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1951-03-30 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十日(金曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       片岡伊三郎君    黒澤富次郎君       玉置 信一君    畠山 鶴吉君       前田 正男君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    川島 金次君       山口シヅエ君    江崎 一治君       飯田 義茂君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山崎  猛君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 蔵本茂久二君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  唐津  勳君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君  委員外出席者         参議院議員   岡田 信次君         参議院議員   鈴木 恭一君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営部財務課長) 三木 晴雄君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 三月三十日  港湾運送事業法案鈴木恭一君外四名提出、参  法第一五号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  港湾法の一部を改正する法律案坪内八郎君外  五名提出衆法第二一号)  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案  (参議院提出参法第八号)     —————————————  港湾運送事業法案鈴木恭一君外四名提出、参  法第一五号)(予)  国鉄地方機構に関する件     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案を議題といたし、前会に引続き質疑を続けます。前回正男君。
  3. 前田正男

    前田(正)委員 前会の参考人の話をもとにいたしまして、その質問の途中におきますところの、私の質問を保留した分につきまして提案者がお見えになりませんので、先に政府委員から御答弁を願いたいと思います。  過日の参考人がおいでになりましたときの私の質問で明らかになりました通り、現在のところ預金部資金の運用の大綱には、営団に出すということが入つていないということは明瞭であります。これにつきまして、ある程度の了解をとつておられるようでありますけれども、この問題はまだ政治的にいろいろ関係もあると思うのでありますが、とにかく現在のところ、まだこれが資金計画に入つていないということは明瞭だと思いますが、この点についてもう一ぺん再確認をいたしたいと思います。
  4. 唐津勳

    唐津政府委員 今のお話通りそのわく、あるいは額等はきまつておりません。
  5. 前田正男

    前田(正)委員 私はこの法案審議の当初からお話しておつたのでありますけれども、預金部資金を借りるためという話でありますが、実際のところ預金部資金計画大綱もまだきまつておりませんし、預金部資金法案がまだできておりませんのに、その問題について預金部資金を借りるためというようなことで、いろいろとと督促的お話があつたようでありますけれども、私はその全体の答弁の仕方が非常におかしいのではないかと思つております。現在預金部資金計画の中には入つていないが、それを一つふやしてもらわなければならぬ。従つてそれをとりたいと思うからというような話に、初めから持つて行くべきものではないかと考えております。どうも私に対する答弁が、非常に遠まわしのような話でありまして、見返り資金の問題につきましても、当初は見返り資金を借りるためというような話でありましたけれども、現在すでに借りておるのでありまして、これに対する担保の問題というお話もありますけれども、すでに借りておりますので、担保の問題につきましては、急を要する問題でないと私は考えるのであります。こういうような問題について、御答弁内容が率直なところ歩ないように思いますが、今後もう少し率直に御答弁を願いたいと思います。  次に管理委員会の問題でありますけれども、提案者がおられないようでありますが、私らの聞くところでは、政府当局及び営団におきましては、当初この管理委員会設置については反対しておられたというように聞いておるのでありますけれども、その後資金を借りるために必要があつて、これを設けることになつたというのでありますが、こういうことはわれわれの考え方から行きますと、資金を借りるために公共的な監督は必要でありますけれども、管理委員会を設けなければならぬという規定はどこにもないと私は思うのでありますが、現在の法規にはそういうところがあるかどうか、政府委員でお考えがありましたならばひとつ承りたいと思います。
  6. 唐津勳

    唐津政府委員 ちよつと速記をとめていただきます。
  7. 前田郁

    前田委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  8. 前田郁

    前田委員長 速記を始めてください。
  9. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話に関してでありますが、何も私は管理委員会を諮けなければ、見返り資金とか預金部資金を借りられないということはないと思うのであります。現在借りておるのであります。見返り資金預金部資金を借りでおりますところに、全部管理委員会を設けておるかというと、設けておりません。それは別に管理委員会をつくらなければならないということは、法規にはないと思います。ただいろいろの了解事項のために、嚴重な監督がいるということは、政府財政資金のことでありますから、それは何も管理委員会形式によらなければならないということはないと思つておるのでありまして、その点について、皆さんは当初はそういうことの必要はまだないというように考えておつたというようなお話でありますけれども、私といたしましては、そういうふうな状態になつて来まして、現在のこの委員会空気といたしましては、また一般的な国会空気といたしましては、こういうふうな中間的な機関を設けるということはあまり賛成できない、そういう空気が非常に多いのであります。国民を代表しているのは国会でありまして、それをまた代表しているのは大臣でありますから、大臣監督する方かもつと国民意思に近いのでありまして、その間に中間的な存在を置くということは、かえつて国民を代表している意思を鈍らすものになると思うのでありまして、なるべく国民を代表している意思に近いところの監督を受けるというのが、当然の行き方であると私は思うのであります。そこでこういうふうな意見を持つておられるのについては、いろいろな了解事項関係から、管理委員会を設けなければならぬことになつたといたしましても、皆さんがそういうふうに考えたからこの法案国会提出して、そうして政府営団の方でそういうことを了解したから、国会もそれを了解してくれ、そうしてこの法案をなるべく早く通してくれ、そういうふうなやり方というものは、私は国会を無視しておるのではないかと思うのであります。私は、われわれ国会意思皆さんも大体おわかりになつておると思うのでありまして、そういうことについては極力事前に御交渉あるべきものではないかと思うのであります。私が今まで関係しておりますいろいろな法案におきましても、いろいろの打衝の関係上、政府におきまして、あるいはまた当事者において行き詰まつた場合には、少くとも与党である自由党とか、あるいは常任委員会とか、そういうところに連絡して、国会も相ともにいろいろ折衝いたしまして、それでもだめな場合においてはやむを得ないのでありますけれども、そういうことによりましていろいろ打開の道が開けた例はたくさんあるのでありまして、私もその経験を持つておるのであります。せつかく常任委員会があるのでありますから、この常任委員会連絡されて、法案として提出される前に連絡折衝すべきものであると私は考えるのであります。少くとも与党たる自由党には連絡すべきではないかと思います。こういう点におきまして、今回のやり方というものは、われわれの審議権を無視した、われわれとしては非常に納得のしがたいやり方であるというように存ずるのであります。この点については、私は同僚の委員の方と御相談さしていただいて、できれば国会意思といたしまし修正し、そうしてこれの打衝にる必要があると考ておるのでります。  最後提案者にお聞かせ願いたいと思うのででありますが、私たちはそういうふうにもう少し国会を尊重して、法律案提出する前に国会連絡するのが、国会を重視するゆえんであると考えるのでありますけれども、こういうふうな今回の国会軽視提案の仕方というものは、国会議員の一人である岡田さんとしましては、いかにお考えになつておりますか。われわれの方の考えておることがもつともであるかどうかということを最後にお聞きいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  10. 岡田五郎

    岡田参議院議員 少し遅れまして恐縮であります。ただいま前田さんのお話国会尊重論につきましては、私どもまつたく同感でございます。またそういうふうに今後も努めて参りたいと考えております。ただこの管理委員会の問題につきましては、私は少しく前田さんと意見を異にいたしまして、かかる公共性を帯びておる企業体には、総裁独自ではなくて、やはりかかる機関を持つておるのがいいのではないかというふうに考えておりましたので、その点に関しましては、特に国会を軽視するとも考えなかつたので、従来のような態度をとつて参つたのであります。この点は御了承を願いたいと思います。
  11. 前田正男

    前田(正)委員 この管理委員会のことは、先ほどお話がありました通り、必ずしもそれを置かなければならぬという意見であつたとは私は考えないのでありまして、一般に政府当局その他も、当初置いてはどうかという意見はあつたかもしれませんが、必ずしも置かなければならぬという意見はなかつたのでありまして、金を借りる関係上、そういつたものが必要になつて来たのではないかと思います。それは必ずしも管理委員会形式によらなくとも、政府その他の監督さえあればできるということになつておりますから、その問題については自分たち了解する前に、われわれと連絡をとるというのがほんとうではないか、管理委員会をつくることの是非は別にいたしましても、当然国会連絡をとつてから、そういうことを決定して法案を持つて行くべきではないか、私はこう考えるのであります。この点について事前連絡がないということは、非常に国会軽視ではないか、こういうふうに考えておるのであります。その点についての御見解を求めたのでありますけれども、いろいろと見解の相違もあるようでありますが、私はいずれ皆さんと御相談してから、われわれの態度を決定いたしたいと思います。
  12. 玉置信一

    玉置(信)委員 私の質問せんとする大部分は、前田委員から御質問があつたので省略いたしますが、先ほど前田委員からお話のあつたように、大臣監督権が非常に弱体化されており、またなぜそういうようなことを見込まれていたかと疑問を持つ点が、帝都高速度交通営団定款に現われておると思うのです。それは第五十八條「本営団ハ主務大臣認可受ケ政府出資ニシ利益金配当減額シ又ハ之ヲ為サザルコトヲ得ルモノトス」という一項を削除してあるのですが、これはどういう関係、どういう意味において削除されたものか、まずこれをお伺いしたいと思います。
  13. 三木晴雄

    三木説明員 高速度交通営団法の第五十八條の削除につきまして、これは高速度交通営団法にこの規定がございまして、政府出資に対しましては、利益金配当減額あるいはこれをしなくてもよいという規定が従来あつたわけでございますが、終戦後におきまして、そういつた国出資民間出資を不平等に扱うことはいけないということになりまして、営団法でこの規定を削除いたしました関係上、定款に書く必要もなくなりました関係で、これを削除いたしたわけでございます。
  14. 玉置信一

    玉置(信)委員 今の御説明によると、民間出資政府出資との出資の取扱いを差別的にせず、平等に取扱う趣旨からこれを削除したと言われるのでありますが、そうすると交通営団というものは、将来の運営の面において——減額反対を言えば増資になるのですが、こういうことは政府の何らの相談を受けずに、交通営団がかつてになし得る、こういうようにも解釈できるのですが、そういう点を明確にしていただきたい。
  15. 岡田五郎

