で行われていたと思います。いろいろな事故なども最近は非常にふえておりますことは、桜木町事件で御弁明の余地がないと思うのでありますけれども、操車場などの面でも、現に新鶴見の操車場では五月の中旬、十四、五日ころだと思いますが、労働強化のために一人の操車の労働者が、空腹と過労のために列車からおりましたところへ貨車が入つて来てひき殺されて死んでおる。それはなぜかといえば、立ち上るだけの体力がないくらい、労働強化で疲れておつたからであります。非常に職制の圧迫と低賃金のために、新鶴見の操作場あたりではそういうことが起つておるということを聞いております。そういう点につきまして、一億三千六百万トンの輸送計画で一億五千万トンの要請のありますときに、貨車だけの御対策を熱心に立てておられるようにおつしやられますけれども、一体人員の面で、国鉄の労働者の労働強化やその他について、どういうふうな御対策を持つておいでになるかということを一応承つておきたいと思います。
  28. 天坊裕彦

    天坊説明員 輸送増強と申しますか、非常な勢いでふえて参る輸送要請に対して、鉄道の準備は貨車のことだけやつているのかというお話でございますが、決してそういうことではございません。先ほどお話になりましたように、最近現実に仕事がふえて参つております。その分につきましては、片方で進めております合理化と並行して、必要な面の人員はふやして参るつもりでおります。従つてこの一億五千万トンなり一億四千七百万トンなりという予算の補正をお願いするときには、相当程度の給與総額のわくもふやしてもらうように願わなければならぬと思つております。
  29. 柄澤登志子

    柄澤委員 給與総額というようなお話でございますが、これは時間外の手当とか何とかという意味でございましようか、それとも定員をおふやしになつて、多い仕事には多い人——数千万トンの荷物がふえるわけでございますから、そういうような労働強化でひき殺されているような現場の状態のところには、当然人をふやすということを方針としてお認めになつていらつしやるのでございますか。
  30. 天坊裕彦

    天坊説明員 貨物がふえて参りますれば、当然貨物列車をふやすというようなかつこうになります。そうすると、それに伴う機関車の乗務員であるとか、車掌というようなものは当然ふえて参ります。その人がいなければ、その仕事ができないという結果になつておりますので、当然そういう人はふやして行くつもりでおります。
  31. 柄澤登志子

    柄澤委員 二十六年度の当初の石井政府委員の御説明では、旅客の方の輸送の実績が減つておるというような御報告がありましたが、これは事実でございましようか。
  32. 天坊裕彦

    天坊説明員 輸送いたしました旅客の総人員につきましては、二十五年度の総数を前年度の総数と比較いたしますと、ごく少し減つております。しかしながら昨年の下期からあとの方は、一昨年よりもずつとふえておるかつこうで、今年になりましても、今年の四月は昨年の四月より少し減つておりますが、五月は少しふえております。大体全体としてそうかわらない数字と考えてよろしいと思います。
  33. 柄澤登志子

    柄澤委員 二十六年度総体としては減つておるというお見込みを立てていらつしやるようでございますが、その通りでございましようか。
  34. 天坊裕彦

    天坊説明員 大体同じくらいのところだろうと思います。
  35. 柄澤登志子

    柄澤委員 パーセンテージから行きましても、総員が多うございますから、人数としましては相当多くなると思いますが、一%半か二%近く減るような御予定を立てておるのは、どういうお見通しからこういう事態が生れたのでございましようか。
  36. 天坊裕彦

    天坊説明員 一%という比率は、全体の数が多いものでございますから、多く響くというお話でございますが、大体想定いたしまして、先ほど申し上げましたように、昨年度と一昨年度の開き、それからごく最近の数箇月のふえ方、あるいは減り方、こういうものをにらんで大差なしという数で考えております。
  37. 柄澤登志子

    柄澤委員 三%の貨物輸送の増加というものの見通しは、何を根拠にしてお立てになつたのでございましようか。
  38. 天坊裕彦

    天坊説明員 これも昨年度予算の編成時期におきましてのその前後の数字、ごく最近の数字というものをとりまして、類推して参つたわけでありますが、それが非常に見払み違いであつたということは、先ほど申し上げた通りであります。
  39. 柄澤登志子

    柄澤委員 この前も運賃値上げをいたしますときに、足羽局長つたと思いますが、たしか経済情勢の見通しを誤つたんだというようなことを、御答弁のときにおつしやつたと思うのでございますけれども、わずかまだ数箇月もしないうちに補正予算を組まなければならない、それから事故も起きるというような現場の状態国鉄に現にあるということは、やはり見通しというものを誤つておられるのではないかというふうに、われわれとしてはどうしても考えられるのでございます。足羽局長に伺つておきたいのでありますが、いろいろな法案が私どもとしては実に不可解な理由でもつてこの委員会にかけられまして、與党の多数できまつて参ります。この間も道路運送法というものが、どんな理由で出ておるかと申しますと、経済政治状態が安定しておるんだという前提でお出しになつておるのでございます。それから今貨物輸送の最も活発にやられております鶴見からの南武鉄道、臨海、あの横浜港から荷物を運びますところの線路、あの線路の払下げの問題が会社から請願に出て、與党委員が議員提出でこの委員会であわよくば通そうとしておいでになるようでございますけれども、この提案の理由も何と言つていらつしやるかといえば、これは戦争の状態が終つたんだ、平和になつたんだということを言つておられます。そういたしますと、運輸委員会予算審議のときには、岡田委員を初め天坊支配人、加賀山総裁、石井政府委員政府のあらゆる人たちが、国連の朝鮮事変に協力するようになつたので、輸送計画がどんどんかわつて行くのだ。それにとても応ぜられないから、貨物列車をふやしてくれというような御答弁であります。そうして客車の方はやらなくても、貨車はやらなければならないというような言質すら残しておられるのであります。そういうところに私どもはやはりあの桜木町事件なども起きる根源があると思います。その辺につきまして運輸当局は、貨物をふやせ、貨物をふやせということで、輸送問題のいろいろな質疑を熱心にそこに集中してやつておいでになりますが、こういう状態でこれが出されますことは非常に危険だと思うのでございますけれども、一体足羽局長見通しはどういうふうにお考えになつておりますか、また経済政治が安定して、戦争が終結してしまつて平和になつたんだから、鉄道を払い下げてもいいということに対して御賛成なさつていらつしやるのかどうか、運輸省としての御意見も承つておきたいと思います。
  40. 足羽則之

    足羽政府委員 いろいろ御意見があつたようでございますが、結論は経済情勢の見通しをどう考えておるかという御質問と、それから鉄道の払下げを運輸省はどう考えておるか、こういう二点かと思うのであります。経済情勢の見通しという点につきましては、中心を貨物輸送の点について考えてみますと、やはり現在のように需要の要請の非常に強い状態が今後も相当続くのではないか、げく結論的に申し上げると、そういうふうに考えておるわけでございます。そこで今年度予算の編成並びに御審議願いました時期とは、いろいろその後においての基礎的條件が違つて来たわけでありまして、それに伴つて、先の見通しをかえて行くことはやむを得ないことではなかろうか。同時に将来のことでありますから、その見通しが確実なものということもはつきり申し上げられないわけでありますが、われわれとしてはできるだけ実際に近い状態で予想をして、それに対する対策を立てて行く、そのためにできるだけ狂いのない見通し努力を払いたいと考えております。  それから鉄道払下げ法案の問題につきましては、国会で御提案になりました問題で、この委員会でいろいろ御審議を願う事柄であると思いますので、私たちとして意見を申し上げることは省略させていただきたいと考えておるわけであります。
  41. 柄澤登志子

    柄澤委員 何だか要領を得ないように思いますけれども、結論としては、輸送計画が朝鮮作戦の協力に応じて、どんどんねこの目のようにかわつて行くことに対して、運輸省としては他の旅客輸送や民需の貨物輸送を犠牲にしても、この輸送は遂行しなければならないというお考えなのでございましようか。
  42. 足羽則之

    足羽政府委員 私はそういう意味で御答弁を申し上げたわけではないのでありまして、今後の貨物輸送見通しがどうかという点について、概括的に需要が強いであろうという見通しを持つておるということを申し上げたわけであります。
  43. 柄澤登志子

