運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-23 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十三日(金曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君 理事 原   彪君       稻田 直道君   岡村利右衞門君       片岡伊三郎君    黒澤富次郎君       玉置 信一君    畠山 鶴吉君       前田 正男君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    木下  榮君       川島 金次君    江崎 一治君  出席政府委員         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務官         (大臣官房長) 荒木茂久二君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君  委員外出席者         参議院議員   岡田 信次君         参議院議員   山縣 勝見君         参  考  人         (青森県知事) 津島 文治君         参  考  人         (青和銀行頭         取)      小館 貞一君         参  考  人         (青森商工会議         所会頭)    田沼 敬造君         参  考  人         (青森市長)  横山  實君         参  考  人         (青森りんご振         興会社社長)  安田 吉助君         参  考  人         (日本国有鉄道         青函管理局青森        操車場運輸係) 小田桐政次郎君         参  考  人         (山口県副知         事)      小澤 太郎君         参  考  人         (下関市長)  松尾 守治君         参  考  人         (下関会議         員)      齋藤 善次君         参  考  人         (下関商工会議         所副会頭)   有吉 京吉君         参  考  人         (佐賀県出納         長)      横尾 將夫君         参  考  人         (鳥栖町長)  橋本 雅弘君         参  考  人         (鳥栖商工会議         所会頭)    笠井 定雄君         参  考  人         (佐賀興業銀行         取締役)    峯  英夫君         参  考  人         (日本国有鉄道         労働組合鳥栖支         部委員長)   高口 由松君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 三月二十三日  委員淺沼稻次郎君辞任につき、その補欠として  川島金次君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二十三日  低性能船舶買入法の一部を改正する法律案(参  議院提出参法第九号)  低性能船舶買入法規定により国が買い入れた  船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関  する法律案参議院提出参法第一〇号) 同月二十二日  伊豆山に電車停留場設置請願畠山鶴吉君紹  介)(第一四五八号) 船舶港拡張工事施行請願玉置信一紹介)(  第一五一五号)  生山、道後山両駅間に国営自動車運輸開始の請  願(稻田直道紹介)(第一五一六号)  生山待合室拡張に関する請願稻田直道君紹  介)(第一五一七号)  青笹停留所一般駅に昇格の請願小澤佐重喜  君紹介)(第一五四七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠及び追加選任  連合審査会開会に関する件  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案  (参議院提出参法第八号)  低性能船舶買入法の一部を改正する法律案(山  縣勝見君外四名提出参法第九号)(予)  低性能船舶買入法規定により国が買い入れた  船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関  する法律案山縣勝見君外四名提出参法第一  〇号)(予)  国鉄地方機構に関する件     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  低性能船舶買入法の一部を改正する法律案及び低性能船舶買入法規定により国が買い入れた船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関する法律案を一括して議題とし、審議を進めます。両案に対する質疑を続けます。江崎一治君。
  3. 江崎一治

    江崎(一)委員 この低性能船舶買入法が設定された当時の海運状況は、余剰船舶が非常に多い。しかも非常に低性能であるという。これが日本海運のがんになつておつたと言つておるのでありますが、その後状況が大分変化したと思いますけれども、どういうわけでこういうような再び朝令暮改的な、そういう法律案を提案しなければならぬことになつたのか、その理由をもう少し詳しく御説明していただきたいと思います。
  4. 山縣勝見

    山縣参議院議員 御質問にお答えいたしますが、昨年この低性能船舶買入法が発議されまして、国会に提出され、通過いたします際の状況は、御承知通り昨年の四月一日に運営会による運営が廃止されまして、自由運航になつたのであります。当時におきましては内航において非常に船舶が過剰でありまして、大体朝鮮動乱直前において九十万トンないし百万トン繋船がありました。また世界的にも非常に船腹が過剰とまでは行きませんが、相当船腹荷動きとの関係が回復していなかつたのでありますが、朝鮮動乱契機として、御承知通り世界的な食糧なりあるいは重要物資輸送が、非常に各国とも緊迫状態を来しまして、ことにわが国といたしましてはその後外航船舶を中心として、非常な緊迫を来したのであります。詳細な説明はもしも御質問がございましたら御説明を申し上げますが、ことにその後中共の関係があんなふうになりましたし、昭和二十五年の第四・四半期におきましても、五十数万トンの中東からの遠距離の輸送が必要であり、昭和二十六年におきましても約三百万トンが必要であり、なおまた昭和二十六年度の通産省定期物資、あるいは石油を除いても千四百万トン重要物資食糧輸送が必要である。これらに対しては現在通産省の見るところによりますと、百数十万トン船腹不足しておる。従つて三百六十七万トン重要物資輸送できないというふうな非常な状況であります。でありますから情勢の変化は、相当世界的にもまた国内的にもあつたのでありまして、せつかく船腹需給関係、ことに内航の船腹需給関係で、この前の買入法案ができたのでありますが、現状をもつていたしますれば、外国から船舶輸入いたしますか、あるいは新造船を促進いたしますか、あるいは沈船の引揚げをいたしますか、いろいろな政策をとりましても、なおかつそこにはおのずからいろいろな制約があるのでありまして、傭船は御承知通りなかなかできません。買船もこれまたなかなか思うように行かないのでありますが、かりに買船ができたといたしましても、なおかつ政府の所要の食糧重要物資輸送ができませんから、かりに買船をいたすといたしましても、外国に金を拂うのであります。でありますからせつかく日本船骸があつて、その船骸改造いたして、しかもその改造いたしますのは、やはり船主リスクによつてやるのでありますから、やはりその改造費も適当に考えて、しかもその改造日本造船所においてやるのでありますから、さような関係から見まして、適当の改造費日本造船所で、しかも日本人が持つておりまする船骸を利用して、日本外航船腹を拡充いたしますことが、国策上適当ではないかという考えで、この法案提出いたしたのであります。船腹需給の内外の状況につきましては、もしも御質問がございますれば、さらに詳細に御説明申し上げます。
  5. 江崎一治

    江崎(一)委員 もう少し具体的に御説明をお願いしたいのですが、対米航路あるいは対ヨーロツパ航路あるいは近海航路、こういうふうにわけますと、どれくらいの船腹が今必要であり、どういうふうな不足を来しておるのか。できますれば数字をもつて説明してもらいたいのであります。
  6. 山縣勝見

    山縣参議院議員 まず世界的の問題を申し上げますと、戦前は約六千八百万トン、現在八千二百万トンでありますが、御承知のアメリカにリザーヴ・フリートが約千数百万トンあります。これを除きますと、戰前と現在の世界のコマーシャルの船腹量は大体同様であります。なおまた外洋の船舶、それは内航外航を含めました総船腹量でありますが、外航だけの船腹量は、大体総トン四千以上の船腹をかりに例にとりますと、戰前と現在はリザーヴ・フリートを除きますと、大体同量であります。しかも一九四七年に大体において世界貿易戦前状態に達しておりますし、御承知米国の昨年の国防生産法契機といたしまして、食糧なり生産に対する原材料の確保に対しては狂奔いたしておる事情でありますから、すでに一九四七年あたりから世界貿易が回復し、しかも現在の世界情勢から見まして、食糧原材料の入手に対して各国が狂奔いたしておる。しかも全体の船腹量においてリザーヴ・フリートを除きますと大体同量、それからまたリザーヴ・フリートを除きまして四千総トン以上の外航船腹を見ましても大体同量でありますから、世界的に非常な船腹不足は、大体これをもつても御了承願えると思います。日本事情から申しますと、昨年の朝鮮動乱直前におきまして、百万トン繋船がありましたが、現在におきましては一トン繋船はありません。いわんや最近内航船腹需給関係が、外航に比してはさほどまでにない。内航の荷動き量船腹量に対してむしろ過剰であるというような見通しで、御承知通り昨年は運賃同盟までつくつて、そうして運賃の維持をはかつたのでありますが、ごく最近は九州炭輸送その他におきましても、船腹が非常に不足いたしております。いわんや外航船腹は、先ほどちよつと申し上げましたが、昭和二十六年度の通産省計算によりますと千四百万トンでありますが、千四百万トンを運ぶに対して、現在年間を通じて平均百十万トン通産省計算をいたしております。これはデッド・ウエートでありますが、かりに同量の外航船を利用できるといたしまして、なおかつ百二十万トンないし百三十万トン不足量があるのであります。それに対応いたしまする重要物資は三百七十万トン計算いたしておりますが、輸入のずれなどがありますから、それ以上四百万トン以上も、食糧あるいは重要物資において輸入不可能の物資があるのではないか。いわんや日米経済協力の態勢を整えるためには、相当輸入がここに起つて来るのではないか。御承知通り先般米国においては大統領が、外国に対して輸出の許可を解いたくらいでありますから、さような観点から見ますると、相当船腹不足があるのではないか。これは船腹の不定ではなくして、日本生産あるいは生活の最低限を維持するという点から見ると、非常に窮迫した状態が来るのではないかと思うのであります。さような点から申しますと、船腹の低性能改造だけでは追いつかぬのでありまして、他の政策をあわせ用いなくてはならぬのでありますが、少くとも当面われわれの利用し得る船、しかもそれを改造して外航船腹に利用し得るならば、まずもつてこれらを手をつけることが必要ではないかという意味をもつて提案いたしたのであります。その他詳細な数字は、御希望がございましたらば申し上げまするか、大体大要はさようであります。
  7. 江崎一治

    江崎(一)委員 今お伺いいたしますと、低性能船舶を多少改造して外航にかえたいというような御意見のように承りますが、低性能船舶は大体船齢三十年以上ある、こういうことになつておりますし、信濃丸なんかになりますと、われわれ実際見て来たんですが、たとえば一センチの厚さの鉄板が、長い間潮風に吹かれまして、二センチくらいにふくれ上つている。これを一つハンマーでばんとなぐりますと、ばらばらと錆びて落ちて、中身は五ミリくらいになる。これが実情である。こういうような船を多少改造して外航に使うということになると、非常な危險が伴うと思うのです。きのう御説明になりましたように、これに対して特別に資金が出るわけじやなし、船主が自前でやつて行かなければならぬということになりますと、これは必ずいいかげんな修理になつてしまう。こうなりますと、船員の側から見ると、これはまつたく命がけです。船主は、なるほど保險がかかつておりますから、沈没したつて、大した損害はないけれども船員はこれで命を落す。こういう非常な危險なことになる憂いがありますので、こういう点についてはどう考えておられるか。この点を明確にしてもらいたい。
  8. 山縣勝見

    山縣参議院議員 ただいま御質問がございましたが、少し考え違いがあるのじやないかと思うのであります。信濃丸は、改造いたしまして外航船腹にいたすのじやなくして、これは関係方面がある目的をもつて使用いたしておりますのを、その目的に沿いますために一年間延期するだけでありまして、改造いたすのではありません。
  9. 江崎一治

    江崎(一)委員 私は信濃丸だけ言つたのじやなくして、一般に低性能船舶というのは、そういうような傾向が非常に多いのです。非常に船齢が古いために、どこが悪いここが悪いというのじやなくして、非常に腐蝕の程度がはなはだしい。それをいいかげんな修理で再びこれを外航に使うということは、非常に危險を伴うことになりはせぬかということを憂えているわけです。
  10. 山縣勝見

    山縣参議院議員 その点につきましては、今大体改造をいたして外航のクラスをとらせるための法案対象になりますのは、大体五隻でありますが、五隻の船について私も検討いたしましたが、御懸念の点はないと思うのでありまして、むしろわれわれは相当改造をいたしますために、費用相当かかるのじやないか、従つて船主負担がむしろ多くなるのじやないか。船員諸君のことももちろん考えているのでありますが、船員諸君に対するそういうような危惧の念よりも、むしろ船主の方に相当負担がかかつて、相当りつば改造ができるのじやないかとむしろ考えておるのでありますから、御懸念の点に対しましては、もちろん政府等においても善処されると思いますが、提案者といたしましてはその点は懸念いたしておりません。
  11. 江崎一治

    江崎(一)委員 最近日本におきましては、海難事故が非常に増加している。特に日本海方面は海が非常に荒れるのでありまして、そのために設備の不完全であるとか、それから今言つたような老朽船を無理に使つているというようなことが原用いたしまして、十月の三十日ころでは市内造船幾久丸が行方不明になつている。そのほか、十二月十八日には東邦海運の古城丸が沈没しております。そのほかこれと同じような事故が各所に起つておりますが、これは今言つたような船主側が非常に安上りに、十分修理しなければならぬことをいいかげんにして酷使するために、利潤だけ追求して船を酷使する、船員をそれに無理に乘船させるということから起つているのでありまして、この点われわれ非常に大きな関心を持つているわけです。あなたは、そういう危險はありません、そういう御懸念はありませんと言われますけれども船主経営者側は陸におるのですから、毎日うまいものを食つて自分の家族と安楽に生活しておるのだけれども船員側から見ると、一枚底は地獄です。こういうことをよく考えてやりませんと——これは非常に大きな人道上の問題でもありますので、その点をもつと真劍に考えてもらいたいと考える次第であります。
  12. 山縣勝見

    山縣参議院議員 ただいまの海難に対することは、政府答弁いたすべきことだと私は思うのであります。私が提案理由として御説明申し上げておりまするのは、この法案対象になつておりまする五隻の船でありまして、五隻の船は大体戦標船と、在来船が一隻であります。それに対して、その範囲において私は御説明をいたしておるのでありまするから、その他の海難等につきましては、おのずから政府答弁をもつて御了解願いたいと思うのであります。私が提案いたしておりまする法律対象になつておりまする五隻の船に関しましては、お説のようなことはあり得べからざるごとと考えるのであります。なぜかと申しますと、船主改造するに際しましては、改造資金は出ないのであります。多少出ます。多少出ますが、大部分は自己資金をもつてやるのでありまするから、自分相当費用をかけて、相当リスクを含んでつくる船を、一朝一夕に、沈んでもいいというような考え方で、船主みずからやらぬはずであります。従つて船主船員との立場はまつたく同一であると思うのでありまして、ただその他の海難に関しましては、これは提案者立場答弁をいたすべきものにあらずして、政府が御答弁いたすべきものと思うのであります。
  13. 江崎一治

    江崎(一)委員 今御説明になりました五隻の船は、大体どういう用途に、どこへ使われるお見込みですか、その点を明らかにしてもらいたい。
  14. 山縣勝見

    山縣参議院議員 五隻の船はA型が二隻、中型及び小さい中型が三隻であります。大体においてA型は御承知通りいわゆる遠洋に就航いたし、なおまたD型はむしろ遠洋でございませんが、最近は朝鮮台湾もみ遠洋になつておりまするから、現在遠洋になつておりますうちでも近くに配船いたす、いわゆる外航船舶として配船いたすのであります。
  15. 前田郁

  16. 坪内八郎

    坪内委員 低能船舶買入法に基くいわゆる剰余金の件について、事務的に海運局長にお伺いいたしまして、しかる後に提案者に、あるいは海運局長にお尋ねいたしたいと思います。  すでに御承知通り、この低能船買入法によつて、われわれ二十五年度の予算におきましては、二十七億の予算を計上して、予定通りこれを買い上げようということに相なつたのでありますが、その後朝鮮動乱契機といたしまして、海運業界の変動により、意の如くならなかつたというような関係で、補正予算におきましては、八億そこそこの金を大蔵省に返還したというようなこともあつたのであります。海運局長にお伺いいたしたいのは、この関係予算的にどういうふうな経過になつておるのか、どのくらい買い上げて、実際はどのくらい金を拂つて、現益どのくらいの金が残つておるのかということを、われわれの手元に資料が来ておると思うのでありますけれども、結論的にひとつわかりやすくお話を伺いたいと思います。
  17. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 当初この買上げに充てておりました金額が二十七億でございます。そのうち給與引上げその他の引当て財源に、ある額を差引きまして、現存残つておりまする買上げ予算額は十八億八千四百万円、それで現在までに拂つておりまする額が九億九千六百万円、それから来年度に繰越して支拂いを予定しておりまする額が約七千万円、従いまして約八億が剰余金として出て来るわけであります。
  18. 坪内八郎

    坪内委員 ただいまお話のいわゆる来年度に返還すべき約八億というその金は、どういうようなおつもりでおられるのか、その辺をちよつとお尋ねいたします。
  19. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私どもといたしましては、買上げ予算で八億の剰余、それからこの前に繋船補助金としてとつておきましたものから、ある程度の剰余金が出るわけでありますが、それらの額と、さらに他の一般会計あるいは特別会計で残るであろうと想定されまする剰余額を集めまして、船舶改造並びに買船に対する特別融資の方向に、それらの剰余額を使うように持つて行きたい、かように考えまして、いろいろ努力をいたした次第でございますが、なかなか予算的に困難な点がございます。現在のところでは、それらの剰余額を使用する目途が立つておりません。従いましてこの剰余額は、二十五年度予算剰余金として国庫に返納するといいまするか、何ら使用されない剰余金と相なるわけであります。
  20. 坪内八郎

    坪内委員 いわゆる国庫に返納される剰余金につきまして、大蔵省の意向はどんなものでございましようか。
  21. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま申しましたように、これを改造その他買船に使用することが困難でございます。従いましてこれはそのまま、二十五年度から繰越して来た予定せざる剰余金として入つて来るわけです。その金をどういうふうに使うかは、今後の大蔵省の判断にまかされるわけだろうと存じます。
  22. 坪内八郎

    坪内委員 人体二十五年度の買上法によつて、二十七億の予算を計上した本質的な問題は、日本海運業界調整のために二十七億を計上したものであつて、その後海運業界の変動によつてこういつた結果になつたのであるから、運輸省といたしましては、当然そういつた海運業界のためにこれを使用するように増え、あるいは対策を練ることが私は当然じやないかと思うのでありますが、その点大蔵省のなすがままにするというのじやなくして、どういうお考えか、もう一度お尋ねいたしたいと思います。
  23. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 今度の増強措置がとられますまで、ことにこの剰余金が非常にたくさんになりましたのは、今度この売拂い対象になりまする船以外の、いわゆる岡内沿岸に使いまするE型船舶が、国内沿岸輸送の逼迫に伴いまして、相当ありましたE型船舶政府への売拂い申込みを引下げた、その結果出て来たものでございます。従いましてその引下げの措置を自由にとらせましたのが、ごく最近でございます。その結果今申しましたような、相当多額の剰余なつたわけです。従いましてこの予算を変更いたしまするがために、ある程度の時日を要するのでありますが、この相当額剰余が出るということがはつきりいたしましたのがごく最近でございまして、そういう時間的な関係もあり、これを完全に使用するための予算変更手続をいろいろとりまするために、非常に技術的に困難な面があるというところで、なかなか政府内における話合いもつかなかつたような次第であります。まことに私どもとしては遺憾に存ずるのでございまするが、この剰余額はそのまま剰余額として二十六年度に持つて行くよりしかたがないのではないか、かように考えております。
  24. 坪内八郎

    坪内委員 その点は了承いたしましたが、この剰余額の費途、用途につきましては、われわれはこれは慎重に取扱わなくちやならないということの含みを持たして、私はその点は質問を打切りたいと思います。  さらにこの後者の場合に、元の船主にこの法律の通過と同時にこれを返す、しかもその條件は、外航船舶として改修してこれを使う場合に返すのだというような條件付法律でありまするが、実際問題といたしましてこれは相当費用がかかるから、船主側でこの改修がようできないということで、船主側がこれを引取らないというような場合には、これは競売というようなことになるのじやないかと思いますが、その場合に競売ということになると、政府が買い上げた値段より、今日の経済情勢からいつて高く売れるのじやないか、その差額はどういうふうな経過になるのでありましよう。その点をお尋ねしておきたいと思います。
  25. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 競売いたしました額が、政府の買い上げました額よりも高い場合におきましても、当然その差額政府のふところに入るわけでございます。
  26. 坪内八郎

