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1951-05-18 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十八日(金曜日)     午後二時十五分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       黒澤富次郎君    玉置 信一君       畠山 鶴吉君    前田 正男君       山崎 岩男君    木下  榮君       川島 金次君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 荒木茂久二君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局輸送課         長)      吉行市太郎君         運輸事務官   澤  雄次君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 五月十八日  委員岡村利右衞門君、尾崎末吉君及び浅沼稻次  郎君辞任につき、その補欠として鹿野彦吉君、  若林義孝君及び川島金次君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員鹿野彦吉君及び若林義孝辞任につき、そ  の補欠として岡村利右衞門君及び尾崎末吉君が  議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十八日  戦時政府買収した鉄道譲渡に関する法律  案(坪内八郎君外十二名提出衆法第五六号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  戦時政府買収した鉄道譲渡に関する法律  案(坪内八郎君外十二名提出衆法第五六号)  海上運送法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一六一号)     ―――――――――――――
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  本日付託になりました坪内八郎君外十二名提出衆法第五六号、戦時政府買収した鉄道譲渡に関する法律案議題といたします。まず提案者より提案理由説明を求めます。枠内八郎君。     ―――――――――――――  戦時政府買収した鉄道譲渡  に関する法律案   戦時政府買収した鉄道の譲   渡に関する法律    第一章総則  (この法律趣旨)第一條 この法律は、日本国有鉄道  をして、政府昭和十八年及び昭  和十九年に今次の戦争の必要に基  いて地方鉄道会社から買収した鉄  道(休止中のもの及び附属物件を  含む。以下同じ。)を、公共利益  に合致する限り、旧所有会社又は  これと密接な関係のある会社等に  譲渡させ、もつて地方鉄道を強化  して地方交通利便増進し、あ  わせて国及び地方公共団体財政  の改善に寄与することを目的とす  る。2 この法律のいかなる規定も、鉄  道国有法明治三十九年法律第十  七号)第一條趣旨を変更するも  のと解釈してはならない。    第二章譲渡に関する手続  (申請権者)第二條 左に掲げる会社は、この法  律の定めるところにより、前條第  一項に規定する鉄道譲渡申請  することができる。  一 昭和十八年又は昭和十九年に   当該鉄道政府買収された会   社(その会社合併した場合に   は、合併後存続する会社又は合   併により設立された会社)  二 前号の会社当該買収当時に   おける残存線路を現に経営して   いる会社  三 第一号の会社が消滅(合併に   よるものを除く。)している場合   には、当該鉄道線路が接続し   ている等密接な関係にある会社  四 その他の会社であつて鉄道事   業経営能力があり、且つ、そ   の経理的基礎が確実なもの  (譲渡申越書)第三條 前條に規定する会社が、鉄  道の譲渡を受けようとするとき  は、商法(明治三十二年法律第四  十八号)第三百四十三條に定める  決議を経た上、この法律施行の日  から三簡月以内に譲渡申請書二通  を日本国有鉄道提出しなければ  ならない。2 前項譲渡申請書には、左の事  項を記載した企業目論見書並びに  会社の定款及び譲渡申請に関す  る株主総会議事録の謄本を添附  しなければならない。  一 資金調達計画  二 運輸計画  三 運送営業上の収支概算  四 改良計画の有無及びその内容  五 その他参考となる事項  (譲渡に関する決定)第四條 日本国有鉄道は、前條の規  定による譲渡申請書提出を受け  たときは、遅滞なく、その一通を  運輸大臣に送付しなければならな  い。2 運輸大臣は、前項規定による  譲渡申請書の送付を受けたとき  は、遅滞なく、譲渡申請のあつ  た鉄道について左に掲げる事項  を、運輸審議会意見を聞いて、  決定しなければならない。  一 譲渡すべきかどうか  二 譲渡すべき鉄道の区間  三 譲渡すべき車両その他の物件   の範囲  四 譲渡価額  五 譲渡の代価の支払時期及び支   払方法  六 譲渡期日  七 権利義務の承継に関する事項  八 その他譲渡に関する事項で事   案の重要なもの3 前項に掲げる事項特に同項第一  号に掲げる事項は、当該鉄道の位  置、利用状況収支状態その他  諸般事情考慮し、当該鉄道を  譲渡することが公共利益に合致  し、且つ、第一條第一項の目的を  達成するかどうかを判断して、決  定しなければならない。  (譲渡価額)第五條 鉄道譲渡価額は、当該  鉄道買収価額買収当該鉄道  に関し支出された建設改良費、時  価及び当該鉄道企業収益力を参  しやして、公正妥当に定めるもの  とする。  (譲渡に関する決定の通知及び告  示)第六條 運輸大臣は、第四條第二項  に掲げる事項決定したときは、  遅滞なく、その旨を日本国有鉄道  及び譲渡申請者に通知し、且つ、  譲渡すべきものと決定したとき  は、その旨及び譲渡期日を官報  で告示しなければならない。  (譲渡契約成立並びに譲渡及び  譲受の義務)第七條 前條の規定による告示があ  つたときは、その告示の日におい  て、日本国有鉄道譲渡申請者と  の間に、第四條第二項の規定によ  る運輸大臣決定内容と同一の  内容譲渡契約成立したものと  みなす。2 前項契約内容に従い、日本  国有鉄道は、譲渡申請のあつた  鉄道譲渡し、譲渡申請者は、当  該鉄道を譲り受けなければならな  い。
  3. 坪内八郎

