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1951-03-29 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十六年三月二十九日(木曜日) 午前十一時十八分
開議
出席委員
委員長
前田
郁君
理事
大澤嘉平治
君
理事
岡田 五郎君
理事
坪内
八郎君
岡村利右衞門
君
片岡伊三郎
君
黒澤富次郎
君
玉置
信一
君 畠山 鶴吉君
滿尾
君亮君
山崎
岩男君 柳原 三郎君
川島
金次君
山口シヅエ
君 飯田 義茂君
出席国務大臣
運 輸 大 臣
山崎
猛君
出席政府委員
運輸事務官
(
鉄道監督局
長) 足羽 則之君
運輸事務官
(
鉄道監督局民
営鉄道部長
)
唐澤
勲君 運 輸 技 官 (
船舶局長
)
甘利
昂一君
委員外
の
出席者
専 門 員 岩村 勝君 専 門 員 堤 正威君
—————————————
三月二十八日 長谷村に
停車場設置
の
請願
(
中川俊思君紹介
) (第一五七九号) 八幡山駅
廃止反対
の
請願
(
深澤義守
君
紹介
)( 第一六一七号) 宇野、高松間の貨物送
力強化
に関する
請願
(長
野長廣
君外一名
紹介
)(第一六三七号) の審査を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
モーターボート競走法案
(
神田博
君外四十九名
提出
、
衆法
第一二号)
帝都高速度交通営団法
の一部を改正する
法律案
(
参議院提出
、
参法
第八号)
—————————————
前田郁
1
○
前田委員長
これより
会議
を開きます。
モーターボート競走法案
を
議題
とし、審議を進めます。
質疑
を続けます。
玉置信一
君。
玉置信一
2
○
玉置
(信)
委員
私は
モーターボート競走法案
の
提出理由
を先般承りまして、その
趣旨
については全面的に
賛成
するものであります。しかしながら従来この種の、
競輪
であるとか、あるいは
小型自動車
であるとか、いろいろな類似の
行為
がなされた過去の
実情等
から
考え
まして、多少不安の点もなきにしもあらずでありますので、この際
提案者側
と
政府側
に若干の
質疑
をいたしたいと思うのであります。 御
承知
のように、
競輪
を施行された過去の
実情
から見まして、
教育
の面にもはなはだしく悪影響を来し、すこぶる唾棄すべき
事態
を惹起いたしておることは御
承知
の
通り
であります。しかもこうした
事態
に対する
背後関係
が介在しているというか、今日つとにいわれておりますボスの存在によ
つて
かかる
事態
を惹起しているように、新聞その他に明らかに伝えられておるのでありますが、こうした過去の
実情等
から
考え
まして、本
モーターボート競走会
ができまして施行する場合に、こうした憂いがないかどうか、こうい点をまずお伺いするわけであります。
坪内八郎
3
○
坪内委員
提案者
を代表いたしまして
お答え
いたします。ただいま
玉置委員
のおつしやること、まことにご
もつ
ともな
お尋ね
でありまして、私たちも
同感
の点もあるわけであります。そこで
玉置委員
の
お尋ね
の点は、過去の
競輪
、
小型自動車
その他の
運営ぶり
から見て、やお
ちよ
うをするとかその他の
関係
が生じ、非常にぐあいが悪いじやないかという
お尋ね
のようであります。そういう
状態
であるがゆえに、われわれはこの
モーターボート競走法案
の
提案理由
にも
説明
申し
上げ
ました
通り
、ひとつ模範的に
そういつた面
も啓蒙あるいは指導して行こう。しかもこの
モーターボート
・
レース
を行う
選手側
にいたしましても、
競輪側
の
——競輪
の
選手
も優秀な方もおられましようが、
モーターボート
の
競走
に携わる
選手
などは、きわめて
教育
の
程度
も高く、ほとんど大学を卒業したというような
インテリ層
の者が多いのでございまして、そういう点はないのじやないかと確信いたしておるのでございます。
