○
牛島政府委員 先般
運輸大臣から
道路運送法案、同
法施行法案、
道路運送車両法案、同
法施行法案並びに
自動車抵当法案、同
法施行法案につきまして、
提案理由の説明がございましたが、以下六
法案につきましてさらに條章を追いまして御説明申し上げたいと存じます。
現在
道路運送に関する
法律といたしましては、今回の
道路運送法案と同じ名前の
道路運送法がございます。
現行の
道路運送法は、昭和二十二年の十二月に制定されたものでありますが、御承知のごとく当時はまだ相当に
統制的色彩の強い
情勢下にありましたので、その後三箇年を経過しまして、社会的、経済的諸情勢のおおむね安定いたしました今日といたしましては、相当多数の
不備欠陥を有しておることが痛感されるのであります。すなわち第一に、
行政の
民主化をさらに徹底いたしまして、
事業者の自主的、積極的な活動を促進いたすこと、第二に、能率的な経営のもとに公正な競争を確保する態勢を整備いたすこと、第三に、
道路運送事業の
公共性にかんがみまして、
事業の
運営をより一層適切なるものにいたしまして、
利用者公衆の利便の増大を促進いたすこと、第四に、
道路運送の秩序を確立いたしまして、
道路運送の各
分野の総合的な
発達を促進いたしますこと、以上のようなことが強く要請されているのでありまして、これら
現行法の有する
不備欠陥を是正いたしまして、今後の
道路運送の発展を期待しているのであります。
次に
道路運送法及び同
施行法案の内容に対しまして御説明申し上げます。今回の
道路運送法案は、十章百三十八條及び附則一項、
道路運送法施行法案は二十五條及び附則一項からな
つております。
最初に
道路運送法案から御説明申し上げます。第一章は総則でございまして、この
法律の
目的と、この
法律一般に通ずるおもなる用語の定義とを
規定いたしております。第
一條に掲げるこの
法律の
目的は、同時に
道路運送行政の
指導理念でありまして、一見はなはだ抽象的に
規定してありますが、以下この
法案の各條項に
規定してありますことは、すべてこの理念の具体化されたものであります。内容といたしましてはおおむね
現行法の線に沿いまして、その上にただいま申し上げました本
法案提出の趣旨を盛り込みまして、
事業の適正な
運営と、公正な競争の確保と、
道路運送の総合的な
発達をはかることを明らかにいたしました。第二條に
規定いたしました定義のうち、特に申し上げたいことは、
事業の定義でありまして、
現行法は有償であるとまた無償であるとを問わず、他人の需要に応じてする
道路運送業務をすべて
事業の範囲に含めておりますが、無償の
事業につきましては
法規制の適用が不適当なものが多いので、原則として
道路運送事業者は有償のものに限ることといたしまして、
法律適用の
合理化をはか
つております。ただ
自動車道事業につきましてだけは、無償のものであ
つても、保安に関しましては有償のものと同様に規律する必要がありますので、有償であると無償であるとを問わないことにいたしております。
第二章は
自動車運送事業について
規定いたしておりす。第三條におきまして
事業の種類を定めております。
現行法は
運送契約の形式によりまして、乗合、貸切あるいは積合、貸切というふうに分類いたしておりますが、
トラツク事業につきましては、この
分類方法は
実態に適しておりませんので、
事業活動の
地理的分野を基準としまして、
路線事業と
区域事業に分類いたしました。また
現行法は使用する
自動車による
事業の差異に触れておりませんが、
運送の性質や
事業の性格が相当異な
つておりますので、
自動車の大きさによる分類をも併用いたしまして、
旅客部門におきましては、
乗車定員十一人以上のものを
一般貸切事業、
乗車定員十人以下のものを
一般乗用事業といたしました。また
貨物部門におきましては、
最大積載量一トン以下の
自動車のみを使用いたしますものを
一般小型事業、それ以外のものを
一般区域事業または
一般路線事業というぐあいに区別いたしております。このため
現行法で四種類である
一般事業は六種類となります。なお
特定事業につきしましては、現在四種類でありますのを、旅客、
貨物の二種類に整理いたしました。
第四條におきましては、
自動車運送事業が
免許制である旨を明らかにしております。この点は
現行法と同様であります。
第六條は、その
免許をいたす場合の基準を掲げておりまして、
現行法は
運輸大臣の公示にゆだねておりますのを、
行政の
民主化の見地から、本
法案におきましては、
法律中にはつきりと示すことといたしました。その内容といたしましては、現在公示しておりますものを整理いたしまして、必要欠くべからざるものだけを五項目掲げておりますが、
事業の
公共性にかんがみまして、その地区の輸送の事情によくマツチして、公衆の利便を増進するものであること、
輸送秩序の維持と
不当競争の防止のため、輸送の需給が著しく不均衡にならないこと、及びその
事業を確実に遂行する能力を有するものであることを要件といたしまして、この
免許が
公共事業の特許である旨を示しております。
次に第八條から第十
一條までに、
運賃、
料金の
定額制と現
払い制とを
規定いたしております。
定額制というのは一定の
確定額として
運賃、
料金を
認可いたし、その実施にあたりましては、
認可額に対して任意の割増し、割引あるいは割もどしを許さない
制度でありまして、これは
自動車運送事業の全部に適用いたすことにな
つております。現
払い制と申しますのは、
トラツク事業のみについて採用するものでありますが、
運送貨物を
荷受人に引渡すまでに、
運賃、
料金を受取らなければならないことを原則とする
制度であります。しかしすべての
運送についてこの原則を押すことは実際上不可能でありますから、荷主の経理上の手続その他やむを得ない場合には、省令で指定する期間内は
支払いを延期してもよいことにいたしましたほか、
大口荷主などの場合で常時反覆的に
運送を委託しているため、一々の
運送について現払いを行うことが非常に煩雑である場合は、別に
支払い猶予期間の許可を受けて