    岡田参議院議員 これは高速度交通営団法の第二條に、「資本金ハ主務大臣認可受ケヲ増加スルコトヲ得」それが生きるわけでございます。
  16. 玉置信一

    玉置(信)委員 出資以外の利益配当等については、どういうことになるのですか。
  17. 岡田五郎

    岡田参議院議員 ただいまのお話の点は、営団法施行令の中にありまして、主務大臣認可事項に相なつております。
  18. 玉置信一

    玉置(信)委員 時間を要しますので、施行令の要点を、しからばこれに関連して、どういうようになつているか、ちよつと御説明願います。
  19. 岡田五郎

    岡田参議院議員 施行令の三十六條に「帝都高速度交通営団利益金配当ハ払込ミタル出資金額二対シ年百分ノ六ヲ超ユルコトヲ得ズ」かように定められておるのであります。
  20. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいまの御説明によりまして、配当限度施行令できめてあるということでありますから、主務大臣といろか、政府監督の問題は大体わかりました。しかし私も、この管理委員会設置につきましては、前田委員が詳細に質疑を行われておるように、実際において理解しがたい点がありますが、しかし大体質疑応答で繰返されておりますので、ここで重ねて質問することをやめまして、先ほど前田委員お話になりましたように、いずれ御相談があるようでありまするから、その機会に譲るといたします。  ここでちよつとお伺いしておきたいことは、この高速度営団役員が、総裁以下六名ございまするが、この役員方々経歴を一応お知らせ願いたいと思います。
  21. 岡田五郎

    岡田参議院議員 ただいまのお尋ね役員経歴につきましては、私詳細に承知しておりませんから、さつそく取調べまして御返事申し上げたいと思います。
  22. 玉置信一

    玉置(信)委員 総裁だけでも……。
  23. 岡田五郎

    岡田参議院議員 総裁は長く国有鉄道におられまして、当時鉄道省でございましたが、鉄道の次官を最後鉄道省の方をやめられて、それから日本通運株式会社社長でございましたか、副社長でございましたかをやられて、それから高速度営団の方に行かれたりでございます。
  24. 玉置信一

    玉置(信)委員 どうも言葉は悪いのですが、今日いわれるごとくいわゆる官僚出身のうちの、最も旧官僚型に属した人でないかという印象を、実はせんだつてから参考人として、いろいろ質疑する場合の態度等によつて私は直感いたした。おそらくこれは私一人でなく、他の委員各位においても感ぜられた人があるだろうと思うのですが、もしそういうような立場の人ばかりを、交通営団の重要なポストに置いて経営されるということになりますと、次の管理委員会に選ばれる、総裁の推薦する管理委員というものも、また推して知るべきでないかというように私考えられるのであります。そこで私は政府の強い監督に対する発言権が必要であろう、かように考えておるわけであります。従いましてこの管理委員会というものがあるために、運輸大臣が直接監督する場合においての一つの防壁になる憂いもありますので、私は前田委員がいろいろの角度から指摘された点において、まつたく共感を感じておるわけでございます。  以上申し述べまして私の質問を打切ります。
  25. 片岡伊三郎

    片岡委員 この法案審議続行の上に重大なる関係のある路線に対しましては、昨年来文京区の方々の大きな反対があるのでありまして、それらの陳情等々とにらみ合せまして、委員会では多忙の中をこの法案審議にあたりまして、委員長初め委員の大多数の方が、昨日現地をつぶさに視察して来たのであります。なるほど営団設計というものは、われわれしろうとの目でこれを見まするに、経費その他の角度から検討されて、専門的な技術と観察とをもつて、ただいま施行せんとする計画が立てられたということが、現地視察によつて読まれたのであります。それは燒失地域人家の少いところ、あるいは土地の起伏のあるところをあえて迂回しまして、そうして茗荷谷ですか、あの盆地を切り開いたところの土を盛つてこれを埋めて、そこへ車庫をつくり、計画からすればわれわれしろうとから見ましても実に巧妙な計画であります。経費を節約して、人家の稀薄なところをよつて計画されたということはうかがわれたのであります。しかし地元行つて地元の区長初め区会議員等々の説明及び地元区民の代表の方々、あるいは路線に対する反対実行委員方々よりたくさんの意見を聴取しましたが、この公共施設である高速度鉄道を敷設するにあたりまして、地元の大多数の反対押切つてまでもこれを断行した場合いにおいて、どういう悪影響を及ぼすかということも、われわれには看取されたのであります。そこでこの問題をどう取扱つたならばいいか、もちろんわれわれ国会といたしましては、あまり深く立ち入ることもどうかと思われますが、当然予算関係のあることであつて、その予算の許す範囲内において施行計画が実行されるというところに持つて行くのがわれわれ使命でありますものの、今日民主政治下において、国民を代表して議会の運営に当たるわれわれの職責上からしまして、それらを知りつつも一方的に片寄つてこれを審議してしまうということは、とかくへんぱなきらいをあとに残すのでありまして、こういうことは今後にもたくさん起り得ることであつて、しかも公共施設を施行する上において、国民意思に、あるいは地元意思に反してまでも、企業体意思一方でこれを断行するということは、あえてわれわれのとらざるところであります。そういうふうに見た場合において、この問題をいかように扱うかということが、当然起つて来るのであります。そこで非公式にきのう現地へ伺つたところ、あと五億円何がしの予算を計上することができるならば、区民の希望しているところの軌道の下に全部これを埋めて、ある一部は、場所によつては高架線になる場合もあり得るのでありますが、大体において地下に埋没して、距離も節約できるし、土地の発展上にも支障を来さない、支障どころか、大いに福祉を増進するというような意見が聞き取られたのでありまして、これらはその問題を審議する上においての大きな資料であると、われわれは見てとつてつて来たわけであります。もしもこれらに対する五億何がしの政府融資ができ得るならば、営団側としては既往の設計をかえて、区民の希望する路線に一部変更する意思ありやいなや、これをお伺いしたいのであります。
  26. 岡田五郎

    岡田参議院議員 ただいまの小石川付近路線関係でございますが、実は私提案者となりまして、路線の問題につきましてはこの法律と直接的の関係はない、大体営団当局監督官庁であります運輸省あるいは建設省との間においてこれを決定さるべきものである、かつまた営団当局地元方々との話によつて、しかるべき路線を選定さるべきであるという考えから、五億何がしよけいに金を出したならば、はたして営団がそういうふうに路線変更する意思ありやいなやという点につきましては、私確めておらないのでございますが、この点につきましてははなはだ申訳ないかも存じませんが、直接法案関係ない、かように解釈いたしておりました関係上、そういうふうにやつてつた次第でございます。
  27. 片岡伊三郎

    片岡委員 この問題はただいまも申し上げた通り、直接この法案審議には関係ないと言えば言えますものの、先ほどあれほど事をこまかく申し上げて、国民意思を代表する国会でこの問題を取上げる場合において、ただ一方的に、法律的に関係がないということで済ますことは、われわれはできないと思うのであります。もしもこういうことをやつたならば、国会国民から離れてしまうので、決してこれは民主政治にならないのでありまして、われわれはあくまでも国民の上に立つところの政治を行わなければならぬ、こういうかたい決心を持つておるのであります。なるほどお説の通り主務官庁あるいは企業体監督官庁というものの査定によつて路線が決定されるということは、われわれも承知しております。しかしながら先ほど来申し上げる通り公共施設をする場合、住民の意思に反してまでもこれを押切つて、ただ規則一本で行くということは、われわれ今後の日本のあり方において最も戒むべきことであろう、こう考えるのであります。この前の総裁のお答えの中においても、われわれ営団としては、そういう意思を十二分に反映して、目下一部路線変更も考究中であり、計画変更設計をしておるということを言われております。今月は総裁がおりませんので一確答を得ようとは思わぬのでありますが、われわれといたしましてはどうしてもその線を明らかにして、お互い円満にこれが妥結する道を選びたい、こう考えるのであります。幸いにここに運輸大臣が見えましたので、大臣からこれらに対する扱い方の御所見を拜聴することができたならば幸いと思います。
  28. 山崎猛

