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1951-05-24 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十四日(木曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君       稻田 直道君   岡村利右衞門君       尾崎 末吉君    片岡伊三郎君       玉置 信一君    前田 正男君       滿尾 君亮君    山崎 岩男君                 石野 久男君  出席政府委員         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務官         (自動車局長) 牛島 辰彌君         運輸事務官         (自動車局総務         課長)     齋藤  博君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     中村  豊君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     佐竹 達二君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 五月二十三日  硅石に対する貨物運賃等級引下げに関する請  願(有田喜一紹介)(第二二八九号)  日本海就航船舶の機雷による損害補償確立に関  する請願大石ヨシエ紹介)(第二二九〇  号)  無鶴港の安全宣言に関する請願大石ヨシエ君  紹介)(第二二九一号)  釧路地区鉄道改良工事計画実施促進請願(伊  藤郷一君紹介)(第二三二九号)  釧路美幌間鉄道敷設請願伊藤郷一君紹  介)(第二三九五号)  荒海、瀧の原間鉄道敷設請願菅家喜六君紹  介)(第二三九六号)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案反対に  関する請願川島金次紹介)(第二三九七  号)  桜木町事件関係国鉄職員の身分に関する請願(  川島金次紹介)(第二三九八号)  船舶職員法改正法案無線通信士資格及び定  員等に関する請願塚原俊郎紹介)(第二三  九九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  道路運送法案内閣提出第一三一号)  道路運送法施行法案内閣提出第一三二号)  自動車抵当法案内閣提出第一三三号)  自動車抵当法施行法案内閣提出第一三四号)  道路運送車両法案内閣提出第一三五号)  道路運送車両法施行法案内閣提出第一三六  号)     ―――――――――――――
  2. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が不在でありますので、理事の私が委員長の職務を行います。  道路運送法案、同法施行法案自動車抵当法案、同法施行法案道路運送車両法案及び同法施行法案を一括して議題といたします。質疑を續けます。滿尾君亮君。
  3. 滿尾君亮

    滿尾委員 政府委員にお伺いいたしますが、自動車道に関する法案はたくさんありますが、自動車道に関して国は特別の補助をされる御意向があるかどうか。現状のままではなかなかこれは実現する見込みがないと思いますけれども、国の交通政策の大局から、自動車道について何か特別の施策をせられるお考えがあるかどうか、伺つておきたいのであります。
  4. 中村豊

    中村(豊)政府委員 自動車道については、ただいまのところ補助をしてまで助長する意向は持つておりません。もし補助をして国の費用道路を発達させるとすれば、やはり国道、府県道という関係で延ばすのが常道だろうと思います。特殊な地域において、民間の方が自分道路を敷設して、運賃料金をとつて、それで十分経営できるという計画のものにされるのが自動車道でありますから、特にこれについて補助までするという必要を認めていないわけであります。
  5. 滿尾君亮

    滿尾委員 そうすると、わが国の現段階におきまして、自動車道というものが、一体事業として、成立し得るという見通しを立てておられるのかどうか。ただ観念的にこういうものが考えられるという程度の御意見であるかどうか、その点について伺つておきたいと思います。
  6. 中村豊

    中村(豊)政府委員 自動車交通事業法ができました当初には、大分この事業も発達したのでありますが、その後の模様を見ておりますと、特殊な地域を除いては、必ずしも十分に採算がとれておるとは見られたいわけであります。従いまして特にこの事業が今後も、現在のような態勢でどんどん発達するという見通しはつけにくいと思います。しかしながら申請人がこういうものでしたいという場合に、それを自由にしておくということはいけませんから、免許事業にしたわけでございます。
  7. 滿尾君亮

    滿尾委員 第四十三條について伺いますが、自動車運送事業者が左の各号の一に該当するときは、事業停止または免許取消しができる。その中の事業停止の問題でありますが、これはバスとか定期便貨物便につきましては、何らこの事業停止を命ずることができないだろうと思う。一体主務大臣は、バス業者にも罰としての事業停止を命ずるお考えがあるのかどうか。もしさようなことがかえつて公衆利益を傷つけることになるならば、この四十三條の前段の免許取消しは別といたしまして、事業停止という罰則は、定期便運行者に対しては自縄自縛に陷るおそれがあるが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  8. 中村豊

    中村(豊)政府委員 取消しというのは、もちろん最も根本的な制裁方法であります。取消しというのはまつた免許権を根底から奪つてしまうわけでありますから、再起不能に陷れるというので、制裁方法としては最も苛酷な方法であります。しかしながらそこまで事情が悪くなつて、ある程度反省を與えなければいけない、また反省を促せばあるいは立ち直るであろうというような場合に、取消しに至るまでの一つ段階として、停止という処分考えられるわけであります。もとより御説のように、定期路線のような事業で、停止をしてしまえば利用者が非常に困るということはもちろん考えられるのでありますけれども、利用者が困るということが一方にありましても、それであるからといつて停止もせずに、そのような法律違反をして、公共事業としての責任と義務を盡さないような事業を継續させることの方が、社会的に弊害が多いというような場合には、やむを得ず一時の利用者の不便をもあえてして、停止をするということが考えられるわけであります。ただ定期路線のような場合には、御説のようにこの制裁はできますが、使うことが愼重でなければいけないと思います。もつともなお複数制といいますか、そういう形のでき上つておるところでは、この停止があつてもただちに不便を来すというわけではございませんことはもちろんであります。
  9. 滿尾君亮

    滿尾委員 四十三條の定期便のものに対しては、どうしてもこの角度から複数制をとらなければならぬというように結論を伺いましたが、さように心得てよろしいかどうか、お伺いしたい。
  10. 中村豊

    中村(豊)政府委員 決してそういう意味ではございません。複数制のところでは、この制裁方法使つても、それでもただちに不便を起すということにはならないということだけを申し上げたわけでございます、
  11. 滿尾君亮

    滿尾委員 七十七條についてお伺いいたします。国の経営する自動車業を始めましたときの補償の問題がきめてある。ところが民間事業の場合には、この七十七條に該当するような條項がない。ところが国営自動車というものを、今後ほとんど民間事業者と同じ立場、司法的な立場において考えるというのが、今回の御改正の要旨であります。してみると、これは官民を通じて、国有であろうと民意であろうと、七十七條を置くならば、両方に共通する観念ではないかと思われるのでありますが、この法律は、国営の場合にのみ直接しておられて、民営の場合はかような必要がないとお考えにかつておるのであるか、またこの両者のアンバランスはどういうふうにお考えになつておるのであるか、その点をお伺いしたい。
  12. 中村豊

    中村(豊)政府委員 国営の場合には第六條の免許基準の適用がないわけでありますので、国営には、国営として必要であれば、またそれだけの大きな理由があれば、免許其準にかかわらず免許されることがあり得るわけであります。従いましてある場合には民営事業者の既存の権益を、国営をやらなければいけないという大きな理由から、侵害するということも起り得るわけなのでありますから、こういう規定を置いたわけであります。民主の免許については、第六号の免許基準によつて、十分その点が考慮されるわけであります。その点が事業開始の最初において、根本的に違うわけであります。
  13. 滿尾君亮

    滿尾委員 今度は八十三條についてお伺いいたしますが、ここに自動車運送取扱事業登録申請者資格を決めておる條文がございますが、ほかの事業者申請の場合には二年以上の刑罰になつておるのでありますが、この取扱業者に関する限り、特に三年以上というように資格がかわつておるのでございます。資格が軽くなつたといえば軽くなつたわけでありますが、かように差別をする必要はないというようにも私には考えられるのでありますが、一体どういうわけで差別せられたのかお伺いいたします。  それから同條の第五号の「事業に必要な施設」とは、つまり取扱業者に必要なる施設とは、どういうことをお考えになつておるかということをお伺いいたします。
  14. 中村豊

    中村(豊)政府委員 この登録の場合には三年以上となつておりますが、一般自動車運送事業免許の場合には、一年以上になつておるわけであります。その辺が違つておりますのは、一般自動車運送事業免許という重い手續によるものでありますから、適格性についても相当嚴格條件考えているわけであります。この自動車運送取扱事業については、何分にもまだ発達の初期にあるのでありまして、初めて登録という軽い法規制をするのでありますから、自動車運送事業と同じところまで嚴重な條件を要求するのは苛酷と思われますので、相当差をつけて三年以上にしたわけであります。この点は、事業重要性の度合いによつて差をつけたというわけでございます。  次に、「必要な施設」というのは、それほど嚴格なものを要求するのではありませんけれども、いやしくも取扱事業をやるのでありますから、それに必要なる最小限度設備、たとえば貨物盗難受損を防止できるような設備、あるいははかりというようなものを要求するだけで、その大規模なものを考えているわけではありません。
  15. 滿尾君亮

    滿尾委員 八十三條の資格についての御答弁は、片方免許申請であり、片方登録申請であるからということでありますけれども、利用者立場から言うと、ひとしく自分貨物を委託するのでありますから、この差別をするのは私はおかしいと思う。事業規模とか何とかは違いますけれども、とにかく自分の荷物の保管を一時その人にゆだねるのでありますから、その角度から資力、信用という点を問題にせられるならば、こういう資格條件はひとしくしてもいいのではないかという見解を持つておるのであります。手續の軽重によらず、荷主、公衆利益の確保という点から言えば、資格を二年にし、三年にするということは、私はおかしいと考えるのであります。  さらにお伺いいたしますが、八十五條の「運賃及び料金」というのは、自動車業者運賃まで含めた料金の認可を要請せられておるのか、あるいは自分のところの取扱い手数料のような気持でおられるのでありますか、運賃及び料金取扱業者における形態というものは、どういう形式考えておられるかお伺いしたい。
  16. 中村豊

    中村(豊)政府委員 これはトラック事業者運賃料金は含んでおりません。取扱業者自体運賃料金であります。
  17. 滿尾君亮

    滿尾委員 今度は第百條についてお伺いいたしますが、「自家用自動車共同使用しようとする者は、運輸大臣許可を受けなければならない。」ということになつておるのでありますが、この第百條は、憲法国民に保障されておる財産権を侵害するものであると考えます。現在のように、燃料に関する統制が行われておりまするような段階におきましては、ある程度この規定の精神を了解するに私どももやぶさかでないのでありまするけれども、道路運送法のフラツトな條文として入るということになりますと、将来燃料がまつたく自由になつた場合に、自動車は自由に購入することができる。自家用自動車使用することは、国民の基本的な権利内容として自由にできる。また自動車共同で所有することもできる。しかし使用に関してのみ運輸大臣許可を必要とするという制限を課することは、少し無理ではないかと思うのです。所有権制限ではないといたしましても、使用権という、所有権のほとんど本質的な部分を制限するのでありますから、実際の効果は所有権制限に近いものである。従つて統制経済のはずれた際においても、この百條を行わんとすることは、非常に無理があると私は考える。そこでまずお尋ねしたいことは、共同使用自家用自動車件数が、現在全国で何件くらいあるかということです。かつまたその件数におきまして、役所で憂慮しておられますような弊害が、最近に実績としてどのくらい上つておりますか。その数行をひとつお伺いいたします。
  18. 中村豊

    中村(豊)政府委員 自家用自動車共有は、現在陸運事務所申請をして承認を求めるようなことになつておりますが、その件数全国で二百六十六件になつております。だから相当利用件数があるわけであります。また共有を認められた、やつてみた上で、害があつたという報告は、今のところ受けておりませんけれども、こういう営業類似行為を起すおそれがあるというので、承認をされていないものが相当あるのでありまして、その件数は百一件でございます。従いまして承認された二百六十六というのは、その承認率は全部に対して七三%でございます。そうしてこの承認されなかつたものには、おのおのその具体的な理由があるわけでございます。
  19. 滿尾君亮

