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1951-03-28 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十八日(水曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       片岡伊三郎君    黒澤富次郎君       玉置 信一君    畠山 鶴吉君       前田 正男君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    柳原 三郎君       川島 金次君    山口シヅエ君       江崎 一治君    飯田 義茂君  出席政府委員         法制意見長官  佐藤 達夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  唐澤  勲君  委員外出席者         議     員 井手 光治君         参議院議員   岡田 信次君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部財務課         長)      三木 晴雄君         参  考  人         (京成電鉄株式         会社専務取締         役)      大山 秀雄君         参  考  人         (東武鉄道株式         会社専務取締         役)      工藤 義男君         参  考  人         (西武鉄道株式         会社常務取締         役)      小高 義一君         参  考  人         (東京急行電鉄         株式会社社長) 鈴木 幸七君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団総裁)  鈴木 清秀君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 三月二十八日  委員原彪君及び中原健次君辞任につき、その補  欠として柳原三郎君及び石野久男君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 三月二十七日  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案前田  郁君外一名提出衆法第二九号)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案淺沼  稻次郎君外四十四名提出衆法第三〇号)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案  (原彪君外二名提出衆法第一三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員長補欠選任  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案前田  郁君外二名提出衆法第二九号)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案淺沼  稻次郎君外四十四名提出衆法第三〇号)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案原彪  君外一名提出衆法第三一号)  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案  (参議院提出参法第八号)     —————————————
  2. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これより会議を開きます。  委員長不在でありますので、私が委員長の職務を行います。  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案を議題とし、審議を進めます。まず本案につき、先日の委員会において決定いたしました参考人より意見を聴取いたします。  この際委員長より参考人に一言申し上げます。本日御出席願いましたのは、現在本委員会において審議いたしております帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案につき、営団側及び本法により資金を排除される側より御意見を伺い、本委員会審議参考の資に供するためであります。各参考人におかれては、その立場々々より腹蔵なき御意見をお述べいただきたいのであります。  なお念のため各参考人に申し上げますが、衆議院規則の定めるところにより、発言委員長の許可を受くることになつております。また参考人意見は、聞こうとする事件範囲を越えてはならぬことになつておりますから、御承知おきください。本日は御多忙の中を貴重なる時間をさいて出席いただき、委員長として厚く御礼を申し上げます。  これより意見を聴取いたします。京成電鉄株式会社専務大山秀雄君にお願いいたします。
  3. 大山秀雄

    大山参考人 京成電鉄大山でございます。ただいまお尋ねの、営団出資買入れ消却についての意見ということでございますが、結論を申し上げますと、私ども異存はございません。元来営団に社として出資いたしております趣旨は、結局地下鉄発展建設のために協力申し上げたいという趣旨に出ておるのであります。承るところによりますと、大体今回の改正によりまして非常に資金の面が得やすくなる著しい点は、見返り資金が入るとか、あるいは預金部資金が入り得る道が開かれるということにあるのであります。そのために組織をすつきりした形にせられるということで発足しておるのでありますから、協力趣旨が達成せられることによつて、私ども出資が買入れ消却されるということであるならば、何らさしつかえないというふうに考えております。また一面今後非常に多くの建設をされるのでありましようから、厖大なる資金を要するのであります。そういう場合に、もちろん協力を続けるべきではありますが、会社といたしましても、いろいろ困難な場面も出て来ると思うのであります。今後必ず出資を続けることができるか、出資を増して行くことができるかどうかということについても、多少の心配は持つておるのであります。そういう点から見ましても、買入れ等について特に異議を述べる必要はないと思うのであります。ただ今後社といたしましてもいろいろの計画があり、営団に御協力を願わねばならぬ、われわれも協力しなければならぬ場合が起ると思うのでありますが、そういう問題につきましては、もちろん株を持つておるか持つておらないかということが要点ではないのでありまして、お互い話合いによりまして十分そういう自的を達成する道があると思うのであります。かれこれ考えまして、出資の買入れ消却については、私といたしましては何らの異存はございません。
  4. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次に東武鉄道株式会社専務工藤義男君にお願いいたします。
  5. 工藤義男

    工藤参考人 東武鉄道工藤義男でございます。本法律の一部改正法律案につきましては、東武鉄道といたしましては何ら異存はございません。
  6. 大澤嘉平治

  7. 小高義一

    小高参考人 西武鉄道小高義一であります。前二社の申し上げた通りであります。私らの方もこの出資については、別に好んでやつたのではなくて、これはたしか帝都交通調整法でしたか、あのときに生れたことで、言いかえればお義理みたいなもので出資したわけでありまして、別に出資したことに対してえらい希望を持つてつたわけではありませんから、この際これを買い上げられることは何ら痛痒を感じないのであります。ただこれに附帯して問題になるのは、前の交通調整法が現存しておるように心得ておるのでありまして、この交通調整法範囲内において運営されるならばよろしいのですが、これが東京都の区ということになりますと、これはえらい問題になつて来ると思う。これは別の問題かもしれませんが、発言権のない出資でありますから、もしこれが普通の株式会社のように発言権のある出資でありますならば、これは権利を留保しておいて、そういうふうに西武が侵害される、たとえて申しますと、今池袋まで工事をされるようでありますが、池袋からさらに入つて行つて練馬まで参り、西武主要幹線に入つて来られるということになりますと、これはちよつと問題になつて来ると思う。そういう場合には出資しておいて株主としての発言どもしたいのでありますが、もともと発言権なき株の出資でありますから、今回の問題には何ら異議はございません。
  8. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次は東京急行電鉄株式会社社長鈴木幸七君にお願いいたします。
  9. 鈴木幸七

    鈴木(幸)参考人 東京急行鈴木でございます。この法案の一部改正については、前三者の申し上げた通り異存はございませんが、ただわれわれの方で出資しておつたのは、高速度鉄道株式を持つてつた関係で、しておつたと思います。いわゆる渋谷新宿間の地方鉄道建設当時の株式が、そのまま出資にかわつたのだと思います。もちろんそんな関係から、今後地下鉄がたくさんできました場合に、たとえば私の方で申しますと、玉川線を専用化して交通営団路線に乗り入れてもいいような場合に、相当協力をお願いしたいというような考えを持つております。さらにまたわれわれの方でも高速度網——地下鉄網以外にいろいろな収支経理関係上、各線から都心乗入れ地下鉄計画しておりますので、この点に対しましても御協力願えれば非常に幸いだと思います。本案に対しては賛成をいたします。
  10. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次は帝都高速度交通営団総裁鈴木清秀君にお願いいたします。
  11. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 私は帝都高速度交通営団鈴木であります。私が意見を申し上げまするのは、この郊外電鉄出資証券の買入れ消却のことだけではないと思います。少し横道に入りますが、申し上げます。このたび池袋神田間の高速度交通機関を敷設するのでありまするが、これは今日都心に対して放射線がない。ことに池袋発展目ざましきものがあり、山手線及び中央線交通が非常に混雑しておるように考えまして、この路線を選んでやつたのであります。しかしてこの工事は、利子と合せて四十八億二千万円、三箇年間に完成するのでありますが、この厖大資金獲得することはなかなかたいへんなことであります。これは過去の歴史を見ますると、すぐわかるのであります。東京地下鉄道は浅草から新橋まで着手して、資金のために十年間かかりました。しかもこの地下鉄道新橋から品川へ行く免許権を持つてつたのでありますが、資金難のために工事に着手できなかつたのであります。大正十四年に地下鉄道網ができまして、この地下鉄株式会社以外の路線は、東京市が持つてつたのであります。しかしながら東京市は行政上における支出が多いために、この地下鉄道建設資金上できませんで、二十数年間一線も敷設しなかつたのであります。それで東京高速度鉄道がその一部の讓渡を受けまして、渋谷新橋間を敷設いたしましたが、新宿、築地間の路線はやはり資金難で敷設できませんでした。前申し上げました東京地下鉄は、この際札の辻、五反田の線を東京市側から讓渡を受けたのでありますが、これも資金難のために敷設できなかつたのであります。こういうふうにして地下鉄道建設というものは、その後における収支状態が非常にむずかしいために、なかなか資金が求められませんので、建設ができなかつたのであります。しかしながら都市生活におきまして、高速度交通網の完備は非常に必要なのでありまするから、何とかしてこの地下鉄網完成をしたい。こういうので高速度交通営団というような特殊機関によつて敷設するのがよろしいという議がまとまつて本営団が設置されたのであります。戦争中わずかに赤坂、四谷見附間の一部を着手しましたが、戦争たけなわにして中止いたしました。ようやく戦後、早くこれを設置するようにという声がだんだんと起つて参りまして、このたびこの路線は四十八億三千万円かけて敷設するのであります。東京都民のためにこれは大きな問題であり、そうして将来における東京高速度鉄道網完成のために、大きな先がけをなすものと私は考えるのであります。そういう際におきまして、この資金獲得というものは、結局見返り資金という呼び水があり、預金部資金の運用があり、交通営団の業績のいいことによつて金融業者の信用があつて民間交通債券の発行ができる、こういうことによつて初めて資金調達ができ、完成せられるものだと私は考えるものであります。そういうことを考えますると、それのために現在の法律を一部改正するのはやむなき事情であると思い、従来の公共性をもつとはつきりした筋にもどす本法律は、営団としてはまことに当を得た法律案だと思つております。郊外電車株式の買入れ消却も、そういう資金調達の面から、従来からずいぶん営団は御恩義にあずかつておるのでありますが、資金獲得上買入れ消却することが必要であるのでありますから、われわれは郊外電車と御協議申し上げて、適当の時期にこの買入れ消却をいたしたいと思います。そういうわけでありまするから、帝都高速度交通営団法改正に対しましては、営団といたしまして何かの異議はないのであります。
  12. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 参考人に対する質疑があれば、これを許します。前田正男君。
  13. 前田正男

    前田(正)委員 私は、参考人はいろいろ時間等の関係もあるそうでありますので、鈴木営団総裁に対する質問は、他の参考人に対する各委員質問が終りましてからさせていただくことにしまして、各参考人の方に質問をいたします。  まず第一に、おいで願いました民間出資をされておる方たちは、従来の営団評議員になつてつたか、その点聞かせていただきたい。これはどなたからでもけつこうであります。
  14. 大山秀雄

    大山参考人 評議員は、たしか一人順番になつております。あとはただ出資者という名儀になつてつたのであります。
  15. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと皆さん営団との協力とか、あるいは連繋とか、いろいろな問題についての営団に対する発言というものは、営団の中において、出資者として発言する権利はないということになりますと、評議員として代表された方々からいろいろと申し出られておつたのか、あるいは従来ただ個々にやつておられたのであるか、その点をどういうふうにおやりになつてつたか伺いたい。
  16. 大山秀雄

    大山参考人 京成といたしましては、評議員なつたことはまだないので、お答えしにくいのでありますが、結局評議員になつておられる場合には、営団全体のことについての意見を述べられるのであつて、自然その中に関係のないことも述べられた場合があるかどうか知りませんが、たしか出資者総会というものは報告を受けるという建前であつたと思います。従つていろいろの連絡とか意見を述べるとかいうようなことは、営団会社という立場においてやつている場合が多かつたのではないか、かように考えております。
  17. 前田正男

    前田(正)委員 そこで今回この営団見返り資金及び預金部資金を借り入れることになりまして、相当政府財政資金を使いまして、急速に今後発展するとわれわれは考えておるのでありますが、東京都におきまする区も含めましたところの全体の交通のあり方というものは、相当ここに変化して来るのではないかと思うのであります、いわゆる国鉄省線及び営団民間資本私鉄並びに東京都の交通網、こういうものがあるわけでありますけれども、この機会に、営団民間資本を排除いたしまして政府資金を使うということになると、今後の発展は期して見るべきものがあると私は考えるのでありますが、そのときに皆さん民間関係の方のいろいろな事業に相当の影響を及ぼすのではないか。先ほどの小高さんの発言にも、また鈴木さんの発言にも、今後の協力とかいろいろの問題についての関連があるようなお話もあつたのですが、われわれはこの点について非常に疑問を持つておるのであります。そこで皆さんは、将来そういつた民間資本営団との対立という問題が出て来ました場合において、この株を離すことには異存がないというお話でありますけれども、それでははたしてその間の連絡をどういう方法——単に監督官庁である運輸大臣の決裁だけでもつて皆さんはお話合いを進めて行かれるおつもりであるのか、それについてのお考えを御説明願いたい。
  18. 大山秀雄