    坪内委員 その点はその通りでありまして、私も十分その点承知いたしておりますが、何かわれわれが受ける印象は、政府が商売をやるような、安値で買つて高値で売るというような関係になりますので、この点も愼重にひとつ運輸省といたしましては考慮を拂つていただきたいと思います。  さらにもう一点お尋ねいたします。この後者法律案のことでありますが、外航船腹としてこれを需給調整のためにこういつた法律案を出すのだということでありますが、なぜもつと幅を広くして、外航船舶のみならず、ほかの用途にも使うような意図のもとに、こういつた法案を出さなかつたのかどうか、その点をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  27. 山縣勝見

    山縣参議院議員 最近スクラップ等が上つて参りましたので、いろいろなことが考えられるのでありますが、やはり私は当面のことにのみ考えをいたしてはいかぬと思うのでありまして、日本海運の大本から申しまして、日本の商船隊の持ちまする健全な内容をわれわれは期待いたしたいのでありますから、これはやはり今回の法案を出しますときにまず第一に考えましたことは、かような事態になつて、かような修正案なりまた新たなるそれに関連した法律を出しますことは、前の買入法がむだでなかつたかということがよくいわれるのであります。しかしこれはやはり前回の低性能船舶買入法というのが、嚴然としてその意義を持つておると思うのであります。さような見地から、今回やはり政府が一旦買い上げた船舶拂いもどすのは、当面日本海運の将来を考え日本の商船隊の健全ということを根本において考えつつ、当面の急を補う一つの措置として、この売り拂いをいたすことが適当ではないか、同時に最近よく買船のことをいわれますが、買船もやはり当面の急を救うための措置でありまして、そのために新造船をおろそかにすることができないと同じような理由でもつて、この法案考えて提案をいたしたのでありますから、やはり当面の急は、内航船舶は多少最近において緊迫いたしておりますが、大型船では大量の戦標船が依然として内航にあることはいかがかと考えますので、どうしてもこれは外航船舶に使用する、そのためには御承知通りこのクラスを持ちませんので外航に行けぬのでありますから、やはり改造をいたして外航船の船級をとることによつて、さような條件のもとにこれをレリーズいたしますことが、日本海運政策としても適当ではないかという意味で、実は提案いたしたのであります。なおこれを外航以外のものに、海運業者あるいはその他の使用に、この船舶を利用してもいいのじやないかという、もしも御質問の趣旨でございますならば、これはいずれ政府がさような船主が船級をとれないというような場合には、政府はこの船骸をむだにするわけではないので、やはり適当な売拂いをいたすのでありますから、その方法によつて適当な使途に供せられると思うのであります。さような点から申しまして、やはりこれは外航の船級をとりますことを條件にしておりますことが、適当だと考えたのであります。
  28. 坪内八郎

    坪内委員 ただいま提案者山縣君の意見は了承いたしましたが、運輸省当局といたしましては、ただいまの提案者のお気持とほぼ同じ気持であるのか、さらに飛躍した、前進した気持を持つておられるのか、その点を岡田海運局長にお尋ねいたします。
  29. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 売りもどしの範囲を非常に広げますと、ほとんど収拾のつかなくなるような結果になるのではないか。従いまして私どもはこれを外航に出る船に改造するという、きわめて限定した目的に限つたような次第であります。従いましてこれを拂いもどしを受ける船主は、少くとも船級をとつて、これは海連に使うかあるいはその他の用途に使うかは別といたしまして、少くとも外航に出る船級を持つた船に改造するということは、一つのはつきりした條件になるかと思います。
  30. 坪内八郎

    坪内委員 最後にもう一点お尋ねいたしたいと思います。ただいまの点は了承いたすことにいたします。  そこで後者の場合の法律案のことでありますが、低性能船舶買入法によつて政府がこれをスクラップとして買い上げてしまうということの建前で、いわゆる老朽船政府は買い上げたのであるが、その後政府がこれを引取るときは、機械その他は全部とりはずしてしまつて、そうして完全にスクラツプができる態勢で政府が引取つたのだろうと思いますが、その後、前にとりつけられておつたところの機械その他というものは、もちろんこれは船主側は適当に処分しておるのだろうと思いますが、どういつたことになつておるのでありましようか。その点わかりますればお知らせを願いたいと思います。
  31. 山縣勝見

    山縣参議院議員 お尋ねのエンジン、ボイラー等でありますが、これははずしたものもありますし、はずさぬものもあります。はずしたものを、今回この船骸を優先的に船主拂いもどす。その際に船主が希望しないとかその他の場合においては、一般に譲るということの趣旨は、やはりさようなエンジン、ボイラーを船主が持つて、はずしておるか、あるいはそのままでありますか、いずれかの場合でありますから、これを利用させるということもこの改造を有利に、また安く適当にするという趣旨で、さような優先の措置をとつたのであります。でありますからそのエンジンは、はずしたものもあるいはもう一度それを使うか、あるいはエンジン、ボイラーを、他の方の船舶に利用するために売つて、その代金でさらに適当なエンジン、ボイラーを備えつける、いずれかの場合でありますから、エンジン、ボイラーはその船によりまして、一概に申せませんが、利用いたすものもあり、利用しない場合もある。利用しない場合には、それを売つた代金でもつて適当なエンジンを買つて備えつけるということに相なると思います。
  32. 坪内八郎

    坪内委員 ちよつとお尋ねいたしますが、政府が買い上げる場合は、ほとんどエンジン、ボイラーは全部とりはずして買い上げたのじやないですか。
  33. 山縣勝見

    山縣参議院議員 御承知のように、それは申込みをいたしまして、そうしてその申込みをいたして後引渡しまで、期間があるのであります。そして引渡した後に、この法律によつて運輸大臣が保管し、それを大蔵大臣に渡して、大蔵大臣が解撤をいたしますのには、おのずから期限があるのでありますから、そのエンジンは大体リムーヴいたしましたのが多いのでありますが、しかしそのエンジンは船主が持つておりますから、その船主の欲するところによつて一応リムーヴしたエンジン、ボイラーをもう一ぺん積んで改造する、あるいはしない、両方あります。
  34. 坪内八郎

    坪内委員 他に二、三お尋ねしたい点がありますけれども、これで質問を打切りますが、この低性能船買入法の関係によつて生ずる剰余金につきまして、その用途について、いま少し私検討したい点がありますので、質問をこの点のみ保留しておきます。
  35. 江崎一治

    江崎(一)委員 わが国の造船能力は、年間大体八十万トンほどあるというように聞いておりますが、もし低性能船舶の、不完全な船の修理をやつて無理に使うというようなことをやら無いで、むしろはつきりした海運行政を立てて、新しい能率のいい船をつくつて行くという方が、ずつと正しい政策じやないかと思います。その点岡田海運局長はどういうふうに考えられますか。
  36. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 御説明ごもつともと存じます。私どももお説のような方針で進んでおるわけであります。新造を中心にする。ただ買船とか低性能改造、これはあくまでも応急的措置でありまして、御承知のように新造は十箇月から一年近くかかります。改造の方ですと、四箇月くらいで、少くとも船として動き得るようになるわけです。従つて応急措置としてこれをやつております。先ほどこれを改造してやつても、非常に船が悪いじやないかというお尋ねがたびたびございました。今度改造いたしまする船は、すべて外航に出る適格船として、外国の船級協会のクラスを持つというようにいたすわけであります。従つて先ほど仰せられたような、外板が非常にいたんでおるというものは、すべてとりかえて、一定の強力、安全性を持つた船にするわけであります。従つて御心配のような点はないのであります。新造船に比べますと、多少安全性は劣るかもしれませんが、先ほど仰せられたような危險性はないと私どもは確信しております。
  37. 前田郁

    前田委員長 これにて本案に対する質疑は、本日は終了いたします。
  38. 前田郁

    前田委員長 次に帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案を議題とし、審議を進めます。これより質疑に入ります。江崎君。
  39. 江崎一治

    江崎(一)委員 この法案にありますような地下鉄をつくりますために、この資金をどういうように引出して行くか、たとえば見返り資金から幾ら、それから預金部資金から幾らというように、分析して説明を願いたいと思います。
  40. 岡田修一

    岡田参議院議員 大体池袋、神田間の建設をいたしますために、四十九億の費用を要するわけでございますが、この資金調達の内訳といたしましては、昭和二十五年度におきまして見返り資金から二億五千万円、交通債券といたしまして二億円、合計四億五千万円、二十六年度におきまして、資金運用部資金から借入れますのが四億円、交通債券が十億円、そのうち約半額が資金運用部資金から借入れる予定に相なつております。そのほか増資その他で一億六千二百七十五万円、合計二十六年度におきましては十五億六千三百七十五万円の計画になつております。なお二十七年度におきましては、やはり資金運用部資金から四億円を借入れまして、交通債券を同じく十億円、やはり半額は資金運用部資金から出してもらうことになつております。増資その他に二億二千六百七十五万円、二十七年度におきましては、合計十六億二千六百七十五万円、二十八年度におきましては、資金運用部貸金の借入れが同じく四億円、交通債券が七億円、その半額はやはり資金運用部資金から出してもらうことになつております。増資その他が九千万円で、合計十一億九千万円、この合計が四十八億三千五十万円でございます。この合計の内訳をさらに申し上げますと、見返り資金が二億五千万円、資金運用部資金の借入れが十二億、交通債券が二十九億、大体二十九億の半額が資金運用部資金借入れ、増資その他が四億八千五十万円、合計四十八億三千五十万円となつております。
  41. 江崎一治

    江崎(一)委員 地下鉄の拡充大いにけつこうでありますけれども、これを見ますと、何だか片手落ちのような感じがする。というのは、二十六年度におきます地方鉄道の建設文金が、たつた三億くらいしか支出されないのに比べまして、四十数億の令が地下鉄に集中して出されるというのは、何だか割切れないような気がする。その点どういう政治的の見通しでありますか、その点を明らかにせられたい。
  42. 岡田修一

    岡田参議院議員 ただいまのお話まことにごもつともでございまして、二十六年度の国有鉄道の新線建設費の予算を見ますと、三億二千余万円であります。一方地下鉄の建設の二十六年度の予算が十五億余、そのうち半額以上が大体政府の出資ということに相なつておりますので、一見はなはだ地方交通の拡充と都市の交通の整備という点に、バランスを欠いておるというふうに考えられるのでございまするが、政府におきましても諸般の事情から、地方における新線の建設に対して予算がとれなかつた。大体二十六年度から新発足いたしまして、今後二十七年度、二十八年度、続いて相当の程度に新線建設に邁進したい、こういうような考えを持つておりますのと、一方東京におきます交通の現状にかんがみまして、まずこれを早急に拡充する必要があろうというわけで、かように相なつておると存ずるのでございます。
  43. 江崎一治

    江崎(一)委員 今バランスを欠いている点について御説明があつたのですが、そのバランスを欠いておつても、こうする方がよいのた、こうしなければならないという説明は、どうも納得できないのです。非常に理論が不明確であつたと思うので、もう少し整理してお話を願いたいと思います。
  44. 足羽則之

    ○足羽政府委員 交通営団と新線の関係の御質問でございますので、私からお答えをさしていただきたいと思うのであります。御質問の要旨は、政府資金の新線建設に対して充当されるものと、営団に対して充当されるものとの間に、バランスを欠いているような感じがするがどうかということであつたと思いますが、営団に運用部資金から借入れるという考え方は、実はこれは、当初は見返り資金から充当するように計画されたわけなのでございます。ところが見返り資金を営団のこれに使うということについての見通しが相当むずかしくなつて参りまして、そこで運用部資金の方から充当して行こうということに、いろいろ折衝のうちに考え方がかわつて参つた次第であります。営団の新線建設の仕事の重要性は、御了承いただけると思いますが、これに充当する金がかわつて参つた。それでこういうふうに、営団に対する運用部資金を計画の中に入れた点は、御了承願いたいと考える次第であります。なお国鉄の新線計画につきましては、従来もしばしば御質疑があつて説明申し上げたのでありますが、来年度の国鉄の予算には三億二千六百万円の金が計上してあるのでございます。なおそのほかにつきましても、新線の建設についてもつともつと計画いたしたいというので、極力努力をいたし、折衝をいたしたのでございますが、残念ながら予算として皆さまの御審議を願うような形まで参らなかつた次第でございます。しかしこの新線の計画につきましては、今後国会で御提案なさるというふうに私たち承つております新線建設審議会が、今後どういうふうに取扱われますか、それが設置されますれば、それの経過と相まつて努力をいたして参りたい、こういうふうに考えているわけであります。ただ現在の予算と営団との関係の御質問については、そういう御疑念のあることはごもつともと思いますが、しかし私たちとしましては、営団の計画の必要性ということも十分に考え、かつ新線につきましても、今後十分努力を沸いたい、こういうふうに考えている次第であります。
  45. 前田郁

    前田委員長 本案に対する質疑は、本日はこの程度で次会に延期いたします。     —————————————
  46. 前田郁

    前田委員長 この際お諮りいたします、本日、船舶職員法案に対し、水産委員会より連合審査会の申入れがありましたので、この申入れを認めることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。開会の日時につきましては、委員長に御一任をお願いいたします。     —————————————
  48. 前田郁

    前田委員長 この際お諮りいたします。本日招致の参考人中、中部利三郎君、弘長務君、山本和介君及び松尾正一君の代理人として有吉京吉君、小澤太郎君、齋藤善次君及び峯英夫君を参考人とし、また青森関係青森県知事津島文治君を追加参考人とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  午後は一時半より開会いたします。暫時休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ————◇—————     午後一時五十分開議
  50. 坪内八郎

    坪内委員長代理 ただいまより委員会を再開いたします。  委員会を開くにあたりまして、本日御出席の参考人各位にごあいさつを申し上げます。本国会の勢頭運輸委員会は、陸運、海運及び空運に関する事項につき国政調査をいたすことに決定し、国会が持つ国政調査権の一端として、運輸行政全般にわたり、本日まで検討して参つたのでありますが、昭和二十四年六月一日発足いたしました日本国有鉄道の公共企業性、独算制、ひいてはその機構面につき、調査の過程において、また種々の法案の審議の際におきまして、委員会として愼重に再検討いたさねばならぬ段階に到達いたしたのであります。  去る第八国会の本委員会におきまして、国鉄新機構の状況につき視察の結果、東北、北関東、近畿、中国においては、運営上幾多の支障欠陥ありと認め、国有鉄道運営の円滑を期し、公共の福祉を増進するため、すみやかに青森、宇都宮、姫路、下関に鉄道管理局を設置するようとの決議を行つたことは、すでに御承知のことと存じます。  国鉄の新地方機構発足以来数箇月を経過しておりますので、現地における状況につき、地元関係者の忌憚なき御意見を聞き、本調査の資に供したいと存じ、本日お招きいたしたわけであります。各位におかれましては、その立場立場より腹蔵なき御意見の御開陳をお願いいたします。  本日は御多忙中のところ、貴重なる時間をおさきになり出席していただきまして、委員長として厚く御礼申し上げます。  なお議事の順序を申し上げますと、参考人の発言の時間は約十分程度といたし、その後において委員より質疑があることと存じますが、これに対しても忌憚なくお答え願いたいのであります。  なお念のために申し上げておきますが、衆議院規則の定めるところにより、発言は委員長の許可を受くることになつております。また発言の内容は、意見を聞こうとする案件の範囲を越えてはならぬことになつております。また参考人は委員に対して質疑することはできませんから、御了承願います。  ではこれより参考人より御意見を聽取いたします。参考人の方々の氏名等につきましては、配付いたしました名簿にておわかりのことと存じますが、初めに委員長より紹介いたします。青森県知事津島文治君、次に青和銀行頭取小館貞一君、次に青森商工会議所会頭田沼敬造君、青森りんご振興会社社長安田吉助君、青森市長横山賢君、青函管理局青森操車場運輸係小田桐政次郎君、以上であります。
  51. 津島文治

    ○津島参考人 昨年八月日本国有鉄道はその機構を改革せられまして、爾来今日まで約八箇月を経過いたしたのでありますが、その間の経験に徴します。と、青森市に管理局を設置していただく必要をますます痛感いたす次第であります。今その要点を申し上げたいと存ずるのであります。  まず第一点は、本州と北海道との連絡の要衝であるばかりでなく、表に東北本線を、裏に奥羽線の二大縦貫線の連結起点であり、陸海運輸交通上重要拠点を占めておるのであります。従つて従来より港湾施設並びに陸上輸送施設において、本邦屈指の大施設が加えられて参つたのであります。  第二点は、青森県の産業経済と運輸交通の関連において申し述べたいのであります。青森県の地勢からいたしまして、農産反別は十一万町歩にわたり、本邦の最も重要な農産地帶であり、また津軽、下北両半島と天然の屈折せる海岸線は、実に六百八十キロに及んでおり、しかも暖流、寒流の両潮流の季節的調和に惠まれておる関係上、天與の産物の豊富なことは、全国有数の県であることは周知の通りであります。なかんずくりんご、水産物、林産物並びに近代化学工業品としてはセメント、肥料の生産などは、本県産業の中枢をなすもので、すべて国民生になくてはならない必需品ばかりであります。これらの物資は県外に輸送するにあたり、駅別、地帶別に適正な出荷をはかり、迅速、正確を期し、季節的に他の生産物資輸送と競合するために、非常にむずかしいことでありますが、青森管理部等においては特にこの点に意を用いられて参つたのでありまして、当時私どもは鉄道御当局の業務機関の運営に輝かしい業績を上げたことにつきましては、敬意を表したものであります。しかるに現在は青函、秋田及び盛岡鉄道管理局の三局に分割されたために、一元的融通性に欠けており、従つて貨車の適時適配が困難になりまして、たとえばりんごが凍結する、鮮魚が腐敗したというたくさんな実例は、総合的な輸送計画に一貫性のない欠点を露呈したものでなかろうかと思う次第であります。このような欠陷がもたらす損失というものは、ひとり青森県ばかりでなく、物資の少い今日、国民全体のためにも憂慮すべきことと思うのであります。この欠陷がどこにあるかということを考えまするに、青森県を三つに分断し、一つの県、産業行政地域と、輸送を統括運営さるる国有鉄道の地域線区とを合致せしめないために、連絡協調が円滑に運ばないという実情が、そうさせておるのではないかと思うのであります。この点からも、県内を統括する鉄道管理局の設置は、絶対必要であることを強調しなければならないのであります。  第三点は、過去においても現在においても、青森県は單に海陸運輸交通上の要衝というばかりではなく、国有鉄道独立採算制の立場から見ましても、貨物、旅客の面から見ましても、隣接管理部に比べまして運輸收入が断然多いことは、実績に現われておるところでございまして、これはあえてくどくどしく申し上ぐる要のないところであります。  第四点は、国有鉄道御当局の施設の面から見ましても、青森は国鉄五大操車場の一として数えられておりまして、その規模は御承知のごとく、線路の延長は五十二キロに及び、貨車、客車の収容力は二千両であるのでありまして、これによりまして、東北、奥羽両幹線輸送の連絡並びに北海道と本州間を通る車輌の入れかえはもちろんのこと、さらに東北本線列車に対しましては長町操車場まで、奥羽本線列車に対しましては長岡操車場までの列車編成、車輌の順序整正の任務を途行ずる重要施設であります。なお機関区、保線区、車掌区、車電区、電務区等、重要なる現場機関を持つておりまして、現在のこれらの施設を総合的、有機的に活用するならば、最も有効な成果が上ると思うのであります。  以上申し上げましたように、わが青森県は、單に地理的に交通の要衝であるばかりでなく、原産物の生産県として国有鉄道自体の收入及び施設の面から見ましても、東北地方においてはぜひ青森鉄道管理局が設置さるるのが当然であるという理由を述べた次第であります。  以上県民の強い輿論を代表して申し上げたのでありますが、委員会におかせられましては、何とぞ速急に青森管理局の設置方について、格別な御配慮をお願いいたしたいと存ずるのであります。
  52. 坪内八郎