    坪内委員 ただいま議題に供せられました戦時政府買収した鉄道譲渡に関する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。  政府地方鉄道会社から買収しました鉄道は、過去において相当多数に上つているのでありますが、その大部分は本来国が敷設すべく予定されておりました路線買収でありまして、鉄道国有法の精神にまつたく合致いたしております。しかるに昭和十八年、十九年に至りまして、今次の戦争遂行目的から必要なものである限り、本来地方鉄道であるべきものをも多数買収いたすことになりました。その買収路線は、この両年におきまして、実に二十二線に上つております。しかるに今日におきましては、この買収目的はまつたく消滅しているのでありまして、これは再び地方鉄道会社に払い下げ、その企業の創意と努力とにより、その地方利便に最も適合するように運営させることが、きわめて適当であると考えられ、業界よりも第一国会以来、この趣旨により、払下げの請願が繰返し提出されておつたのであります。そこでこの際これを民間に払い下げることは、地方交通利便増進並びに国及び地方公共団体財政改善にも大きな寄与となるものと考える次第であります。  この払下げを受け得る相手方につきましては、元来の買収の経緯より考えまして、できるだけ旧所有会社またはその会社と密接な関係のあるものに払い下げることが適当であると考えられますが、他面、鉄道事業公共性から見て、それらの会社のみに限定せず、さらに広く鉄道事業経営能力があり、かつその経理的基礎が確実である会社にも払い下げ得るようにすることが適当でありますのでその旨を定めますとともに、払下げにあたりましては、鉄道国有の原則に反せず、かつ公共利益と合致した限りにおいて行うことを明らかにしております。またこの払下げを実行するにあたりまして最も問題になりますのは、譲渡価格をいかなる点において定めるかの点であります。本法律案におきましては、当該鉄道買収価格買収後に要した建設改良費、時価及び当該鉄道企業収益力を参酌いたしまして、不当な価格をもつて払下げとならないように、公正妥当に定めることといたしました。また職員につきましては、払下げ路線または譲渡会社に密接な関係のある者は、その申出によりまして当然会社が引継がなければならないこととし、かつその際に不利な取扱いを受けないように特別の保護規定を置き、職員諸君待遇保障に万全の措置を講じております。  なお鉄道譲渡に関する事項は、運輸大臣決定いたすのでありますが、払下げの公正にして適切な実施を確保いたしますために、運輸大臣運輸審議会の慎重な審議の結果による意見を聞かなければならないことといたしました。  以上本法案の要旨を述べました。何とぞ慎御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたします。
  4. 前田郁

    前田委員長 本案に対する質疑次会に譲ります。     ―――――――――――――
  5. 前田郁

    前田委員長 次に海上連送法等の一部を改正する法律案議題といたします。これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。岡田五郎君。
  6. 岡田五郎

    岡田(五)委員 海上運送法の一部改正に関連いたしまして、最近の海運事情につきまして、ごく簡単にお尋ね申し上げたいのであります。最近の新聞によりますと、英国は、日本海運についてある程度制限を加えたいと、造船についてははつきり出ておりますが、その他の運航については、新聞記事では明確を欠いているのであります。その後の新聞の模様を見ますと、アメリカの非常な努力によりまして、日本海運につきましては、造船その他につきまして、英国側の強硬な態度も緩和されて行くかのように聞き及んでいるのでありますが、政府におかれましては、過般アメリカマグナソン上院議員の来朝その他によりまして、いろいろとアメリカの世論について相当察知している点もあるかと存ぜられるのでありますが、この機会にその間の事情を御説明願えれば、非常に幸いだと存ずる次第であります。
  7. 荒木茂久二

    荒木政府委員 御存じのように日本海運に対しまして、アメリカ海運界その他の団体から、トルーマン大統領に対して陳情書が出ております。またイギリス方面にもこういつた動きがあることは、御承知の通りであります。そのときにマグナソン上院議員が来朝せられまして、運輸省といたしましては日本海運の実情を、数字に基いてつぶさに説明したわけでありまして、この数字について相当認識を新たにされて、よつて日本海運に対する事情を十分御認識いただいたことと考えているわけであります。その後どのように進展しているかは存じませんが、一昨日のマーケット少将声明にありますところによれば、日本海運に対しては制限を加えない、しかしながら戦前のような運賃切下げ競争カット・レット・コンピテイシヨンはやらないという方針を堅持すべきであるというふうなことが言われているのであります。われわれといたしまして正式に存じ得たものは、最近の最も新しいところで、マーカット少将声明以外にはないのであります。しかしてわれわれが戦前のような、いわゆる運賃切下げ競争といわれております不当競争をしないということは、日本政府としては十分考慮を払つているのでありまして、ただいま御審議を願つております海上運送法も、そういつた戦前のようなカット・レット・コンピテイシヨンのできないように、いわゆる正々堂々と公正なる競争をする建前法律的に保障しようという考え提案しているのであります。
  8. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほどの政府委員説明、また最近の新聞記事を見まして、私たち日本人といたしましては非常に喜ばしい傾向であると、実は愁眉を開いたというような形でいるわけであります。今後ともこういう面における日本国政府の、また政府関係者の一暦の努力をお願い申し上げまして、この点につきましての私の質問は打切ります。  次に最近の新聞記事によりますと、日本船による第三国相互間の定期航路または不定期航路就航につきましては、アメリカといえども許されないというような記事が出ておるかと思いますと、アメリカは必ずしもそうは考えていないというような記事も拝見するのでありますが、はたしていずれがほんとうの空気であるか、その辺のところを御説明願いたいのであります。
  9. 荒木茂久二

    荒木政府委員 日本船第三国間の航路を許さないというようなお話は、運輸省としては聞かぬわけではありませんが、正式には聞いておりません。ただ問題として存在いたしますのは、むしろそれとは反対の事実でございまして、アメリカ航路がアフリカを経由して行くことが流布されているということは、一つの風評とは違う事実ではなかろうかと考えているわけでございます。われわれといたしましては、さような日本航による第三国間の航路が禁止されないということを熱望し、期待している次第でございます。
  10. 岡田五郎