支払いを延期することができる道を開いております。この二つの新しい
運賃制度は、
利用者の個々に対する不当な
差別的取扱いと
事業者間の不当な競争を防止するために、きわめて有効な
制度であると考えておりますが、
区域の
トラツク事業につきましては、急激に
商慣行を変更することは磨擦があると考えますので、
施行後一箇年の
猶予期間を置くことといたしました。なおこの新
制度は
物価統制令の
運賃統制とは、観念的にも技術的にも両立することが困難でありますので、附則におきまして、
物価統制令による
運賃統制の廃止後に実施することといたしております。
第十四條の
貨物の種類、性質の確認と第十七條の
引渡し不能貨物の寄託の
規定は、
現行法にない新しい
制度でありますが、
路線貨物自動車運送事業の
発達に伴いまして、
事業の正常な
運営を確保いたしますために必要と
なつたものでありまして、この
制度は
鉄道営業法や
通運事業法におきましては、すでに
制度化されているもであります。
第二十三條の
路線により
運送する
貨物の集貨、配達と、第二十四條の
事業区域外の
運送の
規定も、新らしいものであります。第四條におきまして、
免許は
路線または
事業区域ごとに行う旨をはつきり
規定いたしまして、原則としてはこの
路線または
事業区域外には
自動車を使用して
運送行為はできないのでありますが、
自動車運送の
機動性という現実の必要によりまして、
路線トラツク事業の
集配区域は
免許のいらない
指定制といたしました。また
事業区域外にわたる
運送が
利用者のために必要であ
つて、しかも
免許事業者によることが困難な場合には、許可によ
つて臨時的な
区域外運送ができることといたしました。
第二十五條から第三十條までの
事故報告、
従業員、
運転者、小児の
無賃運送、旅客の
禁止行為等の
規定は、
現行法にはない
規定でありますが、ほとんどすべて現に省令で
規定している
事項でありまして、
自動車運送事業の公共的な
運営を確保するためのものであります。ただ第二十七條の
運転者の資格に関する
規定のみは、まつたく新らしいものでありまして、
運送の安全のために、
旅客自動車運送事業の
運転者は一般の
運転免許のほかに、一定の年齢または
運転経験等の
資格要件を要求したものでありますが、この
制度は諸外国のほとんどすべてに採用されているものであります。
第三十二條の公衆の利便を阻害する行為の
禁止等の
規定は、
現行法にもある
規定でありますが、特に
利用者の個々に対する不当な
差別的取扱いの禁止を新しく加えて、この
法案の新しい
指導理念を明らかにしております。なお本條による処分については、聴聞の手続を要することにいたしまして、
行政の
民主化をはかることといたしました。
第三十四條は、
運送命令の
規定でありまして、
現行法にもある
規定でありますが、命令を出し得る場合を制限するとともに、損失を補償する旨を
規定いたしまして、
事業者に不当な負担のかかることを防止することに考慮を加えております。
第四十
一條の
事業の休止及び廃止の
規定も、
現行法のものを大体踏襲しておりますが、休止の期間を原則として一年に限
つております。これは
自動車運送事業は、その
公共性にかんがみまして、
免許を受けた
事業は公衆の利便のために極力
運営を継続すべきでありまして、長い期間にわた
つて免許の上に眠ることは、
免許制度の本旨に反するものと認められるからであります。
以上のほか、第二章には相当多くの
規定を掲げておりますが、大体
現行法のものに技術的な修正を加えた程度で、特に御説明申し上げる必要はないと存じます。
次に第三章は、
自動車道及び
自動車道事業といたしまして、
自動車道事業と
専用自動車に関して
規定いたしております。
自動車道事業につきましては、その
公共性にかんがみまして、
現行法の通り、第四十七條におきまして、
免許制をと
つておりますが、
自動車運送事業と同じく、
行政の
民主化の見地から、第四十九條にその基準を明示いたしました。内容といたしましては、大体
自動車運送事業に準ずるものでありますが、この
事業は特に長期にわた
つて、多額の資本を投下して経営する性質のものでありますので、その点を審査の項目としてあげております。
第五十
一條は、
自動車道の技術的な基準について
規定してあります。
自動車道は、
高速度交通に対する施設でありますから、特にその保安について注意する必要がありますので、省令で定める技術上の基準に合致することを要求しております。第五十七條から第六十條にわたりまして、詳しく
自動車道の検査に関する
事項を
規定いたしましたこと、第六十三條におきまして保安上の
供用制限を
認可事項といたしましたこと、第六十八條におきまして、
自動車道の
維持管理について
規定するとともに、
道路標識の設置を
事業者の義務といたしましたことなどは、すべて
高速度交通に対する保安を確保するという趣一日によるものであります。
第五十三條は、
路線等の公示でありますが、
自動車道の開設につきましては、土地の収用などの問題が生じますので、早目に
利害関係人に周知させようという
目的のものであります。
第六十
一條におきましては、
使用料金について
規定いたしてあります。
自動車道につきましても、その
公共性にかんがみまして、
自動車運送事業と同様な
考え方から
定額制をと
つております。
そのほか本章には、大体
自動車運送事業に準じた
規定と
現行法を踏襲した
規定とが含まれております。
第四章におきましては、国の経営する
自動車運送事業と
自動車道事業について
規定しております。
日本国有鉄道は
公共企業体でおりますが、
日本国有鉄道法によ
つて現行法では国と同じ
取扱いを受けており、本
法案におきましても同様であります。
事業の開始につきまして承認を要するという第七十六條と第七十八條の
規定、
路線事業に関して
民営事業に補償するという第七十七條の
規定は、
現行法と同様であります。
第七十九條におきましては、
国営事業であるという
特殊性によりまして、
民営事業と同様の