従つて
過去に行われておる、
競輪
などに生ずるところの欠点を、むしろこうい
つた
関係
において啓蒙して行こうというような
関係
において、さような不安はないと信じておる次第でございます。私の
答弁
の不備の点は、
政府委員
から
参考
までにさらに
お答え
させこととにいたします。
玉置信一
4
○
玉置
(信)
委員
ただいまの
提案者
の御
答弁
によ
つて
、大体安心いたしますが、さらにこの際つつ込んで
政府側
にお伺いいたしておきたいと思います。それはこの
法案
の第三條によりまして、
競走会
というものができるのでありますが、すでにこの
法律
の
通過
を見越しまして、各地において
競走会
を設置せんとして暗躍している事実もあるわけでございますが、この
状態
から見まして、私はただいま
提案者
の御
説明
の
趣旨
に当然沿うて行くことは予想いたしておりますが、前段申しましたようにすでに
本案通過
前において、かかる
競走
的に、しかも暗躍しつつある
現状等
から
考え
まして、これが
取締り
の面については、相当
愼重
に最善を期さなければならぬと思うのでありますが、こうした先走
つた行為
に対して、
政府
はいかなる
取締り
をなさんとするのであるか、またこれが施行にあたりまして、ただいま
提案者
の御
説明
の
通り
に万全を期する上におきまして、今日までありがちのような不徹底な
取締り
でなく、さらに具体的に徹底した
取締り
をしなければならぬと思うのでありますが、これに対する
政府側
の
所見
を伺いたいのであります。
甘利昂一
5
○
甘利政府委員
先ほどお話
のありまし
監督者
の
立場
として、われわれはこの
法案
については特に今まで見られなか
つた
ような、新しき試みをや
つて
おりますので、そういう
弊害
は除かれると確信しております。また今
お話
のように、すでにいろいろのの団体がそういう動きをしているという
お話
でありますが、これについても
政府
といたしましては、極力本
法案
の
実施
を早くいたしまして、そういう
弊害
の起らないように協力いたしたいと
考え
ております。
玉置信一
6
○
玉置
(信)
委員
この
法案
によりまして、しかも具体的な御
説明
をさきに拝聽いたしまして、明らかにな
つて
おりますように、
競走会
において賣
上げ
全体の三%とも見るべき約九千万円に上るものが、
国庫収入
に見込まれておるのでありますが、これはこのまま大蔵省がか
つて
に使用するとができるような内容のごとくに私は解するのでありますが、しかしこれはこの
斯業
の
改善発達
をはからんとする
目的
から言いまして、やはりこの
国庫収入
というものは、国家がかかる
斯業発達
のために使用することが当然であると思うのであります。これに対して
政府
はいかように
考え
ておりますか。 次に、私ははつきりは記憶いたしておりませんが、たしかオートバイの
収入等
におきましては、
ひもつき
をも
つて
国庫
の
収入
とな
つて
おるやに
伺つて
おるのでございますが、モーター・
レース実施
による
国庫収入
も、当然オートバイ同様に
ひもつき
の
国庫収入
として、
斯業
の
改善発達
その他に流用すべきものであり、当然そういうふうに取扱
つて
おるものであると思うのであります。同時にまたそうしたことになすべきことを
希望
するものでありますが、これに対する
政府側
の
所見
を伺います。
甘利昂一
7
○
甘利政府委員
今
お話
の
趣旨
はまことにご
もつ
ともでありまして、この
法案
の
趣旨
から申しましても、それが
主眼点
でありますので、
運輸当局
といたしましても、ぜひそうしていただきたいと熱望するものであります。また
競輪
その他について、
国庫
の
収入金
の一部をそういうものに使うということについて、
ひもつき
にな
つて
おるという
お話
でありますが、
法律
上は今のところな
つて
おらないようでありますけれ
ども