    大山参考人 ただいまお話の点についてでありますが、各社は山手線の一つの線を突破して都内に乗り入れたい、あるいはどこかで連絡したいとか、いろいろの希望を持つております。現に出願いたしておるところもあるのでありまして、その間営団計画私鉄計画は、必ずしも利害一致しないものが起り得るかとも思います。しかしこれは東京都の交通をなるべく早く充実建設するという建前からいたしますならば、会社もやるのがよろしいし、営団も大いに拡張してくださるのがよろしい。要するに営団も今や建設に対して本腰に乗り出されたのでありまするが、何しろ都市計画自体において、相当古いものではないかと私は考えております。ことに戦後の大変動のあつた今日におきましては、あらためて営団私鉄国鉄、すべてのものが計画を持ち寄つて、新たに東京都及びその付近の交通はかくあるべきものである、またそれを達成するのにはどういう分担をしたがよろしいかというような根本計画を検討せられまして、どういう機関が適当か知りませんが、そういう新計画によつて、新たな協力のもとに東京都の交通を整備すべきである、かように考えておるのであります。そういう考え方からいたしますと、おのずから地下鉄の持分があり、私鉄協力すべき分野があり、都のやる部分があり、国鉄の拡充する場面もある、こういうふうに考えます。これをいたしますのについて、出資をしておるかどうかということは、私は極端にいえば別個の問題ではないか。出資があるなしということと、ただいまの計画を実現することとは、おのずから異なる角度から考え得るのであつて出資がなくてもお互い関係でありますので、十分話し合える部分もあるし、またわれわれではなくて、もつと大きな見地から計画をきめられて、その分野を定められる場合がある、こういうふうに私は考えます。
  19. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話で、将来の東京都の交通に対する非常にはつきりした御意見を伺いまして、非常にけつこうだと存ずるのでありますが、この東京都の将来の交通の問題につきましては、もう少し大局的に別の観点から考えて行く必要が、確かにあると思うのであります。ただここで高速度交通営団というものは、ある程度民間出資の入つた半官半民式営団であつたわけでありますけれども、今回純粋に民間資本を除いたものになるそうでありますから、今後は省線及び営団というものは、民間側私鉄のいろいろな発言あるいはまた今後の御計画に対して、相当の問題が出て来ると私は感ずるのであります。その辺について、高速度営団が強力な態勢で進んで行くということに対して、何ら心配がないということで、あれば、非常にけつこうだと思いますけれども、私は非常に疑問を持つておるのであります、なおこの機会に、小高さん及び鈴木さんから先ほど御意見がありましたが、いろいろ利害の相反する問題あるいは協力等の問題について、具体的にどういうふうな方法でこれを調整して行つかたらいかということについてお考えをお持ちでありましたら、そのこともお話願いたい。われわれも今後、東京都の交通網に対しまして検討しなければならぬ機会があると思いますので、そういう点がおありでありましたら鈴木さんからお話を願いたい、またその他の参考人からも御意見を承りたいと思います。
  20. 小高義一

    小高参考人 ただいまいろいろ私らがふだん考え、また心配しておるようなことをおつしやつていただいてありがたいわけなんですが帝都交通調整法というようなものが昭和十六年かにできまして、それにわれわれ私鉄は規制されておつたのであります。ところがいつの間にか、法律は現存しておりながら全然無視されておるような——これは時代が違いますから、適当にかわつた形において改められることはいいのでありまするが、何だか免許でも申請でも、それらがまつた混乱状態に陥りつつあるように思う。それで今度の私鉄の投資を買い上げられるということも、先ほど申し上げましたように、きわめて虚心担懐にこれは何でもないのでありまするけれども、ただ西武としますと、池袋へ今度出て来られる。さらに交通調整法によりますると、大体旧東京市内山手線に限定されている。それが東京都の区に延長されるということになると、各私鉄の主要な線と交通営団が競合という形になつて、非常に重大な問題になる。それとこれと結び合せて、非常な不安にかられる。これは経営者のみならず、全従業員がそういう感を持つておりますから、何とか調整審議会——これは法律においてはあるようですが、委員の方は一人もおられないということを承つております。こういうものをひとつ確立されて、しかと審議くださつて、ただいま大山さんの言われたような、りつぱな調整のできまするように希望いたす次第であります。
  21. 玉置信一

    玉置(信)委員 大山参考人にお伺いいたします。先ほど前田委員の御質問に対して、交通政策ともいうべき大所高所からの卓越せる御意見を拝聴いたしまして、私ども法案審議に非常に参考になり、この点感謝申し上げます。そこでお伺いいたしたいことは、もとより今回問題となつておりまする池袋神田間の地下鉄敷設の問題は、主として都内の足の不足を強化充足させるための計画でありまするが、しかし国全体から考えますと大きな経済につながる問題でありまして、そうした点から考えますと、大山さんのおつしやつたように出資のあるなしにかかわらず、またさらにこれを飛躍して考えますと、その経営主体赤字になつて、どんどん赤字ばかり続けて参りましようとも、国全体の開発の点からいつて、そうあるべきであろうというようなことも私考えておるのであります。しかしこの営団に今日まで出資されました出資者として、先ほど伺いますと発言権評議員立場のものだけがあつて、他の出資者に対しては発言権がなかつた、単なる報告だけを受けておつたというようなお話でありますが、昭和二十五年九月三十日現在の帝都高速度交通営団財務諸表によりますと、黒字が二百万以上出ておりますからよいのでありますが、逆にこれが赤字になつても、出資者側としては報告を黙つて聞いて、俗にいえば泣寝入りしておつてもよいのだというような組織の形態で、今日まで運営されて来たものであるかどうか、この点をお伺いいたします。     〔大澤委員長代理退席委員長着席
  22. 大山秀雄

    大山参考人 それはもちろん報告を受けるということは、それに付随しての質問の権限はあると思います。けれども特にそう大した質問も実際においてはなかつたのでありますが、黒字云云ということに関連して申上げたいのは、この出資金に対する利益配当は、勅令で定めていただいて六分になつておるのです。今の時勢として、どうせ会社出資するというのは、一割見当の金を借りているわけです。六分以上の配当がないということになりますと、今後厖大資金を要する場合に増資をどうか持つてくれとか、あるいはもつとうんと持つてくれと言われても、これは限度があると思うのです。六分では、とにかく黒の数字がどの程度であろうとも、今は限定されておりますから、そういう点ははなはだ困るということが言える。御質問趣旨にピントが合つていないかもしらぬが、お答えいたします。
  23. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は今後単に大都会ばかりでなく、前段申し上げましたように日本経済自立再建見地からして、交通網というものは、多少当初黒字になりましても、国家はある程度これに財政資金を投下いたしてやるべきであるという根本理念立場から申し上げたので、従つて黒字の場合は問題はないが、赤字になつて出資者側としては文句なしに協力して行けるものである、あるいは行けないものであるということについて、今日までどういうようなお考えを持つて出資されて来たか、こういう点をお伺いしたわけです。
  24. 大山秀雄

    大山参考人 ただいままでのところは拂込み金額も少いのでありまして、赤字黒字ということは大した問題になりません。しかしこれを持ち続けて、資金の需要が厖大になつて来たときに、それと同じパーセンテージでこれがふえて行くということになりますと、黒字赤字ということは、会社自身にとつて非常に重大な問題になります。そういう場合には、赤字であつては実際会社は持てないということになると思います。
  25. 玉置信一

    玉置(信)委員 今日まで民間出資者側は、合計してどのくらいの額を出資されて来たのですか。
  26. 大山秀雄

    大山参考人 たしか民間側は六千万円のうちの一千万円だと思います。それで百円について三十二円五十銭拂込みだつたと思いますから、三百二十五万円、それだけです。
  27. 玉置信一

    玉置(信)委員 定款によりますと、百円の出資——普通会社であれば株式ですが、それに対して二十五円拂の込みで……。
  28. 大山秀雄

    大山参考人 三十二円五十銭の拂込みです。
  29. 玉置信一

    玉置(信)委員 そうしますと全額に行つてないわけですね、四分の三ぐらい……
  30. 大山秀雄

    大山参考人 三分の一以下です。
  31. 玉置信一

    玉置(信)委員 なおこれは、この次に法律改正になつて営団が運営される場合の運営上の点からちよつとお聞きしておきますが、株式手形は、今日の商法においては御存じの通り、満株でなければ発行できないのですが、この点は政府側にお伺いしますが、どういうことになりますか。営団の場合は、株式会社のように全額拂込みでなくても、やつて行ける組織になつているわけでございますか、どうですか。
  32. 唐澤勲

    唐澤政府委員 これはこの営団法案によつて特別にきめられておりますので、商法のように満株でなくてもいいことになつております。今度の新線建設計画によりまして、国有鉄道あるいは東京都等については、拂込みをしてもらうことに進めておりますし、今後の増資も計画しております。
  33. 前田郁

    前田委員長 この際お諮りいたします。本法案につき、議員井手光治君より委員外発言を求められておりますので、これを許すに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。井手光治君。
  35. 井手光治

    ○井手光治君 お許しをいただきまして、委員外でございますが、私は地元の関係で一言出費者各位に御質問したいと思います。  ただいまお話を伺つておりますと、先ほども小高さんの発言の中に、帝都の交通網に対する総合的な計画というものがあつて、その間に官公私企業間の調整をはかる必要があるのじやないかということを痛感するという御意見があつたのであります。それに対する従来の法律的運用がまつたく死んでしまつた、生きておらない、そのためにいろいろ各私企業間その他営団関係等の企業間の問題に、いろいろ意見の食い違いが生ずるという御意見がありましたが、私はその基本的な考え方から推しまして、ただいままでの話の経過を聞いておりますと、わずかながら営団出資金の一部を——皆さんの御負担になつておる金額はわずかでありますが、今日の商法関係からいいますと、一株の株主といえども会社の経営上の発言権があることは、今日の会社法の認めるところであります。従いましてわずか出資をする一本のルートによつて、ある程度の正式な発言でなくても、意見の開陳その他によつて、つまり私企業間の意見が反映される道が今日まで開かれておると思います。ところが今日法律によつて、明らかに従来の出資政府資金の方に肩がわりをしてしまうということになると、わずかにつながれておつた従来の血脈が全然断たれてしまつて、そして別途な機関の意思を通さなければ、何ら自分たちの意思表示もできないという、基本的な面が全然相殺されてしまうという結果になります。その事柄に対するあなた方の御希望と、この株を全部転換してもいいという御意見とに、基本的な考え方に食い違いがあるように思うのですが、この点についての意見をひとつ伺つておきたい。
  36. 小高義一

    小高参考人 ただいまのきわめて御懇切なお話でございましたが、西武といたしましては、営団出資してありまするものは、言いかえればおつきあいといいますか、協力といいますか、そういうものでございましたのですから、これをこの際買い上げられることは、大きな意味から言つてさしつかえないのであります。別にこれに対する異議等はございません。ただ帝都交通調整法という法律が生きておるにかかわらず、これがかなり死んだもののようになつておりまするから、これを生かすようにしていただいて、たとえば営団池袋進出、さらに東京都の区内ならどこでもよろしいということになると、遠く練馬、私の方で言いますと主要な幹線の方を侵される、こういうことに一沫の不安も感じますから、この買上げに対して反対するのではございませんが、この機会に何とかこういうものに対して安心のできる御措置を願いたいというのでありまして、根本出資に対する買上げに対して、反対するのではございません。ちよつとわき道にそれておるようでありますが、そういう趣旨にほかならないのであります。
  37. 井手光治

    ○井手光治君 ただいま玉置委員から御発言がありましたように、これは金額の点で一千万円のうち現実は三百二十五万円である。今日の営団出資額から見て微々たるものであつて、金額の点から言つても、山資を買い上げされるということについては問題がないということは、私どもうなずかれる。この程度のものでどうだということは、お考えになつておられないと思う。しかしただいま言つたように、現実の法律の事情が相殺困難であるから、そこに何か民間企業とのつながりが足がかりをあなた方が多少持つということが、私は全体の交通網の操作面から言つて、むしろ将来の運営計画その他に対する発言その他についても、私は有力な足がかりになるのじやないかという考え方を持つております。それをとつてしまつて、何らか別途に考えてくれというような御意見のようであります。これは技術的、法律的にむずかしい。またこういうことが今日この法律案の内容に示されておらない。そこで私は発言しておるのですが、私は政府出資も決して反対するのではございません。これは必要によりやらなければならぬ。これはあとで御質問申し上げますが、それらのことも強化しながら、一面また民間の企業とのつながりをもう一歩進めておいた方が、むしろいいのじやないかという考えを持つておる。わずかなものであるから切り捨てていいという考え方を持たないで、もう少しつつ込んで協力態勢をとりながら、従来の計画操作面の発言力を持ち得るような、民間企業の意見を十分に反映できる態勢をあわせて行つた方が、将来の企業面においてよろしいのじやないか、こういう考えを持つておりますが、その点に対する御意見を伺いたい。  もう一つ、従来の交通調整法が死んでおるという御意見、ごもつともでありますが、御承知の通り去る第七国会におきまして、東京都のあらゆる建設交通面に対する総合的な調整をいたしまするために、首都建設法という特別法が国会を通過して、すでに実施に人つておるのであります。最近衆参両議院が任命されますと、国会議員もその委員に参加いたしまして、東京都の総合的な計画というものをこしらえ、そしてそれらの調整に対しまする案ができましたならば、関係機関に対して勧告をなしますと同時に、国家もこれに協力をしなければならぬという、強力な法律上の裏づけがある。従つてそれらの総合的計画につきましては、今出発をいたしておりまする首都建設委員会にこの問題を持ち込みまして、そして交通その他の調整を、全般的な総合計画に対する十二分の皆さんの御意見を反映するように、私ども考えておるのであります。これらの御意思があるかどうか、またこれらに対する連絡その他について、私ども必要があるならばごあつせんいたしたい。それらについて基本的な運営計画を全然無視して、一方的にこういう計画をどんどん進めるということについても、われわれ法律をつくつた建前から言つて、若干の考え方を持つておるのでありますが、あなた方はこれらに対してどういう考え方を持つておられるか。この二点を伺つて、私の関係者に対する御質問を終ります。
  38. 大山秀雄

    大山参考人 たびたび申し上げますように、都の交通機関が完備いたしますことは、最も熱望するところでありまして、     〔委員長退席、大澤委員長代理着席〕 ただいまお話になりましたような、都の建設計画というようなものが御発足になるということでありまするので、われわれといたしましても、交通問題に対する基幹的計画に対しましては、十分発言機会を與えられ、相談に乗せていただくようにということを希望いたすことはもちろんであります。それから株を持つていた方が、発言力が少しでも多くていいじやないかというお話と承つたのでありますが、要するに地下鉄建設がほんとうに実行に移るのに、どちらが便利かということに結局は問題が帰着するのでありまして、その出資を買入れ消却することによつて資金面が非常に楽になつて来て、それがやがて都民の足を充足する近道であるということであるならば、出ておりますこの案通りに買入れ消却ということをやりまして、すつきりとした形において資金ができるようないろいろな方法を講ずるのが、究極において交通のためになるのだ、こういうふうに考えておるのであります。
  39. 玉置信一