    山崎国務大臣 片岡委員から民意を、ことに地元民意を、昨日実地に視察された点に立脚してお尋ねでありますが、法案以外かもしれませんけれども、一応私から、これまで運輸当局として営団に対して考慮を促し、研究調査をするようにという態度参つた概略の経過を申し上げます。  もちろん沿道、ことに直接地元利害関係者から数回の陳情を受けておることは、申し上げるまでもありません。その陳情のうちには、地元だけの利益を代表する言辞もありますし、また文京区とは申しながら、直接土地を持つておるという利害関係者からの陳情などもあつたのでありますけれども、運輸大臣としましては、将来これが完成の後における全利用者利益を一日も早く実現させたい。完全無欠に行けばこれに越したことはないけれども、できるだけ完全に近い形において一刻も早くこれを貫通させて、池袋並び池袋の奥から神田並び神田の奥に行く何百万かの人に、一日も早く利用をさせたいという大きな公共的な見地から考えつつ、同時に地元民の迷惑も最小限度にとどめたいというような気持で、営団当局者工事を進める上においての注意を幾たびも繰返して来た次第であります。ところで地上に出るのが問題になるのであります。地下鉄だから地下に行くべし、地上に出るなら地上鉄道ではないか。なるほど文字通りならそうかもしれません。ところが実際の工事において、全部地下にるぐらせるということにしますると、現在すでに資金難にあるところの地下鉄——ただいま片岡委員は現場でお聞きになつて、五億何がし、六億に近い金だとおつしやたのでありますが、これを新たに設計がえしたり、あるいはそのために遅れて来る借入金の利子その他を換算もて、理想的に、ほんとう地下を完全に通る形にやり直すのには、時期が遅れるばかりでなしに、五億、六億ではなくして、今の概算で十億くらいになるようであります。それで今日の資金難の際、十億をさらに追加しなければならないということになつて乗ると、相当努力をしているようでありますが、現在の公団の力では、資金調達の面で困難であることは事実であります。しからば政府の方からこれに貸し与えるような方法はないかというと、これも現在は困難な状態にあるという状態でありますので、現状を申し上げて御相談願いたい、こう考えます。
  29. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話に関連いたしまして、ちよつとお尋ねしたいと思います。  先ほど質問したばかりでありますけれども、本案によりますと、預金部資金を借りることになつておるのでありますけれども、これは二十六年度の計画内容には入つておらず、この法案通りましてから折衝してやつて行くということでありまして、現在預金部資金から幾ら出るということはきまつていないのでありますから、大臣の御努力によりましては、その点についての余地を残していると考えるのでありますが、大臣いかがでありますか。  それから第二点といしまして、先ほど片岡委員からもお話がありました通り認可につきましては、国会において当然こういう問題が出て来るのでありますが、われわれが十分にその内容を知らないで、最後態度をきめなければならぬというときになつて内容がわかつて来たというようなに非常に遅れている。こういう点から見ましても、国民を代表する国会というものは、政府資金を使つて営団がいろいろ事業をやる以上は、公共的な立場からこれを監督するということは、認識を新たにするのでありますけれども、その認識を新たにした公共的な立場から監督するというのに、管理委員会を設けてやらなければならぬということは何らないのでありまして、現在見返り資金預金部資金を借りてやつているもので、管理委員会形式によらないでやつているものも多いのであります。運輸大臣り直接認可にした方が、国民意思が早くつながるのでありまして、先ほど玉置委員質問にもありました通り、そこに管理委員会を置きますと、かえつて中間物ができてわれわれの意思国民意思を中断する結果になると思うのであります。今回の例一つを見ましても、当然そういうことが明らかになつて来るのであります。この管理委員会につきましては、先ほど政府委員からお話があつたのでありますが、当初におきましては、必ずしもこういうものは設けなくてもよいという考えを、政府及び営団においても持つてつたようであります。それを折衝の途中から、必要上設けなければならぬ、こういうことはなつたというてこの法案をつくつてつて来て、国会ですぐ通せということは、国会審議を無視していると思うのであります。われわれは公共的に監督するのには、国民意思の一番つながつた大臣が認許可をするのが一番よいと考え、そういうように修正したいと思つているのでありまして、この点につきまして大臣の方におきましても、よくお考えを願いたいと思うのであります。それで今の預金部資金の問題及び管理委員会の事項について、大臣のお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。なお今後こういつた問題につきましては、国会提出前におきまして、常任委員会もあるのでありますし、また与党でもあるのでありますから、当然に御連絡があるべきものだと思つております。私の関係しております法案おにきましては、そういうふうなことで連絡して、ともにいろいろと打衝した問題についても、いろいろと打開したことがある経験をたくさん持つております。私は当然今回の問題につきましは、われわれ国会側といたしましては、一応折衝する必要が彫ると考えておるのでありまして、管理委員会というものを置いた方が大臣としては国民意思とつながるか、あるいは管理委員会を置かないで、大臣直接の認許可にされた方が国民意思とつながるか、こういう今回の一つの例を見ましても明らかであると私は思うのでありますが、その点についてのお話を願いたいと思います。
  30. 山崎猛

    山崎国務大臣 預金部の資金の問題につきましては、むろん運輸大臣としましてはできるだけ公共の希望に沿うように、必要なる資金の捻出については力を盡すことは申し上げるまでもないのであります。しかしそれは今後の折衝にまたなけばばならない点でありますから、これを運輸大臣としてはそのために努力するという、意思の強いことをはつきり申し上げておく次第であります。  それから管理委員会の問題でありますが、これがどういうわけでこういうふうに出て来たかということについては、おそらく政府委員より説明を申し上げておつた考えるのであります。政府的に私が大づかみに了解しておる点は、従来の営団法というものができた当時、事態が今日の平和民主主義の時代ではなくして、軍的統制の強い時代であります。軍の交通機関を見ることは非常に重大視しておつた当時のことであります。従つて従来の公団法というものがフユーラー・システムとでもいいますか、独裁制の意味が非常に強いものであつた。最近終戦における日本の各般の実行の形が、独裁制的に順いの強いものをなるべく協議の上において、審議の上において、民主的な形に沿える方向にあるということは御承知の通りでありまして、その線に浩うて出て来たものであつて政府が当初に考えておつた意思を妨げるものでない。それありといえども、運輸大臣意思は十分に反映せしめることができるというふうな観点から、この法案提出しておるような次第でございます。
  31. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話ごもつともなところがあるのでありますけれども、この営団が戦時的な空気があるということが、われわれも感じておるのであります。従いましてもしこれをこの際改組するということならば、当然委員会システムによつてつて行くということならば、委員会がその全責任を負いまして、総裁はその事務長であるというような形式に持つて行くというなら、私も話はわかるのでありますが、どちらかというと、話を聞いておりますと、今度財政資金が出るから、かえつて公共的な立場でさらに監督を嚴重にしなければならないから委員会を置くのだ、こういう話であります。どつちかというと、資金の運用計画等につきましては、さらに現在以上にもう少し十分の監督をしなければならぬという立場からやるのだという話であります。私はもちろん将来は、この営団というものは今回の民間システムを廃止したようでありますが、東京都の交通全体の私鉄との連絡その他から見ましても、どちらかというともつと民間的な形式のものに切りかえて、そうして株主会が責任をもつて役員を任命して行く、株主会に隷属して行くというように、出資者の意思によつて総裁を任命して行くというふうに私は考えております。しかしながら今回は現下の日本の情勢上、資金をどうしても政府の財政的な資金にまたなければならない。こういうふうな現状にあるということから、それはやむを得ないから、この際公共的な形で監督を強化するようにしなければならぬというので、私はこの法案については何も新しく管理委員会というような、責任態勢の不明瞭なものをつくる必要はない。管理委員会の議決に対しては、総裁意思に反して行わななければならぬことになつております。しかもその責任は総裁が代表しなければならないということにたる。こういう不明瞭なる、責任態勢のわからないものをつくるより、その公共的な立場から監督するならば、われわれ国民の民主的な立場から、国会の多数の意思を代表せられた大臣がおられるから、大臣認可でけつこうである。新しくこういうものをつくつて、それだけむだな責任態勢を不明確にする。それらによつて、今のお話の実際的に民間的にこれから経営を自主的に運営しなければならないという総裁やり方を、それを非常に制御して行くような管理委員会というものは、かえつて好ましくないことになるのではないか、こう考えるのでありまして、どうもその点については思想的に非常に不明確であると私は思う。どちらの方向へこの営団というものを持つて行こうとしておられるかという点から、この管理委員会の必要というものが明らかになつて来ると思うのでありますが、それに対しましてもう少し大臣の御見解を聞かせてもらえばけつこうであります。
  32. 山崎猛

    山崎国務大臣 前に申し上げたので、大体筋は盡きておるのでありますが、公共的事業であるのでありますし、政府資金を多く要するのでありますし、こういう全体の大づかみの観点からではありまするけれども、従来の総裁の独裁制的形を緩和して、民主的の方向に持つて行かせようというねらいからなつたのであります。でき上つたその制度そのものについて、いろいろと御意見のあることはごもつともでありますけれども、趣旨と方針はその方針に立つたということを御了解を願います。
  33. 坪内八郎

    坪内委員 この際運輸大臣提案者岡田君にお尋ねいたしたいと思います。私の質問は、同僚議員の片岡委員質問と関連した点でありますが、昨日われわれが現地を視察いたしましたのでありますが、問題となつている地下鉄が、地上に約二キロ余り出て来るということが、非常に問題になつていることは御承知の通りでありまして、その地下鉄地上に出て来るということが、そこの住民の人方の住民権なり、あるいは民住権なり、あるいは都市の美観を阻害するというような関係になつて、重大なる問題になつていることは御承知の通りであります。この件につきまして地元側の要望に沿つて地上に出ることなくして地下にもぐつたたらば相当の予算がかかるから、この際はそういう意も十分勘案したけれども、予算の都合上現在の計画と相なつたというようなことも、参考人鈴木総裁の話でわれわれは了承いたしたのであります。しかるに昨日われわれが地元に参りまして現地を視察いたしまして、陳情団の意見を聞いてみると、鈴木総裁地元陳情団にも、五億円余あれば地上に出ることなくして、地下をもぐつて文字通り地下鉄という意味で工事ができるのだというようなことを、地元の人方にははつきり言つておるそうであります。ところがただいまの大臣答弁では、現在の計画変更いたしたならば十億以上も金がかかるから、実際問題としては予算的に不可能であるというようなお話でございましたが、その予算的に不可能であるということは、十億以上の金が予算的に見通しがつかないのか、あるいは地元民に鈴木総裁が申された五億幾ばくの金があればできると言つた、その五億の予算的な見通しがつかないのか、その点を大臣からもう一度御所見を伺つて参考にしたいと思います。  さらにまた岡田君にお尋ねいたしまするが、地下鉄総裁地元住民の方に、五億円余あれば現在の計画変更してもやつて行けるのだというようなことを、しばしば申されたということでありますが、その点について提案者岡田君と、そういつた点に話合いがなかつたかどうか、この点もお尋ねしてみたいと思うのであります。
  34. 山崎猛

    山崎国務大臣 今の坪内君のお尋ねの五億、十億の点については、所管局長より数字的にお答え申し上げます。
  35. 坪内八郎

    坪内委員 私が大臣お尋ねしておる点は、十億円ということは予算的に見通し困難であるというお話であるから、五億円であつた場合には予算的見通しはどうか、それに対する所見を聞いているわけであります。
  36. 山崎猛

    山崎国務大臣 五億円でも相当困難なことであります。いわんや十億は一層困難であると思います。これは五億、十億の差ばかりでなしに、現在五億の資金をあの方面に流して行くということは、財政上相当困難な事態になる、こうお答え申し上げます。
  37. 岡田五郎