    滿尾委員 政府と私と数字のとり方が非常に隔絶しておるのであります。全国で二百二十六件ということは、私から申せばきわめて少い数である。一体日本中に自家用自動車は何台動いておりますか。その数字から見ますると、二百六十六件のごときは、全然言うに足りない数である。自家用自動車活動区域、その分野、その数量という角度から見ると、二百六十六件というものは大海の一粟であると私は考える。だから、かような件数をもつていろいろ心配せられるということは、まつたく杞憂に属するものであると考えるのであります。また出願の態様で、やらないうちにむやみと拒否せられるということは非常におかしい。少くともこういう種類のものは、一応原則的には国民権利に属するのでありますが、一応は受けてみる、そうして実際に許可する。そうして悪いところがあつた許可を取消すこともよろしい。しかし事前にこれを拒否するという建前は、非常におかしなことであると私は思う。現在の方式におきましても、ほんとうならばこれは法律できめるべきことを、行政官庁行政上の通牒をもつて独断専行しておられるのであつて、これは法規上の根拠はきわめて乏しいと思う。われわれはその実情を知つてつてなおかつこれに協力申し上げておるのであるが、現在の態勢弊害の点を一件もあげないのに、今度百尺一歩を進めて法律上の地位を占めるということは、非常にこれは無理だと思う。特にそれが條件付であつて燃料消費規正が継續しておる限りにおいておやりになるならば、私も承認するにやぶさかではないけれども、しかしほんとうに将来燃料統制がはずれてしまつて、まつたく車が自由に使えるときになつて、卒然として共同使用だけを許可制に持つて行かれることは、非常な行き過ぎであると私は考えるのでありますが、政府委員はどういうふうに御見解を持つておられまするか、お伺いいたします。
  20. 中村豊

    中村(豊)政府委員 現在自家用自動車共有通牒でもつて承認にかけておることが、法律的には問題であるというお話でございますが、当時そういう通牒にいたしましたのは、全国自家用自動車協会という最も御関係の深い団体とよくお話合をしまして、その辺ならばよろしかろうという御同意のもとに、納得ずくでやつたわけでありますし、その内容についても十分御納得を得ていたわけでありますので、自家用の方々から、そういうような困るというお話は今まで一件も出ておりません。しかしながらそれが法律的に問題であるという点は、われわれも考慮する必要がありますので、この際こういうふうに法律的に明らかにしたわけでございます。しかも共有という所有権の根源にさかのぼつて、それを法律制限するというようなことは、あるいは憲法上いろいろ問題もありましようから、その所有権その他の正当な権限から基いて出て来るところの使用態勢を押えて、使用というところの、いわば先の形を問題にしたわけでございます。これについて、大体そういうものを、ガソリン規正のある間ならばとにかく、さような物調法関係事態がなくなつたときにまで押し及ぼすことは、おかしいじやないかというお話でございますが、これは物調法その他のエマージエンシーの時期だけの問題ではございませんので、いやしくもこの法律輸送秩序ということを大眼目にしておるおります以上は、その秩序を保持するためには、秩序を乱すようなおそれのあるものは、許可することができないというくらいの規制は、当然認められることではないか、それがこの一條の目的に沿うゆえんである、かように思うわけであります。
  21. 滿尾君亮

    滿尾委員 現行の方式について、法規上の根拠を欠いておるではないかという議論を私は持つておるが、政府委員も御同感であると思う。またわれわれがその方式に一応同意いたしまして、協力しておるのも事実であります。でありますから現段階において、そういう方式役所統制して行きたいと言われますから、われわれも欣然としてそれに同意して協力いたしておるわけであります。だからそのことはかまわない。しかしそれであるからといつて、これは法規上の根拠がないということは事実であるし、それに百尺数歩を進めて、今非常に強い形式においてこれをやられるということは、私はその段階についての動きについては、非常に了解しがたいものがある。実際やつてみてこれこれの実害があつて、今までのようななまぬるいような方式ではやつて行けないのだ、運送秩序が保てないのだ。だからその実証的見地に立つてさらに強化する方式をとられるというならば、そのことがいい悪いは別といたしまして、思想的な経過においては納得できるのでありますけれども、実行の上でほとんど実効が上つておらない。実は私は府県別の表をいただきたいのでありますが、私の了知しておる限り、運輸省のごとき行政官庁というものは、かつて自家用自動車共有に関して協力的ではなかつた。おそらく一件も許可したかつたという県が、少からずあるのではないかと想像しておる。全国の二百六十六件を県で割つてみますると、一県で十件もないわけであります。それは実におそるべき小数であります。具体的な経済活動に従事しておる自動車の数がこんなにたくさんあるのに、一つの県で十件平均にも足らないということは、この制度が実際の運用において、いかに民意を抑圧しておるところの行政実績を示しておられるかという証拠であります。さらに数歩を進めてみまするに、今日のような乱暴なご提案をなさるということは非常におかしい。しかしながらこれにつきましても、今申し上げました通り、統制の續いておるという特殊の環境におきましては、ある程度私も了解できる。しかし将来統制がなくなつたときにまで、この法律憲法上の国民権利制限して行こうということはおかしい。制限するならば、少くとも実証的な件数において、過去においてこれだけの間違いがあつたから、将来においてもどうしても心配しなければならぬのだという裏づけがなければならない。おそらく間違いが起るであろうということで、みだりに国民基本的権利を縛るような、それにわくをはめるようなお考えを持つことは、これはお役人があまりにも親切過ぎまして、国民の方は至つて迷惑をするようなことに相なると思うのでありますが、重ねてこの点について、この百條を、統制段階の續いておる限りにおいておやりになるお考えはないかどうか伺いたい。やつてみて、どうもあの程度では不十分である。こんなに大きな間違いが起きては、運送秩序維持が困難であるというときは、その事実に立脚しての第二段のお考えとして、この百條の御修正があるべきではないかと考えるのでありますが、政府委員の御答弁をいただきたい。
  22. 中村豊

    中村(豊)政府委員 滿尾委員のお考えは、非常に物事をきれいに見ておられるのでありまして、われわれがそのような気持でいろいろと申請を見まして、申請の実態をいろいろ拝見しました結果は、共有という形に隠れて、事実上は名儀貸しとか名儀借りとか、まつたく範囲を逸脱したことがはつきりわかるものが非常に多いのであります。そういうものは違反だからお断りをしておるのでありまして、認められたものが弊害を起していないということは、それは弊害を起さないであろうということが審査の結果明らかになつたから認めたので、それが弊害を起さないことは当然でありまして、今の弊害がないじやないかということは承認されたからであつて弊害が起りそうなのは承認されなかつたから、弊害が起らないのであります。そういうふうにわれわれは考えております。それでこの條文ガソリン配給の問題とは全然関係がなくて、輸送秩序の点から考えられた條文でありますから、ガソリン規正という事態がなくなつても、この條文はその時期にかかわらず必要であろうと思います。それはひとえに輸送秩序を確保することが公共の福祉に適合するゆえんである、そのためにこういう使用権制限をすることが認められているわけであります。
  23. 滿尾君亮

    滿尾委員 そうすると、百條を御提案なつた真意が初めてよくわかつたのでありますが、これはガソリン統制をやつている、そういう役所行政処分における一つコントロールをやつている段階とに関係がないのだ、輸送秩序のための百條ということになると、私はますます反対しなければならぬ。現在の段階において、燃料を最も有効適切に使いたいという考えで、共同使用に対してある程度コントロールをせられることは私はやむを得ない、御協力して行ける面があると思いますけれども、そういうことは関係なく、将来運送秩序維持のための第百條ということになれば、これはまつた行き過ぎである。まことにこれは国民権利に対する重大なる挑戰である。一体何のための運送秩序か、運送秩序維持せんがための秩序という感があつて、この点については政府委員とまつた見解を異にする。私はいずれ百條については大臣に質問をすることにして、きようはこの程度で打切ります。  次に第百一條でありますが、「自家用車は、有償運送の用に供してはならない。」こう書いてある。ここでお伺いしたいことは、ここに医者がありまして、モーター・スクーター往診に参ります。そうすると、スクーター往診のために買つた営業上の道具でありまして、慈善事業をしているわけではないので、スクーター償却費なりガソリン費用というものが一応いるのであります。ところがその医者は、自分スクーター費用往診料の中に含めて患家からとることができないと、私はこの條文で解釈するのであります。もし医者が人力車を呼んで来て、車に乗つて行けば、車代を往診代にプラスしてとれる。ところが自分自分スクーターを利用して行つたならば、ガソリン代その他スクーターの運営は、実費もとれないように感じますが、どういうふうな御解釈でありましようか。
  24. 中村豊

    中村(豊)政府委員 そういう場合は、自分自分のもので行くのでありますから、これに抵触しないわけであります。それはよいわけであります。
  25. 滿尾君亮

    滿尾委員 しからばお伺いしますが、ここに言う有償ということは、どういう意味ですか。つまり第三者から、相手方から金銭上の償いを受けるという意味に私はとるのです。今の医者スクーターの実費をとれないように考えるのでありますが、政府委員は、そのかわり実費を徴收してもさしつかえないという御解釈でありますか、有償についての御解釈を承りたい。
  26. 中村豊

    中村(豊)政府委員 それは有償というところの問題ではありませんで、運送の用に供するということは、他人の人かあるいは他人の物を運ぶために用に供することを言うのでありまして、自分自分の車に乗つて行くことは、この場合の運送の用に供する意味ではないわけであります。
  27. 滿尾君亮

    滿尾委員 私はこの第百一條の解釈が、非常にわからなくなつたのであります。有償運送の用に供するということは、決して他人の用に供するという意味でないように思う。これは他人の運送の用に供するという意味でありますか、自分の用ならさしつかえないのでありますか。有償とは一体何であるか、有償の定義についてひとつ御説明いただきたい。
  28. 中村豊

    中村(豊)政府委員 有償というのは読んで字のごとく、ある行為に対して何らかの償いをとるということであります。しかしそれは利用といいますか、ある行為の都度、その行為を受けた者から償いをとるというのが、有償というわけであります。
  29. 滿尾君亮

    滿尾委員 有償ということと、現行法で書いてあります対価ということとは、どういうふうに違いますか。現行法の対価を有償というような表現にかえられたことの差異をお伺いします。
  30. 中村豊

    中村(豊)政府委員 対価というのは、給付に対する反対給付というふうに、給付相互間に相対関係がなければいけませんし、またそれが相対応する価格であるとか、それに近いものであるということが普通考えられる。ところが有償ということになりますと、もつとそれよりも広くて、そういう契約に基くことではなくても、広く行為一般について何らかの支給がされる、給付がされる場合をさすわけであります。だから観念的に非常に広いわけであります。
  31. 滿尾君亮

    滿尾委員 ますます御名答でわからなくなつたのであります。有償ということは、そうすると労務の提供、サービスの提供にコレスポンドするのとほぼひとしい反対給付ではないのだ、いやしくも何らかの形における若干の報酬ということを一切含むので、それは金銭上の給付ということにかかわらず、その他一切の給付を含むつもりであるか、ここに主として、その反対給付としては金銭的な給付をお考えになつているのでありますか、その点をお伺いした。
  32. 中村豊

    中村(豊)政府委員 必ずしも金銭に限る必要はありません。
  33. 滿尾君亮

    滿尾委員 そうすると、この第百一條というものは非常に問題の條文である。一体この百一條の精神は、察するに先ほどからお話の出ている運送秩序の問題でおきめになつたんだと思う。運送秩序の問題として見れば、営業車、自家用車の区別の問題でおきめになつたのだろうと私は察する。そうして見れば、この有償というものは主として金銭的給付をお考えになれば、それで必要にして十分ではないか。たとえばみやげにかきを一かごもらつたとか、あるいは何とかで、それではほかのサービスをしてやるというような、個人的な人間同士のつき合いの問題まで、この百一條は切込むつもりか。ここにお書きになつたものは、嚴格に金銭給付の問題であつて、しかもそれが営利的観念の存在を拒否するお考えでお置きになつたものであると思いますが、そうでなくて何でもこれより広い反対給付全般をさすのだ、一切のものをさすということになりますと、この百一條の解釈は非常にむずかしくなり、私どもが愼重に考えなければならぬ問題が多々ありますから、有償の意義についてお伺いします。
  34. 中村豊