    玉置(信)委員 出資者側にお伺いいたします。今回のこの帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案を起草するにあたりまして、政府ないしは営団側から何らかの交渉がありましたならば、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  40. 大山秀雄

    大山参考人 別に十分ではございませんが、どういう機会でありましたか、こういう法案が出るということは、一応御説明を聞いたような記憶がございますが……。
  41. 唐澤勲

    唐澤政府委員 運輸省としましては、この地下鉄網を一日も早く完成したいということで、かねがね考えておりました。幸いこの機会に、情勢も大分熟して参りましたので、この建設をぜひ促進したい、かように考えました。御承知のように交通営団運輸大臣の監督下にありますので、その建設あるいは監督の面については従来も実施しており、従つてこの建設については、運輸省としても計画なり何なりについて十分検討をして来ておるわけでございます。営団営団としまして、自己の使命にかんがみまして、その建設について計画を立てており、また運輸省は運輸省で監督をするということでございます。従いまして交通営団の方で新線の建設計画を出して参つたものに対しては、運輸省としましても認可をいたしまして、従つて資金の面につきましても、営団のこの新線建設ができますように、運輸省としても各方面でいろいろと助力をして参つております。そういう意味においては、営団と運輸省と常に関係を深く保つているということが申し上げられると思います。
  42. 前田正男

    前田(正)委員 ちよつと関連して伺います。出資者の方は、こういう法案が出るということを営団からか、運輸省からか、いつごろ聴取されたかということを聞きたいと思います。
  43. 大山秀雄

    大山参考人 ただいま時日をはつきり存じませんが、運輸次官からこういう法案が今度出るいとう大体の話を承りました。
  44. 前田正男

    前田(正)委員 今年に入つてからですか。
  45. 大山秀雄

    大山参考人 もちろんそうです。
  46. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 他に御質疑がなければ、私鉄関係の方々に対する質疑はこれをもちまして閉じたいと思います。  次に帝都高速度交通営団総裁鈴木清秀君に対しての質疑を許します。
  47. 前田正男

    前田(正)委員 私から総裁に質問すするにあたりまして、まず一言お話を申し上げたいと思うのでございます。実はこの間から私たちが質疑において申し上げておるのでありますが、われわれはこの神田池袋間の工事をすること及びこれを早く実行することについては、何ら反対の意思はないのでありまして、一日も早く完成されることを希望するのであります。この点、その方面に不断の努力をお願いしたいと思うのであります。しかしながらわれわれは国会、国家の最高機関といたしまして、また民主的に民意を反映する機関でありますので、各方面の意見等も聞く必要があると思うのでありますから、その点御了承願つておきたいと思います。  第一にお聞かせ願いたいことは、今回の工事計画を具体的に始められました時期であります。これをお聞かせ願いたいと思います。
  48. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 この工事を始めるにあたりましては、路線の選定が第一でございます。これは終戦後地下鉄計画協議会でもつて、大体この路線工事計画というものが進められておつたのであります。営団ひとりでこの路線をきめたのでなく、そういう方法できめました。それからそれに基いて、実際に工事計画をやりましたのは、約一年ぐらい前と思いますが、第一は資金の問題でございます。この資金の話を関係出庁等に交渉いたしましたのは、一昨年の冬ごろからだと思います。そうして見返り資金の閣議決定をいただきましたのが、私たち日もはつきり覚えておりませんけれども、大体昨年の一月、二月ごろであつた、こういうことであります。そうしてそれまでに大体工裏計画も予算もきめて、一応の本のはでき上つてつた、こういうことであります。
  49. 前田正男

    前田(正)委員 次にこの工事計画を立てられるにあたりましては、相当各方面の御意見を聞かれたことと思いますが、特に地元の方面とはどういうふうな御連絡をとつて来られましたか、それについてお話願います。
  50. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 私の方といたしましては、先ほど申しました戦災復興院の地下鉄計画協議会の工事計画に大体順応して、この工事計画を進めて参つたのであります。そしてその計画とそれに要する資材及び資金に関する交渉をいたしておりました。一般にわれわれ交通機関は、買収その他にかかる前には、地元と交渉しておらないのがあたりまえなものですから、別に交渉という交渉はいたしませんでした。しかしながらこの計画が表に現われて参りますに従つて、御陳情がありました。それでわれわれは御陳情の趣をずいぶん愼重に考究いたしました。     〔大澤委員長代理退席委員長着席〕 それですでに直しましたのは、多くは文京区方面でございますが、後楽園のスポーツ・センターのところを、初めは横切つている案でありましたが、それはそらしました。それから学校その他の用地にひつかかつておるものが相当ございましたが、これはできるだけなぶりました。またその他の点におきましても、ぐあいの悪い点を少しでも軽減いたしたいと思いまして、線路を少しなぶつたところもかなりあります。その後たびたび御陳情を伺いましたので、私の方といたしましては車庫用地その他について、できるだけ御迷惑をかけないような方法を考究しております。
  51. 前田正男

    前田(正)委員 そこでこれに関連しまして、政府の方でこの工事の認可を與えるにつきましては、いつごろから運輸省としては計画をせられ、いつごろ認可を與えられたのか、あるいはまたいつごろ公聴会や地元の人の陳情を聞いたかということについて、政府委員の方から伺いたい。
  52. 唐澤勲

    唐澤政府委員 この計画につきましては、ただいま営団の総裁からお話があつたように、路線の選定その他の計画路線についての具体的な工事計画につきましては、営団がこれをいたしまして、その認可申請をたしか十月だと思いますが、出して来たのであります。それで認可をしたのは、調べればわかりますが、たしか十一月の初めだと記憶しております。その認可いたしました経過につきましては、地元の方方の御陳情もございました。また全体の計画から見ますと妥当であるが、部分的に地元の陳情等についてももつともな点がありますので、これらをどう調整するかということについて営団の方へ言いまして、それらの点をできるだけ調節するようにということを申しました。そうしてていろいろと研究しておりましたが、細部にわたる若干の変更というような問題は、認可後におきましても修正ができますので、この工事計画は妥当なものである、かように思いまして、十一月の初め運輸省としては認可したわけであります。
  53. 前田正男

    前田(正)委員 政府委員に重ねて伺いたいのでありますが、地元の陳情を全部聞くことはいろいろの事情でできなかつたと思いますが、そのときに、これに対する補償の問題あるいは調節の問題について、認可を與える前に相当具体的な話合いをしたのか、あるいはまた営団との間に入つて、こういう部分について政府として何か確約されたのか、この点について質問いたします。
  54. 唐澤勲

    唐澤政府委員 この場合の補償その他につきまして、具体的にどうするのだというようなことを命じたことも、約束したこともございません。極力地元の要求を取入れられるように希望だけは申しております。
  55. 前田正男

    前田(正)委員 それで総裁の方とされましては、地元の方の意見と食い違う問題につきまして、いろいろと地元方の希望、あるいはまたそれに対する補償その他の問題があると思うのでありますが、これに対する補償その他について、地元とも相当話合いをされているのか、あるいはそれに対し何かお約束をされているのか、その点を伺いたい。
  56. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 それでは申し上げます。地元の方々からも御希望、御陳情がありますが、補償その他の点にまでまだ話が行つておりません。第一の問題は車庫用地の問題でございます。これを地元の方は、あそこはいわゆる文化人の住まわれる閑静な土地であるから、車庫をほかに持つてつてくれというお話がございました。しかしながらこれは私の方といたしますと、池袋神田間におきましてはあの通り横断道路が一本しかない、またあれだけの場所をとれるところはないのであります。また持つて行こうとすれば、池袋の外に持つて行かなければならない。これは先ほど西武さんの言われたように、まだ免許権を得ておりません。もらうまで相当の期間がかかると思いますし、あの池袋駅を横断して向うへ行くのには、かなり行かなければなりませんから、十億以上の金がいみと思います。これ以上の金をわが国の金融市場で調達することは困難でありますから、ぜひあそこに置かせてもらいたいということを御了承願うように、地元にお話しております。しかしながら私の方といたしましては、地元の御要求もありますので、初めは付属地までも入れて八千坪の予定でありましたが、五千坪くらいに縮小したい、これは客車運用上の不便はありますが、そのように縮小したいと考えております。  それから次には本郷三丁目附近でありますが、これはもう少し路下掘りを多くしてくれというお話でありましたので、初めのうちよりは路下掘りを多くするように技術的に研究しております。またその線路の上の家屋を移転させないで、工事をしてもらいたいというお話でありますが、この工事をやりますにあたつて、われわれは六十人ばかりの土木関係の専門の方、学界及び官庁関係、請負業者等の方に、地下鉄工事というものは非常にむつかしいものですから、工事方法をいろいろ諮問して伺つております。この中で、特に本郷の家を移す際において、どうしたらいいだろうかということについての一つの方法は、その近くの空地に家屋を移す、一つの方法は、動かして、それからまたもどす、一つの方法は、家屋をそのままにして押えてやる、この三つの方法がありますが、この三つの方法その他について特別委員会をつくつて研究していただいております。この方法が確定いたしましたら、なるべく地元の方に御迷惑のないような方法をとりたいと思つております。  それから一番問題になるのは地上線であります。これは地元の御要求は地下でやつてもらいたいということでありまして、地元の申されることは私もよくわかるのでありますが、これは技術的及び経済的になかなか困難な問題でありまして、われわれも愼重に考究したのでありますが、全線を地下にいたしますと、本郷三丁目のあたりを百階段ぐらい下げなくちやならない。そうして春日町を地下にして、それから茗荷谷にまわるのでありますが、そういうことをいたしますと百階段ぐらい下げ、後楽園のところを非常に深くしなければならず、厖大資金をこれに要します。それではとてもこの線路はキブ・アツプしなければならない。次に考えましたのは、春日町をともかく高架で渡つてそれから行く方法でありますが、ここから地下にくぐろうとしますと、後楽園のところを非常に深くして、なおあの安藤坂を三十分で下つて、それから三十分で上らなければならないのであります。三十分の勾配というと、電車区間においても運輸上かなりの安全率を落すことになります。その上両方が三十分の勾配でありますから、集水区域が非常に集まりまして、この安藤坂の低地に向つて水が集中されるのであります。これは前の地下鉄のときにも、水のためにはずいぶん悩まされたものでありますが、工事上こういう工法は技術的に非常に困難な、技術常識に反する主導だというので、われわれは地下線には御迷惑でもできない、こういうふうに考えております。また資金的に見ますと、四十八億三千万円のうち四十一億七千万円が実際の工事費で、三億六千万円は建設途中の間の利子です。こういう厖大なものでありまして、この厖大資金調達することは、並たいていのことではないのであります。先ほど地下鉄建設に対して、いかに苦心して工事完成されたかという過去の歴史を申し上げたのでありますが、この金を調達することはなかなかだと思います。それでもともかくこういう法律改正していただけば、今の営業状態から見ますと、これだけの収支はできると思います。こういう工事の技術士の問題から、戦災復興院の計画委員会でも、技師の方があすこを地上線となさつたと思うのであります。なお地下線にするために資金調達がかりにできたといたしましても、収支関係から、これはとてもペイしないのであります。ペイしないことよりも、それによつて起るのは、資金調達できないということ、もう一つは、前途の新宿線その他における地下鉄建設に、非常な暗影を投ずるということであります。簡単にお語いたしますれば、この新線によつてわれわれが得ます収入の五八%は、利子に拂われるのであります。現在線は先ほど申しました通りわずかに千九百五十万円でありますから、他は交通債券で、やはり借金でありますが、その借金はどのくらいかというと、収入の五%にすぎないのであります。それを今度だけの、いわゆる地上線を使つたものですら、利子だけで収入の五八%は飛んでしまう。それでも今の営団がよいからこれでやつとやれるのでありまして、しかも六分の配当がやつと辛うじてできるのであります。それからもう一つお考えくださればわかるのは、新線で五億七千ばかりの収入がありますが、その中で利子に三億三千六百万円ばかり沸う、税金に八千万円佛う、それで第一期の見返り資金の返済が千万円ある。それを沸うとあと一億三千万円しか残りません。今の旧線で収入がありますが、その方でこれに対応するものを見ますと、一億三千万円に対応するものは八億ぐらいあります。キロが倍ありますから、四億と見てよい。四億と一億二千万円とがちようど対応する数字であります。その一億二千万円でもつてつて行こうということは、営団としては新線が入ることは、ウイスキーに水がさされることであります。だから今までは四億であつたものを一億二千万円でやるのですから、かなりの水であります。しかし営団は営利会社ではない、これは市民のためにやるのだと私も言い、営団の従事員もやはりやりましようというわけでやつておるのです。そういうわけでありますから、ここにたとい資金調達できましても、技術的困難を冒して無理やりにやりましても——むろん不可能なことではありません。今の文明では不可能なことではないが、非常に困難だ。またできてから後のことにおいても、非常に運転の安全率は低下する。それを無理にやりましても、かりに五億かかると四千万円の利子であります。四千万円の利子は俘かびつこない。すると預金部から、この新線を建設するための金を貸してくれるかどうか疑問です。いわんや民間の金融業者から、そういう赤字状態において十億以上の金を借りて資金調達ができるかどうか、むずかしいと思う。そういうわけで、文京区の方々のおつしやることは私もよくうなずかれるのでありますが、まことに遺憾でありますが、この地上線を地下線にすることは、技術的、経済見地からがまんを願いたい。しかしながら、先ほど前田さんからお尋ねの補償の問題も、まだ交渉してはおりませんが、私は御迷惑をかけておるのでありますから、立ちのき及び引沸う方に対する補償には、誠意をもつて当るつもりであります。それからこの地上になるために起る弊害は、できるだけ除去しなければならぬことについては、私たちも沿線の方のお気持はよくわかりますから、できるだけいたします。そうして沿線の方々に御迷惑をかける点について、何というか筋の通つた理由で何らかの償いと申しますか、お見舞いと申しますか、そういういい方法はないか。これはまだ案はできておりませんが、公共事業が、直接に関係ないものにそういうことをするのは、よほどの理由がないと、われわれの方は半分は役所みたいなものですから、なかなかむずかしいのでありますが、そういう筋の通つたいい理由はないものかということで、今研究させております。そうして何かと御迷惑をかける点はよく了承しておりますが、私は地下鉄全般が早くできて、そうしてこの地下鉄がうまく行けば、次の新宿線もでき、他の地下鉄もできる。こう思います。ところがこれが蹉跌いたしますれば、前申した通りまた長い年月東京においてはなかなかできるものではないと思う。そうかといつて、沿線の方に御迷惑をかけることは、私としても非常に相済まないと思いますが、できるだけのことはいたしたい、こう考えております。
  57. 前田正男