    岡田(五)委員 最近日本船会社外国への定期航路出願が、非常に多く出ていると承つておるのであります。配付された資料によりましても、現在十二、三あるようでありますが、そのうち許可されておるのは上の四欄程度であります。非常に憂えることは、戦後日本船主は非常に小規模になりまして、群小割拠のような状態を呈しているように私は推察しておるのであります。この群小船主が、先物買いというては語弊がありますが、何でも定期航路定期航路とやたらにこれを申請し、またこれに実行に移りました場合に、諸外国におきまして日本群小船主が不公正な競争に陷りまして、戦前またはそれ以前におきまして、日本世界から不評を博しましたような状況を来しはしないか、また諸外国における英貨、あるいはまた日本から持つて行つた荷物関係、その他の外国におけるこれら定期航路船船会社活動におきましても、遺憾な点が発生しはしないか、かように考えるのでありまして、今後の日本海運界国際間における信用を回復するという面、また日本船会社国際的信用のある活動を期待するという意味におきまして、ある程度の組合なり、ある程度の行動といいますか、相当程度強力な形をもつて定期航路に従事し一国際間の海運競争に伍することが、今後の日本海運の発展のためにとるべき措置ではないかと考えるのでありますが、この間に処しての政府考え方、また政府外国への定期航路許可の御方針というような点につきまして、御説明願いたいのであります。
  11. 荒木茂久二

    荒木政府委員 岡田委員の言われますことは、日本海運の将来にとりまして非常に重要な問題でございます。御承知のように日本海運は、トランパーが定期航路よりも盛んであつたというのが、戦前の姿のようであります。おそらく今後におきましても、そういうふうな形になるのではなかろうかと思つております。定期航路出願につきましては、非常にたくさん出ている場合もございますけれども、今まで許されましたもの、あるいは近く許されるであろうことを期待しておりますところのニユーヨーク航路につきましては、ジヨイント・サービスというような形式をとりまして、非常に弱小化して、外国信用を落すというようなことはないものと考えているわけでございます。なおこの定期航路外航就航につきましては、現在GHQの許可を得るという建前に相なつておりますので、どんどんと自由かつてにできる態勢ではないのであります。しかしながら運輸省といたしましても、諸般事情十分考慮いたしまして、日本海運が公正に、かつ健全に発達するよう努力いたしたいと考えている次第であります。
  12. 岡田五郎

    岡田(五)委員 国内航路に対しましては、ある程度補助金または輸送命令を出せ、こういうことになつておるのでありますが、日本外国との間、または第三国間における日本船舶運航、こういうものに対しての国家補助が禁止されておるのであります。私寡聞でありますが、世界海運国のすべての国は、非常に強力な海運補助政策をとつておるのであります。しかるに海運国として今後自立経済の面において、また日本国自存見地から行きましても、できるだけすみやかに国際海運競争場裡に入りまして、そうして貿易外の収入をできるだけ多くいたしまして、国の自立経済の確立を期さなければならない。この日本の国本来の性質、また日本の国の海運自体から行きまして、諸外国海運国と同様、何がゆえに補助金政策助成政策が強力にとれないのか、その間の事情を御説明願いたいと思うのであります。
  13. 荒木茂久二

    荒木政府委員 諸外国の例についてお話がございましたが、おそらく諸外国においては、国防上の見地が非常に強く出ているのではなかろうか、かように考えるわけでございまして、現在の日本としては、この見地はもちろん考慮に入り得ない事項でございまして、純経済的見地から、自力によりまして、国家庇護ということではなしに、各業者のみずからの実力によつて、正々堂々と競争するという態勢に持つて行くことが望ましいのではなかろうか、かように考えている次第であります。
  14. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今政府委員の御説明によりますと、諸外国海運国海運助成政策は、国防上の見地から出ている、こういうお話がありましたが、私は必ずしも国防上の見地からのみ補助政策をしているとは思われないのであります。英国あるいはノールウェー、その他イタリア――イタリアはどうであるか知りませんが、その他の自由国家海運諸国は、必ずしも国防上、軍事上の見地からのみでなくて、むしろ国際競争上の見地から出ているものであり、またかような見地から発達している、かように考えます反面、もう政府委員も万々御承知のように、海運運賃同盟だとか、あるいはいろいろと海運においては協定がございまして、この協定の間に伍して、いかにこの競争に勝つべきかというようなことから、補助政策が生れて来ているのではないかと思うのでありますが、その点ほんとう国防上の見地からのみ出ているのかどうかということを、御答弁願いたいのであります。  かようなもし国防上の見地からのみ、諸外国海運国海運助成政策を  じているとすれば、戦争を放棄し、軍備を放棄いたしました日本国家としては、国防上の必要ということは、全然われわれには予想もし得ないのでありまして、かような状態であれば、全然海運補助政策ということもわれわれは現在においても、将来においても、予想だにできない、かように私は考えられるのでありますが、その点重ねて政府委員のお考えをお聞かせ願いたいのであります。
  15. 荒木茂久二

    荒木政府委員 非常にデリケートな問題でございますが、あるいは国によつては経済的な面における補助もあるかと思いますし、一々補助趣旨をデクレアーしているともきまつておりませんが、アメリカ補助法においては、国防上の見地ということを補助理由にしているのでございます。しかし世界各国について見ますれば、岡田委員の言われるような趣旨のもとにおける補助はあるかと思いますけども、われわれ日本が置かれている現在の立場からいたしまして、諸般状況考える場合に、わが国においては外航海運に対しまして政府として補助をする、その庇護のもとにおいて国際協力を高めるというようなことは、全然考えていないわけでございます。この点ははつきりと申し上げなければならぬことであると考えております。
  16. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私は日本海運につきましては、直接、間接ある程度国家的補助を期待してやまない一員なのであります。間接的と申し上げますと寸多少語弊があるかもしれませんが、たとえば造船資金調達、またその資金に対する低利金融、こういうような面、あるいは造船用資材に対する間接的な国家的補助というような、あらゆる国家的な補助助成手段によりまして、できるだけ運航コスト船主において切下げ得られるようにして、しかも国際海運競争間に処して、堂々と紳士的な態度競争できるような日本海運政策を期待し、日本海運国としての成立を期待してやまない一員なのでありまして、これがもし海運助成補助、あるいはその他の国の政策が、国防という見地から出ているということになりますと、われわれはよほど慎重に、真剣に、また非常に神経質にこれを考えなければならないと思うのでありますが、この広義の意味海運政策に対する政府委員考え方、希望という点につきまして、お漏らしを願いたいと考えるのであります。
  17. 荒木茂久二