    中村(豊)政府委員 有償がひとり金銭的給付に限らないことは――多くの場合はもちろん金銭でありましようけれども、金銭と同じような価値を持つたものであれば、当然有償の観念に入らなければおかしいのでありまして、金銭という單なる一つの名目的なものだけをつかまえて、それだけが有償であるということにいたしますれば、事実上同様な価値のあるものを別な形式でやることになりまして、まつたくこの法の精神は没却されるわけであります。その意味で金銭に限るということではなく、これに準ずるような価値を持つたものは入つていいわけであります。
  35. 滿尾君亮

    滿尾委員 これはますます問題がややこしくなりましたが、百一條運送秩序の確保のためであるということは、政府委員と私の見解はかわらない。しかしながら法律運送秩序の問題であれば、やはりその行為の反復継續性というようなもので、つまり営業者の権益を侵害するという問題が起つて来るのであります。しかしその他の單なる給付、たとえばかきを一かごもらつたとか、菓子を一折もらつたということは、日常生活の人情の流露の面である、そういう面まで法律が立ち入る必要は毛頭ないので、との点は非常に重大な問題を含んでいるのでありますが、有償についてはあらためてお尋ねすることにして、もう一言だけ伺いますが、運送の用に供してはならないということは、他人のためにということを意味しているのでありますか。自分のためということは入つていないわけですね。
  36. 中村豊

    中村(豊)政府委員 自分のためにする場合は有償という言葉は使いませんし、それから運送の用に供するという言葉を使わずに、そういう場合は使用するという言葉を使うのが普通だろうと思います。
  37. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は百一條考えますときに、私も別に運送秩序を乱すという考えはない。根本的な考えにおいて、運送秩序を尊重したいと思つているのであります。しかしながらこのことは、たとえば自己の販売し、製造し、修理加工したものを、自分のところにたまたまトラックを持つている者が、自分の広い意味の営業行為の一端として、別に運送の面において、営利的精神を持たないで、運送の面において單なる実費を償う程度のものを公定価格でサービスをすることは、私は社会の常識にぴつたり合つていると思う。ところがこの百一條はその常識を拒否していると考えるのでありますが、どういうふうにお考えになりますか。
  38. 中村豊

    中村(豊)政府委員 非常に特殊な場合をお取上げになつて常識論をお話になると、いかにももつともらしく聞えるのでありますけれども、しかし法律というものはさような特殊な場合を考え規定するほどこまか過ぎるものではなくて、一般の場合を共通的に取上げて規定するのが普通だろうと思います。さような見地から多少そのくらいのものはというものが、こちらから言つて、それを救済するために範囲をゆるめるということになることは、避けなければいけないと思うわけであります。従いましてそういうものはそういうもので、別途法律的に救済の制度を考えなければいけないと思うのでありまして、その方法としては特定の免許であるとか、あるいに條件付の限定免許という方法が、すでに認められているわけでございます。
  39. 滿尾君亮

    滿尾委員 私が非常に特殊な場合を取上げているようにおつしやいますが、私はこういうふうに考えている。つまりここに三越百貨店という商売を営んでいるものがある。そこで私はたんすを買います。たんすは大きなものですから、私は持つて帰るわけにいかない。当然三越の店に私は配達を頼みます。三越は大きな企業体でありますから、トラツクの三台や五台は持つているだろうと思います。お客さんの買いましたたんすをお客さんのおうちまで届けることは、三越の広い営業政策からいつて、あたりまえのことかと思います。そこで配達料の面で、別に三越はもうけるわけではない。たんすに適正なる利潤をかけているのでありますから、配達料は実費だけ頂戴する、百一條はそれを認めない。配達についてはトラツク会社のトラツクに配達を頼めということを強制しているように思うのでありまして、かような事態はきわめてざらに起り得ることであつて、非常に特殊の例と私は思いませんので、政府委員に御意見を伺いたい。
  40. 中村豊

    中村(豊)政府委員 事業というのは必ずしも営利を條件にしておりませんから、ただいま三越のような場合に実費をとるのだということでも、継續反復しておやりになればそれは事業でありまして、利益を含んでいないということは問題にはならないと思います。そしてそのような場合には、決してトラツク業者に頼めということを法は要求するのではなくて、もし自分でやりたければ自分で特定免許とか、あるいは限定免許という、一般免許よりは軽い手續免許をおとりになればいい。その道が十分あるのだということを申し上げているわけであります。
  41. 滿尾君亮

    滿尾委員 特定免許をとればいいのではないかと言いますが、しかし自動車使用に関して国がかような煩雑なることをすべての人に要請することは、この法を審議しますにつきましては私は問題だと思います。一体特定免許、限定免許と称するものが、届出してみて許可になるものならよろしい。しかし程度の差こそあれ、百一條免許基準によつていろいろな仕事をせられることになりますと、三日や四日でできない。数箇月を要するかもしれない。まず一月では困難ではないかと思います。ここにおいて政府委員は、将来の限定免許、特定免許を一週間なら一週間でおろす、條件をきわめて簡單にやる、あるいは一台でも二台でもさしつかえないというようになさるお考えであるかどうかお伺いします。
  42. 中村豊

    中村(豊)政府委員 それはもちろん、自由行為よりは、免許という行為は手續なり日数がかかることと思います。しかしそれについては、一般免許よりはできるだけ敏速に簡易にとれるということは、考えて行かなければならぬことだと思います。ただ一週間とか、十日ということをお約束するということは、これは無理だろうと思います。そういう意味があるからして、それをしも拒否して自由にしなければいけない、法律はそんなことまで要求するのはいけないという問題になりますれば、トラツク事業免許制度にしたという根本の精神が、まつたく乱されてしまうことになると思うわけであります。従いまして自家用一般免許とのいわば習慣的な業態については、それに適応したような制度がこういうふうに設けてふるわけでありますから、おのおののきめられた制度に従つて手續していただくということは、決して無理なことではないと考えております。
  43. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  44. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 速記を始めてください。
  45. 滿尾君亮

    滿尾委員 そうしますと、前回は対価と書いてあつて、その範囲は労務の提供に対する反対給付とひとしいものであるが、今回はいやしくも償いがある。それは金銭にかかわらず、品物でも何でも一切の場合を含むのだという御解釈のように伺いましたが、その通りでございますか、もう一ぺん念を押しておきたい。
  46. 中村豊

    中村(豊)政府委員 この前は対価とありましたが、そのときもその表題に「有償運送の禁止及び賃貸の制限」、こういうふうに有償と書いてありまして、対価と書いては狭過ぎるのでありますが、その点を今度は有償という観念で、広く一般的に包括したわけであります。その有償はひとり金銭に限らず、それに準ずるものも入る、かように解釈いたします。
  47. 滿尾君亮

    滿尾委員 なぜ前回の対価を、今回のように有償に広げなければならなくなつたか、その理由を御説明願いたい。
  48. 中村豊

    中村(豊)政府委員 対価というと、給付に対する反対給付という場合でありますから、そういう場合でなくて、そういう場合以外のものも同じように考えなければいけないから、有償にしたわけであります。
  49. 滿尾君亮

    滿尾委員 それは運送秩序というものの基本に対する政府委員見解は、非常におかしいと思う。つまり営業類似行為をして、免許権者の権益を侵害してはいけないという角度から出ておる。従いまして前回の対価につきましても、偶発的なたまたま帰りに頼まれたものはさしつかえないという大臣の解釈の御答弁を、公式にこの席でいただいておる。あの大臣の解釈は、今後やはり変更なきものと私は心得ますが、政府委員は今回の有償で、御変更に相なるというお考えでありますかどうか伺いたい。
  50. 中村豊

    中村(豊)政府委員 この前の大臣からの答弁は、実際の適用にあたりまして、現行法では非常に混淆を起しやすいので、今度の改正法でそういう解釈はとらずに、はつきりさしたわけであります。だから現在の偶発的なものはいいということを改めて、偶発的なものでもいけないという、建前にしたわけであります。但し云々という但書でもつて、まことにやむを得ないような場合は救済しております。
  51. 滿尾君亮

    滿尾委員 しからば運輸大臣の監督の権限の限度というものを伺いたい。大体日本中の山村僻地に、営業トラツクの営業所をまんべんなく配置しておるかどうか。もし大臣が百一條のこの責任を嚴格にとられるということならば、どんな山間僻地どいえども、トラツク営業者の営業所を配置しなければならない。ないところは一体どうするか。ないところは一切自動車を禁止するというお考えであるか。たとえば鉱山や製材所にしか自動車がその村にはない。その帰りにあるときは便乗する場合もあり、ある場合は貨物を頼まれる場合もある。その場合には一切の求償、金銭に限らずあらゆる対価を受けてはいけないのだということになれば、日本中まんべんなく営業トラツクを頼む便宜が得られるよう配置せられる責任が大臣にあると思いますが、どういうふうにお考えになりますか。
  52. 中村豊

    中村(豊)政府委員 法律の建前の問題になるわけでありますが、法律はひとしく国民に守つてもらえるということを前提として規定されるわけでありますので、こういう禁止規定があれば、善良な国民はことごとくこの禁止規定に従つてつてもらえると考えるわけであります。それを守らないであろうと予想して、山間僻地のすみに至るまで一々取締官を配置するということは、もちろん不可能であります。さような前提のもとに考えておるのではないわけであります。
  53. 滿尾君亮

    滿尾委員 中村政府委員は私の質問の意味をまつたく取違えておられる。山間僻地を取締れと言つたのではない。山間僻地に至るまでトラツク営業所をまんべんなく配置しなければ、その地域に住んでおる一般人民は、生活上非常に不便を受ける。この道路運送法という人為的な規則をつくられたために、この不便を受ける責任を大臣はどうしてとられようとするか、こういう意味で、決して取締つてくれという意味ではない。国民生活の実際において、この百一條を公布した場合には、不便を感ずる人民が相当出て来る。もしこれをやられるならば、この裏づけとして、いかなる山間僻地といえども簡單に営業トラツクを頼めるように、営業所の配置が偏在せざる措置をとられる必要があるが、いかにお考えになつておるかというのであります。
  54. 中村豊

    中村(豊)政府委員 山間僻地にまでトラツクが配置されていないために、利用者が非常に困るという事態はあろうと思います。もしそのような場合に、運輸大臣が責任を持つて配置しなければいけないというものではないと思うのでありまして、やはりそれはトラツク事業者の方なり、自己のものを運ぶ自家用車の所有者の方なりが、そういう輸送事情を考えて、みずからの創意によつて配置するのが至当であろうと思います。ただそういう配置やそういういろいろの事業申請を、運輸大臣は受身で判断いたしまして、必要なものは認め、弊害のあるものはこれを認めない、こういうことが行政でおろうと思うのであります。但し申請審査する場合には、営業所の位置や配置車両の数などは、できるだけ交通輸送需要の実際に合うように審査するということはあるわけであります。なお特殊な場合、緊急の必要が起つたような場合には、但書で救済する道があるわけであります。
  55. 滿尾君亮