    前田(正)委員 工事の内容及び補償の問題につきましては、まだまだ私も意見があるのでありますが、他の委員からも御質問があると思いますし、時間もありませんので、この問題につきましては他の委員の方にお譲りすることにいたしまして、私はこれに伴いまして今回の法律の問題について、少しく御意見を伺つておきたいと思います。  まず政府は、十一月の初めにこれの認可を與えるということであつたそうでありますが、見返り資金預金部資金のお見通しは、その認可を與える前にあつたのかどうか、この点について政府委員お話をお聞かせ願いたいと思います。
  58. 唐澤勲

    唐澤政府委員 見返り資金については、その前に大体見通しがついておりました。預金部資金関係につきましては、具体的にわくをとるというところまではまだ行つておりません。
  59. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、今度は預金部資金の現在の状況でありますが、われわれの聞いておる範囲におきましては、預金部資金運用の本年度の予算の中には、高速度交通営団というものはどうも明記していないように思うのでありますが、国鉄の借入金あるいはその他のところから出すのですか。二十六年度の予算の方にはそれはどういうふうになつておるのか、その点を政府委員から御説明願いたい。
  60. 三木晴雄

    ○三木説明員 お答えいたします。二十六年度の資金運用部資金は、御承知だと思いますが、総額千五百五十億の歳入歳出になつております。歳出予定といたしましては、国鉄、電通、地方債、金融債、これが歳出のム全部でございまして、残り四百億余りが明年度への繰越しになつております。この歳出の総額千五百五十億のうちから、今後関係方面と折衝いたしまして、営団への割当をもらうことになるわけでございますが、これと今提案いたしております法案との関係が、かなり深い関係を持つておるわけでございます。
  61. 前田正男

    前田(正)委員 どうも最後のところをぼやかされたので、よくわからないのでありますけれども、その運用の中のどこからもらえるのですか。どの項目からおとりになるのですか。特別会計貸付でもないように思いますし、明年度の繰越しからもらえる予定でありますか。その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  62. 三木晴雄

    ○三木説明員 その点につきましては、今後折衝いたすわけでございますが、現在きまつております国鉄、電通、地方債、金融債、これの中へ含めるものではなくて、交通営団としての全然別のわくを一つもらうということになるわけでございます。
  63. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、二十六年度予算はきよう参議院を通過して成立するようでありますけれども、この二十六年度の預金部運用資金の予算の中には、現在のところ営団出資は入つておらないというのでありますか。
  64. 三木晴雄

    ○三木説明員 ちよつと速記をとめさしていただきたいので、……。
  65. 前田郁

    前田委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  66. 前田郁

    前田委員長 速記を始めてください。  時間の都合がありますので、なるべく参考人に対する質問を主としていただきたいと思います。政府委員への質問はあとにしてください。
  67. 前田正男

    前田(正)委員 ここは重点でありますが、それではこの問題につきましては、参考人質問を終りましてから、また後ほど政府委員及び提案者に質問さしていただきたいと思います。  次に参考人の方よりお聞かせ願いたいと思いますが、まず第一に、従来の法の中に評議員会というものがありましたけれども、この評議員会は、運営関係は今まで総裁と非常にうまく協力されておつたものでありますか。あるいはまた評議員会というものは、全然有名無実のものであつて、全然役に立たないものであつたか、総裁のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  68. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 評議員会は総裁の諮問に応ずる機関でございまして、重要なる問題につきましては、ことに決算その他は、大臣の認可を得る前に諮問いたしまして、そうして御承諾を得てやつております。それで評議員会の委員になつておられる方は、政界及び民間において有数なお方でございまして、われわれの足らざるところをいろいろ補つていただきますので、非常にいい制度だと思つております。しかしこういう営団公共性考えて、これを強くして行きまするときは、この評議員会制度よりは、やはり管理委員会制度でその議決を経ることが、私としても正当だと考えます。しかしながら一般のお知恵を借りるために、いわゆる評議員会制度にかわるものを定款内で置くかどうかという問題が残りますが、これらについて今はわれわれの方で研究しております。
  69. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、今までの評議員会よりも、今度の管理委員会の方がさらにいいというお考えのようでありますが、ここでひとつお聞かせ願いたいと思うことがあるのであります。それは管理委員会の責任が、どうもはつきりしないのです。昨日も岡田委員から提案者に質問されましたが、私は特にその点を総裁みずからお答え願いたいと思つてつた大きな問題であります。この管理委員会で総裁の意思に反する決議をされた場合にも、この法文で行きますと、当然総裁はその議決に従うことになると思いますが、総裁はどういうふうにお考えになつておりますか。
  70. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 ある事業をなして行きますには、官庁と違いまして、それは自由闊達な方式をとつて行くことがいいということは、前田さんもあるいは同意見ではないかと思いますが、私はそう思います。しかしながらこういうふうに大きな資金を、政府あるいは民間から集めまする際におきましては、その計画が総裁だけ、いわゆる経営者だけでなく、有数なお方の審査を経た議決であるということが、民間及び政府の金を使う上においても、また民間の社債を募集する上においても、非常にいいことだと私は考えます。従つてこの管理委員会制度を置くことは、非常にいいことだと私は思います。ただおつしやられる通りに、管理委員会と総裁との意見の衝突ということが考えられるのでありますが、これは有数ないいお方が得られれば、われわれの方で予算を組み、事業計画をして御説明を申し上げれば御賛成を得ることとして、そういうことは少いとは考えます。しかし万が一その間に意見の不一致を来しましたならば、あるいはその管理委員会意見に従つてやるか、あるいは監督大臣であるところの運輸大臣に申達して、運輸大臣からいろいろの命令をもらうか、その方法で救済できると私は思つておるのであります。それからもう一つ申しますと、事業でありますから、これは決算は別でありますが、資金計画、事業計画というようなものは、管理委員会制度でも、割合に始終お聞き願えるようなものでないと実際は困るのであります。そういう点においても、管理委員会制度が置かれることがいいと私は思います。
  71. 前田正男

    前田(正)委員 今の最後のところは、私は非常におかしいと思うのですが、管理委員会は非常勤で無報酬になつておりますから、しよつちゆう委員会を開くというものではない。今のお話のように事業でありますから、収支予算という、こういう重要なものを議決するということになれば、本来ならば当然常勤で相当の報酬を出し、工事内容の計画も知つておらなければ、なかなか適正な判断を下せない。しかしながら民意を代表するものをぜひ入れる必要があるというのが、今回の改正趣旨になつているようでありますから、そういう点になつて来ますと、総裁がおやりになろうとしておるところに対して、非常勤であまり内容を知らない者が、民意ということで反対されるということは当然ある。また反対しないような管理委員会なら、置く必要はないわけです。もし場合によりましたならば、当然国民の意思を代表してやるということはあり得ると思うのです。ところが総裁の方は、常に業務に携わつておられるから、総裁の方の考え方は間違いないと総裁は考えられる。ところが一方は国民の立場から、しかも業務に携わつておらないからわからないけれども、自分は権利があるからということで、当然反対することはあり得ると思う。しかもそれがなければ、この委員会の議決権というものは何ら必要がない。そこでそういうときには、この法人から行きますと、当然総裁はその議決に従わなければならなくなつて来ると私は思う。従つて第十六條は、「総裁ハ帝都高速度交通営団ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス」ということになつておりますけれども、管理委員会の議決には従い、これに対して責任を負うという文句を当然ここに入れて、また入れる必要があるし、また当然責任を負わなければならぬ。総裁の意思に反することに対して総裁は責任を、代表者ですからとつて行かなければならぬと思うのですが、その点はどうお考えですか。
  72. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 常時管理委員を御招集願いますのは、これは無報酬でありましても、営団が必要とすれば御招集願つて説明し、あるいは御了解を願つて、事業計画の変更、資金計画の変更を願わなければならぬわけであります。それから今管理委員会経営者意見が違うことがあり得ると習いますが、しかしながら実際におきましては、専業の内容を御説明すれば、いわゆる経営者としても公共的立場から経常することを考えておるのでありますから、そうひどい損はないと私は考えております。しかしながらもしも公共的立場から主張されて、われわれがその言葉を聞いて間違つているとすれば、われわれの考えを是定しなければならぬのは当然であります。ただ議決したものに対して、今度は総裁に責任が生じて来るとおつしやいますが、議決に従つて、それによつて経営をやることは、自分の良心によつてやるのでありますから、当然総裁としての責任があるのであつて、議決されたから総裁はその事業をやりますので、責任がないとかあるとかいう問題は起らない。これは法律上も起らないと思います。
  73. 前田正男

    前田(正)委員 法律上責任が起らないということですが、この法文の上から行きますと、これを明記するかしないかの違いでありますけれども、総裁は、その意思と違う議決をされても、営団を代表しておられるわけでありますから、その総裁の意思と違う議決に対しても、当然営団を代表して責任を負うことになると思いますが、どうですか。
  74. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 私は総裁が、それを代表して実行する責任はあると思います。しかしながら責任を負わない場合には、訂正してもらう。実行する以上、責任を負うのはあたりまえであります。
  75. 前田正男

    前田(正)委員 私は負わない場合はあり得ないと思いますが、議決されたものは、この法案で行きますと決定でありますから、これに対して、総裁は代表しているわけですから、当然その責任を負わなければならぬわけでありますが……。
  76. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 今申し上げたように、議決したものはそのまま総裁が責任を負つてやるのであります。しかしながらその責任を負つてやることができなければ、先ほど言つたように、修正を願うために主務大臣に願つて命令を出してもらうか、他の方法考える、こういうわけであります。
  77. 前田正男

    前田(正)委員 運輸大臣からこれに対して命令を出してもらうことになるということでありますけれども、これは営団の総裁に対して命令が出るのでありますが、管理委員会の意思を運輸大臣が変更するということは、利益金の処分その他の場合には効率が発生しないということでありますけれども、この議決を運輸大臣の命令に従つて変更することができるのですか。
  78. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 運輸大臣は監督命令を営団に出すことができるのでありますから、従つて管理委員会に出すことはできると思います。
  79. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、この営団の中には管理委員会を代表する意思と、営団の総裁を代表する意思の、二本建の場合があり得ることになつて来るわけですか。
  80. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 これは一本建であります。いわゆる命令は営団に対しての命令でありまして、総裁個人に対する命令ではありません。
  81. 前田正男

    前田(正)委員 しかしながら総裁がこの議決に従わないときは、総裁から運輸大臣に話をして、運輸大臣から総というように、営団に対して命令が出るわけでありますが、総裁が管理委員会の議決に従わない場合は、どういうことになりますか。
  82. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 総裁が運輸大臣に言つて命令を出してもらうということは、事務的なことであつて法律的にはそれは管理委員会があつて、ただ運輸大臣は管理委員会の議決が当を得ないかどうかを審査されて、単独に出されるのであります。総裁の申立によつてやるのではなく、ただ事務的にそういうようにお話することができるのであります。管理委員会の議決によつて総裁が従わなければならないし、その管理委員会の命令に対して運輸大臣が監督上至当だと思われている以上、総裁はこれに従わなければならないと思います。
  83. 前田正男

    前田(正)委員 それでは運輸大臣が直接民意を代表するという点から、そういう場合にいろいろ指示して行くことならば、従来の評議員会で総裁がそれに諮問しておりまして、必要なときに運輸大臣がこれに対して認許可を與える点から、必要な命令を出して行くということで、何ら新しく管理委員会というものをつくつて、民意を代表する必要はないように私は感じられるのですが、その点について総裁はいかなる考えでございます。
  84. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 今まで評議員会に重要なるものを諮問してやるのでありますが、先ほど申し上げたことく、財政的な資金及び民間資金があれば、その議決を要するところの制度をつくつておくことが明確化されるものだと思います。ことにその中において、予算と事業計画と決算——今まで決算だけが認可事項でありましたが、そういうものを議決してもらうということは、私は性格がすつきりするゆえんであると考えます。
  85. 前田正男