    岡田参議院議員 坪内さんにお答え申し上げます。実は私この法案を引受けるというようにきまつたのは、二月の終わりなのでありまして、それまでは地下鉄の建設ついていろいろと御相談にあずかつておりました。従いましてある地下鉄地下にすべきか、地上にすべきかということにつきましても、ある程度の意見を徴され、従つて地下にする場合には、相当の費用を増額するということも、鈴木総裁から聞いておりまして、去年の暮れごろの話では、地下にいたしますと六億近くの命がよけいかかる。ところが最近になりまして、御承知のように物価もある程度上りました関係上、六億ではとても納まらないだろう、なお初めこの全体の計画が四十二、三億でもつてできるというふうに相なつてつたのでございますが、そのうち物価の変動その他によつて、最近では四十八億余円かかるというふうな関係で、これを一キロ当りの平均にいたしましても、工事費だけでも六億以上かかるのでありまして、その四十八億の計画は二キロ二分の地上線が入つておりますから、地下線だけを計算しますと、おそらく七億以上の金がかかる。従いまして二キロ二分というものが地上線になつております分を、地下線に直すといたしますれば、おそらく十億近くあるいは十億以上の金を要するのじやないか。そういたしますと資金の調達にも非常に困難を感する。と同時にその後の経営の上におきましても、建設費の増額のために非常な重圧がかかつて来て、経営自体にも相当の疑問が起きて来るのじやないか、かように考えておるのでございます。
  38. 坪内八郎

    坪内委員 簡単にとどめたいと思いますが、昨日われわれが現地を調査いたしましたところ、陳情団のお話では、昨日までは五億でいいというようなことを強調しておつたわけであります。従つてその後の経済界の変動その他によつて資材の値上りがあつて、とても五億ではできないのだというような予算的の関係、そういう面が地元のそういつた反対者によく浸透していないのじやないかと思うのであります。従つてわれわれに対する陳情にたいしましても、そういつた五億それがしで、いわゆる現在の計画線を変更ができるにもかかわらず、営団なりあるいは国会がそういつた予算審議に対して、慎重な態度をとらないのじやないかというような印象をわれわれは受けたのでありますが、この法案が原案通り国会で可決いたすにつきましても、あるいはさらに検討いたしまして、何らかの修正が加えられるというようなことのいずれかに相なりましようとも、提案者あるいは営団関係方々は、地元民にそういう重大な錯覚を起させるようなことに相なつておることにつきまして、何らかの方法を講じて、そういう点を十分納得させるような措置を講ぜられるように強く要望して、私の質問を終ります。
  39. 玉置信一

    玉置(信)委員 私はただいま各委員から御質問のありましたように、文京区の現地視察をいたした一人でありますが、戦前においては国が公益上必要ありと認めた場合においては、法に基いて一定の補償をなして、土地、家庭を接収することができたのでありますが、終戦後のこうした法律についでは、私はまだ調べておりませんので、よくわかりませんけれども、こうした措置を講ずることのできる法律上の根拠が今日あるかどうか。それから現価を見ましたところが、鈴木総裁の御答弁された中に、技術上の路面変更の困難な点をあげまして、水が非常に出て排水ができないということと、勾配が三十分の一とかでありまして、この二つの技術的の面から、絶対的といつていいくらいの変更不可能の旨の答弁があつたのでありますが、現地を視察してみますと、排水の点においては、鈴木総裁の御答弁なつたこととは全然違う実情にあることがわかつたのであります。そこで先ほど大臣からも御答弁のありましたように、七百万都民の足を充足するために、すみやかにこの法案を通して、交通営団の事業計画を遂行できるようにしてあげたいものと、衷心こいねがつておるのでありますが、そうした技術上の点においても、総裁の御答弁と食い違いがありますので、できることなら営団が技術者を使つて設計し調査した以外の第三者的の技術者によつて、いろいろの専門的意見を徴して、地元民が叫んでおることと、はたして一致するかどうかというようなところまで調査をして、万全を期してこの法案を通過さしたいと考えておるのでありますが、そうした時間的余裕がとれないものであるかどうか、私は提案者である岡田さんの今日の立場をよく了承して、心の中ではこうした時間の余裕のないということについてはお気の毒に存じておりますが、何しろ先ほど片岡委員からお話がありましたことく、現地区民の要望というものは、今まで参考人からこの委員会において実情を聽取した以上に、はるかに深刻なものがありますので、特にこうしたことを痛感してお尋ねするわけであります。  第三点といたしましては、もしこのままこの法案を通して営団が施行しようとする場合において、一方において首都建設法というものができておるのでありますが、この首都建設法に基いた何らかの法的根拠に基いての交渉といいますか、あるいは注意を喚起するというような事態ができた場合において、この法律は首都建設法に関係なく、この事業がスムースにやつて行けるという見通しがあるかどうか、この点をお伺いいたします。
  40. 岡田五郎

    岡田参議院議員 まず第一点の御質問は、土地あるいは家屋の買収等に関してでございますが、それの価格とか、あるいは補償その他につきましては、もちろんこれを売られる方と買う方の営団側との、十分な協議によつて進められるのでございまして、それらに対する権利と申しますか、それはこの法律関係なく十分守られるものでございます。  それから第二番目の点でございますが、先日鈴木参考人も申し上げましたと思いますけれども、実は昨年の秋ごろから、営団の技術者とは関係なく、土木学界を主体とする技術者の一つの委員会をつくりまして、この問題を愼重に検討をいたしておるのでございまして、それの大体の結論といたしまして、あの地形から見まして、あの区間を全部地下にすることは、東京都の地下鉄道と申しますか、高速度鉄道を早く建設することにならない。一部分地上に出る部分が出るのは、まことにやむを得ないという結論に大体達しておりまして、地上に出ます部分につきましては、道路の交通問題なり、あるいは騒音の防止の問題等につきましては、十分考慮を払うようにという結論に相なつておるのでございます。  第三点は、首都建設法によりまして、首都建設計画がきまりますならば、高速度交通営団の交通網の建設計画がこれに十分マツチするように、また尊重するように行くのは当然でございます。今回の部分は、この間もお話がありましたように、大体戦後戦災復興院において、東京都の復興計画の一振として、高速度交通網を決定した路線に沿うておりますので、大なる誤りはないと存じますが、今後首都建設法に基きまして、首都建設計画が進捗いたしました場合には、必ずこれに沿うように行くことは当然であろうと考えます。
  41. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいまの提案者の御説明によりますと、首都建設法に基いて、よく話合いをつけてやる、従つてスムースに行くだろうというような御答弁でありましたが、万一首都建設法に基いて、あくまでも路線地元区民の要望するように変更すべしというようなことが出た場合は、私は容易ならざる事業上の蹉跌を来し、大きな問題となりはせぬかとおそれておるのでありますが、この点につましては、ただいま岡田さんの御答弁にありましたように、あらかじめ連絡等もつけて、円満に行くという見通しがついておりますかどうか、重ねてお尋ねをいたします。
  42. 岡田五郎

    岡田参議院議員 私はおそらく首都建設法によつて、首都の建設計画が今後だんだんできて来ますと、その土台となりますところは、やはり先ほど申し上げました戦後におきまして立てられた東京都の復興計画ではなかろうか、かように考えるのでございますが、二十三年でありましたか立てられました復興計画に基いて、この路線計画されておりますので、大した間違いはない。あるいは小部分につきまして多少の議論が出るところがあるかとも存じますが、そういう場合には、もちろん両者におきまして十分協議して、首都建設計画の実行に遺憾なきことが期せられる、かように考えます。
  43. 玉置信一

    玉置(信)委員 復興計画によつてこの計画が進められておるというお話、ごもつともでありますが、首都建設法というものは最近実施されることになつたものでありますので、私その点を非常に心配いたすのでお伺いしたのでありますが、その点は間違いないのでございましようか、念のために重ねてお伺いしておきます。
  44. 岡田五郎

    岡田参議院議員 私は間違いない、かように考えております。
  45. 川島金次

    ○川島委員 大臣が見えておりますので、この機会に二、三この法案関係あるものと、恐縮ですが関係のない事柄についても一、二お尋ねいたしたいと思いますが、お許し願いたいと思います。  先ほど来この委員会において、交通営団池袋神田間の新設計画について、いろいろ議論が出ております。ことに大勢といたしましては、地元の市民の要望等もありまして、地上路線に対する問題に対してかたり意見が出ておるのは、まことに私どもも同感であるのであります。そこで大臣お尋ねいたしたいのですが、大臣は昨日、帝都の交通をパリのごとく、あるいはロンドンのごとくというようなことを言われて、将来の大きな理想の一端をもほのめかせられたような感じを持つて、私はその言葉を受取つたのであります。そこでお伺いいたしたいのは、この日本の首都である東京の将来における交通政策というものが一体どこに行つておるのか。パリのごとく、ロンドンのごとくという大理想が、もし政府及びその他の関係にありといたしますならば、むしろ今日路面を走行しております東京都営の電車などを、地上から地下に移行せしめるということが、望ましい交通政策ではないかと思うのであります。そういう理想がかりに当局にありといたしますれば、わずかな距離とはいいながら、その若干部分が地上に出るという姿というものは、私としてもまことに好ましくない形ではないかと思われるのであります。そこでついでに伺いたいのですが、こういうことが一ぺん許されて参りますと、今後営団の資力あるいは交通上の要求等から、地下鉄がさらにその範囲を広げます場合に、またしてもこの例にかんがみまして、事情があれば地上路線を若干部分出すというような計画を立てるというふうなことが、なきにしもあらずとわれわれは考えるのであります。そういうことであつては、大臣のせつかく言われます帝都の交通政策、将来パリのごとく、ロンドンのごとくあらしめたいという、その大理想とはおよそ相反することになつてしまう。そうして首都の将来の交通の上に重大なる関係を持つことでありますので、そういつた基本的な考え方について大臣はどういうふうに考えられておるか。これは今回限りなのか、それとも今後この例にかんがみてこういうことがあり得るのかという事柄と、将来地上における電車等の軌道機関地下に移行するという大抱負、大理想を大臣は持たれておるのか、そういつた事柄について御所見を承りたい。
  46. 山崎猛

