運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-29 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君      岡村利右衞門君    片岡伊三郎君       黒澤富次郎君    玉置 信一君       畠山 鶴吉君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    柳原 三郎君       川島 金次君    山口シヅエ君       飯田 義茂君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山崎  猛君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  唐澤  勲君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 三月二十八日  長谷村に停車場設置請願中川俊思君紹介)  (第一五七九号)  八幡山駅廃止反対請願深澤義守紹介)(  第一六一七号)  宇野、高松間の貨物送力強化に関する請願(長  野長廣君外一名紹介)(第一六三七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  モーターボート競走法案神田博君外四十九名  提出衆法第一二号)  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案  (参議院提出参法第八号)     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  モーターボート競走法案議題とし、審議を進めます。質疑を続けます。玉置信一君。
  3. 玉置信一

    玉置(信)委員 私はモーターボート競走法案提出理由を先般承りまして、その趣旨については全面的に賛成するものであります。しかしながら従来この種の、競輪であるとか、あるいは小型自動車であるとか、いろいろな類似の行為がなされた過去の実情等から考えまして、多少不安の点もなきにしもあらずでありますので、この際提案者側政府側に若干の質疑をいたしたいと思うのであります。  御承知のように、競輪を施行された過去の実情から見まして、教育の面にもはなはだしく悪影響を来し、すこぶる唾棄すべき事態を惹起いたしておることは御承知通りであります。しかもこうした事態に対する背後関係が介在しているというか、今日つとにいわれておりますボスの存在によつてかかる事態を惹起しているように、新聞その他に明らかに伝えられておるのでありますが、こうした過去の実情等から考えまして、本モーターボート競走会ができまして施行する場合に、こうした憂いがないかどうか、こうい点をまずお伺いするわけであります。
  4. 坪内八郎

    坪内委員 提案者を代表いたしましてお答えいたします。ただいま玉置委員のおつしやること、まことにごもつともなお尋ねでありまして、私たちも同感の点もあるわけであります。そこで玉置委員お尋ねの点は、過去の競輪小型自動車その他の運営ぶりから見て、やおちようをするとかその他の関係が生じ、非常にぐあいが悪いじやないかというお尋ねのようであります。そういう状態であるがゆえに、われわれはこのモーターボート競走法案提案理由にも説明申し上げました通り、ひとつ模範的にそういつた面も啓蒙あるいは指導して行こう。しかもこのモーターボートレースを行う選手側にいたしましても、競輪側——競輪選手も優秀な方もおられましようが、モーターボート競走に携わる選手などは、きわめて教育程度も高く、ほとんど大学を卒業したというようなインテリ層の者が多いのでございまして、そういう点はないのじやないかと確信いたしておるのでございます。従つて過去に行われておる、競輪などに生ずるところの欠点を、むしろこういつた関係において啓蒙して行こうというような関係において、さような不安はないと信じておる次第でございます。私の答弁の不備の点は、政府委員から参考までにさらにお答えさせこととにいたします。
  5. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいまの提案者の御答弁によつて、大体安心いたしますが、さらにこの際つつ込んで政府側にお伺いいたしておきたいと思います。それはこの法案の第三條によりまして、競走会というものができるのでありますが、すでにこの法律通過を見越しまして、各地において競走会を設置せんとして暗躍している事実もあるわけでございますが、この状態から見まして、私はただいま提案者の御説明趣旨に当然沿うて行くことは予想いたしておりますが、前段申しましたようにすでに本案通過前において、かかる競走的に、しかも暗躍しつつある現状等から考えまして、これが取締りの面については、相当愼重に最善を期さなければならぬと思うのでありますが、こうした先走つた行為に対して、政府はいかなる取締りをなさんとするのであるか、またこれが施行にあたりまして、ただいま提案者の御説明通りに万全を期する上におきまして、今日までありがちのような不徹底な取締りでなく、さらに具体的に徹底した取締りをしなければならぬと思うのでありますが、これに対する政府側所見を伺いたいのであります。
  6. 甘利昂一