    前田(正)委員 私はどうも性格がすつきりしないと思うのであります。とにかく今回こういう委員会ができることになれば、この議決に対して総裁は責任を負わなければならぬことは、法文上当然であると思います。しかしそれに対して、運輸大臣が公平な立場から総裁の意見を聞くか、管理委員会意見を聞くかどうか知りませんけれども、それは必要な命令を下し得る場合もあるかと思いますが、当然その議決に対しては、総裁は従わなければならない。従つていろいろの間違つた意見が出て来まして、総裁がこういうことをおやりになる上において、非常にいろいろな支障があると思うのであります。もし管理委員会がそれだけ強い権限を持つならば、きのうのお話では、管理委員会が株主総会みたいなものだというお話でありますが、もしそうならば代表者が総裁になつて、そして事務的な人を管理委員会の下に置くというのが、当然の一方の形態であると私は思います。しかしながら現在のように営団としてほんとうに運用しようと思うならば、代表者たる総裁がすべての責任を負い、また総裁の意見でこれを操縦しまして——総裁に対する諮問機関として、こういう委員会があるのが当然だと私は認められます。それに対して大臣が必要な監督を出すというのは、当然明確な運営の仕方であると思います。そういう二本建のような不明確なものに対して、私はどうも了解しがたいのでありまして、この点につきましては、私はもう少し提案者の方と政府委員の方に質問をして、それから各委員と相談いたしたいと思います。  さらにもう一点だけ申し上げておきますのは、役員の中の理事を主務大臣が任命することになつております。国鉄の場合でも、現在は総裁が任命することになつております。近くこれは運輸大臣の認可を得て総裁が任命することになると思うのでありますが、これは当然営団立場から見まして、また総裁の立場から見ても、理事は総裁が運輸大臣の認可を得られるか得られないかは別でありますが、とにかく総裁が任命するということにすべきものではないかと私は思うのでありますが、総裁はいかに考えますか。
  86. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 私は役員の任命は、こういう公共的性格のものであれば、総裁そのものが任命するよりも、やはり主務大臣が任命する方が妥当だと考えます。そうして経営をやつて行く、こういうふうにしないと、とかく総裁の擅断になりやすいと思います。私はこの制度の方がいいのではないかと思います。
  87. 前田正男

    前田(正)委員 この点につきましては、現在の国鉄公社との関係がありまして、運輸大臣の認可を得て理事を任命するのが適当であると私は思いますけれども、これは見解の相違でありますから、次の問題に移ります。  今回の交通営団の改組は、営団式な、いわゆる半公共的なやり方で、営団というものを運営して行こうというふうに考えておるのか、それとももう少し民間的なものに近づけて行つて、株主総会というようなものを中に入れてやつて行く、民間的な形式で経営して行こうと考えておるのか、その考え方がさつぱり不明瞭でありまして、私には一向に今回の法文の改正趣旨がわからないのであります。その工事をやるのに、財政資金を入れて行かれる趣旨は、われわれも賛成でありますから、ぜひおやり願わなければならないと思いますけれども、このやり方について、総裁としては今後これをもつと半公共的な、半官的な営団というような性格を強めて行こうという考え方を持つておられるのか、あるいはもう少し民間的な株主総会、出資者意見を聞くようなものにして行くように運営して行こうという考え方を持つておられるのか、その辺をもう少しはつきり伺いたい。
  88. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 営団をつくりました際にも、出資者の方の意見をおもに聞く方法でやるべきか、あるいは公共的な立場でやるべきかについては、非常に議論があつたのであります。しかしながら都会における地下高速度鉄道建設は、厖大資金がいるのと、その収益がなかなか既設の期間ほどあがらないという点を考え、また出資者的の制度であると、その公共性のそこなわれることが多い、こういうことでこういう組織にかわつたのであります。私はこの営団におきましては、こういう方法組織でもつてつて行く方が、高速度鉄道普及において便利であると考えます。しかしながらこれは事業をやつておりますし、あまりひどい掣肘方法は困るのであります。こういう管理委員会でもつて収支及び予算、事業計画、決算、こういうものを議決していただくのは、公共性のある機関を預かり、運営しておる者の当然の義務だと考えますので、この方法でやつて行くことが円満に遂行されて行くものだ、私はそう考えております。
  89. 前田正男

    前田(正)委員 それでは私の参考人に対する質疑はこれで終りますが、先ほどの質問の途中にありました問題がありますので、政府委員及び提案者に対する質問は、次会にやらしていただきたいと思います。
  90. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は参考人に簡単に二つの問題をお伺いいたします。総裁の先ほどお述べになりました中の、この敷設計画で今問題になつております地上を通すことのやむを得ない事情として、地下を掘ると水が出ることと、勾配の問題で技術的に非常に困難であるということと、予算が厖大にかかるというお話で、結局地上を通さなければならぬということになつたことをお聞きしたのでありますが、技術的に見て、上を通らなければ全然この工事はできないのだ、さらにつつ込んで喧しますと、水が出たり、勾配があるために、技術上絶対困難であるから地上を通すのであるというのでありますか。さらに使い得る予算が十分あれば、地下を通すこともできるというのか。この二つについて明確に答えていただきたいと思います。
  91. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 それは今の技術をもつていたしますならば、地下を通すことは不可能ではありません。しかしながら私は先ほど申したように、技術的常識に非常に反しておると思います。しかもそれはなかなか並たいていの工事ではないと思います。そうしてそういう工事をすればそれだけ資金獲得できるかというと、なかなかできない。獲得できれば、それで収支が合うかといえば合わない。たとい政府預金部が、収支が合わなくても出すと言つても、収支が合わなければ、十五億の民間資金は募集できないと思います。現に金を貸す銀行でも何でも、一体利拂いができるのかどうかということに、非常な重大関心を持つております。それでありますから、実際問題としてできない。御参考までにお話申しますが、これは速記をやめていただきたいと思います。
  92. 前田郁

    前田委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕
  93. 前田郁

    前田委員長 速記を始めてください。
  94. 玉置信一

    玉置(信)委員 総裁からこの建設についての資金繰りあるいは利拂い等の点を詳細承つたのでありますが、こうした実情から見ますると、営団の運営をして行くためには、将来当然増資をしなければならない時期が来るのではないかと私は思うのでありますが、将来増資するという御計画があるならば、どのぐらい増資される見通しをつけておられますか。また公共団体に出資を求めるということになつておるのでありますが、公共団体はどこの公共団体を目標にしておられますか。さらにそうした増資をした場合において、営団を改組するというような御意思があるかないか、この点について承つておきたいと思います。
  95. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 二十六年度におきまして、われわれの未拂いを国有鉄道からとり、増資していただき、それから東京都へこれからお願いをいたそうと思うのでありますが、これと合計いたしまして八千三百七十五万円というものが増資になるわけであります。二十九年度におきましては、これは国鉄等においてまた増資を願いまして、二億四千万円の資本にいたしたいと考えております。大体それだけの増資と、あとは再評価した積立てをおろしますことで、この建設はやつて行ける、こういうように考えております。  それから改組するかどうかという問題でありますが、今のところ自分たちはこういう公共的な財政資金を仰ぎ、それを基盤として民間資本を募るのでありますから、この組織で行く。早く建設して次の建設に移りたい、こう考えております。
  96. 片岡伊三郎

    ○片岡委員 総裁に伺います。資金繰りの困難は、想像に余りあるものがあります。当初予算の編成はいつごろ計画されたか。これに関連して現在の四十八億余の予算で、はたしてこの事業が完成し得られるや。別して今次の特需景気による物価高、これらは国鉄の大きな悩みになつております。同様この工事に対しても、大きな悩みであろうと考えられますので、これらに対してはいかなる策を立てられるか。その計画を立てられたときの物価と、この法案通過後の時間的ずれによつて生ずる価格の差はどのくらいか。本年度でさえもどのくらいの差額があるか、こういうことをあらかじめお伺いしたいと思います。
  97. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 ごもつともな御質問だと思います。計画は一昨年見返り資金のときに一応立てました。その後昨年修正いたしました。しかしながら諸物価の値上りは御存じの通りでありますので、既定計画通りやれません。これは資金獲得上からもやれませんので、いわゆる工事面において、技術的にも非常なる簡素化をはかりまして、それによつて生み出された金と物価の値上りと、両方まぜて四十八億三千万円にいたしました。その工事はそれぞれの鋼材の単価その他を五、六月ごろの物価で予想をしておりまするから、さらにインフレが非常に進んで行きますれば別でありますけれども、大体これでやれると思います。
  98. 片岡伊三郎

    ○片岡委員 区間の参考資料によりますと、各停車場の区間工事の明細が表わされておりません。先ほど来問題になつておる地下にもぐるか、あるいは地上にするかということは、ここにもたくさん地元の方が陳情に見えておられますが、おそらくこの問題は、昨年来議会を通じて論議されている大きな問題であります。しかしこの参考資料にはその明細が出ておらないので、われわれはこれを検討するにかたいのであります。でき得べくんば、池袋駅あるいは新大塚、清水谷、後楽園、本郷三丁目、お茶の水、神田、こういう区間の工事工程あるいは様式等を知りたいのであります。どこからどこまではどのくらいの築堤、土盛りで軌道を敷くとか、あるいはどういうふうに高い所を開鑿するか、どこからどこまでが高架線になるかというような資料がありませんので、われわれは検討に苦しんでおるのであります。なおこれらを知悉するために、委員としては一応現地を視察して見る必要もあると考えておるくらいでありますから、もう少し明細な資料を提出していただきたいと考えるのであります。さもなければこれは地下がいいか、あるいはやむなく地上に上せなければならぬかということを、根本的に検討することがかたいのであります。従つて盛り土の場合はどこをどのくらいの高さに盛るとか、市街地、繁華街のまつただ中に土盛りした、三メートルとか五メートルとか、一定の高い道路ができるというようなことは大いに考えねばならないりで、当然地元の方々とすれば、これらに対しては大きな関心を拂わざるを得ないと思います。先ほど総裁のお話では、万やむを得ず地上工事をする場合に、その地域にある家屋の移転料あるいは補償料というものに対しては、多大の考慮を拂うとおつしやつておりますが、もつと根本的にさかのぼりまして、そういう計画が知りたいのであります。でき得べくんば、その資料を御提出願いたい。私はまだ現地を知りません。ただ図表をながめただけでありますが、ここに並行して市街電車の軌道があります。先ほど同僚議員からもお話がありましたが、その軌道の下を掘つて行くことはできないか。工事の経費の関係等は別としまして、今までの普通の地下線のごとく、電車の軌道の下を掘り割つて工事することができないか。なおまた盛り土その他が市中の美観を妨げるとか、交通を妨げるとか、あるいは商業の殷賑に影響を来すとか、そういう大きな関係が起るであろうと予想されるのでありますが、それらに対する十分なる資料がほしいのであります。これをお願いしておきます。  それから操車場というのがここにありますが、これは軌道上、運営上最も重大なる使命を持つものだろうと思われます。操車場は何坪かわかりませんが、おそらく数千坪ではないかと思われます。地元の方々から、これを池袋方面に移すことはできないかという陳情があるのであります。これも関連してお伺いしたいのであります。営団の設計では、掘り出した砂を凹地へ持つて来て埋めて、相当の広い区域を使用して、ここに操車場をつくる計画のようにわれわれは拝見するのであります。これに対する明細がわかりませんが、それを池袋方面へ移管して設置する御意思がありやいなや。またそれらに関してどちらが最も合理的であり、そういう計画の面に対して、変更ができるかいなやをお伺いしたい。なおまた地上を走る場合における高架線あるいは土盛り、これらを余儀なくする場合における利用方法があるかいなや、何かの方法で地上面積を埋めた分に対して、地下を利用するとかいう方法をお考えになつておるやいなやお伺いしたいのであります。
  99. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 工事の明細書でありますが、これは今工事伺いで出しました程度を、どんどん修正いたしております。これは少しでも地方の方に御迷惑をかける点を少くしようと思いまして、土盛りの点なんかをいろいろ考えております。  それからもう一つ言い忘れましたが、地方の方に御迷惑をかけるのを防ぐために、騒音でございますが、あすこはスラヴにいたしません。省線のように土壤にして、音響をなるべく少くしたいと思います。それからジヨイントその他についての騒音の防止、これは私どもの方でも具体的に研究しております。なお鉄道の研究所にも依頼いたしまして、何とかいい防音の方法考えたいと思います。  それから操車場の問題でございますが、操車場と申しますと、田端の操車場のように非常に大きいように考えられますが、これは車庫でございます。先ほど申しましたが、御存じの通り池袋神田間におきまして、そういう適地がありますのはあすこだけであります。どういうわけかと申しますと、あすこには横断道路がただ一本きりしかない。そういう場所は非常に少いのであります。だからあすこへつくりまして、その道路は幅員三メートルを四メートルにして、地下道でちやんと通れるようにして、御迷惑の点を少くしたいと考えております。ただ池袋の先に持つて行くことは、池袋免許線を持つておらないのです。地下鉄道線はいわゆる都市計画路線はあるのでございますけれども免許線を持つておりませんので、これをとるに相当の月日がかかると思います。そればかりでなく、あそこは池袋の大きな駅の下をくぐつて向うへ行つて池袋をすぐ出たところは繁華な商店街でありますからだめで、かなり向うへ行きますと、十億以上の金がどうしてもいります。その資金を獲縛することはちよつとできないと思います。ともかくもこの池袋神田間をやるには、あそこでがまんしていただきたい。そのかわり、今までは八千坪に予定しておつたけれども、五千坪ぐらいに減らしたい。また陸上その他におきましても、築堤に芝を植えたり木を植えたりして、あそこは住宅地でありますから、ぜひ緑樹を施したいと思つております。     —————————————
  100. 前田郁