、ほかの
方法
においてそういう
趣旨
に沿うようにしていただきたいと私
ども
も熱望いたします。
川島金次
8
○
川島委員
この際私は、
運輸省
の
関係
の方にこれをお聞きするということは、たいへん筋違いのことでございますけれ
ども
、関連がありますので
一言お尋ね
をして、その見解を明らかにしておく方がいいのではないかと思いますので、一点だけ
お尋ね
いたします。 元来この
モーターボート
の
競争法案
に対しましては、
日本社会党
は
党議
といたしまして、原則的には
反対
の
意思表示
をいたすことにな
つて
おるのであります。但し私その他若干の党内の個個については、
党議
の原則的なものの
わく外
にあ
つて
、個人的には賛否を自由にしてさしつかえない旨が実はきめられましたので、私自身はこの
法案
に
賛成
をいたしたいと思
つて
おるものです。ただ問題となりますのは、私もこの
法案
に
賛成
をする際に、つらつら感ずるものがあ
つたの
であります。というのは、
戰前
から
日本
に
競馬法
がありまして、
畜産奨励
のための
競馬
が、全国的に国営、
府県営
で現在行われております。この
競馬
の最高の
監督責任者
は、
農林省
に
所管
されておる。
戰後
におきましてこの種の
競馬
に準ずる
競技法
として、
競輪
が颯爽たる姿で登場して、今や
競馬
を圧倒するような人気を集中しておるような次第であります。この
競輪
は
通産省
が
所管
をしておる。さらに
競輪
に次いで
オートレース
が
実施
されて、これは
通産省所管
、今度ただいま審議いたしておりまする
モーターボート
・
レース法
は、
運輸省
が大体において
所管
する。それからどこかに
ドツグ・レース
というものが出ておるはずであります。これは
農林省
が
所管
する。うわさに聞くと、さらに鶏の
競技法
めいたものが準備されておる。いろいろとその問題について今や
国民
的な
批判
の対象になろうとしておる。やる
目的
はそれぞれの主張がありまして、それぞれの国策といいますか、
政策
の上において相当の
理想
をも
つて
、こういうものが行われておるのでありますが、その
実施面
においては、とかく
国民
の
批判
を招くような
事態
というものが、
競馬
を初めとして各
競技法
にあるとともわれわれ
同感
であります。しかも全国的に四季を通じてこれらの
レース
は行われる。
従つて
一府県の中に、今度の
モーターボート
・
レース
などが
実施
されますと、
競馬
がある、
競輪
がある、
オートレース
があろ、
モーターボート
の
レース
がある。その上に
ドツグ・レース
がさらに加
つて
来るということになりますと、
開催問題等
について非常な
競合
の形ができ上
つて
参ります。その
競合
をする結果において、またそこにいろいろの
弊害
が起
つて
来るということが、私
どもしろうと
でありますが、予測されるのであります。そういうことになると、さらにますます
道学者
はもちろんでありますが、心ある
一般国民
からの鋭い
批判
を越えての非難が起
つて
来るという
事柄
をも、われわれは十分に
愼重
に予測して行かなければならない。そういう
事柄
を基礎として
考え
て参りましたときに、これらの
競技法
を何か
政府
において、一括した統合的な
機関
をも
つて
し、その
機関
のもとにおいて、いろいろの
弊害
をできるだけ少からしめるというような
段階
にな
つて
いるのではないか。
競馬
は
農林省
でか
つて
にやる。
競輪
は全国的に
通産省
の
監督下
にかつでにやる。
オートレース
もその
通り
、そして今度の
モーターボート
・
レース
は
運輸省
なりにか
つて
にやらす。なるほどその
実施面
において、各
競技
の
開催
の時期とか、日取りとかいうものは、それぞれのことを勘案して、適切な
調整
の
方法
をと
つて
はございましよう、
調整
の
方法
をとらないと、
開催
の
一つ
の
趣旨
である利益も少いというようなことで、自然