    甘利政府委員 先ほどお話のありまし監督者立場として、われわれはこの法案については特に今まで見られなかつたような、新しき試みをやつておりますので、そういう弊害は除かれると確信しております。また今お話のように、すでにいろいろのの団体がそういう動きをしているというお話でありますが、これについても政府といたしましては、極力本法案実施を早くいたしまして、そういう弊害の起らないように協力いたしたいと考えております。
  7. 玉置信一

    玉置(信)委員 この法案によりまして、しかも具体的な御説明をさきに拝聽いたしまして、明らかになつておりますように、競走会において賣上げ全体の三%とも見るべき約九千万円に上るものが、国庫収入に見込まれておるのでありますが、これはこのまま大蔵省がかつてに使用するとができるような内容のごとくに私は解するのでありますが、しかしこれはこの斯業改善発達をはからんとする目的から言いまして、やはりこの国庫収入というものは、国家がかかる斯業発達のために使用することが当然であると思うのであります。これに対して政府はいかように考えておりますか。  次に、私ははつきりは記憶いたしておりませんが、たしかオートバイの収入等におきましては、ひもつきをもつて国庫収入となつておるやに伺つておるのでございますが、モーター・レース実施による国庫収入も、当然オートバイ同様にひもつき国庫収入として、斯業改善発達その他に流用すべきものであり、当然そういうふうに取扱つておるものであると思うのであります。同時にまたそうしたことになすべきことを希望するものでありますが、これに対する政府側所見を伺います。
  8. 甘利昂一

    甘利政府委員 今お話趣旨はまことにごもつともでありまして、この法案趣旨から申しましても、それが主眼点でありますので、運輸当局といたしましても、ぜひそうしていただきたいと熱望するものであります。また競輪その他について、国庫収入金の一部をそういうものに使うということについて、ひもつきになつておるというお話でありますが、法律上は今のところなつておらないようでありますけれども、ほかの方法においてそういう趣旨に沿うようにしていただきたいと私どもも熱望いたします。
  9. 川島金次

    川島委員 この際私は、運輸省関係の方にこれをお聞きするということは、たいへん筋違いのことでございますけれども、関連がありますので一言お尋ねをして、その見解を明らかにしておく方がいいのではないかと思いますので、一点だけお尋ねいたします。  元来このモーターボート競争法案に対しましては、日本社会党党議といたしまして、原則的には反対意思表示をいたすことになつておるのであります。但し私その他若干の党内の個個については、党議の原則的なもののわく外にあつて、個人的には賛否を自由にしてさしつかえない旨が実はきめられましたので、私自身はこの法案賛成をいたしたいと思つておるものです。ただ問題となりますのは、私もこの法案賛成をする際に、つらつら感ずるものがあつたのであります。というのは、戰前から日本競馬法がありまして、畜産奨励のための競馬が、全国的に国営、府県営で現在行われております。この競馬の最高の監督責任者は、農林省所管されておる。戰後におきましてこの種の競馬に準ずる競技法として、競輪が颯爽たる姿で登場して、今や競馬を圧倒するような人気を集中しておるような次第であります。この競輪通産省所管をしておる。さらに競輪に次いでオートレース実施されて、これは通産省所管、今度ただいま審議いたしておりまするモーターボートレース法は、運輸省が大体において所管する。それからどこかにドツグ・レースというものが出ておるはずであります。これは農林省所管する。うわさに聞くと、さらに鶏の競技法めいたものが準備されておる。いろいろとその問題について今や国民的な批判の対象になろうとしておる。やる目的はそれぞれの主張がありまして、それぞれの国策といいますか、政策の上において相当の理想をもつて、こういうものが行われておるのでありますが、その実施面においては、とかく国民批判を招くような事態というものが、競馬を初めとして各競技法にあるとともわれわれ同感であります。しかも全国的に四季を通じてこれらのレースは行われる。従つて一府県の中に、今度のモーターボートレースなどが実施されますと、競馬がある、競輪がある、オートレースがあろ、モーターボートレースがある。その上にドツグ・レースがさらに加つて来るということになりますと、開催問題等について非常な競合の形ができ上つて参ります。その競合をする結果において、またそこにいろいろの弊害が起つて来るということが、私どもしろうとでありますが、予測されるのであります。そういうことになると、さらにますます道学者はもちろんでありますが、心ある一般国民からの鋭い批判を越えての非難が起つて来るという事柄をも、われわれは十分に愼重に予測して行かなければならない。そういう事柄を基礎として考えて参りましたときに、これらの競技法を何か政府において、一括した統合的な機関をもつてし、その機関のもとにおいて、いろいろの弊害をできるだけ少からしめるというような段階になつているのではないか。競馬農林省でかつてにやる。競輪は全国的に通産省監督下にかつでにやる。オートレースもその通り、そして今度のモーターボートレース運輸省なりにかつてにやらす。なるほどその実施面において、各競技開催の時期とか、日取りとかいうものは、それぞれのことを勘案して、適切な調整方法をとつてはございましよう、調整方法をとらないと、開催一つ趣旨である利益も少いというようなことで、自然連絡的な調整はとれて参りましようが、それでは私は非常に足りないものがだんだん出て来るのではないかと思う。そこでこれらの競技を何か中央に法律をもつて一括して監督し、統合し、開催し、そして各種の国民的批判の的になつておる弊害をできるだけ防止し、そして開催趣旨目的を全うせしめる。こういうような事柄政府はこの機会にぼつぼつ考えて行くべきではないか、こういうふうに私は実は個人的に感じておるのであります。この事柄について船舶局の方にお尋ねをするということは、たいへん問題が広汎にわたり、大きなことでありますから、筋が違うことではございましようが、もうそういうことを考えて行かなければならぬという段階だと私は感じておりますので、この機会にこういうモーターボートレースの問題が出て参りまして、せつかく運輸省当局の方もいろいろと御苦心をされておることだと思いますので、そういう事柄について、個人的私見でもけつこうです、これに対する所見がありますれば、この機会に私はお開きをしておきたいと思うわけであります。
  10. 甘利昂一