    柄澤委員 あなたは国鉄に席をお置きになつていらつしやつたのでありますが、今は運輸省でいらつしやいますから、国全体の立場から御答弁願えると思いまして、御質問申し上げておるわけでございます。国鉄はコーポレーシヨンになりまして、企業体ですから、商取引であればどんなものであつても、憲法に違反してでも何でも商売に応じなければならないというふうに、これは商人としてあるいはそうかもしれないと思うのでございますが、やはり輸送の質というものを、一国の輸送を担当していらつしやる立場からも考えられなければならぬと思います。平和な日本の民主的な再建という建前からならば、日本の民需の方をまず第一にして、戰争準備、戦争協力のものは——朝鮮作戦軍に対しては、われわれは協力する必要がないという建前になつております。つまり占領軍の占領目的には従わなければならないけれども、朝鮮作戦軍にわれわれは何ら協力する義務はないという建前、これがポツダム宣言を遵守した日本の方針だと思うのでございます。そうだとすれば、そのために輸送が犠牲になつ滞貨ができて、国民経済が混乱して、しかも現場の労働者が苦しんでいるという実情に対して、運輸省としてただそれに順応しておいでになつてよろしいかどうか。輸送の質についてどういうふうにお考えになつておるか、その点についての御見解をもう少し承りたいと思います。
  44. 足羽則之

    足羽政府委員 朝鮮事変が始まりまして以後、非常に経済界の活動が活発になりまして、それが貨物輸送に反映して、全体の輸送需要の増加となつて現われておる、こういうふうにわれわれは考えております。従つてそれらの輸送需要にできるだけ応じてこなして行くことが、現在の日本経済界の活動にこたえ、また国民生活の向上に役立つと考えて、その増大する輸送需要をいかに消化して行くか、こういうことにわれわれは対策の基盤を置いておるわけでありまして、別段軍需輸送だけに輸送機関が力を入れて、民需が非常に圧迫されておるというような考え方は私たちつておりません。
  45. 柄澤登志子

    柄澤委員 與党委員が御心配になつていらつしやいますのは、国連軍の輸送要請に対して応じ切れないのじやなかろうかということを御心配だろうと思うのでございまして、その点について極力何とかいたしたいと思つておりますという、先ほどまでは御答弁であつたと了承したのでございますが、これ以上この問題につきましては、質疑をいたさないことにいたします。     〔委員長退席、大澤委員長代理着席〕  次に天坊支配人に承りたいのでございますが、先ほどの御答弁の中で、一つ念を押しておきたいと思うのでございます。補正予算が当然来議会には上程されるであろうというお見通しと、それからその場合に、仕事のふえた量に対して、やはり人はふやすであろうということを言われたと思うのでございますが、この点。  もう一つ承りたいことは、国鉄公社が企業体になりましても、全国的な輸送の大きな実権は、あなたの方が握つておられると思います。そういう場合にコーポレーシヨンという建前からだけ考えましても、非常に重要な幹線になつておる路線が国鉄から切り離されて営業されるということに対して、あなた方としてはどんなお考えを持つておいでになるか、承つておきたいと思います。  それから南海鉄道からかつて譲渡を受けました阪和線、南武線あるいは鶴見線というような、現在京浜地帶の軍需貨物輸送などで非常に繁忙をきわめております路線の経営状態はどういうふうになつておるか、私どもとしてはこれは当然黒字であつて国鉄にとつて大きな収入源になつておると承つております。そういうことにつきましてはどういう状態なつておるか、できれば一緒に御答弁願えればけつこうだと思います。
  46. 天坊裕彦

    天坊説明員 第一の、補正予算は次の議会に必ず出すかというお話でありますが、これは政府の御方針もございましようが、国鉄の私どもといたしましては、ぜひとも補正予算を出して御審議をいただきたいと考えております。  それから第二の、仕事がふえて来れば、それに伴つて人間の点はどうするかという点につきましては、当然必要な人間はふやして参りたいと考えております。  それから第三の、現在国鉄の一部をなしております線につきまして、特に阪和線だとか、鶴見線というような線をもし手放すという話があるとすれば、それに対してどう考えるかというお話でございますが、大体国有鉄道がどの鉄道とどの鉄道を持ち、あるいはどの鉄道を手放すべきかということは、全体として国会でおきめになる問題だと思うのであります。私個人の考え方といたしましては、現在阪和線なり鶴見線なりは、非常に大きく国鉄に寄與しておると考えますので、国鉄で経営することが一番いいのではないかと考えております。
  47. 柄澤登志子

    柄澤委員 足羽局長の御答弁は、この間の委員会とは少し御見解がかわつていらつしやるように承つたのでございます。もう一応この点につきまして、運輸省としてどんな考えを持つておられるか、鉄道局長としての立場から御答弁を願いたい。
  48. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいま申し上げましたように、払下げ法案がただいまこの委員会で御審議なつておるわけでありまして、その法案を御審議の結果、どういう結末がつくかということは、特にこの委員会での御審議の経過によることと考えております。そこでわれわれといたしましては、もしかりに法案が通りました場合は、行政官庁として具体的に個々の鉄道について、その払下げをなすべきかいなかということを検討することが、法律に盛られておるわけでありますから、そのときに具体的に個々の鉄道について検討いたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  49. 柄澤登志子

    柄澤委員 輸送行政の面から見ますれば、やはりああいう重要な貨物輸送の上で役割を果しております路線というものは、その輸送しておるものの質は別にいたしまして、輸送行政の立場から見て、ああいう重要な貨物輸送の役割を果すために、最近になりましてから、特に巨額の金をかけて、新しく路線の建設とか、停車場の新設とかいうようないろいろなことをおやりになりましたものを、いま一度私鉄会社に払下げをするということは、どうも納得できないのでありますけれども、その点はどういうふうにお考えになりますか。あれは單なる一地方線というふうにお考えになつておりますか。というのはあの鉄道が具体的な名前になつて出て来ておるものでありますから、私どもとしては納得ができないのであります。  それから提案の理由になつております戰争が終つてしまつたという前提に立つたものでありますが、この点につきましてまさか、これはわかりません、国会の御審議にまかせますというようなことではないと思うのですが……。
  50. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいま柄澤さんから具体的におあげになつた線が、單純な支線であるかどうかという御質問でありますが、この点は短かい線でありましても、必ずしも支線とのみ考えられない、有機的に一体となつて働いておる線もあるでありましようし、單純な地方的な鉄道としか考えられない線もあろうかと思います。ただしかしそれによつて、現在問題になつておる払下げの線について、どういう見解を持つておるのかという引続いての御質問につきましては、先ほど御答弁申し上げたこととまつたく同様でございます。
  51. 柄澤登志子

    柄澤委員 その点についてはいずれまた御質問いたしますが、次に天坊支配人に御質問いたしたいのは、今国会になつてからも、国会でも国鉄の問題に関連したことが、相当大きく取上けられていることは御承知通りだと思いますが、その取扱いが私どもから見ますと、どうも国鉄輸送上のいろいろな欠陷とか、事故というものが、労働者の責任感がなくなつて来たことによつて問題が起きるのだというように、従業員に転嫁されるような形で新聞紙上では輿論がつくられるような動きをいたしております。私どもとしては、終戰以来国鉄の従業員の首切りや、現場の問題につきましては、十分当局にも、委員会でも、国鉄の復興のことで発言して来たのでございますが、常に少数者として否決されて来まして、今事件が起きたから、それみろというように考えるわけでは決してございませんが、まじめに私ども輸送のことを委員会として考えるならば、もう一ぺんこういうことについて、この機会を好機として考え、現場の実情をよく知つて、やはり輸送が円滑に行くように、労働者が十分に能力を発揮してやつて行けるような状態にして行くに、非常にいい機会を私ども與えられていると思うのでございますが、現場の実情は職制の圧迫で、従業員は不平を言えない、要求も出せないというような状態であることは、私どもつているわけでありまして、国鉄の現場の人員や予算のことについては、先ほど補正予算を出しまして、御審議を煩わしたいというような御答弁がありましたが、私どもとしてはもつと積極的にやつていただきたい。多数決で国会でまた否決されてしまえばそれまでの話でございまして、私どもとしては修繕費を客車から軍事輸送貨車に振り向けるというようなことでなしに、修繕費は嚴としてあくまでも讓らないで十分にやつて、生命の保障ということをぜひやつていただきたいと思うのでございますが、そういうことについての具体的な計画をどうしていらつしやるか伺いたい。今日の欠陷は人の命がどうこうではなくて、貨物をどう運ぶかということでありまして、世間から非難されていることは少し当を得ないと思うのでございます。ですから、そういう旅客輸送についての具体的な計画や、それに対する方針や、その後どういうことを政府要請しておられるかということについて承つておきたいと思います。
  52. 天坊裕彦