連絡
的な
調整
はとれて参りましようが、それでは私は非常に足りないものがだんだん出て来るのではないかと思う。そこでこれらの
競技
を何か中央に
法律
をも
つて
一括して監督し、統合し、
開催
し、そして各種の
国民的批判
の的にな
つて
おる
弊害
をできるだけ防止し、そして
開催趣旨
の
目的
を全うせしめる。こういうような
事柄
を
政府
はこの
機会
にぼつぼつ
考え
て行くべきではないか、こういうふうに私は実は個人的に感じておるのであります。この
事柄
について
船舶局
の方に
お尋ね
をするということは、たいへん問題が広汎にわたり、大きなことでありますから、筋が違うことではございましようが、もうそういうことを
考え
て行かなければならぬという
段階
だと私は感じておりますので、この
機会
にこういう
モーターボート
の
レース
の問題が出て参りまして、
せつかく運輸省当局
の方もいろいろと御苦心をされておることだと思いますので、そういう
事柄
について、
個人的私見
でも
けつ
こうです、これに対する
所見
がありますれば、この
機会
に私はお開きをしておきたいと思うわけであります。
甘利昂一
9
○
甘利政府委員
今の
お話
の
趣旨
まことにご
もつ
ともでありますし、單に
モーターボート
の
競走法
ではなくて、いろいろな点において、
各省
の間の仕事がまたが
つた
ために不便な点がありますし、またその統合をされないために、單なる
各省
の
連絡
だけでは不十分の点もありますが、しかし、ただいまのところおのおのその
所管事項
が違いますので、そう急速にそういう
方法
をとるということはできないかと思いますが、しかし御
趣旨
の点もありますので、できるだけ
各省
と
連絡
を緊密にいたしまして、そういう
弊害
の起らないように努力いたしたいと
考え
ております。
川島金次
10
○
川島委員
これは私一個の
所見
でございますので恐縮なんですが、
山崎運輸大臣
でも
けつ
こうです。この
機会
に
運輸大臣
から、
閣議
の席上ででも、そうい
つた
話合いをひとつ進めて行くというような
事柄
について、あなたから進言を願いたい。
運輸大臣
おりますれば、私直接にそういう問題を提起いたしたいと
思つたの
ですが、お見えにな
つて
おりませんので、あなたの方から直接そういう
事柄
について
委員会
から発言があ
つた
ということを、すなおに御
傳達
を願いまして、
運輸大臣
から何かの
機会
に
閣議
の席上で、そうい
つた
問題の取
上げ
方を配慮していただきたい。これを申し添えまして私の
質問
を終ります。
甘利昂一
11
○
甘利政府委員
承知
いたしました。
前田郁
12
○
前田委員長
これにて
質疑
は終了いたしました。 これより
本案
に対する
討論
に入ります。
討論
の通告がありませんので、これを省略するに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
前田郁
13
○
前田委員長
それではさよう決定いたします。 これより
モーターボート競走法案
について採決いたします。
本案
を原案
通り
可決するに
賛成
の諸君の
起立
を願います。 〔
総員起立
〕
前田郁
14
○
前田委員長
起立総員
。よ
つて本案
は原案の
通り
可決いたしました。 この際お諮りいたします。
本案
に対する
委員長報告
は、
委員長
に御一任を願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
前田郁
15
○
前田委員長
それではさよう決定いたします。 暫時
休憩
いたします。 午前十一時四十一分
休憩
————◇—————
午後二時二十七分
開議
大澤嘉平治
16
○
大澤委員長代理
休憩
前に引続き
会議
を開きます。
帝都高速度交通営団法
の一部を改正する
法律案
を
議題
といたします。
質疑
を続けます。
滿尾
君亮君。
滿尾君亮
17
○
滿尾委員
この