    甘利政府委員 今のお話趣旨まことにごもつともでありますし、單にモーターボート競走法ではなくて、いろいろな点において、各省の間の仕事がまたがつたために不便な点がありますし、またその統合をされないために、單なる各省連絡だけでは不十分の点もありますが、しかし、ただいまのところおのおのその所管事項が違いますので、そう急速にそういう方法をとるということはできないかと思いますが、しかし御趣旨の点もありますので、できるだけ各省連絡を緊密にいたしまして、そういう弊害の起らないように努力いたしたいと考えております。
  11. 川島金次

    川島委員 これは私一個の所見でございますので恐縮なんですが、山崎運輸大臣でもけつこうです。この機会運輸大臣から、閣議の席上ででも、そういつた話合いをひとつ進めて行くというような事柄について、あなたから進言を願いたい。運輸大臣おりますれば、私直接にそういう問題を提起いたしたいと思つたのですが、お見えになつておりませんので、あなたの方から直接そういう事柄について委員会から発言があつたということを、すなおに御傳達を願いまして、運輸大臣から何かの機会閣議の席上で、そういつた問題の取上げ方を配慮していただきたい。これを申し添えまして私の質問を終ります。
  12. 甘利昂一

    甘利政府委員 承知いたしました。
  13. 前田郁

    前田委員長 これにて質疑は終了いたしました。  これより本案に対する討論に入ります。討論の通告がありませんので、これを省略するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。  これよりモーターボート競走法案について採決いたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立
  15. 前田郁

    前田委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。本案に対する委員長報告は、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。  暫時休憩いたします。     午前十一時四十一分休憩      ————◇—————     午後二時二十七分開議
  17. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑を続けます。滿尾君亮君。
  18. 滿尾君亮

