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1951-05-23 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十三日(水曜日)     午後一時四十六分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君       稻田 直道君   岡村利右衞門君       尾崎 末吉君    片岡伊三郎君       玉置 信一君    畠山 鶴吉君       前田 正男君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    木下  榮君       原   彪君    山口シヅエ君       江崎 一治君    石野 久男君  出席政府委員         法制意見長官  佐藤 達夫君         運輸事務官         (大臣官房長) 荒木茂久二君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         運輸事務官運輸         事務官         (自動車局業務         部長)     中村  豊君  委員外出席者         衆議院法制局参         事       鮫島 眞男君         (第三部長)         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 五月二十三日  委員越智茂君、田中角榮君、中村純一君、藤枝  泉介君、川島金次君及び林百郎君辞任につき、  その補欠として大西禎夫君、黒澤富次郎君、尾  崎末吉君、片岡伊三郎君、淺沼稻次郎君及び江  崎一治君が議長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月二十二日  鉄道敷設法の一部を改正する法律案前田郁君  外二十一名提出衆法第六二号) 同日  宇野高松間の貨物輸送力強化に関する請願(  長野長廣紹介)(第二二五号)  青梅線牛浜駅西側に踏切設置請願並木芳雄  君紹介)(第二二〇六号)  伊集院上伊集院両駅間に簡易停車場設置の請  願(床次徳二紹介)(第二二〇七号)  松尾寺駅を福知山鉄道管理局管内に編入の請願  (大石ヨシエ紹介)(第三二五四号)  智頭、上郡間に鉄道敷設請願稻田直道君二  名紹介)(第二二五五号)  国鉄貨車の増加に関する請願稻田直道君紹  介)(第二二五六号)  飯山線の輸送改善に関する請願小坂善太郎君  紹介)(第二二五七号) の審査を本委員会に付託された。 同日  港湾運送事業法案を小松島港に適用の陳情書  (第七四九号)  列車内の放送設備に関する陳情書  (第  七六五号)  宇野高松間の航送力増強に関する陳情書  (第七八  四号)  貨車の増備に関する陳情書  (第七八九号)  同  (第七九〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  道路運送法案内閣提出第一三一号)  道路運送法施行法案内閣提出第一三二号)  海上運送法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一六一号)  戦時中政府が買収した鉄道壤渡に関する法律  案(坪内八郎君外十二名提出衆法第五六号)  鉄道敷設法の一部を改正する法律案前田郁君  外二十一名提出衆法第六二号)     ―――――――――――――
  2. 坪内八郎

    坪内委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が不在でありますので、理事の私が会議を司会することにいたします。  鉄道敷設法の一部を改正する法律案議題といたします。まず提案者より提案理由の説明を求めます。岡田五郎君。     ―――――――――――――   鉄道敷設法の一部を改正する法律   案    鉄道敷設法の一部を改正する法    律   鉄道敷設法(大正十一年法律第三十七号)の一部を次のように改正する。  第二条の次に次の九条をを加える。 第三条 日本国有鉄道鉄道新線ノ  敷設(以下「新線建設ト称スニ関  シ必要ナル事項調査審議スル為  運輸省鉄道建設審表会(以下「審  議会ト称ス)ヲ置ク 第四条 運輸大臣ハ新線建設許可  ニ関シ必要ナル措置ヲ為ス場合ニ  於テハ予メ審議会ニ諮問スヘシ  運輸大臣ハ公共福祉増進スル  為特ニ必要アリト認メテ日本国有  鉄道ニ対シ新線建設ニ関シ必要ナ  ル命令ヲ為ス場合ニ於テハ予メ審  議会ニ諮問スヘシ  審議会ハ内閣総理大臣及関係各大  臣ニシ新線建設ニ関シ建議スル  コトヲ得 第五条 審議会ハ本邦経済発達及  文化向上ニ資スルコトヲ目標ト  シ公正且合理的ニ審議決定スヘシ 第六条 審議会ハ委員二十七人ヲ以  テ之ヲ組織ス  委員ハ左ニ掲クル者ニ付内閣之ヲ  任命ス但シ第六号及第号ニ掲ク  ル者ニ付テハ面議院同意ヲ得ル  コトヲ要ス  一衆議院議員中ヨリ衆議院ノ   指名シタル者      六人  二 参議院議員中ヨリ参議院ノ   指名シタル者      四人  三 運輸政務次官運輸事務次   官、大蔵事務次官農林事務次   官、通商産業事務次官建設事  務次官及経済安定本部長官  四 運輸審議会会長  五 日本国有鉄道総裁  六 運輸業鉱工業商業農林  水産業金融業等二関シ優レタ  ル見識ト経験トヲ有スル者           六人  七 鉄道建設ニ関シ学識ト経験ト  ヲ有スル者      二人  審議会ニ会長置キ委員互選ニ  ヨリ之ヲ選任ス  会長ハ会務総理ス  審議会ハ予メ委員ノ中ヨリ会長ニ  事故アル場合会長職務代理ス  ル者ヲ定メ置クヘシ  委員ハ非常勤トス 第七条 前条第二項第一号、第二  号、第六号及第号ニ掲クル者ニ  付任命セラレタル委員(以下「任命  委員ト称ス)ノ任期ハ二年トス但  シ補欠委員任期ハ前任者ノ残  任期間トス  委員ハ再任サルルコトヲ得  第一項ノ規定ニカカハラス任命委  員ハ国会ノ閉会又ハ衆議院ノ解散  ノ場合ニ於テ任期満了シタルトキ  ハ其ノ後最初二開カルル国会ニ於  テ両議院同意ヲ得テ内閣カ任命  委員命スル迄ノ間ナホ在任スル  モノトス 第八条 内閣ハ第六条第二項第六号  及第号ニ掲クル者ニ付任命セラ  レタル委員ニ左ノ各号ノ一ニ掲ク  ル事由アリト認ムルトキハ議院
  3. 岡田五郎

    岡田(五)委員 ただいま議題となりました鉄道敷設法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びにその要旨を御説明申し上げます。  鉄道経済及び文化の基盤であることは、いまさら申すまでもないのでありまして、わが国経済再建文化向上をはかるため、国土総合開発の一環として日本国有鉄道新線建設を行うことは、国民のひとしく熱望するところであります。衆議院においては、第七、第八両国会において鉄道建設促進に関する決議が可決せられ、また参議院においても、前国会において同趣旨決議が可決せられたことは、すでに各位の御承知の通りであります。しかるに今日に至るまで鉄道新線建設の遅々として進捗しないことは、国鉄戦災施設の復旧に急を要するものが多かつたことと、その財政事情の悪かつたこと等より見て、やむを得なかつたこととも考えられますが、わが国に必要な鉄道を完成するため、日本国有鉄道敷設すべきものとして、この法律の別表中に掲げられている予定路線は百六十五の多数に上り、そのうちすでに建設に着手せられたにもかかわらず、戦争の影響によつて工事中止のやむなきに立ち至つている区間のみでも五十箇所、五百九十余キロに達しているのであります。そのほか、その後の政治経済事情の推移に伴つて、新たに鉄道建設の特に必要と設められるに至つた路線もまた少くないのであります。今や国鉄の復興もようやく軌道に乗り、その財政状態もまた安定して参つたのでありますから、この際戦後の政治経済情勢に即応する鉄道建設計画を樹立し、これが推進をはかる必要があると考えられるのでありますが、いずれの路線建設から始めるべきか、またその財源をいかにして調達すべきかは、国家再建のため特に愼重を要する重要事項であると存じます。よつて運輸大臣諮問機関として鉄道建設審議会を設けて、広く衆知を集め、建設路線の選定、資金の調達の方法等を調査研究せしめ、鉄道新線建設の万全を期することにいたしたいというのが、本改正法案提出理由であります。  次に本改正法案内容のおもなる点について申し上げますれば、第一に、鉄道建設審議会は、運輸省に設置せられる運輸大臣諮問機関であります。  第二に、運輸大臣は、日本国有鉄道から鉄道新線建設許可申請があり、これが許可に関して必要な措置をする場合、または公共福祉を増進するため特に必要があると認めて、日本国有鉄道に対して新線建設に関して命令をする場合には、あらかじめ本審議会に諮問しなければならないことといたしております。なお建設審議会は、みずから進んで新線建設に関して関係者大臣に建議することができることといたしました。  第三には、審議会政党政派にとらわれず、国家財政の状況、国鉄運営の実情、他の交通機関との関連等を十分に考慮し、わが国経済発達文化向上に資することを目標として、公正かつ合理的に審議決定しなければならないことを規定いたしました。  第四には、審議会は、その職責の重要性にかんがみ、広く衆知を集める必要があると考えまして、衆議院指名した衆議院議員六人、参議院指名した参議院議員四人、関係各省政務次官事務次官等七人、運輸審議会長日本国有鉄道総裁運輸業鉱工業商業農林水産業金融業等について識見と経験とを有する者六人、鉄道建設について学識経験を有する者二人、合計委員二十七人をもつて組織することとし、委員内閣において任命いたしますが、府に国会議員及び職務任命せられる者以外の者の任命については、両議院同意を得なければならないことといたしております。  なお委員は、非常勤、その任期は二年とし、国会議員及び職務任命せられた委員以外の委員については、心身の故障のためその職務を行うことができないと認められる場合、または職務上の義務違反、その他委員として不適当と認められる場合には、両議院同意を得てこれを罷免することができることとし、その他審議会議決方法等、所要の規定を設けておるのであります。  以上簡単でございますが、本改正法案提出理由及びその内容の概略を申し述べました。何とぞ愼重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。     ―――――――――――――
  4. 坪内八郎

    坪内委員長代理 本案に対する審査は都合によつて次の機会に壤りまして、次に道路運送法案及び同法施行法案議題といたします。質疑を続けます。滿尾君亮君。
  5. 滿尾君亮

    滿尾委員 道路運送法第二十六条と第三十条との関連においてお尋ねをいたします。第二十六条で従事員服装のことを明示してきめてあつて服務規律運輸省令讓つてあります。二十六条で服装をきめることは肝要なことでありますけれども、私はむしろ従事員服務規律の最も重要な点を出されるべきではなかつたかと思うのであります。三十条との関連について特に感ぜられることは、三十条は「旅客又は荷主利便確保のために自動車運送事業者が遵守すべき事項は、運輸省令で定める。」こうなつておるのでありますが、一体乗客安全性確保ということが、利便確保よりももつと前にあるべきです。ところがこのことについて何もうたつておらぬ、どうして安全な輸送をするのであるかということについて、十六条、三十条を貫いて何も触れておられぬのは、一番大事なことを落しておるように感ぜられるのであります。もちろん車両自体のいろいろな安全確保については、車両法にも御規定になつておりますが、私がここにお尋ねいたしたいことは、車両の技術的な、もしくは機械的な安全性確保のほかに、業者として、事業を経営する者として、乗客の安全を確保するために、従業員の訓練の問題もあるのであります。またダイヤのつくり方その他の面におきまして、どうしても安全なる輸送をするために、業者旅客安全性確保についての義務を負わせる必要がある。ところがこの二箇条に現われておる思想は、その根本が落ちておるようで、ありますから、その点についてはどのようにお考えになつておるのか、お伺いいたしたい。
  6. 中村豊

    中村(豊)政府委員 二十六条にかんじん服務規律の点が、具体的に規倍してないじやないかというお尋ねでありますが、この点は重要な問題でございますけれども、現在でも運輸規程という省令規定しておるようなわけでありまして、服務に関してはいろいろと具体的にこまかい点になりますから、法律ではそこまで規定しなくても、根拠だけを明らかにしておけばよいじやないかと思つたわけであります。しかしながらその大きな一つ部分であります制服に関して、一部分第一項に規定したわけであります。次に第三十条で、省令に委任した事項は「旅客又は荷主利便確保のため」とあつてかんじんな安全という点に触れていない、こういう御質問でございますが、もとより安全ということはきわめて重要な問題でありますけれども、車両運転、保安というような問題は、道路交通取締法領域に属することが非常に多いのでありまして、むしろそちらに讓つて関係官庁と協議して、そちらの部面で規定するのが適当であろうと思うので、道路運送法では触れなかつたわけであります。なお安全の点からサービスの問題に触れて参りますれば、それはここに言う「旅客又は荷主利便確保」ということで、そういう点は規定できるものと思うわけであります。
  7. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの政府委員の御答弁では、私はどうも納得いたしがたいのであります。二十六条で、だれが従事員であるということがわかるようにせよというようなことは、まあ必要なことではあるにいたしましても、事業経営上の見地から見れば、安全の問題と比べて比較にならぬくらい軽い問題であります。三十条におきましても「旅客又は荷主利便確保のために自動車運送事業者が遵守すべき事項は、運輸省令で定める」とあつて、安全の運行確保するために業者が遵守すべき事項はないのである。あるとすればそれを省令讓つてもよいが、とにかく安全な輸送をさせることを利便よりも優先にすべきである。この道路運送法というものがこれだけの厖大法案でありながら、一言半句も安全輸送ということに言及しないのはおかしい。少くともバス事業経営者として、部下に対してこれこれのことをしなければならぬ、あるいは事業運営上の第一の条件が、安全性確保であるという道義的な規定がなくてはおかしい。利便確保のために遵守すべき条項をうたうならば、その前に安全を確保するための遵守すべき事項という考えをお持ちにならなければならないし、またお持ちになつたその思想が、具体的に条文に現われて来なければおかしいと思うのでありますが、この点についての政府委員の御見解を重ねてお伺いいたしたい。
  8. 中村豊

    中村(豊)政府委員 安全の問題は、車両の安全に関しましては同時に提案しております道路運送車両法で詳しく規定しております。運転の安全に関しましては道路交通取締法領域でございますので、そちらに讓つてあるわけであります。それ以外の取扱いを、安全を旨としてやらなければいけないというのはサービスの面になりますので、旅客荷主利便確保という点でおおうことができるわけであります。
  9. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は今の御答弁でもおかしいと思う。なぜかと言えば、車両の方で機械的な安全性確保することが、また取締令において具体的な安全を確保するいろいろなものがあるといたしましても、バス事業を経営しておる人は、旅客の安全なる輸送ということに重点を置いて物を考えなければならないし、また事業計画を具体的に立てますときに、第一に拂われなければならない考慮だと思うのであります。従つて個々車両の機械的な安全性確保であるとか、あるいは取締令規定しておりますある瞬間におけるある具体的な運転の操作ということ以上に、虚業経営者として当然安全性確保として考えなければならぬいろいろな問題があると思う。私から端的に言えば、たとえば運行ダイヤをつくりますときに、すでに安全なる運行ということを念頭に入れてタイヤをつくらなければならない。ダイヤ編成方取締令にも、おそらくは車両規則にも現われて来ない。これは事業経営者立場から、経営的角度から安全性確保ということについて頭を用いなければならぬということが、どうしても残つておるように思うのであります。その安全性確保ということとサービスの面ということとは、決して同じものではない。質が違うのでありますから、政府委員利便確保の中に安全の確保をお入れになつておるような御見解は、いささか概念の混淆があるように思いますが、もう一度この点についての御答弁を得たいと思います。
  10. 中村豊