    天坊説明員 桜木町の事故の問題からお話が出たのでありますが、その事故についてのいろいろな対策、この先どうやつて行くかということは、総裁等からも申されたと思うのでありますが、それぞれ必要な対策を練つて、できるものは即日から実施いたしております。もちろん物によりましては、若干の時日を要するものもあります。あるいは一時間に合せに即日からやつているものもありますが、あとで予算的な御措置を願わなければならぬこともあろうと思いますが、全体といたしまして、即日にでもゆるがせにしないでやつているつもりであります。なお従事員の問題でありますが、この減員に関係した面で、従事員の点がどうなつているかということは、一般論としていろいろ議論されておりますが、従事員の労働の年産性と申しますか、いろいろ戰後の時代を経まして、全体的に昔のままのかつこうになつているかと言えば、必ずしもそうでない面もあるわけでありまして、そのほかまたいろいろ現場長の指導力というような点についても、必ずしも昔の通りであるかどうかという点については問題がありまして、それらについてはそれぞれ対策を考えております。今後をひとつお見守りくださるようなお願いをいたします。それから貨物輸送とは違つて、旅客輸送の方に対してはどういうふうな方法を考えておるかというお話でありますが、先ほど岡田委員は、貨車のためにすべてのものを犠牲にしてでも、つくろうという意味で、非常に強調されましたけれども、やはり全体として旅客、貨物を運ぶのが仕事でありますから、旅客の面につきましてもある程度の車輛の新造をやつております。あるいはガソリンカーを百両こしらえますとか、あるいは電車をふやしますとか、客車も相当数ふやしますとか、こういうかつこうで、全体としては少しでも混雑が緩和するようにということをねらつて、この前の予算に御審議願いましたように、客車の方も相当数字は実施に移しております。さらにまた東京近所での改良工事というものも、結局電車の混雑緩和ということを考えてやつておる仕事であります。その点は十分注意を払つておるつもりであります。
  53. 柄澤登志子

    柄澤委員 どうも少し誠意がないといいますか、気の毒な立場というのか、何とも申し上げようのない御答弁なんでございますけれども、私どもつて済ませない。この前もたしかほろ酔い列車だとか、映画の車だとか、ダンス・カーというようなものを国鉄がおつくりなつて、そして上級のお客を吸収して、利益を上げて行こうという御方針をお立てになりましたときに、一体三等旅客をどうするのかと申し上げました。加賀山総裁は笑つてお答えになつたのです。笑つて……。私はほんとうにあのときには腹が立ちました。今りつぱなお葬式をなすつたり、委員会へ来てお泣きになつても、それでは済まない問題だと思うのでございます。今この国会では全力をあげて、旅客輸送その他の検修などで、国鉄が非常に荒廃しております問題について、国民の生活と密接な関係のある問題について、それこそ国政調査でも何でもして、九月までに六三型のドアを直すとかいうなまぬるい態度で満足しておらずに、徹底的にその面についての対策を立てるようにするのが、運輸委員会の責任だと思うのでございます。私どもはあなた方だけを責めてはいられない。與党の運輸委員の同僚各位にも、まじめにこの問題はやつていただきたい。この前もお願いしたのでございますけれども、そんないいかげんなその場限りの御答弁ではなしに、予算的にも、もつと検修費がどうであるとか、どういうような支障があるとか、どうしても軍需輸送をやるためにこれがやれないのだということをなぜお打明けになれないのか。そのことがあなた方がりつぱなお葬式をやるより、委員会に来て涙を流されるよりも、誠意ある答えだと思うのでありますが、その場限りの御答弁でお済ましになるおつもりですか。補正予算か何か、もつと具体的な措置をなさるおつもりでございますか。秋までではちよつとおそいと思うのですけれども……。
  54. 天坊裕彦

    天坊説明員 六三型の車両といいますか、問題になりました点についての対策は、すでにお聞き願つたのだと思いまして、正確な数字の資料を実は持つてつておらないのでありますが、大体電車の数も必ずしも十分ゆとりを持つておりませんので、たとえば出入口が貫通するというようなことにいたしますにしても、できるだけ現在動いておる車の数を減さないでやつて行きたいというふうな考え方をもちまして、それができ上るのが大体十月、そのほかすぐやれるものは、御承知通り例の三方コツクでありますとかいうものは、どんどんやつております。そのほかさらにパンタグラフの絶縁装置を二軍にするというような点も、どんどんでき上りつつあるわけであります。また水性塗料を塗りまして、天井の方が現在のペンキでは燃えやすい。こういう点を直しております。さらに大体電車の古いものから順番に毎年更新修繕と申しまして、すつかり形を改めて新しい車と同じように直すことをやつておるのでありますが、それに今年は六二型を繰上げまして、ほかの電車よりも先に相当数の六三型の車だけを直して行きたい。やはり今日やつて明日できるという性格のものではございません。大体十月末ということを目標にしてやつておるということを申し上げます。
  55. 柄澤登志子

    柄澤委員 大体御答弁は同じようなことだと思うのでございますけれども貨車の更新の作業ども、吹田の車庫に参りましたときに、吹田の工機部を見せていただきまして、いろいろ御説明を聞いたのでありますけれども、工機部などの現場では、検修などは大体資材が目の前にありましても、予算がないために使えない。あるいは時間外、そのほかの手当のためにやらないということが、非常な障害になつておるようでありますが、そういう問題に対して、労働者が現場を守るための遵法闘争とか、国鉄を守るための復興闘争とか、防衛闘争というものをやつて参りましたことに対して、国鉄当局政府の方では、これを押えて弾圧して来たということがたびたびあつたのであります。そしてそれを理由にして首にまでしておいでになつたと思うのでございますが、今後そういうような労働者の国鉄を愛し、職場を愛し、復興するという運動に対して、公社としては一切弾圧をしない。労働者と一緒に協力して国鉄を復興するというようなはつきりした御方針を声明していただきたいと思うのでございますが、そういうことについての御見解を承りたいと思います。
  56. 天坊裕彦

    天坊説明員 現場で資材がそばにあつて使えないというようなお話がございましたが、これはいろいろ昨年より大分お説のようなものもございまして、いろいろ制度的な欠陥を認めまして、ことしは四月から改めて、現在におきましてはそういう問題はないと考えます。また昨年は非常に月割予算というようなことで予算が遅れたかつこうで、予算がずれまして、そのためにいろいろ現場でも困つたという話も事実あるのでありますが、今年はそういうことはございません。それから現場がいろいろ復興の問題につきまして、気合いを入れるというお話について、これもおそらく加賀山総裁が申されたと思いますが、現場長を中心といたしまして全国を通じて、それぞれ国鉄を守ろうという非常にりつぱな運動のようなかつこうで盛り上りつつある空気が濃厚でございます。これは私どもとしてはぜひ一人々々の自覚のある職員の、そういう運動というものは、われわれの命令とか何とかいうものでできるかつこうとは非常に違つて、強い力になるものと考えておるわけであります。
  57. 柄澤登志子

    柄澤委員 最後に伺つておきたいのですが、国鉄は御承知のように工機部とか検修とか、また操車でも運転でもそうでありますけれども、現業でございまして、民間の工場でも現場でございますと、金属関係などはもうすでに一万二千円ベース、一万三千円ベース、大きいところになると一万五千円以上のベースが要求されて、現に一万二千円以上のベースを獲得している鶴鉄とか鶴造のようなところもあります。国鉄は第一次、第二次裁定等、公社になりましてからいろいろな既得権が、全部といつてもよいくらい剥奪されて、手当も減り、医療設備その他も減りまして、実質的には職階制のためもありまして、現業も一番つらいそういう仕事の面で働いている青年とか中年の労働者が、最も低賃金で最も苦しい状態にあるのが、あの鶴見の操車場での轢殺というような形になつて現在では現われていると思うのでございますが、国鉄当局としてはベース改訂、ことに不当な職階ペースに対しての御方針を、新しい補正予算の場合には何か具体的にお考えになつておられます
  58. 天坊裕彦

    天坊説明員 給與ベースの問題でございますが、鉄道以外の産業でいろいろとベースの高いところがあることも事実でありますし、また必ずしも鉄道より高くないところもあるように伺つております。このベースにつきまして組合からは、一万一千九百円でしたか、一万一千何百円かの新しいベースの要求がございました。ただいまその問題について調停申請中でございます。そこら辺の御決定を見た上で、また政府の御方針等を伺つた上での措置でありますが、いろいろと給與が上るような方向に向いているという事実があることは確かであると思うのであります。
  59. 柄澤登志子

    柄澤委員 国鉄の場合に、よく人件費が多いために赤字になるということを理由にされて来たと思うのでございます。人件費は、労働組合ができました戦後の方が、比率としては戰前よりも下つているというふうに了承いたしておりますが、鋼材とかそういうものの資材の値上りが非常にはげしくて、ますます物件費が多くなりますと、国鉄の赤字というような問題も生じて来ることも考えられるのでございます。その際にまたベース改訂を理由として押えられる傾向もあり、さらにそれが運賃の値上げというような形で、大衆に転嫁されるようなことも考えられると思うのであります。そういたしますれば、日本の人民の生活に直接関係のない貨物列車を増強する資材が、日本の人民の予算から計上されることは不当であるというふうに私どもは考えられるのでございますが、そういうことを理由にして、この運賃値上げが起るような心配があるように思いますが、そういう点につきましてはいかがでございますか。
  60. 天坊裕彦