    滿尾委員 この法案が御提案になりました際、私は帝都交通に関する基本的な考え方について、大臣の御意向伺つておきたいと思つたのであります。それは交通調整法がずつと前から出ておりましたが、そのまま、その間に戰争があつてちよつとたな上げなつたようなかつこうになつている。委員等も御任命になつてつたのでありますが、現在においては任期が過ぎてなくなつた。しかし法律の形骸だけは残つている。今回地下鉄の問題が出たことにつきましては、私ども帝都交通が整備される一環として、非常に賛成いたしまして、この法案が一刻も早くでき上りますように、衷心希望をしておりますけれども、この法案を審議するにつきましては、将来の帝都をめぐる交通基本的性格について、運輸大臣はどういうお考えを持つておりますか。その大所高所からの御構想伺つて、具体的な問題を考えるのが、私は国会の任務であると実は考えますので、わざわざ大臣のお手数を煩わすような次第でございます。問題は、かつて鉄道省が、帝都交通問題に関しまして、これを交通調整する必要ありと認めまして、当時の鉄道大臣重要政策として、この交通調整法ができておるわけであります。その間に戰争が介在し、また戰後のいろいろな事情の変化があり、またわれわれの経済思想等においても、いわゆる資本主義的な自由経済思想が、非常に強く政策の面に現われて来た。そとで戰前考えておつた帝都交通調整というような考え方について、基本的な方向転換をせられたのであるか、将来とも、適当の時期に交通調整をするという理想を堅持して、その時期を靜観しておられるのであるか。それらの基本的なお気持ちについて、一度伺つておく方がほんとうであると私は考えますので、お伺いする次第であります。
  19. 山崎猛

    山崎国務大臣 私は最近ちよつと健康を害しまして、一週間ばかり前から出席し始めたようなわけで、いろいろ当委員会において、運輸大臣に直接ただしておきたいという点もおありになつたろうと考えまして、非常に恐縮いたしておる次第であります。本日は幸い健康も回復しましたし、しばしば出席を促された滿尾委員の御希望に沿うて出席いたしまして、親しくお答え申し上げ機会を得たことを、みずから満足に思つている次第であります。申し上げるまでもなく、滿尾委員交通事業政策についての専門家であり、私は大ざつぱな政治的観点から申し上げる以外に、技術的、専門的の知識も経験も、率直に申し上げて持たないのでありますから、満足なるお答えを申し上げ得ないかもしれませんけれども、ただいまの御質問の御趣意から考えて行きますと、私の程度においてお答えをするところに、お尋ねの焦点があるようにも考えられますので、お答えを申し上げる次第であります。  ただいま帝都交通を将来どういうふうにして行くか、これについて戰前からの考えもあつたのであるが、今日の状態に立つてどういうことを考えつつあるか、こういうお尋ねであつたように考えます。交通調整法の現存していることも御指摘があつたのでありますが、お話通り委員会はなくなつてしまつて、半身不随の、発動のできない法だけがつうているということは事実であります。その法もまたおそらく戰争前にできたものであり、戰争直前である場合には、その当時の日本あり方として、国民考えからいつても、あるいはまた政府考えからいつても、一種の軍事的思想がその中に加味されているような法律が、あらゆる場合にあつたのであります。調整法の中にそういう思想が含まれていると私は申すのではありませんけれども戰前法律を生かしてもう一ぺん使おうという場合には、よくその辺のところも吟味して、戰争後における平和的、経済的、政治的の立場を顧慮して、交通政策のごときは調整をして行くべきであると考えますから、この交通調整法のごときば、もしこれを再び引きもとして生かすというような場合には、再検討を要するものであろうと一つには考えておるのであります。  それから帝都交通をどういうふうにしようかという、これもあるいは專門的、技術的には夢のような話になるかもしれませんが、私が政治的に現状考えて行きますと、まず東京都の都市計画の方針がどうあるか、これがまずもつて考えられなければならないと思うのであります。しかし東京都はまだほんとうの、関東大震災当時においてできた環状線とか、幹線とかいうようなものから、さらに進んだ戰災後の都市あり方について、都市計画方向を定めるというような段階に、都自体がまだ入つていないように考えるのであります。これは政治的というよりも、むしろ経済的、社会的事情が、大きな関係があるようにも考えられるのでありまして、終戰後五年といえば長い年月のようではありますけれども、この大きな帝都という見地から言えば、五年ぐらいの年数はさほど長いものではないようにも考えられますから、そうせつかちな考え方はいたさないでもよろしいと思うのであります。また関東大震災直後の東京復興の姿を見ましても、日本全体は無事泰平であつて東京だけがあのようなひどいことになつた。その震災復興事業等考えてみましても、関東大震災ではなく、全国の災害である戰災を受けた今日でありますから、東京都がその段階にまだ入り得ざるということも、そうせつかちに責め立てるわけにも参らないようにも私は思うのであります。これが一段階であろうと考えるのであります。第二には、国鉄との調整をどういうふうに、つながりをつけて行くべきか。これも帝都交通調整見地からは、考えて行かなければならないと思います。さらにまた、東京郊外都市発展の形を考えなければならないと思います。この郊外都市発展従つて電車もありましよう、バスもありましよう、これに応じてさらにまた、都内の路面電車あるいは地下鉄というようなものの結びつきをどういうふうにして行くべきか、こういうことも考えなければなりません。さらにまた、都市発展の将来の状況によつては、一体路面電車というものをいつまで都心、繁華な雑沓の地に残しておくかというようなことも、われわれが大きな理想を持つて東京都の発展を望む以上には、これも考えて行かなければならないと思うのであります。おそらく路面電車が前世紀の遺物ということになるのは、近い将来ではなかろうかとも考えられるのであります。従つて地下鉄ということが大きくクローズ・アツプされて、ここに重点を置かなければならず、そうしてこれと東京近郊都市発展伴つてバス電車等連絡考え、そうして国鉄結び合せをつけて行く。しかもそれは東京都の都市計画と密接なる関係を持たなければならぬ。こういうことであろうと、大づかみに考えるのであります。しかもこれは資金計画なくして、白紙に図面を書くようなわけにも参らないのであります。さらにまた東京都の中でも、一体どういう所がビジネス・センターとなり、経済中心となつて将来発展するか、商店街となつて行くであろうか、どういう方面が住宅街として伸びて行くであろうか、官庁街として適当であろうか、こういうものも交通の点から考えて行きますと大きく考慮に入れなければならないかと思うのであります。  大体そういうふうなことを考えて参りますと、これは今日、運輸省中心としてある機関だけでは、一体そういう大規模の交通整備についての計画案を立て得るやいなやということについては、不十分ではないかというふうな考えを持つのであります。私は今日まだその構想を立てる段階にまで入つておりません。これはどうしたものだろうかという方向だけでありますけれども、これは何らかの方途を講じて、早いうちに大体の計画を立てて進むべきではなかろうか、こういうことを考えておる程度であります。これは関東大震災の後に復興院総裁でございましたか、東京市市長としてでございました後藤平伯が、大きな計画を立てておられたことも、貴重なる参考資料として顧みる必要があるのじやなかろうか、こういうふうに考えるのであります。
  20. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 本会議が開かれますので、この際休憩いたします。     午後二時四十分休憩      ————◇—————     午後三時六分開議
  21. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。
  22. 滿尾君亮