法案
が御
提案
になりました際、私は
帝都
の
交通
に関する基本的な
考え方
について、
大臣
の御
意向
を
伺つて
おきたいと
思つたの
であります。それは
交通調整法
がずつと前から出ておりましたが、そのまま、その間に
戰争
があ
つて
、
ちよ
つとたな
上げ
に
なつ
たようなかつこうにな
つて
いる。
委員等
も御任命にな
つて
お
つたの
でありますが、現在においては任期が過ぎてなく
なつ
た。しかし
法律
の形骸だけは残
つて
いる。今回
地下鉄
の問題が出たことにつきましては、私
ども帝都
の
交通
が整備される一環として、非常に
賛成
いたしまして、この
法案
が一刻も早くでき上りますように、
衷心希望
をしておりますけれ
ども
、この
法案
を審議するにつきましては、将来の
帝都
をめぐる
交通
の
基本的性格
について、
運輸大臣
はどういうお
考え
を持
つて
おりますか。その大所高所からの御
構想
を
伺つて
、具体的な問題を
考え
るのが、私は国会の任務であると実は
考え
ますので、わざわざ
大臣
のお手数を煩わすような次第でございます。問題は、か
つて
の
鉄道省
が、
帝都
の
交通
問題に関しまして、これを
交通調整
する必要ありと認めまして、当時の
鉄道大臣
の
重要政策
として、この
交通調整法
ができておるわけであります。その間に
戰争
が介在し、また
戰後
のいろいろな
事情
の変化があり、またわれわれの
経済思想等
においても、いわゆる資本主義的な
自由経済思想
が、非常に強く
政策
の面に現われて来た。そとで
戰前
に
考え
てお
つた帝都
の
交通調整
というような
考え方
について、基本的な
方向転換
をせられたのであるか、将来とも、適当の時期に
交通調整
をするという
理想
を堅持して、その時期を靜観しておられるのであるか。それらの基本的なお気持ちについて、一度
伺つて
おく方が
ほんとう
であると私は
考え
ますので、お伺いする次第であります。
山崎猛
18
○
山崎国務大臣
私は最近
ちよ
つと健康を害しまして、一週間ばかり前から
出席
し始めたようなわけで、いろいろ当
委員会
において、
運輸大臣
に直接ただしておきたいという点もおありに
なつ
たろうと
考え
まして、非常に恐縮いたしておる次第であります。本日は幸い健康も回復しましたし、しばしば
出席
を促された
滿尾委員
の御
希望
に沿うて
出席
いたしまして、親しく
お答え
申し
上げ
る
機会
を得たことを、みずから満足に思
つて
いる次第であります。申し
上げ
るまでもなく、
滿尾委員
は
交通事業政策
についての
専門家
であり、私は大
ざつぱな政治的観点
から申し
上げ
る以外に、技術的、専門的の知識も経験も、率直に申し
上げ
て持たないのでありますから、満足なる
お答え
を申し
上げ
得ないかもしれませんけれ
ども
、ただいまの御
質問
の御趣意から
考え
て行きますと、私の
程度
において
お答え
をするところに、
お尋ね
の焦点があるようにも
考え
られますので、
お答え
を申し
上げ
る次第であります。 ただいま
帝都
の
交通
を将来どういうふうにして行くか、これについて
戰前
からの
考え
もあ
つたの
であるが、今日の
状態
に立
つて
どういうことを
考え
つつあるか、こういう
お尋ね
であ
つた
ように
考え
ます。
交通調整法
の現存していることも御指摘があ
つたの
でありますが、
お話
の
通り
に
委員会
はなくな
つて
しま
つて
、半身不随の、発動のできない法だけがつうているということは事実であります。その法もまたおそらく
戰争
前にできたものであり、
戰争
直前である場合には、その当時の
日本
の
あり方
として、
国民
の
考え
からい
つて
も、あるいはまた
政府
の
考え
からい
つて
も、一種の
軍事的思想
がその中に加味されているような
法律
が、あらゆる場合にあ
つたの
であります。
調整法
の中にそういう
思想
が含まれていると私は申すのではありませんけれ