    坪内委員長代理 次に小館貞一君。
  53. 小館貞一

    ○小館参考人 概略的な点、また総合的な点は、ただいま長官から申し上げました通りでございます。なおまた市長さんからもお話をいただくことにいたしまして、私から管理部が廃止になりまして、新しい機構になりました場合の、青森県における金融面に影響するところを、いささか申し上げたいと存ずる次第でございます。  由来地方の産業は、それぞれ特徴を持つておりまして、この地方産業の特徴に基いて輸送というものが計画され、従いましてますます国土の経済的発展が高まつて来る、こういうふうに私は考えるのでございます。従いましてこの鉄道の機構なり、あるいは輸送の方式なりが、地方の産業にマッチし得ないということになりますると、経済面に対する影響が非常に大きいということは、当然言い得ることと存じます。  ただいまの管理部が廃止になりまして、青森県地方における金融の情勢の変化はどういう面に現われて来ておるかと申しますと、こまかいことでございますが、管理部時代は大体管理部の現金收入といたしまして、月平均一億九千二百万円の收入が、青森地区における金融機関へ預け入れになりまして、それが国庫の收入に相なる、こういう現象でございます。ところが昨年の八月以降、この機構が改正になりましてから、わずかに月平均七千二百万円しか現金收入が入つておりません。これは日本全体から見ますと、ある一局部の收入が減つても、他の局部でふえたならよろしい。プラス、マイナスでとんとんではないか、こう仰せられるかもしれませんけれども、しかしながら先ほども申し上げた通り、地方産業の動きによつてこの收入が得られた。申すまでもなく青森管理部、あるいは現在の青森地区における貨物の收入等は、あげて地方産業から発生いたしますところの収益による運賃、あるいは旅客收入であると考えるのであります。そうしますと、その金が一応はその地区の金融機関なり、その地区において一応ルートを通つて行くということが、ますますもつてその地方産業の発展に寄與するゆえんではないか、つまり現在の機構が地方産業の発展のために、非常に大きな阻害を来しておるということを、この一事から申し上げても、端的に証明できるものと思うのでございます。現在青森地区におきますところの経済的なウエート、そういつたものが各参考人の方々から、また詳細に申し上げるでございましようけれども、ただ一言われわれとして等閑にならない点を申し上げますと、現在の朝鮮事変以来、非常に大きな政治情勢の変化に基きまして、北海道と内地との関連ということが、非常に重要性を帯びて参ります。従いましてわれわれ地区におります者といたしましても、産業経済界は申すに及ばず、金融関係方面につきましても、関係筋方面からいろいろなお達しを受けまして、相当に強力な行き方をここに整えなければならないというような性格が、非常に濃厚になつて参りました。そういつた場合に北海道をわれわれは完全に守り、また北海道からの輸送を完全に内地に果すために、また青森県自体の産業経済の物資輸送を完全にするためには、どうしてもこの咽喉部をなしておるところの青森地区に鉄道管理局の存在の必要性というものが、痛感される次第でございます。近いうちに三澤におきましても飛行場の建設、あるいはその他重要産業の二十六年度の倍額増強というようなことが計画されておりまして、それに対する資金の需要、またそれに対する輸送の手配、小運搬の手配というようなものが、非常に大きなウエートをもつて現われ出して来ておるのでございまして、そういつた場合に、輸送関係におきまして、三分された形において横の連繋が非常にうまく行かぬということは、われわれとしましても非常に困難な、ぐあいの悪い情勢で、この点はぜひとも客観的情勢を皆様御認識くださいまして、一日も早く青森地区に鉄道管理局を御設置あらんことを要望してやまない次第でございます。
  54. 坪内八郎

    坪内委員長代理 次に田沼敬造君。
  55. 田沼敬造

    ○田沼参考人 青森県が三局に分断されましてから、それの最も大きく影響を受けているのは、青函管理局の所属になつております青森駅、その周辺、下北半島の大湊、大畑線でございまして、尻尾崎を中心とするりんご地帶は秋田局の管轄、また八戸方面の漁類等の輸送は盛岡局の管轄に相なつておりますから、青函局の管轄の範囲は非常に狭いのでありまして、このために青森港を中心としまして、漁類、また両半島から産しまするところの木材、その他薪炭等のおもなる貨物が、ほとんど青森駅を中継いたしておるのでありますが、貨車の融通性が非常に欠けておるために、青森駅の発送は、二十四年度から二十五年度の今日を見ますれば、約四割くらいの激減を見ておるような状態でございまして、地元青森といたしましては、何としても貨車の県内一円の融通性を持つた鉄道管理局の設置方を、非常に強く熱望をいたしておるのでございます。また管理局が分断せられました結果、地元の商工業者といたしましても、ほとんど従来の調達いたしておりました物資は、おのおのその局の方に移管せられまして、地元の中小企業者のこれに伴いまして受ける影響も、非常に大きなものがあるのでございます。また昨今北海道のにしん漁期に直面いたしておりますが、青森港を根拠といたしまして、北海道、離島方面に船団をもつて魚を買付して参る船舶が、約六百以上を算しておるのでありまするが、これらの船もほとんど貨車の下まわりのために、輸送の不円滑を来す結果になりますれば、その受ける打撃はまことに憂慮にたえないものがあるのでございまして、これらの点につきましても、地方の実情を特に御勘案を願いたいと存ずるのでございます。なおいろいろこまかい数字もございますけれども、はなはだ簡単でありまするが、青森駅を中心といたしまして、漁類、木材その他重要物資の集散が、貨車の不円滑のために、非常に大きな打撃を受けておることを申し上げまして、何分実現につきまして、特に御配慮をいただきたいと存ずる次第でございます。
  56. 坪内八郎

    坪内委員長代理 次に横山實君。
  57. 横山實

    ○横山参考人 知事さんから総括的にお話を願つたのでありまして、私は管理局が青森に設置されないその後の輸送状況お話申す前に、一応今日まで私どもが管理局誘致のためにいかなる運動をとつて来たか、またそれに対するところの運動を受けた側のお話も申し上げまして、最後に結論を出して行きたい、こう思うのであります。  国有大道公社では昭和二十四年の秋、本庁の機構改正がありまして、それに伴つてその運営の万全を期するために、地方の機構も改正しなければならなくなつたのでありまして、従来の全国四十八箇所に設置されたところの管理部制度を廃止いたしまして、新たに全国二十七箇所の管理局を設置するようになつたのであります。まず第一に、昭和二十五年の八月一日より全国的に実施するに先立つて、二十四年の九月には北海道、二十五年の四月には四国に、試験的にそれが実施されたのであります。爾来各地におきまして管理局の誘致につきまして、それぞれの運動が行われたのであります。青森県におきましても、この誘致につきましては地理的観点からいたしまして、やや楽観的な情勢にあつたのでありますが、一応加賀山総裁に陳情いたしたのであります。その際加賀山総裁は、青森県の重要性は十分認める、従つて今回はその運動の力によつて管理局を設置するようなことは、絶対あり得ない、秋田県の運動が猛烈になつているが、青森県だけはそういう運動を控えてほしい、こういうことを言われ、その後数回にわたつて総裁とも面会いたして陳情いたしたのでありますが、青森県だけは決して心配がない、こういうことを確言してあつたのであります。大体県の方針といたしましては、一応誘致運動に対する期成同盟会をつくりまして、挙県一致の態勢を整えましたが、私どもといたしましては、総裁をあくまで信頼いたしたのでありまして、積極的な運動はできるだけ控えて参つたのであります。その後秋田の運動が非常に猛烈に出ているという情報が入り、県民の間から、青森県といたしましても運動があまりになまぬるい、こういう声が出まして、県、総会、市会、その他県内の有力メンバーをもちまして、数回にわたつて陳情いたして参つたのであります。大体陳情関係者におきましては、青森の重要性は十分認めておるから、あまり心配するなというような、楽観的な情報ばかりを得ておつたのであります。しかるに昭和二十五年の六月十三日の、鉄道管理局設置箇所決定の全国鉄道局長会議におきましても、大体その会議の模様は、これは共同通信からも情報が流れて参つたのでありますが、大体青森に管理局が設置されることが確実である、こういう電話も入つてつたのであります。従つてこれにつきましては、県民が非常に楽観いたしたのでありますが、その日の午後になりまして、急にこれが変更になり、青森管理局が否定されるような運命になつたのであります。しかもその結果といたしまして、函館、盛岡、秋田に三分されなければならないような、悲観すべき結果が生じて参つたのであります。しかも共同通信社の伝えるところによりますと、会議の後年に至るまで、大体青森は確実であつたが、最後に否定されたというのであります。私どもは、局長会議の模様はわかりませんけれども、それは政治的にも相当工作があつたではないかということが考えられるのであります。それで一応きまりましたが、私どもといたしましては、どうしてもこれを等閑にすることができない。今日まで楽観して参つた私どもの責任もまた痛感しなければならぬのであります。こういうような問題でもあり、さらにその後期成同盟会が猛烈に運動を継続して参つたようなわけであります。しかもその後、昨年の八月、運輸委員会前田委員長初め各委員の方が、わざわざ実情を調査に参られましたので、つぶさにその状況を私どもが御報告申して、遂に今日に至つたようなわけであります。これが現在までの運動であります。以上、單に青森県のことだけでなしに、国鉄全体の全国的な輸送の面から考えましても、青森に管理局が設置されないということは、私どもどうしても納得が行かないのであります。従いましてこれの実現方を切にお願い申し上げます。  それから管理局が青森に設置されないで、その後実情はどうなつているか、この問題でありますが、その後輸送は決して円滑ではないのであります。特に青森港に山積されている冷凍魚であるとか、あるいは下北の魚加工品、その他鮮魚に至りましては、貨車の不足が顕著に現われておるのであります。これはいかなる点から来ているかというと、青森が青函管理局と盛岡、秋田に三分断された結果から来ておるのであります。特に青函管理局におきましては、青森は、函館から見た場合には地域を異にしておるのでありまして、青函管理局の駐在が青森に間借りしておるというような結果になつている。しかも管理局自体から見た場合、青森はその末端に位する。こういうことになり、貨車の出まわりが非常に悪いのであります。従つて数字的に現われたものを見ましても、貨車の需要に対して、青函局におきましては約三〇%、盛岡局におきましては六〇%、秋田局におきましては七〇%満たされておるようなわけでありまして、青函管理局は三%というように、貨車の出まわりが非常に悪いことになつているのであります。しかも越冬対策の問題でありますが、今年の一月は相当の吹雪があつたのであります。もちろんラッセル車によりまして万全の措置を講ずべく、特に中央から、あるいは仙鉄から、あるいは青函管理局から、それぞれのメンバーが除雪または輸送の督励に参つたのであります。青森の操車場の重要さというものは、全国に数箇所しかないものの一つに入つておりまして、知事さんの御説明にあつた通り、中央から計画的に流れて来るものは、一応青操に入りまして、青操からそれぞれ北海道に向けられて行くのであります。ところが吹雪のために連絡船の欠航があつた場合には、操車場には貨物が一ぱいになつて、その操車が困難になるのであります。しかも青函管理局は、そのそでとなるところが非常に短かいのでありまして、飽和状態なつた貨車と、さらに短かい青函管理局の埠頭線には、貨車がどうしてものみ切れないので、そういうような操車場を持つている青森に管理局を置きまして、県内の全面的な輸送計画とにらみ合せて、操車しなければならぬではないかと思うのであります。特に一月の吹雪の際に、そういう現象が出て参つたのであります。  次に、青森には副支配人として重要な方を置く、こういう加賀山総裁の言があり、現在副支配人が参つております。しかしながらこれは仙台鉄道管理局の副支配人でありまして、青函管理局の副支配人も兼務いたしておるのであります。副支配人の権限ははたして那辺にあるか、こういうことは非常に疑問でありまして、それぞれ連絡調整はとりますけれども、その権限たるや非常に輝いために、常に連絡がとり得ないような実情になつているのであります。こういう点からいたしましても、副支配人をもつては連絡調整の解決はつき得ないと思うのであります。  最後に、卑近な例を申し上げたいと思うのであります。昨年の十月だつたと思いますが、名古屋の国体に青森から六十各以上の選手を派遣いたしたのであります。その際、盛岡までは板張りの腰かけの列車に乘つて参り、盛岡から岩手県の選手と一緒になつて名古屋まで直行する、こういう打合せであつたのであります。ところが盛岡へ参つたら、岩手県の選手はりつぱなシートのある列車で、しかも二人かけのところに一人すわれるように、非常に優遇された状態にあつたのであります。青森から参つた選手は、依然としてその板張りのところに二人かけで、長途の旅をしなければならないような事態ができたのであります。盛岡の約十分の停車間において、盛岡管理局にその事情を訴えて、選手のいま少し優遇方をお願いいたしたのでありますが、配車はすでに青函管理局によつて決定されたもので、盛岡管理局ではこれをどうすることもできない、こういうふうな非常に冷たい話であつたから、そのまま選手はその板張りの腰かけにすわつて、名古屋まで参つたというような一つの例があるのであります。いかに管理局が青森に設置されない、その後におけるところの三局分散というようなものが、国鉄にとりましても、輸送の面だけでなく、サービスの面におきましても、決して最良のものでないということを、私どもは確信いたしたのであります。  その他申し上げると、まだまだいくらも例がありますが、大体時間でもありますので、最後に、以上のような経過をたどり、そういう実情にあるところの青森県の管理局の設置に関しまして、今後できるだけこの実現方を各位にお願い申し上げまして、私の責を果したいと思います。
  58. 坪内八郎

    坪内委員長代理 次に安田吉助君。
  59. 安田吉助

    ○安田参考人 国鉄の新機構が実施になりましてから、大体八箇月近くになりますので、もはや実績を基準とした批判が出てしかるべきでもあるし、またそれに対する結論を出す時期にもなつておりはしまいかという考えからしまして、私は自分の担当が経済関係でありますので、現在の三局管内、旧青森管理部の管内における現在までの貨物、特に発送貨物の実情から、二、三の具体的な基礎資料を土台にして申し上げてみたいと思うのであります。  第一に申し上げたいと思いますことは、三分割後の運輸事情が、旧管理部時代に比較しまして、総合的な運営の面ではどのような状態になつておるかという点であります。昨年の八月から十二月末までの、実際に貨車の請求をしました数と、これに対して使用を許された数との比率は、大体五〇%になつておるのであります。さらに同じ期間におきまして、滞貨数量と実際に発送済みになつた数量との比が、約一五%に達しておるのであります。このように実際の発送数量が非常に少いということは、ひとり三局の分割によつてのみ、かかる結果が出たものと申されないことは当然でありますが、私がここで指摘をしたいと思いますことは、その低い比率の中で、三局間に非常なむらがあるということであります。たとえば貨車の請求と実際の使用車の点でありますが、平均五〇%のものでありますが、秋田ではそれが三七%、青函局では五三%、盛岡では六五%となつており、在貨数量と発送数量との比率も、秋田局では一二%、青函では一一%、盛岡が二六%というふうに、各局間に非常なでこぼこがあるのであります。のみならず同じ局でも、その内容を検討しますと、たとえば昨年の十二月は青函局の輸送事情の最もよかつた月でありますが、この月におきまして、青森の前年の同期に比較した輸送量は一一一%であつたのでありますが、大湊線は五〇%、大畑線は八〇%になつてつたのであります。これは局管内でも同じでありますが、さらに同じ貨物についてこれを見ますと、たとえばりんごにこれをとつてみますれば、昨年の八月以降、本年の二月末の発送数量は、前年の同期に比べまして奥羽線は一一一%になつておるのでありますが、五能線は九八%にとどまつておる、こういうふうな事実があるのであります。これは三局分立の当時、非常に懸念されました各局間の貨車の配給操作が、非常にむずかしいではないかということを、完全に裏書きするものであると同時に、この輸送のむらが、以前管理部がありまして一元的に融通性を持つた操作をやつたのに比べましては、非常な差がある。この差が実際に荷物を輸送する者に対して、非常な損害を與えている募集があるのであります。しかもこういう事実があるということは、輸送力の狭いところには結局貨車の配給が少い。自然輸送力のある方に貨物が流れるのでありまして、つまり貨物に貨車を結びつけるのでなくして、貨車に貨物を合せなければならないというような事情があります関係上、自然輸送系統を移動して、荷物の県内移動が行われるという、経済的にはきわめて不利な事態が起つたのであります。  次に第二の問題として、貨車の運行効率の問題であります。昨年の新機構の発足直後に三局が青森に集まりまして、本年度の貨物の輸送計画を立てたのであります。これに基きましておのおのの輸送目標を立て、貨車の配給が予定されたのであります。しかるに問題はその割当てられた貨車が、どういうふうに運行されたかというデーリー・ワークの問題にあるのであります。この問題を解決する場合に、一番問題になつたのは、たとえば青森を中心とする一つの通信能力の問題であります。以前管理部時代には、青森を中心として約十七の通信回線があつたのでありますが、それが改正後の現在はおきましては、かえつてその通信回線が相当減りまして、実際問題として通信能力が少しも増強になつておらぬのであります。従いまして実際の運行にあたりましては、たとえば青森を中心とする各局間の電話の待合せ時間が、驚くべきものがあるのでありまして、たとえば昨年の八月では仙台には二百五十五分、盛岡には四百四十七分、秋田二百六十九分、函館四百八十八分というような待合せ時間を要しておつたのであります。かような状態にありますものですからして、貨車の実際の運行にあたつては、非常に効率を低めているということを、現実にわれわれが今まで味わされて来たのであります。しかも青森には年々降雪の問題がありますので、本年は今までにない非常に珍しいくらいの貨車の遅延があつたのであります。これは要するに、こういうような通信機関の増強がなかつたがために、自然運行の指令が徹底を欠いておつたということに基因するのではないかと思うのであります。こういうふうなことのみが原因ではなかつたかもしれませんが、昨年には東北本線において、りんごのみでも約三千トン以上の滞貨が三十数日続き、奥羽線でも各部とも数十車、特に弘前のごときは八百車の荷物が、三十数日間遅延が続いたというふうな事態があつたのであります。これがりんごの凍結を生じましては、不測の損害を受けたのであります。  第三に申し上げたいことは、この三局間の荷物の受持ち輸送量のバランスがとれてはおらないではないか。この例を一つ、秋田局の関係で見ますと、秋田局は従来木材という大きな数量を背負つてつたのでありますが、機構改革後は、青森県のりんごの約八四%が秋田局に移つたのであります。その結果、どういう事態が起つたかと申しますと、昨年の九月に、木材の実際の発送数量は、計画数量の八五%行きましたが、りんごは六五%にとまつたのであります。そこで青森の業者が非常に騒ぎました関係か、十月には木材は六五%に下げられまして、りんごに一〇〇%の貨車がまわつたのであります。今度の木材業者が騒いだかどうか知りませんが、十一月には木材が八三%になり、りんごは六四%にこれを下げられた。今度はまたりんごが騒いで、十二月には木材が七六%、りんごが七五%というふうに、その間非常な輸送の混乱があつたのであります。こうなります関係から、りんごにおいても、木材においても、適時に輸送をするということが、非常に困難になつて来るのではないかと思うのでありまして、こういう点からも実際上非常な不便を受けておるのであります。  以上二、三の点につきまして、われわれが現在まで受けた状況の概略を申し上げましたが、私は結論として、この国鉄機構の改革の管理局設置は、いろいろの面からそういう標準があつたこととは思いますが、特にわれわれがお願いしておきたいことは、こういう物資の動きの上に、機構なり施策なりを考えてもらわなければ、せつかくの産業行政が非常に阻害されるということは、きわめてはつきりしたのであります。どうかそういう意味から、物資の動きに非常に無理を與えないような新しい機構を考え、また実施していただくように希望するものであります。はなはだ簡単でありますが、これをもつて私の意見といたします。
  60. 坪内八郎