    中村(豊)政府委員 利便確保の中に、ただいまお話になりましたような安全性という点が含まれておると解します。事業計画ダイヤをつくるようなときに、もとより旅客荷主の安全をはかることを旨としてつくらなければいけないのでありますが、それはそれによつて旅客または荷主利便確保されるということと見てさしつかえないと思うのであります。なお現在の運輸規程によりましても、係員のところに「自動車運送事業における運輸に従事する係員は、運輸につき安全、確実及び迅速を旨とし、旅客又は荷送人に対し、公平且つ懇切にその職務を行わなければならない。」こういうふうにあります。もとより安全ということは事業を運営するにあたつてまつ先考えることでございますが、それは道路運送車両法あるいは道路交通取締法に必要な部分壤つて、残つたものについて安全を問題にするならば、この三十条のような書き方でさしつかえないと思うわけであります。
  11. 滿尾君亮

    滿尾委員 これは見解の相違でありまして、何べん言つても同じことに帰着するらしい御答弁の御様子に拝見するのでありますが、いやしくも道路運送法バス事業規定して、これだけ厖大内容を持つておる。しかも業者として第一番に心すべき重要な規定が、どこにもその姿を見せてないということは非常におかしい。この規定の中には、多分に道義的な規定も入つておる。なぜその道義的原則道路運送法はドロップしなければならぬか。他の規定壤つたと言いましても、それは部分的に他の規定に現われておりませんので、業者にその道義的規定内容を包括的に明確に意識させるために、道路運送法にはぜひその一箇条が必要であると、私はかように考えます。しかしながら議論にわたりますから、これで打切ります。三十一条におきまして、会計規則のことが書いてありますけれども、由来会計規則は非常に煩雑に失しておるというきらいがある。官庁は必要のあつたときに、ことさらにすぐ統計をとるくせがあるのでありますが、つくられた統計は一向利用されてないものが多多ある。監督のことは必要でありますけれども、必要の最小限度規則簡易化せられることが必要だと思うのでありますが、今回の改正によつて従来の会計規則より簡易になるお見込みでありますか、もつと微に入り細をうがつて複雑なことになるお見込みでありますか、お答えをいただきたいと思います。
  12. 中村豊

    中村(豊)政府委員 会計規程の具体的な案がまだ完成しておりませんので、具体的に申し上げる時期に至つていないのを非常に残念に思います。ただこの法律でもつて事業種別を従来とは改めましたので、その事業種別に応ずるように会計規程を直したいと思います。たとえばバスとか路線トラツク事業というものと、タクシー、ハイヤーとか、区域トラツク事業というものとは、おのずからその間に会計の処理についても段階をつけることも考えていいではないか、事業の特殊な性質によつて、そういう御趣旨を多少組み入れる必要があろうと思つておるわけであります。
  13. 滿尾君亮

    滿尾委員 現在よりも簡易になりますか、なりませんか。
  14. 中村豊

    中村(豊)政府委員 現在よりは、できるだけ簡易化いたしたいと思います。
  15. 滿尾君亮

    滿尾委員 第三十二条についてお伺いいたします。第三十二条において聴聞をせられることになつておりますが、この聴聞は当然公開せられるものと私は考えますが、そういうことにお考えになつておりましようか、どうでしようか。
  16. 中村豊

    中村(豊)政府委員 公開でございます。
  17. 滿尾君亮

    滿尾委員 第三十三条についてお伺いいたしますが、三十三条に「公共福祉を阻害している事実」という字句があるのでありますが、この公共福祉を阻害する云々ということは、かりに経済上に大きな変動が起こつた物価が非常に下つたというような場合をも含めて、お考えになつておるかどうかをお伺いいたします。
  18. 中村豊

    中村(豊)政府委員 物価が非常に下つたために、現在の認可運賃では高過ぎるという場合に、その運賃を下げさせるということは人つております。
  19. 滿尾君亮

    滿尾委員 三十六条についてお伺いいたしたいのでありますが、三十六条の字句を読みますと、「その名義を他に自動車運送事業のため利用させてはならない。」と書いてあります。これはよく考えてみますと三通りの解釈ができる。つまり甲なる運送事業者が乙なる運送事業者名義を貸すことを禁止しておる場合が一つと、また甲なる運送事業者が、全然権限のない他の運送事業者たる立場を持たない人に、あるいは会社名義を貸す場合と、二様に私は考えたのでありますが、法律の真の意味はいずれをさしておられるのであるか。あるいはその両者を含めて御規定になつているものであるかをお伺いいたしたい。
  20. 中村豊

    中村(豊)政府委員 お話のごとく両者を含めて規定してあるわけであります。
  21. 滿尾君亮

    滿尾委員 甲の会社が乙の会社名義貸しをするような場合――非常にレア・ケースだと思いますが、その場合をも含めてお考えなつたものでありますか、
  22. 中村豊

    中村(豊)政府委員 その通りでございます。
  23. 滿尾君亮

    滿尾委員 第三十九条についてお伺いいたします。運送事業者が他の法人合併せられる場合、つまりあるほかの産業会社運送事業者合併したような場合に、しかも他の法人運送事業者でなかつた場合、副業主業関係におきまして、主たる事業運送事業以外の事業であつて運送事業が比較的副業に扱われる、その結果従来の運送会社がやつてつたよりも、非常に質が低下して行くおそれかあるという場合が発生すると思うのであります。従つてこの第二項におきまして、非常に簡単に壤渡をお認めになつておりますのは、かように主業副業考えた場合、あまり妥当でないように考えられますが、その点についての御見解を伺いたい。
  24. 中村豊

    中村(豊)政府委員 御質問の点は第三十九条第二項の但書のところを言われるわけでございますか。
  25. 滿尾君亮

    滿尾委員 そうです。
  26. 中村豊

    中村(豊)政府委員 これは事業壤渡合併の場合には、当然免許権者がかわるわけであります。人格の変更がありますから、壤り受けたものあるいは合併によつて新設または吸収して残つたものが、免許権者としてはたして適当であるかどうかということを、十分審査しなければならないわけであります。そこでその審査基準は、第六条の免許基準をそのまま準用するというわけでございまして、自動車運送事業者として適当であるかどうかを審査するわけであります。但し二項但書にありますように、合併はしたけれども、従来の自動車運送事業者がそのまま存続会社なつた場合には、自動車連送事業者としての内容には何ら変化がありませんので、あらためてその適格性審査する必要がない、そういう理由認可を受けなくてもよろしいということになつたわけであります。その点は主たる事業であろうと、従たる事業であろうと、自動運送事業という点からは同様に考えているわけであります。
  27. 滿尾君亮

    滿尾委員 私の申し上げましたことは、ちよつと重点が違うのであります。自動車運送事業というものは公共事業として、役所はかくも監督をし、また保護をいたしておる、その会社が、たとえばここにバス会社がデパートを買収したとします。会社としてはバス会社として残るのであります。そうすると第二項によると、運輸大臣認可なくしてたちどころに効果が発生する、かように簡単にお取扱いになることは適当でないではないか。つまり厖大なる副業を吸収することによりまして、そのバス会社が従来果して来たような使命を十分果し得なくなるようなおそれのある場合が発生する。従つてこの吸収合併に対して大臣の認可を必要とする場合が発生しはしないか。主たる会社名義が残つているから運輸大臣認可を要せずというふうに御規定になることは、私は運送事業の公益的性格にかんがみて将来あぶない、かような意味でお尋ねしたのであります。御見解を伺いたい。
  28. 中村豊

    中村(豊)政府委員 御質問のような例は、非常に異例ではございますけれども、想像はできるわけであります。ただその場合に、自動車運送事業監督する運輸大臣といたしましては、その合併があろうとなかろうと、自動車運送事業車たる人格はかわらずに存続して行くわけでありますから、一応それでよいのではないかと思うわけであります。但し御心配のように厖大なデパートを買収し、その経営が非常に不良になりまして、ひいてはその赤字が自動車運送事業の経営に累を及ぼす場合があり得るという御心配でございますが、さような場合には、自動車運送事業者に対して、先ほどのような会計規程その他によつて経理の内容もこちらでわかりますし、それによつてサービスが悪くなれば、事業改善命令を出すことができるのでありますから、御心配のようなことが起れば、そのときにそれを改善させる道はあるわけでございます。それを最初から心配するあまり、運輸大臣監督権限のたい事業についてまで審査するということは、無理であろうと思います。
  29. 坪内八郎

    坪内委員長代理 本案に対する審査は後刻に壤りたいと思います。     ―――――――――――――
  30. 坪内八郎

    坪内委員長代理 次に海上運送法等の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を続けます。  御質問がなければ、これにて質疑は終了いたしました。委員長の手元に本案に対し岡田五郎君より修正案が提出されておりますので、その趣旨説明を求めます。岡田五郎君。     ―――――――――――――    海上運送法等の一部を改正する    法律案に対する修正案   海上運送法等の一部を改正する法  律案の一部を次のように修正する。   題名を次のように改める。    海上運送法の一部を改正する法    律   第一条中「第一条」を削る。   第二条を削る。   附則第三項中「第十九条の二第一  項及び」を削り、附則に次の一項を  加える。   (船舶の借受の許可)  4 海上運送法第四十四条の二第一   項の規定のうち、船舶の借受の許   可に関する部分は、この法律施行   の日に再びその効力を発生し、こ   の法律施行の日から一年を経過し   た日にその効力を失う。但し、そ   の効力を失う時までにした行為に   対する罰則の適用については、そ   の時以後も、なおその効力を有す   る。
  31. 岡田五郎

    岡田(五)委員 海上運送法事の一部を改正する法律案の一部を次のように修正いたしたいと思うのであります。  この題名が「海上運送法等」とありますのを、「等」を削除いたしまして、「海上運送法の一部を改正する法律案」、かように題名をかえたいと思うのであります。  次に「第一条中」とありますのを、「第一条」を削りたいのであります。  それから第二条を削ります。  それから附則の第三項中、「第十九条の二第一項及び」を削りまして、附則に次の一項を加えたのであります。  (船舶の借受の許可)4といたしまして、「海上運送法第四十四条の二第一項の規定のうち、船舶の借受の許可に関する部分は、この法律施行の日に再びその効力を発生し、この法律施行の日から一年を経過した日にその効力を失う。但し、その効力を失う時までにした行為に対する罰則の適用については、その時以後も、なおその効力を有する。」かように修正いたしたいのであります。  つきましては以上の修正いたしまする理由につきまして、簡単に申し上げたいのであります。  まず修正の第一点について申し上げますと、本改正案の第二条は、外国船の裸傭船に対する許可制をさらに一箇年延長するために、現行法の附則第二項を改めようとするものでありますが、その附則第二項で規定せられておりまする効力は、本月の三日ですでに失われているのであります。しかしながらかかる効力延長は、効力のなくなる前にいたすのが本筋でありまして、すでに効力を失つた規定改正するだけで効力が延長せられることになるかにつきましては、法律的に多大な疑義がありますので、第二条の改正案を削りまして、この法律案の附則に新たに項を起しまして、第四項といたしまして、すでに失効いたしました外国船の借受の許可に関する規定が、本法案の施行の日から一箇年再びその効力が発生するように、積極的に規定いたそうとするのでありまして、この趣旨は本改正案と何らの変更を来さないのであります。  次に第二点でありますが、本改正案の経過規定第三項は、本法案の施行の日に貨物定期航路事業を営んでいる者に対して、事業の開始の届出期日についての猶予を規定しておりますが、これらの貨物定期航路事業者は、現行法の第二十三条の規定によりましてすでに届出をしておりますので、この際さらに届出をさせることは業者に二重の負担をかけることになりますので、経過規定第三項の「第十九条の二第一項」を削除しようとするのであります。
  32. 坪内八郎

    坪内委員長代理 ただいまの岡田五郎君の修正案に御質疑はございませんか。
  33. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 この海上運送法等の「等」を除いた理由は、何を相当の理由があるわけでしようか。ということは海上運送法ですが、大きな川などは当然加わるものだと思うので、そういう意味で海上運送法等と置いてあつたのではないかと思うのですが、「等」を抜いた理由の説明を願います。
  34. 岡田五郎

    岡田(五)委員 修正案で、第二条の海上運送法等の一部を改正する法律案を削除いたしまして、第一条は海上運送法の一部を改正する法律案の一部を次のように改正するこういうことになつておりまして、第二条の海上運送法等の一部を改正する法律案を削除いたしました関係で、「等」が必要でなくなる、こういうことなのであります。
  35. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そうすると、第二条のことはわかりましたが、ただ海上運送と川の上の運送とが関連する場合が生じて来ると思うのでありますが、そういう点には支障がないかどうか。
  36. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 これは今岡田委員から言われましたように、海上運送法等の一部を改正する法律案という題名は、等で表現してございますが、これを丹念に省略しないで書きますと、海上運送法及び海上運送法等の一部を改正する法律案、こうなるわけでございます。法律番号は御承知のように、海上運送法は昭和二十四年法律第百七十八号、二条にありますところの海上運送法等の一部を改正する法律案は、昭和二十五年法律第百五十三号で、別個の法律でございますので、その二つを別に書くべきところを省略して「等」と書いたのでございます。それをそういう形式ではなしに、今御修正になりましたように、積極的に御明瞭に御規定になりましたので、第二条が不必要になつたわけでございます。従つてきわめて技術的な整理でございまして、政府としてもまことにもつともだと思うのでありまして、何らの異議がございません。従いまして、ただいま水上運送法等の関係について御質問がございましたけれども、その点はここで規定してありませんが、今の御修正によつて政府の提案しておりました内容と全然変更はございませんで、なおかつ表現が正確で明瞭になつたわけでございます。
  37. 坪内八郎

    坪内委員長代理 他に御質疑はありませんか。――それでは本案及び修正案に対する討論は、これを省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 坪内八郎

    坪内委員長代理 それではさよう決します。  海上運送法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず岡田五郎提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  39. 坪内八郎

    坪内委員長代理 起立多数。よつて修正案は可決いたしました。  次にただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  40. 坪内八郎

    坪内委員長代理 起立多数。よつて修正部分を除く原案は可決いたしました。従つて海上運送法等の一部を改正する法律案は修正議決いたしました。     ―――――――――――――
  41. 坪内八郎

    坪内委員長代理 次に鉄道敷設法の一部を改正する法律案について審査を続けます。質疑があればこれを許します。
  42. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 第六条の一項の第七号に「鉄道建設二関シ学識経験ヲ有スル者」とありますが、「学識経験ヲ有スル者」の要するにその「経験」というのは、どういう範囲のことをさしておられるか、伺いたいと思います。
  43. 岡田五郎