    荒木政府委員 船価が安くなり、その他万般のものが合理化されまして、運航コストが一般的に安くなるということは、非常に望ましいのでございます。運輸省といたしましても、それに向つて全幅努力を傾注いたしているわけであります。将来もいたすべきことと信ずる次第でございます。たとえて申しますれば、利子につきましても、外国と比べて比較にならないほど高い。あるいは鉄の値段にいたしましても非常に高いというような点が、金融合理化、あるいは蓄積資本の増加、あるいは銑鉄業合理化、あるいはその他関連産業、あるいは造船業自体合理化、技術の増進によりまして、結局のところ運航コストが下げられるという方向に持つて行きたいことに、運輸省として常々心がけており、努力いたしているところであります。将来もその方向に向つて努力しなければならぬと考える次第であります。
  18. 岡田五郎

    岡田(五)委員 非常に抽象的な質疑応答になつて申訳ないのでありますが、具体的に例をあげますと、造船資金に対する金利一また造船に対する金融の問題であります。英国にいたしましても、ノールウエーにいたしましても、オランダにいたしましても、海運外国船舶金融に対しましては、特別な低金利政策をとり、低金利の制度をとつていると私は仄聞いたしているのであります。普通金利が七分なり、また八分である場合に、船舶金融造船金融に対しては三分であるとか、二分五厘であるとかいうような特別な立法措置をとりまして、造船金融に対して非常な低金利金融政策をとつている。かような船舶に対する金融財政その他における強力なる国家助成政策が講ぜられ、もし客観的な情勢が許されるならば、政府としても応じたいというお気持があるのか、かような気持はあるが、現在の日本の置かれた国際情勢のこの客観的なもとにおいては行われないのだ、こういうお気持であるのか、その点具体的にお聞き申し上げたいのであります。
  19. 荒木茂久二

    荒木政府委員 たとえば造船金融といたしまして最近大きく要素を増して来ておりますエード・フアンドの問題でありますが、現在七分五厘でありますが、われわれとしてはその金利が安くなり、下げられるように期待をかけ、また努力いたしたのでありますが、現在諸般情勢によりまして、その金利が七分七厘にとどまつているわけでありまして特に海運だけに特別な低金利をしくということも、産業一般見地から困難であらうと思いますので、われわれとしては日本金利が全般的に安くなることを念願しているわけであります。具体的なものに関しては、最近のエード・フアンドに対する運輸省動き御存じである岡田委員におかれては、諸般事情を十分御了察願えることと思うのであります。
  20. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この問題はこの程度にいたしまして、次にお尋ね申し上げたいのは、提案理由説明の第三でございます。この三について、もしできますれば、文字を読めば大体わかるのでありますが、もつと具体的にかみくだいて御説明願いたいのであります。條文をずつと読んでもよく理解できるのでありますが、はなはだ頭の悪いところをお見せすると言つて語弊がありますが、ちよつと読んではつきりと頭の中に映つて来ませんので、ひとつかみくだいて、具体的に例をあげてでもけつこうでございますから、御説明願いたいと存ずるのであります。
  21. 荒木茂久二

    荒木政府委員 第三の前段でございますが、第三の前段を申し上げますと、運賃同盟を結んでいる、そこで運賃同盟を結んでいるものにだけしか荷物を出さないという約束をすれば、五%なら五%の値引をするという契約をしたと仮定しますれば、現行法から申しますと、それは法律違反であるというふうに解釈されるおそれがあるわけでございます。この問題はアメリカにおいてもいろいろ問題が起きているようでございますが、さような場合において、それが非常にべらぼうな割引をいたすということでありますれば、それが不当競争ということになりますれども、商売上の実際上の慣行といたしまして、同盟の所属のメンバーだけにしか荷物を出さないという約束をした荷主に対して、五%以内程度の割引をすることは、これは不公正、また不当な競争方法とは考え得られませんので、公正取引委員会とも十分話合いをいたしました結果、その程度の値引をすることは、法律違反にならないということを明らかにしたいという趣旨でもつて不公正、または不当という字を追加したのでございます。  それからあとから二行目の問題でございますが、これはたとえば加入につきまして、海運同盟というものは原則として一定の條件を備えて申し込めば、全部そのメンバーにするということが建前でございますけれども、ある海運同盟によつては、入つて来るものに対して運航回数を制限するとか、あるいは入つて来るのについて條件を加重するとかいうような同盟があるわけでございます。これをエクスクルーシヴ・カンフアレンスと申しておりますが、それに入ることは現行法ではできないのございます。しかるところこれも許されることを期待いたしておりますインドネシア航路をやるにつきましては、イシドネシア方面の海運同盟に参加せざるを得ないのでありますが、その航路はいわゆるエクスクルーシヴ・カンフアレンスに該当いたしますので、インドネシア航路に従おうと思えば、この同盟に入らなければならぬ。この同盟に入ると、現在の海上運送法に抵触する、こういうことでございますので、この排他的な條件が不当でない限り、参加するということができることにいたしまして、事業者団体法の制限をこの程度において緩和いたしたのでございます。
  22. 坪内八郎