    滿尾委員 これは驚くべき御答弁であつて、ちよつと困るのであります。運輸大臣は受身で消極的に判断をしてよろしいとおつしやいましたが、法律一般国民の日常生活について直接損害を與えるような規定をつくつておられる。その損害についての責任を負わないということは、はなはだけしからぬ。なぜかならばこれは自然法的な規定ではない。人為的な規定である。従つて立法論的にはこの百一條はどう書こうと自由なのである。従つてわれわれは立法論的な立場に立つて、国会で審議しておるのでありますから、こういう無理な法律をつくられることは、多数の山間僻地の国民に対して、法律を遵法せざることを国がみずからわなにひつかけるようなものである。これだけのことをやられる以上は、いかなるところの日本国民も、法律違反しなくて自分の生活ができるだけの施設を、運輸省はする必要がある。その施設をしないでおいて、善良な人民がみな法律を遵守せざるの民に転落するような法律をつくることは、私は無理だと思う。従つて私はこの百一條をつくるならば、全国のトラツク営業所の配置図をひとつお出しを願いたい。相当広汎な地域において人民が、あなた方の運送秩序の観念の通り利用できるようになつておりますことを見届けた上で、この百一條に御賛成申し上げたいと私は思う。従つて私の考えるには、これは原則としては私としても異存はない。有償という表現は反対だけれども、とにかく運送秩序維持することについては、私は反対する気は毛頭ない。しかし国民の実際生活に合つたようにきめていただかなければならぬ。  たまたまこの道路運送法案が出たために、善良な人民が法を遵奉せざるの民に落ちてしまつたのでは困る。そういう意味である。従つて百十係に原則としてお入れになることは毛頭異存はない。有償の字は問題だけれども、原則としてはよろしい。しかしこうフラツトに言い切つてしまつて、これが今の政府委員の御答弁の心境であるとすれば、日本国中の何割かの国民はいやでもおうでも、悪い意思がなくても、道路運送法を守り得ない事態に陷ることは、これは無理ではないと思う。なお第百條と第百一條につきましては、他日運輸大臣の所見を直接ただしたいと思いますので、本日はこの程度で打切つておきます。  さらに第百十條について伺います。道路運送委員につきまして、いろいろ御心配になる点がここに書いてありますけれども、なお第百十條の規定をもつてしても、この面についての心配は十分でないと思う。それである具体的な案件に対して、その特定の委員を忌避するという制度をとるお考えはないかどうか。道路運送委員というものは、その職能からいたしますと、陸運に関する特別裁判官の働きを持つている。従つて司法裁判官に対して忌避の申立てを許しているがごとく、道路運送委員に対しましても、ある場合には忌避の申請をすることができるような道を開かれることが、フエヤーではないかと私は考えるのであります。御所見をただしたい。
  56. 中村豊

    中村(豊)政府委員 道路運送委員の選任については、努めて公正適切な人を得るようにいたしたい。それが今度の法律改正一つの要点でもあるのでありまするから、審査について忌避するということまでしなくてもいいのではないかと思います。但し議決に関しては、特別の利害関係を有する委員が参加しては、これは不公正なおそれを抱かせますから、さような点を排除するために百十三條の第三項が設けられたわけで、これで最後のところを押えればいいのではないかと思います。
  57. 滿尾君亮

    滿尾委員 それは今日までの公聽会における実態を無視した御答弁だと私は思う。今日までの道路運送委員の公聽会における審議ぶりを見ますと、道路運送委員はもちろん專門家でありますから、非常に詳しい。ところが事業申請をいたしますものは、さような專門的な知識は持つておりません。役所がいろいろむずかしい標準をこしらえておられるから、いろいろな人に聞いて、その方式に従つてそのような書面を書いている。その書面を見て、極端に申せば、ねこがねずみをなぶるような調子で、おもちやにしてもみくちやにしているという傾向さえ私は拝見するのであります。従つてその審議の過程において、特定の利害関係を持つた委員がそんなもみくちやにするようなことをやるひには、ほかの委員の判断に対しても非常な影響力がある。従つて最後の決議に対してだけ拔かせば十分だということは毛頭言えない。実は申請人に対して運送委員が質疑応答する、その審議の過程が非常に大事なわけである。その意味で私は忌避の制度を設ける必要があると思う。決議のときだけ除いたからといつて、決議はもちろんつけたりである。多くの他の道路運送委員に影響する力は、審議の過程において発生するのでありますから、そのことを私はお尋ねしたわけでおりますが、さようなお考えをお持ちになりませんかどうか。重ねてお尋ねいたします。
  58. 中村豊

    中村(豊)政府委員 公聽会のいわゆる審議の過程において、いろいろと影響を及ぼすというお話でございますが、公聽会はあくまでも事実の発見ということを目的とするのでありますし、審議ということは実態の把握ということを意味するのでありますから、影響を及ぼすというようなことは考えられないと思います。従いまして決議の際に拔くというだけで弊害はない、かように思います。
  59. 滿尾君亮

    滿尾委員 第百十七條について伺いますが、この中に「道路運送者若しくはその組織する団体その他の関係者」と書いてありまして、これでは運送業者の意見を非常に偏重して重く聞くようなかつこうに見える。従つてこれは字句の表現が間違つているのではないか。運送業者その他関係者もしくはその組織する団体に対し、こういうふうの御趣意でないかと思うが、ひとつお伺いしたい。     〔岡田委員長代理退席、坪内委員長代理着席〕
  60. 中村豊

    中村(豊)政府委員 事業者というのを初めに持つて来たことが、誤解をお招きになつたもとのようでありますが、さような意味ではありませんので、「事業者若しくはその組織する団体その他の関係者」という中には、その他の関係者が組織する団体も入るわけで、関係者というのは非常に広いわけでございます。
  61. 滿尾君亮

    滿尾委員 これは字句の表現でありまするけれども、運用上非常に重要な影響を持ちますから、もしお役所が虚心坦懐に考えて、私の説がよければ、ぜひ訂正してもらいたい。こういう書き方では、将来下部機構における運用に間違いが生じます。それから百二十五條に、関係者の団体を組織するというお考えが今回出たのでありまするが、これは非常にいいお考えであると私も賛成するのであります。ただ非常に簡單に書いてございまするので、こういう団体が幾つも将来発生する、濫立するおそれはないかどうか。また未加入のものが相当ありまするが、これらにつきまして、これらの団体になるべく加入させるような方針をおとりになるお考えがあるかどうか、濫立を防止せられるお考えがあるかどうか、またこれらの団体について、いろいろ経済面等について、将来御考慮なり助成をお考えになるかどうか、三点について伺つておきたい。
  62. 中村豊

    中村(豊)政府委員 簡單過ぎてお気に入らないようでありますが、こういう団体に関しては、民法の公益法人は主務大臣許可を受けなければならないという規定に従いまして、運輸省には運輸省の省令がございます。そこで手續きなどについて別途に詳しい規定がございますし、また事業者の組織する団体については、一般的に事業者団体法という法律がございまして、さような法律や省令で事業者または自動車、軽車両を使用するものの組織する団体が規制されておるわけであります。しかしながら運輸省といたしましては、道路運送を重視するので、道路運送に関しては、そのほかにさらにこういう団体について届出をしていただいて、十分連絡協調して行こう、こういう趣旨でありますので、それをさらに強めて濫立を防止するとか、加入強制をするとかいうことは、これは事業者団体法にも抵触いたしますし、民主主義というような点からも無理ではないかと思つて、そういう規定を置いてないわけであります。
  63. 滿尾君亮

    滿尾委員 私も現在のいろいろな法規関係のあることは存じておりまするが、将来の方針としてそういう気持を持つておられるかどうかということをお尋ねする。今ただちにこの字句を修正するとか、現行法の問題として考えておるのではないのであります。この点将来御考慮に値しておるやいなやということを伺つておるわけであります。
  64. 中村豊

    中村(豊)政府委員 それは事業者の団体に関する根本方針がいかようにかわりますか、それに応ずることになるわけであります。
  65. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私はごく簡單に自動車運送取扱事業登録の拒否の点についてお伺いいたします。あるいは他の委員から御質問になつておるかもしれませんが、すなわち第八十三條第一項の第一号と第四号についてお尋ねいたします。第一号の「三年以上の懲役又は禁この刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過していない者」この懲役、禁錮の刑という問題は、おそらく経済行為に関するものであろうとは思うのでありまするが、この懲役、禁錮に処せられる場合の内容を御説明願いたいと思います。
  66. 中村豊

    中村(豊)政府委員 これは刑法あるいはその他刑罰法規違反して、こういう刑に処せられた者でありますから、その違反行為がどういう行為であろうとみんな入るわけであります。
  67. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 自動車事業行為、すなわち一つの商行為でありますが、商行為、経済行為の点において影響のあるものであれば、もちろんその通りでありますが、そうしたものでなくて、たとえば選挙違反であるとかいうような刑の問題も、これによつて適用するということについてはいかがかと思うのですが、それも含めておるわけですか。
  68. 中村豊

    中村(豊)政府委員 それも含まつておるわけでございます。
  69. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 それはただ懲役であるとか、あるいは禁錮とかいう法律違反行為の名目だけをとつておるのでありますか。それとも実態を見た場合において、その影響力というものは全然考慮しなくて、ただ一律に法律違反という点を根拠としてこれをつくられたものであるかどうか、その点を重ねてお伺いいたします。
  70. 中村豊

    中村(豊)政府委員 選挙違反という例が出ましたので、はなはだ申しにくいのでありますけれども、現在の法律で、どういう事由であろうとも、その違反行為が懲役または禁錮に処せられるというようなことになれば、そういう法律をつくつた精神は、そういう行為は反社会的な、信用を失墜する行為である、こういうふうに法律自身が見ておるのだと思います。従いましてそういう法律によつて三年以上の懲役、禁錮に処せられれば、その原因のいかんにかかわらず、信用のない人であるというように判定して拒否する、こういうわけでございます。
  71. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私はちよつと引例する資料を持つて来るのを忘れておりますので、おつてこの問題は重ねて御質問申し上げることにしまして、第四号の「法人で、その役員のうちに前三号の一に該当する者があるもの」と規定されておりまするが、何々自動車株式会社という会社のうちの代表取締役以外の單なる非常勤役員等においても、この字句からすると該当するように解釈できるのでありますが、政府としてはどういうところに重点を置いて規定されておるのでありますか。
  72. 中村豊

    中村(豊)政府委員 役員の解釈は、ただいま申されましたように、代表取締役以外の非常勤の役員の方も入るわけでございます。というよりも、もつと広く、第六條の第二項第四号にありますように、「いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。」というふうな規定がありますが、実質的に役員と同等またはそれ以上の実力を持つておる者は、みんなこの役員に入るわけでございます。こういう規定は、このような事業には通常同様な例があるわけでございます。
  73. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 例があるとすれば、その例をお示し願いたいのでありますか、私は普通の営利会社の場合において、その運営の衝に当る代表取締役、専務取締役、常務取締役、これらの方方が会社における支配力を持つのでありまして、他に非常勤名目取締役というものは、決して支配力を持たないのであります。従つて前段に申し上げましたように経済行為以外の、さして社会的に悪影響を及ぼさない、間違つた行為による違反に問われて刑に処せられた者が、こうした非常勤の名目重役になつておる場合に、これによつて拒否するということは、あまりにも実態に沿わないものではないか、あまりにも過酷なきめ方であると解するのでありますが、重ねて政府当局の御所見を聞いておきたいと思います。
  74. 中村豊