    岡田(五)委員 鉄道建設、すなわち交通、経済学または鉄道建設につきまして学識の非常にある人、大体こういう意味でありまして、提案者といたしましては、この学識という点に気持を重く置きまして、大体学者という気持で、実はかように書いたわけでございます。
  44. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 もしただいまの御答弁通りであるといたしますならば、「経験」というものを抜いた方がいいのじやないか。ということは、従来もしばしば鉄道建設等に関しましては、問題が起つていることを私記憶いたしているのでありますが、「経験」と入れますと、むろんこれに請負業者が入つて来る。あらかじめ問題の起ることの伏線を置いている、こういうような感じを抱くようでありますから、これについて「経験ト」の三つを拔かれる御意思はございませんかどうか、伺います。
  45. 岡田五郎

    岡田(五)委員 学識ばかりでも私はどうかと思うのであります。大体学識経験と両方お持ちになつた方がいいのじやないか、かような意味であります。また土建業者がその「経験」という文字につられてといいますか、言葉は悪いのでありますけれども、文字を利用して、この七号の二人の中へ入りはしないかという尾崎委員の御心配でありますが、事業者の方は第六号の「運輸業鉱工業商業農林水産業金融業等」の中に入れまして、そういう方は識見と経験ある事業関係のこの六人の中へ含めたい、かような意味であります。     〔坪内委員長代理退席、大澤委員百長代理着席〕 そういうところの意味におきまして、ここで例示いたしました業種も、御承知のように五種類になつておりまして、等の中の五種類でありますにかかわらず、ここでは六種になつている。そういう事業者は六の方へ入つていただく。むしろ七は先ほど申し上げたように学識の方に重きを置いて、しかも経験もあわせ持たれている方、こういう意味で実はしたようなわけであります。
  46. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 御説明の趣旨はよくわかりますが、文書をこのまま見ますと、「鉄道建設二関シ学識経験ト、」この二つにわかれておりますので、ただいま御答弁のようなことに当てはまらない。いわゆる学識に重きを置いてこういうことになつて学識経験と二つにはつきりわかれていると思いますが、その点についてもう一度御答弁を願いたい。
  47. 岡田五郎

    岡田(五)委員 これは第六号にもありますように「識見ト経験ヲ有スル者」第七号には同じような並べ方で「学識経験ト」こういうことで、学識のみでもいかぬ、あわせて経験も多少お持ちになつておる方、こういう意味合いで実は並べたわけでありまして、経験だけであつて学識のないというような方だと困りますし、また学識だけあつて全然経験の点ではゼロであるというのでも困る。要するに学識経験をあわせお持ちになつておられる方、こういう意味合いでございます。
  48. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そうしますと第六号と第七号の二つが私はダブつているように思う。第六の「運輸業鉱工業商業農林水産業金融業等二関シ優レタル識見ト経験ヲ有スル者」、そうすると第七の「鉄道建設二関シ学識経験ヲ有スル者」この六と七は同じことをさしておるのじやないかと思うのですが、これを別々にわけなければならなかつた理由はどこにあるのか、それを伺いたい。
  49. 岡田五郎

    岡田(五)委員 六は御承知のように「運輸業鉱工業商業農林水産業金融業等二関シ優レタル識見ト経験」大体民間産業関係の方々、七は御承知のように「識見」を「学識」にかえております。従いまして七の方は学識経験という意味におきまして、先ほど申し上げましたように学者層を実はねらつておるわけでございます。
  50. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 それならば端的に言つて学識経験ヲ有スル者」というのは、例を引いてみるとどういうようなものであるか、御説明願いたい。
  51. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私は大体先ほど申し上げましたように、第七項は学識の方に重みを置きまして大体学者ということを申し上げたのであります。従いまして東京大学だとか、方々に交通関係鉄道関係の学者がおられますが、そういうところを実は提案者としてはねらつておるようなわけでございまして、具体的に交通学者の名前をあげることもどうかと思います。そういう意味合いでございます。
  52. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 大学等の学者で、非常に蘊蓄の深い人ということはわかるのですが、そういう人で経験を持つた人がありましようか。この点を承りたいのであります。
  53. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この鉄道建設に関する経験というお尋ねだろうと思うのですが、大体大学の交通学者、あるいはそういう方面の学識がある方は、鉄道建設といいますか、土建関係の技術者のグループの中の顧問になつておられたり、あるいは研究団体の理事をしておられたり何かいたしまして、理論ばかりではなしに、実際のいろいろな面につきまして――建設工事については御経験はないかもしれませんが、そういう方面についての経歴といいますか、経験といいますか、それをお持ちになつておる方が相当あると私は考えております。
  54. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そうすると、こういうふうに解釈をいたしてよろしゆうございますか。鉄道建設に関し、大学の教授や講師等であつて鉄道建設の請負の会社とか、業者とかいうものをさしておるのではない、こういうように了承してよろしゆうございますか。
  55. 岡田五郎

    岡田(五)委員 さようでございます。  先ほどの尾崎委員お尋ねにつきまして、具体的な例示を今政府委員の方から耳打ちされたのですが、元鉄道省の技師をしておられました國宮何とかいう元勅任官の方が、今大学の七生をしておられます。そういうような方が、ここで言えば学識経験というような範疇に入るのではないか。大体そういう意味合いで、先ほどお尋ねになりましたように、第七号は先ほどから御説明申し上げておりますように学者をねらつてつて業者関係の方は第六号の方へ入れたい、かように考えております。
  56. 滿尾君亮

    滿尾委員 関連して……。  ただいま尾崎委員提案者との間のお話を伺つておりまして、尾崎委員お話は弊害が発生することを憂慮せられて、その角度からの御質問でございますから、説明者におかれましても具体的に学識経験の例示をすることは困難である。従つて鉄道建設工事の請負業者たるべき地位になる可能性のある人、つまり工事によつて直接利益を受けるべき立場の人を入れることは、本条の趣旨でないということをはつきり言つておかれれば、あとは学識経験ということは常識によつて、時のよろしきに従つて御判定になればよい。少くとも請負工事の担当者であり得るような人を入れるのは法律趣旨でない。もちろん学識経験のある者が、土建業者の最局の首脳者であつたり、顧問になつてつた例が相当あるのであります。そういう者もすべて排除すべきであると考えるのであります。そういう意味の御言明があれば、非常に問題がはつきりして来ると思うのでありますが、提案者の御意向を伺いたい。
  57. 岡田五郎

    岡田(五)委員 これは第九条にもありますように、大体滿尾委員が言われるように、鉄道建設につきまして直接間接利害関係のある方は、委員としてはなれない、こういうことになつておるのでありまして、先ほど尾崎委員の御質問に対してお答えいたしましたように、大学の先生で、しかも一面において土建関係その他の研究団体に関係しておられるような方が、経験という言葉を利用する、こういうことには実はならないわけでありまして、この点七号におきましてはつきり学識者とあげてしまえば非常に簡単でございまするか、鉄道建設という特殊な――特殊と言つては語弊がありますが、専門的な事項でございますので、少くとも鉄道についての学識の深い方に審議会委員になつていただこう、こういう意味におきまして、「鉄道建設二関シ学識経験ヲ有スル者」、かような文字をもつて表現したようなわけであります。
  58. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 もう少しはつきりさせたいと思います。第九条の第三項「特定ノ事案二付特別ノ利害関係ヲ有スル委員審議会決議アリタル場合二於テハ当該事案二係ル議決二参加スルコトヲ得ス」、これと今質問いたしておりますところの六条七項の「鉄道建設二関シ学識経験ヲ有スル者」、これに関連しておるように私は解釈するのであります。でありますから、少くともこの九条の一、二、三項の定めのようなことは規定しなくても、第六条七号の場合等におきまして、たとえば鉄道建設の請負業者等はこれに入れないということをはつきりさせておけば、こういう煩瑣な規定をしなくてもいいのじやないかと思うのですが、いずれにしましても今そういうものを片つぱしから直して行くことは困難でありますれば、さつき滿尾委員が言われたように「鉄道建設二関シ学識経験ヲ有スル者」というのは主として学者であつて、当該業者等はこれに加えないのだ、こういう意味をはつきり御説明願えればそれでいいわけであります。
  59. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど来尾崎委員の御質問に対しまして、私がお答え申し上げておきましたように、第七号は、いわゆる学者層といいますか、学者を主としてさしておる、こういう提案者趣旨でございます。
  60. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そういうことはわかつておるのであります。ところが滿尾委員関連質問で言われましたように、当該業者にも非常にすぐれた学者がおるのでありますから、そういう業者でないのだということを、はつきり言葉の上で表わしていただきたいと思います。
  61. 岡田五郎

    岡田(五)委員 尾崎委員の最後の言葉はちよつと聞き漏らしたのでありますが、業者は入らないのだということを法文上明記したらどうか、こういうお尋ねでございましたか。それとも提案者として第七号には業者は入らない、こういうふうに明答しろという御趣旨でございましたか、はなはだ失礼でございますが、もう一ぺんお願いいたします。
  62. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 あとの方であります。
  63. 岡田五郎

    岡田(五)委員 第七号には業者は入りません。
  64. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 ただいま尾崎委員から問題にされました第九条の特別の利害関係云々の点についてお尋ねいたします。衆参両院議員がこれに参加をされる場合に、予算審議という関連があるのでありますが、これはここの解釈において、利害関係はないように思いますが、陳情、請願等のいろいろの問題を取扱う場合を考えますと、審議会決議に参加できないような自繩自縛に陥るようにも思われるのでありますが、この点いかように解釈されますか、明確にしていただきたいこと。  それから次は審議会委員二十七名をもつて組織すということになつておりますが、衆知を集めるために次のいろいろの方々の立場を明記してありまするが、これらを勘案して二十七名の数が割り出されたものであるかどうか、あるいは別に何らかの構想のもとに二十七名の数を割り出されたものであるかどうか。  第三点は、第八条の二号でありますが、「其ノ他委員トシテ不適当ナルコト」ということを、どういう意味の不適当をあらかじめ考えておられるか。この三点をお伺いいたします。
  65. 岡田五郎

    岡田(五)委員 第九条第三項の「特定ノ事案二付特別ノ利害関係ヲ有スル者」という中に、当該路線関係ある国会議員が入るかどうかという御質問のように承つたのでありますが、私から申し上げるまでもなく、国会議員はたまたま選挙区というものを基礎として選挙されますが、どこまでも日本国民全体の代表でありまして、国会議員は第三項には該当いたしません。たとい自分の選挙区内に路線がある議員さんでも、当然両院の御推薦があつて委員になられますれば、この決議に参加できる、かように私は提案者としては考えておる次第であります。  次に、この委員の数を二十七名にしたのはどういうわけかというお話でございますが、大体の考え方といたしましては、あまり数が多くてもいかぬ。といつてまたあまり少くてもいかぬということで、過去に鉄道会議というものがありまして、鉄道建設につきましては、この鉄道会議に諮りまして、鉄道大臣また運輸大臣建設をやつてつたようなわけであります。その鉄道会議は二十四年の六月、鉄道公社が発足しましたときに廃止されまして、その当時は大体四十人ございました。その当時衆参両院から十三人出ておりました。また昭和七年には三十人でございました。かような過去の鉄道会議の構成員数というものを参考にいたしまして、実は二十七人のうち、国民の代表であり、基本司策の立案、策定あるいは指導という面に携わつておられます国会議員十名を入れることが適当ではないか、かように考えまして、実は十人にしたようなわけであります。それから官庁関係は、申すまでもなく鉄道建設関係のある運輸建設あるいは産業経済関係各省の事務次官を入れたようなわけでありまして、なお運輸審議会運輸大臣諮問機関といたしまして、いろいろな交通行政関係の諮問に応ぜられておりまして、交通行政につきまして相当通暁し、また専門にやつておられますので、運輸審議会会長を入れる。また国鉄につきましては、建設後におきまして国鉄がその建設線の運営に当らなければならない、かような意味からして国鉄総裁を入れた、大体こういうような趣旨でございます。  それから第三のお尋ねの第八条の二号に「其ノ他委員トシテ不適当ナルコト」、この不適当はどういうことかというお尋ねでございますが、これは適宜善意に解釈いたしまして、どうしても委員としての資格といいますか、行為その他について常識的に判断いたしまして、不適当だと考えられる場合をさしておるわけでありまして、さよう御承知を願いたいのであります。
  66. 滿尾君亮

    滿尾委員 この審議会の審議は公開せられるつもりであるかどうか。祕密会というのはあり得るのであるかどうか。どうも私は公開すべき性格のもののように考えるのでありますが、提案者はどういうふうにお考えになつておりますか。従つて第十条におきまして、職務上知り得た祕密云々ということがあるのでありますが、提案の理由にもありましたが、衆知を集めて、公正かつ合理的に調査審議せられるのでありますから、その公正かつ合理的に調査審議せられるところの規定に、祕密を漏らしてはいかぬという言葉があるのは、少し調子が合わないような気がするのであります。もちろん従来と違いまして、軍事上の機密というようなものが、現態勢におきましてはなくなつたのでありますから、これはどうしても少し様子がおかしいように思いますが、提案者はどういう御見解であるか。
  67. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もちろんこの鉄道建設は民主的に、また公正に、合理的にやるべきものだと私は考えております関係上、私は審議会は当然公開してしかるべきであり、また公開すべきである、かように考えるのでありまするが、委員会の経過上、あるいは極祕に扱わなければならない、あるいは祕密会を開かなければならないような事態が、万々が一起り得るかもしれない、かような場合の一応の規定として、こういう規定を入れたのでありますが、これは万々が一の場合のことでありまして、原則としてはかようなことはないように、公開して明朗かつ公正にこの審議会の議事の運行をし、また決定すべきである、かように提案者考えておるのであります。
  68. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私はただいまの滿尾委員の御質問に対する提案者岡田委員の御答弁を、折衷して考えていいようにも思いますが、しかしこの新線建設という重大な審議会でありますので、公開が原則であるというようなきめ方をしておくと、全国的に新線運動のはげしい今日において、審議の過程において、往々にしてその審議がゆがめられるようなおそれなしとしないので、むしろ原則的には祕密であるが、民主的にやる意味において公開もあるべしというようにした方がいいと思うのでありますが、重ねて提案者にお伺いいたします。
  69. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私はこの審議会は、ほんとうに大所高所から本邦の経済発達及文化向上に資する、しかもその決定は一党一派に偏しないで公正かつ合理的にこれが審議を決定するというところに、この鉄道建設審議会の意義があり、またこの審議会の使命の重大性がある、かように考えるのでありまして、秘密会議をいたしまして、ややもすると一党一派に偏し、また一委員のためになつたというような、国民の疑惑を受けるようなことでは、せつかくの今度の国土総合開発的な見地から行きましての、この大規模な審議会としては、とらざるところではないか、かように私は提案者として考えておるような次第であります。
  70. 原彪

    ○原(彪)委員 第五条は、あまりに教科書的なような気がするのですが、「審議会ハ本邦経済発達及文化向上二資スルコトヲ目標トシ公正且合口理的二審議決定スヘシ」の、公正かつ合理的に審議決定するのは当然な話であつて、何だか少し字句がおかしいのではないかと私は思うのです。それでこの条文に関連して私は思い起すのですが、この前の議会のときに運輸大臣が、新線建設は開拓鉄道であつて、必ずしも独立採算としないというようなことをおつしやつたことを記憶しておるのですが、なるほど国利民福をはかるために、未開の僻地に鉄道を敷いて開拓することはけつこうなことですが、一方また公共企業体としての独立採算という面と、両方とのにらみ合せを考えないと、なかなかむずかしい問題だと思うのです。この条文で、公正かつ合理的に審議すべしということがあるが、合理的ということは、独立採算と開拓鉄道とのにらみ合せを合理的に審議する、合理的ということになると、これはどつちに軍配を上げなければならぬかということについて、非常にむずかしい解釈が起きて来るのではないかと思うのですが、提案者の御解釈を承りたいと思います。
  71. 岡田五郎