ども
、
戰前
の
法律
を生かしてもう一ぺん使おうという場合には、よくその辺のところも吟味して、
戰争
後における平和的、経済的、政治的の
立場
を顧慮して、
交通政策
のごときは
調整
をして行くべきであると
考え
ますから、この
交通調整法
のごときば、もしこれを再び引きもとして生かすというような場合には、再検討を要するものであろうと
一つ
には
考え
ておるのであります。 それから
帝都
の
交通
をどういうふうにしようかという、これもあるいは專門的、技術的には夢のような話になるかもしれませんが、私が政治的に
現状
を
考え
て行きますと、まず
東京
都の
都市計画
の方針がどうあるか、これがまずも
つて
考え
られなければならないと思うのであります。しかし
東京
都はまだ
ほんとう
の、
関東大震災
当時においてできた
環状線
とか、幹線とかいうようなものから、さらに進んだ戰災後の
都市
の
あり方
について、
都市計画
の
方向
を定めるというような
段階
に、
都自体
がまだ入
つて
いないように
考え
るのであります。これは政治的というよりも、むしろ経済的、
社会的事情
が、大きな
関係
があるようにも
考え
られるのでありまして、
終戰後五年
といえば長い年月のようではありますけれ
ども
、この大きな
帝都
という
見地
から言えば、五年ぐらいの年数はさほど長いものではないようにも
考え
られますから、そうせつかちな
考え方
はいたさないでもよろしいと思うのであります。また
関東大震災
直後の
東京
の
復興
の姿を見ましても、
日本
全体は
無事泰平
であ
つて
、
東京
だけがあのようなひどいことに
なつ
た。その
震災復興
の
事業等
を
考え
てみましても、
関東大震災
ではなく、全国の災害である戰災を受けた今日でありますから、
東京
都がその
段階
にまだ入り得ざるということも、そうせつかちに責め立てるわけにも参らないようにも私は思うのであります。これが一
段階
であろうと
考え
るのであります。第二には、
国鉄
との
調整
をどういうふうに、つながりをつけて行くべきか。これも
帝都
の
交通調整
の
見地
からは、
考え
て行かなければならないと思います。さらにまた、
東京郊外
の
都市発展
の形を
考え
なければならないと思います。この
郊外
の
都市発展
に
従つて
、
電車
もありましよう、
バス
もありましよう、これに応じてさらにまた、都内の
路面電車
あるいは
地下鉄
というようなものの
結びつき
をどういうふうにして行くべきか、こういうことも
考え
なければなりません。さらにまた、
都市
の
発展
の将来の状況によ
つて
は、一体
路面電車
というものをいつまで
都心
、繁華な雑沓の地に残しておくかというようなことも、われわれが大きな
理想
を持
つて
東京
都の
発展
を望む以上には、これも
考え
て行かなければならないと思うのであります。おそらく
路面電車
が前世紀の遺物ということになるのは、近い将来ではなかろうかとも
考え
られるのであります。
従つて
、
地下鉄
ということが大きくクローズ・アツプされて、ここに重点を置かなければならず、そうしてこれと
東京近郊
の
都市
の
発展
に
伴つてバス
、
電車等
の
連絡
を
考え
、そうして
国鉄
と
結び合せ
をつけて行く。しかもそれは
東京
都の
都市計画
と密接なる
関係
を持たなければならぬ。こういうことであろうと、大づかみに
考え
るのであります。しかもこれは
資金計画
なくして、白紙に図面を書くようなわけにも参らないのであります。さらにまた
東京
都の中でも、一体どういう所がビジネス・センターとなり、
経済中心
とな
つて
将来
発展
するか、
商店街
とな
つて
行くであろうか、どういう方面が
住宅街
として伸びて行くであろうか、
官庁街
として適当であろうか、こういうものも
交通
の点から
考え
て行きますと大きく考慮に入れなければならないかと思うのであります。 大体そういうふうなことを
考え