    坪内委員長代理 次に小田桐政次郎君。
  61. 小田桐政次郎

    ○小田桐参考人 ただいま青森管理局の問題につきまして、地元関係各位から、それぞれの立場を代表いたしまして、るる事情を述べられましたが、私は国鉄の一職員といたしまして、昨年八月一日以降、機構改革実施後、日常の作業を通じて、われわれはどのような不便にぶつかつておるか、これらの点について、地域的ではございますが、私の所属いたしております青函管理局並びに隣接秋田、盛岡等に若干触れまして、以下項目別に申し上げてみたいと存じます。  結論的には、新しい管理局の管轄範囲か、地域的には必ずしも妥当ではないと同時に、打合せ、連絡の横の系統がかえつて複雑になつておる、こういうことが指摘できるのではないかと存じます。こうしたことが、日常われわれの仕事の面に大きな影響をもたらしておるのでございまして、まず第一点といたしましては、列車の運行整理並びに貨車の稼働調整が、従来よりも不便となり、この影響が海陸輸送の一体化に不安を生ぜしめておる。もちろんこれは青函管理局関係の地域的な問題について、私は申し上げておるのでございますので、全国的なあるいは全般的な問題から批判するならば、若干の相違があるかもしれませんけれども、その点御了承の上お聞取りを願いたいと存じます。およそ国鉄が、その使命とするところの安全、迅速、正確を期するためには、間断なく列車の運行状況、あるいは貨車の稼働状態を捕捉しておらなければならないのでございます。従いまして従来は私どもの所属しておつた青森管理部におきましても、青森を中心として、奥羽線は青森、津軽湯ノ沢間六十二キロ、東北線は青森、尻内間八十六キロの距離を間断なく、列車の運行状況にいたしましても、あるいはまた貨車の流動状態にいたしましても、常にこれを捕捉いたしまして、適時適切な措置をして、列車の正常な運行を確保し、また輸送調整をはかつておつたわけでございますが、昨年八月の機構改革以来、奥羽線は青森の次の駅の津軽新城以南が秋田管理局の管轄となり、東北線また青森から三十七キロの地点野辺地駅で断ち切られるというような状態になりまして、すなわち旧青森管理部管内が、秋田、盛岡、青函局と三分断され、青函局の受持ち範囲がきわめて縮小されたわけでございます。従いまして日常の列車運行の整理にいたしましても、青森を出てすぐ隣の駅から、秋田局がこの運行の整理をいたすということに相なりますし、また進入列車に対しても、津軽新城までは秋田管理局がほとんどこれを整理する、こういうことに相なります。同様なことは東北線におきましても、野辺地の次の駅の千曳以南が全部盛岡において操車される、かような状態と相なるわけでございます。列車運行また貨車の流動状態が正常にある場合には、さほどの不便はないのでございますが、一たび運行が乱れたり、あるいは事故発生、災害等の場合におきましては、立ちどころにこの運行の調整あるいは貨車稼働の調整が、国鉄の輸送にぴんと響いて来るわけでございます。最もいい例は、昨年八月の関東東北の水害時におきましても、非常に運行の調整がうまく行かなかつたという実例がございます。さらにまた今年一月の初旬の、青森地域における猛吹雪の際におきましても、すこぶる輸送が円滑を欠いたというような実例もございます。私どもは国鉄の職員といたしまして、全力を上げて輸送の確保と正常運行の確保に努力をいたしておるわけでございますけれども、何分にもこうした機構の関係から、どうしても思うような運行の調整やあるいは輸送の確保がいたしかねておるのが現状でございます。すなわち一つの操車場がある場合には、その両翼にかなり長距離の緩衝地帶を持つておらなければ、その操車場は全機能を完全に発揮することは、とうてい不可能なのでございます。こうした場合に、青森の青森操車場の関係を見まするとき、奥羽線はすぐ次の津軽新城において他局となり、一方東北線は三十七キロの距離より持つておらない、こういうような状態で、操車場などにおける貨車の調節に、すこぶる困難を来しておる次第でございます。秋田局は秋田局の事情からその管内を調整しております。盛岡はまた盛岡の管内の情勢がら調節をはかつております。しかし列車はすべて青森を起点とし、また青森を終点といたしておるわけでございまして、こうした関連から考える場合において、決して秋田局のみ、あるいは盛岡局のみの便利によつて整理されあるいは措置されたのでは、その終端となる青函の一部分がすこぶる不便をこうむるのは、理の当然でございます。こうしたことが、すなわち青函局の特つておる使命といわれる、海陸輸送の一体化に不安を生ぜしめておるということでございます。少くとも青函海陸船車連絡の円滑を期するためには、青森操車場は常に北海道向けの貨車の調節に意を用いていなければならないし、またこれを指示するところの輸送調節の輸送指令にいたしましても、あるいはまた運行指令にいたしましても、適時適切な指示を現場に與えない限り、この船車連絡の一体化というようなことは期し得られないのでございます。こうしたことを考え合せるとき、通常においてはさほどの現象も起らないのでございますけれども、一旦事故発生、災害あるいは列車の遅延、連絡船の航行不能、こうした現象が起つた場合には、立ちどころにこうした東北線、奥羽線と連絡船との関係が、不円滑となつて来るわけでございます。こうしたことを円滑にするためには、どうしても三角形の頂点にある青森に、強力な指令機構を持たない限りにおきましては、解決せられないのではないか、われわれはかように考えておる次第でございます。  第二点といたしましては、管理局と地方営業事務所は、不離一体の関係に置くべきではないか、かような点でございます。と申しますのは、現在青森には地方営業事務所がございます。しこうしてこの地方営業事務所は、旧鉄の窓口といわれております。すなわち一般旅客公衆あるいは荷主、業者、出荷団体等と、国鉄機構の運営の窓口として常に折衝をしておるわけでございます。ところが地方営業事務所におきまして、どんな計画を立てられたといたしましても、管理局との密接な連絡がなかつたならば、とうていこの計画は円滑に運営でき得ないのでございます。現在青森の地方営業事務所は、青函管理局にも、あるいはまた秋田管理局にも、さらには盛岡管理局にも、あるいはまた仙台輸送分室、札幌輸送分室等にも連絡をしなければならないという、非常に複雑な手数をしておるわけでございます。しかも青森に管理局がないために、たとえば地域的に東の八戸方面から西の弘前方面に、一つの団体旅客を輸送するにあたりましても、一々盛岡局、青函局あるいは秋田局と、この三つの局に連絡をしなければ、この県内における団体輸送すらもでき得ない、こうした不都合があるわけでございます。しからば逆説的に、青森の営業事務所をなくしたらばどうか、こういうような御意見もあるいはあるのじやないかと思われます。しかし営業事務所の使命は、やはりその地方の地方産業との関連性から、最も重要度の高いところに置かなければならないのではないか、こうした点からするならば、私は東北地方におきましても、最も優位にある青森県に置かれるのが理の当然ではないか、かように考える次第でございます。  弟三点といたしましては、現場掌握並びに指導が地理的にすこぶる不便となつた。こういう点でございます。従来は青森管理市がおおむね青森県下をその掌握下に納めて、常に適時適切な指示指令をいたして参りました。ところが青森を中心とする一部分が函館側に収容されることに相なりまして、海峡を隔てて、われわれは常に函館と連絡をしなければならない。また青函局におきましても、海峡を隔てて青森の現場を掌握しなければならないという、非常に地理的に不便な形に置かれておるわけでございます。もとよりわれわれは日常の作業を遂行するにあたりまして、根本的には規程あるいは達示令書等によりまして作業遂行してはおりますものの、国鉄のごとく複雑多岐にわたる作業の内容を持つておる場合におきましては、どうしてもそのときどきに、局報なりあるいは局の指示指令を仰がなければならないという場合がたくさん出て来るわけでございます。さらにまた局といたしましても、管内全般をにらみ合せて、最も円滑な運営あるいは輸送調整を確保するためには、どうしても現場機構を常にその掌握下に納めておらなければならない、こうしたことが甘えるのではないかと思いますが、こうした点から考える場合に、青森地域というものは、海峡を隔てて常に函館側から指令指示をしなければならないという不便があるのでございます。私どもは地域的にもこうした不便は即刻是正されて、地域を一括した方法が望ましい、かように考えて、おる次第でございます。  第四点といたしましては、旧管理部管内の人事交流がないために、県内在勤職員は前途に不安を持つておる。昨年八月三分割されましてから、私ども県内に作動する国鉄の職員といたしまして最も希望したのは、この三局間における県内の人事交流でございました。ところがやはり三局に分断されることに相なりますると、この人事交流も現在は行われておらない、こういうような情勢に相なつておるわけでございまするが、何といたしましても青森県に勤務いたす局員は、おおむね県出身者が多いのでございます。もとよりわれわれ国定に職場を持つ者といたしまして、いずれの地に勤務させられても、それは異論のないところではありますものの、しかし今日のような経済情勢下にあつては、必ずしもそういうことのみによつて、人事の異動は解決せられないのではないかとわれわれは考える次第でございます。現に三分制によりまして、盛岡、秋田あるいは函館に配置転換された方々は、家族は青森に残し、本人が單独赴任をしておる、かような情勢にあります。さらにまた家族を引き連れて転居するといたしましても、そのそれぞれの転勤地における住宅事情は、決してわれわれの希望をいれるような情勢にはないことでございます。こうしたこと、あるいは定期的な人事異動にあたりましても、この地域的な人事の交流は当然考慮していただかなければならないのではないか、かように私ども希望して心る次第でございます。  第五点といたしましては、機関車乘務員並びに車掌の業務遂行がかえつて複雑となつた。従来はおおむね乘務綱領が……。
  62. 坪内八郎

    坪内委員長代理 お話中ですが、なるべく結論に入つてください。あとで質疑もありますから。
  63. 小田桐政次郎

    ○小田桐参考人 管内が三分割されたために、青森から乘務する機関車乘務員にいたしましても、あるいは車掌にいたしましても、関係地域が三局にまたがつているために、三局の達示、令書、規程等に、よく精通しておらなければならないというような不便があるわけでございます。根本的な問題はともかくといたしまして、日常業務の遠行にあたつては、こうした問題も日々たくさん周辺に起つておるわけで、具体的な問題として、機関車乘務員あるいは車掌等が、その業務遂行にすこぶる不便を来しておるといつたようた現状に相なつておるわけでございます、さらに青函間の通信設備は、先ほども申し上げました通り、現在は三回線よりございません。通信が非常に輻湊いたしておりまして、われわれの日常業務に大きな支障を與えておる原因の一つに相なつておるわけでございます。私どもこうした日常の作業を通じて痛感されることは、結論的に、先ほど申し述べました通り、地域区分についてもつと御検討願つて、いかなる地域に管理局を置くのが最も国鉄運営のためにいいのであるか、こうした点を、青森地区における問題も取入れて再検討をお願いしたい、かように存ずる次第でございます。以上申し上げまして、私の公述にかえる次第でごぜいます。
  64. 坪内八郎

    坪内委員長代理 参考人に対する御質疑がございましたら、これを許します。
  65. 原彪

    ○原(彪)委員 ただいまるるお述べになりましたが、私が一番感じたことは、物資輸送上に非常な支障を来したということであります。物資輸送につきまして支障を来すということは、経済再建の現在においてまことにゆゆしき問題であります。その具体的例をお聞きしたいのでありますが、まず青森県の特産のりんごについて、輸送上どのような支障を来したか、今年は特需の問題があつて、貨車が不足しているのは全国的であります。しかしそれを考慮に入れなくても、数字的な問題が出るのじやないかと思うのであります。今年は去年よりりんごが増産になつているが、去年のりんごの生産額と、その輸送状況のパーセンテージと、今年の機構改革後のりんご輸送の数量と輸送の支障のパーセンテージの、具体的な何かデーターをお持ちであれば、お聞かせ願いたいと思います。
  66. 安田吉助

    ○安田参考人 本年度のりんごの生産額は、前年度に比べて約二割の増産になつております。ところが本年二月までのりんご輸送の前年度との比率は、三%の増になつておるのであります。従いまして、現在騒がれておりますことは、なお残つておる多量の在貨を今月、来月にわたつて、これを最短期間にどうして輸送するかが、非常な問題になつておるのであります。もつともその間時期によつては、たとえば二月のごとき輸送在貨量に余る貨車の配給があつたこともありますが、ただそれは量的に行つただけでありまして、有蓋車がほしいというのに対して無蓋車の配給があつたり、小型がほしいというのに対して大型のものがあり、積込みをするのに、最も不適当な夜間に貨車の差入れをして、遂に貨車の回送が間に合わなかつたというふうな技術的な問題もあつたので、今のような事態になりましたが、しかしりんごの輸送期として最も重要であつた昨年の十二月までの状況は、先ほど私が申し上げました通りに、請求貨車に対する実際の配給貨車が約五割、在貨数に対する実際の発送数量が大体平均いたしまして一五%、従つて県内の滞貨は驚くべきものがあつたのであります。それがちようど雨期、降雪期に入りましたがために、設備を伴わない布貨が、雨、雪にたたかれてかなり大きな損傷を受けた実例があつたのであります。なおもつとこまかな材料も多少持つておりますが、一応概略だけ申し上げました。
  67. 原彪

    ○原(彪)委員 そうしますと、今年は約五割の滞貨があると申されましたが、去年は貨車まわりはよかつた、こういうことでございますか。
  68. 安田吉助

    ○安田参考人 旧管理部に属しておりました昨年の七月木の輸送状況は、大体において季節的に、それから出荷先別にスムーズに行つたように私ども記憶しております。
  69. 玉置信一

    玉置(信)委員 旧管理部があつた場合と、三局に分断された場合との配車の状況についてお伺いいたします。旧管理部時代には非常に円滑に貨車がまわつた、三局に分断されたがためにまわらなくなつたというように承つたのでありますが、この点どういうところに欠陥ができてまわらなくなつたのか。旧管理部時代より物資の出まわりが多いがために貨車まわりが悪いということになると、これは荷物の出まわりに制約されて貨車の数が少いとも考えられるのですが、この点お願いいたします。
  70. 小田桐政次郎

    ○小田桐参考人 先ほども申し上げましたように、旧管理部時代には、三分断された区域々青森管理部が掌握いたしまして、その間におきまして貨車の調節をはかつておつたわけであります。たとえば青森に貨車を集中しなければならないというような場合には、弘前あるいは八戸方面を若干抑制いたしまして青森に集中する。あるいは弘前地域において急激に出荷の情勢が起つた場合においては、青森、八戸等からしぼり出して弘前重点に配給しておつた。こういう操車が可能であつたのであります。ところが機構改革後は、この区域が三分断されまして、青森の次の駅から秋田へ、さらに東北線は野辺地の次の駅から青森へ、かように分割されましたため、この相互間の交通かあまり円滑に行かない、こうしたことが原因いたしまして、その結果貨車の下足が終点である青森に全部しわ寄せせられた。こうした現象が青森地域における貨車不足の最も大きな原因でなかろうかと、私どもかように考えておる次第でございます。
  71. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は北海道におるものでございまして、先ほど来各参考人からの公述を承つておりますと、やはり北海道の輸送、中継等に対しての、非常な重要度を加えておるということも承つたのでありまするが、特に私どもが見るところにおきましては、三十五年の春以来特に青森に貨車が停滞いたしまして、すなわち北海道から輸送される貨車が青森で停滞いたし、そのために北海道の荷主は相当迷惑をこうむつておる事実があるのであります。今日国鉄との間においてトラブルを起しておる事実さえあるのでありますが、この実情はただいま小田桐さんのお答えになつたような実情から起つておる現象と見ていいのであるかどうか、この点をお伺いいたします。もちろん先ほどお話になりました運行、輸送、配車等のスタッフがそろうことによつて、国鉄の運営の全きを期することができるのであるが、その一角がくずれておる。すなわち青森に管理部がないために、かかる原因を誘発いたしておるというふうに承つたのでありますが、この点重ねてお伺いしたいのであります。
  72. 小田桐政次郎

    ○小田桐参考人 貨車流動の状態は、本庁あるいは地方局等におきまして、その情勢を的確に把握しつつ輸送の計画がなされておることはもちろんでございます。従いまして普通の輸送情勢の場合におきましては、北海道から東京へ出る貨車が、特に青森に停滞する、こうした現象はあり得ないと考えられます、しかしながら時と場合によりまして、奥羽線輸送に偏重する、あるいは東北線輸送に偏重するというような現象は、なきにしもあらずでございます。さような場合におきましては、旧管理部当時にありましてはただちに迂回輸送の手配をとるか、あるいは、下定期列車を運行いたしまして、こうした偏重を調節いたしておつたのでありますが、機構改革後は、青森に駐在輸送長はおりますけれども、運行指令あるいは輸送指令、こうした仕事を担当するスタツフが、すこぶる弱体化いたしておりますので、適時適切な措置をすることは、旧管理部当時のように円滑に行かないのが現状でございます。従いましてさらにまたこうした措置をするにあたりましては、青函管理局、あるいは秋田管理局、盛岡管理局、千代輸送分室、札幌輸送分室等に連絡をしなければならないという、きわめて複雑な横の連絡がございます。そのためにあるいは時期を失して、多少なりとも貨車の輸送に御迷惑をおかけしておるというようなことも、なきにしもあらずだと考えられます。ただ普通の場合におきましては、さような御迷惑は決しておかけしておらないように私ども考えております。
  73. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 小田桐参考人にお尋ね申し上げますが、連絡船の数はただいま何隻くらいになつておりますか。
  74. 小田桐政次郎

    ○小田桐参考人 所定は十四運航になつおります。
  75. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 今年の冬になつてから、青函連絡船の欠航の回数は、相当多いように私ども新聞で見ておりますが、実際あなたの御経験によつて、何回くらいの欠航があつたか、わかりませんか。
  76. 小田桐政次郎