    天坊説明員 鉄道経費の中で、戰前は人件費と物件費が大体半分々々でございましたが、最近若干人件費の方が減つており、五〇%より低いという姿でございますが、これは事実でございます。ただ鉄道のような仕事は、御承知通り旅客、貨物を運んだ収入で、それに必要な経費を支出するというような建前にできているのでありまして、その点を国有鉄道の当局といたしましては、必要な場合にはそこに財源を求めるよりほかに方法がないわけでございまして、それ以外の別個の措置を要することは、政府その他でお考えを願う問題だろうと思います。
  61. 柄澤登志子

    柄澤委員 そういたしますと、独立採算制の基礎が非常にぐらついて来ておると思いますが、その点はどうでございますか。足羽さんにひとつ御答弁願えればと思います。
  62. 足羽則之

    足羽政府委員 ただしまの御質問の範囲においては、別段独立採算制がぐらついておるという御質問は出ないかと思います。
  63. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 天坊支配人にちよつとお尋ねします。青函短絡船がソ連製の機雷によつて、その輸送がたいへん阻害されておるという事実を新聞でもつて承知したのでありますが、その実情について御承知のことをひとつお知らせ願いたいと思います。
  64. 天坊裕彦

    天坊説明員 青函連絡船が動いております地帶に、せんだつて来浮遊機雷が、大体三回ほどと承知いたしておりますが、発見されまして、そのために夜運航することは非常に危険というふうに考えまして、最近若干運航回数を制限いたしまして、現在十四運航というふうなかつこうで、あそこをできるだけ深夜に通るのを避けるというような運航をいたしております。
  65. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 どの方面から流れておるかということはわかりませんか。
  66. 天坊裕彦

    天坊説明員 漁船がその浮遊機雷を認めたという報告が海上保安庁にありました。海上保安庁からの警告で、私どもの方は船をとめたというかつこうでございまして、現実にその機雷がまだ見つかつたというような話も、実は聞いておりません。現地の実情が、どちらからどう流れたということは正確には存じませんが、大体日本海方面で見つかつたというふうなことでありますが、そういうことは不確かであります。
  67. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 終戦直後におきましては、ウラジオストツク方面からやはり流れて参りまして、相当のけが人が出たのであります。ただいまの状況は、人心に及ぼす影響が大きいので、旅客が杜絶しておるという状況も私は承知しておるのであります。そこでこの状況は、私は朝鮮事変にかかわりがある、かように考えておるのでございますが、朝鮮事変の今日の現段階においては、これはちよつとやそこらでもつて解決がつく問題ではないと考えておりますが、そうなつて來ますと、この青函連絡船というものは、相当期間夜間の航行を停止しなければならぬというふうにも考えられるのでありますけれども、当局におかれましては、その点についてどういうお見通しを持つておられましようか。
  68. 天坊裕彦

    天坊説明員 大体専門家の話によりますれば、海流が六月ごろまでは日本海から太平洋に流れる。これが秋になりますと若干かわるというふうな話もございまして、そういうふうに流れがかわりまして、流れて来る方向が今と同じということでありますれば、あるいは必ずしも危険でないような時期になるかもしれませんが、これは非常に見通しが確かでない問題であります。私どもといたしましては、北海道と日本を結ぶ青函連絡船は、非常に大事な問題で、單に国鉄だけで心配しておつてもきりのない問題であり、手に負えない問題でもありますので、国として何らかの御措置を願わなければならぬと考えまして、海上保安庁にも警備艇で見張りをしていただくというような措置、あるいは必要に応じてあそこを朝晩偵察していただくとかなんとかいう措置もお願いしているわけであります。私どもといたしましては、万一の事故があつてはたいへんなので、安全第一にいたしまして、できる限りの見張りをつけ、双眼鏡その他を十分に備えて、安全を期しているわけであります。政府にも何らかの対策をお願いするように考えているわけであります。
  69. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 どうか海上保安庁関係とも緊密なる連絡をとられまして、ただいまのような、まだ漁師の話によるものであつて、一発も認めたことがないというようなことでは、まことに心細いのでありますから、この点につきましては十分な御措置を願わなければならぬと考えております。ことに青函連絡船は冬季間になりますと、御承知通り大暴風雪によつて、交通杜絶の状態であります。今またせつかくよい気候になりまして、ただいまのような重大なる影響を受けるということになれば、あの津軽海峡は魔の海峡であります。そこで国鉄総裁並びに天坊支配人においては、この点について十分勘案をせられて、青函連絡船の将来、また青森と函館とのあり方についても御研究を願わなければならぬ、かように考えます。
  70. 石野久男

    ○石野委員 先ほど天坊支配人から、昨年の六月以降におけるところの滞貨の月末の事情や、輸送力の増強の事情をお聞きいたしまして、六月以降の輸送量が非常にふえて来ていることがはつきりしておるのであります。また輸送力はそれに伴つて非常にふえておるにもかかわらず、なお五月下旬に二百五十万トンの滞貨がある、こういうことでありますが、この際これらの滞貨を排除しようとするために、当局としてはどのようなことをしなければならないかということについての、いろいろな基礎的な考え方について、運輸省あるいは国鉄当局の御所見を承りたい。
  71. 天坊裕彦

    天坊説明員 昨今の貨物滞貨というものは、一昨昭和二十三年度でございましたか、およそ三百万トン近い滞貨を持つたことがあるのであります。その当時と非常に事情が違いまして、あの当時は相当掛声をかけたり、あるいは石炭のカロリーをよくしたり、あるいは従事員の特別な勤務をお願いしたりというようなことで、相当のこたえが出る見通しが多分にあつたのでありますが、今回の滞貨というものは、どんどんあとからからと出て来る性格のもので、そういう掛声だけでは私はこたえにならないというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、まず貨車をつくつていただくということが一つの問題であります。同時に貨車だけでは足りませんので、機関車、特に電気機関車をある程度までつくつていただかねばならない。それと関連いたしまして、車がふえますために必要な施設をある程度増強いたして参らなければならぬ。さらにまた先ほどお話がございましたように、ある程度の従事員の数も増加してやつて行かなければならない。あらゆる必要な手を打つて参るのですが、先ほど申しましたように掛声だけでなく、そういう施設車両、あるいは予算的な御措置を願うという、根本的な問題まで行かなければ解決できないというふうに考えております。
  72. 足羽則之

    足羽政府委員 運輸省といたしましても、大体ただいま天坊支配人から返答がありましたのと同様でございまして、つまり輸送力を増すための鉄道部内での作業上の操作、あるいは修繕車を少くするとか、効率を増すとか、いろいろな操作があると思いますが、そういうものが相当弾力性がなくなる程度に、つまりその面での輸送力向上が進んで、一番大きな対策としては車両増備であり、あるいはそれに伴う施設増備であり、あるいは人員の確保と申しますか、そういつたことを中心として考えなければならぬのではないか、こういうふうに考えておりまして、大体の考え方並びに検討しております内容につきましても、運輸省としてはその面についていろいろ検討いたしておるわけであります。
  73. 石野久男

    ○石野委員 ただいま滞貨を打開するために、輸送力を増強するにはどういうふうにすべきかという問題について、大体の御見解を承つたのでありますが、これらのことを考える一番基準になる、いわゆる輸送量年間見通しの問題でございますが、先ほど天坊氏は、本年度は約一億五千万トンになるだろう、当初の見通しよりも相当上まわつておるということことを申されたのであります。この見通しの中には、最近たとえば日立製作所等で契約になつておりまする新しい特需等の輸送をも含み、これからまたそれに伴つて来るであろう物資輸送等も含んで、二十六年度年間においては一億五千万トン程度になるという見通しでありましようか、それともそれは全然また別な、考慮外になつておるものでありましようか。この点について御意見を承りたい。
  74. 天坊裕彦

    天坊説明員 大体一億五千万トンという数字につきましては、私どもは今例にもお示しになりましたような、日米経済協力という態勢を一応盛り込んだ数字で考えております。
  75. 石野久男

    ○石野委員 昨年の六月以降目立つた車両の増強が行われないで、しかも六月から今日までの輸送力の増強は著しいものがあるのでございます。従つてこの輸送力の増強ということは、ひとえに国鉄従業員諸君の努力というものが中に織り込まれておるのではないかということが、はつきり見てとれるわけであります。従つて私は先ほど藪谷氏から、運用効率の上昇対策ということを下部に対していろいろと指示せられておると言われた。この運用効率上昇に対する対策というものは、現在所有の貨車とかあるいは諸施設等を含んでするならば、限界点にまで来ておるのじやないかということを心配するのでございますけれども、そういうことはないのでございましようか。
  76. 天坊裕彦