    山崎国務大臣 ただいまの川島君のお尋ねの趣意は、昨日滿尾委員から相当つつ込んだお尋ねがありまして、私の心持は率直に述べておいたつもりであります。しかし今パリのごとく、  ロンドンのごとくというお言葉がありましたが、きのうお聞きであつたろうと思いますが、私はパリやロンドンなどは古い都で、新東京はもつと新しく行きたい、もう一歩躍進して行きたいという気持を、滿尾委員には申し上げたつもりなのであります。それでありますから、先ほどお尋ねのありましたような首都建設法のごときに対しては、これに十分順応し、調節をとつて行かなければならないのであるということは、私がつけ加えて申し上げるまでもない気持なのであります。さらにまた地上に出ておる線を地下に入れる問題でありますが、私も地下鉄道が地上に出て来ることはまことにおかしな話である。それがために地元住民に無用の陳情運動などをさせなければならないという事態まで起つておるのでありますから、もし予算上のやりくりができさえすれば、完全に地中に入れて、ただ一人の不平者なし、不満を訴える者なく、陳情者なく、ことごとく喜ばれるような地下鉄道を建設するということが理想であります。しかしこれをやつたからといつて、将来地上にしばしば顔を出すことを許す前例になるかというお尋ねでありましたが、わずかに一キロばかり出ただけでも、区会において都会において、さらにこのたびは国会において論議の中心となるのでありますから、こういうことを再び繰返さないように当初予算を持ち、あるいは計画を立てるときに、こういう苦情を再び受けないように、おそらく営団も考慮するでありましようし、運輸大臣としても前例があるからなどということで、民意に反して認めるというようなことのないようにさせたい、こう私は考えております。さらにまた過去の地上に首を出したんだが、これは首都建設法の見地から考えても、住民の苦情から顧みてもおかしい。将来予算のゆとりができさえすれば、それを地下に引込ませるように、十億なり十五億なりの改良工事をすれば引込ませ得るとも考えるのであります。この点も詭弁を弄するのではないのでありまして、改良工事はそうあつてしかるべきだ、私はこう考えます。今日首都建設法というものが、敗戦後五年、まだなまなましい混雑の中にできておりますが、首都建設法自体ももつとよりよき改正をして行くべきところもあるのじやないか、こう考えられます。これはいつも私は言うことでありますが、こういう法規というようなものはくぎづけでなしに、どんどん時勢の進歩に応じて、財力の許す限り、民意に問うて、進歩改良をあとからあとからやるべきである。どうぞ国会においてもこの線に沿うて御協賛あらんことをお願いする次第であります。
  47. 川島金次

    ○川島委員 大臣の言葉じりをつかまえるようなわけではないのですが、ロンドンのごとくパリのごとく、私は聞いたのですが、そのロンドン、パリはもう都は古いのだからというのですが、そうすると御承知のロンドンとパリは、地上は全部自動車である。軌道を持つものは全部地下である。これが古いといたしますれば、今後大臣はそれを走らせるのに、どういう形の交通を首都においてやるのか、飛行機ででもやるのか。(笑声)言葉じりをつかまえるわけではないのですが、その点ちよつとおかしいと思うのですが、どういう意味ですか。
  48. 山崎猛

    山崎国務大臣 私の言つてることと川島さんのおつしやることと、別段矛盾撞着はないと思います。ただ配線のぐあいだとか、穴の掘り方だとか、穴の深さの程度だとか、今の東京の地下鉄というのは、路面のすぐ下を通つているのであつて、あれはほんとうにいい地下鉄ではないそうです。そういう技術的のことは私あまり知りませんが、古くこしらえたのよりも、新日本はもつと新しいので行こう、こういうことを述べたのであつて、一々穴に入つているものを空に上げろ、こういうことではないのでありますから、どうぞそういうふうにお考え願いたいと思います。
  49. 川島金次

    ○川島委員 私は営団のことについてはこの程度にとどめます。そして私はもう運輸委員を辞退いたしまして、明日から別の方に入りますから、この機会に大臣がお見えになつておりますので、一、二簡単にお尋ねします。それは一昨日の本会議において、日本国有鉄道法の一部改正案が、私どもの提案とは相反した結論になりまして、職員の町村会議員の兼職だけを認めるという法律が、衆議院を通りました。その際に、何かああいうことは異列だそうですが、私が本会議の討論をやりまして、法案通りました後において、大臣がわざわざ御親切に発言を求められ、しかもその発言の内容に、私が従来山崎運輸大臣というよりは、山崎さんに対する個人的な尊敬の念を払つておりましたことと、少しく思い違いではなかつたかというような感を抱くような大臣からの言葉がありまして、私非常に以外に思いました。その一つは、国鉄職員の地方議員の兼職の問題に対して、大臣は個人的でございましようが、労組の人たちあるいはその他の機会において、国鉄の職員が地方議会の議員を兼職されておりましても、市町村会議員くらいのことならば別にさしつかえないのじやないか、こういう意味に受取れる私見を常時漏らされておつたということを私は聞いておつたのです。そういうことを聞いておりましたので、実はあの討論の際にも私は、運輸大臣はこういうことを言つてつたのじやないかということを、取上げて申し上げたのであります。ところが大臣の発言の中では、そういうことを言つておらないというような意味にとれる言葉を、わざわざあの本会議の席上で発言をされた。この点私といたしましては山崎さんとうい先輩を、政党は違いますが、非常に尊敬をし、信頼をしておる一人なんです。その方がどうも平素言われておることと、一昨日の本会議で言われておることと、たいへん開きがある。私にとつてはたいへん奇怪であり、非常に納得できない事柄であります。その点はどういうことでありますか。
  50. 山崎猛

    山崎国務大臣 これはたいへんけつこうなお尋ねであつて、私として弁明の機会を与えてくださるわけであります。それは言葉が足りないのです。私はこの前の委員会のこの席上において、政府説明員等は支障なしというふうに一応答えておつた。ところが私は運輸大臣として、それにもかかわらずこの同じ席上で支障ありと答えた。これは支障はあるのだ、兼職をする以上絶対支障なしということは言えないのです。大小必ず支障あり、こう答えたつもりなんです。しかしながら新しい憲法の精神に沿い、住民権、居住権の問題だから、支障があつても内部的にやりくりをして、支障を小最限度にして、そうして認めて行くということが正しいと思う。支障がないというのは間違いであるけれども、その支障最小限度にして、国民の持つておる居住権、住民権というのは確立させなければならない、こういう意味を答えたのであります。それからまた労組等の諸君と会つた場合にも言つた、出るのはよろしいが役づいてはいけない。役づけば必ず支障が起る。また役を持つておる人が立候補してもいけない。駅長、助役のごとき、一分間も責任をのがれることのできない重要なる職にある人が、市町村会等の地方団体の議員に出るということは、これは両立しない。もし役づいておる人が市町村会に立候補する場合れは、閑職にまわつて、少しぐらい時間のやり繰りのできる所へ内部的にまわして、本人もまわつて、そうしてやるべきである。さらにまた市町村会の方でも、議長だの副議長だの、あるいはその他の委員長だのというような重い任務を持つ役についてはいけない。委員にでることはよろしいが、役づいてはいけない。そうすると国有鉄道の職員である任務が重いのやら、兼職の任務が重いのやら、これを一回はかりにかけなければならぬようなことが起るから、役づきの人が立候補するときに、当選の場合には役を離るべし、当選した後は議会の役づきになつてはいけない。一議員として住民権の確立という線だけでやつてもらうのが当然だろう、私はこういうふうに平生考えておりますから、その言葉が足りないでいろいろになつたかもしれませんけれども、これ以上に出たかつたのであります。どうぞ川島君も、あの場合に川島君が、どうも山崎がさしつかえないのだと言つたというふうに総括して全面的に断定を下されたから、異例であつたかもしれないが、発言を求めた。けれども私は平生考えている。議会が何とか言うと、なるほど国会法によつて動くことは正しい。あるいは先例によつて議員の言動を規正して行くこともけつこうだけれども、あしき先例はどんどんかえて行かなければ進歩はありません。私は、平生常にそう考えておる。ことに議場は言論の自由の府であるからといつて、切り捨てごめんは言語道断だと私は思う。言いつぱなしでそれでよろしい。どうしても名前を引合いに出されたときには、これに対して一言なかるべからずというのが、言論の府の自由でなければならぬと考えておるのであります。でありますから、私もああいう場合に発言を求めることはいいか悪いか承知しております。しかしながらああいう場合には、堂々として出て行つて明らかにしておかなければ、運輸大臣は五十万の国鉄の職員を見ておるのであります。運輸大臣は兼職さしつかえなしと言つたのだ。川島議員がそれを議場ではつきり面前で言つた。それにもかかわらず黙つてつた。黙認は承認であります。でありますから私は、ああいう場合には大臣だろうが何だろうが、さつさと自分の意思を明らかにして、議場全体の判断を請うておくということが必要だ、こう私は議員尊重の意味からいたしたのでありますから、さよう御承知を願いたい。
  51. 川島金次

    ○川島委員 私の言いましたのは、さしつかえないというのは、今の大臣の言われたことのように実は受取つてつた。ところが大臣は、全面的に兼職はいかぬというような意思ではなかつた、こういうふうに聞きとりましたので、今そういうお話をしたのです。なるほど今の大臣のようなお言葉が真実であるとすれば、私は何をか言わんやです。そうあつてしかるべきであろうとも私は思います。その点は了解いたしました。  そこでもう一つお尋ねいたしますが、昨日御承知のように衆議院では、町村会議員の兼職だけを認めておる。参議院の方では市町村会議員の兼職を認めるということに決定いたしまして、衆議院の方に回付になつております。ところが衆議院の方は町村会議員までよろしい。この場合に大臣といたしまして、また大臣は同時に自由党所属の代議士としている、そういうようないろいろな立場において、参議院が市町村までよろしいという決議をいたしましたが、これに対する大臣の率直なるところの所見を聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  52. 山崎猛