    ○小田桐参考人 私詳しい数字は今手元に持つておりませんが、大体私の記憶では七、八回程度はあるのではないかと思つております。
  77. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 従来青森に管理部のありました当時は、仙台に鉄道局がありまして、盛岡に建設事務所があつて、そこで青森の方々も仙台並びに盛岡との間にはいろいろ連絡があつたと思うのであります。しかるに今度の青函管理局になりましてから、函館とのつながりがついて来たのですが、青森と函館との間に従来何らかの関係があつたことがありましようか。もしないとすれば、現在あなたのお説の通りに青函管理局並びに札幌の支配人等に連絡をとつて行かなければならない。そういう場合に人としてのつながりが新しく生じて来る。人との新しいつながりというものは、なかなか仕事がはかばかしく行かないものであるけれども、そういう点について何か支障の起つたようなことはなかつたかどうか、その点についてお尋ねいたします。     〔坪内委員長代理退席、委員長着席〕
  78. 小田桐政次郎

    ○小田桐参考人 ただいまの御質問の点につきましては、従来函館側と青森側との間には、上層幹部の方々は別といたしまして、現場に従事する私どもの範囲では、人事の交流はございませんでした。さらに東北地方の輸送情勢は、以前はほとんど仙台鉄道局において把握され、その指揮下において計画され、実施されておつたものであります。今日青森の一部が青函管理局に入つたことによりまして、東北の輸送の実際にあたりましても、札幌の輸送分室あるいは青函管理局がこれに介在しなければ、結論が得られないというような状態に相なつておるのであります。私の聞き及ぶところでは、先般秋葉原から青森まで一般のダイヤが設定されたように承つたのですが、その設定等にあたりましては、仙台、盛岡はよく従来の輸送事情承知しておりますし、また旧担当者たちもおられますので、すこぶるスムースに行つたと承つております。ところが青函に関する分につきましては、札幌あるいは青函の方から担当者が御出席されたように承つておりますが、こうした方々は、もちろんその道の権威者でございますので、これは決してどうこうということはございませんでしようけれども、東北の輸送事情については何といいますか、いささか技術的には東北のようなわけには参らないのではないか、かように私ども考えておる次第であります。
  79. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 安田参考人にお尋ね申し上げますが、今年のりんごの収穫量は、箱数にしまして大体どのくらいでございますか。
  80. 安田吉助

    ○安田参考人 大体二千二百万箱程度でございます。
  81. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 二千三百万箱のりんごの収穫量のうち、県外移出になる数量はどのくらいでありますか。
  82. 安田吉助

    ○安田参考人 大体一千八百万箱であります。
  83. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 その運賃は人体どのくらいの総額になるかわかりませんか。概数でよろしゆうございます。
  84. 安田吉助

    ○安田参考人 平均一箱五十一、二円についておりますので、約九億近いものになると思います。
  85. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 田沼参考人にお尋ねしますが、水産と林産との関係の収穫量と、これに対するところの運賃はどのくらいになつておりますか。——わからなければあとでよろしいです。もう一度安田参考人にお尋ね申し上げますが、りんごの千八百万箱の輸送すべき在庫に対して、貨車の出まわりは約一五%、従いましてあの雪の野ざらしを受けたりんごが、相当数の凍傷をこうむつておる。私は大体二百万箱くらい凍傷を受けたのではないかと思う。二百万箱の凍傷を受けたものがあるとすれば、一箱五百円と見積つて約十億の損害になる、かように私は大体考えたのですが、その後における県内と県外の取引の状況からして、各市場から凍害を受けたものの数字が、県庁の方に入つておるかと思うのでありますが、それを実際に調べてみた結果、どれくらいの損害になるということはわかりませんか。
  86. 安田吉助

    ○安田参考人 ちよつとはつきりした数字を申し上げる資料を持つておりませんが、大体十二月から一月にかけての東北本線全体の滞貨が毎日約三千トン程度、それから奥羽線及び五能線のものは、それに数倍する数字であつたように思うのであります。しかもちようど寒冷期に入つたのでございますし、それに駅の設備が非常に不完全でありますので、その凍傷を受けたものはかなりの数量に上つておるかと思います。現に市場に入りました価格が、一時非常に安かつた。現存は平均して約八百五十円ないし九百円であるものが、十二月の中旬以後一月にかけましては、悪いときには三百六十円、よくても平均四百円を切つたような状態であります。これは單に凍傷云々ということだけではむろんないにしましても、一般消費市場における印象は、三十数日も雨ざらしになつたということになりますと、どうしてもそういうふうな懸念から、そうした相場が出て来たものと考えられる節もありますので、今御質問のように、二百万箱程度の数字であるかどうかはつきり覚えておりませんが、それに決して劣らない程度の損害があつたろうということは、一応想像がつく状態であります。
  87. 坪内八郎

    坪内委員 参考人の津島知事並びに横山市長にお尋ねいたしますが、先ほどのお話によりまして、大体青森は、国鉄が機構改革を断行する最後の最後まで、青森に管理局を設置するということになつてつたのでありますが、どたんばでこれがうつちやられたというようなことを伺つたのであります。しからばその根本原因、なぜ青森が最後の線まで来ておつたのに、ついにこれがうつちやられたということは、どこに原因があるのか、根本原因は何か、その点を伺いたいと思います。
  88. 津島文治

    ○津島参考人 それは私どもは当事者でないのでわかりませんが、ただ想像しているところでは、初めから秋田に管理局が置かれるであろうということは、大体私ども考えておつたのであります。しかしほんとうのことを申し上げますと、盛岡に管理局ができるということは、これは私どもはそのまぎわまで信じられなかつたのであります。従いまして、真偽のほどはどうか知りませんが、私どもといたしますればほんとうの気持は、盛岡に管理局が忽然としてできたために、こういうような変化を来したのではないか、かように考えておる次第であります。
  89. 坪内八郎

    坪内委員 横山参考人も今の津島参考人と同意見でございますか。
  90. 横山實

    ○横山参考人 私もそう考えております。
  91. 坪内八郎

    坪内委員 青森県民あるいは青森市民の輿論は、やはりその通りなのでありますか。
  92. 津島文治

    ○津島参考人 私が申し上げたように、みな一同感じておると思つております。
  93. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私から二、三お尋ね申し上げたいと思いますが、私の感じは、特に北海道についてこういう感じを持つておるのであります。北海道につきましては、御承知のように日本の領土の大体五分の一の面積を持つておりながら、人口わずかに三百万というような土地で、しかも相当天然資源に富んでおる。かような見地からして、日本の人口問題あるいは日本の資源開発、こういう点から政府においては特別の施策を講ぜられておるようでありますが、かような北海道に対する本州の窓口としての青森の使命について、先ほど参考人から触れておられたようでありますが、ほかの地区とは違つた特殊性が、本州の北部の北海道を控えた門戸として、青森にあるのではないかと考えるのでありますが、この北海道に対する門戸港、窓口としての青森の使命について、津島知事の抱負と意見を伺いたいと思います。
  94. 津島文治

    ○津島参考人 北海道と青森県の関係は非常に大きいのであります。ということは、單に青森県と北海道との関係でないのでありまして、本州と北海道の関係を青森県がつかさどるという意味におきまして、私は非常に大きいものと思うのであります。ことに最近国際情勢が非常に逼迫して参りまして、北海道地区に対しましてはとやかくのうわさが非常にあるのであります。こういう際にあたりまして、青森の使命は私は非常に大きいものと考えておる次第であります。
  95. 岡田五郎

    岡田(五)委員 多少私の質問がそれたようでありまして、ただいまの御答弁も多少私の聞いたのと違つたような感じを持つたのでありますが、問題は輸送機関である鉄道の管理局を青森に置くという問題に関連してでありまして、本州の南の方から鉄道輸送によつて流れて来て、北海道へ行く鉄道のルートの中間の中心地である青森の地位ということについて聞きたかつたのでありますが、今北海道の消費するもの、北海道で製品化される雑貨的のものは、大部分特殊な輸送機関といいますか、特殊な船車連絡施設によつて輸送されておるのでありますが、私はこの青森の船車連絡事務、こういうことが青森に管理局を設置する大きな要素になるのではないか、かように考えるのであります。しかもこの北海道、北陸、青森地区は、一年の大小は濃霧と風雪と寒冷におおわれておる。しかも特殊な船車連絡をやつておる。資源の関係から、非常に重要な島である北海道を控えての青森における輸送事務の複雑さ、困難さということは、私は十分体験をいたしておるのであります。たまたま私は過去に前後を通じまして七年間、北海道におきまして輸送事務に携わつたのでありまして、ことに冬における青函輸送の作業のいかに困難であるか、いかに複雑であるかということを、私は身をもつて体験しておるのであります。かような見地から行きまして、私は小田桐さんに、特にこの冬における青森の鉄道作業の困難さと複雑さを、また先ほど境界が、千曳から青森になつてしまつた、また津軽新城から秋田管内に入つてしまつたがゆえに、列車の運行上非宿に困難を来しておる、こういうお話がありましたが、私先ほど申し上げましたように、一年の半分がかような天候の関係で、ほとんど各列車は遅延をせざるが例外、遅延するのが普通である、かような状態であると私は想像するのでありますが、もし何でしたら冬季における青函輸送の困難さと、青森操車場その他における鉄道作業の困難さと複雑さを、簡潔にお話願いたいと思います。     〔委員長退席、大澤委員長代理着席〕
  96. 小田桐政次郎

    ○小田桐参考人 私は青森操車場に勤務いたしておる者でございますが、私どもの最も困難とするのは、ただいまの御質問にもありました通り、冬季間の船車連絡の関係でございます。大体北海道に渡る貨車の収容といたしましては、青森操車場におきましてはぎりぎり一ぱいのところでほぼ四百輌程度でございます。普通作業能力の最も順調な数字は三百台から、百四、五十台、かような数字に相なつておるのでございますが、一度連絡船が悪天候のために航行不能に陥つたような場合におきましては、陸上におきましても同様の天候状態にあるわけでございます。従いまして一旦連絡船が航行不能になると、陸上における貨車もまた風雪のために埋まつてしまう、こうした現象が起るわけであります。こうした場合は、同様に列車の運行もまた乱れて来るわけであります。従いまして従来青森管理部時代におきましては、青森、津軽湯ノ澤間、あるいは青森、尻内間の適当な駅に貨車の抑留、あるいは列車の退避、こうした措置をして、どうやら北海道との船車連絡のつじつまを合せておつたのでありますが、機構改革以後は、津軽新城以南が秋田管理局に付属しておりますために、貨車を抑制するにいたしましても、先ほど申し上げました通り青函局あるいは秋田局あるいは盛岡局と、複雑な横の連絡をとつて、こうした事務をやらなければならない。そのためにはどうしても強力なこうした軍務を扱うスタッフが青森にぜひとも必要である。現在は輸送指令あるいは運行指令にいたしましても、ごくわずかの五、六人程度の人がいるだけであります。もちろん駐在輸送長もおられますし、これに輸送長付の方々が二、三はおりますものの、従来のような強力なスタッフがおりませんために、どうしてもこうした天候最悪時における適時適切な指示を現場に與えることは、現在ではほとんど不可能のような状態にあります。されば本年一月初旬における輸送混乱の際におきましても、青函向のそれぞれの責任者は、あげて青森に出張いたしまして、輸送の指揮命令をいたしたような次第でありまして、こうした悪天候、猛吹雪の際におきましては、どうしても強力な機構が青森に存在しない限り、輸送の確保あるいは船車連絡事務の完遂は、とうてい期せられないといつたような情勢にあるわけでございます。以上お答え申し上げます。
  97. 岡田五郎

    岡田(五)委員 これは私の想像でありますが、函館に青函局の所在地をきめたということは、青函間の輸送、すなわち船車連絡の能率化ということが、あるいは考え方のおもなるものとなつて、五稜郭関係の船車連絡、貨車のやりくり、また青森側の青森操車場の北海道その他から来た貨車、また北海道へ行く貨車のやりくり、両端の船の作業を一箇所でまとめてやる、こういうような考え方から青函局をこしらえたのではないかと私は想像するのでありますが、前の、すなわち船は札幌鉄道局が持つてつて、青森側の方は全部仙台鉄道局青森管理部がやつておつた当時と現在とを比較して、この船車連絡を中心とした作業能率がはたして上つておるのか、下つておるのか、その辺のところを、一例でもよろしゆうございますから、具体的な例をあげてお聞かせを願いたいと思います。
  98. 小田桐政次郎

    ○小田桐参考人 私どもの率直な意見といたしましては、この青函局で函館側、青森側を一致したことによつての利点というものは、連絡船もまた陸上の一部門と同じ局長の指揮下に入つた、こうした点におきましては、たとえば連絡船の航行を抑制するというような場合におきましては、確かに同じ局長の管轄下にある方が私は便利だと考えております。しかしそのことがただちに船車連絡の輸送を円滑ならしめておるということには、現在の機構をもつてしては行きかねるのでございます。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、以前は青森に管理部があつて、船と陸上との輸送関係を常ににらみ合せて、適時適切な措置が講ぜられたのでございます。ところが今度の機構改革では、船と陸上の関係は、同じ局長の指揮下に置きましたけれども、青森からそうした機構を取去り、わずかに駐在的機関を残して置く、こうしたことによつてむしろ陸上における操作がかえつてマイナスになつておる、こうしたことを強く感じておる次第でございます。
  99. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 それではあと質問がなければ青森は打切りまして、下関に入りたいと思います。  それでは山口県副知事小澤太郎君にお願いいたします。
  100. 小澤太郎

    小澤参考人 下関管理局の設置につきましては、さきに衆院議運輸常任委員会におきまして、設置すべしとの決議をいただきました。また今回われわれ直接関係者に、この席で十分に事情説明する機会を與えていただきましたことにつきまして、県民ひとしく心から感謝を申し上げておるわけであります。ここに愼んでお礼を申し上げます。  下関管理局の設置は、下関の歴史的な理由、また経済的な理由並びに運輸上の見地から、当然そのことあるを期待し、また関係方面にそのことを強くお願いしておつたのであります。しかしながら昨年の八月一日その実施を見ますれば、われわれが期待しておりましたこととはまつたく相反した実情に相なつたのであります。ここで少しく実情を申し上げますと、山陽本線と支線、それから山陰線の幡生から正明市の間及び船舶の管理が、広島管理局の管轄に入つたのであります。また下関駅と幡生操作場、これは下関にごく接近しております。この二箇所が門司の管理局の管理に入つたわけであります。また山陰線の正明市から東が米子の管開局に入つたわけであります。かように山口県が三つの管理局に三分されることに相なつたのであります。また営業所は徳山と宇部と下関に設置されましたが、これは広島管理局の管轄に入り、また駐在輸送長が下関に設置されました。これまた広島の管理月の管下に入つておるわけであります。かようにいたしまして従来、八月一日の実施以前は、管理部は下関と広島と浜田にあつたのであります。これまた三分されておりましたが、下関にありましたがゆえにその不便さはある程度補い得たのでありまして、せつかく国鉄機構の改革あたりましては、われわれの希望いたします通り山口県下を一貫して管轄する管理機構をつくつていただくことを希望しておつたのであります。しかるに今申し上げましたように実際の結果は、前よりもずつと悪くなつておるという状態であります。  ここで飜つて山口県の産業、経済上の事情を申し上げますと、御承知のように山口県は宇部の石炭、大嶺の石灰石を中心といたしました全国有数の工業地帶であります。またこれが化学工業地帶でありますがゆえに、その原材料の有機的な輸送というものが強く要求されておるのであります。つまり石炭、石灰石、それに加えまして木材等のいわゆる重要貨物が、県内を有機的に循環輸送されるという必要があるのであります。また石炭、石灰石等の輸送につきましては、その生産地と消費地との関係から考えましても、山陽線の厚狭から、あるいは西宇部から、あるいは小野田から支線によつてわかれておるという実情にあるのでありまして、その運輸がきわめて複雑であります。また工場の運転の需要に即応して、これが有機的に動かなければならないのであります。また石炭の輸送は、大体陸運月間十二、三万トン輸送を要するのでありますが、これは毎月会議を開きまして計画を立てておるのであります。これまた貨車の輸送等につきましては、非常に複雑な事情にあるわけであります。また大量の貨物が季節的な波動がありまして、運輸上の機動的な扱いにつきましてはまことに複雑なものであります。のみならず三田尻、徳山、下松、光、岩国等の瀬戸内海沿岸の工業地帶は、これに原材料を運びます。また製品の輸送等で、常に貨車の配電の問題が起つております。それに加えまして朝鮮動乱の影響から、この間の貨物の輸送がきわめて活発に相なつておるのであります。このように山口県を單一の一貫した区域として管轄することは、その輸送の複雑性から申しまして、ぜひとも必要な事柄であります。しかるにこのことが、山口県には管理局が全然置かれないということによつて、非常な障害を来しておるのであります。  また山口県の今申し上げました工業生産上の理由は、さらに中国地区をながめてみますと、いわゆる工業上のウエートが山口県に大きくかかつておるのであります。たとえば工業生産の六五%が山口県であり、石炭の七〇%が山口県で消費され、あるいは輸出貿易にいたしましても、中国地区の四〇%が山口から輸出されておる、こういうふうな状態になつておるのでありまして、従つて遠く広島の管理局でもつて一元的に山口県の輸送管理の問題を解決しようということは、これは実際上でき得ないことであります。やはり山口県において、山口県を一貫的に管理するところの機構が必要であるということが痛感されるのであります。また別の面から見まして、御承知のように山口県は全国有数の水産県でありまして、下関漁港から水揚げされますところの鮮魚の輸送の問題、これはあとで別の参考人から申し上げますが、これまた非常に緊迫した問題があるのであります。このように山口県の経済、産業の事情をずつと引締めまして、そこに焦点を求めますと、そこが下関市と相なつておるのであります。  下関市に管理局が置かれなければならぬというこの必要性は、過失の沿革を振り返つて見ましても明らかでありまして、すでに明治四十四年には西部鉄道管理局下関駐在の設置があり、さらに大正二年下関運送事務所の設置があり、また昭和十七年には下関管理部となりまして、広くあの地区の運輸を管理いたしておつたのであります。これはその必要性を歴史が証明するものでありまするが、さらに他の観点から申しますならば、山陽線と山陰線との連結地点であり、また中国と九州との陸運の折衝点であります。この意味におきまして山陽線、山陰線の統一的運営の管理、このことのためには下関が最も好適なる場所に相なつておるのであります。しかるに下関駅と幡生操作場が門司の管理局の管轄に入つておりまする関係上、山陽線と山陰線が広島の管理局に入り、その中間にある焦点である下関が別の管理局の管内に入つておるという観点から申しまして、一例を申し上げますと、先ほど申し上げましたように臨機に有機的に必要なるところの貨車繰りにいたしましても、下関駅の需要は、まず門司の管理局の駐在輸送長に連絡し、駐在輸送長は門司管理局に連絡し、門司管理局から広島管理局に連絡し、広島管理局から下関駐在の輸送長に連絡して来る、そして初めて貨車が動く、こういうふうに時間的にもまた事務的にもきわめて複雑なコースをたどらなければ、円滑なる貨車繰りができないという実情にあるのでありまして、この欠点を補うために、管轄を異にしておりますけれども、実際上は下関駐在輸送長にほとんどまかせておるというふうなかつこうになつておるようであります。また一例を別にとりまして、山口県は宿命的に毎年風水害の災害を受ける場所に相なつておるのでありまして、大小の災害はほとんど毎年あるのであります。この際に鉄道輸送の確保をいたしますためにおきましても、下関に中心がありまするならば、山陰、山陽両線にわたりまして、災害の応急対策が講じ得られるのであります。  さらに第二の下関の特徴といたしましては、韓国を初め大陸方面との関係であります。戰前は関釜連絡船がありまして、韓国との連絡の拠点に相なつてつたのでありまするが、将来大陸との交通、通商が開けまするあかつきにおきましては、必ず下関がその中心に相なることは当然のことであると、かように考えるのであります。現在におきましては、朝鮮の動乱の結果、あそことの交易におきましても、物の輸送におきましても、下関が中心に相なつておるのであります。さらに先ほどちよつと触れました漁業の問題でありまするが、下関が西部、東支那海その他の遠洋漁業並びに日本海その他の近海漁業におきましても、その中心に相なつておるのでありまして、非常に莫大な水揚げ鮮魚が速急に関西方面に送られるという、その緊急手配をどうしてもしなければならない状態にあるのでありまして、この点におきましても下関が、管理局がないために非常な不便を感じておるわけであります。このように山口県の事情を引きしぼつて中心焦点を求めたところが下関市であります。ここに管理局が当然なければならないということは、私ども強く信じておるのであります。また下関に新たに管理局を設置いたすといたしましても、たとえばその庁舎の問題、あるいは最も大事な通信施設の問題、あるいは宿命の問題、あるいは近くにありまする操作場の問題、これらはすべてすでに現在ありまする施設がそのまま使えるのであります。これを最も有効に使う意味におきましても、下関管理局を設置せられるということにつきまして、私どもは強い希望を持つておるのであります。  以上まことに簡單でございまするが、ごく概略を申し上げました次第であります。どうぞこの上とも諸先生のおカによりまして、私ども山口県のこの熱望がかなえられまするようにお願い申し上げます。
  101. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次は下関市長松尾守治君にお願いいたします。
  102. 松尾守治