取扱いをすることが適当でないと考えられます
規定の
適用除外を定めておりまして、
現行法にも同様の條文がありますが、内容といたしましては、国鉄が
公共企業体に移行した
事情等を勘案いたし、
現行法で除外しておりますものを再検討いたし、
民営事業との調整をはかる意味におきまして、
運賃、
料金の
認可、休止、廃止の許可、重要な
事業計画の変更の認来、報告、検査などの
規定を、新しく
国営事業にも適用することにしております。
次に第五章におきましては、
自動車運送取扱事業について
規定してあります。この
事業の
実態は、
路線トラツク事業に対する仲介あつせんを業とするものでありまして、
ちようど鉄道に対する
通運事業のような存在であります。
現行法はこの
事業についてはまつたく触れておりませんが、最近の
路線トラツク事業の
発達に伴いまして、大都市におきまして急速に
発達して参つは、
道路運送上なかなか大きな役割を占めておりますので、これを利用する
一般公衆の利益の保護と、
道路運送の総合的な
発達改善をはかりますためには、どうしてもある程度の監督をいたす必要が痛感されますので、新たに一章を設けて
法規制を加えることにいたしたのであります。
第八十七條におきまして、この
事業が
登録制であることが定められてあります。この
事業は
通運事業と異なりまして、概して小規模の経営のものが多く、しかもこのような
末端業務は、
トラツク事業者が直営する場合も少くありませんので、
免許制というような大げさなことは、かえ
つて弊害が伴うとの
考え方から、
登録制といたしたわけであります。登録のやり方については第八十三條に定めてありますが、一定の
欠格事由に該当いたします場合、
事業に必要な
最小限度の設備をも有していない場合、それから資力、信用の状態がきわめて不十分なもの以外は、登録しなければならないことといたしております。
第八十五條におきましては、
運賃、
料金が
認可制であることを
規定しておりますが、これは荷主との
関係におきまして、特に重要な
事項でありますので、第八十六條の
取扱約款とともに、
認可を要することといたしました。しかしながら
自動車運送事業のような高度の
公共事業と異なりまして、
運賃、
料金の
定額制、現
払い制はその必要もないし、また
実態上困難であると考えますので、この
規定は設けてありません。
(岡田(五)
委員長代理退席、
委員長
着席〕
第八十九條は、
禁止行為に関する
規定でありまして、
取扱事業者は、自分の相手方として登録してある
自動車運送事業者以外の者に対して、
取扱行為をしてはならないことにしております。これは荷主の予想しなかつた
運送事業者によ
つて、
貨物が
運送されることを防止する必要からであります。
第九十二條は、停止、
取消しの
規定でありまして、
違反行為があつたときとか、
欠格事由に該当するように
なつた場合には、聴聞の後に
事業の停止または
取消しを行うことができるようにしてあります。
そのほか二、三
届出義務などの
規定がありますが、特に御説明申し上げる必要もないと存じます。
第六章は軽
車両運送事業に関する
規定でありますが、内容としてはほとんど
現行法の通りでありますから、御説明を省略させていただきます。
第七章は、
自家用自動車の使用に関して
規定してあります。
自家用自動車は、
道路運送上きわめて重要な地位を占めておりまして、その健全な
発達はもとより望ましいことでありますが、
自家用車が、その本来の
分野において活動することにつきましては、極力規制を避けることが好ましいと考えております。しかしながら、
自家用車が
事業の
分野に乗り出すようなことがありとすれば、すでに
自家用車の意味を没却するばかりでなく、輸送の
分野を撹乱し、輸送の秩序を混乱に陥れ、ひいては
道路運送の総合的な
発達を阻害する結果を招くことになるのでありまして、たといその行為によ
つて一小部分の利益はあつたといたしましても、終局的には国民全体の利益をそこなうものであります。本章はこのような趣旨から
規定せられておりまして、
道路運送の秩序を確立するとともに、
自家用車がその本来の
分野において健全に
発達いたすことを期待しているのであります。
第九十九條の使用の届出は、現在省令によ
つて実施している
事項を
法律に
引上げたものでありまして、
実態把握の
目的を有するものであります。
第百條の
共同使用の
制度は、新しい
制度でありまして、
許可制といたしておりますが、ただいま申し上げた趣旨によ
つて、
自家用車本来の
分野から逸脱することを防止する
目的に基くものであります。
第百
一條の
有償運送と賃貸の制限は
現行法と軌を一にしておりますが、
現行法で
有償運送を絶対に禁止する
規定が
実態に即せず、かえ
つて秩序を乱す原因と
なつた事情にかんがみまして、災害のため緊急を要する場合と、公共の福祉を確保するためやむを得ない場合であ
つて、許可を受けた場合にはこれを認めることといたしまして、
制度の
合理化をはかりました。
第百二條の制限、禁止の
規定も、
現行法を踏襲しておりますが、現在
適用除外とな
つている
乗車定員七人以下の乗用車が適用の範囲に入つたことと、処分をする場合を具体的に列挙したことが異な
つております。
次に第八章は、
道路運送審議会に関する
規定であります。骨子は
現行法のものを受継いでおりますが、三箇年間の経験にかんがみまして、若干の修正を加えております。
第百四條の
諮問事項の
規定は、
運賃、
料金に関する
事項が加わつた点がかわ
つております。
第百六條の組織の
規定では、現在総計九十七人であります
委員定数を半減いたしまして、四十九人といたしました。その
任命方法は第百七條に
規定してありますが、現在各
都府県二名、
北海道七名の
委員定数通りの
候補者を知事が推薦いたしましたのを、そのまま任命する
制度を改めまして、
委員定数、すなわち各
都府県一名、
北海道四名の定数に対して、二倍以上の
候補者を推薦いたし、そのうちから
運輸大臣が任命することにいたしまして、任命に幅を持たせております。
第百八條では、国会や