    坪内委員 提案理由説明のところの内容について質疑があつたようでございますから、関連いたしまして二点お尋ねいたしたいと思います。提案理由の第六と第四でございますけれども、第六に裸傭船は外国旗を掲揚しているにかかわらず、日本船員がこれに乗船するのでありますが、外交上の問題が起る。そこで一年間許可制をさらに延ばしたということに相なつておりますが、こういつた関係において、外交上具体的にはどういう問題が起つたのか、その点を具体的に例がありますればお話願いたいと思います。  それから第四の賃率を破る場合において、虚偽の車賃請求書を作成したということがあるのでありますが、これは両罰規定にしているということでございますが、そういつた例についてどんな事実があるのか、その点もあわせて御説明願いたいと思います。
  23. 荒木茂久二

    荒木政府委員 この第六の裸傭船の問題でありますが、これにつきましてはまだ具体的事例はございません。しかしながら一部想像されますのは――アメリカの船を裸傭船いたしました場合には、アメリカ法律によつてさようなことは起り得ないのでありますが、たとえば裸傭船の非常に多く行われておりますパナマの船を裸傭船いたしますと、パナマの法律によつて、その傭船した船に日本人が全部乗つてそしてパナマの国旗を掲げて動くことができるわけであります。そういたしますと、パナマの国旗を掲げた船に、日本の船員が全部乗り組みまして外国へ行く。そこで現在の日本といたしましては、外交使節、領事館というものが外国にございませんので、船員の保護の規定というような問題ができないわけでございましてかりにそういう問題についてトラブルが起きました場合に、その現地におきまして非常に困つた事態が起きます。現地の官憲も困るでありましようし、また船員の方においても困る、こういう事態が起り得る可能性があるわけでございます。アメリカの船を裸傭船いたしまして、日本の船員をそれに、乗せてアメリカの旗を掲げて動かすということはできませんので、そういう問題は起きないわけでございますけれども、パナマの船、その当該国の法律によつてそういうことができる国のものにつきましては、いろいろトラブルが起きる事態が想像されますので、これを許可制にいたしたのでございます。  四番目の例でございますが、これは外国業者方面からしばしば指摘されているのでございますが、日本は同盟に入つて、同盟の運賃率を適用するという建前であるけれども、それを頭から破らないで、ビルを書くときに、たとえど絹を実際に運んでも、木綿を運んだというビルを書きまして、安い運賃をとるというような虚偽の方法によつてごまかして、同盟の賃率を下まわるような運賃で荷物を集めて歩いているような事例があるのでございますが、そういつた不公正な競争をなからしめることが本案の大要でございます。
  24. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もう一、二お尋ね申し上げたいと思います。対外定期航路事業を営もうとするものに対しては、岡内航路と違つて、第三條から十九條までのこの海運事業者の免許または不適格あるいは運送約款というような規定が、全然適用されないことになつているのでありますが、されない一面において省令の定める手続により、だれでも定期航路事業をやりたい者が運輸大臣許可を願い出られるようになつておりますが、国内航路定期航路と非常に違つているように私は考えるのであります。一面においては、対外定期航路の事業を営む者の資格またはその事業者の事業内容というようなものは、むしろ法律国内航路と同様またはそれ以上に厳格に規定する必要があるのではないか、対外定期航路のみ野放図といいますか、無規制におつぽり出されておる、この理由政府委員から御説明願いたいのであります。
  25. 荒木茂久二

    荒木政府委員 事業の許可制をとつておりますのは、対内旅客定期だけでございまして、許可制でない点は、国内貨物定期も、対外貨物定期もその他も同様でございます。ただ御存じのように、世界海運は自由企業であることを建前としておりますので、その点に着目して、その規定を自由ということを原則といたし、また対外航路に関しまして、横浜の港から出まして向うへ参りますのについて、日本の船であります場合においては、船は領土の延長内ということで、公権が航海に出た場合及びますけれども、外国船による日本の港からする対外定期航路に関しましては、航海に出ました場合におきましては、何らわが国の公権も及ばないというような諸般の点も考え合せまして、対外定期航路に関しましては、原則として自由主義を採用したわけであります。
  26. 岡田五郎

    岡田(五)委員 海上運送法の二十六條によりますと、緊急事態または災害の場合には、重要物資の輸送命令を出せることになる この輸送命令の結果、船主が損失を受けた場合は、損失の補填を国家的にやつてやろう、こういうような規定があるわけでありますが、その重要物資輸送命令を今まで発動された具体的な例があるのかどうか。またこれを二年間と期限を限つて延長せられた理由はどういうわけか。一応私はこの緊急非常事態における重要物資の輸送命令ということは、要するに公益の保護、公共福祉の保護またはこれの増進、こういう見地から申しまして、いつの時代でもこういう強制命令は、主管大臣が持つておることが必要ではないかと考えるのでありますが、先ほどお尋ね申し上げましたように、過去においてこの命令を発動されたチャンスがあつたかどうか、また二年間と限られた理由は那辺にあるのか、この二点を御説明願いたいのであります。
  27. 荒木茂久二