    ○松尾参考人 ただいま知事より大略につきましては、おおむね言い盡された感がございますが、なお重複する点もあるかもしれませんが、私の気づきました点を申し上げてみたいと思います。  青森が本州の北の窓口でありますと同様に、下関は本州の西の窓口でありまして、九州、山陰、山陽にまたがる陸運の要衝の地点であります。と同時に過去におきまして関町港は、外国または大陸に対する重要な拠点をなす港であつたのでありまして、今後平和條約の結ばれましたあかつきにおきましては、過去の毀盛は必ずとりもどすことと信ずるのであります。現在におきましてもすでに相当の量の荷動きを見せて参りまして、その荷動きのために現在の鉄道の機構におきましては、非常に困つておる状況が時々発生しておるのであります。これは結局下関にこれを管理する中枢機関がないためであると深く信ずるのであります。現在の業務は今お話のありましたように門鉄局が管理しておりまして、施設は広島の管理局が管理しておるというふうな状況である関係から、たとえば臨時列車を一つ動かすという場合におきましても、今の知事のお話のありましたルートをたどつて行くような状況であります。従いまして船舶の出入の場合に、これがさしつかえを起すというふうなこともございまして、ために下関の港を利用することを外国船はきらうというふうな事実も一両回起つたのであります。また貨車繰りがうまく行かないがために、山口県下のセメントを輸出する場合に、九州からの配車がうまく行かず、下関港から出すには非常に便利であるにもかかわらず、これを船輸送をして門司まで運搬するというふうな状況も起つた実例があるのであります。これらはやはり下関に管理局がないがために、貨車繰りがうまく行かなかつた、そういう結果の現われであると私は思うのであります。なお鮮魚の点、これは非常に大きな下関における生産でございまして、その輸送が遅れます場合には、あの鮮魚のことでありますので、じきに腐敗する。その結果鮮魚の損失を来すのでありまして、せつかく遠方からとつて参りました鮮魚が、京阪あるいは東京方面の人の口に入らないで、下関で腐らすというふうなことが時々起つたのも、これまた管理局がないがために、配車がうまく行かなかつた結果と思うのであります。  なお駅舎の修繕あるいは施設の修繕、改良という面におきましても、先ほどお話の台風の被害などがありました場合に、これが修繕改良は広島の管理局で扱います。門司の管理局に対しましては、ただの写しをやるというふうなことになつているのでありまするが、これは他の管理局の利用するものを、広島の管理局で修理、改善するという場合におきましては、人情上どうもうまくその点の連絡が行かないので、従つて施設改善が遅れて、汽車の運行にも時々支障を来すというふうな具体的な例も聞いておるのであります。かかる点、また下関は御承知の、昔の関釜連絡線でありました遊休船舶及び船員を多数持つておるのであります。これらの機動的な活用をいたします場合に、これが地元にあります場合には、きわめて楽に運用もできるのでありますが、この点の運用なんかも非常に困つておるという実情でございます。下関に管理局がぜひとも置かれて行かなければならないということは、先ほどの知事のお話のごとくでありますが、現在持つております諸施設は、下関の重要性を考えて、すでに相当の施設があるのであります。操車場、また貨車、客車を扱つておるのでありますが、大きな工機部、また電務区、これは山陰、山陽にまたがりまして、きわめて優良な施設を持つております。鉄道の輸送に対して最も大きな役割を演ずる通信機関は、下関にあるのであります。かかる点を考えます場合に、かりに下関に管理局が設けられましても、鉄道の出費はほとんどいらないという状況にあるのであります。  以上を考え合せられますならば、下関の重要性と、また現在持つております施設等を御利用に相なりますならば、下関の管理局設置はきわめて楽にできるという状態にあるのであります。どうぞかかる点をお考え合せくださいまして、下関に管理局を設置に相なりますようにお願い申し上げます。
  103. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次は下関会議員齋藤善次君にお願いいたします。
  104. 齋藤善次

    ○齋藤参考人 下関管理局の設置の必要性につきましては、ただいま知事並びに下関市長から申し上げた通りでありますが、私ども当初におきましては、下関の管理部は当然管理局になることと信じておつたのでありますが、今日の状態になりましたことは、まつたくわれわれの不明を恥ずるとともに、その努力の足りなかつたことを、深く責任を感じておる次第であります。下関市民はもちろん、山口県全農民の下関管理局設置についての熱望は、実に涙ぐましいものがあるのであります。  先ほど市長も申されたように、下関は本州の西南端にあるのであります。地図の上から見ますと、まことに辺鄙なところのように見えるのでありますが、私どもから見ますと、まさに本州の玄関であります。扇のかなめとも言えると思うのであります。近く本格的な貿易再開となりますならば、特にまた対韓貿易基地といたしまして、下関鉄道当局の貨物輸送手配の適否いかんは、大きく取上げられなければならないと思うのであります。下関に管理局の御設置を願いまして、三つに分割されております山口県をまとめて運営していただきますならば、実に理想的な運輸行政ができることと信ずるものであります。  そこで私は、新機構になりましてからの実情につきまして、少しばかり申し上げてみたいと存ずるのでありまするが、ただいまの知事並びに市長のおつしやつたことと多少重複する点があるのでありますが、御了承願います。貨車の需給調整について申し上げてみます。旧管理部時代におきましては、全体としては発送地帶より到着車の四百五十両程度に、日々部外から百五十ないし二百両の空車を回入しまして、貨物輸送に当つてつたのでありまするが、機構改正後は、管内最大の到着駅であつた下関駅が、門司管理局に移管されました結果、波動の著しい空車回入に対して、自管内の二百五十両前後の到着中では、線区別の貨車需給調整がほとんど不可能となつておるのであります。  また山陽線の輸送手配上の困難について申し上げます。これは先ほどもお話がありましたように、従来門司側におきまして、繁忙期の輸送抑制は幡生操車場の作業に基因するように考えられておりましたが、機構改正にあたりましては、幡生駅は門司局所属となりておるのでありますが、輸送抑制の真因は幡生操車場の作業ではなく、山陽線自体の機動的輸送力いかんにかかつておるのでありまして、機構改正後、山陽線と幡生操車場との緊密な輸送手配が困難となり、輸送合理化の低下を来している点が多々あるのであります。  それから鮮魚の問題でありますが、冷蔵車の回入、空車の早期通報の把握が困難となつて参りまして、水産業者は非常に迷惑をこうむつておるわけであります。聞きまするに、以前は東部方面から冷蔵車の下関到着予想が的確にできまして、過下足に即応した運用手配ができておつたのでありまするが、機構改正後はこれがなかなかむずかしいようでありまして、せつかくとつて参りました鮮魚が、よく新聞紙上でも御承知のように、腐つて来るのであります。  次は山陰線に対する配置空車の手配が、著しく複雑となつて来たことについて申し上げてみます。山陰線は綾羅木と正明市間は広島局に、正明市以東は米子局に属することになつておるのでありまして、貨車運用の複雑化を来したのであります。すなわち山陰線の空車配置駅である幡生操車場は門司局に属し、同線区に対する配置車輌源となる下関、幡生両駅の発生空車は常に不安定であり、かつ不足状態で、他線区からの回入のない限り、同線区の貨車輸送は非常に不円滑な結果となつておるわけであります。従つて幡生操車場を中心として、山陽、山陰を通じての統一した貨車適用を実施する指令機関が必要であり、現在のように三局に分割されていることは、非常に不利益であるのであります。  以上の諸点のほか、種々の不利、不便を感じておるのでありまするが、委員会の諸先生におきましては、十分この点御考慮くださいまして、一日も早く下関管理局ができまするように、御盡方をお願いする次第であります。
  105. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次は下関商工会議所副会頭有吉京吉君にお願いいたします。
  106. 有吉京吉

    ○有吉参考人 知事、市長、市会議員から、本問題につきましていろいろ申し上げ、お願いしたわけでありますが、私は下関における今日の産業の大宗をなしております水産の仕事に関係いたしまして、少し私見を申し述べたいと思うのであります。  御承知のように戦後非常に食糧が下足いたしました当時、下関といたしましては、いち早く漁業の方の整備をいたしまして、統制当時に相当各大都市に鮮魚の供給をいたしたのであります。当時よほど物資も困難な時分でございましたから、たいへん各都市から喜ばれたのであります。今日資材の方は、補給金の廃止等によりまして、非常に高くはなつておりますが、従来よりは入手は比較的楽になつておるわけであります。しかしながら先般水産資源枯渇防止法の適用によりまして、トロール船底びき網の大幅の減船を見るに至つたのであります。その整理も一段落つきまして、現に一生懸命増産に努めておるのでありますが、大体今日下関に年間揚げられまする魚は五千万貫で、金額にいたしまして六十億見当のものになつております。それに対する投下資本は約百億になつておるのであります。従いまして下関におきましては、この漁業の消長いかんによりまして、市の中小業者その他に相当大きな影響があるのでございます。申し上げるまでもなくこの漁業なるものは、沖に出まして魚をとることが第一義ではございますが、その魚を持つて帰りまして、消費都市に輸送いたしまして、国民の皆さんの台所に届くということによつて、初めてその企業が成り立つのでございます。昨年の秋ころから客観情勢の変化もございましたが、非常に貨車繰りが不まわりになつて来たのでございます。当時しばしば貨車の増配につきまして、業者から陳情をいたしました。昨年の十月ごろは漁期に入りました関係で、反対に貨車が不足いたしまして、その滞貨が船数十そうに及び、また最もたくさんな滞貨ができました当時は、三十万貫、四十万貫といつたような滞貨もできました。そのために業者といたしましては、大体一航海で二百万円くらいの水揚げをするわけでございますが、貨車がないために、一日繋船いたしますと、大体魚価が五%ないし一〇%の低下を見る、鮮度が落ちるわけであります。御承知のように、昨年の四月から鮮魚の統制も撤廃になりまして、自由経済になりましたために、非常に鮮度を主眼として輸送に当らなければならぬ実情にあるのであります。他の貨物と同一にその滞貨を考えていただいては、水産業者としましてはとてもしんぼうがし切れない、非常に緊迫した問題になつておりまして、今日水産業者はその経営の上におきまして、この貨車不まわりのために、非常に苦境に立つているということを、どうか御承知願いたいのであります。一月に入りましても、依然として貨車は足りないのでありまして、大体貨車を請求いたしましても、絶対量が足りないということは、われわれも今十分承知はいたしているのでございますが、貨車の不足のために、大体一月でも百二、三十隻の船が、自分の船で魚を京阪神方面に運んでいる実情であります。しかも今日御承知のように、燃料油の割当はとても思うように行きません。そういう非常に少い燃料油を使つて、なおかつ貨車のないために、自分の船で運ぶというようなこともやつておるのでありまして、下関の水産業者としましては、この点が非常に緊急な問題になつておるのであります。私の私見といたしましては、かくのごとく貨車の絶対量が足りないときは、なおさら機構の面でこれを補うように、下関に管理局を設置願いまして、臨機の措置を適切におとりくださるならば、幾らかは緩和できるのではないか。今ただちに冷蔵車を五百輌つくつてもらいたい、三百輌つくつてもらいたいと申しましても、容易にできません。また五百輌、千輌つくりましても、これも全国に配車されるならば、われわれの方にまわりますものは大したものではないのでありまして、そういう点から申しましても、少いものをいかに効率的にこれを操作し、運営するかということを考えますと、どうしても命令系統なり、その他の修理の問題にしましても、管理局を設置していただいて、そこで活発に運営していただくことが、最もいいのではないか。また鉄道当局としましては、収益をお考えになることはもちろんだと思いますが、たとえば貨車のないために船で運んでいますものが、大体月に百五十輌分あるいは二百輌分ございまして、大阪中心に考えまして、かりに一車一万円と運賃考えても、貨車をうまく操作することによつて、月々二百万なり、三百万という増収がはかられるということは、これは自明の理であるのでございます。そういう意味から、私はこの際管理局を下関に御設置願いまして、操作の面なり、その他の面に遺憾のないようにやつていただきたいのであります。皆さん方の御盡力を切にお願いいたしまして、私の話を終ります。
  107. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 参考人に対する御質疑がありましたら、これを許します。
  108. 坪内八郎

    坪内委員 下関関係の参考人の方々の公述によつて、さらに私たちは下関に管理局を置かなければならぬという点について、再認識をいたしたわけであります。特に私は長崎県出身でありまして、水産関係につきまして、今有吉さんが申し述べられた点につきましては、特に私はよく了解また理解いたすのであります。ことに水揚げ高が年間五千万貫もあり、かつまたその価格が六十億だというようなことでありますので、貨車繰りの関係から輸送が意のごとくならない、従つて鮮度が落ちる、漁価が下るというようなことにつきましても、まつたくその通りだろうというふうに考えるわけであります。そこで有吉さんにお尋ねいたしたいのでありますが、水産物の水揚げがあつたときに、貨車は一日平均どのくらい必要としておるのでありますか。その点をまず承つておきたいと思います。
  109. 有吉京吉

    ○有吉参考人 たくさんの資料をそろえておりませんですが、一月のみをとつてみましても、大体一月の請求数が二千二百九十輛に対しまして、実際が一千五十四輌の発送になつております。それで一箇月をまとめまして、随時発送するといつたような貨物の性質と違う特異性を持つておりまして、水揚げの量によりまして、一日二万貫、あるいは十七万六千貫、十三万五千貫、十一万九千貫、十一万九千貫、二十五万二千貫、二十万一千貫というふうに、毎日のごとく水揚げされる量がかわつて来ますことは、漁、不漁、あるいは自然に左右せられております漁業の特異性を御承知願えばわかると思うのでございますが、非常にその操作がむずかしいわけなんでございます。きよう五十車あるいは七十車いることがあるかと思いますと、翌日は二十車しかいらないといつたようなことになりまして、はなはだこの操作は当局におきましても御苦心なさつておることは、われわれもよくわかるわけであります。しかしながら貨車の余裕がありませんために、きようはないが、あすはあるだろうという見込みのときは、貨車をそこに置いてもらえないわけであります。今日一日もそこに貨車を置くことができないような実情にある関係で、非常に操作がむずかしいことになるのでございまして、大体昨年の秋ごろから今日まで、請求します貨車につきましては、六五%から七〇%くらいな貨車がまわつておると思うのであります。そのうち冷蔵車が大体八割見当で、二割くらいが代用車の有蓋車を使つておる。もちろんこれは近距離の方におもに使うわけでありますが、しかしながらわれわれといたしましては、あくまでも冷蔵車もどんどん増強していただきまして、夏の期間もなるべく鮮度の高いものを国民各位に提供したいと考えておるわけであります。詳細の数字をもし御必要でしたら、またあとでお届けをいたしたいと思うのであります。
  110. 坪内八郎

    坪内委員 そこでさらにお尋ねをいたしますが、大体の今のお話で、月に二千二百九十六輌の需給があるにもかかわらず、供給は千五百五十六輛だというようなことでございますと、数字的には大体七百四十輌ばかり貨車が足りないということになるわけでありますが、この七百四十というのは、機構改革によつてこのように貨車繰りが悪くなつたのか、その点をもう一点お尋ねいたします。
  111. 有吉京吉

    ○有吉参考人 先ほども申しましたように、貨車の絶対量が足りないとしばしば陳情しましたたびに、当局から、特需関係もあつてどうしても絶対量が足りないのだということを話されますと、われわれとしましては、あくまでも自分のものは必要だけよこしていただきたいということは申し上げられないわけでございますが、たとえば下関及び福岡地区あるいは佐賀、長崎といつたような方面の配車の状態を情報によつて聞くと、必ずしも下関は有利になつていないのですが、管理局が設置されれば、下関はそういう不利な地位には置かれないことになるのではないか。あるいはまた代用車なんかの面におきましても、そういつた面が相当緩和され、また適切な措置が講ぜられるのではないかということをわれわれは考えておる次第であります。
  112. 坪内八郎

    坪内委員 そこで私がお尋ねするのは、今のお話で大体理解はするのですが、機構改革後に管理局が廃止になつたために、貨車がこの通り減らされたのだということが具体的にわかれば、お話願いたいと思います。
  113. 有吉京吉

    ○有吉参考人 私は的確な数字は持つていないのでございますが、大体聞くところによりますと、従来ですと幡生に入つたものを下関の管理部からある程度とることができた。ところが今は幡生へ入りましても下関では全然どうにもならない。毎日のごとく幡生の情報を首を長くして待つておりましても、下関の漁港で鮮魚の荷役をすべく待つておるのに、あの高架線の上をずつと通つて九州に渡つてしまうということがありまして、極端に申しますと、業者といたしましてはもう切歯扼腕といつたようなことがたびたびあるわけでございまして、的確な数字を持つていないことを遺憾に思いますが、そういうような次第であります。
  114. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 御質疑がなければ、これで下関関係は打切りまして、鳥栖関係について佐賀県出納長横尾将夫君にお願いいたします。
  115. 横尾將夫