    岡田(五)委員 原委員お尋ねはごもつともなのでありまして、国鉄の独立採算制と建設線の不採算制、こういう矛盾した形についてどう考えるか、それに関連して第九条の文字の解釈についてのお尋ねだと思うのでありますが、この国鉄の独立採算制と建設線の不採算制のギャップをいかにして埋めるかということ、すなわち財源をどうするか、こういう問題につきまして、第四条の第三項によりまして「審議会ハ内閣総理大臣及関係各大臣二対シ新線建設二関シ建議スルコトヲ得」この文字によりまして新線建設についての財源は、こういうようにした方がいいだろうということを、総理大臣なり大蔵大臣なり運輸大臣に建議をする、こういうことにいたしまして財源関係の方を措置いたしまして、公共企業体の独立採算制と建設線の不採算制のギヤツプを、この建議に基きまして、内閣の財政的な措置を期待いたしておるようなわけであります。第五条の公正かつ合理的に審議すること、この合理的の意味でございますが、これは字のごとく合理的でありまして、ただ私の含みといたしましては、鉄道建設というものについては、大きく国土総合開発という見地から行きまして、時の政府においていろいろな産業政策あるいは経済政策が行われるのでありますが、こういうような各般の内閣の施策というようなものも勘案し、また国土総合開発、人口対策というような各般の見地からいたしまして、いわゆる合理的に審議決定をする、実はこういう意味なのであります。
  72. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 ただいま第五条に関連しまして、第四条の末項すなわち三項の説明が出ましたので、四条に関連して質問いたすのでありますが、四条の第二項は、「運輸大臣ハ公共福祉増進スル為特二必要アリト認メテ日本国有鉄道二対シ新線建設二関シ必要ナル命令ヲ為ス場合二於テハ予メ審議会二諮問スヘシ」というのですが、私どもは運輸審議会をつくらなければいかぬということを長い間主張して来ましたが、これは私どもの主張の何分の一かしか入つていないと思うのです。ということは、運輸大臣公共福祉を増進するため特に必要ありと認めて、日本国有鉄道に対し新線建設をなせという命令をするときだけ、審議会に意見を聞く、こういうことになつておるようでありますが、国有鉄道みずからが建設線に着手することができるのでありますから、従つてこの意味は今申しましたように、日本国有鉄道がみずから新線を定めてこれを建設する場合は、審議会に諮問する必要はないのであつて運輸大臣命令するときだけ諮問するのか、この基本的なことをまずお尋ねいたしたい。
  73. 岡田五郎

    岡田(五)委員 第四条の第一項は、国鉄総裁が、鉄道建設につきまして、運輸大臣許可を申請して来た場合、運輸大臣許可を與える場合に審議会に諮問する、これが第一項であります。第二項は、国鉄総裁からは新線建設許可の申請はして来ないが、運輸大臣が主体性をもちまして、大所高所から、日本の国策的見地から行きまして、国鉄総裁にこれこれの線を建設しろという命令を出す場合もまた、一応建設審議会に諮問して、その答申に基いて命令を出す、こういうことであります。それからもう一つは、先ほど財源の問題を話しましたが、第三項によりまして新線建設に関し建議すること、この審議会が積極的に、この線をひとつ建設したらどうかという線を浮かび上らせまして、これを、関係大臣とありますが、運輸大臣に建議する、運輸大臣はその建議に基いて、第二項に基きまして国鉄総裁に命令をする場合には、また審議会に諮問する、もちろん建議をしたことをそのまま実行すれば、諮問の手続その他につきましても非常に簡略になるかもわかりませんが、そういう場合が第三項に含まれておるようなわけであります。
  74. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 暫時休憩いたします。    午後三時一三分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十九分開議
  75. 前田郁

    前田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を続けます。
  76. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど尾崎委員お尋ねに対する答弁を途中にして休憩になり、あるいは言葉が前後するかもしれませんので、その点御了承願い、答弁を続けさせていただきます。先ほど尾崎委員から、国鉄総裁は鉄道建設ができるじやないか、こういう質問関連していろいろお尋ねがありましたので、これに答弁をしておつたのであります。日本国有鉄道法に基きますれば、国鉄総裁は新線を建設する場合は、運輸大臣許可を受けなければならないということになつておりまして、その運輸大臣運輸審議会に諮りまして、それで許可を與えている現状であります。ところがこの鉄道新線建設という国家的重大性を、私たち提案者といたしましては取上げまして、これを運輸審議会の審議事項から削除いたしまして、これのみにつき先ほど来御説明申し上げておりますような審議会を設けまして、大所高所から国家的に、国策的にこれを検討しよう、こういう意味合いで実は提案したようなわけであります。
  77. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 ただいまの御答弁で、一応前に御質問申し上げたことは了承いたしました。関連しまして第四条の第三項に「審議会ハ内閣総理大臣及関係各大臣二対シ新設建設二関シ建議スルコトヲ得」こうあるのですが、この審議会は審問機関たる性格が強いのか、決議機関たる性格が強いのか、審議会そのものの性格についての御説明を伺いたい。
  78. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この審議会は、どこまでも諮問機関でございまして、この諮問機関が第三項に「建議スルコトヲ得」ということになつているのでありますが、これは現在各所にありますいろいろな審議会を見ましても、単に消極的に諮問を受けるばかりでなしに、積極的にいろいろな施策を建議する審議会が多々あるのであります。一例をあげますと、大学審議会というようなものにつきまして見ますと、単に文部大臣から諮問を受けるばかりでなしに、文部教育行政、学校関係につきまして、文部大臣に建議する場合もあるようであります。私はこの審議会に広く路線の将来計画、あるいは現実の路線の決定、あるいは財源関係、その他鉄道建設に関する各般のことにつきまして調査研究して、総理大臣及び関係大臣に積極的に建議する重大な責任と責務を持たすところに、この審議会の設置の重大意義があると私は考えているのであります。
  79. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 要するにこういうふうに了承してよろしゆうございますか。この審議会諮問機関ではあるが、相当重大な責任を持つて諮問に応ずる機関であつて、布来の諮問機関よりは、よほど責任の重いところの諮問機関であると了承してよろしうございますか。
  80. 岡田五郎

    岡田(五)委員 尾崎委員の御質問の参通り提案者としては考えております。
  81. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 次に伺いますのは、前にちよつと触れたのでありますが、第九条の三項であります。「特定ノ事案二付特別ノ利害関係ヲ有スル委員審議会決議アリタル場合二於テハ当該事案二係ル議決二参加スルコトヲ得ス」こうあるのでありますが、具体的に言いますとこれはどういうものになりますか、例を引いて御答弁願います。
  82. 岡田五郎

    岡田(五)委員 具体的の例と言いますと何でございますが、いろいろと建設に関する場合に、利害関係の出て来る場合があるのではないかと実は考えておる次第であります。
  83. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 御答弁がやりにくいようでありますから、私の方から例をあげて質問いたしたいと思います。この項目に該当するのは、たとえば衆議院議員あるいは参議院議員であつて、その議員の選挙区に鉄道敷設するというような場合が出て来たときに、国会議員を兼ねているそれらの委員は、この審議会決議つた場合はここへ出ることができない、こういうような場合をさしているわけでありますか。
  84. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今尾崎委員があげられました具体的な例として、国会議員がこれに該当するかどうかという御質問でございますが、これは先ほど玉置委員からも御質問がありまして、私御答弁申し上げたように、国会議員はこの第三項には該当いたさない、かように提案者考えております。
  85. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そうすると国会議員であつて委員である者は、この第九条第三項には該当しないということは、具体的に申しますならば、第六条の第六号「運輸業鉱工業商業農林水産業金融業等二関シ優レタル識見ト経験ヲ有スル者、」主としてこれに当てはまるわけでありますか、その点を伺います。
  86. 岡田五郎

    岡田(五)委員 大体尾崎委員の御質問通りであります。具体的に例は、これは該当するかどうか知りませんが、どこそこ線という場合に、そのどこそこ線の方面で広く土建事業をやつておられたり何かするような場合が、たまたま第六号に該当して委員になつておられたというような――主として第六号の直接物質的な利害関係関連する場合と提案者考えております。
  87. 前田郁

    前田委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  88. 前田郁

    前田委員長 速記を始めてくださ  い。
  89. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そうでありますならば、時間の関係上修正が間に合わないかと思いますので、あらためて第六条の七号については、先ほど岡田委員から説明せられましたようなはつきりした方針でお進めを願いたい、こういうことを重ねて要望をいたしておきまして、私の質問を終ります。もう一ぺんこの点について先ほど御答弁なつたことに間違いがないかどうか伺いたい。
  90. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、私は交通関係に関する学者、こういうように、提案者の一人といたしまして、はつきりと解釈いたしておる次第であります。
  91. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 提案者の一人としてでなくて、提案者の代表という資格においてこの第六条第七号は、鉄道建設に関し学識を持つた人に限る、こういうことにもう一ぺん御答弁を願います。
  92. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今尾崎委員が言われましたように、提案者の一人ということではなしに、提案者の代表といたしまして、学者、こういうふうに申し上げます。
  93. 石野久男

    ○石野委員 提案者質問をいたします。敷設法を一部改正することによりまして、従来あります鉄道敷設法の附則になつております百五十件にわたる件数についても、この委員会にいろいろとそれを審議して、取捨選択する権能を持たしめるような考え提案者は持つておるのでありますか。
  94. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私はこの敷設法の別表につきましても、第四条の第三項に基きまして十分再検討いたしまして、運輸大臣に別表の政正の立法手続をとるようにという建議もできる、かように私は考えておるのであります。
  95. 石野久男

    ○石野委員 よくわかりました。それからこの委員会は従来あります運輸審議会とは別個に設けられるので、この法案改正が行われることに伴つて運輸審議会法律の一部を改正する必要性はないのであるかどうか。
  96. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それは附則の第二におきまして、「運輸省設置法の一部を次のように改正する。」ということで、第六条の第一項第九号、すなわち鉄道新線建設という項目が、運輸審議会の審議事項になつているわけですが、これをこの附則の第三によつて改正をしたわけであります。
  97. 石野久男

    ○石野委員 この審議会が設定されることによつて、従来懸案として残されている鉄道敷設の問題が、急速に進捗することをわれわれは期待するものでありますが、しかしながら鉄道新線建設の問題については、いろいろこれにからまる醜悪な事実等もかつてつたと存ぜられるのでありまして、従つて今回この法によつて設定される審議会は、そういうことを極力排除しなければならないと存じます。それゆえに先ほど尾崎委員からも質問のありました第九条第三項の規定する内容については、非常に重要であるように見受けられるのであります。提案者の代表である岡田委員は、この三項に該当するものとして、第六条の第六号がそれに相当するものであるというふうに御答弁があつたのでございます。しかし私どもはできるならばこの第六条の第一、第二に書かれております国会議員の中で、これらの「特定ノ事案二付特別ノ利害関係ヲ有スル委員」というものに該当するようなものがかりにあつた場合には、それらの人々はかりに国会議員という立場でありましても、一応そこから抜けるように考えた方がよろしいのではないかというふうに考えるのでありますけれども、なお重ねて岡田委員の御意見を伺いたい。
  98. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私は国会議員の本質上からいたしまして、これに該当させないことを希望し、またさせない方がいい、かように考えるのであります。私から申し上げるまでもなく、どこまでも国会議員は全国民の代表でありまして、たまたま選ばれたのが定められた選挙区である、こういうことでありますが、私は国会議員の本質から見まして、どこまでもこの第三項に該当させるべきでない、かように考えておる次第であります。
  99. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 われわれが運輸委員会から地方に派遣されましていろいろ調査しますと、新線建設に対する地方民の要望は、非常に熾烈なものがあるわけです。従いまして新線建設に対しては、その手段を選ばずに、自分の方を最優先的にやつてくれろという運動がはげしくなつて来ることは、想像できると思うのです。そういう事態になりますので、この新線建設委員会が二十七名という大体満足すべき人数ではありますが、これがいろいろ特別な関係ができまして、非常な不正腐敗、伏魔殿のような状態になる、悪くすればこういう危険があると考えられるのですが、そういう点に対してどういう方法をもつて、そういう不正腐敗が起らないように予防するか、そういう点について提案者はどう考えておるか、御説明を願いたい。
  100. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど石野委員の御質問中にも、ちよつとそういうような点も触れられたし、今江崎さんの御質問は陳情あるいは建設線の争奪ということによつて、好ましからざる事態が起りはせぬか、こういう御質問でありますが、今まではそういう事例もずいぶんあつたようでありますし、そんなことは絶対に起らないということは、神ならぬ私で言い切れないのでありますが、私は少くとも両院で推薦される方は、人格的にりつぱな方が推薦されることであろうと信じまして、そういうような事態は起らないとかたく信じておるのでありますが、なおそういう疑惑を受けてもいけない、かような意味合いもありまして、第五条に審議会はほんとうに大所高所から日本の経済の発展と文化向上に資することを目的として、公正かつ合理的に審議決定すべし、かような条項を入れましたのも、もとはこの辺にあるわけであります。
  101. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 この二十七名の委員を見ますと、大体今の政治権力に直接間接に縁の深い人が選ばれるような組織になつていると思うのですが、これと逆に、たとえば国鉄の労働組合から選ぶといつたような、大衆団体から委員を選定することについてお考えはないのでしようか。それも今申し上げた伏魔殿になるということを防ぐ意味において、そういう点をお考えなつたことはないでしようか。
  102. 岡田五郎

    岡田(五)委員 労働組合または勤労階級から代表を選ぶか、こういう御質問でありますが、これは第六号に業種が一応規定してありまして、定員は六人ということで、一人余裕があるわけであります。その一人をすぐれたる識見と経験とを有する者という文字に該当させまして、労働組合関係、あるいは勤労者代表というようなものをお入れになるか、お入れにならないか、内閣においておきめになることと考えておる次第であります。
  103. 滿尾君亮