て参りますと、これは今日、
運輸省
を
中心
としてある
機関
だけでは、一体そういう大規模の
交通整備
についての
計画案
を立て得るやいなやということについては、不十分ではないかというふうな
考え
を持つのであります。私は今日まだその
構想
を立てる
段階
にまで入
つて
おりません。これはどうしたものだろうかという
方向
だけでありますけれ
ども
、これは何らかの方途を講じて、早いうちに大体の
計画
を立てて進むべきではなかろうか、こういうことを
考え
ておる
程度
であります。これは
関東大震災
の後に
復興院総裁
でございましたか、
東京
市市長としてでございました後藤平伯が、大きな
計画
を立てておられたことも、貴重なる
参考資料
として顧みる必要があるのじやなかろうか、こういうふうに
考え
るのであります。
大澤嘉平治
19
○
大澤委員長代理
本
会議
が開かれますので、この際
休憩
いたします。 午後二時四十分
休憩
————◇—————
午後三時六分
開議
大澤嘉平治
20
○
大澤委員長代理
休憩
前に引続き
会議
を開きます。
滿尾君亮
21
○
滿尾委員
先ほどに引続きまして、もう
一言
、二言
お尋ね
申し
上げ
たいのであります。
大臣
の御
答弁
によりまして、いろいろの御意見がよくわか
つたの
でありますが、結局
戰前
の
交通調整法
は、今日の
情勢
に照してそのまま使えない、それもおつしやる
通り
であります。使うとすれば、適当な修正を加えなければならぬことは、よくわかるのであります。ただ私が
大臣
にお聞きしたいことは、
戰後
の
客観情勢
において、やはり
交通調整
を必要と感じておるのであるかどうか。ある
段階
において、これを
理想
として進める御
意思
があるのかどうかを聞きたい。実は私の見聞いたしまする範囲で推察いたしますと、
東京
都に頭をつつ込んでおる各
地方鉄道
は、いずれも
都心
に線を延ばしたい
意向
である。従来はこれらの
鉄道
の経営している
バス路線
が、省線の
環状線
の外でとま
つて
いた。いろいろな
せんだつて
来のいきさつで、
バス
だけは全部
都心
まで入
つて
来る。放射線状に入
つて
来た。それからか
つて
交通調整
で
都営バス
だけが独占してお
つた
という区域に入
つて
来て、そのかわりに
都営
もまた
環状線
の外へ
バス
の線を延ばして行く。ギヴ・アンド・テークの
政策
で、相互でダブ
つて
行くように
なつ
た。その点から都民の
バス交通
による利便が非常に増し、また利用の
程度
も高く
なつ
たという、著しい
一つ
の結果が現われたわけであります。しかしながらこれは従来の
交通調整
の理念からいたしますと、この原則を破
つた
にすぎない。ところが
鉄道
に関しましても、同じように各線は
都心
までずつと延ばしたい
意向
がありありと感知できる。あるものはそれを地下に入れたいと
考え
ているに違いない。これらの
情勢
に対しまして、か
つて
大臣
は、ロンドンの
交通
局のようなものをつく
つて
、一元的にこの
東京
都の
交通
計画
をやりたいという
考え
を持
つて
いたように私
ども
感ずるのであります。今後においても、そういうような
理想
を描いておられるのであるかどうか。もし描いておるとすれば、そこに至るにはいろいろなプロセスがある。幸いにして
東京
都につきましては、首都建設法のごときもすでに
通過
しておりますから、
運輸大臣
とされましては、これらの問題について基本的に抜本的な
一つ
の理念をお持ちにな
つて
、
構想
をお立てにならなければならぬ。実現にはいろいろ道行きがあろうと思いますけれ
ども
、何らかの
政策
がなくては、
政策
の貧困を嘆かざるを得ないと思うのであります。実は事務官僚の諸君とは、私は年来の友人
関係
にありますから、折々意見をたたいておるのでありますけれ
ども
、遺憾ながらその間において、確固たる研究をしておらないように思う。手をあげておられるように思う、と言
つて
ははなはだ失礼でありますけれ