    ○横尾参考人 国鉄管理局の増設の問題につきまして、鳥栖が昨年の本委員会の決議に漏れておりましたにかかわりませず、皆様方の御配慮によりまして今回鳥栖地区を承認してくださいまして、本日の聽聞会にわれわれを出席させて、意見を述べさせていただきます御好意に対しましては、厚く感謝の意を表します。つきましては鳥栖地区にぜひ管理局を設置していただきたいというような点につきまして、私から五、六項目にわたりまして、お願いいたしてみたいと存じます。  まず第一番目に、地理的に見て交通の要衝地であるというような点について申し上げてみたいと思います。九州地区の鉄道線路地図を見てみますと、一見しただけで明らかでございますように、門司を起点といたしまして西に縦走する鉄道は、肥筑平野の中心たる鳥栖において分岐しまして、一は南に走り、一は西に走り、おのおの鹿兒島線あるいは長崎本線を形成いたしております。その中心が鳥栖であるということは、一目瞭然としてわかるのでございます。しかもこの間の鉄道は、門司、鳥栖間の距離が約百キロでございます。鳥栖、長崎間の距離が大体百六十キロである点から考えてみましても、北九州並びに西九州の中心をなしますことがはつきりとわかるのでございます。現在九州地区に設置してあります管理局の門司、熊本、鹿兒島、大分の各管理局別の駅数を見ますと、総数六百五十駅の多きに達しておる現状でございます。門司局におきましては実に三百十六駅を数えております。これは小倉、鳥栖、長崎を含むものでございます。熊本区におきましては八十六駅を数えております。これは熊本、鳥栖を含むものでございます。鹿兒島区におきましては百四十九駅を数えております。これは鹿兒島、熊本、宮崎を含むものでございます。大分区におきましては九十九駅を数えております。これは大分、宮崎、小倉を含むものでございます。聞くところによりますと、新管理局の基準駅は百五十駅でありまして、その営業距離は八百キロと聞いておりますが、以上の数字から考察いたしますれば、いかに鳥栖が管理の地に惠まれておるといえども、この広範囲に散在しますところの多くの駅の管理には、相当の不便が伴うことは必然であると思われます。今後この点につきまして、十分検討されなければならないであろうと思われるのでございます。  次に現在の鳥栖駅における諸施設が整備しておる点について、一言申し上げたいと存じます。鳥栖は九州一の鉄道通信網と軌條の整備ができておると聞いております。もしこの整備まつたくなれる諾施設を他に転換することになりますれば、おそらく数十億の資金、資材を要するはもちろん、短時日の間には容易に完成せられざるものと考えます。別して国内外の諸情勢よりいたしまして、まことに気づかわれるものがございます。しかも全国において鉄道局を分離する必要のあるところは、門鉄局管内と聞いておるところから見ましても、実にむべなるかなと思われるのであります。  次に第三番目に、輸送上の最要衝たる点につきまして申し上げたいと思います。物資輸送の面しついてのみ考えてみましても、南九州、西九州、北九州の物資交流は、必ずや鳥栖を経由しなければ、これを果すことは絶対にできない状態でございます。また主要食糧輸送の部面におきまして、ひとり佐賀県に関する面について考えてみましても、佐賀県におきましては現在平年作の米麦の生産量は、米が百三十万石、麦が五十万石でございますが、そのうち米八十万石、麦二十万石、合せて百万石程度は消費県たる隣接の福岡、長崎の両県に搬出いたしておるような現状でございまして、端境期また非常災害時における食糧輸送のための貨車の配車なき場合、また配車の遅延した場合を考えてみますれば、一大支障を来すのはもちろん、あるいはまことにゆゆしき問題を惹起することが考えられます。また食糧増産上欠くべからざる資材であります肥料の輸送の面におきましても、佐賀県はあいにくその生産工場を持たざる関係上、県外生産地よりこれを仰がなければならない実情にあります。しかもこの生産資材たる肥料の輸送が適期にできなければ、適期にこれを施用できないということになりまして、生産増強の面にも一大支障を来すことは言をまたざるところであります。  さらに第四点として、朝鮮動乱より見たる輸送上の重要点について申し上げてみたいと思います。朝鮮動乱の終息の時期につきましては、予測し得ざるところでありますけれども朝鮮動乱勃発後より今日に至る間の輸送事情は、かの地に対しまして最短距離でありますところの佐世保港を経由しなければならぬことはもちろんでありまして、かの地からの内地に向けての輸送のためには、これまた佐世保港は避けんとしても避けられざる地点でありますが、これがためには何といたしましても、最も利便多き鳥栖にたよらなければならないのであります。この点から申しますれば、まさにキイ・ポイントたるの感をいよいよ深くするものでございます。  次に講和会議締結のあかつきにおける、大陸及び南方方面との交易関係を考察いたします。早晩締結を見得ましようところの講和のあかつきにおきましては、西の大陸はもちろん、南方諸地域との交易は必然で、かつ欠くべからざるものと考えられますので、長崎線は必ずや国際線となることは、かつての国際線ととなえられた関係上、これまた必至のことと考えられますが、それに備えて鳥栖管理局の事前の設置は、何としても必要でございます。  以上申し上げましたような点によりまして、さていよいよ管理局設置のための受入れはどうかというような点につきまして、佐賀県としての気構えを申し上げたいと思います。管理局設置に関しましては、地元鳥栖町はもちろんのこと、佐賀県といたしましてもでき得る限りの御協力を惜しまないのであります。積極果敢に御協力をいたすとともに、鳥栖町をしてあらゆる協力をせしめるよう、極力打合せいたしております。今後ともこの点につきましては、必ずや御期待に沿い得るよう精進努力いたす所存でございます。  最後に、鳥栖管理局設置を要望いたすゆえんのものは、ひとり佐賀県のみではありません。ひいては隣接の長崎県のためにも、十分これはお役に立つものと考えまして、あえて意見を開陳いたしまして、ぜひ鳥栖管理局を設置されるよう、おとりはからいを願いたいと存じます。以上申し上げまして、鳥栖にぜひ管理局を設置してくださいますように、皆様の御配慮をお願いいたします。
  116. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次は鳥栖町長橋本雅弘君にお願いいたします。
  117. 橋本雅弘

    ○橋本参考人 本日は私どもの意見を聞いていただきます絶好の機会を與えていただきまして、まことにありがとうございました。ただいま横尾出納長より申しました通り、九州の鉄道網における鳥栖の位置は、先ほど下関お話にありましたように、まつたく扇のかなめという地位にあります。しかも門司鉄道局は山口県の一部、大分県の一部、福岡県の大部分、佐賀県、長崎券という厖大な地域にわたつておる管理局であります。その中心にございます鳥栖は、福岡を含みます。北九州、佐賀、長崎県を含みます西九州、さらに熊本、鹿兒島県を含みます南九州の三方面から集まり、かつ三方面に散ずる地点であります。鳥栖はきわめて小さいいなか町でありますが、昔の九州鉄道株式会社と申しておりました時代より約六十年間、鉄道町として今日まで発達して参つたのであります。しかも鳥栖駅の施設といたしましては、年々歳々拡張に次ぐ拡張を続けて参り、増設に次ぐ増設をして参つたのであります。いまだ一回も施設の削減でありますとか、縮小というようなことが考えられたことはないのであります。現在鳥栖駅構内の地積は、大体約七十万坪でございます。駅内に敷設しております軌道の延長は、約四十キロあるのであります。この厖大な施設の内部はどうかと申しますと、鉄道運営の神経でありますところの交通、その他機関車操車場、すべて内容は充実しておるのであります。これはすなわちああいう寒村でありました鳥栖が、いかに交通の要点であるかという事実上の証左であると存ずるのであります。現有鳥栖町はまだきわめて小さな町でありますが、人口約一万七千を擁しております。でありますが、鳥栖町自体といたしましては特別に申し上げる産業を持つておりません。鳥栖町が発展いたしましたのは、ひとえにその地理上の点と、鉄道の施設の拡充ということに伴つてつたのであります。昨年の八月に、機構改革によりまして門司管理局ができまして、先ほど申し上げましたように五県にわたる厖大な施設を門司管理局が擁しておるのでありまして、そのために末端に非常な支障が生じております。これに対しましては、いずれ他の参考人から詳しく数字上で御説明申し上げます。配車におきましても、構成の問題におきましても、いろいろな支障があるのであります。これはすなわち合理的に経営をしなければならぬ鉄道が、せつかくの施設を持ちながら、これを利用しないために起るマイナスの面である、こういうように私は考えるのであります。  次に文化面における鳥栖の現状でありますが、これは鳥栖鉄道管理局が設置されましようとも、されませんでも、鳥栖町自体として行わなければならぬ仕事でありますが、幸いに管理局が設置されまするならば、これに並行いたしまして、今日まで戦時中忘れられおりましたいろいろな施設を積極的に加えて参りたい、こういうように存じております。ただいま全国的に不足を訴えられております住宅に関しましても、両三年前から積極的な方法を講じまして、昨年までに大体百二十世帶ばかりの家屋を増設いたしました。将来は大体四百ないし六百戸を増設いたしますよう、継続年度で実行をして行きたい、こういうふうに存じております。なお水泳プールでありますとか、あるいは遊園地でありますとか、子供のための施設でありますとか、こういうものもぜひやらなくちやならぬということでありますので、これは管理局のあるなしにかかわらず私どもは実行をして行きたい、こういうように考えております。  それから昨年管理局が、全国で二十七箇所発表になりましたときに、九州におきまする西日本新聞が、いち早く鳥栖管理局は決定したという東京通信を掲げたのであります。私どもは非常に喜んだのでありますが、遂にぬか喜びに終つたわけでありまして、そのときにどういうわけで鳥栖が脱落したのであろうかというようなことを、各方面にいろいろお尋ねを申し上げたのでありますが、いまだに確たる真相をつかむことができずにおります。そのうちに鳥栖は都会性に欠けておるのだというようなお話が、ある方からあつたのであります。これはただいま設置されております管理局の所在地のように、数百年の封建時代からの歴史を持つておる都会と鳥栖とは、まつたく比べものにならない状態であります。そこで私どもはその以前から、この設置運動を始めましたときから、鉄道の運営に必要であるならば、いかなる寒村であり、いかなる僻地であつても、これはかまわないのだ、前管理部の所在地に設置するというお話を唯一のたよりにして参つたのでありますが、都会性に欠けておるというようなことのお話がありましたので、その点も愼重に私ども反省しておるわけであります。しかしながら文化面におきまして、教育の面におきましては、現在私どもの地元といたしまして工業高等学校一校、普通高等学校一校、中小学校はもちろんでありますが、それを持つております。それから汽車便でわずか十分の距離にありますところの久留米に参りますと、医科大学、工業大学あるいは九大の文科、あるいは商大、こういうものがございます。それから西の方約四十分、汽車で参りますと佐賀大学がございます。北の方は福岡へ参りますと、四十五分要しますが、ここには御承知の総合大学である九大がございます。私大も三つばかりございます。でありますから子弟の教育に関しましては、まずさしつかえはない、こういうふうに考えております。  なお先ほど青森の参考人の方からお話がありましたように、職員の勤務地でありますが、鳥栖にもしかりに管理局ができましたならば、昨年の機構改革によりまして、熊本管理局あるいは大分管理局あるいは門司管理局に、鳥栖に住まいながら通勤をしておる人が多数ございまして、こういう人が、非常に非能率な勤務をやつておると想像いたします。こういうことがまず是正されますし、鳥栖町のみならず、隣接の約七箇町村の鉄道職員というものは、非常にこのために助かるわけであります。  以上きわめて概略的に申し上げましたが、今日までしろうとに尋ねましても、あるいは專門家に尋ねましても、鳥栖というところは非常に重要なところであつて、管理局があつてもいいのだというようなお話を常に伺うのであります。鳥栖は管環局を設置する場所ではないのだというお話は、一回も伺つたことがございません。さようなわけで、私どもはぜひ旧管理部にかわりまして、管理局を設置していただくように、絶大なる熱望を持つておるわけであります。どうか願わくば公正な御判断を願いまして、鳥栖管理局の設置方をぜひ御採択くださるようにお願い申し上げて、私のごあいさつといたします。
  118. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次は鳥栖商工会議所会頭笠井定夫君にお願いいたします。
  119. 笠井定雄

    ○笠井参考人 昨年八月国鉄は、経営の合理化と独立採算制の確立のため機構を改革して、従来の横割り四段制を縦割り三段制に改め、全国四十八の管理部を廃して、二十七の鉄道管理局を設置せられたのでありますが、その後運営八箇月を経過した今日、その実績に徴しまして、幾多の矛盾と不合理を暴露いたしておるのであります。すなわち九州におきましては、元の小倉、鳥栖、長崎、及び下関の四管理部を合せまして、一つの門司管理局となり、熊本鹿兒島、宮崎、大分の四管理部が熊本、鹿兒島、大分の三管理局にかわつたのでありまして、これは單に、営業キロ数を基準として決定せられたかの感じがいたしまして、非常に不合理であります。九州における産業経済の発達は、ほとんどその北西部に集中しておりまして、熊本、鹿兒島、大分等の管理局所在地のいずれもが、その地方において唯一の産業経済の中心をなしておるのに反しまして、門司管内は下関、門司、小倉、八幡、戸畑、若松、直方、飯塚、博多、久留米、佐賀、佐世保、長崎等、無数の重要なる大きな拠点が、産業経済の最も殷賑なる北西九州のほとんど全部ともいえる、福岡、佐賀、長崎の全県と、山口、大分の両県の一部にまたがる広大なる地域を占めておるのであります。以前の機構でありますれば、門司鉄道局のもとに小倉、鳥栖、長崎及び下関の四管理部があり、すべての業務がすこぶるスムーズに遂行せられたのでありますが、新機構におきましてはこれが門司管理局一本にまとめられ、所管駅数は実に三百十六、職員の数は三万八千人に及び、取扱う業務の分量は九州管理局全体の七割を越ゆる厖大さでありまして、加うるに局の位置があまりに一方に偏在しておるのであります。従つて局の指揮命令は徹底せず、現場は去就進退に迷い、能率は上らず、経費はかえつて増高する結果と相なつておるのであります。長崎のごときは門司から早岐経由で二百六十二キロもありまして、普通列車で八時間半を要するのであります。もしこの地域に現在のまま管理局を一局で済ますとすれば、ちようど中央の鳥栖に移すのが一番便利であると存じますが、現在の門司が管理局としての適正規模を越えておることにかんがみまして、これを二分して博多、久留米、大牟田、佐賀、佐世保、長崎等、産業経済の大拠点の中心である鳥栖に増設するのが、最も賢明な策であると信ずるのであります。元来門司、鳥栖、佐世保、長崎間の鉄道は、軍事的にも経済的にも非常に重要な路線でありましたが、終戦後はしばらくその感じも薄らいでおりましたところ、昨年の朝鮮動乱勃発以来、国際情勢の変化に伴いまして、再び前に倍する重要性を加えて来たのであります。従つて最近この線の旅客と貨物の輻輳はまことにおびただしいものがありまして、輸送はまつたく混乱状態であります。なおこの上、北九州の電化、長崎線の複線化等も考えられておりますので、なおさら鳥栖管理局の設置を痛感する次第であります。鳥栖が鹿兒島本線と長崎線の分岐点であり、かつ久大線の始発駅であり、大操車場と大機関区を有し、その他あらゆる現場機関を有する国鉄輸送陣の一大拠点でありますために、管理部廃止後も、元の管理部長にも比すべき重職の輸送長が駐在せられておりますが、大部分の業務は門司管理局と打合せの必要があるにもかかわらず、通信施設不十分のためほとんど連絡がとれず、出向いて行けば一日もつぶれるし、鳥栖でさえもさような状態でございますから、さらに以遠の佐賀、佐世保、長崎等の不便は、まつたく思い半ばに過ぎるものがあるのであります。  以上は主として国鉄運営の面から見た点でありますが、このほか一般大衆のこうむる不便のおもなるものを申し上げますと、第一に輸送の不円滑であります。以前は貨車の配給を申し込みますと、鳥栖で一、二日、その他で二、三日目には、たいてい車輌の提供を受けていたのでありますが、このごろは鳥栖で四、五日、その他では十二、三日を要しております。これも米、麦等の優先順位のものでありまして、その他の雑貨ではいつ貨車がもらえるか、まつたく予測を許さない状態であります。これがため炭鉱では納入の期限に遅れて違約金を拂わせられたり、代金下払いの口実となつたり、また山元にはおびただしい、貯炭のための、非常な金融難を招来しておるのであります。また主食は往々配給に間に合わないために、消費者からきびしい非難や攻撃を受けておる状態であります。その他輸送の不円滑のため商機を逸して取引を阻害し、また中小企業の金融難に拍車をかけておる事実は、実に枚挙にいとまないほどであります。なおまた土建業者や御用商人の納品の見積り、入札等は、わざわざ門司まで出かけて、前日の十一時までに手続を済ます必要がありますから、ほとんど三日がかりの有様で、また工事完了後の検収にも、わざわざ門司から遠路出張せねばならず、かようにして能率は上らず、むだの経費は増高するし、当初の機構改革の目的に反することこれよりはなはだしいことはないと存じます。門鉄管内三百十六の駅所のうちその六割、百八十以上が鳥栖に近く、通信も交通も便利でありますため、これらのほとんど全部と、その背後にある福岡県、佐賀県、長崎県、大分県のすべての県民が、鳥栖管理局の設置を熱望しておるのであります。どうか皆さんの御同情によりまして、これが急速実現をお願いする次第であります。  なお最後に、皆様にお配り申し上げております資料の説明を、簡単にさせていただきます。お配りしております資料のうち、十ページをお開き願います。これは新管理局の職員の数でありますが、新管理局全体の職員の数が五万六千五百七十人となつております。そのうち門司局が三万八千二十八人でありまして、六七・三%であります。大分が九・七、鹿兒島が一三・六、熊本が九・四ということに相なつております。  その次に鳥栖構内現職員を出しておりますが、鳥栖駅構内に従事いたしております職員の数は二千五百八十であります。これは鳥栖構内だけでも現在の大分局、鹿兒島局、熊本局の職員の半数にも達しているということを表わしておるのであります。  それから十六ページをお開きを願います。十六ページに乘車人員の比較が出ております、門司局の二十五年九月中における一日平均であります。門司局の四十三万七千七百八十三、これは五九%であります。熊本局が一四%、鹿兒島局が一五%、大分局が一三%と相なつております、もし鳥栖に管理局が設置せられます場合、旧鳥栖管理部と旧長崎管理部と一緒に管理局が設けられるといたしまして、合計三二%に相なるわけであります。  それからその次の十七ページをごらんいただきますと、貨物発送トン数であります。二十五年八月中における一日平均でありますが、門司局は五万七千二十一トンでありまして、八二%を占めております。熊本局が八%、大分局が五%、鹿兒島局が五%でありまして、もし鳥栖に管理局をつくつて、かりに元の鳥栖、長崎両管理部を合併いたしまして合算いたしますとすると、二二%に達するのであります。その他詳細につきましては、資料について御高覧を願いたいと存じまするが、九州における管理局の配置がまつたくバランスを欠いて、これがため国鉄の運営にいかに多くの支障を生じておるか、御認識いただけると存じます。どうか皆様の御賢察をお願い申し上げる次第でございます。
  120. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次は国鉄労組鳥栖支部委員長高口由松君にお願いいたします。
  121. 高口由松