    中村(豊)政府委員 代表取締役は支配力のあることはもちろんでありまするが、非常勤の平取締役でも、取締役といい、役員という以上は、商法に認められた役員としての権限を、法律上は当然に持つておるわけでありますから、その商法の役員の取締役の権限に従えば、その会社の運営に支配力を有するということが言えるわけであります。ですから、実際的にある人がその会社でまつたくたな上げになつて、何ら実力を持たないということでありましても、その人が取締役である以上は、商法による取締役の権限を持つておるわけでありますから、法律的にはその人は支配力を持つて、さような人が関與することは望ましくない、こういう趣旨でございます。なお例をあげろということでございますが、たくさんあげるだけのただいま材料を持つておりませんけれども、通運事業法にはもちろんこれと同様の規定がございますし、最近できましたガス、電気を規制するところの公益事業令の中にも、同様の規定があるはずであります。その他の例は、必要ならばまた調べて申し上げます。
  75. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 公益事業令のごとき支配力云々を規定する問題は、当然私も納得できるのでありますが、これはかつて軍国主義の強い時代の、いわゆる戰争経済当時における規定の方向に行つておるように私は考えられるのでありまして、今日の民主主義の立場からいつて、はなはだ行き過ぎるように考える。これ以上は見解の相違でしようからして、私はでき得ることならば、実際に支配力のない――実は私どもかつて会社に十幾つも関係いたてしおりまするが、まつたく名目だけで、支配力どころか、発声もしないような立場をとつて、今日まで数年来ておる事実もあるわけで、かような経験の点からいつても、私は單なる名目による重役にはたして支配力があるかというと、何か商法上の問題の起つたときにのみ、あるいは取締役という形において責任を問われる場合に、多くその立場を重視せられて、責任を負わされない單純経営の面における会社の單なる名目取締役の場合には、そうした責任を全然分担されていないのが常識であります。かような点から申しまして、私はどうしてもこれには納得できないのであります。当局がそういうお考えであるならばやむを得ませんが、もしできることならば再検討をお願いしたいと思います。これで私の質問を打切ります。
  76. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 私は道路運送車両法について一言お伺いいたしたいと思います。道路運送車両法案登録に、所有権得喪の対抗力を與える論拠についてお伺いしたい。第二に、保安基準の概要を御説明願いたい。第三は、自動車整備の現状と整備促進方策について御意見を伺いたい。なお分解整備事業に対して、認証制をとる理由について御意見を伺いたい。その四点をお伺いいたします。
  77. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。まず第一番の御質問でございますが、従来自動車は動産として扱わておりまして、その所有権の得喪は、民法の規定によりまして占有によるということになつております。しかしながら御承知のごとく、自動車というのは価格におきましても相当高価なものでございまして、單なる品物と同じように扱いますことは、私権の安全の点から申しまして十分とも申されませんので、これをもつと保護するという意味と、たまたま抵当法を実施いたしまして、これに抵当権を設定するということになりますと、適当なる公示方法を必要とするのであります。従いまして従来行政的の目的のためにやつておりましたこの登録を、司法的の観念を持たせまして、不動産の登記と同じような意味を持たせて行こう、こういう意味合いにおきまして、登記によつて所有権の得喪の対抗力を打たせるようにしたのでございます。  次に保安基準でございますが、これは大体世界各国のどこの国の保安法規にもある問題でございまして、自動車が町を歩きます場合に、最低限度の保安條件を備えていなければならない、こういう基準でございます。それで私どもといたしましては自動車をお使いになる方々に、この最低限度の基準に合格するような整備をしておいていただかなければ、町を歩いてはいけない、こういうことを申し上げ、かつ車両検査におきましては、これを標準といたしまして検査をして行く、こういうためのものでございます。この実質は、現在の道路運送法から出ております省令で車両規則というのがございますが、これに一切含まれております。これを法律に格上げした次第でございますが、その内容になりますと、数字的の問題が非常に多くなりますし、また技術の進歩その他によつて非常にかわつて来る場合が多いのでございます。従つてこれをあまりこまかいことまで法律に置きますのはいかがかと思いますので、とにかく項目だけをここに掲げまして、詳細なことは省令にまかせる。但し省令をきめる場合にあたつては、メーカーなりユーザーなりに不当な制限を加えるものではない、ほんとうに保安の意味における最小限度のものをきめるのであるということを明らかにしている次第でございます。  その次は整備の現状でございますが、わが国における整備の現状は、一口に申しますと遺憾ながら良好とは申すことができないのでございまして、むしろ非常に悪い。さらに言えば大いに寒心すべき状況ではないかと思われる程度でございます。それで現在のわが国の段階としては、この整備を自由に放任しておくわけには行かない状態ではないかと思いますので、ここに掲げます一連の整備の方策を盛り込みまして、御審議を願うことにいたしておる次第でございます。それでその大体の考え方といたしましては、一部には相当優秀なる整備業者を免許するとか認可するとかいうことにはつて、いいのだけ残して、整備の状況を上げて行かなければならないというお説も相当強くございますが、私どもの考え方といたしましては、これによつて商売ができなくなるようなことのないように、できるだけ現状をそのまま認めまして、それに軽い意味の法の規制を加えまして、たとえば記録を整理する義務とか、検査の責任者をはつきりさせておいて、それが責任を持つて検査して出すとか、こういう責任体制をそこにとらせることによりまして、その間の自主的な努力によつて整備が向上して行くというような考え方をとつております。さらにそのほかの問題といたしましては、車検の拡充をいたしますとか、それから使用者の整備をしつかりやらせるために、車庫に整備の責任者をはつきりさせておく。これも前と同じような趣旨でございまして、現在の人たちが失業してしまつたり、新しく人を雇い込まなければできないといつたようなむずかしいことを考えておるわけではございませんので、その資格のごときも非常に低い、むしろ現在やつている者がそのままのんでそれに責任の体制を與える、こういう趣旨のもとにやつて行くつもりでおりまして、さらにそれに一年間の経過規定をもちまして、資格のない者もそのまま採用して行けるといつたような考え方をいたしておるのであります。  それからその次の分解整備の認証でございますが、これは私どもは自動車というものは常に保安基準に合格するように整備して使つていただくことが建前である、国はこれに対してときどき車検によつてチエツクするなり、パトロールにかけたりする、ただ整備工場に入りまして大ばらしにばらした場合、これは当然保安基準に適合するかどうか、わけがわからなくなる状態でございますので、りくつを申しますと、建前としては国がそのときに一ぺんチエツクをするのが本来であるという建前をとつておるのでございますが、実際問題としてはこれはできないことでございますので、その分解整備の工場として認証を受けました工場でそれを実施した場合、そしてそこにおります検査の主任者が検査した場合に国の検査は省略する、こういう建前をとつております。従いましてこの分解整備をやります工場は、いわば国の検査を代行するような形になりますので、ある基準をきめまして、その内容を確認し、これを外に向つて証明する、こういう考え方なのでございます。また実際問題といたしましてその裏の考え方は、先ほども申し上げたように、こういうことによつてその整備工場におけるインスペクター責任制度を明確にいたしまして、その工場の技術の振興なり責任の所在をはつきりさせる、こういうことが一方の大きな眼目と考えておりますので、この認証の基準ということにつきましては、私どもはなるべく低く置きまして、現在仕事をしている工場が落第したりなんかすることがあまりないように年度に考えたいというふうに考えております。それでこの検査の責任者のごときものも、右から左にあるかというような御心配もおありかと思いますが、その点に関しましても、決してこの基準は程度の高いものでなく、この程度のものでございましたら普通にあり得る程度だと思いますし、また一年間は資格がなくてもそのまま存續しておいてよろしい、それからその一年間に運輸省がこの法令に基いてやります整備技能者の検定試験を受けてくださればそれをもつて資格ができる、こういう考え方になつておりますので、まず波瀾はなく行けるものと考えております。
  78. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ひとつ中村部長にお伺いしたいと思うのでありますが、道路運送法の第六條の免許基準についてであります。先般も私ちよつとお伺いいたしましたが、この法案によります第六條の免許基準では、一応道路が狭隘で、既免許業者の経営している乗合バス等に対して、再びこの免許基準で行くと、いかに道路が狭隘であつても、第一條の目的を達するがために、免許基準が備われば許可しなければならないということになつておりますので、交通保安上危險の生じるおそれが当然あると考えられますが、幅員が六メートル以下の場合等に対しては、このとうとい人命に対しても当然危險だということが考えられますので、この六條に対してはどういう処置をとられるか、もう一言お伺いをいたしたいと思います。
  79. 中村豊

    中村(豊)政府委員 幅員六メートル以下のような狭少な道路において、一般乗合自動車運送事業の新規免許申請がありました場合に、保安上の見地から特に考慮しろということは、大澤委員を初め他の委員の方々からたびたび御質問があつたわけでありますが、その節にも申しましたように、そういう申請を審議する場合において、その道路に既存の一般乗合旅客自動車運送事業者が存在する場合には、自動車運行の安全を確保するために、特に愼重に取扱つて審議いたしたいと考えております。
  80. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 次に運輸大臣が旅客自動車運送事業者並びに貨物自動車運送事業者に対して、命令をもつて運送を命じる場合がきめられているようでありますが、こういう場合に対して、国は国会の決議した予算の範囲内においてのみ損害を支払うというようにできておりますが、これに対しての予算的処置とか、あるいはその予算が事業者に対し損害を與えた分に満たないというようなことが起きた場合に対しては、どういう処置をとられるか、この点をお伺いしたいと思います。
  81. 中村豊

    中村(豊)政府委員 第三十四條によりまして、運送事業者運送命令を発しました場合には、その場合に損失の補償を伴うものは、予算という点で縛られるわけであります。しかしながらそれは運輸大臣に対して予算の範囲内でやれということを、いわば一種の便乗をしているだけでありまして、事業者はそういう場合に予算がないからといつて補償を請求する権利を奪われるものではありません。それは当然請求できるわけであります。従いまして運輸大臣としては、そういうことが予想される場合に、十分な予算を計上する義務と責任があるわけでございます。それにつきましては、遺憾ながらただいまではいまだ予算が計上されておりませんけれども、今後の機会にできるだけ必要と思われる予算をいただきまして、こういう場合にも事業者の方に損害をかけないようにいたしたいと思います。
  82. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 次に自動車抵当法案についてお伺いしたいと思います。自動車抵当法案の第四條に「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移さないで債務の担保に供した自動車につき、他の債権者に先だつて、自己の債権の弁済を受けることができる。」というふうに規定されておりますが、道路運送法によりまして自動車の営業免許を有している事業者が、かりに国税並びに地方税の滞納があつた場合に、その業者の自動車が抵当に入つているときは、その四條によつて抵当権者は損害をこうむるかこうむらないかということについて伺いたいのであります。
  83. 齋藤博

    ○齋藤(博)政府委員 お答え申し上げます。この問題につきましては、現行の国税徴收法によりますと、第三條によりまして、国税は原則として抵当権に先立ちまして、ただ抵当権が国税の納付期限より一箇年以上前に設定されたことが、公正証書によつて証明されました場合においてのみ、国税より優先することができることになつております。従いまして国税等の一般先取特権は、公示方法もないのに相当強度の優先権を認めておりますことは、物権に関する公示及び特定の原則に相反するのでありますが、その点は現行法によつてやむを得ないと考えております。
  84. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 道路運送法によつて許可を受け認可を受ける業者が、自動車を抵当にして金融をつけるというような業者であるとすれば、当然金融的にはあまり楽でないことはよくわかるのでありますが、そういうものが現在の税法によりますと、法人等によりまし工は三年同は税金の決定をしなくてもさしつかえないようになつておりますので、三年前に納めるべき納税義務者が、更正決定等によつて三年後に厖大な税金を課せられる場合に、すでに抵当は一年ではあるが、三年前の法人税が三年後に課せられたというときは、更正決定は今のお話の抵当権の設定後ではあるが、すでに納税義務というものは三年前に発生しておるという解釈にもなりますので、こういう場合に対しての抵当権者のこの四條の解釈はどういうふうに考えるか、その点をお伺いしたいと思います。
  85. 齋藤博

    ○齋藤(博)政府委員 お答え申し上げます。ただいま三年間というのは、納付期限の猶予というような解釈をいたしておるのでありまして、第三條の国税徴收法の場合百には、納付期限より年前の抵当権である、一箇年前であることが証明されたときのみ優先されるのでありますから、それでいいのじやないかと思います。
  86. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 お話によりますと、国税徴收法によつての御解釈であるようであります。徴收法はもちろんそういうことになつておりますが、先ほどお伺いいたしましたのは、法人税の決定が、以前は五箇年間まではさしつかえなかつたのでありますが、昨年だかこれが三年ということにきまりましたので、すでに三年前に業者おのおのが自発的に納めるように税法はできております。これが税務署において審査した結果、これを三年前にさかのぼつて更正決定を業者にしてよこしたという場合に対して、業者そのものはすでに何ら納税積立金等は用意していないので、納税ができないが、税法上から行けば、すなわち考課状等によつて業者の申請したものを税務署が否認して、厖大な税金を三年前にさかのぼつて課税してよこしたという場合に、一年前に抵当権が設定してあるから、その自動車業者に対して何らの差押え等はできないということにもなると解釈していいか。あるいは三年前でなくても、二年前でもさしつかえありませんが、抵当権を設定する前の――事業年度が前の場合に、その事業年度に対して厖大なる税金をかけられ、その業者がとうていその納税に耐えられないという場合に対して、税務署が国税徴收法によつて、その抵当に入つている自動車を差押えをするということが起きた場合をお伺いしておるわけであります。その点もう少し掘り下げて御説明願いたいと思います。
  87. 齋藤博