    前田委員長 暫時休憩いたします。午後二時より再開いたします。     午後一時五分休憩      ————◇—————     午後二時三十一分開議
  101. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案前田郁君外二名提出衆法第千九号、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案淺沼稻次郎君外四十四名提出衆法第三〇号、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案原彪君外一名提出衆法第三一号、右三案を一括して議題といたします。まず提出者より順次提案理由の説明を求めます。     —————————————  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案   日本国有鉄道法の一部を改正する法律  日本国有鉄道法昭和二十三年法律第二百五十六号)の一部を次のように改正する。  第二十六條第二項中「該当する者」の下に「(町村の議会の議員である者を除く。)」を加える。   附 則  この法律は、公布の日から施行する。     —————————————  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案   日本国有鉄道法の一部を改正する法律  日本国有鉄道法昭和二十三年法律第二百五十六号)の一部を次のように改正する。  第二十六條第二項中「該当する者」の下に「(地方公共団体の議会の議員である者を除く。)」を加える。   附 則  この法律は、公布の日から施行する。     —————————————  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案   日本国有鉄道法の一部を改正する法律  日本国有鉄道法昭和二十三年法律第二百五十六号)の一部を次のように改正する。  第二十六條第二項中「該当する者」の下に「(市、都の区又は町村の議会の議員である者を除く。)」を加える。   附 則  この法律は、公布の日から施行する。     —————————————     〔大澤委員長代理退席、坪内委員長代理着席〕
  102. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につき、提案の理由を説明申し上げます。  さきに審議可決せられました政府提出日本国有鉄道法の一部を改正する法律案は、第七回国会においてこの法律改正せられました際、同時になすべきであつた條文の字句を整理したものでありまして、それによりますと、日本国有鉄道の職員は、地方公共団体の議会の議員を兼ねることができないことが明らかにされたのであります。しかしながら選挙権は国民の享有する基本的人権であるにかんがみ、兼職により国鉄の職務に及ぼすことあるべき影響、地方公共団体の行政区域の大小、国鉄の職員の居住状況等を勘案いたしました結果、兼職制限の一部を解除し、町村の議会の議員については兼職を認めることにしようとするのが、本法律案趣旨であります。  以上簡単でありますが、提案理由について申し上げました、何とぞ愼重御審議の上御可決あらんことをお願いいたす次第でございます。
  103. 坪内八郎

    ○坪内委員長代理 次に川島金次君。
  104. 川島金次

    ○川島委員 私は社会党を代表いたしまして、昨日本会議を通過成立いたしました日本国有鉄道法の一部改正案に対する改正提出いたすものであります。内容についてはここに詳しく申し述べる必要のない事柄だと思いますので、簡単にその要点だけを御説明申し上げまして、各位の御審議、御賛成を煩わしたいと思うのであります。  ただいま自由党側から提案されました改正案の内容は、国鉄の職員の地方議会議員の兼職中、これを町村会議員に限つて認めようという提案の内容であります。これに反しまして私どもの提案いたしまする法案の内容は、地方公共団体の一切の議員の兼職をすることができるという意味合いに、日本国有鉄道法改正案をさらに改正をいたしたいというのが趣旨であります。  言うまでもなく国有鉄道は、一般官庁と切り離されましたコーポレーション、公共企業体に今日はなつております。同じく公共企業体の専売公社におきましては、地方議会の議員の兼職について、御承知のように何らの制限を付されておらないというのが現状であります。しかるに同じ公共企業体である国有鉄道の職員にのみは、これに関して大きな制約を加えるということは、きわめて不合理であると私は考えます。  第二に、これらの地方議会の議員の兼職を広汎に認めることは、その兼職をされました職員の執務の上に重大な支障を及ぼすではないか、従つて結局するところは、国有鉄道の運営にも著しい障害をもたらすのではないか、こういうふうにいわれておるのが一般の自由党の皆さんの言われるところの通説であります。しかしこれは逆であります。もし町村会議員だけを認めまして、市会並びにその上の都道府県会議員の兼職は認めないということは、これは私から言わしめますれば、むしろ逆な形になるのであります。今の国有鉄道の職員の地方議会の議員を兼ねておりまするところの実態を調査いたしてみますると、むしろ都道府県会議員あるいは市会議員の職員の諸君の方が、比較的に職域とその所属する議会の地域と相接近し、または同じくしているというのが態勢であります。逆に今の国鉄職員の兼職をしておりまする多数を占めておりまする町村会議員の諸君の方が、職域と自分の住んでいる地域とは非常に離れているというのが、実際上の問題であります。ですからむしろ大勢の兼職をいたしておりまするところの町村会議員の方が、かえつて理論的に申しましても実際的に申しましても執務上に障害があり得る。逆に今申し上げましたように市会議員あるいは都道府県会議員、これらのごときは数が少い上に、しかもそれらの人たちの職域と住所とが大体同一であり、しかもその上にその所属いたしまするところの議会の所在地が、大体において同一であり、もしくはきわめて接近しておる地域にその所属の議会というものがあるというのが、今の国鉄職員の兼職をいたしておりますところの実情であるのでありまして、従つてこの現実から申し上げますれば、都道府県会議員並びに市会議員の兼職を認めましても、皆さんが大よその人たちが懸念をいたしておりますような職務上の支障というものは、諸君が懸念されておるほど大きなものでないということが実情であるのであります。  そういう理由、その他いろいろこの際申し上げたいのですが、皆さんも御承知のことでありますから省略いたしますが、以上のような観点に立ちまして、私はあえて国鉄の職員は専売公社の職員と同様に、地方議会の議員の兼職の制限をまつたく付さずして、従来通りその兼職を認めるということの方が、きわめて合理的であり、実際的ではないかという考え方を私どもは持つておりますので、この機会にこの改正案を上程いたした次第であります。どうぞ皆さん愼重御審議の上に、わが党の提案に満場一致賛成あらんことをお願い申し上げます。
  105. 坪内八郎

    ○坪内委員長代理 次は柳原三郎君。
  106. 柳原三郎

    柳原委員 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、提案者といたしまして理由を簡単に申し上げます。  昨日本院において可決せられました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案は、第七国会においてこの法律改正せられました際、同時になすべきであつた法文の字句の整理をいたしたものでありますが、これによつて従来疑義のあつた点、すなわち国有鉄道の職員は地方公共団体の議会の議員を兼ねることができないことが明らかにされたのであります。飜つて地方における国有鉄道職員の居住状況を見ますると、分岐駅、操作場、機関区、工場、その他国有鉄道関係の諸施設のある箇所における居住の割合はきわめて大きいのでありまして、これら箇所において国有鉄道の職員が、まつたく地方自治に参與することができなくなるということは、地方自治の本質にかんがみ、はなはだ遺憾と申さねばならないのであります。一方国有鉄道の職員が地方議員を兼職した場合、国有鉄道の業務に及ぼす影響について考えますと、もちろん国有鉄道の職員は直接、間接に旅客、貨物の輸送に従事する重責をになうものでありますが、市区町村の行政区域は比較的狭く、かつ交通の発達いたしております現状におきましては、国有鉄道の職員が議員を兼職いたしましても、議員たるの責務を果しつつ、本来の国鉄職員としての責務をも十分に果し得るものと考えるのでります。     〔坪内委員長代理退席、大澤委員長代理着席〕 元来被選挙権というがごとき基本的人権は、もとよりでき得る限りこれを尊重すべきものであることは、いまさら申し上げるまでもないのでありますから、以上の諸点を勘案いたしまして、国有鉄道の業務に支障を来すことが少いと認められる範囲内におきまして、兼職制限を緩和し、市、都の区または町村の議会の議員につきましては、兼職を認めることにいたしたいというのが、本案趣旨であります。  以上簡単ながら提案理由の御説明を申し上げました。
  107. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これにて各案の趣旨説明は終りました。これより質疑に入ります。坪内君。
  108. 坪内八郎

    ○坪内委員 ただいま議題となりました法律案につきましては、これは各党とも相当慎重に審議しなくてはならない重要な法案でございますので、われわれはこの法律案審議にあたりましては、愼重を期したいと思うのであります。そこでただいま自由党、社会党、民主党から、それぞれの立場でこれの提案理由がございましたので、この際提案者に二、三お尋ねをしてみたいと思うのであります。まず社会党の提案者の方に御質問をしたいと思うのでございますが、どうぞ……。  そこでまずお尋ねしたい第一点は、提案者の提案された御説明でほぼ了承いたしますが、いわゆる憲法でいう基本的な人権の尊重の建前によりまして、この問題は法律的に合理性があるから、この法律案改正して、さような処置をとろうというお考えであるのかどうか。また第二点といたしましては、所によつて国鉄の職員が七五%も居住しているというような場所もあるから、その地方公共団体の運営に支障を来すから、さような処置をとるというのか。いずれの面であるか。この点をまずお尋ねしたいと思うのであります。
  109. 川島金次

    ○川島委員 お答えいたします。私どもは基本的な見解といたしまして、一般公務員の諸君とは別個な立場に置かれている公共企業体の職員について、憲法上から言いましても、また日本における従来の政治的慣例から申しまして、国際職員はもちろんタバコ専売公社の職員と同様に、その政治活動を極度に制限するということは合理的でない、こういう基本的な見解を持つている。従つて憲法上の問題はもちろん、長いわが国における政治的な慣例等を勘案いたしまして、町村会議員はもちろん、都道府県会議員に至るまで、その兼職を認めるということが、最も望ましい姿である。しかもついでに申し上げますが、そのことによつて国鉄の業務に重大な支障があつたということはないと、運輸当局及び日本国有鉄道の最高幹部の当局においても、これをしばしばこの議会において言明をいたしていることは、御承知の通りであります。そういう意味合いにおいて、私は本案改正案を上程いたしたのであります。
  110. 坪内八郎

    ○坪内委員 議事進行につきまして、これはいろいろ関係もございますので、簡単に私はお願いいたしたいと思います。私の質問も簡単にいたしたいと思います。  ただいまのお話によりますと、基本的人権の建前上、法律的にも合理的だから、かような処置をとるというお話でございますが、しからば社会党のあなたの提案によるところの、地方公共団体の議会の議員全部というようなお話でございますが、そういつた法律的な合理性の面から行きますと、なぜ国会議員という面は考慮に入れなかつたか。その点をもう一つお尋ねいたします。
  111. 川島金次

    ○川島委員 私が国会議員をあえて入れませんでした理由というものは、きわめて簡単であります。国会議員は、今日ではほとんど国会の審議に、常時的に専念しなければならぬ形になつております。従つてそのような状態にありまする国会議員をもその兼職を認めるということは、それこそ国鉄職員の業務の上に重大な支障が起るおそれがある、こういう考えのもとに、あえて私どもは国会議員の兼職まで認めるという点を省いたものであります。
  112. 坪内八郎

    ○坪内委員 ただいまのお話、私の見解と異にするのでありますが、この点につきましてはこのくらいにいたしまして、ただいまお話がございましたこういつた関係に兼職をさせることにおいても、何ら職務上支障を来さないのだというようなお話もございましたし、さらにまたそういう議員を兼ねても、決して支障がないというお話でございましたが、その点につきましては、私たち大いに異議のあるところでございまして、この法案が第九国会で政府提案として提出されたときにも、十分質疑応答をいたしまして、いろいろ意見の対立を見て今日に至つておるわけでございますが、いろいろな事情で、私の質問をもう少し続行したいと思つておりましたが、一応私はこの程度にとどめて、次に讓りたいと思います。
  113. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 川島君。
  114. 川島金次

    ○川島委員 この法案の質疑に入つたのでありますが、私はこの機会に昨日本院を通過いたしました政府提出原案たる国有鉄道法の一部改正法案に関連して、たまたま本委員会に出席をお願いいたしました法務府の方の所見を、一、二点ただしておきたいと思うのであります。と申しますことは、法務的の方においてもすでに御存じのことと思うのでありますが、昨日本院を通過いたしました日本国有鉄道法の一部改正法案は、単なる字句及び條項の整理をいたします事柄が、この目的であつたのであります。そこでこの條項及び字句の整理が、かりにできませんままにありました場合に、それを基本といたしました場合におきましては、国鉄の職員があえて立候補ができるのではないかという見解も成り立ち得る節があつたのであります。この点について法務府はどんな見解を持たれておりますか、その点をまず第一にお伺いしたい。     〔大澤委員長代理退席委員長着席
  115. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 お答え申し上げます。御指摘の政府案につきまして、御説明を申し上げる機会がございませんでしたので、その点もあわせてこの機会に、われわれの見解をお聞き取り願いたいと存じます。  問題の起りは、申すまでもないこでございますが、第七会国会におきまして、この国有鉄道法の一部を改正せられました際に、国鉄の監理委員会委員の任命に関する部分が加えられたわけでございます。これに伴つて條文がずれたのでありますが、そのずれに伴う整理が施されておりませんでしたために、ただいま御指摘の疑問が生じたわけでございます。この点につきましては、法律解釈の一般の通念と申しますか、一般の常道ということにも触れるわけでございますが、要するにこの條文整理が漏れておつたということは、その言葉の示します通りに、単純な字句の整理漏れであつたと申すよりほかはないのであります。このことは、当時の第七回国会におきます政府から出しました法律案の理由書によりましても、また国会の両院における御審議の経緯に徴しても、私はそれが明らかであると存ずるのであります。従いまして仰せのように字句の整理上欠陥があつた。しかもその欠陥が何人から見ましても、容易にこれは誤りであるということが明瞭であるというような場合におきましては、一般の法律解釈の常道といたしまして、その規定がそのゆえをもつて無効であるというふうに一概に見ることはできないのであります。まず第一に立法者であるところの国会の御意思が那辺にあるかというようなところに、第一の手がかりを置いて解決せねばならぬということは、申すまでもないところであります。従いましてただいま申し上げましたように、国会における御審議の経過その他に徴しまして、当時の改正はあくまでも監理委員会委員の任命に関する部分であつて、その他の部分について現状を変更しようという御意思は、少しも見受けられないのであります。その結果といたしまして、この字句の整理漏れということは、その部分について現状の変更を加えられたものと解することはできない。従つて今回御審議を得ましたあの政府案にありまするような字句の整理が、とうになされておつたと同様に解するほかはないというふうに、われわれとしては考えておつた次第でございます。
  116. 川島金次