    滿尾委員 先ほど第五条に関し、原委員の御質問がありましたことに関連して、お尋ねをいたしたいのでありますが、公正かつ合理的にという字句について、鉄道の独立採算に関連さしての御質問のようであつたようで、それに対する提案者の御答弁がありましたが、私思いますのに、そのときの提案者の御答弁はたての一面であつて、第四条と第五条に関連させて読みますと、この審議会は自発的に動きますのは、第四条の第三項によつて建議ができる。建議いたしましたものはただちに審議会にかかるわけではない。必ず第一項の国鉄側の許可の申請か、あるいは第二項の運輸大臣建設命令か、この二つのうちのいずれかのルートによつてのみ、審議会は審議を開始するわけだと思うのであります。従つて第五条の「公正且合理的三審議決定スヘシ」ということの内容は、第四条第一項、第二項によつて審議会に付議せられました事案について、公正かつ合理的に審議決定する。従つてその線の全体につき、あるいはその線のいずれが優先になるかということを内容として、公正かつ合理的に御審議に相なるものと考えますが、提案者はどういうふうにお考えになつておりますか。
  104. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この第五条の問題でございますが、先ほどたまたま原委員から財源関係の御質問がありましたから、第四条の第三項を引用してお話申し上げたのでありますが、審議会の審議事項が、単に国鉄から建設認可をして来た場合に許可を與える場合の諮問と、それから運輸大臣命令をする場合の諮問というばかりではございませんで、先ほど石野委員からも御質問があつたと思いますが、敷設法の別表の改正、別表の再検討あるいはまた財源問題、その他私はこの審議会の審議事項を非常に広く解決しておるのであります。非常に広く重大なものを決定いたします場合に、公正かつ合理的に審議する、こういうことでありまして、先ほどあげられました四条の一項、二項も審議の一事例でございますが、第三項に基きます大幅な建議その他の事項についても、公正かつ合理的に審議をするようにと、かように考えておる次第であります。
  105. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 お尋ね申し上げます。先ほど石野委員からの質問に対しまして、代表からお答えがあつたわけでございますが、この予定線の中には未成線と予定線とあるわけですが、審議会におきまして答申をする際に、その未成線と予定線との間にハンデイキヤツプをつけておかなければならぬ筋のものがあると思うのですが、その点についてどうでしようか。
  106. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私は第四条の第三項に基きまして、審議会は現在の敷設法別表に定められました予定線の再検討、また別表に追加すること、あるいはまた別表にきめられた線のうち、どういう線を二十七年度なり八年度に取上げて行くべきかということを審議すべきだと考えるのであります。ことに敷設法の別表は、大正十一年以来いろいろな政治的勢力に基きまして、あるいは政友会予定線であつてみたり、あるいは憲政会予定線であつてみたり、また軍事上の目的で掲げられている線もあつたり、いろいろな関係が入つて予定線の別表ができておるかのように考えておるのでありまして、戦後のかわりました経済事情、いわゆる国情を勘案いたしまして、この敷設法の別表につきましても、全面的に再検討をすべきではないか、審議会において十分再検討し、またこの審議会の議決に基きまして、主管大臣に建議をすべきではないか、かように私は非常に広く考えておる次第であります。
  107. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 そうすると、別表に基きましていよいよ審議会が答申をする際には、あるいはまた新らしいまつたく別表にない路線について審議会が答申をする場合には、一応の手続としましては、予定線に繰込んだ上で仕事にかかるということにならなければならぬと思うのですが、その点についてはどうでありましようか。
  108. 岡田五郎

    岡田(五)委員 現在の鉄道敷設法に基きますと、この別表に入らなければ、日本国有鉄道建設できないということになつておるのであります。従いまして別表に追加する場合、審議会がいろいろ決議いたしまして運輸大臣に建議いたします。かようにいたしますと、運輸大臣敷設法の別表改正という法律案で、議会の審議を経まして、議会の議決を経た後においてこの別表中に掲上され、別表中に掲上されたものが実行に移される、かような段階になるものと考えております。
  109. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 もう一点お尋ね申し上げますが、国会におきましては、法律の体系の改廃等に権限を持つておるわけなんですが、そこでこの別表に関しまして、国会自体の動きでもつて、議員提案の形をもつて別表をわれわれが修正することがあり得る。その際に国会における権限と、審議会における権限との間の相違といいましようか、その点について御意見を承りたい。
  110. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この審議会ができましても、国会議員としての権利を抑制することはもちろんできませんし、国会議員としての権利はどこまでも厳存いたしておるのであります。従いまして議員提出で、鉄道敷設法別表改正というものが出まして、これが可決せられれば、当然法律として効果がございます。ただ私はこの審議会が、政府政府提案として別表改正を出す場合、その案をこしらえるもとをこの民間及び国会議員の代表から徴して出す、こういう政府提案に基く敷設法別表改正の場合の審議会である、かように考えておりますので、議院の立法権は当然嚴存し、また併存すべきであると考えておる次第であります。
  111. 原彪

    ○原(彪)委員 本法の第十一条に「本法二規定スルモノノ外審議会二関シ必要ナル事項運輸省令ヲ以テ之ヲ定ム」と書いてありますが、この審議会委員の顔ぶれを見ますと、二十七名のうち国会議員が十名、そのほか国会同意を要する者が八人、過半数は国会同意を要する者または国会議員でありますので、この委員会諮問機関ではありますけれども、この委員会できめられた決議事項というものは、非常に重要なものになつて来て、ほとんどこれは決議機関に異ならないものだと私は推定いたしております。そうしますとこんな大事な委員会であるならば、その議事の運営についても、条文にあげるべきが私はほんとうだと思うのです。これは一部改正法律案でありますので、そこまであげると冗長になるおそれがあると思つて提案者はお入れにならなかつたと思うのですが、この議事運営の規則と申しますか、内容というものは、どういう規則にのつとつてやるのか、一応承つておきたいと思います。
  112. 岡田五郎

    岡田(五)委員 議事運営の根本問題は、第九条にあげてありますように、委員の大体半数以上が出席しなければ議事を開いてはいけない、議事の決議出席者の過半数をもつて可否を決定するのだということで、根本問題はこの法律できめてあるわけであります。あとの、審議会の運営事項といいますのは、これはさ少な問題でございまして、事務局を何人くらい、どうするとかいう、まつたくささいなことでありまして、かようなことは、むしろ省令に壤ることが――ほかの審議会においてもさようでございますが、立法上当然とる手段ではないか、かように考えておる次第であります。
  113. 原彪

    ○原(彪)委員 もう一つは、この委員の資格に該当するような費用弁償というような問題は、どういうふうにされますか。
  114. 岡田五郎

    岡田(五)委員 実は今運輸省におきまして、運輸審議会の調査費といたしまして、大体千百万円ばかり持つておるわけであります。そのうち大体百二、三十万円を一応本年度のさしあたりの分といたしまして、この鉄道建設審議会の費用として予算の流用をすることに、大蔵省及び関係方面の了解を得たような次第でございます。
  115. 前田郁

    前田委員長 ほかに質問はございませんか。――質疑がなければ、これにて本案に対する質疑は終了いたしまし  た。  本案に対する討論は、これを省略するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 前田郁

    前田委員長 御異議がなければさよう決します。   これより鉄道敷設法の一部を改正する法律案につき、採決いたします。本案を原案通り決定するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  117. 前田郁

    前田委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決いたしました。  なおお諮りいたします。本案及び先ほど修正議決いたしました法案に対する委員長報告については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  119. 前田郁

    前田委員長 次に、戦時中政府が買収した鉄道壤渡に関する法律案議題といたします。質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。岡田五郎君。
  120. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この法案につきまして、私、四、五お尋ね申し上げたいと思います。本法案の第一条に「政府が昭和十八年及び昭和十九年に今次の戦争の必要に基いて地方鉄道会社から買収した鉄道」かようになつておるのでありますが、昭和十八年以前に、いろいろ鉄道を買収して来られたと思うのでありますけれども、大体昭和年次、どのくらい買収されたか、一応政府委員から参考資料といたしまして御説明をいただきたいのであります。
  121. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 今次の戦争の範囲でございますが、太平洋戦争ということに考えませんで、日華事件以後ということに一応考えてみますと、昭和十二年には信濃鉄道、すなわち松本、信濃大町間、それから芸備鉄道、すなわち広島、備後十日市間、横荘鉄道、これは秋田でございますが、前郷、羽後本庄間、それから北九州鉄道、博多から唐津を経て伊万里に参ります。この四線を昭和十二年に買収いたしております。それから昭和十六年に、富士、甲府間の富士身延鉄道八八・一キロ、それから白棚鉄道、これは戰時中に撤去いたしまして、いまだに復元しておりませんが、白棚白河から盤城棚倉に行く鉄道で二二・三キロ、それから新潟臨港開発鉄道、上沼垂、新潟港間三・八キロでございますが、その埠頭線も合せて買収いたしました。それから留萌鉄道三・三キロで、同じく石炭荷役設備も合せて買収いたしました。それから以後は昭和十八年でありまして、御提案になつております法律の対象となるかと考えるのでありますが、昭和十八年には、北海道、鶴見臨港、富山地方、伊那、三信、鳳来寺、豊川、播州、宇部、小田野、小倉、産業セメント鉄道、この十二線を買収いたしております。十九年には、胆振縦貫、宮城電鉄、南部、青梅電気、奥多摩電気、相模、飯山、中国、西日本、南海大和線、これは現在の阪和鉄道でありますが、この本線を買収いたしております。
  122. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今承りますと、昭和十八年前も歴年相当地方鉄道を買収されたようでございますが、その当時の買収手続と根拠法律でございますが、それと、戦争中買収されたときによられました手続と法律が違つておるのかどうか。違つておるとすれば、どういう点で違つておるのか。その戦争前と戦争中の買収線における買収の経過につきまして、一応政府委員から参考のために御説明を願いたいのであります。
  123. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 ただいまの御質質の点でございますが、十八年、十九年の買収の根拠法規並びに手続は地方鉄道法に基いておりますが、それ以前の分も同じく地方鉄道法に基いておりまして、その間の根拠法規並びに手続には何らの差異もないと私承知いたしております。
  124. 岡田五郎

    岡田(五)委員 そういたしますと、買収の根拠法規は戦争前と戦争中と同じであつた、こういうお話でありますが、その買収代金の支拂いあるいはその他について、何か戦争前と戦争中と違つた事例があつたのでありましようか。政府委員に参考のためにお尋ね申し上げる次第であります。
  125. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 代金の支拂いにつきましては、普通交付公債によつておりまして、これは買収の前後もかわりございません。ただ古くは現金交付による買収鉄道の例も数会社ございますが、これは例外であると思います。あとはほとんど全部交付公債によつておりまして、ただいま申し上げました鉄道は、いずれも交付公債によつておるものと記憶いたしております。ただこの交付公債は、実ははつきり事実を記憶いたしておりませんので、後ほど調べましてお答え申し上げたいと思うのであります。例の戦時中のインフレ防止政策の一環といたしまして、登録制度をとられまして、普通の場合に比較して、融通性が制限された時代がございます。これはたとえば、それ以外にも当時の論功行賞の資金公債等も、同じような方法がとられておつたかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、さような措置がとられた時代が、戦争の末期にはございました。どの会社の分がそれに該当いたしておりますか、あるいはすでに交付いたしました公債がそれに転換、登録制に統制されたのであるかという点は、実はただいまはつきり記憶いたしておりませんが、そういうことはあつたのでございます。それ以外には何ら買収前後においてかわりはないと考えております。
  126. 岡田五郎

    岡田(五)委員 そこで提案者お尋ね申し上げたいと思いますが、第一条に「今次の戦争の必要に基づいて」書いてあるのでありますが、今政府委員の御説明によりますと、戦前といえども戦時中といえども、買収の根拠法規は同じであつた、また金の支沸いも大体大してかわりはない、かように参考資料といたしまして御説明を聞いたのでありますが、御承知のように鉄道は、平時におきましては平和的な経済機関であります。戦時においてもまた国力の一環をなしております性質上、経済機関であります交通機関の本質から行きまして、また軍隊輸送あるいは鉄道輸送をやるのであります。また戦時の、その当時の模様から見ましても、国民はすべて国力の一部といたしまして、いわゆる人的資源といいますか、戦力の基礎をなしたものであります。戦争中におけるあらゆる日本の機関が、戦争の必要だと言えば言い切れるのであります。かような交通機関の本質、また戦時中における特殊な事態から考えますと、私は昭和十八年、十九年の鉄道の買収は、必ずしも戦争の必要のために買収したと考えないのでありますが、この点について提案者の御説明を願いたいのであります。
  127. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。岡田委員の御質問に対しまして、先ほど政府委員より、それらに関する参考資料に基き御答弁があつたので、私も聞いておりましたが、私が申すまでもなく昭和十八年、十九年の戦争は、国を賭しての戦争であつたことは、百も御承知の通りであります。従つて戦前あるいは戦争中、あるいはこの両年にわたつての買収関係法律が、ほとんどかわつていない法律によつて行われておるから、そういう御懸念もある、こういうようなことでございますけれども、先ほど申し上げました通りこの十八年、十九年は国をかけての大戦争でございまして、国の運営あるいは戦争の遂行ということについては、全力を集中したかと思うのであります。従つてそれらの法律に、戦争遂行上必要な国家の総力というか、そういうものが集中して、このようなことに相なつておるのではないか、私はかように考えまして、十八年、十九年において鉄道を買収いたしましたのは、当然戦争遂行のために買収されたものであると考えておる次第であります。
  128. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど政府委員から、戦争前数年間の買収の実例を示されたのでありますが、私寡聞でありますが、日本国有鉄道が始まりまして以後歴年とは言いませんが、年を追つて毎年々々地方鉄道を買収いたしまして、国有鉄道としての整備を続けて参つたのであります。戦争中における鉄道輸送力の整備強化という見地から行きまして、たまたま昭和十八年と十九年における買収線の数及びキロ数が多かつたというだけであると私は考えるのであります。ことに根拠法規が戦時立法によらないで、地方鉄道買収法という平時立法に基いて買収されておるのであります。かような経過から見まして私は、今次戦争の必要のために買収した、こういう表現、またかような考え方について多少疑念を持つておるのでありますが、重ねて提案者の御説明をお願いいたしたいのであります。
  129. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。先ほども御答弁いたしましたように、この昭和十八、十九年の両年にわたるところの買収に関しましては、あくまでも戦争を遂行する目的のために買収されたもの、かように私は考えております。
  130. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この点につきましては、せつかく日ごろ敬愛する同僚委員坪内提案者といつまでも見解が相違するので、質問はこの程度にとどめまして、次に移りたいと思うのであります。  提案者も御承知のように、最近日本の国有鉄道は非常に輸送力不足のために、今二百万トンも滞貨を持つておるのであります。しかも日米協力その他の関係から行きまして、日本の経済はもう復興から安定へ、むしろ繁栄へと向つておるのであります。この鉄道輸送力が不足し、また輸送量がふえる場合に、国有鉄道として一貫的に輸送することが、輸送能率を最も向上させ、旅客及び荷主に対して利便を與えるとともに、国家繁栄のために最も好ましい形ではないか、このときにあたつて何を好んで国有鉄道のこの手足をばらばらにしなければならないか、ばらばらにした場合に、はたして日本の国全体の輸送力が上るものであろうかどうかということにつきまして、非常に私は疑念を持ち、非常に杞憂いたしておるのであります。この点につきましての提案者の御見解を承りたいのであります。     〔委員長退席、大澤委員長代理着席〕
  131. 坪内八郎