    ○齋藤(博)政府委員 この問題は税法とも関連がありますので、若干研究させていただきたいと思います。
  88. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 それでは大蔵省の主税局の方を呼んでいただいて、この点をはつきりした解釈をつけておかなければならないと思います。  それでは、ただいまの御説明によりますところの、国税徴收法によつてもちろんきめられておりますが、地方税は、一般の場合は同税徴收法によるということになつておりまするが、市町村によつてはそういうふうにきめられておらない、国税徴收法によらないものもあつたと思いますので、税金が必ずしも抵当権に優先するということばかりとも限るまいと思います。この点をもう一言お伺いいたしたいと思います。
  89. 齋藤博

    ○齋藤(博)政府委員 地方税法によりますと、そういう場合におきましては、国税滞納処分の例によつて処分しなければならないとありますので、これで同じように解釈できると思います。
  90. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいまの四條の問題は、大蔵省の主税局の者を呼んで検討することにいたしまして、この程度にとどめておきたいと思います。  次に四点ばかりお伺いしたいと思います。第一に行政目的の登録制度のほかに、一般の民事的登録制を採用せず、登録を利用したが、行政の複雑または混乱を来すことはないかどうかということ。第二に、抵当権者はなぜ民法を準用しないのか。第三に、抵当権の実行手續を最高裁判所規則に委任した理由。第四に、自助車財団抵当は何ゆえに制定しないのかということをお伺いいたします。
  91. 齋藤博

    ○齋藤(博)政府委員 第一問の行政目的の登録制度のほかになぜ一般の民事的な登録制を採用しなかつたかという御質問に対してお答え申し上げます。これは先ほど車両法について佐竹政府委員から説明されましたように、自動車登録につきましては、今回一般行政目的のために行つておりますところの登録制度を、そつくりそのまま民事的に使つたということでございますが、その民事目的に使うということの主たる理由は、この抵当法を制止いたしたかつたからでございます。それでその登録内容が全然同一のものでございますので、行政目的と民事目的と両方にも適用し得ることであります。それから手續的に申しますと、この所有権者あるいは抵当権者あるいはその他関係者が、別々の官庁に行つて見る必要がない。今のところでは自動車登録は、末端の各府県にございます陸運事務所という機構で扱うことにいたしておりますが、そこに行きますならば行政目的の方も、民事的な目的の方も、抵当権も、所有権も、一切がわかるようになつておりますから、その方かよいと思つておるのでございます。  それから第二番目の、抵当権になぜ民法を準用しないかという御質問にお答え申し上げますが、抵当権というのはなるほど民法にもございます。しかしてこの抵当権は民法の物権でありまして、民法の百七十五條には、「物権ハ本法基他ノ法律ニ定ムルモノノ外之ヲ創設スルコトヲ得ス」と規定しておりますので、その他の法律に定めて、この自動車抵当権が創設された次第であります。それで民法にあります第十章の抵当権は、不動産に対する抵当権であります。従いましてこのままの規定を、性格的に申しますればそのまま使うわけには参りません。つまり言いかえますならば、民法の抵当権は不動産に対する抵当権でありまして、今度の自動車抵当権は自動車に対する抵当権で、つまり目的物が全然異なつておりますことと、それから不動産と自動車との性格の相違から、若干その効力も異にいたしております関係上、全面的に準用することはできないのであります。しかしながら抵当権そのものの性格から申しますと、大体類似いたしておるわけでありますので、その意味合いにおいて民法の抵当権の條章を必要によつては準用してもさしつかえないのでありますが、そういたしますと、自動車抵当法だけ読みましても、なかなかわかりにくい法律になりますので、一応鉄道抵当法あるいは工場抵当法にならいまして、この自動車抵当法さえ読めば、大体自動車抵当権の概要が把握できるというような法律にいたしたい。いわゆるわかりやすい法律にいたしたいということで、準用を避けまして書き並べたわけであります。  第三番目に、抵当権の実行手續を最高裁判所規則に委任した理由につきましてお答えいたします。この問題は車両法の九十七條に規定しております問題でありまして、自動車抵当法はいわゆる実体的な規定であります。そしてその手續規定は別につくるのが一般の例であります。たとえば民法と民事訴訟法、あるいは競売法というような関係と類似いたします。しからば自動車抵当法の抵当権の実行につきましては、これを民事訴訟法あるいは競売法に讓つたらという考え方もいたしたのでありますが、自動車の性格からいたしまして、民事訴訟法あるいは競売法の規定をそのまま列記するわけにも参りませんので、全然別の規定を設けなければならないと考えた次第であります。しかして憲法の七十七條には、「最高裁判所は、訴訟に関する手續、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。」とありますので、この抵当権の実行に関するところの手續は、純然たる訴訟手續あるいは司法事務処理手續でありますので、憲法七十七條によりまして最高裁判所の規則にゆだねたわけであります。ただその中でも重要な管轄の問題だけについては、車両法九十七條に、地方裁判所が執行裁判所として管轄するということを規定いたしまして、その他は最高裁判所規則に譲つたわけであります。  四番目の、自動車財団抵当はなぜ制定しなかつたかという御質問に対してお答え申し上げますと、実は抵当法を立案いたします前に、いろいろ金融の情勢からしまして、財団抵当を復活いたしたいという考えを持つたのであります。御承知のように自動車交通事業法という法律によりまして、かつて自動車財彈抵当が設定いたされたのでございますが、昭和二十三年の道路運送法によりましては、財団抵当制度を採用いたしておらなかつたのであります。ところが最近の金融事情からいたしまして、この自動車抵当制度と並びまして、財団抵当制度を再起いたしたいといろいろ研究いたしたのでありますが、目下日本に行われておりますところのほかの財団抵当制度、たとえば工場財団抵当制度と鉄道財団抵当制度と、二つの制度が主流をなしておりますが、これはそれぞれ、工場財団抵当制度は選択主義を採用し、あるいけ鉄道財団抵当制度は当然所属主義を採用いたしております。現行自動車交通事業法に基く財団抵当は、この中間的な制度を採用いたしておつたのでありまして、今後どういうふうに財団抵当制度を持つて行くのが、新しい日本の経済情勢に即応し得るかという問題につきまして、種々検討いたしておりますが、今日までその結論を得ませんでしたので、今度の抵当法にはこれを含めなかつたのであります。しかしこの自動車抵当法が成立いたしました後におきましては、すみやかにこの財団抵当制度につきましても研究いたしまして、一日も早く制定いたし、事業者の金融措置を講じたい、こういうふうに考えております。
  92. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 先般本委員会で公聽会を開いた際にも、興銀の総務課長の御意見にありましたが、この自動車抵当法は、自動車そのものに対しては、金融面から見ても多少補足するところもあるが、大体いいだろう。しかし先ほどもちよつとお伺いしたように、実際問題として税金その他の面から見れば、すなわち自動車財団抵当法を施行しなければ、自動車だけの抵当法ではとうてい安心した金融措置もできない。     〔坪内委員代理退席、委員長着席〕 同時に自動車業界も、実際問題としてこれは何ら効果がないということが言えると私は思うのであります。現在自動車を買い入れるにいたしましても、自動東のメーカーあるいは販売業者というものが、金融的措置はすでにとつておる。自動車業者に対しては、何ら不安なくすでに行われておるのが現状でありますので、この自動車抵当法ができてみたところで、何ら自動車運送業者に対しての変化はないということも言えますので、この自動車財団抵当法ができてからならば、もちろん自動車業者そのものから見て最もけつこうであるし、金融業者の面から見ても、非常にこれを望んでおるというのであります。ぜひとも自動車財団抵当法を至急つくつていただきたいということを、私は強く望むものであります。なお現在の自動車運送業者といたしましては、民生活に直結した事業でありますので、この自動車運送事業者が完全に発達し、しかも理想的な経営ができ得るならば、直接国民生活に対して大きなプラスになることは申すまでもないのであります。かかる点からいたしまして現在の自動車運送業者は、先ほども申しましたように、自動車抵当法がなくともすでに何ら不自由なくやつておるのに、ここで新しく抵当法をつくつてみたところで、何らの特典もないという結果になるとしますならば、重ねて申し上げますが、ぜひとも重ねて申し上げますが、今申しました工場財団法あるいは鉄道財団法というようなものをつくつて自動車運送業者に対して、もう一歩進んだ経営をさせるように、この機会につけ加えて希望を申し上げておきます。  なおこの抵当法について伺いたいと思うのでありますが、第十二條の「抵当権者が利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となつた最後の二年分についてのみその抵当権を行使することができる。」ということになつておりますが、その「最後の二年分についてのみその抵当権を行使することができる。」ということ、それから第二項の一前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によつて生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合においてその最後の二年分についても適用する。但し、利息その他の定期金と通算して二年分をこえることができない。」ということになつておりますか、この二年分に限られている理由についてお伺いします。
  93. 齋藤博

    ○齋藤(博)政府委員 お答えいたします。これは民法の第三百七十四條にございます規定と同趣旨でございまして、抵当権の債権額と利率その他は登録されるわけでございますが、この期限を無制限にいたしますと、一般の債権者の保護に欠けるところがありまして、一応最後の二年分の返済期の到来した、たとえば元本の返済期から逆算して三年分ということで、一応限定するという趣旨で民法は制定されていると思いますので、大体その線に沿うて規定したわけでございます。
  94. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 字句の問題をこまかく申すことは避けたいと思いますが、もしそうであれば、民法第何條によるということにしても、何ら法文上さしつかえないと思います。  なお一般の普通常識で考えまして、質権の設定の禁止ということが最後にきめられておりまして、この質権を禁止したのは、自動車抵当法によつて自動車金融はつくから、自動車を質に入れることができないということになつておりますが、かりに現在の抵当法ができても、信用のある自動車運送業者に、これで一応金融的措置はつくかもしれませんが、業者によつては、とうてい現在の自動車抵当法によつては金融の道がつかないこともあり得ると思いますので、自助車そのものを質に置かなければ金融がつかないという場合も、実際問題として相当数が多いのではないかと思われます。質に置くことができないということは少し酷であるようにも思われる。自分の所有する自動車でありますので、それを質に入れようがはちに入れようが、何も禁止するということは――国家が自動車抵当法によつて、全部金融は世話をやいてくれるというならば一応わかりますか、この法律があつても、金融の措置がつかない業者が相当あるのではないかと思いますので、この点をお伺いいたします。
  95. 齋藤博

    ○齋藤(博)政府委員 お答え申し上げます。質権の目的になることができないという自動車は、第三條にございます道路運送車両法によつて登録を受けた自動車は、質権の目的とすることを避けたのであります。と申しますのは、ただいま大澤委員のおつしやいましたように、第一には抵当権でもつて用が足りるじやないか。第二番目には、もしもこれに質権を認めると、抵当権と質権が競合いたしました場合に、その順位をきめなければなりませんので、質権の登録ということは考えなければなりません。そうなるとますます事務が複雑になつて来ますし、迅速を目的といたしましてその点はやめたわけでおります。しかしながら登録を抹消いたしまして質に入れることは、これはさしつかえないわけであります。抵当権は自動車を所有者に利用させて、しかも金融させるということに目的があるのでございまして、質に出しますと、所有者はこれが利用できません。そういうような場合には自動車登録を抹消いたしまして、質に入れることは可能であります。
  96. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 そういたしますと、第二條による自動車登録ということは任意であつて登録しようがすまいが、要するに自助車抵当法による金融措置の必要でないものは、何ら登録する必要はないという解釈ができますし、してみれば先ほどお伺いしましたように、この担当法は、金融できないものには全部登録を抹消して、先ほど申しましたように、質に入れて金融することになると思いますので、そういたしますと、実際の道路運送法あるいは道路運送車両法等によりまして、日本の輸送行政というものを運輸当局において登録によつてはつきり把握して、わが国の自動車行政に対しての大きな計画なり、あるいは方針なりを立てる場合に、大きな支障を来すのではないか、また把握できないのではないかと考えられますので、この点の解釈をお伺いいたします。
  97. 齋藤博