ども
、率直に申してそういう感じを持
つて
おるのであります。これでは
運輸大臣
としては
政策
がないにもひとしいじやないか。これについては、私は少くとも
一つ
の目標を得たいと思う。その目標に至る
一つ
の道程として、今回の
地下鉄
の
発展
がある。全体の
計画
の一部をなしておる。その
段階
段階
における実現の方途であるというぐあいに持
つて
行
つて
いただきたいと思うのである。その
理想
案が今ただちにできるということを、私は注文申し
上げ
ておるのではない。少くともその
理想
案を構成する、つくり
上げ
るには、しからばどうすればいいか。あるいは適当な
委員会
をおつくりにな
つて
、御研究されるのもよかろう。何らかそういう理念を持
つて
、
理想
実現への一歩々々として、今回のような
法案
の御
提案
があるべきじやないか。その
構想
なくして、具体的な
一つ
一つ
をその都度解決して行くのでは、目標を見失
つて
しまうおそれがある。
東京
は世界の大
都市
でありまして、現在のように横へ横へと広が
つて
行く形というものは、まことに望ましくない形態である。
従つて
首都建設法とにらみ合せて、
運輸大臣
としては、この
東京
の
交通
全体をどんなかつこうにまとめるのか、あるいはまとめるのはいかぬのだ、群雄割拠で、それぞれの覇を競わしめるのがいいというのか。この結論でも私はさしつかえないと思う。いずれにせよはつきりした
政策
をお持ちにな
つて
、そのプロセスとしてわれわれはそれの相談にあずか
つて
行きたい、かように
考え
ます。私がわざわざ
大臣
に御出馬を煩わしまして御
質問
を申し
上げ
る真意は、そこにあるのであります。
山崎猛
22
○
山崎国務大臣
まことにご
もつ
ともな御意見を
中心
としたる
お尋ね
であります。御意見全然御
同感
であります、これは先刻も申し
上げ
ました
通り
、引続いてあの前提のもとに申し
上げ
るのでありますが、
運輸省
だけで
考え
るということでなしに、建設省、都あるいは国有
鉄道
、これらを十分含めたる広い働きのできる
委員会
でなければならぬ。しかも衆知を集めなければならぬ。
鉄道
技術だけでもいけないと思います。経済も、
教育
の面も、社会
政策
の面も多様に含まれたる経験知識を集めて、そういうものをつく
つて
行かなければ相ならないかと思うのであります。先刻はまだ
構想
という断言はできないが、私一人の胸の中に持
つて
いるという
程度
に、実は内輪に
お答え
いたしたのでありますけれ
ども
、ただいま
滿尾委員
から、
もつ
と掘り下げてとの突き進んだ
お尋ね
でありまするので、今度の議会でも済みましたならば、十分
運輸省
の事務当局を鞭撻しまして、一応の腹案をつくり、今申し
上げ
たような建設省、
東京
都あるいは
東京
の経験知識者、経済界等にも諮
つて
、ロンドンにも、パリーにも、ニユーヨークにも負けない
東京
都の
交通調整
をやる方針を立てて、その一貫した方針のもとに、あらゆる
交通
網を集めて行かなければならないかと思うのであります。ロンドンにしても、パリーにしても、どれほど進んでお
つて
も、これは古い
計画
であ
つたの
には間違いないのであります。われわれは白紙で、
東京
都を
中心
としたる
交通調整
をやるというような
方向
で行かなければならぬかと思うのであります。最近には大阪におきましても、御
承知
の
通り
に
交通調整
では府、市等が相当の苦心をしておるようであります。これらも大きな材料になると
考え
ておるのであります。そういう意味でひとつこの議会後に、その
方向
にまつすぐに進んで行き、あらためて御協賛を願い、御協力を願いたい、こう思う次第であります。
大澤嘉平治
23
○
大澤委員長代理
本日はこれにて散会し、明日午前十時半より開会いたします。 午後三時十六分散会
————◇—————
〔参照〕
モーターボート競走法案
(
神田博
君外四十九名
提出
)に関する報告書 〔都合により別冊附録に掲載〕