    坪内委員 私は岡田委員とは逆に、かえつてこの法律案の通過によつて、それぞれの関係会社が申請をいたしまして、元通りの姿でこれを運営するということになりますと、一層現在よりも輸送力が強化して能率が上る、かように考えている次第であります。
  132. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この点についてもまた見解の相違で、いつまでも解決がつかないと思いますが、おそらく私は、これらの地方鉄道は、貨車にいたしましても電車にいたしましても、十分に保有することはできないと思います。具体的に貨車につきましても、相当多数省の貨車を入れてもらわなければ、この支線の沿線の荷物は運び切れないと思うのであります。それがもし別世帯になれば、国有鉄道はおそらくそれほど狭量ではあるまいと思いますが、国有鉄道にもたくさんの人間がおりまして、一旦支線になつた以上は、省の車も入りにくいというような結果が、具体的に現実に各線において起り得ることを、鉄道経験から徴しまして非常に杞憂いたしております。私は、ばらばらにしたがために、日本の国全体の輸送力がマイナスになるということをかたく信じでおるのでありますが、かような懸念はほんとうの杞憂であるかどうかということを、ひとつ提案者から承りたいのであります。
  133. 坪内八郎

    坪内委員 岡田委員の御懸念は、まつたく私も同感な点がございますけれども、この法律案につきまして、ただいまの御質問にありましたように、国有鉄道をばらばらにするという考えのもとに、われわれはこの法案を提案しておるのではないのでありまして、提案理由にも説明してありますように、戦争中に政府が買収したその路線を、元の姿の関係会社並びにこれに関連の深い会社に拂い下げまして、その企業の創意とか、努力あるいはその他の合理的な運営によつて、一層今日の輸送力の強化をはかろうというのがねらいでございまして、この法案によつて国鉄がばらばらにされるというようなことは、まつた考えていないのでございまして、むしろわが国の国家輸送力にかえつてプラスになるというような建前で、この法律案を提案いたした次第であります。
  134. 岡田五郎

    岡田(五)委員 実は私も二年前は、この戦時中政府が買収した鉄道の拂下げにつきましては、一応賛意を表したのであります。ところが先ほど申し上げましたように、二年後の現在における交通状態は、二年前とまつたく雲泥の差があるほどかわつておるのであります。二年前は鉄道においては輸送力も余つておりました。また輸送力を発揮するために石炭を買おうと思つても買えなかつたというような事情から行きまして、買収前の輸送力に比較いたしまして、買収後の最近における輸送量は非常に減つてつたのでありますが、最近のこの買収線における輸送状況をいろいろ見ますと、決して戦前買収前の私鉄の経営当時と輸送量はかわつてないのであります。かような事態から行きまして、私鉄に拂い下げても、はたして私鉄がより以上に効率的に、より以上に輸送量をふやすということは、私には考えられない。かような意味をもちまして、現在におきましてはこの法案につきまして、多少の疑義と疑念と危惧を持つておりますがゆえに、いろいろと質問を申し上げておるのであります。かようなことにつきましては、提案者またいろいろ意見の相違がありまして、いつまでたつても解決がつかないと思うのでありまして、次の質問に移りたいと思います。  この法案を見ますと、この旧所有会社またはこれと密接な関係のある会社等に譲渡させる、こういうことがありまして、具体的に申請権者といたしまして第二条の第四号がこの等に入ると思いますが、「その他の会社であつて鉄道事業経営の能力があり、且つ、その経理的基礎が確実なもの」、こういうことで等が入つております。この法案をざつと見ますと、戦時中非常にむごたらしい買上げ方をしたからといつて、元の所有者に返してやるのだというお気持がみなぎつておるのでありますが、この第二条の四号に、全然元の所有者でもなかつた、所有者に関係もなかつたというような会社が、会社経営の能力があるからといつて申請権者としての特権を授けられるのであります。しかもあとにいろいろと特権条項がありますが、何がゆえにこの所有者に関係のない人までが、かような特権を受けなければならないか、この点につきまして提案者の御説明をお願いいたしたいのであります。
  135. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。提案理由にも説明してありますように、この拂下げをする対象になる会社は、元買収された会社、並びに今お話のあつた関係のある会社ということに相なつておるのでありますが、この最後的な決定は、御承知のごとくそれぞれの会社運輸大臣に申請をして、しかして運輸大臣が最後的決定をすることに相なつております。しかもその決定をする大臣の考え方には、多分に運輸審議会の愼重な審議の結果の意見を参考として決定することは、御承知の通りであります。従つて第二条第四号によるところの、この買収に関係のないような会社もこれに入れるということは、どうかというようなお話でありますが、戦時中買収された会社にありましても、当然これは申請をしない会社もありましようし、また当然申請する会社もありましようし、さらにまた戦時中この会社を持つてつたものも、その後の経済事情の変化その他によつて経営能力がなくなつたものもあろうし、そういう関係からいたしまして、そういつた直接の関係会社のみにこれを拂い下げるということよりも、広く国内の輸送力の強化、あるいはわが自由党の自由主義経済の建前から行きましても、こういつた面で広くそういつた分野を広めて、そうして鉄道事業経営に真に能力あるものにこういつた面を担当させて、その輸送力の強化をはかることも当然ではないかというような関係から、このようなことに相なつたのでありますけれども、この決定にあたりましては、先ほど申し上げました通り、大臣が最後的決定をいたしますけれども、その決定に先だちまして運輸審議会の意見も十分尊重してこれを決定いたしますので、私はいろいろな点においてそういつた懸念は生じて来ないという考えを持つているのでございます。
  136. 岡田五郎

    岡田(五)委員 提案者の御説明は、私まだすつきり納得できないのでありますが、この条文のあとの方をずつと見ますと、買収価額の支拂いにつきましても、公共企業体、地方公共団体と同じように五年間延納してもよろしいというような、恩典的な規定もあるのであります。また運輸大臣がきめればどうしても買わなければならぬ、拂い下げなければならぬというような規定がある。これは戦時中非常にむごたらしい買い方をされて、元の所有者に返してやるのだという恩恵的な気持ならば、ある程度こういう規定の適用につきましても納得できるのでありますが、何ら戦争中に所有者でもなかつた、何ら関係がなかつた、ただ鉄道事業経営の実力があるからという理由だけで、このものにかような恩典を與えることそれ自身が、私は非常に矛盾しておかしいと思うのでありますが、その点につきましての提案者のお考えをお聞かせ願いたいのであります。
  137. 坪内八郎

    坪内委員 これを譲渡するにあたつて関係会社にある特典を與えているという点と、それから一度これを拂下げ、譲渡することが決定されたならば、それを引取らなくてはならないということに相なつているが、その点はどうかという御質問であるように思います。  第一点につきましては、すでにこの買収関係につきましては、当時の事情はまつたくただ同様に、この路線政府に接収されましたことは、岡田委員も御承知の通りでございまして、その後の関係会社の経営、あるいは経理上の問題、あるいは財政上の問題につきましては、まつたく無一物になつたと言つても私は過言でないと思います。従つてこの拂下げを受けるにあたりましては、価格は相当額に上りますので、そういつた関係会社の財政面も、当時の客観的な情勢とにらみ合せて、親心を加えてやろうということの方が、私はむしろこういつた民間会社を育てて行く上において、必要な措置ではないかと考えている次第であります。  さらにまた第二点のお尋ねであるところの、この譲渡が決定いたしましたならば、いやがおうでもこれを引取らなくてはならないのではないかというような点でございますが、この点につきましては、この譲渡が決定いたします前に、それぞれの会社は当然それらの経営上の能力その他も、あらゆる角度から十分検討を加えまして申請をし、決定を見るのでございまして、譲渡された、それを自分はとらないというようなことは生じて来ないと私は考えておりますので、その点の懸念はないと考えている次第であります。
  138. 岡田五郎

    岡田(五)委員 提案者お尋ね申し上げたいのでありますが、この立法の根本的な考え方は、元の所有者に返してやるのだというお気持なのか、それとも戦争中国有鉄道が戦争の必要のために買収したのだから、要するに戦争という罪悪を行うために行われたのだから、この戦争中に買収した鉄道は何でもかんでも元の所有者、でなければほかの会社に拂い下げて、国有鉄道からほうり投げてしまうのがほんとうだという道義感から出ているのか、その辺をひとつお尋ね申し上げたいのであります。
  139. 坪内八郎

    坪内委員 この提案理由の中にも、ちよつとその点について触れていると思いますが、この拂下げは、もちろん当時の関係会社に拂い下げてやろうというような趣旨でもありますけれども、さらにそれより飛躍いたしまして、この拂下げ法案関係地方の交通の利便、いわゆる公共福祉に甚大な利益を與える、従つてこれを拂い下げることが地方の住民の交通上の利便にもなり、あわせて公共の絶大なる福祉になるという建前で、この法案を提案いたしておりますので、その両面があろうかと思うのであります。
  140. 岡田五郎

    岡田(五)委員 現在の国有鉄道の各支線を見ますると、ほとんど損をしている線でありまして、もうけているのは山陽線、東海道線、主要幹線でもうけまして、支線で損をしているというところに、国有鉄道のいいところがあり、また国有鉄道の存在の価値があると思うのであります。こういう第四号を加えますならば、もし国有鉄道で損をしている支線、営業計数の悪いところは、どんどん拂い下げてしかるべきではないか、かように私は考えるのでありまして、この第四号が入りましたために、せつかくのりつぱな法律が、非常におかしげな形になつていると私は考えるのであります。  かような意味から行きまして、これもまた意見の相違で終りますが、次にお尋ね申し上げたいのは第七条であります。第七条は、大体運輸大臣審議会に諮つて拂い下げるということにきまつた以上は、国鉄は拂い下げなくてはならぬ、また拂下げ申請者はその価格にたとい不服があろうが、異議があろうが、拂下げを受けなければならぬ、運輸大臣の決定をもつて譲渡契約が成立したものとみなす、こういう意味の条文になつているのでありますが、私のおそれることは憲法違反になりはせぬか、かように考えるのであります。憲法の二十九条に「財産権は、これを侵してはならない。」とあつて、第三項に「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」というような二十九条の条文から照しまして、どうもこの法律が憲法違反になるのではないか、かように私は疑念を持つているのでありますが、この点について、提案者に法理的な解釈をお聞きするのもどうかと思いますが、一応御説明願いたいと思います。
  141. 坪内八郎

    坪内委員 法律上のことは、私専門家でないのでよくわかりませんけれども、かつて私どもが法律を習つたときにおきましても、この二十九条におけるところのいわゆる私有財産権に対する文案につきましては、私は憲法違反にならないと考えております。何となればこの法案提出した理由は、先ほど私が申し上げました通り、もともと買収された会社にこれを拂い下げてやろうというねらいのもとに出されたことが、その一つの要点ではございますが、しかしながらこの鉄道拂下げによつて、絶対関係地方の公共福祉のためにこれを拂い下げることが妥当であるというような観点に立つておりますので、憲法第二十九条におけるところの「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」という条項に、われわれの法案はまつたく一致している。かような観点から憲法違反にはならないと私は信じているものであります。
  142. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この点は私非常に疑義を持つているのでありまして、できれば衆議院の法制三部長並びに法務府の法制意見長官をお呼び願いまして、法律的に憲法違反にならないかどうかという点を、明らかにしていただきたいと思うのであります。  次にお尋ねいたしますことは、かような運輸大臣の決定に基いて、いわゆる公法上の行政処分に基いて即民法上の、商法上の、司法上の契約が成立したものとみなすというこの法律が、はたして私はいいものであるかどうかという点について、非常に法律的に疑義を持つておるのであります。この点につきまして、提案者の御説明を願いたいと思います。
  143. 坪内八郎

    坪内委員 法律上の解釈につきましては、私も専門家でないのでわかりませんが、運輸大臣のこの決定にあたつては、先ほども御説明申し上げました通り運輸審議会の愼重な審議の結果の意見も聞き、さらにまた運輸審議会はそれぞれ申請してきた関係会社のあらゆる財政上の問題、あるいはこれを運営するに値するところの能力があるかどうか、あらゆる角度から愼重に検討を加えまして、最後に運輸大臣がこれを決定いたしますので、そういつた御懸念はないと提案者といたしましては考える次第であります。
  144. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私はこれは国民の権利、義務に関する非常に大きな法律上の問題であると考えるのでありまして、提案者の説明についてははなはだ遺憾ながら満足いたさない。ことにこの拂い下げ申請者は、申請する場合に、この法律によりますと、何ら拂い下げてもらいたいという価格は記載しない。拂い下げてもらいたいものが、なんぼで拂い下げてもらいたいという価格の申請もしないのに、運輸大臣が上の方で決定して、これで御下げを受けなくてはいかんぞ、こうきめてしまうことは、私は非常に権利を侵害するものであると痛感するのであります。従つて私は、政府並びに衆議院法律の専門家の最高権威を呼んでもらつてこの点をはつきりしていただきたい、かように考えるのであります。  次にお尋ね申し上げたいのでありますが、第八条の二項であります、先ほども質問のついでにお話し申し上げたのでありますが、この国有財産法三十一条という場合に、国の附属財産を拂い下げる場合には、大体現品を受取ると同時に金を拂わなければならない。但し社会事業を営む団体あるいは公共団体あるいは教育関係事業を営む団体、いわゆる公共性の非常に強い国の団体に対しまして、支沸いの猶予がきめられておるのでありまするが、何がゆえにこの地方鉄道の買収されたものにまでも、そのような恩典を浴させなければならないか。ことに先ほども御質問申し上げましたように、第二条の旧所有者でもないし、また旧所有会社と全然関係のない単に鉄道事業経営の能力かあるからといつて申請したものに対しても、現金の支拂いを地方公共団体、または教育及び社会事業を営むかような団体と同じように、恩典を浴させなければならないか、その真意はいずこにありや、一応提案者の御説明を願したい。
  145. 坪内八郎

    坪内委員 私の答弁の不十分は堤専門員にお答えさしていただきたいと考えますが、第八条の第二項によつてそういつた直接関係会社、あるいは関係のない会社でも拂い下げることになつておるから、そういう特典を與えることはおかしいじやないかというような意味の御質問であろうと思いますが、先ほども申し上げました通り、この買収の当時は御承知の通り、ほとんど政府が時の客観情勢に基いて、強硬にこれを断行して、まつた会社は――もつとも登録公債によつて公債をもらつたということもありましようが、その後の経済情勢の変化、あるいは現金が封鎖になるとか、ああいつた金融措置によりまして、まつたく無一文になつたというような関係もありますので、これの譲渡の代価の支沸いにつきましては、十分そういつた点も勘案して、親心をもつてこれに報いてやろうというのがねらいであります。さらにまたそういつた関係会社はこれでもいいけれども、これに直接関係のないものでも、こういう支沸いの関係において、いろいろ特典を認めるというのはおかしいじやないかということにつきましては、岡田委員に私どもも同感の点がありますけれども、直接関係のない会社が、たとい鉄道事業経営の十分なる能力があるといたしましても、申請を受諾し、これを運輸大臣が決定するにあたりましては、これをあらゆる角度からそれぞれの機関に諮つて決定を見るということに相なりますので、私はかようなことが行われない、政府においていずれもこういつた決定を従来の会社にも認めるというようなことは、運輸大臣の責任において私はなされないと考えておるのであります。従つてこの法案によつて申請をするには、こういつた直接の関係会社でないものでも、あるいは申請手続をするであろうと思いますけれども、大体のそういつた申請者は、ほとんど多くの関係会社に集中されるもの、かように考えておる次第でございます。
  146. 岡田五郎