地方公共団体の議会の議員は
委員となれないことといたしましたが、これは
審議会の
行政機関的性格にかんがみまして、政治的な影響を避けたわけであります。
第百十條は、
委員の
事業からの隔離
の
規定であります。
現行法では、
審議会の同意と大臣の承認を受けた場合のほかは、一般的に兼職を禁止しておりますが、
審議会運営の公正を期するために、
関係事業からの隔離をさらに一層徹底させて、投資についてまでも制限を設ける一方、不必要な
一般的兼職禁止の制限を解除したのであります。
第百十五條は、
公聽会の
規定でありまして、
現行法では
公聽会開催絶対主義をとることといたしておりますが、この
法案では
任意主義に改めております。
以上がおもな
修正点であります。その他の
道路運送審議会に関する
規定は、ほとんど現在の
制度そのままでありますので、御説明を省略させていただきます。
第九章は雑則でありまして、第八章までの各章に入れることが適当でない條項を集めて
規定しております。この章もおおむね
現行法と同様でありますから、
相違点のみを御説明申し上げます。
第百二十二條の
職権委任の
規定では、
貨物軽十両
運送事業に関する
行政庁を、
現行法の
陸運局長から
都道府県知事に改める等の一部の修正を加えております。
第百二十三條の
地方公共団体の
区域内の
バス事業について、
免許とか、
事業計画変更の
認可とかの処分をする場合に、都知事または市長の意見を徴する
規定もほとんど
現行法の通りでありますが、
現行法に含まれていない市外からの乗入れ線についても、意見を徴するなどの修正をいたしました。
第百二十四條の
道路管理者の意見の聴取の
規定は、現在省令にあります
規定を
法律に
引上げたものでありまして、
自動車運送事業と
道路との
密接不離の
関係にかんがみまして、
免許と
事業計画の変更であ
つて、
自動車の大きさまたは重量を増加するようなものの
認可の処分をする場合に、
道路管理者の
道路管理上の技術的な意見を徴して、
運送の保安を期するとともに、
道路の改良を促進しようとするものであります。
第百三十五條の団体の届出の
規定は、まつたく新しい
規定であります。この
法案の
目的とするところを実現するためには、
関係諸団体の協力を求めることも必要でありますので、その
実態を把握するために届出をさせることといたしました。
第百二十七條の
自動車に
使用者の
氏名等を表示する
制度も新しいものでありまして、
実態把握の
目的と
道路運送秩序の確立に資するために、本條を設けたものでありますが、その必要のないもの、または表示をすることによ
つて使用にはなはだしく不便を来すようなものについては、適用しないことにいたしております。
次に第十章は罰則でありますが、罰金の
最高額につきまして、
貨幣価値の変動を参酌いたしまして、無
免許営業につきましては、一万円でありましたものを三十万円に
引上げたほか、
行政犯については大体十倍から三十倍程度に
引上げ、
自動車転覆の罪などの
刑事犯につきましては、刑法にならいまして、六十倍程度に
引上げております。そのほかには特に申し上げるほどのこともございません。
次に附則でありますが、この
法案は七月一日から
施行することといたしております。なお
運賃関係の若干の
規定を
物価統制令による
運賃統制の廃止後に適用いたしますことは、先ほど申し上げた通りであります。
なお
現行法に
規定してあります車両の登録、検査、
整備等の
規定は、別個に
道路運送車両法案といたしましたから、本
法案にはまつたく触れておりません。
最後に
道路運送法施行法案について申し上げます。この
法案は、
道路運送法を実施いたしますための
経過的措置について
規定しておりますので、ほとんどが技術的な
事項であります。
第
一條には、
現行道路運送法の廃止を
規定し、第二條では、
自動車運送取扱事業が、新しく
行政の対象と
なつたことに伴う
運輸省設置法の改正を
規定しております。以下第七條まで
関係法令について所要の修正を加えております。
道路運送審議会につきましては、本
法案の
施行の際全部新しく任命する建前をとりまして、
現行法によ
つて委員である者は、本
法案施行の前日に免職するとともに、新しい
委員の
候補者の推薦は、本
法案施行前にも行えることといたしまして、この
制度の移りかわりの円滑を期しております。これらは第八條と第九條に
規定してあります。
第十條には、
現行法による特定
自動車運送事業の
免許であ
つて、
運賃、
料金の
認可を受けなかつたものは、失効することを
規定いたしておりますが、これは従来
事業の範囲であつた無償の
事業が、
事業の範囲外とされることに伴うものでありまして、
一般事業については、無償の
事業は事実上ありませんので、
特定事業についてのみ
規定してあります。
第十
一條におきましては、
現行法に基いてした
免許等の行為は、新法によ
つてしたものとみなすことにいたしております。しかしたとえば
事業種別などは相当の変更がありますので、具体的な移りかわりの方法は、口令で定めることにしております。
そのほかの各種の
規定は、すべて経過措置に対する技術的な
規定でありまして、特に申し上げる必要もないと考えますから、省略させていただきます。
以上で
道路運送法案及び
道路運送法施行法案の御説明を終ります。
次に
道路運送車両法案及び同
法施行法案の概要について御説明申し上げます。
一般産業経済の復興、諸資材の緩和等に伴いまして、最近における
自動車交通の復興ぶりは目ざましいものがございます。
自動車の数におきまして、戦前最高の昭和十三年の二十一万七千両に対しまして、昨年十二月末の数は三十八万七千両とな
つておりまして、毎月一万両近くが増加いたしておる状況であります。このほか連合軍
関係の
自動車も多数運行されておりまして、ごらんの通りの
自動車交通の輻湊ぶりを呈しているのでございます。これらの
自動車の中には、バスにおいて最高
乗車定員九十人を越え、トラツクにおいて最高積載トン数十トンを越えるようなデイーゼル車やトレーラー付
自動車のような大型のものから、二輪及び三輪の