    ○高口参考人 本日は本運輸委員会の国策審議の一端として、国鉄機構改革に関して参考人として鳥栖地区からお招きいただいたことにつきまして、冒頭に厚く御礼申し上げる次第であります。とともに管理局設置につきましては、なお一層の御協力方をお願いする次第であります。  昨年八月以降機構改革によりまして、経営の合理化、責任体制の確立という意図をもつて行われたその理念と方策については了といたしまするが、その交通上の地域的條件とか、現場機関との関連性においては、必ずしもそうでない点が多々あるのであります。その欠点と申しますか、鳥栖を中心といたしまして門司管理局の実情をお話申し上げまして、御参考に供したいと存じます。  まず当局のいう三段階制が、はたして実施されて完全な運営ができているのであろうかということについて、お話申し上げたいと思います。鳥栖地区に関しましては、現在四段階制になつておるのが実情であります。厖大な現場機関を持つており、また全国六大操車場の一つたる鳥栖操車場を持つ鳥栖としましては、直接門司からの輸送指令が困難である。これがゆえに駐在輸送長が設置されまして、なおそれに関連いたしまして、通信によつて辛うじて輸送の要請にこたえておるというのが実情であります。  第一に貨物輸送について申し上げますならば、全国で最大の特需輸送をも加えまして、鳥栖と佐世保間の輸送力表は、一日定期十一、不定期二、計十三箇列車で一万六十トン、現車五百台の制限になつておりますが、二十六年一月の実績は、十三箇列車におきまして一万八千七百八十トン、八百十車の多数に上つて、一日八千七百トンからの増送をしておるのが現状であります。この増送の裏におきましては、博多にあるある方面からの指令に対して、電話回線の不足によつて門司局からの指令を待ち得ない、時間的余裕がないにもかかわらず、予算その他の決定権のないところの鳥栖駐在輸送長と、鳥栖、博多周辺の現場各機関との密接なる協力によりまして、辛うじてその要請にこたえておるものであります。この問題は重大でありまして、一旦事が生じたならば、重大なる国際的な問題も生じ得る可能性もあるので、特に真剣にわれわれは責任体制の確立と能率的運営について考えておるわけであります。管理局を鳥栖に設置する必要は、この点にありましても十分にあろうかと考えます。このことについては、かつて戰争時代に、門司局と鳥栖地区間の連絡が杜絶されたときに、九州の輸送は鳥栖の旧管理部におきまして完遂した実績を持つておるのでありまして、重要な考慮を拂う必要があろうかと考えられます。  第二番目といたしまして、管理部から機構改革とともに熊本局に行きました大牟田の炭鉱及び重化学工業地帶は、一日約百五十両からの貨車が必要にもかかわらず、久留米までで門司管理局が切られておりますので、まさに川の流れをせきとめたような状態になつております。すなわち鳥栖のヤードで組み立てる鹿兒島線列車は、大牟田附近に流れておるのでありますが、その貨車のその日の状態に応じて組成するのが、最も能率的であるにもかかわらず、現在門司局では現場の実態が把握できず、熊本局から本庁門司分室、門司局、さらに鳥栖駐在輸送を経るという、いわゆる四段階制になつておりまして、これによつて初めて貨車注入がなされておるので、従前に比して時間的にもおそく、かつその大部分の貨車は、鳥栖駐在輸送長の管内各駅から初めて空車が注入されるのであります。企業体の国鉄といたしますれば、大貨物駅は大操作場と同一管内にあるのが望ましいのであります。なおまた矢部線といつて、鳥栖から三十分ばかりかかるところの支線があるのでありますが、これも三十分で従来は機関車の交代をやつておりましたが、今は熊本と切られた関係におきまして、熊本から二時間以上の時間と不必要な石炭を費して、機関車の交代をしておる現状であります。これは非常に不能率しかも不経済な点であります。  次に旅客の団体取扱い面について申し上げますと、九州から本土行の団体臨時列車を運行いたしますには、従来は本庁、局、管理部、現場の四段階であつたのでありますが、改革後は本庁、門司分室、管理局、駐在、営業所、駅と六段階の連絡が必要になつて、非常に困つているのであります。九州内の旅行にいたしましても、本庁、分室、局、駐在、駅と五段階の連絡が必要でありまして、改革後は業務面の複雑を来しておるわけであります。これは雲仙その他観光地を有する鳥栖といたしましては、団体取扱いの増加を予想されておりますが、局を設置することによつて、その複雑さは除去せられるのであります。  次に輸送上に重大な支障を来しておるものは、通信連絡の不円滑であります。これにつきましては御迷惑ではございましようが、資料の二十ページをごらんくださいますと、そこに詳細統計をとつたのが出ております。電話連絡の方でございますが、これは二百名くらいの従事員のおる佐賀機関区の実情であります。機構改革前は七回でよかつた電話通話が、改革後は百七十五回という数字を出しております。これについては、ここに1、2、3と書いてありますので、お読み願えれば詳細おわかりになると思います。それから鳥栖の中心でありますところの通信を一手に引受けております電務区の例をとりますと、これは二十一ページの一番目にありますが、八月の機構改革当時の記録を申し上げますと、記録受付数が三千七百五十四、通話完了数が三千百八十四、取消し数が三百一、通話申込み残数が二百六十九でありましたものが、九月におきましては記録受付数が三千六百八十一、通話完了数が二千八百、取消し数が二百八十二、通話申込み残数が五百九十九というようになりまして、通話申込み残数はどんどんふえておりまして、いかに電話の記録を申し込んでおきましても、仕事が残つて行くかということが、この表に現われておるわけであります。  次に文書の連絡でありますが、この理由は省略いたしまして、あたりまえの給料をいただくには、従前よりも三日早く書類を提出せなければ、いただけないというこの表であります。いかに文書の連絡が不円滑であるか。これも佐賀周辺におきまして、往復文書の所要日数は最大七日、最短が三日もかかるわけであります。  それから業務運営上の不円滑でありますが、これも人事問題その他によつて、局に行けば二、三分で解決のできるものが、電話の都合で非常に連絡が不十分で、これが二日かかつて行かなければ業務の運営上円滑に行かないという表であります。これも詳細に載せて統計をとつてありますので、御参考までに申し上げておく次第であります。  さらに進んで連絡の不徹底は、職員の厚生福利の面にも影響するところが大であります。これも同じ十二ページをお読み願いますと詳しく載つておりますが、これは省略さしていただきまして、国鉄企業の現場機関がほとんど鳥栖構内にありまして、総員二千五百八十名、駐在輸送長の管内でも七千五百名いるのであります。さらに鳥栖より遠く長崎地区を含みますと、合計一万二千四百人もあるわけであります。この人たちの日常人生活面の共済組合関係、乘車証、諸給與支拂いの手続等も時日を要しまして、鳥栖、長崎管内の職員から、管内管理局設置の要求が期せずして一致したというのであります。  以上総合いたしまするに、偏在したるところの門司局からの管理運営は、神経痛、リユーマチスにかかつた老人が、まわらぬ手で背中のかゆみをかくような状況にあると思われます。運輸委員会の皆様のよき御理解と御協力によりまして、管理局の設置をぜひ鳥栖に実現いただくように、重ねてお願い申し上げるわけであります。  非常に時間も切迫しておるというお話でございましたので、急ぎましてはなはだ不明瞭な点もございましたろうが、御質問に十分お答えいたしたいと思います。御了承願いたいと思います。
  122. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次は佐賀県興銀取締役峯英夫君にお願いいたします。
  123. 峯英夫

    ○峯参考人 昨年八月国鉄機構改革に伴い、従来の鳥栖管理部が廃止せられまして、門司鉄道管理局となりましたが、この改革は国鉄機構を簡素化いたし、経営の合理化が目的とせられたもので、国鉄運営上またやむを得ず実施せられたものと存ぜられますが、その廃止後におきまして、実際の種々の点におきまして、鳥栖管理局を設置された方がよいという説明は、前参考人の方々からるるお話がありまして、十分言い盡されたところでございますから、それを省きまして、まず鳥栖を中心といたしました佐賀県、長崎県、福岡県の一部の産業が、鉄道とどういう関係にあるかということを簡単ながら御説明申し上げます。  まず佐賀県は、皆様御存じの農産県として古くから知られておりまして、すなわち米の年産額は百三十万石、麦五十万石でありまして、そのうち県外には約半額が移出されているのでございます。これはほとんど鉄道により輸送されている現状でございます。次に当県におきましては石炭鉱業が最近非常に発達しまして、福岡県の筑豊炭田と並んで筑肥炭田と称せられ、新らしい若い炭田としてその有望性が嘱目せられまして、まさに国家の重要資源として認められて来たのでございます。その優良炭質と、五尺層に及ぶ炭層は、可能採炭量においては厖大なる埋蔵量を有しているのでございます。現在三菱鉱業、明治鉱業、井華鉱業、杵島炭鉱、山口鉱業の大手筋を初め、日満鉱業、六日鉱業その他中小炭鉱は、積極的に増産を続けております。その生産額は年間二百五十万トンを上まわつている状態でございます。これら石炭を重工業、軽工業用談としまして、主として阪神地区並びに中京地区に送られております。あるいは省納炭、日発炭、特需用として、大半が県外に移出されているのでございます。また佐賀県特産物の有田焼は国内に、国外にも輸出され、最近碍子の生産は特に目立つて来ております。  次に隣県長崎県の産業としましては、水産関係と石炭鉱業並びに重工業が数えられますが、特に水産におきましては、鮮魚が毎日阪神地区に鉄道で直通輸送が行われているのでございます。石炭鉱業におきましては、三井、三菱、井華、日鉄を初めとして中小炭鉱は、これまた一意増産をたどつております。なお北松地区には、日本でも唯一の原料炭を産出しまして、海運、陸運によりまして、他県にほとんど送られている現状でございます。  次に、北九州の文化経済の中心たる福岡市は、鳥栖から目睫の間にあり、商工業の都市たる久留米市も間近に控えておりまして、重要物資、生必物資その他あらゆる物資の交流は、鹿兒島本線、長崎本線の分岐点である鳥栖駅ヤードにおいて、線区別に分解編成されている現状でございます。これら重要物資輸送におきましては、県御当局の御努力によりまして、万全に配車が行われることと存じまするが、一旦配車が都合がつかないという場合は、山元貯炭はふえまして、一流炭鉱はともかくといたしまして、中小炭鉱は昨今の金融難のやかましく叫ばれている折柄、さらに資金難を来すことは自明の理でありますとともに、石炭輸送遅滞による国内産業に及ぼす影響は、まことに甚大なものがあることと存じます。よつて私は大きな観点からしまして、鳥栖管理局の設置は、現在より以上に国内産業経済に好結果をもたらし得るものと確信しまして、極力その実現方を要望するものでございます。以上であります。
  124. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 参考人に対する御質疑がありましたら、これを許します。
  125. 坪内八郎

    坪内委員 相当時間も経過いたしましたので、簡単に発言したいと思うのでありますが、特に私は佐賀県と密接な関係の深い長崎県の出身といたしまして、この際委員諸君のお許しを得まして二、三分発言いたしまして、またお尋ねしたいと思うのであります。委員諸君がすでに昨年の八月全国を視察いたしまして、まつたく鳥栖の事情は御承知通りでありまして、ただいま参考人の方々がるる申し述べました通り、九州各県の中心的要点であることは、もう申すまでもないのであります。従つて客観的な諸情勢から考えましても、ただいまわれわれの手元に配付されました科学的な資料に基きましても、当然鳥栖に管理局を置かなくちやならないということは、もうこれは一目瞭然であります。しかるにもかかわらず、この鳥栖管理局が置かれなかつたということにつきましては、まつたくわれわれは不可解の至りだ、かように奇怪至極に考えている次第であります。  そこで私は長崎の関係をこの際ちよつとお話申し上げまして、委員諸君の御協力を得たいのでありますが、鳥栖に管理局を置くと同様に、長崎にも管理局を置いてほしいというので、地元長崎市におきましては、敷地の無料提供、あるいは建物その他一切の態勢が整いまして、どうしても長崎に管理局を置いてほしいという要望が、鳥栖と同様にあつたのであります。ことに先ほど参考人からお話がありました通り、講和後の国際的な関係考え合せましても、鳥栖、長崎は国際的に非常に飛躍することは当然でございます。ことに第五国会におきまして、長崎を国際文化都市建設法という特別の法律によつて、国際的な文化都市にしようというような建設法まで、新たに国会を通過させていただいておるというような関係からいたしまして、将来必ずや長崎にも管理局を置いてもらわなくちやならないということを強く要望し、また希望いたすのであります。  そこでこの長崎に関する管理局の問題は、今日は議題となつていないのでありますからこの辺で中止いたしまして、問題の鳥栖管理局の問題に移るわけでございますが、昨日来の委員会の模様を見てみますと、当委員会におきまして青森を初め四管理局の決議案を決議しておるのであるから、決議通りにこれを実行しろというような強い意見が出ておるわけでありますが、この際私は委員長を初め各委員諸君にお願いしたいのでありますが、この決議の促進方につきましては、何とぞ鳥栖を含めた決議の促進にしていただきたいということを、あわせて委員諸君にお願いをいたし、御賛同を得たいと思うのであります。  そこで参考人の方にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、すでに管理局の問題は、青森を初め四箇所におきましては重大な問題となりまして、すでに政治問題化したことは御承知通りでございますが、何か鳥栖の関係は運動不足というか、あるいはわれわれ委員会、あるいはその他の国鉄関係方面にも、そういつた意見が非常に浸透していないのじやないかというような誤解を招かれるような点もありますし、そういう点が一体どうしてこんなふうに——もつともこの決議をするならば、鳥栖を含めての決議であるべきであつたのに、そういう点、鳥栖が漏れておつたことにつきまして、私は非常に不可解な点があるわけでありますが、この点関係者からお答えを願つて、さらに質問を続行したいと思います。
  126. 笠井定雄

    ○笠井参考人 管理部が廃止せられて、新たに管理局ができるというようなお話を承りましたので、昨年の一月二十五日に東京へ出て参りまして、運輸大臣、国鉄総裁等にお目にかかりまして、ぜひ管理局を鳥栖に設置せられるよう陳情申し上げたのでありまするが、今回の機構改革は、経営の合理化と独立採算制の確立のために国鉄自体が自主的に行うものであるから、運動がましいこと、つまり政治的運動がましいことはやらない方がいいだろう、かえつてそういうようなことは逆効果になるおそれがあるというような御注意も受けましたし、また一面陳情の際お言葉のはしばしから、どうやら鳥栖は非常に重要な拠点であるから、管理局は多分鳥栖に御決定に相なるだろうというような希望が持たれたのであります。それからその後参議院の選挙もありますし、選挙に利用されるようなことがあつてはいけないというようなお話も聞きますし、参議院選挙前にはこれが決定を見ないというようなことも聞きまして、結局私らは一月の二十五日に東京に参つて運動——運動というか、陳情いたしましたきり、東京に出て参らなかつたのであります。結局私らは非常に紳士的と申しますか、そういうぐあいに運動を差控えておつたのが、かえつてあだになりまして、急にああいうような結果を見たような次第であります。
  127. 坪内八郎

    坪内委員 お話はよくわかりましたが、こういうふうに了承していいのでありますか。国鉄の首悩部の関係の方々が、鳥栖は非常に重要であるから、そういつた関係において管理局は置かれるだろうという予感がしたという点と、それからわれわれの手元に科学的な資料が出ておりますが、この資料を一見いたしましても、鳥栖に管理局が置かれるべきであると思うが、実際鳥栖の実績に徴しまして、あるいは科学的統計の面から行きましても、また九州における鳥栖の主客観的の諸情勢から言つても、当然鳥栖に管理局が置かれるものであるという予想と、この二つの考えのもとに、そういつた運動といいますか、そういうものをしなかつたのだ、かように了承してよいのでありますか。
  128. 笠井定雄

    ○笠井参考人 ただいまの御質問通りでございます。
  129. 坪内八郎

    坪内委員 そこで簡単に次にお伺いいたしますが、今年の二月の上旬に鳥栖に火災が起きて、将来もし管理局を置くといたしますれば、そういつた管理局にも利用されるであろうような施設が火災にかかつたということでありますが、その辺の状況はどうなつておりますか、簡単に御説明願いたいと思います。
  130. 高口由松

    ○高口参考人 二月の火災の状況は、二〇%くらい焼夫したわけでありますが、あとはたくさん残つておるわけであります。今年度に五千万円の予算によつてコンクリート建が完成することになつて、それは管理局を受入れましても、現場機関としても相当に利用できる建物であるというお話であるし、またその話が進捗して予算の通過を見ていることは事実であります。
  131. 坪内八郎

    坪内委員 その点は了承いたしました。次に陳情資料の二十三ページにありますが、受入れ態勢のところで、局敷地用として六十坪提供の用意があるということになつておりますが、この土地はどこの所有地でありますか。
  132. 橋本雅弘

    ○橋本参考人 それはまだ民有地でございまして、大体こことここを買収しようということになつてつて、まだ耕地になつております。
  133. 坪内八郎

    坪内委員 その民有地の敷地問題につきましては、地元の関係議会か何かで相当議題となつて、ある程度意見がまとまつておるのでありますか。
  134. 橋本雅弘

    ○橋本参考人 まつたくさようでございまして、議会でもそれに同意を得ております。それから六千坪と申しますのは、鉄道の方からこのくらい必要だという御内示を頂戴したわけであります。
  135. 玉置信一

    玉置(信)委員 先ほど東の鳥栖管理局設置に関しての、各参考人のお話を総合して考えましたことと、さらにこの提出されております書類等から見まして、ただいま坪内委員からお話のありましたように、管理局設置に対するすべての條件が整つておると見てよいと思うのであります。すなわち管理局設置の基礎的の條件、あるいは要素となるべきところの立地條件、それから操車場のごときも、全国有数の広大な地域を持つておる。すなわち駅構内が約七十万坪もあり、軌道も四十キロにわたつておる。その他いろいろな科学的なデータに基く御説明を拝聽いたしまして、これまた坪内委員の仰せになりましたごとく、私はこれが管理局設置から落されておるということについて、むしろ奇怪に思う一人でございます。従いまして、私は現地には親しく参つておりますが、アウト・ラインだけは知つておる関係もありますし、この鳥栖の管理局設置問題は、やはり本委員会が決議をいたしております四箇所と合せて、すなわち五箇所をもつて管理局を設置すべしという方向に取扱うことが妥当のように思いまして、先ほど坪内委員の御発言になりましたことに全然同感でありますことを申し添えて、私は質問を省略いたしたいと思います。
  136. 坪内八郎

    坪内委員 ただいまの同僚玉置委員の御発言、まことに地元の方々にとつては感激にむせぶものがあると思うのであります。そこで私はこの際当委員会に同意といいましようか、申合せと申しましようか、そういう点につきまして、御相談をいたしたいと思うのであります。先ほど申し上げました通り、当委員会におきましては、四管理局を設置するという決議をわれわれは決議いたしておるのでありまして、国会の最高機関であるところの委員会で決定した決議を実行するということは、当然の建前でありますが、将来この決議通りに行うと同時に、鳥栖も加えてひとつ考慮するということを御了承願いたいという動議を提出いたしまして、委員諸君の御賛同を行たいと思うのでありますが、いかがなものでございましようか。委員長に特にとりはからい方をお願いいたします。
  137. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 ただいまの坪内君の動議に対して、同意することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 異議ないと認めます。  これにて、参考人より意見聽取を終ります。     —————————————
  139. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 この際観光小委員及び鉄道電化に関する小委員補欠及び追加選任を行いたいと思います。去る二月八日、十九日、二十八日及び三月十二日、委員異動に伴い、観光小委員四名、電化小委員一名の欠員が生じました。また委員より観光小委員二名、電化小委員三名の追加の申込みがありましたので、この際補欠及び追加の選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 それではさよう決しました。観光小委員に    黒澤富次郎君  玉置 信一君    江崎 一治君  飯田 義茂君 を補欠に、   岡田 五郎君  前田 正男君を追加指名いたします。また電化小委員に    黒澤富次郎君 を補欠に、    畠山 鶴吉君  山口シヅエ君    江崎 一治君 を追加指名いたします。  本日はこれにて散会し、明午前十時半より開会いたします。     午後五時三十五分散会