    岡田(五)委員 鮫島第三部長がおいでになりましたから、まず第六条の質問に返りましてお尋ね申し上げたいのでありますが、この第六条の条項は、憲法の二十九条違反にならないかどうかということにつきまして、鮫島部長から一応お聞きしたいと思うのであります。なおはなはだ鮫島部長に申訳ないのでありますが、法務府の法制意見長官にもまた同じ問題につきまして御質問申し上げたいと存じますので、その点鮫島第三部長に一応御了解を得ておきたいと思います。さしあたり法制第三部長に御意見を承りたいと思います。
  147. 鮫島眞男

    ○鮫島法制局参事 ただいまお尋ねの点は、第七条が憲法違法ではないかというお尋ねと解しまして、そういうつもりでお答えいたします。第七条によりますと、運輸大臣が申請になりました鉄道を譲渡すべしという決定をしまして、その告示がありますと、国鉄と申請者との間に運輸大臣が決定をいたしました内容と同一の内容の譲渡契約が成立したとみなされる。そうしてその契約の内容に従いまして、国鉄は問題の鉄道を譲渡し、また譲り受け人は当該鉄道を讓り受けなければならない、こういうふうにあるのでございます。そこで問題を二つにわけまして、国鉄の側につきまして、国鉄の意思に関係なく運輸大臣が譲渡の決定をいたしまして、そうしてその決定に縛られて国鉄が譲渡することが、憲法違反ではないかという点が一応問題になるわけでございます。御承知の通り国有鉄道公共企業体でございます。その国鉄の成立のいきさつから申しましても、それは政府の行つている事業ということを、広い意味からは申し上げていいのではないか。一つ公共企業体でございまして、その国鉄の持つている財産は、一般国民の持つている私有財産とは、国鉄の成立の過程から申しましても、性質を異にするのではないかということが申されるのであります。それから今度申請者が鉄道の譲渡を申請いたしますのは、この法律案の第一条にもございます通り公共の利益に合致する場合でなければならないのでございます。もちろん国鉄が問題の路線をただいま経営しておるのでございまして、それももちろん公共の利益に合致するのではありますが、第一条にうたつておりますのは、その申請者に譲渡いたしまして、申請者に経営さして行くことが、現在の国鉄が経営している場合よりも、より公共の利益に合致する場合に限つて譲渡いたすのでありまして、そういう意味から申しまして、国鉄運輸大臣の決定に従つて譲渡しなければならないというのは、憲法二十九条の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」という規定にまさしく合致するのではないか。正当な補償ということにつきましては、第五条におきまして、運輸大臣が譲渡の価格を公正妥当に決定するとございますので、この憲法二十九条の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」この規定の精神から申しまして、何ら違法ではないのではないか、こういうふうに考えるのでございます。  それから申請者の側でございますが、申請者の側につきまして問題になりますのは、おそらくその申請者が考えておりました値段よりも、非常に高い値段がきまつた、そういう場合にその譲渡を受けなければならないということは、申請者に対して無理をしいるものではないかというようなことが、問題になるのではないかと思います。その点につきましては、まず申請人が申請いたすますときには、法律規定によりまして申請している。従つて法律の条項に従いまして、値段は申請人の言う値段できまるのではなくて、第五条によつて運輸大臣が決定する価格で決定される。それからまたいやしくも譲渡が決定されるならば、申請人の方ではそれを引受けて経営しなければならぬという義務が、第七条の規定にあるのだということを前提といたしまして申請しておるのでございますから、その点から申しましても、申請人に無理をしいるということは、法律的にはないのではないか。それからもう一つ運輸大臣が譲渡すべきかどうかということを決定いたします際におきましては、第四条の第三項にもございますように「当該鉄道の位置、利用状況、収支の状態その他諸般の事情を考慮し、当該鉄道を譲渡することが公共の利益に合致し、且つ、第一条第一項の目的を造成するかどうかを判断して、決定しなければならない。」こうなつておるのでございます。従いまして運輸大臣は譲渡を決定するにつきましては、まず第五条の規定によりまして譲渡価額を公正妥当に決定する。そうしまして運輸大臣が決定した価額によりまして申請人は、はたして譲り受けの能力があるかどうか、また運輸大臣が決定した譲り受けの価額によつて譲り受ける意思があるかどうか。それから今申しましたように、譲り受ける意思はあるが、もちろん譲り受ける能力、資力があるかどうか。それからまた譲り受けた場合に、将来にわたつて鉄道の経営を順当に経営して行けるものかどうかというようなことを、当然判断することになるのではないか。もしそうでございませんと、たとえば運輸大臣の決定した額によつては、申請人はとても買えない。買う意思がない。あるいは買う意思はあつても、買う資力がないというような場合に、それにもかかわらず譲渡いたすようなことがございますと、かえつて鉄道の経営ができなくなることになりまして、譲渡することかえつて第一条の目的に反することになりますので、そういう場合にはむしろ譲渡すべからざるものというように決定いたすわけでございます。いやしくも運輸大臣が讓渡の決定をいたします場合には、第四条第三項の規定によりまして、今申し上げましたように申請人は買う意思があり、また買う能力がある。また将来にわたつて経営して行くことができるということを判断した上のことでございます。従つて運輸大臣が決定しまして、それに従つて申請人が買つて行くということは、申請人の意思にごうも反するような結果は招来しない、こういうような考えのもとにこの第七条をつくつたのでございます。
  148. 岡田五郎

    岡田(五)委員 憲法第二十九条の違反にならないということでございまして、一応わかつたのでありますが、ただお尋ね申し上げたいことは、かような公法に基く運輸大臣の行政行為が、即民法上といいますか、商法上の契約が成立したものとみなすというような事案がほかにありますか。私聞くところによりますと、戦時中の総動員の法案にいたしましても、一応商法なり民法によるべき条項に讓られておるというように私は考えるのであります。法律については私はしろうとでございますが、運輸大臣のこの行政行為が、即民法上の契約成立とみなすというところに、私は非常に飛躍をしておると思う。私は今後法律の秩序を乱しはせぬかということを、非常に懸念するのでありますが、この点ひとつ明快に御答弁願いまして、おそらく私は法律学界で大きな課題を残す問題になるだろうと思うのであります。こういう意味におきまして、法制局第三部長の明快なる御意見を承りたい。ことに私は頭が悪いからよくわかりませんが、過去にこういうような事例がありましたら、具体的にわかりやすく私たちの頭に人れさしていただきたい、かように考えます。
  149. 鮫島眞男

    ○鮫島法制局参事 先ほど御説明の中で少し漏れたのでございますが、憲法二十九条の三項の規定によりまして、土地収用法という法律があるのでございます。この土地収用は、公共の利益のために財産を収用するという法律でございますが、その場合はもう契約という観念ではございませんで、当然所有権が移つて行くという建前になつておるのでございます。本件の鉄道買収自体も、地方鉄道法によりまして国の一方的な買収ということから生じた現象でございますが、それ以上に土地収用の場合には、契約の観念を用いないで、ただちに原始的に所有権が移つて行くということになつておるのであります。本件はその土地収用の場合の精神も逆に行つたわけでございますが、ただそういう収用のようなかつこうで行くのは、今岡田議員のおつしやいましたように、あまりにも行き過ぎのようなところがございますので、そこに契約理論を借りて来たというのが、この契約で行つた趣旨でございます。何か事例があるかということでございますが、これは政府の方で当事者にだれだれに譲渡せよという譲渡命令を出しまして、それに服しない場合に、その当事者間に裁定をする。裁定した結果、当事者の間にその契約が成立するという建前は、この新憲法のもとにもあるのでありまして、この譲渡の場合はもう少し調べてみないとちよつと持ち合しておりませんが、たとえば使用権の設定というのは、漁業法の中にもあつたと思いますが、当事者の中で使用権の設定について話合いがつかないときには、国務大臣が裁定する。裁定すると、そこで当事者の間に使用権の設定の契約が成立するという規定があつたように思いますが、全然そういう当事者の意思にかかわらないで、契約が成立するという例はないわけではないと思います。
  150. 岡田五郎

    岡田(五)委員 鮫島第三部長からの法律的解釈についての御説明はこの程度にいたしまして、提案者お尋ね申し上げますが、もし拂下げ申請者が値段が高いということで、この契約を履行しない場合はどうなるのですか。この法律には何もないようでありますし、何か提案者にその点お考えがあるのでありますか、お尋ね申し上げます。
  151. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。この路線の拂下げ申請をするそれぞれの会社は、もちろん所管大臣たる運輸大臣の責任ある決定を十分考えておるでありましようし、さらにまた合理的に、あらゆる角度から愼重に審議してくれるところの運輸審議会の決定も尊重いたすでありましようし、それに対して十分信頼はできましようけれども、そういう観点から決定された価額あるいは決定された譲渡に対して、異議あるいは、不服を申すということは、私はないと思うのであります。それらの点を十分勘案して、初めて拂下げの申請をするものであろうと思いますので、さような結果にならないと信じておる次第でございます。
  152. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私がこの点非常に懸念いたしますことは、第三条に、拂下げ申請者が譲渡を申請する場合には、その運輸計画だとか、運送営業上の収支概算とか、いろいろな表をつけて出すことになつておりますが、値段のことは上つていない。ことに譲渡を受ける、拂下げを受けるということは、民法上の売買であります。その売買の重要な要素である買いたいという値段も申請書につけないということは、私は大きなる欠陥であると考えます。これは公共の利益の増進ということで、拂下げ申請者が拂下げを受ける義務をこれに課せられておる。国家的な義務を課せられると思うのであります。もしかような国家的な義務の不履行の場合には、これを処罰するのが当然でありまして、かような公共の利益のために拂下げを受けなければならぬというなら、その義務に違反する場合は、罰則がなければならない、かように考えるのでありますが、この罰則については何もない。またそういうことは全然起らない、こうおつしやいますが、第一幾らで拂い下げてもらいたいと言いもしないのに、運輸大臣がきめた値段で拂下げを受けなければならぬということは、私は少し人権を蹂躙しているのではないか、かように考えるのでありますか、その辺に対するあなたの御意見を承りたいと思います。
  153. 坪内八郎

    坪内委員 御説ごもつともな点がございますが、私どもは次のように考えておる次第でございます。この鉄道の拂下げを受ける会社は、鉄道関係の運営についてのしろうとではないのでございまして、当時この鉄道を十分合理的に運営いたしまして、過去においても相当の経験がある、いわゆる運営能力のある会社であるのであります。それらの会社が、この法律の第三条第二項の規定に基きまして、企業目論見書並びに会社の定款、譲渡の申請書をそれぞれ添付いたしまして、拂下げを受けることに相なるのでありますけれども、それにつきましての価額が、ほぼどのくらいで買うというような予想もなくて申請するのは、おかしいじやないかということにつきましては、ごもつともな点もございますけれども、この鉄道が買収された当時の事情と今日の事情におきましては、貨幣価値あるいは経済情勢、あるいはそういつたいろいろな経済的な問題もありましようし、さらにまたこれを申請するにあたりましては、それらの見積り価額と申しましようか、譲渡価額と申しましようか、そういつた見込みの価額も参考に添えて、申請をするということに相なつておりますので、その点も十分運輸審議会なりあるいは運輸大臣が勘案いたしまして決定を見るであろうと思いますので、その点無理な決定ではなかろうと信じておる次第であります。
  154. 岡田五郎

    岡田(五)委員 法務府の法制意見長官お尋ね申し上げたいと思いますが、戦時中政府が買収した鉄道の譲渡に関する法律案の第七条についてお尋ねを申し上げます。先ほど衆議院の法制局第三部長から、一応の御説明を聞いたのでありますが、第七条が、一応憲法二十九条の違反にならないかどうかということと、もう一つ運輸大臣の決定という行政行為に基いて民法上または商法上の契約が成立したものとみなすという、こういう法律体系がいいものかどうか、意見長官の御意見を率直にお聞かせ願いたいと思います。
  155. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私どもの立場といたしましては、立案の過程を存じませんが、ただいまこの案を拝見いたしましての所見を、お尋ねに従いまして申し述べたいと存じます。御指摘の第七条を中心として生じます問題としては、申請者側に対する関係の問題と、それから国有鉄道側に関しての問題と、二通りあると思うのであります。おそらくお尋ね趣旨は、憲法二十九条ということからいたしまして、まず第一に、国鉄側の一種の財産権というようなものの関係をめぐつて、御議論があるのではないかというふうに存ずるのであります。私もその疑問を持つて拝見いたしたのでありますが、この憲法の二十九条の主としてねらつておりますのは、申すまでもなく、公の権力によつて私有財産が侵害されることのないようにという点が、重点になつておると思うのであります。ところが飜つて今度の案に出ておりまする国有鉄道の財産を、いわば一方的に強制的に譲渡させられるということは、その観点からどういうことになるだろうかということになるわけでございますけれども、この国有鉄道という公共企業体の性格を見ますと、国有という文字の上にも出ておりますが、これはいわゆる完全国有の公共企業体などといわれており、全額出資で、いわば政府の特別会計法人格が與えられておるというような性格を持つているというふうに言い得るだろうと思うのであります。そういう観点から見ますと、国有財産そのものを法律をもつて処分するというのと、性格においてはほとんど同一のものということになり、国有財産は、これは法律をもつていたしますれば、その処分をなさることは、もとより憲法上の問題になりません。従いまして、今申し上げましたような性格を持つておりまするところの国有鉄道の財産を、法律によつて一種の処分をなさるということは、必ずしも二十九条に反するということにはならないのではないかというような気持を抱いておるわけでございます。それから申請者側の面からの問題がありましようが、これも憲法論一点ばりの形式論で参りますと、申請者がその申請をするについては、この法律の中にきめられておるところのいろいろな条件をのみ込んだ上で、完全な自由意思のもとに申請をするのでありますから、その関係において直接憲法問題にはならないと考えます。それから契約が法律によつて直接成立したものとみなすという点について御指摘がございましたが、こういうような立法例も過去においてあつたように私も思いますし、この契約そのものがどういうふうにして成立するかということは、憲法の直接触れるところではなくして、憲法以下の民法等においてきめられておるところでございますから、法律をもつて、同格の法律であるところの民法等の特例をつくることは、これは憲法上問題はないであろうと思います。何分これは非常に異例な立法の形式でありますために、私どもも御同様にいろいろ疑問を持ちますけれども、憲法論としてどうだというお尋ねがあれば、以上のような結論を申し上げるということに相なると存ずるのであります。
  156. 岡田五郎