    天坊説明員 先ほど申しましたように、実は昨年の六月から相当数量の輸送力の増加を現実にやつてつたのでありますが、それが去年はほとんど貨車らしいものをたくさんつくつてないのに、よくやれておる、それには相当現場へ無理をかけているだろうが、おそらく現在のやり方ではもう限度に近いのではないか、こういう意味での御質問だと思うのであります。まつたくその通りでありまして、先ほど岡田委員からも御指摘がありましたように、相当無理ができて参つておる。たとえて申しますと、貨物はどこもここも一ぱい出ておるために、地方によりましては貨車のまわりがほかと比べて格段に悪くなつておる、こういうような姿も出ておる。近辺に貨物がないわけではないのです。これもやはり同じように大事な貨物でありまして、それを運んでおるのでありますが、勢いそれが非常に不公平なかつこうになつておるというような点もございます。あるいはまた従事員の効率を上げますためにも、あるいは作業その他につきましても、相当無理も願つておる面が多いのであります。先ほどこれ以上は掛声では上らないと申しましたことは、相当限度に来ておるという意味でございます。
  77. 石野久男

    ○石野委員 ただいま天坊氏からの御答弁は、藪谷氏のお考えもその通りだろうと考えるのであります。そこで現場に非常に無理をさせている輸送の実情を打開するために、あるいは貨車新造し、あるいは機関車や施設、人員の増加、それらを含めて予算措置をしなけばれならぬということは当然なことであります。私はこの輸送の実情が、今後ますます新しい特需を含んで、われわれの予想以上にふえて行くかもしれないということを考えますだけに、この滞貨を排除するという問題は、非常に重要なこととなるわけであります。さきに三月末現在において特に目立つた滞貨であるものに、木材の四十四万九千トンがあり、石炭の二十二万千トンがあるということを、総支配人からお話がありました。これらの滞貨のおも立つたものは、日本の国内産業にどのような影響を持つているのであるかということ、これが日本の産業復興のために非常に重要な問題であろうと思いますので、私は現在の滞貨のおも立つたものが、国内産業との関係においてどういうような状態なつておるかということを一応お聞かせ願いたいと思います。
  78. 天坊裕彦

    天坊説明員 むずかしい御質問でございますが、たとえば石炭の二十万トン滞貨というものは、これはこの三月の特殊の事情でございまして、二月に山で炭鉱のストライキなどがあつて石炭が非常に減つた関係であります。そして山元だけにわずかにあつて港頭貯炭というようなものがほとんどなくなつたときの数字なのであります。御承知通り港頭には相当量の石炭がなくては、各生産工場自身が安心して運営をやつて行けないのであり、それが相当大きな脅かされるような数字になるということは言えると思います。それから現在市場に相当量の木材滞貨があるのではないかということでありますが、これは森林法等の関係を見越しての、いろいろの木材の切出しが非常に急がれておるという面もあろうかと思います。しかし物によつて非常に事情が違つておるかと思います。正確なことを申し上げるには、どうもはなはだ資料が不足であります。
  79. 石野久男

    ○石野委員 いろいろと資料の関係等もございますので、そういうようなことについて、わかる範囲の資料は後ほどひとついただきたいものだと思います。  この問題の重要な観点といたしましては、たとえば主として朝鮮事変に関連するもので滞貨が出ているのか、それとも国内産業の面で出ているのかという点が、われわれにとつても非常に問題点となると思うのであります。ことに昨年六月以降の輸送の増強というものは、明らかに朝鮮事変を契機とする特需関係によつて起きているものだと考えますだけに、われわれはもとより国内におけるところの輸送は、いずれのものも重要視しなければなりませんが、ことに国内産業がこのことによつてとばつちりを食つて、それでなくも力の弱い国内産業が、著しくその影響を受けるということではいけないというようなことから、私は今尋ねたのであります。大ざつぱに言いまして、国鉄当局が見ている見方からいたしますと、私の今お尋ねしていることについては、どういうような傾向をとつておるのでございいましようか。大ざつぱでよろしゆうございますから、ひとつお話し願いたいと思います。
  80. 天坊裕彦

    天坊説明員 この二百万トンの滞貨というかつこうでありますが、場所によりましては、これが三日ではけて入れかわつておる。ところが場所によつては、一箇月くらいかかるのだというかつこうで、どんどんかわつておるわけであります。それがずつと延べにして、一月平均これくらいになつたという数字が二百万トンでありますが、中身はしよつちゆうかわつているわけであります。そこで先ほど申しましたように、北海道の釧路であるとか、あるいは山陰の米子、福知山辺であるとか、それから九州の鹿児島、宮崎であるとか、こういう地方で非常に在貨が多いということなのでありまして、それ以外の地域は、率としてはよほどまわりがいいわけです。従いまして、その地方々々の出る物の内容がどういうものであるかということを御判定願いまして、大体の御想像を願いたいと思います。
  81. 石野久男

    ○石野委員 その物によつて滞貨の実情がいろいろ違うということと、その地方によつて滞貨にでこぼこがあるということ、この二つの面があるということをただいま天坊氏からお話があつたわけであります。ちよつと私途中で、地方的なでこぼこのことについての話を聞き漏らしたのでありますが、それならば、現在滞貨で一番困つておるという路線は、どういうところになるのでございましようか。もう一度お話し願いたいと思います。
  82. 天坊裕彦

    天坊説明員 一番在貨の数量が多いのは、鹿児島地方であります。それから米子、天王寺——天王寺と申しますが、これは紀州の方であります。それから岡山、釧路、態本、大分、四国、こういうような地域が非常に滞貨が多い方であります。滞貨が多いのですが、車が到着する地域もありまして、どんどんはけて行く割合と関連いたしますと、結局一番困るのは、先ほど申しましたことと同じことを申しますが、釧路、米子、鹿児島、岡山、福知山というような地域が、一番多い姿になつております。これは監理局の名前を使つております。
  83. 石野久男

    ○石野委員 各地において滞貨のでこぼこがあるということは大体わかりました。もちろんこれによつていろいろの対策が立てられなければならぬと思うのであります。先ほど藪谷氏が、岡田委員質問に対して、運用効率の上昇対策ということを言つておられたのでございますが、この人員に対する労働の面では、相当程度無理が行つている。それは労働の面だけではなしに、施設の面においても無理が行つているということを、先ほど天坊氏からもお話がありましたが、この運用効率の上昇対策というものは、特にどういうようなところを重点として今お考えになつておるのであるか、この点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  84. 藪谷虎芳

    藪谷説明員 運用効率は、戦前は一番よかつたのが三八%程度まで上りました。終戰直後は二〇%以下に下りました。その後だんだん効率がよくなりまして、現在は二八%前後であります。従つて現在の力では極限に近くなつて来ておるけれども、まだ戰前に比べれば努力の余地はあるということは言えると思います。そこで何を効率を上げるか。一番大きなものは貨車の停留時間の短縮であります。それには荷主の協力を得て、早く荷をおろして、早く車をからにして元のところに送り、ほかの荷物を積み込むという、おろしと積みを早くする。これには荷主及び運送店等の協力を得なければならぬと思うのであります。鉄道従事員の入れかえ作業その他につきましては、先ほど申しました通りそれほどの余地はないのであります。そういう面に重点を置いてやつて行きたいと思います。  なお先ほどから石野さんの御質問にありましたが、日本経済滞貨関係、これは戦前は大体五十万トン程度のものがあつたのであります。ちようど朝鮮事変勃発前も四、五十万トンでありました。一日半程度のものがノルマルな程度かと思つております。それまで行きますにはやはり百五十万トン程度の、現在のオーバーしておる分だけをまずはかなければならぬ。やはり今後のふえる分だけをプラスして考えなければならぬということになるかと思います。しかしながら石炭関係では、まだ産業界では大きな機械がとまるとか、あるいは炉がかわくとか、そういうところまでは来ておりません。やはり木材が一番大きいのでありますが、これは大体鉄道輸送の一一%程度のものが木材であります。それから二十二、三パーセントのものが石炭であります。やはりこれらの大宗貨物をはくことが、わが国の産業に非常に重要なことだと考えております。ただそのほかの生活必需品等につきましては、いまだ大きな滞貨はございません。やはり今のうちに輸送力を増強しておかないと、たいへんなことになつてはいけない。こういうことだけは確かであろうと思うのであります。  なお経済輸送との関係の資料については、私の方でも十分準備いたしたいと考えております。
  85. 石野久男