自動車、スクーターのような小型のものがありますし、最新式高速
自動車に対し車齢十数年の旧式
自動車や代燃車が動いているのであります。
車両数が増加し、各種車両が交錯し、スピードが増し、長距離にわた
つて行動するようになりますと、勢い車両事故も増加して参るのでありまして、昭和二十五年中における
事業用
自動車の重大事故だけでも八百七十件を数えているような状態であります。
自動車登録の面におきましても、現下の社会経済
事情等を反映しまして、虚偽の登録申請が次第にふえて参り、遺憾なが登録事故が漸増している現状でありまして、
自動車がふえればふえるほど、
自動車の
実態把握と流通の安全確保の必要性が増大して参るのであります。
以上のような実情でございますから、車両事故及び登録事故を防止して、車両の安全性を確保し、日進月歩する
自動車の
発達に即応いたしますことは、きわめて緊急を要するものと存じます。
このため、国の統制的強権力を拡充強化いたすことは極力避け、きわめて合理的は法規律のもとに、民主的な
行政の
運営によりまして、保安の
目的を達成して行きたいと考えるのでありまして、今回
道路運送車両法案を提出いたしましたのもこの趣旨でございます。
現在
道路運送車両の保安に関しましては、
道路運送法の第五十四條(車両の検査)、第五十五條(車両の整備)及び第五十六條(
自動車の登録)の三箇條において原則的に
規定され、具体的詳細は同法に基く車両規則、
自動車整備工場認定規則、
自動車整備士技能検定規則、
自動車の指定に関する省令等の諾省令に委任しているのであります。
国民の権利を制限し、義務を課します
事項等は、極力具体的に
法律に
規定することが民主的でありますので、右の諸省令に
規定いたしております
事項を
法律事項とする必要がありますのと、買主的合理的方法によります車両保安の確保のために、後説明いたしますような
事項を
法律に
規定する必要がありますので、
道路運送法第八章車両
関係規定の改正を要するのであります。このようにいたしますと、條文がきわめて厖大になりますので、海上
運送法と船舶安全法との
関係、並びに米国における州際交通法と統一車両法との
関係のように、
事業監理法規と保皮法規との二つの法体系に分離いたす方が妥当であると考えまして、
道路運送法の全面改正を機会に、単行法としての
道路運送車両法案を提出いたした次第でございます。以下本
法案におきまして改正いたしました
事項を中心としまして、
法案の要点を御説明いたしたいと存じます。
第一章総則におきましては、本法の
目的、本法中に使用される用語の定義及び
自動車の種別を
規定いたしております。
第
一條本法の
目的は、
道路運送車両の安全を確保いたしまして、公共の福祉を増進することにあるのでありますが、この
目的の
規定の中に本法の構成及び要点を示しております。すなわち第一に所有権の公証でありますが、これは
自動車を
目的とする所有権を第二章に
規定いたしております
自動車登録原簿に登録することによりまして、
行政上(
実態把握、盗難予防)及び民事上(所有権の得衷、変更の対抗力付与)の
目的を達成いたすということであります。第二に、安全性の確保と申します。のは、車両の構造及び装置が運行に耐えるために、必要
最小限度の安全性を有することを確保することがありまして、第三章保安基準、第四章整備、第五章検査、第七十八條
自動車分解整備
事業の認証等において
規定されております。第三に、整備についての技術の向上とは、車両の安全性を増進するために整備技術の向上を促進することでありまして、第五十五條
自動車整備士の技能検定、第九十四條優良
自動車整備
事業者の認定、第九十五條
自動車整備振興会等において
規定されております。第四に、
自動車の整備
事業の健全な
発達を、
自動車整備士の技能検定
制度(第五十五條)、
自動車分解整備
事業の認証
制度(第七十八條)、優良
自動車整備
事業者の認定
制度(第九十四條)、
自動車整備振興会の
法規制等によ
つて期したことであります。
次に、第二條及び第三條の
関係でありますが、場
現行法におきまして、原動機付
自動車は
自動車として取扱われているのでありますが、それに対する
法規制を緩和して実情に即応いたすために、
自動車の範囲から分離独立させました。従
つて本法において
道路運送車両は、従来の
自動車及び軽車両と原動機付自動に区分されるのであります。(第二條第一項)
第二章は、
自動車の
登録制度に関する
規定であります。
現行法におきましては、
道路運送法第五十六條に基きまして、車両規則の第四節第四十條ないし第四十四條に
規定されているのでありますが、これをできるだけ詳細に
法律に
規定いたしますとともに、従来
自動車の登録が、
自動車両数、分布状態等の
実態把握を主たる
目的といたしておりますのに対し、本法におきましては登録に完全な権利の証明及び車両検査合格の証明となるような効力を付与いたしまして、
登録制度の役割を拡張したのであります。このため本法におきましては、次のような新しい方法によりまして登録の正確を期し、
制度の
目的達成をはかつたのであります。
第一に
自動車の
実態把握、盗難予防、安全性の維持等の
行政目的のために、第四條非登録
自動車の運行禁止、第十二條ないし第十五條の各種登録の強制等に関しまして
規定いたしますとともに、登録の手続といたしまして、たとえば第六條の一両一用紙、第二十
一條の登銀原簿の保存等、第二十二條の登銀原簿謄本等の記
規定を置き、不動産及び船舶の登記手続に準じました。第五條におきまして、
自動車登録に対しまして、不動産及び船舶の登記に匹敵する登記的効力を与えまして、私法
制度における安全の確保の手段といたすとともに、後に御説明いたします
自動車抵当
制度創設の道を開いたのであります。
第二に、第十九條におきまして、
自動車登録番号標の表示
制度を
規定いたしておりますが、
現行法によります車両番号標が、車両検査に合格した証明のみでありますのに対しまして、登録番号標は、その証明とともに正当な所有権を有する証明といたしたいのであります。