    荒木政府委員 第一の御質問でございますが、事例があるかということにつきましては、今までその事例は一件もございません。それからこういう規定は公益上必要であるから、将来長く存在すべきではないかという御意見でございますが、その御意見もまことにもつともであり、大いに私たちとして共鳴する点もあるのでございますけれども、現在の政府方針といたしまして、そういつた強制命令を出すというようなことは極力少くいたしまして、自由なる活動によつて、自然の調節にまかすという方針に従つたのであります。しからばこれは全然やめないかという問題がさらに起るわけであります。その点に関しましては、御存じのように朝鮮事変によりまして、荷動きも大分活発になつて参りましたから、いわゆる重要物資の輸送が特に逼迫するというような場合も予想されないわけではございませんので、そういつた場合に、たとえば石炭が非常に窮迫を告げて、ガスがとまり、あるいは汽車のようなものにも影響するというような事懸が起りました場合、よくよくの場合に輸送命令を出すようにいたしたい。しかもそれも長きにわたるのではなくて、原則として自由を建前とするのであるが、現在の情勢から、まず二年程度を目途といたしまして規定いたしておるわけでございまして、さらに二年経過後におきまして、そういつた事態が予想されるようであれば、あるいはまたこの延長をお願いしなければならないかと思いますけれども、現在の問題といたしましては、まずこの程度規定をして、情勢を見た方がよかろう、かように考えたわけでございます。
  28. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私はこういう国内の非常事態における重要物資の輸送命令権を所管大臣が持つてほしい。こう申し上げる心持の一つは、私から申し上げるまでもなく、日本の国は非常に山あり、谷あり、山嶽の多い国でありまして、しかも陸上輸送機関は狭軌で、非常に無理な輸送状態のもとにおいて、陸上輸送を続けておるのであります。しかも四面海をめぐらした細長い島国であり、また不幸にして、毎年々々大規模の天災地変に見舞われておる自然的状態にある日本の国自体に占むる、日本の国内船舶の使命の重大性を考えますると、しかも公益の保護、国民生活の保護と公共福祉の増進、こういうような面からいたしまして、一旦緩急の場合には、伝家の宝刀として命令を出し得る権限を、いかに自由主義の状態においても、交通行政所管大臣においては持つべきではないか、かように私は考えるのでありますが、政府委員のお気持をこの際お漏らし願いたいと思うのであります。
  29. 荒木茂久二

    荒木政府委員 まことに同感でございまして、輸送を行政内容としております国務大臣の責任上から申しましても、かような事態が発生しました場合におきましては、命令によりまして公共の福祉、いわゆる生活が一時的に困ることのないようにいたしたいと考えておるわけであります。御趣旨まことに共鳴する次第でございますが、一応この規定は二年の限度におきまして情勢を見まして、おそらく二年経過後においてはまたこれを継続するという事情が依然として起るのではなかろうか、かように考えておる次第であります。
  30. 前田正男

    前田(正)委員 関連して質問をさしていただきたいと思います。この定期航路を開くことは、日本海運界の発展のために、まことにけつこうだと思つておりますが、いろいろと申請が出ておるようでありますけれども、実はこの申請をし、定期航路を開いて行くためには、もちろん外航のできるところの船がいるわけであります。しかるに外航に必要な船の造船計画がまだ順調に進んでいない、さらに買船の問題も順調に進んでいない、こういうような状態であります。われわれといたしましては、アメリカの標準型艦その他の相当数の借受けをすることを、最も期待しておつたものでありますが、昨日かのマーケット少将声明によりますと、これがどうも不可能のように感じられるのであります。この点につきまして現在の政府当局としてはどういうふうに考えておられるか、声明も出たのでありますから、見解をお話願いたいのであります。
  31. 荒木茂久二

    荒木政府委員 運輸省といたしましても、ある程度のリバテイ船の借受けということを期待しておつたわけでございますけれども、御存じのようにアメリカに国内法がございまして、日本のみならず、アメリカの国内法をそのままにしておいては、傭船はできないという事実をよく承知いたしておつたわけでございます。これが法律改正が行われ、あるいは特別な緊急事態に応ずる措置として、大統領の国有の権能に基いて、緊急事態に処してそういうことができるかどうかということに対しまして、多大の危惧を抱いていたのでございますが、今おつしやつたように一昨日の声明によりまして、遂にリバテイ船を借りることはできないということがはつきりいたしたのでございます。しかし政府といたしましては、期待はかけておりましたけれども、こういう事態の参りますことも十分考えられることと思つておりましたし、また法律の改正の行われないということも十分覚悟しておつたことでございましたので、運輸省といたしましては、昨年暮れに六次をやりまして、引続いて六次半をやり、さらに七次の造船を非常に早めまして、前半を先般決定したわけであります。その他改造をいたしまして、クラスをとり、あるいは沈船の引揚げ等にいろいろと努力をいたしておるわけでございますが、さらにかような事態がございましたので、買船なり、建造七次の後半について一層の努力をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  32. 前田正男

    前田(正)委員 今の御説明で大体事態が明瞭になつたと思うのでありますが、そういうふうになつて参りますと、これから造船をされるとか、いろいろと努力されることは、ぜひ御盡力をお願いいたしたいと思いますけれども、われわれといたしましては緊急の輸送確保その他におきまして、緊急に船腹を確保することがぜひとも必要であるから、リバテイ船の借受けを懇請しておつたのであります。これを緊急に確保するということになれば、どうしても一応打切つておりますところの買船の問題を、さらにこの際再折衝を開始する必要が起つて来たのじやないかと思うのであります。特に運輸省と通産省との間におきまして、この問題で意見の食い違いを生じておりまして、われわれの党におきましても調整をしたことはあるのでございます。しかしながら現在のところ、その話合いが中止状態になつておるように私は思うのでありますが、政府当局といたしましては、さらに相当量の買船を緊急に確保する方針について、再折衝をする意思があるかどうか。あるいはまた通産省その他とさらに御交渉されて、場合によりましては、政府資金を使つて買船に応ずる、あるいは政府から買船資金補助を出すというような、いろいろな方法があると思うのでありますが、そういう根本的な買船の方法を変更する意思があるかどうか、この二点について政府の現在におきますところのお考えをお聞きいたしたい。
  33. 荒木茂久二

    荒木政府委員 買船につきましては、御存じのように現在二十六ぱいが国内的な円の方の手当もできておりますし、外貨――ドルなり、ポンドなりの手当もできておるわけでございますし、さらにそれから進んでやるということに関しまして、政府資金をもつて買船するということにつきまして、運輸省といたしましては目下のところ交渉するという考え方は持つておりません。ただ一、二買船の引合いがありまして、許可申請が出て来ておるものもございますけれども、御存じのように円資金調達することが相当にむずかしいことでありますと同時に、ドルなりポンド、いわゆる外貨の方の手当も非常に楽でないという実情でございます。大体この程度で御了承をお願いいたしたいと思うのであります。
  34. 前田正男