    ○齋藤(博)政府委員 お答え申し上げます。車両法によりまして、自動車自動車登録原簿の登録を受けなければ、運行の用に供してはならぬことになるのでございまして、ただいま私が申し上げました質権の目的になるような場合のごときは運行する自動車ではなくなつてしまう。自動車の定義には入るのでございますが、いわゆる行政の対象となるような自動車とはならないわけであります。しかもまた別には、抵当権を設定しておきました上で、さらに賃貸車契約を結びますれば、質権を設定したのと同じような効力を発すると考えております。
  98. 前田郁

    前田委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後三時五十三分休憩      ――――◇―――――     午後四時九分開議
  99. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 休憩前に引續き会議を開きます。滿尾委員
  100. 滿尾君亮

    滿尾委員 道路運送車両法案についてお尋ねをいたします。第三條の軽車両の問題でございますが、ここに軽車両の定義のようなものがきめてありますけれども、規格をおきめになる考えはなかつたかどうか。特に私のお尋ねいたしたい要点は、金属製の車輪を使つている軽車輌もあるのでありますが、これは道路を破懐することが非常に多いので、どうしてもわが国の将来の道路運送車両の質を上げる角度から見ましても、金属製車輪を禁止した方がよろしいようにも思うのでありますが、政府委員の御見解を伺いたい。
  101. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 軽車両の規格に関しましては、この法令では第四十五條に、軽車両に関する保安基準がございます。これで一応のことは規定されておりまして、ただいまのお話のような問題は、この中の接地部及び接地圧という中に一部包含されております。しかしながら御説のようなタイヤを使うということは、この中には含まれておらないのでございます。タイヤを使いますことはたいへんけつこうでございまして、私ども個人的には賛成でございますが、現在の日本の経済力といたしましては、そこまで急に締めますと、混乱を来すだろうと思いますので、今回はそういうことを考えておないのでございます。
  102. 滿尾君亮

    滿尾委員 四十五條の接地部及び接地圧の問題で、軽車両が二輪制をとるか四輪制をとるかという問題がある。ところが道路をこわす面から見ると、二輪制の方がよけいこわす。だからできるだけ四輪制に規格をきめるお考えがあるかどうかを伺つておきたいと思います。
  103. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 それは結局、接地部の圧力の問題でございまして、四輪よりも二輪の方が悪いことは確かだろうと思います。しかしながら私どもといたしましては、目下そこまで規格をきめてしまう意思はございません。
  104. 滿尾君亮

    滿尾委員 第十四條の登録の問題でございますが、これは使用の本拠が移転しましたときに、甲の局長にだけ届けて、乙の局長には申請者から届けなくてもよろしいのでありますか。私は乙局長にも届ける必要があるように思うのでありますが、どういう御見解になつておりますか。
  105. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 これは甲の局長に申請いたしますと、甲の局長から書類が乙へまわります。そうしますと、御本人はまず乙の局長の所に行かれまして、自動車を呈示して車体検査を受けて、その検査票をもらわないといけないのであります。検査票をもらえば、甲の所から来た書類と合せまして登録を受けるこういう形になります。
  106. 滿尾君亮

    滿尾委員 甲の局長の方から、いわゆる官僚的事務遂行のために、非常に遅延するような場合がある。すなわち車が先に行つてしまつて、書類は一向甲の局長から乙の局長にまわつて来ないというようなことがあつて、そこに使用上の不便を来すおそれはないか。本人が同時に乙の方にも申請をして、あとで両方の書類が符合するかどうか調べたら、必要にして十分ではないかと思われる。その点、この甲の局長にだけ出す結果、その書類が乙局長に到達するまでの時間的なものを御考慮に入れておられるかどうか、伺いたい。
  107. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 ただいま私、ちよつと間違いましたので訂正いたしますが、乙の陸運局長に車両を呈示するというように申しましたが、車両は呈示しないでよろしいのであります。自動車検査長だけを呈示して、書きかえてもらつて出すということになります。  それからただいまのお話のようなことは、確かに考えられることではございますけれども、これは自動車登録申請を保持するために、ある程度のこともやむを得ないと考えますので、私どもといたしましては、事務的にはできるだけ迅速に運ぶようにいたしまして、そういう不都合のないようにはからいたいと思います。
  108. 滿尾君亮

    滿尾委員 第二十二條に登録原簿の謄本を申請人に出すことになつておりますが、第二項におきまして、利害関係がある部分に限り当該原簿の閲覽を請求することができる。原簿の抄本の交付はだれにでもやるけれども、なぜ利害関係ある部分に限りというふうに限つたのであるか。全部見せてもいいのではないか。これを利害関係ある部分というふうに限定せられたこと、またその利害関係があるとか何とかという、その有無の判定は、お役所が一方的にやれるものであるかどうか。これを制限する必要がないように思われるが、どういう趣旨でこれを制限されたか。
  109. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 初めの謄本でございますが、謄本は新規登録用の謄本は一通に限り、あとのそれと同じ謄本でございますけれども、新規登録用に使う意味でない謄本は、請求することができるのであります。それからあとの、利害関係ある部分に限りと申しますのは、これは不動産登記法の例をとつておりますので、これはおそらく濫用することによりまして、事務が阻害されることを防ぐためだろうと考えております。
  110. 滿尾君亮

    滿尾委員 利害関係がある部分というのは、どういうぐあいにして判定するのか、その点の扱いはどうなりますか、お尋ねしておきたい。――これは後刻、書面をもつて答弁をいただくことにいたしまして、次の質問に移ります。  第二十五條の、自動車登録番号票交付代行者というものを、今回お考えなつたのでありますが、これは運輸大臣の指定を受けることになつております。この指定せられるのは、多数にやられるつもりなのか、あるいは少数にやられるのか、一人でもやられるつもりかどうか、その点を伺いたい。それから事業場と書いておりますが、どういう意味ですか。陸運事務所ごとにという意味でありますか、お伺いしておきたい。
  111. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 これは現在自然発生的こういう商売が成り立つておりまして、それはある場合には整備業者である場合にもありますし、ある場合には組合がやつておる場所もありまして、大体一軒が多いのでございますけれども、ところによりましては二軒ぐらいあるところもおります。私どもといたしましては、今までのナンバー・プレートは、原則的には、車両の番号をもらいまして、その車両番号を標示してあるという意味のものでございますが、今回のものは、登記に類する登録ということを考えまして、登録番号をその車に標示しておる、こういう意味考えておりますので、今までのナンバーとやや観念的に違つたところがある。従いましてこれをむやみなところに取扱わせるということはよろしくないのでありまして、原則といたしましては、これはむしろ国が支給するのが建前じやないかと思います。それで各国の例を見ましても、大体政府からこれを支給しておるなり、売り渡しておるなりしておるのが普通だと思いますが、急にこういう制度をとりますのも、予算その他会計制度などの関係でめんどうでございますので、業者を指定いたしましてそれから買わせるという形をとつたのでございますが、そういう場合に現状を乱すことをおそれておりますので、大体におきまして特に支障がない限り、現在やつておるものをそのまま認めて行きたいというふうに考えております。従つて事業場ごとに」というのは、たとえばあちらこちらに各県にまたがつて店を持つておる場合、そういう場合を意味しておるのであります。
  112. 滿尾君亮

    滿尾委員 臨時運行の許可でありますが、三十四條の二項におきまして「陸運局長、市及び特別区の長並びに政令で定める町村の長」とありますが、これは実際の運用におきましては、現在の陸運事務所に局長権限を委任せられるおつもりであるかどうか。実務は一体どういうふうにやられるか、伺つておきたい。     〔大澤委員長代理退席、岡田(五)委   員長代理着席〕
  113. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 現在はこれは一部警察でやつたり、一部陸運事務所でやつておりますのが実情でございますが、本法におきましては、陸運局長の権限を陸運事務所長に委任することにいたしております。並びにここに掲げましたような市町村長に委任することになつております。
  114. 滿尾君亮

    滿尾委員 これに市に行つたり、事務所に行つたり、町村に行つたり、いろいろになつて非常に困ると思うのでありますけれども、一括して事務所長に委任するわけには行かないものなのでありましようか。実際の取扱いにおいて、ある場合は市役所に行かなければならぬということになりますと、これは相当めんどうなことが起るし、現在の慣行とも著しく違つて来るように思うのでありますが、市であるとか特別の町村をきめる必要はなかつたように私は思うのであります。御見解を伺いたい。
  115. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 これは陸運事務所一本でやりますと、制度としては非常にすつきりしてよろしいのですが、実際にこれを利用なさる方は、一々陸運事務所まで行かれるのはたいへんでございますので、大体もよりの町村で間に合うようにという便宜をはかつたつもりでございます。
  116. 滿尾君亮

    滿尾委員 四十條の保安上の技術基準の問題でございますが、ここには何も技術基準内容は出ておらぬのでありますけれども、これは一体どういうふうにおきめになるおつもりであるか。結局自動車というものが、非常に進歩発達の過程にあるものだという感じをわれわれ持つておるのでありますが、この技術基準のきめ方を非常に固定的なきめ方をすると、新しい進歩発達の実現を阻むような結果になりはしないか、相当費用をかけて試作をしてみなければならぬのでありますから、モデルをつくつてすぐこわすわけにも行かない。つくつたものは相当運行させてみなければならぬだろうし、基準が固定化するおそれがあると相当問題のところだろうと思いますが、幅のあるきめ方をされるものであるかどうか、一度伺つておきたい。
  117. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 この自動車の保安基準と申しますのは、自動車道路を歩きます場合に、必ずこの程度以上に整備されていなければならない。この條件を滿足していなければならないという、最低限の要求でございまして、実際の車はもつともつとこれより範囲が上と申しますか、程度の高いものでなければならないというものなのでごいます。従いまして、これにはむしろ幅という観念でなく、最低限の線をきめておるという観念のものでございます。これはここに長々と項目が書き上げてございますので、非常に驚かれる方もおありと思いますが、現在の実情といたしましては これは現在の道路運送法から出ております省令で車両規則というものがございまして、これに詳細なる数字を與えてあるのでございまして、ここに上げてありまする項目のうち、三つ四つ新しいのがございますが、ほとんど大部分というものは、この車両規則の中ですでにきめられておるものでありまして、その数字に関しましては、これは現在の自動車の発達の状況にも多少関係なしといたしませんので、これをほんとうにお説のごとく固定してしまうことはどうかと思いますから、その数字のごときものは省令にゆだねまして、適当にこれをかえて行くことができるというようなことにしてございます。
  118. 滿尾君亮

    滿尾委員 第四十一條の問題でございますが、この各種の装置につきまして、実際車を運用します場合のことを考えますと、大都会で車が動いておる場合と、相当山間僻地で人間のあまり通らないような、山道を走るような場合とでは、大分列挙してあります項目の中で軽重の差がある。画一的にこれだけのものを、いなかといわず東京のまん中を走ると問わず、同様に認めることは、不必要なことがありはしないかという気がいたしますが、地域的な適合性というもので、取捨かげんする余地はないかということをお伺いします。
  119. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 現在の建前におきましては、自動車はあちらこちらへ動きますので、一律に考えております。しかしながらお説のようなことも考えられるのでありまして、たとえば悪臭のあるガスを放つといつたようなものは、大都会と山間僻地とでは確かに程度が異なつているのかもしれませんが、これはその場合々々の運用にまかせるより仕方がないと思いまして、規則におきましては、建前としてはこういうことで画一的に考えております。
  120. 滿尾君亮

