○
坪内委員 ただいまから
モーターボート競走法案の
提案理由を御
説明いたします。
この
法律案の
内容は、直接には
競走の
施行主体、
競走の
運営、
競走の
監督等、
モーターボート競走をいかにして行うかにつき
規定しておるのでありますが、
法律の究極の目的は、第一には、この
競走の実施を通じて
現下日本経済の基礎となるべき
海運事業の発展、すなわち
造船工業の
技術改善、
船舶機関の
性能改革を、
モーターボートを通じてはかるという遠大なる意図にあり、かつ広く
海外に
わが国の
モーターボートのすぐれた点を宣伝することによ
つて、
モーターボートの製造に関する
事業の
振興に寄與するということであります。
モーターボートの
競走は、
昭和の初めごろより
同好の
アマチユアの間で行われておりまして、現在
わが国にこれら
アマチユア同好者の所有する
競走用モーターボートだけでも、
全国で百数十隻に上り、これを運転する
アマチユア選手もほぼ同数おりますが、かかる個人的嗜好にまり始められた
モーターボート競走すら、過去の実績より見ますれば、
モーターボートを初め、舟艇の性能向上、
関係事業の
振興に役立
つて参
つたことは、周知の事実であります。その具体的な点につきましては、御
審議の進行に連れ、詳しく御
説明申し上げたいと思います。本
法案の仕組みにより、
全国にわたり、しかも権威を持
つたモーターボート競走が、多数の観衆の前で大衆的に実施せられるようになりますれば、早晩
わが国の
モーターボートの性能、生産
技術とい
つたようなものは、面目を一新すると思います。またボート用モーターの輸出は、民間貿易で取扱
つたものだけでも、お手元の
資料のごとく相当量に上
つておりますが、この
競走の実施と相ま
つて海外宣伝が当を得れば、将来この輸出量は飛躍的に増加すると確信いたします。
この
法律案のねらいとして第三に申し上げなければならない点は、海事思想の普及宣伝と観光
事業に資するということであります。何と申しましても四面環海の
わが国にとりましては、国民のすべてによろしく海事思想を徹底することが望ましいのであります。
モーターボートの
競走は、お手先に差上げた予定
競走場一覧でもわかりますように、海浜で行われることも少くなく海上を疾走して覇を競う
モーターボートの雄壯な姿は、おのずから観衆に海事に関する関心を引起さずにはおかないと
考えます。また
競走場にはいわゆる国際観光地、またはその付近に適地も少くありませんし、外来観光客の好みにも合いますので、観光客の娯楽としてもいささか資するところがあると存じます。
最後に、この
法律案の効果として忘れてならないことは、
地方財政に寄與するということであります。本
法案は、自転車、小型自動車の場合と同様、
モーターボートの
競走について勝舟投票券の発売を認めておるのでありまして、勝舟投票券の売上金の一部は、
施行主体たる
地方公共団体の収入となるのであります。この
関係を簡單に申し上げますと、要するに勝舟投票券の売上金の七五%は、投票者に対する配当に充て、残額二五%のうち五%は、
施行の主体である都道府県等の委任を受け、実際に
競走の
運営の衝に当る
競走会の費用に振り向け、
あと二〇%残るわけでありますが、そのうち三%は国庫に納入、詰まるところ
施行主体たる都道府県の所得は一七%となるわけであります。もちろん都道府県の支出も相当ありますが、大体小型自動車の場合と同様ないし
ちよつと少いくらいの七ないし一〇%くらいは、純益的な収入となると
考えられます。
なおあまり細部まで
規定するのも、いたずらに
法案を複雑にすると
考えまして
地方公共団体が
競走会に
競走の実施を委任することに関する事項、
競走場、選手、
競走用モーターボート、審判員の適格基準とい
つたような
法律の
施行に必要な手順は、主管省とな
つております運輸省当局が省令として定めることとしております。これらの進捗の状況、
規定の
内容等につきましては、あらましの腹案はできておるようでありますから、御
審議の都合で要すれば運輸省
関係官の御協力も得たいと存じます。
なおこの
法律案は、自転車及び小型自動車の
競走と同一の仕組みで、
地方公共団体が
モーターボートの
競走を
施行し得る道を開くものでありますが、自転車及び小型自動車につきましては、おのおの自転車競技法及び小型自動車
競走法に基きまして、それぞれ活発に
競走が行われ、着々その目的を達成いたしておりますことは、よく御承知のことと存じます。
何とぞ愼重御
審議の上、すみやかに本
法案が成立いたしますよう、おとりはからい願いたいと存じます。