    前田(正)委員 この点はなるほど政府の工場として無理のないところもあると思うのですが、実はライナーを特に今後いろいろと開設される予想もあるようですし、申請もされるようでありまして、どうしてもわれわれとしては根本的に買船の計画を再検討して、さらに拡大する必要があると思うのであります。これは運輸省係からも意向を聞くつもりでおりますけれども、現状のやり方においては、私たちといたしましては船腹不足である、こういうふうに認識するのでありまして、二十大隻程度の買船で、あるいは第七次の新造船で、十分の船腹がまかなえるとは私は考えられないのであります。この点につきまして、もう少しく通産省支局とも御相談願つて――かねてからリバテイ船が借り受けられるという予想のもとに、一応二十六隻で打切つてあるのでありますから、その辺の問題についてさらに御検討してもらうのが適当ではないかと思います。われわれといたしましても、さらに十分検討いたしたいのでありまして、政府の再考をお願いいたしたいと思います。  なおライナーの許可申請の問題でありますが、現在のところ日本は占領下でありますので、こういう申請につきましては、司令部が代表していろいろ折衝していただいておると思うのであります。こういつた問題について、現在のところわが国の政府といたしましては、諸外国と直接に外交する権利はありませんけれども、しかしながら司令部を通じていろいろ要望しなければならぬと思つておるのでございますが、現在政府としては海外に、日本の海外航路発展のために、政府から代表を出されて、いろいろと事情を陳情され、あるいはまたそのために相当の努力をしておられるかどうか、あるいは今後さらにそういうような使節団を派遣されて、いろいろと日本の実情をえる意思があるのかどうか、その辺のところの現在の御計画をお聞かせ願いたい。
  35. 荒木茂久二

    荒木政府委員 しばしば新聞等にも出ておりましたが、海運使節団を派遣するということは、諸般情勢から目下のところとりやめて派遣しない、こういうことにはつきりまつております。その他外国事情等につきましては、できるだけ調査し、連絡する機会を持ちたいと考えておるわけでございますが、遺憾ながら具体的に今運輸省から何人差出すというところまでは来ていないのであります。海運使節団ははつきりとやめることにいたしたのであります。
  36. 前田正男

    前田(正)委員 使節団のとりやめのことは私も知つておりますけれども、使節団ではなしに、政府日本側の意思を代表して――日本の官吏は大分あつちこつちに、財政問題についても、あるいは通商問題についても、いろいろ出て行つておるようでありますが、運輸省の方から、政府を代表して行かれることはそうむずかしいことではないと思うのですけれども、何かやつたらいけないという理由でもあるか、伺いたい。
  37. 荒木茂久二

    荒木政府委員 非常に簡単なお返事を申し上げるようでございますけれども、運輸省といたしまして、政府代表として向うへ行くということは考えていない次第でございます。
  38. 前田正男

    前田(正)委員 日本海運行政だけは、現在の国際情勢から見ますと取残されたような状況にあるのでありまして、通商その他関係方面は全部海外にいろいろ代表が出て行つておるようでありますので、はなはだ遺憾に思います。その点さらに政府努力をお願いします。  次に海運同盟その他いろんな問題があるようでありますが、海外との海運同盟その他いろいろ問題について、日本の業者がこれに参画する場合に、いろいろの立場、陳情、意見を述べなければいけないし、またそれの中へ入つていろいろと折衝もしなければならぬと思うのですが、今のようなお話でありますと、政府を通じても、そういつた問題については交渉することができないことになつて来て、ただ単に日本内地において、総司令部とお話するよりほかにないというような現状になるのでありますか、その点についてお伺いします。
  39. 荒木茂久二

    荒木政府委員 先ほど申し上げましたのは、政府の役人について申し上げたわけでございますが、会社の人が商売上の取引として向うへ行く、あるいは向うの方が来るということは、外貨予算の許す限りにおいて行われておりまして、現に向うに行つて交渉をして帰つた人もございますし、また近く商売上の、いわゆる代理店契約とか、荷物の引受その他に関する契約について商売上の話合いに行く、そういうことは時々商売上の必要によつて行われておるのでございまして、私が先ほど申し上げましたのは、政府関係職員のことを申し上げたのであります。また政府といたしまして情報を得るということにつきましては、ニユーヨークなり、近く開設されますワシントンの在外事務所を通じて、いろいろの情報をキャッチしておる次第でございます。
  40. 前田正男

    前田(正)委員 業者の方が行かれるのはけつこうでありますが、こういう海運方面とかその他になつて来ますと、一応商取引の関係に属するとは思いますが、ここに書いてあります排他的海運同盟ということになつて来ておりますと、これは相当一国の政治的な、海運政策そのものに関係があるのではないかと思うが、それは一介の業者が行つて話をして帰つて来たら、同盟に人づてもいいということになつているのですか。
  41. 荒木茂久二

    荒木政府委員 排他的と訳してあるのでございますが、これは訳語が必ずしも適切でないと思います。いわゆるエクスクルーシヴ・カンフアレンスということで、加入の條件が違うわけでございます。海運同盟については、純然たる民間のコマーシャル・ベースの場合でございまして、この点はもちろん、現在におきましてはスキャップの関係もございますけれども、政府が代行するとか、政府がとりきめするという問題でございませんので、純然たる業者間の話合いの問題でありまして、排他的というのは必ずしも適当の訳でないと思いますので、御了承願います。
  42. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、今後こういつたような問題は、運輸省としては海運政策の立場からはあまり関係しないで、各業者の意見で司令部を通じてやれば、すべて海運関係、運賃問題、そういつた同盟にどんどん参加してもいい、日本政府としてはあまりこれに介入しない、海運政策としては、こういつた商取引にはあまり関係しない、そういう御方針なのですか。
  43. 荒木茂久二