    ○川島委員 もう一つ伺つておきたいのですが、今この委員会で三党それぞれの改正法案が出されておる。この法案がいずれに決するかは、もはや既定の事実のように見通しが明らかであります。と申しますのは、数をもつていたしますれば、自由党の例から出されました町村会議員に限つて兼職を認めるという法案がこの委員会を通過し、本会議に上程されて可決されるであろうということが、きわめて明白に見通しされております。しかるに一方、これまた私の想像でありますけれども、本委員会で成立いたしました法案が参議院に回付され、参議院の方ではこれに対しまして、少くとも市会議員までの兼職を認むべきであるという意味の修正案が成立するであろうと見られております。そうなつて参りますと、衆参両院において意見の違つた決定がなされる。その場合においては、参議院から修正されました新たなる法案が衆議院に回付されるか、もしくは両院の協議会に付託されるということになる。その場合に今日の現状から見ますると、参議院で可決いたしました法案の修正案が衆議院に回付されるということは、実情困難な状態に今日はあるのであります。と申しますのは、議員数がそろつておらない、そういうところで自由党の諸君はこれを両院協議会に持ち込むということをするであろうということが、これまた明白に見通しができておる。その場合両院協議会では意見が一致しなければ、決定ができないというふうに私どもは記憶をしております。そうするとその両院協議会において、参議院の案と衆議院の案とが真正面から対立いたしまして、その対立のままに、来る四月三日の日にまで入つて参りました場合に、この法案はいかなる形になるものであるか。この事柄の見解をひとつ。
  117. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいま御審議になつておりますこの法律案についてのお尋ねでございますが、御指摘のように、かりに参議院でまた修正がなされ、両院協議会の問題に入つた。しかして協議会に付せられたままで四月三日を越してしまつたということでありますが、申すまでもなく両院協議会において一致しません限りは、この改正法律案というものは、あくまでも法律案の段階でありまして、法律として成立するには至らない次第でございまするから、あたかもただいま御審議になつておりますこの法律がないのと同様なままで、四月三日を越すということであろうと存じます。
  118. 川島金次

    ○川島委員 そうすると私どものしろうとの言葉で申しますが、原案がまつたくなくなる、国有鉄道法の昨日本院を通過いたしました原文というものが、まつたくなくなるのか、それとも政府提出いたしました以前のいわゆる欠陥のある法律が残つて行くのか、どちらになりますか。
  119. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私はただいまお話政府から出されました昨日の法律案のことを度外視いたしましてお答えしておつたのですが、その方につきまして申し上げますれば、われわれ政府側として単純に考えておりますところは、この分だけはめでたく成立するであろうというふうに考えておりますために、めでたく成立いたしますれば、ただいまの字句の整理は完成するわけです。そして次の選挙を迎えるということになります。それで政府案がめでたく成立しなかつた場合はどうなるかという点が、お尋ねの点だろうと思いますが、そうなれば、私が先ほど申しましたように、法律解釈として、結局解釈上の問題として、われわれとしてはあの法律案が成立した場合もしない場合も同じ解釈でおる。従いまして昨日御審議になりました政府から出しました改正法律案というものは、念のために字句を整理した、解釈上もう明らかなことであるけれども、万一の誤解を避けるために、念のために字句を整理したという趣旨でございますから、かりに念のための字句の整理が成立いたしませんでも、私どものとつております解釈にはかわりはない。従つて兼職は許されないということにならざるを得ないというふうに考えております。
  120. 川島金次

    ○川島委員 私は法律上は、しろうとでよくわからないのですが、昨日本院で成立しました法案が、参議院で修正されて、しかも両院協議会で一致しないで、そのまま地方選挙の告示の日である三日に入つてしまつたということになると、自然的に原案が廃棄されるという形になるのではないか、私はしろうとですからわかりませんが、そのように考えられる。そうじやないのですか。
  121. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 御疑問の点がだんだん明らかになつて参りましたが、昨日ここで御可決になりました政府案に対して、参議院が修正を加えて、その修正に関連して両院の議がまとまらなかつたために、選挙に臨んでしまつたというような場合に、どうなるかというお尋ねであると思いますが、その場合には、結局昨日の政府案というものについては、両院の可決がないままに過ぎますから、あの政府案は成立に至らないでしまうということになるのであります。従いまして残るのは解釈の問題が残るというふうに考えます。
  122. 川島金次

    ○川島委員 そうすると法務府の見解としては、かりにただいま私がお尋ねしたような事態が起りまして廃棄されるという形、そうすると生の欠陥のある法文がそのまま残る。そうなると法的解釈が、解釈のしようによつて区々たる形になる。そういう区々たる形になるからこそ、條文、條項の整理を政府はされることになつた。これはきわめて明瞭なのです。そういう場合に、かりにその元の生のままの法律のもとにおいて選挙を迎える。そうして国鉄の職員の中で、市町村会議員はもちろん、都道府県会議員等の立候補届をして、選挙運動に入る。それを法務府は、それはできないのだという解釈にもかかわらず、あえて国鉄の職員がこれを行つた場合に、しからばどういう形でそれをさしとめることができるか。その法務府の見解に対して、国鉄の職員が正当なる手続をとつて異議の申立てをする、いわゆる反訴をする、法律上訴えをなす。訴えをなしながら選挙運動を行う。そういつた場合でも、法務府あるいは政府としては、あえてその立候補者を辞退させるという強権的なものがどこかにあるか、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  123. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 法務府の解釈は、ただいま申し上げました通りでありますが、法務府としては別に、国鉄の職員に対してどうこうという指揮権もあるわけではございませんし、従いまして積極的にどうこうということはないと思います。かつこれは私今とつさのことでございますが、この法律で禁止しておりますのは、兼職の禁止をしておるのであつて、立候補の禁止までしておるのかどうか、おそらく立候補の禁止はないというふうに考えるべきだろうと思いますから、言いかえますれば、立候補については一応できる。ただめでたく当選されました場合に、どつちを選ぶかという問題があるというふうに考えます。
  124. 川島金次

    ○川島委員 そのあなたの言われるめでたく、当選した場合に、法務府の見解としては、兼職はできないのだという見解であるけれども、最高裁判所のいわゆる判決を得るに至らなければ、そこは国鉄職員との見解の相違ということになるという余地が十分に残ると私は思うのです。そういう場合にも法務府は、あるいは政府は、国鉄職員がめでたく当選したのに対して、その当選した地方議会の議員に就職することを、いかなる根拠で強制的に排撃するか、そういうことができるかどうか。それを私はお伺いしておるのです。
  125. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいまも申し述べました通りに、法務府として干渉がましいことは行われるはずがないと思います。われわれの立場としては、政府部内における最高の法律顧問という法務総裁として、政府部内における最高権威ある解釈として申し上げるわけです。みずから最高と申し上げるのはたいへん恐縮でございますけれども法律に最高顧問と書いてございますから、そういうわけでわれわれは政府部内における最高の有権的な解釈というつもりでおるのであります。従つてこれが裁判所を拘束しようとか、あるいは行政解釈においても他の解釈を強権的に拘束するというようなことにはなつておらないのであります。
  126. 川島金次

    ○川島委員 そうすると結果的に言いまして、これは仮定の話ですが、先ほど私の質問いたしましたような事態のもとにおいて選挙が行われ、しかも国鉄職員は兼職ができないと法務府では言うにもかかわらず、職員が立候補し、立候補は禁止されておらない。従つて選挙運動に入る。その立候補者が都道府県会議員等に当選する。これは政府の見解三しては兼職はいかぬという見解にあるけれども、職員の面では裁判を起すということになる余地が十分に残るわけです。従つてその最高裁の判決を得るまでは、当然その職員がその当選した職についていることができるという形になるのではないかと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  127. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 純粋に法律的に申しますと、ついておれるかどうかという問題は、結局選挙管理委員会の側の問題と国鉄側の問題と二つあるわけです。選挙管理委員会側も国鉄側も一致して、かりに私の申し上げますような法務府の見解を採用したということになれば、そのままついてはおれないという結果になる可能性があろうと思います。しかしながら訴訟の方は、これは自由でありますから、最稿裁判所の判決によつてさらにこれがくつがえるということはもとよりあり得るわけであります。
  128. 川島金次

    ○川島委員 そこでたまたま国鉄当局の方も来ておられますが、今私が最後に法務府にお尋ねした点について、国鉄当局はどういう見解を持たれるか、その点についてお答えができますならば、ひとつ明らかにしておきたいと思います。
  129. 足羽則之

    ○足羽政府委員 その点につきましては、選挙管理委員会意見国鉄意見との点について、今法務府の方でお答えがあつたのでございますが、今私といたしましてはちよつとはつきり申し上げかねます。
  130. 川島金次

    ○川島委員 この事柄は実はきわめて重大な事柄だと私は思うのです。幸いにいたしまして、両院協議会などが持たれまして、めでたく、ただいま言われた言葉のように、意見が一致して選挙に臨むという形になれば問題はないと思いますが、どうもそういうことでなくして、逆な事態が起り得るのではないかということを、われわれは懸念いたしておるのであります。従つて今法務府の見解は非常に明らかになりました。そこで選挙管理委員会あるいは日本国有鉄道、これらの当局の見解をもこの機会——われわれはこの問題の解決に先立つて十分にお尋ねもし、その点を明瞭にしておくことは、この三派から出されました各案の討論、採決に先立つ前提とする重要な要件ではないか。こういうふうに私は考えますので、委員長におかれましては、まことに恐縮でありますが、選挙管理委員会並びに日本国有鉄道の、これに関する明白な回答のできる立場の者をこの委員会に招致されまして、私その他の委員の御質疑があれば質問をしていただくところの機会を、この三條の一括的な決定に先立つて與えてもらいたい、私こういうふうに委員長希望を申し上げます。これに対していかがでございますか。
  131. 前田郁

    前田委員長 ただいま政府側を代表して足羽局長が見えておりますから、聞いていただいたらいいと思いますが……。
  132. 川島金次

    ○川島委員 私の言うのは、選挙管理委員会並びに直接関係のある国有鉄道の責任者に御出席を願つて、この問題の点をこの機会に明らかにしておいた方がよろしいのではないか、私ども老婆心ながらさように考えますので、明らかにするような機会を、この法案の決定前に與えてもらいたいということを私は要望したわけです。
  133. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今の川島委員希望に対して一応意見を述べさしていただきます。川島委員希望は、もしこの法案が通らなかつた場合、あるいは昨日の可決の法案がどうかなつた場合という、仮定を前提としてのお話のようでありますので、もしさような事態になつた場合にどうあつていいか、こういうことじやないかと思うのであります。従つてこの法案に対する当委員会の措置を済ましてから、また両院の審議の経過を見ましてから、あとで十分そういう問題を研究してもおそきにあらず、かように私は考えるのであります。
  134. 川島金次

    ○川島委員 今の意見に私は同意しかねます。この問題は来る四月三日からの問題なんです。三日後になつてそういうふうになつたからといつて、そのときには国会は自然的に休会に入ります。従つてその事態が起きたときからでは、もはや手のつけようのない実際問題があるのであります。そこで私はそういうことを委員長に動議として提出するという四角ばつたことでなしに、委員長としての政治的な配慮によつてこの問題を、われわれ疑点がございますから、明らかになるような機会を與えてもらいたいというのが私の希望なんです。私の動議とか希望とかいう、その取扱い方について論議されるならば、私はまたあらためて動議は動議として提出いたします。しかしそうでなしに、ここまで円満に来た委員会でありますから、できるだけ委員長の裁量によつて円満な形でこの問題を明らかにして、しかも最後の決定をしていただきたい、こういうふうに私は思うので、希望を申し上げたわけであります。しかもその希望はきわめて必要なことだと私は信じておりますので、重ねてお願いなしておくわけであります。
  135. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいま川島さんから希望の御意見がありましたが、かりにこの問題がどう採決して決定されようとも、法的解釈についてのことは、後においてもこの期間中に間に合うことになるわけであります。従いまして、この三案は各派の提案によるものでありまして、すでに質疑において詳細をきわめておりますし、委員長の手元にまだ討論の通告もないようでありますから、この際質疑を打切り、討論を省略されまして、ただちに採決されんことの動議を提出いたします。
  136. 前田郁

    前田委員長 ちよつと玉置委員に御相談しますが、江崎君から通告がありまして、一点だけ質問させてくれということでございますから、それを済ませて——それでは私は江崎君の質問をひとつ許そうと思つたのですが、それはできないそうでございますから……。     〔「そんなばかなことがあるか」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  137. 前田郁

    前田委員長 ただいま質疑終局の動議が出たわけでありますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。まず前田郁君外二名提出日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  139. 前田郁

    前田委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決いたしました。  ただいま委員会におきまして前田郁君外二名提出衆法第二九号、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案が可決されました結果、他の二葉につきましては議決を要しないものといたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 前田郁

    前田委員長 それでは他の二案は議決を要しないものと決定いたしました。  本案に対する委員長報告書については、委員長に御一任をお願いしたいと存じます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 前田郁

    前田委員長 それではさようとりはからいます。   それでは暫時休憩いたします。     午後三時二十一分休憩      ————◇—————     午後四時五十一分開議
  142. 前田郁