    山崎国務大臣 ただいまお尋ねのことは、私も今念頭にある一つの事案であります。これが法案となつて議場に出て審議をされる直前までは、私は運輸大臣としても、党員としても、できるだけ裏面政治工作をやつて来たつもりであります。ところが一たび院議として衆議院で議決された以上、そうして参議院においても別の法律が院議によつて成立された以上は、こうなつた先は、両院の間において、議院と議院との間において折衝をされて、合法的にきめる以外に方法はないと私は考えます。もしさようになつた後まで政府である私が、その中に右往左往して介入して政治行動をとるというようなことになれば、院議に対して冒涜であり、院議のすなおな動きを政治策動によつて左右されるというような結果になりますから、私は両院の院議でこれをどういうふうに合法的に処理されるかを靜観する以外に道はないのであります。もちろん私はできるだけこれが国民の権利を伸ばすように決定されることを、心中熱心に望んでやまないのであります。
  53. 川島金次

    ○川島委員 最後にこれはまた別なお尋ねなんですが、先般国鉄の加賀山総裁が、山形か秋田だと思うのですが、あちらの方に出かけまして、新聞記者に対する談話として発表されたと私は記憶しておるのですが、近く国鉄は独立採算制の建前から、物価の上昇等の点からかんがみて、運賃の値上げやむを得ないことになるであろう、その場合は定期及び貨物運賃の引上げが考慮されるであろう、こういうふうに言われたのだと思います。それがそのまま新聞紙上に発表されたのであります。そういうことを私は懸念をいたしまして、先般の予算委員会の分科会においても、運輸大臣並びに加賀山さんにもその予算上の問題についてかなりしつこいほど私はお尋ねいたしたのですが、その当時はほとんど私どもが納得のできるような答弁はなかつたのであります。ところがわずかにして私どもの予想しておりましたような事柄が、総裁によつて談話で発表されたのであります。もとより私どもは今の運賃を上げるか上げないかという問題よりは、国鉄全体の財政計画について重大な関心を持つておる。それで今日の予算で乗り切れるか乗り切れないかということを、非常に深い関心を持つておりますために、ああいうお尋ねをいたしたのであります。ところが総裁は、そういうふうな談話をされた。結局来るものがやがて来るというにおいがきわめて具体的になつてつた。しかもその談話の中で、今申し上げましたように、定期の引上げということは、勤労大衆にとつて非常に重大なシヨツクを与える問題なんです。あの新聞を見ました通勤者、全国の勤労者は、またしても物価の値上げに伴い、生計が苦しくなつておる上に、重ね重ね定期券の値上げなどを行われるということになるというので、大きなシヨツクを与えたということは、これまたいなめない事実でありますが、このような定期運賃の引上げや貨物運賃の引上げということが、目下運輸省はもちろんでありますが、国鉄の内部に考えられ、そうして大臣との何かお話合いでもされておるのであるか、その点についてもし明らかでありましたならばお示しを願いたい。
  54. 山崎猛

    山崎国務大臣 運賃の、あるいは汽車賃の値上げの問題でありますが、これは軽率には上げる下げるというようなことは断行のできないものだと考えます。物価の関係もあるし、国民生活の関係もあるし、これは事小なるごとくして、重大なる影響を経済並びに国民生活に及ぼすものであると考えております。二、三日前に、この席上でありましたか、あるいは参議院の予算の分科会の席上でありましたか、やはり社会党の諸君からのお尋ねがありまして、お答えをしたのであります。今日の段階において、運輸省においては運賃の問題は考慮いたしておりません。それから国有鉄道の内部においてどういうことを考えておりますか、それもまだ運輸省に伺いを立てて参つておりません。国有鉄道としては、運賃以外に収入源はないのでありますから、経営難に陥れば、収入減でまかないができないようになれば、運賃に依存するということは当然でありますから、経営当事者としては、絶えずこのことが念頭にあるだろうと思うのでであります。鹿を追う獵師山を見ずで、国有鉄道のことばかり考えて、世間の物価あるいは国民生活ということを、当事者の立場から忘れるきらいもあるかもしれませんが、しかし今日まだ運輸大臣として、そのような相談にあずかつておりません。もちろん私が申し上げるまでもなく、運賃を下げるあるいは上げるということについては、御承知の通り国会に諮つて決定すべき問題でありますから、そういう段階に入りましたならば、国会の議に付して、十分御審議を願つて御決定を願えれば、それでよろしいわけであります。かように存じます。
  55. 前田郁

    前田委員長 暫時休憩いたします。午後二時より再開いたします。     午後零時五十二分休憩      ————◇—————     午後三時五十二分開議
  56. 前田郁

    前田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。去る二十二日、二十三日の両日にわたり、宇都宮、姫路、青森、下関、鳥栖の地元関係者を参考人として、本委員会に招致し、忌憚なき意見を聽取したのでありますが、そのいずれも新機構の不備欠陥を訴え、鉄道管理局の設置を要望しておりますので、この際委員長により、昨年九月の委員会の決議の趣旨に沿い、右各地に鉄道管理局を設置するよう、委員会参考人の陳述要領書を添えて、大臣に申入れいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  57. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認めます。それではさようとりはからうようにいたします。  なお申入れにつきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。     —————————————
  58. 前田郁

    前田委員長 次に港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。岡田五郎君。     〔委員長退席、大澤委員長代理着席〕
  59. 岡田五郎

    岡田(五)委員 このたびの港湾法の一部を改正する法律案に基きまして、第十二條の第十一の二に、「前号に掲げるものの外、港湾区域及び臨港地区内における貨物の種卸、保管、荷さばき及び運送の改善についてあつ施すること。」こういう文句が使つてあるのでありますが、「改善についてあつ旋すること」ということについて、一応御説朗ができれば、詳細に説明していただきたいと思います。
  60. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。改善についてあつせんすることにつきましての御質問でございますが、具体的に申しますると、外国商社あるいは貿易業者、船会社等々、両者の間における事務のあつせんをするという意味であります。さらにまた倉庫、上屋等の修築に対する資金の調達についてのあつせんとうことなのであります。さらに荷役用器具機械の新設または修繕に要する資金の調達についてのあつせんという意味なのであります。なお関係官庁に対する陳情、請願についてのあつせんなどであります。これらはいずれも業者からの依頼があつた場合、申入れを行うものでありまして、決して海運局で行つておる事務あるいは業者の業務に立ち入つたり、干渉するものではありません。以上の通りでございます。なお私の説明で不備の点は、局長がここに見えておりますから、お答えさせてよろしいと思います。
  61. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今提案者の具体的な御説明によりまして、大体この文章の意味がわかつたのであります。わかりましたが、なお多少疑点が残つておりますので、再度御質問申し上げるのでありますが、貨物の積卸、運送あるいは保管、荷さばきというような事項についての改善その他について、いわゆる運輸行政の面からする改善、調整といいまするか、行政行為としての海運局なり、また運輸省なりの行政行為としての改善命令というほどでもありませんが、改善指示行為があるだろうと思うのでありますが、港務局というのは、大体港湾の改善開発、発展を期する、公共の営造物の保管あるいは管理をする団体であつて、行政行為は私は原則として行わない方がいいのではないか、かように考えておりまするがゆえに、かような運送保管の改善に関する行政的な行為はなされない、かように考えるのでありますが、さように解釈してよろしいかどうか。提案者の御意見を承りたいと思うのであります。
  62. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。その点は私も同感な点もありますけれども、港湾局長に御答弁いただきまして、御参考に供したいと思います。
  63. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 今岡田委員の御質疑になりました通りでございます。港湾の管理者は、営造物行政をやり、それから海運局では運輸行政をやる、こういうふうに考えるのが適当かと存じます。
  64. 岡田五郎