第三に
登録制度の
目的達成のために第十七條におきまして、その検認
制度を
規定いたしてあります。すなわち登録
自動車の所有者は、
行政庁が公示または通知する期間内に
自動車及び
自動車検査証を
行政庁に提示しなければなりません。
第四に、第十
一條自動車登録番号標の交付
制度及び第二十五條ないし第二十八條
自動車登録番号標交付代行者の
制度を採用しまして、標板の適正を確保したことであります。標板の
行政庁交付
制度は米国等において実施されておりますが、本法におきましては、この国家事務の信託にたえ得る適正な者に対して、標板の販売業務を代行させる新しい
制度を加えたのであります。
第五に、第二十九條から第三十二條におきまして、
自動車の同一性を表示する手段であります車台番号及び原動機番号の打刻及びその保存につきまして、明確に
規定いたしました。
自動車の登録に登記的効力を与えますためには、打刻の厳正は絶対に必要となるのであります。
第六に、第三十七條及び第三十八條におきまして登録に関する訴願の前位手続といたしまして異議の申立て
制度を採用し、事務処理の迅速化とその
民主化を期した次第であります。
第三章は、
道路運送車両の構造、装置及び性能につきまして、保安上必要
最小限度の基準を
規定したものでありまして、この基準に適合しなければ、
道路運送車両を運行することはできないのでありますが、この基準に従いまして、第四章に
規定されております
道路運送車両の整備、及び第五章に
規定されております
道路運送車両の検査が行われることによりまして、車両の安全性が確保されるのであります。
現行法におきましては、車両の保安基準の
規定は、すべて車両規則に包括的に委任いたし、その第六條ないし第二十三條の三に具体的に
規定されているのでありますが、本法におきましては、
現行規定と同じような保安基準の必要項目につきまして具体的に
規定いたしました。しかしその内容につきましては、日進月歩いたします
道路運送車両の
発達に即応するため、
法律に固定いたしませず、省令に委任することとしております。なお第四十六條の保安上の技術基準の原則の
規定は、本法において
道路運送車両の保安基準を
規定したのは、
道路運送車両の安全性確保の
目的のみで、それ以外には何ものもないという意味であります。
道路運送車両の
発達は車両が活発化し、それを随所に使用いたしまして公共の便益を増進することであります。従いまして
運輸大臣が、運輸省令で定めます保安基準は、不必要な制限を加えて車両の使用による
道路運送の
発達、及び車両生産者の創意くふうによる車両生産の
発達を阻害するものであ
つてはならないことは当然でありますので、このことに関しまして注意的に
規定いたしたものであります。
第四章は、
道路運送車両の整備についての
規定であります。車両は、前章に
規定した保安基準に適合しないと、運行の用に供することができませんから、その
使用者は常に車両を整備しておかなければなりません。
現行法におきましては、第五十五條に(1)車両の
使用者に対し整備をすべき義務(第一項)、(2)
行政庁に対し整備命令権の付与(第二項)及び(3)
行政庁に対し整備命令違反者に対する強制措置権の付与(第三項)を
規定し、具体的
事項は、車両規則第三十五條ないし第三十九條及び第四十七條に委任いたしております。
本法におきましては、
使用者の自主的整備に重点を置きまして、次の諸点につきまして新たに
規定を加えました。第一に、第四十七條の
規定によりまして、運行開始前の仕業点検により日常整備の完璧を期することであります。第二に、
自動車使用者の自主的整備体制の充実のために、第四十八條整備の技術基準による勧告
制度、第五十條ないし第五十三條の整備管理者
制度及び第五十六條の
自動車車庫に関する勧告
制度を設けたことであります。整備管理者の
制度は、
乗車定員十一人以上の
自動車、すなわちバス型車両の
使用者、
自動車運送事業者または十両以上の
自動車使用者に対し、車両整備励行に関する責任者を選任させまして、その技術者としての良心に信頼しまして
自動車の自主的整備を確保いたしたものであります。なお整備技能の向上をはかりますため、
自動車整備士技能検定規則によ
つて実施いたしておりました整備士技能の任意検定
制度を第五十五條に
規定いたしました。
次に第五章について申し上げます。第五章におきましては、
道路運送車両の安全性を確保するため国の行う手段として、当該車両が第三項に
規定する保安基準に適合しているかどうか、その
使用者が使用の権利を有するかどうかを確認いたすための車両検査について
規定いたしております。
道路運送車両は、第五十八條及び第七十三号に
規定いたしますように、その使用の本拠の位置を管轄する
行政庁の行う検査を受け、その検査証の交付を受けなければ、運行の用に供することはできません。
現行法におきましては、第五十四條に原則を
規定いたし、具体的
規定は車両規則に委任いたしております。本法におきましては、第五十八條新規検査、第六十二條継続検査、第六十三條臨時検査及び第六十四條において
自動車を分解整備した場合に受ける分解整備検査についてそれぞれ
規定するとともに、車両の検査証に関しまして第六十條、第六十
一條及び第六十六條ないし第七十條にきわめて具体的詳細に
規定いたしております。しかしその内容は、
自動車の分解整備検査を加えたこと及び原動機付自転車を
自動車より分離して検査を簡単にしたことのほかは、
現行とまつたくかわりがないのであります。
次に、
自動車の保安及び使用効率の向上並びに
使用者等の利便の増進を
目的として、
自動車の指定に関する省令に基きまして、現在行
つております
自動車の型式
指定制度につきまして第七十五條に
規定いたしました。
自動車の型式
指定制度は、申請の
自動車の構造、装置及び性能が保安基準に適合し、かつ均一性を持
つております場合、その型式を指定し一第五十九條第二項新規検査の省略、第七條第三項新規登録の場合の
自動車呈示の省略等の効果を与えまして、
自動車製作者、
自動車使用者等の便利をはかつた
制度であります。