    ○石野委員 特にただいま私の質問しております運用効率をどうして高めるかという問題については、貨物の停留時間の短縮を特に荷主との協力によつてというお話でありましたが、前に日通法の改正が行われたときに、やはりこの問題がわれわれ懸念されたのでありまして、その後国鉄の内部における従業員諸君は、この停留時間を短縮するために作業を強要というか、受動的にそれをやらなければならぬような状態に置かれているように見受けているのでございます。従つてただいま運用効率上昇のために貨物の停留時間の短縮をはかろうとする場合には、必然的に従業員をその方面に相当程度動員しなければならぬような事態が出て来るのではないかというふうに考えますけれども、それに対してはどのような御見解でありましようか。
  86. 藪谷虎芳

    藪谷説明員 貨車の停留時間を短縮する、すなわち積みおろし、積み込みを早くやることについては、従事員とはほとんど関係はございません。やはり荷主及び運送店が作業をやるということでありますから、多少あるいは場所によつては、よい列車時刻よりもはずれて入れるとかいうことはあると思いますが、それは時間外の勤務手当とかいうことで考慮いたすつもりであります。
  87. 石野久男

    ○石野委員 ただいま藪谷氏からのお話では、停留時間を短縮する点については、国鉄従業員は直接に関係がないというお話でございましたけれども、事実上はどの停車場に参りましても、非常に大きな労働をこれらの従業員、特に小荷物あるいはその他の荷物関係作業をする人、それ以外の人に対しても相当大きな労働となつていることは、やはりお考えになつていただかなければならぬと思うのであります。従つてこの点については、藪谷氏の見解がもしただいまの御答弁の通りでございますと、非常に認識が足りないのじやないかというふうに思うのでありまして、どうかひとつ下の実情を把握していただいて、対策を御配慮願わなければならぬと思うのでございます。  それから今問題になつております滞貨百五十万トンを、現状としては処理しなければならぬ、これはよくわかりました。従つてこれから貨車新造が問題になるのでございますが、先ほど年度貨車新造は三千両ということに大体なつてしまつて、四千両くらいの量はまだ相当不足しているというふうに聞き及んでいるのでございますが、そういうふうに了解してよろしゆうございますか。一億五千万トンの輸送量と見積つた場合……。
  88. 藪谷虎芳

    藪谷説明員 大体一億五千万トンの目標を立てますと、二十五年度の実績が一億三千六百五十万トンでありますから、約一割増ということになります。それでは現在貨車が何ほどあるかというと、大体九万五千両程度、そうするとその一割の九千五百両いるのではないかということになりますけれども先ほど申しましたように、貨車の停留時間の短縮等によつて運用効率を一%たとい上げても、一%でありますから、大体千両近くの貨車が浮いて参ります。それを二%上げれば二千両というふうに、いろいろ仕事の効率をあげて、あと計算してまず七、八千両のところはいるのではないかという考え方であります。そうすると、すでにつくつた三千両を引きますと、あと四、五千両は必要である、こういう大ざつぱな計算に相なるかと思います。
  89. 石野久男

    ○石野委員 なお四千両の必要量が二十六年度予算の外に出てしまつたということは、非常に重大なことでございます。従つてこの問題については、先ほど来柄澤氏からたびたび決議案云々と言われるように、委員会としても当然そのことを考えなければならぬことは明らかなところでございます。しかしこれらの問題を、今いろいろと委員会の中でも案を練つているようでございます。しかし私はこの案を練る前に当然考えなければならぬ問題として、貨車四千両なお不足するものに対する手当をすることと同時的に考えなければならぬ問題は、先ほど天坊氏や足羽氏から言われている施設の増強の問題、あるいは機関車、特に電気機関車の問題等もあり、それから人員の増加の問題もあるわけでございまして、従つて一応こういう見通しに立つて考えられる施設の増強のため、あるいは人員増加、機関車の増強というものは、およそどの程度になるものであるあるかということについて御見解を天坊氏からお伺いしたいと思います。
  90. 天坊裕彦

    天坊説明員 先ほど言葉がいろいろもつれておつたと思うのでありますが、一億四千七百万トンといい、一億五千万トンといい、基礎になる数字につきましてまだ少し議論がございまして、目下その点一番もとのデータについて意見が違つているものでございますから、もう少し検討中でありますので、ただいままだはつきりお答えできませんのは残念でございます。
  91. 石野久男

    ○石野委員 私は正確な数字を言うのではございませんので、少くとも先ほども申し上げたように、その見解の立場がいかようにありましようとも、鉄道滞貨を排除するためになさなければならないわれわれの任務があるわけでございます。特に国会の立場でそれを考えますときに、当然貨車を増強せよということを叫ばなければならない。同時に施設の増強、人員の増加、そしてまた機関車の新設、こういうものを言わなければならぬ。そのことをすべて総合しまして、補正予算というものを、当然皆さんから提示あるいは要請されることに基いて、われわれは組まなければならぬ。そういうことを一応考えて、あるいは貨車増強、滞貨排除のための決議案つくり、それを政府に対してわれわれは要請しなければならぬことになつておりますので、今の質問の主たる目的が、その決議案作成のためであることをほぼ私たち察知できますので、ここでぜひともこの問題について基礎になる数字が、一億五千万トンであるか、あるいは一億四千五百万トンであるか、それはいずれでもよろしい。一応一億五千万トンと想定して、七千両ないし八千両が必要だということを藪谷氏は言つているわけでございますから、それに基いて当局の一応の慨案でよろしゆうございますから、われわれのこれを考える基礎となる資料を一応示していただきたい、このように考えて申し上げているわけでございます。ひとつざつくばらんに聞かしていただきたい。
  92. 天坊裕彦

    天坊説明員 もし予算を修正をお願いいたすといたしますならば、どういうかつこうになるかという点でございますが、まず一番もとになりますのは、お認めいただいた交付予算内容になる車両でありますとか、施設というものが、交付予算通りにやりたいと思つただけ、先ほどお話にありましたように必ずしもできない部分が相当あるわけであります。しかしそれが大体鉄道施設でございますから、若干はやりくりのできるものもありますが、大部分はやはり次の輸送の基礎になるという関係になりますので、施設にいたしましても、車両数字を申し上げれば、先ほど申し上げた四千六百五十両が三千両になつた残りに相当する施設そのものを、まず第一にお認め願わなければならぬ。これがいろいろ値上り関係等もございますが、見方によりますれば、百五十億から二百億というようなかつこうになるかもしれません。それにプラス一億四千七百万トンにいたしますか、五千万トンにいたしますか、貨車四千両なら四千両ということにいたしまして、大体一両百五十万円と見積りますと、いろいろな数字が出て来る。機関車を二十両といたしますと、電気機関車は大体五千万円見当でありますから、大体の見当がつくのではないか。あとの施設は若干でありますが、たとえば四国の連絡船をつくりたいとか、こういうような機関車に対応したものが必要になつて参る。かれこれ合せますと、これはお聞き捨て願いたいのでありますが、約二百五十億前後というようような数字が出て参る。もちろんこれはまだ内容に詳細検討の余地はありますけれども、そんな数字も考えられるという程度にお含み願います。
  93. 石野久男

    ○石野委員 大体金目に見積られる点については、およそのところをお聞かせ願つたわけでございますが、この場合、たとえば人員増加の点において、これだけの車両をふやしました場合には、どの程度の増加をしなければならぬかということについての、一応の見込みを聞かしていただきたい。
  94. 天坊裕彦

    天坊説明員 大体人員の方におきましても、地方的にあるいは職種的に、まだまだ配置転換等がうまく行きますれば、内輪で出て参る点もあるわけでありますが、これを込みにいたしまして、私どもといたしましては一万五、六千人の人をふやすようなかつこうにいたしたいと考えております。
  95. 石野久男

    ○石野委員 大体この鉄道滞貨の問題を処理するために、具体的になさなければならないいろいろな問題について、およその見当をお聞かせ願つたわけでございます。われわれはもちろんこれに対して努力をしなければならないのでございますが、これに関連いたしまして、当然先般問題になつておりました鉄道の事故の問題でありますとか、あるいはまた現在の鉄道の所有する敷設路線の重要性というものが、一応ここで考えられて来るのでございます。私は先ほど柄澤氏から質問なつておりました国有鉄道払下けの問題を、ここで論じようとするのではございません。そうではなくて、貨物滞貨を処理するために、国鉄が一つの予定計画をつくろうとする際にあたりまして、昭和十八年、十九年度の戰暗中買い上げましたような路線を払い下げるようなことが、今後の日本経済見通しと、それから国鉄が引受けなければならない荷物の運送の問題とからみ合せまして、支障を来しはしないかどうかという点について、滞貸排除の観点から一応当局の御意見を承りたいと思います。
  96. 天坊裕彦