    岡田(五)委員 なお十三條に「港務局は、港湾運送業、倉庫業その他輸送及び保管に関連する私企業の公正な活動を妨げ、その活動に干渉し、又はこれらの者と競争して事業を営んではならない。」かような文句があるのでありますが、先ほどの「改善についてあつせんする」こういう文句と、この「活動に干渉し」という文句の、その間の一線をどういうふうに解釈していいか、むしろ改善について積極的にあつせんする場合であつて、その改善という活動に、干渉する、あるいは妨害をするというような面はやらない、こういうふうに解釈しいいのかどうか。非常に聞きただし方がまずいのでありまするが、ひとつ提案者の御答弁を願いたいと思うので。
  65. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。大体私が御答弁いたしますことにつきましては、岡田委員の御意見とまつたく同感でございまして、先ほどお話通り、これを強制的に行うということではなくして、港湾運営の円滑をはかるためにあつせんするというような見地から、さような積極性がないというふりに考えておるわけであります。
  66. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それでは次に御質問を移します。このたび十七條の改正に基きまして、港務局の委員に地方公共団体の議会の議員が一名任命せられることになつたのでありますが、この港務局の性質につきまして、いろいろ説をなすものがあるのであります。港務局はできるだけ政治的に中立性を保たして、そうしてできるだけ公正に、できるだけ超党派的に、できるだけ国家的に港湾の開発、発展あるいは管理をやるべきだ、こういう説もあります。また一面においては、港務局は地方公共団体と不即不離に、昨常に密接に関係をして行かなければならない。しかも最近地方自治強化のために、地方議会の、地方公共団体の行政運行につきましての関係が非常に密接になつて来たので、これら密接な関係ある地方公共団体の議員を一名加わらして、そうして港務局の円滑なる事務の執行、あるいは港務局の港湾管理、発達について寄与させるべきじやないか、こういう議論と二つあると思います。このたびの改正法案は、むしろ後者を選ばれたのであります。そこで私はここに提業者にお聞きいたしたいと思うのでありますが、提案者としても、港務局がいわゆる政党色に塗りつぶされて、港湾の発展、開発、あるいは管理が政党政治の変転に伴つて、その管理方式がかわつて来るということはやはり好んでおられない、私はかように考えるのでありまして、かような議員の選定にあたつては、その人格と、その識見と、そして超党派的な議員、すなわち一にかかつて、地方公共団体と港務局との連絡を密接にやれるような議員を選ばれることを希望されておられるのかどうか。これについての提案者のお気持のほどをお聞かせ願いたい、かように考えるのであります。
  67. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。ただいまの岡田委員の御質問は、御承知のごとく、第七国会におきまして、この法案が議題となつた折にも各党より異口同音に、地方公共団体の議会の議員をこの港務局の委員に入れたらどうかという強い要望が指摘されたのでありますけれども、当時の客観的な情勢から、その了解ができなかつたのでありまするが、お説の通りの点もありますので、その後愼重にわれわれにおいても検討いたしたのであります。申すまでもなく、港務局の母体は地方公共団体であるわけであります。従つて港務局の円満な運営をはかるためには、どうしてもそういつた地方公共団体との密接な関係も生じまするし、またこういつた議員を委員に入れるということは、政党の色彩が強くなつて、かえつて円満を欠くじやないかというような御指摘もありましたけれども、私もかつて地方議会の議員をしたことがありまするが、今日の国民の民主主義的な性格から行きましても、国民がそういつた面に非常に啓蒙され、あるいは政治的な知識が高揚されますると、地方の議員を選挙するというような面も、きわめてりつぱな態度で選挙も行われるでありましようし、りつぱな人材が地方議員にも生れて来るということを期待いたしております。従つて地方公共団体の議会の議員を委員に加えるということが、必ずしも政党的になり、あるいは政党の色彩が強くなつて、円満を欠くということばかりには私は考えられないのでありまして、どうしても港務局の母体がこういつた地方自治体に密接な関係がある以上は、その自治体と密接な関係のある、予算審議に当るところの議会の議員も委員に入れて、そうして円満な港務局の運営行つて行く、行わしめるというようなことも、私はいい考え方じやないかということを考えまして、この点がこの改正法案の要点に相なつた次第であります。岡田委員のお考えになるような点も多少あるかと思いますけれども、目下のところさような点はないと信じまして、このようなことに相なつた次第であります。
  68. 岡田五郎

    岡田(五)委員 同じ條項について質問申し上げるのでありますが、関係公共団体が二つなり三つあつた場合、議員のうちの委員一名の選定はどういうようにお考えになつておりますか。その辺を承りたい。
  69. 坪内八郎

    坪内委員 お答えいたします。関係地方公共団体が二つ以上あつた場合の委員の任命方についての、取扱い方についての御質問と思いますが、この場合におきましては、御承知の通り今回の改正案による第二十七條におきまして、港務局の定款で定められるように規定されておりますから、私はさような紛糾のおそれはない、かように考えておる次第でございます。
  70. 岡田五郎

    岡田(五)委員 ただいま私の御質問申し上げました三点につきましては、提案者の御説明によりまして、私の疑問とするところは氷解いたしました。従いまして私は本案につきましては、提案者説明通りに、今後港務局の実際の運営においてかように実行せられ、また委員の選定その他におきましても、かうな提案者の趣旨をくみまして、人選誤りなきを得まするならば、私は満腔の賛意を表しまして、この港湾法の一部を改正する法律案につきまして賛意を表する一人であります。ただこの機会に私は政府委員その他の方に御質問申し上げたいのでありまするが、つらつら現在の港湾法をひもといてみますると、非常に不完全な点が多々あるのであります。ことに最近大阪、神戸におきましては、港務局の発足を見まして、近くまた横浜においても港務局の設立を見ることかと思います。次々と六大港その他の港湾におきまして、港務局が出発すると思うのでありますが、現在の不完全な港湾法のもとにおいて港務局が出発する場合においては、はなはだ不完全な港務局としてスタートせざるを得ないのではないか、かように考えまするがゆえに、私の疑点といたしておりまする点をつまびらかにいたしますとともに、またこれを機会に港務局の健全なスタートをするために、議員といたしまして適当な法的措置を講じたい、かように考えまするので、次にお尋ね申し上げまする疑点につきまして、政府委員の方から御答弁を願いたいと考えるのであります。  第一は、港湾法の第二條第五項に、港湾施設たる施設というものが列挙せられているのでありますが、最近のキテイ台風あるいはキジア台風というような台風によりまして、各所の港湾が災害を受けたのであります。この災害復旧に関連いたしまして、いろいろと災害費の獲得その他におきまして具体的に折衝いたしました場合に、いろいろとこの施設の定義につきまして疑義を生じ、事務の進捗を相当阻害した事例もありますがゆえに、政府当局の御見解をただし、この際港湾法において不審の点を明らかにする必要があるのではないかと考えるのでありまして、次にあげますような港湾施設が、はたして第二條の五項による港湾施設たる施設であるかどうかということにつきましての、政府見解お尋ねいたしたいのであります。例をあげますれば、防潮堤、あるいは堤防、あるいは突堤だとか、あるいは胸壁だとか、船揚場というようなものは、政府当局はどういうようにお考えになつているか。政府当局の御見解をただしたいと思います。
  71. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 岡田委員から御指摘の通りでありまして、従来港湾施設といたしましては、防波堤、防砂堤、導流堤、水門、閘門護岸という言葉を用いまして、護岸防波堤の中に防潮堤とか、堤防とか、突堤及び胸壁を一応考えて、護岸という言葉を広義に解釈しておつたのでありますが、先般のジエーン台風の防潮対策をやります場合に、護岸だけではあまりに意味が広過ぎるので、防潮堤、あるいは堤防、突堤、胸壁というような言葉を明瞭に、港湾施設として追加した方がいいと考えております。また繋留施設といたしましては、繋留岸壁とか、あるいは浮標、物揚場等その他考えておりましたが、漁港法との交渉の過程におきまして船揚場の名称が出ておりまして、これは広い意味から行きますと、荷揚場の一種でありますけれども、この際施設として船揚場を追加して、港湾施設と明瞭に認めることが必要だと考えるのであります。
  72. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次にお尋ね申し上げたいことは、第二條第五項による港湾施設たる施設というのは、大体港湾区域内、あるいは臨港区域内の港湾施設に限られているようでありますが、港湾区域外にして区域内と同様に扱われるような施設が、相当多いのではないかと私は思います。かような施設に対して、港湾区域内の港湾施設と同様に国家的な補助、あるいはその他の手続をすべきものが相当あるかのように私は考えるのでありますが、かようなものがあるかどうか。またあるとすれば、どういう事例のものであるか、またその事例に関して政府はどういうように考えているか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  73. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 港湾の施設を保全する意味からいたしまして、港湾区域だけに港湾施設を保全する事業を考えましても、なお不足する場合があるのでありまして、たとえば港湾区域の付近にあります防波堤が、波浪とか漂砂のために決潰に瀕しているような場合は、港資区域以外にその決潰を防止するような工事を施工いたさねばならないことが間々あるのでありまして、このようなものに対しましては、港湾区域外でありましても、港湾施設の保全という立場から、これを港湾工事の対象として取上げなければならないかと考えております。
  74. 岡田五郎

    岡田(五)委員 たくさん質問がありますので、はなはだ失礼でありますが、少し質問を端折らせていただきますから、政府委員からも、できますれば簡単に御答弁を願いたいと考えます。  港湾法の第四條第一項に港務局の設立手続が出ておるのであります。この一項、二項というのを読み合せますと、はなはだこの設立手続がピンと来ないのでありますが、この辺に私は明らかに條文を整理すべき点があるかのように考えるのであります。具体的にどういうふうに整理されたらよいかということについて、政府から御答弁つた方が早いのではないかと思いますので、政府委員の御答弁をお願い申し上げます。
  75. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 第四條第一項によりますと、港務局の設立手続に関しまして、「第三項及び第四項の手続を経た後その議会の議決を経て、協議の上」云々とございますが、さらに進んで第四項によりますと、第一項の規定により設立の協議がととのつたときは、区域の認可を受けるとございまして、その時間的順序が明白でありません。また区域の認可には、議会の議決を要するかいなかも明白でございませんので、第四條の設立手続の時間的順序を明瞭にするために、改正が必要であると考えております。  なおこれは第三十三條によります地方公共団体が管理者を設立する場合においても同様であります。
  76. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に、第十條を見ますと、「港務局には、所得税及び法人税を課さない。」というように、国税関係については出ておるのでありますが、地方税関係につきましては、地方税法には、港務局には地方税を課さないというような明文がないのであります。かようなところから見ますと、地方税については、いかにも港務局には課税されるような感じを持つのでありますが、はたして課税されるかどうか。課税されないとすれば、地方税法にもなし、またこの港湾法にもないのでありますから、所得税及び法人税、地方税を課さないと明記すべきではないかと考えますが、政府見解をお聞きいたします。
  77. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 御指摘の通りでありまして、港務局は本質的には地方公共団体と同様でありますので、地方税の非課税を明定すべきであると思います。
  78. 岡田五郎