    前田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案につき、質疑を続けます。
  143. 川島金次

    ○川島委員 まず第一に鈴木総裁にお伺いをいたします。新たに営団計画、実施に着手いたします新設地下鉄計画は、すでに実施の域に入つたと私は聞いておるのでありますが、この実施計画の中で私が少しく疑問に思う点がありますので、この際その点を明らかにしていただきたいと思うのであります。  その一つは、この新設計画の予定資本金は、四十八億何がしと記憶いたしております。この四十八億の資金計画の決定したのが、先ほどの質疑で明らかになつたところによると、昨年の七、八月ごろではなかつたかと想像される向きがあります。昨年の七、八月ごろこの計画をかりに立てたといたしますれば、朝鮮事変の勃発した直後であります。その後遺憾ながら国際情勢の変化に伴いまして、国内物資は著しい騰貴を示しておるのであります。従つてこの四十八億何がしの昨年の夏に定めた計画によつて、これだけの金額で、はたして予定の計画が現実に実施が可能であるかどうかということを、私はきわめて懸念いたすものの一人であります。御承知のように国鉄の予算ですらも、それぞれ国際物価の値上りに伴い、国内物価市場の著しい変化の影響を受けて、ことに建設勘定のごときは、八箇月ないし九箇月予算だとさえもいわれております。物の中においては七割も暴騰し、あるいは品物によつては倍以上の金を出さないと、手に入らないという物資すらも今日は出ておるのであります。こういう各般の物価事情を勘案してみますと、営団計画いたしました資本金額をもつて、新しい計画計画通りに実施できかねる事情が、もはや迫つているのではないかというふうに私どもは理論的に考えておりますが、その点は一体どういう見解を持たれておりますか。簡単でよろしいですから、御説明願いたいと思います。
  144. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 川島さんの御質問は、こもつとでございます。四十八億三千万円のこの予算は、実は二月に定めたのでございます。元はこれよりもつと低い予算でございました。しかしながら大体私の方で、資金調達し得る見込額と収支のやつて行ける金額をにらみ合せますと、この四十八億三千万円が手一ぱいではないかと思いますので、工事の方をよほど簡素化いたしまして、たとえば池袋の駅に深く入つておるところを少し前に出しますとか、鉄を地面にぶち込む間隔を技術上許される範囲で鉄材を省きますとか、そういうような省いた金と、それから余した金で四十八億三千万円——その単価は大体二月の単価でやつておりません。この五月、六月鋼材の見込みでやつております。     〔委員長退席、大澤委員長代理着席〕 それでありますから、六月以後に非常に上りますれば、また予算の修正をしなければならないと思いますが、われわれは五、六月のところで行けば大体鉄材が入手できますし、鋼材も相当手元に入つておりますので、大体この予算でやれるのではないか、こう見当をつけております。しかしながら著しきインフレになれば、これまた別の問題でございます。
  145. 川島金次

    ○川島委員 今の総裁のお言葉で、単価を定めたのはこの二月だとはつきりいたしましたので、私の考え方が若干違つて参るのでありますが、それにいたしましても総裁も御承知の通り経済安定本部の最近発表いたしております月々の物価指数等から言いましても、ことにこの種の工事に必要な資材は、他の物資よりも著しい高騰の足どりを見せているのであります。しかも総合平均の物価上昇率だけを見ましても、何と驚くなかれ、二月以降三月に至るまでは、一週間に五%も上つているのであります。これは経済安定本部が発表している数字であります。しかもその後においても、なお今後世界の諸情勢から見まして、戦略的な物資を必要といたしますものが、地下鉄計画の中に多くの部分を占めております。従つて今後も漸次若干ずつの値上りが示されるのではないかという懸念を私は持つております。そういうことを前提として考えました場合に、今総裁が言われたように、いろいろ考え合せまして、最小限度の計画に切り詰めつつ計画を実施するのであるから、著しい物価の変動のない限りは、これで何とかやられるのではないかというお言葉でありまするが、そういうことであつて、はたして地下鉄の運転の安全性というものが保障されることになるかどうか。これは国鉄の場合も同様、ことに地下鉄でありますので、最も一般の乗降客の関心の焦点となる問題でありますので、その点についての見通しをこの機会に明らかにしていただくことが必要ではないかと思うのであります。
  146. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 先ほど申し上げましたごとく、物価の点がわれわれといたしましては非常に懸念されるのでありますが、一番大きい鋼材については、約半分ほど契約済みで入つて来ております。しかも今度の予算は、大体鋼材についてはこの五、六月ごろ——大体そのくらいのところになるだろうという予算で組みましたので、そうすれば大半の鉄は入るであろうと思つております。しかしながら何しろ物価の値上りがありますので、工事の簡素化をはかるために、運転上危険のおそれあることはないかという御質問でありますが、これはわれわれとしても最も重要な関心を持つておる問題でございまして、決して運転の安全性をそこなうような簡素化をするつもりはありません。ただ設備の方におきまして簡素化を少しやつて、そうして深く池袋の駅の中に入つていたものをどうするとか、あるいはシード・パイルの間隔をどうするかという問題でございまして、これは技術上安全でありまするから、心配はなかろうと思つております。そういう点で、運転上における保安設備については極力自分の方では努めまするし、先ほども申しましたが、モーターのごときも新しくアメリカで発明されたモーターを使いたい、こういうぐらいの決心を持つております。
  147. 川島金次

    ○川島委員 では次に続いてお尋ねしますが、時間がありませんから端折つて行きたいと思います。この資金調達計画書によりますと、見返り資金が二十五年において二億五千万円、交通債券が二億ですか、合計四億五千万円と計算されておりますが、もう年度末でございますので、この資金がすでに調達済みであるのかどうか。それから交通債券の滑化状況とその見通し等について、何か具体的なものがありますれば、それを明示していただきたいと考えます。
  148. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 この見返り資金の二億五千万円は、GHQの方のアプルーヴも参りまして、日銀の方から今度私の方でいただくものでありますが、この法案通りますと担保の條項がここにありますので、なるべく早く法案を通していただきたい、こう思つております。なお二億円の交通債券でございますが、これは実は書きましたときはその予定であつたのでありますが、この交通債券発行の関係から、今は一億円しか発行しておりません。三月に一億円発行する予定でありましたが、日銀のわくがどうしてもとれませんので、これを四月に延ばしました。そこで私どもの方は銀行から六千万円ばかり社債の前借りをいたしまして、そうしてこの法案通りますれば、四月に一億円債券を発行して前借りを返そう、こう思つております。  それから消化の方法でありますが、この一億円の交通債券は十二月に発行する、そうして大体消化は一億円を突破しまして、三百万円ばかり——しかしながら一億円と押えましたけれども、大体そういうような交通債券は、今の営団経済状態がよろしいのと、見返り資金のアプルーヴがあつたということと、この法案において性格がすつきりいたしますれば、相当に消化し得られると思つております。ただ銀行業者は、建設費がはなはだしくかかつて収支が合わないような状態になりますることを心配しておりますので、われわれはその点においては気をつけて行きたいと思つております。
  149. 川島金次

    ○川島委員 この年度別資金調達計画によりますれば、二十六年度に十億、二十七年度も十億、かなり高額な資金計画になつております。これは政府の全体的な資金計画のわく内で行われなければならない性質のものであるわけでありますが、その点は一体政府との間にどういう話合いができているのか、その点まとまつているものがありますれば、この機会に示してもらいたい。
  150. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 つまり二十六年度、二十七年度以降の交通債券の発行は、今までは民間のものだけでやる予定であつたのでありますが、この法律改正されれば、預金部の金を使えることになる。そうするとこの交通債券のあるものは預金部で引受けていただいて、あるものは民間で持つ、こういうことになりまして、この預金部で持つてもらうわくその他につきましては、大蔵省と運輸省との折衝をお願いするつもりであります。
  151. 川島金次

    ○川島委員 そうすると二十六年度以降の交通債券のうちの預金部が引受けますわくについては、まだ具体的に決定してはおらぬと理解してよろしいですか。
  152. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 これは私より運輸省の方に御答弁願つた方がよろしいと思うのでありますが、地下鉄建設することが必要であり、これだけの資金がいるということは明瞭であります。しかもこれを民間交通債券だけでは消化し切れないから、預金部の金をもつて充当しよう、こういう方針にきまつておりますので、わくの範囲は運輸省と大蔵省との間に当然根本方針がきまり得るものと思います。
  153. 川島金次

    ○川島委員 それではそのことについて運輸省の方にお尋ねしたい。先ほどのお話では、まだ漠たるもののようにわれわれは聞きまして、不安を感じた一人なんですが、その点について率直に言いますればどういうふうになつておりまするか、もつと具体的に明らかにしておいてもらいたいと思います。
  154. 唐澤勲

    唐澤政府委員 ちよつと速記をとめていただきたい。
  155. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 速記をとめて……。     〔速記中止〕
  156. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 速記を始めてください。
  157. 川島金次

    ○川島委員 そこでさらに次に総裁にお尋ねいたします。今度営団法の一部が改正されますと、従来ありまする評議員制度は廃止されまして、管理委員会の姿になる。この問題について、いろいろ與党の諸君からも議論が出て来ておるように私は承つておるのです。その中で、午前中総裁がこれに関連して答弁をされた中で、この改正案の法の外において、何らか民主的な審議機関を設けるということが出て来れば別だという意味にも受取れるようなお答えがあつたわけです。そこで念を押しておきたいのですが、この管理委員会は別といたしまして、これが成立いたしました後において、そういう外郭的な、民主的な、何か評議員会の制度にかわるような審議会と申しますか、そういつたものをつくるという意図があるのか、あるいはそういうものは全然うくる方針がないのか、その点はどういうふうになつておりますか。これは総裁及びこの改正案の提案者にも伺いたいところでありますので、御回答願いたい。
  158. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 今川島さんの御質問中、評議員会ができれば別だというようなお言葉がありましたが、評議員会のごときものがあれば、管理委員会はいらないという意味でなくて、委員会ができても、前の評議員会のような制度で。いろいろの知恵を借りる制度を設けるということも考えられる、こういう意味で申し上げたのであつて評議員会のようなものを置くことがいいのかどうかにつきましては、これは私の方の定款で定めればいいのでございます。それでこの法案が通つて後に、この制度を置くかどうかということについては、われわれ経営者内部においてもいろいろ討論しておるところであります。ただこれは管理委員会と衝突するとおもしろくないという意味で、各方面の人の意見を聞いておりますが……。ちよつと速記をとめていただきたいのですが……。
  159. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  160. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 速記を始めてください。
  161. 川島金次

    ○川島委員 私は、今の評議員制度にかわる何らか審議会のようなものを、民主的につくる必要があるのじやないかと個人的には考えておる一人なんですが……。翻つてこの管理委員の数でありますが、これは五人であります。この五人の中に主務大臣が自由に任命できる者が三人あるわけなんです。こういう管理委員会の中か、もしくは外に評議員会制度のごときものができれば別なんですが、そういうものができないといたしますれば、この管理委員会の定員を若干ふやしまして、地下鉄自身の労働組合の代表者、あるいはまた地下鉄の利用者を代表する立場に立つ者を一名ぐらいは、この管理委員会委員の中に加えることの方が好もしい姿になるのではないかと、実は私自身では考えておるのでありますが、そういう事柄については総裁はどういうふうな見解を持つておられますか、それを承つておきたい。
  162. 鈴木清秀

    鈴木(清)参考人 管理委員会は、御存じの通り予算及び事業計画資金計画というような、根本計画をきめる際に議決を経る機関でありますが、私のところの機関は、この工事計画としていわゆる資金は非常に大きいのでありまするけれども、事業そのものは至つて小さいのであります。それでありまするから、こういう項目をつくる委員があまり多いことは、われわれとしては感心しないことであつて、かえつて経営の機動性を失う結果になりはせぬか、こう思つております。評議員会という場合に、自分のところの組合員を——今実は評議員会には私鉄総連の組合の人が入つているのですが、自分のところの組合員が経営に入ることがいいことかどうか、非常に疑問だと思いますけれども、他の今のような組織においては考えられる余地があるのではないかと思つているのです。しかしこれはまだ関係官庁とは何も相談しておりませんので、定款をつくる際に、新しい管理委員会の承認を得なければなりませんので、その後にきめたいと思つております。
  163. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次に満尾君。
  164. 滿尾君亮

    滿尾委員 この法案の問題でありまするが、地方鉄道法が交通営団に適用されるかどうかということが、あまり明確でないように思いまするから、政府委員の方から、その点についての御見解を伺いたい。
  165. 唐澤勲

    唐澤政府委員 交通営団は、営団として従来鉄道法の適用を受けております。このたびの改正によりましても、この点別にかわりございません。従来通り適用があると解釈しております。
  166. 滿尾君亮

    滿尾委員 適用があるというその根拠でありまするが、それは地方鉄道法の第一條の解釈から、そういう解釈を御援用になつておりまするか、その点を伺いたい。
  167. 唐澤勲

    唐澤政府委員 地方鉄道法第一條におきまして、「公共団体又ハ私人」という文字を使つてございますが、もともと地方鉄道法のできましたときには、営団とかいうようなものを考えておらなかつた。従つて特に行政などをやるところの公法人というようなものは別としまして、その他のものにつきましては適用があるというふうに解釈して、従来営団もその適用を受けて来たのでありますが、その点におきましては今後もかわりがない、かように考えております。
  168. 滿尾君亮

    滿尾委員 私の質問は明日に讓りまして、これで打切りたいと思います。明日はぜひ大臣の御出席を求めたいと思いますから、当局においてその手配をせられることを希望いたします。     —————————————
  169. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 この際お諮りいたします。去る二十六日委員異動に伴い、観光小委員長及び鉄道電化促進に関する小委員長が欠けておりますので、委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 それでは委員長より観光小委員長に畠山鶴吉君、鉄道電化促進に関する小委員長前田正男君を指名いたします。  本日はこれにて散会し、明日午前十時半より委員会を開きます。     午後五時二十一分散会