    天坊説明員 払い下げる相手というか、私鉄になりましても、やはり同じように貨物輸送、旅客輸送を目的としたものになりますので、それが同じような努力でやれば、必ずしも所有を異にするために、著しく差が生じるかどうかは、私はそう生じないのではないかと思います。
  97. 石野久男

    ○石野委員 ただいま天坊さんからお話がありましたが、足羽さんの方でもやはりそのような御見解でございますか。
  98. 足羽則之

    足羽政府委員 輸送問題とそれから所有がどうかという問題は、今天坊君が説明したのと大体同じように考えております。
  99. 石野久男

    ○石野委員 そこにいろいろと問題があると思います。私はただいまの天坊氏あるいは足羽氏からのいろいろな御意見は、その立場上非常に制約されて、言いたいことも言えない事情があるのだろう、こういうように存じまするので、これは他日その問題を論ずるときに、一応また真剣にお話を聞きたい、このように思つております。そこでこのような実情のもとに置かれておる現在の国鉄貨物の実情に即応いたしまして、当局としては、特に国鉄の当事者としての天坊氏は、早急に打解するための予算措置が必要であると感じておられるのでございますが、それをすでに具体的に措置するような作業をなさつておられますか。予算的ないわゆる補正予算等を組む作業を、全般的になさつているかどうかということについてお尋ね申し上げたいと思います。
  100. 天坊裕彦

    天坊説明員 鉄道車両にいたしましても、施設にいたしましても、きよう言つてあしたできるという性格のものでございませんので、見通しがはつきりいたします以上は、できるだけすみやかにいろいろな御処置をお願いいたさなければなりませんが、ただ私どもといたしましては、数学的に若干食い違いがありますが、いろいろデータを基礎にして、作業をいたしております。
  101. 石野久男

    ○石野委員 私は一応この問題について私の質問を終らしていただくのでございますが、問題はこの前に、あの桜木町事件がありましたときに、加賀山総裁が参りまして、六三型の改装の問題については、本年の九月ごろまでに何とか対策を立てて改装したいということを言つておられたのであります。そのとき私はそれについては予算的な問題等もあるので、どのように考えておるかということを尋ねた。しかし総裁は、事故をなくするためには何としてでもそのようにしたいのだという答弁で、一応その場をごまかしてしまつたわけであります。ところがその後におきまして、六三型の改装問題については、なおその能力等の点からして、二年間は優にかかるだろうというふうに聞いておるのでございます。これは一つに輸送能力の問題、特に旅客の問題にからむわけでございますが、現状はどのようになつておるかということをこの際お聞かせ願いたい。
  102. 天坊裕彦

    天坊説明員 先ほど申し上げましたように、特に六三型の一番悪い部分、早急に何とか改造いたさなければならぬ部分だけにつきましては、総裁は九月と申したかどうかはわからないのでございますが、十月までにこれを完成したいというふうに考えております。それの予算は大体四億足らずでございますが、一時修繕費の差繰りで何とか都合がつくというふうに考えております。なお六三型全体の車両について、そういう危険部分をとりまして、例の窓が三つになつている部分を直すか直さぬかの問題は、先ほど申し上げました更新修繕で、これは必ずしも六三型に限りませんが、ほかの電車と同様やはり更新修繕の時期に一緒にやりたい。これは必ず今年一ぱいにできるというかつこうでございませんで、二年近くかかる。しかしこれは安全性の問題には一つも関係はないというふうに考えております。
  103. 柄澤登志子

    柄澤委員 関連して天坊支配人にお伺いしたいのでございます。桜木町事件の犠牲者に対しましての国鉄のいろいろな支出が厖大であるので、現場の従業員から見舞金と申しますか、何か十円とか十五円とか月給から天引したということを聞いたのでございますが、そういう事実がございますか。
  104. 天坊裕彦

    天坊説明員 まだ正確な報告は受けておりません。
  105. 柄澤登志子

    柄澤委員 それは職制が自主的にやつたということで、別に公社としての方針ではないということでございますか。
  106. 天坊裕彦

    天坊説明員 そうです。公社といたしまして、職長から一人ずつとるということは考えておりません。
  107. 柄澤登志子

    柄澤委員 もし労働者が希望しないものを、強制的に職制が独断でやつたというのであれば——当然見舞は公社が相当やるということを加賀山総裁は言われたのでございますけれども、そういうふうなことが行われたというのであれば、それは不当だと思うのでございます。そういう場合に支配人としては、当然これは労働者に返すべきである。すべての犠牲者に対して公社が負担すべきであると思うのでございます。その点についてお伺いしたい。
  108. 天坊裕彦

    天坊説明員 犠牲になられたお見舞につきましては、当然公社で出さなければならぬものでございまして、これを一人々々の職員に押しつけるなんということは毛頭考えておりません。ただ非常にお気の毒だという気持から、職場々々でそういう話が出て来ることをとめるわけにも参らぬ問題でありまして、人情のきれいなところだと思います。
  109. 岡田五郎

    岡田(五)委員 本日午後一時半ごろから、当委員会におきまして、鉄道輸送力の現状並びに整備につきまして、同僚議員と政府委員また国鉄首脳部の方を中心として、活発な質疑をとりかわされたのであります。その質疑の状態をも勘案いたしますと、最近の国鉄貨物輸送力の逼迫が、いかに日本の産業経済に重大な影響を及ぼしておるか、またこれに対して真に憂慮にたえないという感じを、われわれ運輸委員といたしましては痛切に持つておるようなわけでありまして、ここでわれわれ前田郁運輸委員長、運輸委員会の同僚議員その他多数相はかりまして、この重大なる国鉄貨物輸送力の窮迫の現状を一日も早く打開すべく、政府並びに国鉄に対しまして鞭撻の方法を講じたいという意見が相一致しておるのでございます。この輸送力整備ということは、日本の産業経済の進展、ことに民生の安定のためには、緊急にして必要欠くべからざるものであるという必要性にかんがみまして、政府及び国有鉄道におきましては、資金、資材、従事員あるいは国鉄運営の機構等につきまして、特段の措置を緊急に講じまして、すみやかに車両施設等の装備改善を行い、輸送力整備をはかつて、産業の進展と民生の安定に寄與すべきであると痛感いたす次第であります。かようにわれわれ同僚議員の意のあるところを本会議上において十分披瀝し、政府及び国有鉄道のなお一段の行政的、政治努力を促したいと考えまして、かような決議案を運輸委員会及び国会議員の有力な方々が相はかられて、上程せられるがごとく承つておるのであります。かような際におきましては、われわれ運輸委員といたしましては、ぜひこれが推進について協力いたしたいと考えるのでありまして、御同席の運輸委員の皆様方の絶大なる御支援と御協力を、私提案者の一員といたしまして、この機会にお願いいたす次第でございます。
  110. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 ただいまの岡田君の御意見に対して御異議ございませんか。     〔「意義なし」、「反対」と呼ぶ者あり〕
  111. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私は皆様方の御協力をお願いいたしましたので、非協力の方はもちろん提案者の中にお入りいただいてない、かように考えますし、またもし本会議に上程いたしました際にも、反対の意を表明されることは、国会議員の当然の権利であり、御自由でございます。
  112. 石野久男