    岡田(五)委員 大体意見の長官の意見がわかりましたから、この点についての質疑は、なお私自身もさらに両氏の御説明をもとにして研究いたしまして、質問すべき事項が参りましたならば、また質問の機会を與えていただきまして、この条文についての質問は応打切りたいと思います。これに関連してでありますが、第五条の譲渡価額につきましては、当該鉄道の買収価額だとか、買収後において支出した建設改良費だとか、あるいは時価だとかいうような、いろいろの価額決定の要素が列記されておるのでありますが、この文字につきましても非常に疑念があるのであります。たとえば買収当時の買収価額というのが、いわゆるあの昭和十八年当時の三億二千万円という価格なのか、それともその価額を最近の物価指数で換算してのいわゆる買収価額なのか、その辺のところを御説明願いたい。もう一つは、買収後に加えました建設改良費につきましても同様であります。昭和二十年ごろの物価指数と最近の物価指数は非常に違つておるのでありますが、そういう点につきまして、立案者はどういうふうにこの建設改良費という言葉を解釈しておられるか。それから時価というのは、そういう二百キロならば二百キロのあの当時の鉄道を、今新しく建設するとするとこのくらいかかるという時価なのか、それとも先ほど申し上げました買収当時の価格を、最近の物価指数で換算したような時価なのか、その辺のところを御説明願いたい。もう一つは「当該鉄道の企業収益力を参しやくして、」というふうにあるのでありますが、今までの国有鉄道の買収のときのいろいろの方法を、政府から漏れ聞いたところによりますと、過去三箇年間の学業収支の状態を参考にするとか、いろいろその事例があるようでありますが、地方鉄道買収法のいわゆる収益といいまするか、計算方式をとられるつもりなのか、その辺のところを承りたいと思います。
  157. 坪内八郎

    坪内委員 第五条のお尋ねは、これは別に問題になる点でありまして、これを決定するにあたりましては、もちろん運輸審議会の重要なる審議事項になると私は思います。そこで第五条に関連いたしまして、第三条の第二項の第五号の「その他参考となる事項」という条項があるのでありますが、この点に関係いたしまして、それぞれの申請会社が、それぞれの角度から参考意見とし、あるいは参考資料としてあらゆる角度からの資料を提出するであろうと思います。従つて第五条におきましても、運輸審議会がその資料に基いて審議をするでありましようし、十分愼重な審議が行われると思います。従いましてお尋ねの価額は買収当時の価額であり、さらにまたその後国鉄建設、改良を加えた費用というものは、いわゆる建設改良費の帳簿価額である。かように考えておる次第であります。
  158. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この解釈につきましては、一応提案者から御説明を承りましたが、このいろいろな要素を積金ててみますると、あの当時買収価額は三億数千万円であつたと思いますが、その当時と最近の物価指数を比較いたしますると、おそらくこれは百数十倍になつておると思うのであります。おそらく三億二千万円の鉄道は、四百数十億になると私は思うのであります。かように百倍も違つている時価その他を換算いたしまして、そうして拂下げをするわけでありますが、おそらく拂下げ申請者の希望する価格と、運輸大臣が決定される価格とは、数十倍も違うだろうと思う。違うことが、私は公正妥当な値段におちつくだろうと、かように考える。私が先ほど申し上げましたように、最近の物価の情勢は、歴史上にまれに見るほどかわつている。この時代において、拂下げ申請者が申請者として価格も出さない、しかも運輸大臣が愼重審議して、運輸審議会に諮られて決定されるでありましようが、おそらく数十倍の値段になると思うのであります。そのきめられた値段を国民的な義務として、申請者が引受けなければならない。こういういわゆる国家的の義務をこの法律で定められるわけである。しかも不履行についての罰則も何もないというところに、私は何となくふに落ちない点があるのであります。この点につきまして、大体どのくらいな値段になりそうか、提案者にもしお考えがあればお漏らし願えればけつこうである。その御返答次第によつて、先ほど私が質問した疑念も一掃されると考えますので、参考のためにお尋ね申し上げる次第であります。
  159. 坪内八郎

    坪内委員 たいへんむずかしい御質問でございまするが、拂下げ価額の決定ということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、あくまでもこれは運輸審議会が十分あらゆることから決定をし、かつまたその譲渡の価額ということについては、運輸大臣においてあらゆる角度から愼重に検討を加えて決定を見ることでございます。従いましてこれは常識的に考えましても、当時の買収価額と現在における物価指数、あるいは貨幣価値ということにつきましては、相当の開きがあることは申すまでもないことであろうと思います。従つてこの価格はほぼどの程度見積られるかということにつきましては、実際にこの法律が通過いたしまして、その法律に基きまして、それぞれの申請者が、その申請書につけるところの、あらゆる角度から参考になる資料に基いて、決定をされるものであろうと思います。もちろん今日の貨幣価値なり、あるいは物価指数、あるいは国鉄がこれに改良を加えた建設改良費というようなものも、十分参酌いたしまして決定を見るだろうと思いますけれども、目下のところ、これを幾らということにつきましては、十分承知いたしておらないのでございます。
  160. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この法律案に基きますと、第十五条の一項、二項でございますが、大体拂下げを受けた会社は、現在動かしておる列車その他の輸送力はそのままやらなくちやいかぬ――そのままやらなくちやいかぬという言葉は非常に強いようでありますが、その状態で運輸省から認可を受けたものとみなすということで、一応そのままやらなくちやならないように義務づけられているように解釈するのであります。またそのままの状態、またはそれ以上にやらなければ、地方鉄道に讓つたがために、公共の利益を増進したとは言い得ないのであります。列車を減らしたのでは、かえつて地方の公共福祉を減殺したと考えられる。しかも一面においては、運賃及び料金は拂下げを理由として上げてはいかぬということになつておりまして、運賃、料金は頭打ちをされます。しかも現在国有鉄道は、減価償却あるいは取替費として、いわゆる会社でいう法定償却といいますか、減価償却的なことはやつておりますが、それぞれの会社がやつておる程度にまで減価償却はしていないと私は思う。会社なればもつともつと高い率の減価償却をしなければならぬ。しかも拂下げ値段は常識的に考えても数十倍になり、しかも現在国鉄で運営している営業計数を見ましても、これらの私線はみな、収入よりも倍または数割以上も経費をかけており、赤字経営をしておる。こういうように方方から制約を加えられているこの買収鉄道が、はたして第一条にいわゆる公共福祉を増進するような実態を現出するかどうかということを、非常に私は懸念を持つておるのであります。法律をつくつた結果、一社でも二社でもこの目的に合うような会社の出ることがあつて、初めて私はこの法律をこしらえる意味があると考えるめであります。先ほどからいろいろな角度から検討いたしますると、おそらくこの法律ができましても、実際は一社も引受られる会社は出て参りますまい、かように私は心配するのであります。そうでなければ、非常に安い値段で、おそらく時価の百分の一なり五十分の一の値段で拂い下げてやらなければ、会社は収支償わないと私は考えるのであります。どうしても会社は、国家的な責務があるとはいいながら、会社は存立して行かなければならない。何を好んで国家のために赤字を忍んでまで会社経営をするか。そういうことをしようという人はおそらく世の中にありますまい。会社経営をして何か利益を得たいということがあればこそ譲渡を申請し、利益があればこそ列車回数をふやす余地も出て来ると私は考えるのでありますが、その辺の感じにつきまして、提案者の御説明を願いたいと思います。
  161. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。私が申すまでもなく、日本の交通機関と申しましようか、こういうものにつきましては、たとえば日本の鉄道は必ず日本国有鉄道がこれを運営しなければならないというようなことは、運輸大臣においても考えていないと私は思うのであります。従つて運輸大臣におきまして、真にこの公共の利益に合致し、さらにまた公共福祉になるものであるということに相なりますれば、その鉄道におきましても、そういう交通機関におきましても、必ずしも日本国有鉄道にゆだねなくても、あるいはそういう民間の会社にゆだねて、そういう公共の利益をはかるというようなこともできます。そしてこれは、運輸大臣建設的な考え方によつて決定されるものであろうと私は考えております。従つてそういう日本の国民の交通機関というものを、必ずしも日本国有鉄道が一手販売にすべきものではないというようなことも考えております。従いましてこの第十五条の規定におきましても、言葉を箇中に申し上げますと、会社は従前通り運賃あるいは料金、あるいはそういうものを引続き受けて経営に当るということでございますが、もしもこの程度の拂下げ法によりまして旧会社にこれを拂い下げるということになれば、その場合旧所有会社は、従前から政府に買収された路線につきましては長年の体験もあることだろうし、あるいは鉄道の運営に関しましては相当経験の深い、またそれらについて造詣を持つておる会社でございましたので、そういう点についてはまず私は心配ない、かように考えております。さらにまたその点につきましてはこの運輸審議会が、たびたび申し上げます通り、あらゆる角度から十分審議をいたしまして決定を見ることでありましようから、それらの懸念はないとまず考えておる次第であります。
  162. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの点でいろいろ聞きたい点はたくさんありますが、岡田委員から述べられた点で特に拂下げ価額の問題を、どの程度に提案者考えておられるか。提案者では、それらについては今のところははつきりわからないのだということでございますけれども、しかしこの問題は、先ほどたとえば第七条の問題を論議しておる過程を私ども聞いておりましても、確かに値段の明示されないところの契約が、第七条によつて成立することになりますので、これは将来それを譲り受けるべきものが、優り受けられないような事態が生ずる懸念を多分に持つのであります。しかしそれに対して坪内氏はそんなことはないだろう、値段は明示されていないが、第三条第二項において提出するところのいろいろな資料は、十分運輸大臣または運輸審議会の参考なる資料となるであろうということを申されたのでございます。私はその第三条第二項に書き上げられております資金調達の計画あるいは運輸計画、あるいは運送営業上の収支概算というようないろいろなものが、当然価格決定への資料になるのだというふうに、坪内氏の言葉から聞き取るのでございます。一方運輸大臣が、国鉄の財産であるところのこの拂下げに該当すべき鉄道を拂い下げる価格を決定するにあたつては、自然資産再評価が行われた後におけるところの価額を十分まかなうものとして、これを拂い下げなければならぬことになると思います。従つて岡田委員が懸念されておりますような事態は、当然そこに出て来ると私は思うのでございます。すでに価格計数の上から行きましても、拂下げをした当時と今日とでは非常に大きな開きがあります。従つてこの価格の決定は、坪内氏がそれについては十分な見通しを立てにくいものであるというふうに言われたけれども、われわれは常識をもつてしても、この見通しは十分立つのでございます。従つてこの見通しの上に立つてこの法律案が法定され、それが実施されることになりますと、岡田氏の懸念しておりました第七条第二項におけるところの譲り受けなければならないということが、非常に困難な事態に直面することを私たちは懸念するのでございます。  ここで私は坪内氏にお尋ねいたしますが、この価格の決定にあたりまして、運輸大臣は当然国鉄の財産であるそれらの鉄道を、時価以下において拂い下げるところの権限を持つのであるかどうかという点であります。あるいはまたそれらの審議会の議決によつて国鉄の財産であるものを時価以下に評価するだけの権能が、この法律案の施行によつて発生するのであるかどうかということについての御見解を、一応承つておきたいと思います。
  163. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。この拂下げ価額の決定を運輸大臣が最後的に決定するかという御質問であろうと思いますが、第四条第二項にも明記してあります通り運輸審議会の意見を十分聞きまして、運輸大臣が最後的に決定をするのでございます。
  164. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの点について、国鉄が持つておる財産の時価評価以下に運輸大臣が評価決定をすることができるのであるかどうかということをお聞きしたいのであります。
  165. 坪内八郎

    坪内委員 その点は法案にも明記されております通り運輸大臣運輸審議会の意見を聞いて、その譲渡価額を決定するのでありますから、現在の国鉄の財産、あるいは今日の物価指数、あるいは貨幣価値、そういつたあらゆる角度から検討をいたしまして、この拂下げ価額が時価よりも安くなるか、あるいは高くなるか、あるいは現在の物価指数、あるいは物価に適合した合理的な価格が出るかということにつきましては、あくまでも運輸大臣運輸審議会に諮つて最後的な決定を見るのでありますから、今日ではその点につきましては御答弁できないと考えております。
  166. 石野久男

    ○石野委員 わかりました。もう一つ伺います。従前、戦時中またはそれ以前においてもそうですが、特に法律によつて買い上げられたところの旧所有者に対して拂い下げる場合の理由は一応わかるのでございますが、第二条第四項に掲げておりますところの経営能力のあるもので、従来これらのものに全然関係なかつた諸君に対しても、そういうようなことが発生することが、この法律によりますと予想されるのであります。従つて提案者の御意見としては、そういう会社に対しても、たとえば従前の価額と今日の価額との差に対する考慮を拂うことをよしとするものでありますか。それとも別途な取扱いをその際しようと考えておられるのであるか、いま一応お聞きしたいのであります。
  167. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。大体この法律提案理由は先ほど来御説明申し上げております通り公共の利益に合致する限りこの拂下げを行うのでありまして、その対象となるものは、言うまでもなく当時の旧所有者であつたところの会社並びにこれと密接な関係のある会社であるわけでありますが、その他においても、直接の所有会社でない関係者も申請ができることに相なつておるわけでございます。この二十二線の当時の会社といたしましても、今日におきましてはそういつた経営の能力のないものもあるいは生じておりましようし、いろいろな関係で、ことごとく二十二線が全部申請することにならないと思います。そこで石野委員お尋ねは、直接関係のあつた会社につきましては、そういつた多少の親心のある対策が当然であろうけれども、そういつた関係のない会社に関しても、そういつた安くこれを拂い下げるということがあるのではないかということのように私には聞き取れるのでありますが、その点については先ほど申し上げました通り運輸審議会におきまして十分検討をするわけでございます。さらにまたこの二十二線の中でも、経営のできない会社も生じて来ましようし、そういうところにおいて、この拂下げによつてあくまでも公共の利益に合致する、いわゆる公共福祉になり、地方の交通の利便を十分はかり得る関係にあるところにおいて、しかも旧会社がこれを申請することができなくて、他の人がこれを申請するというような場合には、そういう面も十分勘案して決定を見るであろうと思いますので、旧会社に拂い下げるところの価額も、旧関係会社が拂下げを受けるところのいわゆる譲渡価額も、あるいはこれと関係のないところの会社に譲渡される価額も、運輸審議会なり大臣の決定は、そこに相違はないと考えております。
  168. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの私の質問に対して、ちよつと誤解を招くといけませんので申しますが、私は決して拂い下げる価格を、旧所有者に対して特に考慮をして拂い下げることを了とする意味ではございません。坪内氏がそういうようなことを言う意味はよくわかるということを言つたのであります。そこで問題はまだたくさんほかにございます。たとえば地方交通の利便を増進するということについて、国鉄の経営よりもそれらの拂下げを申請する会社の経営の方が、より増進されるという認定等については、非常に私はむずかしいと思います。こういう認定に対するいろいろな問題に対して、私はいろいろ質問をしたいと思つておりますが、ただいま関連事項として以上のことだけをお聞きして、あとに譲らしていただきます。
  169. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 本案に対する質疑は、これを次会に続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。明日は午後一時より開会いたします。     午後五時五十二分散会