    滿尾委員 これは十二号の悪臭の問題もそうでありまするが、あるいはその前の防音装置のごときでも、峠を越して行くようなバスなんかについては防音装置はいらない、いくらやかましくてもかまわないというものもあると思います。ところがこういうふうに画一的にやつて行きますと、取締りの対象になつたときにひつかかる。それで私はこの質問をするのでありまして、時と場合とによつてかげんしてもいいというような條項は、そのときに改めてもいいようにして、多少そこに若干の幅をきめておいてはどうか。これを列挙主義でずらつと平面に並べますと、わけのわからぬ取締り官憲は、まつたく同じようなウエートをもつてこれを取締るおそれがある。だからこれは時と場合によつて、これだけのことは絶対に必要なのである、これは多少当該地方々々によつてしんしやくの余地のあるものであるという場合に、軽重の別をつけられることが必要ではないか。少くとも並べ方だけでもそれをかえたらどうか、かように考える次第でありますが、政府委員の御見解を伺いたい。
  121. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 お説まことにごもつともと存じますけれども、これを法文に書きます際には、どうもこういうものは書きにくいのでありまして、非常に明確にその意思が現われないのを遺憾に存じますが、その点はあまり画一的になりて大衆に御迷惑を與えないように、私どもといたしましては指導をいたして行くつもりでございます。
  122. 滿尾君亮

    滿尾委員 四十二條の乗車定員のことについてお伺いいたします。この貨物車の最大積載量に関しましては、お互いにあまり疑問はない。しかし最大積載量のリミットを厳守することは、自他ともに利益であり、公共利益にも合致することと思うのであります。しかし乗客の乗車定員というものは、車の保安度と必ずしも密接な関連がない。むしろ私の見解によりますれば、車のメーカーが、商品としての値打から、その車の持つサービス的な内容として便宜的にきめたにすぎないものであつて、たとえば五人定員の乗客車に七人かりに乗つたからといつて、これでただちに公共の福祉に影響はない。ところが五人定員のに七人乗つたとたんに、おまわりさんがこれをしかりおくぞということに必ずなるのであります。従つてこの乗車定員は、貨物車の最大積載量とは全然質が違つて、單なる目安にすぎない。また一面においてバスの方は、だれも乗車定員通り乗つてはいない。してみるとこの四十二條のこの書き方は、私は非常に不穏当だと思う。だからこれはもう少し弾力のある表現をして、乗車正員に関しては運転上に支障を来すようなおそれのある場合でなければさしつかえないということにお考えにならないかどうか、御見解を伺つておきたいと思います。
  123. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 この乗車定員の場合に関しましては、これは一定の規則がありまして、御承知のごとくしりの幅とかひざの長さということから割出しまして、スペースの関係を、保安上とサービスの意味を含めまして、定員を算出するということを考えております。しかしながらただいま御指摘になりましたような、それが実際に守られていないことははなはだ遺憾に存じますが、主としてバスの話でありますが、わが国の経済状態、ことに戰後の異常なる経済状態の関係もありまして、遺憾ながらこれを嚴守できないということは事実なのであります。しかしそうかといつて、これをきめないこともあまりよいことでもないと存じますので、私どもといたしましては、バスのような場合にも乗車定員というものを考えまして、むしろそれがだんだんと守られるような方に持つて行きたいということを考えております。乗用車の場合はいろいろ問題もありましようが、運転台のごときものはいろいろ御議論もあると思いますが、運転操作の支障を来さないということが必要なんじやないかと思うのであります。ですから乗れるから乗るんだといたしましても、たとえばチエンジ・レバーをまたいで乗るような状態では、保安上から見れば必ずしもよいとは言えないのでありまして、そういう方面からも一応考えて行かなければならないのではないかと思います。
  124. 滿尾君亮

    滿尾委員 バスに関しましては、これは良心の命ずるところによりまして、やはり定員超過ということは相当問題になる場合がある。確かに事故の原因になる場合もあります。しかしそれは程度の差であり、ロンドンのバスのように定員以外は絶対乗せないということができればよいが、それは当分できないと思う。これはお互いにあまり議論の余地がない。私が今特に問題にしたいのは、乗用車の定員の問題です。これは運転台の乗車についてはお話の通りです。しかしうしろの座席の問題になりますと、定員というものは單なるサービス的内容の便宜的なものにすぎない。従つてこれをあまりリミットなものに考えないように、運輸省令を出されますときに、ひとつそこに幅を持たせてもらいたい。この四十二條の規定の文句そのものもあまり感心しないが、かりにこの文句をそのまま残しておきましても、省令で何かおきめになるようでありますから、その点の価値の置き方、乗用者の乗車定員の考え方につきまして、運転上の保安を阻害しない限りにおいて、ある程度の幅のあるものにして、自動車会社のつくつた定員がただちに取締令の対象の標準になるということだけは、避けるような措置を考えていただきたいと思いますが、この点について政府委員のお考えを伺いたいと思います。
  125. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 乗用車の問題に関しましては、省令をつくります場合その他について、もう少し考慮をしてみたいとも考えております。
  126. 滿尾君亮

    滿尾委員 四十三條の問題でございますが、この四十三條のねらつているところは、いろいろな各種の制限を加重することのように私には読まれるのであります。これは加重の方だけではなく、加減する必要がありはしないかと思われますが、これはどういうふうに御解釈になつておりますか。
  127. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 四十三條は制限を附加するのでありまして、実際の建前よりはシイヴイアにすることを考えております。ここではつきりうたつておりますが、時により緩和する場合があります。この緩和する場合のことは、それだけ楽に認めることになりますので、省令の方で考えることにいたしております。
  128. 滿尾君亮

    滿尾委員 第四十六條について伺います。この四十六條の規定は、何を書いたかまつたくわけがわからぬと思う。あたりまえのことをあたりまえに書いてあるように見える。まるで四十六條は削除してよいと思いますが、四十六條を置かれた真意をひとつ御説明願いたいと思います。
  129. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 おつしやることはごもつともでございまして、確かになくてもよい規定かもしれません。しかしながらこの四十條から四十二條その他に書いてあります保安基準というものは、一方の側から見られますと、何か運輸省が、非常に大きな伝家の宝刀を握つて自動車の設計内容に關與するかのごとくに考えられるおそれがあるのでありますが、私どもといたしましては、これはあくまでも保安の基準であつて、その限度を出ないものであるということをはつきり確認いたしてやつておりますので、その旨をここに明記してある次第であります。
  130. 滿尾君亮

    滿尾委員 第七十五條に自動車の指定ということがありますが、その第一項の字句は何を意味しておるのか、この文句を読んだだけではわからない。私は大体おぼろげながら意図せられるところはわかるような気がするのでありますけれども、この表現は実際何のことを申しておられるのか、どういうつもりでこういうような七十五條の文章を書かれたかということの御説明をお伺いしておきたい。
  131. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 この自動車の指定という内容は、やや條文がわかりにくいことは確かでございますが、趣旨といたしまするところは、たくさん連續して長い間出しておりますいわゆるマス・プロのシステムということに載つております車は、一々これを使い始めますときに、車検場に持つて来て国がチエツクをするということは、それほどまでにしなくてもよかろう。むしろそれよりも国がどういう検査を要求するかということを、メーカーの方にはつきりさせまして、メーカーの検査においてその点を十分確認してもらつて出て来てもらえば、それでけつこうじやないか。こういう考え方でありまして、お使いになる方の御便宜をはかつてつたシステムでございます。
  132. 滿尾君亮

    滿尾委員 そういたしまするならば、これは單なる自動車の指定ではない。新車の車検省略のためにする自動車の指定なのです。だから言葉を惜しまないでそのようにお書きになつたらよろしいし、七十五條の第一項は、自動車の安全の増進をはかるためではない。新車のこれこれのために特定の業者側は申請して、申請なつた場合には、自動車をその型式について指定することができるというように、きわめて平たく今御説明のありました内容を、そのまま七十五條に書かれたらどうか。この七十五條の文章は、よく事情を知らない第三者、一般国民の方が読みまして、お話のような内容をどうしても推定することができない。これは非常に表現が間違つておる。私は事柄の内容については、今御説明の趣はごもつともだと思います。ちつとも反対する意思はありませんけれども、七十五條の字句の表現は、明らかにこれは手落ちである。間違いである。さような思想内容は、この表現をもつてしては盛られていないと思う。これは訂正する必要があるように思いますが、政府委員はこれでわかるというようにお考えになつておりますか。
  133. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 これは第七條の三項及び五十九條の二項に出ておりまして、その旨ははつきりしておるはずと考えております。
  134. 滿尾君亮

    滿尾委員 第七條に関連する車の指定ということを、十七五條に明記すべきだと思う。この七十五條は卒然としてお書きになるから、これは非常に字句不明瞭であつて、第七條の関連する自動車申請というふうにお書きになることが私は必要だと考えますが、意見にわたりますからこの程度にしておきます。  さらに今度は整備事業の認証ということについてお伺いいたします。認証という言葉の意味でありますが、どういう意味か。また認証は申請によつてなされるのでありますから、反面において許可せられる場合を当然考慮しなければならない。それで許可せられた場合に、その事業者はどういう立場になるのであるか、事業が遂行できるのであるか、できないのであるかそのことをお伺いしたい。また認証せられるときには、全体としての需給の関係のバランスをお考えになつて認証工場というものをせられるのか、たとえば人口十万の都市では、認証工場は二つ以上あつてはならない。需給のバランスから考えて、そういう数量的な考慮も入るものであるか、そういうことはなくして技術的水準が高ければ、たとい人口十万の町に二十軒でもいたし方ない、御認証になるというお考えであるのか、その辺をお伺いいたします。さらにまたこの認証制度の運用いかんによりましては、非常に現在の業者の擁護に堕し、現状維持的な運用を見るおそれがある。国民の営業自由の原則を非常に阻むおそれを発生する危険があります。その点についての御考慮はどういうふうになつておるかということを伺いたい。
  135. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 自動車というものは、先ほども申し上げましたように保安基準に適合していなければ運行してはならない、こういうふうに考えております。それで国はこれを大体年に一ぺんくらいの割合でチエツクして行くというふうにいたしおりまするが、その間におきまして、自動車が整備のために大ばらしをやりました場合、そして組立てて出て来た場合、当然これは保安基準に適合するかどうかということをチエツクする場合が考えられるのでありますが、その場合にこれは国がチエツクするのが建前であるということにいたしてはおりまするけれども、実際問題としてこれを国がやるわけに参りませんので、この仕事を、認証を受けました分解整備事業者において仕事をして検査をして出したものは、国はそういうチエツクをしないという建前をとつております。そういう意味でございますので、こういう仕事をそうむやみなところにやらせるわけに行かないという考え方から、ある基準をきめまして、申請によつてその内容がその基準に適合しているかどうかという考え方が、この認証ということでございます。これはまた片方にはもう一つ考え方がございまして、日本の現在の整備というものは、非常に程度が低くてよろしくない、むしろ寒心にたえないような状態でありまするので、これを自由に放任しておくということは望ましくないと思うのであります。しかしながら一部には相当強い御意見もございますが、これを免許とか認可とかいうことにいたしまして、いいところだけ残して、あとは商売ができないようにするという考え方はとるべきでないと思いますので、私どもといたしましては、認証の基準というものを非常に低いところに求めまして、大体普通單とか、小型とか、いろいろの業種にわけまして、ほとんど一両を入れるスペースがあり、適当な技術屋が一人おり、道具類が一通りあれば、その程度のものをもつてみな認証して行きたいというふうに考えております。また申し落しましたが、需給のバランスを考えるかというお話がございましたが、現在の私どもの考え方といたしましては、需給のバランスということは考えておりません。ある程度のスタンダードのしかもそれは非常に低いスタンダードのものに及第するものならば、全部が認められる、こういう建前をとつておりますので、現在やつておられる大部分のものが、これに及第してしまうだろうと思います。及第されないものがありましても、商売を續けることはさしつかえないのであります。それで、ここに検査の主任者というものを置く建前になつておりますが、問題は、端的に申しますと、こういうしつかりした人間が一人おれば、大体すべて認められる。こういう考え方でありまして、私どもといたしましては非常に軽い意味法規制を加えまして、責任体制を備え、仕事の整理、帳簿などをしつかりすることを義務づけることによりまして、自主的にそこから整備の技術の向上ということが生れて来ることを期待しておるのでありまして、免許とか統制とかいつたようなことを考えておるものではないのであります。
  136. 滿尾君亮

    滿尾委員 以上をもつて私の車両法の質問を終ります。
  137. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 それではこれをもちまして会議を閉じます。     午後四時五十二分散会