○小田桐参考人 ただいま青森管理局の問題につきまして、地元
関係各位から、それぞれの
立場を代表いたしまして、るる
事情を述べられましたが、私は国鉄の一職員といたしまして、昨年八月一日以降、機構改革実施後、日常の作業を通じて、われわれはどのような不便にぶつか
つておるか、これらの点について、地域的ではございますが、私の所属いたしております青函管理局並びに隣接秋田、盛岡等に若干触れまして、以下項目別に申し上げてみたいと存じます。
結論的には、新しい管理局の管轄範囲か、地域的には必ずしも妥当ではないと同時に、打合せ、連絡の横の系統がかえ
つて複雑にな
つておる、こういうことが指摘できるのではないかと存じます。こうしたことが、日常われわれの仕事の面に大きな影響をもたらしておるのでございまして、まず第一点といたしましては、列車の運行整理並びに貨車の稼働
調整が、従来よりも不便となり、この影響が海陸
輸送の一体化に不安を生ぜしめておる。もちろんこれは青函管理局
関係の地域的な問題について、私は申し上げておるのでございますので、全国的なあるいは全般的な問題から批判するならば、若干の相違があるかもしれませんけれ
ども、その点御了承の上お聞取りを願いたいと存じます。およそ国鉄が、その使命とするところの安全、迅速、正確を期するためには、間断なく列車の運行
状況、あるいは貨車の稼働
状態を捕捉しておらなければならないのでございます。従いまして従来は私
どもの所属しておつた青森管理部におきましても、青森を中心として、奥羽線は青森、津軽湯ノ沢間六十二キロ、東北線は青森、尻内間八十六キロの距離を間断なく、列車の運行
状況にいたしましても、あるいはまた貨車の流動
状態にいたしましても、常にこれを捕捉いたしまして、適時適切な
措置をして、列車の正常な運行を確保し、また
輸送の
調整をはか
つておつたわけでございますが、昨年八月の機構改革以来、奥羽線は青森の次の駅の津軽新城以南が秋田管理局の管轄となり、東北線また青森から三十七キロの地点野辺地駅で断ち切られるというような
状態になりまして、すなわち旧青森管理部管内が、秋田、盛岡、青函局と三分断され、青函局の受持ち範囲がきわめて縮小されたわけでございます。従いまして日常の列車運行の整理にいたしましても、青森を出てすぐ隣の駅から、秋田局がこの運行の整理をいたすということに相なりますし、また進入列車に対しても、津軽新城までは秋田管理局がほとんどこれを整理する、こういうことに相なります。同様なことは東北線におきましても、野辺地の次の駅の千曳以南が全部盛岡において操車される、かような
状態と相なるわけでございます。列車運行また貨車の流動
状態が正常にある場合には、さほどの不便はないのでございますが、一たび運行が乱れたり、あるいは
事故発生、災害等の場合におきましては、立ちどころにこの運行の
調整あるいは貨車稼働の
調整が、国鉄の
輸送にぴんと響いて来るわけでございます。最もいい例は、昨年八月の関東東北の水害時におきましても、非常に運行の
調整がうまく行かなかつたという実例がございます。さらにまた今年一月の初旬の、青森地域における猛吹雪の際におきましても、すこぶる
輸送が円滑を欠いたというような実例もございます。私
どもは国鉄の職員といたしまして、全力を上げて
輸送の確保と正常運行の確保に努力をいたしておるわけでございますけれ
ども、何分にもこうした機構の
関係から、どうしても思うような運行の
調整やあるいは
輸送の確保がいたしかねておるのが現状でございます。すなわち一つの操車場がある場合には、その両翼にかなり長距離の緩衝地帶を持
つておらなければ、その操車場は全機能を完全に発揮することは、とうてい不可能なのでございます。こうした場合に、青森の青森操車場の
関係を見まするとき、奥羽線はすぐ次の津軽新城において他局となり、一方東北線は三十七キロの距離より持
つておらない、こういうような
状態で、操車場などにおける貨車の調節に、すこぶる困難を来しておる次第でございます。秋田局は秋田局の
事情からその管内を
調整しております。盛岡はまた盛岡の管内の
情勢がら調節をはか
つております。しかし列車はすべて青森を起点とし、また青森を終点といたしておるわけでございまして、こうした関連から
考える場合において、決して秋田局のみ、あるいは盛岡局のみの便利によ
つて整理されあるいは
措置されたのでは、その終端となる青函の一部分がすこぶる不便をこうむるのは、理の当然でございます。こうしたことが、すなわち青函局の特
つておる使命といわれる、海陸
輸送の一体化に不安を生ぜしめておるということでございます。少くとも青函海陸船車連絡の円滑を期するためには、青森操車場は常に北海道向けの貨車の調節に意を用いていなければならないし、またこれを指示するところの
輸送調節の
輸送指令にいたしましても、あるいはまた運行指令にいたしましても、適時適切な指示を現場に與えない限り、この船車連絡の一体化というようなことは期し得られないのでございます。こうしたことを
考え合せるとき、通常においてはさほどの現象も起らないのでございますけれ
ども、一旦