    滿尾委員 先ほどに引続きまして、もう一言、二言お尋ね申し上げたいのであります。大臣の御答弁によりまして、いろいろの御意見がよくわかつたのでありますが、結局戰前交通調整法は、今日の情勢に照してそのまま使えない、それもおつしやる通りであります。使うとすれば、適当な修正を加えなければならぬことは、よくわかるのであります。ただ私が大臣にお聞きしたいことは、戰後客観情勢において、やはり交通調整を必要と感じておるのであるかどうか。ある段階において、これを理想として進める御意思があるのかどうかを聞きたい。実は私の見聞いたしまする範囲で推察いたしますと、東京都に頭をつつ込んでおる各地方鉄道は、いずれも都心に線を延ばしたい意向である。従来はこれらの鉄道の経営しているバス路線が、省線の環状線の外でとまつていた。いろいろなせんだつて来のいきさつで、バスだけは全部都心まで入つて来る。放射線状に入つて来た。それからかつて交通調整都営バスだけが独占しておつたという区域に入つて来て、そのかわりに都営もまた環状線の外へバスの線を延ばして行く。ギヴ・アンド・テークの政策で、相互でダブつて行くようになつた。その点から都民のバス交通による利便が非常に増し、また利用の程度も高くなつたという、著しい一つの結果が現われたわけであります。しかしながらこれは従来の交通調整の理念からいたしますと、この原則を破つたにすぎない。ところが鉄道に関しましても、同じように各線は都心までずつと延ばしたい意向がありありと感知できる。あるものはそれを地下に入れたいと考えているに違いない。これらの情勢に対しまして、かつて大臣は、ロンドンの交通局のようなものをつくつて、一元的にこの東京都の交通計画をやりたいという考えを持つていたように私ども感ずるのであります。今後においても、そういうような理想を描いておられるのであるかどうか。もし描いておるとすれば、そこに至るにはいろいろなプロセスがある。幸いにして東京都につきましては、首都建設法のごときもすでに通過しておりますから、運輸大臣とされましては、これらの問題について基本的に抜本的な一つの理念をお持ちになつて構想をお立てにならなければならぬ。実現にはいろいろ道行きがあろうと思いますけれども、何らかの政策がなくては、政策の貧困を嘆かざるを得ないと思うのであります。実は事務官僚の諸君とは、私は年来の友人関係にありますから、折々意見をたたいておるのでありますけれども、遺憾ながらその間において、確固たる研究をしておらないように思う。手をあげておられるように思う、と言つてははなはだ失礼でありますけれども、率直に申してそういう感じを持つておるのであります。これでは運輸大臣としては政策がないにもひとしいじやないか。これについては、私は少くとも一つの目標を得たいと思う。その目標に至る一つの道程として、今回の地下鉄発展がある。全体の計画の一部をなしておる。その段階段階における実現の方途であるというぐあいに持つてつていただきたいと思うのである。その理想案が今ただちにできるということを、私は注文申し上げておるのではない。少くともその理想案を構成する、つくり上げるには、しからばどうすればいいか。あるいは適当な委員会をおつくりになつて、御研究されるのもよかろう。何らかそういう理念を持つて理想実現への一歩々々として、今回のような法案の御提案があるべきじやないか。その構想なくして、具体的な一つ一つをその都度解決して行くのでは、目標を見失つてしまうおそれがある。東京は世界の大都市でありまして、現在のように横へ横へと広がつて行く形というものは、まことに望ましくない形態である。従つて首都建設法とにらみ合せて、運輸大臣としては、この東京交通全体をどんなかつこうにまとめるのか、あるいはまとめるのはいかぬのだ、群雄割拠で、それぞれの覇を競わしめるのがいいというのか。この結論でも私はさしつかえないと思う。いずれにせよはつきりした政策をお持ちになつて、そのプロセスとしてわれわれはそれの相談にあずかつて行きたい、かように考えます。私がわざわざ大臣に御出馬を煩わしまして御質問を申し上げる真意は、そこにあるのであります。
  23. 山崎猛