    岡田(五)委員 港湾区域内の工事等の許可の問題につきましては、三十七條に四項まであげられまして、いろいろ詳細に記載されております。港湾区域外の防災工事というようなことにつきまして、やはり何か規整の規定を設ける必要があるのかないのか、この辺の政府の御見解をおただしいたします。
  79. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 先ほど申しましたように、港湾区域外におきましても、港湾施設の保全から、港湾施設関係のあるものについては、ある程度の規整を加える必要があるかと存じます。
  80. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に四十二條の港湾工事の費用の負担であります。これがこのたびの港務局出発にあたりまして、非常に大きな問題であると考えるのでありますが、港湾法によりますと、重要港湾の工事の費用の国庫負担は五割ないし五割以内と、かようになつておるのでありますが、現行の状態を仄聞いたしますと、七割五分ということになつておるようでありまして、過般国会を通過しました現在の港湾法によりますと、この規定によりましてむしろ国庫負担が減りまして、地方負担が非常にふえる。私は港務局の今後の健全な発達の界地から、現行通り国庫負担の率を七割五分あるいはそれ以上にすべきではないか、かように考えるのでありますが、この費用負担の点につきましての政府委員の御説明を承りたいと思うのであります。
  81. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 港湾法によりますと、重要港湾については五割は国が負担いたしまして、残りの五割を地元が負担いたしております。また地方港湾については、工費の四割を政府が補助いたすことになつておるのでございます。従来第一種重要港湾、たとえば神戸、横浜、関門のようなところにおきましては、原則として水域施設や外郭施設は全額国が負担しておりますし、また旧軍港、たとえば横須賀、呉、舞鶴、佐世保等におきましても、全額国費で工事を施工しております。九州の苅田港におきましては、七百分の五百五十を国が負担しておるような実情でございまして、このように国の負担率は現行のものより相当高いのでございますから、これらの不合理を是正しまして、従来やつておるような例によつて、国の負担率を改めることが必要であるかと存じます。なお北海道につきましては先般特例法が通りまして、全額国費、繋留施設につきましては七割五分国が負担するということでありまして、従来の通りと相なつた次第でございます。
  82. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次にお尋ね申し上げます。最近漁港法ができまして、漁港関係は漁港法によつて律せられるようになり、一般港は港湾法によつて律せられる、こういうことになつておりますが、具体的に、実際的に見ますと、漁港と一般港とは同じ港域内にあるというとで、漁港関係と一般港関係が非常に複雑多岐にして、しかも現地においてはこれが取扱い方に非常に困窮をし、また政府におきましても、農林省と運輸省との間におきまする取扱い方につきまして、非常に混雑をきわめてれるかのように考えるのであります。しかもこれが混雑あるいは複雑多岐で終るだけならいいのでありますが、実際に漁港の発展また一般港の発展のためには、非常な障害をなしておるように私は考えておるのでありますが、これに関する政府の所見を承り、またもしこの関係についての規整といいますか、改善といいますか、これにつきましての何か腹案がありましたならば、この機会にお聞かせ願いたいと考えるのであります。
  83. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 港湾法と漁港法とがほぼ同時に成立いたしまして、一般港湾と漁港とがそれぞれの法律によつて、管理経営されることに現状ではなつております。しかしながら漁港はその規模がきわめて小さいものを除きまして、一般港湾と同一に両方一緒に存在しておるのでありまして、一つの港の中で、漁港と一般港湾とを明瞭にわけることが困難な場合が相当あるのでございます。たとえば港湾施設のうち、防波堤のような基本施設設計してこれを施工する場合に、それぞれの用途に従いまして別個に行うものでなく、たとえば漁港の方でもやり、あるいは一般港湾の方でもやるのではなくて、港湾全体の経済的な條件、あるいは立地條件的のものを考えて行わなければならないのでありまして、漁港と一般港湾を経済的に一体としてわけますことは、港湾自体の機能を阻害することになります。このような場合がありますので、漁港を分離せずに改正する何かいい方法はないかということに相なるのでありますが、現在三十九條によります漁港区は陸域ばかりでありまして、水域がついておりません。ですからこれに、漁港に必要にして十分な、最小限度の水域をくつけまして、水域と陸域を考えました漁港区を持つて来まして、これに対して水産方面から漁港としての必要な施設の助成をやつて行く、港湾全体としては一つの管理者がこれを管理して行くことが望ましいのでありまして、このような改正について目下考慮いたしておるのでありまして、水産庁等とも具体的な折衝を始めておるような次第でございます。
  84. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私個人といたしましては、相当改善すべき事項が、その他多々あるように考えるのであります。また今まで私が御質問申し上げました点につきましても、政府委員としては改正を希望するといいますか、改正を必要とするがごとき御意見もあつた考えるのであります。その他一例をあげますれば、港務局において入港料を徴収するとか、あるいは港湾施設の財産台帳を備えつけるとか、あるいは港湾施設に損害を与えた場合には、加害者に実費を負担させるとか、あるいは港湾に関連しての工事を行つた場合には、その工事によつて受ける利益によつて、受益者は費用を払うとか、あるいはその他たくさんの改正すべき事項があるように私は信じて疑わないのであります。かようなことにつきましては、私はできますればこの港湾法一部改正の提案に関連いたしまして、私が今申し上げた諸点の改正につきまして、関係方面に諸般の手続を始めまして、もしこの港湾法の一部改正の審議に、期間中許されるならば、かような手続をとらせていただきまして、私の考えておる改正案をもあわせ審議していただきますならば、まことに幸いと存ずるのでありますが、この点についての委員長の御見解を承りたいと思います。
  85. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 岡田委員のお考え通りの方法が、最も適切な方法であると考えます。
  86. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それでは御同席の運輸委員の皆様方にお願いをいたし、またお許しを得まして、私提案者となりまして、先ほど政府委員に対しまして質疑応答を重ねました諸点につきまして、関係方面に対し改正の手続を始めたいと思いますので、今委員長からも大体御承認をいただきました通り、さようお願いを申し上げまして、私の質問をこれで打切りたいと思います。
  87. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 他に御質問はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 暫時休憩いたします。     午後四時三十一分休憩      ————◇—————     午後四時三十八分開議
  89. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 休憩前に引続き開会いたします。  港湾運送事業法案が、ただいま委員会に予備付託になりましたので、港湾運送事業法案を議題といたします。まず提案者より提案理由の説明を求めます。鈴木恭一君。     —————————————
  90. 鈴木恭一

    鈴木参議院議員 ただいま本委員会に予備提案せられました港湾運送事業法案提案理由について御説明いたします。  港湾運送事業は、いわゆる大運送に対する小運送あるいは基本運輸に対する附帯運輸の事業でありまして、海上運送に先行し、または後続して貨物の海陸連絡運送をなすものでありますが、なお海上運送と陸上運送とを連絡中継し、また事業経営上最も良好な立地條件を備える港湾地帯に集中いたしておりまする各種の重要産業に対しみずから集貨配達をも行つているのでありまして、社会的、経済的にきわめて重要な役割をになつておることは申すまでもありません。  しかるにわが国における港湾運送事業の現状を見ますると、この事業に特有の波動性により常に零細化し、後進化する内在的傾向を有することとも関連通いたしまして、きわめて不健全、不安定脆弱かつ後進的でありまして、一度荷動きが減小すればただちに激甚なる不当競争を展開し、この事業の重要な施設でありまするはしけや荷役機械の維持、修理すらも放擲いたしまして、混乱と無秩序の中にともだおれの危機に陷るに反し、一方輸送力の増強が強く要請されるときには、輸送上の大きなネツクとなりまして、多くの問題がこの事業にしわ寄せされて来るのであります。このような現状は、この事業本来の社会的、経済的使命並びに交通事業全体の調和ある発達という点にかんがみ、これをすみやかに改善しなければならないのであります。ことに御承知のようにわが国の船腹拡充は、現下の国際情勢にかんがみまして喫緊の課題でありまして、これがため政府におきましては、数次にわたる新船の建造または外国船の傭船購入等によりまして、船腹の積極的拡充をはかりつつあるのでありますが、これらの施策も港湾運送事業の健全な発達を伴わずしては、その効果は半減すると申しても過言でないのでありまして、荷役能力増進のため、早急にこの事業を安定させ、かつ健全ならしめ、さらにその合理的発達を促す必要があるのであります。これが港湾運送事業法案提出を必要とするゆえんでございます。  次に、この法律案のおもな内容について簡単に御説明いたします。第一は、営業自由の基本原則のもとにおいて、事業者の健全性と適格性とを確保しいたしまして、事業の秩序を回復維持するために事業の種類を明確に規定いたしました上、事業につき登録制を実施することとしたことであります。すなわち登録については、要件充足主義に基きまして、一定の要件を具備する者は必ずこれを行うものとし、反面一定基準に対する不適格業者についてはその登録を拒否し、無登録営業はこれを禁止いたしますとともに、登録を受けた事業者につきましても、この法律に違反した場合等におきましては事業の停止を命じ、または登録を取消すことがあるものといたしました。  第二は、公正な競争を確保し、事業の健全な発達をはかり、その近代化を促すとともに、利用者利益を保護するような合理的運賃料金制度を実施することとしたことであります。すなわち運賃料金制につきましては、各事業者が実施しようとする運賃料金を定めまして、実施予定日の三十日前までに運輸大臣に届け出で、かつ一般に公示するものとし、この実施猶余期間内に利害関係人に対して異議申立てを認め、異議申立てがあつたときは、運輸大臣は運輸審議会の開催する公聴会において十分意見を述べる機会を与えるとともに、不当と認めるものについてはその変更を命ずることがあるものといたしまして、その合理化をはかり、かくて実施し得ることとなつた運賃料金については、厳格にこれを遵守しなければならないものといたしました。  第三は、設備資金の円滑な融資が、動産の多いこの事業において、担保の問題により著しく阻害されている事実にかんがみまして、施設の拡充合理化を可能ならしめ、かつこれを促進するため、この事業に財団抵当制度を確立することとしたことであります。すなわち港湾運送事業に関し、同一の事業者に属する上屋、倉庫、はしけ、荷役機械等、不動産および動産の全部または一部をもつて工場抵当法の手続に準じて財団を組成いたしますと、この財団は一個の不動産とみなされ、これに抵当権を設定することができるのでありまして、これにより施設の拡充合理化に大きな効果が期待されるのであります。  以上がこの法律案内容のおもな点であります。右に述べました理由により、この法律案を早急に制定する必要がありますから、どうぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  91. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。明日は十時半から開会いたします。     午後四時四十六分散会