次に、現在車両規則第二十六條によ
つて行
つております使用前の
自動車、すなわち商品
自動車に対する予備検査の
制度に関しまして、その手続その他を詳細に第七十
一條に
規定いたしました。この
制度は、
自動車の所有者の申請により車両検査を行い、保安基準に適合する場合は
自動車予備校査証を発行、これにより
自動車の新規検査の手続の省略を受けることができるのでありまして、所有者の
自動車販売を円滑にいたすとともに、新所有者、
使用者の便益をはかつたものであります。なお原動機付自転車が
自動車の範疇から分離されたことによりまして、その検査は旅客軽車両の検査と同様に、第七十三條第一項におきまして、都知事または市町村長の権限とな
つております。
第六章は、
自動車の整備
事業に関する
規定であります。
自動車の保安を確保いたしますためには、その保安基準を定め、
自動車使用者の整備及び国の車両検査を完全正確に行いますとともに、
自動車整備を業といたします整備
事業者の体制を確立することが同時に必要であります。
現行法におきましては、
自動車整備
事業に関する
法規制として、前に申し上げました
自動車整備士技能検定規則に基く
自動車整備士の検定
制度、及び
自動車整備工場認定規則に基く整備工場の認定
制度の二つの任意
制度があるだけでありますので、
自動車の保安確保上片手落ちと言はざるを得ません。
本法におきましては、第六十四條第一項本文によりまして
自動車を分解し整備した場合は、
使用者はその都度車両検査を受けなければならない建前にな
つておりますが、この検査の実施は、現在の車両検査設備及び車両検査要員をも
つてしてはとうてい不可能でありますから、
自動車分解整備
事業者に国にかわ
つて分解整備検査を正確に行わしめる体制を考える必要が生ずるのであります。また最初に申し上げましたような車両事情、すなわち整備不良に基く車両事故の頻発、
自動車の高速度化に基く保安向上の必要性、老朽
自動車の増加に基く分解整備の必要性の増大等にかんがみましても、
自動車使用者の全面的委託を受けて整備作業を行います分解整備
事業者の体制を確立いたしますことは、緊急事であります。過般のアジア及び極東経済
委員会におきまして、
自動車の整備体制の遅れているアジア諸国においては、これが体制確立のため特段の措置を講ずべきであることを決議いたしております。
本法におきましては、整備技術の
特殊性に応じまして、第七十七條で
自動車分解整備
事業を普通
自動車分解整備
事業、小型
自動車分解整備
事業及び電気
自動車分解整備
事業の三種類に分類いたし、次のような
事項を
法律に
規定いたしております。
第一に第七十八條、第七十九條、第八十條及び第八十四條の
事業認証に関する
規定であります。
自動車分解整備
事業を経営しようとする者は、第七十八條第一項によりまして、
事業の種類及び分解整備完成検査を行う
事業場ことに
陸運局長の認証を受けなければなりません。認証と申しますのは、国の検査に準ずる完成検査を適正に
施行し得る最低限度の技術上の能力を有するかどうか、及びその
事業場が完全な分解整備を行い、かつ完成検査を
施行するために必要な最低限度の設備を有するかどうかを純粋に技術的、物理的に確認いたすとともに、依頼
自動車を信頼して管理させ得るかどうかについて、最低限度の欠格要件に照して形式的に確認し、その結果要件を具備するものであるときは、表示等の方法により、
自動車使用者その他一般に対し、
自動車の保安の見地から国が
行政上証明するものであります。この認証は、第八十條に
規定する認証基準に従
つて行われるのであります。
第二に、第九十條におきまして、
自動車分解整備
事業者が分解整備を完了したときは、その
自動車について国にかわ
つて完成検査を行わなければならないことを
規定するとともに、その完成検査の責任を明確にして、安全性の確保上遺憾のないようにするため検査主任者の
制度を定め、その選任方法、監督方法等について第八十五條ないし第八十八條に
規定いたしております。検査主任者の完成検査が終つた
自動車に対しましては、第六十四條第一項但書によりまして、国の分解整備検査が省略されます。
第三に、第八十
一條事業内容変更の場合の
届出義務、第八十二條
事業者の相続または合併、及び第八十三條の
事業の譲渡の
規定を設けますとともに、一般
自動車使用者の便利のために、第八十九條で分解整備
事業者の標識表示の義務を
規定し、
実態把握、
行政監督のために第九十
一條におきまして分解整備記録簿備えつけの義務を
規定いたし、さらに第九十二條及び第九十三條におきまして、設備が技術基準に適合しない場合の保安命令、並びに
事業継続の適格性を欠くに至つた場合の
事業の停止及び認証の
取消しに関しまして
規定を設けました。これ等の
規定は、整備
事業の健全な
発達をはかり、かつ完成検査の代行等のごとき民主的な方法により、
行政上の保安
目的を達成するためのものでございます。また整備技術及び整備設備の質の向上をはかりますために、運輸省令の
自動車整備工場認定規則に基きまして、
自動車整備工場の認定
制度を実施いたしておりますが、二十三年八月規則
施行以来、本日までに三百六十六工場について認定をしております。本法におきましては、この
制度を第九十四條に
規定いたしましたが、実施の要領は従前通りでございます。なお第九十五條に
自動車整備振興会に関する
規定を設けましたが、これは民法第三十四條による公益法人でありまして、
自動車整備の設備の改善及び技術の向上をはかり、
自動車整備
事業の全体のレベルを向上せしめるための法的措置でございます。
自動車整備振興会の活動は、
事業者団体法の範囲内に限られるのでありますが、
自動車整備の向上及び
事業の
発達に役立つものと考えております。
次に第七章について申し上げます。第七章は雑則でありまして、前各章の
規定に対する補充
規定を列挙したものであります。第八十七條の登録
自動車に対する強制執行等の
規定は、登録
自動車であ
つて軽
自動車及び二輪の小型
自動車以外のものが、第五條の
規定によりまして不動産的な