    荒木政府委員 現在におきましては定期航路を開きますには、スキャップの許可及び推薦を要するのでございまして、定期航路を開くといたしますと、やはりどうしても同盟に入らなければならぬということになりますので、現在のところは定期航路を開くということ自体について、スキャップの許しを得ることになつておりますが、将来講和條約ができました後におきましては、定期航路を開くかどうかということは、その時々の荷動きによつてきまることと考えるわけでございます。従つて運輸省としても海運政策の面から、こういうところはトラムパーの方がよろしかろう、こういうところは定期航路を開いた方がよろしかろうということは考えますが、それに対して、政府から直接干渉してやるということでなしに、業者の自由な意思によつて、商業上のべースで行われるということが望ましいのではなかろうか、かように考えております。
  44. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 一言お伺いしたいと思うのであります。海上運送法の二十條でありますが、補助金を「郵便物の運送等公益上必要な最少限度の輸送を確保するため、毎年予算の範囲内で補助金を交付することができる。」こういうことになつておるのでありますが、これは郵便物等というのでありますから、郵便物のほかどういうものがあるか。あるいは郵便物を輸送する場合には、郵政省から運賃は支払つておると思うのでありますが、そのほかに補助金運輸省が出すべきものか、あるいは補助金が過去においてどの程度払われておるか、予算の許す範囲というのは、どのくらいの予算であるかということをお伺いしたいと思います。
  45. 荒木茂久二

    荒木政府委員 それは俗に二等航路と申しておりまして、離れ小島というような、たとえば現在は大島とかいうような、そういつたところに定期航路がないと、生活上非常に困るというようなところに出しておる補助でございまして、二十五年度が三千万円、今年度は三千三百万円でございます。なお郵便物の運送につきましては、郵便物の運送料金として、郵政省の方から料金をもらつておるわけでございますけれども、それだけではございませんで、その航路全体が人を運び、みそ、しようゆ、その他生活必需物資を運んでおりますので、事業全体を見まして、その公益事業を継続して行くことを必要と認められます場合に、政府において補助金を交付しますので、郵便物の料金をもらつておるほかに補助金をもらう、こういうことになつております。
  46. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 そうしますと、この点は前年度三千万円、今年度が三千三百万円というのは予算であつて、実際払われたのは、昨年が三千万円というふうに了承してよろしいのでありますか。
  47. 荒木茂久二

    荒木政府委員 昨年度三千万円の予算は、全部三千万円交付いたしましたし、今年の予算も全部補助金として支払うつもりでおります。
  48. 岡田五郎

    岡田(五)委員 船舶局長がおいでになつておらないので、官房長にお尋ねするのはどうかと思うのでありますが、最近新聞記事によりますと、第七次造船の前半期分二十万トンは、見返り資金五〇%ということであつたが、鋼材の値上りで、民間融資の割合がむしろ六〇%なり七〇%になつてしまつたという記事を見たのでありますが、こういう記事はともかくといたしまして、最近における鋼材の非常な値上りからいたしまして、後半期の二十万トン計画が、大体七、八万トンぐらい鋼材の値上りに食われてしまうのではないか、結局見返り資金の現在の状態では、第七次造船の後半期は十二、三万トンしかできないのではないか、こういう悲観すべき情報が載つてつたのでありますが、そういたしますと、先ほど前田委員からも御質問がありましたように、買船関係の方は二十六隻どころでとまつてしまう、せつかく期待しておつた第七次造船が三分の一も減つてしまうということになり、一方どんどん鋼材が上つて、思うように戦標船の改造も、与えられた資金のわく内ではできない。こういうことになると、われわれの理想し、期待としておる輸出入物資の五〇%を日本船舶で運びたいということが、はるかかなたに延びてしまうように私は心配するのでありますが、もしおわかりでございましたら、どういう見通しということもむずかしいと思いますので、はたして七、八万トン減るのかどうかということを、簡単でけつこうでございますが、お知らせ願いたい。
  49. 荒木茂久二

    荒木政府委員 御存じのように七次のときは、大体トン四万二千円でスライド付の契約をいたしておりますが、その後鋼鉄の値段が上つた分だけは、その船主の方が持つことになりますので、いわゆるエイド・フアンドと民間資金との割合は変更を来すことになります。  なお七次の後期分につきましては、今言われましたような心配が非常にあるわけでございまして、運輸省といたしましてはトン数の減少を来さないように、すなわちよけい金をつけなければならぬことになりますので、その金をよけい造船に充てるために、絶大の努力をしなければならぬということでありまして、せつかく気に病み、苦慮して、かつ努力しておる次第であります。
  50. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もう一つ簡単にお尋ね申し上げたいと思います。最近いろいろな会合に参りますと、物価の値上りの悲鳴を承るのであります。その物価の値上りの原因は、たいてい船運賃の高騰というところへ持つて行かれておるのであります。また事実、船運賃が非常に高騰いたしておるように私は見受けるのでありますが、最近海運賃も頭打ちの状態になつたというようにも、また新聞記事で拝見いたしておるのでありますが、国内航路海運賃と外国方面の海運賃の値上りの状態が、最近どうであつたか、またごく最近の海運賃の状況がどうなつておるのか、簡単でけつこうでございますから御説明願いたいと思います。
  51. 澤雄次

    ○澤説明員 国内の海運賃は、例を若松、阪神にとりますと、去年の四月ごろは三百円から三百五十円ぐらいでありますが、現在におきましては五百六十円ぐらいに上つており、約倍近くの値上りでございます。それから海外の運賃は、よく例がとられますのはカナダのバンクーバーの小麦の日本向けの輸送でございますが、これは去年の八月ごろトン当り八ドル五十セントでございましたのが、今日では十六ドル五十セントぐらいが相場でございます。
  52. 前田郁

    前田委員長 それでは本日はこれにて散会し、明日は午後一時より開会いたします。     午後三時二十二分散会