○岡本
参議院運輸専門員 要点を御
説明申し上げます。
第一に
免許につきまして、原案第五条第二項の
規定によりますと、
船舶の機関の
種類につきまして
免許を限定する必要がある場合に、国家試験に合格した者に対しまして、その
免許の効力を
行政処分によ
つて一方的に制限し得ることとな
つておりますので、これは適当でないと考えられます。かような場合に、限定せられた
資格につきまして試験を行いて、それ相当の
免許をなすべきであるという見解から、これを明らかにするために、試験の実施に関する第十二条及び受験
資格に関する第十四条を、お手元に御配付にな
つておることと思いますが、修正いたします。
第二には、
免許の取消し等、船員に対する
行政処分につきまして、原案第十条は単に
行政官庁のみの判断によ
つて行われることにな
つておりますが、
行政処分はできるだけ慎重な手続によるべきである。ことに
海上保安審議会の
制度がございまするので、その意見を聞き、その意見を尊重してなすべきものであると考えまして、その旨同条に第二項を加えることにいたした次第でございます。
第三に、試験及び受験
資格の
基準等は、
法律に明定すべき性質のものであるという見解に立ちまして、いろいろこの
関係法文を研究いたしたのでありますが、試験
制度につきましては、そのきめ方ははなはだ複雑でございますから、法文に盛ることはきわめて困難であります。しかしながら少くともこれを
省令で定めまする場合に、試験の実施に関する重要なる
資格につきましては、
海上保安審議会の意見を聞くのが妥当であるという結論になりまして、原案第十二条以下はこの点に関し明文を欠いておりまするので、十四条の次にこれに関する一条項を第十五条として加えることにいたしたのでございます。
第四に、
船舶職員として
船舶に乗り組ますべき者の
資格につきまして、原案第十七条、
船舶職員の
業務を行い得る者を
規定する原案第二十条、この両条はいずれも
船舶の機関の
種類に限定した場合の
規定を欠いておりまするので、それぞれ第二項といたしまして追加し、明らかに
規定する必要があるものと考えまして、これを修正したわけでございます。またこれに関連しまして、罰則におきまして、原案第三十条に
関係を持ちまするので、
所要の
改正を加えたわけでございます。
第五に、原案二十三条でございまするが、
船舶所有者に対しまして、船内に
船舶職員名簿の掲示を命じまして、その違反者に対しては処罰をすることとし、これを第三十二条に
規定しております。しかし船員法におきまして、船長に対しまして船員名簿の備えつけを命じておりまするから、さらに同じような
種類の名簿の備えつけは不必要であると考えられまするので、第二十三条は削除すべきものという結論を得まして、ここに削除することにいたした次第でございます。
第六に、
本法適用の特例につきまして、原案の附則第二項でございまするが、これは
本法制定の要点の一つとな
つておりまする新しい
資格、
定員の
制度の実施まで、約三年の準備期間を
規定しておるのでありますが、準備期間の措置はあくまで経過的措置の性質を持つものであるという見解からいたしまして、普通の立法の例のごとく修正する方が適当であるという結論になりまして、本項及び
関係する
別表の修正をすることにいたした次第でございます。
第七に、以上六点の修正に関連しまして、罰則の整理、字句の整理、条文の整理を要するとともに、附則第六項水先法の
改正中、ただいままで申し上げました修正に関連する
事項について修正をいたしたのでございます。
第八に、附則のうちで経過
規定がございまするが、そのうちで修正しました第一は、原案は小型
船舶に対する
船舶職員制度の採用につきまして、総
トン数二十トン未満の帆船、漁船等についても適用することとな
つておりまして、これに国家試験を課することにな
つておりますが、船員の素質を向上するための計画はまことに適切なことでありますけれども、
資格試験について全面的に適用することは、必ずしも現状に即しないうらみがあるものと考えられます。知識の点から言いましても、生活面から言いましても、かように考えられるのであります。すなわちこの
制度を適用するためには、なお相当の準備期間を要するものと結論を得まして、この点に関し
参議院における水産
委員会からの決議としての御要望もあつたのでありますが、その申入れをも尊重いたしまして、
一定の条件のもとに試験を免除する特例を設ける必要があるものと考えまして、かように町村長の証明をも
つてこれにかえるというように修正いたした次第でございます。経過
規定の中の第二の点は、原案第十項によりますと、海事
関係の学校の卒業者の試験につきまして、学術試験を免除する場合が狭きに失するものと考えられますので、この際わが国の現状に即しまして、船員の需給状況等をも考慮いたしまして、現状に即応するごとく原案を修正いたした次第でございます。
以上修正の大綱について御
説明申し上げました次第でありますが、なお詳細につきまして、御
質問がございますればお答え申し上げます。