取扱いを受けることになりましたので、その強制執行及び競売につきまして、不動産及び船舶に準じた
取扱いによるための
規定であります。
第九十八條に、不正使用等の禁止についてでありますが、
自動車登録番号標、
自動車登録の検認票、臨時運行許可番号標等を偽造、変造などを行いますと、本法の
目的達成を阻害いたしますから、刑法の公文書偽造の罰に準じて罰則を課す必要があるので、本條に
規定したのであります。
第九十九條は、工場敷地内、飛行場、岸壁等、
道路以外の場所のみにおいて
自動車を使用する場合の保安基準を定めたものであります。
第百條は、実情把握の最も端的な方法であります報告徴収及び立入検査に関する
規定であります。
行政の公正と国民の権利の保護を期しますための民主的
規定としまして、第百
一條一般に対する
運輸大臣の告示の義務、第百三條顧問の
制度、第百四條訴願の
規定があります。
第百二條におきましては、登録その他に要する経費に対する受益者負担の適正化及び国の財源確保のための手数料に関することを
規定いたしております。
第百五條は、
職権委任の
規定であります。本法に基く
行政処分はすべて国の事務でありますが、事柄の重要度に応じまして、
陸運局長に対し職権を委任し、またはさらに
陸運局長の権限を
都道府県知事に委任することとしたのでありますが、
現行法の第四條第三項の
規定に相当するものでありまして、
現行とほとんどかわりありません。ただ原動機付自転車が
自動車より分離されましたことに伴いまして、その
行政庁が都の特別区以外の
区域及び道府県においては市町村長になりましたことと、
自動車の臨時運行の許可権限庁が、
現行は
都道府県知事でありますが、本法におきましては、申請者の便利のために、
都道府県知事、市長、特別区の区長及び政令で定める町村長と
なつたことであります。
第八章の罰則は、前各章の
規定の励行を確保いたしますために、各種の刑罰及び
行政罰に関して
規定いたしました。第百十
一條はいわゆる両罰
規定でありまして、一般の
行政法規にありますように、行為の主体のみならず、その使用主に対しても罰金刑を課しまして、使用主の監督の励行をはかつたものであります。
附則におきましては、本法
施行の日を
規定いたしましたが、本法を一般に周知さす期間、
法律によ
つて委任された命令の制定を準備いたす期間等を考慮いたしまして、七月一日を
施行期日とたいしております。ただ本法におきまして、新たに軽
自動車及び二輪の小型
自動車以外の登録
自動車に対しまして、不動産的な
取扱いをするようにいたしましたので、登録内容を毎確認してその真正を期しますための期間、新しい民事的効力を付与したことを一般に周知徹底させるための期間等、その円滑な実施のためには、相当の準備期間を必要といたしますので、本件に関する第五條並びに第九十七條第一項及び第三項の
規定は、昭和二十七年四月一日から
施行することと致しました。
次に
道路運送車両法施行法案について申し上げます。これは、本法実施のために
関係法令を廃止または改正いたすとともに、
現行法に基く処分の経過措置等に関して
規定いたしたものであります。
第一に
道路運送車両法におきまして、従来車両規則等の省令で
規定されておりました
事項を極力法待
事項といたしましたので、第
一條はそれらの省令を廃止いたしたのであります。
第二に、
道路運送車両法におきまして原動機付自転車を
自動車から分離いたすとともに、
自動車登録番号標交付代行者の指定、
自動車の車台番号及び原動機番号の打刻、
自動車車庫についての勧告……。
〔
委員長退席、大沢
委員長代理着席〕
自動車の使用にかかる整備管理者等、
自動車整備士の技能検定、
自動車整備
事業の認証、及び優良
自動車整備
事業者の認定を新たに
法律に
規定いたしましたので、それに伴いまして、第二條により
運輸省設置法の
関係箇所を整理いたしました。
第三に、
現行法に基く処分の経過措置に関するもので、第三條ないし第十六條の
規定がこれに相当いたします。すなわち
自動車の登録に関する第三條及び第四條の
規定、臨時運転の許可に関する第五條の
規定、
自動車の検査に関する第六條及び第七條の
規定、原動機付自転車に関する第八條の
規定、旅客軽車両の検査に関する第九條の
規定、
自動車整備士技能検定に関する第十條の
規定、
自動車の指定に関する第十
一條の
規定、
自動車整備工場の認定に関する第十二條の
規定、車両番号標及びその封印に関する第十三條ないし第十五條の
規定、臨時運転許可証、臨時車両番号標、車両検査証等に関する第十六條の
規定でありまして、それぞれ旧法による処分を新法による処分とみなすごとと
規定したものであります。
第四に、新しく
規定されました
事項に関しまして、
猶予期間等を
規定したものでありまして、第十七條ないし第二十二條の
規定がこれに当ります。すなわち
道路運送車両法
施行の際、現に
自動車の車両番号標の販売を業としている者に関する第十七條の
規定、整備管理者の選任に関する第十八條の
規定、
道路運送車両法
施行の際、現に
自動車分解整備
事業に相当する
事業を経営している者に関する第十九條の
規定、検査主任者の選任に関する第二十條の
規定、手数料の免除に関する第二十
一條の
規定及び
陸運局長の
自動車登録番号標の交付及び購入に関する第二十二條の
規定であります。第十七條におきましては六箇月、第十八條ないし第二十條におきましては一箇年の
猶予期間を認めております。
第二十
一條は、旧法による登録の確認の意味の新規登録に対しまして手数料を免除する
規定であります。
第二十二條は、予算その他の
関係で当分の間、
陸運局長の
自動車登録番号標の交付及び購入の事務を行わない旨の
規定であります。
附則は、
法律施行の日を定めております。
施行法は、
道路運送車両法実施のための
法律でありますから、
道路運送車両法
施行日、すなわち昭和二十六年七月一日を
施行の日としたのであります。
以上によりまして、
道路運送車両法案及び同
法施行法案に関しましてそのおもな点の御説明を終りますが、よろしくお願いいたします。