    ○石野委員 私はただいま岡田氏からお話のありました、鉄道滞貨をなくするために国会で決議案をつくるという趣旨に対しましては、いろいろな点でまだ研究しなければならない点もありまして、先ほど天坊氏に対しましても、資料等の御提示をお願いしたわけでございます。そのようなことを含みまして、特に天坊氏あるいは足羽氏あたりから言われております、今日のこの滞貨を排除するためになさなければならない幾多の要件を十分に考慮しての国会の決議、それから政府に対してそれの実施方を要請することは、今日の場合必要であると考えておるのであります。従つて岡田氏から提案されましたものについては、政府当局または国鉄当局が、今日この滞貨をなくすために必要としておるすべてのものについて充足されるような内容を持つ決議案として、ぜひひとつ国会で取上げていただくようにしてほしいということを私は申し上げたいのであります。ややもすると一部のことだけが取上げられて、特に人員の問題等については、予算定員外に置かれてしまうようなことがあつて、そのためにかえつて従事員等が苦しむというような事態も、従来しばしば見受けられておつたので、決議案内容についてはどうかそういう点を十分に注意をしてやつていただきたいことを、この機会に私は意見として申し上げて、この趣旨には賛成をいたします。
  113. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど石野委員から希望的なお話がございましたが、私ども提案者の一人といたしまして、この点については十分意を注いでいるようなわけでありまして、先ほどもちよつと申しましたが、この情勢にかんがみて、資金、資材、従事員あるいは国鉄運営の機構等につきまして、いわゆるほんとうに危局に処した特段の措置を講じてもらいたいという意味において出したわけであります。     —————————————
  114. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次に国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑を許します。畠山君。
  115. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案は、過日の委員会におきましてこの審議会が廃止されるということになつたために、この法律の一部を改正するということになつたようでありますが、内容を拝見いたしますと、大した変化はありませんけれども、つまり今までは、ホテル営業を営もうとする人に対しても、このホテル整備法案を適応することになつておつたものを、今度の改正によりますと、ホテル業を営む者ということに改めることが改正の大きな要点だと思いますが、私ども在来から考えてみましたときに、新規にホテルを建てよとする者に対して、これが一つも適用されないということは、国際観光ホテルという名称のもとにおいて、少し不合理じやないかというように感じますが、この点につきまして当局はどういうふうにお考えになつておるかということを一応伺つてみたい。  それからこのホテル整備法案につきまして、諸外国の観光事業に関係しておりますところのいろいろな関係業者から、観光小委員会に対して、日本政府は観光行政について少しも力を入れておらない、同時にホテルの建設が一つも進んでおらないと言うて来ておるのです。これは一つの例でありますが、フイリピンの国際文化協会の支配人ジエー・ビー・シヤーバー氏から、特に観光小委員長として私に照会があつたのですが、これらの内容を調べてみますのに、今フイリピン等では日本に観光に来たいという人がたくさんあるにもかかわらず、これを一つも受入れることができない。外国業者として、この受入れ態勢のできないということは、はなはだ遺憾に考えている。また今後の日本の立場におきましても非常に困ることだから、ぜひともホテルをつくつてもらいたいと言うております。この前の委員会でもお話しいたしましたが、東京に七つの国際ホテルがあるが、このホテルに幾人とまれるかと言えば、せいぜい六百人か七百人くらいしかおれないような、情ない現状でありますが、東京に一ぱい観光船が来た場合には、少くとも千人、二千人という多数のお客さんが乗つておるのであります。こういう場合を考えてみまして、このホテル整備法案を整備する関係からして、運輸観光部におきましては、今後の方針についてどういうふうな見通しをお持ちになつておられるか、この二点をお伺いしたいのであります。
  116. 間嶋大治郎

    ○間嶋政府委員 ただいま御質問になりました中で、第一の今度の改正の内容の一つであります「ホテル業を営もうとする者」というのを削除する点に対しての御質問は、実はこの法律の第四條等を見ますと、登録をいたします場合には、そのホテルの施設が別表に掲げる基準に適合しなければならないということになつております。また業者の資力、信用が十分であつて、ホテル業の確実な経営が確立しなければならないというような内容にもなつておるのでありますが、そういう点を考えますと、当然これはすでにホテル業を営んでいることを前提としている規定だと思うのであります。そこへ持つて参りまして、これを営もうとする者はホテルの登録申請ができるということになつておりますので、この法律が施行せられましてから現在までに、設計だけで登録の申請を要求しておる人たちがかなり多いのであります。ところが今申しました第四條の規定を見ますと、現実にできて来なければ、設計書だけでは必ずしもその施設が基準に適合するかどうかわからないということもありますし、またその経営が確実であるかどうかということを見るわけにも参らない、実際問題として受付けるわけにも参らない、登録するわけにも参りませんので、こういう点はやはりこの法律内容の不備ではないか、こう考えるのであります。実はこの法律が国会で審議されておつた当初におきましては、ホテルの登録税あるいは不動産取得税の軽減ということが盛り込まれておりまして、建物を取得してそれをホテルに転用するというふうな場合にも、ある程度そういうようなことができるようにするために、こういう條文を入れたというふうに私は承知しておるのでありますが、それが今のこの法律には入つておりませんし、一方そういつた誤解もありまして、設計だけで申請を出されましても、実際問題として登録をするわけには行かないという不便がございますので、この際は一応これを削つた方が、申請者のためにははつきりしてよいのじやないかと考えるのであります。  それから第二の御質問の、海外から相当観光客が参るのに、東京にはほとんどホテルの余力がないというお話はごもつともでありまして、私たちも実はホテル、特に京浜地方におきますホテルの整備という問題に、頭を悩ましておるのであります。これが対策といたしましてまず考えられますのは、もちろんホテルの新設であります。しかしこれには相当の資金を必要といたしますので、かねて御承知通り見返り資金等にも、ホテルの新設を相当要望いたしておつたのでありますが、昨年におきましてようやく、東京において二件、神戸に一件、名古屋に一件、合計四件の見返り資金が一応計画に載つたのであります。ところが神戸、名古屋の方は計画が早く進んでおりましたので、申請書も早く出したということで、年度内にそれぞれ四千万円ずつの見返り資金の決定を見たのでありますが、東京の二件は、計画も遅れておりましたので、申請書を出すのが遅れましてぐずぐずしておりますうちに、御承知通り制度がかわりまして、見返り資金も今度は開発銀行の方で一切取扱うということになりまして、この方は一頓挫を来しておるのであります。しかしこれに対しましては、今後におきましても開発銀行からの融資その他につきまして、運輸省といたしましてもできるだけ努力をいたしたいと考えておるのであります。またかねて東京には、外国資本の導入によるホテル計画もございまして、これに対しましても、政府としても、いろいろの面で協力を続けておるのでございます。  なお第二の方法として考えられますのは、現在御承知通り相当りつぱなホテルが接収されております。この中の一部を解除して、一般の観光客の用に充てるということが考えられるわけであります。この点につきましても、かねがね折衝しておりまして、実は昨年の朝鮮事変直前には一部実現する見込みがついておりましたが、朝鮮事変が起りましてから、またそれが延期に相なりました。しかし近く講和條約の締結も予想されますし、その際に現在接収せられておりますホテルあるいはその他の建物の使用につきまして、相当整理が行われることが予想せられるのであります。また業界でも、この機会に日米協力の建前で協力することはやぶさかでないけれども、業者としてはできるだけ自由営業を欲するというような要望もありまして、ホテル審議会等に対しましても、ホテル協会あるいはホテル業者から直接請願もございまして、現在ホテル審議会としましては、政府関係当局及びGHQ関係に、この問題につきまして請願をする予定に相なつておりますが、われわれ政府部内にある者といたしましても、この機会にできだけ一流のホテルを、そういつた一般の自由営業のできるホテルとして返していただくというふうに努力いたしたいと考えておる次第であります。
  117. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 本日はたいへんおそくなつて、皆さんお疲れのようでありますから、御質問申し上げたいことを省略さしていただきますが、ただ一、二点申し上げてみたいと思うのは、大体今の観光部長からの御答弁によりまして、一応はうなずけるのでありますが、ただホテル業を営むというような限定した法律にいたしますと、今後このホテル整備法案に対する業者の関心が薄くなるのではないか、大きな面から考えたときに、何だか小さくなりはしないかというきらいがある。私はこの点は満足ではありませんけれども、今日は時間もありませんことと、この改正の要点は、審議会が廃止になつたについて付属的の訂正であるというように見ますので、一応は了承いたします。   なおホテルの今後の整備については、いろいろお考えもあり、お話もあつたのでありますが、現在の段階におきましては、とうてい満足のできることでないということを申し上げ、同時に観光部の部長さんその他の方々にお願いしたいことは、業者がこの整備法案を活用して、もつともつと観光部へ訪問する業者が多くなるように、御指導と御鞭撻を特にお願いしたい。現在、業者はホテルを整備したいとか改善したいとかいいましても、資金の面、物価の高い面から、現在の営業をただやつて行くだけにさえ苦しんでいる状態でありますから、新規に国際観光ホテル整備法によるところの施設をすることは、とうては不可能な場合になつておりますので、この点もお含みを願いまして、来議会等におきましては、この問題をなお一層御検討を願いまして、健全なるホテル整備法案をつくつていただきたいことを提案いたしまして、一応この整備法の一部改正に賛成いたすものであります。
  118. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 これにて質疑は終了いたしました。  本案に対する討論は、これを省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 これより国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案について、採決いたします。  本案を原案通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  120. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお本案に対する報告書については、委員長に御一任願います。     —————————————
  121. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 この際お諮りいたします。本委員会において現在審議中の、戦時中政府が買収した鉄道の譲渡に関する法律案を、閉会中継続審査案件として議長に申し出るに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 それではさようとりはからいます。     —————————————
  123. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次に、港湾法の一部改正に関する請願を、日程追加するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 それでは港湾法の一部改正に関する請願宮原幸三郎君外三名紹介、二〇六三号を議題といたします。  この請願の審査は、先日の委員会においていたしておりますので、これを議院の会議に付し、採択すべきものと議決するに異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 それではさよう決します。  なお委員長報告書については、委員長に御一任願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十一分散会