    山崎国務大臣 まことにごもつともな御意見を中心としたるお尋ねであります。御意見全然御同感であります、これは先刻も申し上げました通り、引続いてあの前提のもとに申し上げるのでありますが、運輸省だけで考えるということでなしに、建設省、都あるいは国有鉄道、これらを十分含めたる広い働きのできる委員会でなければならぬ。しかも衆知を集めなければならぬ。鉄道技術だけでもいけないと思います。経済も、教育の面も、社会政策の面も多様に含まれたる経験知識を集めて、そういうものをつくつて行かなければ相ならないかと思うのであります。先刻はまだ構想という断言はできないが、私一人の胸の中に持つているという程度に、実は内輪にお答えいたしたのでありますけれども、ただいま滿尾委員から、もつと掘り下げてとの突き進んだお尋ねでありまするので、今度の議会でも済みましたならば、十分運輸省の事務当局を鞭撻しまして、一応の腹案をつくり、今申し上げたような建設省、東京都あるいは東京の経験知識者、経済界等にも諮つて、ロンドンにも、パリーにも、ニユーヨークにも負けない東京都の交通調整をやる方針を立てて、その一貫した方針のもとに、あらゆる交通網を集めて行かなければならないかと思うのであります。ロンドンにしても、パリーにしても、どれほど進んでおつても、これは古い計画であつたのには間違いないのであります。われわれは白紙で、東京都を中心としたる交通調整をやるというような方向で行かなければならぬかと思うのであります。最近には大阪におきましても、御承知通り交通調整では府、市等が相当の苦心をしておるようであります。これらも大きな材料になると考えておるのであります。そういう意味でひとつこの議会後に、その方向にまつすぐに進んで行き、あらためて御協賛を願い、御協力を願いたい、こう思う次第であります。
  24. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 本日はこれにて散会し、明日午前十時半より開会いたします。     午後三時十六分散会      ————◇—————     〔参照〕  モーターボート競走法案神田博君外四十九名提出)に関する報告書     〔都合により別冊附録に掲載〕