事故発生、災害あるいは列車の遅延、連絡船の航行不能、こうした現象が起つた場合には、立ちどころにこうした東北線、奥羽線と連絡船との
関係が、不円滑とな
つて来るわけでございます。こうしたことを円滑にするためには、どうしても三角形の頂点にある青森に、強力な指令機構を持たない限りにおきましては、解決せられないのではないか、われわれはかように
考えておる次第でございます。
第二点といたしましては、管理局と地方営業事務所は、不離一体の
関係に置くべきではないか、かような点でございます。と申しますのは、現在青森には地方営業事務所がございます。しこうしてこの地方営業事務所は、旧鉄の窓口といわれております。すなわち
一般旅客公衆あるいは荷主、業者、出荷団体等と、国鉄機構の
運営の窓口として常に折衝をしておるわけでございます。ところが地方営業事務所におきまして、どんな計画を立てられたといたしましても、管理局との密接な連絡がなかつたならば、とうていこの計画は円滑に
運営でき得ないのでございます。現在青森の地方営業事務所は、青函管理局にも、あるいはまた秋田管理局にも、さらには盛岡管理局にも、あるいはまた仙台
輸送分室、札幌
輸送分室等にも連絡をしなければならないという、非常に複雑な手数をしておるわけでございます。しかも青森に管理局がないために、たとえば地域的に東の八戸方面から西の弘前方面に、一つの団体旅客を
輸送するにあたりましても、一々盛岡局、青函局あるいは秋田局と、この三つの局に連絡をしなければ、この県内における団体
輸送すらもでき得ない、こうした不都合があるわけでございます。しからば逆説的に、青森の営業事務所をなくしたらばどうか、こういうような御意見もあるいはあるのじやないかと思われます。しかし営業事務所の使命は、やはりその地方の地方産業との関連性から、最も重要度の高いところに置かなければならないのではないか、こうした点からするならば、私は東北地方におきましても、最も優位にある青森県に置かれるのが理の当然ではないか、かように
考える次第でございます。
弟三点といたしましては、現場掌握並びに指導が地理的にすこぶる不便と
なつた。こういう点でございます。従来は青森管理市がおおむね青森県下をその掌握下に納めて、常に適時適切な指示指令をいたして参りました。ところが青森を中心とする一部分が函館側に収容されることに相なりまして、海峡を隔てて、われわれは常に函館と連絡をしなければならない。また青函局におきましても、海峡を隔てて青森の現場を掌握しなければならないという、非常に地理的に不便な形に置かれておるわけでございます。もとよりわれわれは日常の作業を遂行するにあたりまして、根本的には規程あるいは達示令書等によりまして作業遂行してはおりますものの、国鉄のごとく複雑多岐にわたる作業の内容を持
つておる場合におきましては、どうしてもそのときどきに、局報なりあるいは局の指示指令を仰がなければならないという場合がたくさん出て来るわけでございます。さらにまた局といたしましても、管内全般をにらみ合せて、最も円滑な
運営あるいは
輸送の
調整を確保するためには、どうしても現場機構を常にその掌握下に納めておらなければならない、こうしたことが甘えるのではないかと思いますが、こうした点から
考える場合に、青森地域というものは、海峡を隔てて常に函館側から指令指示をしなければならないという不便があるのでございます。私
どもは地域的にもこうした不便は即刻是正されて、地域を一括した方法が望ましい、かように
考えて、おる次第でございます。
第四点といたしましては、旧管理部管内の人事交流がないために、県内在勤職員は前途に不安を持
つておる。昨年八月三分割されましてから、私
ども県内に作動する国鉄の職員といたしまして最も希望したのは、この三局間における県内の人事交流でございました。ところがやはり三局に分断されることに相なりますると、この人事交流も現在は行われておらない、こういうような
情勢に相な
つておるわけでございまするが、何といたしましても青森県に勤務いたす局員は、おおむね県出身者が多いのでございます。もとよりわれわれ国定に職場を持つ者といたしまして、いずれの地に勤務させられても、それは異論のないところではありますものの、しかし今日のような
経済情勢下にあ
つては、必ずしもそういうことのみによ
つて、人事の異動は解決せられないのではないかとわれわれは
考える次第でございます。現に三分制によりまして、盛岡、秋田あるいは函館に配置転換された方々は、家族は青森に残し、本人が單独赴任をしておる、かような
情勢にあります。さらにまた家族を引き連れて転居するといたしましても、そのそれぞれの転勤地における住宅
事情は、決してわれわれの希望をいれるような
情勢にはないことでございます。こうしたこと、あるいは定期的な人事異動にあたりましても、この地域的な人事の交流は当然考慮していただかなければならないのではないか、かように私
ども希望して心る次第でございます。
第五点といたしましては、機関車乘務員並びに車掌の業務遂行がかえ
つて複雑と
なつた。従来はおおむね乘務綱領が……。